説明

バイオセンサ用カートリッジ

【課題】 目的とするバイオセンサを、他のバイオセンサを傷付けることなく測定装置に取り付けることが可能なバイオセンサ用カートリッジを得る。
【解決手段】 バイオセンサ用カートリッジに設ける個々の収納部の間隔を、測定装置(11)の挿入口(11a)に、個々に収納されたバイオセンサ(1)を押し込むことができる十分な間隔となるようにした。これにより、測定装置の挿入口(11a)が、目的とするバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触して破損したりする事故等を極力抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や動物の体液を採取し、その特性を簡易に分析できるようにするためバイオセンサ用のカートリッジに関するものであり、特に、体液を採取するため、皮膚を突き刺して体液を得るためのランセットと、皮膚の表面に取り出された体液を採取し分析するためのセンサを一体化した構成に特徴を有する、ランセット一体型のバイオセンサを収納するカートリッジの改良を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体や動物の体液の特性を簡易に分析するための装置として、例えば電気化学的に血糖値を測定するものが既に実用化されている。
この種の装置の1つにバイオセンサがあり、以下では、このバイオセンサ、及びこれと組み合わされる測定装置を例に挙げて説明する。
【0003】
図21は、血液を採取する細長い小片状のセンサ31が測定装置32のセンサ挿入口31aにセットされた状態を示している。センサ31は、測定装置32に収納された状態で測定装置32から突出しているその半円状の先端側の内部に、血液を採取するキャビティ(図示せず)を備えており、そのキャビティ内に、酵素や電子伝達体等を含む試薬層と、電極とを備えている。
【0004】
測定装置32は、血液中のグルコースと試薬層との反応により生じる、血液中のグルコース濃度に応じた電流値を、前記電極に電圧を印加することにより、測定する電気回路を内部に備えており、その測定した血糖値を、測定装置32の上面に配置されたディスプレイ33に表示する。
この測定装置32は、測定のたび毎に新たなセンサ31が測定装置32側面のセンサ挿入口に装着され、このセンサ31に患者の血液が点着されて測定が行われる。測定後のセンサ31は衛生上の理由により使い捨てにされる。
【0005】
血液は通常、図22(a)に示すようなランセットデバイス34を用いて指先等の部位の皮膚を突き刺して、ごく微量の血液を取り出し、これをセンサ31のキャビティに採取している。
ランセットデバイス34は、図22(b)にその内部構造を示すように、ランセット35がコイルバネ36により弾性的に付勢されている。操作釦37を操作すると、ランセット35のリング状溝35aと、操作釦37と一体となっている係止部材37aとの嵌合が外れ、ばね36による付勢力を解除することにより、ランセット35の針35b先が、略円筒状のケース38の先端から勢い良く飛び出る構造になっている。なおランセット35は、金属性の針35bの部分と、それを保持する樹脂性の保持部35cとからなるが、通常は、衛生面を考慮して、測定のたび毎に、ランセット35を交換するようになっている。
【0006】
また、人や動物から採取した体液を分析するために用いられるバイオセンサは、一般にアルミ包材等で包装された状態やプラスティック容器に収納された状態で保存されており、使用時には、当該アルミ包材等やプラスティック容器からバイオセンサを取り出して使用していた。
【0007】
図23(a)は、体液を分析するための試薬層(図示せず)とその分析結果に応じた電気信号を外部に取り出すための電極(図示せず)とを有するバイオセンサ110がアルミ包材120により、密封包装されている状態を示す図であり、略長方形状で一方の短辺側
が略半円状となった板状部材からなるバイオセンサ110がこれよりやや大きめの長方形状のアルミ包材120により包装されている。図23(b)は、バイオセンサ110が円筒状で蓋付きのプラスティック容器130内に、略半円状の一端を上側にしてその表面同士が互いに接するように多数配列して密閉収納されている状態を示す図である。
【0008】
そして、測定を行う際には、図23(a)、あるいは図23(b)に示すように保存されたバイオセンサ110を取り出して、図24に示すように、測定装置114のバイオセンサ挿入口114aに対し、バイオセンサ110の略半円状でない短辺を挿入して測定準備を行う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のバイオセンサおよびその測定装置は以上のように構成されており、測定を行うに際して、上述のように、患者は、先ず、ランセットデバイス34に新たなランセット35をセットする。そして測定装置32にも新たなセンサ31を装着して、測定準備が整う。その後、ランセットデバイス34を操作して指先等から血液を得て、測定装置32にセットされたセンサ31の先端に、これを点着して測定を行っている。このように患者は、測定のたびごとに、ランセットの交換と、センサの交換をそれぞれ別々に行わなければならず、操作が煩雑であるという問題があった。
【0010】
また、血糖値は1日に何回かモニタする必要があるため、携帯性を考慮してこれらの装置は小型化されている。しかしながら、上記従来の構成では、センサ31、測定装置32、ランセット35、及びランセットデバイス34をそれぞれ一緒に持ち歩かねばならず、全体として嵩張るものとなってしまう。さらにはセンサ31とランセット35とを別々に管理しなければならず、操作や管理が面倒であり、使い勝手の悪いものであった。
【0011】
また、従来のバイオセンサは、上述のように、センサごとにアルミ包材で分包したり、複数のセンサを蓋付きのプラスチック容器内に収納したりして保存しており、これにより、湿気による汚染から防ぐことができる。
【0012】
しかしながら、患者は、測定に際して、アルミ包材120を破りバイオセンサ110を取り出したり、あるいは、プラスティック容器130の蓋130aを開け、バイオセンサ110を1枚ずつ取り出したりする必要があり、また、取り出したバイオセンサ110を測定装置114の挿入口114aをめがけて挿入しなければならないので、測定準備が面倒であり、使い勝手が悪いという問題があった。
【0013】
本発明は、前記問題点を解決するためになされたものであり、収納容器に収納されたバイオセンサを面倒な操作を行うことなく容易に測定装置に挿入することができるバイオセンサ用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、上記のような従来の課題を解決するために、本願の請求項1の発明によるバイオセンサ用カートリッジは、被検体の体液中の特定の成分を検出する試薬層と、該試薬層が前記特定成分を検出した旨を示す電気信号を外部に取り出すための電極とを有するバイオセンサを複数収納するバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記カートリッジ本体はその上面の一端に、当該カートリッジ本体の上面を覆う蓋部を回動自在に軸止する蝶番部が設けられ、上記カートリッジ本体は、各バイオセンサをそれぞれ直立して支持するスリットを、複数有し、上記複数のスリットは、上記バイオセンサを挿入して測定を行う測定装置の挿入口を、目的のバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触することなく差し込むことができる間隔で、上記カートリッジ本体の上面から下面に向けて、互いに平行に
形成されている、ようにしたものである。
これにより、蓋部を開け、測定装置のセンサ挿入口部を押し込むだけでセンサを装着できるので、測定の都度センサを手に取り、測定装置に挿入するという面倒な測定準備が省け、使い勝手を良くすることができる。
【0015】
また、本発明の請求項2記載のバイオセンサ用カートリッジは、請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記蓋部が取り付けられた上記カートリッジ本体は直方体状であるものとしたものである。
これにより、蓋部を開け、直方体状のカートリッジ本体により間隔をあけて支持されているセンサに測定装置のセンサ挿入口部を押し込むだけで装着できるので、測定ごとにセンサを手に取り、測定装置に挿入するという面倒な測定準備が省け、使い勝手を良くすることができる。
【0016】
また、本発明の請求項3記載のバイオセンサ用カートリッジは、請求項2記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記蓋部は当該カートリッジ本体の上面に対向する部分が開口となった中空の直方体形状よりなるものとしたものである。
これにより、中空の直方体形状よりなる蓋部を開け、直方体状のカートリッジ本体により間隔をあけて支持されているセンサに測定装置のセンサ挿入口部を押し込むだけで装着できるので、測定ごとにセンサを手に取り、測定装置に挿入するという面倒な測定準備が省け、使い勝手を良くすることができる。
【0017】
