説明

バソプレシンV2受容体アンタゴニストとしての[1,4]−ベンゾジアゼピン

本発明は、[1,4]-ベンゾジアゼピン誘導体の新規のクラス、それらの調製のための方法、これらの方法において使用できる中間体、およびそれらの化合物を含む薬学的組成物に関する。本発明の他の局面は、ペプチドホルモンであるバソプレシンのその受容体への結合を妨げる該化合物の能力に基づいた療法における、該[1,4]-ベンゾジアゼピン誘導体の使用に指向している。該化合物は、特にバソプレシンV2受容体アンタゴニストとして有用であり、したがって血管抵抗性増大、心不全、および水分貯留に関する治療のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、[1,4]-ベンゾジアゼピン誘導体の新規のクラス、それらの調製のための方法、これらの方法において使用できる中間体、およびそれらの化合物を含む薬学的組成物に関する。本発明の他の局面は、ペプチドホルモンであるバソプレシンのその受容体への結合を妨げる該化合物の能力に基づいた療法における、該[1,4]-ベンゾジアゼピン誘導体の使用に指向している。特に、バソプレシンV2受容体アンタゴニストとして、したがって血管抵抗性増大、心不全、および水分貯留に関する治療のために有用である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ノナペプチドのアルギニンバソプレシン(AVP)は主に脳下垂体後葉から分泌され、ホルモンおよび神経伝達物質の両方として多くの生物学的作用を担っている。V1a、V1b、およびV2と表示される3つのGタンパク質共役受容体はAVP結合および細胞活性化に関与し、腎臓における水の再吸収(V2)、膀胱、子宮、および血管平滑筋の収縮(V1a)、肝臓におけるグリコゲンの分解(V1a)、血小板の凝集(V1a)、ならびに脳下垂体前葉からのコルチコトロピン放出(V1b)などの重要な生理学的反応を引き起こす。加えて、中枢神経系において、AVPは攻撃的な社会的行動および性的行動、ストレス反応、ならびに記憶を調節する。
【0003】
腎上皮細胞上のV2受容体はAVP誘導性抗利尿作用を媒介して、正常な血漿モル浸透圧濃度を保つ。したがって、選択的ノナペプチドバソプレシンV2受容体アンタゴニストは、過剰な腎臓水分再吸収の疾患を治療する際の使用の可能性について注目されている。例えば、バソプレシンV2受容体アンタゴニストの水利尿効果は、うっ血性心不全の意識のあるイヌにおける末梢抵抗の低下につながる(H. Ogawa, J. Med. Chem. 1996, 39, 3547(非特許文献1))。特定の病的状態において、血漿バソプレシンレベルは所与のモル浸透圧濃度に対して不適切に上昇し、それにより腎臓の水分貯留および低ナトリウム血症を引き起こすことがある。浮腫状態(肝硬変、うっ血性心不全、腎不全)に関連する低ナトリウム血症は、抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)を伴うこともある。SIADH易感染性ラットのバソプレシンV-2アンタゴニストによる治療は、それらの既存の低ナトリウム血症を治した(G. Fujisawa, Kidney Int. 1993, 44 (1), 19(非特許文献2))。
【0004】
前記のことを考慮して、バソプレシン受容体媒介性疾患、特にV2受容体媒介性疾患を治療するための、およびそのような障害に関連する状態を治療するための、新しい治療薬がいまだに必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】H. Ogawa, J. Med. Chem. 1996, 39, 3547
【非特許文献2】G. Fujisawa, Kidney Int. 1993, 44 (1), 19
【発明の概要】
【0006】
発明の詳細な説明
したがって、本発明の目的は、式(I)を有することで特徴付けられるバソプレシン受容体アンタゴニストの新規のクラス、ならびにその薬学的に許容される鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物、多形および塩を提供することである。

式中、
nは、0、1、2または3であり;
R1は、水素;ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルケニル;またはヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されているC1-6アルキルであり;
R2は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルまたはハロC1-6アルコキシから選択される1つまたは複数の置換基で置換されているC1-6アルキルであるか;あるいは
R1およびR2は、それらが結合している原子と一緒になって、オキソまたはヒドロキシルから選択される置換基で置換されている6員複素環を形成し;
R3は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R6は独立してフェニルまたはC1-6アルキルから選択される。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下は本明細書および特許請求の範囲において用いられる用語の定義である。本明細書における基または用語に対して提供する最初の定義は、特に記載がないかぎり、個々に、または別の基の一部として、本明細書および特許請求の範囲の全体にわたってその基または用語に適用される。
【0008】
置換基に関して本明細書において用いられ、特に記載がないかぎり、「アルキル」なる用語は完全飽和炭化水素に関し;これに関してC1-4アルキルは、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、1-メチルエチル、2-メチルプロピル、2,2-ジメチルエチルなどの、1個から4個の炭素原子を有する直鎖および分枝鎖の飽和炭化水素基を定義し;C1-6アルキルは、例えば、ペンチル、2-メチルブチル、ヘキシル、2-メチルペンチルなどの、C1-4アルキルおよび5個または6個の炭素原子を有するそのより高級同族体を含むことになる。
【0009】
置換基に関して本明細書において用いられ、特に記載がないかぎり、「アルケニル」なる用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖、環式、または分枝鎖の炭化水素基を意味する。アルケニル基の例には、エテニル、E-プロペニルおよびZ-プロペニル、イソプロペニル、E-ブテニルおよびZ-ブテニル、E-イソブテニルおよびZ-イソブテニル、E-ペンテニルおよびZ-ペンテニル、E-ヘキセニルおよびZ-ヘキセニル、E,E-ヘキサジエニル、E,Z-ヘキサジエニル、Z,E-ヘキサジエニル、Z,Z-ヘキサジエニルなどが含まれる。置換されていてもよいアルケニルとは、式(I)の化合物について上記で定義したものから選択される、1つまたは複数の置換基(例えば、1つ、2つ、3つまたは4つ)を有してもよいアルケニルを意味する。
【0010】
置換基に関して本明細書において用いられ、特に記載がないかぎり、「ハロ」または「ハロゲン」なる用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群より選択される任意の原子を意味する。
【0011】
置換基に関して本明細書において用いられ、特に記載がないかぎり、「複素環」なる用語は、環の少なくとも1つが少なくとも1つのヘテロ原子(O、SまたはN)を有する、置換および無置換非芳香族の3〜7員の単環式基、7〜11員の二環式基、および10〜15員の三環式基の総称である。ヘテロ原子を含むヘテロシクロ基の各環は、各環のヘテロ原子の総数が4個またはそれ未満であるとの条件で、およびさらに環が少なくとも1個の炭素原子を含むとの条件で、1個もしくは2個の酸素原子もしくは硫黄原子および/または1〜4個の窒素原子を含むことができる。窒素原子および硫黄原子は酸化されていてもよく、かつ窒素原子は四級化されていてもよい。例示的な複素環には、ピロリル、ピロリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、チオラニル、ジオキソラニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアゾリニル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピラニル、ピリダジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジオキサニル、ジチアニル、トリチアニル、トリアジニル、ベンゾチエニル、イソベンゾチエニル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、インドリル、イソインドリル、インドリニル、プリニル、1H-ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チアゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、およびイミダゾ[2,1-b]チアゾリルが含まれる。ヘテロシクロ基は、任意の使用可能な窒素原子または炭素原子において結合されていてもよい。したがって、例えば、複素環がイミダゾリルである場合、それは1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリルおよび5-イミダゾリルであり得;チアゾリルである場合、それは2-チアゾリル、4-チアゾリルおよび5-チアゾリルであり得;トリアゾリルである場合、それは1,2,4-トリアゾル-1イル、1,2,4-トリアゾル-3-イル、1,2,4-トリアゾル-5-イル、1,3,4-トリアゾル-1-イルおよび1,3,4-トリアゾル-2-イルであり得;ベンズチアゾリルである場合、それは2-ベンズチアゾリル、4-ベンズチアゾリル、5-ベンズチアゾリル、6-ベンズチアゾリルおよび7-ベンズチアゾリルであり得る。ヘテロシクロ基は定義において言及した複素環の可能な異性体型すべてを含むことになり、例えば、ピロリルは2H-ピロリルも含み;トリアゾリルは1,2,4-トリアゾリルおよび1,3,4-トリアゾリルを含み;オキサジアゾリルは1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリルおよび1,3,4-オキサジアゾリルを含み;チアジアゾリルは1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリルおよび1,3,4-チアジアゾリルを含み;ピラニルは2H-ピラニルおよび4H-ピラニルを含む。
【0012】
加えて、特に記載がないかぎり、本明細書に示す構造は1つまたは複数の同位体濃縮原子の存在でのみ異なる化合物も含むことになる。例えば、水素の重水素もしくはトリチウムによる置換、または炭素の13C-濃縮炭素もしくは14C-濃縮炭素による置換以外は、本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイ法における分析のツールまたはプローブとして有用である。
【0013】
本明細書に示す構造、特にベンゾジアゼピン部分は、例えば、実施例B.2.4に示すものなどの、部分不飽和部分を含むことが理解されると考えられる。したがって、本発明の目的は、ベンゾジアゼピンが以下の基で表される式(I)の化合物を提供することである。

