説明

バイオマス燃料の製造方法及びこれを利用したバイオマス燃料システム

【課題】バイオマス燃料を使用した場合に焼却灰をリサイクルしやすくする。
【解決手段】下水汚泥1に含まれるリンを除去する脱リン工程2と、下水汚泥1を炭化させて燃料化する炭化工程3を備えることで、バイオマス燃料のリン含有量を減らす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料の製造方法及びこれを利用したバイオマス燃料システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、廃棄物である下水汚泥を原料としたバイオマス燃料の製造方法及びこれを利用したバイオマス燃料システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物の再資源化が環境保護と処理処分費用の抑制の観点から特に注目されている。下水汚泥を燃料資源として有効活用するものとして、例えば特開2005−220194号公報に開示されたバイオマス燃料がある。このバイオマス燃料は、石炭火力発電所において石炭の代替燃料として使用されるものであり、下水汚泥を脱水処理して得た有機性脱水ケーキを混合造粒し、乾燥させることで製造される。
【0003】
また、火力発電の副産物として生じる焼却灰はコンクリートの骨材として利用されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−220194号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、下水汚泥には多量のリンが含まれており、下水汚泥をそのまま燃料化させたバイオマス燃料を石炭の代替燃料として火力発電に使用すると、生じた焼却灰が多量のリンを含んだものとなる。リンはコンクリートの硬化を抑制するので、多量のリンを含む焼却灰をコンクリートの骨材として使用することはできない。このため、下水汚泥をそのまま炭化させたバイオマス燃料を石炭の代替燃料として火力発電に使用すると、その焼却灰をコンクリートの骨材として利用することはできず、廃棄物として多大な費用をかけて処分する必要がある。
【0006】
本発明は、多量のリンを含む焼却灰を発生させることのないバイオマス燃料の製造方法及びこれを利用したバイオマス燃料システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、請求項1記載のバイオマス燃料の製造方法は、下水汚泥に含まれるリンを除去する脱リン工程と、下水汚泥を炭化させて燃料化する炭化工程を備えるものである。廃棄物である下水汚泥には多量のリンが含まれている。下水汚泥に含まれるリンを除去し、炭化させることでリンの含有量が僅かなバイオマス燃料が製造される。脱リン工程と炭化工程を行なう順番は、脱リン工程を行なった後に炭化工程を行っても良く、あるいは炭化工程を行なった後に脱リン工程を行なっても良い。
【0008】
また、請求項2記載のバイオマス燃料の製造方法は、脱リン工程は、下水汚泥をアルカリ溶液中で撹拌した後、濾過分離するものであり、濾過分離して得られた脱リン後の下水汚泥を炭化燃料にする一方、濾過分離して得られた溶液に石膏を投入し、反応開始時のpHを13.0〜14.9とし、40〜100℃で撹拌して、かつ反応終了時のpHを12以上に保持して、アルカリ溶液中のリン酸と石膏とを反応させて水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を得るものである。
【0009】
廃棄物である下水汚泥をアルカリ溶液で撹拌することにより、下水汚泥中に含まれるリンをアルカリ溶液中にリン酸として抽出することができる。したがって、濾過分離したアルカリ溶液に石膏を投入してリン酸と石膏を上記条件下で反応させることにより、水酸化アルミニウムの析出を防いで、高純度且つ高収率で安価に水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を得ることができる。一方、濾過分離して得られた脱リン後の下水汚泥のリン含有量は僅かなものになっているので、脱リン後の下水汚泥を原料にして炭化燃料を製造することで、リン含有量の僅かなバイオマス燃料を得ることができる。
【0010】
ここで、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材の製造について、前記アルカリ溶液が1.5〜3.0mol/Lの範囲の濃度の水酸化カリウム溶液であり、前記下水汚泥に対するアルカリ溶液の割合が固液比(L/S)で2〜10(リットル/kg)であり、投入する前記石膏の量は、石膏中に含有するCaと濾過分離して得られた溶液中に含有されるPのモル比が10:6となる量であることが好ましい。このようにすることで、未反応石膏を残すことなく、水酸アパタイト結晶を生成することができる。
【0011】
また、前記アルカリ溶液が0.1〜3.0mol/Lの範囲の濃度の水酸化カリウム溶液であり、前記下水汚泥に対するアルカリ溶液の割合が固液比(L/S)で2〜10(リットル/kg)であり、投入する前記石膏の量は、石膏中に含有するCaと濾過分離して得られた溶液中に含有されるPのモル比が10:6となる量であり、石膏投入時に、石膏投入モル量の0.3〜1倍モル量相当の水酸化カリウムを更に添加して、水熱反応開始時のpHを13〜14.9に保持することが好ましい。
【0012】
石膏投入時に、石膏投入モル量の0.3〜1倍モル量相当の水酸化カリウムを添加することにより、反応開始時のpHが13〜14.9となり、反応終了時のpHを12以上に保持することができる。したがって、水酸化アルミニウムの析出を防いで、高収率で高純度な水酸アパタイト結晶を得ることが可能になる。
【0013】
また、反応終了後吸着材を固液分離して得られた高温の廃液に硫酸を加えpH3以下に調整し、その後冷却させることでカリミョウバンを析出させ、廃液中のアルミニウムイオンおよび硫酸イオンを分離する廃液処理過程を含むことが好ましい。
【0014】
カリミョウバンは溶解度の温度依存性が高く、80℃では710g/L溶解し、一方20℃では59g/Lしか溶解できない(図6)。そこで、反応終了後に溶液が高温のうちに吸着材を固液分離し、得られた高温のままの廃液に硫酸を投入し、pH3以下に中和した後、冷却過程でカリミョウバン(AlK(SO)を沈降させることにより、温度が低下するに従って、液相中から効率的にミョウバンを析出させることが可能で、これにより廃液処理が容易となる。
【0015】
また、前記アルカリ溶液は、反応終了後に吸着材を固液分離して得られた廃液であることが好ましい。
【0016】
液相中のアルミニウム濃度は、非晶質の水酸化アルミニウムの溶解度に制限される。したがって、反応終了後に吸着材を固液分離して得られたアルミニウムを含む廃液を下水汚泥からのリン抽出に用いることで、下水汚泥からのアルミニウムの新たな溶出量を低減でき、処理が必要となる最終廃液の量を削減して、アルミニウムを含む沈殿物であるカリミョウバンの発生量を低減できる。さらに、下水汚泥の溶出過程で使用する水酸化カリウムの使用量も削減することができる。
【0017】
また、請求項3記載のバイオマス燃料の製造方法は、石膏が火力発電所から排出された脱硫石膏である。したがって、脱硫石膏をリサイクルすることができる。
【0018】
