バックアップシステム、主要アカウンティングサーバ装置、およびバックアップ方法
【課題】外部からアカウンティングされる画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができるバックアップシステム等を提供する。
【解決手段】バックアップシステム100では、主要アカウンティングサーバ3は、軽量バックアップサーバ4・5を識別するための代替サーバ情報を保持し、画像形成装置1との接続が確立する際に該代替サーバ情報を画像形成装置1に通知する。また、ステータス情報を軽量バックアップサーバ4・5に転送する。
【解決手段】バックアップシステム100では、主要アカウンティングサーバ3は、軽量バックアップサーバ4・5を識別するための代替サーバ情報を保持し、画像形成装置1との接続が確立する際に該代替サーバ情報を画像形成装置1に通知する。また、ステータス情報を軽量バックアップサーバ4・5に転送する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびこれを含むシステムに関するものである。特に、プリンタ、コピー、スキャナ、FAXといった機能を複数搭載した多機能画像形成装置(MFP)と、当該画像形成装置上で動作可能なアプリケーションを提供するアプリケーションサーバがネットワークを介して接続され、当該画像処理装置の持つ機能に新たな機能を追加することが可能なシスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置が、ネットワーク接続された外部のアプリケーションサーバと通信する構成を成す場合、アプリケーションサーバの故障およびネットワーク上の問題発生によって、アプリケーションの持つ機能が利用できなくなることがある。このことは、画像形成装置の主要機能をも停止させることにつながり、リソースの稼働率が低下してしまう。そのため、アプリケーションサーバの機能を代行して運転させるためのバックアップ手段が必要とされてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、インターネット環境におけるサーバ不調時のバックアップに必要な専用装置を減らし、既存のサーバで代替運転を行うことで、運用コストを抑えることのできるバックアップシステムが示されている。また、例えば特許文献2には、サーバの異常時に動作履歴を画像形成装置の内部に蓄積し、サーバの回復時にこれら情報を再送信するシステムが示されている。
【0004】
ここで、画像形成装置の運用に際して、そのユーザを特定し、特定のユーザに特定の機能のみを利用可能にする機能制限機能や、あらかじめ設定した上限を超えてコピーおよび印刷を実行できなくする枚数制限機能、利用状況に応じた課金機能、さらにサプライ品の自動発注機能など、幅広いアカウンティング処理が必要とされている。近年、これらのアカウンティング処理を、画像形成装置に組み込まれた機能ではなく、上記したような外部のアプリケーションサーバ上の一種のアプリケーション機能として処理させることで、カスタマイズされたアカウンティング処理を提供できるシステムが提案されている。特に、アカウンティング機能は、本質的に、画像形成装置の動作全般に係わる機能であり、処理の機能が停止することは画像形成装置全体の不稼働につながる。
【特許文献1】特開2003−22258号公報(2003年1月24日公開)
【特許文献2】特開2005−33460号公報(2005年2月3日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部のアプリケーションサーバを利用したアカウンティング機能に関して、コスト面や機能面で妥当な機能バックアップの手法は、確立されていない。
【0006】
特許文献1では、サーバ自身が自己の異常を監視するとともに、異常発生時に補完システムに起動指示を行っている。しかしながら、複数の画像形成装置からコピーやプリンタ実行時の動作データを受信して、幅広いアカウティング処理を行うサーバは、高負荷になったり、所定の画像形成装置とサーバ間のネットワーク上のエラーになったり、自己が電源停止したりする場合がある。これらはサーバ自身によって異常を監視できるものではない。また、異常発生時は、サーバ自身が他のサーバに代替要求を行えない場合がある。
【0007】
また、特許文献2で示されている動作履歴の一時記録および再送信のみでは、機能制限や枚数制限等、画像形成装置に対する適切な制御を実行できない。
【0008】
そこで本発明は、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置が外部のアカウンティング機能を有するサーバを利用してアカウンティング処理を行うよう構成されている際に、常に適切なアカウンティング制御を実行することができるバックアップシステム等を提供することにある。また、既存のネットワーク端末機器のいくつかを用いて、アカウンティング機能の分散バックアップを実現し、さらに画像形成装置が適切な代替アカウンティングサーバと直接通信できるバックアップシステム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るバックアップシステムは、画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続しており、上記主要アカウンティングサーバ装置は、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段とを備え、上記画像形成装置は、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、上記軽量バックアップサーバは、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備える、ことを特徴としている。
【0010】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバが、自身の代替となる軽量バックアップサーバ装置を識別する代替サーバ情報を保持し、画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を画像形成装置に通知する。また、ステータス情報を軽量バックアップサーバに転送する。画像形成装置は、主要アカウンティングサーバから代替サーバ情報を得ているので、その情報を基に、主要アカウンティングサーバに不具合が発生した際に、軽量バックアップサーバ装置に動作データを送信することができる。軽量バックアップサーバ装置は、予め必要なステータス情報が転送されているので、主要アカウンティングサーバに不具合が発生した際に、画像形成装置のアカウンティング制御の代替処理が可能となる。主要アカウンティングサーバ装置から、軽量バックアップサーバ装置に、画像形成装置の制限機能を代替するための情報であるステータス情報を送信してあるので、単なるログの集計のみでなく、出力枚数制限・トナー消費量制限、および機能制限など、画像形成装置のアクセスを制御する処理であっても、軽量バックアップサーバ装置での代替処理が可能となる。このように、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【0011】
また、上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置の設定項目として代替サーバ情報を一元的に管理できる。通常、複数の画像形成装置が同一の主要アカウンティングサーバ装置にアカウント処理を任せているので、画像形成装置設定で軽量バックアップサーバ装置を設定する場合、画像形成装置毎に複数の軽量バックアップサーバ装置を設定する必要があり、管理が大変である。しかしながら、上記構成によると、主要アカウンティングサーバが管理しているので、画像形成装置毎での設定を省くことができる。なお、画像形成装置は、例えば、主要アカウンティングサーバ装置への接続を行った際に、主要アカウンティングサーバ装置から代替サーバ情報をダウンロードすることで、代替サーバ情報を取得することができる。このように、主要アカウンティングサーバ装置の設定項目として一元的に代替サーバ情報を管理できるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
さらに、上記構成によると、画像形成装置に接続した既存のクライアントパーソナルコンピュータに既存のソフトウェアを追加することで、軽量バックアップサーバ装置として機能させるのみで、アカウンティング機能のバックアップが実現できる。このように、上記システムは、主要アカウンティングサーバは1つのみで構わなく、他の装置(軽量バックアップサーバ装置)は通常画像形成装置に対してプリントジョブやスキャンジョブを利用するクライアントとして稼働していて構わない。このため、軽量バックアップサーバ装置としての専用サーバを用いる必要がなく、システムとしてのコストが低減できる。つまり、画像形成装置の稼働率を確保するために必要となるコストを抑えられる。
【0013】
また、本発明に係るバックアップシステムは、上記構成に加え、上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送し、上記代替サーバ情報では、上記各軽量バックアップサーバを識別する情報と上記画像形成装置が送信する情報の属性とが対応付けられており、上記送信先決定手段は、軽量バックアップサーバ装置を決定する際に、上記代替サーバ情報を基に、上記画像形成装置が送信する上記動作データの属性で送信先を振り分けて決定してもよい。
【0014】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、複数の軽量バックアップサーバ装置のうち、画像形成装置が送信する動作データの属性により決定された装置に、上記動作データが送信される。このように、属性により動作データの送信先を分散させることで、複数の軽量バックアップサーバ装置に分散させて、アカウンティング機能のバックアップを実現することができる。
【0015】
ここで、バックアップシステムにおいて、各軽量バックアップサーバ装置が、主要アカウンティングサーバ装置が通常に稼動しているときには他の作業を行っているクライアントPC(パーソナルコンピュータ)である場合、高負荷状態にすることは適切ではない。しかし、本願の上記構成によると、このよう各軽量バックアップサーバ装置がクライアントPCであったとしても、アカウンティングに関する処理は各軽量バックアップサーバ装置に分散されているので、各軽量バックアップサーバ装置は、代替処理時に高負荷状態に陥ることなく、処理を行うことができる。よって、常に円滑な処理が可能なシステムを提供することができる。
【0016】
また、上記属性は、上記画像形成装置で実行されたジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類、に基づいたものであってもよい。
【0017】
上記構成によると、ジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類に基づき、代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置を割り当てることができる。
【0018】
