説明

バイパス回路を有する集積電圧コンバータを備えた電池

内部集積電圧コンバータモジュールを有する電池が開示される。電池は、内部ボアを有する少なくとも1つの電気化学セル、少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、内部ボアの一部分内に配置され、少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように設計された電圧コンバータモジュール、前記電圧コンバータに電気的に結合する端子対、及び前記端子対のうちの1つの端子と少なくとも1つの電気化学セルとの間で結合され、外部電源から印加される充電電流を少なくとも1つの電気化学セルに導くバイパス回路を備えている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
例えば、NiCad、NiMH、アルカリ及び/又はLiFeSなどの化学物質に基づく市販の電気化学セル(例えば、AA、AAA、C及びD電池における電気化学セル)は、1.4〜1.8Vの範囲内で開回路電圧(OCV)を有している。電気化学セルの化学的性質、及びセルに接続された負荷によって生じるドレインに応じて、使用中の市販の電気化学セルにおける閉回路電圧(CCV)は、通常1.8V〜0.9Vの範囲内である。したがって、一般的な消費者向けポータブル電池駆動可能な装置は、上記で特定された種類の化学物質を有する既製の電池によってもたらされる電圧/電力に見合う電圧レベルで動作するように設計されていることが多い。リチウム/MnO及びリチウムイオンの化学作用に基づく電池のような、高電圧の電気化学一次電池及び二次電池(即ち、再充電式電池)は、一般的に、低電圧の電池よりも高いエネルギー及び電力密度を有している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
例えば、電圧コンバータモジュールと内部集積化され、1.8Vを超える定格電圧を有する電気化学セルのような、少なくとも1つの高電圧電気化学セルを有する電池が開示される。電圧コンバータモジュールは、電気化学セルのカソード及びアノードカレントコレクタと結合される。電圧コンバータモジュール及び高電圧電気化学セルの他の構成要素は、例えば、標準的な円筒形AAA、AA、C、及びD電池、角形電池、ボタン電池などのような標準的な寸法の電池中に収容される。電圧コンバータモジュールは、少なくとも1つの電気化学セルによってもたらされる高電圧を、市販の電池駆動可能な装置と適合性がある、例えば、1.8V以下の低電圧まで減少させるか、若しくは、電気化学セルによってもたらされる電圧を更に高い電圧まで引き上げることができる。
【0003】
内部集積化された電圧コンバータモジュールを有する電池は、一次又は二次高電圧電気化学セルを備えることができる。二次(即ち、再充電式)電気化学セルが使用される状況において、充電電流は、電池のケースに配置される追加電池端子、又は電池によってもたらされる電圧を出力するのに使用される同じ組の端子を介して印加され、この場合、バイパス機構は、その組の端子を介して印加された充電電流を電気化学セルの電極に導くのに使用される。
【0004】
高電圧電気化学セルと電圧コンバータモジュールとを組み合わせることで、典型的には低電圧の標準電池を搭載した、電池駆動可能な装置の稼動時間が延長される。本明細書に記載される電池は、市販の標準電池によって示されることがある傾斜した放電曲線よりも、平坦な放電曲線を提供する。
【0005】
1つの態様では、電池は、内部ボアを有する少なくとも1つの電気化学セル、少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、内部ボアの一部分内に配置され、少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された電圧コンバータモジュール、電圧コンバータに電気的に結合する一組の端子、及び前記一組の端子のうちの1つの端子と少なくとも1つの電気化学セルとの間で結合され、外部電源から印加される充電電流を少なくとも1つの電気化学セルに導くバイパス回路を備えている。
【0006】
以下の実施形態は、本態様の範囲内にある。
【0007】
バイパス回路は、印加された充電電流の実質的に全てを電極に導くように構成されている。バイパス回路は、前記一組の端子の少なくとも1つに接続されたダイオードを備え、このダイオードは更に、電極の少なくとも1つに接続されている。ダイオードは、ツェナーダイオード及びショットキーダイオードのうちの1つである。電力コンバータモジュールは、充電電流が一組の端子に印加される際に、無効となるように構成された集積回路を備えている。
【0008】
電池は更に、無効となる集積回路をもたらす信号を発生するように構成された機構を含む。少なくとも1つの電気化学セルは、15分以下で、少なくとも1つの電気化学セルの容量の少なくとも90%の充電レベルまで充電されるように構成される。少なくとも1つの電気化学セルは、リン酸鉄リチウムセルを含む。電圧コンバータモジュールは、電子スイッチング素子、電子スイッチング素子と電気的に結合するコントローラを備え、このコントローラは、電圧ステップダウン型変換作動及び電圧ステップアップ型変換作動のうちの1つをもたらす電子スイッチング素子を制御するように構成されている。
【0009】
更なる態様では、電池は、少なくとも1つの電気化学セル、少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された電圧コンバータモジュール、少なくとも1つの電気化学セル及び電圧コンバータを収容する電池ケース、電圧コンバータに電気的に結合された一組の端子、並びに一組の端子のうちの1つの端子と少なくとも1つの電気化学セルとを結合し、外部電源から供給される充電電流を少なくとも1つの電気化学セルに導くバイパス回路、を備えている。
【0010】
以下の実施形態は、本態様の範囲内にある。
【0011】
バイパス回路は、供給された充電電流の実質的に全てを電極に導くように構成されている。バイパス回路は、一組の端子の少なくとも1つに接続されたダイオードを備え、このダイオードは更に、電極の少なくとも1つに接続されている。ダイオードは、ツェナーダイオード及びショットキーダイオードのうちの1つである。電圧コンバータモジュールは、充電電流が一組の端子に印加される際に無効となるように構成されている集積回路を備えている。
【0012】
電池は更に、集積回路を無効にする信号を発生するように構成された機構を含む。少なくとも1つの電気化学セルは、15分以下で、少なくとも1つの電気化学セルの容量の少なくとも90%の充電レベルまで充電されるように構成される。少なくとも1つの電気化学セルは、リン酸鉄リチウムセルを含む。電圧コンバータモジュールは、電子スイッチング素子、電子スイッチング素子と電気的に結合されたコントローラを備え、コントローラは、ステップダウン変換及びステップアップ変換動作のうちの1つをもたらす電子スイッチング素子を制御するように構成されている。
【0013】
更なる他の態様では、少なくとも1つの電気化学セル、少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された電圧コンバータモジュール、及び、第2の電圧が供給される端子対を収容する電池ケースを有する再充電式電池の充電方法は、一組の端子を介して充電電流を外部電源から印加する工程、充電電流が電圧コンバータモジュールをバイパスするように、印加された充電電流を、バイパス回路を通じて少なくとも1つの電気化学セルと結合した電極に導く工程及び、少なくとも1つの電気化学セルを充電電流で充電する工程、を含む。
【0014】
本態様の範囲内における実施形態では、印加された充電電流を、バイパス回路を通じて電極に導く工程は、印加された充電電流の実質的に全てを電極に導く工程を含む。
【0015】
本発明の1つ以上の実施形態の詳細を、添付図及び以下の説明で明らかにする。本発明の他の特徴、目的、及び利点は、説明及び図面、並びに請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】集積電圧コンバータモジュールを備える電池の断面図。
【図1B】図1Aの断面図の一部分における拡大図。
【図1C】図1Aの断面図の一部分における拡大図。
【図1D】図1A〜1Cに示される電池に印加され得る充電プロファイルの代表的な実施形態。
【図2】図1A〜Cに示される電池の内部構成のブロック図。
【図3】図1及び図2の電圧コンバータにおける物理的な配置の代表的な実施形態の断面図。
【図4】図3の電圧コンバータモジュールのブロック図。
【図5】図4の電圧コンバータモジュールの回路図。
【図6】LTC3411集積回路を使用して実装した電圧コンバータモジュールの代表的な実施形態の回路図。
