説明

バイオマス炭化装置及びバイオマス炭化方法

【課題】炭化炉内のバイオマスの充填移動層で加熱用ガスの流通を良好として高い収率でバイオマスの炭化を行える装置及び方法を提供することを課題とする。
【解決手段】バイオマスが充填される竪型の炭化炉11と、該炭化炉11の上部に接続されたバイオマス供給装置12と、上記炭化炉11の下部に接続された高温ガス供給装置11Eとを有していて、バイオマス供給装置12からバイオマスを供給して炭化炉11内で降下するバイオマスの充填移動層を形成し、高温ガス供給装置11Eから高温ガスを炭化炉11内へ供給し、バイオマスを高温ガスと接触させ熱分解して炭化物を生成するバイオマス炭化装置10において、炭化炉11の上部に、上記バイオマスより大きい大塊物を炭化炉内に供給する大塊物供給装置13が設けられていて、炭化炉内のバイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることを可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを炭化して炭化物を得るバイオマス炭化装置及びバイオマス炭化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の防止対策として、バイオマスエネルギーの有効利用に注目が集まっている。化石資源ではない、再生可能な、生物由来の有機性資源をバイオマスと呼ぶ。バイオマスは太陽エネルギーを使い、水と二酸化炭素から生物が生成するものなので、持続的に再生可能な資源である。バイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出される。しかし、これに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来するので、バイオマスを使用してもこの成長過程を含めて全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされる。この性質をカーボンニュートラルと呼ぶ。
【0003】
特に、バイオマスの中でも植物由来のバイオマスは、植物の成長過程で光合成により二酸化炭素から変換された炭素資源を有効利用できるため、資源のライフサイクルの観点からすると大気中の二酸化炭素の増加につながらない。植物由来のバイオマスは林業系(木屑、製材廃棄物、間伐材、製紙廃棄物等)、農業系(稲わら、麦わら、サトウキビ糠、米糠、草木、アブラヤシ採油残渣等)、廃棄物系(生ごみ、庭木、建築廃材、下水汚泥等)等に分類される。
【0004】
近年、バイオマスを熱分解してガス燃料や炭化物を製造することが開発検討されている。バイオマスから製造された炭化物を燃料や製鉄用コークスの代替品として用いることにより、二酸化炭素排出量を削減する効果が期待されている。
【0005】
特許文献1には、竪型炉を用いて都市ごみ等の廃棄物を不活性ガス雰囲気下で熱分解処理して炭化物と熱分解ガスを得て、得られた炭化物を石炭やコークスの代替燃料や活性炭の代替材料とする技術が記載されている。特許文献1に記載の熱分解処理用の竪型炉を用いてバイオマスを熱分解して炭化物を得ることができる。
【0006】
特許文献1に記載の熱分解処理装置では、竪型炉に廃棄物を投入し、炉内を降下する廃棄物の充填移動層を形成して、炉下部からこの充填移動層へ加熱ガスを吹き込み、炉内を自重で下降する廃棄物に対して上昇する加熱ガスを接触させて加熱して、廃棄物が熱分解されて炭化物と熱分解ガスが生成される。
【0007】
バイオマス原料重量に対する生成炭化物重量の比率である炭化物収率を向上させることが要望されているが、特許文献1に記載の熱分解処理装置を用いて、炭化物収率を向上させることについていまだ提案されていない。
【0008】
炭化物収率を向上させることを検討したところ、比表面積(表面積/体積)が大きいバイオマスを用いれば、バイオマス表面からの熱分解、炭化反応効率が高く、炭化物収率を向上させることがわかった。比表面積が大きいバイオマスは粒径の小さいバイオマスが相当する。
【0009】
しかしながら、充填移動層を形成させる炭化炉を用いて、粒径の小さいバイオマスを炭化すると以下のような問題が生じる。
【0010】