ここで、軽量バックアップサーバ装置の割り当て方法には、画像形成装置1本体別で分ける方法も考えられるが、ステータス転送手段での転送時にネットワークを流れる情報の量を考慮すると、軽量バックアップサーバ装置で実行される代替処理に必要とする情報量をできるだけ少なくすることが要求される。ユーザ別に代替となる軽量バックアップサーバ装置を割り当てる方法は効率的なタスク分担方法の一つである。また、ジョブタイプ(スキャン・コピー・プリンタ等)やジョブモード(詳細なジョブ種別)の内容によって、代替処理を担当する軽量バックアップサーバ装置を指定する方法も効率的な分担を実現することができる。
【0019】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、上記軽量バックアップサーバでの代替処理では、上記優先度の高いタスクのみを処理するアカウンティング機能縮退手段を備えていていもよい。
【0020】
上記構成によると、代替処理時には、優先度の高いタスクのみが処理される。アカウンティング機能の各タスクのうち、比較的重要でない処理に関しては、主要アカウンティングサーバ装置の故障時に必ずしもバックアップを採る必要がない。このため、上記構成により、優先度の高いタスクを処理し、優先度の低いタスクは処理を実行しないということができるので、軽量バックアップサーバの負荷を抑えることができる。
【0021】
ここで、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記画像形成装置は、一定時間の経過後あるいは一定回数のジョブの実行後、上記主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認メッセージを送信し、上記主要アカウンティングサーバ装置から肯定応答を受信することで、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止してもよい。
【0022】
上記構成によると、一定時間あるいは一定回数のジョブの実行後に、主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認を行う。よって、実際に主要アカウンティングサーバ装置復旧確認を定期的に行うことで、確実に、無駄なく、復旧確認を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記軽量バックアップサーバ装置は、所定の条件を満たすと、上記主要アカウンティングサーバに対して復旧確認メッセージを送信し、当該主要アカウンティングサーバからの肯定応答を受信することで代替処理終了状態となり、上記画像形成装置に当該軽量バックアップサーバ装置の代替終了状態を通知し、上記画像形成装置は、上記代替終了状態が通知されると、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止してもよい。
【0024】
上記構成によると、画像形成装置は、軽量バックアップサーバ装置に動作データを送信し、それに対して代替終了状態の通知を受けることで、その後は、主要アカウンティングサーバ装置に動作データを送信するように、送信先を切り替えることができる。この動作は主要アカウンティングサーバ装置の不具合発生時とほぼ同様であり、送信先決定手段が行うことができる。よって、画像形成装置の実装アルゴリズムを簡潔にできる。
【0025】
ここで、上記所定の条件とは、一定時間の経過、上記軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理の一定回数の終了、上記軽量バックアップサーバ装置の負荷の一定値超え、および軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求の受け付け、の少なくとも一つであってもよい。
【0026】
上記構成によると、一定時間が経過した場合、軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理が一定回数終了した場合、軽量バックアップサーバ装置の負荷が一定値を超えた場合、軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求がありそれを受け付けた場合、の何れか場合に、軽量バックアップサーバ装置の利用が停止となる。
【0027】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、上記代替サーバ情報では、複数の上記軽量バックアップサーバ装置の識別情報と代替処理の優先順位情報とが対応付けられており、
上記送信先決定手段は、上記優先順位情報に基づいて、上記動作データを送信可能な軽量バックアップサーバが見つかるまで検索を繰り返して送信先を決定し、上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送してもよい。
【0028】
上記構成によると、送信先決定手段が、優先順位情報に基づいて、動作データを送信可能な軽量バックアップサーバ装置の検索を繰り返して送信先を決定する。そして、ステータス転送手段は、代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、ステータス情報を転送しておく。よって、優先順位に基づいたバックアップが可能となり、バックアップの連鎖を構成させることができる。主要アカウンティングサーバ装置を代替する軽量バックアップサーバ装置が故障した場合には、優先順位情報に基づき、当該軽量バックアップサーバ装置の次に決定されるが代替処理を行うことができ、そして、主要バックアップサーバが復旧すると、主要バックアップサーバでの処理に戻すことが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るバックアップ方法は、上記課題を解決するために、画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続したバックアップシステムでのバックアップ方法であり、上記主要アカウンティングサーバ装置にて、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持し、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知し、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送し、上記画像形成装置にて、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定し、上記軽量バックアップサーバにて、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う、ことを特徴としている。
【0030】
上記方法によると、上記バックアップシステムと同様に、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るバックアップシステムは、上記のように、上記主要アカウンティングサーバ装置は、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段とを備え、上記画像形成装置は、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、上記軽量バックアップサーバは、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備えている。
【0032】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置から、軽量バックアップサーバ装置に、画像形成装置の制限機能を代替するための情報であるステータス情報を送信してあるので、単なるログの集計のみでなく、出力枚数制限・トナー消費量制限、および機能制限など、画像形成装置のアクセスを制御する処理であっても、軽量バックアップサーバ装置での代替処理が可能となる。このように、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一実施形態について図1〜図11に基づいて説明すると以下の通りである。
【0034】
(システムの構成)
本実施形態に係るバックアップシステムは、画像形成装置と外部装置が有するアプリケーションとを連携させて動作させるものである。図1は、本実施形態に係るバックアップシステムの概略を示す図である。図1に示すように、バックアップシステム100は、画像形成装置1と、主要アカウンティングサーバ3と、軽量バックアップサーバ4・5と、これらを通信可能に接続する通信ネットワーク2とを備えている。なお、図2では、2つの画像形成装置1が接続されているが、1つでもよいし、3つ以上が接続されていてもよい。また、軽量バックアップサーバについても、いくつ接続されていてもよい。
【0035】
画像形成装置1は、複写、スキャン(画像読取)、印刷(プリント)、画像データの伝送(通信)、画像変換などの複数の画像形成機能を有する装置であり、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ機、スキャナ、および、画像伝送、変換および画像処理を行う演算装置が一体に形成された装置(MFP:マルチファンクションプリンタ)である。なお、画像形成装置1としては、これらの全ての機能を備えている必要はなく、スキャン機能および通信機能を備えているものや、プリント機能および通信機能を備えているものであってもよい。
【0036】
主要アカウンティングサーバ(PAS)3は、画像形成装置1で発生する各種イベント受け取り、アカウンティング機能を提供する。PASの主な機能としては、出力枚数制限,機能制限,トナー使用量制限,消耗品残量警告,動作ログの要約などが挙げられる。PAS3は、種々のアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションに応じた処理を行うとともに、通信ネットワーク2を介して画像形成装置1と通信可能である。
【0037】
軽量バックアップサーバ(LABS)4・5は、PAS3の全部または一部の機能を実装し、アカウンティング機能のバックアップを提供するサーバとして機能する装置である。ただし、通常時は別の処理を主に行うクライアントパーソナルコンピュータとして利用される。PAS3が故障した際、PAS3に代わって通信ネットワーク2上の画像形成装置1で発生する各種イベントを受け取るよう、Wwbサーバを稼働させて待機している。
【0038】
LABS4・5は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0039】
通信ネットワーク2は、ローカル・エリア・ネットワークや、インターネット経由の仮想ネットワークであってもよい。通信ネットワーク2には、インターネット、電話線、シリアルケーブル、または、他の有線回線または無線回線、といった通信回線が利用できる。
【0040】
(主要アカウンティングサーバ装置の構成)
本実施形態の主要アカウンティングサーバ3の内部構成について、図2のブロック図を参照に説明する。図2に示されるように、主要アカウンティングサーバ3は、外部アプリケーション部31、Webサーバ部35、OS部36を備えている。
【0041】
外部アプリケーション部31は、画像形成装置1の制御を行うためのロジックおよびデータを保持するブロックである。外部アプリケーション部31は、アプリケーション共通のバックアップロジックを提供するバックアップフレームワーク部34を備えている。
【0042】
バックアップフレームワーク部34は、代替サーバ情報格納部341、代替サーバ通知部342、ステータス転送部343、PIAL部344、ACL部345、リミッタ部346、カウンタ部347を含んでいる。
【0043】
