ハンディ端末、画像形成装置
【課題】電磁シールドによる遮蔽を抑制して、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合のいずれの状況でも適切に通信が可能なハンディ端末及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】ICタグ150と通信してICタグ150のメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末100において、画像形成装置200と接続されているか否かを判定する判定手段17、18と、ICタグ150に電波を発信する第1のアンテナ80と、第1のアンテナ80とは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナ90と、を有し、画像形成装置100に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナ80と第2のアンテナ90を切り替えてICタグと通信する、ことを特徴とする。
【解決手段】ICタグ150と通信してICタグ150のメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末100において、画像形成装置200と接続されているか否かを判定する判定手段17、18と、ICタグ150に電波を発信する第1のアンテナ80と、第1のアンテナ80とは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナ90と、を有し、画像形成装置100に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナ80と第2のアンテナ90を切り替えてICタグと通信する、ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグと通信するハンディ端末及び画像形成装置に関し、特に、画像形成装置に搭載可能なハンディ端末及びハンディ端末が搭載される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグの小型化が進み印刷用の用紙にも貼付したり埋設することが可能となってきている。そこで、用紙にユーザが所望する文書を印刷すると共に、その用紙のICタグに、印刷データ、ファイル名又は印刷者などの書誌情報を記録するため、画像形成装置にICタグリーダ・ライタを搭載することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ICタグリーダ・ライタがプリンタ本体のカバーにテープで貼り付ける構成が開示されており、画像形成装置への後付が可能となっている。
【特許文献1】特開2007−76065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載のICタグリーダ・ライタは、画像形成装置に取り付けて使用することが前提であるため、例えばユーザがICタグリーダを把持してICタグから情報を読み出したい場合に、必ずしも使い勝手のよいものではない。また、特許文献1には、通信対象のICタグ以外のICタグとの誤通信を避ける為、電磁波を遮断するシールドを使用すると記載されているが、シールドを多用すれば画像形成装置のコスト増をもたらす。
【0004】
また、一方でユーザが把持して作業することを前提に設計されたICタグリーダ・ライタもあるが、このICタグリーダ・ライタは、画像形成装置に搭載してICタグ付き用紙の処理をする用途には向いていない。例えば、画像形成装置への搭載位置によっては、ICタグ付き用紙に対して、通信範囲外にICタグが存在すると処理が不可能な場合があるという問題と、処理が不可能とならないようICタグのリーダライタ通信範囲を広げた場合、対象としたICタグ以外のICタグと誤通信をするか、または誤通信を防止する為の電波シールドを画像形成装置に組み込む必要が発生するという問題があった。
【0005】
このように、従来のICタグリーダ・ライタは、ユーザが把持して使用する際と画像形成装置に搭載して使用する際の一方にしか、使い勝手がよいとはいえないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、電磁シールドによる遮蔽を抑制して、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合のいずれの状況でも適切に通信が可能なハンディ端末及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、ICタグと通信してICタグのメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末において、画像形成装置と接続されているか否かを判定する判定手段(例えば、2.4GHz無線通信回路17、USBI/F18)と、ICタグに電波を発信する第1のアンテナと、第1のアンテナとは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナと、を有し、画像形成装置に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナと第2のアンテナを切り替えてICタグと通信する、ことを特徴とする。
【0008】
偏波の異なるアンテナを備え、画像形成装置への搭載時には偏波が最適化されたアンテナでICタグと通信することで、誤通信及び通信不良を防止できる。また、画像形成装置への搭載時にはハンディ利用に最適化されたアンテナでICタグと通信できる。
【発明の効果】
【0009】
電磁シールドによる遮蔽を抑制して、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合のいずれの状況でも適切に通信が可能なハンディ端末及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するために最良の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、画像形成装置200に着脱可能なICタグリーダ・ライタ(以下、ハンディ端末100という)を脱着して、ICタグ(RFID)付き用紙(以下、単に用紙という)のICタグに情報を書き込んだり、ICタグから情報を読み出したりする。
【0011】
このハンディ端末100に2つの異なるアンテナを搭載し、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合とで、2つのアンテナの一方を有効にして、発信する電波の偏波を選択的に切り替える。これにより、1台のハンディ端末100を、ユーザがハンディ端末100を把持して使用する態様(以下、スタンドアローン使用という)と、画像形成装置200に搭載して使用する態様のそれぞれに最適な状態で、通信することを可能にする。なお、2つのアンテナは後述する直線偏波アンテナ90と円偏波アンテナ80であるが両者を区別しない場合、単にアンテナという。
【0012】
〔画像形成装置200〕
図1は、ハンディ端末100が搭載された画像形成装置200の概略構成図の一例を示す。ハンディ端末100が搭載されると画像形成装置200はRFID画像形成装置となる(以下では画像形成装置100とRFID画像形成装置を区別せず、単に画像形成装置200という。)。画像形成装置200は、上面200a又は前面200bにハンディ端末100を搭載する搭載口40を有し、搭載口40からハンディ端末100を挿入可能となっている。搭載口40は開口した状態を維持していてもよいし、揺動可能な板状部材を付勢して搭載口40を閉口しておき、ハンディ端末100の搭載時に板状部材が揺動されることで開口されもよい。
【0013】
搭載口40は、例えば底面が電波を通しやすい誘電体で構成されるか、孔部を有することが好ましい。これにより、印刷中の用紙が有するICタグ150と通信することができる。なお、後述するように、搭載されたハンディ端末100は、有線又は無線で画像形成装置200の制御ユニット34と接続され、画像形成装置200の制御ユニット34から制御可能である。図では、ハンディ端末100のコネクタ100aから有線(ケーブル)で画像形成装置200と接続する例を示した。この場合、画像形成装置200側の有線接続のインターフェイスは搭載口40内に設けられることが好適である。
【0014】
画像形成装置200は、用紙搬送モータ、インクヘッドの主走査方向への往復、等によりそれ自体が非常に振動を伴って動作するため、搭載時の位置精度や安定性を加味した場合、画像形成装置200と一体化させる専用の搭載口40があることが好ましい。画像形成装置200の外装にテープでハンディ端末100を搭載した場合、排紙口から用紙の排出が開始されてからでないと(外部から用紙が目視可能とならないと)、ICタグ150と通信ができない。しかしながら、本実施形態では、ハンディ端末100の専用の搭載口40を設けているので、排紙口からの排紙を待つことなく、搬送ベルトから用紙が分離された直後からICタグ150への通信が可能である。したがって、印刷処理全体で見た場合、より早期に用紙へ情報のリード・ライトを開始でき、画像形成が終了する頃には情報のリード・ライトを完了させることができる。また、ハンディ端末100の専用の搭載口40を設けているので、用紙にあるICタグ150とハンディ端末100の相対位置を特定できる。なお、ハンディ端末100が画像形成装置200に搭載された際の用紙とハンディ端末100の位置関係は後に詳述する。
【0015】
〔スタンドアローン使用時の偏波、画像形成装置搭載時の偏波〕
本実施形態のハンディ端末100は、リード・ライトを制御する制御部分以外に、2つのアンテナを内蔵している。2つのアンテナで使用されている電波は例えばUHF帯の電波であり、直線偏波と円偏波が挙げられる。両偏波はそれぞれ異なるアンテナ形状と特性を持っている。ICタグに使用される電波の波長帯には、UHF帯や13.56MHzや2.45GHzが知られているが、本実施形態ではUHF帯の電波で通信するものとする。但し、ハンディ端末の電波の帯域を、UHF帯又は13.56MHzや2.45GHzに制限するものではない。
【0016】
図2は直線偏波を模式的に示す図の一例である。図示するように座標系(水平方向にX軸、垂直方向にY軸、電波の進行方向にZ軸)をとると、直線偏波の場合、電波はY軸に平行に振動し、Z軸方向に直進している。
【0017】
Z軸方向に示したいくつかの直方体は用紙に埋設されたICタグ150を模式的に示す。電波の振幅とICタグ150の大きさは必ずしも整合されていない。ICタグ150の略全域にアンテナが収納されているとすると、この直方体がICタグ150のアンテナ面に相当する。
【0018】
したがって、ICタグ150の長手方向が直線偏波と同じY軸方向を向いたA状態とB状態では、良好に無線通信でき、ハンディ端末100とICタグ150の距離が離れても通信しやすい。これに対し、ICタグ150のアンテナ面が、直線偏波の向きと直行した場合(状態C、D)、及び、ICタグ150の長手方向がZ軸と平行の場合(状態E)、通信距離の低下が顕著となり、最悪時に通信不可となる。このように、ハンディ端末100の偏波を直線偏波とすると、ICタグ150との通信を制限しやすい。
【0019】
続いて、円偏波について図3に基づき説明する。図3の円偏波は、Z軸を中心にしてXY面を回転し(回転方向は問わない)、Z軸方向に直進している。円偏波はX方向及びY方向の偏波成分を含んでいる。したがって、図2の直進偏波と同様に、ICタグ150の長手方向がY軸方向を向いた状態A、B、及び、ICタグ150の長手方向がX軸方向を向いた状態C、Dでは、良好に通信できる。これは、電波がXY軸面に角度を変えて進入するため、アンテナ面に対してかならず直交した電波が入る角度があるためである。
【0020】
これに対し、ICタグ150の長手方向がZ軸と平行の場合(状態E)、ICタグ150のアンテナ面がXY軸面を十分に確保できない場合、通信距離の低下が顕著となり、最悪時に通信不可となる。このように、ハンディ端末100の偏波を円偏波とすると、ICタグ150との通信を確保しやすい。なお、円偏波は回転しながら直進する分、直線偏波と比較して、Z軸方向の到達距離が短くなり、交信距離が短くなっている。
【0021】
表1は、偏波の特徴を示す。
【0022】
【表1】
〔ハンディ端末100〕
直線偏波と円偏波のハンディ端末100への適用について説明する。図4は、ハンディ端末100の外観の一例を示す。ユーザが把持して使用することを考慮すると、ハンディ端末100は片手で携帯できる形状かつ重さであることが好ましい。図4では、ハンディ端末100として携帯電話型を想定している。すなわち、ハンディ端末100は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等にICタグリーダ・ライタを内蔵したものとして実現できる。
【0023】
携帯電話型の形状の場合、ユーザはテンキー、十字キー、その他ファンクションキー、ニューロポインタ、ジョグダイヤル、カーソルキー等(以下、単に操作入力部13という)の周辺を把持して、液晶表示部14を見ながら所定の作業を実施するケースが考えられる。このようなスタンドアローンの使用態様の場合、操作入力部13は、ユーザの手により電波が少なからず遮蔽される状況が生まれる。
【0024】
アンテナの性能を最大限引き出すには、ユーザの手により遮蔽されるおそれのない液晶表示部14と同程度の位置にアンテナ部を配置するのがもっとも合理的な構造となる。なお、液晶表示部14がタッチパネルを搭載していても、ユーザが把持する部位はハンディ端末100の下の方であるので、同様にアンテナを配置できる。図4では、液晶表示部14の背面の、最外のケースの内側にアンテナを配置した。
