説明

バコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品

【課題】 脳をリフレッシュ及び活性化する効果を有し、かつ、苦みを抑えて美味しく食べられるバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品を提供する。
【解決手段】 本発明のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品は、バコパモニエラ抽出物と、澱粉と、を含有し、食する際にお湯に溶かすものである。さらに、甘味料と、グレープフルーツ香料又はコーヒー香料と、を含有させてもよい。これをお湯に溶けば、澱粉のとろみによりバコパモニエラの苦みが抑えられ、美味しく食することができ、バコパモニエラに含まれるパコサイドという成分によって、脳がリフレッシュ及び活性化するという優れた効果が得られる。また、グレープフルーツ香料やコーヒー香料のような、もともと苦みを有する飲食品の香料を含有させることで、バコパモニエラの苦みを感じ難くすることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受験勉強や頭脳労働によって酷使された脳をリフレッシュ及び活性化させる効果を有するバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品に関するものであり、特に、バコパモニエラ特有の苦みを抑制するものである。
【背景技術】
【0002】
受験勉強や残業のように、深夜まで脳を酷使しなければならないとき、作業効率を上げるために、脳をリフレッシュ及び活性化させることが重要である。脳をリフレッシュさせる方法としては、軽い運動や短時間の睡眠など様々な方法があると思われるが、深夜に運動をすることは億劫であり、また、短時間の睡眠をとろうとして、そのまま熟睡してしまう恐れもある。そこで、より手軽な方法として、軽食をとることで脳をリフレッシュ及び活性化させる方法が考えられる。
【0003】
脳を活性化させるような飲食品の例として、特許文献1(特開2008−74785号公報)に、脳機能を改善する飲食品添加剤組成物が開示されている。この脳機能改善組成物は、バコパモニエラ抽出物と乳由来のスフィンゴリン脂質とを含有するものである。
【0004】
ここで、バコパモニエラに着目すると、バコパモニエラはインドの伝統医学アーユルヴェーダでは5000年前から脳機能を活性化させる民間薬として利用されてきたハーブである。このバコパモニエラに含まれる有効成分であるパコサイドには、不安解消、記憶力・認知力向上、注意欠陥多動性障害改善、アルツハイマー病予防などの効果が確認されている。つまり、バコパモニエラを摂取すれば、脳機能を活性化させることが期待できる。しかし、バコパモニエラには強い苦みがあるため、そのまま摂取するのは難しく、従来は、サプリメントとして錠剤やカプセルの状態で摂取されることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−74785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、勉強等で疲れたときにサプリメントを摂取することは、脳機能活性化の効果はあるかもしれないが、気分転換にはならないと考えられる。言い換えると、美味しくて、食べることが楽しみになるようなものであれば、気分転換にもなるので、脳をリフレッシュするための一つの要素となり得る。
【0007】
そこで本発明は、斯かる実情に鑑み、脳をリフレッシュ及び活性化するための効果を有し、かつ、美味しく食べられることで気分転換にもなるバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品は、バコパモニエラ抽出物と、澱粉と、を含有し、食する際にお湯に溶かすことを特徴とするものである。さらに、甘味料と、グレープフルーツ香料又はコーヒー香料と、を含有させたり、山芋粉やアイブライト乾燥エキス等を含有させてもよい。また、甘味料は、三温糖、砂糖、人工甘味料又は水飴等であればよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品をお湯に溶いて食せば、バコパモニエラに含まれるパコサイドという成分によって、脳がリフレッシュ及び活性化するという優れた効果を奏し得る。また、澱粉のとろみにより、バコパモニエラの苦みを抑え、美味しく食することができ、リフレッシュ効果を高めることができる。
【0010】
また、グレープフルーツ香料やコーヒー香料のような、もともと苦みを有する飲食品の香料を含有させることで、バコパモニエラの苦みを感じ難くしたり、山芋粉によりバコパモニエラ等の吸収を促したり、アイブライト乾燥エキスにより目の疲れを解消したりする効果を付加することもできる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
バコパモニエラは強い苦みを有するため、葛湯に混入させることで、苦みを抑えることができるのではないかと考えた。そこで、どの程度の配合割合でバコパモニエラを混入させた場合に苦みを抑えられるかを検討することとし、澱粉によるとろみの有無と、バコパモニエラ抽出物の配合割合によって場合分けした全4ケースについて、それぞれ4人に試食してもらい、感想をとりまとめる試験を行った。
【0012】
ケース1は、澱粉によるとろみ無しで、バコパモニエラ抽出物を0.05重量%配合したものである。この場合は、バコパモニエラ抽出物の配合割合は低いものの、澱粉によるとろみがないため、口内全体に苦みが広がり、後味にも苦みがはっきり残るという結果となった。
【0013】
ケース2は、澱粉によるとろみ有りで、バコパモニエラ抽出物を0.05重量%配合したものである。この場合は、バコパモニエラ抽出物の配合割合が低く、かつ、澱粉によるとろみがあるため、苦みが抑制され、僅かな苦みはあるが、味のアクセントといった程度で美味しく食することができた。
【0014】
ケース3は、澱粉によるとろみ有りで、バコパモニエラ抽出物を0.10重量%配合したものである。ケース2と比べてバコパモニエラ抽出物の量を倍にしているため、その味は、美味しいとは言えないレベルとなった。
【0015】
さらに、ケース4は、澱粉によるとろみ有りで、バコパモニエラ抽出物を0.20重量%配合したものであるが、たいへん苦く、1杯食べきるには辛いレベルとなった。
【0016】
以上の試験結果をまとめると、下記の表1の通りとなる。
【表1】

