説明

ハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置

【課題】ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することのできるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置を提供すること。
【解決手段】枠状に形成されたフレームと、前記フレームに設けられた閉鎖部材と、前記フレーム内に移送可能であり、前記フレーム内において前記閉鎖部材で閉塞される開口部を備えた反応容器本体と、前記反応容器本体の前記開口部を閉塞する前記閉鎖部材と前記反応容器本体とで形成される反応容器の内部に形成されたところの、内容物が上下に循環される流通案内手段と、前記反応容器内の内容物を攪拌する攪拌手段と、前記反応容器内の内容物を加熱する加熱手段とを含むことを特徴とするハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置に関し、さらに詳しくは、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することのできるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種プラスチック製品は、成形が容易で強度等の特性に優れ、種々の用途に広く使用されている。しかしながら、強度等の特性が如何に優れていても、プラスチック製品はいずれ廃棄され、処分されることになる。その優れた特性から広範な用途に使用されたプラスチック製品から廃棄される廃プラスチック製品は多種多様であり、その廃棄量も膨大であるから、回収したプラスチック製品の廃棄処理が問題となっている。
【0003】
現状においては、一般に、回収した各種プラスチック製品は、埋め立て処分され、又は、焼却処分されている。
【0004】
しかしながら、各種プラスチック製品の中でも、ハロゲン原子を含有するプラスチック製品を単純に埋め立て処分または焼却処分すると、人及び環境に与える悪影響が大きいという問題が生じる。すなわち、このハロゲン原子を含有するプラスチック製品を単純に埋め立て処分する場合には、このプラスチック製品は土中で分解されにくく、また、それに含まれる添加剤等が徐々に漏出して、土壌を汚染する。一方、ハロゲン原子を含有するプラスチック製品を単純に焼却処分する場合には、ハロゲン原子を含有するプラスチック製品の熱分解によってハロゲンガス等が発生するので、発生したハロゲンガス等によって焼却炉を傷めるばかりか、ダイオキシン類が発生しやすい。
【0005】
特に、例えば、軟質塩化ビニル系樹脂製品等のように、ハロゲン原子を含有するプラスチック製品に、環境ホルモンの疑いのあるフタル酸エステル系可塑剤等が多量に含有されている場合には、単純に埋め立て処分または焼却処分すると、人及び環境に与える悪影響が極めて大きいという深刻な問題が生じる。
【0006】
このような問題を回避するため、ハロゲン原子を含有するプラスチックからハロゲン原子を除去する脱ハロゲン化方法として、いくつかの方法が知られており、例えば、塩化ビニル重合体組成物を有機溶媒に溶解し、この溶液にアルカリ剤を加えて得られた溶液を、かき混ぜながら常圧下に常温から前記有機溶媒の沸点までの温度域に攪拌しながら保持することにより、塩化ビニル重合体組成物中の塩化ビニル重合体を脱塩素化することを特徴とする方法(特許文献1)を挙げることができる。
【0007】
しかしながら、この特許文献1に記載の方法において、97.2%の脱塩素化率を達成するには、その実施例に記載されているように、塩化ビニル重合体組成物を溶解するための極性非プロトン溶媒であるジメチルスルホキシドを用いて、反応温度80℃下に、3時間もの長い反応時間を要する。
【0008】
【特許文献1】特開2003−253039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明の目的は、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することのできるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の発明者は、ハロゲン含有プラスチック回収物の脱ハロゲン化装置において、溶剤として従来より想定もされていなかったアルキレングリコールを用いた場合には、ハロゲン含有プラスチック回収物が溶媒に溶解していなくても、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することができることを見出した。
【0011】
すなわち、この発明はかかる知見に基づいてなされたものであり、上記課題を解決するための手段として、
請求項1は、枠状に形成されたフレームと、前記フレームに設けられた閉鎖部材と、前記フレーム内に移送可能であり、前記フレーム内において前記閉鎖部材で閉塞される開口部を備えた反応容器本体と、前記反応容器本体の前記開口部を閉塞する前記閉鎖部材と前記反応容器本体とで形成される反応容器の内部に形成されたところの、内容物が上下に循環される流通案内手段と、前記反応容器内の内容物を攪拌する攪拌手段と、前記反応容器内の内容物を加熱する加熱手段とを含むことを特徴とするハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置であり、
前記手段の一態様においては、さらに、前記閉鎖部材が前記フレームに設けられた下蓋部材及び上蓋部材であり、前記反応容器本体が、前記フレーム内において前記下蓋部材及び前記上蓋部材で閉塞される両端開口部を備えてなり、
前記手段の他の一態様においては、前記反応容器が、ハロゲン含有プラスチック回収物の挿入手段及び反応容器内の内容物を排出する排出手段を含んでなる。
【発明の効果】
【0012】
また、この発明によると、アルキレングリコールを用いないハロゲン含有プラスチック回収物の処理方法に比べてハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することのできるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置を提供できる。
【0013】
つまり、この発明のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置は、反応容器本体の開口部を閉鎖部材で容易にかつ短時間のうちに閉鎖することができ、さらに脱ハロゲン処理をする際に反応容器内で高まる圧力を閉鎖部材を装着するフレームが受けるので、反応容器をはじめとする各部材に曲げモーメントがかからず、したがってこの曲げモーメントに基づく装置寿命の短命化が防止される。
【0014】
さらに、この発明のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置は、内容物が上下に循環される流通案内手段と攪拌手段とを備えているから、反応容器内の内容物が効率よく満遍なく撹拌できるようになっている。したがって、この発明のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置を用いると、ハロゲン含有プラスチック回収物の処理に要する反応時間をより短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
この発明の処理装置により処理される対象物は、ハロゲン含有プラスチック回収物である。このハロゲン含有プラスチック回収物は、分子内にハロゲン原子を含有するプラスチック及び分子内にハロゲン原子を含有する添加剤の少なくとも一方を含有する成形用のハロゲン含有プラスチック組成物であって、製品として使用されずに回収されたもの、上記ハロゲン含有プラスチック組成物を用いて成形加工した際に副生するバリ及び打ち抜き残渣等の半端物を回収したもの、上記ハロゲン含有プラスチック組成物を用いて成形加工して得られるハロゲン含有プラスチック製品であって、使用後に回収されたもの、上記ハロゲン含有プラスチック製品と他の樹脂を用いて得られる樹脂製品とを組み合わせてなる組み立て製品であって廃棄されるに至り、その組み立て製品の回収物から分離されたハロゲン含有プラスチック製品回収物等を挙げることができる。