また、本発明の請求項4記載のバイオセンサ用カートリッジは、請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記スリットの底部はバイオセンサの先頭側の形状に合致した形状を有するようにしたものである。
これにより、カートリッジ本体のスリットの底部はバイオセンサの先端形状に合致しているため、バイオセンサ先端の特定の部位に応力が加わらず、バイオセンサを確実に支持することができる。
【0018】
また、本発明の請求項5記載のバイオセンサ用カートリッジは、請求項4記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記バイオセンサの先頭側は半円状の形状を有するものとしたものである。
これにより、カートリッジ本体のスリットの底部はバイオセンサの半円状の先端形状に合致しているため、バイオセンサ先端の特定の部位に応力が加わらず、バイオセンサを確実に支持することができる。
【0019】
また、本発明の請求項6記載のバイオセンサ用カートリッジは、請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、上記蝶番部は、上記カートリッジ本体の上面の一端側から該カートリッジ本体の長手方向に沿って外側に向けて突出し横長の軸受け孔を有する一対の軸受け部と、上記蓋部の一端に設けられ、上記軸受け孔と滑動自在に嵌合し上記蓋部を回動する際の支点となる一対の軸状突起とから構成されており、上記カートリッジ本体の上面の周縁部には、該カートリッジ本体の側壁に対し直角方向に延在し、複数の切り欠き部が形成された周側縁部が形成され、上記蓋部の開口部の周縁部には、当該周側縁部の切り欠き部に対応して該蓋部の側壁と同一の平面上に設けられた逆L字状の突起部が形成され、上記縁側部の上面には、弾性を有するシール部材が形成されているものとしたものである。
【0020】
これにより、蓋部を閉じた後、蓋部を水平方向にスライドさせて蓋部の逆L字状の突起部を、カートリッジ本体の縁側部の切り欠き部に嵌め合わせることで、弾力性を持つシール部材が蓋部の開口部の周縁部とカートリッジ本体の縁側部との間で密着し、カートリッジ内の気密性が増し、湿気によるセンサの汚染が防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、センサを収納するカートリッジは、センサを所定の間隔で保持するようにしたので、センサを測定装置に装着する際に他のセンサを破損したりする事故を防止できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態1におけるランセット一体型センサを示す図であり、図1(a)はその全体斜視図、図1(b)はその分解斜視図である。
【図2】同ランセット一体型センサの動作を説明する平面図であり、図2(a)は保護カバーを装着した状態で、針先が突出した状態を示す図、図2(b)は保護カバーを装着した状態で、針先がセンサ内に収容された状態を示す図、図2(c)は保護カバーを外した状態で、針先が突出した状態を示す図、図2(d)は保護カバーを外した状態で、針先がセンサ内に収容された状態を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1におけるランセット一体型センサに組み合わされる測定装置の斜視図であり、図3(a)はその上面側を示す図、図3(b)はその下面側を示す図である。
【図4】同測定装置の内部構造を説明する図であり、図4(a)はその下半分側の分解斜視図、図4(b)はその側面の断面図である。
【図5】同測定装置へのランセット一体型センサの装着動作を説明する図であり、図5(a)はその装着開始時の側面断面図、図5(b)はその装着完了時の側面断面図、図5(c)はその操作ボタン付近の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1におけるランセット一体型センサの保護カバーを示す図であり、図6(a)はその針先突出時に保護カバーを装着した状態を示す図、図6(b)はその針先収納時にセンサの先端に保護カバーを装着した状態を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1におけるランセット一体型センサに組み合わされる測定装置の斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサを示す図であり、図8(a)はその全体斜視図、図8(b)はその分解斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサとランセット一体型センサ用測定装置とを示す図であり、図9(a)はセンサを装着した状態の測定装置の斜視図、図9(b)はセンサを装着した状態の測定装置の断面図である。
【図10】ランセットに設けられた微小凹部とセンサに設けられた微小凸部との嵌合を説明するための説明図である。
【図11】本発明の実施の形態3によるランセット一体型センサ用測定装置の外観を示す図であり、図11(a)はホルダー体を装着した状態を示す図、図11(b)はホルダー体を取り外した状態を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態3によるランセット一体型センサ用測定装置のホルダー体の外観を示す図であり、図12(a)はホルダー体を測定装置に装着した状態の正面図、図12(b) はホルダー体を測定装置に装着した状態を上方から見た断面図、図12(c)は測定装置に装着したホルダー体を取り外そうとする状態を上方から見た断面図である。
【図13】本発明の実施の形態3によるランセット一体型センサ使用するランセット一体型センサ用測定装置の内部構造およびランセット一体型センサの他の構成例を示す図であり、図13(a)はホルダー体を装着した状態の測定装置を示す断面図、図13(b)はホルダー体を装着した状態の測定装置の一部切開断面図である。
【図14】本発明の実施の形態4によるランセット一体型センサを使用するランセット一体型センサ用測定装置の外観を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態4によるランセット一体型センサ用測定装置の内部構造を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジを示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジに収納されたセンサを測定装置に挿入している状態を示す図であり、図17(a)はその挿入時の状態を示す図、図17(b)はその挿入前の状態を示す図である。
【図18】本発明の実施の形態5の変形例1によるバイオセンサ用カートリッジを示す図であり、図18(a)はその蓋体を開けた状態の斜視図、図18(b)はその蓋体を閉じた状態の側面図、図18(c)は蓋体を閉じた状態の断面図である。
【図19】本発明の実施の形態5の変形例2によるバイオセンサ用カートリッジを示す図である。
【図20】本発明の実施の形態5の変形例2によるバイオセンサ用カートリッジにおいてランセット一体型センサのランセット一体型センサ用測定装置への取り付けを説明するための図であり、図20(a)はその取り付け時の状態を示す図、図20(b)はその取り付け前の状態を示す図である。
【図21】従来のバイオセンサ用測定装置の一例を示す斜視図である。
【図22】従来のランセットデバイスを示す図であり、図22(a)はその斜視図、図22(b)はその一部を透視した状態での斜視図である。
【図23】従来の,バイオセンサの保存状態を示す図であり、図23(a)は包材に包装された状態を示す図、図23(b)はプラスティック容器に収納された状態を示す図である。
【図24】従来の,バイオセンサを測定装置に挿入している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態について、電気化学的に血糖値を測定する血糖値センサを例に挙げ、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0024】
この実施の形態1は、ランセットとセンサとを一体化することによりその管理や持ち運びを容易にしたランセット一体型センサおよびこのランセット一体型センサの駆動および測定を行うランセット一体型センサ用測定装置に関するものである。
【0025】
すなわち、この実施の形態1によるランセット一体型センサは、細長い小片状のセンサとランセットを一体にしたものであり、より具体的には、センサの長手方向に沿って、ランセットが平行に移動するような一体構造としたものである。
【0026】
そしてこのランセット一体型センサが装着される測定装置には、従来のランセットデバイスのランセット駆動機能を付加している。すなわち、装着されたランセット一体型センサのうちのランセットを駆動するための駆動手段をも備えたものとしている。
【0027】
この構成においては、測定のたび毎に、新たなランセット一体型センサを測定装置にセットする。そして測定装置を把持し、その駆動手段を動作させてランセットで指先を穿刺する。それに引き続いて、今度はセンサに血液を点着する動作で血糖値等の測定を行うことができる。