代替サーバ情報格納部341は、PAS3の代替処理を行うLABSを識別するための代替サーバ情報を保持している。この代替サーバ情報については、後段で詳細に説明する。代替サーバ通知部342は、代替サーバ情報を画像形成装置1に通知行うブロックである。ステータス転送部343は、画像形成装置1のアカウンティング処理に必要なステータス情報を画像形成装置1から受信すると、LABS4・5に対して転送するブロックである。
【0044】
PIAL(主要アクティビティログ)部344は、画像形成装置1から受信する動作データをログとして保存するブロックである。
【0045】
ACL部345は、画像形成装置1から受信したアクセスコントロールリストを格納するブロックである。リミッタ部346は、画像形成装置1から受信したリミット値を保存するブロックである。
【0046】
ここで、アクセスコントロールリストは、特定ユーザのみにシステム設定の参照/変更を可能としたり、プリンタ機能のみを利用可能としたりするために、管理者が設定する情報である。リミット値はユーザ/ジョブタイプ毎の実行回数に制限を設けるために利用される値である。リミット値の実装には、(1)カウンタ値の上限値として実装する、(2)残り実行可能回数として実装する、の2タイプがあり、前者の場合はジョブのカウンタ値がこの値に達すると、ジョブの実行を中止する。後者の場合はジョブ実行毎にリミット値を減算していき、リミット値が0になると、ジョブの実行を中止する。なお、後者の場合はカウンタを利用せず、ジョブ実行毎に、減算されたリミット値をアカウンティングサーバに通知することになる。
【0047】
カウンタ部347は、PAS3が、画像形成装置1からアカウンティング処理が必要な動作データを受信した回数を、カウントするブロックである。
【0048】
以上のバックアップフレームワーク部34での処理についても後段で詳細に説明する。
【0049】
外部アプリケーション部31は、また、例えば、画像形成装置1の操作パネルに表示するユーザインターフェース画面のひな形データである操作パネル表示データ32や、画像形成装置1の画面を更新するなど、画像形成装置に関する制御を行うための制御ロジックである画像形成装置制御プログラム33等を備えている。
【0050】
Webサーバ部35は、HTTP(hypertext transfer protocol)(またはHTTPS)やSOAP(simple object access protocol)を用いた通信を行うブロックである。Webサーバ部35は、画像形成装置1からHTTPリクエストを受信するとともに、当該HTTPリクエストに対応するHTTPレスポンスを送信する。Webサーバ部35は、例えば、Windows(登録商標)でのIISや、Apache Web Server等が挙げられる。
【0051】
OS部36は、タスク管理、ファイル管理等、コンピュータシステムを管理し、基本的なユーザ操作環境を提供するオペレーティングシステム(OS)に従った処理を行うブロックである。OSとしては、例えばWindows(登録商標)やLinuxが挙げられる。
【0052】
LABS4・5も、基本的にはPAS3と同様の図2に示す構成を有している。LABS4・5では、バックアップフレームワーク部34には、代替サーバ情報格納部341、代替サーバ通知部342、ステータス転送部343はなく、PIAL部344の代わりに、代替処理についてのログを保存するTIAL(一時的な動作ログ)部が設けられている。また、PAS3から転送されてくる画像形成装置1のステータス情報を格納している。そして、バックアップフレームワーク部34にて、PAS3の代替処理が行われる。なお、各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、LABS4・5のバックアップフレームワーク部34には、この優先度に基づきPAS3の代替処理を行うアカウンティング機能縮退部(アカウンティング機能縮退手段)が設けられていてもよい。アカウンティング機能縮退部は、優先度の高いタスクを処理し、優先度の低いタスクは処理を実行しないようになっており、つまり、アカウンティング機能の縮退を行う。よって、LABS4・5の負荷を抑えることができる。ここで、アカウンティング機能の縮退とは、主に低優先度アカウンティング・タスクの放棄・抑制を行うことである。アカウンティング・タスクには、例えば、各種動作情報のロギング、コンビニ等での利用における自動サプライ品発注、機能制限などがある。ロギングの場合は、その内容の重要度に応じたフラグが付いているものとし、この値に基づいて記録するかどうかを決める。サプライ品発注では、単に動作を取りやめる。機能制限・枚数制限の場合は、ACLやリミット値への参照やカウンタの更新を抑えるために、一律利用禁止にするなどの処理を行う。もちろん、これらの処理は単なる例示であり、アカウンティング機能の縮退は、これらに限定はされない。
【0053】
(画像形成装置の構成)
次に、画像形成装置1の内部構成について、図3のブロック図を参照しながら説明する。図3に示されるように、画像形成装置1は、ユーザインターフェース層11と、アプリケーション層12、サービス層13、ドライバ層14、OS部15、UIサービス層16、Webサービス層17と、OSAアプリ層18と、OpenI/F層19とを備えている。
【0054】
ユーザインターフェース層11は、ユーザが画像形成装置1を操作するためのインターフェースである。ユーザインターフェース層11は、画像形成装置1に固有の操作画面(固有操作画面)を記憶しており、当該固有操作画面を画像形成装置1の表示部に表示させる。ユーザは、固有操作画面に対して、所望の機能の実行を入力することで、画像形成装置1を制御することができる。
【0055】
なお、ユーザインターフェース層11の操作パネル部11aは、画像形成装置1の操作画面にて入力された情報をアプリケーション層12に伝達する処理を行う。また、ユーザインターフェース層11のWebページ部11bは、Webページにて入力された情報をアプリケーション層12に伝達する処理を行う。
【0056】
アプリケーション層12は、画像形成装置1が有する各種の機能を制御するアプリケーションに従って動作する。ここで、各種の機能とは、スキャン機能、印刷(プリント)機能、画像処理機能、ネットワーク機能などの要素機能を適宜組み合わせて実行することにより実現される機能である。要素機能を適宜組み合わせて実行することにより実現される機能とは、例えば、スキャン機能と画像処理機能と印刷機能とを組み合わせて実行される複写(コピー)機能や、スキャン機能とネットワーク機能とを組み合わせて実行されるイメージ送信機能などがある。なお、画像形成装置1が有する各種の機能は画像形成装置の機種毎に異なるため、このアプリケーション層12の構成も画像形成装置の機種毎に異なる。
【0057】
本実施形態のアプリケーション層12は、複写(コピー)機能の実行/制御を行うコピーアプリ部12a、プリント機能の実行/制御を行うプリントアプリ部12b、スキャンした画像データを外部の装置に送信する機能(イメージ送信機能)の実行/制御を行うイメージ送信アプリ部12c、ドキュメントファイリング機能の実行/制御を行うドキュメントファイリングアプリ部12d、ユーザ認証機能の実行/制御を行うユーザ認証アプリ部12e、FAX受信機能の実行/制御を行うFAX受信アプリ部12f、TWAIN機能の実行/制御を行うTWAINアプリ12g部などを含む。
【0058】
サービス層13は、アプリケーション層12とドライバ層14との間に位置する層であり、アプリケーション層12からの指示に従って、画像形成装置1が有する各種の要素機能を制御するための各種サービス部から構成される。
【0059】
本実施形態のサービス層13は、スキャン動作の制御を行うスキャンサービス部13a、プリント(印刷)の制御を行い、プリント機能やコピー機能にて利用されるプリントサービス部13b、ジョブ毎の情報管理を制御するジョブログサービス部13c、イメージ作成等の画像形成を制御する画処理サービス部13d、ドキュメントファイリング等、イメージを管理するための制御を行うファイルサービス部13e、リモートからWebページ経由でアクセスするための制御を行うWWWサーバサービス部13f、LANや電話回線等を用いて、通信する動作の制御を行うネットワークサービス部13gなどが含まれる。
【0060】
ドライバ層14は、サービス層13の下位に位置する層であり、画像形成装置1のハードウェアを制御するためのソフトウェアに従った動作を行う。
【0061】
なお、本実施形態のドライバ層14には、画像形成に関するASICドライバ部14a、USB通信を行うためのUSBドライバ部14b、シリアル通信を行うためのシリアル通信ドライバ部14c、LAN通信を行うためのNICドライバ分14d、表示部の表示制御を行うためのLCDドライバ14e、電源管理を行うためのPowerドライバ14f部などがある。
【0062】
OS部15は、ドライバ層14の下位に位置する層であり、オペレーティングシステムを管理するものである。
【0063】
なお、上記ユーザインターフェース層11、アプリケーション層12、サービス層13、ドライバ層14およびOS部15は、画像形成装置1に固有のソフトウェアに従った動作を行うものであり、画像形成装置1ごとに異なる。これらの層を備えることで、画像形成装置1は、通信ネットワークを介することなくユーザからの指示を直接受け付け、その指示に従った動作を行うことができる。
【0064】
ただし、上記のような画像形成装置1に固有の層のみを有している場合、新たなアプリケーションを用いた処理を伴う制御を行うためには、画像形成装置1の内部に新たなアプリケーション等を組み込む必要があり、手間がかかる。そこで、本実施形態の画像形成装置1は、以下に示されるように、外部の装置が有するアプリケーションと連携し、当該外部の装置からの制御を受付可能とする層を備えている。
【0065】
UIサービス層16は、HTTP(またはHTTPS)を用いて、外部の装置から操作画面データを取得し、取得した操作画面データに基づいた操作画面を表示部上に表示させる処理を行う。なお、UIサービス層16は、汎用されているWebブラウザの機能を有するものでよい。なお、UIサービス層16には、外部の装置から提供されたUI(操作画面)の表示を制御するUIマネージャ16aがある。
【0066】
Webサービス層17は、SOAPを用いて外部の装置から送信される制御指示を受信し、当該制御指示に対応するOSAアプリ層18の適切なモジュールを呼び出す。また、Webサービス層17は、OSAアプリ層18から受けた情報を示すSOAPコマンドを生成し、外部の装置に対して送信する。Webサービス層17は、制御指示と、当該制御指示が示す制御に適切なOSAアプリ層18のモジュールとを対応付けて記憶しており、当該記憶内容に応じて、適切なモジュールを呼び出す。
【0067】
本実施形態のWebサービス層17は、UI制御に関するWebサービスを処理するUIマネージャ部17a、ジョブ制御に関するWebサービスを処理するJobマネージャ部17b、イベント送信要求に関するWebサービスを処理するEventマネージャ部17c、ジョブやデバイスのステータス制御に関するWebサービスを処理するステータスマネージャ部17d、OSAアプリ層18に関する情報を登録するためのWebサービスを処理するサービスマネージャ部17e、ジョブの送受信を行うためのWebサービスを処理するデータ送信マネージャ部17fなどを含む。
【0068】
OSAアプリ層18は、OpenI/F層19で公開されているAPI(制御コマンド)経由で、上記装置機能を制御するためのアプリケーションである。
【0069】
