説明

ハンドヘルドオブジェクトの加速度からハンドヘルドオブジェクトの位置を求める方法及びシステム

【課題】クリーニングや特別な表面を必要とせず、三次元トラッキングを必要とするアプリケーションをサポートできるハンドヘルドオブジェクトのシステム等を提供する。
【解決手段】ハンドヘルドオブジェクト100の加速度からこのハンドヘルドオブジェクト100の位置を求める方法であって、ハンドヘルドオブジェクト100の変位の測定値を、部分的にこのハンドヘルドオブジェクト100の加速度の測定値から導き出してハンドヘルドオブジェクト100の変位の測定値を生成することと、部分的にハンドヘルドオブジェクト100の変位に基づいて、ハンドヘルドオブジェクト100の位置の測定値を生成することと、ハンドヘルドオブジェクト100の位置の測定値を出力して、この位置の測定値を、ハンドヘルドオブジェクト100に応答するアプリケーションプログラムに供給することとを含むことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ハンドヘルドオブジェクトの加速度からそのオブジェクトの位置を求める方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
マウス等のデータ入力装置はマウスの動きをトラッキングする機構を備えている。マウスの動きは、マウスユーザが望む画面上のインジケータ(たとえば、カーソル)を位置決めするために用いられる。しかし、多くの従来のデータ入力システムは、欠点の中でも特に、三次元画面上のインジケータを位置決めするために入力装置の三次元トラッキングが必要なグラフィックスアプリケーション等の最先端のアプリケーションをサポートするように装備されていない。
【0003】
従来のマウスは、金属又はプラスチックの筐体又はケースと、ケースの底から突出した球を備えている場合がある。マウスは平面上で転がすことができ、ケースの上部に1つ又は複数のボタンと、マウスをコンピュータに接続するケーブルを有する場合がある。球が面上を任意の方向に移動すると、回転センサ(電気機械変換器)がインパルスをコンピュータに送り、これによりマウス応答プログラムに画面上インジケータ(たとえば、カーソル)を表示画面上で位置変更させる。位置決めは一般に、或る可変開始位置に対して相対的である。表示画面上でのカーソルの現在位置に留意することにより、ユーザはマウスを動かすことによって画面上インジケータの位置を精密に再調整することができる。
【0004】
光学マウスは、上述した従来のマウスの球及び電気機械変換器に代えて発光ダイオード、光センサ、及びデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用する。動きは、回転する球の動きを判断することによってではなく、反射光の変化を感知することによって検出される。
【0005】
光学マウスは、マウスが位置決めされている表面の微視的なスナップショットを毎秒1000画像を超える速度で撮影する。マウスが移動すると、表面の画像が変化する。表面のごくわずかな不規則性でも、センサ及びDSPが使用可能な移動データを生成できる画像を生成することが可能である。最良の表面は、たとえば白紙の白色画用紙等、光を散乱させずに反射するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマウスシステムには、位置を求めるために機械式球及び回転センサ又は光学的ピックアップの使用に頼ることに端を発する多くの欠点がある。機械式球及び回転センサを採用する装置は押しなべて、クリーニングが必要な可動部を有する。さらに、光学系に頼る装置は、適切に機能するために特別な表面を必要とする。表面によっては(たとえば、艶消しのないガラス)表面の不規則性が小さすぎて検出することができないため、センサ及びDSPが適切に機能することができないものがあることを理解されたい。さらに、上述したように多くの従来の装置は、三次元画面上のインジケータを位置決めするために入力装置の三次元トラッキングを必要とするグラフィックスアプリケーション等の最先端のアプリケーションをサポートしない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、ハンドヘルドオブジェクトの加速度からそのハンドヘルドオブジェクトの位置を求めることに関する。一実施形態では、ハンドヘルドオブジェクトの変位測定値が、部分的にハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値から導き出される。ハンドヘルドオブジェクトの変位に基づいてハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値が生成され、出力される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本明細書に援用されてその一部を成す添付図面は発明の実施形態を示し、説明と併せて本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0009】
この説明において参照する図面は、特記される場合を除き一定の縮尺で描かれているものと理解すべきではない。
【0010】
これより、例を添付図面に示す本発明の各種実施形態を詳細に参照する。本発明についてこれら実施形態と併せて説明するが、本発明をこれら実施形態に限定することを意図しないことが理解されよう。逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲により規定される本発明の精神及び範囲内に含むことができる代替、変更、及び等価物の包含を意図する。さらに、本発明の以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために多くの特定の詳細について述べる。場合によっては、既知の方法、手順、構成要素、及び回路については本発明の態様を不必要に曖昧にしないように詳細に説明していない。
