説明

ハンドオーバ品質評価プログラム

【課題】HO点の抽出およびHO点の無線品質の評価に関する演算負荷を軽減する。
【解決手段】HO品質評価プログラムは、情報処理装置に、第1および第2の基地局間の複数の参照点における、第1および第2の無線信号の受信状況を取得する処理を実行させる(S101)。また、HO品質評価プログラムは、情報処理装置に、第1および第2の無線信号の受信状況に基づいて、複数の参照点間の第1および第2の無線信号の受信状況を推定する処理を実行させる(S102)。また、HO品質評価プログラムは、情報処理装置に、複数の参照点間の第1および第2の無線信号の受信状況に基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を切り替えるためのHO条件を満たすHO点を抽出する処理を実行させる(S103)。また、HO品質評価プログラムは、情報処理装置に、抽出されたHO点の第1および第2の無線信号の信号品質を評価する処理を実行させる(S104)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドオーバ品質評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機などの移動端末装置による無線通信において、移動端末装置の移動にともなって、移動端末装置と無線通信を行う基地局を他の基地局に切り替えることが知られている。以下の説明では、移動端末装置と無線通信を行う基地局を他の基地局に切り替えることをハンドオーバ(HO:Hand Over)といい、移動端末装置と無線通信を行う基地局を他の基地局に切り替える地点をハンドオーバ点(HO点)という。
【0003】
例えば2つの基地局間に、あらかじめ複数のHO点を抽出しておき、抽出されたHO点での電波品質を算出することにより、HO点の抽出位置の妥当性を判断することが知られている。しかしながら、基地局から送信される無線信号の電波状況は、建物などの障害物の影響により、基地局からの単純な距離関数では表されないため、HO点の抽出およびHO点での電波品質の算出は複雑となる。
【0004】
そこで従来、HO点の抽出およびHO点での電波品質の評価は、シミュレータを用いて、移動端末装置が移動するエリア内で移動端末装置の動作をシミュレートすることによって行われてきた。すなわち、HO点の抽出は、移動端末装置が移動するエリア内の各計測点において、ハンドオーバ元およびハンドオーバ先の基地局からの無線信号の受信状況が、あらかじめ設定されたHOの実行条件(HO条件)を満たす地点を抽出することにより行われる。また、HO点での電波品質の評価は、抽出された地点における無線品質を計算することにより行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−35563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術は、HO点の抽出およびHO点の無線品質の評価をするために、移動端末装置の動作を細かくシミュレートするため、シミュレータの演算負荷が大きくなり、また、HO点の抽出およびHO点の無線品質の評価に多くの計算時間がかかる。
【0007】
すなわち、従来技術は、移動端末装置が移動するエリア内の複数の計測点においてくまなくハンドオーバ元およびハンドオーバ先の基地局からの無線信号の受信状況を取得して、取得した受信状況に基づいてHO条件を満たす地点を抽出する。このため、HO点の抽出およびHO点の無線品質の評価に関する演算量は膨大となり、シミュレータの演算負荷が大きくなる。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、HO点の抽出およびHO点の無線品質の評価に関する演算負荷を軽減することができるハンドオーバ品質評価プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示するハンドオーバ品質評価プログラムは、一つの態様において、情報処理装置に、第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点における前記第1の基地局から送信された第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点における前記第2の基地局から送信された第2の無線信号の受信状況とを取得する処理を実行させる。また、ハンドオーバ品質評価プログラムは、情報処理装置に、前記取得された複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と、前記取得された複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とを推定する処理を実行させる。また、ハンドオーバ品質評価プログラムは、情報処理装置に、前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を前記第1の基地局と前記第2の基地局との間で切り替えるためのハンドオーバ条件を満たすハンドオーバ点を抽出する処理を実行させる。また、ハンドオーバ品質評価プログラムは、情報処理装置に、前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示するハンドオーバ品質評価プログラムの一つの態様によれば、HO点の推定およびHO点の無線品質の評価に関する演算負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本実施形態の情報処理装置の全体構成を示す図である。
【図2】図2は、本実施形態の情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図3】図3は、HO条件を満たす点の算出例を示す図である。
【図4】図4は、HO問題事象が発生する点と発生しない点の算出例を示す図である。