さらに、請求項4記載のバイオマス燃料システムは、下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法によって下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造する製造設備と、バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備えるものである。したがって、下水処理施設で発生した下水汚泥が製造設備に供給される。製造設備では、下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造する。製造されたバイオマス燃料は火力発電設備に供給され、火力発電に使用される。
【0019】
さらに、請求項5記載のバイオマス燃料システムは、下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項3に記載の製造方法によって下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造すると共に、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する製造設備と、バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備え、製造設備では、石膏として火力発電設備で発生した脱硫石膏を使用するものである。したがって、下水処理施設で発生した下水汚泥が製造設備に供給される。製造設備では、下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造する。製造されたバイオマス燃料は火力発電設備に供給され、火力発電に使用される。また、火力発電設備で生じた脱硫石膏は製造設備に供給される。製造設備では、下水汚泥から分離したリンと脱硫石膏とを使用してアパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載のバイオマス燃料の製造方法では、下水汚泥に含まれるリンを除去する脱リン工程と、下水汚泥を炭化させて燃料化する炭化工程を備えているので、下水汚泥という廃棄物を利用してリンの含有量が僅かなバイオマス燃料を製造することができる。このため、このバイオマス燃料を燃焼させた焼却灰のリンの含有量を僅かなものにすることができ、焼却灰のコンクリート骨材としての有効活用に適したバイオマス燃料を提供することができる。即ち、燃料として使用した場合に、コンクリート骨材としてリサイクル可能な焼却灰を発生させるバイオマス燃料を提供することができる。
【0021】
また、請求項2記載のバイオマス燃料の製造方法では、脱リン工程は、下水汚泥をアルカリ溶液中で撹拌した後、濾過分離するものであり、濾過分離して得られた脱リン後の下水汚泥を炭化燃料にする一方、濾過分離して得られた溶液に石膏を投入し、反応開始時のpHを13.0〜14.9とし、40〜100℃で撹拌して、かつ反応終了時のpHを12以上に保持して、アルカリ溶液中のリン酸と石膏とを反応させて水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を得るようにしているので、水酸アパタイトの合成に、下水汚泥という廃棄物に含まれるリンを利用することができ、安価に水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造することができる。
【0022】
また、水酸アパタイトの合成に、下水汚泥と廃石膏という2つの廃棄物を原料として用いることができ、安価に水酸アパタイトを得ることが可能である。また、これら両廃棄物のリサイクルを促進することで、廃棄物埋立処分量を低減することが期待できる。
【0023】
また、下水汚泥のアルカリ抽出液をそのまま原料として用いるため、下水汚泥からのリンの分離抽出に必要なアルミニウムの分離処理を行う必要がない。
【0024】
さらに、廃液の処理において、水熱合成後溶液が依然高温であることを利用し、溶液に硫酸を加え、溶解度の温度依存性の高いカリミョウバンを析出させることで、新たな加熱用エネルギーを加えずとも溶液中のアルミニウムおよび硫酸イオンを効率的に除去することが可能である。
【0025】
また、反応終了後に吸着材を固液分離して得られたアルミニウムを含む廃液を下水汚泥からのリン抽出に用いることで、下水汚泥からのアルミニウムの新たな溶出量を低減でき、最終的に処理が必要となる廃液の量を削減して、アルミニウムを含む沈殿物であるカリミョウバンの発生量を低減できる。下水汚泥のリン酸抽出過程で使用する水酸化カリウムの使用量も削減することができる。
【0026】
この方法により得られた水酸アパタイト結晶は水と接触すると弱アルカリ性を呈する性質があり、一般に重金属溶出が顕在化しがちな酸性土壌中に添加してもより安定して存在することができる。
【0027】
また製造過程でアンモニア塩を用いないことから、水熱合成過程を非密閉条件下で行うことも可能で、アンモニアが気散することがないため、作業安全性の確保および周辺環境へ影響低減ができる。
【0028】
また、請求項3記載のバイオマス燃料の製造方法では、石膏が火力発電所から排出された脱硫石膏であるので、水酸アパタイトの合成に、下水汚泥という廃棄物に含まれるリンに加えて、脱硫石膏という廃棄物をも利用することができ、さらに安価に水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造することができる。
【0029】
また、請求項4記載のバイオマス燃料システムでは、下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法によって下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造する製造設備と、バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備えているので、下水汚泥という廃棄物を利用して火力発電を行なうことができる。また、製造設備で製造されるバイオマス燃料のリンの含有量は僅かであり、火力発電設備で生じた焼却灰のリン含有量も僅かなものとなる。即ち、高品位の焼却灰を得ることができる。このため、焼却灰をコンクリートの骨材として有効利用することができる。また、これらの廃棄物のリサイクルを促進することで、廃棄物埋め立て処分量を低減することができる。
【0030】
さらに、請求項5記載のバイオマス燃料システムでは、下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項3に記載の製造方法によって前記下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造すると共に、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する製造設備と、バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備え、製造設備では、石膏として火力発電設備で発生した脱硫石膏を使用するので、下水汚泥という廃棄物を利用して火力発電を行なうことができる。また、製造設備で製造されるバイオマス燃料のリンの含有量は僅かであり、火力発電設備で生じた焼却灰のリン含有量も僅かなものとなる。即ち、高品位の焼却灰を得ることができる。このため、焼却灰をコンクリートの骨材として有効利用することができる。さらに、下水汚泥から分離したリンと火力発電で発生した脱硫石膏という2種類の廃棄物を原料として用いることができ、安価に水酸アパタイトを得ることが可能である。また、これらの廃棄物のリサイクルを促進することで、廃棄物埋め立て処分量を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の構成を図面に示す最良の形態に基づいて詳細に説明する。
