説明

バスユニットの設置構造

【課題】バスユニットを設置するまでの工期を短くできると共に、バスユニットの設置場所の気密断熱性を確保しやすくする。
【解決手段】 建物のバスユニット設置空間30を取り囲む土台1,1の間に複数の吊架台3を間隔をあけて懸架する。吊架台3は、土台1,1に係止される係止部4と、バスユニット20が載置される吊架台本体5とからなる。バスユニット設置空間30を気密に覆うための複数の板状断熱材9を吊架台本体5の両側に沿ってそれぞれ配置すると共に、各板状断熱材9を支持するための受け具6(7、8)を土台1(2)の側面及び前記吊架台本体5の側面から一体に突設させたバスユニットの設置構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吊架台を用いた吊式のバスユニットの設置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からバスユニットの設置方式として、図4に示すように、浴室の土間を土間コンクリート21で平坦にしてから、その上にバスユニット20を直接設置した方式が知られている。
【0003】
また、図5に示すように、バスユニット設置空間30を囲む土台1,1間に複数の吊架台3を間隔をあけて懸架して、吊架台3の本体部5の上にバスユニット20を設置した吊式が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−131274号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1の従来例では、図4のように土間コンクリート21上にバスユニット20を設置する直置き式では、浴室をリフォームする際、バスユニット20自体の組立は約1日程度で完了する。しかし組み立てる場所の強度を確保するため土間コンクリート21を打つ必要があり、この場合、土間コンクリート21が固化するのに数日かかる。リフォーム工事の場合、解体から完了して使用できるようになるのにどうしても数日かかっている。結果つ解体から工事が完了するまでの工期が長くかかるという問題がある。
【0006】
一方、図5のような吊架台3を用いる吊式では、バスユニット設置空間30が、吊架台3,3の間及び吊架台3と土台2との間でそれぞれ開放されている。バスユニット設置空間30の下部は一般に外気と連通しており、その外気がバスユニット20周囲を下方から上方へ回り込んで浴室内に侵入し易くなる。従来からユーザーの苦情の1つとして寒いというのが挙げられており、リフォームする際には断熱性を高めることが求められている。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、バスユニットを設置するまでの工期を短くできると共に、バスユニットの設置場所の気密断熱性を確保しやすくできるバスユニットの設置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明に係るバスユニットの設置構造は、建物のバスユニット設置空間を取り囲む土台と土台の間に複数の吊架台を間隔をあけて懸架し、前記吊架台は、前記土台に係止される係止部と、バスユニットが載置される本体部とからなり、前記バスユニット設置空間を気密に覆うための複数の板状断熱材を前記本体部の両側に沿ってそれぞれ配置すると共に、各板状断熱材を支持するための受け具を前記土台の側面及び前記本体部の側面から一体に突設させたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、バスユニットを設置するまでの工期を短くできると共に、バスユニットの設置場所の気密断熱性を確保しやすくできるものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のバスユニット設置空間の気密断熱構造を説明する斜視図である。
【図2】同上の板状断熱材の設置前の分解斜視図である。
【図3】(a)は図1のA−A線に沿う断面図であり、(b)は図1のB−B線に沿う断面図である。
【図4】(a)(b)は従来の直置き式のバスユニット設置構造の説明図である。
【図5】(a)(b)は従来の吊式のバスユニット設置構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は建物のバスユニット設置空間30に吊架台3と板状断熱材9とを設置した後の施工状態の斜視図であり、図2はその分解斜視図である。図中の10は柱である。
【0013】
バスユニット設置空間30を取り囲むようにして、向かい合う一対の土台1,1と他の一対の土台2,2とが設置される。土台1,2はそれぞれ木質系角材からなり、基礎コンクリートの上面に沿って横設される。
【0014】
バスユニット20は、浴槽と洗い場とが一体になっているものと、浴槽が別体となっていて後から載置される浴槽載置部と洗い場とからなっているものがあるが、その種類は特に問わない。
【0015】
バスユニット20を設置する吊架台3は、長尺形状の吊架台本体5と、この吊架台本体5の長手方向の両端部に設けられる一対の係止部4とからなる。
【0016】
吊架台本体5の上面にはバスユニット20の脚部22(図3)が載置される。この吊架台本体5は、バスユニット20の重量を支えるために、強度のある角パイプ(角型鋼管)が使用される。係止部4は、逆L字状に形成されており、土台1(2)の上面に引っ掛けられてねじ12で固定される。
【0017】
上記バスユニット設置空間30において下部の外気側と上部の室内側とを遮断するために、以下の気密断熱構造が採用されている。
【0018】