【0017】
この結果から、まず、澱粉によるとろみがなければ、苦みを抑えることは難しいという結論が得られた。これは、澱粉によるとろみがバコパモニエラの苦みを包み込み、口内に苦みが広がるのを抑えているためだと考えられる。
【0018】
次に澱粉によるとろみがあったとしても、バコパモニエラ抽出物の配合割合が0.20重量%を超えると食するには辛くなるが、0.20重量%以下であれば食せないレベルではないということが分かった。一方、配合割合が0.05重量%程度であれば美味しく食せるのだが、あまり配合割合を減らすとバコパモニエラの効果が期待できなくなる。また、全く苦みを感じないとすると、脳に効いているという実感が得られなくなるので、僅かに苦みが残っている程度がよいと考えられる。そこで、配合割合の下限値は、0.05重量%よりも少し低い0.04重量%とすることにした。
【0019】
以上により、全体に占めるバコパモニエラの配合割合の範囲は決定したが、これは澱粉とバコパモニエラのみの組合せの結果であり、さらに葛湯として美味しい製品とするためには、甘味料や香料等を加える必要がある。そこで甘味料や香料等も含めて配合割合の一例を検討した結果を以下に示す。
【0020】
まず、バコパモニエラ抽出物の配合割合は、前述した試験結果を踏まえ、美味しく食べられる量として、約0.05重量%となるように決定した。ここで、原材料として混入するバコパモニエラ抽出物は純度が20%なので、見かけの配合割合は0.23重量%とすることにした。
【0021】
また、澱粉及び本葛特製品は、葛湯としてのとろみを出すために混入される。そして、前述した試験結果の通り、とろみは、バコパモニエラの苦み成分を包み込み、口内に苦みが広がるのを抑制する効果がある。また、保温効果があるので、身体を温めて全身をリラックスさせる効果も期待できる。なお、葛湯として食するのに適したとろみを出すためには、澱粉の配合割合は25重量%〜40重量%にするとよい。
【0022】
次に、甘味料として三温糖を使用することとした。しかし、特に三温糖に限定する必要はなく、砂糖や人工甘味料又は水飴等であってもよい。なお、甘味料は、バコパモニエラの苦みを消す効果があり、さらに、甘みによる気分転換等の効果も期待できる。
【0023】
香料としては、グレープフルーツ香料を混入することとした。グレープフルーツの香りには、リフレッシュ効果があるからである。また、グレープフルーツそのものが、若干の苦みをもった果物であることから、グレープフルーツの香りをかぎながらバコパモニエラ抽出物入りの葛湯を食すると、バコパモニエラの苦みがあまり気にならないという効果が得られた。また、グレープフルーツ以外であっても、コーヒー等のようにもともと苦みを伴う飲食品の香料を使用すれば、同様の効果が得られると考えられる。
【0024】
また、脳の活性化以外に、疲労回復や健康に寄与する原材料を混入させてもよい。例えば、山芋粉は、摂取したバコパモニエラ等の吸収を促す効果があり、アイブライト乾燥エキスは、目の疲れを解消するのに効果があるので、これらも混入することにした。なお、これら以外にも、味を調えたり、香りに深みを持たせたりするような原材料を混入させてもよい。
【0025】
以上の結果を踏まえた葛湯用食品の配合を表2に示す。
【表2】

【0026】
表2の通り配合した葛湯用食品の粉末をお湯に溶かして食したところ、非常に美味しく、かつ、食後は普段より仕事がはかどる実感が得られた。つまり、脳が活性化されリフレッシュ効果が得られたものと考えられる。なお、ここで示した配合は一例であり、この配合割合でなければならないということではない。例えば、前述したようにバコパモニエラの配合割合は0.04重量%〜0.20重量%であればよく、澱粉の配合割合は25重量%〜40重量%くらいがよい。また、これら以外の原材料の配合量(mg)は、プラスマイナス10%程度の増減があってもよいと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バコパモニエラ抽出物と、澱粉と、を含有し、食する際にお湯に溶かすことを特徴とするバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。
【請求項2】
甘味料と、グレープフルーツ香料又はコーヒー香料と、を含有することを特徴とする請求項1に記載のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。
【請求項3】
前記甘味料が、三温糖、砂糖、人工甘味料又は水飴であることを特徴とする請求項2に記載のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。
【請求項4】
前記バコパモニエラ抽出物が、0.04〜0.20重量%含有されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。
【請求項5】
山芋粉を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。
【請求項6】
アイブライト乾燥エキスを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のバコパモニエラ抽出物入り葛湯用食品。

【公開番号】特開2012−34644(P2012−34644A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179127(P2010−179127)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(302068689)株式会社ユナイテッドプランニング社 (2)
【Fターム(参考)】