【図7】図1A〜Cの電池の電気化学セルによって生成された内部電圧を、電池駆動可能な装置に印加される外部電圧に変換する手順の代表的な実施形態のフローチャート。
【図8A】集積電圧コンバータを備える再充電式電池の代表的な実施形態における内部構成のブロック図。
【図8B】集積電圧コンバータを備える再充電式電池のその他の代表的な実施形態における内部構成のブロック図。
【図9】図8Aの再充電式電池に結合する充電装置の代表的な実施形態のブロック図。
【図10】図8Aの再充電式電池を再充電する充電手順の代表的な実施形態のフローチャート。
【図11】ブースト構成集積電圧コンバータを備える電池の回路図。
【図12】バック/ブーストコンバータの代表的な実施形態の回路図。
【図13】集積電圧コンバータ及びバイパス回路を備える再充電式電池の代表的な実施形態の回路図。
【図14】集積電圧コンバータ及びバイパス回路を備える再充電式電池のその他の代表的な実施形態の回路図。
【図15】順方向モードにおいて、図14の回路を駆動することで生成される電流波形の代表的な実施形態のグラフ。
【図16】図14の再充電式電池の回路図であって、オーバーライドモードにおいて動作する電池。
【図17】オーバーライドモードにおける図16の回路の動作を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1Aを参照すると、「AA電池」に相当する一般的な従来型の外部構成を有する電池10が示されている。電池10は、少なくとも1つの高圧電気化学セル及び内部電圧コンバータ40を内蔵している(例えば、図2に示されている)。電池10は、二次セル(又は電池)又は一次セル(電池)であり得る。一次電気化学セルとは、1度だけ、例えば完全に消費されるまで放電され、その後廃棄されることを意味する。一次電池は、再充電を意図されていない。一次電池は、例えば、デヴィッド・リンデン(David Linden)著、「電池ハンドブック(Handbook of Batteries)」(マグロー−ヒル(McGraw-Hill)、第2版、1995)に記載されている。二次電気化学セルは多数回、例えば50回を超えて、100回を超えて、又はそれより多くの回数再充電することができる。場合によって、二次電池には、比較的頑丈なセパレータ類、例えば、多数の層を有するセパレータ及び/又は比較的厚いセパレータが包含されることがある。二次セルはまた、セルの中で生じ得る膨張のような変化に適応する設計にすることができる。二次電池は、例えば、フォーク・アンド・サルキンド(Falk & Salkind)著、「アルカリ蓄電池(Alkaline Storage Batteries)」(ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、1969;米国特許第345,124号;及びフランス特許第164,681号に記載されており、これらは全て本明細書に参照として組み込まれる。
【0018】
いくつかの実施形態、及び以下でより詳細に記載されるように、電池10は、黒鉛アノード材料又はチタン酸リチウムアノード材料、及び再充電式電池の充電を早めることができるように構成されたリン酸鉄リチウムカソード材料を有する再充電式(又は二次)Liイオン電気化学セル(例えば、15分以内で電池の充電容量の約80〜90%の充電レベルを達成することが可能である電池)である。更には、図1Aは円筒形AA電池を示しているが、内部電圧コンバータは、他の種類の円筒形電池、並びに角形電池、ボタンセル電池などと組み合わせることができる。電池10には、電池10の少なくとも1つの電気化学セルを構成する巻回電極及びセパレータスタックジェリーロール14が配置されている電池ケース12を備える。ジェリーロールは、典型的には、負極リードと電気的に接触するアノード、正極リードと電気的に接触するカソード、セパレータ、及び電解質を含んでいる。アノード、カソード、セパレータ、及び電解質は、ハウジング内に収容されている。電解質は、1つ以上の溶媒及び溶媒系に少なくとも部分的に溶解した塩を含む。
【0019】
図1A〜Cに示される実施形態では、ジェリーロール14は、ジェリーロール14の長手方向に沿って延びる中央内部ボア15、及びその内部に配置されるDC−DCコンバータ40の電気回路を収容するコンバータハウジング16を画定する。DC−DCコンバータ40は、電池10の電気化学セルによって生成された第1の電圧を、使用される電池10を備えた電池駆動可能な装置に提供される所望の第2の電圧に変換するように構成されている。いくつかの実施形態では、コンバータハウジング16は、末端部が封止された中空の円筒形チューブであり、DC−DC電圧コンバータ回路を受容するように構成されている。
【0020】
ジェリーロール14は、電池10の正極導電端子20と近接して配置された導電タブ18、及び負極キャップ端子24に近接して接続されたタブ22、を介して、DC−DC電圧コンバータ40と結合する(電池10によって生成された電圧/電流は、正極端子及び負極端子を通じて電池駆動可能な装置に印加される)。タブ18及び22は、それぞれ電池10のカソード電極及びアノード電極に結合している。
【0021】
図1B及び1Cを参照すると、2つの追加タブ、つまりタブ19及び23は、コンバータハウジング16を、電池ケース12、及び負極キャップ端子24に近接して配置される安全ベントディスク26に機械的に固定する。いくつかの実施形態では、タブ19及び23は、タブをケース12及びディスク26のそれぞれに溶接することによって、電池ケース12及び/又はベントディスク26に固定する。タブ19及び23はまた、電圧コンバータモジュール40と端子20及び24のそれぞれとを電気的に結合するように構成されている。したがって、以下でより詳細に記載されるように、電圧コンバータモジュール40によって変換された電流/電圧は、電池10の外部端子20及び24に提供され、端子を備える電池駆動可能な装置は、電気的な接触が確立される。
【0022】
電池10は更に、円筒形電池ケース12の末端部に配置された上部絶縁体28及び底部絶縁体30を含む。上部絶縁体28及び底部絶縁体30は、ジェリーロール14からの漏れを防ぐ。電池10はまた、電池10の電気化学セルを構成するジェリーロールから負極キャップ24を絶縁するための非導電性ポリマーシール32、及び絶縁ワッシャ34を備える。
【0023】
負極端子キャップ24の隣にPPTC要素36(正温度抵抗特性を持つポリマー要素)が配置される。電池19はまた、外部の漂遊電流及び電荷から電池10を絶縁するために、電池ケース12の外側を覆う絶縁ラップ38を備える。
【0024】
一般的に、電池10を製造するために、電圧コンバータモジュール(コンバータ40など)は、ジェリーロール14がマンドレルに巻きつけられた後、ジェリーロール14の中央に配置される。ジェリーロール内に巻かれたカソード及びアノードからそれぞれ延びるタブ18及び22は、電圧コンバータモジュールに接続される。図1B及び1Cに示される、コンバータハウジング16から延びるタブ19及び23は、電池ケース12及びベントディスク26に溶接されるか、ないしは別の方法で接着される。コンバータモジュール及びジェリーロールは、電池ケース内部にある。全ての接続部品を作成した後、ジェリーロール14は電解質で充填され、圧着される。電池が組み立てられた時点で、電池は充電することが可能となる。
【0025】
図1Dを参照すると、電池10に印加され得る充電プロファイルが示されている。充電プロファイル(形成サイクルと呼ばれることもある)では、電池に印加される電位が漸進的かつ漸増的に増加している。特に、いくつかの実施形態では、電池に印加される電圧レベルは、例えば、1.5Vの初期値から3.25Vの値まで2時間(120分)以上かけて上昇する。電池を初充電する(即ち、電池の製造後)ために、電池に印加する電圧を徐々に増加することで、電池10の電気化学セルを損傷から保護し、電池を使用するときに電池10から出力される電圧が、電気化学セルの初充電の大部分が枯渇するまで実質的に一定のままであるように、電池が充電されることが可能となる。
【0026】