【図5】図5は、本実施形態の情報処理装置による処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、地図情報を用いた優先度付けの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示するハンドオーバ品質評価プログラム、ハンドオーバ品質評価方法、および情報処理装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により開示技術が限定されるものではない。以下の実施形態は、複数の基地局のうちのある基地局Aと、基地局Aに隣接する他の基地局Bとの間の評価エリア内でHO点を抽出する例を挙げて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の情報処理装置の全体構成を示す図である。図1に示すように、情報処理装置100は、入出力部102と、メモリ104と、受信状況取得部106と、受信状況推定部108と、HO点抽出部110と、信号品質評価部112と、HO問題発生確率演算部114と、HO条件変更部116とを備える。入出力部102と、メモリ104と、受信状況取得部106と、受信状況推定部108と、HO点抽出部110と、信号品質評価部112と、HO問題発生確率演算部114と、HO条件変更部116とは、互いにデータバス118を介して接続される。
【0014】
入出力部102は、情報処理装置100の外部の装置から各種データを入力および出力する入出力インターフェースである。入出力部102を介して入力された各種データは、メモリ104に格納される。入出力部102からは、例えば基地局Aと基地局Bとの間の複数の参照点における、基地局Aから送信された第1の無線信号の受信状況と基地局Bから送信された第2の無線信号の受信状況とが入力される。また、各参照点において、両方の受信状況が入力されてもよいし、どちらか片方の受信状況が入力されてもよい。メモリ104は、入出力部102を介して入力された各種データの他、情報処理装置100で実行される各種のソフトウェアプログラムを格納する。メモリ104は、例えば基地局Aと基地局Bとの間の複数の参照点における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況を格納する。
【0015】
受信状況取得部106は、基地局Aと基地局Bとの間の複数の参照点における、基地局Aから送信された第1の無線信号の受信状況と基地局Bから送信された第2の無線信号の受信状況とを取得する。例えば、受信状況取得部106は、複数の参照点における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とをメモリ104から読み出して取得する。さらに具体的には、受信状況取得部106は、第1の無線信号の受信状況として、第1の無線信号の受信電波強度または第1の無線信号の信号/雑音比を取得する。また、受信状況取得部106は、第2の無線信号の受信状況として、第2の無線信号の受信電波強度または第2の無線信号の信号/雑音比を取得する。また、受信状況取得部106は、複数の参照点における第1の無線信号の受信状況および第2の無線信号の受信状況を、実測値または電波伝搬シミュレーションにより得られた値として取得する。また、本実施形態では、受信状況取得部106は、正方格子の頂点に位置する複数の参照点における第1の無線信号の受信状況ならびに/もしくは、第2の無線信号の受信状況とを取得する。ただし、参照点は、正方格子の頂点の位置には限られない。また、以下の説明では、第1の無線信号の受信電波強度または第1の無線信号の信号/雑音比を、第1の無線信号の信号/雑音比等といい、第2の無線信号の受信電波強度または第2の無線信号の信号/雑音比を、第2の無線信号の信号/雑音比等という。
【0016】
受信状況推定部108は、受信状況取得部106によって取得された複数の参照点における第1の無線信号の受信状況に基づいて、複数の参照点間における第1の無線信号の受信状況と、複数の参照点における第2の無線信号の受信状況に基づいて、第2の無線信号の受信状況とを推定する。具体的には、受信状況推定部108は、正方格子の各頂点における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とに基づいて、正方格子内の第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とを推定する。さらに具体的には、受信状況推定部108は、正方格子の頂点において第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況が得られる場合には、両者の差分値を線形補間することにより、正方格子内における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況との差分値を推定する。
【0017】
なお、受信状況推定部108は、正方格子に限らず、少なくとも3点の参照点を含む領域ごとに、第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とを推定することができる。この場合、受信状況推定部108は、少なくとも3点の参照点の第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とに基づいて、参照点間における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とを推定することができる。また、受信状況推定部108は、正方格子の頂点における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とから、線形補間による推定式を用いて、正方格子内の各点における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とを推定することができる。
【0018】
HO点抽出部110は、受信状況推定部108によって推定された複数の参照点間における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とに基づいて、HO条件を満たす複数のHO点を推定する。HO条件とは、移動端末装置と通信を行う基地局を基地局Aと基地局Bとの間で切り替える地点(HO点)を推定するための条件である。さらに具体的には、HO条件はあらかじめ設定された閾値であり、HO点抽出部110は、HO条件の閾値と、正方格子内における第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況との差分値とを比較する。