粒径の小さいバイオマスを竪型炉に供給し充填移動層を形成すると、小粒径バイオマスは密に充填されるため空隙が少なく充填移動層内を上昇する加熱ガスの圧力損失が大きくなりすぎて、加熱ガスの流通状態が悪くなったり、流通させることができずバイオマスを十分に加熱できないため熱分解できない問題が生じたり、円滑にバイオマスが充填移動層を下降しない問題が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−131557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、炭化炉へ粒径の小さいバイオマスを供給し充填移動層を形成して炭化する際に、充填移動層内のガスの流通に支障が生じたり、バイオマスの充填移動層内の下降に支障が生じることなく、上述の課題を解決すべくバイオマスを熱分解して炭化物を高い収率で得ることのできるバイオマス炭化装置及びバイオマス炭化方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、粒径の小さいバイオマスの充填移動層内にバイオマスより大きい大塊物を分散させることにより、充填移動層内のガスの流通とバイオマスの充填移動層内の下降とが円滑に行えることを見出し、本発明を完成した。
【0014】
本発明によるバイオマス炭化装置そしてバイオマス炭化方法は次のごとく構成される。
【0015】
<バイオマス炭化装置>
本発明のバイオマス炭化装置は、バイオマスが充填される竪型の炭化炉と、該炭化炉に接続されたバイオマス供給装置と高温ガス供給装置とを有していて、バイオマス供給装置からバイオマスを供給して炭化炉内で降下するバイオマスの充填移動層を形成し、高温ガス供給装置から高温ガスを炭化炉内へ供給し、バイオマスを高温ガスと接触させ熱分解して炭化物を生成するバイオマス炭化装置において、上記バイオマスより大きい大塊物を炭化炉内に供給する大塊物供給装置が設けられていて、炭化炉内のバイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることを可能としていることを特徴としている。
【0016】
<バイオマス炭化方法>
本発明のバイオマス炭化方法は、竪型の炭化炉にバイオマスを供給して炭化炉内で降下するバイオマスの充填移動層を形成し、高温ガスを炭化炉内へ供給し、バイオマスを高温ガスと接触させ熱分解して炭化物を生成するバイオマス炭化方法において、バイオマスより大きい大塊物を炭化炉内に供給し、バイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることを特徴としている。
【0017】
このような本発明においては、大塊物はバイオマスの充填移動層における体積比率が3体積%以上30体積%以下の範囲となるように供給されることが好ましい。
【0018】
また、本発明において、大塊物の大きさは50mm以上150mm以下であることが好ましい。
【0019】
このような本発明の装置そして方法によると、炭化炉内のバイオマス充填移動層中に大塊物が分散されているので、粒径の小さいバイオマスを用いても、充填移動層中にガスが流通する空隙が粒間に確保されるため、層内に高温ガスを円滑に流通させることができ、バイオマスに高温ガスを良好に接触させて加熱することができる。また、上述のように、バイオマス充填移動層中に大塊物が分散されているので、粒径の小さいバイオマスは充填移動層中を円滑に下降移動する。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のバイオマス炭化装置及びバイオマス炭化方法によれば、バイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることにより、粒間に空隙を確保して高温ガスの流通を良好として小粒径のバイオマスの熱分解を促進すると共に、バイオマスの充填移動層内の下降を円滑にし、その結果、バイオマスから高い収率で炭化物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明のバイオマス炭化装置の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面の図1にもとづき本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
本実施形態のバイオマス炭化装置10は、竪型の炭化炉11と、この炭化炉11へバイオマスを供給するバイオマス供給装置12と、該炭化炉11へ大塊物を供給する大塊物供給装置13と、さらには、部分燃焼炉14をも備えている。
【0024】
