説明

ハンダ除去装置及びハンダ除去方法

【課題】本発明はプリント基板上から表面部品を除去した後にパレットに残留したハンダを除去するハンダ除去装置及びハンダ除去方法に関し、効率よく残留ハンダの除去を行うことを課題とする。
【解決手段】プリント配線基板11上に残留した残留ハンダ12を除去するハンダ除去装置であって、発熱体16と、発熱体16に接続されると共に発熱体16を往復動させる発熱体移動機構(グリップ19、シャフト20、ばね22等)と、発熱体16の下部にその長手方向に沿って配置されると共に溶解した残留ハンダ12を吸引除去するソルダウィック15と、発熱体16と接触することによりプリント配線基板11のハンダ除去範囲Aを予熱する予熱用カバー17とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハンダ除去装置及びハンダ除去方法に係り、特にプリント基板上から表面部品を除去した後にパレットに残留したハンダを除去するハンダ除去装置及びハンダ除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にプリント基板実装工程において、プリント基板上に実装された電子部品、もしくはその実装状態に欠陥が生じた場合、その電子部品を除去して正常な部品を再実装する、いわゆるリワークと呼ばれる工程が存在する。
【0003】
リワーク工程における欠陥電子部品の取り外しは、ホットガスなどで欠陥電子部品のハンダ接合を加熱・溶解した状態で行われるが、その際溶解したハンダの一部がプリント基板上のパットに残留する。この残留したハンダの量は不均一かつ粗面であり、その状態のまま新しいハンダの供給及び電子部品の再実装を行うと接合不良を誘発する。そのためリワーク工程では新しいハンダの供給の前に、残留したソルダを除去しプリント基板上のパットを平滑化する作業が必要となる。
【0004】
残留したハンダの除去に関しては、作業者がソルダウィック(ハンダ吸い取り線)と加熱治具を用いて行うのが一般的な方法である(例えば、特許文献1〜4参照)。具体的なハンダ除去の方法としては、加熱治具(ヒータ)を用いて残留ハンダを加熱させて溶解し、これを加熱されたソルダウィックに吸収させる。これにより、残留ハンダは基板上のパッドからソルダウィックに移動するため、基板上のパッドは残留ハンダが存在しない平滑な面となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平04−258369号公報
【特許文献2】特公平08−004929号公報
【特許文献3】特開平09−057434号公報
【特許文献4】特開平11−284330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のソルダウィックを用いたハンダ除去方法では、残留ハンダにソルダウィックと同時に加熱治具が当接され、これにより残留ハンダに対して加熱が行われていた。このため、ハンダが溶解するまでに長い時間を要し、よって従来のハンダ除去方法では、効率的なハンダ除去を行うことができないという問題点があった。
【0007】
特に近年では、環境保全の観点から電気電子機器の実装において、含鉛ハンダから鉛フリーハンダへの置き換えが急速に進められている。この鉛フリーハンダは、含鉛ハンダと比べて溶解が十数度高い点が大きな特徴となっている。
【0008】
そのためハンダ加熱時に、溶解温度に達する前に銅製のパットやパターンなど熱伝導率の高い部材に熱が奪われて、十分にハンダを液状化することができない場合がある。上記のように、ハンダが溶解するまでに長い時間を要する従来の方法では、特にこの点が問題となる。ハンダが十分に液状化しなかった場合、溶解できなかったハンダはソルダウィックに吸引されないため、基板のパット上に残ったままとなってしまう。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、効率よく残留ハンダの除去を行いうるハンダ除去装置及びハンダ除去方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一の観点からは、基板上に残留したハンダを除去するハンダ除去装置であって、発熱体と、前記発熱体に接続され、前記発熱体を往復動させる発熱体移動機構と、前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体の下部に配置され、前記発熱体により加熱され溶解した残留ハンダを吸引除去するソルダウィックと、前記ソルダウィックを保持する保持機構と、前記発熱体の上部に配置され、前記発熱体と接触することにより前記基板を予熱する予熱部材とを備えるハンダ除去装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示のハンダ除去装置は、予熱部材により基板の予熱を行うことができるため、残留ハンダを基板から容易かつ効率的に除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を示す断面図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置が予熱を行っている状態を示す図である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置が残留ハンダの除去処理を行っている状態を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置の発熱体近傍を拡大して示す断面図である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去処理を示すフローチャートである。