本実施形態のOSAアプリ層18は、複写(コピー)機能の実行/制御を行うコピーアプリ部18a、プリント機能の実行/制御を行うプリントアプリ部18b、スキャンした画像データを外部の装置に送信する機能(イメージ送信機能)の実行/制御を行うイメージ送信アプリ部18c、ドキュメントファイリング機能の実行/制御を行うためのドキュメントファイリングアプリ部18d、PAS3への動作データ・ログの送信、PAS3からの代替サーバ情報の受信、PAS3から受信したユーザ情報に基づいた機能制限等を行う外部アカウンティングアプリ部18e、FAX受信機能の実行/制御を行うためのFAX受信アプリ部18f、TWAIN機能の実行/制御を行うためのTWAINアプリ部18gなどを含む。上記外部アカウンティングアプリ部18eの処理については後段で詳細に説明する。
【0070】
OpenI/F層19は、画像形成装置1のエンジンを制御するためのインターフェイスをOSAアプリ層18に公開する機能を有している。OSAアプリ層18へ公開するAPIを共通化するため、エンジン制御APIの機種依存性を吸収する。
【0071】
(バックアップシステムにおける処理の全体)
図4に本実施形態のバックアップシステム100における処理の流れの一例を示す。本実施形態では、PAS3は、自身の代替サーバとなるLABS4とLABS5とを識別できる代替サーバ情報を予め格納している。そして、PAS3は、画像形成装置1と通信が確立している間に、代替サーバ通知部342から画像形成装置1に代替サーバ情報を送信している。なお、画像形成装置1がPAS3に接続した直後に、PAS3から画像形成装置1に対して代替サーバ情報を送信する方法がもっとも一般的である。また、本実施形態では、画像形成装置1はPAS3の復旧確認を行う構成となっている。
【0072】
図4に示すように、画像形成装置1から動作データ(イベント)をPAS3に送信する(S51)。ここで、PAS3への接続が成功しない、あるいはPASから否定応答が返されると、画像形成装置1は、取得済みの代替サーバ情報に基づき代替候補のLABSを決定し、決定したLABSに動作データを送信する(S52)。決定したLABSが稼働しており、当該LABSが動作データを受信すると、当該LABSは、TIAL(一時的な動作ログ)に、動作データの内容を動作ログとして記録し、動作が行われた回数をカウントする(S53)。なお、カウンタ値をTIALに含めて記録しても構わない。画像形成装置1に肯定応答を返却する(S54)。画像形成装置1は、当該肯定応答を受信すると、CAS(現在のアカウンティングサーバ、つまり、動作データの送信先)を、PAS3から応答のあったLABS(代替LABS)に切り替える(S55)。その後は、画像形成装置1でジョブが実行されると、画像形成装置1は、当該LABSに画像形成装置1の動作データ(イベント)を送信する。代替LABSでは、画像形成装置1から動作データを受信する度に、動作ログとカウンタ値とを更新、つまり、TIALを更新し、肯定応答を画像形成装置1に送信する。
【0073】
なお、S52の後、決定したLABSへの接続が成功しない、あるいは否定応答が返されると、画像形成装置1は、再び取得済みの代替サーバ情報に基づき別の代替候補のLABSを決定し、決定したLABSに動作データを送信する。画像形成装置1は、代替候補のLABSから肯定応答を受けるまでS52を繰り返し、通信可能なLABS(代替LABS)を探す。以上のS51からS55の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が確立できない場合の故障時切り替えの処理である。
【0074】
次に、画像形成装置1のCASをPAS3から代替LABSに切り替えた後、ジョブ実行回数が一定数に到達すると(S56)、画像形成装置1は復旧確認メッセージをPAS3に対して送信する(S57)。PAS3から肯定応答が送信されたのを画像形成装置1が受信すると(S58)、画像形成装置1は、PAS3が利用可能と判断し、CASとなっている代替LABSにTIALを要求する(S59)。代替LABSは、TIALを画像形成装置1に返信し(S60)、TIALの記録をクリアする(S61)。
【0075】
画像形成装置1はTIALを受信すると、TIALをPAS3に転送し(S62)、PAS3は、これをPIAL(主要アクティビティログ、つまり、PAS3が管理しているログ)にマージする(S63)。具体的なマージ処理は、TIALに含まれる動作ログ情報をPIALに追記し、代替LABSが記録している最新のカウンタ値を、PIALのカウンタ値に上書きすることで実現できる。また、動作ログを再生できればジョブ実行回数が分かるので、この数値をPIALのカウントに加算するようになっていてもよい。PAS3での更新作業が正常終了したら、PAS3は画像形成装置1に肯定応答を返す(S64)。この肯定応答の受信をもって画像形成装置1はCASを、代替LABSからPAS3に切り替える(S65)。
【0076】
そして、画像形成装置1は、CASを代替LABSからPAS3に切り替えた後は、動作データをPAS3に送信する(S66)する。PAS3は、受信した動作データを用いて、PIALを更新し(S67)、肯定応答を画像形成装置1に送信する(S68)。
【0077】
以上のS57からS65の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が再確立できた場合の復旧切り替えの処理である。また、以上のS66からS68の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が確立(または再確立)できている場合の正常時の処理である。
【0078】
なお、復旧通知をPAS3から画像形成装置1に送信する方法も考えられるが、上記したように、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定することで、段階的に画像形成装置1の一部の処理のみをPAS3の利用に戻すといった柔軟な実装も可能になる。また、次のことからも、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定するのが好ましいことがわかる。どのようなことかというと、PAS3からの肯定応答がタイムアウトした場合、画像形成装置1は当該PAS3が故障したとみなし、CASに適切な代替LABSを割り当てる。しかし、PAS3が完全な故障ではなく、高負荷状態であった等の理由によって応答が遅延した場合には、PAS3からの復旧メッセージが送信されない。このため、PAS3が利用可能であることを定期的にネットワーク全体に通知する必要がある。しかしネットワーク全体への通知は、原因が高負荷状態であった場合に、元の高負荷状態を再発させる可能性があるため好ましくない。従って、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定することがより好ましい。
【0079】
(代替サーバ情報)
次に代替サーバ情報について説明する。代替サーバ情報のもっともシンプルな例は、図5に示すような形式である。図5に示すように代替サーバ情報は、一般的にはIPアドレスとポート番号とから構成される。画像形成装置1が、代替サーバ情報を基に接続したLABSが動作していなかった場合のさらなる代替のLBAS候補を決定するために、代替サーバ情報は、図6のように、LABSの識別情報(LABS_ID)と優先順位とが対応付けられたリスト(順位リスト)となっていてもよい。ここで、順位リストの優先順位フィールドはアカウンティング機能を代行するLABSを選択する際の優先順位を表している。LABS_IDフィールドは代替LABSの識別情報である。なお、図6の例では、IPアドレスおよびポート番号が別のリスト(アドレスリスト)に記載されているものとする。つまり、図5に示す代替サーバ情報にLABS_IDが付与されており、複数の代替サーバ情報がリスト(アドレスリスト)として保持される。そして、図6に示す順位リストのLABS_IDの値を用いて、アドレスリストを参照することで、当該LABSのIPアドレスとポート番号とを取得する。ここでは、代替サーバ情報は、アドレスリストおよび順位リストとからなっている。もちろん、代替サーバ情報は、LABSの識別情報と、優先順位と、IPアドレスと、ポート番号とがまとめて対応づけられて、つまり、一つのリストとなっていてもよい。
【0080】
また、すべての代替となるLABSが動作できない場合は、画像形成装置1の動作を中止させるなどの措置がとられるようになっていてもよい。
【0081】
図6の例では、PAS3への初回接続時、図7に示すストリーム情報がPAS3から画像形成装置1に対して送信される。図7のストリーム情報には、次の情報が記述されている。
【0082】
L01:送信元PASの情報
L02:送信元PASのIPアドレス
L03:送信元PASのポート番号
L04:送信元PASのスキーム名
L05:送信元PASのアプリケーションパス
L07:LABSのリストを表す(ここでは、優先度が高いLABS順にサーバの設定を記述する)
L08:最初に参照されるLABSの設定記述(LABSの名称をname属性で設定可能)
L09:最初に参照されるLABSのIPアドレス
L10:最初に参照されるLABSのポート番号
L12:最初のLABSが利用できないとき、2番目に参照されるLABSの設定記述
L13:2番目に参照されるLABSのIPアドレス
L14:2番目に参照されるLABSのポート番号
PAS3を識別する情報には、Webアプリケーションとの接続方法を識別するスキーム名L04とアプリケーションパスL05が付加されている。図7に示す例では、LABSはPASと同一スキームかつ同一パスで動作すると仮定しており、各LABSに対する指定を省略している。
【0083】
さらに、代替サーバ情報の拡張として、振り分け条件を含めることもできる。例えば、画像形成装置1での動作を実行するユーザまたはグループの種別、これに対応する識別値(ID)、これに対応するLABSを識別できる情報(単一のLABSを示すLABS識別情報であってもよいし、優先順位つきの複数のLABSを示すLABSリストの情報であってもよい)からなる。図8に示す例は、ユーザ単位およびグループ単位でLABSを使い分けている。ここでは、ユーザIDが「100」のユーザの利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID1であるLABSに送信される。同様に、グループIDが「11000」に属するユーザの利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID2であるLABSに送信される。このように、上位のレコードから順に評価し、マッチする条件が見つかると、対応するLABSを代替サーバ候補として、画像形成装置1から動作データを送信する。LABS識別情報の代わりにLABSリストを割り当て、複数の代替サーバ候補であるLABSに優先順位の順に、動作データを送信することもできる。
【0084】