以下では、これらランセット一体型センサおよび測定装置について詳述する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態1におけるランセット一体型センサの斜視図及び分解斜視図を示している。図1(a)において、10はランセット一体型センサを示しており、そのうち1は細長い小片状のセンサを、2はその大部分がセンサ1の内部の空隙(空間)1aに収容され、センサ(センサ本体)1に対して、その長手方向にスライド可能なように支持されているランセットを示している。
【0029】
3はランセット2の針先を保護すべく、針先に圧入されている保護カバーであり、測定時には除去される。4は後で詳述する測定装置に対して電気的に接続を行うための電極端子である。5は、センサ1の半円形状の先端部に設けられたキャビティである。
【0030】
センサ1の構造は、図1(b)に示すように、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂よりなる、カバー(プレート)6と基板(プレート)7とを貼り合わせてなる。またランセット2は、金属製の針2aと、針2aがその先端側に設けられこれを保持するためのコネクタ(端部)2bとからなり、この略短冊状のコネクタ2bは、後述する測定装置の駆動手段と嵌合するよう、センサ1の後端よりその後端側が突出している。
【0031】
カバー6の下面には、ランセット2の形状に沿った凹部が設けられている。すなわち、コネクタ2bをその長手方向にスライドできるように収納するようにその外形に沿った溝(凹部)6aと、針2aの部分が収納される細長い溝(凹部)6bとが形成されている。針2aが収納される溝6bは、センサ1の先端まで通じている。また基板7はその表面に、
電極端子4に通じる一対の電極8が形成され、さらにその表面には、図示しない試薬層が
形成されている。
【0032】
このようにランセット一体型センサは、ランセット2を介在させた状態で、カバー6と基板7を貼り合わせてなる。したがってキャビティ5は、上述の針2aが収納される細長い溝6bの部分を兼ねている。そしてキャビティ5に面して電極8および試薬層の一部が
露出している。
このように、ランセット2は、センサ1の長手方向に沿って移動可能になっており、その動きを図2の平面図にて説明する。
【0033】
図2(a)は、ランセット2がセンサ1に対して、最も先端側に位置する状態を示している。すなわち、コネクタ2bに対しその主面と同一平面内でコネクタ2bの長辺と直交する方向に突出するように形成した微小突起2cが、カバー6に形成した幅広の凹溝(凹部)60aの、センサ1の最も先端側の端部の壁面60bに当接している。この状態では、ランセット2の針2aがセンサ1の先端より、最も長く突出することとなる。また図2(b)は、コネクタ2bの微小突起2cが、凹溝60aの、センサ1の最も後端側の端部の壁面60cに当接する状態を示している。この状態では、ランセット2の針先はすっかりセンサ1内に収納されている。
【0034】
ここで凹溝60aの形状は、図2(a)及び図2(b)に示すように、微小突起2cが位置する端部において、その幅は、微小突起2cを含めたコネクタ2bの幅よりも若干狭くなるよう湾曲している。よって凹溝60aの端部において、互いの押圧力や摩擦力によってコネクタ2bがセンサ1に係止されるようになっている。
【0035】
以上がランセット一体型センサの構成であり、測定に際しては保護カバー3が取り除かれ、図2(c)に示すようにランセット2の針2a先がキャビティ5の開口より突出した状態で、指先等の穿刺が行われる。そして血液を点着しキャビティ5内に血液を吸引し血糖値を測定する際には、図2(d)に示すように、ランセット2の針先は、キャビティ5内に吸引した血液に接触しないよう、キャビティ5を回避した溝6a内に位置する。
【0036】
測定装置
次に上述のランセット一体型センサに組み合わされる測定装置の一例について、図面を参照しながら説明する。
図3は、ランセット一体型センサが装着された状態の測定装置11について、その斜視図を示しており、図3(a)は主にその上面側を、図3(b)は主にその下面側を示している。12は、測定結果等を表示するディスプレイ(表示手段)、13はランセット一体型センサを受け入れる装着口である。14は、指先等を穿刺するよう、測定装置11に装着されたランセットを勢い良く突出するように駆動するための押しボタン(ロック解除用部材)である。また15は、測定装置11から使用済みのランセット一体型センサを排出するためのスライドボタン(排出用部材,操作ボタン)である。また、16は、ランセットの針先の突出量を調整する調整ボタン(ランセット突出量調節器)である。
【0037】
図4(a)は、測定装置11の内部構造を示すべく、外装ケースの上側を取り除いた状態での斜視図を示しており、センサと電気的に接続される接続端子、およびランセットのコネクタと係合する駆動手段の部分を具体的に示している。また、図4(b)は、測定装置の側面図を示している。
【0038】
17はセンサの電極端子との電気的接続を図る接続端子を備えるガイドである。一対のガイド17は、樹脂成形により外装ケースの底面上の基板11aより断面が略L字型に植設されており、接続端子がその天井面に形成されている。また各ガイド17のコネクタ受け19に対向する終端面には終端部材17aが植設されてガイド17同士の間を除いて行
き止まりとなっている。ランセット一体型センサを装着する際には、このガイド17によりセンサ10が案内されてセットされる。
【0039】
18は、ランセット2を駆動するコイルバネ(ランセット付勢部材)であり、19はランセット2のコネクタ2bと嵌合するコネクタ受け(ランセット付勢部材)である。コネクタ受け19は基板11aに植設された逆L字状の一対の約L字状支持部材24により摺動可能に支持されており、そのセンサ10と嵌合する側面と反対側の側面にはコイルバネ18の一端が固定されている。また、コイルバネ18の他端はバネストッパー(ランセット付勢部材)23により支持されている。ランセット2がコネクタ受け19に係合して、さらに測定装置11内部にランセット2が押し込まれることにより、コイルバネ18が圧縮され、ランセット2を駆動するための駆動力が与えられる。
【0040】
20は押しボタン14より手前のテーパ状突起11cとそのテーパ状突起20aが係合する駆動レバーであり、ランセット2が所定の位置までセットされたときに、この駆動力を保持すべくコネクタ受け19を係止する。そして押しボタン14の押圧動作により係止が解除され、ばね18の押圧付勢力によりランセット2を駆動する。
【0041】
21は、コネクタ受け19の位置を規制するトーションバネであり、センサ10の挿入経路と平行な側面付近に植設された軸止部材25により軸止されている。トーションバネ21は、駆動レバー20により係止されていないコネクタ受け19に対して、コイルバネ18の弾性力に抗する方向に押圧している。トーションバネ21は、ランセット2の針先がキャビティ5内に吸引した血液に接触しないよう、回避したところに位置するように、コイルバネ18の弾性力と釣り合って、コネクタ受け19の位置を規制している。
22はスライドボタン15と一体化されている排出レバーであり、スライドボタン15を矢印aの方向に操作することにより、センサ1の後端を押圧し、これを排出する。
【0042】
測定動作
以上の様に構成したランセット一体型センサ及び測定装置について、一連の測定動作について以下説明をする。
まず、ランセット一体型センサを測定装置に装着する動作から説明する。ランセット一体型センサは、未使用の状態では、図2(a)に示す状態である。すなわち、ランセット2は、その針先がセンサ1より突出する位置にあって、保護カバー3が被せられている。患者は、この保護カバー3の面積の大きな把持部3aを把持しながら、測定装置11の装着口13よりランセット2をコネクタ2b側から挿入していく。
【0043】
保護カバー3の把持部3aをさらに押して、センサ1及びランセット2を押し込むことにより、まず、図5(a)に示すように、センサ1がガイド17により案内されてケース11b内部に進入し、さらに進入を続けることで、その半円状の短辺とは反対側の短辺がガイド17の終端部材17aに当接しケース11b内部への進入が規制される固定位置にセットされ、センサ1の電極端子4が図示しない測定装置11の接続端子に接続される。なお、この図5(a)では、図を見やすくするために、ランセット一体型センサについては、センサ1のみを図示しており、ランセット2の部分は省略している。
【0044】
この時点でセンサ1はその進入を停止しているが、図5(c)に示すように、ランセット2はガイド17の端面部材17aにより動きが規制されないため、ランセット2はさらにケース11bの内側に進めていくことが可能である。すなわち、保護カバー3の押圧力により、図2(a)に示す位置での微小突起2cと凹溝60aとの係合が外れる。そして図2(b)の位置関係で示すように、保護カバー3は、その針2aを保護するチューブ3bの部分がセンサ1内に押し込まれ、保護カバー3の把持部3aの一側面がセンサ1の先端に当接する。
【0045】