【0011】
以下の考察では、用語「位置」は一次元、二次元、又は三次元の位置を指すことを意図する。さらに、用語「加速度」、「速度」、及び「変位」はそれぞれ一次元、二次元、又は三次元の「加速度」、「速度」、又は「変位」を指すことを意図する。本明細書において参照する加速度計は、当該技術分野において既知の加速度に比例する電圧を生成するタイプのものであることを理解されたい。
【0012】
[本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの位置を求める例示的なシステム]
図1は、本発明の一実施形態によりハンドヘルドオブジェクト100の加速度に基づいてハンドヘルドオブジェクト100の位置を求めるシステム200を備えたハンドヘルドオブジェクト100を示す。図1の実施形態は、図1にマウスとして示すハンドヘルドオブジェクト100、ハンドヘルドオブジェクトの位置を求めるシステム200、並びに加速度計A、B及びCを備える。
【0013】
上述したように、図1の実施形態では、ハンドヘルドオブジェクト100は、ハンドヘルドオブジェクト100の位置を求めるシステム200を備えたマウスとして示される。一実施形態では、システム200は、ハンドヘルドオブジェクト100の位置をハンドヘルドオブジェクト100の加速度から導き出す。
【0014】
一実施形態では、図1中のA及び/又はB及び/又はC等、1つ又は複数の加速度計を、図1に示すX及び/又はY及び/又はZ方向等の1つ又は複数の方向でのハンドヘルドオブジェクト100の加速度に比例する出力電圧(複数でも可)を生成する手段としてシステム200に採用することができる。一実施形態では、加速度計は、一次元空間、二次元空間、又は三次元空間でのハンドヘルドオブジェクト100の加速度の測定値を提供するように向きを決めることができる。生成され、且つ1つ又は複数の方向でのハンドヘルドオブジェクト100の加速度の測定値を提供する出力電圧(複数でも可)をその後積分して、1つ又は複数の方向でのハンドヘルドオブジェクト100の速度測定値を提供することができることを理解されたい。
【0015】
一実施形態では、1つのみの加速度計が使用される場合、単一の加速度計を、少なくとも2つの方向での加速度測定値を提供するように構成することができるため、一次元又は二次元の加速度を求めることができる。2つ又は3つの加速度計が採用される場合、二次元又は三次元の加速度を求めることができる。
【0016】
さらに、一実施形態では、速度の出力測定値を積分して、ハンドヘルドオブジェクト100の変位測定値を生成することができる。ハンドヘルドオブジェクト100の最終位置の測定値は、ハンドヘルドオブジェクト100の変位測定値をハンドヘルドオブジェクト100の初期位置測定値に加算することによって求めることができる。積分はハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合わせを使用して行うことができることを理解されたい。一実施形態では、出力電圧は時間とともに変化する場合がある。
【0017】
一実施形態では、ハンドヘルドオブジェクト100に応答するプログラムアプリケーションが、ハンドヘルドオブジェクト100の位置を求めるシステム200により提供された情報を使用して、たとえば2Dマウス又は3D仮想現実グローブ等のポインティングデバイスの図的表示の移動を制御することができる。他の実施形態では、このような情報を他の目的で、たとえば、署名認証、光学ペンのトラッキング移動、文字認識等に使用することができる。
【0018】
図2Aは、本発明の一実施形態による、ハンドヘルドオブジェクト、たとえば図1のハンドヘルドオブジェクト100の位置を求めるシステム200の構成要素を示す。システム200の図2Aの実施形態は、変位測定値発生器201、位置測定器203、及び位置測定出力205を備える。
【0019】
変位測定値発生器201はオブジェクトの変位の測定値を生成する。オブジェクトの変位の測定値は、1つ、2つ、又は3つの軸(図1参照)に沿った変位を含み得ることを理解されたい。
【0020】
一実施形態では、変位測定値発生器201はハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値を生成し、(1)ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値を生成する、(2)ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値を積分して、ハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を生成する、且つ(3)ハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を積分して、ハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値を得る等の操作を含む。
【0021】
一実施形態では、上述したように、ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値の生成は、1つ、2つ、又は3つの加速度計により行うことができる。2つ以上の加速度計が採用される一実施形態では、加速度計が直交するように向きを決めることができる。
【0022】
一実施形態では、変位測定値発生器201によるオブジェクトの変位の測定値を生成することに関わる加速度の測定値の積分及び速度の測定値の積分は、オブジェクトの加速度又は速度を表す曲線の下の面積を計算してオブジェクトの速度又は変位のそれぞれを測定するアプリケーション等のソフトウェアにより、及び/又はハードウェア、たとえばオブジェクトの加速度又は速度を表す入力電圧を受け取るとともに、オブジェクトの速度又は変位のそれぞれを表す電圧を出力するオペアンプ積分器等により行うことができる。