【0032】
図1に、本発明のバイオマス燃料の製造方法の実施形態の一例を示す。このバイオマス燃料の製造方法は、下水汚泥1に含まれるリンを除去する脱リン工程2と、下水汚泥1を炭化させて燃料化する炭化工程3を備えるものである。
【0033】
下水処理施設に導かれた下水4は、第一沈殿池5→生物反応槽6→第二沈殿位置7→その後の処理工程へと供給され下水処理される。下水汚泥1は第一沈殿池5と第二沈殿池7から回収される。下水汚泥1にはリンが高濃度に含まれており、その含有量は例えば酸化物P換算で10〜30重量%程度といわれている。
【0034】
回収された下水汚泥1は脱リン工程2で脱リンされ、炭化工程3で炭化されて燃料化されバイオマス燃料(炭化燃料8)となる。脱リン工程2で行なわれる処理としては、特に限定されるものではないが、例えば下水汚泥1をアルカリ溶液中で撹拌した後、濾過分離することが考えられる。下水汚泥1をアルカリ溶液中で撹拌することで、下水汚泥1に含まれるリンをアルカリ溶液中にリン酸として抽出することができる。そして、アルカリ溶液を濾過分離した残りの脱リン後の下水汚泥を乾燥させた後、炭化させることで、バイオマス燃料が製造される。なお、炭化工程3における下水汚泥1の炭化は、例えば市販の炭化装置を使用して行なわれる。
【0035】
脱リン工程2は、例えば下水汚泥1をアルカリ溶液中で撹拌した後、濾過分離するものであることが好ましい。そして、本実施形態では、濾過分離して得られた脱リン後の下水汚泥を上述の通り炭化燃料8にする一方、濾過分離して得られた溶液に石膏を投入し、反応開始時のpHを13.0〜14.9とし、40〜100℃で撹拌して、かつ反応終了時のpHを12以上に保持して、アルカリ溶液中のリン酸と石膏とを反応させて水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を得るようにしている。即ち、脱リン工程2で濾過分離された脱リン後の下水汚泥を乾燥し炭化させて燃料化し、バイオマス燃料を製造すると共に、濾過分離したアルカリ溶液に抽出されたリン酸を利用して水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造することができる。
【0036】
水酸アパタイトを合成する際のリン酸源として下水汚泥1を用いる点について説明する。
【0037】
脱リン技術としては、これまで酸またはアルカリで抽出する方法が試みられている。酸を用いる方法については、重金属等の有害物質も同時に溶出することが指摘されている。一方アルカリを用いてリン抽出する方法については、重金属の溶出量が、酸抽出と比較して小さいという利点がある。しかしいずれの方法でも抽出物にリン酸とともに多量のアルミニウムイオンが含まれるため、そのままでは抽出液からの生成物はリン酸アルミニウムとなり、産業上の再利用は難しいとされている。
【0038】
本発明では従来産業上の再利用が難しいとされる下水汚泥1のアルカリ溶出液をアパタイト結晶生成原料として活用することで、製造コストのローコスト化を図るものである。また、石膏として、火力発電の副産物である脱硫石膏9や、建築物の立て替え等で発生する石膏廃棄物を用いれば、脱硫石膏・石膏廃棄物処分と下水汚泥処分の両方の処分引き受け費用を製造コストへ転稼することにより、さらに生産事業の採算性を向上させることができる。
【0039】
特に、アルカリ溶液中に投入する石膏として脱硫石膏9を使用する場合には、本発明によって製造したバイオマス燃料を火力発電に使用することで、バイオマス燃料を製造する事業者から火力発電所にバイオマス燃料を供給し、火力発電所からバイオマス燃料の製造事業者に脱硫石膏9を供給するという一連のサイクルができる。
【0040】
本発明においては、下水汚泥1にアルカリ溶液を加え、攪拌して、アルカリ溶液でリン酸を抽出する。攪拌は、通常少なくとも1時間、好ましくは、3〜12時間行う。攪拌後、固液分離し、リン酸を含むアルカリ溶液を得ることができる。アルカリ溶液としては水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ水酸化物の溶液が挙げられる。
【0041】
水酸化カリウムの代わりに水酸化ナトリウムを用いることで、リンを抽出することは不可能ではない。しかし、カリウムイオンのイオン半径(0.133nm)はカルシウムのイオン半径(0.099nm)より大きいのに対して、ナトリウムのイオン半径(0.095nm)はこれより小さいことから、ナトリウムイオンは容易に水酸アパタイト合成過程において固溶した形態で、水酸アパタイト中の結晶格子中に入り込む性質がある。このため液相中のナトリウムイオンが増加すると、水酸アパタイト結晶の純度が低下するとともに、結晶化速度も低下することから、本発明におけるアルカリ抽出には水酸化カリウムを使うことが望ましい。
【0042】
アルカリ溶液は通常0.1〜3.0 mol/lのものが用いられるが、高濃度のものが好ましい。例えば、水酸化カリウム溶液であれば、0.5〜3.0mol/lが好ましく、さらに好ましくは、1.0〜2.0mol/lである。濃度が低いと抽出できるリン酸の量が少なくなるので、好ましくない。濃度を高くすればリン酸の抽出量は多くなるが、1mol/lを超えるとあまり差はなくなるので、薬品の投入量と抽出されたリン酸量のバランスから、適宜選択すればよい。但し、あまり濃度が高いと石膏との反応時にアルカナイト(KSO)が生成するので好ましくない。このような条件でリン酸の抽出を行い、抽出時のpHを12〜14程度とすることが好ましい。尚、一般的な下水汚泥1を用いたリン酸抽出液(アルミニウム濃度0.5mol/l以下)の場合は、水酸化カリウム溶液の濃度を1.5mol/l以上とすることで、反応開始時のpHを13以上とすることができ、反応終了時にpH12以上とすることができる。したがって、この場合には、後に説明する水酸化カリウムの追加添加をせずとも、水酸化アルミニウムが析出しない。ただし、リン酸抽出液のアルミニウム濃度が約0.7mol/l以上になると、pH12でも水酸化アルミニウムが析出する虞がある。このような場合には、後に説明する水酸化カリウムの追加添加を行うことで、水酸化アルミニウムの析出を確実に防いで、生成する水酸アパタイト結晶の純度を高めることができる。
【0043】
また、抽出における下水汚泥1に対するアルカリ溶液の比は、固液比(L/S)で2〜10(リットル/kg)が好ましい。この固液比の範囲で良好にリン酸を抽出することができるが、この範囲を超えてもリン酸の抽出は可能であり、この範囲に限られるものではない。
【0044】
このようにして抽出して得られた溶液のリン酸の濃度を測定し、この溶液にCa/Pモル比が好ましくは10/6(水酸アパタイト化学量論比)となるように石膏を加える。このモル比は10/6でなくとも、未反応石膏を残さない観点からリン酸過剰条件であればよく、範囲で示すとすれば、10/6〜10/10程度範囲であればよい。