式中、n、R1、R2およびR3は本発明の異なる態様において定義するとおりであり、かつ

は、存在してもよい二重結合を意味する。
【0014】
本発明の化合物は、治療のために遊離型で、または適切な場合には、薬学的に許容される塩、複数の塩、またはその混合物として存在し得ることも理解されると考えられる。
【0015】
本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」なる用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに、ヒトおよび下等動物の組織と接触して用いるのに適しており、かつ妥当な損益比に見合う化合物の塩を意味する。薬学的に許容される塩は当技術分野において周知である。例えば、S. M. BergeらはJ. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に薬学的に許容される塩を詳細に記載しており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。本発明の化合物の薬学的に許容される塩には、適した無機および有機の酸由来および塩基由来のものが含まれる。これらの塩は化合物の最終の単離および精製中にインサイチューで調製することができる。酸付加塩は、(1)精製した遊離塩基型の化合物を適した有機酸または無機酸と反応させ、(2)そのようにして生成した塩を単離することにより調製することができる。
【0016】
薬学的に許容される、非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸と、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と生成した、あるいはイオン交換などの当技術分野において用いられる他の方法を用いて生成した、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれる。適切な塩基由来の塩には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1-4アルキル)4塩が含まれる。本発明は、本明細書において開示する化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定している。水または油に溶解性または分散性の生成物をそのような四級化により得てもよい。
【0017】
塩基付加塩は、(1)精製した酸型の化合物を適した有機塩基または無機塩基と反応させ、(2)そのようにして生成した塩を単離することにより調製することができる。塩基付加塩には、アルカリまたはアルカリ土類金属塩が含まれる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩には、適切な場合には、ハロゲン、水酸化物、カルボン酸、硫酸、リン酸、硝酸、低級アルキルスルホン酸およびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを用いて生成した、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが含まれる。他の酸および塩基を、それ自体は薬学的に許容されないとしても、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸または塩基付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において用いてもよい。
【0018】
薬学的に許容される塩の例には、N-オキシドなどの内部塩も含まれる。
【0019】
本発明による化合物が少なくとも1つの不斉中心を有する場合、それらはしたがって鏡像異性体として存在してもよい。式IaおよびIbに示すとおり、本発明の関心対象の化合物は、示した様式で、ベンゾジアゼピン環上の立体中心で特定の絶対配置を有する。

【0020】
化合物がこれに加えて不斉中心を有する場合、それらはジアステレオマーとして存在し得る。すべてのそのような異性体およびその混合物は本発明の範囲内に含まれることが理解されるべきである。さらに、化合物の結晶型のいくつかは多形として存在することもあり、したがって本発明に含まれることが意図される。
【0021】
加えて、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩のいくつか(四級誘導体およびN-オキシドを含む)は、水(すなわち水和物)または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成してもよく、そのような溶媒和物も、本発明の化合物またはその塩が本明細書において言及される場合はいつでも、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0022】
本発明は、その範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般に、そのようなプロドラッグは、必要とされる化合物にインビボで容易に変換可能な化合物の機能的誘導体である。したがって、本発明の治療法において、「投与すること」なる用語は、具体的に開示する化合物、または具体的に開示しないことがあるが、対象への投与後にインビボで指定の化合物に変換される化合物による、記載する様々な障害の治療を含むことになる。適したプロドラッグ誘導体を選択し、調製するための通常の手順は、例えば、''Design of Prodrugs'', ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
【0023】
本発明の化合物を調製するための任意の方法の最中に、関係する任意の分子上の感受性基または反応性基を保護することが必要であることおよび/または望ましいこともある。これは、Protective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W. McOmie, Plenum Press, 1973;およびT.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載のものなどの、通常の保護基によって達成し得る。保護基は都合のよい後続段階で当技術分野において公知の方法を用いて除去してもよい。
【0024】
本明細書において用いられる「対象」なる用語は、治療、観察または実験の対象であった動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。
【0025】
本明細書において用いられる「治療上有効な量」なる用語は、研究者、獣医、医師または他の臨床家により求められており、治療中の疾患または障害の症状の軽減を含む、組織系、動物またはヒトにおける生物学的反応または医薬的反応を誘発する、活性化合物または薬学的物質の量を意味する。
【0026】
一つの態様において、本発明は、R1が水素またはヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されているC1-6アルキル;特に水素またはヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、もしくはC1-6アルコキシカルボニルで置換されているC1-6アルキル;より特に水素またはヒドロキシカルボニル、もしくはC1-6アルコキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルである、式(I)の化合物を提供する。
【0027】
一つの態様において、本発明は、R2が水素またはヒドロキシルで置換されているC1-6アルキルである、式(I)の化合物を提供する。
【0028】
別の態様において、本発明は、R1およびR2が、それらが結合している原子と一緒になって、ピペリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから選択される6員複素環;特にモルホリニルを形成し、該6員複素環がオキソまたはヒドロキシルで置換されている、式(I)の化合物を提供する。本発明の特定の態様において、該6員複素環は、該モルホリニルまたは該チオモルホリニルの6位において置換されている。
【0029】
別の態様において、本発明は、nが1であり、かつR3が水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnが1であり、かつR3が水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnが1であり、かつR3が水素であり;さらにより特にnが0である、式(I)の化合物を提供する。
【0030】
別の態様において、本発明は、R4が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4がヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4がハロゲンであり;さらにより特にR4がクロロである、式(I)の化合物を提供する。以下の実施例から明らかであるとおり、本発明の特定の態様において、該R4置換基は分子のベンゾジアゼピン部分に対してオルト位にある。
【0031】
別の態様において、本発明は、R5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5が水素である、式(I)の化合物を提供する。特定の態様において、該R5置換基は前記フェニルアミドの4位または5位にある。
【0032】
別の態様において、本発明は、R6がフェニルである、式(I)の化合物を提供する。
【0033】
当業者には明白であり、以下に例示する化合物から明らかであるとおり、式(I)の化合物の前記の態様はいずれも、単独で考えるべきではない。本発明のさらなる態様は、前記の態様のいずれか1つの任意の組み合わせを含む。
【0034】
したがって、本発明のさらなる態様において、以下の制限条件のうちの1つまたは複数が適用される、式(I)の化合物を提供する。
・R1は、水素またはヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されているC1-6アルキル;特に水素またはヒドロキシル、ヒドロキシカルボニル、もしくはC1-6アルコキシカルボニルで置換されているC1-6アルキル;より特に水素またはヒドロキシカルボニル、もしくはC1-6アルコキシカルボニルで置換されているC1-6アルキルである。
・R2は、水素またはヒドロキシルで置換されているC1-6アルキルである。
・R1およびR2は、それらが結合している原子と一緒になって、ピペリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから選択される6員複素環;特にモルホリニルを形成し、該6員複素環はオキソまたはヒドロキシルで置換されている。本発明の特定の態様において、該6員複素環は該モルホリニルまたは該チオモルホリニルの6位で置換されている。
・nは1であり、かつR3は水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnは1であり、かつR3は水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnは1であり、かつR3は水素であり;さらにより特にnは0である。
・R4は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4はヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4はハロゲンであり;さらにより特にR4はクロロである。
・R5は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5は水素である。特定の態様において、該R5置換基は前記フェニルアミドの4位または5位にある。
・R6はフェニルである。
【0035】
本発明は、式(Ic)の化合物、ならびにその薬学的に許容される鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物、多形および塩をさらに提供する。