炭化炉11は、上部にバイオマス供給口11A と大塊物供給口11Bとを有し、バイオマス供給装置12と大塊物供給装置13がそれぞれ接続されている。これらにより供給されるバイオマス、大塊物については、後に詳述する。
【0025】
炭化炉11は、底部に炭化物排出口11Cが設けられ、側部の上部に発生ガス排出口11D、下部に高温ガス送入口11Eが設けられている。
【0026】
上記発生ガス排出口11Dは、部分燃焼炉14に接続されていて、炭化炉11内で発生するガスが該部分燃焼炉14へ導かれてここで部分燃焼するようになっている。部分燃焼炉14の排気側は、部分燃焼ガスの一部が上記高温ガス送入口11Eを経て炭化炉11内へ供給されるように、上記高温ガス送入口11Eに接続されている。
【0027】
このような本実施形態装置では、炭化炉11に上部又は側方上部からバイオマスがバイオマス供給装置12により供給されて炭化炉11内に充填移動層Pを形成しており、さらに、炭化炉11の上部又は側方上部からバイオマスより大きい大塊物が大塊物供給装置13により供給されて、バイオマスの充填移動層P中に大塊物が分散される。したがって、充填移動層P内には、粒間に空隙が生じ、後述の高温ガスが良好にこの空隙を上昇する。
【0028】
一方、下部又は側方下部の高温ガス送入口11Eからは、部分燃焼ガスの一部が高温ガスとして供給される。バイオマスが充填移動層Pの上部から下部へ下降移動する間に炉内を上昇する高温ガスとの接触により、まず上部で乾燥・予熱され、下部でさらに加熱され熱分解され、炭化物が生成され底部から灰分とともに炭化物排出口11Cから排出される。熱分解によって生成した可燃ガスを含む発生ガスは頂部から排出される。
【0029】
以下、図1に用いられている炭化炉、これに接続されている装置、バイオマス、大塊物さらには、これらの挙動について、詳述する。
【0030】
<炭化炉>
本発明における炭化炉の炉形式は竪型炉またはシャフト型炉であり、炭化炉の上部または側方上部からバイオマスを供給し、炭化炉内に充填移動層を形成し、さらに、炭化炉の上部又は側方上部からバイオマスより大きい大塊物が大塊物供給装置により供給されて、バイオマスの充填移動層中に大塊物が分散される。
【0031】
炭化炉の下部または側方下部から、例えば、部分燃焼炉からの高温ガスの供給を受け、炭化炉の充填移動層内を該高温ガスが上昇する。
【0032】
バイオマスの充填移動層中に大塊物が分散されているので、粒径の小さいバイオマスを用いても、充填移動層中にガスが流通する空隙が確保されるため、高温ガスを円滑に流通させることができ、バイオマスに高温ガスを接触させて加熱することができる。また、バイオマスの充填移動層中に大塊物が分散されているので、粒径の小さいバイオマスは充填移動層中を円滑に下降移動できる。
【0033】
供給されたバイオマスは充填移動層の上部で乾燥され水分を除去され、バイオマスが充填移動層の上部から下部に下降する過程で高温ガスと接触しさらに加熱され熱分解されて炭化物とタールとガスが生成される。熱分解によって生成した可燃ガスを含む発生ガスは頂部から排出される。
【0034】
炭化物は炭化炉の下部または側方下部に設けられた炭化物排出口から排出される。炭化物排出手段としてはスクリューフィーダを用いて炭化物を切り出すようにすることが好ましい。可燃ガスを含む発生ガスが炭化炉の上部または側方上部に設けられた発生ガス排出口から排出される。
【0035】
大塊物は炭化物とともに炭化物排出口から排出され、分離装置により大塊物が分離され、大塊物供給装置へ送られ、再利用される。
【0036】
<バイオマス供給装置>
炭化炉の上部または側方上部からバイオマスを供給するように設けられたバイオマス供給装置は、バイオマスを所定の供給量で切り出すロータリバルブやスクリューフィーダなどを備えていて供給量を調整可能としている。
【0037】
<大塊物供給装置>
炭化炉の上部または側方上部から大塊物を供給するように設けられた大塊物供給装置は、大塊物を所定の供給量で切り出すロータリバルブやスクリューフィーダなどを用いる。バイオマス供給装置と大塊物供給装置を別途に設けなくとも、炭化炉外でバイオマスと大塊物を予め混合して、バイオマス・大塊物供給装置により炭化炉に供給するようにしてもよい。
【0038】
<大塊物>
大塊物の好ましい粒径は50mm以上150mm以下である。
【0039】