【0045】
本発明において、石膏としては、脱硫石膏9、石膏ボード廃棄物などの廃石膏を用いることができ、リサイクル、コストの観点から好ましいが、通常の市販石膏粉末などあらゆる石膏を用いることができる。
【0046】
石膏を加えた後、40〜100℃、好ましくは45℃〜95℃、さらに好ましくは70〜95℃で、6〜48時間、好ましくは12〜24時間水熱反応を行う。尚、水熱反応時間を1時間としても水酸アパタイト結晶は生成されるが、水酸アパタイト生成をおおむね完了させるためには6時間以上水熱反応を行うことが好ましく、水酸アパタイト生成を十分に完了させるためには12〜24時間水熱反応を行うことが好ましい。ここで、一般的に高温のほうが反応速度は速くなり、100℃を超える温度であっても加圧容器を用いて反応させれば合成は可能であることから、100℃を超える温度で合成を行うことを否定するものではない。また大気圧条件下において,溶液が沸騰した条件下(100℃付近)でも合成は可能であるが、この場合は沸騰により失われる水分を補給する必要がある。尚、石膏とリン酸との反応は、反応時開始時の溶液のpHが13〜14.9、好ましくはpH13〜13.5で反応終了時のpHが12以上に保たれなければならない。一般に下水汚泥溶出液のアルミニウム濃度は最大10g/L程度と考えられ、水熱反応開始時のpHが13未満では水熱反応後pHが低下してこれを12以上に保つことができず、水酸化アルミニウム(Al(OH))が析出する恐れがあり、一方、pH14.0を超えると液相中のカリウム濃度が高いため、生成物の純度が低下し、不純物としてアルカナイト(KSO)が生成する恐れがある。pHが13〜14.0好ましくはpH13〜13.5であれば、水酸化アルミニウムやアルカナイト(KSO)をほとんど含有しない水酸化アパタイトが得られる。上記のようにpHの値を保てば、溶液の組成は水酸化アルミニウム(Al(OH))に対して依然として不飽和(溶存状態)であり、この操作により、水酸化アルミニウムの析出を防止でき、生成された水酸アパタイト成分だけを固液分離することができる。
【0047】
前に述べたように、反応過程において硫酸が分離生成するためpHは低下していく。そこで、反応時に反応終了までpH12の範囲に保つには、反応開始時には、溶液のpHは13より大きい必要がある。アルカリ抽出時のアルカリ溶液のpHが高く、反応によりpHが低下しても反応終了時にpHを12以上に保持できる場合は、そのまま、石膏を加えて水熱反応を行うことができる。しかしながら、例えば0.1〜1mol/Lの範囲の濃度の水酸化カリウム溶液で抽出した場合のように抽出溶液の初期pHが低い場合は、さらにここで、分離する硫酸イオン量を上回る量のアルカリを液中に再度添加し、液相のpHをさらに上昇させた後、水熱反応を行う。水熱反応後、pHは低下するが、アルカリを再度添加するため、この反応溶液は下水汚泥1をアルカリ抽出した時のpHよりも値が高く保たれ、水熱反応中の水酸アルミニウムの飽和度を、アルカリ抽出時のアルカリ溶液よりも常に低く保つことが可能となる。この場合のアルカリの添加モル量は、石膏投入モル量の0.2倍以上で好ましくは0.3〜1倍程度である。
【0048】
また、上記のように抽出溶液の初期pHが低い場合でなくとも、アルカリを液中に再度添加してもよい。アルカリ溶液中にFe、Zn等の両性金属イオンが多量に含まれている場合は、水熱反応に伴うpHの低下によって、これらの沈殿が形成される。この場合もアルカリを再添加することにより、これらの水酸化物の生成物中への混入を抑止することが可能である。
【0049】
さらに、リン酸溶液中のアルミニウム濃度が不明な場合、アルカリを液中に再度添加することにより、簡単・確実にpHを上記の水酸化アルミニウムが沈殿しない範囲に維持でき、分析作業や試行実験の要らないメリットもあり、好ましい方法である。
【0050】
図5の工程図に水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材の製造方法の一例を示す。
【0051】
反応の化学式は、アルカリ抽出液組成をリン酸塩の形で代表すれば化学式1のようになる。
【0052】
[化学式1]
10CaSO4:2H2O + 6K3PO4 → Ca10(PO4)6(OH)2 +9K2SO4 + H2SO4
【0053】
なお、この方法において反応時のpHはpH12〜14.9程度であり、このような非常に高いアルカリ条件における水熱反応により、実際に水酸アパタイト結晶が生成可能であることについては、過去に報告例が無く、未知の事実である。
【0054】
このようにして得られる水酸化アパタイトは、高いアルカリ性条件で生成するため、一般の水酸アパタイトと異なり、水と接触するとアルカリ性を呈する。一般の水酸アパタイトは中性の物質であり、pH5.5以下の環境では容易に分解してしまうが、この方法で得られる水酸アパタイトは、酸性雰囲気中でも容易に分解せず、吸着効果を持続できると考えられる。従って、一般に重金属溶出が顕在化しがちな酸性土壌中に添加してもより安定して存在することができる。
【0055】
また、この方法により得られた水酸アパタイトは、分析結果からは、組成としてシリカ(SiO)が4.7〜5.0重量%含まれており、本発明品はシリカ含有水酸アパタイトである。
【0056】
水熱反応後、水酸アパタイトを濾過分離したアルカリ溶液(残液)は、コスト削減のため複数回繰り返してアルカリ抽出に使用することも可能である。アルカリ溶液として水酸化カリウム溶液を用いた場合には、リン酸抽出時の液量の約60体積%相当量が最終的に残液となり、この分はアルカリ抽出に再利用できる。この時の液量損失は主にリン酸抽出後に分離した下水汚泥1中に残留する水分量である。また、液相中のアルミニウム濃度は、非晶質の水酸化アルミニウムの溶解度に制限される。したがって、残液を下水汚泥1からのリン抽出に用いることで、下水汚泥1からのアルミニウムの新たな溶出量を低減でき、処理が必要となる最終廃液の量を削減して、アルミニウムを含む沈殿物であるカリミョウバンの発生量を低減できる。さらに、残液に不足分の水酸化カリウム溶液を加えて用いることができるので、下水汚泥1の溶出過程で使用する水酸化カリウムの使用量も削減することができる。
【0057】
水熱反応後、残液を複数回繰り返してアルカリ抽出に使用しても、最終的には、溶存成分を分離処理する必要がある。通常、アルミニウムイオンはpHを中性にすることで、ゼロ価の水酸化アルミニウムとなり、沈殿するが、この沈殿物は含水量が大きく、脱水・分離が容易ではない。本実施形態においては、水熱反応後の溶液が依然高温であることを利用し、反応終了後に溶液が高温のうちに吸着材を固液分離し、得られた高温のままの廃液に硫酸を投入し、pH3以下に中和した後、冷却過程でカリミョウバン(AlK(SO)を沈降させる。カリミョウバンは溶解度の温度依存性が高く、80℃では710g/L溶解し、一方20℃では59g/Lしか溶解できない(図6)。このため温度が低下するに従い、液相中から効率的にカリミョウバンを析出させることが可能で、これにより廃液処理が容易となる。この過程を組み合わせることについては、アパタイト生成の水熱反応時のエネルギーをそのまま使うため新たな加熱用エネルギーを必要としないという利点がある。