【図7】図6は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去処理を説明するための図であり、予熱開始直後の状態を示す平面図である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去処理を説明するための図であり、予熱がされた状態を示す平面図である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去処理を説明するための図であり、ソルダウィックにより残留ハンダの除去を行っている状態を示す平面図である。
【図10】図10は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去処理を説明するための図であり、予熱用カバー及び予熱用カバーが次に残留ハンダの除去を行う位置まで移動した状態を示す平面図である。
【図11】図11は、本発明の第2実施形態であるハンダ除去装置を示す断面図である。
【図12】図12は、本発明の第3実施形態であるハンダ除去装置を示す部分断面図であり、発熱体がソルダウィックから離間した状態を示す図である。
【図13】図13は、本発明の第3実施形態であるハンダ除去装置を示す部分断面図であり、発熱体がソルダウィックに接触した状態を示す図である。
【図14】図14は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置を用いたハンダ除去システムを示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。
【0014】
図1乃至図5は、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置10Aを示している。ハンダ除去装置10Aは、プリント配線基板11上において欠陥電子部品がリワークにより取り外されハンダが残留した領域(以下、ハンダ除去範囲Aという)から、残留ハンダ12を除去するのに用いられるものである。このハンダ除去装置10Aは、大略するとソルダウィック15、発熱体16、予熱用カバー17、ハウジング18、及び発熱体移動機構等を有している。尚、以下の説明においては、ハンダ除去装置10Aにより除去される残留ハンダ12は、鉛フリーハンダであるものとして説明する。
【0015】
ソルダウィック15は、目の細かい金属製の網を重ねたものにフラックスと呼ばれる有機系溶剤をしみ込ませたものであり、発熱体16の下部に配設される。このソルダウィック15は、毛細管現象を利用してハンダを吸収する。溶解した残留ハンダ12は、ソルダウィック15が接触することにより吸引され、プリント配線基板11から除去される。
【0016】
このソルダウィック15は、後述する予熱用カバー17にX1方向に移動可能な状態で保持される。また、ソルダウィック15の幅寸法W1は、ハンダ除去範囲AにX1,X2方向に列設された一列の残留ハンダ12を吸引除去できる幅とされている。これについて、図7を用いて説明する。
【0017】
図7は、ハンダ除去範囲Aを平面視した図である。また、ソルダウィック15及び予熱用カバー17の位置も合わせて図示している。同図において、黒丸で示すのはバッド上に残留ハンダ12が残存しているものであり、白丸で示すのはハンダ除去装置10Aにより残留ハンダ12が除去されたハンダ除去済パッド25である。また図7では、説明及び図示の便宜上、3列の残留ハンダ列にのみL1〜L3の符号を付している。
【0018】
本実施形態に係るハンダ除去装置10Aは、ハンダ除去範囲AにX1,X2方向に列設された一列の残留ハンダ列単位で残留ハンダ12の除去を行う。具体的には、図7に示す状態から、先ず残留ハンダ列L1の残留ハンダ12をソルダウィック15により吸引除去する。次に、ハンダ除去装置10Aを矢印Y1方向に移動させ、ソルダウィック15を次の残留ハンダ列L2と対向させた上で、残留ハンダ列12をソルダウィック15に吸引除去させる。以後、この動作を繰り返すことにより残留ハンダ12は除去され、ハンダ除去範囲Aはハンダ除去済パッド25のみが存在する状態となる。
【0019】
上記の説明から明らかなように、ソルダウィック15の幅寸法W1は、各残留ハンダ列L1〜L3を構成する残留ハンダ12の直径よりも大きい幅とされ、かつ各残留ハンダ列L1〜L3を構成する残留ハンダ12を吸引しうる幅とされている。尚、本実施形態ではソルダウィック15の幅寸法W1をハンダ除去範囲Aの一列の残留ハンダ列のみを吸引除去できる幅寸法としているが、ソルダウィック15の幅寸法をこれより大きくして2列以上の残留ハンダ列を同時に吸引除去する構成としてもよい。
【0020】
ここで、再び図1乃至図5に戻り、ハンダ除去装置10Aの説明を続ける。
【0021】