図2を参照すると、電池10は、少なくとも1つの電気化学セル(例えば、ジェリーロール14)と電気的に結合する内部カソード端子42及びアノード端子44を備える。ジェリーロール14内で起こる電気化学的な相互作用によって、カソード42及びアノード44において内部の第1の電圧Vが形成され、次にそれが電圧コンバータ40に提供される。内部の第1の電圧は、電池の化学特性に応じて変化し、1.8V〜4.4Vの範囲内の値を有し得る。内部の第1の電圧Vは、集積電圧コンバータモジュール40に提供される。図1Aに関して上記で説明されるように、集積電圧コンバータ40は、電圧コンバータハウジング16内に配置され、カソード42及びアノード44とそれぞれ結合するタブ18及び22を介して電気化学セルと電気的に接続される。以下で明らかにされるように、電圧コンバータモジュール40は、内部電圧Vを、電池駆動可能な装置(例えば、懐中電灯、携帯電話、カメラなど)を動作するのに必要な外部の第2の電圧レベルVに変換する。いくつかの実施形態では、外部の第2の電圧は、例えば1.2〜1.5Vの範囲内の電圧レベルを有する。DC−DC電圧コンバータモジュール40はまた、カソード42及びアノード44において形成される電圧レベルを増加するように構成され得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、コンバータ40は、内部電圧Vを、例えば電池ケース12に配置されるユーザーインターフェースを介して提供される、ユーザー指定の入力に少なくとも部分的に基づく、外部電圧Vに変換する。このようなユーザーインターフェースとしては、例えば、ユーザーが電池駆動可能な装置において所望の電圧を示し得るスイッチなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、外部電圧は、例えば、電池駆動可能な装置を動作するのに必要とされる電圧のデータを表示する電圧表示機構(例えば、IDレジスタを使用する表示機構)を使用して、所望の外部電圧を特定することで決定され得る。無線ICタグ(RFID)技術に基づいた機構を含む、他の種類の電圧表示機構が採用されてもよい。
【0028】
第2の外部電圧Vは、図1A〜Cに示される正極端子キャップ20及び負極端子キャップ24にそれぞれ配置される外部端子46及び48に提供される。
【0029】
図3は、図1Aに示されるコンバータハウジング16の線3−3に沿った断面図である。図示されるように、電圧コンバータモジュール40の代表的な実施形態は、ハウジング16の内壁56によって画定され、コンバータハウジング16の内部容積内に配置される。コンバータハウジング16は、埋め込まれたエポキシ及びプラスチックシールを使用して密封されており、それによって任意の外部物質(例えば、電気化学セル及び/又は電解質)からコンバータの回路を保護することが可能となる。
【0030】
議論されるように、典型的には、ジェリーロール系セルは、マンドレルの周りにジェリーロールの構成成分を巻きつけることで提供される。その結果、内部空隙、又はボア15(図1A〜Cに示される)が、ジェリーロール14内に提供される。いくつかの実施形態では、内部ボア15は、ジェリーロール14の長手方向軸に沿って延びている。DC−DCコンバータ40の電気回路を収容するコンバータハウジング16は、ボアの中に配置され、それによってボアの空間の少なくとも一部分を占めることが可能となる。コンバータハウジング16をボア15の中に配置することで、コンバータハウジング16は、電池中で他には使用されないであろう空間を占める。この空間は一般的には使用されないので、DC−DCコンバータ40を付加することで、電池ハウジングの寸法を増加させるか、若しくは電池ハウジングの構成を変更するか、ないしは別の方法で電池の充電容量を減少させることなく集積配列を提供する。それとは対照的に、DC−DCコンバータ40がジェリーロールの空間の外部に配置される場合、ジェリーロールはより小さく作成される必要があり、それによって、電池において同様の寸法及び構成を維持するために、セル容量が減少する。更には、ジェリーロールをDC−DCコンバータ40の電気回路を収容するコンバータハウジング16に結合するタブ18及び22を介して、ジェリーロールから電流が引き出される(図1A〜1C参照)。
【0031】
電圧コンバータモジュールは、活性及び不活性な電子的構成要素が実装された2重層プリント回路基板(PCB)50を備えている。PCB50は、コンバータハウジング16の内部に組み込まれている。図示されるように、いくつかの実施形態では、PCB 50がコンバータハウジング16の内壁56にもたらされる張力によって所定位置に保持されるように、PCB基板50は、中空の円筒形コンバータハウジング16の直径(例えば、3.5〜4.0mm)と実質的に同じ幅を有している。いくつかの実施形態では、取り付け機構が、PCB基板50をコンバータハウジング16の内壁56に固定するのに使用されてもよい。
【0032】
PCB基板50の1つの表面上に、DC−DC電圧コンバータモジュール40のコントローラ52が配置される。コントローラ52は、トランジスタのようなスイッチング素子を制御するように構成され、電池10の外部端子46及び48で印加される、例えば、コントローラ52などで決定されたレベルを有する外部電圧/電流をもたらす。いくつかの実施形態では、コントローラ52はまた、スイッチング素子を備える(例えば、図5に示される)。図3で更に示されるように、DC−DC電圧コンバータモジュール40の実装に使用されるレジスタ、インダクタ、及び/又はコンデンサのような不活性構成要素54a〜cが、PCB基板50の反対側に配置される。
【0033】
いくつかの実施形態では、DC−DC電圧コンバータ40は、カソード42及びアノード44における内部電圧を電池の外部端子46及び48において所望の電圧レベルまで減少(又はステップダウン)させるように構成されたスイッチングバックDC−DCコンバータ回路を実装し得る。以下でより詳しく記載されるように、いくつかの実施形態では、ブースト構成コンバータ(即ち、ステップアップ回路)が実装され得る。
【0034】
図4を参照すると、DC−DC電圧コンバータモジュール40が示されている。DC−DC電圧コンバータモジュール40は、コントローラ52を備えている。コントローラ52は、バックコンバータ70の動作を制御する制御信号を発生する、プロセッサ60を備える。プロセッサ60は、任意の種類の計算装置及び/又は処理装置であってもよい。一例としては、マイクロチップテクノロジー社(Microchip Technology Inc.)のPIC18F1320マイクロコントローラがある。コントローラ52の実装に使用されるプロセッサ装置60は、プロセッサベースの装置の一般的な動作を可能にするコンピュータ命令、並びに電池10のカソード電極及びアノード電極において形成される内部電圧を電池駆動可能な装置を動作するのに好適な電圧レベルに変換するための電圧制御動作を実行する実装プログラムを含むソフトウェアを保存するように構成された、揮発性及び/又は不揮発性メモリ構成要素、を含む。プロセッサ装置60は、複数のアナログ及びデジタル入力線及び出力線を備えるアナログ・デジタル(A/D)コンバータ62を含む。プロセッサ装置60から発生したデジタル信号を受信し、デジタル・アナログ(D/A)コンバータ装置64及び/又はDC−DC電圧コンバータモジュール40のバックコンバータ70のようなスイッチング回路のデューティーサイクルを調節する応答電気信号を発生するパルス幅モジュレータ(PWM)66が、プロセッサ60に組み込まれるか、又はプロセッサ60に電気的に結合する。
【0035】
図5を参照すると、バックコンバータ70は、例えば、バイポーラ接合トランジスタ(BJT’s)72及び74のような2つのトランジスタ、及び電池10の電極がバックコンバータ70と電気通信する際にエネルギーを貯蔵するインダクタ76を備え、電池の電極がバックコンバータ70から電気的に分離されている間、電流としてのエネルギーを放出する。バックコンバータ70はまた、エネルギー貯蔵要素としても使用されるコンデンサ78を備える。インダクタ76及びコンデンサ78は、バックコンバータ70の出力におけるスイッチング電流及び電圧リップルを減少させる、出力フィルターとしても機能する。
【0036】
外部端子46及び48に印加される電圧レベルは、トランジスタ72及び74のベースに印加される電圧レベルを制御することで調節される。電気化学セルからの電力を外部端子46及び48に印加させるために、コントローラ52の端子52d(SW1)からの作動電気信号がトランジスタ72のベースに印加され、電池10の電気化学セルの電極42及び44からトランジスタ72及び外部端子46及び48に電流が流れる。
【0037】
トランジスタ72のベースに印加される作動信号が除去される際、電気化学セルからの電流は停止し、インダクタ76及び/又はコンデンサ78は、それらの中に貯蔵されたエネルギーから電流を供給する。トランジスタ72のオフ期間中、外部端子46及び48に(トランジスタ72のオン期間中にインダクタ76及び/又はコンデンサ78中に貯蔵されるエネルギーを使用して)電流が流れるのを可能にするために、コントローラ52の端子52e(SW2)によって、第2の作動信号がトランジスタ74のベースに印加される。いくつかの実施形態では、整流ダイオードがトランジスタ74の代わりに使用されている。
【0038】