式中、
nは1、2または3であり;
ZはOまたはSであり;特にZはOであり;
R3は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R6は独立してフェニルまたはC1-6アルキルから選択され;
R7はオキソまたはヒドロキシルである。
【0036】
別の態様において、本発明は、nが1であり、かつR3が水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnが1であり、かつR3が水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnが1であり、かつR3が水素であり;さらにより特にnが0である、式(Ic)の化合物を提供する。
【0037】
別の態様において、本発明は、R4が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4がヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4がハロゲンであり;さらにより特にR4がクロロである、式(Ic)の化合物を提供する。以下の実施例から明らかであるとおり、本発明の特定の態様において、該R4置換基は分子のベンゾジアゼピン部分に対してオルト位にある。
【0038】
別の態様において、本発明は、R5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5が水素である、式(Ic)の化合物を提供する。特定の態様において、該R5置換基は前記フェニルアミドの4位または5位にある。
【0039】
別の態様において、本発明は、R6がフェニルである、式(Ic)の化合物を提供する。
【0040】
当業者には明白であり、以下に例示する化合物から明らかであるとおり、式(Ic)の化合物の前記の態様はいずれも、単独で考えるべきではない。本発明のさらなる態様は、前記の態様のいずれか1つの任意の組み合わせを含む。
【0041】
したがって、本発明のさらなる態様において、以下の制限条件のうちの1つまたは複数が適用される、式(Ic)の化合物を提供する。
・nは1であり、かつR3は水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnは1であり、かつR3は水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnは1であり、かつR3は水素であり;さらにより特にnは0である。
・R4は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4はヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4はハロゲンであり;さらにより特にR4はクロロである。以下の実施例から明らかであるとおり、本発明の特定の態様において、該R4置換基は分子のベンゾジアゼピン部分に対してオルト位にある。
・R5は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5は水素である。特定の態様において、該R5置換基は前記フェニルアミドの4または5位にある。
・R6はフェニルである。
【0042】
本発明は、バソプレシン受容体アンタゴニストとしての使用に適した、式(I)または(Ic)の化合物を含む組成物をさらに提供する。
【0043】
本発明は、薬剤として使用するための、式(I)もしくは(Ic)の化合物、または式(I)もしくは(Ic)の化合物を含む組成物をさらに提供する。
【0044】
本発明は、バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療において使用するための、式(I)もしくは(Ic)の化合物、または式(I)もしくは(Ic)の化合物を含む組成物をさらに提供し、特に、該バソプレシンV2受容体媒介性障害は、高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全、心不全、冠血管攣縮、心虚血、肝硬変、腎血管攣縮、腎不全、糖尿病性腎症、腎嚢胞、脳水腫および虚血、卒中、血栓症、ならびに水分貯留からなる群より選択される。
【0045】
好ましくは、V2受容体媒介性障害は高血圧、うっ血性心不全、心不全、および低ナトリウム血症から選択される。
【0046】
本発明は、バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療のための医薬の製造における、式(I)もしくは(Ic)の化合物の使用、または式(I)もしくは(Ic)の化合物を含む組成物の使用をさらに提供する。
【0047】
本発明は、バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療法であって、それを必要としている対象に、式(I)もしくは(Ic)の化合物または式(I)もしくは(Ic)の化合物を含む組成物の治療上有効な量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0048】
調製法
本発明の化合物は、一般には、以下の一般スキーム、および続く調製の実施例に示すものなどの方法によって調製してもよい。
【0049】
スキーム1