そして患者が図5(a)の状態よりさらに奥に保護カバー3を押し込むと、今度は、ランセット2のコネクタ2bがコネクタ受け19の凹部19aに嵌合し、図5(b)に示すように、コイルバネ18が圧縮され、コネクタ受け19の駆動レバー20のテーパ状突起20aが押しボタン14の手前のテーパ状突起11cにより係止され、センサ10の装着が完了する。
【0046】
次に、採血動作と血液の点着動作について説明する。ランセット一体型センサの装着動作が完了すれば、図3(a)に示す状態となる。患者は、測定装置11を持ち、採血しようとする体の部位、例えば指先等にセンサ10の先端を軽く押し当てる。
【0047】
そこで押しボタン14を押すと、ランセット2が駆動されて、センサ10の先端よりその針先が勢いよく突出し、皮膚を穿刺する。このときセンサからの針先の突出量は、調整ボタン16を横方向にスライドすることにより可変することが可能である。これは、調整ボタン16を横方向にスライドすることにより、トーションバネ21を測定装置11内部で横方向に移動させ、そのバネ力を調整する、あるいは、調整ボタン16の横方向の動きを、バネストッパー23をランセット2の駆動方向に沿って前後に移動させる動きに変換する機構(図示せず)が駆動されることにより、押しボタン14と係止したコネクタ受け19とバネストッパー23との距離を増減する、等で可能であり、その突出量については、調整ボタン16のスライド量を測定装置のCPU等により換算することでディスプレイ12に表示させることも可能である。
【0048】
患者は穿刺された指先から滲み出す微量の血液を、センサ10の先端に点着し、毛管現象を利用してキャビティ5内に血液を吸引させる。測定装置11は内部の電子回路にて、血糖値の測定を行い、ディスプレイ12に結果を表示する。測定結果が表示され、測定が終了すれば、スライドボタン15をランセット2が突出する方向に操作することで、ランセット一体型センサを測定装置11外へ排出でき、ランセット一体型センサは使い捨てにする。
【0049】
このとき排出レバー22がセンサ1をその後端から押圧していくが、その時点では、ランセット2は、そのコネクタ2bが測定装置11のコネクタ受け19に係合したままである。センサ1が先に排出されることに伴い、センサ1とランセット2との位置関係は、図2(d)に示す状態となる。そしてランセット2の微小突起2cは凹溝60aに係止した状態となり、ランセット2の針先がセンサ1より突出しなくなった状態で、測定装置11外へ排出されることになる。このため針先がセンサ外部に露出していることによる怪我や感染を防止することができる。
【0050】
このように、本実施の形態1によるランセット一体型センサによれば、センサとランセットとが一体化されるためその管理が容易となり、使用の都度これらを別々に交換する手間が省け、測定装置にセンサとランセットとを同時にセットできるため、装着が容易となり、携帯の際にかさばることがなくなる。
【0051】
なお、ランセット一体型センサを排出するときには、怪我や感染をより確実に防止するため、図6(a)に示すように、保護カバー3の把持部3aの一側面に、センサ1の先端形状に沿った半円形の空間を形成しておき、これを同図(b)に示すように、センサ1に被せた上で排出するようにも構成できる。
【0052】
また、本実施の形態1によるランセット一体型センサは、ランセットの先端に保護カバーを被せた形状をしているが、このランセット一体型センサおよび保護カバーの周囲を一体的に覆ってこれらを保持するホルダーを設けることも可能である。この場合、測定装置
への装着や、測定装置からの排出の動作を、ホルダーで覆った状態で行うことが可能であり、手先の不自由な患者にとっては、操作がより簡単になる。
また、このホルダーは、透明材料により形成して、中身のランセット一体型センサを見やすくすれば、より操作性が向上する。
【0053】
さらに、上述の実施の形態1においては、ランセット一体型センサは、ランセットの針先が移動する空間と、血液が吸引されるキャビティとを共用したが、これらをそれぞれ別に設けて構成することもできる。また、センサは薄い板状としたが、この形状に限らず円筒状に形成することも可能である。
また、図7に示すように、測定装置11のスライドボタン15はその上面に波状の凹凸を成型して、指が滑りにくくしてもよく、装着口13の形状もより長方形に近づけてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
この実施の形態2は、ランセット一体型センサを測定装置から取りはずす際に、針先をセンサ内により確実に収容可能とすることで、体液が付着したままの針部2aに他人の指が触れたり、あるいは、誤って指を刺す可能性をなくし、感染症や安全性の面での問題をなくすようにしたものである。
以下に、本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサ、及びこのランセット一体型センサを用いて測定を行うランセット一体型センサ用測定装置について説明する。
【0055】
図8(a)は、本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサの一例を示す斜視図である。
図8(a)において、2は、人や動物の体液を採取するため、皮膚を突き刺して体液を得るためのランセットである。このランセット2は略長方形状の板状部材からなるコネクタ2bと、コネクタ2bの先頭側、即ち2つの短辺のうちの半円弧状の短辺の中央付近に設けられ皮膚を穿刺する針部2aとからなる。コネクタ2bの2つの長辺の中央付近には各長辺から直角方向に張り出した小型の微小突起2cがそれぞれ設けられており、これらの微小突起2cはその上面に底面半円筒状でやや横長の微小凹部21a,21b(ロック用凹部,ロック部材)が形成されている。1は、採取された体液を分析するためのセンサである。センサ1はその内部の空隙1aにランセット2が摺動可能に収容されるものであり、ランセット2の微小突起2cに設けられた微小凹部21a,21bと嵌合する表面半円筒状でやや横長の微小凸部61a,61b(ロック用凸部,ロック部材)を、空隙1aの天井面に有する。1aはセンサ1内部に設けられた空隙であり、ランセット2の幅より若干大きめの幅を有し、その2つの長辺よりランセット2の微小突起2cに対応して幅方向に張り出す一対の凹溝60aを有する。2aは皮膚を突き刺す針部であり、ランセット2の先端部2e、即ち、ランセット2の2つの短辺のうち先頭側のやや丸みを帯びた短辺の中央付近に設けられている。10はこのランセット2とセンサ1とが一体となったランセット一体型センサである。
【0056】
また、図8(b)は、本発明の実施の形態1によるランセット一体型センサの一構成例を示す分解斜視図である。
図8(b)に示すように、ランセット一体型センサ10は、センサ1を構成するカバー6と基板7との間にランセット2を介在させ、カバー6と基板7とを貼り合わせてなる。
【0057】
カバー6には、ランセット2をその長手方向に摺動自在に収容するための空隙1aを形成する溝6aがランセット2よりやや大き目の外形形状で形成されている。この溝6aには、ランセット2の摺動可能な可動領域を制限するための凹溝60aが、溝6aの長辺の後部側に、長辺のそれ以外の部分よりもやや幅広となるように設けられており、当該凹溝60aの横方向の長さは、ランセット2の微小突起2cの長さに合せて設定されている。
【0058】
また、ランセット2が有する微小凹部21a,21bは、上述のように、ランセット2の長辺の中央付近に設けられた前記微小突起2cの上面であって、針部2aから最も遠い位置、即ち、針部2aとは反対側の端部付近、に設けられており、センサ1が有する微小凸部61a,61bは、カバー6が有する凹溝(窪み部)60aの天井面内であって、ランセット一体型センサを組み立てた場合における針部2aから最も遠い位置、即ち、針部2aとは反対側の端部付近、に設けられている。
【0059】
なお、微小凹部21a,21bおよび微小凸部61a,61bの位置関係は上記以外であってもよいが、ランセット1の微小凹部21a,21bとカバー6の嵌合凹部60aの微小凸部61a,61bとが嵌合した場合に、ランセット2に設けられた針部2aがセンサ1内に収まるような所定の位置関係で配置されている必要がある。
【0060】
また、カバー6の先端側、即ち、ランセット2の針部2a側の短辺は、半円弧形状になっており、その先端2eに針部2aがセンサ1外部に突出できるように、一端が前記溝6aにつながる溝6bが形成されており、この連通溝6bの他端はセンサ1の先端の開口6dとなっている。また、カバー6の後端側、即ちランセット2の針部2aとは反対側の端部にもランセット2のコネクタ2bがセンサ1の外部に突出できるように開口6cが設けられており、このカバー6の後端側の2つの角部には電極4が露出するように切り欠き21a,21bが形成されている。
【0061】
基板7は、カバー6と同様、先頭側が半円弧形状となっているが、カバー6と異なり後端側に切り欠きは形成されていない。基板7の表面にはその両長辺の後端の2つの角部に設けた2つの電極端子4、これら2つの電極端子4と配線でつながった一対の電極8が基板7の先端側の半円弧部分の中心付近に形成され、さらにその表面には、図示しない試薬層が形成されている。そして、上述のようにカバー6の溝6aにランセット2を装填した状態で、カバー6と基板7とを貼り合わせることでランセット一体型センサ10が完成する。
【0062】