【0016】
上記ハロゲン含有プラスチック回収物は、回収されたときのそのままの形状でこの発明に係るハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置(以下、「この発明の処理装置」と称することがある。)に提供することができ、また、ハロゲン含有プラスチック回収物からより短時間でハロゲン原子を除去することを目的とするのであればハロゲン含有プラスチック回収物を粉砕又は破砕することによる粉砕物又は破砕物としてこの発明の処理装置に供するのがよい。粉砕物又は破砕物の大きさは、特に限定されるものではなく、例えば、数100μm〜数cmにすればよい。
【0017】
上記ハロゲン含有プラスチック組成物における分子内にハロゲン原子を含有するプラスチックとしては、その分子内にハロゲン原子を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、フッ素樹脂、塩化ビニル系樹脂、クロロプレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、塩化三フッ化エチレン樹脂等を挙げることができる。
【0018】
これらの中で、短時間でハロゲン原子を除去できる点で、塩化ビニル系樹脂がこの発明の処理装置に適用するのに好都合である。塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合樹脂、塩化ビニルアクリル酸エステル、塩化ビニルメタクリル酸共重合樹脂、塩化ビニルアクリルニトリル共重合体、エチレン塩化ビニル共重合体、プロピレン塩化ビニル共重合体等を挙げることができる。
【0019】
上記ハロゲン含有プラスチック組成物における分子内にハロゲン原子を含有する添加剤としては、その分子内にハロゲン原子を有していれば、特に限定されるものではなく、例えば、五塩化ステアリン酸ジメチル、トリクロルエチルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスジブロモプロピルホスフェート等の可塑剤、モノアルキレンジブロモフェノール等の酸化防止剤、トリス(クロロエチル)ホスフェート、パークロロペンタシクロデカン、テトラブロムブタン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモエタン、デカブロモビフェニルエーテル等の難燃剤等を挙げることができる。また、分子内にハロゲン原子を含有する添加剤として、上記の外に、「新版・プラスチック配合剤−基礎と応用」昭和59年1月30日初版発行、大成社発行」に記載された各種の添加剤を挙げることができる。
【0020】
ハロゲン含有プラスチック組成物には、上記分子内にハロゲン原子を含有するプラスチック及び上記分子内にハロゲン原子を含有する添加剤に加えて、例えば、分子内にハロゲン原子を含有していない、可塑剤、ワックス、安定剤、紫外線吸収剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0021】
この発明の処理装置を使用する際には、アルキレングリコールが用いられる。このアルキレングリコールは、この発明の目的を達成することができるものであれば、特に限定されるものではないが、ハロゲン含有プラスチック回収物への高い相溶性を有し、ハロゲン含有プラスチック回収物を劣化させにくい点で、炭素数2〜8のアルキレングリコールであるのが好ましく、炭素数2〜4のアルキレングリコールであるのがより好ましく、エチレングリコールであるのが特に好ましい。炭素数2〜4のアルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を挙げることができる。
【0022】
溶媒としてアルキレングリコール特にエチレングリコールを用いることで、処理温度が比較的低温であるにもかかわらず、脱ハロゲン化反応が著しく促進され、極めて短時間でハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を除去することができる。この発明の処理装置においては、アルキレングリコールの範疇に含まれる一種又は二種以上のアルキレングリコールを溶媒として使用することができるが、アルキレングリコールと極性非プロトン溶媒及び/又は環状エーテル等との混合溶媒としてアルキレングリコールを使用するのは好ましくない。前記混合溶媒を使用するとアルキレングリコールの相対的な使用量が低下するので脱ハロゲン化反応が促進されず、したがってハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することができない。
【0023】
この発明の処理装置を使用する際には、アルカリが用いられる。このアルカリは強アルカリであれば、特に限定されるものではなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができる。
【0024】
このアルカリは、固形物をそのまま用いても、溶液として用いてもよい。
【0025】
上記アルキレングリコールの使用量は、特に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン含有プラスチック回収物1質量部に対して、50〜500質量部であるのが好ましい。アルキレングリコールの使用量が50質量部より少ないとハロゲン含有プラスチック回収物への相溶性が低下してハロゲン原子の除去率が低下する場合がある。
【0026】
上記アルカリの使用量は、ハロゲン含有プラスチック回収物から短時間でハロゲン原子を除去することができる限り、特に限定されるものではないが、アルキレングリコール中のアルカリ濃度が0.25〜1.5mol/Lであるのが好ましい。アルキレングリコール中のアルカリ濃度が高すぎても低すぎてもハロゲン原子の除去率が低下する傾向にあり、アルカリ濃度が0.25〜1.5mol/Lであれば、短時間で高いハロゲン原子の除去率が得られる。短時間でより高い脱ハロゲン原子の除去率が得られる点で、アルカリ濃度は0.5〜1.0mol/Lであるのがとくに好ましい。
【0027】
この発明の処理装置では、まず、ハロゲン含有プラスチック回収物とアルカリとをアルキレングリコールに分散させる。この発明の処理装置では、アルカリはアルキレングリコールに溶解していてもよい。
【0028】
次いで、このアルキレングリコール分散液を常圧下に125〜196℃に加熱する。加熱温度が125℃よりも低いとハロゲン含有プラスチック回収物から短時間でハロゲン原子を除去することができないことがあり、加熱温度が196℃を超えているとハロゲン含有プラスチック回収物に含まれている上記分子内にハロゲン原子を含有するプラスチックが熱分解することがある。
【0029】
加熱温度は、短時間で高いハロゲン原子の除去率が得られる点で、125〜155℃であるのが好ましく、135〜150℃であるのが特に好ましい。
【0030】
加熱時間は、アルカリ濃度等に依存するので一概に決定できないが、一般に、短時間でこの発明の目的を達成することができ、例えば、所定の加熱温度に達した後、5〜35分であるのが好ましく、5〜25分であるのが特に好ましい。一方、アルカリ濃度等を好ましい範囲に調整すれば、加熱時間が5〜10分というごく短時間でこの発明の目的を十分に達成することもできる。
【0031】
なお、この発明においては、高いハロゲン原子の除去率が得られる範囲内で加熱時間を長くすることもできる。
【0032】
加熱手段は、電気ヒータ、熱媒体等も可能であるが、短時間に効率よく加熱するにはマイクロ波加熱手段例えば高周波加熱装置が好ましい。
【0033】
この発明の処理装置においては、上記アルキレングリコール分散液を所定時間加熱すると、固形分と液状分との混合物が得られる。この混合物を固液分離手段により固形分と液状部分に分離する。分離手段は、特に限定されるものではなく、例えば、ろ過手段、遠心分離手段等の公知の手段を挙げることができる。