【0058】
脱硫石膏9に含まれていた硫黄はカリミョウバンとして回収される。カリミョウバンは例えば水質管理の凝集剤等として使用可能であり、販売可能である。なお、水熱反応後の残液をそのまま冷却し(好ましくは10℃以下)、析出した硫酸カリウムを更に固液分離して回収することで、硫黄を硫酸カリウムとして回収するようにしても良い。硫酸カリウムは例えば肥料用用途に使用可能であり、販売可能である。
【0059】
次に、本発明のバイオマス燃料システムについて説明する。このバイオマス燃料システムは、例えば図2に示すように、下水汚泥1が発生する下水処理施設10と、上述の製造方法によって下水汚泥1を原料としてバイオマス燃料を製造する製造設備11と、バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備12とを備えるものである。本実施形態では、製造設備11において、下水汚泥1を原料としてバイオマス燃料を製造すると共に、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する。
【0060】
下水処理場等の下水処理施設10から回収された下水汚泥1は、製造設備11に供給される。このとき、下水汚泥1をある程度乾燥させて下水汚泥ケーキにしておくことで下水汚泥1が減容され、また取り扱いが容易になるので、その輸送費用を低減できる。製造設備11では、上述の製造方法により下水汚泥1を原料としてバイオマス燃料(炭化燃料8)が製造される。製造されたバイオマス燃料は、火力発電所等の火力発電設備12に供給され、火力発電に使用される。
【0061】
また、火力発電では脱硫石膏9が発生するが、発生した脱硫石膏9は製造設備11に供給される。製造設備11では、下水汚泥1から分離したリンと脱硫石膏9とを使用して水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する。
【0062】
下水処理施設10では下水汚泥1を製造設備11に無償で引き取ってもらうことで、廃棄物として処分する費用を削減できる。また、製造設備11では、製造したバイオマス燃料、吸着材、水質管理の凝集剤等(カリミョウバン)、肥料(硫酸カリウム)を販売して利益を得ることができる。さらに、火力発電設備12では、燃料(バイオマス燃料)を安価に入手することができ、発生した脱硫石膏9を製造設備11に無償又は有償で引き取ってもらうことで廃棄物として処分する費用を削減できる。
【0063】
下水処理施設10、製造設備11、火力発電設備12を互いに近くに設けることで下水汚泥1、バイオマス燃料、脱硫石膏9の輸送コストの低減化を図ることができる。
【0064】
各施設・設備10〜12の設置場所は、輸送コスト、試薬等の材料費等を総合的に考慮して決定することが好ましい。たとえば、下水処理施設10と火力発電設備12が離れている場合には、下水処理施設10の近くに製造設備11を設けた方がコスト的に有利であれば下水処理施設10の近くに製造設備11を設け、火力発電設備12の近くに製造設備11を設けた方がコスト的に有利であれば火力発電設備12の近くに製造設備11を設ける。
【0065】
また、脱リン工程2と炭化工程3との両方を同じ製造設備11内で行なっても良いが、別々の製造設備11内で行なっても良い。製造コスト等を考慮して適宜選択可能である。
【0066】
また、脱リン工程2を行なってから炭化工程3を行なっても良く、炭化工程3を行なってから脱リン工程2を行っても良い。製造コスト等を考慮して適宜選択可能である。上述の説明では、脱リン工程2を行なった後に炭化工程3を行なっていたが、例えば図3に示すように、炭化工程3を行なった後に脱リン工程2を行っても良い。例えば、下水処理施設10内あるいはその近くに炭化工程3を行なう製造設備11を設け、火力発電設備12内あるいはその近くに脱リン工程2を行なう製造設備11を設けることが考えられる。この場合、炭化させた燃料に脱リン工程2を施すことになるので、脱リン工程2を行なった後に炭化燃料(バイオマス燃料)を乾燥させる費用に余分にかかるが、炭化させることで減容された燃料に対して脱リン工程2を行なうことになるので、その分だけ脱リン工程2で使用される薬品の量を減らすことができる。
【0067】
また、脱リン工程2を火力発電設備12で行なうようにしても良い。この場合には、炉からスラグの状態で得られた脱硫石膏9をそのまま脱リン工程2で使用、あるいは僅かな処理を行なった後、脱リン工程2で使用できる。
【0068】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
【0069】
例えば、上述の説明では、下水汚泥1から分離したリンを使用して水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造していたが、例えば図3、図4に示すように、吸着材を製造しなくても良い。また、分離したリンを、吸着材の製造以外の用途に使用しても良い。
【0070】
また、上述の説明では、製造したバイオマス燃料を火力発電に使用していたが、火力発電以外の燃料として使用しても良い。
【実施例1】
【0071】
以下、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する点について、実施例を挙げて説明するが、当該実施例に限定されるものではない。なお、本実施例では、下水汚泥1の代わりに下水汚泥焼却灰を使用した。下水汚泥1と下水汚泥焼却灰とではリンの含有量が異なるが、リン酸源として使用する点では変わらないので、参考のために説明する。
【0072】
原料となる石膏ボード廃棄物は、国内の中間処理業者から発生した紙分離処理後の廃石膏を用いた。石膏廃棄物のX線回折結果を図7に示す。石膏廃棄物は、大部分が2水石膏であるが、微量に無水石膏、半水石膏が含まれていた。XRF(蛍光X線)分析結果を表1に示す。石膏主成分の他にSiOを10重量%、Alを2.8重量%含有していた。尚、本実施例において、X線回折測定にはフィリップス(株)PW3020(管球Cu, 出力40kV,50mA, 波長CuKα,1.54056Å, 回折角度2θ=2゜〜60゜, スキャンスピード 1゜/分)を、XRF測定には島津製作所(株) XRF1500を用い、石膏試料は全て粉体プレス法で定量した。
【0073】
下水汚泥1焼却灰は、国内の下水処理場から発生したものを用いた。下水汚泥1焼却灰のXRF分析結果を表2に示す。下水汚泥1焼却灰の主成分はSiO 30重量%、 Al15重量%、 Pが28重量%、CaOが10重量%含まれていた。
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
次に、下水汚泥1焼却灰に、0.5mol/L、1mol/L、2mol/Lの水酸化カリウム溶液をそれぞれ固液比(L/S)で5(リットル/kg)の割合で混合し、振とう器で200rpmで6時間室温で溶出操作を実施した。振とう後、濾過分離して得られた溶液をICP分析した。陽イオン成分については、島津製作所(株)ICPS-8100、陰イオン成分については東ソー(株)IC-2001(陰イオン成分)により分析した。結果を表3に示す。溶液からは、リン酸とアルミニウムが多量に溶出しており、0.5mol/Lと1mol/Lではリン酸の濃度に大きく差があるが、1mol/Lと2mol/Lでは、溶出するリン酸濃度にあまり大きな違いがないことから、この結果からは薬品の投入量と抽出されたリン酸量のバランスを考えた場合、水酸化カリウム濃度は1mol/Lが適当と判断される。