本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサは図2(a),図2(b)に示すように保護カバー3が装着される。また、本発明の実施の形態2によるランセット一体型センサ用測定装置は図3に示すものと同様の外観形状を有する。また、この測定装置の内部構造は、図4(a),図4(b)および図5(a),図5(b),図5(c)に示すものと同様である。
【0063】
次に、以上のように完成した、ランセット一体型センサ及び測定装置の一連の測定動作について説明する。
まず、ランセット一体型センサを測定装置に装着する動作は次のようになる。ランセット一体型センサは未使用の状態では、図2(a)に示すように、ランセット2はその針先がセンサ1より突出する位置にあって、保護カバー3が被せられている。この保護カバー3は、針収納部としてのチューブ3bと略正方形状の把持部3aとからなる。使用者は、この保護カバー3の面積の大きな把持部3aを把持しながら、図2(a)に示すように、測定装置11の装着口13の開口13aよりランセット2のコネクタ2bの後端(針部とは反対側)を挿入してゆく。
【0064】
その際、ランセット2のコネクタ2bの後端側は図5(a)に示すように測定装置11内のガイド(案内部材)17により案内され、コネクタ受け19の前端側の凹部19aに向かう。コネクタ受け(ランセット付勢部材)19はコイルバネ18,トーションバネ21により互いに反対方向に押圧付勢されており、これら押圧付勢力が釣り合った位置で静止している。
【0065】
保護カバー3を装着した状態でランセット一体型センサ10の挿入を進めていくと、ランセット2は最初センサ1とともに徐々に挿入されていくが、スライドボタン14と一体化された排出レバー15に当接する位置にまで挿入され、その後、スライドボタン14がガイド17の終端部材17aにより規制されたその可動範囲の終端(ディスプレイ13側)にまで移動すると、センサ1は後退を停止する。これに対し、ランセット2は保護カバー3を押し続けることによりセンサ1内部で後退する。
【0066】
そして、ランセット2がセンサ1内部の移動可能な範囲の後端まで来ると、図2(b)に示すように、ランセット2の微小凹部21a,21bとセンサ1のカバー6の微小凸部61a,61bとが嵌合し、ランセット2がセンサ1に対しロックされる。また、その際、ランセット2の後端とコネクタ受け19の凹部19aとが嵌合し、さらに保護カバー3を押し続けることによりコネクタ受け19が後退し、図5(b)に示すように、コネクタ受け19に取り付けられている駆動レバー20のテーパ状突起20aと測定装置11内の天井面に設けられているテーパ状突起11aとが互いに嵌合しコネクタ受け19にロックがかかる。この状態でランセット一体型センサ10の測定装置11への装着が完了する。
【0067】
次に、採血動作と血液の点着動作について説明する。ランセット一体型センサの装着動作が完了すれば、図3(a)に示すようにセンサ10はその先頭の半円弧状の部分付近がホルダー13よりやや露出した状態になる。使用者は測定装置11を持ち、採血しようとする体の部位、例えば指先等にセンサ10の先端を軽く押し当てる。
【0068】
そこで、押しボタン(ロック解除用部材)14を押すと、駆動レバー20のテーパ状突起20aと測定装置11のテーパ状突起11cとの係合が外れ、コイルバネ18の伸張によりランセット2とセンサ1とのロックが外れ、ランセット2が駆動されて、(図10参照)、図2(c)に示すように、センサ1の先端よりその針先が突出し、皮膚を穿刺する。このとき、センサからの針先の突出量は、図3(b)に示す調整ボタン16により可変である。これは、調整ボタン16を横方向にスライドすることにより、トーションバネ21を測定装置11内部で横方向に移動させ、そのバネ力を調整する、あるいは、調整ボタン16の横方向の動きを、バネストッパー23をランセット2の駆動方向に沿って前後に移動させる動きに変換する機構(図示せず)が駆動されることにより、押しボタン14と係止したコネクタ受け19とバネストッパー23との距離を増減すること、等で可能であり、その突出量については、調整ボタン16のスライド量を測定装置のCPU等により換算することでディスプレイ12に表示させることも可能である。
【0069】
患者や被検者の穿刺された指先から滲み出した微量の血液を、センサ1の先端に点着し、キャビティ5内に血液を吸引させる。測定装置11は内部の電子回路にて血糖値の測定を行い、ディスプレイ12に結果を表示する。測定結果が表示され、測定が終了すれば、スライドボタン(排出用部材)15を操作し、ランセット一体型センサ10を測定装置11外に排出し、このランセット一体型センサ10は使い捨てにする。
【0070】
このとき、スライドボタン15と一体の排出レバー(排出用部材)22がセンサ1をその後端側から押圧してゆくが、押圧しはじめた時点では、ランセット2はその後端のコネクタ2bが測定装置11のコネクタ受け19の凹部19aと嵌合したままである。このため、スライドボタン15を操作することでランセット2より先にセンサ1が排出される。これに伴い、センサ1とランセット2との位置関係は、図5(b)に示す状態となる。即ち、ランセット2の微小凹部21a,21bはセンサ1の凹溝60a,60bの微小凸部61a,61bに係止した状態となり、ランセット2はその針先がセンサ1より突出しなくなった状態でロックされ、さらにスライドボタン14を押し続けると針先2aがセンサ1内でロックされたままでセンサ1ごと測定装置11外へ排出されることになる。このた
め、ランセット2の針部2aがセンサ1より露出することはなく、針先が露出していることによる怪我や感染を防止することができる。
【0071】
このように、本実施の形態2によれば、排出されたランセット一体型センサは、ランセット2とセンサ1とが互いに確実にロックされた状態で排出されることとなり、その際、ランセット2に設けられた針部2aがセンサ1の中に収まった状態でロックされる。このため、ランセット一体型センサ10を測定装置より取り出す時に、ランセット2の針部2aに指が触れたり、あるいは、誤って指を刺すおそれがなくなり、感染症を防ぐことができ、安全にランセット一体型センサを測定装置から排出することができるランセット一体型センサを得ることができる。
【0072】
また、このように安全に取り外しが可能なランセット一体型センサを装着して体液の測定が可能で、測定が終了すると、ランセットの針部をセンサ内に収容した状態でロックしたまま外部に排出することが可能なランセット一体型センサ用測定装置を得ることができる。
【0073】
なお、本実施の形態2では、ランセットの上面に凹部を設けるとともに、当該凹部と嵌合する凸部をセンサ2に設けるものについて説明したが、既に述べたように、測定終了後に凹部と凸部との嵌合によりランセットとセンサとがロックされ、ランセットの針部がセンサ内に収納される状態になるものであれば、凹部、凸部を設ける位置については自由に設定できる。
【0074】
(実施の形態3)
この実施の形態3は、ランセット一体型センサを測定装置内部に案内するホルダを測定装置から取り外し可能として、その洗浄等を可能にしたものである。
【0075】
すなわち、実施の形態1または2のランセット一体型センサ用測定装置では、患者は、体液を採取する際には、測定装置11のランセット一体型センサのホルダー状の装着口13に指もしくは上腕部をあてて皮膚を穿刺する必要があり、体液採取時に測定装置11の装着口13に患者の体液が付着することがある。
【0076】
しかしながら、これら実施の形態1または2の測定装置では、測定装置1と装着口13とが一体となっており、測定終了後に装着口13の洗浄あるいは交換を行うことができなかったため、装着口13に他人の体液が付着したままの状態で別の測定者が測定を行った場合には、他人の体液に測定者の体液が接触する可能性があり、感染症等に感染するおそれがあった。このため、実施の形態1または2の測定装置では、専ら個人専用の測定のみを行えるにすぎない。
これに対し、本実施の形態3によるランセット一体型センサ用の測定装置は、体液の付着した装着口状のホルダーを洗浄、あるいは交換することを可能とし、安全かつ衛生的に使用できるようにしたものである。
【0077】
図11及び図12は、本発明の実施の形態3におけるランセット一体型センサ用測定装置の構成を示すものである。
図11において、図11(a)は、ランセット一体型センサ、及びこれと組み合わされる測定装置の斜視図、図11(b)は、ホルダーの取り外し時の状態を示している。
図11において、11はランセット一体型センサ2を装着して血糖値等の測定を行うランセット一体型センサ用測定装置(以下、測定装置と称する。)であり、10はランセット一体型センサである。
【0078】
測定装置11は、ランセットで皮膚を穿刺する側の側壁内に、前記ランセット一体型セ
ンサ10の上記皮膚を穿刺する側の一端の近傍部分を保持するためのホルダー体43を着脱自在に装着するためのホルダー装着部47が形成されている。また、測定装置11はこれに装着されたランセットを駆動するための操作ボタン14、測定結果等を表示するディスプレイ12、測定装置11からランセット一体型センサ10を排出するためのスライドボタン15と、ホルダー体43を装着するためのホルダー装着部47とを有する。