【0034】
このようにして分離された液状分には、アルキレングリコール、アルカリ、エステル系可塑剤又はその分解物、添加剤、場合によりハロゲンのアルカリ塩等が含まれている。この液状分又はこの液状分から回収されたアルキレングリコール及びアルカリは、再度、この発明の処理装置に使用することができる。
【0035】
一方、分離された固形分には、ハロゲン原子が除去されたプラスチック又はその変性物、場合によりハロゲンのアルカリ塩等が含まれている。この固形分から、ハロゲンのアルカリ塩は常法に従って容易に除去することができ、ハロゲンのアルカリ塩が除去された残分にはハロゲン原子が含まれていないから、焼却処分されても、この残分の熱分解によってハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等が発生することがなく、したがって、ハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等によって焼却炉を傷めることもなく、ダイオキシン類が発生することもない。
【0036】
この発明の処理装置では、上記加熱処理の前に、ハロゲン含有プラスチック回収物をあらかじめ洗浄してもよく、また、ハロゲン含有プラスチック回収物に含まれている添加剤等をあらかじめ除去してもよい。
【0037】
以上、詳細に説明したとおり、この発明の処理装置によると、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することができる。さらに、エステル系可塑剤が含まれているハロゲン含有プラスチック回収物をこの発明に適用すると、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子とともにエステル系可塑剤をも除去できる。
【0038】
したがって、エステル系可塑剤が含まれているハロゲン含有プラスチック回収物をこの発明に適用してもよい。ハロゲン含有プラスチック回収物に含まれていてもよいエステル系可塑剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、フタル酸エステル可塑剤、リン酸エステル可塑剤、アジピン酸エステル可塑剤、セバチン酸エステル可塑剤、アゼライン酸エステル可塑剤、クエン酸エステル可塑剤、グリコール酸エステル可塑剤、トリメリット酸エステル可塑剤、フタル酸異性体エステル可塑剤、リシノールエステル可塑剤、ポリエステル型可塑剤等を挙げることができる。これらの可塑剤の中でも、ハロゲン原子とともに可塑剤を効率よく除去することを目的とするのであれば、エステル系可塑剤はフタル酸エステル可塑剤であるのがよい。フタル酸エステル可塑剤としては、例えば、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジ(n−オクチル)フタレート、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソオクチルフタレート、ジカプリルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジデシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、オクチルデシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、オクチルベンジルフタレート、(n−ヘキシル)(n−デシル)フタレート、(n−オクチル)(n−デシル)フタレート等を挙げることができる。
【0039】
特に上記ハロゲン含有プラスチック組成物として、上記塩化ビニル系樹脂100質量部と、上記エステル系可塑剤30〜100質量部とを配合してなる軟質塩化ビニル系樹脂組成物を用いると、この発明の処理装置の目的を十分に達成することができるうえ、1回の処理で塩素原子とともにエステル系可塑剤をも短時間で除去することができるので好都合である。
【0040】
この軟質塩化ビニル系樹脂組成物には、上記軟質塩化ビニル系樹脂及び上記エステル系可塑剤に加えて、例えば、ワックス、安定剤、紫外線吸収剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤等の添加剤が含有されていてもよい。
【0041】
この発明の処理装置に、軟質塩化ビニル系樹脂組成物を適用すると、加熱処理後に得られる固形分からハロゲンのアルカリ塩が除去された残分には、ハロゲン原子はもはや含まれていないから、焼却処分されても、この残分の熱分解によってハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等が発生することがなく、したがって、ハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等によって焼却炉を傷めることもなく、ダイオキシン類が発生することもない。また、この残分には、エステル系可塑剤ももはや含まれていないから、埋め立て処分されても、人及び環境に与える悪影響を大幅に低減することができる。
【0042】
次に、この発明の処理装置の一例としてのハロゲン含有プラスチック回収物の原料回収装置(以下、単に「原料回収装置」と称することがある。)について、図を参照しながら説明する。
【0043】
図1に示したように、この原料回収装置1には、その一要素として、この発明のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置100(以下、単に「処理装置100」と称することがある。)が組み込まれている。
【0044】
図2〜図4を参照して、この処理装置100について、説明する。
【0045】
図2に示したように、この処理装置100は、開口部116を有するフレーム110と、フレーム110に設けられた下蓋部材120及び上蓋部材130と、フレーム110の開口部116に移送可能であり、開口部116において下蓋部材120及び上蓋部材130で閉塞される両端開口部141及び142を備えた反応容器本体140と、反応容器本体140の両端開口部141及び142を閉塞する上蓋部材130及び下蓋部材120と反応容器本体140とで形成される反応容器150(図4参照)の貫通孔151に形成されたところの、内容物が上下に循環される流通案内手段160と、反応容器150内の内容物を攪拌する攪拌手段170と、反応容器150内の内容物を加熱する加熱手段145とを含んでいる。なお、この例においては、前記下蓋部材120及び上蓋部材130がこの発明における閉鎖部材の一例に相当する。また、前記開口部141は上側開口部と称されることがあり、また開口部142は下側開口部と称されることがある。
【0046】
図2に示されるように、フレーム110は、上部横部材111、下部横部材112及びこれらを上下に連結支持する一対の縦部材113及び114で、方形の開口部116を有するように、形成されている。この開口部116に、後述する下蓋部材120及び上蓋部材130と反応容器本体140とで形成される反応容器150(図4参照)が配置されることによって、反応容器150の内部圧力が上昇したときにも、後述する下蓋部材120及び上蓋部材130に印加される圧力をフレーム110が受けるので、下蓋部材120及び上蓋部材130が反応容器本体140から外れないようになっているとともに、内部圧力による曲げモーメントが生じず、この曲げモーメントに基づく処理装置1の寿命が短命化されることが防止される。
【0047】
図2及び図4に示されるように、反応容器本体140は、両端に開口部(以下において両端開口部と称することがある。また、図2において上側に位置する開口部を上側開口部141と称し、下側に位置する開口部を下側開口部142と称することがある。)を有する筒状体である。この反応容器本体140における上側開口部141は、環状をなす環状端部143で囲まれて形成されている。この上側開口部141は、環状の底面部141Aと、その環状の底面部141Aの内側縁を端部とする円筒状の内壁面144を有する貫通孔151の開口部とを有する。下側開口部142は、上側開口部141と同様に、環状をなす環状端部143で囲まれて形成され、この下側開口部142は、環状の底面部142Aと、その環状の底面部142Aの内側縁を端部とする円筒状の内壁面144を有する貫通孔151の開口部とを有する。