スキーム1は、本発明の化合物の一般合成スキームを提供する。このスキームは、それにより本発明の中間体および標的化合物を調製し得る例示であるため、本発明は、示した化学反応および条件によって制限されると解釈されるべきではない。スキームにおいて用いる様々な出発原料の調製は、十分に当業者の技術の範囲内である。
【0050】
スキーム1において、式のR3-置換イサト酸無水物(市販されているか、または合成文献に報告されたプロトコールにより調製される)を本発明の化合物のR2置換基を含む適切なアミノ酸(1.)と、塩基性条件下で加熱しながら縮合してもよい。続いて持続的に加熱しながらL-酒石酸を加えることにより、R2置換ベンゾジアゼピン-ジオンを得る。当業者であれば、アミノ酸(1.)の立体化学に依存して、反対の立体化学を有するスキーム1および本発明の化合物を合成し得ることを理解すると考えられる。
【0051】
このようにして得たR2置換ベンゾジアゼピン-ジオンを、無水エーテル溶媒中、水素化アルミニウムリチウムなどの水素化物供給源存在下で還元し、続いて適切なアミノ保護基(PG)で保護してもよい。この段階で、使用可能なアミノ基を示した化合物でアシル化してもよい。続いてアミノ保護基(PG)を通常の方法により除去して、本明細書において定義するR1置換基で官能基付与されることがまだ必要な化合物を得る。例えば、R1をスルホニル化、アシル化、または還元的アミノ化により導入してもよい。
【0052】
治療的適用
さらなる態様において、本発明は、薬剤として使用するための;特に、例えば、高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全、心不全、冠血管攣縮、心虚血、肝硬変、腎血管攣縮、腎不全、糖尿病性腎症、腎嚢胞、脳水腫および虚血、卒中、血栓症、ならびに水分貯留などの、バソプレシン受容体媒介性障害の治療において使用するための、式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物を提供する。
【0053】
以下の実施例に示すとおり、本発明の化合物はバソプレシンV2受容体アンタゴニストとして特に有用であり、したがってバソプレシンV2受容体媒介性障害の治療において有用である。したがって、本発明の目的は、高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全、心不全、冠血管攣縮、心虚血、肝硬変、腎血管攣縮、腎不全、糖尿病性腎症、腎嚢胞、脳水腫および虚血、卒中、血栓症、ならびに水分貯留を含むが、それらに限定されるわけではない、バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療、改善または防止のための医薬の製造における、本明細書において定義する化合物の使用を提供する。
【0054】
本発明による化合物の有用性を考慮して、バソプレシンV2受容体媒介性障害を患っている動物、例えば、ヒトを含む哺乳動物の治療法であって、本発明による化合物の有効量を投与する段階を含む方法が提供される。
【0055】
前記方法は、本発明による化合物の有効量の、ヒトを含む動物への、全身または局所投与を含む。
【0056】
本明細書において活性成分とも呼ぶ、本発明による式(I)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物の有効量は、治療上の効果を達成するのに必要とされ、当然のことながら、特定の化合物、投与経路、受容者の年齢および状態、ならびに治療中の特定の障害または疾患により変動することになる。当業者であれば、過度の実験を行うことなく、対象に投与する本発明の化合物の適切な用量を容易に決定することができる。典型的には、医師は、用いる特定の化合物の活性、化合物の代謝的安定性および作用期間、年齢、体重、全身の健康、食餌、投与の様式および時間、排出の速度、薬物併用、特定の状態の重症度、ならびに個々の実施中の治療を含む、様々な因子に基づき、個々の対象に最も適した実際の用量を決定することになる。適した用量を決定するために、医師または獣医師は、本発明のバソプレシン受容体アンタゴニストの用量を所望の治療効果を達成するために必要とされるよりも低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで用量を徐々に上げることができる。これは、当業者の技術の範囲内であると考えられ、最適な用量を決定するために、特定の剤に対する既存の文献を再調査することもできる。適した1日用量は、体重1kgあたり0.01mgから300mg、特に体重1kgあたり0,5mgから5,0mg、より特に体重1kgあたり1,0mgから3,0mgの範囲となる。治療法は、1日に1〜4回の摂取のレジメンにより活性成分を投与する段階を含んでいてもよい。
【0057】
本発明の薬学的組成物の1日用量は、成人1人あたり1日に約0.1から20,000mgまでの広い範囲で変動し得るが、用量は好ましくは成人1人あたり1日に約1から約1,000mgまでの範囲である。経口投与のために、組成物は好ましくは症状調節のための活性成分0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250および500ミリグラムの用量を含む錠剤の形で治療する対象に提供する。薬物の有効量は通常は約0.01mg/kg/日から約300mg/kg/日までの用量レベルで供給する。特に、範囲は、1日に体重1kgあたり約0.5から約5.0mgまで;より特に、1日に体重1kgあたり約1.0から約3.0mgまでである。化合物は1日に1回から4回のレジメンにより投与してもよい。
【0058】
投与する最適用量は当業者であれば容易に決定することができ、用いる特定の化合物、投与様式、調製物の強さ、および疾患状態の進行によって変動することになる。加えて、対象の年齢、体重、食餌および投与の時間を含む、治療中の特定の対象に関連する因子によって、適切な治療レベルに用量を調節する必要が生じることになる。
【0059】
本発明の別の局面として、バソプレシン受容体アンタゴニストとバソプレシン受容体媒介性障害の治療において用いる別の剤との組み合わせが想定され、特にバソプレシン受容体アンタゴニストと利尿薬との組み合わせが想定される。
【0060】
利尿薬は高血圧の治療およびうっ血性心不全などによる浮腫の管理において一般に用いられる。そのような治療においておおいに懸念されるのは、尿量の増大による、特にナトリウムおよびカリウムを含む、イオンまたは電解質の損失である。本発明のバソプレシン受容体アンタゴニストと利尿薬との組み合わせは、尿流量を増やすだけでなく、利尿薬投与中の血中の電解質またはイオンを保持する改善された方法も提供する。
【0061】
本発明の組み合わせレジメンのために有用な利尿薬には、チアジドおよび関連するスルホンアミド利尿薬ベンドロフルメチアジド、ベンズチアジド、クロロチアジド、クロルタリドン、シクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、インダパミド、メチルクロチアジド、メトラゾン、ポリチアジド、キネタゾンおよびトリクロメチアジドがある。同様に有用なものは、アミロリド、スピロノラクトンおよびトリアムテレンなどのカリウム保持性利尿薬である。本発明による使用のためにより好ましい利尿薬には、ブメタニド、エタクリン酸、エタクリン酸ナトリウム、およびフロセミド(Lasix(登録商標)の商標で販売されている、Hoechst Marion Roussel)などのループ利尿薬がある。本明細書における利尿薬は当技術分野において公知であり、当技術分野において公知の様式および濃度で投与することができる。
【0062】
活性成分を単独で投与することは可能であるが、活性成分を組成物として提示することが好ましい。
【0063】
薬学的組成物
上記において定義するバソプレシン受容体アンタゴニストを含む組成物であって、それを必要としている対象のバソプレシン受容体媒介性疾患を治療および/または防止する際に使用するのに適した組成物を提供することも、本発明の目的である。
【0064】
本発明の薬学的組成物は、選択した生成物形態を製剤化または製造するための、任意の公知の方法またはそれ以外の有効な方法によって調製することができる。薬学的組成物を製剤化する方法は、Marcel Dekker, Incにより出版された、Pharmaceutical Dosage Forms: Tablets, Second Edition, Revised and Expanded. Volumes 1-3, edited by Lieberman et al;Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Volumes 1-2, edited by Avis et al;およびPharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems. Volumes 1-2, edited by Lieberman et alなどの多くの出版物に記載されている。本発明の薬学的組成物を、経口投与、局所投与および非経口投与のための液体剤形で調製する際に、任意の通常の薬学的媒質または賦形剤を用いてもよい。例えば、バソプレシン受容体調節剤を一般的な賦形剤、希釈剤、または担体と共に製剤化し、経口錠剤、カプセル剤、噴霧剤、洗口剤、ロゼンジ、処理基体(例えば、本発明の組成物で処理した、経口用または局所用の綿棒、パッド、または使い捨ての非消化性基体);経口液剤(例えば、懸濁剤、液剤、乳剤)、散剤、または任意の他の適した剤形に形成することができる。
【0065】
適した薬学的に許容される担体は当技術分野において周知である。これらの薬学的に許容される担体のいくつかの説明は、American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Society of Great Britainにより出版されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipientsにおいて見いだし得る。適した賦形剤、希釈剤、および担体の非限定な例には、デンプン、糖類、マンニトール、およびケイ酸誘導体などの充填剤および増量剤;カルボキシメチルセルロースおよび他のセルロース誘導体、アルギン酸塩、ゼラチン、およびポリビニルピロリドンなどの結合剤;グリセロールなどの加湿剤;炭酸カルシウムおよび炭酸水素ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解遅延物質;四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;アセチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールなどの界面活性剤;カオリンおよびベントナイトなどの吸着担体;プロピレングリコールおよびエチルアルコールなどの担体、ならびにタルク、ステアリン酸カルシウムおよびマグネシウムと、固形ポリエチルグリコールなどの滑沢剤が含まれる。