他の振り分け条件として、ジョブタイプまたはジョブモードとその識別地(ID値)、およびLABSを識別できる情報(単一のLABSを示すLABS識別情報であってもよいし、優先順位つきの複数のLABSを示すLABSリストの情報であってもよいし、上記ユーザによって振り分けたLABS群の情報であってもよい)、が対応づけられている例が挙げられる。図9に示す例は、ジョブタイプ単位およびジョブモード単位でLABS振り分けるものである。ジョブタイプIDが「SCAN」である場合の利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID1であるLABSに送信される。同様に、ジョブモードIDが「JOB_REPRINT」である場合の利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID2であるLABSに送信される。このように、上位のレコードから順に評価し、マッチする条件が見つかると、対応するLABSを代替サーバ候補として、画像形成装置1から動作データを送信する。LABS識別情報の代わりにLABSリストを割り当て、複数の代替サーバ候補に優先順位の順に、動作データを送信することもできる。また、LABSを識別できる情報として、上記ユーザによって振り分けたLABS群の情報を用いた場合には、ユーザ別でのLABSの振り分けとの共用も可能である。
【0085】
(各装置での処理の流れ)
次に、本バックアップシステム100の処理に関する、それぞれの装置の処理の流れについて説明する。以下では、例として、代替PAS3の代替処理に用いられる代替サーバ情報として、LABS4及びLABS5が記載されており、代替処理の優先順位は、LABS4、LABS5の順に高くなっているとして説明する。
【0086】
(PASでの処理)
初めに、PAS3での処理の流れを、図10,11のフローチャートを参照に説明する。本実施形態では、PAS3にて、画像形成装置1の制御のために必須のステータス情報が更新されると、PAS3は、代替先のLABS4・5に当該情報を転送し、同期させる動作が行われる。
【0087】
図10に示すように、初めに、PAS3が起動すると、代替サーバ情報を画像形成装置1に送信する。さらに、代替サーバ情報を参照し、自身の代替処理を行う全てのLABS4・5に対してACL・リミット情報を転送する(S70)。ただし、これらの値はユーザの権限を変更しない限り不変であることが条件であり、ユーザ権限を更新した際には、以後の実行中においても転送が必要である。
【0088】
その後、画像形成装置1からの接続を待機し(S71)、接続された内容が復旧確認のメッセージかを判定する(S72)。復旧確認で無い場合(S72においてNO)動作データの通知であるので、動作データを受信し(S73)、自身が有するPIALにその内容をロギングする(S74)。動作データに応じてカウンタ値の更新が必要であれば更新し(S75)、代替先のLABS4に転送する(S76)。その後、動作データの内容とACL・リミット情報とを照合して、画像形成装置1に認可情報などを返信する(S77)。S72で復旧確認メッセージであった場合は、図11に示す動作を行う。
【0089】
本実施形態では、図11に示すように、PAS3は復旧通知を自ら送信せず、画像形成装置1またはLABS4からの問い合わせに応答することで復旧を通知する。本実施形態では、PAS3は画像形成装置1からの動作データの処理中にも復旧確認を受信する可能性がある。
【0090】
PAS3が復旧確認メッセージを受信すると(S41)、これに対する肯定応答を画像形成装置1に返信し(S42)、続いてTIALおよびカウンタ値を代替として処理を行ったLABS4から受信を行う。受信した内容でカウンタ値を更新し(S44)、またPIALへ、LABS4のTIALのログ内容を追記する(S45)。カウンタ値は動作ログであるTIALの内容を再生することで更新してもよい。PASの情報に、LABS4の情報を完全にマージできたら、TIAL送信元に肯定応答を返信する(S46)。
【0091】
(LABSでの処理)
次に、代替処理に使用されるLABS4の処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0092】
初めに、画像形成装置1からの接続を待機し(S81)、接続された内容がTIALの要求かを判定する(S82)。TIALの要求で無く(S82においてNO)、動作データの通知であると動作データを受信し(S83)、自身が持つTIALにその内容をロギングする(S84)。動作データに応じてカウンタ値の更新が必要であれば更新し(S85)、その後動作データの内容と、PAS3から受信しているACL・リミット情報とを照合して、画像形成装置1に認可情報などを返信する(S86)。ここで、S82での判定により、接続がTIAL要求であった場合は、TIALおよびカウンタ値を画像形成装置1に返信し(S88)、自身のTIALおよびカウンタ値をクリアし(S89)、その後、接続の待機状態に戻る。なお、S85のカウンタの更新の後に、自身より優先順位の低い全てのLABS(ここではLABS5)にカウンタ値等の動的に変化する情報を転送する(S86)。このように自身より優先順位の低い全てのLABSにカウンタ値等の動的に変化する情報を転送することで、自身が不稼動になった場合に、次の優先順位のLABSが、代替処理を行うことができる。
【0093】
さらに、LABS4にて、PAS3と同様に、S81での接続の内容が復旧確認メッセージの受信であった場合には、画像形成装置1は、図11に示した処理と同等の処理を行うことで、LABS4の動作ログをマージするように構成されている。
【0094】
次に、画像形成装置1の、動作データの送信およびPAS3の異常時にアカウンティング処理を行うサーバを切り替える処理について、図13のフローチャートを参照に説明する。図13に示される処理は、画像形成装置1のOSAアプリ層18の外部アカウンティングアプリ部18eにて行われる。
【0095】
初めに、画像形成装置1は、CAS(初期値はPAS3)に対して、動作データを送信する(S21)。この動作はジョブの開始前や終了後など、複数回実行されることが一般的である。ジョブの開始前にCASに対して送信する情報には、特定機能へのユーザのアクセスの可否を要求する内容を含み、CASからの応答に認可情報が含まれる。そして、動作データの送信が成功したかを確認する(S22)。動作データの送信に成功すれば(S22においてYES)、正常に終了する。失敗した場合は(S22においてNO)、代替サーバ情報に基づいてLABSを決定し(S23)、決定したLABSに対して動作データを送信する(S24)。S24の動作データの送信が成功したかを確認する(S25)。成功すれば(S25においてYES)、次回以降の動作データ送信先CASとして、通信に成功したLABSを割り当て、さらにPAS3が復旧したことを監視するスレッドを起動する(S26)。
【0096】
S24の送信に失敗した場合は(S25においてNO)、次候補のLABSがあるかを確認する(S27)。次候補があれば(S27においてYES)、S23から繰り返す。次候補のLABSがなければ(S27においてNO)、動作データ送信先が使用できないことを示すNULL値をCASに設定し、適切な機能制限を開始し、さらに、PAS3の復旧関し動作を開始する(S28)。なお、各ジョブの実行時に動作データ送信先がNULL値となっている場合は、アカウンティング機能が利用できないため、画像形成装置1はそれぞれの運用ポリシー(ログの取得ができない場合は動作を許可するか否かといった内容)に基づいた機能制限を行うのがよい。
【0097】
(画像形成装置での処理)
次に、画像形成装置1の、PAS3が復旧した際の切り替え処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。図14では、画像形成装置1の外部アカウンティングアプリ部18eがPAS3の復旧を検知し、動作データの送信先サーバを元のPAS3に切り替える処理を行う。
【0098】
画像形成装置1は、PAS3の復旧を確認し(S31)、復旧したか否かを判定する(S32)。つまり、画像形成装置1は、PAS3への定期的なステータスチェックを行い、復旧メッセージを受信するまで繰り返す。復旧が確認ができれば(S32においてYES)、PASへの定期的なステータスチェックを終了させる(S33)。ここで、LABSの終了を画像形成装置1が指示する場合のみ、LABSへの終了通知を送信し(S34)、TIALをLABS4から受信し、当該TIALをPAS3に転送する(S35)。この処理が完了すると、画像形成装置1は、CASをPAS3に再設定する(S36)。
【0099】
復旧時の切り替えの処理は、上記したものに限定されず、PAS3がLABS4・5に復旧を通知する形態や、LABS4・5がPAS3の復旧を確認する形態としてもよい。
【0100】
(その他)
次に、本発明の他の実施例を、図15を用いて説明する。図15は、LABS4(あるいはLABS5)による復旧確認を行う例を示している。LABS4は代行運転中、PAS3の復旧確認を行い(S111)、PAS3から肯定応答を受信すると(S112)、TIALとカウンタ値の情報をPASに送信する(S113)。PAS3は、TIALをPIALに追記し、かつカウンタ値を更新し(S114)、LABS4に肯定応答を返信する(S115)。LABS4はこれを受けて、代替処理(アカウンティング処理)に関してsleep状態に遷移する(S116)。その後、画像形成装置1がLABS4に動作データを送信した場合(S117)、LABS4はsleep応答を返信し(S118)、画像形成装置1はこれを受けてCASをPASに変更し、PASに動作データを送信する(S119)。
【0101】
また、LABS4はPAS3の復旧後もPAS3の監視を続け、再びPAS3が動作していない場合は、代替処理についてのsleep状態を解除してPAS3の代行運転に備える。
【0102】
図16は、本発明のさらに他の実施例を示すものである。ここで、代替処理の優先順位が1位のLABSをLABS(1)、2位のLABSをLABS(2)…と記載するものとする。また、LABS(1)のTIALをTIAL(1)、LABS(2)のTIALをTIAL(2)…と記載するものとする。図16に示す例では、LABS4がLABS(1)であり、LABS5がLABS(2)となっている。また、LABS4のTIALがTIAL(1)、LABS5のTIALがTIAL(2)となっている。
【0103】
図16は、通常時には画像形成装置1の動作データの送り先であるPAS3に不具合が発生した場合、代替処理の優先順位が1位のLABS4に、画像形成装置1から動作データが送られる。ここで、LABS4にも不具合が発生した場合、代行処理の優先順位が2位のLABS5に、画像形成装置1から動作データが送られる。〔画像形成装置,PAS,LABS(1),PIAL,TIAL(1)〕の関係は、〔画像形成装置,LABS(1),LABS(2),TIAL(1),TIAL(2)〕の関係と同一である。図16で示したLABS4・5はPAS3の全機能をバックアップする形態となっているが、LABS4とLABS5とでアカウンティングの処理が割り当てられている場合には、LABS4とLABS5とに別々に画像形成装置1から動作データ(イベント)が送信される。ここでは、LABSは2つであるが、3つ以上であってもよい。つまり、LABSで一部の機能のみをバックアップする場合は、割り当てられたアカウンティング機能ごとにLABSが複数存在し、他の機能を担当するLABSとは全く独立に動作データ(イベント)の送受信が行われる。
【0104】
最後に、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3、または軽量バックアップサーバ4・5の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
すなわち、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0106】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0107】