【0023】
図2B及び図2Cは、変位測定値発生器201の変位測定値発生機能の一部として行われる操作の特徴を図で示す。
【0024】
図2Bは、本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値及びハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値にそれぞれ対応する加速度と時間の関係及び速度と時間の関係の例示的なグラフ230及び240を示す。一実施形態では、上述したように、ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値を、変位発生器201の構成要素等により積分して、ハンドヘルドオブジェクトの最終速度の測定値を得ることができる。一実施形態では、これは、ハンドヘルドオブジェクトの「変化」速度の測定値がハンドヘルドオブジェクトの初期速度に加算されるときに達成することができる。図2Bを参照すると、ハンドヘルドオブジェクトの加速度がAの場合、ハンドヘルドオブジェクトの最終速度の測定値は、式
【0025】
【数1】

【0026】
により与えられる。式中、Vfはオブジェクトの最終速度を表し、Aはオブジェクトの加速度を表し、∫t0Adtは加速によるオブジェクトの「変化」速度を表し、Vinitはオブジェクトの初期速度を表す。
【0027】
さらに、図2Cは、本発明の一実施形態による、オブジェクトの速度の測定値及びオブジェクトの変位の測定値にそれぞれ対応する速度と時間の関係及び変位と時間の関係の例示的なグラフ250及び260を示す。一実施形態では、オブジェクトの速度を変位発生器201の構成要素等により積分して、オブジェクトの変位の測定値を得ることができる。一実施形態では、オブジェクトの最終位置の測定値は、オブジェクトの変位の測定値をオブジェクトの最終位置の測定値に加算することにより得ることができる。図2Cを参照すると、オブジェクトの速度がVの場合、オブジェクトの最終位置の測定値は、式
【0028】
【数2】

【0029】
により与えられる。式中、pはオブジェクトの最終位置を表し、Vはオブジェクトの速度を表し、∫t0Vdtはオブジェクトの変位を表し、pinitはオブジェクトの初期位置を表す。
【0030】
再び図2Aを参照すると、変位測定値発生器201により生成されるオブジェクトの変位の測定値は、1つ、2つ、又は3つの変位測定値発生機構により行うことができる。一実施形態では、これら変位測定値発生機構は、変位測定に関わる上記積分を行う積分器システムに加えて図1に示すような1つ、2つ、又は3つの加速度計を備えることができる。
【0031】
位置測定器203はオブジェクトの位置を求める。位置測定器203は、オブジェクトの変位及びオブジェクトの開始位置pinitに基づいてオブジェクトの位置を求める。一実施形態では、これは、上述したようにオブジェクトの変位をオブジェクトの初期位置に加算することにより達成される。一実施形態では、オブジェクトの変位をオブジェクトの初期位置に加算することは、一次元空間、二次元空間、又は三次元空間でのベクトル加算を表す。
【0032】
位置測定出力205は、オブジェクトの位置の測定値である電圧を出力する。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態による署名を行うために使用される筆記具等のハンドヘルドオブジェクトの加速度を求めるシステムを備えた署名認証システムを示す。
【0034】
本発明の一実施形態では、ペン、鉛筆等の筆記具の加速度を求めるシステム300は、筆記具301(300及び301の両方が「筆記具」を指す)内に存在することができる。一実施形態では、筆記具の加速度を求めるシステム300を使用して、署名を形成するストローク動作に関わる平均加速度を求め、その後それを記録することができる。この平均加速度の記録を保持し、署名の属する個人の識別子と相互に参照することができる。
【0035】
図3は、303において名前「Philip(フィリップ)」の筆記体での署名を示す。図3は、名前「Philip」の筆記体署名中の文字「P」を、文字「P」を形成するストロークを分離するように、どのように分解することができるかを305において示す。一実施形態では、筆記体署名中の各文字は、このようにしてそれぞれの構成ストロークに分解することができる。307における各構成ストロークの完成に関わる平均加速度(AAVE)をこうして求めることができる。
【0036】
一実施形態では、署名の一部である各文字のストロークの完成に関わる平均加速度を共に関連付けて記憶し、後に、提示された署名に関連する平均加速度と比較することができる。一実施形態では、この情報は、署名を追加的に且つより厳格に認証するメカニズムを提供することができる。上述したように、この情報は、署名が属する個人の識別子と相互参照することができる。後の或る時点で、署名がその個人のものであるとして提示されるとき、記憶されている情報を用いて、提示された署名を認証することができる。
【0037】
文字の形状を照合することによる署名の静的な比較は、特に原署名のコピーを得て研究し、練習した場合に欺かれる恐れがあることを理解されたい。形状のみならず関連する形状作成の加速度及び速度を動的に比較照合することにより、比較される形状/文字が本当の署名者が作成したときと同じ様式/速度で作成されたことが保証される。したがって、署名の静的なコピーだけでなく、本当の署名者が実際に署名をどのように動的に作成したかを知らずには破ることができないさらなるより厳格な水準の認証が提供される。
【0038】