【0019】
信号品質評価部112は、複数の参照点の第1の無線信号の受信状況と第2の無線信号の受信状況とに基づいて、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点における第1の無線信号および第2の無線信号の信号品質を評価する。具体的には、信号品質評価部112は、HO点における第1の無線信号の信号品質として、第1の無線信号の信号/雑音比等を算出する。また、信号品質評価部112は、HO点における第2の無線信号の信号品質として、第2の無線信号の信号/雑音比等を算出する。なお、本実施形態では、信号品質評価部112は、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点における第1の無線信号および第2の無線信号の信号品質を評価する例を挙げるが、これには限られない。すなわち、HO点は、移動端末装置と無線通信を行う基地局を他の基地局に切り替える地点である。しかし、厳密には移動端末装置がHO点を通過したと判定されたらHOが実行されるので、HOが実際に実行されたときには移動端末装置は、HO点から所定の距離だけ離れた位置を通過していることになる。そこで、信号品質評価部112は、移動端末装置の移動速度(例えば移動端末装置の移動速度の平均値)と、移動端末装置がHO点を通過した後HOが実行されるまでの時間(例えば平均時間)とを考慮して、HO点とHOが実行される地点との距離を求める。そして、信号品質評価部112は、HO点から、求められた距離だけ離れた点における第1の無線信号および第2の無線信号の信号品質を評価することもできる。
【0020】
HO問題発生確率演算部114は、信号品質評価部112によって評価された複数のHO点における第1の無線信号および第2の無線信号の信号品質の評価結果に基づいて、複数のHO点でHOを実行した際に問題が発生する確率を算出する。例えば、HO問題発生確率演算部114は、各HO点において信号品質評価部112によって算出された第1の無線信号および第2の無線信号の信号/雑音比等に応じて、そのHO点でHOを実行した際に問題が発生する確率を算出する。第1の無線信号および第2の無線信号の信号/雑音比等が高ければ、HOを実行した際に問題が発生する確率は低くなり、第1の無線信号または第2の無線信号の信号/雑音比等が低ければ、HOを実行した際に問題が発生する確率は高くなる。HO問題発生確率演算部114は、各HO点のHO問題発生確率の平均値を、複数のHO点全体のHO問題発生確率として算出することができる。一方、HO問題発生確率演算部114は、各HO点について、第1の無線信号および第2の無線信号の信号/雑音比等が閾値以上であるか否かを求め、閾値以上であるHO点の数と閾値未満であるHO点の数の割合をHO問題発生確率として算出することもできる。
【0021】
HO条件変更部116は、HO問題発生確率演算部114によって算出されたHO点における問題発生確率が、あらかじめ設定された閾値より高い場合に、HO条件を変更する。
【0022】
図2は、本実施形態の情報処理装置による処理を示すフローチャートである。図3は、HO条件を満たす点の算出例を示す図である。図4は、HO問題事象が発生する点と発生しない点の算出例を示す図である。図2に示すように、まず、受信状況取得部106は、評価エリア内の複数の参照点(正方格子の各頂点)における基地局Aおよび基地局Bから送信された第1および第2の無線信号の電波の受信状況を取得する(ステップS101)。続いて、受信状況推定部108は、複数の参照点での第1および第2の無線信号の受信状況から、正方格子内の任意の点における第1および第2の無線信号の受信状況を推定する(ステップS102)。具体的には、受信状況推定部108は、図3に示す各正方格子の参照点である4つの頂点の第1および第2の無線信号の受信状況を線形補間することにより、各正方格子内の任意の点の第1および第2の無線信号の受信状況を近似して推定する。
【0023】
続いて、HO点抽出部110は、各正方格子内の任意の点の第1および第2の無線信号の受信状況を用いてHO条件を満たす点を抽出する(ステップS103)。具体的には、HO点抽出部110は、例えば第1の無線信号の受信電力値をRxaとし、第2の無線信号の受信電力値をRxbとした場合に、RxaとRxbの差分値がHO条件である閾値(Th)となる点をHO点として抽出する。つまり、HO点抽出部110は、Rxa-Rxb=Thとなる点をHO点109として抽出する。この場合、受信状況推定部108は、各正方格子内の任意の点におけるRxaとRxbの差分値を、正方格子の4つの頂点の第1および第2の無線信号の受信状況から線形補間によって近似する。
【0024】
図3の例では、RxaとRxbの差分値が閾値(Th)以上(Rxa-Rxb ≧ Th)となる参照点200(正方格子の各頂点)については、参照点200の左上に丸印202を付している。また、RxaとRxbの差分値が閾値(Th)未満(Rxa-Rxb < Th)となる参照点200については、参照点200の右下に三角印204を付している。この場合、HO点抽出部110は、RxaとRxbの差分値が閾値 (Th)となる複数のHO点109を抽出する。そして、抽出された複数のHO点109を接続した線が図3の実線210として求められる。実線210で示した線は、HOを実行する境界線になる。
【0025】
図2の説明に戻って、信号品質評価部112は、HO条件を満たす点(HO点109)毎の信号品質を評価する(ステップS104)。具体的には、信号品質評価部112は、HO点109ごとに、第1の無線信号の信号/雑音比等、および第2の無線信号の信号/雑音比等を算出する。続いて、HO問題発生確率演算部114は、HO条件を満たす点毎の信号品質を用いてHO問題事象の発生確率を算出する(ステップS105)。HO問題事象とは、例えばHO点109でハンドオーバを実行した場合に、ハンドオーバ先の基地局から送信された無線信号の信号/雑音比等が低いことや、ハンドオーバ元の基地局から送信された無線信号の信号/雑音比が低いことである。以下、図4を用いて信号品質評価部112の処理およびHO問題発生確率演算部114の処理の具体例を説明する。