発熱体16は残留ハンダ12を溶解する熱源となると共に、後述するようにプリント配線基板11を予熱(プリヒート)する熱源ともなるものである。この発熱体16は横長の柱状形状を有しており、ソルダウィック15の上部に配置されている。前記したソルダウィック15は、発熱体16の長手方向(X1,X2方向)に沿うよう配設されている。よってソルダウィック15は、発熱体16によりX1,X2方向に広く加熱される。
【0022】
図5は、発熱体16の近傍を拡大して示す断面図である。同図に示すように、発熱体16は、その下面に平坦面部16aと面取り部23とを有している。平坦面部16aはソルダウィック15と対向する面であり、その幅寸法W2はソルダウィック15の幅寸法W1と略等しく設定されている(W1=W2)。
【0023】
この平坦面部16aは、残留ハンダ12の除去を行う際、残留ハンダ列L1にソルダウィック15を介して接触し、残留ハンダ列L1を構成する各残留ハンダ12を溶解させる。また、面取り部23は、後述するように残留ハンダ列L1に対する残留ハンダ12の除去処理を行っている際、残留ハンダ列L2と対向して残留ハンダ列L2を予熱する。この面取り部23の平坦面部16aに対する角度θは鋭角とされている(0<θ<90)。
【0024】
上記の発熱体16は、内部にセラミックヒータが埋め込まれている。このセラミックヒータに通電することにより、発熱体16は残留ハンダ12を溶解しうる温度まで昇温する。また、発熱体16は発熱し残留ハンダ12を溶解させるものであるため、高い熱伝導率を有した材料で形成することが望ましい。更に、発熱体16は、銅製ソルダウィック15と繰り返し接触されるものであるため耐摩耗性を有することも必要である。
【0025】
これらの条件を満たす材料としては、銅の表面に鉄メッキを施したものが望ましい。しかしながら、熱伝導率は下がるものの、銅の代わりにアルミニウムを用いることも有効である。更に、耐摩耗性は下がるものの、鉄メッキの代わりにニッケルメッキを施すことも有効である。
【0026】
予熱用カバー17は内部に発熱体16が配設されると共に、この発熱体16の下部においてソルダウィック15を保持する。また予熱用カバー17の下端面17aは、底面視で略コ字形状を有している(図7参照)。
【0027】
また、ハンダ除去装置10Aをプリント配線基板11に装着した際、プリント配線基板11には予熱用カバー17の下端面17aのみが接触する。また、下端面17aは、ソルダウィック15による一括除去が行われる範囲近傍を取り囲む。図7に示す例では、プリント配線基板11は残留ハンダ列L1,L2を取り囲んでいる。更に、予熱用カバー17の上部中央位置には、後述するグリップ19に接続されたシャフト20が挿通挿通孔28が形成されている(図5参照)。
【0028】
上記の予熱用カバー17は、発熱体16及びプリント配線基板11と接触し、発熱体16からの熱をプリント配線基板11に伝達する機能を奏する。これにより、プリント配線基板11は、残留ハンダ12が除去される前において予熱用カバー17を介して発熱体16により予熱される。
【0029】
この予熱用カバー17の材質としては、高い熱伝導性を有すると共に、後述するようにプリント配線基板11に直接接触する特性上、ESD(静電気放電)対策を考慮した材料で形成されることが望ましい。具体的な材料としては、A6063,A5052等のアルミ材料或いは銅に鉄メッキを施したもの等を用いることができる。尚、予熱用カバー17は、請求項に記載の予熱部材に相当する。
【0030】
また、発熱体16と予熱用カバー17との間には、熱伝導シート24が介在している。この熱伝導シート24としては、ゴム系、シリコン系、金属系の各種の熱伝導シートを適用することが可能である。熱伝導シート24を用いることにより、直接発熱体16と予熱用カバー17とを当接させ熱伝導を行う場合に比べ、密着性が向上するため熱伝導効率を高めることができる。
【0031】
ハウジング18は予熱用カバー17の上部に配設されており、この予熱用カバー17を覆うように保持するものである。このハウジング18は、予熱用カバー17の外周を覆うことで、予熱用カバー17によるプリント配線基板11の予熱時において、予熱用カバー17の熱が外気への放熱を抑制する機能を奏する。
【0032】
更に、ハウジング18は、後述する発熱体16を移動させる発熱体移動機構を保持する機能も奏する。このため、ハウジング18にはシャフ保持部26が形成されている(これについては後述する)。
【0033】
このハウジング18の材質は、予熱用カバー17の熱が外部に逃げるのを防止するため、高い断熱性を有することが望ましい。また、発熱体移動機構を保持するため、機械的な強度も必要とする。具体的な材料としては、アルミナやジルコニア等のセラミックを用いることが考えられる。また、PEEK等の耐熱性を有するエンジニアリングプラスティックを用いることも可能である。
【0034】
次に、発熱体移動機構について説明する。発熱体移動機構は、発熱体16をプリント配線基板11に対して上下方向(矢印Z1,Z2方向)に往復移動させるものである。この発熱体移動機構は、グリップ19、シャフト20、及びばね22等を有している。
【0035】