【0025】
さらに、本実施形態では、2つの態様の偏波を使い分けるが、アンテナは偏波タイプにより形状と特性が異なるため、2つのアンテナをそれぞれどのように搭載するかを設計する必要がある。
【0026】
ここで、ハンディ端末100は、ユーザが把持して用紙などのICタグ150に近づけて情報を読み出しまた書き込むことを考慮すると、通信距離の長短は実用上問題とならない(通信距離は短くてもよい)。一方、交信角度については、ユーザがアンテナ特性を考慮してICタグ150に対してハンディ端末100に最適な交信角度をつけるといったことは期待出来ない。以上から、スタンドアローン使用においてハンディ端末100には、通信距離が短くても交信角度の広い、円偏波アンテナ80を搭載するのがもっとも適しているといえる。
【0027】
上記のように、ハンディ端末100は画像形成装置200に接続して使用される。これは、ハンディ端末100は、画像形成装置200が無線でICタグ150に情報をリード・ライトするための変換ユニットとして利用されるためである。用紙に埋設されるICタグ150は、バッテリを備えないパッシブ型が主流なので、ハンディ端末100は、パッシブ型UHF帯ICタグ(RFID)に対して無線で情報をリード・ライトすることを可能にする。画像形成装置200の印刷処理として、ICタグ150にどのような情報をリード・ライトするかを指示するのは、画像形成装置200の制御ユニット34の役割である。
【0028】
ハンディ端末100と画像形成装置200とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)I/F18、32を介して接続される。USBI/F18、32は、画像形成装置内部のユニット間接続用I/Fとして一般的に利用されているインターフェイスであるため、ハンディ端末100を拡張接続する為に好適である。また、携帯電話機等もUSBI/F18を備える機種が多い。
【0029】
また、本実施形態のハンディ端末100がICタグ150のリード・ライト用に使用するのは、UHF帯の952〜955MHz帯の電波である(一般的な電磁波の分類における「UHF帯 300MHz〜3GHz」とは異なる。)。これに対し、パソコン機器通信で利用される2.4GHzは空き周波数帯となっている。このため、画像形成装置200の制御ユニット34とハンディ端末100間の接続を無線化する必要がある場合、2.4Ghz帯の無線モジュール(例えば、Bluetooth通信モジュール)を用いることで接続することが出来る。なお、一般的に、無線インターフェイスを用いてハンディ端末100を制御するより、有線インターフェイスを用いた制御のほうが、制御ユニット34およびハンディ端末100の双方の動作負荷を軽くできる。
【0030】
〔ハンディ端末100の機能ブロック〕
図5は、ハンディ端末100、画像形成装置200及びICタグ150の機能ブロック図の一例をそれぞれ示す。図5(a)は三者間の接続系統図を、対応する図5(b)は各機能ブロックの接続系統図をそれぞれ示す。
【0031】
・ハンディ端末100
変調回路11は、送信する信号によりUHF帯の電波を変調して信号を送信する回路であり、送信時の搬送波によりパッシブ型のICタグ150に電力を発生させる。
【0032】
復調回路12は、ICタグ150が送信した電波を復調して信号を取り出す回路である。
【0033】
リーダライタ制御部15は、端末制御部16からの要求に応じて、変調回路11、復調回路12をコントロールしてICタグ150とのリード・ライトを行う制御回路である。
【0034】
端末制御部16は、ハンディ端末(携帯電話機)100内の各機能ブロックの統合制御を行う制御部で、マイクロプロセッサや記憶素子等を備える。画像形成装置200からハンディ端末100に対して、ICタグ150へ情報をリード・ライトする要求があると、リーダライタ制御部15にリード・ライトを要求する。また、端末制御部16は、液晶表示部14に次述する情報を表示する。
【0035】
操作入力部13は、ハンディ端末100のテンキーやファンクションキーであり、その他、音声入力や三次元加速度センサにより操作を入力できる。
【0036】
液晶表示部14は、液晶パネルや有機ELパネルであり、電話番号等が表示されることに加え、本実施形態ではハンディ端末100が行う処理の内容(例えば、「○○情報を書き込んでいます」「○○情報を読み込んでいます」)や結果(例えば、「○○情報を書き込みました」「書き込み/読み込みに失敗しました」)を表示するために用いられる。
【0037】
2.4GHz無線通信回路17は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を受信するための制御用無線インターフェイスである。
【0038】
USBI/F18は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を受信するための制御用有線インターフェイスである。
【0039】
充電池19は、ハンディ端末100を動作させるための充電式の電源である。
【0040】
・ICタグ150
整流回路/電源回路26は、ハンディ端末100から送信された搬送波をICタグ150で使用する電力に変換し、ICタグ150を活性化させる回路である。
【0041】
復調回路21は、ハンディ端末100から送信された電波を復調して搬送波に搬送された信号を受信する回路である。
【0042】
OSC(水晶発振器)22は、復調回路21が受信した電波から、ICタグ150の内部動作に必要な動作クロックを生成する回路である。
【0043】
プロトコル制御回路24は、CPUを有し、復調回路21が受信した信号のプロトコル(コマンド)を解読し、不揮発性メモリ25に対して必要なリードライトを実行する制御回路である。不揮発性メモリ25は、ICタグ150の識別情報やハンディ端末100が書き込んだ情報を記憶するための記憶素子である。
【0044】
変調回路23は、ハンディ端末100から要求されたコマンドに対する応答、例えば、不揮発メモリ25から読み出した情報を電波に変調して反射波として、ハンディ端末100へ送信する回路である。
【0045】
・画像形成装置200
2.4GHz無線通信回路31は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を送信する場合の制御用無線インターフェイスである。例えばBluetooth通信規格を利用することができるが、UWB(Ultra Wideband)などどのような無線通信規格を用いてもよい。
【0046】
USBI/F32は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を送信する場合の制御用有線インターフェイスである。
【0047】
端末給電 I/F33は、ハンディ端末100の動作および充電池19の充電に必要な電力を供給するインターフェイスである。
【0048】
制御ユニット34は、画像形成装置200としての全体動作を制御する制御部で、例えばCPU及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)として実装される。図5では、2.4GHz無線通信回路31およびUSBI/F32を介して、ハンディ端末100に対して、ICタグ150へ情報をリード・ライトさせる制御全般を統括する。
【0049】
〔偏波の切り替え制御手順〕
以上の構成を用いて、ハンディ端末100が円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90のいずれかを選択的に有効にする手順を図6のフローチャート図に基づき説明する。
【0050】
まず、電源のスイッチが入っているか、又は、電源のスイッチがオンになることが必要である(S10)。
【0051】
電源がオンになると端末制御部16は、USBプラグインを確認する(S20)。USBプラグインとは、USBI/F18に機器が接続されていることをいい、本実施形態ではハンディ端末100が画像形成装置200に搭載されて(有線接続されて)利用されていることになる。
【0052】
USBプラグインが確認された場合(S30のYes)、2.4GHz無線通信回路17を使用する必要がないので、端末制御部16は、2.4GHz無線通信回路17を一時的に無効化する(S40)。
【0053】
なお、この一時無効は、2.4GHz無線通信回路17そのもののオン/オフ設定とは異なる。機能の一時無効は、2.4GHz無線通信回路17のオン/オフ設定よりも上位の制御であり、仮に2.4GHz無線通信回路17がオンであってもUSBプラグインが発生している場合、USBI/F18を介して画像形成装置200からの要求が全て来ると判断できるため、2.4GHz無線通信回路17を一時無効化し、動作を停止する。しかし、USBプラグインが解消された場合には、自動的に2.4GHz無線通信回路17のオン/オフ設定に基づいた処理を再開する。
【0054】
そして、画像形成装置200への搭載時には直線偏波アンテナ90を利用するとしているので、直線偏波アンテナ90を有効にし、円偏波アンテナ80を無効にする(S50)。これにより、ハンディ端末100としての基本設定が完了した。画像形成装置200は、ハンディ端末100が有線で搭載されたとして、USBI/F32から例えば情報を送信すると共にその情報の書き込みを要求する(S60)。
【0055】
ステップS30に戻り、USBプラグインが確認されない場合(S30のNo)、端末制御部16は、2.4GHz無線通信回路17がオンとなっているかオフとなっているかを確認する(S70)。
【0056】
2.4GHz無線通信回路17がオンに設定されている場合(S80のYes)、ユーザはハンディ端末100を画像形成装置200に搭載して利用するつもりであると判断し、端末制御部16は、円偏波アンテナ80を無効にし、直線偏波アンテナ90を有効にする(S90)。これにより、ハンディ端末100としての基本設定が完了した。画像形成装置200は、ハンディ端末100が無線インターフェイスモードで搭載されたとして、2.4GHz無線通信回路31から例えば情報を送信すると共にその情報の書き込みを要求する(S100)。
【0057】
2.4GHz無線通信回路17がオンに設定されていない場合(S80のNo)、ユーザが手作業でハンディ端末100を利用するものと判断し、端末制御部16は、円偏波アンテナ80を有効にし、直線偏波アンテナ90を無効にする(S110)。画像形成装置200は、ユーザが手作業でハンディ端末100を使用するものとして動作する(S120)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のハンディ端末100は、ユーザの使用態様を検出して、偏波を切り替えることにより、スタンドアローン使用と画像形成装置200に搭載した場合のそれぞれで最適な通信を実現できる。
【0059】
〔用紙とハンディ端末100の関係〕
続いて、ハンディ端末100が画像形成装置200に搭載された際の用紙とハンディ端末100の関係について説明する。
【0060】
図7は用紙の排紙が開始される前の用紙とハンディ端末100の関係を、図8は用紙の排紙が開始された後の用紙とハンディ端末100の関係を、それぞれ模式的に示す図の一例である。図7、8において左図はインクジェットプリンタの側面図、右図は上面図である。
【0061】
以下、本発明を適用した画像形成装置200の一実施形態として、インクジェットプリンタについて説明する。インクジェットプリンタの構成は公知であるので簡単に説明する。印刷対象である用紙は複数枚が積層されて給紙トレイ41に載置され、給紙トレイ41の上側に画像が形成された用紙を排紙する排紙トレイ39が形成されており、給紙トレイ41は本体から着脱可能である。給紙トレイ41の用紙は搬送ローラ37により1枚ずつ取り出され、搬送ベルト38上を奥側から手前側に搬送される。
【0062】
画像形成装置200は正面200bから上面200a及び背面にかけてケースに覆われており、ケースの上面200aは開閉可能である。また、ケースの上面200aには上記の搭載口40が設けられている。ケースの正面200bの鉛直下方に、給紙トレイ41が配置されている。搭載口40から挿入されたハンディ端末100は、用紙の搬送方向において給紙トレイ41の略中央に位置する。
【0063】
上面視、画像形成装置200の右手前にはインクカートリッジ46を有し、供給ユニット44はインクカートリッジ46からインクジェットプリンタヘッド36にインクを供給する。
【0064】
インクジェットプリンタヘッド36は、駆動手段により用紙の搬送方向に垂直方向(主走査方向)に移動可能に保持されている。インクジェットプリンタヘッド36には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)色のそれぞれのインク室を有し、紙面に向けてインク液を吐出する吐出口を備える。
【0065】
搬送ローラ37は、テンションローラにより張架された搬送ベルト38により用紙をインクジェットプリンタヘッド36の対向位置まで搬送する。なお、図示する画像形成装置200は、両面ユニット35を有し、用紙を反転させ用紙の両面に印字できるようになっている。
【0066】
搬送ベルト38に搬送された用紙がインクジェットプリンタヘッド36と対向する位置に達したら、搬送ベルト38を停止して用紙の移動を停止する。そして、インクジェットプリンタヘッド36が主走査方向に往復移動しながら、印字データに応じてインク液を吐出して1ライン分の画像を用紙に記録する。主走査方向に1ライン分の記録が終了したら、搬送ベルト38を所定時間駆動させ、用紙を1ライン分移動させて停止し、1ライン分の画像を用紙に記録する。この処理を繰り返し、用紙に所望の画像が印刷されると、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0067】