大塊物の粒径が50mmより小さいと、粒径の小さいバイオマスと混合された充填移動層内でガスを流通させるのに十分な空隙を形成することができない。また、粒径が50mmより小さいと充填移動層内で大塊物がバイオマスとともに滞留して、バイオマスを円滑に下降させることができない。また、一方で、粒径が150mmより大きいと、充填移動層内で大塊物を均一に分散させるのに支障が生じたり、バイオマス供給量が少なくなり炭化物収量が低下して問題が生じる。
【0040】
・好ましい添加率
バイオマス充填移動層における大塊物の体積比率を3体積%以上30体積%以下とすることが好ましい。3体積%より小さいと、充填移動層内でガスを流通させるのに十分な空隙を形成することができないし、充填移動層内で大塊物がバイオマスとともに滞留して、バイオマスを円滑に下降させることができない。30体積%より大きいと、バイオマス供給量が少なくなり炭化物収量が低下して、炭化物収率を向上させることができない。
【0041】
・好ましい材質
大塊物は、700℃程度の高温で安定して耐久性を有する材質であることが好ましい。この大塊物は、バイオマスに比べて密度が大きいことが好ましい(バイオマスの下降を促進する)。セラミック、金属(鉄、ステンレス等)が好適である。コークスは、それが崩れてできる細粒が炭化物であり、バイオマスから得る炭化物に混入しても支障がないため、大塊物として好適である。大塊物としてアルミナを用いると、タールが炭化物に転換する反応を促進する触媒作用があるので、好ましい。
【0042】
・大塊物のガス流通促進処理
大塊物の表面に凹凸、溝を設けたり、貫通穴を設けガス流通を促進するような加工処理を施してもよい。
【0043】
(炭化炉内のガス流速)
炭化炉に供給された高温ガスは、発生ガスとともに充填移動層内を上昇するが、その際のガス流速を適切な範囲とすることを、大塊物をバイオマスの充填移動層内に分散させることにさらに付加することにより、粒径の小さいバイオマスを用いる際の炭化において、一層、ガス流通の確保とバイオマスの円滑な下降移動を確保することに効果的である。
【0044】
ガス流速の調整は高温ガスの供給量を調整して行う。ガス流速が大きすぎると充填移動層を通過するガスの圧力損失が大きすぎるため、送気装置の負荷が大きくなりすぎたり、バイオマスの微粒が発生ガスに随伴されて炭化炉から排出され、その結果炭化物収率が低下するという問題が生じる。 そのため、ガス流速(線速度)を0.5Nm/sec未満とするように、高温ガス供給量を調整する。 一方、ガス流速が小さすぎると、炉内のガス流れを均一にすることが難しくなるため、ガス流速(線速度)を0.02Nm/sec以上とするように、高温ガス供給量を調整する。
【0045】
(炭化炉の温度)
供給する高温ガスの条件(温度、供給量)、供給するバイオマスの条件(種類、供給量)及び大塊物の混合率のうち少なくとも一つを調整することにより、炭化炉における充填移動層の温度を好ましい範囲に調整する。
【0046】
充填移動層下部の温度は400℃以上700℃以下に調整する。温度が上記の下限値(400℃)より低いとバイオマスの熱分解・炭化が進まず、炭化物収率が低くなる。また、温度が上記の上限値(700℃)より高いとバイオマスの熱分解反応がガス発生の多い反応となり炭化物の収率が低下する上に、過剰に温度を高くすることによって設備費用や運転費用が嵩む。充填移動層下部の温度は500℃程度とするのが最も好ましい。
【0047】
充填移動層上部の温度は80℃以上100℃以下に調整する。温度が前記下限値(80℃)より低いとバイオマスの乾燥が十分に進まず水分が充填移動層から十分に排出されなくなる。また、温度が上記上限値(100℃)より高いと、バイオマスの熱分解により発生したガス状タールが凝縮せず、ガス状タールが発生ガスとともに炭化炉から排出されるため、排出ガス中のタール含有率が高くなり排出ガスからタールを分離する装置の負荷が高くなるので好ましくない。
【0048】
(高温ガスの供給手段)
炭化炉でのバイオマスの熱分解・炭化反応においては、炭化物収率を最大化する条件においても、ガスが発生する。この発生ガスの主成分は水素、一酸化炭素、メタン等の可燃ガスであり燃料として発熱量をもつことから、この発生ガスを部分燃焼炉に送り、この部分燃焼炉で空気を供給して部分燃焼して、生じる高温の燃焼ガスの少なくとも一部を炭化炉へ供給する高温ガスとして用いることが望ましい。
【0049】