トランジスタのオン期間、又はデューティーサイクルは、最初に0%デューティーサイクルから立ち上がり、コントローラ又はフィードバックループが出力電流及び電圧を測定する。所望の外部電圧Vに到達すると、フィードバック制御ループは、例えば、比例−積分−微分、即ちPID機構のような閉ループ線形フィードバック機構を使用してトランジスタデューティーサイクルを管理する。
【0039】
したがって、トランジスタ72のオン期間中に電池10の電気化学セルによって提供される電圧/電流、及びトランジスタ72のオフ期間中にインダクタ72及び/又はコンデンサ78の作動によってもたらされる電圧/電流は、所望の外部電圧レベルVと実質的に同じ有効電圧レベルでもたらされるべきである。
【0040】
いくつかの実施形態では、コントローラ52は、例えば、コントローラ52の端子52b(VSENSEと記される)を介して測定された値を通信する電圧センサー71aによって、周期的(例えば、0.1秒毎)に外部端子46及び48で測定された電圧の測定値を受信する。この受信した測定電圧に基づき、コントローラ52は、デューティーサイクルを調整して、その電圧が所望の外部電圧Vと実質的に等しい値に収束するように、外部端子における外部電圧Vを調整する。したがって、バックコンバータ70は、外部端子46及び48に印加される電圧レベルの調整をもたらす調整可能なデューティーサイクルで動作するように構成される。デューティーサイクルの調整は、電流センサー71bを使用しても可能である。
【0041】
電圧センサー及び/又は電流センサーに加えて、充電器10は、電池10のいずれかの他の属性を測定するように構成された他のセンサーを含んでもよい。例えば、電池10は、電池10が過熱する事象において、コントローラ52が改善的又は予防的な動作を可能にするための温度センサー(例えば、サーミスタ系)を備えてもよい。
【0042】
例えば、閾値比較器などを備え得る専用の充電コントローラ装置などのアナログ論理処理要素(図示せず)を使用して、受信した測定信号は処理され、電圧及び/又は電流センサーによって測定された電圧及び電流のレベルが決定される。DC−DC電圧コンバータモジュール40は、回路のノイズレベルのような、背景因子によって引き起こされ得る不正確な測定値(例えば、電圧、温度などの不正確な測定値)を防ぐために、アナログ及び/又はデジタル入力信号上で信号のフィルタリング及び処理を実行する、フィルター61及び63のような信号調整ブロックを含んでもよい。
【0043】
DC−DCバックコンバータの有効性は、少なくとも部分的に、ステップダウンレギュレータIC及び外部負荷の選択によって変化する。一般的に、電池10などの電池の有効性(例えば、電力変換回路の出力に最終的に送達される入力電力の割合)は、85%〜95%の範囲内である。
【0044】
図6を参照すると、いくつかの実施形態では、DC−DCバックコンバータは、ライナーテクノロジー社(Linear Technology Corp.)製のLTC3411コンバータ80のような高性能な同期ステップダウンレギュレータを使用して実装され得る。LTC3411チップは、スイッチングコントローラとスイッチング素子(MOSFET)とを単一のパッケージ内で結合する。LTC3411チップの利点は、比較的小さな寸法であることと効率的に動作することである。同様の機能を有する他の種類の市販の集積回路を含む、他の種類のバックコンバータが使用され得る。
【0045】
図11を参照すると、電池160(電池10と同様)は、セル162及びブースト集積電圧コンバータ164を備える。電圧コンバータは、電池160の電気化学セルの電極で生成される内部電圧よりも高い出力電圧Vを生成する、ブースト構成内にある。電圧コンバータ164は、図5に示されるコントローラ52と同様のコントローラ166を備え、マイクロプロセッサ装置及び/又はDSP装置を使用して同様に実装され得る。コントローラ166は、ブースト構成電圧コンバータ164の動作を調節するために、トランジスタ168及び170を作動させる電気制御信号を発生し、それによって端子176及び178における電池出力を調節することができる。
【0046】
更に示されるように、インダクタ172は、トランジスタ168及び170と電池160の電気化学セル162のカソードとの間で接続される(それとは対照的に、例えば図5に示されるように、バックコンバータのステップダウン構成において、インダクタは、電池10の出力端子46とトランジスタとの間で接続される)。
【0047】
動作において、コントローラ166は、SW1と記されたコントローラ166のポートを通じてトランジスタ168のベースに印加される作動信号を発生する。結果として、接地端子178への電気経路が形成される。トランジスタ168は、トランジスタを通じて電流が流れるように電気で作動されるが、電流はインダクタ172にも流れるので、それによって、電荷がインダクタ172に貯蔵される。コントローラ166は、トランジスタ168のベースを作動する信号を中断する際、トランジスタ168の作動中に達成されるインダクタ172の定常状態条件が阻害され、それによって外部端子176(トランジスタ170若しくはダイオード171のいずれかを通じて)に向かって電流が流れる。インダクタの定常状態条件における阻害によって、インダクタの電流レベルが降下し、その結果、以下の関係により、インダクタの電圧が上昇する。
【数1】

【0048】
したがって、トランジスタ168を通じて電流が流れる間に確立される定常状態の電流の流れの阻害によって、インダクタにおける電圧は上昇し、それによって端子176、178における電圧は同様に上昇する。
【0049】
トランジスタ168の作動によって生成される電圧波形によって、一般的にリップルされるインダクタ172の定常状態条件が変更される。したがって、端子176において実質的に一定な電圧レベルが印加されるように、電圧波形を平滑化するために、図示されるように、コンデンサ174のようなその他のエネルギー貯蔵素子が外部端子176及び178に接続されている。
【0050】
ブースト構成電圧コンバータ164は、トランジスタ168のデューティーサイクルを調整する(例えば、トランジスタ168のベースに印加される作動信号の期間)フィードバック機構を備えている。デューティーサイクルを調整することで、電池160の端子176における電圧が、所望の外部出力電圧Vに収束する。
【0051】
図12を参照すると、バック/ブースト電圧コンバータとして作動する電池180の集積電圧コンバータモジュール182が示されている。換言すれば、電圧コンバータモジュールは、1つのモードにおいては、コンバータがステップダウンコンバータとして作動し(バックコンバータとして回路を構成することにより)、もう1つのモードにおいては、コンバータがステップアップコンバータとして作動する(ブーストコンバータとして回路を構成することにより)ような、2つの異なるモードで作動することが可能である。トランジスタ186及び188を作動させることによって、コンバータを1つのモード又はもう1つのモードに変換することができる。特に、トランジスタ186が常にオン状態である(即ち、デューティーサイクルが100%である)ように、トランジスタ186のベースを作動することによって、コンバータ182の回路は、図11に示されるように、回路と同様に作動するブーストコンバータとして構成される。
【0052】
特に、トランジスタ188は、周期的にオン状態とオフ状態に作動され、それによってトランジスタ186と188との間を接続するインダクタ190の定常状態が阻害され、図11に示されるブーストコンバータに関して記載されるのと同じ方法で、外部出力端子192において印加される電圧が上昇する。
【0053】
電圧コンバータモジュールをステップダウンモードで動作させるために、トランジスタ188は、常にオフ(即ち、0%のデューティーサイクルを有する)に作動され、トランジスタ186は、周期的にインダクタ190に電流が断続的に流れるように作動される。このように作動される際、電圧コンバータモジュールは、図5に示されるバックコンバータの作動と同じ方法で作動するステップダウンコンバータとして構成される。
【0054】
図7を参照すると、電池10の電気化学セルによって生成した内部電圧を、電池駆動可能な装置に印加される外部電圧に変換する代表的な手順90が示されている。電池10の少なくとも1つの電気化学セルによって生成される電圧は、カソード42及びアノード44に結合されたコンバータ40の端子に印加される。電気化学セルによって生成された電力は電源にも使用され、それによってコンバータ40が動作させる。電圧コンバータ40は、電池10の外部端子46及び48に印加される外部電圧Vを決定する(92)。いくつかの実施形態では、外部電圧は予め定められており、電圧コンバータ40は、内部電圧Vを予め定められた値(例えば、特に、1.2〜1.5Vの範囲内の電圧レベル)に変換させる。いくつかの実施形態では、外部可変電圧レベルは、コンバータ40によって発生され得る。本明細書で説明されるように、かかる実施形態では、コンバータ40は、電池ケース12に配置されたユーザーインターフェースから所望の外部電圧に関する情報を受信するか、ないしは別の方法で、通信機構(例えば、RFIF技術に基づいた機構)から通信した情報を受信し、受信した情報に基づいて出力される、電圧Vを決定し得る。