【0066】
本発明による化合物は、簡便な経口投与のためのエリキシル剤もしくは液剤として、または非経口投与、例えば、筋肉内経路、皮下経路もしくは静脈内経路による投与に適切な液剤として製剤化することもできる。加えて、バソプレシン受容体阻害剤は、活性成分を、好ましくは有効性をさらに増強するために延長した期間または長期間にわたり、腸管の特定の部分においてのみまたは好ましくは腸管の特定の部分において放出する剤形を含む、徐放性剤形または長期放出剤形としての製剤にも適している。そのような剤形のコーティング、外皮、および保護マトリックスを、例えば、薬学の分野において周知のポリマー基質またはワックスから作製してもよい。
【0067】
これらの製剤の調製法は、本発明の組成物を担体とおよび任意で1つまたは複数の補助成分と混合する段階を含む。一般に、製剤は剤を液体担体、もしくは微粒子固形担体、または両方と均質かつ密接に混合し、次いで必要があれば生成物を成形することにより調製する。
【0068】
本明細書の薬学的組成物は、用量単位、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、注射剤、茶さじ1杯などにつき、前記の有効用量を送達するために必要な活性成分の量を含むことになる。そのような方法において例示する式(I)の化合物の治療上有効な量は、約0.01mg/kg/日から約300mg/kg/日までである。特に、範囲は1日に体重1kgあたり約0.5から約5.0mgまで;より特に、1日に体重1kgあたり約1.0から約3.0mgまでである。化合物は1日に1回から4回のレジメンにより投与してもよい。好ましくは、本明細書において定義する任意の化合物を用いた、本発明に記載の血管抵抗障害の治療法のために、剤形は約0.01mgから100mgまで、より好ましくは約5から50mgまでの化合物を含む薬学的に許容される担体を含むことになり、選択した投与様式に適した任意の形に構成してもよい。しかし、用量は、患者の要求、治療中の状態の重症度および使用している化合物に応じて変動し得る。毎日の投与または間欠投与(post-periodic dosing)のいずれを用いてもよい。
【0069】
経口投与に適した製剤は、それぞれ活性成分としてそのあらかじめ決められた量の本組成物を含む、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ(着香基剤、通常はショ糖およびアカシアまたはトラガカントを用いて)、散剤、顆粒剤の形、または水性もしくは非水性液中の液剤もしくは懸濁剤、または水中油もしくは油中水液体乳剤、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤、または香錠(ゼラチンおよびグリセリン、またはショ糖およびアカシアなどの不活性基剤を用いて)であってもよい。本発明の組成物は、ボーラス、舐剤、またはペーストとして投与してもよい。
【0070】
経口投与のための固形剤形(カプセル剤、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤など)において、本組成物を、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸2カルシウムなどの1つもしくは複数の薬学的に許容される担体、および/または(1)デンプン、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの保水剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカのデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、アセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸収剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチルグリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびその混合物などの滑沢剤;ならびに(10)カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、着色剤のいずれかと混合し、組成物は緩衝化剤を含んでいてもよい。類似の型の固形組成物を、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、軟ゼラチンカプセル中および硬ゼラチンカプセル中の充填剤として用いてもよい。
【0071】
錠剤は、任意で1つまたは複数の補助成分と共に、圧縮または成形によって作製してもよい。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製してもよい。成形錠は、適した機械で、不活性液体希釈剤で加湿した本組成物の混合物を成形することにより作製してもよい。錠剤、ならびに糖衣錠、カプセル剤、丸剤および顆粒剤などの他の固形剤形は、任意で刻みを入れてもよく、または腸溶コーティングおよび薬学的製剤化の分野において周知の他のコーティングなどの、コーティングおよびシェルと共に調製してもよい。
【0072】
経口投与のための液体剤形には、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。本組成物に加えて、液体剤形は、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などの、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤を含んでいてもよい。
【0073】
懸濁剤は、本組成物に加えて、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム(aluminum metahydroxide)、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにその混合物などの、懸濁化剤を含んでいてもよい。
【0074】
経鼻投与のために、本発明による化合物を生理的に許容される薬学的担体に溶解し、液剤または噴霧剤として投与してもよい。適した薬学的担体の例は水、食塩水、および水性アルコール溶液である。薬学的担体は保存剤、緩衝剤、またはそのような剤形に適した他の材料を含んでいてもよい。
【0075】
吸入療法のために、本発明による化合物を、フッ素化炭化水素噴射剤を含む水性アルコール溶液中に組み込み、当技術分野において公知の適した投与装置に包装することができる。
【0076】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、本組成物を1つもしくは複数の薬学的に許容される無菌等張水性もしくは非水性の溶液、分散液、懸濁液もしくは乳液、または使用直前に無菌注射用溶液もしくは分散液に再構成し得る、無菌粉末との組み合わせで含み、これらは抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を目的の受容者の血液と等張にする溶質、または懸濁化もしくは増粘剤を含んでいてもよい。
【0077】
本発明の薬学的組成物において用いることができる、適した水性担体および非水性担体の例には、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコーなど)、およびその適した混合物、オリーブ油などの植物油、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが含まれる。適切な流動性を、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用により、分散液の場合、必要とされる粒径の維持により、および界面活性剤の使用により、維持してもよい。
【0078】
本発明は、以下の実験の詳細を参照することによってより良く理解されると考えられるが、当業者であれば、これらは添付の特許請求の範囲により完全に記載する本発明の例示にすぎないことを容易に理解すると考えられる。加えて、本出願の全体を通じて、様々な出版物を引用している。これらの出版物の開示は、本発明が属する分野の最先端技術をより完全に記載するために、参照により本明細書に組み入れられる。
【実施例】
【0079】
A. インビトロアッセイ法
A.1. インビトロ組換えバソプレシン受容体結合アッセイ法
AVP受容体結合のインビトロ阻害を、形質移入したCHO細胞の膜由来の組換えヒトV1aまたはV2受容体調製物を用いて評価した。参照により本明細書に組み入れられる、Cotte N., et al., (1998) J. Biol. Chem., 273; 29462-29468およびTahara A., et al., (1998) Brit. J. Pharmacol., 125; 1463-1470に記載の結合アッセイ手順と同様に、該CHO形質移入細胞の原形質膜調製物から[3H]-アルギニンバソプレシンを移動させる化合物の能力について、化合物を評価した。
【0080】
A.1.1. ヒトバソプレシンV2受容体結合アッセイ法
細胞膜ホモジネート(タンパク質16μg)を、50mMトリス-HCl(pH7.4)、5mM MgCl2および0.1%BSAを含む緩衝液中、試験化合物の非存在下または存在下、0.3nM [3H]AVPと共に、22℃で120分間インキュベートする。非特異的結合を1μM AVP存在下で判定する。インキュベーション後、96穴セルハーベスター(Unifilter、Packard)を用い、試料を0.3%PEIにあらかじめ浸漬したガラス繊維フィルター(GF/B、Packard)を通して急速に減圧ろ過し、氷冷した50mMトリス-HClで3回洗浄する。フィルターを乾燥し、次いでシンチレーション計数器(Topcount、Packard)でシンチレーションカクテル(Microscint 0、Packard)を用いて放射能を計数する。
【0081】
A.1.2. ヒトバソプレシンV1a受容体結合アッセイ法
細胞膜ホモジネート(タンパク質40μg)を、50mMトリス-HCl(pH7.4)、5mM MgCl2および0.1%BSAを含む緩衝液中、試験化合物の非存在下または存在下、0.3nM [3H]AVPと共に、22℃で60分間インキュベートする。非特異的結合を1μM AVP存在下で判定する。インキュベーション後、96穴セルハーベスター(Unifilter、Packard)を用い、試料を0.3%PEIにあらかじめ浸漬したガラス繊維フィルター(GF/B、Packard)を通して急速に減圧ろ過し、氷冷した50mMトリス-HClで3回洗浄する。フィルターを乾燥し、次いでシンチレーション計数器(Topcount、Packard)でシンチレーションカクテル(Microscint 0、Packard)を用いて放射能を計数する。