【0026】
図4の例は、第1および第2の無線信号の信号品質として、基地局A,Bからの受信電力値(Rx)を用いる場合を例に挙げて説明するものである。なお、図4においては、説明の便宜上、複数のHO点109の図示を省略している。図4に示すように、基地局Aから送信された第1の無線信号の受信電力値が、電波を受信可能な限界値(Lmt)以上(Rxa>Lmt) となる参照点200については、参照点200の右上に四角印206を付している。また、基地局Bから送信された第2の無線信号の受信電力が、電波を受信可能な限界値(Lmt)以上(Rxb>Lmt) となる参照点200については、参照点200の左下にX印208を付している。
【0027】
信号品質評価部112は、評価エリア内において第1の無線信号を受信可能な限界値の境界(二点鎖線220)を求める。また、信号品質評価部112は、評価エリア内において第2の無線信号を受信可能な限界値の境界(一点鎖線230)を求める。そして、信号品質評価部112は、HO点109の集合である実線210のうち、二点鎖線220および一点鎖線230の内側の領域については、基地局Aおよび基地局Bから送信された無線信号が受信可能であると推定する。また、信号品質評価部112は、HO点109の集合である実線210のうち、二点鎖線220または一点鎖線230の外側の領域については、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定する。
【0028】
図4においては、HO点109の集合である実線210のうち、基地局Aおよび基地局Bから送信された無線信号が受信可能であると推定された部分を破線210aで示している。また、HO点109の集合である実線210のうち、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定された部分を点線210bで示している。複数のHO点109のうち、破線210aで示した部分は、HO時に問題事象が発生しない箇所と推定され、点線210bで示した部分は、HO時に問題事象が発生する箇所と推定される。
【0029】
HO問題発生確率演算部114は、破線210aの長さと、点線210bの長さとの割合を求めることによって、HO時に問題が発生する確率を算出することができる。また、HO問題発生確率演算部114は、複数のHO点109それぞれについて、第1および第2の無線信号の信号/雑音比等に基づいてHO時に問題が発生する確率を算出することができる。また、HO問題発生確率演算部114は、各HO点109の問題発生確率を平均することによって、複数のHO点109の全体としての問題発生確率を算出することができる。なお、情報処理装置100は、抽出された各HO点109において、問題事象が発生する確率が閾値より高い場合には、問題事象が解決されるように、例えば基地局Aまたは基地局Bから送信される無線信号の送信電力などの局パラメタを変更することもできる。
【0030】
以上のように、本実施形態は、複数の参照点200における第1の無線信号および第2の無線信号の受信状況に基づいて、参照点200間における第1の無線信号および第2の無線信号の受信状況を推定する。また、本実施形態は、推定された第1の無線信号および第2の無線信号の受信状況に基づいて、HO点109を抽出する。また、本実施形態は、推定された第1の無線信号および第2の無線信号の受信状況に基づいて、抽出されたHO点109における無線信号の品質を評価する。したがって、評価エリア内でくまなく第1の無線信号および第2の無線信号の受信状況を取得する従来技術に比べて、HO点109の抽出およびHO点109の無線品質の評価に関する演算負荷を軽減することができる。また、本実施形態は、HO点109の抽出には無線信号の受信電力値や信号/雑音比の差分値を用いるのに対して、抽出したHO点109の無線品質の評価には、HO点の無線信号の受信電力値や信号/雑音比の絶対値を用いる。これにより、抽出したHO点109の評価を適切に行うことができる。
【0031】
図5は、本実施形態の情報処理装置による処理を示すフローチャートである。図5に示すように、HO条件変更部116は、まず、あるHO条件において、HO問題発生確率演算部114によって算出されたHO問題事象の発生確率を取得する(ステップS201)。続いて、HO条件変更部116は、HO条件を修正する(ステップS202)。続いて、HO条件変更部116は、変更されたHO条件において、HO問題発生確率演算部114によって算出されたHO問題事象の発生確率を取得する(ステップS203)。
【0032】
続いて、HO条件変更部116は、取得したHO問題事象の発生確率が終了条件を満たすか否かを判定する(ステップS204)。具体的には、HO条件変更部116は、取得したHO問題事象の発生確率が、終了条件としてあらかじめ設定された閾値より高いか否かを判定する。HO条件変更部116は、取得したHO問題事象の発生確率が終了条件を満たさない場合は(ステップS204でNo)、ステップS202に戻り、再度ステップS202およびステップS203を実行する。一方、HO条件変更部116は、取得したHO問題事象の発生確率が終了条件を満たす場合は(ステップS204でYes)、処理を終了する。
【0033】
なお、HO条件変更部116によってHO条件が変更された場合には、HO点抽出部110は、変更されたHO条件を用いて再度HO点109を抽出する。また、HO条件変更部116によってHO条件が変更された場合には、信号品質評価部112は、変更されたHO条件を用いて抽出されたHO点109における第1の無線信号の信号品質と第2の無線信号の信号品質を評価する。また、HO条件変更部116によってHO条件が変更された場合には、HO問題発生確率演算部114は、変更されたHO条件を用いて抽出されたHO点109における問題発生確率を算出する。
【0034】
以上のように、本実施形態は、HO問題事象の発生確率が終了条件を満たすまで、HO条件を変更しながらHO点109を繰り返し抽出するので、最適なHO点109を抽出することができる。