【0055】
電池10の外部端子46及び48に印加される外部電圧を決定し、コンバータは、バックコンバータ又はブーストコンバータのようなDC−DC電圧コンバータ回路を調節して、外部端子46及び48に印加される決定された外部電圧Vと実質的に等しい定電圧をもたらす(94)。上記で説明されるように、決定された外部電圧レベルは、スイッチング素子(例えば、バックコンバータ70の場合のトランジスタ72)に印加されるデューティーサイクル信号を発生し、所望の外部電圧と実質的に等しい電圧を端子46及び48に印加するのに使用される。スイッチング素子のオン期間中の電気化学セルからの重畳電流、及びスイッチング素子のオフ期間中のバックコンバータ70のエネルギー貯蔵素子から放出される電流によって、所望の外部電圧Vと実質的に等しい実効電圧がもたらされる。
【0056】
上述されるように、いくつかの実施形態では、集積電圧コンバータモジュールを有する電池は、例えば、リン酸鉄リチウム電気化学セルを備える再充電式電池のような再充電式電池であり、15分未満で電池の容量の80〜90%の充電レベルまで再充電されるように構成されている。いくつかの実施形態では、電池は、活性物質としてLiFePOを有するカソード、炭素アノード、セパレータ及び電解質を備えている。かかる実施形態では、カソードは結合剤を備えてもよい。カソードの厚さは、電池のデザインと、必要とされる性能特性によって変化する。電極(カソード及びアノード)は、基材を提供し、この基材の両面に適した材料、例えば、アノード用には炭素を、及びカソード用には結合剤と導電性炭素と活物質との混合物をコーティングすることによって製造することができる。リン酸鉄リチウムの化学作用に基づいた再充電式電池の代表的な実施形態が、「リチウムイオン二次電池(Lithium Ion Secondary Batteries)」という題目の米国特許出願第11/827,366号に記載されており、その全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0057】
いくつかの実施形態では、再充電式電池100は、4.4V〜1.8Vの作動電圧範囲及び300Wh/Lを超えるエネルギー密度を有するリチウムイオン電池のような高エネルギー密度電気化学系である。
【0058】
図8Aを参照すると、代表的な再充電式電池100が充電器110と接続されて示されている。電池100は、電池10と同様の構成であるが(図1A〜C及び図2)、電気的にカソード104と結合した少なくとも1つの追加外部充電電池端子102を備え、これは電池100の集積DC−DC電圧コンバータをバイパスする。外部電池端子は、再充電式電池100の電池ケース(図1Aに示される電池ケースと同様)の外部表面に配置される接触表面(図示せず)を含む。電池100が、充電器110の充電区画(図示せず)内に受容される場合、充電器の端子の1つは外部充電電池端子102に機械的及び電気的に結合し、もう1つの充電器の端子は、電池を電池駆動可能な装置に接続するのにも使用される外部端子106と機械的及び電気的に結合する。アノード108は、電圧コンバータ109と接続されている。そのように接続される際、充電器110は、動作において、電池100の電気化学セルの充電レベルを満たすために、電池を通じて充電端子102に充電電流を印加する。高速充電動作を実行する(例えば、15分未満で再充電式電池の充電容量の90%を達成する)ように構成された実施形態を含む、充電器110の代表的な実施形態は、例えば、「高速電池充電装置及び方法(Fast Battery Charger Device and Method)」という題目の米国特許出願第11/776,021号、「電池を自動的にロード/アンロードする機構を備える電池充電器(Battery Charger with Mechanism to Automatically Load and Unload Batteries)」という題目の同第11/775,979号、及び、「ポータブルエネルギー貯蔵及び充電装置(“Portable Energy Storage and Charging Device)」という題目の同第11/775,995号に記載されており、これらの内容の全てが参照として本明細書に組み込まれる。
【0059】
図8Bを参照すると、いくつかの実施形態では、再充電式電池100は、アノード108と直接電気的に結合する第2充電端子103を備えている。したがって、電池100が、例えば充電器110のような充電区画内に受容される際、充電器の端子は、充電器の端子102及び103と電気的及び機械的に結合し、カソード104及びアノード108を通る閉電気経路が達成される。充電端子103は、例えば、負極キャップ(図1Aに示される負極キャップ24と同様)付近のような電池ケースの外部表面上に配置される接触表面(図示せず)を備えている。したがって、図8Bに示される再充電式電池100の実施形態では、再充電式電池は、ジェリーロール中の充電を補充するために、充電器110から印加される充電電流を受信し、カソード及びアノードに導くように構成される専用の充電端子、及び外部電圧Vを印加するのに使用される別の専用の外部端子102及び106の対を有する。
【0060】
いくつかの実施形態では、充電電流を電池100の電気化学セルに再充電するために、別の専用の端子対は使用されない。かかる実施形態、及び以下でより詳細に記載されるように、充電電流は、電池の外部端子に印加される(即ち、図8Aに示される端子105及び106のような端子であって、この端子を通じて電池から生成され、集積電圧コンバータによって変換された電圧は、電池駆動可能な装置に印加される)。このような状態において、電圧コンバータは、例えば、図13におけるダイオード218(D2と記される)などとして実装されるバイパス回路216を含んでもよく、外部端子から受信した充電電流をカソード及びアノードに導く。
【0061】
図9を参照すると、充電器110は、充電動作の開始において一定の充電電流を電池に印加するように構成される。定電流が電池に送達される(即ち、定常電流、又はCCモードで充電器が作動する)期間中、再充電式電池100の電圧は上昇する。電池100の電圧が、例えば3.8Vの所定の上限電圧(この上限電圧は、クロスオーバー電圧と呼ばれることがある)まで到達する際、充電器110は、残りの充電期間において、電池の電圧をその上限電圧で保持するように構成されている。所定のクロスオーバー値と実質的に等しい定電圧が電池100に印加される期間中、充電器110は、定電圧、又はCVモードにおいて作動するといわれる。
【0062】
充電器110は、電力変換モジュール112と結合される。いくつかの実施形態では、電力変換モジュール112は、充電器110中に組み込まれ、それによって充電器110のハウジングに配置される。電力変換モジュール112は、充電器の外側に、85V〜265V及び50Hz〜60Hzの定格で電力を供給する源のような、AC電源と電気的に結合されるAC−DC電圧コンバータモジュール114を備え、AC電力を低DC電力(例えば5〜24V)に変換し、例えばこの低いDC電圧を例えばDC−DC電圧コンバータモジュール116に供給し、再充電式電池において好適なレベル(例えば、リン酸鉄リチウム電気化学セルを有する再充電式電池において、約3.7〜4.2VのレベルにおけるDC電圧)を提供する。その他の種類のセルは、1.8〜4.4Vの範囲内の電圧レベルのような異なる電圧レベルを有してもよい。)
充電器110は更に、再充電式電池100に印加される充電電流を決定し、決定された充電電流と実質的に等しい電流を電池100に印加し、例えば5〜15分の特定又は所定の時間が経過した後、充電電流を停止させるように構成されたコントローラ120を備えている。所定の電池の電圧又は充電レベルに到達すると、コントローラ120も、充電動作を停止するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ120は、バックコンバータ130が12Cの一定の充電率で印加するのを調節する(即ち、1Cは電池を1時間で充電するのに必要とされる電流に対応した充電率であり、12Cは、約1/12時間(即ち5分)で特定の電池を充電するのに必要とされる充電率)。このような充電率12Cは、所定の最大充電電圧に到達するか、5分間が過ぎるまで印加される。最大充電電圧に到達すると、コントローラ120は制御モードを変更し、所定の充電時間(例えば5分)が過ぎるまで定電圧を電池100に印加する。