【0079】
なお、ホルダー体43の構造は、図11(b)に示すように、測定完了後にホルダー体43に付着した体液を洗浄あるいは交換するために、ホルダー体43を測定装置11より取り外すことができる構造としている。
また、ランセット一体型センサ10は、既に述べたように、人や動物の体液を採取するため、皮膚を突き刺して体液を得るためのランセット2と、採取された体液を分析するためのセンサ1とを一体として構成したものである。
以下に、図12を用いて、ホルダー体43、及びホルダー装着部47の構造についてさらに説明する。
【0080】
図12は、ホルダー体43とホルダー装着部47との着脱を説明するための説明図である。
図12(a)において、43a,43bは、ホルダー体43が有するヒンジ形状のストッパーであり、ホルダー体43の両端から前方、すなわちランセット一体型センサの進入方向と逆方向に伸長させた板状部材を後方にほぼ180°折り曲げて形成したものであり、その先端にはストッパー43a,43bの外れどめとなり、ホルダー体43を開口47cに係止させた際の位置決めを行うクリップ部43e,43fが形成されている。そしてこのヒンジ形状のストッパーの内側辺が上記ホルダー体43に固定され、上記ヒンジ形状のストッパーの外側辺が上記ホルダー装着部47の嵌合部と嵌合することで測定装置11に係止される。すなわち、ホルダー体43をそのばね力で、その外形形状とほぼ同等の開口形状を有するホルダー装着部47の2つの短辺にその横幅をやや広げるように形成された孔(小開口)47a,47bに係止させる。なお、この孔47a,47bは略矩形のホルダー装着部47の開口47cの2つの長辺に設けるようにしてもよい。
【0081】
ホルダー体43のホルダー装着部47への装着は、ホルダー装着部47の孔47aにホルダー体43のストッパー43aを、ホルダー装着部47の孔47bにホルダー体43のストッパー43bを、それぞれ挿入することにより、ホルダー体43を測定装置11のホルダー装着部47に取付けることができる。なお、図12(a)に示すように、ホルダー装着部47の孔47aと47b、及びホルダー体43のストッパー43aと43bは、それぞれその大きさが異なり、天地が逆向きでは挿入できない形状になっている。これはランセット一体型センサ10が、測定装置11に対して上下の向きが逆に挿入されるとランセット一体型センサ10と測定装置11との電気的接続ができないためであり、これを防止するために、ホルダー装着部47の孔とホルダー体43のストッパーの形状を左右で異ならせ、上下の向きが或る方向である場合のみ、即ち、正常な方向でのみホルダー体43を装着できるようにすることにより、ランセット一体型センサが逆向きに挿入できないようにしている。
【0082】
図12(b)、及び図12(c)は、測定装置11にホルダー体43が係止している際の断面図であり、図12(b)は、ホルダー体43のヒンジ形状のストッパー43a,43bが測定装置11の孔47a,47bに係止している状態を示している。また、図12(c)は、測定完了後もしくは他の人が使用する時にホルダー体43を交換するため、指でストッパー43a,43bのクリップ部43e,43fを押さえて、ホルダー体43を取り外そうとしている状態を示している。
【0083】
このように、測定装置が有する,ランセット一体型センサを装着するためのホルダーを
着脱可能とすることにより、体液が付着したホルダー体を未使用のものと交換したり、洗浄したりすることができ、個人専用の測定器としてのみならず、通常の使用者以外の人でも感染症等の恐れなく測定することができ、ランセット一体型センサ用測定装置を安全かつ衛生的に使用することができる。
【0084】
また、ホルダー装着部に係止するヒンジ形状のストッパーをホルダー体に設けることにより、ホルダー体の係止や着脱を容易に行うことができる。
また、ホルダー装着部の孔と、ホルダー体のストッパーの形状をそれぞれ異なる構造とすることにより、常にホルダー体を測定装置に対して正常な方向で装着することができ、ランセット一体型センサを測定装置に逆挿入することを防止することができる。
【0085】
なお、本実施の形態3では、ホルダー体43のストッパー43a,43bと、ホルダー装着部47の孔47a、47bとの形状が左右異なるものとするものについて説明したが、ホルダー体、及びホルダー装着部の嵌合部の形状が、それぞれ、上下、或は左右方向に対して非対称的な構造を有するものであればよく、ホルダー装着部に対してホルダー体を特定の方向で挿入する場合にのみ、装着可能となるものであれば何でもよい。
【0086】
また、測定装置11のバネストッパー23は図13(a)に示すように測定装置11の天井面に固定されるものであってもよく、このバネストッパー23に固定されたシャフト56aにコイルバネ18を装着するようにしてもよい。
さらに、ランセット一体型センサ10の形状は、図13(b)に示すようにより長手方向が短めの形状であってもよい。
【0087】
(実施の形態4)
この実施の形態4は、ランセット一体型バイオセンサからの針先の突出量を容易に調節可能とし、また、ランセットを勢いよく突出するように駆動する時、何らかの不具合で途中で駆動が停止した場合に、容易に駆動前の状態に戻せるようにしたものである。
【0088】
すなわち、実施の形態1または2のランセット一体型センサ用測定装置においては、体液を採取する際には、操作ボタン14を押下して駆動手段100を動作させ、ランセット2を駆動してその針部2aで指先や上腕部を穿刺し、センサ1に血液を点着させ体液の測定を行うが、ランセットの突き刺しが不充分など、何らかの不具合で体液の採取ができない時には、再度、ランセット2を駆動することができる状態にセットし直す必要がある。
【0089】
しかしながら、一旦駆動させたランセット2を再度、駆動できる状態にするためには、一度ランセット一体型センサ10をスライドボタン15を用いて排出した後に、再度、ランセット一体型センサ用測定装置11に装着し直す必要があり、時には、ランセット一体型センサ10自体を取り替える必要がある場合もある。
また、実施の形態1または2のランセット一体型センサにおいては、ランセットの針先の突出量を調節できる有効な手段がなく、測定者の体液の滲出具合を調節したり、測定者の痛みを軽減することが困難であった。
【0090】
これに対し、本実施の形態4に係るランセット一体型センサ用測定装置は、容易にランセットの針先の突出量を調節することができるとともに、ランセットの突き刺し不充分や何らかの不具合で、体液の採取ができない場合に、再度の測定準備を容易に行うことができるようにしたものである。
以下、実施の形態4によるランセット一体型センサ用測定装置について説明する。
【0091】
図14は、本発明の実施の形態4によるランセット一体型センサ用測定装置の一例を示す図である。
図14において、11は本発明の実施の形態4によるランセット一体型センサ用測定装置(以下、測定装置と称する。)を示す。13はランセット一体型センサを挿入し、測定の際に指もしくは上腕部に当てる装着口、14は測定装置11に装着されたランセットを駆動するための操作ボタン、12は測定結果等を表示するディスプレイ、15は測定装置11からランセット一体型センサを排出するためのスライドボタン、56は体液を採取する際に不具合が生じた場合に、図14中の矢印A、すなわち、ランセットの駆動方向とは反対方向に引っ張ることにより、ランセット一体型センサを測定装置11に装着した状態のままで測定を行える待機位置に復帰駆動させるプルスティック、57はプルスティック56のストッパーであるとともに、ランセットの針先部の突出量を調節するランセット突出量調節器である。
【0092】
図15は、図14に示したランセット一体型センサ用測定装置のX−X’線断面図であり、この図15ではプルスティック56はつまみ部56dを有するものとなっている。なお、図14で説明したものと同じ構成要素については、同一の符号を付し説明を省略する。
【0093】
図15において、10は測定装置11に装着されたランセット一体型センサであり、人や動物の体液を採取するため、皮膚を突き刺して体液を得るためのランセット2と、採取された体液を分析するためのセンサ1とが一体として構成されたものである。
【0094】
また、19はランセット一体型センサ10を構成するランセット2が有するコネクタ2bとその凹部19aとが互いに嵌合するコネクタ受け、56aは皮膚を穿刺する側と反対側の一端にランセット2の皮膚を穿刺する側と反対側を受けるコネクタ受け19が取り付けられたシャフトであり、そのプルスティック56内に位置する端部(抜け出し防止部材)56bは、プルスティック56のランセット一体型センサ10の開口56cよりも大径となっている。20はコネクタ受け19に設けられた駆動レバーであり、駆動手段100の動作を開始するための操作ボタン14の押圧によりそのロックが解除されるシャフト56aに装着されたばね18によりコネクタ受け19が皮膚を穿刺する方向に移動しようとする付勢力に対しコネクタ受け19の移動を停止する。なお、操作ボタン14、プルスティック56、ランセット突出量調節器57、シャフト56a、コネクタ受け19により、ランセット2をその待機位置よりセンサ1の長手方向に沿って駆動させ、ランセット2が皮膚を穿刺する方向にランセットを駆動させた後、ランセット一体型センサ10を測定装置11に装着したままの状態でランセットを待機位置に復帰駆動させる駆動手段100を構成している。