【0035】
図6は、地図情報を用いた優先度付けの例を示す図である。図6は、地図情報を用いた優先度付けの一例として、ある評価エリアに川300が流れており、川300には橋302aと橋302bが架けられており、橋302aには鉄道の線路306aが通り、橋302bには道路306bが通る例を挙げて説明する。また、図6には、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点109のうち、基地局Aおよび基地局Bから送信された無線信号が受信可能であると推定された部分である破線210aが示されている。また、図6には、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点のうち、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定された部分である点線210bが示されている。なお、図6では、説明の便宜上、複数のHO点109の図示を省略している。
【0036】
図6において、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点109と線路306aとが交差する領域310は、点線210bになっているため、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定される。また、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点109と道路306bとが交差する領域320は、点線210bになっているため、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定される。一方、HO点抽出部110によって抽出された複数のHO点109と川300とが交差する領域330は、点線210bになっているため、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないと推定される。領域330は、川300であり、移動端末装置が通過する頻度が低いため、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できなくても支障はない。一方、領域310および領域320は、線路306aおよび道路306bであり、移動端末装置が通過する頻度が高いため、基地局Aまたは基地局Bから送信された無線信号が受信できないのは好ましくない。
【0037】
そこで、HO条件変更部116は、複数のHO点109それぞれについて、移動端末装置が通過する頻度を推定し、頻度が高いと推定されるHO点109から優先して、HO点109の問題発生確率があらかじめ設定された閾値より低くなるように、HO条件を変更することができる。つまり、図6の例では、領域310および領域320のHO点109を優先して、基地局Aおよび基地局Bから送信された無線信号が受信可能であると推定される破線210aとなるように、HO条件を変更する。
【0038】
より具体的には、メモリ104に、基地局Aと基地局Bとの間の移動端末装置の過去の移動履歴情報を格納しておき、HO条件変更部116は、メモリ104に格納された移動履歴情報に基づいて、HO点109を移動端末装置が通過する頻度を推定することができる。また、メモリ104に、HO点109における土地利用情報を格納しておき、HO条件変更部116は、メモリ104に格納された土地利用情報に基づいて、HO点109を移動端末装置が通過する頻度を推定することもできる。ここで、土地利用情報とは、評価エリア内の土地がどのように利用されているかを表す情報であり、具体的には、川300、線路306a、および道路306bなどの情報である。また、メモリ104に、HO点109における交通統計情報を格納しておき、HO条件変更部116は、メモリ104に格納された交通統計情報に基づいて、HO点109を移動端末装置が通過する頻度を推定することができる。ここで、交通統計情報とは、例えば川300における船の往来、線路306aにおける列車の往来、および道路306bにおける車の往来の統計情報である。
【0039】
以上のように、本実施形態は、移動端末装置が通過する頻度が高いと推定されるHO点109から優先して、HO点109の問題発生確率があらかじめ設定された閾値より低くなるようにHO条件を変更する。したがって、HO点109の推定およびHO点109の無線品質の評価に関する演算負荷を軽減することができる。
【0040】
また、上記の説明では、HO問題発生確率演算部114が、抽出された複数のHO点109の全体としてのHO問題事象の発生確率を算出する例を挙げて説明したが、これには限られない。すなわち、HO問題発生確率演算部114は、HO点109を移動端末装置が通過する頻度に応じて、各HO点109の問題発生確率を重み付けし、重み付けされた各HO点109の問題発生確率の総和を算出することができる。
【0041】
例えば、図6の例では、HO問題発生確率演算部114は、領域310は移動端末装置の通過の頻度が特に高いので、領域310におけるHO点109の問題発生確率の重み付けを「10」に設定して重くする。また、HO問題発生確率演算部114は、領域320は移動端末装置の通過の頻度が高いので、領域320におけるHO点109の問題発生確率の重み付けを「7」に設定して重くする。一方、HO問題発生確率演算部114は、領域330は移動端末装置の通過の頻度が低いので、領域330におけるHO点109の問題発生確率の重み付けを「1」に設定して軽くする。そして、HO問題発生確率演算部114は、各HO点109の重み付けがなされた問題発生確率の総和を算出する。この場合、HO条件変更部116は、HO問題発生確率演算部114によって算出された各HO点109の問題発生確率の総和が最小となるように、HO条件を変更することができる。なお、情報処理装置100は、各HO点109の重み付けがなされた問題発生確率の総和が最小となるように、例えば基地局Aまたは基地局Bから送信される無線信号の送信電力などの局パラメタを変更することもできる。
【0042】