【0063】
いくつかの実施形態では、再充電式電池100に印加される充電電流は、少なくとも部分的に、例えば充電器110のハウジング(図示せず)に配置されるユーザーインターフェースを介して提供されるユーザーに特定の入力に基づいて決定し得る。このようなユーザーインターフェースとしては、ユーザーが、再充電される電池の容量、充電期間、などの充電動作と関わりのある設定を表示し得る、例えば、スイッチ、ボタン及び/又はノブが挙げられる。使用する特定の充電電流を決定するためには、ユーザーに特定の設定/パラメータに対応する好適な充電電流を示すルックアップテーブルにアクセスする。
【0064】
いくつかの実施形態では、充電電流は、例えば、電池容量及び/又は電池の種類のデータ見本を提供する同定機構を使用して、充電器110の充電区画中に配置される再充電式電池100の容量を同定することで決定されてよい。電池の容量の抵抗見本を有するIDレジスタの使用に基づいた同定機構を含む、代表的な充電装置の詳細な記載は、「電池センサーを備える超高速電池充電器(Ultra Fast Battery Charger with Battery Sensing)」という題目の米国特許出願第11/776,261号で提供され、この内容の全てが本明細書に参照として組み込まれる。いくつかの実施形態では、充電電流は、電池の容量及び/又は種類(例えば、電池のDC充電抵抗)を示す電池の電気特性のうち少なくとも1つを測定することで決定され得る。電池の、測定された特定に基づき、充電電流を適応的に決定する、代表的な充電装置の詳細な記載は、「適応充電装置及び方法(Adaptive Charger Device and Method)」という題目の米国特許出願第11/775,987号で提供され、その内容は全て、本明細書に参照として組み込まれる。
【0065】
コントローラ120は、電池100で実行される充電動作を制御するように構成された、プロセッサ装置122を備えている。コンバータ40のプロセッサ装置60と同様に、プロセッサ装置122は、マイクロチップテクノロジー社(Microchip Technology Inc.)のPIC18F1320マイクロコントローラのような任意の種類の演算及び/又は処理デバイスであってもよい。コントローラ120の実装に使用されるプロセッサ装置122は、プロセッサベースの装置の一般的な動作を可能にするコンピュータ命令、並びに、15分未満で少なくとも充電容量の90%を達成する電池100をもたらすような充電動作を含む、充電器110に結合する電池100上で充電動作を実行する実装プログラムを含むソフトウェアを保存するように構成された、揮発性及び/又は不揮発性メモリ構成要素を含む。プロセッサ装置122は、複数のアナログ及びデジタル入力線及び出力線を備えるアナログ・デジタル(A/D)コンバータ124を含む。コントローラ120は、デジタル・アナログ(D/A)コンバータ装置126、プロセッサ装置122によって発生したデジタル信号を受信し、それに応答して、充電器110のバックコンバータ130のようなスイッチング回路のデューティーサイクルを調節する電気信号を発生するパルス幅モジュレータ(PWM)128も備える。
【0066】
バックコンバータ130は、コンバータ40のバックコンバータ70と同じであり、バックコンバータ70と同じ方法で作動するように構成されている。したがって、バックコンバータ130は、例えば、端子102及び106を介して電源変換モジュール112によって供給された電流/電圧を、電池100に印加させるように電気的に作動される、トランジスタ(図示せず)などのスイッチング素子を備えている。バックコンバータ130が、エネルギーを貯蔵するエネルギー貯蔵要素(例えば、コンデンサ及び/又はインダクタ)も備える際、コンバータのスイッチング素子のオン期間中、電流はバックコンバータに送達される。スイッチング素子によって、電力変換モジュール112から送達された電流が電池100からカットオフされる際、エネルギー貯蔵要素中のエネルギーは、再充電式電池100中に放出される。スイッチング素子のオン期間中に印加された電流から生じた電流及びスイッチング素子のオフ期間中にエネルギー貯蔵要素から放出された電流は、再充電式電池100に印加される所望の充電電流と実質的に等しい。
【0067】
電池100に印加される電流/電圧を調節するために、充電器110は、例えば、コントローラ120を使用して実装されるフィードバック調節機構も備えている。フィードバック調節機構は、電池100に印加される生じた電流が、コントローラ120によって決定された充電電流と実質的に等しくなるように、スイッチング素子を作動するデューティーサイクルを調節するのに使用される。例えば、いくつかの実施形態では、例えばコントローラ120に測定値を通信する電流センサー(図示せず)によって、測定されるような電池100を流れる電流の測定値を周期的(例えば、0.1秒毎)に受信する。この受信した測定値に基づき、コントローラ120は、電流が充電電流レベルと実質的に等しい値に変換されるように電池100を流れる電流を調節する、デューティーサイクルを調節する。
【0068】
充電器110は、電圧センサー(図示せず)、並びに再充電式電池100及び/又は充電器110のいずれかの他の特性を測定するように構成された他のセンサーを備えてもよい。例えば、充電器110及び/又は電池100の熱制御が必要とされる(例えば、電池100を充電する充電時間が15分を超える際)実施形態では、充電器110は、電池110及び/又は充電器110の数々のモジュールが配置される回路基板に結合された温度センサー(例えば、サーミスタ)を備えてよい。
【0069】
図10を参照すると、再充電式電池100を充電する代表的な充電手順140が示されている。電池は充電器に挿入され、ユーザーは、例えば充電器110のハウジング上に配置された「スタート」ボタンを押すことで充電サイクルを開始する。
【0070】
所望により、充電手順を開始する前に、充電器110は特定の故障状態が存在するかどうかを判断する。例えば、充電器110は、電池100の電圧Vを測定する(142)。充電器110は、測定された電圧が所定範囲(例えば、2〜3.8V)内にあるかどうかを判断する(144)。電池100の測定された電圧Vが所定の条件を満たした範囲内にないと判断され、それによって、電流条件下での充電動作が危険になるような状況では、充電は、その充電動作に沿って進行せず、充電工程を終了し得る。このような状況下では、ユーザーに、ユーザーインターフェースを介して充電器110のハウジング上に問題の表示が提供され得る。
【0071】
充電器110は、電池の種類、充電期間、電池の容量などを含む、充電工程に適切な情報に基づいて、電池100を充電するために使用される、充電電流及び/又は充電期間を決定する(146)。例えば、充電器110は、15分未満で充電容量の少なくとも90%まで電池100を充電する充電電流を決定するように構成されていてもよい。
【0072】
所望により、充電器110は、充電器110の充電区画に配置される電池100の容量及び/又は種類を決定し得る(145)。本明細書で説明されるように、充電電流を決定するのに使用される情報は、例えば、充電器110のハウジングに配置されるユーザーインターフェースを通じて提供され得る。加えて及び/又はあるいは、充電工程に関連する情報は、電池が特性(例えば、容量、種類)を示す充電器の情報を通信することが可能な同定機構を通じて、若しくは、電池の電気的特性(例えば、DC充電抵抗)を測定し、電池100の種類及び/又は容量の測定値などに基づいて決定することで提供され得る。充電器110が、特定の容量を有する特定の種類の電池を受容するように構成されている場合、充電器110は、特定の電池及び容量に好適な所定の充電電流を使用する。充電電流を、異なる電池容量、電池の種類、充電期間などと関連付けたルックアップテーブルにアクセスすることで、充電電流の決定が実行され得る。
【0073】
電池100に、決定された充電電流を印加し、事前に指定された充電の動作期間を測定するように構成されたタイマーをスタートする(148)。タイマーは、例えば、プロセッサ122の専用のタイマーモジュールなどであってもよいか、又は、プロセッサ122の内部クロック又は外部クロックによって測定される標準時間間隔において増加するレジスタであってもよい。
【0074】