グリップ19は、残留ハンダ12の除去作業時に作業者により把持される部位である。このグリップ19は、その下部にはシャフト20が設けられている。このシャフト20は、シャフ保持部26に保持されることによりZ1,Z2方向に移動可能な構造となっている。
【0036】
また図5に示されるように、シャフト20は予熱用カバー17に形成された挿通孔28を挿通しており、その下端部は予熱用カバー17の内側に延出している。このシャフト20の下端部は、断熱材21を介して発熱体16と接続している。断熱材21は、発熱体16の熱がシャフト20を介してグリップ19に伝達されるのを防止するために設けられている。この断熱材21は、断熱性の高い金属材であり、発熱体16とシャフト20とを接合する接合材として機能すると共に、前記のように断熱材としても機能する。
【0037】
シャフト20は、シャフト20に挿通されている。前記のグリップ19の径寸法は、シャフト20の径寸法よりも大きく設定されている。よってばね22の上端部は、グリップ19の下面と当接している。また、ばね22の下端部は、ハウジング18に形成されたシャフ保持部26の上端部と当接している。このばね22は、相対的にハウジング18とグリップ19とを離間させる方向に弾性力を付勢する。
【0038】
よって、ハウジング18を基準とすると、ばね22によりグリップ19はハウジング18に対して上方向(Z2方向)に付勢されている。前記のように、グリップ19はシャフト20を介してグリップ19に接続されているため、グリップ19が上方向に付勢されることにより、発熱体16もばね22により上方向(Z2方向)に付勢される。
【0039】
従って、操作者によりグリップ19が操作されていない状態(以下、無負荷状態という)においては、発熱体16は上動し熱伝導シート24を介して予熱用カバー17と当接している。このため、発熱体16の熱は、熱伝導シート24を介して予熱用カバー17に伝達される。尚、図3及び図5は、非操作時におけるハンダ除去装置10Aを示している。
【0040】
一方、操作者によりグリップ19が下方(Z1方向)に向けて移動操作されると、グリップ19はばね22の弾性力に抗して下動する。これにより、シャフト20を介して発熱体16も下動し、ソルダウィック15と共に残留ハンダ12に押圧される。
【0041】
次に、主に図3及び図4を用いて、ハンダ除去装置10Aにおける熱伝達の原理を説明する。
【0042】
本実施形態では、発熱体移動機構にばね22が取り付けられており、図3に示すグリップ19が操作者により無負荷状態時では、ばね22の弾性力により発熱体16が引き上げられ、発熱体16と予熱用カバー17とが接触した状態となる。上記接触により発熱体16からの熱は予熱用カバー17に伝達され、プリント配線基板11上のハンダ除去範囲Aの近傍(本実施形態では、図7に一点鎖線で示す領域P)に伝達され、プリント配線基板11の予熱(プリヒート)が行われる。尚、以下の説明において、領域Pを予熱領域Pというものとする。
【0043】
発熱体16からの熱を効率的にプリント配線基板11に伝達させるためには、発熱体16と予熱用カバー17との接触状態を安定させる必要がある。そのため本実施形態では、発熱体16と予熱用カバー17との間に熱伝導シート24を介在させ、発熱体16と予熱用カバー17との密着性を高めている。
【0044】
上記の予熱状態から、操作者がグリップ19をプリント配線基板11の方向に押し込む(図4に押し込み力をFで示す)と、これに伴い予熱用カバー17と接触していた発熱体16は押し下げられ、下部に位置するソルダウィック15と接触する。発熱体16と予熱用カバー17との接触状態が解除されることで、予熱用カバー17を経由したプリント配線基板11の予熱も解除される。
【0045】
その代わりに、発熱体16はソルダウィック15と接触し、更にグリップ19を押し込むことにより、発熱体16はソルダウィック15と共にプリント配線基板11のパット上に残留する残留ハンダ12に押しつけられる。よって、発熱体16の熱により残留ハンダ12は溶解し、残留ハンダ12はソルダウィック15に吸引除去される。
【0046】
この際、本実施形態ではグリップ19が操作者により操作されていない無負荷状態においても、発熱体16の熱は予熱用カバー17に伝達されることによりプリント配線基板11に熱伝導し、プリント配線基板11は予熱されている。よって、この予熱の効果により、残留ハンダ12は短時間で完全に溶解され、精度良く吸引除去することができる。即ち本実施形態では、グリップ19の押し込み/押し込み解除という簡単な動作で、予熱(プリヒート)状態と、ハンダ溶解・吸引除去状態とを切り替えることができる。
【0047】
図7を用いて説明したように、本実施形態ではソルダウィック15は一回の押し込み動作で、(ハンダ除去範囲の一辺である残留ハンダ列L1)×(ソルダウィック15の短手方向幅W1)の範囲を除去することができる。よって、ハンダ除去装置10Aをソルダウィック15の短手方向幅W1分の移動を繰り返し実施し、これに伴いプリント配線基板11の予熱処理及び残留ハンダ12の溶解・吸引除去処理を繰り返し実施することにより、ハンダ除去範囲Aに残留する残留ハンダ12を除去することができる。また、使用済みのソルダウィック15に関しては、ハンダ除去動作後にソルダウィック15を使用した長さ分だけ送ることで、常に新しいソルダウィック15を発熱体16の下部に配置することができる。