以上のように、本実施形態では、HO問題発生確率演算部114が、移動端末装置が通過する頻度に応じて、各HO点109の問題発生確率を重み付けし、重み付けされた各HO点109の問題発生確率の総和を算出する。そして、本実施形態では、HO条件変更部116が、HO問題発生確率演算部114によって算出された各HO点109の問題発生確率の総和が最小となるように、HO条件を変更する。したがって、本実施形態は、移動端末装置の通過頻度が高いHO点109の問題発生確率を重点的に低くすることができる。
【0043】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0044】
(付記1)情報処理装置に、
第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点における前記第1の基地局から送信された第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点における前記第2の基地局から送信された第2の無線信号の受信状況とを取得し、
前記取得された複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と、前記取得された複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とを推定し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を前記第1の基地局と前記第2の基地局との間で切り替えるためのハンドオーバ条件を満たすハンドオーバ点を抽出し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する
処理を実行させることを特徴とするハンドオーバ品質評価プログラム。
【0045】
(付記2)前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質の評価結果に基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点でハンドオーバを実行した際に問題が発生する確率を算出する
処理を前記情報処理装置にさらに実行させる
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0046】
(付記3)前記推定処理は、前記複数の参照点のうち少なくとも3点の参照点を含む領域ごとに、該領域の少なくとも3点の参照点の前記第1の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点のうち少なくとも3点の参照点を含む領域ごとに、該領域の少なくとも3点の参照点の前記第2の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とを推定する
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0047】
(付記4)前記第1の無線信号の受信状況は、前記第1の無線信号の受信電波強度または前記第1の無線信号の信号/雑音比であり、
前記第2の無線信号の受信状況は、前記第2の無線信号の受信電波強度または前記第2の無線信号の信号/雑音比である
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0048】
(付記5)前記取得処理は、前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況および、前記複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況を、実測値または電波伝搬シミュレーションにより得られた値として取得する
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0049】
(付記6)前記推定処理は、前記複数の参照点において、前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況の両方が得られる場合において、前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況との差分値を線形補間することにより、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況との差分値を推定し、
前記抽出処理は、前記推定された差分値が前記ハンドオーバ条件を満たす点を前記ハンドオーバ点として抽出する
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0050】
(付記7)前記推定処理は、正方格子の頂点に位置する前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とを推定し
前記抽出処理は、前記推定された正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記ハンドオーバ点を抽出し、
前記評価処理は、前記推定された正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記ハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する
ことを特徴とする付記1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0051】
(付記8)前記抽出されたハンドオーバ点における問題発生確率が、あらかじめ設定された閾値より高い場合に、前記ハンドオーバ条件を変更する処理
を前記情報処理装置にさらに実行させ、
前記抽出処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて再度前記ハンドオーバ点を抽出し、
前記評価処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号の信号品質と前記第2の無線信号の信号品質を評価し、
前記算出処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質の評価結果に基づいて、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における問題発生確率を算出する