【0095】
次に、動作について説明する。
患者は先ず、ランセット一体型センサ用測定装置11の装着口13にランセット一体型センサ10を押し込んで、ランセット一体型センサ10のランセット2が有するコネクタ2bをコネクタ受け19の凹部19aと嵌合させるとともに、操作ボタン14を押下することによりランセット2を発射できるように、コネクタ受け19に設けられた駆動レバー20のテーパ状突起(爪部)20aを測定装置11のテーパ状突起(爪部)11cに係止させる。
【0096】
その後、測定装置11の装着口13に被測定者の指もしくは上腕部を当て、操作ボタン14を押すと、コネクタ受け19のテーパ状突起20aと測定装置11のテーパ状突起11cとの係合が外れ、センサ10の先端よりランセット2が発射される。
【0097】
この時、ランセット2が皮膚を突き刺せなかったり、なんらかの不具合で測定がうまく行かなかった場合には、使用者がプルスティック56をつまんで図14の矢印方向、即ち図中の上方に引っ張ることにより、シャフト56aの端部56bが引き上げられランセッ
ト2のコネクタ2bを保持するコネクタ受け19がこれに連動して動作し、再度、コネクタ受け19に設けられたテーパ状突起20aを操作ボタン14直前のテーパ状突起11cに係止させることができる。
【0098】
また、ランセット2が発射されると、ランセット2は、センサ1の長手方向に沿って移動し、ランセット1と連動して動作するプルスティック56がランセット突出量調節器57の対向面とぶつかるまで移動する。このプルスティック56のストッパーとして働くランセット突出量調節器57は、例えば、測定装置11の装着口13とは反対側の一側面に形成されたネジ穴11dと螺合するネジ構造をしており、これを左回りあるいは右回りに回転することにより、ランセットの移動方向に沿って移動させることができるものである。
【0099】
このため、測定者は、予めランセット2を駆動させる前にランセット突出量調節器57の位置を調節し、コネクタ受け19とバネストッパー(支持部材)23との距離を調節することによりバネ力を調節し、ランセット2の針部2aが所望の突出量となるよう調節しておく。これにより、発射されたランセット2は、プルスティック56がランセット突出量調節器57に当たって停止するまで移動することとなり、センサから突出するランセット2の針先部の突出量を調節することができる。
【0100】
このように、本実施の形態4によれば、ランセット2が皮膚を突き刺せなかったり、なんらかの不具合で測定がうまく行かなかった場合であっても、ランセット2のコネクタ2bを保持するコネクタ受け19を再度操作ボタン14下に係止し、測定を行える状態にするプルスティック56を設けることにより、再度の測定準備を容易に行うことができる。
また、ランセットの突出量を調節することができるランセット突出量調節器を設けることにより、測定者の体液の出具合を調節したり、痛みを軽減することができる。
【0101】
(実施の形態5)
この実施の形態5はバイオセンサやランセット一体型センサを面倒な操作を必要とすることなく測定装置に装着できるバイオセンサ用のカートリッジを提供するものであり、請求項1ないし請求項6の発明に対応する。
以下に、本発明の実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジについて、電気化学的に血糖値を測定する血糖値測定用のバイオセンサを収納するカートリッジを例に挙げ、図面を参照しながら説明する。
【0102】
図16は、本発明の実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジを示す図である。
図16において、1は例えば血糖値測定用のバイオセンサであり、略長方形状で一方の短辺側が半円弧状である板状部材からなる。11はバイオセンサ1を取り付けて血糖値を測定する測定装置、63はプラスティック等からなるバイオセンサ用カートリッジであり、略直方体状の収納箱(カートリッジ本体)63c内に、バイオセンサ1が測定装置11に挿入される部分を上方に向けて直立支持することで個別に収納できる、バイオセンサ1の形状に合致したスリットからなる収納部63bを複数有する。なお、このバイオセンサ1を収納するための収納部(スリット)63bの間隔は、測定装置11の挿入口11aを、個別に収納されたバイオセンサ1に押し込むことができる,十分な間隔を有する。この間隔は、目的とするバイオセンサ1を測定装置11の挿入口11aに挿入する際、挿入口11aが隣接するバイオセンサに接触しない間隔である。63aはバイオセンサ用カートリッジ63が有する蓋体(蓋部)であり、中空の略直方体形状となっており、収納箱63cの一辺に設けられた蝶番63hをヒンジにしてほぼ90度回転することにより開閉する。
【0103】
図17は、本発明の実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジに収納されたセン
サを測定装置に挿入している状態を示す図である。
バイオセンサ1の測定装置11への取り付けは、バイオセンサ用カートリッジ63の蓋体63aを図16に示すように開けた後、図17(a),図17(b)に示すように、バイオセンサ用カートリッジ63に半円弧状の一端を下向けにして収納されているバイオセンサ1を、測定装置11に設けられたバイオセンサ1用の挿入口11aに押し込むことにより行う。
【0104】
その際、バイオセンサ1を収納するための収納部63bの間隔は、目的とするバイオセンサ1を測定装置11の挿入口11aに挿入する際、挿入口11aが隣接するバイオセンサに接触しない間隔に設定されているため、目的とするバイオセンサ1を、他のバイオセンサ1を傷つけることなく容易に測定装置11に取り付け可能である。
【0105】
このように、本実施の形態5によるバイオセンサ用カートリッジによれば、バイオセンサ用カートリッジに設ける個々の収納部の間隔を、測定装置11の挿入口11aに、個別に収納されたバイオセンサ1を押し込むことができる,十分な間隔となるようにしたので、バイオセンサ1を測定装置11にワンタッチで挿入することができ、測定準備を簡易に行うことができ、収納容器に収納されたバイオセンサを面倒な操作を行うことなく測定装置11に挿入することができるとともに、測定装置の挿入口11aが、目的とするバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触して破損したりする事故等を、極力抑えることができる効果がある。
【0106】
(実施の形態5の変形例1)
以下に、本発明の実施の形態5の変形例1によるバイオセンサ用カートリッジについて説明する。なお、本変形例1によるバイオセンサ用カートリッジは、カートリッジの密閉の仕方に特徴を有するものであり、他の構成は前述した実施の形態1とほぼ同様であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0107】
図18は、本発明の実施の形態5の変形例1によるバイオセンサ用カートリッジを示す図である。
図18(a)に示すようにバイオセンサ用カートリッジ63は、内部が中空となった略直方体状の蓋体63aが、略直方体状の収納箱63cに対しその長手方向に回転軸がスライド可能なヒンジにより回動可能に取り付けられている。
【0108】
このヒンジは蓋体63aの開口の一方の短辺の両端付近から蓋体63aの長辺をなす側面に対し垂直方向に突出する一対の軸状突起63gと、収納箱63cの開口の一方の短辺の両端付近からその開口の長辺に沿いこの長辺をなす側面と同一平面内で延在する横長の軸受け部63iと、この軸受け部63iに長円状に設けられ軸状突起63gが嵌め込まれる軸受け孔63jとからなる。
【0109】
そして、バイオセンサ用カートリッジ63の収納箱63cの上面の各辺の縁部に設けられた突出部(周側縁部)63fの切り欠き63eの4ヶ所に、蓋体63aの開口の各辺の縁部に設けられた逆L字状の突出部63dの4ヶ所の位置を合わせて切り欠き63eに潜り込ませ、矢印の方向、即ち、左回りに90°回転させた後、半径方向に、即ち図中左手前の方向に少しスライドさせることにより、L字状の突出部63dと切り欠き63e付近の突出部63fとが互いに嵌合し、蓋体63aがバイオセンサ用カートリッジ63の収納部を複数有する収納箱63cを密閉する構造となっている。図18(b)は、図18(a)の状態から蓋体を密閉した状態を示す側面図である。
【0110】
また、図18(c)は、バイオセンサ用カートリッジ63の収納箱63cと蓋体63aとの密着部、即ち蓋体63aの開口の周側縁部に、弾性部材(シール部材)64を設けて
、容器を密閉させた状態を示す断面図である。なお、弾性部材64とは、ゴム等の弾性力の大きい部材をいう。このように、弾性部材64を一体化成形することにより、バイオセンサ用カートリッジの密閉性を増すことができる。
【0111】
なお、以上の説明では、バイオセンサの収納部の形状に関しては特に述べなかったが、略直方体形状の収納箱63cの凹部を充填する部材に一定間隔でバイオセンサの形状に合ったスリットを設けることにより、実施の形態5と同様に目的とするバイオセンサ1を測定装置2の挿入口2aに挿入する際、挿入口2aが隣接するバイオセンサに接触しない間隔で直立支持するようにすることができる。