【0048】
次に、上記したハンダ除去装置10Aを用い、プリント配線基板11から残留ハンダ12を除去する除去方法について説明する。
【0049】
図6は、ハンダ除去装置10Aを用いたハンダ除去処理を示している。ハンダ除去装置10Aを用いてプリント配線基板11のハンダ除去範囲Aから残留ハンダ12を除去するには、先ず図6にステップ10(図6ではステップをSと略称している)で示すように、ハンダ除去装置10Aをプリント配線基板11のハンダ除去範囲Aに接触させる。図7は、この時のプリント配線基板11のハンダ除去範囲Aを拡大して示している。
【0050】
尚、以下の説明に用いる図7乃至図10において、黒丸で示すのはバッド上に残留ハンダ12が残存しているものであり、白丸で示すのはハンダ除去装置10Aにより残留ハンダ12が除去されたハンダ除去済パッド25である。
【0051】
また図7乃至図10では、図示の便宜上、ハンダ除去装置10Aにおいてプリント配線基板11に接触する予熱用カバー17(下端面17a)の接触範囲近傍のみを図示している。更に、ソルダウィック15及び予熱用カバー17の図示に際し、ソルダウィック15,予熱用カバー17がプリント配線基板11に接触している時には実線で、プリント配線基板11から離間している場合には破線で示している。
【0052】
図7に示す無負荷状態では、グリップ19は押し込まれないため、発熱体16は予熱用カバー17と熱的に接続されている。よって発熱体16の熱は、熱伝導シート24及びプリント配線基板11を介してプリント配線基板11に伝達される。これにより、プリント配線基板11上において、予熱用カバー17で囲まれた予熱領域Pは予熱される。
【0053】
ところで、本実施形態で対象とする鉛フリーハンダは溶解温度が220℃前後であり、これを除去する際の予熱温度は150℃〜180℃程度(が目安となる。このため、ステップ10の処理が終了した後、プリント配線基板11上の一括除去される残留ハンダ列L1の温度がその温度に到達するまで予熱状態のままで待機をする(ステップ12)。
【0054】
初回の残留ハンダ12の除去処理時は、常温から予熱温度までプリント配線基板11の温度を昇温させる必要がある。このため,予熱温度までの到達時間は、予熱用カバー17の形状や材質、発熱体16の能力に依存するため一概には言えないが、予熱用カバー17をアルミ製、発熱体16の出力を70Wと仮定すると、約45秒で上記予熱温度まで到達させることができる。
【0055】
図8は、予熱が行われた状態を示している。前記のように予熱用カバー17により予熱領域Pの加熱が実施され、かつ残留ハンダ列L1においては発熱体16の平坦面部16a(図5参照)によっても予熱が行われるため、残留ハンダ列L1は予熱温度に達している。図中、予熱温度に達した残留ハンダ12を特に梨地で示している。
【0056】
上記待機時間が経過したら、グリップ19をプリント配線基板方向(Z1方向)に押し込む(ステップ14)。これにより、前記のように発熱体16と予熱用カバー17との接触状態が解除されることにより予熱が解除され、これに代わって発熱体16がソルダウィック15と共に残留ハンダ列L2(残留ハンダ12)に接触する。
【0057】
発熱体16が残留ハンダ列L1を構成する各残留ハンダ12が溶解温度に達するまで待機する(ステップ16)。この際、本実施形態では予熱が行われることにより、残留ハンダ12は予熱温度まで昇温された状態となっている。よって、残留ハンダ12が鉛フリーハンダであったとしても、短時間で確実に残留ハンダ12をソルダウィック15により吸収可能な溶解温度まで昇温させることができる。
【0058】
このように溶解された残留ハンダ12は、ソルダウック15により吸収される。残留ハンダ12が予熱温度から溶解温度に達するまで、また溶解した残留ハンダ12がソルダウィック15に吸収されるのは所定の時間を要する。よって、残留ハンダ12がソルダウィック15に吸収されるまで、所定の時間だけ待機する(ステップ16)。この待機時間は、本実施形態では予熱を行っているため、約5秒程度の短時間とすることができる。また、鉛フリーハンダであったとしても、残留ハンダ12(予熱済はんだ13)を完全に溶解させた状態でソルダウィック15で吸収することができるため、確実に残留ハンダ12の除去を行うことができる。よって、本実施形態に係るハンダ除去装置10Aを用いることにより、残留ハンダ12の除去処理を効率的かつ確実に行うことが可能となる。
【0059】
図9は、残留ハンダ列L1における残留ハンダ12がソルダウィック15に吸引されることにより除去され、よって残留ハンダ列L1がハンダ除去済パッド25の列となった状態を示している。
【0060】
また、上記のように残留ハンダ列L1に発熱体16が接触し残留ハンダ12の除去処理が実施されている間、次に残留ハンダ除去処理が行われる残留ハンダ列L2は、発熱体16に形成された面取り部23の直下位置に位置し、面取り部23により予熱が行われている。
【0061】
残留ハンダ列L1に対する残留ハンダ12の除去処理が終了すると、グリップ19に対する押し付けを動作を解放する。これにより、グリップ19はばね22の弾性復元力により上動し、発熱体16は再び予熱用カバー17と熱的に接続された状態となる。また、ソルダウィック15は、使用済みのソルダウィック分、即ち残留ハンダ列L1の長さ分だけX1方向に送られ、未使用のソルダウィック15を発熱体16の下部に配置する(ステップ18)。