【0082】
標準の基準化合物はAVP(V2受容体結合アッセイ法)または[d(CH2)51,Tyr(Me)2]-AVP(V1a受容体結合アッセイ法)で、これを各実験においていくつかの濃度で試験し、IC50を算出するための競合曲線を得る。
【0083】
A.2. ヒトバソプレシン受容体におけるAVP誘導効果のインビトロ阻害
A.2.1. ヒトV2受容体
参照により本明細書に組み入れられるCotte N., et al., (1998) J. Biol. Chem., 273; 29462-29468に記載のcAMPアッセイ手順と同様に、cAMPの蓄積を、ヒトV2受容体を発現する形質移入CHO細胞(上記)において測定した。
【0084】
A.2.1.1. ヒトV2アゴニスト効果
細胞を、20mM HEPES 20(pH7.4)、0.01%BSAおよび500μM IBMXを補足したHBSS緩衝液(Invitrogen)中に懸濁し、次いでマイクロプレートに3×103細胞/ウェルの密度で分配し、試験化合物または基準アゴニストの非存在下(対照)または存在下、22℃で30分間インキュベートする。刺激対照測定のために、別のアッセイウェルにAVPを最終濃度1nMで加える。インキュベーション後、細胞を溶解し、蛍光アクセプター(D2標識cAMP)および蛍光ドナー(ユーロピウムクリプタートで標識した抗cAMP抗体)を加える。22℃で60分後、マイクロプレート読み取り器(Rubystar、BMG)を用いて、蛍光移動をλex=337nmならびにλem=620および665nmで測定する。cAMP濃度を、665nmで測定したシグナルを620nmで測定したシグナルで割ることにより求める(比)。結果を1nM AVPに対する対照反応のパーセントで表す。
【0085】
A.2.1.2. ヒトV2アンタゴニスト効果
細胞を、20mM HEPES(pH7.4)、0.01%および500μM IBMXを補足したHBSS緩衝液(Invitrogen)中に懸濁し、次いでマイクロプレートに3×103細胞/ウェルの密度で分配し、試験化合物または基準アンタゴニストの非存在下(対照)または存在下、22℃で5分間プレインキュベートする。その後、基準アゴニストAVPを最終濃度0.03nMで加える。基礎対照測定のために、別のアッセイウェルにはAVPを加えない。22℃で30分間のインキュベーション後、細胞を溶解し、蛍光アクセプター(D2標識cAMP)および蛍光ドナー(ユーロピウムクリプタートで標識した抗cAMP抗体)を加える。22℃で60分後、マイクロプレート読み取り器(Rubystar、BMG)を用いて、蛍光移動をλex=337nmならびにλem=620および665nmで測定する。cAMP濃度を、665nmで測定したシグナルを620nmで測定したシグナルで割ることにより求める(比)。結果を0.03nM AVPに対する対照反応のパーセントで表す。
【0086】
標準の基準アンタゴニストは[アダマンタンアセチル1,O-Et-D-Tyr2,Val4,アミノブチリル6]-AVPで、これを各実験においていくつかの濃度で試験し、IC50を算出するための濃度-反応曲線を生成する。
【0087】
A.2.2. ヒトV1a受容体
参照により本明細書に組み入れられるTahara A., et al., (1998) Brit. J. Pharmacol., 125; 1463-1470に記載の細胞内Ca2+濃度の測定と同様に、細胞内カルシウム動員を、ヒトV1a受容体のいずれかを発現するよう形質移入したCHO細胞(上記)において測定した。
【0088】
A.2.2.1. ヒトV1aアゴニスト効果
細胞を、0.1%ウシ胎仔血清を補足したDMEM緩衝液(Invitrogen)中に懸濁し、次いでマイクロプレートに4.5×104細胞/ウェルの密度で分配する。次いで、20mM Hepes(Invitrogen)(pH7.4)を補足したHBSS緩衝液(Invitrogen)中のプロベニシド(probenicid)と混合した蛍光プローブ(Calcium4、Molecular Device)を各ウェルに加え、37℃で60分間と、次いで22℃で15分間、細胞と平衡化させる。その後、アッセイプレートをマイクロプレート読み取り器(CellLux、PerkinElmer)内に置き、これを試験化合物、基準アゴニストまたはHBSS緩衝液(基礎対照)の添加のため、およびサイトゾルの遊離Ca2+イオン濃度に比例して変動する蛍光強度の変化の測定のために用いる。刺激対照測定のために、別のアッセイウェルにAVPを1μMで加える。
【0089】
結果を1μM AVPに対する対照反応のパーセントで表す。
【0090】
A.2.2.2. ヒトV1aアンタゴニスト効果
細胞を、0.1%ウシ胎仔血清を補足したDMEM緩衝液(Invitrogen)中に懸濁し、次いでマイクロプレートに4.5×104細胞/ウェルの密度で分配する。次いで、20mM Hepes(Invitrogen)(pH7.4)を補足したHBSS緩衝液(Invitrogen)中のプロベニシドと混合した蛍光プローブ(Calcium4、Molecular Device)を各ウェルに加え、37℃で60分間と、次いで22℃で15分間、細胞と平衡化させる。その後、アッセイプレートをマイクロプレート読み取り器(CellLux、PerkinElmer)内に置き、これを試験化合物またはHBSS緩衝液と、次いで5分後に10nM AVPまたはHBSS緩衝液(対照)の添加のため、およびサイトゾルの遊離Ca2+イオン濃度に比例して変動する蛍光強度の変化の測定のために用いる。
【0091】
標準の基準アンタゴニストは[d(CH2)51,Tyr(Me)2,Arg8]-AVPで、これを各実験においていくつかの濃度で試験し、IC50を算出するための濃度-反応曲線を生成する。
【0092】
A.2.3. アゴニスト効果の結果