【0112】
このように、本実施の形態5の変形例1によれば、バイオセンサ用カートリッジ63の収納箱63cと蓋体63aとの嵌合部に、弾性部材64等を一体化して形成し、蓋体63aを被せた後に、蓋体63aに設けられたL字状の突出部63dをバイオセンサ用カートリッジの突出部63fの切り欠き63eに潜り込ませ、スライドさせて嵌合させ、容器を密閉するようにしたので、容器の密閉性が増し、容器の中の湿気を減少させることができ、センサの湿気による汚染を防止させることができ、センサの精度向上につながる効果がある。
【0113】
(実施の形態5の変形例2)
図19は、本発明の実施の形態5の変形例2によるバイオセンサ用カートリッジを示す図である。
図19において、10は人や動物の皮膚を突き刺して体液を採取するランセットと採取された体液を分析するためのセンサとを一体として構成したランセット一体型センサ、11はランセット一体型センサ5を取り付けて血糖値等の測定を行うランセット一体型センサ用測定装置、63はプラスティック等からなるバイオセンサ用カートリッジであり、略直方体形状の蓋体63aと略直方体形状の収納箱63cとからなる。収納箱63cは底面に保護カバー(プロテクター)3が装着されたランセット一体型センサ10を直立状態で一定間隔で支持できるように、収納箱63cの凹部を充填する部材の最も底面に近い側にランセット一体型センサ10の保護カバー3が嵌入されてこれを支持する下側溝630aが、その上側にランセット一体型センサ10のセンサ部の一部が嵌入されてこれを支持する中間溝630bが、その上側に溝の最下部がやや丸くなって溝の幅が広がりほぼ全体がランセット一体型センサ10のセンサ部より幅広の上側溝630cが設けられており、これら互いにつながった下側溝(第1の溝)630a,中間溝(第2の溝)630b,上側溝(第3の溝)630cにより1つの収納部(溝)63bが形成されている。そして、収納箱63aは複数の収納部63bによりランセット一体型センサ10を、測定装置11に挿入される部分を上側に向けて所定の間隔で並べて個別に収納する。
【0114】
なお、このランセット一体型センサを収納するための収納部の間隔は、測定装置11の挿入口11aを、個別に収納されたランセット一体型センサ10に押し込むことができる,十分な間隔を有するものである。この、ランセット一体型センサの例としては、既に述べた実施の形態1または2に示すものがある。
【0115】
図20(a)は、ランセット一体型センサのランセット一体型センサ用測定装置への取り付けを説明するための状態図であり、図20(b)はその斜視図を示している。
図20(a)は図1等に比べ針収納部がやや太めのランセット一体型センサを示している。
【0116】
ランセット一体型センサ10のランセット一体型センサ用測定装置11への取り付けは、バイオセンサ用カートリッジ63の蓋体63aを図19に示すように開けた後、図20(b)に示すように、バイオセンサ用カートリッジ63に収納されているランセット一体
型センサ1に対して、ランセット一体型センサ用測定装置11に設けられたランセット一体型センサの挿入口11aを押し込むことにより行う。
【0117】
このように、本実施の形態5によれば、バイオセンサ用カートリッジに設ける個々の収納部の間隔を、測定装置11の挿入口11aを、個別に収納されたランセット一体型センサ10に押し込むことができる,十分な間隔となるようにしたので、ランセット一体型センサ10をランセット一体型センサ用測定装置11にワンタッチで挿入することができ、ランセットを有さないセンサに対応する測定装置よりもその測定準備を簡易に行うことができ、収納容器に収納されたバイオセンサを面倒な動作を行うことなく測定装置11に挿入することができるとともに、測定装置11の挿入口11aが目的とするバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触して破損してしまうことが回避できる効果がある。
【0118】
なお、上記実施の形態5の変形例1または2では、バイオセンサを直立して支持するようにしたが、バイオセンサ用カートリッジの高さを抑えたい場合には、バイオセンサを斜め方向に支持するようにしてもよく、この場合でも、該バイオセンサを挿入して測定を行う測定装置の挿入口を、目的のバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触することなく押し込むことができる間隔で、収納部を設けることにより、同様の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
このように、本発明のセンサを収納するカートリッジは、センサを所定の間隔で保持するようにしたので、センサを測定装置に装着する際に他のセンサを破損したりする事故を防止できる。
【符号の説明】
【0120】
1 バイオセンサ
2a 挿入口
11 測定装置
11a 挿入口
63 バイオセンサ用カートリッジ
63a 蓋部
63b 収納部
63c 収納箱
63d 突出部
63e 切り欠き
63f 突出部
63g 軸条突起
63h 蝶番
63i 軸受け部
63j 軸受け孔
64 弾性部材
630a 下側溝
630b 中間溝
630c 上側溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の体液中の特定の成分を検出する試薬層と、該試薬層が前記特定成分を検出した旨を示す電気信号を外部に取り出すための電極とを有するバイオセンサを複数収納するバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記カートリッジ本体はその上面の一端に、当該カートリッジ本体の上面を覆う蓋部を回動自在に軸止する蝶番部が設けられ、
上記カートリッジ本体は、各バイオセンサをそれぞれ直立して支持するスリットを、複数有し、
上記複数のスリットは、上記バイオセンサを挿入して測定を行う測定装置の挿入口を、目的のバイオセンサに隣接するバイオセンサに接触することなく差し込むことができる間隔で、上記カートリッジ本体の上面から下面に向けて、互いに平行に形成されている、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。
【請求項2】
請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記蓋部が取り付けられた上記カートリッジ本体は直方体状である、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。
【請求項3】
請求項2記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記蓋部は当該カートリッジ本体の上面に対向する部分が開口となった中空の直方体形状よりなる、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。
【請求項4】
請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記スリットの底部はバイオセンサの先頭側の形状に合致した形状を有する、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。
【請求項5】
請求項4記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記バイオセンサの先頭側は半円状の形状を有する、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。
【請求項6】
請求項1記載のバイオセンサ用カートリッジにおいて、
上記蝶番部は、上記カートリッジ本体の上面の一端側から該カートリッジ本体の長手方向に沿って外側に向けて突出し横長の軸受け孔を有する一対の軸受け部と、
上記蓋部の一端に設けられ、上記軸受け孔と滑動自在に嵌合し上記蓋部を回動する際の支点となる一対の軸状突起とから構成されており、
上記カートリッジ本体の上面の周縁部には、該カートリッジ本体の側壁に対し直角方向に延在し、複数の切り欠き部が形成された周側縁部が形成され、
上記蓋部の開口部の周縁部には、当該周側縁部の切り欠き部に対応して該蓋部の側壁と同一の平面上に設けられた逆L字状の突起部が形成され、
上記縁側部の上面には、弾性を有するシール部材が形成されている、
ことを特徴とするバイオセンサ用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−148898(P2010−148898A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−36648(P2010−36648)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【分割の表示】特願2008−123488(P2008−123488)の分割
【原出願日】平成14年1月21日(2002.1.21)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】