【0062】
以上の処理が終了すると、ハンダ除去範囲Aの全ての残留ハンダ12が除去されたか否かを判断する(ステップ20)。図9に示す例では、除去すべき残留ハンダ12が残存している。よって、ハンダ除去装置10Aを矢印Y1方向にソルダウィック15の短手方向幅W1分だけ移動させる(ステップ22)。これにより、発熱体16の平坦面部16aは残留ハンダ列L2と対向した状態となり、また残留ハンダ列L3は発熱体16の面取り部23と対向した状態なる。
【0063】
そして、上記したステップ10〜20の処理が、ハンダ除去範囲Aから残留ハンダ12が完全に除去されるまで実施される。この際、2回目以降の残留ハンダ除去処理においては、次に処理される残留ハンダ列(例えば、残留ハンダ列L1に対する残留ハンダ除去処理が実施されていた場合には、残留ハンダ列L2)は、常温から予熱温度まで昇温するのではなく、直前までその近傍を予熱されているため、前記のように予熱温度まで昇温するのに45秒も要することはなく、約10秒程度で予熱温度に到達させることができる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態であるハンダ除去装置について説明する。
【0065】
図11は、第2実施形態であるハンダ除去装置10Bを示している。尚、図11において、図1乃至図10に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0066】
第1実施形態に係るハンダ除去装置10Aは、ソルダウィック15を残留ハンダ12に押し付け溶解・吸収することによりハンダを除去することができる。しかしながら、プリント配線基板11のハンダ除去済パッド25にはハンダ付け時に用いたフラックスが残存することがある。このフラックスがプリント配線基板11上に凹凸を持って残存した場合には、やはりリワーク処理が適正に行えないおそれがある。
【0067】
本実施形態は、この課題を解決するためにハウジング18の背面にスキージ27を設けた構造としている。このスキージ27は、図6のステップ22で示す工程においてハンダ除去装置10Aを矢印Y1方向に移動させる際、ハンダ除去済パッド25と摺接することによりハンダ除去済パッド25上に残存したフラックスを平滑化する。これにより、ハンダ除去済パッド25は残留ハンダ12が除去されると共に、フラックスの平滑化が行われ、後に実施するリワーク処理(良品部品の実装処理)を円滑に行うことができる。
【0068】
次に、本発明の第3実施形態であるハンダ除去装置について説明する。
【0069】
図12及び図13は、第3実施形態であるハンダ除去装置10Cを示している。尚、図12及び図13においても、図1乃至図10に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0070】
第1実施形態に係るハンダ除去装置10Aは、グリップ19を直線的に矢印Z1,Z2方向に往復動させることにより、発熱体16をソルダウィック15(残留ハンダ12)又は予熱用カバー17に選択的に接触させていた。これに対して本実施形態に係るハンダ除去装置10Cは、回転機構30を設けることによりグリップ19を回転させることにより発熱体16を移動させるようにしたものである。
【0071】
回転機構30は、ベース31とアーム33とを有している。ベース31は、ハウジング18と一体的に設けられており、ハウジング18の背面側に突出するよう形成されている。またアーム33は、一対のアーム半体33a,33bを有している。この一対のアーム半体33a,33bは、略L字状に接合されている。このアーム半体33aの一端部はグリップ19に接続されており、アーム半体33bの一端部は発熱体16に接続されている。
【0072】
また、各アーム半体33a,33bの他端部は接合され、これによりアーム33を構成している。また、各アーム半体33a,33bの他端部は接合には、回転軸32が設けられている。この回転軸32は、ベース31に軸承されている。また、回転軸32にはトーションバネ(図示せず)が設けられており、アーム33は回転軸32を中心おとして図における時計方向に回転付勢させている。
【0073】
図12は、グリップ19が操作されていない無負荷状態を示している。この無負荷状態では、トーションバネによりアーム33が反時計方向に付勢されることにより、発熱体16は予熱用カバー17と接触した状態となっている。よって、発熱体16の熱は予熱用カバー17に伝達され、プリント配線基板11に対して予熱が行われる。
【0074】
これに対し、図13はグリップ19が操作された状態を示している。本実施形態では、操作者はグリップ19を図13に矢印で示す方向に回転させる。これにより、アーム33はトーションバネの弾性力に抗して反時計方向に回転を行う。このアーム33の回転により、発熱体16は予熱用カバー17から離間すると共にソルダウィック15と接触し、残留ハンダ12に対する除去が可能な状態となる。
【0075】