炭化炉で発生した発生ガスは送気装置により部分燃焼炉に導かれる。部分燃焼炉に供給された発生ガスは、空気を供給され部分燃焼して燃焼ガスを生成し、この燃焼ガスの少なくとも一部が高温ガスとして炭化炉に送られる。
【0050】
炭化炉の下部または側方下部に部分燃焼炉から導いた高温ガスを吹き込むための高温ガス送入口としてのノズルを設ける。このノズルは複数設け周方向に部分配置することが好ましい。
【0051】
部分燃焼炉から排出される燃焼ガスの少なくとも一部を高温ガスとして充填移動層炭化炉へ供給するダクト、供給量を調整するダンパを設ける。
【0052】
<部分燃焼炉>
炭化炉で発生した可燃ガスを含む発生ガスを部分燃焼炉に導いて、可燃ガスに対して空気比1以下となるように空気を供給し、部分燃焼して、生じる500〜1000℃の高温の燃焼ガスの少なくとも一部を炭化炉に供給する高温ガスとして用いる。ここで、空気比とは可燃ガスの燃焼に必要な理論空気量に対する実際に供給する空気量の比率をいう。
【0053】
高温ガスの供給手段として、上記の部分燃焼炉から排出される燃焼ガスの少なくとも一部を用いる他に、熱風炉を設け燃料を燃焼した燃焼ガスを用いるようにしてもよい。
【0054】
<バイオマス>
本発明に用いるバイオマスとして、木屑、籾殻、アブラヤシ空果房(EFB)、アブラヤシ古木(Trunk)、アブラヤシ果実搾粕(PKS)を用いることが好ましい。これらは、粒径が小さく比表面積が大きいため、熱分解・炭化反応効率が高く、高い炭化物収率を得ることができる。
【0055】
次に、アブラヤシ(パームヤシ)からパーム油を採取する際に生じるアブラヤシバイオマスについて説明する。アブラヤシ果房には直径数cmの小粒の果実が数百個ついており、この果実を脱果した空果房(Empty Fruit Bunch, EFB)、アブラヤシ古木(Trunk)、果実から搾油した搾粕(Palm Kernel Shell,PKS)が大量に副生され、これらのアブラヤシバイオマスを炭化物原料として用いる。
【0056】
Trunkはアブラヤシ古木の幹であるが破砕すると粉々になり粒径は数mm程度となり、PKSは粒径5〜15mm程度であり、粒径が小さい。また、EFBそのものは40cm程度と大きいものであるが、破砕して小粒径になる。
【0057】
このように、アブラヤシバイオマスは小粒径であり、比表面積が大きいため炭化反応効率が高く、本発明の炭化方法に適用することにより、充填移動層のガス流通やバイオマスの下降移動が円滑に行われるため、高い炭化物収率で炭化物を得ることができる。
【0058】
また、EFBそのものを炭化炉に供給すると、繊維状で軽いため円滑に充填移動層を下降しない問題があるが、大塊物を混合して供給することにより、円滑に下降させることができる。
【符号の説明】
【0059】
10 バイオマス炭化装置
11 炭化炉
11E 高温ガス供給装置(高温ガス送入口)
12 バイオマス供給装置
13 大塊物供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスが充填される竪型の炭化炉と、該炭化炉に接続されたバイオマス供給装置と高温ガス供給装置とを有していて、バイオマス供給装置からバイオマスを供給して炭化炉内で降下するバイオマスの充填移動層を形成し、高温ガス供給装置から高温ガスを炭化炉内へ供給し、バイオマスを高温ガスと接触させ熱分解して炭化物を生成するバイオマス炭化装置において、
上記バイオマスより大きい大塊物を炭化炉内に供給する大塊物供給装置が設けられていて、炭化炉内のバイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることを可能としているバイオマス炭化装置。
【請求項2】
竪型の炭化炉にバイオマスを供給して炭化炉内で降下するバイオマスの充填移動層を形成し、高温ガスを炭化炉内へ供給し、バイオマスを高温ガスと接触させ熱分解して炭化物を生成するバイオマス炭化方法において、
バイオマスより大きい大塊物を炭化炉内に供給し、バイオマスの充填移動層内に大塊物を分散させることを特徴とするバイオマス炭化方法。
【請求項3】
大塊物はバイオマスの充填移動層における体積比率が3体積%以上30体積%以下の範囲となるように供給されることとする請求項2に記載のバイオマス炭化方法。
【請求項4】
大塊物の大きさは50mm以上150mm以下であることとする請求項2又は請求項3に記載のバイオマス炭化方法。

【図1】
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