以上のような印刷手順における、ハンディ端末100とICタグ150の通信について説明する。図8の画像形成装置200の側面図に示すように、用紙は搬送ベルト38に乗ってハンディ端末100の直下を通過していく。用紙にはICタグ150が貼付又は埋設されており、ハンディ端末100の下を通過していくときにICタグ150へのリード・ライトが実行される。ICタグ150は後述するように、搬送方向における用紙の2つの端部のうちいずれかに配置されることが好適となる。なお、主走査方向においてはどこに配置されていてもよい。これは、ハンディ端末100の直線偏波が用紙の主走査方向に対し十分な長さを有するためである。
【0068】
搬送ベルト38から分離した用紙の先端は、搬送ベルト38に支えられているため、ほぼ、ハンディ端末100に平行した形で搬送路から排紙トレイ39へと移動される。このため、ICタグ150の傾きなど考慮する必要がなく、すなわち、交信角度の広い円偏波を用いる必要がなく、直線偏波で十分にICタグ150との通信が成立する構造となっている。
【0069】
ICタグ150がアンテナと通信をする際、ICタグ150とアンテナの間に電波遮蔽物が存在すれば、通信出来なくなるのは当然として、ICタグ150とアンテナの間でなくてもアンテナから見てICタグ150の直後に電波遮蔽物(たとえば金属等)が存在しても通信不良は発生する。これは、パッシブ型のICタグ150で特に顕著な通信障害の例である。パッシブ型のICタグ150は、ハンディ端末100から通信を行うための電力を搬送波の形で供給されているが、金属が周囲に存在することで搬送波そのものをICタグ150が正常に受信できず、動作に必要な電力を得ることが出来なくなってしまう状態が発生する。電力を得ることが出来ない為、結果とした通信不良が発生する。
【0070】
ここで、通信不良を低減するため、偏波アンテナとICタグ150の延長線上に電波遮蔽物を配置する構成を採用することが考えられるが(特開2007−253288号公報)、前述したように、たとえICタグ150の後方配置でも必要十分な距離を持って配置しなければ、逆に交信可能であるはずのICタグ150が電力不足で通信不良という状況になりかねない。本来、通信を実施したい空間よりも遠方まで電波が到達して誤動作を懸念するならば、むしろ、電波の出力を低下させ、通信可能範囲を狭くするほうが、ハンディ端末100を用いた制御として好適である。
【0071】
図8の構成では、用紙が搬送ベルト38から分離した直後は、用紙が宙に浮いた状態となっており、ハンディ端末100のアンテナからみてICタグ150の前にも後にも電波遮蔽物以前に物が存在しない状況となっている。したがって、電波遮蔽物を配置することなく、通信不良を低減又は防止できる。
【0072】
印刷用紙の搬送機構として搬送ベルト38を用いた画像形成装置200について、どのような材質を用いて装置を構成するのかはそれぞれである。しかし、搬送ベルト38から用紙を分離して排紙トレイ39に送り込む際に用紙が宙に浮く空間において、ICタグ150と通信する本実施形態の通信方法は、ハンディ端末100を用いたRFID画像形成装置の好適な構成である。すなわち、電波遮蔽物を配置することなく、かつ、画像形成装置200の材質を考慮することなく、良好に通信することができる。
【0073】
なお、電波遮蔽物を用いた制限をかけることを極力避けるため、ハンディ端末100からのICタグ150を動作させるために必要な強さの電波の出力は、搬送トレイから分離された用紙表面から排紙トレイ39表面の間に電波強度の境界線が来るように出力調整を行う。ハンディ端末100は、出力調整を変えながら通信状態を判定し、通信が良好な出力を決定する。したがって、画像形成装置200が異なっても同じハンディ端末100で通信することができる。なお、ユーザがハンディ端末100を操作して、数段階(例えば1〜5段階)から出力を調整してもよい。
【0074】
〔2つのアンテナの配置について〕
続いて、2つのアンテナの配置について説明する。図9は、円偏波と直線偏波のいずれかを選択して発信可能なアンテナの構造を模式的に説明する図の一例である。図9(a)はハンディ端末100の上面図を、図9(b)の左図はハンディ端末100の上面図における円偏波アンテナ80を、図9(b)の右図はハンディ端末100の上面図における直線偏波アンテナ90を、図9(c)の左図はハンディ端末100の側面図における円偏波アンテナ80を、図9(c)の右図はハンディ端末100の側面図における直線偏波アンテナ90を、図9(d)の左図はハンディ端末100の上面図における円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を、図9(d)の右図はハンディ端末100の側面図における円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を、それぞれ示す。
【0075】
上記のように、円偏波アンテナ80又は直線偏波アンテナ90は、ハンディ端末100の背面に配置されることが好ましい。図9(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80は、ハンディ端末100の外形に対して、片側に偏る形(液晶の背面)に配置されている。図9(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80を上面から見ると円偏波は放射状に発信され、ハンディ端末100の一部(を偏った方の側)をカバーする。
【0076】
また、図9(c)の左図に示すように、円偏波アンテナ80を側面から見ると、上面図における円偏波アンテナ80の中心を軸に、回転する電波が発信される。
【0077】
また、図9(b)の右図に示すように、直進波アンテナは、ハンディ端末100の上面視の外形をほぼ全面に覆う形で配置されている。このため、直線偏波アンテナ90から発信される直線偏波は全体から放射上に進行し、ハンディ端末100の周囲を全てカバーする。また、図9(c)の右図に示すように、直線偏波アンテナ90を側面から見ると、直線偏波はハンディ端末100の長手方向に振幅しながら、直線偏波アンテナ90の長手方向に垂直に進行する。
【0078】
ユーザがスタンドアローンでハンディ端末100を使用する際は円偏波により、画像形成装置搭載時は直線偏波により、それぞれ通信を行うため、図9(b)(c)の二つのアンテナをハンディ端末100に混在させる。そのハンディ端末100が図9(d)に示す形態のものである。図9(d)に示すように、位置が偏るように液晶表示部14の背面に円偏波アンテナ80を、略全面に直線偏波アンテナ90を配置し、上面視において円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90とが重畳している。図では、円偏波アンテナ80を直線偏波アンテナ90よりも内側に配置したが、円偏波アンテナ80を直線偏波アンテナ90よりも外側に配置してもよい。また、円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90が重複しないように、直線偏波アンテナ90を短くしてもよい。
【0079】
〔印刷と通信の同時処理〕
図6のフローチャート図にて説明したように、利用時に有効にするアンテナを切り替ることにより、ハンディ端末100の使用態様に応じて電波の偏波を最適化する。以下、図9(d)の円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を備えるハンディ端末100において、用紙への印字とリード・ライト処理を平行に実行する際の、用紙と電波の関係を説明する。
【0080】
図10は、円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90の通信範囲を模式的に説明する図の一例である。図10(a)は、排紙が開始され用紙の端部がハンディ端末100に到達した際の、ハンディ端末100と用紙の上面図を示す。車線で示したICタグ150は、通信が可能な範囲を模式的に示すものである。図10(a)ではICタグ150は用紙の長手方向(搬送方向)の端部であって短手方向(主走査方向)の端部(以下、単に左端という)に存在する。
【0081】
図10(b)の左図は円偏波アンテナ80から電波を発信した場合を、図10(b)の右図は直進偏波アンテナから電波を発信した場合を、それぞれ示す。図10(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80から電波を発信した場合、用紙の全てを通信範囲がカバーしないが、円偏波アンテナ80の位置がICタグ150の位置に偏っているので、図10(b)の左図では円偏波アンテナ80により通信可能である。
【0082】
これに対し、図10(c)に示すようにICタグ150が用紙の左端に存在する場合、図10(d)の左図に示すように、円偏波がICタグ150の位置をカバーできず、円偏波アンテナ80により通信不能である。したがって、円偏波アンテナ80により円偏波を発信した場合は、ハンディ端末100の直下を通過していくICタグ150との通信を100%カバーできるとは限らない。
【0083】
一方、図10(b)の右図に示すように、直進偏波アンテナから電波を発信した場合、用紙の全てを通信範囲がカバーする。したがって、図10(a)のように用紙の左側にICタグ150が存在しても、図10(c)のように用紙の右側にICタグ150が存在しても、直進偏波であれば、用紙におけるICタグ150の位置にかかわらず、リード・ライトが可能である。すなわち、ハンディ端末100の全面が直線偏波アンテナ90により覆われているハンディ端末100は、ハンディ端末100の直下を通過していくICタグ150との通信を100%カバー可能である。
【0084】
このような円偏波アンテナの不都合を、円偏波アンテナの出力を増大することで解消することが考えられる。
【0085】
図11は、円偏波アンテナ80を有するハンディ端末100において、通信領域を増やすための手段を模式的に示す図の一例である。図11(a)はハンディ端末100に搭載する円偏波アンテナ80の数を増大する場合を、図11(b)は円偏波アンテナ80の出力を増大した場合をそれぞれ示す。
【0086】
図11(a)に示すように、ハンディ端末100に円偏波アンテナ80を増設した場合(3個の円偏波アンテナ80を搭載)、選択的に円偏波アンテナ80を有効にしていずれか1以上の円偏波アンテナ80から電波を発信することが考えられる。しかし、どのアンテナの下をICタグ150が通過するのか(用紙のどこにICタグ150が存在するか)を事前に知るすべがない場合が多く、結局、3個全ての円偏波アンテナ80から電波を出力し、制御を行う必要がある。一般に、アンテナの数が増えるとその増設分だけ制御が複雑になり、また、電力消費が増加する。したがって、本実施形態が特徴とするように、円偏波アンテナ80を1個搭載し、ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した場合には、1個の直線偏波アンテナ90でICタグ150のリード・ライトを実行するほうが合理的な構造であるといえる。
【0087】
図11(b)に示すように、1個の円偏波アンテナ80の出力を上げ、用紙幅の全域を通信範囲でカバーした場合、用紙におけるICタグ150の位置にかかわらず、円偏波アンテナ80の下をICタグ150が通過しなくても、通信が可能となる。通信範囲を広げれば、確かに通信不可であったICタグ150の通信も可能となる。しかし、通信範囲拡がると本来通信対象でないICタグ150も通信可能となってしまうため、誤検出による通信不良が増える。
【0088】
このことは、通信できないという意味の通信不良でないが、通信すべきでないICタグ150とリード・ライトすることも通信不良として扱うべきなので、単純に円偏波アンテナ80の出力を上げるだけでは最適な構成とはいえない。また、アンテナの出力を上げれば、その分、電力消費が増加することにもなる。したがって、本実施形態が特徴とするように、円偏波アンテナ80を1個搭載し、ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した場合には、1個の直線偏波アンテナ90でICタグ150のリード・ライトを実行するほうが合理的な構造であるといえる。
【0089】
〔印刷終了後〕
続いて、印刷終了後、排紙トレイ39に排紙された用紙のICタグ150とハンディ端末100との通信について説明する。
図12は、排紙完了後の用紙のICタグ150と、給紙前の用紙のICタグ150のいずれとも通信が不可能な位置に搭載されたハンディ端末100を示す図である。図12において図8と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図12では、用紙の左端にICタグ150が配置されている。
【0090】
給紙トレイ41の用紙は搬送ローラ37により画像形成装置200の奥側から手前側に先端を方向転換して給紙される。したがって、図12の上面図に示すように、給紙トレイ41の用紙のICタグ150は、直線偏波アンテナ90よりも画像形成装置200の奥側に位置する(上面図では点線で示した)。これに対し、排紙された用紙のICタグ150は、用紙の先端と同様に画像形成装置200の最も手前側に位置する。なお、用紙のICタグ150は、給紙トレイ41と排紙後で表裏が逆になる。
【0091】
上述したように、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100は直線偏波アンテナ90を有効にするので、ICタグ150と通信可能になる領域は、ハンディ端末周囲とハンディ端末直下である。用紙におけるICタグ150の配置位置が排紙方向の先端であった場合、給紙前の給紙トレイ41にある用紙のICタグ150は、鉛直方向に搬送ベルト38の高さ以上の距離、水平方向に給紙トレイ41の奥側の端部とハンディ端末100の距離、ハンディ端末100と離れた位置にあることになる。