【0048】
この反応容器本体140には、加熱手段145例えばヒータが配設され、このヒータに通電することにより反応容器本体140自体を所定温度に加熱することができるようになっている。なお、加熱手段145は反応容器内を加熱することができる限り、前記ヒータに限られずマイクロ波照射による加熱手段であってもよい。
【0049】
反応容器本体140は、初期状態においてはフレーム110の開口部116の外側に置かれ、脱ハロゲン化処理、又は場合により脱ハロゲン化処理及び脱可塑剤化処理を行なう処理状態においてはフレーム110の開口部116の内部に配置可能にされる。そのためには、例えば図示しない移送手段例えばロボットアーム等により、この反応容器本体140がフレーム110の開口部116に移送可能に配置され、また、フレーム110を移動させるフレーム移動手段例えばフレームに備え付けられた車輪(図示せず。)と、その車輪を載せる軌条(図示せず。)と、前記フレーム110を前記軌条に沿って移動させる駆動手段(図示せず。)とを備えるフレーム移動装置により、フレーム110の開口部116外にある反応容器本体140を、フレーム110の開口部116の内部に、配置可能になっている。
【0050】
前記下蓋部材120は、フレーム110を形成する下部横部材112上に、設置されている。
【0051】
下蓋部材120は、円盤形をした下蓋本体部120Aと、この下蓋本体部120Aの直径よりも小さな直径を有し、前記下蓋本体部120Aから同心状に突出して形成された円盤状の嵌合凸部120Bとを有し、前記下蓋本体部120Aにおいて前記嵌合凸部120Bの周端縁から外側に張り出した部分がフランジ部121となるように形成される。前記嵌合凸部120Bの直径及び厚みは、この嵌合凸部120Bを反応容器本体140における下側の開口部142に嵌合すると、嵌合凸部120Bの上面が底面部142Aに液密に当接し、嵌合凸部120Bの外周面が開口部142における内周面に液密に当接するように決定されている。またフランジ部121の下面は、前記嵌合凸部120Aを前記開口部142に嵌合すると、下側の環状端部143の端面に液密に当接するように、形成される。なお、下蓋部材120で前記開口部142を液密に閉鎖する場合に、各種のパッキン、O−リング等を使用することが好ましい。
【0052】
前記上蓋部材130は、前記下蓋部材120と同様に形成される。詳述すると、前記上蓋部材130は、円盤形をした上蓋本体部130Aと、この上蓋本体部130Aの直径よりも小さな直径を有し、前記上蓋本体部130Aから同心状に突出して形成された円盤状の嵌合凸部130Bとを有し、前記上蓋本体部130Aにおいて前記嵌合凸部130Bの周端縁から外側に張り出した部分がフランジ部131となるように形成される。前記嵌合凸部130Bの直径及び厚みは、この嵌合凸部130Bを前記上蓋部材130における上側の開口部141に嵌合すると、嵌合凸部130Bの下面が底面部141Aに液密に当接し、嵌合凸部130Bの外周面が開口部141における内周面に液密に当接するように決定されている。またフランジ部131の下面は、前記嵌合凸部130Bを前記開口部141に嵌合すると、環状端部143の端面に液密に当接するように、形成される。なお、上蓋部材130で前記開口部141を液密に閉鎖する場合に、各種のパッキン、O−リング等を使用することが好ましい。
【0053】
上蓋部材130は後述する昇降手段180を介してフレーム110を形成する上部横部材111に、上下動可能に設けられている。この点において、即ち上蓋部材130が上部横部材111に対して上下動可能に設けられている点において、上蓋部材130と下蓋部材120とが異なる。
【0054】
昇降手段180は、前記上蓋部材130の上面における中心部を支持する支持部材182と、この支持部材182を介して前記上蓋部材130を昇降させる駆動手段181とを備えている。なお、この昇降手段180に加えて、前記上蓋部材130を傾きなく昇降させるために、換言すると前記上蓋部材130の下面を水平に保持したままこの上蓋部材130を昇降させるために、案内部材(図示せず。)を特設しても良い。
【0055】
図2及び図4に示されるように、流通案内手段160は、反応容器本体140の両端開口部141及び142を閉塞する上蓋部材130及び下蓋部材120と反応容器本体140とで形成される反応容器150の内部において、貫通孔151に充填された内容物が上下に循環可能なように、形成されている。図4に示されるように、反応容器150において、流通案内手段160は、それぞれ、下蓋部材120における嵌合凸部120Bの上面に形成された溝160A、及び上蓋部材130における嵌合凸部130Bの下面に形成された溝160Aとして形成される。この溝160Aは上蓋部材130及び下蓋部材120それぞれに形成されているので、上蓋部材130における溝160Aについて説明し、下蓋部材120における溝160Aの説明を割愛する。上蓋部材130における溝160Aは、上蓋部材130における嵌合凸部130Bの下面に、縦断面が略半球状となり、嵌合凸部130Bの軸線方向から観察すると環状凹部となるように、形成される。この溝160Aの外側端縁が貫通孔151の端縁と一致するように、この溝160Aが設計されていることが好ましい。このような溝160Aが形成されていると、嵌合凸部130Bを開口部141に嵌合した場合に、図4に示されるように、反応容器の内容物が内壁面144に沿って上昇し、上昇した内容物が前記溝160Aの凹面に沿って案内されて流通し、その後に下降流に転じるので、反応容器の内容物の効率的な攪拌が実現される。したがって、処理装置1を用いると、反応時間をより短縮することができる。
【0056】
図2に示されるように、反応容器150内の内容物を攪拌する攪拌手段170は、例えば、攪拌棒171と、この攪拌棒171を駆動させる動力を出力するキャンドモータ172とを備えている。攪拌棒171は下部横部材112及び下蓋部材120を貫通して設けられ、キャンドモータ172は下部横部材112の外壁面に設けられている。
【0057】
図3に示されるように、処理装置100には、異常反応が起こり反応容器150の内部圧力が上昇した場合に内部圧力を調整できるように、必要により逃し弁138が設けられていてもよい。逃し弁138は、例えば、上蓋部材130を貫通して設けられた配管とその途中に介装された手動弁とを備えてなる。
【0058】
このように、処理装置100は、上記フレーム110と上記下蓋部材120及び上蓋部材130と上記反応容器本体140と上記流通案内手段160と上記攪拌手段170と上記加熱手段145と必要により逃し弁138とを含んでいるが、処理装置100が連続式処理装置として構成される場合には、図3に示されるように、処理装置100が排出手段135と装入手段136及び137とをさらに含んでいることが好ましい。
【0059】
排出手段135は、加熱処理後の内容物を反応容器150の貫通孔151から排出するための例えば配管によってなり、上蓋部材130を貫通して設けられている。
【0060】
装入手段136及び137は反応容器150の貫通孔151にハロゲン含有プラスチック回収物及び所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールをそれぞれ装入するための例えば配管によってなり、上蓋部材130を貫通して設けられている。
【0061】
次に、上記処理装置100を一要素として組み込んだ原料回収装置1について、図1を参照して説明する。
【0062】
原料回収装置1は、上記処理装置100と裁断機2と貯蔵タンク3と貯留槽4とろ過装置7とを備えている。
【0063】