ことを特徴とする付記2に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0052】
(付記9)前記変更処理は、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度を推定し、前記頻度が高いと推定されるハンドオーバ点から優先して、該ハンドオーバ点の前記問題発生確率があらかじめ設定された閾値より低くなるように、前記ハンドオーバ条件を変更する
ことを特徴とする付記8に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0053】
(付記10)前記変更処理は、前記第1の基地局と前記第2の基地局との間の前記移動端末装置の過去の移動履歴情報に基づいて、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度を推定する
ことを特徴とする付記9に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0054】
(付記11)前記変更処理は、前記ハンドオーバ点における土地利用情報に基づいて、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度を推定する
ことを特徴とする付記9に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0055】
(付記12)前記変更処理は、前記ハンドオーバ点における交通統計情報に基づいて、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度を推定する
ことを特徴とする付記9に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0056】
(付記13)前記算出処理は、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度に応じて、各ハンドオーバ点の前記問題発生確率を重み付けし、重み付けされた各ハンドオーバ点の問題発生確率の総和を算出し、
前記変更処理は、前記算出された各ハンドオーバ点の問題発生確率の総和が最小となるように、前記ハンドオーバ条件を変更する
ことを特徴とする付記9に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【0057】
(付記14)第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点において、前記第1の基地局から送信された第1の無線信号の受信状況と、第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点において、前記第2の基地局から送信された第2の無線信号の受信状況とを取得し、
前記取得された複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記取得された複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況に基づいて、前記第2の無線信号の受信状況とを推定し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を前記第1の基地局と前記第2の基地局との間で切り替えるためのハンドオーバ条件を満たすハンドオーバ点を抽出し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する
ことを特徴とするハンドオーバ品質評価方法。
【0058】
(付記15)第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点において、前記第1の基地局から送信された第1の無線信号の受信状況と、第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点において、前記第2の基地局から送信された第2の無線信号の受信状況とを取得する受信状況取得部と、
前記受信状況取得部によって取得された複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記受信状況取得部によって取得された複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況に基づいて、前記第2の無線信号の受信状況とを推定する受信状況推定部と、
前記受信状況推定部によって推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記受信状況推定部によって推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を前記第1の基地局と前記第2の基地局との間で切り替えるためのハンドオーバ条件を満たすハンドオーバ点を抽出するハンドオーバ点抽出部と、
前記受信状況推定部によって推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記受信状況推定部によって推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記ハンドオーバ点抽出部によって抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する信号品質評価部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0059】
100 情報処理装置
102 入出力部
104 メモリ
106 受信状況取得部
108 受信状況推定部
110 HO点抽出部
112 信号品質評価部
114 HO問題発生確率演算部
116 HO条件変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に、