【0092】
したがって、直線偏波アンテナ90の電波の到達距離を考慮すると、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100が、給紙トレイ41にある用紙のICタグ150と通信することは不可能であり、ハンディ端末100と給紙トレイ41の相対的な位置関係を図示するように離間することで、給紙トレイ41にある用紙のICタグ150との誤通信を適切に防止するができる。
【0093】
また、印刷終了後の用紙の先端は、ハンディ端末100の通信領域から用紙長だけ離れた位置にあることになる。したがって、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100が、排紙トレイ39にある用紙のICタグ150と通信することは不可能であり、誤通信を防止可能な構成であると言える。
【0094】
以上のように本実施形態のハンディ端末100は、印刷時にのみICタグ150にリード・ライトすることができる。なお、ICタグ150がある用紙の端部を給紙トレイ41の手前側に載置すると、給紙トレイ41に載置された状態では通信を防止できるが、印刷完了後に、ハンディ端末100が用紙のICタグ150と誤通信するおそれがある。このため、用紙を給紙トレイ41に給紙する際は、ICタグ150を奥側に載置するよう用紙のICタグ150の位置が肉眼で把握できるようになっている。
【0095】
〔ハンディ端末100と画像形成装置200の操作〕
ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した際の、ハンディ端末100と画像形成装置200の操作について説明する。
図13(a)は、ハンディ端末100が搭載された画像形成装置200の上面図、図13(b)は一部の拡大図を、それぞれ示す。ハンディ端末100の操作入力部13を利用する場合、図示するように、ハンディ端末100の操作入力部13をユーザが操作できるように、画像形成装置200のケースの上面200aに設けられた搭載口40に、操作入力部13を鉛直上向きに搭載することが好適となる。画像形成装置200の液晶表示部47及び操作キー45は上記のように右利きを想定して、手前の右角に鉛直上向きに配置されている。
【0096】
図示する画像形成装置200の操作キー45は、一般的なものであり、十字キー、ファンクションキー、電源キー、強制排紙キー、キャンセルキーが配置されている。これら各キーは一例であり、一部のキーで他のキーを代用することもできる。また、画像形成装置200は用紙切れ、紙詰まり、インク切れ、通信不良等を警告する警告ランプを備える。
【0097】
また、ハンディ端末100として携帯電話機を想定した場合、ハンディ端末100の操作入力部13には、液晶表示部14と共に十字キー、ファンクションキー及びテンキーが配置されている。ハンディ端末100は、画像形成装置への搭載時、画像形成装置200側から制御されるため、液晶表示部、十字キー、ファンクションキー及びテンキーは不要となる。
【0098】
したがって、画像形成装置200の操作キー45のいくつか(十字キー、ファンクションキー)と液晶表示部はハンディ端末100の操作入力部13とは重複した機能となる。このため、ハンディ端末100か画像形成装置200に、表示と操作の機能を集約し、いずれか一方からICタグ150のリード・ライトに必要な操作を入力してもよい。画像形成装置200の操作キー45の数は機種毎に種々であったりその数が少ない場合があることを考えると、ハンディ端末100に表示と操作の機能を集約することが好適となる。
【0099】
図13(c)は、ハンディ端末100に重複した機能を集約した場合の、ハンディ端末100の操作入力部13と画像形成装置200の操作キー45を示す。ユーザの立ち位置を考えると、ハンディ端末100を横向きにすることが好適となる。ハンディ端末100を横向きにする場合、液晶表示は横表記となり、十字キーはそのまま、テンキーについて横表記が必要なものは表記を変更することになる。テンキーについては、縦横4×3の配列を横向きに90度回転させたものとなる。このような変更は、ハンディ端末100の全面が液晶表示部(タッチパネル)14であ場合は容易に実行でき、ハンディ端末100の専用機であればキーの向きを変更して設計する。
【0100】
この結果、画像形成装置200の操作キー45には、重複ボタンとならない電源キー、強制排紙キー、キャンセルキー、警告ランプが配置される。上記4ボタンのみ画像形成装置200に残す理由は、ハンディ端末100をユーザがスタンドアローンで使用していても、画像形成装置200としての機能を維持するためである。
【0101】
4ボタンの機能について以下に説明する。
電源キー:画像形成装置200の電源をオン/オフするキー。ハンディ端末100が非搭載でも電源制御は必要な機能である。
強制排紙キー:画像形成装置200内に詰まった用紙を強制的に排紙させるキー。ハンディ端末100が非搭載でも、トラブル回復機能として必要な機能である。
キャンセルキー:画像形成装置200が実施中の処理を強制的にキャンセルさせるキー。
警告ランプ:画像形成装置200に異常が発生したことをユーザに通知するランプ。ハンディ端末100が非搭載時に同ランプが点滅した場合には、ハンディ端末100を搭載することで、ハンディ端末100側の液晶表示部14にエラーに関する表示を実施し、異常解消のための操作が可能となる。
【0102】
本実施形態では、画像形成装置200がICタグに情報を書き込む際に、ハンディ端末100が画像形成装置200と接続されていない状況で、警告内容をハンディ端末100に通知することが有益となる。したがって、画像形成装置200は、ハンディ端末100が画像形成装置200と接続されていない場合、警告ランプを点灯し、接続を促すようにハンディ端末100にメッセージを表示させる。
【0103】
なお、この他の警告についても警告の内容をユーザに通知できるよう、接続を促すメッセージをハンディ端末100に表示させることができる。
【0104】
以上の構成に基づき、画像形成装置200にて警告ランプが必要なエラーが発生した場合に、ハンディ端末100に情報を表示する手順を図14のフローチャート図に基づき説明する。
【0105】
画像形成装置200の制御ユニット34は、まずエラーが発生すると(S110)、警告ランプを点灯させる(S120)。
【0106】
画像形成装置200の操作部が簡易版であって、ハンディ端末100が画像形成装置200から取り外されていた場合、詳細な警告内容をユーザに通知することは出来ない。このような場合、まず、ユーザにハンディ端末100を画像形成装置200に搭載するように促す必要があり、画像形成装置200の2.4GHz無線通信回路31を用いて、画像形成装置200からハンディ端末100に警告が発生したことを通知する(S130)。
【0107】
ハンディ端末100側は、警告が発生した旨の通知を受け取った場合、端末自身がユーザによりスタンドアローンで使用中であるか否かを判断する(S140)。
【0108】
使用中の場合(S140のYes)、ユーザが実施中の作業の邪魔にならないよう、端末制御部16は、液晶表示部14に『画像形成装置に搭載してください』と小さく表示を実施する(S150)。図15(a)は、スタンドアローンで使用中、ハンディ端末100に表示されるメッセージの一例を示す。図示したように、液晶表示部14の半分程度に上記メッセージが表示される。
【0109】
ハンディ端末100が未使用の場合(S140のNo)、端末制御部16は、全画面表示にて『画像形成装置に搭載してください』と表示をおこなう(S160)。図15(b)は、ハンディ端末100が未使用の場合、ハンディ端末100に表示されるメッセージの一例を示す。図示したように、液晶表示部14の全画面に目立つように上記メッセージが表示される。
【0110】
同表示を見たユーザが、ハンディ端末100を画像形成装置200の所定の搭載口40に搭載する(S170)。これにより、ハンディ端末100と画像形成装置200が、2.4GHz無線通信回路31又はUSBI/F32で通信し、ハンディ端末100は画像形成装置200の操作部としての機能を開始する(S180)。
【0111】
したがって、このように画像形成装置200の操作部にハンディ端末100を適用することで、ハンディ端末100をスタンドアローンで使用していても、ハンディ端末100の活用の幅を広げることができ、特に、警告内容を的確にユーザに通知できる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態のハンディ端末100によれば、スタンドアローン使用時と画像形成装置200への搭載時とで、直線偏波アンテナ90と円偏波アンテナ80を切り替えることで、印刷時に所望の用紙のICタグ150とのみ通信することができ、かつ、スタンドアローン使用時には比較的交信角度を広げることができ容易に所望のICタグ150と通信することを可能にできる。
【0113】
また、画像形成装置200にハンディ端末100を搭載した場合には、ハンディ端末100のユーザインターフェイスを活用して、画像形成装置200の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】ハンディ端末が搭載された画像形成装置の概略構成図の一例である。
【図2】直線偏波を模式的に示す図の一例である。
【図3】円偏波を模式的に示す図の一例である。
【図4】ハンディ端末の外観の一例を示す図である。
【図5】ハンディ端末、画像形成装置及びICタグの機能ブロック図の一例をそれぞれ示す図である。
【図6】ハンディ端末が円偏波アンテナと直線偏波アンテナのいずれかを選択的に有効にする手順を示すフローチャート図の一例である。
【図7】用紙の排紙が開始される前の用紙とハンディ端末の関係を模式的に示す図の一例である。
【図8】用紙の排紙が開始された後の用紙とハンディ端末の関係を模式的に示す図の一例である。
【図9】円偏波と直線偏波のいずれかを選択して発信可能なアンテナの構造を模式的に説明する図の一例である。
【図10】円偏波アンテナと直線偏波アンテナの通信範囲を模式的に説明する図の一例である。
【図11】円偏波アンテナを有するハンディ端末において、通信領域を増やすための手段を模式的に示す図の一例である。
【図12】排紙完了後の用紙のICタグと、給紙前の用紙のICタグのいずれとも通信が不可能な位置に搭載されたハンディ端末を示す図の一例である。
【図13】ハンディ端末が搭載された画像形成装置の上面図及び一部の拡大図の一例である。
【図14】画像形成装置にて警告ランプが必要なエラーが発生した場合に、ハンディ端末に情報を表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図15】スタンドアローンで使用中又は不使用時、ハンディ端末に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
13 操作入力部
14 液晶表示部
15 リーダライタ制御部
16 端末制御部
17,31 2.4GHz無線通信回路
18,32 USBI/F
34 制御ユニット
40 搭載口
80 円偏波アンテナ
90 直線偏波アンテナ
100 ハンディ端末
150 ICタグ
200 画像形成装置(インクジェットプリンタ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグと通信するハンディ端末及び画像形成装置に関し、特に、画像形成装置に搭載可能なハンディ端末及びハンディ端末が搭載される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグの小型化が進み印刷用の用紙にも貼付したり埋設することが可能となってきている。そこで、用紙にユーザが所望する文書を印刷すると共に、その用紙のICタグに、印刷データ、ファイル名又は印刷者などの書誌情報を記録するため、画像形成装置にICタグリーダ・ライタを搭載することが考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、ICタグリーダ・ライタがプリンタ本体のカバーにテープで貼り付ける構成が開示されており、画像形成装置への後付が可能となっている。
【特許文献1】特開2007−76065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1記載のICタグリーダ・ライタは、画像形成装置に取り付けて使用することが前提であるため、例えばユーザがICタグリーダを把持してICタグから情報を読み出したい場合に、必ずしも使い勝手のよいものではない。また、特許文献1には、通信対象のICタグ以外のICタグとの誤通信を避ける為、電磁波を遮断するシールドを使用すると記載されているが、シールドを多用すれば画像形成装置のコスト増をもたらす。
【0004】
また、一方でユーザが把持して作業することを前提に設計されたICタグリーダ・ライタもあるが、このICタグリーダ・ライタは、画像形成装置に搭載してICタグ付き用紙の処理をする用途には向いていない。例えば、画像形成装置への搭載位置によっては、ICタグ付き用紙に対して、通信範囲外にICタグが存在すると処理が不可能な場合があるという問題と、処理が不可能とならないようICタグのリーダライタ通信範囲を広げた場合、対象としたICタグ以外のICタグと誤通信をするか、または誤通信を防止する為の電波シールドを画像形成装置に組み込む必要が発生するという問題があった。
【0005】