図1に示されるように、裁断機2は、ハロゲン含有プラスチック回収物を裁断して粉砕物又は破砕物にするために設けられ、上記処理装置100の上方に設置されている。好適な裁断機2は、ハロゲン含有プラスチック回収物を例えば数100μm〜数cmの粉末乃至断片に破砕することのできる裁断刃を備える。
【0064】
貯蔵タンク3は、裁断機2によって裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物を貯蔵するために設けられ、裁断機2と上記処理装置100との間に設置される。
【0065】
貯蔵タンク3と上記処理装置100とは、上記処理装置100の装入手段137を介して結合されている。この装入手段137には、その途中に手動弁(例えば、ボールバルブ)3Bが介装され、この手動弁3Bの開閉により貯蔵タンク3から上記処理装置100へと裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物が装入されるようになっている。貯蔵タンク3は、貯蔵タンク3に貯蔵された裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物を重力に従って上記処理装置100に供給することができるから、装入手段137にはポンプ等が設けられてなくてもよいが、これらを設けて強制的に裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物を上記処理装置100に供給するようにしてもよい。なお、貯蔵タンク3は、溶媒を貯蔵する例えば貯蔵槽が結合され、裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物と溶媒とが混合されてスラリーが調製され、このスラリーが上記処理装置100に装入されるように、構成されていてもよい。
【0066】
図1に示されるように、貯留槽4は、所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールを調製し、貯留するために設けられている。貯留槽4は、貯留槽4よりも上方に設けられたアルキレングリコールを貯留しておく貯留槽5と貯留槽4よりも上方に設けられたアルカリを貯蔵しておく貯蔵タンク6とを備えている。貯留槽4と貯留槽5は、流体移送手段例えば配管5Aを介して結合されている。この配管5Aの途中には手動弁5Bが介装され、この手動弁5Bの開閉により重力に従って貯留槽5から貯留槽4へとアルキレングリコールが移送されるようになっている。また、貯留槽4と貯蔵タンク6は、移送手段例えば配管6Aを介して結合されている。この配管6Aの途中には手動弁(例えば、ボールバルブ)6Bが介装され、この手動弁6Bの開閉により重力に従って貯蔵タンク6から貯留槽4へとアルカリが投入されるようになっている。なお、配管5A及び配管6Aの途中にポンプ等を介装してアルキレングリコール及びアルカリを貯留槽4に強制的に移送するようにしてもよい。また、アルカリとしてアルカリ溶液を用いる場合には、貯蔵タンク6の代わりに貯留槽を用いればよい。
【0067】
上記処理装置100と貯留槽4は、上記処理装置100の装入手段136を介して結合されている。この装入手段136には、その途中に手動弁4Bが介装され、この手動弁4Bの開閉により貯留槽4から上記処理装置100へと所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールが移送されるようになっている。図1に示された原料回収装置1では、貯留槽4は上記処理装置100より上方に位置しているから重力に従って所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールを上記処理装置100に移送することができるが、装入手段136の途中にポンプ等を介装して所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールを強制的に上記処理装置100に移送することもできる。
【0068】
ろ過装置7は、例えば、上記排出手段135の下流に設置されたろ過器7Aとろ過器7Aでろ別されたろ液を貯留しておく貯留槽7Bとを備えている。上記処理装置100の排出手段135には、その途中に手動弁7Cが介装され、この手動弁7Cの開閉により上記処理装置100からろ過装置7へと処理後の内容物が移送されるようになっている。図示していないが、加熱処理後の内容物を移送するには、排出手段135の途中にポンプ等の移送手段を設けて内容物をろ過装置7に移送してもよく、加圧手段又は減圧手段等の圧力差による移送手段をさらに設けて内容物をろ過装置7に移送してもよい。
【0069】
貯留槽7Bと貯留槽4とは、流体移送手段8例えば配管を介して結合されている。この流体移送手段8には、その途中にポンプ8A及び手動弁8Bが介装され、このポンプ8Aの始動及び手動弁8Bの開閉により貯留槽7Bから貯留槽4へと加熱処理後のアルカリを含有するアルキレングリコールが移送されるようになっている。
【0070】
ハロゲン含有プラスチック回収物の原料回収装置1及び処理装置100は、以下のように動作する。
【0071】
まず、ハロゲン含有プラスチック回収物が裁断機2に投入されて、裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物が貯蔵タンク3に貯蔵される。
【0072】
一方、反応容器本体140がフレーム110の開口部116に移送され、反応容器本体140の下側開口部142に嵌合凸部120Aが嵌合するように下側開口部142を下蓋部材120で閉鎖する。
【0073】
次いで、駆動手段181が起動され、上蓋部材130が先端部に保持された支持部材182によって、上蓋部材130が反応容器本体140に向かって降下し、反応容器本体140の環状端部143と上蓋部材130のフランジ部131とが接合され、また上側開口部141に嵌合凸部130Bが嵌合するように、反応容器本体140の上側開口部141が閉塞され、フレーム110の開口部116内に、その貫通孔151が液密状態にある反応容器150が、設置固定される。
【0074】
このように、反応容器本体140の両端開口部141及び142に上蓋部材130及び下蓋部材120を嵌合するだけで、内部が液密となった反応容器150が形成され、ボルト締めによる蓋部材の装着を採用していないので、反応容器本体140における両端開口部141及び142と上蓋部材130及び下蓋部材120との脱着が短時間のうちに実行可能となる。また、このようにして形成された反応容器150は、フレーム110の開口部116内に配置されているから、反応容器150の内部圧力が上昇したときにも、下蓋部材及び上蓋部材に負荷される圧力をフレーム110が受けるので、下蓋部材120及び上蓋部材130が反応容器本体140から外れることがない。
【0075】
次いで、手動弁3Bが開けられて、所定量の裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物が装入手段137を介して反応容器150の貫通孔151に装入される。
【0076】
一方、手動弁5B及び手動弁6Bが所定量開けられ、所定量のアルキレングリコール及びアルカリが貯留槽5及び貯蔵タンク6から貯留槽4に移送されて、所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールが調製される。調製された所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールは貯留槽4に貯留される。
【0077】
次いで、手動弁4Bが開けられて、所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールが装入手段136を介して反応容器150の貫通孔151に装入され、貫通孔151にハロゲン含有プラスチック回収物及び所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールを含む内容物が充填される。
【0078】
次いで、加熱処理槽100の攪拌手段170が起動される。攪拌手段170が起動されると、図4に示されるように、反応容器150の貫通孔151に充填された内容物が、対流のように、上下に循環して流動する。