また、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3、または軽量バックアップサーバ4・5を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、外部装置にてアカウンティング制御が行われるプリンタ、コピー機、スキャナ、ファックス等を備えたシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る一実施形態のバックアップシステムの構成を示す図である。
【図2】バックアップシステムを構成する主要アカウンティングサーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】バックアップシステムを構成する画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】バックアップシステムでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図6】軽量バックアップサーバと代替処理における優先順位とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図7】主要アカウンティングサーバから画像形成装置に対して送信されるストリーム情報の一例を示す図である。
【図8】軽量バックアップサーバと送信される動作データの属性とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図9】軽量バックアップサーバと送信される動作データの他の属性とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図10】主要アカウンティングサーバでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】主要アカウンティングサーバが復旧確認メッセージを受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】軽量バックアップサーバでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】画像形成装置の外部アカウンティングアプリ部での、主要アカウンティングサーバ不具合発生時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】画像形成装置の外部アカウンティングアプリ部での、主要アカウンティングサーバ復旧時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】軽量バックアップサーバによる復旧確認を行う例を示す図である。
【図16】代替処理が複数の軽量バックアップサーバに分散される例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成装置
2 ネットワーク
3 主要アカウンティングサーバ(主要アカウンティングサーバ装置)
4・5 軽量バックアップサーバ(軽量バックアップサーバ装置)
341 代替サーバ情報格納部
342 代替サーバ通知部(代替サーバ通知手段)
343 ステータス転送部(ステータス転送手段)
18e 外部アカウンティングアプリ部(送信先決定手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびこれを含むシステムに関するものである。特に、プリンタ、コピー、スキャナ、FAXといった機能を複数搭載した多機能画像形成装置(MFP)と、当該画像形成装置上で動作可能なアプリケーションを提供するアプリケーションサーバがネットワークを介して接続され、当該画像処理装置の持つ機能に新たな機能を追加することが可能なシスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、画像形成装置が、ネットワーク接続された外部のアプリケーションサーバと通信する構成を成す場合、アプリケーションサーバの故障およびネットワーク上の問題発生によって、アプリケーションの持つ機能が利用できなくなることがある。このことは、画像形成装置の主要機能をも停止させることにつながり、リソースの稼働率が低下してしまう。そのため、アプリケーションサーバの機能を代行して運転させるためのバックアップ手段が必要とされてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、インターネット環境におけるサーバ不調時のバックアップに必要な専用装置を減らし、既存のサーバで代替運転を行うことで、運用コストを抑えることのできるバックアップシステムが示されている。また、例えば特許文献2には、サーバの異常時に動作履歴を画像形成装置の内部に蓄積し、サーバの回復時にこれら情報を再送信するシステムが示されている。
【0004】
ここで、画像形成装置の運用に際して、そのユーザを特定し、特定のユーザに特定の機能のみを利用可能にする機能制限機能や、あらかじめ設定した上限を超えてコピーおよび印刷を実行できなくする枚数制限機能、利用状況に応じた課金機能、さらにサプライ品の自動発注機能など、幅広いアカウンティング処理が必要とされている。近年、これらのアカウンティング処理を、画像形成装置に組み込まれた機能ではなく、上記したような外部のアプリケーションサーバ上の一種のアプリケーション機能として処理させることで、カスタマイズされたアカウンティング処理を提供できるシステムが提案されている。特に、アカウンティング機能は、本質的に、画像形成装置の動作全般に係わる機能であり、処理の機能が停止することは画像形成装置全体の不稼働につながる。
【特許文献1】特開2003−22258号公報(2003年1月24日公開)
【特許文献2】特開2005−33460号公報(2005年2月3日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、外部のアプリケーションサーバを利用したアカウンティング機能に関して、コスト面や機能面で妥当な機能バックアップの手法は、確立されていない。
【0006】
特許文献1では、サーバ自身が自己の異常を監視するとともに、異常発生時に補完システムに起動指示を行っている。しかしながら、複数の画像形成装置からコピーやプリンタ実行時の動作データを受信して、幅広いアカウティング処理を行うサーバは、高負荷になったり、所定の画像形成装置とサーバ間のネットワーク上のエラーになったり、自己が電源停止したりする場合がある。これらはサーバ自身によって異常を監視できるものではない。また、異常発生時は、サーバ自身が他のサーバに代替要求を行えない場合がある。
【0007】
また、特許文献2で示されている動作履歴の一時記録および再送信のみでは、機能制限や枚数制限等、画像形成装置に対する適切な制御を実行できない。
【0008】
そこで本発明は、本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、画像形成装置が外部のアカウンティング機能を有するサーバを利用してアカウンティング処理を行うよう構成されている際に、常に適切なアカウンティング制御を実行することができるバックアップシステム等を提供することにある。また、既存のネットワーク端末機器のいくつかを用いて、アカウンティング機能の分散バックアップを実現し、さらに画像形成装置が適切な代替アカウンティングサーバと直接通信できるバックアップシステム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るバックアップシステムは、画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続しており、上記主要アカウンティングサーバ装置は、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段とを備え、上記画像形成装置は、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、上記軽量バックアップサーバは、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備える、ことを特徴としている。
【0010】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバが、自身の代替となる軽量バックアップサーバ装置を識別する代替サーバ情報を保持し、画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を画像形成装置に通知する。また、ステータス情報を軽量バックアップサーバに転送する。画像形成装置は、主要アカウンティングサーバから代替サーバ情報を得ているので、その情報を基に、主要アカウンティングサーバに不具合が発生した際に、軽量バックアップサーバ装置に動作データを送信することができる。軽量バックアップサーバ装置は、予め必要なステータス情報が転送されているので、主要アカウンティングサーバに不具合が発生した際に、画像形成装置のアカウンティング制御の代替処理が可能となる。主要アカウンティングサーバ装置から、軽量バックアップサーバ装置に、画像形成装置の制限機能を代替するための情報であるステータス情報を送信してあるので、単なるログの集計のみでなく、出力枚数制限・トナー消費量制限、および機能制限など、画像形成装置のアクセスを制御する処理であっても、軽量バックアップサーバ装置での代替処理が可能となる。このように、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【0011】
また、上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置の設定項目として代替サーバ情報を一元的に管理できる。通常、複数の画像形成装置が同一の主要アカウンティングサーバ装置にアカウント処理を任せているので、画像形成装置設定で軽量バックアップサーバ装置を設定する場合、画像形成装置毎に複数の軽量バックアップサーバ装置を設定する必要があり、管理が大変である。しかしながら、上記構成によると、主要アカウンティングサーバが管理しているので、画像形成装置毎での設定を省くことができる。なお、画像形成装置は、例えば、主要アカウンティングサーバ装置への接続を行った際に、主要アカウンティングサーバ装置から代替サーバ情報をダウンロードすることで、代替サーバ情報を取得することができる。このように、主要アカウンティングサーバ装置の設定項目として一元的に代替サーバ情報を管理できるため、メンテナンス性を向上させることができる。
【0012】
さらに、上記構成によると、画像形成装置に接続した既存のクライアントパーソナルコンピュータに既存のソフトウェアを追加することで、軽量バックアップサーバ装置として機能させるのみで、アカウンティング機能のバックアップが実現できる。このように、上記システムは、主要アカウンティングサーバは1つのみで構わなく、他の装置(軽量バックアップサーバ装置)は通常画像形成装置に対してプリントジョブやスキャンジョブを利用するクライアントとして稼働していて構わない。このため、軽量バックアップサーバ装置としての専用サーバを用いる必要がなく、システムとしてのコストが低減できる。つまり、画像形成装置の稼働率を確保するために必要となるコストを抑えられる。
【0013】