このように、従来のICタグリーダ・ライタは、ユーザが把持して使用する際と画像形成装置に搭載して使用する際の一方にしか、使い勝手がよいとはいえないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑み、電磁シールドによる遮蔽を抑制して、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合のいずれの状況でも適切に通信が可能なハンディ端末及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題に鑑み、本発明は、ICタグと通信してICタグのメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末において、画像形成装置と接続されているか否かを判定する判定手段(例えば、2.4GHz無線通信回路17、USBI/F18)と、ICタグに電波を発信する第1のアンテナと、第1のアンテナとは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナと、を有し、画像形成装置に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナと第2のアンテナを切り替えてICタグと通信する、ことを特徴とする。
【0008】
偏波の異なるアンテナを備え、画像形成装置への搭載時には偏波が最適化されたアンテナでICタグと通信することで、誤通信及び通信不良を防止できる。また、画像形成装置への搭載時にはハンディ利用に最適化されたアンテナでICタグと通信できる。
【発明の効果】
【0009】
電磁シールドによる遮蔽を抑制して、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合のいずれの状況でも適切に通信が可能なハンディ端末及び画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するために最良の形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、画像形成装置200に着脱可能なICタグリーダ・ライタ(以下、ハンディ端末100という)を脱着して、ICタグ(RFID)付き用紙(以下、単に用紙という)のICタグに情報を書き込んだり、ICタグから情報を読み出したりする。
【0011】
このハンディ端末100に2つの異なるアンテナを搭載し、ユーザが把持して使用する場合と画像形成装置に搭載して使用する場合とで、2つのアンテナの一方を有効にして、発信する電波の偏波を選択的に切り替える。これにより、1台のハンディ端末100を、ユーザがハンディ端末100を把持して使用する態様(以下、スタンドアローン使用という)と、画像形成装置200に搭載して使用する態様のそれぞれに最適な状態で、通信することを可能にする。なお、2つのアンテナは後述する直線偏波アンテナ90と円偏波アンテナ80であるが両者を区別しない場合、単にアンテナという。
【0012】
〔画像形成装置200〕
図1は、ハンディ端末100が搭載された画像形成装置200の概略構成図の一例を示す。ハンディ端末100が搭載されると画像形成装置200はRFID画像形成装置となる(以下では画像形成装置100とRFID画像形成装置を区別せず、単に画像形成装置200という。)。画像形成装置200は、上面200a又は前面200bにハンディ端末100を搭載する搭載口40を有し、搭載口40からハンディ端末100を挿入可能となっている。搭載口40は開口した状態を維持していてもよいし、揺動可能な板状部材を付勢して搭載口40を閉口しておき、ハンディ端末100の搭載時に板状部材が揺動されることで開口されもよい。
【0013】
搭載口40は、例えば底面が電波を通しやすい誘電体で構成されるか、孔部を有することが好ましい。これにより、印刷中の用紙が有するICタグ150と通信することができる。なお、後述するように、搭載されたハンディ端末100は、有線又は無線で画像形成装置200の制御ユニット34と接続され、画像形成装置200の制御ユニット34から制御可能である。図では、ハンディ端末100のコネクタ100aから有線(ケーブル)で画像形成装置200と接続する例を示した。この場合、画像形成装置200側の有線接続のインターフェイスは搭載口40内に設けられることが好適である。
【0014】
画像形成装置200は、用紙搬送モータ、インクヘッドの主走査方向への往復、等によりそれ自体が非常に振動を伴って動作するため、搭載時の位置精度や安定性を加味した場合、画像形成装置200と一体化させる専用の搭載口40があることが好ましい。画像形成装置200の外装にテープでハンディ端末100を搭載した場合、排紙口から用紙の排出が開始されてからでないと(外部から用紙が目視可能とならないと)、ICタグ150と通信ができない。しかしながら、本実施形態では、ハンディ端末100の専用の搭載口40を設けているので、排紙口からの排紙を待つことなく、搬送ベルトから用紙が分離された直後からICタグ150への通信が可能である。したがって、印刷処理全体で見た場合、より早期に用紙へ情報のリード・ライトを開始でき、画像形成が終了する頃には情報のリード・ライトを完了させることができる。また、ハンディ端末100の専用の搭載口40を設けているので、用紙にあるICタグ150とハンディ端末100の相対位置を特定できる。なお、ハンディ端末100が画像形成装置200に搭載された際の用紙とハンディ端末100の位置関係は後に詳述する。
【0015】
〔スタンドアローン使用時の偏波、画像形成装置搭載時の偏波〕
本実施形態のハンディ端末100は、リード・ライトを制御する制御部分以外に、2つのアンテナを内蔵している。2つのアンテナで使用されている電波は例えばUHF帯の電波であり、直線偏波と円偏波が挙げられる。両偏波はそれぞれ異なるアンテナ形状と特性を持っている。ICタグに使用される電波の波長帯には、UHF帯や13.56MHzや2.45GHzが知られているが、本実施形態ではUHF帯の電波で通信するものとする。但し、ハンディ端末の電波の帯域を、UHF帯又は13.56MHzや2.45GHzに制限するものではない。
【0016】
図2は直線偏波を模式的に示す図の一例である。図示するように座標系(水平方向にX軸、垂直方向にY軸、電波の進行方向にZ軸)をとると、直線偏波の場合、電波はY軸に平行に振動し、Z軸方向に直進している。
【0017】
Z軸方向に示したいくつかの直方体は用紙に埋設されたICタグ150を模式的に示す。電波の振幅とICタグ150の大きさは必ずしも整合されていない。ICタグ150の略全域にアンテナが収納されているとすると、この直方体がICタグ150のアンテナ面に相当する。
【0018】
したがって、ICタグ150の長手方向が直線偏波と同じY軸方向を向いたA状態とB状態では、良好に無線通信でき、ハンディ端末100とICタグ150の距離が離れても通信しやすい。これに対し、ICタグ150のアンテナ面が、直線偏波の向きと直行した場合(状態C、D)、及び、ICタグ150の長手方向がZ軸と平行の場合(状態E)、通信距離の低下が顕著となり、最悪時に通信不可となる。このように、ハンディ端末100の偏波を直線偏波とすると、ICタグ150との通信を制限しやすい。
【0019】
続いて、円偏波について図3に基づき説明する。図3の円偏波は、Z軸を中心にしてXY面を回転し(回転方向は問わない)、Z軸方向に直進している。円偏波はX方向及びY方向の偏波成分を含んでいる。したがって、図2の直進偏波と同様に、ICタグ150の長手方向がY軸方向を向いた状態A、B、及び、ICタグ150の長手方向がX軸方向を向いた状態C、Dでは、良好に通信できる。これは、電波がXY軸面に角度を変えて進入するため、アンテナ面に対してかならず直交した電波が入る角度があるためである。
【0020】
これに対し、ICタグ150の長手方向がZ軸と平行の場合(状態E)、ICタグ150のアンテナ面がXY軸面を十分に確保できない場合、通信距離の低下が顕著となり、最悪時に通信不可となる。このように、ハンディ端末100の偏波を円偏波とすると、ICタグ150との通信を確保しやすい。なお、円偏波は回転しながら直進する分、直線偏波と比較して、Z軸方向の到達距離が短くなり、交信距離が短くなっている。
【0021】
表1は、偏波の特徴を示す。
【0022】
【表1】
〔ハンディ端末100〕
直線偏波と円偏波のハンディ端末100への適用について説明する。図4は、ハンディ端末100の外観の一例を示す。ユーザが把持して使用することを考慮すると、ハンディ端末100は片手で携帯できる形状かつ重さであることが好ましい。図4では、ハンディ端末100として携帯電話型を想定している。すなわち、ハンディ端末100は、携帯電話、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistant)等にICタグリーダ・ライタを内蔵したものとして実現できる。
【0023】
携帯電話型の形状の場合、ユーザはテンキー、十字キー、その他ファンクションキー、ニューロポインタ、ジョグダイヤル、カーソルキー等(以下、単に操作入力部13という)の周辺を把持して、液晶表示部14を見ながら所定の作業を実施するケースが考えられる。このようなスタンドアローンの使用態様の場合、操作入力部13は、ユーザの手により電波が少なからず遮蔽される状況が生まれる。
【0024】
アンテナの性能を最大限引き出すには、ユーザの手により遮蔽されるおそれのない液晶表示部14と同程度の位置にアンテナ部を配置するのがもっとも合理的な構造となる。なお、液晶表示部14がタッチパネルを搭載していても、ユーザが把持する部位はハンディ端末100の下の方であるので、同様にアンテナを配置できる。図4では、液晶表示部14の背面の、最外のケースの内側にアンテナを配置した。
【0025】
さらに、本実施形態では、2つの態様の偏波を使い分けるが、アンテナは偏波タイプにより形状と特性が異なるため、2つのアンテナをそれぞれどのように搭載するかを設計する必要がある。
【0026】
ここで、ハンディ端末100は、ユーザが把持して用紙などのICタグ150に近づけて情報を読み出しまた書き込むことを考慮すると、通信距離の長短は実用上問題とならない(通信距離は短くてもよい)。一方、交信角度については、ユーザがアンテナ特性を考慮してICタグ150に対してハンディ端末100に最適な交信角度をつけるといったことは期待出来ない。以上から、スタンドアローン使用においてハンディ端末100には、通信距離が短くても交信角度の広い、円偏波アンテナ80を搭載するのがもっとも適しているといえる。
【0027】
上記のように、ハンディ端末100は画像形成装置200に接続して使用される。これは、ハンディ端末100は、画像形成装置200が無線でICタグ150に情報をリード・ライトするための変換ユニットとして利用されるためである。用紙に埋設されるICタグ150は、バッテリを備えないパッシブ型が主流なので、ハンディ端末100は、パッシブ型UHF帯ICタグ(RFID)に対して無線で情報をリード・ライトすることを可能にする。画像形成装置200の印刷処理として、ICタグ150にどのような情報をリード・ライトするかを指示するのは、画像形成装置200の制御ユニット34の役割である。
【0028】
ハンディ端末100と画像形成装置200とは、例えばUSB(Universal Serial Bus)I/F18、32を介して接続される。USBI/F18、32は、画像形成装置内部のユニット間接続用I/Fとして一般的に利用されているインターフェイスであるため、ハンディ端末100を拡張接続する為に好適である。また、携帯電話機等もUSBI/F18を備える機種が多い。
【0029】
また、本実施形態のハンディ端末100がICタグ150のリード・ライト用に使用するのは、UHF帯の952〜955MHz帯の電波である(一般的な電磁波の分類における「UHF帯 300MHz〜3GHz」とは異なる。)。これに対し、パソコン機器通信で利用される2.4GHzは空き周波数帯となっている。このため、画像形成装置200の制御ユニット34とハンディ端末100間の接続を無線化する必要がある場合、2.4Ghz帯の無線モジュール(例えば、Bluetooth通信モジュール)を用いることで接続することが出来る。なお、一般的に、無線インターフェイスを用いてハンディ端末100を制御するより、有線インターフェイスを用いた制御のほうが、制御ユニット34およびハンディ端末100の双方の動作負荷を軽くできる。
【0030】
〔ハンディ端末100の機能ブロック〕
図5は、ハンディ端末100、画像形成装置200及びICタグ150の機能ブロック図の一例をそれぞれ示す。図5(a)は三者間の接続系統図を、対応する図5(b)は各機能ブロックの接続系統図をそれぞれ示す。
【0031】
・ハンディ端末100
変調回路11は、送信する信号によりUHF帯の電波を変調して信号を送信する回路であり、送信時の搬送波によりパッシブ型のICタグ150に電力を発生させる。
【0032】
復調回路12は、ICタグ150が送信した電波を復調して信号を取り出す回路である。
【0033】
リーダライタ制御部15は、端末制御部16からの要求に応じて、変調回路11、復調回路12をコントロールしてICタグ150とのリード・ライトを行う制御回路である。
【0034】
端末制御部16は、ハンディ端末(携帯電話機)100内の各機能ブロックの統合制御を行う制御部で、マイクロプロセッサや記憶素子等を備える。画像形成装置200からハンディ端末100に対して、ICタグ150へ情報をリード・ライトする要求があると、リーダライタ制御部15にリード・ライトを要求する。また、端末制御部16は、液晶表示部14に次述する情報を表示する。
【0035】
操作入力部13は、ハンディ端末100のテンキーやファンクションキーであり、その他、音声入力や三次元加速度センサにより操作を入力できる。
【0036】