第1の基地局と第2の基地局との間の複数の参照点における前記第1の基地局から送信された第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点における前記第2の基地局から送信された第2の無線信号の受信状況とを取得し、
前記取得された複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と、前記取得された複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とを推定し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、移動端末装置と通信を行う基地局を前記第1の基地局と前記第2の基地局との間で切り替えるためのハンドオーバ条件を満たすハンドオーバ点を抽出し、
前記推定された複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記推定された複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する
処理を実行させることを特徴とするハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項2】
前記抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質の評価結果に基づいて、前記抽出されたハンドオーバ点でハンドオーバを実行した際に問題が発生する確率を算出する
処理を前記情報処理装置にさらに実行させる
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項3】
前記推定処理は、前記複数の参照点のうち少なくとも3点の参照点を含む領域ごとに、該領域の少なくとも3点の参照点の前記第1の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と、前記複数の参照点のうち少なくとも3点の参照点を含む領域ごとに、該領域の少なくとも3点の参照点の前記第2の無線信号の受信状況に基づいて、前記複数の参照点間における前記第2の無線信号の受信状況とを推定する
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項4】
前記第1の無線信号の受信状況は、前記第1の無線信号の受信電波強度または前記第1の無線信号の信号/雑音比であり、
前記第2の無線信号の受信状況は、前記第2の無線信号の受信電波強度または前記第2の無線信号の信号/雑音比である
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項5】
前記取得処理は、前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況および、前記複数の参照点における前記第2の無線信号の受信状況を、実測値または電波伝搬シミュレーションにより得られた値として取得する
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項6】
前記推定処理は、前記複数の参照点において、前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況の両方が得られる場合において、前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況との差分値を線形補間することにより、前記複数の参照点間における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況との差分値を推定し、
前記抽出処理は、前記推定された差分値が前記ハンドオーバ条件を満たす点を前記ハンドオーバ点として抽出する
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項7】
前記推定処理は、正方格子の頂点に位置する前記複数の参照点における前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とを推定し
前記抽出処理は、前記推定された正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記ハンドオーバ点を抽出し、
前記評価処理は、前記推定された正方格子内の前記第1の無線信号の受信状況と前記第2の無線信号の受信状況とに基づいて、前記ハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質を評価する
ことを特徴とする請求項1に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項8】
前記抽出されたハンドオーバ点における問題発生確率が、あらかじめ設定された閾値より高い場合に、前記ハンドオーバ条件を変更する処理
を前記情報処理装置にさらに実行させ、
前記抽出処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて再度前記ハンドオーバ点を抽出し、
前記評価処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号の信号品質と前記第2の無線信号の信号品質を評価し、
前記算出処理は、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における前記第1の無線信号および前記第2の無線信号の信号品質の評価結果に基づいて、前記変更されたハンドオーバ条件を用いて抽出されたハンドオーバ点における問題発生確率を算出する
ことを特徴とする請求項2に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。
【請求項9】
前記変更処理は、前記ハンドオーバ点を前記移動端末装置が通過する頻度を推定し、前記頻度が高いと推定されるハンドオーバ点から優先して、該ハンドオーバ点の前記問題発生確率があらかじめ設定された閾値より低くなるように、前記ハンドオーバ条件を変更する
ことを特徴とする請求項8に記載のハンドオーバ品質評価プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate