説明

ハードコート膜形成用塗料とハードコート膜及びハードコート膜付きプラスチック基材並びにポリビニル樹脂組成物の製造方法

【課題】透明性を損なうこと無く、取り扱いが容易でありかつ生産性に優れた光硬化性を有し、しかも、1層のみによってプラスチックシートやプラスチックフィルムのようなプラスチック基材の表面における傷付き防止性及び耐衝撃性を向上させることができるハードコート膜を形成するためのハードコート膜形成用塗料とハードコート膜及びハードコート膜付きプラスチック基材並びにポリビニル樹脂組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明のハードコート膜形成用塗料は、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーとを含有してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードコート膜形成用塗料とハードコート膜及びハードコート膜付きプラスチック基材並びにポリビニル樹脂組成物の製造方法に関し、更に詳しくは、プラスチックシートやプラスチックフィルムのようなプラスチック基材の表面における傷付き防止に好適なハードコート膜を形成するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯用電話機、PDA等の携帯情報端末、パーソナルコンピュータの表示装置モジュール、あるいは各種電子機器の操作盤の表示装置等においては、液晶表示装置が用いられることが一般的となっており、この液晶表示装置の表示画面を構成する薄厚のガラス基板の破損防止にプラスチック製の保護板が使用されている。この保護板は、ガラス製の保護板と比較して軽量かつ安価な上、取扱も容易な為、最も使用頻度の高い部材の一つとなっている。
プラスチック製の保護板は、傷つき易いために、比較的硬度の高いアクリルシート等の硬いプラスチックシートに傷つき防止用のハードコート膜を形成した保護用プラスチックシートが使用されることが多いが、これらのプラスチックシートは、衝撃によって比較的割れ易く、特に、携帯端末では落下等の取り扱い上の不注意等による液晶表示装置へのダメージや、割れたプラスチックシートにより使用者が負傷する虞がある等の問題があった。
このように、近年における携帯端末の軽量化、小型化に伴い保護用プラスチックシートの厚みも薄くなる傾向にあり、保護用プラスチックシートの耐衝撃性向上は重要な課題となっている。
【0003】
プラスチックの耐衝撃性を向上させたハードコート膜としては、プラスチックレンズの母体となるプラスチック基材の表面に形成された2層構造のハードコート膜が提案されている(特許文献1)。
このハードコート膜は、衝撃を吸収するためのポリウレタンからなるプライマー硬化層と、傷付きを防止するためのシリコン樹脂からなるハードコート層とを積層した構成のハードコート膜である。
また、プラスチックの表面にハードコート層を形成するためのハードコート用組成物としては、エポキシシラン加水分解物とテトラメトキシジルコニウム等の金属アルコキシドとの反応物と、ポリエチレングリコール等の有機高分子及びジルコニア等の金属酸化物とを含有するハードコート用組成物が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】国際公開第98/54604号パンフレット
【特許文献2】特開2005−139236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のプライマー硬化層とハードコート層とを積層した構成のハードコート膜では、プライマー硬化層とハードコート層との2層構造としないと、耐衝撃性ハードコート膜としての良好な特性を得ることができない。したがって、2層構造とした分、製造工程が増加し、その結果、生産効率が低下し、製造コストが増加するという問題点があった。
また、従来のハードコート用組成物では、使用される金属アルコキシドが不安定な材料であるために、このハードコート用組成物の合成や保管が難しいという問題点があった。また、このハードコート用組成物からなる塗膜を硬化するのに際しては、高温・長時間の加熱が必要な上に、湿度等の塗工環境の影響も受け易いため、生産効率が低下し、製造コストが増加するという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、透明性を損なうこと無く、取り扱いが容易でありかつ生産性に優れた光硬化性を有し、しかも、1層のみによってプラスチックシートやプラスチックフィルムのようなプラスチック基材の表面における傷付き防止性及び耐衝撃性を向上させることができるハードコート膜を形成するためのハードコート膜形成用塗料とハードコート膜及びハードコート膜付きプラスチック基材並びにポリビニル樹脂組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリビニル樹脂が優れた強靱性を有し、かつ、このポリビニル樹脂と高硬度樹脂とを容易に架橋させることができることに着目し、そこで、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたはオリゴマーとを含有したハードコート膜形成用塗料を用いて、プラスチック基材の表面にハードコート膜を形成すれば、透明性を損なうこと無く、取り扱いが容易で、生産性に優れた光硬化性を有し、しかも、1層のみによってプラスチック基材の表面における傷付き防止性及び耐衝撃性を向上させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のハードコート膜形成用塗料は、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーとを含有してなることを特徴とする。
【0008】
前記ポリビニル樹脂組成物は、下記の式(1)
【化1】

(式(1)中、Rはウレタン結合またはエステル結合からなる1つ以上の光反応性官能基、Rはブチラール基、アセチル基、水酸基のいずれか1種、m、nは整数)
にて表されるポリビニル樹脂組成物であることが好ましい。
前記ポリビニル樹脂は、ポリビニルアセタールまたはポリビニルブチラールであることが好ましい。
【0009】
前記多官能モノマーまたはオリゴマーは、3つ以上の光反応性官能基を有する光反応型多官能モノマーまたはオリゴマー、あるいはこれらの混合物であり、
かつ、前記多官能モノマーまたはオリゴマー(M)と、前記ポリビニル樹脂組成物(V)との混合比(M:V)は、9:1〜5:5であることが好ましい。
【0010】
前記ポリビニル樹脂が水酸基を有する場合に、この水酸基が下記の式(2)
−X−NCO …(2)
(式(2)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びイソシアネート基を有する有機化合物のイソシアネート基とウレタン結合により結合されていることが好ましい。
【0011】
前記ポリビニル樹脂が水酸基を有する場合に、この水酸基が下記の式(3)
【化2】

(式(3)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びカルボキシル基を有する有機化合物のカルボキシル基とエステル結合により結合されていることとしてもよい。
【0012】
前記ポリビニル樹脂の有する水酸基のうち30%以上かつ100%以下が前記有機化合物と結合してなることが好ましい。
【0013】
本発明のハードコート膜は、本発明のハードコート膜形成用塗料を塗布して塗膜を得、この塗膜を硬化してなることを特徴とする。
本発明のハードコート膜付きプラスチック基材は、プラスチック基材の一方または両方の主面に、本発明のハードコート膜を備えてなることを特徴とする。
本発明のハードコート膜付きプラスチック基材は、携帯用電話機、携帯用情報端末またはパーソナルコンピュータの表示装置モジュールの前面保護板、あるいは電子機器の操作盤の表示装置の前面保護板として用いることを特徴とする。
【0014】
本発明のポリビニル樹脂組成物の製造方法は、
前記ポリビニル樹脂を非極性溶媒に溶解し、
得られた溶液と、下記の式(4)
−X−NCO …(4)
(式(4)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びイソシアネート基を有する有機化合物とを混合し、これらポリビニル樹脂及び有機化合物を重合させることにより、前記ポリビニル樹脂組成物を得ることを特徴とする。
【0015】
本発明の他のポリビニル樹脂組成物の製造方法は、
前記ポリビニル樹脂を非極性溶媒に溶解し、
得られた溶液と、下記の式(5)
【化3】

(式(5)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びカルボキシル基を有する有機化合物とを混合し、これらポリビニル樹脂及び有機化合物を重合させることにより、前記ポリビニル樹脂組成物を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のハードコート膜形成用塗料によれば、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたはオリゴマーとを含有し、これらの材料は安定性に優れていることから、取り扱いが容易なものとなり、しかも生産性に優れた光硬化性を有している。
また、このハードコート膜形成用塗料により単層のハードコート膜を形成することができるので、1層のみによってもプラスチックシートやプラスチックフィルムのようなプラスチック基材の表面における傷付き防止性及び耐衝撃性を向上させることができるハードコート膜を容易かつ安価に形成することができる。
【0017】
本発明のハードコート膜によれば、本発明のハードコート膜形成用塗料を用いた塗膜を硬化したので、透明性を損なうこと無く、傷付き防止性及び耐衝撃性を向上させることができる。
【0018】
本発明のハードコート膜付きプラスチック基材によれば、プラスチック基材の一方または両方の主面に、本発明のハードコート膜を備えたので、プラスチック基材の透明性を損なうこと無く、このプラスチック基材に傷付き防止性及び耐衝撃性を付与することができる。
【0019】
本発明のポリビニル樹脂組成物の製造方法によれば、透明性を損なうこと無く、取り扱いが容易でありかつ生産性に優れた光硬化性を有するポリビニル樹脂組成物を、容易かつ安価に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明のハードコート膜形成用塗料とハードコート膜及びハードコート膜付きプラスチック基材並びにポリビニル樹脂組成物の製造方法を実施するための最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
「ハードコート膜形成用塗料」
本発明のハードコート膜形成用塗料は、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーとを含有してなる塗料である。
ここで、ポリビニル樹脂としては、分子量が1000〜150000、水酸基が20mol%〜50mol%のポリビニルアルコールを変性したポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等が好適である。
【0022】
ここで、分子量及び水酸基を上記の範囲とした理由は、分子量が1000未満のものは入手が困難であり、また、分子量が150000より大きいものは粘性が高く、ハンドリング性の観点から好ましくない。
また、水酸基が20mol%未満のものは入手が困難であり、また、50mol%を越えるものは1分子の有する水酸基が多すぎるために、水酸基を有さない溶媒との相溶性が悪い。
【0023】
ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物としては、下記の式(6)
【化4】

(式(6)中、Rはウレタン結合またはエステル結合からなる1つ以上の光反応性官能基、Rはブチラール基、アセチル基、水酸基のいずれか1種、m、nは整数)
にて表されるポリビニル樹脂組成物であることが好ましい。
【0024】
ここで、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入する方法としては、次のA、Bの2つの方法が最も容易である。
A.ポリビニル樹脂の水酸基と、下記の式(7)
−X−NCO …(7)
(式(7)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びイソシアネート基の両方を有する有機化合物のイソシアネート基を反応させる方法。
この場合、ポリビニル樹脂の水酸基が、上記の式(7)にて表される有機化合物のイソシアネート基とウレタン結合により結合される。
【0025】
B.ポリビニル樹脂の水酸基と、下記の式(8)
【化5】

(式(8)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びカルボキシル基の両方を有する有機化合物のカルボキシル基を反応させる方法。
この場合、ポリビニル樹脂の水酸基が、上記の式(8)にて表される有機化合物のカルボキシル基とエステル結合により結合される。
【0026】
式(7)または(8)のXは、いずれか1つ以上あるいは全てがラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基であり、特に反応性が高く、反応後の安定性、耐候性が良好なメタクリル基またはアクリル基が好ましい。
式(7)にて表される有機化合物の例としては、2−イソシアナトエチルメタクリレート、2−イソシアナトエチルアクリレート、1,1−ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアネート等を挙げることができる。
また、式(8)にて表される有機化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。
【0027】
本発明では、ポリビニル樹脂の水酸基と、上記の式(7)または式(8)にて表される有機化合物とを反応させるために、予めポリビニル樹脂を、水酸基を有さない溶媒に溶解させておくことが好ましい。
ポリビニル樹脂を水酸基を有する溶媒中に溶解した場合、溶媒の水酸基と式(7)のイソシアネート基、または式(8)のカルボキシル基が反応してしまい、ポリビニル樹脂の水酸基と式(7)または式(8)の有機化合物とを選択的に反応させることができない。したがって、水酸基を有する溶媒は好ましくない。
【0028】
このような水酸基を有さない溶媒としては、水酸基を有さない非極性溶剤であれば特に限定されないが、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、ナフサ、1−へキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、メチレンクロライド、プロピレンクロライド、エチレンクロライド、クロロホルム等の塩化炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ピリジン等の芳香族系溶媒等を挙げることができる。
【0029】
このポリビニル樹脂溶液と、上記の式(7)または式(8)にて表される有機化合物とを、ポリビニル樹脂に含まれる水酸基の30%以上かつ100%以下、好ましくは50%以上かつ100%以下が式(7)にて表される有機化合物のイソシアネート基、あるいは式(8)にて表される有機化合物のカルボキシル基と反応するような割合にて混合する。
【0030】
ここで、ポリビニル樹脂に含まれる水酸基の30%以下しか反応しなかった場合、残余の水酸基が多くなり、有機溶媒や多官能モノマー、オリゴマーとの相溶性が悪化するため、好ましくない。
なお、混合した後、反応を促進させるために少量の触媒を添加しても良い。触媒を添加した後、重合反応が終了するまで攪拌を行い、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を結合させ、上記の式(4)の樹脂組成物を得る。
【0031】
この樹脂組成物に対しては、溶媒の置換を行うことが好ましい。
その理由は、プラスチックシートは耐溶剤性が悪いものが多く、樹脂組成物中の非極性溶媒によって基材であるプラスチックシートが膨潤あるいは溶解し、劣化してしまう虞があるからである。
置換する溶媒としては、使用するプラスチックシートを侵さない種類の溶媒であれば特に限定はされないが、具体例としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル等のエーテル類、及びこれらの代替溶媒等を挙げることができる。
【0032】
このようにして得られた上記の式(4)のポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーと、光反応開始剤と、必要に応じて1〜2官能の官能基を有するモノマー、有機溶媒、無機微粒子等を添加・混合することにより、本発明のハードコート膜形成用塗料が得られる。
多官能モノマーまたは多官能オリゴマーは、3つ以上の光反応性官能基を有する光反応型多官能モノマーまたはオリゴマー、あるいはこれらの混合物であり、かつ、前記多官能モノマーまたはオリゴマー(M)と、上記のポリビニル樹脂組成物(V)との混合比(M:V)は、9:1〜5:5であることが好ましい。
【0033】
ここで、多官能モノマーまたは多官能オリゴマー(M)と、ポリビニル樹脂組成物(V)との混合比(M:V)で、ポリビニル樹脂組成物(V)の割合が多すぎると、硬化して得られた膜の硬度が低下し、また、多官能モノマーまたは多官能オリゴマー(M)の割合が多すぎると、耐衝撃性が不足するので好ましくない。
【0034】
この多官能モノマーまたは多官能オリゴマーは、光反応型の多官能基を有するものであれば特に限定されないが、反応性、透明性、耐候性、硬度に優れた多官能アクリレート系モノマーまたはオリゴマーが好ましい。
多官能アクリレート系モノマーまたはオリゴマーの例としては、(メタ)トリメチロールプロパントリアクリレート、(メタ)ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(メタ)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、(メタ)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールポリアクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリシロキサンアクリレート等のモノマーまたはオリゴマーを挙げることができる。
これらのモノマーまたはオリゴマーは、単独で用いても良いし、2種類以上混合しても良い。
【0035】
光反応開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ジケトン系、アセトフェノン系、ベンゾイン、チオキサントン系、キノン系、ベンジルジメチルケタール、アルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、フェニルフォスフィンオキサイド系等の光反応開始剤が挙げられる。
無機微粒子を添加する場合、付与したい機能に合わせて無機微粒子の種類を適宜選択することができるが、光の拡散や反射の影響を鑑みると、その平均粒径は200nm以下であることが好ましい。また、熱や光で反応する官能基を付与する等とした表面を修飾した微粒子も使用することができる。
その他、塗料及び塗膜、硬化した膜の特性改善のために、消泡剤、レベリング剤、撥水剤、撥油剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤等の添加剤を添加しても良い。
【0036】
「ハードコート膜付きプラスチック基材」
本発明のハードコート膜付きプラスチック基材は、プラスチック基材の一方または両方の主面に、本発明のハードコート膜を備えたものである。
プラスチック基材としては、プラスチックシートが挙げられる。このプラスチックシートとしては、アクリルシート、高弾性のアクリルゴムを含有したアクリルシート、アクリル−スチレン共重合シート、ポリスチレンシート、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリカーボネートシート等を挙げることができるが、特に、透明性に優れ高い硬度を有するアクリルシートが好適である。
このアクリルシートは、硬度、透明性、供給安定性に優れたプラスチック基材であるが、反面、割れ易く耐衝撃性に劣るという欠点があり、このような基材の特性を損なわず耐衝撃性を改善する目的として、本発明のハードコート膜は効果を発揮する。
【0037】
このハードコート膜は、本発明のハードコート膜形成用塗料をプラスチック基材の一方または両方の主面に塗布し、必要に応じて乾燥した後、塗膜を得、この塗膜に紫外線等を照射することによって硬化させることにより、形成することができる。
この塗布に際しては、硬化後のハードコート膜の厚みが2μm以上、好ましくは5μm以上となるような塗布量とすることが好ましい。
塗布方法としては、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、バーコート法、メニスカスコート法、吸上げ塗工法等、通常のウエットコート法を用いることができる。特に、プラスチック基材の両面に塗布する場合には、フローコート法、ディップコート法が好適である。
【0038】
ハードコート膜の膜厚は、十分な耐衝撃性、硬度が得られ、かつ良好な生産性、製造コストを得るためには、2μm以上かつ30μm以下であることが好ましい。
また、十分な透明性が必要なことから、ヘーズは1%以下が好ましく、より好ましくは0.5%以下である。
また、硬度は、押し出し成形された1mm厚のアクリルシート上に形成した場合、鉛筆硬度で2H以上が好ましく、より好ましくは3H以上である。
【0039】
十分な耐衝撃性を得るためには、プラスチックシートの片面、好ましくは両面に本発明のハードコート膜を形成する必要がある。
また、片面のみに本発明のハードコート膜を形成する場合、耐衝撃性を得るためにはプラスチックシートの裏面に本発明のハードコート膜を設けることが好ましい。この場合、表面には他の膜を形成してもよい。
【0040】
図1は、本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートの一例を示す断面図であり、プラスチックシート1の両面にハードコート膜2、2を形成した例である。
図2は、本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートの他の一例を示す断面図であり、プラスチックシート1の裏面にハードコート膜2を形成した例である。
図3は、本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートのさらに他の一例を示す断面図であり、プラスチックシート1の裏面にハードコート膜2を形成し、表面にハードコート膜以外の膜3を形成した例である。
【0041】
この膜3としては、反射防止膜、防汚染膜、帯電防止膜等、あるいはこれらの複合膜等、いかなる膜であってもよい。
これらのハードコート膜付きプラスチックシートを、例えば、携帯用電話機、携帯用情報端末またはパーソナルコンピュータの表示装置モジュールの前面保護板、あるいは各種電子機器の操作盤の表示装置の前面保護板として用いることにより、これらの各種機器の表示装置の表示画面を外部からの衝撃等から保護することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0043】
「実施例1」
分子量中28mol%の水酸基を含有するポリビニルブチラール樹脂20重量部、2−イソシアナトエチルアクリレート10重量部を酢酸エチル70重量部に溶解し、攪拌機にて12時間攪拌し、ポリビニルブチラール樹脂が有する水酸基のうち約50%に光反応基を導入した樹脂組成物を得た。次いで、この樹脂組成物をエバポレータを用いて固形分が60重量部になるまで濃縮を行い、固形分の濃度が50重量%の樹脂組成物溶液を得た。
【0044】
次いで、この樹脂組成物溶液20重量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20重量部、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール47重量部を加え、樹脂組成物:DPHA=30:70のハードコート膜形成用塗料を得た。
次いで、このハードコート膜形成用塗料を厚み1mmのアクリルシートの両面にフローコーターにて塗工した。
次いで、この塗膜付きアクリルシートを温風乾燥機(50℃)にて乾燥して、塗膜中の有機溶媒を散逸させ、その後、この塗膜に紫外線(UV)を照射して塗膜を硬化させ、実施例1のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0045】
「実施例2」
分子量中28mol%の水酸基を含有するポリビニルブチラール樹脂16重量部、2−イソシアナトエチルアクリレート14重量部を酢酸エチル70重量部に溶解し、攪拌機にて12時間攪拌し、ポリビニルブチラール樹脂が有する水酸基のうち約90%に光反応基を導入した樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にハードコート膜形成用塗料を作製し、その後、実施例1と同様にして実施例2のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0046】
「実施例3」
分子量中28mol%の水酸基を含有するポリビニルブチラール樹脂23重量部、2−イソシアナトエチルアクリレート7重量部を酢酸エチル70重量部に溶解し、攪拌機にて12時間攪拌し、ポリビニルブチラール樹脂が有する水酸基のうち約30%に光反応基を導入した樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にハードコート膜形成用塗料を作製し、その後、実施例1と同様にして実施例3のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0047】
「実施例4」
分子量中25mol%の水酸基を含有するポリビニルアセタール樹脂21重量部、2−イソシアナトエチルアクリレート9重量部を酢酸エチル70重量部に溶解し、攪拌機にて12時間攪拌し、ポリビニルアセタール樹脂が有する水酸基のうち約50%に光反応基を導入した樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にハードコート膜形成用塗料を作製し、その後、実施例1と同様にして実施例4のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0048】
「実施例5」
実施例1の樹脂組成物溶液6重量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)27重量部、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール54重量部を加え、樹脂組成物:DPHA=10:90のハードコート膜形成用塗料を得た。
次いで、このハードコート膜形成用塗料を用いて、実施例1と同様にして実施例5のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0049】
「実施例6」
実施例1の樹脂組成物溶液30重量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)15重量部、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール42重量部を加え、樹脂組成物:DPHA=50:50のハードコート膜形成用塗料を得た。
次いで、このハードコート膜形成用塗料を用いて、実施例1と同様にして実施例6のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0050】
「実施例7」
実施例1のハードコート膜形成用塗料を厚み1mmのアクリルシートの表面のみにロールコーターにて塗工した。
次いで、この塗膜付きアクリルシートを温風乾燥機(50℃)にて乾燥して、塗膜中の有機溶媒を散逸させ、その後、この塗膜に紫外線(UV)を照射して塗膜を硬化させ、実施例7のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0051】
「実施例8」
実施例1のハードコート膜形成用塗料を厚み1mmのアクリルシートの表面のみにロールコーターにて塗工し、その後、実施例1と同様に硬化させた。
次いで、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)30重量部に、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、2−プロパノール67重量部を加え、ハードコート塗料を得た。
次いで、このハードコート塗料を上記のアクリルシートの裏面にロールコーターにて塗工して硬化させ、実施例8のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0052】
「比較例1」
ポリビニルブチラール樹脂10重量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)20重量部、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール47重量部を加え、ハードコート塗料を得た。
次いで、このハードコート塗料を用いて、実施例1と同様にして比較例1のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0053】
「比較例2」
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)30重量部に、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール57重量部を加え、ハードコート塗料を得た。
次いで、このハードコート塗料を用いて、実施例1と同様にして比較例2のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0054】
「比較例3」
分子量中28mol%の水酸基を含有するポリビニルブチラール樹脂26重量部、2−イソシアナトエチルアクリレート4重量部を酢酸エチル70重量部に溶解し、攪拌機にて12時間攪拌し、ポリビニルブチラール樹脂が有する水酸基のうち約15%に光反応基を導入した樹脂組成物を得た。
次いで、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様にハードコート膜形成用塗料を作製し、その後、実施例1と同様にして比較例3のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0055】
「比較例4」
実施例1の樹脂組成物溶液42重量部に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)9重量部、光反応開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノプロパン−1−オン3重量部、エチレングリコールモノブチルエーテル10重量部、エタノール36重量部を加え、樹脂組成物:DPHA=70:30のハードコート膜形成用塗料を得た。
次いで、このハードコート膜形成用塗料を用いて、実施例1と同様にして比較例4のハードコート膜付きアクリルシートを得た。
【0056】
「比較例5」
ハードコート膜を形成していない厚み1mmのアクリルシートを比較例5のアクリルシートとした。
【0057】
「評価」
実施例1〜8及び比較例1〜5それぞれのハードコート膜付きアクリルシートについて、透明性、硬度、耐衝撃性、膜厚の4点の項目の評価を下記の方法に基づいて行った。
(1) 透明性
ヘーズメータ NDH2000(日本電飾社製)を用いてヘーズの測定を行った。 ヘーズ値は、小さいものほど透明性が高いものとした。ここでは、ヘーズ値が0.5%以下を良好、0.5%を超えかつ1.0%未満をやや良好、1.0%以上を不良と判定した。
(2) 硬度
鉛筆試験機(太平理化工業社製)を用いて膜の鉛筆硬度を測定した。この鉛筆硬度は、傷が付かなかった場合の鉛筆芯の硬さが硬いほど硬度が高いものとした。ここでは、3H以上を良好、H以上かつ2H以下をやや良好、H未満を不良と判定した。
【0058】
(3) 耐衝撃性
ハードコート膜付きアクリルシートを、携帯用電話機の表示装置モジュールの前面保護板として携帯用電話機に組み込み、このハードコート膜付きアクリルシートに所定の高さから30gの鉄球を落とした。このとき、ハードコート膜付きアクリルシート及び表示装置モジュールに破損があった高さが高いほど耐衝撃性に優れているものとし、評価を行った。ここでは、20cm以上を良好、15cm以上かつ20cm未満をやや良好、15cm未満を不良と判定した。
(4) 膜厚
膜の厚みを膜厚計 LITEMATIC VL−50A(Mitutoyo社製)を用いて測定した。
なお、実施例1〜6及び比較例1〜4では一方の側の膜厚を、実施例7、8では本発明のハードコート膜の膜厚を、それぞれ測定した。
これらの評価結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
表1によれば、実施例1〜8のハードコート膜は、透明性、硬度、耐衝撃性共に優れたものであった。
一方、比較例1のハードコート膜は、実施例1と同一の材料を用いたにもかかわらず、ポリビニルブチラール樹脂に光反応基を導入していないために、耐衝撃性の向上が認められないばかりか、透明性や硬度においても劣った結果となった。 また、比較例2のハードコート膜は、ハードコート膜の材料にDPHAのみを用いたことから、透明性や硬度は優れているものの、耐衝撃性については全く劣っている結果となった。
【0061】
また、比較例3のハードコート膜は、本発明の樹脂組成物を使用しているものの、ポリビニルブチラール樹脂への光反応基の導入が不十分であったために本発明の効果を十分発揮することができず、耐衝撃性が劣る結果となった。
また、比較例4のハードコート膜は、本発明の樹脂組成物を使用しているものの、樹脂組成物と多官能モノマーの混合比が本発明の範囲を外れ、樹脂組成物の割合が多くなり過ぎてしまったために、十分な硬度が得られず、ハードコート膜としての機能を満足できない結果となった。
【0062】
以上により、実施例1〜8のハードコート膜付きアクリルシートによれば、アクリルシートの透明性を保ちつつ、このアクリルシートに十分な硬度と耐衝撃性を付与することができ、したがって、優れたハードコート膜付きプラスチックシートを提供することができた。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のハードコート膜形成用塗料は、ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーとを含有したものであるから、携帯電話、PDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータの表示装置等の液晶表示装置やそれ以外の各種表示装置のハードコート膜を形成する場合はもちろんのこと、透明性、硬度、耐衝撃性が求められる保護膜を形成する際にも極めて有効であり、その工学的価値は大である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートの一例を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートの他の一例を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態のハードコート膜付きプラスチックシートのさらに他の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 プラスチックシート
2 ハードコート膜
3 膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニル樹脂に光反応性官能基を導入してなるポリビニル樹脂組成物と、多官能モノマーまたは多官能オリゴマーとを含有してなることを特徴とするハードコート膜形成用塗料。
【請求項2】
前記ポリビニル樹脂組成物は、下記の式(1)
【化1】

(式(1)中、Rはウレタン結合またはエステル結合からなる1つ以上の光反応性官能基、Rはブチラール基、アセチル基、水酸基のいずれか1種、m、nは整数)
にて表されるポリビニル樹脂組成物であることを特徴とする請求項1記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項3】
前記ポリビニル樹脂は、ポリビニルアセタールまたはポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1または2記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項4】
前記多官能モノマーまたはオリゴマーは、3つ以上の光反応性官能基を有する光反応型多官能モノマーまたはオリゴマー、あるいはこれらの混合物であり、
かつ、前記多官能モノマーまたはオリゴマー(M)と、前記ポリビニル樹脂組成物(V)との混合比(M:V)は、9:1〜5:5であることを特徴とする請求項1、2または3記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項5】
前記ポリビニル樹脂が水酸基を有する場合に、この水酸基が下記の式(2)
−X−NCO …(2)
(式(2)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びイソシアネート基を有する有機化合物のイソシアネート基とウレタン結合により結合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項6】
前記ポリビニル樹脂が水酸基を有する場合に、この水酸基が下記の式(3)
【化2】

(式(3)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びカルボキシル基を有する有機化合物のカルボキシル基とエステル結合により結合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項7】
前記ポリビニル樹脂の有する水酸基のうち30%以上かつ100%以下が前記有機化合物と結合してなることを特徴とする請求項5または6記載のハードコート膜形成用塗料。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のハードコート膜形成用塗料を塗布して塗膜を得、この塗膜を硬化してなることを特徴とするハードコート膜。
【請求項9】
プラスチック基材の一方または両方の主面に、請求項8記載のハードコート膜を備えてなることを特徴とするハードコート膜付きプラスチック基材。
【請求項10】
携帯用電話機、携帯用情報端末またはパーソナルコンピュータの表示装置モジュールの前面保護板、あるいは電子機器の操作盤の表示装置の前面保護板として用いることを特徴とする請求項9記載のハードコート膜付きプラスチック基材。
【請求項11】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のポリビニル樹脂組成物の製造方法であって、
前記ポリビニル樹脂を非極性溶媒に溶解し、
得られた溶液と、下記の式(4)
−X−NCO …(4)
(式(4)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びイソシアネート基を有する有機化合物とを混合し、これらポリビニル樹脂及び有機化合物を重合させることにより、前記ポリビニル樹脂組成物を得ることを特徴とするポリビニル樹脂組成物の製造方法。
【請求項12】
請求項1ないし7のいずれか1項記載のポリビニル樹脂組成物の製造方法であって、
前記ポリビニル樹脂を非極性溶媒に溶解し、
得られた溶液と、下記の式(5)
【化3】

(式(5)中、Xは、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖を有するアルキル基、フェニル基、O、Hのいずれか1種、Xは、ラジカル重合性不飽和基またはカチオン重合性基)
にて表される光反応性官能基及びカルボキシル基を有する有機化合物とを混合し、これらポリビニル樹脂及び有機化合物を重合させることにより、前記ポリビニル樹脂組成物を得ることを特徴とするポリビニル樹脂組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−138160(P2008−138160A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−99473(P2007−99473)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【Fターム(参考)】