液晶表示部14は、液晶パネルや有機ELパネルであり、電話番号等が表示されることに加え、本実施形態ではハンディ端末100が行う処理の内容(例えば、「○○情報を書き込んでいます」「○○情報を読み込んでいます」)や結果(例えば、「○○情報を書き込みました」「書き込み/読み込みに失敗しました」)を表示するために用いられる。
【0037】
2.4GHz無線通信回路17は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を受信するための制御用無線インターフェイスである。
【0038】
USBI/F18は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を受信するための制御用有線インターフェイスである。
【0039】
充電池19は、ハンディ端末100を動作させるための充電式の電源である。
【0040】
・ICタグ150
整流回路/電源回路26は、ハンディ端末100から送信された搬送波をICタグ150で使用する電力に変換し、ICタグ150を活性化させる回路である。
【0041】
復調回路21は、ハンディ端末100から送信された電波を復調して搬送波に搬送された信号を受信する回路である。
【0042】
OSC(水晶発振器)22は、復調回路21が受信した電波から、ICタグ150の内部動作に必要な動作クロックを生成する回路である。
【0043】
プロトコル制御回路24は、CPUを有し、復調回路21が受信した信号のプロトコル(コマンド)を解読し、不揮発性メモリ25に対して必要なリードライトを実行する制御回路である。不揮発性メモリ25は、ICタグ150の識別情報やハンディ端末100が書き込んだ情報を記憶するための記憶素子である。
【0044】
変調回路23は、ハンディ端末100から要求されたコマンドに対する応答、例えば、不揮発メモリ25から読み出した情報を電波に変調して反射波として、ハンディ端末100へ送信する回路である。
【0045】
・画像形成装置200
2.4GHz無線通信回路31は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を送信する場合の制御用無線インターフェイスである。例えばBluetooth通信規格を利用することができるが、UWB(Ultra Wideband)などどのような無線通信規格を用いてもよい。
【0046】
USBI/F32は、ハンディ端末100と画像形成装置200を接続し、画像形成装置200から制御信号を送信する場合の制御用有線インターフェイスである。
【0047】
端末給電 I/F33は、ハンディ端末100の動作および充電池19の充電に必要な電力を供給するインターフェイスである。
【0048】
制御ユニット34は、画像形成装置200としての全体動作を制御する制御部で、例えばCPU及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)として実装される。図5では、2.4GHz無線通信回路31およびUSBI/F32を介して、ハンディ端末100に対して、ICタグ150へ情報をリード・ライトさせる制御全般を統括する。
【0049】
〔偏波の切り替え制御手順〕
以上の構成を用いて、ハンディ端末100が円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90のいずれかを選択的に有効にする手順を図6のフローチャート図に基づき説明する。
【0050】
まず、電源のスイッチが入っているか、又は、電源のスイッチがオンになることが必要である(S10)。
【0051】
電源がオンになると端末制御部16は、USBプラグインを確認する(S20)。USBプラグインとは、USBI/F18に機器が接続されていることをいい、本実施形態ではハンディ端末100が画像形成装置200に搭載されて(有線接続されて)利用されていることになる。
【0052】
USBプラグインが確認された場合(S30のYes)、2.4GHz無線通信回路17を使用する必要がないので、端末制御部16は、2.4GHz無線通信回路17を一時的に無効化する(S40)。
【0053】
なお、この一時無効は、2.4GHz無線通信回路17そのもののオン/オフ設定とは異なる。機能の一時無効は、2.4GHz無線通信回路17のオン/オフ設定よりも上位の制御であり、仮に2.4GHz無線通信回路17がオンであってもUSBプラグインが発生している場合、USBI/F18を介して画像形成装置200からの要求が全て来ると判断できるため、2.4GHz無線通信回路17を一時無効化し、動作を停止する。しかし、USBプラグインが解消された場合には、自動的に2.4GHz無線通信回路17のオン/オフ設定に基づいた処理を再開する。
【0054】
そして、画像形成装置200への搭載時には直線偏波アンテナ90を利用するとしているので、直線偏波アンテナ90を有効にし、円偏波アンテナ80を無効にする(S50)。これにより、ハンディ端末100としての基本設定が完了した。画像形成装置200は、ハンディ端末100が有線で搭載されたとして、USBI/F32から例えば情報を送信すると共にその情報の書き込みを要求する(S60)。
【0055】
ステップS30に戻り、USBプラグインが確認されない場合(S30のNo)、端末制御部16は、2.4GHz無線通信回路17がオンとなっているかオフとなっているかを確認する(S70)。
【0056】
2.4GHz無線通信回路17がオンに設定されている場合(S80のYes)、ユーザはハンディ端末100を画像形成装置200に搭載して利用するつもりであると判断し、端末制御部16は、円偏波アンテナ80を無効にし、直線偏波アンテナ90を有効にする(S90)。これにより、ハンディ端末100としての基本設定が完了した。画像形成装置200は、ハンディ端末100が無線インターフェイスモードで搭載されたとして、2.4GHz無線通信回路31から例えば情報を送信すると共にその情報の書き込みを要求する(S100)。
【0057】
2.4GHz無線通信回路17がオンに設定されていない場合(S80のNo)、ユーザが手作業でハンディ端末100を利用するものと判断し、端末制御部16は、円偏波アンテナ80を有効にし、直線偏波アンテナ90を無効にする(S110)。画像形成装置200は、ユーザが手作業でハンディ端末100を使用するものとして動作する(S120)。
【0058】
以上説明したように、本実施形態のハンディ端末100は、ユーザの使用態様を検出して、偏波を切り替えることにより、スタンドアローン使用と画像形成装置200に搭載した場合のそれぞれで最適な通信を実現できる。
【0059】
〔用紙とハンディ端末100の関係〕
続いて、ハンディ端末100が画像形成装置200に搭載された際の用紙とハンディ端末100の関係について説明する。
【0060】
図7は用紙の排紙が開始される前の用紙とハンディ端末100の関係を、図8は用紙の排紙が開始された後の用紙とハンディ端末100の関係を、それぞれ模式的に示す図の一例である。図7、8において左図はインクジェットプリンタの側面図、右図は上面図である。
【0061】
以下、本発明を適用した画像形成装置200の一実施形態として、インクジェットプリンタについて説明する。インクジェットプリンタの構成は公知であるので簡単に説明する。印刷対象である用紙は複数枚が積層されて給紙トレイ41に載置され、給紙トレイ41の上側に画像が形成された用紙を排紙する排紙トレイ39が形成されており、給紙トレイ41は本体から着脱可能である。給紙トレイ41の用紙は搬送ローラ37により1枚ずつ取り出され、搬送ベルト38上を奥側から手前側に搬送される。
【0062】
画像形成装置200は正面200bから上面200a及び背面にかけてケースに覆われており、ケースの上面200aは開閉可能である。また、ケースの上面200aには上記の搭載口40が設けられている。ケースの正面200bの鉛直下方に、給紙トレイ41が配置されている。搭載口40から挿入されたハンディ端末100は、用紙の搬送方向において給紙トレイ41の略中央に位置する。
【0063】
上面視、画像形成装置200の右手前にはインクカートリッジ46を有し、供給ユニット44はインクカートリッジ46からインクジェットプリンタヘッド36にインクを供給する。
【0064】
インクジェットプリンタヘッド36は、駆動手段により用紙の搬送方向に垂直方向(主走査方向)に移動可能に保持されている。インクジェットプリンタヘッド36には、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)色のそれぞれのインク室を有し、紙面に向けてインク液を吐出する吐出口を備える。
【0065】
搬送ローラ37は、テンションローラにより張架された搬送ベルト38により用紙をインクジェットプリンタヘッド36の対向位置まで搬送する。なお、図示する画像形成装置200は、両面ユニット35を有し、用紙を反転させ用紙の両面に印字できるようになっている。
【0066】
搬送ベルト38に搬送された用紙がインクジェットプリンタヘッド36と対向する位置に達したら、搬送ベルト38を停止して用紙の移動を停止する。そして、インクジェットプリンタヘッド36が主走査方向に往復移動しながら、印字データに応じてインク液を吐出して1ライン分の画像を用紙に記録する。主走査方向に1ライン分の記録が終了したら、搬送ベルト38を所定時間駆動させ、用紙を1ライン分移動させて停止し、1ライン分の画像を用紙に記録する。この処理を繰り返し、用紙に所望の画像が印刷されると、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0067】
以上のような印刷手順における、ハンディ端末100とICタグ150の通信について説明する。図8の画像形成装置200の側面図に示すように、用紙は搬送ベルト38に乗ってハンディ端末100の直下を通過していく。用紙にはICタグ150が貼付又は埋設されており、ハンディ端末100の下を通過していくときにICタグ150へのリード・ライトが実行される。ICタグ150は後述するように、搬送方向における用紙の2つの端部のうちいずれかに配置されることが好適となる。なお、主走査方向においてはどこに配置されていてもよい。これは、ハンディ端末100の直線偏波が用紙の主走査方向に対し十分な長さを有するためである。
【0068】
搬送ベルト38から分離した用紙の先端は、搬送ベルト38に支えられているため、ほぼ、ハンディ端末100に平行した形で搬送路から排紙トレイ39へと移動される。このため、ICタグ150の傾きなど考慮する必要がなく、すなわち、交信角度の広い円偏波を用いる必要がなく、直線偏波で十分にICタグ150との通信が成立する構造となっている。
【0069】
ICタグ150がアンテナと通信をする際、ICタグ150とアンテナの間に電波遮蔽物が存在すれば、通信出来なくなるのは当然として、ICタグ150とアンテナの間でなくてもアンテナから見てICタグ150の直後に電波遮蔽物(たとえば金属等)が存在しても通信不良は発生する。これは、パッシブ型のICタグ150で特に顕著な通信障害の例である。パッシブ型のICタグ150は、ハンディ端末100から通信を行うための電力を搬送波の形で供給されているが、金属が周囲に存在することで搬送波そのものをICタグ150が正常に受信できず、動作に必要な電力を得ることが出来なくなってしまう状態が発生する。電力を得ることが出来ない為、結果とした通信不良が発生する。
【0070】
ここで、通信不良を低減するため、偏波アンテナとICタグ150の延長線上に電波遮蔽物を配置する構成を採用することが考えられるが(特開2007−253288号公報)、前述したように、たとえICタグ150の後方配置でも必要十分な距離を持って配置しなければ、逆に交信可能であるはずのICタグ150が電力不足で通信不良という状況になりかねない。本来、通信を実施したい空間よりも遠方まで電波が到達して誤動作を懸念するならば、むしろ、電波の出力を低下させ、通信可能範囲を狭くするほうが、ハンディ端末100を用いた制御として好適である。
【0071】
図8の構成では、用紙が搬送ベルト38から分離した直後は、用紙が宙に浮いた状態となっており、ハンディ端末100のアンテナからみてICタグ150の前にも後にも電波遮蔽物以前に物が存在しない状況となっている。したがって、電波遮蔽物を配置することなく、通信不良を低減又は防止できる。
【0072】
印刷用紙の搬送機構として搬送ベルト38を用いた画像形成装置200について、どのような材質を用いて装置を構成するのかはそれぞれである。しかし、搬送ベルト38から用紙を分離して排紙トレイ39に送り込む際に用紙が宙に浮く空間において、ICタグ150と通信する本実施形態の通信方法は、ハンディ端末100を用いたRFID画像形成装置の好適な構成である。すなわち、電波遮蔽物を配置することなく、かつ、画像形成装置200の材質を考慮することなく、良好に通信することができる。
【0073】
なお、電波遮蔽物を用いた制限をかけることを極力避けるため、ハンディ端末100からのICタグ150を動作させるために必要な強さの電波の出力は、搬送トレイから分離された用紙表面から排紙トレイ39表面の間に電波強度の境界線が来るように出力調整を行う。ハンディ端末100は、出力調整を変えながら通信状態を判定し、通信が良好な出力を決定する。したがって、画像形成装置200が異なっても同じハンディ端末100で通信することができる。なお、ユーザがハンディ端末100を操作して、数段階(例えば1〜5段階)から出力を調整してもよい。
【0074】
〔2つのアンテナの配置について〕