【0077】
【表3】

【0078】
投入する石膏の量は液相中のリン酸に対して、1.67倍とし、水酸化アルミニウムの沈殿を防ぐために上記の抽出溶液1Lに対して0.5molの水酸化カリウムを更に投入することとした。水酸化カリウムの再投入量に関しては、化学式からは、投入した石膏のモル数の0.2倍以上投入すれば、pHの低下を防止出来ることになるが、一度水熱反応中に水酸化アルミニウムが生成すると、加速度的にpHが下降してしまうことから、水質組成をアルミニウムに対して十分不飽和にしておく必要がある。上記の1mol/Lの濃度で抽出した溶液を例にとると、水酸化アルミニウムの沈殿が生成しないpHを維持するために必要な水酸化カリウムの量はこの溶液1Lに対して最大0.1mol程度であるが、他の共存成分による影響を考慮すれば,添加量は理論量よりもかなり多くすることが望ましく、そのため1Lに対して理論量の約5倍相当量の0.5molの水酸化カリウム添加量を設定した。
【0079】
この時点で水酸化カリウムを添加することに関して、アルカリ溶出液の溶存成分の化学組成分析結果を元に、水熱合成後のpHと水酸アパタイト(HAP)生成量、水酸化アルミニウム沈殿量を熱力学平衡理論を用いた地球化学モデルにより計算した結果を表4に示す。0.5mol/L濃度溶出液と、1.0mol/L溶出液については、水酸化カリウムを添加しない場合には水熱合成後のpHが顕著に低下し、水酸化アルミニウムが顕著に沈殿するという計算結果となった。一方、水酸化カリウムを添加した場合には、水酸化アルミニウムは沈降せず、水酸アパタイト成分だけを選択的に生成することが出来ることが計算より確認された。
【0080】
【表4】

【0081】
この計算結果から、各溶液に石膏(リン酸の10/6モル比相当量)とKOHを1Lあたり0.5mol加え、80℃の温度で24時間、120rpmの速度で振とうし、その後濾過により固液分離し、得られた固相を純水で洗浄した。なお、これらの試料の水熱反応開始時のpH値(実測)は13.9〜14.9、終了時のpH値は12.9〜13.8程度であった。
【0082】
この固相のX線回折波形を図8に示す。図中黒丸が水酸アパタイトのピークであり、得られた3試料ともに、合成物は水酸アパタイト結晶を主成分としていることが確認された。また、2mol/Lのアルカリ溶出液からの合成物については、別にアルカナイト(KSO)のピークも確認され、2mol/Lの条件下では、アルカナイトが固相中に混入していることが判明した。また、これらの波形からは石膏のピークは確認されず、石膏中のカルシウムが完全に水酸アパタイト結晶の形に変化していることが明らかになった。また波形中にギブサイト(Al(OH))のピークは確認されなかった。
【0083】
また得られた固相のXRF分析結果を表5に示す。尚、得られた固相のXRF分析は、ガラスビード定量分析法により行った。合成物はいずれもカルシウム及びリンを主成分としていることが確認された。本発明品には不純物としてカリウムとアルミニウムが含まれている。アルミニウムに関しては合成物に含まれる量は原料として用いた石膏廃棄物中に含まれていたアルミニウム総量と同等あるいは、やや少ない量となっており、このことは、合成過程において、水酸化カリウムを再添加することにより、汚泥焼却灰抽出液中に高濃度に含まれていたアルミニウムイオンが固相に沈殿すること抑止できていることを示している。また分析結果からは,組成としてシリカ(SiO)が4.7〜5.0重量%含まれており、この発明品はシリカ含有水酸アパタイトであることが判明した。このシリカは,原料の廃石膏中に含まれていた成分が水熱合成過程で結晶中に残存したものと考えられる。
【0084】
この表から水酸アパタイトとしての純度は0.5mol/Lの条件が最も高いが、リンの抽出効率からくる合成物の生産効率を加味すると水酸化カリウム濃度 1mol/L条件がもっとも実用に適していると判断できる。
【0085】
【表5】

【0086】
次に、抽出液に石膏を投入後に水酸化カリウムを追加添加することによる効果について、合成物をXRF分析により調査した結果を図12に示す。尚、図12の測定結果は表5の場合とは異なる廃石膏試料を原料として実施した結果である。図12において、(a)は0.5mol/L抽出液を用いて水酸化カリウムを追加添加せずに合成した合成物、(b)は0.5mol/L抽出液を用いて水酸化カリウムを追加添加して合成した合成物、(c)は1.0mol/L抽出液を用いて水酸化カリウムを追加添加せずに合成した合成物、(d)は1.0mol/L抽出液を用いて水酸化カリウムを追加添加して合成した合成物の結果を示している。尚、水酸化カリウムの添加量は1Lあたり0.5molとした。水酸化カリウムを追加添加することにより、合成物中のCaOとPの合計含有量がKOH−0.5mol/L条件の抽出液を使用した場合には54重量%から71重量%に、KOH−1.0mol/L抽出液を使用した場合には47重量%から64重量%に増加し、合成物中の水酸アパタイト含有量が増加していることが確認された。また、水酸化カリウムを追加添加することにより、合成物中のカリウムの含有量が低下し、さらにアルミニウム(Al)の含有量もKOH−0.5mol/L条件の抽出液を使用した試料で9.9重量%が2.8重量%に、KOH−1.0mol/L条件抽出液を使用した試料で11.5重量%から5.9重量%に低下することが確認された。したがって、水酸アパタイトを純度よく高収率で生成するためには、水酸化カリウムを追加添加した方が良いことが判明した。
【0087】
また、水酸アパタイト結晶の合成に必要な時間と最適な温度条件について調査した結果を図13に示す。縦軸のX線回折最大ピーク高さ(カウント数)は得られた水酸化アパタイト結晶をX線回折により測定した際の水酸化アパタイト結晶の最大ピーク値であり、水酸アパタイト結晶の生成量の指標となる値である。また、●は合成温度を40℃とした場合、○は合成温度を95℃とした場合の結果である。水酸アパタイト結晶は両温度条件共に合成開始後1時間程度で生成し始め、合成開始後6時間までは両温度条件共にX線回折最大ピーク高さの上昇が見られ、それ以降は、45℃条件ではピーク高さはほぼ一定に、95℃条件では若干上昇する傾向が見られた。したがって、1時間程度の合成時間で水酸アパタイト結晶が得られるが、合成をおおむね完了させるためには6時間程度必要であり、十分に合成を完了させるためには12〜24時間程度の合成時間とするのが好ましいことが判明した。また、合成温度は40℃〜95℃にすれば十分に水酸アパタイト結晶が得られるが、より多くの水酸アパタイト結晶を得るためには95℃に近い合成温度とするのが好ましいことが判明した。
【0088】
[吸着性能試験]
次に、この合成物の吸着性能を比較・確認するために、鉛、カドミウム、フッ素を対象に吸着性能試験を実施した。
【0089】
比較対象とした試料は、水酸アパタイト高純度試薬(和光純薬製)、市販の類似成分を有する骨炭末、リン酸水素二アンモニウムと石膏ボード廃棄物(本発明品に用いたものと同一品)を水熱反応させて生成した水酸アパタイト(従来法による合成品)と前記のように本発明の方法により合成した3試料(発明品)である。
【0090】