結果をそれぞれ1μMおよび1nMの試験濃度で対照アゴニスト反応(AVP)の%で表す。
【0093】
これらの結果から明らかであるとおり、本発明の化合物は前記のアッセイ法においてアゴニスト反応を示さなかった。
【0094】
A.2.4. アンタゴニスト効果の結果

拮抗作用の結果をIC50値(nM)で表す。
【0095】
B. 化合物合成
本発明の化合物を当業者には周知の方法により、以下に示す合成および実験手順に記載のとおりに調製してもよい。
【0096】
B.1. 中間体の合成
B.1.1. (S)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-カルボン酸tert-ブチル(2)の調製

3-(S)-ヒドロキシメチル-2,3,4,5-テトラヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン(1)(CAS N°886225-46-3)(95g、0.378mol、1.0当量)、Boc2O(248g、0.946mol、2.5当量)およびEt3N(131ml、1.135mol、3.0当量)を水(500ml)およびEtOAc(500ml)の1:1混合物に加えた。混合物を加熱還流した(終夜)。混合物を室温まで冷ました後、層を分離した。有機層を25%NH3(水溶液)(2×500ml)で洗浄した。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮して、(S)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-カルボン酸tert-ブチル(2)(収率:98.7g(ベージュ色固体)、94%)を得た。
【0097】
分析データ

【0098】
B.1.2. 4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロ安息香酸(7)の調製

2-フェニル安息香酸(4)(CAS N°947-84-2)(30g、151mmol、1.0当量)をトルエン(200ml)に懸濁した。懸濁液をT<5℃まで冷却した後、DMF(0.2ml)を加えた。混合物をT<5℃で10分間撹拌した後、(COCl)2(14.3ml、166mmol、1.1当量)を滴加した。滴加中にガスが発生した。混合物を室温で撹拌した(終夜)。塩化ビフェニル-2-カルボニル(5)(収率:35g(黄色油状物)、定量的)を含む粗製の混合物を濃縮し、次の段階でそのまま用いた。
【0099】
4-アミノ-2-クロロ安息香酸(6)(CAS N°2457-76-3)(21.6g、0.126mol、1.0当量)をトルエン(100ml)に懸濁した。混合物にピリジン(57ml、0.694mol、5.5当量)を加え、混合物が溶液になるまで撹拌した。溶液をT<5℃まで冷却し(懸濁液)、TMS-Cl(27.8ml、0.353mol、2.8当量)を加えた。これを5℃よりも低い温度で30分間撹拌した。続いて、トルエン(50ml)中の前記の濃縮物(5)(25gの2-フェニル安息香酸から27.9g)を滴加した。懸濁液は桃/赤色に変化した。混合物を5℃よりも低い温度で2.5時間撹拌した。濃HCl(50ml)、脱塩水(90ml)およびエタノール(90ml)の混合物を加え、温度は35℃に上昇した(濃稠懸濁液)。懸濁液を20分間撹拌し、次いで85℃で30分間加熱した。混合物を室温まで冷ました。固体をろ過し、水/エタノール(1:1、100ml)、水(100ml)および温TBME(2×100ml)で洗浄した。固体を乾燥器(50℃)内で乾燥して、4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロ安息香酸(7)(収率:31g(白色固体)、69%)を得た。
【0100】
分析データ

【0101】
B.1.3. (S)-1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-カルボン酸tert-ブチル(13)の調製

化合物7(31g、89.8mmol、1.0当量)を酢酸n-ブチル(200ml)に懸濁した。懸濁液に塩化チオニル(SOCl2)(16.3ml、224.5mmol、2.5当量)を加え、混合物を64℃で1.5時間加熱した。混合物を濃縮し、無水アセトン(50ml)に溶解した。これを無水アセトン(1L)中の化合物2(45g、161.7mmol、1.8当量)の冷却溶液に滴加した。アイス/ウォーターバスを取り除き、混合物を室温で撹拌した(終夜)。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカ4.5L、ヘプタン/EtOAc=2/3→2/5)で精製して、(S)-1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-カルボン酸tert-ブチル(13)(収率:48g(白色固体)、89%)を得た。
【0102】
分析データ

【0103】
B.1.4. (S)-N-(3-クロロ-4-(3-(ヒドロキシメチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-1-カルボニル)フェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(14)の調製

化合物13(48g、78.4mmol、1.0当量)をジオキサン(1L)におおかた溶解した。混合物にジオキサン中の4N HCl(196ml、784mmol、10.0当量)を加え、室温で撹拌(週末の間)した。水(800ml)を混合物に加え、pHを飽和NaHCO3で7〜8に調節した。水性混合物をEtOAc(3×750ml)で抽出した。合わせた有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮して、粗製の(S)-N-(3-クロロ-4-(3-(ヒドロキシメチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-1-カルボニル)フェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(14)(収率:40.7g(白色泡状物)、定量的)を得た。M001(2.5g)の試料を自動カラムクロマトグラフィ(EtOAc 100%からEtOAc/MeOH=4/1)で精製した。14を含む分画を合わせて蒸発させ、MeOHに溶解し、水に加えた。乳状溶液を部分濃縮し、続いて終夜凍結乾燥し、白色固体M001(収率:1.5g、60%)を得た。
【0104】
分析データ

【0105】
B.1.5. (S)-2-(1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-イル)酢酸tert-ブチル(15)の調製

化合物14(15g、29.3mmol、1.0当量)、Et3N(8.1ml、43.9mmol、2,0当量)およびブロモ酢酸tert-ブチル(5.0ml、30.7mmol、1.05当量)をアセトニトリル(75ml)に加えた。混合物を室温で撹拌した(終夜)。水(150ml)を混合物に加え、これをEtOAc(150ml)で抽出した。有機層を水(150ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカ1L、ヘプタン/EtOAc=2/3)で精製して、(S)-2-(1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-イル)酢酸tert-ブチル(15)(収率:7g(白色泡状物)、38%)を得た。
【0106】
分析データ

【0107】
B.2 最終化合物の合成
B.2.1. (S)-N-(3-クロロ-4-(3-オキソ-3,4,6,11,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]オキサジノ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-11-カルボニル)フェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(16)の調製

化合物15(7g、11.18mmol、1.0当量)をジオキサン(150ml)に溶解した。混合物にジオキサン中の4N HCl(28ml、111.8mmol、10.0当量)を加え、混合物を1時間加熱還流した。水(100mlおよびEtOAc(150ml)を混合物に加え、層の間にいくらかの白色固体が見られた。飽和NaHCO3(30ml)を加えた後、層の間にまだいくらかの白色固体が見られた。層を分離し、固体を回収し、減圧下(50℃)で乾燥して、化合物16(470mg、純度99%)を得た。有機層を乾燥(Na2SO4)し、濃縮した。残渣をDCM中で撹拌し、ろ過した。ろ液を濃縮して、化合物16(2.6g、黄色泡状物、純度96%)を得た。これをDCM中で結晶化して、化合物16(1.7g、純度100%)を得た(全収率:2.37g(白色固体)、38%)。
【0108】
分析データ

【0109】
B.2.2. (S)-2-(1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-イル)酢酸(17)の調製

化合物16(1.86g、3.16mmol、1.0当量)をTHF/水(2:1=30ml)に懸濁した。懸濁液にLiOH一水和物(0.27g、6.32mmol、2.0当量)を加え(澄明溶液に変わった)、室温で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、ゲル様物質を水/MeOH/DCMの混合物に溶解した。混合物を2N HClでpH7〜8に中和した。層を分離し、水層を濃縮した。固体を乾燥器(50℃)内で乾燥した。固体をTHF/水に溶解し、濃縮して、(S)-2-(1-(4-ビフェニル-2-イルカルボキサミド-2-クロロベンゾイル)-3-(ヒドロキシメチル)-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-4(5H)-イル)酢酸(17)(収率:1g(オフホワイト(ガラス様)固体)、57%)を得た。
【0110】
分析データ