続いて、2つのアンテナの配置について説明する。図9は、円偏波と直線偏波のいずれかを選択して発信可能なアンテナの構造を模式的に説明する図の一例である。図9(a)はハンディ端末100の上面図を、図9(b)の左図はハンディ端末100の上面図における円偏波アンテナ80を、図9(b)の右図はハンディ端末100の上面図における直線偏波アンテナ90を、図9(c)の左図はハンディ端末100の側面図における円偏波アンテナ80を、図9(c)の右図はハンディ端末100の側面図における直線偏波アンテナ90を、図9(d)の左図はハンディ端末100の上面図における円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を、図9(d)の右図はハンディ端末100の側面図における円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を、それぞれ示す。
【0075】
上記のように、円偏波アンテナ80又は直線偏波アンテナ90は、ハンディ端末100の背面に配置されることが好ましい。図9(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80は、ハンディ端末100の外形に対して、片側に偏る形(液晶の背面)に配置されている。図9(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80を上面から見ると円偏波は放射状に発信され、ハンディ端末100の一部(を偏った方の側)をカバーする。
【0076】
また、図9(c)の左図に示すように、円偏波アンテナ80を側面から見ると、上面図における円偏波アンテナ80の中心を軸に、回転する電波が発信される。
【0077】
また、図9(b)の右図に示すように、直進波アンテナは、ハンディ端末100の上面視の外形をほぼ全面に覆う形で配置されている。このため、直線偏波アンテナ90から発信される直線偏波は全体から放射上に進行し、ハンディ端末100の周囲を全てカバーする。また、図9(c)の右図に示すように、直線偏波アンテナ90を側面から見ると、直線偏波はハンディ端末100の長手方向に振幅しながら、直線偏波アンテナ90の長手方向に垂直に進行する。
【0078】
ユーザがスタンドアローンでハンディ端末100を使用する際は円偏波により、画像形成装置搭載時は直線偏波により、それぞれ通信を行うため、図9(b)(c)の二つのアンテナをハンディ端末100に混在させる。そのハンディ端末100が図9(d)に示す形態のものである。図9(d)に示すように、位置が偏るように液晶表示部14の背面に円偏波アンテナ80を、略全面に直線偏波アンテナ90を配置し、上面視において円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90とが重畳している。図では、円偏波アンテナ80を直線偏波アンテナ90よりも内側に配置したが、円偏波アンテナ80を直線偏波アンテナ90よりも外側に配置してもよい。また、円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90が重複しないように、直線偏波アンテナ90を短くしてもよい。
【0079】
〔印刷と通信の同時処理〕
図6のフローチャート図にて説明したように、利用時に有効にするアンテナを切り替ることにより、ハンディ端末100の使用態様に応じて電波の偏波を最適化する。以下、図9(d)の円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90を備えるハンディ端末100において、用紙への印字とリード・ライト処理を平行に実行する際の、用紙と電波の関係を説明する。
【0080】
図10は、円偏波アンテナ80と直線偏波アンテナ90の通信範囲を模式的に説明する図の一例である。図10(a)は、排紙が開始され用紙の端部がハンディ端末100に到達した際の、ハンディ端末100と用紙の上面図を示す。車線で示したICタグ150は、通信が可能な範囲を模式的に示すものである。図10(a)ではICタグ150は用紙の長手方向(搬送方向)の端部であって短手方向(主走査方向)の端部(以下、単に左端という)に存在する。
【0081】
図10(b)の左図は円偏波アンテナ80から電波を発信した場合を、図10(b)の右図は直進偏波アンテナから電波を発信した場合を、それぞれ示す。図10(b)の左図に示すように、円偏波アンテナ80から電波を発信した場合、用紙の全てを通信範囲がカバーしないが、円偏波アンテナ80の位置がICタグ150の位置に偏っているので、図10(b)の左図では円偏波アンテナ80により通信可能である。
【0082】
これに対し、図10(c)に示すようにICタグ150が用紙の左端に存在する場合、図10(d)の左図に示すように、円偏波がICタグ150の位置をカバーできず、円偏波アンテナ80により通信不能である。したがって、円偏波アンテナ80により円偏波を発信した場合は、ハンディ端末100の直下を通過していくICタグ150との通信を100%カバーできるとは限らない。
【0083】
一方、図10(b)の右図に示すように、直進偏波アンテナから電波を発信した場合、用紙の全てを通信範囲がカバーする。したがって、図10(a)のように用紙の左側にICタグ150が存在しても、図10(c)のように用紙の右側にICタグ150が存在しても、直進偏波であれば、用紙におけるICタグ150の位置にかかわらず、リード・ライトが可能である。すなわち、ハンディ端末100の全面が直線偏波アンテナ90により覆われているハンディ端末100は、ハンディ端末100の直下を通過していくICタグ150との通信を100%カバー可能である。
【0084】
このような円偏波アンテナの不都合を、円偏波アンテナの出力を増大することで解消することが考えられる。
【0085】
図11は、円偏波アンテナ80を有するハンディ端末100において、通信領域を増やすための手段を模式的に示す図の一例である。図11(a)はハンディ端末100に搭載する円偏波アンテナ80の数を増大する場合を、図11(b)は円偏波アンテナ80の出力を増大した場合をそれぞれ示す。
【0086】
図11(a)に示すように、ハンディ端末100に円偏波アンテナ80を増設した場合(3個の円偏波アンテナ80を搭載)、選択的に円偏波アンテナ80を有効にしていずれか1以上の円偏波アンテナ80から電波を発信することが考えられる。しかし、どのアンテナの下をICタグ150が通過するのか(用紙のどこにICタグ150が存在するか)を事前に知るすべがない場合が多く、結局、3個全ての円偏波アンテナ80から電波を出力し、制御を行う必要がある。一般に、アンテナの数が増えるとその増設分だけ制御が複雑になり、また、電力消費が増加する。したがって、本実施形態が特徴とするように、円偏波アンテナ80を1個搭載し、ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した場合には、1個の直線偏波アンテナ90でICタグ150のリード・ライトを実行するほうが合理的な構造であるといえる。
【0087】
図11(b)に示すように、1個の円偏波アンテナ80の出力を上げ、用紙幅の全域を通信範囲でカバーした場合、用紙におけるICタグ150の位置にかかわらず、円偏波アンテナ80の下をICタグ150が通過しなくても、通信が可能となる。通信範囲を広げれば、確かに通信不可であったICタグ150の通信も可能となる。しかし、通信範囲拡がると本来通信対象でないICタグ150も通信可能となってしまうため、誤検出による通信不良が増える。
【0088】
このことは、通信できないという意味の通信不良でないが、通信すべきでないICタグ150とリード・ライトすることも通信不良として扱うべきなので、単純に円偏波アンテナ80の出力を上げるだけでは最適な構成とはいえない。また、アンテナの出力を上げれば、その分、電力消費が増加することにもなる。したがって、本実施形態が特徴とするように、円偏波アンテナ80を1個搭載し、ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した場合には、1個の直線偏波アンテナ90でICタグ150のリード・ライトを実行するほうが合理的な構造であるといえる。
【0089】
〔印刷終了後〕
続いて、印刷終了後、排紙トレイ39に排紙された用紙のICタグ150とハンディ端末100との通信について説明する。
図12は、排紙完了後の用紙のICタグ150と、給紙前の用紙のICタグ150のいずれとも通信が不可能な位置に搭載されたハンディ端末100を示す図である。図12において図8と同一部には同一の符号を付しその説明は省略する。図12では、用紙の左端にICタグ150が配置されている。
【0090】
給紙トレイ41の用紙は搬送ローラ37により画像形成装置200の奥側から手前側に先端を方向転換して給紙される。したがって、図12の上面図に示すように、給紙トレイ41の用紙のICタグ150は、直線偏波アンテナ90よりも画像形成装置200の奥側に位置する(上面図では点線で示した)。これに対し、排紙された用紙のICタグ150は、用紙の先端と同様に画像形成装置200の最も手前側に位置する。なお、用紙のICタグ150は、給紙トレイ41と排紙後で表裏が逆になる。
【0091】
上述したように、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100は直線偏波アンテナ90を有効にするので、ICタグ150と通信可能になる領域は、ハンディ端末周囲とハンディ端末直下である。用紙におけるICタグ150の配置位置が排紙方向の先端であった場合、給紙前の給紙トレイ41にある用紙のICタグ150は、鉛直方向に搬送ベルト38の高さ以上の距離、水平方向に給紙トレイ41の奥側の端部とハンディ端末100の距離、ハンディ端末100と離れた位置にあることになる。
【0092】
したがって、直線偏波アンテナ90の電波の到達距離を考慮すると、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100が、給紙トレイ41にある用紙のICタグ150と通信することは不可能であり、ハンディ端末100と給紙トレイ41の相対的な位置関係を図示するように離間することで、給紙トレイ41にある用紙のICタグ150との誤通信を適切に防止するができる。
【0093】
また、印刷終了後の用紙の先端は、ハンディ端末100の通信領域から用紙長だけ離れた位置にあることになる。したがって、画像形成装置200に搭載されたハンディ端末100が、排紙トレイ39にある用紙のICタグ150と通信することは不可能であり、誤通信を防止可能な構成であると言える。
【0094】
以上のように本実施形態のハンディ端末100は、印刷時にのみICタグ150にリード・ライトすることができる。なお、ICタグ150がある用紙の端部を給紙トレイ41の手前側に載置すると、給紙トレイ41に載置された状態では通信を防止できるが、印刷完了後に、ハンディ端末100が用紙のICタグ150と誤通信するおそれがある。このため、用紙を給紙トレイ41に給紙する際は、ICタグ150を奥側に載置するよう用紙のICタグ150の位置が肉眼で把握できるようになっている。
【0095】
〔ハンディ端末100と画像形成装置200の操作〕
ハンディ端末100を画像形成装置200に搭載した際の、ハンディ端末100と画像形成装置200の操作について説明する。
図13(a)は、ハンディ端末100が搭載された画像形成装置200の上面図、図13(b)は一部の拡大図を、それぞれ示す。ハンディ端末100の操作入力部13を利用する場合、図示するように、ハンディ端末100の操作入力部13をユーザが操作できるように、画像形成装置200のケースの上面200aに設けられた搭載口40に、操作入力部13を鉛直上向きに搭載することが好適となる。画像形成装置200の液晶表示部47及び操作キー45は上記のように右利きを想定して、手前の右角に鉛直上向きに配置されている。
【0096】
図示する画像形成装置200の操作キー45は、一般的なものであり、十字キー、ファンクションキー、電源キー、強制排紙キー、キャンセルキーが配置されている。これら各キーは一例であり、一部のキーで他のキーを代用することもできる。また、画像形成装置200は用紙切れ、紙詰まり、インク切れ、通信不良等を警告する警告ランプを備える。
【0097】
また、ハンディ端末100として携帯電話機を想定した場合、ハンディ端末100の操作入力部13には、液晶表示部14と共に十字キー、ファンクションキー及びテンキーが配置されている。ハンディ端末100は、画像形成装置への搭載時、画像形成装置200側から制御されるため、液晶表示部、十字キー、ファンクションキー及びテンキーは不要となる。
【0098】
したがって、画像形成装置200の操作キー45のいくつか(十字キー、ファンクションキー)と液晶表示部はハンディ端末100の操作入力部13とは重複した機能となる。このため、ハンディ端末100か画像形成装置200に、表示と操作の機能を集約し、いずれか一方からICタグ150のリード・ライトに必要な操作を入力してもよい。画像形成装置200の操作キー45の数は機種毎に種々であったりその数が少ない場合があることを考えると、ハンディ端末100に表示と操作の機能を集約することが好適となる。
【0099】
図13(c)は、ハンディ端末100に重複した機能を集約した場合の、ハンディ端末100の操作入力部13と画像形成装置200の操作キー45を示す。ユーザの立ち位置を考えると、ハンディ端末100を横向きにすることが好適となる。ハンディ端末100を横向きにする場合、液晶表示は横表記となり、十字キーはそのまま、テンキーについて横表記が必要なものは表記を変更することになる。テンキーについては、縦横4×3の配列を横向きに90度回転させたものとなる。このような変更は、ハンディ端末100の全面が液晶表示部(タッチパネル)14であ場合は容易に実行でき、ハンディ端末100の専用機であればキーの向きを変更して設計する。
【0100】