例えば、バックコンバータ130のような電流/電圧調節回路は、定電流を、再充電式電池100に印加されるために決定された電流と実質的に等しくさせるように制御される(150)。説明されるように、決定された充電電流は、バックコンバータ130のスイッチング素子130に印加されるデューティーサイクル信号を発生し、電流を電池100に印加される充電電流と実質的に等しくさせるのに使用される。特定のデューティーサイクルのオフ期間中、電力変換モジュール112は電池100からカットオフされ、バックコンバータ130(例えば、インダクタ及び/又はコンデンサ)のエネルギー貯蔵要素に貯蔵されたエネルギーは、電流として電池に放出される。電源変換モジュール112から印加された重畳電流、及びバックコンバータ130のエネルギー貯蔵要素から放出された電流は、決定された充電電流と実質的に等しい実効電流をもたらす。
【0075】
いくつかの実施形態では、充電器100は、CC/CV充電工程を実施する。したがって、かかる実施形態では、電池100の端子における電圧は、所定の上限電圧(即ち、クロスオーバー電圧)にいつ到達するのかを測定するために、周期的(例えば、0.1秒毎)に測定される(152)。電池100の電圧が所定の上限電圧に到達したら、クロスオーバー電圧レベルと実質的に等しい定電圧レベルを有するように電流/電圧調節回路が制御され、電池100の端子において維持する。
【0076】
充電期間と実質的に等しい時間が経過したと判断された後(154)、あるいは、特定の電流レベル又は電圧レベルに到達した後(電池100の周期的な測定によって判断され得るように)、電池100に印加される充電電流が停止される。
【0077】
上記で説明されるように、単一の外部端子対は、集積コンバータによって変換された電圧を受信し、受信した電圧を外部の電池作動可能な装置に印加し、及び、外部充電装置(例えば図9に示された充電器110)に印加された電圧を、電池を再充電する(電池が再充電式電池であるような状況において)のに導く双方に使用される。
【0078】
図13を参照すると、再充電式電池200(例えば、Liイオン技術に基づく、図8A、8B及び9に示される電池100と同様の電気化学構造、特性、構成を有する)が示されている。電池200は、電圧コンバータモジュール202によって変換された電圧を受信するように構成された端子対214a及び214bを備えている。電圧コンバータモジュール202の回路及び作動は、例えば図8Bに示される電圧コンバータモジュールと典型的には同様である。したがって、電圧コンバータモジュール202は、バックコンバータ回路(トランジスタ206及び208、インダクタ210及びコンデンサ212を備える)を制御する作動電気信号を発生するコントローラ204(例えば、マイクロプロセッサコントローラ)を備え、端子214a及び214bを通じて印加され、所望の外部電圧Vと実質的に等しい電圧が得られる。
【0079】
電池200は、バイパス回路216も備えている。1つの実装では、バイパス回路216は、ツェナー又はショットキーダイオード218を備え、対応する逆方向降伏電圧(即ち、逆電極においてダイオードに印加された際にダイオードが通電される電圧レベル)は、一般的に電池200の電気化学セル201(例えば、ジェリーロール)によって生成された内部電圧Vより高い。したがって、電池が、電池駆動可能な装置に電力を供給する外部端子における電圧を出力するために作動している際、電圧コントローラモジュール202は、バックコンバータ回路を作動することで電気化学セル201によって生成された内部電圧Vを変換し、外部電圧Vと実質的に等しい電圧を端子214a及び214bにおいて出力させる。内部電圧Vが、ダイオード218の降伏電圧よりも低いので、ダイオード218には電流は流れず、外部端子214a及び214bにおいて出力される電圧Vは、内部電圧Vにおいて電圧コンバータモジュール202を作動することで生成される。
【0080】
しかしながら、電池200が再充電される際、端子214a及び214bは充電装置(図8A、8B及び9に示される充電器110など)の充電端子に接続される。充電電流及び/又は電圧が、充電装置から電池200に印加されるにつれて、ダイオード218は順方向バイアスされ、したがって充電電流がそれを通じて電気化学セル201のカソード及びアノード上に流れるのが可能となる。いくつかの実施形態では、電圧コンバータモジュール202は、作動電気信号がトランジスタ206及び208に導かれないようにポートSW1及びSW2を無効にし、電圧コンバータモジュール202を通じる端子214aから電気化学セル201までの電気経路を無効化する。いくつかの実施形態では、電圧コンバータモジュール202を通じて導かれる充電電流を排除するために、外部電源(例えば、充電装置110)から印加された電流を検出し、電圧コンバータモジュールを無効にするのに電流センサー(図示せず)を使用する。
【0081】
図14を参照すると、バイパス回路を含む集積電圧コンバータモジュール222を備える電池220のその他の実施形態が示されている。電圧コンバータは、集積回路(IC)224を使用して実装される。本実施形態では、入力電圧を調節するために多くの制御機構及び活性スイッチング素子が単一のICに実装され、電圧コンバータモジュールに必要とされる寸法を低減する。いくつかの実施形態では、IC 224は、例えば、テキサスインスツルメント(Texas Instrument)社製のTPS62042ステップダウンコンバータのようなコンバータ(いくつかの実施形態では、ステップアップコンバータが集積回路に実装されることも可能である)を実装するのに使用される。図示されるように、IC224は、出力ポート226a及び226b(Vin1及びVin2と記される)において、電池の電気化学セルの電極において形成された内部電圧Vを受信し、ポート226a及び226bを介して、IC 224によって変換された、得られた電圧を出力する。
【0082】
IC 224は、IC 224内に集積されたトランジスタ(図13のトランジスタ206及び208と同様)を有している。ポート228a及び228bは、図13のトランジスタ206と208とが一緒に接続される点と同じである。更に、ポート226a及び226bは、IC 224が、変換される電源(Vin)とは異なる電圧/電力供給において作動することを可能とする。本実施形態では、IC電源及び変換における電源は同じである。
【0083】
図示されているように、電圧コンバータモジュール222は、インダクタ230のような、IC 224の電圧出力ポート228a及び228bと結合されるエネルギー貯蔵要素を更に備えている。インダクタ230も、レジスタ234を介してIC 224のフィードバックポート232(FBと記される)、及び、電池220の外部出力端子240と結合される。したがって、IC 224は、外部端子240において電圧Vを所望の出力電圧に変換するフィードバック機構を備える。いくつかの実施形態では、所望の出力電圧は予め定められており、調整は不可能であるが、いくつかの他の実施形態では、電池220は、ユーザーに望ましい数種の出力電圧レベルから1つを設定するために、例えば、プッシュピン(図示せず)などを含むユーザーインターフェースを含んでもよい。
【0084】
更に図14に示されるように、電圧コンバータモジュール222は、バイパス機構が、外部端子240を通じて充電電流を印加することで再充電式電池220の充電を可能にするダイオード242(例えば、ツェナーダイオード、ショットキーダイオードなど)も備える。したがって、図13に示される電池200と同様に、電池220は、電池220を再充電するために充電電流が印加される個別の端子対を必要としない。充電電流/電圧が電池の外部端子240を介して印加される際、印加された電圧は、ダイオードの閾値電圧(即ち、ダイオード242を通電させるのに必要な電圧)を超え、ダイオード242は充電電流を電極(例えば、端子244に結合する電極)に導かれて電池220が再充電される。ダイオード242は、一般的には電池220の電気化学セルによって生成される内部電圧Vよりも高い、対応する降伏電圧を有する。したがって、電池の電気化学セルによって生成された内部電圧は、一般的に、ダイオード196を介して端子183から電流を流すのに不十分である。
【0085】
バイパス機構はまた、閾値電圧を有する発光ダイオード(LED)のような、一般的に、電圧コンバータモジュールに出力された最大電圧よりも高い(即ち、内部電圧Vの変換によって生じる電圧Vよりも高い)ダイオード246を備える。したがって、ダイオード246は、充電装置(図示せず)のような外部電源からの電圧がダイオード246に印加される際にのみ通電する。ダイオード246は、3〜5Vの閾値電圧を有することができる。充電装置が、端子240を介して充電電流を印加する際、ダイオード246において生じた電圧はダイオードの閾値電圧を超え、それによって電流がダイオード246を流れることが可能となる。ダイオード246を通じて流れる電流は、トランジスタ248を作動させ、トランジスタ248を通じて電流を流す。IC 224のイネーブルポート250における電圧は、IC 224が無効となるレベルまで降下する。換言すれば、ダイオード246及びトランジスタ248を備える構成によって、充電電流が外部充電装置に印加される際にIC 224を無効とすることでバイパス(又はオーバーライド)モードを実装する機構が更に提供される。ダイオード246がLEDである状況では、ダイオードは、電池が充電される際にユーザーに示されるためにも使用される。