【0111】
B.2.3. (S)-N-(3-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3,4,6,11,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]オキサジノ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-11-カルボニル)フェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(19)の調製

化合物14(9.6g、18.75mmol、1.0当量)をアセトニトリル(200ml)に溶解した。溶液にK2CO3(10.4g、75mmol、4.0当量)および臭化アリル(1.7ml、19.69mmol、1.05当量)を加え、混合物を1時間加熱還流した。混合物を室温まで冷ました(終夜)。混合物を濃縮し、残渣を水(100ml)に懸濁した。水層をDCM(2×100ml)で抽出した。有機層を水(100ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。(S)-N-(4-(4-アリル-3-(ヒドロキシメチル)-2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン-1-カルボニル)-3-クロロフェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(18)を含むろ液を濃縮し、次の段階でそのまま用いた。
【0112】

粗製の化合物18(9.4g、17.0mmol、1.0当量)をジオキサン/THF(2:1、150ml)に溶解した。溶液に、水中4%OsO4(5.15ml、0.85mmol、0.05当量)を加え、30分間撹拌した。次いで、水(150ml)中のNaIO4(10.9g、51.1mmol、3.0当量)の溶液および水(50ml)中のNaOAc(3.5g、25.5mmol、1.5当量)の溶液を加え、懸濁液が生じた。混合物を室温で撹拌した(終夜)。懸濁液をろ過し、THFの量を蒸発させた。残りの混合物をDCM(300ml)で抽出した。有機層を水(300ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)した。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(シリカ600ml、DCM/EtOAc=1/1→100%EtOAc)で精製した。粗製の混合物をEtOAc/ヘプタン(EtOAcに溶解した後、ヘプタンを添加)中で結晶化した。固体をMeOHに溶解し、水に加え、生成した沈澱をろ過した。固体を乾燥器(50℃)内で乾燥して、(S)-N-(3-クロロ-4-(3-ヒドロキシ-3,4,6,11,12,12a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[e][1,4]オキサジノ[4,3-a][1,4]ジアゼピン-11-カルボニル)フェニル)ビフェニル-2-カルボキサミド(19)(収率:2g(白色固体)、21%)を得た。
【0113】
分析データ

【0114】
B.2.4. N-[3-クロロ-4-({13-オキサ-1,9-ジアザトリシクロ[9.4.0.0{3,8}]ペンタデカ-1,3,5,7-テトラエン-9-イル}カルボニル)フェニル]-2-フェニルベンズアミド(21)の調製

約100mgの化合物20(CAS N°285571-39-9)を最終化合物21に、''Igor Mezine et al., Assessment of Drug Interaction Potential, Genetic Engineering & Biotechnology News, Ocober 15, 2009''に記載のプロトコールを用いた生体模倣酸化反応を用いて変換した。簡単に言うと、出発化合物20を、酸素供与体として過酸化物を用いる、活性化剤、すなわちクメンペルオキシドの存在下での、合成ポルフィリン-遷移金属錯体、すなわち塩化Fe(III)メゾ-テトラ(ペンタフルオロフェニル)ポルフィリンを用いた酸化により、化合物21を合成した。最終化合物を、固相抽出および調製用HPLCの組み合わせを用いて単離および精製し、約2.2mgの化合物21を得た。(HPLC-UVによる純度>99%。
【0115】
分析データ

【0116】
上記のスキームに示すとおり、H-H COSY(相関分光分析)スピン-スピンカップリングが観察された:カップリング5.17(s、1H)、シグナル約7.5ppm。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、ならびにその薬学的に許容される鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物、多形および塩:

式中、
nは0、1、2または3であり;
R1は、水素;ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい、C1-6アルケニル;またはヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルもしくはハロC1-6アルコキシから選択される1つもしくは複数の置換基で置換されている、C1-6アルキルであり;
R2は、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、アミノ、シアノ、C1-6アルコキシ、ヒドロキシカルボニル、C1-6アルコキシカルボニルまたはハロC1-6アルコキシから選択される1つまたは複数の置換基で置換されている、C1-6アルキルであるか;あるいは
R1およびR2は、それらが結合している原子と一緒になって、オキソまたはヒドロキシルから選択される置換基で置換されている6員複素環を形成し;
R3は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R6は独立してフェニルまたはC1-6アルキルから選択される。
【請求項2】
R1およびR2が、それらが結合している原子と一緒になって6員複素環を形成し、かつ該6員複素環が、ピペリジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1であり、かつR3が水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnが1であり、かつR3が水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnが1であり、かつR3が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R4が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4がヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4がハロゲンである、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R5が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5が水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R6がフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
式(Ic)の化合物、ならびにその薬学的に許容される鏡像異性体、ラセミ体、ジアステレオマー、溶媒和物、水和物、多形および塩:

式中、
nは0、1、2または3であり;
ZはOまたはSであり;特にZはOであり;
R3は独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R4およびR5はそれぞれ独立して、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、C1-6アルキル、またはハロC1-6アルコキシから選択され;
R6は独立してフェニルまたはC1-6アルキルから選択され;
R7はオキソまたはヒドロキシルである。
【請求項8】
nが1であり、かつR3が水素、ハロゲン、またはC1-6アルキルから選択され;特にnが1であり、かつR3が水素、ハロゲンまたはメチルから選択され;より特にnが1であり、かつR3が水素である、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R4が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR4がヒドロキシル、ハロゲン、メチルまたはメトキシから選択され;より特にR4がハロゲンである、請求項7記載の化合物。
【請求項10】
R5が、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-6アルコキシ、またはC1-6アルキルから選択され;特にR5が水素、ヒドロキシル、ハロゲン、またはメトキシから選択され;より特にR5が水素である、請求項7記載の化合物。
【請求項11】
R6がフェニルである、請求項7記載の化合物。
【請求項12】
バソプレシン受容体アンタゴニストとしての使用に適した、請求項1から11のいずれか一項記載の化合物を含む組成物。
【請求項13】
薬剤として使用するための、請求項1から11のいずれか一項記載の化合物、請求項12記載の組成物。
【請求項14】
特にバソプレシンV2受容体媒介性障害が、高血圧、低ナトリウム血症、うっ血性心不全、心不全、冠血管攣縮、心虚血、肝硬変、腎血管攣縮、腎不全、糖尿病性腎症、腎嚢胞、脳水腫および虚血、卒中、血栓症、ならびに水分貯留からなる群より選択される、該バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療において使用するための、請求項1から11のいずれか一項記載の化合物、請求項12記載の組成物。
【請求項15】
バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療のための医薬の製造における、請求項1から11のいずれか一項記載の化合物の使用、請求項12記載の組成物の使用。
【請求項16】
バソプレシンV2受容体媒介性障害の治療法であって、それを必要としている対象に、請求項1から11のいずれか一項記載の化合物、請求項12記載の組成物の治療上有効な量を投与する段階を含む、方法。

【公表番号】特表2013−505914(P2013−505914A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530257(P2012−530257)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064044
【国際公開番号】WO2011/036204
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(512075442)シャイア−モベティス エヌ.ブイ. (1)
【Fターム(参考)】