一実施形態では、書かれたストローク/文字の測定された加速度及び速度を使用して文字認識を行うことができる。さらに、ストロークの固有の特徴を使用してストロークを識別することができる。たとえば、直線のストロークは非ゼロの平均速度及びゼロの平均加速度を有する。さらに、ストロークがx方向又はy方向において非ゼロの平均速度を有する場合、その線は直線であると識別することができ、ストロークがx方向及びy方向において非ゼロの平均速度を有する場合、その線は傾斜していると識別することができる。
【0039】
図3の項目307〜311は、特定のストロークの固有の特徴を示す。たとえば、307での非ゼロの平均加速度は凹形ストローク(矢印は平均加速度の方向を示す)を示し、309でのx方向又はy方向における非ゼロ平均速度は直線を表し(xは横、yは縦)、311でのx方向及びy方向の両方における非ゼロ平均速度は斜線を示す。一実施形態では、特定のストロークの固有の特徴に関するこのような知識を利用して、文字認識を効率的に行うことができる。
【0040】
[本発明の実施形態による例示的な操作]
図4は、本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの加速度に基づいてハンドヘルドオブジェクトの位置を求める方法のフローチャート400を示す。
【0041】
ステップ401において、ハンドヘルドオブジェクト、たとえば図1のハンドヘルドオブジェクト100の変位の測定値が生成される。一実施形態では、ハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値は、(1)ハンドヘルドの加速度の測定値を生成すること、(2)オブジェクトの加速度の測定値を積分してハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を生成すること、及び(3)ハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を積分してハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値を得ること、を含むプロセスによって生成される。
【0042】
ステップ403において、ハンドヘルドオブジェクトの位置が求められる。一実施形態では、ハンドヘルドオブジェクトの位置は、ハンドヘルドオブジェクトの開始位置の測定値及びハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値に基づいて求められる。
【0043】
ステップ405において、ハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値が出力される。一実施形態では、図2の位置測定出力205等の位置測定出力は、ハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値である電圧を出力する。
【0044】
図5は、本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの加速度に基づいて図1のハンドヘルドオブジェクト100等のハンドヘルドオブジェクトの変位を求める方法のフローチャート500を示す。
【0045】
ステップ501において、ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値が生成される。
【0046】
ステップ503において、ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値を積分して、オブジェクトの速度の測定値を生成する。
【0047】
ステップ505において、ハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を積分して、オブジェクトの変位の測定値を得る。
【0048】
本明細書において考察したように、ハンドヘルドオブジェクトの加速度に基づいてハンドヘルドオブジェクトの位置を求める本明細書に記載のシステムは、コンピュータマウス等の入力装置に使用することができる。しかし、本明細書において説明した実施形態に採用される位置測定機構とは対照的に、従来のコンピュータマウスは機械式球及び回転センサを使用するか、又は光学ピックアップシステムを使用してマウスの位置を求める。本発明の一実施形態では、クリーニングを必要とし得るこのような可動部又は適切に動作するために特別な表面を必要とし得る光学系を採用しない固体状態のモノリシック加速度計を設けることができる。
【0049】
本発明の利点には、可動部又は機械部(いくつかの実施形態では)がないこと、このような可動部又は機械部をクリーニングする必要がないこと、特別な表面を必要としないこと、署名認証に有用なこと、文字認識に有用なこと、三次元で加速度を測定することができること、及びモノリシック又は固体状態であることができること(たとえば、実施形態では機械式又は固体状態の加速度計を使用することができる)がある。
【0050】
まとめると、ハンドヘルドオブジェクトの加速度からハンドヘルドオブジェクトの位置を求める方法を開示する本発明の実施形態について明示的に説明した。ハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値が生成され、このような測定値は部分的にハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値から導き出される。ハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値が生成され、このような測定値はハンドヘルドオブジェクトの変位に基づいて生成される。ハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値が出力される。
【0051】