板状断熱材9は、所定寸法で断熱材を長方形の板状に成形ないしは加工したものである。断熱材の素材としては、吸水性が低く、経年変化に強い材質が適している。本例では、スタイロフォーム(商標名)と称される、押出法ポリスチレンフォームを用いる。勿論これに限らず、他の発泡ポリスチレン、発泡ポリウレタン等、各種の断熱材が挙げられる。
【0019】
本例では、板状断熱材9の厚みは、吊架台本体5の厚みと略等しく設定されている。
【0020】
板状断熱材9の長さ寸法は向かい合う一対の土台1,1間の間隔に等しく、幅寸法は隣り合う吊架台本体5,5間の間隔に等しく設定される。吊架台3が等間隔をあけて配置される場合は、この間隔に合わせて板状断熱材9の幅寸法も同じ幅寸法に統一される。なお、吊架台3が異なる間隔で配置される場合はその配置に応じて異なる幅寸法とする。
【0021】
上記板状断熱材9は受け具にて支持される。受け具は、図2に示すように、土台1(2)に取り付けられる土台側受け具6(7)と、吊架台本体5の側面から突設される吊架台側受け具8とを備える。
【0022】
一対の土台1、1の対向する側面の複数箇所には、土台側受け具6(一方の土台1側の土台側受け具は図示略)が取り付けられている。他の一対の土台2,2の対向する側面の複数箇所にも、土台側受け具7(一方の土台2側の土台側受け具は図示略)が取り付けられている。これら土台側受け具6,7は同じ構造をしたL形金具からなり、垂直部が土台1(2)の側面に対して釘等により固定され、水平部上に板状断熱材9の土台1(2)側の端部が支持されるようになっている。
【0023】
一方、吊架台本体5の側面の複数箇所からは、吊架台側受け具8が突設されている。本例では、吊架台本体5を構成する角パイプの側壁の一部をL字状に切り倒して形成されている。つまり、吊架台側受け具8は吊架台本体5と一体形成される。これら吊架台側受け具8により、板状断熱材9の吊架台3側の端部が支持される。これら吊架台側受け具8はそれぞれ、上記土台側受け具6,7と同じ高さ位置で突設している。
【0024】
施工にあたっては、先ず、図2に示すように、向かい合う一対の土台1,1間に複数の吊架台3を間隔をあけて懸架する。その後、吊架台本体5の両側の空間を塞ぐようにして上方から板状断熱材9を嵌め込む。このとき、隣り合う吊架台本体5間に配置される板状断熱材9の長手方向の両端部9a,9bは土台側受け具6で支持される。この板状断熱材9の側端部9c,9dは隣り合う吊架台側受け具8で支持される。また、土台2とこれに隣り合う吊架台本体5との間に配置される板状断熱材9の長手方向の両端部9a,9bは土台側受け具6で支持される。この板状断熱材9の側端部9c,9dは土台側受け具7とこれに対向する吊架台側受け具(図示略)とで支持される。
【0025】
この結果、各板状断熱材9の四辺が受け具6(7,8)のいずれかで支持される。従って、バスユニット設置空間30は、図1に示すように、吊架台3間の板状断熱材9により隙間なく気密に塞がれた状態となる。その後、バスユニット20の脚部22(図3)を吊架台本体5の上に載せることにより、バスユニット20の設置工事が完了する。
【0026】
しかして、上記バスユニット設置空間30の気密断熱構造によれば、従来の直置き式に必要な土間コンクリートを打たなくていいので、工期を大幅に短縮できる。しかも、従来の吊式とは異なり、板状断熱材9によって良好で安定した気密断熱性能が得られる。これによりバスユニット設置空間30の下部から浴室内への外気や冷気が侵入しにくくなる。そのうえ、板状断熱材9を支持する受け具6(7,8)を、既存の土台1(2)と吊架台3とを利用して突設させることができる。これにより板状断熱材9の支持に手間やコストがかからなくなる。
【0027】
また、板状断熱材9に対してバスユニット20の荷重がかからないため、受け具6(7,8)に対して上方から無理な力が作用しなくなり、受け具6(7,8)による板状断熱材9の安定支持を長期に亘って良好に持続できる利点もある。
【0028】
さらに、板状断熱材9の両端部9a,9bは土台1,1にそれぞれ接触し、板状断熱材9の両側部9c,9dは吊架台本体5或いは土台2にそれぞれ接触する。これにより板状断熱材9は吊架台3と土台1(2)とによって横方向の動きが規制された状態となる。結果、地震力などの横方向からの外力が加わっても板状断熱材9は受け具6(7,8)から外れにくい構造となる。
【0029】
前記実施形態では、吊架台側受け具8を吊架台本体5の側壁の一部を水平に切り倒して形成したが、これに限らず、土台側受け具6,7の場合と同様に、L字形金具を吊架台本体5の側面に固着する構成も可能である。
【符号の説明】
【0030】
1,2 土台
3 吊架台
4 係止部
5 吊架台本体
6,7,8 受け具
9 板状断熱材
30 バスユニット設置空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物のバスユニット設置空間を取り囲む土台と土台の間に複数の吊架台を間隔をあけて懸架し、前記吊架台は、前記土台に係止される係止部と、バスユニットが載置される本体部とからなり、前記バスユニット設置空間を気密に覆うための複数の板状断熱材を前記本体部の両側に沿ってそれぞれ配置すると共に、前記各板状断熱材を支持するための受け具を前記土台の側面及び前記本体部の側面から一体に突設させたことを特徴とするバスユニットの設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−154050(P2012−154050A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12332(P2011−12332)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】