【0079】
具体的には、図4の矢印に示されるように、先ず、回転している撹拌棒171よって生じる推進力により、反応容器150の貫通孔151に充填された内容物に流動する力が与えられ、内容物が下蓋部材120に向かって流動する。次いで、内容物が下蓋部材120における嵌合凸部120Bの上面に形成された溝160Aに沿って流動して、流動する方向が重力に反する方向に変えられる。続いて、流動する方向が重力に反する方向に向いた内容物が反応容器本体140の内壁面144に沿って上昇する。内容物が内壁面144の上端まで上昇すると、今度は、上蓋部材130における嵌合凸部130Bの下面に形成された溝160Aに沿って流動して、流動する方向が重力に従う方向に変えられる。さらに、流動する方向が重力に従う方向に向いた内容物が下蓋部材120の中心近傍に向かって降下する。撹拌棒171近傍まで降下した内容物は、再び、撹拌棒171よって生じる推進力により流動する力が与えられ、同様にして、内容物が下蓋部材120に向かって流動する。このような流れを繰り返して、図4の矢印に示されるように、貫通孔151に充填された内容物が上下に循環して流動する。
【0080】
次いで、加熱手段145が起動され、反応容器150の貫通孔151に充填された内容物は絶えず上下に循環して流動しながら、常圧下に所定時間所定温度に加熱される。
【0081】
貫通孔151に充填された内容物がこのように絶えず上下に循環して流動しながら加熱されると、ハロゲン含有プラスチック回収物と所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコール特にアルカリとの接触頻度が高くなるから、脱ハロゲン化反応が著しく促進され、極めて短時間でハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を除去することができる。
【0082】
加熱処理が終了すると、手動弁7Cが開けられ、加熱処理後の内容物が排出手段135を介して反応容器150の貫通孔151からろ過装置7に移送され、固形分と液状分とに分離される。
【0083】
貯留槽7Bに貯留された液状分は、ポンプ4Cによって流体移送手段8を介して貯留槽4に移送される。一方、固形分はろ過器7A上に分離されて、ハロゲン含有プラスチック回収物の回収処理が終了する。
【0084】
以上、原料回収装置1及び処理装置100の動作をバッチ式操作の場合を例に説明したが、この原料回収装置1及び処理装置100は連続式操作も可能である。連続式操作の場合には、上記貫通孔151に充填された内容物が上下に循環して流動しながら常圧下に所定時間所定温度に加熱されている間に、裁断されたハロゲン含有プラスチック回収物及び所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコールがそれぞれ一定の割合で装入手段137及び136を介して反応容器150の貫通孔151に装入されるとともに、装入されたハロゲン含有プラスチック回収物量及び所定のアルカリ濃度を有するアルキレングリコール量に相当する量の加熱処理後の内容物が排出手段135を介して排出される。
【0085】
以上、原料回収装置1及び処理装置100の一例を図を参照しながら説明したが、原料回収装置1及び処理装置100は図に示された装置に限定されることはなく、この発明の処理装置を実施できる範囲内で、適宜に設計変更されてもよい。
【0086】
例えば、図2に示されるように、処理装置100の加熱手段145は、反応容器本体140の外周面を覆うように設けられているが、加熱手段145が反応容器本体140の外周面を覆うように設けられていることは必ずしも必要ではなく、例えば、図5に示されるように、加熱手段145が反応容器本体140の内部に設けられていてもよい。
【0087】
また、図2〜図4に示されるように、処理装置100の上蓋部材130は、上記フランジ部131を有する円盤状に形成されているが、上蓋部材130が反応容器本体140の開口部141を閉塞することができればフランジ部131を有していることは必ずしも必要ではなく、例えば、図6に示されるように、上蓋部材139は単に円盤状に形成されていてもよい。この場合には、図6に示されるように、反応容器本体140もその開口部141に環状端部143を有している必要はない。さらに、下蓋部材120も同様にフランジ部121を有している必要はない。
【0088】
さらに、図2に示されるように、処理装置100の昇降手段180は、駆動手段181と支持部材182とを備え、支持部材182が油圧シリンダ又は空気圧シリンダを含んだアームとして構成されているが、昇降手段180が上蓋部材130を保持し昇降させることができれば支持部材182が油圧シリンダ又は空気圧シリンダを含んだアームとして構成されていることは必ずしも必要ではなく、例えば、図7に示されるように、制御手段183とこの制御手段183に接続されたスクリューネジ184と上部横部材111に埋設されたナット185とを備えた1組の昇降手段180として構成されていてもよい。
【0089】
また、図2に示されるように、処理装置100の攪拌手段170は、下部横部材112及び下蓋部材120を貫通して設けられているが、攪拌手段170が下部横部材112及び下蓋部材120を貫通して設けられていることは必ずしも必要ではなく、例えば、図8に示されたように、攪拌手段170が下蓋部材120を貫通して設けられていてもよい。この場合には、例えば、下部横部材112上に少なくとも1組の載置台115が形成され、さらに載置台115上に下蓋部材120が載置されるように構成される。
【0090】
さらに、図2〜図4に示されるように、下蓋部材120における嵌合凸部120Bの上面に形成された溝160A及び上蓋部材130における嵌合凸部130Bの下面に形成された溝160Aは、何れも、縦断面が略半球状に形成されているが、溝160Aの縦断面の形状は、内容物が流動する方向を変化させられる形状であればよく、例えば、縦断面の形状が多角形であってもよく、半楕円形であってもよい。
【0091】
また、図4の矢印に示されるように、流通案内手段160及び攪拌手段170は、内容物が反応容器本体140の内壁面144に沿って上昇して上下に循環するように、形成されているが、内容物がこのようにして循環するように流通案内手段160及び攪拌手段170が形成されていることは必ずしも必要ではなく、例えば、内容物が反応容器本体140の内壁面144に沿って下降して上下に循環するように、形成されていてもよい。
【0092】
さらに、図2に示されるように、処理装置100のフレーム110は方形の開口部116を有するように形成されているが、フレーム110が方形の開口部116を有していることは必ずしも必要ではなく、開口部116において、反応容器150の内部圧力が上昇したときに、下蓋部材120及び上蓋部材130に印加される圧力を受けることができる形状であればよく、例えば、フレームが上部横部材及び下部横部材とこれらを上下に連結支持する縦部材とからなるコの字状のフレームとし、一端が開口した開口部を有していてもよい。
【0093】
また、図3に示されるように、逃し弁138と装入手段136及び137と排出手段135はそれぞれ上蓋部材130を貫通して設けられているが、これらの機能を有する限りこれらが設けられる位置は上蓋部材130に限定されるものではない。また、図3に示されるように、装入手段136及び137はそれぞれ別個に設けられているが、例えば、装入手段136の途中に、装入手段137が結合された切替え弁が介装されて、装入手段136と137とが一体に構成されてもよい。
【0094】
一方、原料回収装置1は、貯留槽4を備えているが、貯留槽4を備えることなく、貯留槽5及び貯蔵タンク6から所定量のアルキレングリコール及びアルカリが処理装置100に直接移送される構成とされてもよい。
【0095】
また、原料回収装置1は、ハロゲン含有プラスチック回収物からより短時間でハロゲン原子を除去することを目的とする装置であるから、裁断機2を備えているが、原料回収装置1は必ずしも裁断機2を備えている必要はない。
【0096】
さらに、図1に示される原料回収装置1は連続式の原料回収装置であるが、バッチ方式の処理装置として用いることもできる。バッチ方式の原料回収装置として用いる場合には、排出手段135と装入手段136及び137とが設けられていなくてもよい。
【0097】
以上に詳述した反応容器150は、基本的には反応容器本体140、上蓋部材130及び下蓋部材120により形成されるが、下蓋部材と円筒状容器とが一体に形成されてなる形態すなわち、一端を開口する有底円筒状をした反応容器本体と、上蓋部材とから形成されていてもよい。
【0098】
以上、詳述したように、この発明によると、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することができるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置を提供できる。したがって、この発明の処理装置によって得られた処理物を最終的に焼却処分しても、かかる処理物の熱分解によってハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等が発生することがないから、ハロゲンガス、ハロゲン化水素ガス等によって焼却炉を傷めることもなく、ダイオキシン類が発生することもない。
【0099】
また、この発明の処理装置によると、溶媒としてアルキレングリコール特にエチレングリコールを用いることで、処理温度が比較的低温であるのもかかわらず、極めて短時間でハロゲン原子を除去することができる。
【0100】
さらに、この発明によると、ハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を短時間で除去することのできるハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置100を提供できる。この発明の処理装置は、常圧下に、ハロゲン含有プラスチック回収物を加熱処理するものであるから、この発明の処理装置100は高圧処理による疲労寿命を考慮する必要がない。
【0101】
また、この発明のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置100は、反応容器本体140における両端開口部141及び142と下蓋部材120及び上蓋部材130との脱着が短時間で可能となるうえ、反応容器150の内部圧力が上昇したときに下蓋部材120及び上蓋部材130に印加される圧力をフレーム110が受けるので、内圧による曲げモーメントが生じず、この曲げモーメントに基づく処理装置1の寿命が短命化されることが防止される。
【0102】
さらに、この発明の処理装置100は、内容物が上下に循環される流通案内手段160と攪拌手段170とを備えているから、反応容器150内の内容物を効率よく撹拌できるようになっている。したがって、この発明の処理装置100を用いると、反応時間をより短縮することができる。
【実施例】
【0103】
以下の実施例は、この発明の実験例である。
【0104】
(実験例1)
図1に示される原料回収装置1及び図2〜図4に示される処理装置100を使用した。軟質ポリ塩化ビニルフィルムを水で洗浄し、次いで、裁断機2により約200μm角の大きさに裁断し、0.5gの試料を採取した。
【0105】
なお、試料は、試料提供先からの情報によると、その塩素原子含有率は35.70%であり、DOP含有率はフタル酸換算で29.70%であった。
【0106】
この0.5gの試料を、マイクロ波加熱装置145(商品名「マイクロシス」:マイルストーンゼネラル(株)製)及び攪拌手段170を備えた内容量100mLの反応容器150に投入し、次いで、水酸化ナトリウム濃度が0.5mol/Lのエチレングリコール溶液になるように、50mLのエチレングリコールと水酸化ナトリウムとを投入した。
【0107】
次いで、加熱装置145及び攪拌手段170を起動し、この試料とアルカリとを含有するエチレングリコール分散液を反応容器150の貫通孔151を上下に循環させながら、常圧下で130℃に10分間加熱した。加熱後に液状分と固形分の混合物を得た。この混合物をろ別して、液状分を回収した。この液状分を純水で1000倍に稀釈し、得られた稀釈液をイオンクロマト装置(7310−20型 日機装(株)製)により分析し、この液状分に含まれている塩素イオン量及びDOPの加水分解物であるフタル酸イオン量を測定した。測定された塩素原子量及びDOP量を、上記試料0.5gを100としたときの割合に換算して、その換算値を、それぞれ、抽出塩素濃度(%)及び抽出フタル酸濃度(%)とした。これらの抽出塩素濃度及び抽出フタル酸濃は、その数値が大きいほど除去率が高く、その数値が小さいほど除去率が小さいことを示す。例えば算出された抽出塩素濃度が35.70%であれば0.5gの試料に含まれていた塩素原子が100%除去されたことを示す。
【0108】
(実験例2〜14)
次いで、加熱温度、加熱時間及びアルカリ濃度を、それぞれ、表1に示す条件に変更した以外は、上記実験例1と同様にして、試料とアルカリとを含有するエチレングリコール分散液を加熱処理した。
【0109】
上記実験例1と同様にして、液状分を回収し、この液状分に含まれている塩素イオン量及びDOPの加水分解物であるフタル酸イオン量を測定した。測定された塩素原子量及びDOP量を、上記試料0.5gを100としたときの割合に換算して、その換算値を、それぞれ、抽出塩素濃度(%)及び抽出フタル酸濃度(%)とした。
【0110】
【表1】

【0111】
上記実験例のうち、上記実験例1〜8が実施例に相当し、上記実験例9〜14が比較例に相当する。
【0112】
(実験例15)
実験例1と同様にして、0.5gの試料を採取した。
【0113】
この0.5gの試料を、攪拌手段及び電気ヒータを有する耐圧密閉容器を備えた電気ヒータ加熱式反応装置(オートクレーブ:商品名「回分式プラスチック反応装置」:日東高圧(株)製)に投入し、次いで、16mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mLを投入した。
【0114】
次いで、電気ヒータ及び攪拌手段を起動し、この試料と水酸化ナトリウム水溶液を350℃に60分間加熱した。加熱後に液状分と固形分の混合物を得た。この混合物をろ別して、液状分を回収した。この液状分を純水で1000倍に稀釈し、得られた稀釈液をイオンクロマト装置(7310−20型 日機装(株)製)により分析し、この液状分に含まれている塩素イオン量及びDOPの加水分解物であるフタル酸イオン量を測定した。その結果、上記試料中の塩素原子及びDOPはほぼ100%除去されていたことが確認できた。
【0115】
また、上記混合物をろ別して回収した固形分を、元素分析装置(商品名「2400II パーキンエルマー製)により、元素分析した。その結果、塩素原子は検出されず、元素分析においても、上記試料中の塩素原子がほぼ100%除去されたことが確認できた。一方、元素分析により算出された炭素原子に対する水素原子のモル比は1.07であり、固形分であるポリエンの炭素原子に対する水素原子のモル比が約1であるから、元素分析においても、上記試料中の塩素原子、添加剤等がほぼ除去されたことが確認できた。
【0116】
(実験例16)
実験例1と同様にして、0.5gの試料を採取した。
【0117】
この0.5gの試料を、マイクロ波加熱装置145(商品名「マイクロシス」:マイルストーンゼネラル(株)製)及び攪拌手段170を備えた内容量100mLの反応容器150に投入し、次いで、16mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液50mLを投入した。
【0118】
次いで、加熱装置145及び攪拌手段170を起動し、この試料と水酸化ナトリウム水溶液を235℃に30分間加熱した。加熱後に液状分と固形分の混合物を得た。この混合物をろ別して、液状分を回収した。この液状分を純水で1000倍に稀釈し、得られた稀釈液をイオンクロマト装置(7310−20型 日機装(株)製)により分析し、この液状分に含まれている塩素イオン量及びDOPの加水分解物であるフタル酸イオン量を測定した。その結果、上記試料中の塩素原子及びDOPはほぼ100%除去されていたことが確認できた。