【0086】
図15を参照すると、電池220は順方向モードで、電圧コンバータモジュール222は、IC 224に実装される制御回路及びフィードバック機構、及びインダクタ230を使用して、電池の電気化学セルによって生成された内部電圧Vを変換する。図15のインセット250に示されるように、生じた電流波形は、充電及び放電インダタ230によって生じたリップル効果を示すが、この電流リップルは、エネルギー貯蔵要素C2によって実質的に除去される。したがって、一般的には、電池220の端子240を通じて出力される最小電圧レベルは、電池220によって生成される最大電圧の1%以内である。順方向モードでは、外部電圧Vは、ダイオード246(図14に示される)の閾値電圧よりも低く、したがって、ダイオード247はイネーブルポート250における電圧を降下させ、それによってIC 224が無効となる。
【0087】
図16を参照すると、オーバーライドモードでは、充電電流は、外部端子240を介して電池220に印加される。充電電流が電池220に印加される際の電圧は、ダイオード242の閾値電圧を超え、その結果、充電電流はダイオード242を介して実質的に導かれ、それによって、モジュール222の電圧変換回路をバイパス(例えば、IC 224及びインダクタ230をバイパス)するのが可能となる。同様に、この電流はトランジスタ248を作動し、その結果、IC 224のイネーブルポートにおける電圧レベルが降下し、IC 224が無効となる。IC 224を無効にすることで、電池220に高い充電電流が印加されることで引き起こされ得る損傷から集積回路が保護される。
【0088】
図17を参照すると、グラフ260に示されるように、端子249において外部充電装置から印加された電圧が、ダイオード246の閾値電圧(例えば、3.3V)及びトランジスタ248のベースエミッタ接合部における閾値電圧(例えば、0.6V)を超えると、ダイオード247を介して流れる電流レベル(図15に示されるグラフ260におけるI)は、急激に上昇する。したがって、充電装置に提供される充電電流の一部は、ダイオード246を介して導かれる(又は、換言すれば漏れる)。したがって、IC無効機構が使用される場合に、図14〜17においては実装されるような回路構成では、外部充電装置によって印加される充電回路は、所望の充電率(例えば12C)、及びダイオード246を介しての電流I漏れにおいて電池220を充電するのに必要とされる実際の充電電流を含む。
【0089】
実施例及び他の実施形態
以下を含む多くの種類の化学物質が、本明細書に記載の実施形態で使用されてもよい:
【表1】

【0090】
電圧コンバータは、1.2〜1.3Vの範囲内の低いレベルで作動するように合わせることが可能であり、それによって更に長い駆動時間がもたらされる。
【0091】
以上、本発明の多くの実施形態を述べた。しかしながら、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく様々な修正が可能である点は理解されるであろう。例えば、実施形態は、ダウンコンバータを使用して電池からの第1の電圧を受信し、電池の端子における比較的低い第2の電圧を送達すると記載されているが、コンバータは、電池からの第1の電圧を受信し、電池の端子における比較的高い、第2の電圧を送達するアップコンバータとして構成することが可能である。したがって、他の実施形態は下記の特許請求の範囲の範疇にある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電気化学セルであって、それを貫通する内部ボアを有する前記少なくとも1つの電気化学セルと、
前記少なくとも1つの電気化学セルに電気的に結合し、前記内部ボアの一部分内に配置される電圧コンバータモジュールであって、前記少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された前記電圧コンバータモジュールと、
前記電圧コンバータと電気的に結合する端子対と、
外部電源から前記少なくとも1つの電気化学セルに印加される充電電流を導くために、前記端子対のうちの1つの端子と前記少なくとも1つの電気化学セルとの間に結合されたバイパス回路と、を含む電池。
【請求項2】
少なくとも1つの電気化学セルと、
前記少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、前記少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された電圧コンバータモジュールと、
前記少なくとも1つの電気化学セル及び前記電圧コンバータを収容する電池ケースと、
前記電圧コンバータと電気的に結合する端子対と、
外部電源から前記少なくとも1つの電気化学セルに印加される充電電流を導くために、前記端子対のうちの1つの端子と前記少なくとも1つの電気化学セルとの間に結合されたバイパス回路と、を含む電池。
【請求項3】
前記バイパス回路が、前記印加された充電電流の実質的に全てを前記電極に導くように構成される、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項4】
前記バイパス回路が、前記端子対のうちの少なくとも1つと接続し、前記電極のうちの少なくとも1つと更に接続するダイオードを備える、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項5】
前記ダイオードが、ツェナーダイオード及びショットキーダイオードのうちの1つである、請求項4に記載の電池。
【請求項6】
前記電圧コンバータモジュールは、前記充電電流が前記端子対に印加される際に無効となるように構成された集積回路を備える、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項7】
前記集積回路を無効とする信号を発生するように構成された機構を更に含む、請求項6に記載の電池。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電気化学セルが、15分以内で、少なくとも1つの電気化学セルの容量の少なくとも90%の充電レベルまで充電されるように構成される、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電気化学セルが、リン酸鉄リチウムセルを備える、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項10】
前記電圧コンバータモジュールが、
電気スイッチング素子、及び
前記電気スイッチング素子に電気的に結合し、電圧ステップダウン変換動作及び電圧ステップアップ変換動作のうちの1つを引き起こすために、前記電気スイッチング素子を制御するように構成されたコントローラ、を含む、請求項1又は2に記載の電池。
【請求項11】
少なくとも1つの電気化学セルと、前記少なくとも1つの電気化学セルと電気的に結合し、前記少なくとも1つの電気化学セルによって生成された第1の電圧を第2の異なる電圧に変換するように構成された電圧コンバータモジュール、及び、前記第2の電圧が供給される端子対、を収容する電池ケースを有する再充電式電池を充電する方法であって、前記方法は、
充電電流を外部電源から前記端子対を通じて印加する工程と、
前記充電電流が前記電圧コンバータモジュールをバイパスするように、前記印加された充電電流をバイパス回路を通じて、前記少なくとも1つの電気化学セルと結合する電極に導く工程と、及び、
前記少なくとも1つの電気化学セルを前記充電電流で充電する工程と、を含む、方法。
【請求項12】
前記充電電流を前記バイパス回路を通じて前記電極に導く工程が、前記印加された充電電流の実質的に全てを前記電極に導く工程を含む、請求項11に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2010−522963(P2010−522963A)
【公表日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500990(P2010−500990)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/003980
【国際公開番号】WO2008/118477
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(593093249)ザ ジレット カンパニー (349)
【Fターム(参考)】