また、本発明に係るバックアップシステムは、上記構成に加え、上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送し、上記代替サーバ情報では、上記各軽量バックアップサーバを識別する情報と上記画像形成装置が送信する情報の属性とが対応付けられており、上記送信先決定手段は、軽量バックアップサーバ装置を決定する際に、上記代替サーバ情報を基に、上記画像形成装置が送信する上記動作データの属性で送信先を振り分けて決定してもよい。
【0014】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、複数の軽量バックアップサーバ装置のうち、画像形成装置が送信する動作データの属性により決定された装置に、上記動作データが送信される。このように、属性により動作データの送信先を分散させることで、複数の軽量バックアップサーバ装置に分散させて、アカウンティング機能のバックアップを実現することができる。
【0015】
ここで、バックアップシステムにおいて、各軽量バックアップサーバ装置が、主要アカウンティングサーバ装置が通常に稼動しているときには他の作業を行っているクライアントPC(パーソナルコンピュータ)である場合、高負荷状態にすることは適切ではない。しかし、本願の上記構成によると、このよう各軽量バックアップサーバ装置がクライアントPCであったとしても、アカウンティングに関する処理は各軽量バックアップサーバ装置に分散されているので、各軽量バックアップサーバ装置は、代替処理時に高負荷状態に陥ることなく、処理を行うことができる。よって、常に円滑な処理が可能なシステムを提供することができる。
【0016】
また、上記属性は、上記画像形成装置で実行されたジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類、に基づいたものであってもよい。
【0017】
上記構成によると、ジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類に基づき、代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置を割り当てることができる。
【0018】
ここで、軽量バックアップサーバ装置の割り当て方法には、画像形成装置1本体別で分ける方法も考えられるが、ステータス転送手段での転送時にネットワークを流れる情報の量を考慮すると、軽量バックアップサーバ装置で実行される代替処理に必要とする情報量をできるだけ少なくすることが要求される。ユーザ別に代替となる軽量バックアップサーバ装置を割り当てる方法は効率的なタスク分担方法の一つである。また、ジョブタイプ(スキャン・コピー・プリンタ等)やジョブモード(詳細なジョブ種別)の内容によって、代替処理を担当する軽量バックアップサーバ装置を指定する方法も効率的な分担を実現することができる。
【0019】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、上記軽量バックアップサーバでの代替処理では、上記優先度の高いタスクのみを処理するアカウンティング機能縮退手段を備えていていもよい。
【0020】
上記構成によると、代替処理時には、優先度の高いタスクのみが処理される。アカウンティング機能の各タスクのうち、比較的重要でない処理に関しては、主要アカウンティングサーバ装置の故障時に必ずしもバックアップを採る必要がない。このため、上記構成により、優先度の高いタスクを処理し、優先度の低いタスクは処理を実行しないということができるので、軽量バックアップサーバの負荷を抑えることができる。
【0021】
ここで、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記画像形成装置は、一定時間の経過後あるいは一定回数のジョブの実行後、上記主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認メッセージを送信し、上記主要アカウンティングサーバ装置から肯定応答を受信することで、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止してもよい。
【0022】
上記構成によると、一定時間あるいは一定回数のジョブの実行後に、主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認を行う。よって、実際に主要アカウンティングサーバ装置復旧確認を定期的に行うことで、確実に、無駄なく、復旧確認を行うことができる。
【0023】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記軽量バックアップサーバ装置は、所定の条件を満たすと、上記主要アカウンティングサーバに対して復旧確認メッセージを送信し、当該主要アカウンティングサーバからの肯定応答を受信することで代替処理終了状態となり、上記画像形成装置に当該軽量バックアップサーバ装置の代替終了状態を通知し、上記画像形成装置は、上記代替終了状態が通知されると、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止してもよい。
【0024】
上記構成によると、画像形成装置は、軽量バックアップサーバ装置に動作データを送信し、それに対して代替終了状態の通知を受けることで、その後は、主要アカウンティングサーバ装置に動作データを送信するように、送信先を切り替えることができる。この動作は主要アカウンティングサーバ装置の不具合発生時とほぼ同様であり、送信先決定手段が行うことができる。よって、画像形成装置の実装アルゴリズムを簡潔にできる。
【0025】
ここで、上記所定の条件とは、一定時間の経過、上記軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理の一定回数の終了、上記軽量バックアップサーバ装置の負荷の一定値超え、および軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求の受け付け、の少なくとも一つであってもよい。
【0026】
上記構成によると、一定時間が経過した場合、軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理が一定回数終了した場合、軽量バックアップサーバ装置の負荷が一定値を超えた場合、軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求がありそれを受け付けた場合、の何れか場合に、軽量バックアップサーバ装置の利用が停止となる。
【0027】
また、本発明に係るバックアップシステムでは、上記構成加え、上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、上記代替サーバ情報では、複数の上記軽量バックアップサーバ装置の識別情報と代替処理の優先順位情報とが対応付けられており、
上記送信先決定手段は、上記優先順位情報に基づいて、上記動作データを送信可能な軽量バックアップサーバが見つかるまで検索を繰り返して送信先を決定し、上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送してもよい。
【0028】
上記構成によると、送信先決定手段が、優先順位情報に基づいて、動作データを送信可能な軽量バックアップサーバ装置の検索を繰り返して送信先を決定する。そして、ステータス転送手段は、代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、ステータス情報を転送しておく。よって、優先順位に基づいたバックアップが可能となり、バックアップの連鎖を構成させることができる。主要アカウンティングサーバ装置を代替する軽量バックアップサーバ装置が故障した場合には、優先順位情報に基づき、当該軽量バックアップサーバ装置の次に決定されるが代替処理を行うことができ、そして、主要バックアップサーバが復旧すると、主要バックアップサーバでの処理に戻すことが可能となる。
【0029】
また、本発明に係るバックアップ方法は、上記課題を解決するために、画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続したバックアップシステムでのバックアップ方法であり、上記主要アカウンティングサーバ装置にて、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持し、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知し、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送し、上記画像形成装置にて、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定し、上記軽量バックアップサーバにて、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う、ことを特徴としている。
【0030】
上記方法によると、上記バックアップシステムと同様に、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係るバックアップシステムは、上記のように、上記主要アカウンティングサーバ装置は、上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段とを備え、上記画像形成装置は、上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、上記軽量バックアップサーバは、上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備えている。
【0032】
上記構成によると、主要アカウンティングサーバ装置から、軽量バックアップサーバ装置に、画像形成装置の制限機能を代替するための情報であるステータス情報を送信してあるので、単なるログの集計のみでなく、出力枚数制限・トナー消費量制限、および機能制限など、画像形成装置のアクセスを制御する処理であっても、軽量バックアップサーバ装置での代替処理が可能となる。このように、外部からアカウンティング制御される画像形成装置に対して、常に適切なアカウンティング制御を実行することができる。よって、ネットワークおよびサーバの部分的な問題によってシステムの稼働が停止する事態を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一実施形態について図1〜図11に基づいて説明すると以下の通りである。
【0034】
(システムの構成)
本実施形態に係るバックアップシステムは、画像形成装置と外部装置が有するアプリケーションとを連携させて動作させるものである。図1は、本実施形態に係るバックアップシステムの概略を示す図である。図1に示すように、バックアップシステム100は、画像形成装置1と、主要アカウンティングサーバ3と、軽量バックアップサーバ4・5と、これらを通信可能に接続する通信ネットワーク2とを備えている。なお、図2では、2つの画像形成装置1が接続されているが、1つでもよいし、3つ以上が接続されていてもよい。また、軽量バックアップサーバについても、いくつ接続されていてもよい。
【0035】
画像形成装置1は、複写、スキャン(画像読取)、印刷(プリント)、画像データの伝送(通信)、画像変換などの複数の画像形成機能を有する装置であり、例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ機、スキャナ、および、画像伝送、変換および画像処理を行う演算装置が一体に形成された装置(MFP:マルチファンクションプリンタ)である。なお、画像形成装置1としては、これらの全ての機能を備えている必要はなく、スキャン機能および通信機能を備えているものや、プリント機能および通信機能を備えているものであってもよい。