【0119】
また、上記混合物をろ別して回収した固形分を、上記元素分析装置により、元素分析した。その結果、塩素原子は検出されず、元素分析においても、上記試料中の塩素原子がほぼ100%除去されたことが確認できた。一方、元素分析により算出された炭素原子に対する水素原子のモル比は1.05であり、固形分であるポリエンの炭素原子に対する水素原子のモル比は約1であるから、元素分析においても、上記試料中の塩素原子、添加剤等がほぼ除去されたことが確認できた。
【0120】
表1から明らかなように、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料とアルカリとを含有するアルキレングリコール分散液を130〜150℃に加熱した実験例1〜8では、加熱処理時間が10〜30分の短時間で、27.7〜35.3%の高い抽出塩素濃度で塩素原子を除去できたのに対して、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料とアルカリとを含有するアルキレングリコール分散液を120℃及び100℃で加熱した実験例9〜14では、高くとも3.1%の抽出塩素濃度でしか塩素原子を除去できなかった。
【0121】
したがって、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料とアルカリとを含有するアルキレングリコール分散液を125〜196℃に加熱することにより、塩素原子を短時間で十分に除去できることが判明した。特に、アルカリ濃度が0.5mol/Lである場合には、加熱時間が10分という極めて短時間でも塩素原子を十分に除去できることが判明した。
【0122】
また、上記実験例1〜8では、加熱処理時間が10〜30分の短時間で、15.8〜29.1%の抽出フタル酸濃度でDOPを除去できた。したがって、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料とアルカリとを含有するアルキレングリコール分散液を125〜196℃に加熱することにより、塩素原子だけでなく、DOPまでをも短時間で十分に除去できることが判明した。
【0123】
一方、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料を水酸化ナトリウム水溶液中で電気ヒータによって加熱処理した実験例15では、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料から塩素原子を十分に除去するには、350℃以上の極めて高い温度と60分の長い処理時間を必要とし、また、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料を水酸化ナトリウム水溶液中でマイクロ波加熱装置によって加熱処理した実験例16では、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料から塩素原子を十分に除去するには、235℃の高い温度を必要とした。
【0124】
したがって、実験例1〜8に示したように、軟質ポリ塩化ビニルフィルムの試料を、アルカリを含有するアルキレングリコール分散液中で加熱することにより、処理温度が130〜150℃という比較的低温であるにもかかわらず、脱ハロゲン化反応が著しく促進され、極めて短時間でハロゲン含有プラスチック回収物からハロゲン原子を除去することができることが判明した。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】図1は、この発明の一例としてのハロゲン含有プラスチック回収物の原料回収装置を示す概略説明図である。
【図2】図2は、この発明の一例としてのハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置の断面を示す概略断面図である。
【図3】図3は、上蓋部材の概略断面図である。
【図4】図4は、加熱処理容器に充填された内容物が上下に循環される様子を説明する加熱処理容器の概略断面図である。
【図5】図5は、加熱手段の取付け状態の変形例を示す反応容器本体の略断面図である。
【図6】図6は、上蓋部材及び加熱処理槽本体の変形例を示す断面図である。
【図7】図7は、昇降手段の変形例を示す断面図である。
【図8】図8は、攪拌装置の取付け方法の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0126】
1 ハロゲン含有プラスチック回収物の原料回収装置
2 裁断機
3、6 貯蔵タンク
3B、5B、6B、7C、8C 手動弁
4、5、7B 貯留槽
5A、6A、8 流体移送手段
7 ろ過装置
7A ろ過器
8A ポンプ
100 ハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置
110 フレーム
111 上部横部材
112 下部横部材
113、114 縦部材
115 載置台
116 開口部
120 下蓋部材
120A 下蓋本体部
120B 嵌合突出部
121、131 フランジ部
130、139 上蓋部材
130A 上蓋本体部
130B 嵌合突出部
135 排出手段
136、137 装入手段
138 逃し弁
140 反応容器本体
141、142 開口部
142A 底面部
143 環状端部
144 内壁面
145 加熱手段
150 反応容器
151 内部
160 流通案内手段
160A 溝
170 攪拌装置
171 撹拌棒
172 キャンドモータ
180 昇降手段
181、183 制御手段
182 支持部材
184 スクリューネジ
185 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠状に形成されたフレームと、前記フレームに設けられた閉鎖部材と、前記フレーム内に移送可能であり、前記フレーム内において前記閉鎖部材で閉塞される開口部を備えた反応容器本体と、前記反応容器本体の前記開口部を閉塞する前記閉鎖部材と前記反応容器本体とで形成される反応容器の内部に形成されたところの、内容物が上下に循環される流通案内手段と、前記反応容器内の内容物を攪拌する攪拌手段と、前記反応容器内の内容物を加熱する加熱手段とを含むことを特徴とするハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置。
【請求項2】
前記閉鎖部材が前記フレームに設けられた下蓋部材及び上蓋部材であり、前記反応容器本体が、前記フレーム内において前記下蓋部材及び前記上蓋部材で閉塞される両端開口部を備えてなることを特徴とする前記請求項1に記載のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置。
【請求項3】
前記反応容器が、ハロゲン含有プラスチック回収物の挿入手段及び反応容器内の内容物を排出する排出手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のハロゲン含有プラスチック回収物の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−285631(P2010−285631A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189576(P2010−189576)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【分割の表示】特願2005−150435(P2005−150435)の分割
【原出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【出願人】(899000035)株式会社 東北テクノアーチ (68)
【Fターム(参考)】