このように、発熱体16の接触状態切り替えするための発熱体移動機構は、グリップ19等を直線的に移動させる直動機構で実現しても、またグリップ19を回転移動させる回転機構としてもよい。このように発熱体移動機構は特に限定されるものではなく、種々の機構を適用することが可能である。例えば、上記の直動機構,回転機構のほかにも、リンク機構,カム機構等を用いることも可能である。
【0076】
次に、本発明の第1実施形態であるハンダ除去装置10Aを適用したハンダ除去システムについて説明する。
【0077】
図14は、ハンダ除去装置10Aを適用したハンダ除去システム40のシステム構成図である。尚、図14においても、図1乃至図10に示した構成と対応する構成については同一符号を付してその説明を適宜省略する。
【0078】
上記した各実施形態に係るハンダ除去装置10A〜10Cは、操作者がグリップ19を直接操作して使用する形態であった。しかしながら、上記説明からも明らかなように、ハンダ除去装置10A〜10Cを用いた残留ハンダ12の除去処理における、プリヒート時間、ハンダ溶解・吸引除去時間、使用済みソルダウィック送り量、治具移動量等は固定値として定量化されている。このため、これらの各時間をタイマーで管理し、ソルダウィック送り及び発熱体16の移動等を自動化することで、全自動のハンダ除去システム40を実現することができる。
【0079】
本実施形態に係るハンダ除去システム40は、上記した発熱体16の切り替え処理を実施する状態切り替え用アクチュエータ41と、プリント配線基板11に対してハンダ除去装置10AをY1方向に移動させる治具送り用アクチュエータ42と、ソルダウィック15を送るソルダウィック送り用アクチュエータ43とを有している。この各アクチュエータ41〜43は、動作制御装置44に接続されている。また、動作制御装置44には、状態気の買え時間監視用タイマー45(以下、単にタイマー45という)も接続されている。
【0080】
動作制御装置44は、タイマー45に対してプリヒート時間、ハンダ溶解・吸引除去時間等の残留ハンダ12の除去処理に必要な各種の切り替え時間を設定する。タイマー45は、ハンダ除去装置10Aの起動後、設定された各種切り替え時間が到来すると、動作制御装置44に対して規定時間が到来したことを知らせる。尚、以下の説明において、タイマー45から動作制御装置44に送信される規定時間の到来を知らせる信号を時間監視信号ということとする。
【0081】
動作制御装置44は、タイマー45から状態切り替えに関する時間監視信号が送信されると、状態切り替え用アクチュエータ41に対して発熱体16の接触状態を切り替える指示を出す。これにより、ハンダ除去装置10Aは、発熱体16の接触状態を変更する。具体的には、発熱体16が予熱用カバー17と接触していた場合には、状態切り替え用アクチュエータ41は発熱体16を予熱用カバー17から離間させ、ソルダウィック15及び残留ハンダ12に接触させる。また、発熱体16がソルダウィック15及び残留ハンダ12と接触していた場合に、状態切り替え用アクチュエータ41は発熱体16が予熱用カバー17と接触するよう切り替え処理を行う。
【0082】
また、動作制御装置44は、タイマー45から移動動作に関する時間監視信号が送信されると、治具送り用アクチュエータ42に対して移動動作指示を送る。これにより、治具送り用アクチュエータ42は、ハンダ除去装置10Aをプリント配線基板11上で矢印Y1方向にソルダウィック15の幅寸法W1分だけ移動させる。
【0083】
また、動作制御装置44は、タイマー45からソルダウィック15の送りに関する時間監視信号が送信されると、ソルダウィック送り用アクチュエータ43に対して送り動作指示を送る。これにより、ソルダウィック送り用アクチュエータ43は、ソルダウィック15を矢印X1方向に残留ハンダ列L1の長さ分だけ送り動作する。
【0084】
このように、ハンダ除去装置10Aを組み込んだハンダ除去システム40によれば、残留ハンダ12の除去処理を全自動で実施することができ、更に残留ハンダ12の除去効率を向上させることができる。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能なものである。
【0086】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
基板上に残留したハンダを除去するハンダ除去装置であって、
発熱体と、
前記発熱体に接続され、前記発熱体を往復動させる発熱体移動機構と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体の下部に配置され、前記発熱体により加熱され溶解した残留ハンダを吸引除去するソルダウィックと、
前記発熱体の上部に配置され、前記発熱体と接触することにより前記基板を予熱する予熱部材と、
を備えるハンダ除去装置。
(付記2)
前記発熱体移動機構は、前記発熱体の往復動に伴い、前記発熱体を前記予熱部材に接触又は離間させることにより、前記残留ハンダの予熱及び予熱解除を切り替える付記1に記載のハンダ除去装置。
(付記3)
前記発熱体移動機構は、前記発熱体の上方からプリント基板方向に外力が印加されると、前記発熱体を前記予熱部材から離隔させ、前記ソルダウィックに接触させる付記2に記載のハンダ除去装置。
(付記4)
前記発熱体は、ハンダ除去の一辺相当の幅を有する付記1乃至3のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
(付記5)
前記発熱体は、その前面を鋭角に面取りした形状を有する付記1乃至4のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
(付記6)
前記発熱体と前記予熱部材との間には、熱伝導シートが介在している付記1乃至5のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
(付記7)
前記予熱部材を覆うハウジングを更に有する付記1乃至6のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
(付記8)
前記ハウジングの背面には、スキージが備えられてなる付記7に記載のハンダ除去装置。
(付記9)
前記ハンダは、鉛フリーハンダである付記1乃至9のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
(付記10)
発熱体と、前記発熱体に接続されると共に前記発熱体を往復動させる発熱体移動機構と、前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体の下部に配置されると共に残留ハンダを吸引除去するソルダウィックと、前記発熱体の上部に配置されると共に前記発熱体と接触することにより前記基板を予熱する予熱部材と
を備えるハンダ除去装置を用いて基板上の残留ハンダを除去するハンダ除去方法であって、
前記ハンダ除去装置の予熱部材を前記基板に接触させることにより、前記発熱体の熱を前記基板に熱印加して予熱を行うステップと、
前記予熱の終了後、前記発熱体移動機構により前記発熱体を前記ソルダウィックを介して残留ハンダに当接させ、溶解した前記残留ハンダを前記ソルダウィックにより前記基板から吸引除去するステップと、
を有するハンダ除去方法。
【符号の説明】
【0087】
10A〜10C ハンダ除去装置
11 プリント配線基板
12 残留ハンダ
13 プリヒート済はんだ
15 ソルダウィック
16 発熱体
17 予熱用カバー
18 ハウジング
19 グリップ
20 シャフト
21 断熱材
22 ばね
23 面取り部
24 熱伝導シート
25 ハンダ除去済パッド
27 スキージ
30 回転機構
40 ハンダ除去システム
41 状態切り替え用アクチュエータ
42 治具送りようアクチュエータ
43 ソルダウィック送り用アクチュエータ
44 動作制御装置
45 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に残留したハンダを除去するハンダ除去装置であって、
発熱体と、
前記発熱体に接続され、前記発熱体を往復動させる発熱体移動機構と、
前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体の下部に配置され、前記発熱体により加熱され溶解した残留ハンダを吸引除去するソルダウィックと、
前記発熱体の上部に配置され、前記発熱体と接触することにより前記基板を予熱する予熱部材と、
を備えるハンダ除去装置。
【請求項2】
前記発熱体移動機構は、前記発熱体の往復動に伴い、前記発熱体を前記予熱部材に接触又は離間させることにより、前記残留ハンダの予熱及び予熱解除を切り替える請求項1に記載のハンダ除去装置。
【請求項3】
前記発熱体移動機構は、前記発熱体の上方からプリント基板方向に外力が印加されると、前記発熱体を前記予熱部材から離隔させ、前記ソルダウィックに接触させる請求項2に記載のハンダ除去装置。
【請求項4】
前記発熱体は、ハンダ除去の一辺相当の幅を有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
【請求項5】
前記発熱体は、その前面を鋭角に面取りした形状を有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載のハンダ除去装置。
【請求項6】
発熱体と、前記発熱体に接続されると共に前記発熱体を往復動させる発熱体移動機構と、前記発熱体の長手方向に沿って前記発熱体の下部に配置されると共に残留ハンダを吸引除去するソルダウィックと、前記発熱体の上部に配置されると共に前記発熱体と接触することにより前記基板を予熱する予熱部材と
を備えるハンダ除去装置を用いて基板上の残留ハンダを除去するハンダ除去方法であって、
前記ハンダ除去装置の予熱部材を前記基板に接触させることにより、前記発熱体の熱を前記基板に熱印加して予熱を行うステップと、
前記予熱の終了後、前記発熱体移動機構により前記発熱体を前記ソルダウィックを介して残留ハンダに当接させ、溶解した前記残留ハンダを前記ソルダウィックにより前記基板から吸引除去するステップと、
を有するハンダ除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−205957(P2010−205957A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50199(P2009−50199)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】