鉛(硝酸鉛塩溶液)と、カドミウム(硝酸カドミウム塩)溶液には1g/Lの割合で吸着物試料を添加し、フッ素(フッ化ナトリウム塩)溶液に対しては2g/Lの割合で添加した。溶液の初期濃度は鉛とカドミウムは50ppm、フッ素は20ppmに調製し、初期pHを5.8〜6.3に調整後、振とう速度120rpmで室温で6時間振とうし、振とう後の濾液を分析した。分析は鉛とカドミウム濃度はICP(島津製作所ICP−8100)、フッ素濃度はイオンクロマトグラフ(東ソーIC−2001)で行った。
【0091】
結果を図9〜図11に示す。鉛に関しては、水酸アパタイト高純度試薬や、骨炭を投入した場合には5〜15ppm以上残存しているのに対して、本発明の方法で合成した吸着物質は残存量が0.07〜0.15ppmであり、本発明の方法で合成した試料の方が他試料より優れた吸着性を示した。また、カドミウムに対しても、高純度試薬、骨炭、従来法と比較して本発明品の吸着性能は優れていた。文献(1992、Gypsum&Lime、236、3−11)によれば「シリカ含有水酸アパタイトは水酸アパタイトよりも各種陽イオンを多量にイオン交換除去すること」、「特に、Mn2+、Zn2+、Cd2+をより多く吸着する優れた吸着特性を有すること」が確認されており、本発明品がシリカ含有水酸アパタイトであることが、本発明品の陽イオン吸着性が高純度試薬・骨炭よりも優れている主な要因であると推定される。また、フッ素に対しても本発明品は、従来法による水酸アパタイトとほぼ同程度の吸着性を示した。
【0092】
また、上記カドミウム吸着試験における、振とう終了時の液相のpHを計測したところ、他の試料が5.9〜6.7と中性であるのに対して、本発明の方法で合成した試料のpH値は7.8〜8.2と弱アルカリ性であった。また本発明品(1mol/Lの合成条件)を固液比10(L/kg)相当量を純水中に入れ、6時間振とう後の平衡pHの値は10.2であり、アルカリ性を示した。本発明品がアルカリ性を示すことは,一般にアルカリ性領域で溶解度が小さくなる重金属の溶出を抑制するには好ましい性質である。
【0093】
次に、発明品と比較品(試薬水酸アパタイト、骨炭)の種々のフッ素濃度におけるフッ素吸着量から等温吸着線を作成し、発明品と比較品のフッ素吸着性能を検討した。尚、等温吸着線は以下のようにして得た。吸着材を2g/L投入し、フッ素イオン初期濃度を1mg/L、5mg/L、20mg/L、125mg/Lとして、室温で6時間、振とう速度120rpmでバッチ試験を行い、バッチ試験終了時の液相の濃度をイオンクロマトグラフ(東ソーIC−2001)で測定して、この濃度を平衡濃度とした。吸着量は吸着材を入れない対照試験の液相中の濃度値と、吸着材を入れた試験の濃度値の差から求め、これを吸着材投入量(g)あたりの吸着量としてプロットした。結果を図14に示す。図14において、●は試薬水酸アパタイト(水酸アパタイト高純度試薬(和光純薬製))、○は骨炭、▲は石膏ボードを用いて本発明の方法により合成した発明品、△は脱硫石膏9を用いて本発明の方法により合成した発明品の結果を示している。発明品の吸着性能は、試薬水酸アパタイトと比較して非常に高いことが確認された。また、発明品と骨炭とを比較すると、フッ素濃度が0.1〜1mg/Lの濃度範囲では吸着量にそれほど大差が無いが、1mg/L以上の濃度範囲では比較品より優れた吸着性能を有し、特に、10〜100mg/Lの範囲では骨炭に比べて吸着性能が非常に優れていることが明らかとなった。
【0094】
次に、発明品を土壌中に添加したときの吸着能について、長期のカラム吸着試験を行った。結果を図15に示す。カラムは、外径18mm長さ30.5cmのサイズとし、カラムへの充填物は豊浦標準砂に発明品あるいは比較品を砂(70g)に対して100:8の比で添加したものを用いた。カラム入り口より、2mg/Lのフッ素イオンを含んだ水溶液を流通させ、カラム通過後の排水の濃度を定期的に測定した。流速の指標である空間速度(単位時間通過流量/カラム充填物体積)は地下水の浸透、即ち、水の流れの非常に遅い条件下での吸着現象を模擬するため0.089hr−1(=2.1day−1)の低流量に設定した。図中横軸は、発明品あるいは比較品投入量1gあたりの累積処理水量(L)である。また、図中にはフッ素に関する地下水の浄化目標値である地下水環境基準値0.8mg/Lを記載した。尚、比較品としては骨炭(●)を、発明品として脱硫石膏9を用いて本発明の方法により合成したもの(○)、石膏ボードを用いて本発明の方法により合成したもの(△)を用いた。この試験結果から、カラムからの排水が0.8mg/Lに到達するまでの累積処理水量を比較すると、発明品は骨炭より累積処理水量が多く、脱硫石膏9から合成した発明品は、骨炭の1.2倍(1.5L/g),石膏ボードから合成した発明品は、骨炭の1.6倍(1.9L/g)の水を処理できることが確認された。したがって、フッ素に汚染された土壌の浄化材および,フッ素を多く含む物質を含む廃棄物処分場の化学的バリア材とて、発明品は極めて有効であることが示された。
【0095】
最後に、発明品から溶出するフッ素、ホウ素、カドミウム、セレン、六価クロム、砒素、鉛の濃度を環境庁告示46号法による溶出試験により確認した。結果を表6に示す。いずれの元素の溶出濃度も土壌環境基準値を下回っており、本発明品の環境上の安全性が確認された。また平衡時の水のpHは10程度であり、本発明品がアルカリ性を呈することがこの試験結果からも示された。
【0096】
【表6】

【0097】
以上の結果から、今回生成したアパタイトはシリカ含有水酸アパタイトであり、環境浄化材として既存品と同等あるいはより優れた吸着能を有することともに、アルカリ性の性質を有することが示された。
【0098】
[残液の再利用検討]
水酸アパタイト合成後に固液分離して得られる液体(以下、残液と呼ぶ)を再使用できるか否かの検討を行った。残液には、下水汚泥1焼却灰に水酸化カリウム1.0mol/L溶液を用いて得られたリン酸抽出液を使用して水酸アパタイト合成を行い、その後に固液分離して得られた液体を用いた。残液60体積%に対して1.0mol/L濃度の水酸化カリウム溶液を40体積%混合し、その中に固液比1:5の割合で下水汚泥1焼却灰を入れ、室温で200rpmで6時間振とうして溶出操作を行った。抽出後の溶液に1Lあたり0.5molの水酸化カリウムを追加添加して、その中に石膏を88g/L入れ、温度80℃で24時間反応させた。反応操作終了後、固液分離して残液(2回目)を得た。さらに、この残液(2回目)を、上記と同様の操作で下水汚泥1焼却灰のリン酸の抽出に用いた。
【0099】
残液再利用時の水酸化カリウムの使用量は、残液を利用しない場合には合計1.5mol/L量であるが、残液を利用した場合には0.9mol/L量となり、水酸化カリウム使用量を実質4割削減することができる。また、実験操作時の計量結果から、リン酸抽出時の液量の約60体積%相当量が最終的に残液となっており、この時の液量損失は主に下水汚泥1焼却灰中に残留する水分量である。このため、再利用時の残液60体積%比率での混合は、実際に発生した残液のほとんどを再利用していることを意味する。
【0100】
図16に(a)初回(残液不使用)リン酸抽出時、(b)1回使用済み残液使用によるリン酸抽出時、そして(c)2回使用済み残液使用のリン酸抽出時にそれぞれ測定した下水汚泥1焼却灰から新規に溶出したアルミニウムの濃度を示す。この図から、残液を利用したリン酸抽出過程の採用により、下水汚泥1焼却灰からのアルミニウム溶出量を低減できることが明らかとなった。