上記した本発明の特定の実施形態の説明は、例示及び説明を目的として提示されたものである。網羅的な、すなわち本発明を開示した厳密な形態に限定することを意図せず、上記教示を鑑みて明らかなように多くの変更及び変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及び実際の適用の最良の説明を提供し、それによって当業者が本発明及び各種実施形態を意図する特定の用途に合うように、各種変更を施して利用することができるよう選択され説明されたものである。本発明の範囲は本明細書に添付の特許請求の範囲及びそれぞれの等価物により規定されることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態によるオブジェクトの加速度に基づいてオブジェクトの位置を求めるシステムを備えたハンドヘルドオブジェクトを示す図である。
【図2A】本発明の一実施形態によるオブジェクトの加速度に基づいてオブジェクトの位置を求めるシステムを示す図である。
【図2B】本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの加速度測定値及びハンドヘルドオブジェクトの速度測定値にそれぞれ対応する加速度と時間の関係及び速度と時間の関係の例示的なグラフを示す図である。
【図2C】本発明の一実施形態によるハンドヘルドオブジェクトの速度測定値及びハンドヘルドオブジェクトの位置測定値にそれぞれ対応する速度と時間の関係及び位置と時間の関係の例示的なグラフを示す図である。
【図3】本発明の一実施形態による三次元空間での平面又は表面で署名するために使用されるハンドヘルドオブジェクトの加速度を求めるシステムを備えた署名認証システムを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態によるオブジェクトの加速度に基づいてオブジェクトの位置を求める方法のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の一実施形態によるオブジェクトの加速度に基づいてオブジェクトの変位を求める方法のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0053】
100 ハンドヘルドオブジェクト
200 システム
201 変位測定値発生器
203 位置測定器
205 位置測定出力
300 システム
301 筆記具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルドオブジェクトの加速度からこのハンドヘルドオブジェクトの位置を求める方法であって、
前記ハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値を、部分的にこのハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値から導き出して前記ハンドヘルドオブジェクトの変位の測定値を生成することと、
部分的に前記ハンドヘルドオブジェクトの変位に基づいて、前記ハンドヘルドオブジェクトの位置の測定値を生成することと、
前記ハンドヘルドオブジェクトの前記位置の測定値を出力して、この位置の測定値を、ハンドヘルドオブジェクトに応答するアプリケーションプログラムに供給することと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ハンドヘルドオブジェクトの前記変位の測定値を生成することは、
前記ハンドヘルドオブジェクトの加速度の測定値を生成することと、
前記ハンドヘルドオブジェクトの前記加速度の測定値を積分することで、前記ハンドヘルドオブジェクトの速度の測定値を生成することと、
前記ハンドヘルドオブジェクトの前記速度の測定値を積分することで、前記ハンドヘルドオブジェクトの前記変位の測定値を得ることと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記加速度の測定値を生成することは、加速度計により行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記加速度の測定値を積分すること、及び前記速度の測定値を積分することは、ソフトウェア及び/又はハードウェアによって行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ハンドヘルドオブジェクトの前記変位の測定値を生成することは、互いに直交するように向きが決められたた3つの変位測定システムによって行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ハンドヘルドオブジェクトの位置を求めることは、前記ハンドヘルドオブジェクトの開始位置に基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変位の測定値は、前記ハンドヘルドオブジェクトの前記加速度に比例する出力電圧から導き出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記位置の測定値は、前記位置の一次元測定値、二次元測定値及び三次元測定値から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ハンドヘルドオブジェクトは、コンピュータマウス、署名装置及び光学筆記具から成るグループの中から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
署名認証が、形状作成に関連する形状、加速度、及び速度を照合する動的比較に基づいて行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−268854(P2006−268854A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76844(P2006−76844)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】