この結果、画像形成装置200の操作キー45には、重複ボタンとならない電源キー、強制排紙キー、キャンセルキー、警告ランプが配置される。上記4ボタンのみ画像形成装置200に残す理由は、ハンディ端末100をユーザがスタンドアローンで使用していても、画像形成装置200としての機能を維持するためである。
【0101】
4ボタンの機能について以下に説明する。
電源キー:画像形成装置200の電源をオン/オフするキー。ハンディ端末100が非搭載でも電源制御は必要な機能である。
強制排紙キー:画像形成装置200内に詰まった用紙を強制的に排紙させるキー。ハンディ端末100が非搭載でも、トラブル回復機能として必要な機能である。
キャンセルキー:画像形成装置200が実施中の処理を強制的にキャンセルさせるキー。
警告ランプ:画像形成装置200に異常が発生したことをユーザに通知するランプ。ハンディ端末100が非搭載時に同ランプが点滅した場合には、ハンディ端末100を搭載することで、ハンディ端末100側の液晶表示部14にエラーに関する表示を実施し、異常解消のための操作が可能となる。
【0102】
本実施形態では、画像形成装置200がICタグに情報を書き込む際に、ハンディ端末100が画像形成装置200と接続されていない状況で、警告内容をハンディ端末100に通知することが有益となる。したがって、画像形成装置200は、ハンディ端末100が画像形成装置200と接続されていない場合、警告ランプを点灯し、接続を促すようにハンディ端末100にメッセージを表示させる。
【0103】
なお、この他の警告についても警告の内容をユーザに通知できるよう、接続を促すメッセージをハンディ端末100に表示させることができる。
【0104】
以上の構成に基づき、画像形成装置200にて警告ランプが必要なエラーが発生した場合に、ハンディ端末100に情報を表示する手順を図14のフローチャート図に基づき説明する。
【0105】
画像形成装置200の制御ユニット34は、まずエラーが発生すると(S110)、警告ランプを点灯させる(S120)。
【0106】
画像形成装置200の操作部が簡易版であって、ハンディ端末100が画像形成装置200から取り外されていた場合、詳細な警告内容をユーザに通知することは出来ない。このような場合、まず、ユーザにハンディ端末100を画像形成装置200に搭載するように促す必要があり、画像形成装置200の2.4GHz無線通信回路31を用いて、画像形成装置200からハンディ端末100に警告が発生したことを通知する(S130)。
【0107】
ハンディ端末100側は、警告が発生した旨の通知を受け取った場合、端末自身がユーザによりスタンドアローンで使用中であるか否かを判断する(S140)。
【0108】
使用中の場合(S140のYes)、ユーザが実施中の作業の邪魔にならないよう、端末制御部16は、液晶表示部14に『画像形成装置に搭載してください』と小さく表示を実施する(S150)。図15(a)は、スタンドアローンで使用中、ハンディ端末100に表示されるメッセージの一例を示す。図示したように、液晶表示部14の半分程度に上記メッセージが表示される。
【0109】
ハンディ端末100が未使用の場合(S140のNo)、端末制御部16は、全画面表示にて『画像形成装置に搭載してください』と表示をおこなう(S160)。図15(b)は、ハンディ端末100が未使用の場合、ハンディ端末100に表示されるメッセージの一例を示す。図示したように、液晶表示部14の全画面に目立つように上記メッセージが表示される。
【0110】
同表示を見たユーザが、ハンディ端末100を画像形成装置200の所定の搭載口40に搭載する(S170)。これにより、ハンディ端末100と画像形成装置200が、2.4GHz無線通信回路31又はUSBI/F32で通信し、ハンディ端末100は画像形成装置200の操作部としての機能を開始する(S180)。
【0111】
したがって、このように画像形成装置200の操作部にハンディ端末100を適用することで、ハンディ端末100をスタンドアローンで使用していても、ハンディ端末100の活用の幅を広げることができ、特に、警告内容を的確にユーザに通知できる。
【0112】
以上説明したように、本実施形態のハンディ端末100によれば、スタンドアローン使用時と画像形成装置200への搭載時とで、直線偏波アンテナ90と円偏波アンテナ80を切り替えることで、印刷時に所望の用紙のICタグ150とのみ通信することができ、かつ、スタンドアローン使用時には比較的交信角度を広げることができ容易に所望のICタグ150と通信することを可能にできる。
【0113】
また、画像形成装置200にハンディ端末100を搭載した場合には、ハンディ端末100のユーザインターフェイスを活用して、画像形成装置200の使い勝手を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】ハンディ端末が搭載された画像形成装置の概略構成図の一例である。
【図2】直線偏波を模式的に示す図の一例である。
【図3】円偏波を模式的に示す図の一例である。
【図4】ハンディ端末の外観の一例を示す図である。
【図5】ハンディ端末、画像形成装置及びICタグの機能ブロック図の一例をそれぞれ示す図である。
【図6】ハンディ端末が円偏波アンテナと直線偏波アンテナのいずれかを選択的に有効にする手順を示すフローチャート図の一例である。
【図7】用紙の排紙が開始される前の用紙とハンディ端末の関係を模式的に示す図の一例である。
【図8】用紙の排紙が開始された後の用紙とハンディ端末の関係を模式的に示す図の一例である。
【図9】円偏波と直線偏波のいずれかを選択して発信可能なアンテナの構造を模式的に説明する図の一例である。
【図10】円偏波アンテナと直線偏波アンテナの通信範囲を模式的に説明する図の一例である。
【図11】円偏波アンテナを有するハンディ端末において、通信領域を増やすための手段を模式的に示す図の一例である。
【図12】排紙完了後の用紙のICタグと、給紙前の用紙のICタグのいずれとも通信が不可能な位置に搭載されたハンディ端末を示す図の一例である。
【図13】ハンディ端末が搭載された画像形成装置の上面図及び一部の拡大図の一例である。
【図14】画像形成装置にて警告ランプが必要なエラーが発生した場合に、ハンディ端末に情報を表示する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図15】スタンドアローンで使用中又は不使用時、ハンディ端末に表示されるメッセージの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0115】
13 操作入力部
14 液晶表示部
15 リーダライタ制御部
16 端末制御部
17,31 2.4GHz無線通信回路
18,32 USBI/F
34 制御ユニット
40 搭載口
80 円偏波アンテナ
90 直線偏波アンテナ
100 ハンディ端末
150 ICタグ
200 画像形成装置(インクジェットプリンタ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICタグと通信してICタグのメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末において、
画像形成装置と接続されているか否かを判定する判定手段と、
ICタグに電波を発信する第1のアンテナと、第1のアンテナとは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナと、を有し、
画像形成装置に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナと第2のアンテナを切り替えてICタグと通信する、
ことを特徴とするハンディ端末。
【請求項2】
第1のアンテナは円偏波を発信し、第2のアンテナは直線偏波を発信する場合、
画像形成装置に接続された場合には第2のアンテナでICタグと通信し、
画像形成装置に接続されていない場合には第1のアンテナでICタグと通信する、
ことを特徴とする請求項1記載のハンディ端末。
【請求項3】
有線及び無線のいずれでも画像形成装置と接続可能である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のハンディ端末。
【請求項4】
前記判定手段は、有線により接続する場合はUSBインターフェイスを介して画像形成装置と接続されているか否かを判定し、
無線により接続する場合は、無線通信手段を介して画像形成装置と通信可能か否かにより画像形成装置と接続されているか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項3記載のハンディ端末。
【請求項5】
フラットパネルディスプレイを有し、
画像形成装置と接続された場合、前記フラットパネルディスプレイには、画像形成装置から送信された表示情報が表示される、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のハンディ端末。
【請求項6】
当該ハンディ端末と接続されていないことを画像形成装置が検出し、接続されていないことを示す画像形成装置の警告ランプが点灯した場合、
前記フラットパネルディスプレイに、画像形成装置との接続を促すメッセージを表示する、
ことを特徴とする請求項5記載のハンディ端末。
【請求項7】
ハンディ端末がICタグとの通信以外に使用されている場合に、表示される前記メッセージの大きさは、ハンディ端末がICタグとの通信以外に使用されていない場合よりも小さい、
ことを特徴とする請求項6記載のハンディ端末。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載のハンディ端末と接続する接続手段を有し、
ハンディ端末と接続された場合、
印刷を開始してから終了するまでの間に、印刷対象の用紙が備えるICタグに、情報を書き込むよう前記ハンディ端末に要求する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
給紙トレイの奥側から用紙を搬送する搬送ベルトの端部よりも手前側、かつ、給紙トレイの手前側の端部よりも奥側に、前記ハンディ端末の搭載手段を有する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【請求項1】
ICタグと通信してICタグのメモリに情報を書き込み又はICタグのメモリから情報を読み出すハンディ端末において、
画像形成装置と接続されているか否かを判定する判定手段と、
ICタグに電波を発信する第1のアンテナと、第1のアンテナとは異なる偏波の電波を発信する第2のアンテナと、を有し、
画像形成装置に接続された場合と接続されていない場合とで、第1のアンテナと第2のアンテナを切り替えてICタグと通信する、
ことを特徴とするハンディ端末。
【請求項2】
第1のアンテナは円偏波を発信し、第2のアンテナは直線偏波を発信する場合、
画像形成装置に接続された場合には第2のアンテナでICタグと通信し、
画像形成装置に接続されていない場合には第1のアンテナでICタグと通信する、
ことを特徴とする請求項1記載のハンディ端末。
【請求項3】
有線及び無線のいずれでも画像形成装置と接続可能である、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のハンディ端末。
【請求項4】
前記判定手段は、有線により接続する場合はUSBインターフェイスを介して画像形成装置と接続されているか否かを判定し、
無線により接続する場合は、無線通信手段を介して画像形成装置と通信可能か否かにより画像形成装置と接続されているか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項3記載のハンディ端末。
【請求項5】
フラットパネルディスプレイを有し、
画像形成装置と接続された場合、前記フラットパネルディスプレイには、画像形成装置から送信された表示情報が表示される、
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のハンディ端末。
【請求項6】
当該ハンディ端末と接続されていないことを画像形成装置が検出し、接続されていないことを示す画像形成装置の警告ランプが点灯した場合、
前記フラットパネルディスプレイに、画像形成装置との接続を促すメッセージを表示する、
ことを特徴とする請求項5記載のハンディ端末。
【請求項7】
ハンディ端末がICタグとの通信以外に使用されている場合に、表示される前記メッセージの大きさは、ハンディ端末がICタグとの通信以外に使用されていない場合よりも小さい、
ことを特徴とする請求項6記載のハンディ端末。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載のハンディ端末と接続する接続手段を有し、
ハンディ端末と接続された場合、
印刷を開始してから終了するまでの間に、印刷対象の用紙が備えるICタグに、情報を書き込むよう前記ハンディ端末に要求する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
給紙トレイの奥側から用紙を搬送する搬送ベルトの端部よりも手前側、かつ、給紙トレイの手前側の端部よりも奥側に、前記ハンディ端末の搭載手段を有する、
ことを特徴とする請求項8記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−61314(P2010−61314A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225268(P2008−225268)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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