【0101】
図17に使用済み残液を用いた溶出液から合成した試料のXRD測定結果を示す。(a)は水酸化カリウム溶出液を用いた合成試料、(b)は残液(60体積%)利用溶出液を用いた合成試料の測定結果である。使用済み残液を用いた溶出液中には硫酸イオンが高濃度で含まれるため、XRD波形にはシゲナイト(KCa(SO:HO)ピークがあり、生成物中に当該鉱物が若干量含まれていることが確認された。一方、二水石膏や半水石膏の石膏成分のピークについては完全に消滅しており、合成過程で石膏の結晶の分解が完全に行われたことが確認された。さらに水酸アパタイトのピーク部分の波形の形状やピーク高さは、残液を用いずに合成した試料の波形とほぼ一致しており、この結果から残液を用いても水酸アパタイト結晶の生成には何ら影響がないことが示された。
【0102】
[下水汚泥1焼却灰と乾燥下水汚泥1を用いた場合のリン抽出率比較]
下水汚泥1焼却灰と乾燥下水汚泥1について、水酸化カリウム溶液を用いたリンの抽出操作による固相中のリン含有量変化の測定結果(XRF分析結果)を図18に示す。(a)は下水汚泥1焼却灰(処理前)、(b)は下水汚泥1焼却灰(0.5mol/L水酸化カリウム処理)、(c)は下水汚泥1焼却灰(1mol/L水酸化カリウム処理)、(d)は下水汚泥1焼却灰(2mol/L水酸化カリウム処理)、(e)は乾燥下水汚泥1(処理前)、(f)乾燥下水汚泥1(pH12条件での抽出(0.5〜1mol/L水酸化カリウム処理に相当))の測定結果を表している。尚、乾燥下水汚泥1は脱水ケーキをさらに乾燥(風乾)したものとした。水酸化カリウム溶液によるリンの抽出操作により、下水汚泥1焼却灰や乾燥下水汚泥1中のリンの含有量が減少することが確認された。また、リンの抽出率(溶出量/処理前含有量)は下水汚泥1焼却灰で12〜36%、乾燥下水汚泥1で34%であり、乾燥下水汚泥1を用いてもアルカリ溶液による抽出操作により高い効率でリンを抽出することができることが明らかとなった。上記の結果から下水汚泥1焼却灰を原料とする場合と同様なプロセスで、乾燥下水汚泥1(通常は脱水ケーキの形態)を原料に、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造することが可能であることがわかった。尚、下水汚泥1はできるだけ乾燥させておくことで、使用するアルカリ溶液の量を削減できる。ただし、乾燥が不十分な下水汚泥1を原料としても良いことは勿論である。また、炭化処理することにより、さらなる減容化を図って、アルカリ溶液の量の削減を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明のバイオマス燃料の製造方法の実施形態の一例を示す図である。
【図2】本発明のバイオマス燃料システムの実施形態の一例を示す図である。
【図3】本発明のバイオマス燃料の製造方法の他の実施形態を示す図である。
【図4】本発明のバイオマス燃料の製造方法の更に他の実施形態を示す図である。
【図5】本発明の吸着材の製造方法の一例を示す工程図である。
【図6】カリミョウバンの溶解度曲線である。
【図7】実施例で用いた石膏ボード廃棄物のX線回折の結果である。
【図8】実施例で得られた吸着材のX線回折の結果である。
【図9】実施例のテストにおける、各吸着材を用いた時に残存する鉛濃度を示すグラフである。
【図10】実施例のテストにおける、各吸着材を用いた時に残存するカドミウム濃度を示すグラフである。
【図11】実施例のテストにおける、各吸着材を用いた時に残存するフッ素濃度を示すグラフである。
【図12】水酸化カリウムを追加添加した試料と追加添加しなかった試料のXRF測定結果を示す図である。
【図13】水熱反応時間と水酸アパタイト結晶生成量の関係を示す図である。
【図14】実施例のテストにおける、各吸着材を用いた場合のフッ素の等温吸着線を示す図である。
【図15】実施例のテストにおける、フッ素の長期カラム吸着試験結果を示す図である。
【図16】使用済み残液を用いたリン酸抽出操作後の溶液中において、下水汚泥1焼却灰から新たに溶出したアルミニウム濃度を示す図である。
【図17】使用済み残液を用いたリン酸溶出液により合成された試料をXRD測定した結果を示す図である。
【図18】アルカリ処理前後の下水汚泥1焼却灰と乾燥下水汚泥1のリン含有量の変化を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 下水汚泥
2 脱リン工程
3 炭化工程
8 炭化燃料(バイオマス燃料)
9 脱硫石膏
10 下水処理施設
11 製造設備
12 火力発電設備

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水汚泥に含まれるリンを除去する脱リン工程と、前記下水汚泥を炭化させて燃料化する炭化工程を備えることを特徴とするバイオマス燃料の製造方法。
【請求項2】
前記脱リン工程は、下水汚泥をアルカリ溶液中で撹拌した後、濾過分離するものであり、濾過分離して得られた脱リン後の下水汚泥を炭化燃料にする一方、濾過分離して得られた溶液に石膏を投入し、反応開始時のpHを13.0〜14.9とし、40〜100℃で撹拌して、かつ反応終了時のpHを12以上に保持して、前記アルカリ溶液中のリン酸と前記石膏とを反応させて水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を得ることを特徴とする請求項1記載のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項3】
前記石膏は火力発電設備から排出された脱硫石膏であることを特徴とする請求項2記載のバイオマス燃料の製造方法。
【請求項4】
下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項1から3のいずれか一つに記載の製造方法によって前記下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造する製造設備と、前記バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備えることを特徴とするバイオマス燃料システム。
【請求項5】
下水汚泥が発生する下水処理施設と、請求項3に記載の製造方法によって前記下水汚泥を原料としてバイオマス燃料を製造すると共に、水酸アパタイト結晶を主成分とする吸着材を製造する製造設備と、前記バイオマス燃料を燃料として使用する火力発電設備とを備え、前記製造設備では、石膏として前記火力発電設備で発生した脱硫石膏を使用することを特徴とするバイオマス燃料システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−7606(P2008−7606A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−178739(P2006−178739)
【出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成18年5月 財団法人 電力中央研究所発行の「電力中央研究所報告」に発表
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】