【0036】
主要アカウンティングサーバ(PAS)3は、画像形成装置1で発生する各種イベント受け取り、アカウンティング機能を提供する。PASの主な機能としては、出力枚数制限,機能制限,トナー使用量制限,消耗品残量警告,動作ログの要約などが挙げられる。PAS3は、種々のアプリケーションがインストールされており、当該アプリケーションに応じた処理を行うとともに、通信ネットワーク2を介して画像形成装置1と通信可能である。
【0037】
軽量バックアップサーバ(LABS)4・5は、PAS3の全部または一部の機能を実装し、アカウンティング機能のバックアップを提供するサーバとして機能する装置である。ただし、通常時は別の処理を主に行うクライアントパーソナルコンピュータとして利用される。PAS3が故障した際、PAS3に代わって通信ネットワーク2上の画像形成装置1で発生する各種イベントを受け取るよう、Wwbサーバを稼働させて待機している。
【0038】
LABS4・5は、例えば、パーソナルコンピュータである。
【0039】
通信ネットワーク2は、ローカル・エリア・ネットワークや、インターネット経由の仮想ネットワークであってもよい。通信ネットワーク2には、インターネット、電話線、シリアルケーブル、または、他の有線回線または無線回線、といった通信回線が利用できる。
【0040】
(主要アカウンティングサーバ装置の構成)
本実施形態の主要アカウンティングサーバ3の内部構成について、図2のブロック図を参照に説明する。図2に示されるように、主要アカウンティングサーバ3は、外部アプリケーション部31、Webサーバ部35、OS部36を備えている。
【0041】
外部アプリケーション部31は、画像形成装置1の制御を行うためのロジックおよびデータを保持するブロックである。外部アプリケーション部31は、アプリケーション共通のバックアップロジックを提供するバックアップフレームワーク部34を備えている。
【0042】
バックアップフレームワーク部34は、代替サーバ情報格納部341、代替サーバ通知部342、ステータス転送部343、PIAL部344、ACL部345、リミッタ部346、カウンタ部347を含んでいる。
【0043】
代替サーバ情報格納部341は、PAS3の代替処理を行うLABSを識別するための代替サーバ情報を保持している。この代替サーバ情報については、後段で詳細に説明する。代替サーバ通知部342は、代替サーバ情報を画像形成装置1に通知行うブロックである。ステータス転送部343は、画像形成装置1のアカウンティング処理に必要なステータス情報を画像形成装置1から受信すると、LABS4・5に対して転送するブロックである。
【0044】
PIAL(主要アクティビティログ)部344は、画像形成装置1から受信する動作データをログとして保存するブロックである。
【0045】
ACL部345は、画像形成装置1から受信したアクセスコントロールリストを格納するブロックである。リミッタ部346は、画像形成装置1から受信したリミット値を保存するブロックである。
【0046】
ここで、アクセスコントロールリストは、特定ユーザのみにシステム設定の参照/変更を可能としたり、プリンタ機能のみを利用可能としたりするために、管理者が設定する情報である。リミット値はユーザ/ジョブタイプ毎の実行回数に制限を設けるために利用される値である。リミット値の実装には、(1)カウンタ値の上限値として実装する、(2)残り実行可能回数として実装する、の2タイプがあり、前者の場合はジョブのカウンタ値がこの値に達すると、ジョブの実行を中止する。後者の場合はジョブ実行毎にリミット値を減算していき、リミット値が0になると、ジョブの実行を中止する。なお、後者の場合はカウンタを利用せず、ジョブ実行毎に、減算されたリミット値をアカウンティングサーバに通知することになる。
【0047】
カウンタ部347は、PAS3が、画像形成装置1からアカウンティング処理が必要な動作データを受信した回数を、カウントするブロックである。
【0048】
以上のバックアップフレームワーク部34での処理についても後段で詳細に説明する。
【0049】
外部アプリケーション部31は、また、例えば、画像形成装置1の操作パネルに表示するユーザインターフェース画面のひな形データである操作パネル表示データ32や、画像形成装置1の画面を更新するなど、画像形成装置に関する制御を行うための制御ロジックである画像形成装置制御プログラム33等を備えている。
【0050】
Webサーバ部35は、HTTP(hypertext transfer protocol)(またはHTTPS)やSOAP(simple object access protocol)を用いた通信を行うブロックである。Webサーバ部35は、画像形成装置1からHTTPリクエストを受信するとともに、当該HTTPリクエストに対応するHTTPレスポンスを送信する。Webサーバ部35は、例えば、Windows(登録商標)でのIISや、Apache Web Server等が挙げられる。
【0051】
OS部36は、タスク管理、ファイル管理等、コンピュータシステムを管理し、基本的なユーザ操作環境を提供するオペレーティングシステム(OS)に従った処理を行うブロックである。OSとしては、例えばWindows(登録商標)やLinuxが挙げられる。
【0052】
LABS4・5も、基本的にはPAS3と同様の図2に示す構成を有している。LABS4・5では、バックアップフレームワーク部34には、代替サーバ情報格納部341、代替サーバ通知部342、ステータス転送部343はなく、PIAL部344の代わりに、代替処理についてのログを保存するTIAL(一時的な動作ログ)部が設けられている。また、PAS3から転送されてくる画像形成装置1のステータス情報を格納している。そして、バックアップフレームワーク部34にて、PAS3の代替処理が行われる。なお、各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、LABS4・5のバックアップフレームワーク部34には、この優先度に基づきPAS3の代替処理を行うアカウンティング機能縮退部(アカウンティング機能縮退手段)が設けられていてもよい。アカウンティング機能縮退部は、優先度の高いタスクを処理し、優先度の低いタスクは処理を実行しないようになっており、つまり、アカウンティング機能の縮退を行う。よって、LABS4・5の負荷を抑えることができる。ここで、アカウンティング機能の縮退とは、主に低優先度アカウンティング・タスクの放棄・抑制を行うことである。アカウンティング・タスクには、例えば、各種動作情報のロギング、コンビニ等での利用における自動サプライ品発注、機能制限などがある。ロギングの場合は、その内容の重要度に応じたフラグが付いているものとし、この値に基づいて記録するかどうかを決める。サプライ品発注では、単に動作を取りやめる。機能制限・枚数制限の場合は、ACLやリミット値への参照やカウンタの更新を抑えるために、一律利用禁止にするなどの処理を行う。もちろん、これらの処理は単なる例示であり、アカウンティング機能の縮退は、これらに限定はされない。
【0053】
(画像形成装置の構成)
次に、画像形成装置1の内部構成について、図3のブロック図を参照しながら説明する。図3に示されるように、画像形成装置1は、ユーザインターフェース層11と、アプリケーション層12、サービス層13、ドライバ層14、OS部15、UIサービス層16、Webサービス層17と、OSAアプリ層18と、OpenI/F層19とを備えている。
【0054】
ユーザインターフェース層11は、ユーザが画像形成装置1を操作するためのインターフェースである。ユーザインターフェース層11は、画像形成装置1に固有の操作画面(固有操作画面)を記憶しており、当該固有操作画面を画像形成装置1の表示部に表示させる。ユーザは、固有操作画面に対して、所望の機能の実行を入力することで、画像形成装置1を制御することができる。
【0055】
なお、ユーザインターフェース層11の操作パネル部11aは、画像形成装置1の操作画面にて入力された情報をアプリケーション層12に伝達する処理を行う。また、ユーザインターフェース層11のWebページ部11bは、Webページにて入力された情報をアプリケーション層12に伝達する処理を行う。
【0056】
アプリケーション層12は、画像形成装置1が有する各種の機能を制御するアプリケーションに従って動作する。ここで、各種の機能とは、スキャン機能、印刷(プリント)機能、画像処理機能、ネットワーク機能などの要素機能を適宜組み合わせて実行することにより実現される機能である。要素機能を適宜組み合わせて実行することにより実現される機能とは、例えば、スキャン機能と画像処理機能と印刷機能とを組み合わせて実行される複写(コピー)機能や、スキャン機能とネットワーク機能とを組み合わせて実行されるイメージ送信機能などがある。なお、画像形成装置1が有する各種の機能は画像形成装置の機種毎に異なるため、このアプリケーション層12の構成も画像形成装置の機種毎に異なる。
【0057】
本実施形態のアプリケーション層12は、複写(コピー)機能の実行/制御を行うコピーアプリ部12a、プリント機能の実行/制御を行うプリントアプリ部12b、スキャンした画像データを外部の装置に送信する機能(イメージ送信機能)の実行/制御を行うイメージ送信アプリ部12c、ドキュメントファイリング機能の実行/制御を行うドキュメントファイリングアプリ部12d、ユーザ認証機能の実行/制御を行うユーザ認証アプリ部12e、FAX受信機能の実行/制御を行うFAX受信アプリ部12f、TWAIN機能の実行/制御を行うTWAINアプリ12g部などを含む。
【0058】
サービス層13は、アプリケーション層12とドライバ層14との間に位置する層であり、アプリケーション層12からの指示に従って、画像形成装置1が有する各種の要素機能を制御するための各種サービス部から構成される。
【0059】
本実施形態のサービス層13は、スキャン動作の制御を行うスキャンサービス部13a、プリント(印刷)の制御を行い、プリント機能やコピー機能にて利用されるプリントサービス部13b、ジョブ毎の情報管理を制御するジョブログサービス部13c、イメージ作成等の画像形成を制御する画処理サービス部13d、ドキュメントファイリング等、イメージを管理するための制御を行うファイルサービス部13e、リモートからWebページ経由でアクセスするための制御を行うWWWサーバサービス部13f、LANや電話回線等を用いて、通信する動作の制御を行うネットワークサービス部13gなどが含まれる。
【0060】
ドライバ層14は、サービス層13の下位に位置する層であり、画像形成装置1のハードウェアを制御するためのソフトウェアに従った動作を行う。
【0061】
なお、本実施形態のドライバ層14には、画像形成に関するASICドライバ部14a、USB通信を行うためのUSBドライバ部14b、シリアル通信を行うためのシリアル通信ドライバ部14c、LAN通信を行うためのNICドライバ分14d、表示部の表示制御を行うためのLCDドライバ14e、電源管理を行うためのPowerドライバ14f部などがある。
【0062】
OS部15は、ドライバ層14の下位に位置する層であり、オペレーティングシステムを管理するものである。
【0063】
なお、上記ユーザインターフェース層11、アプリケーション層12、サービス層13、ドライバ層14およびOS部15は、画像形成装置1に固有のソフトウェアに従った動作を行うものであり、画像形成装置1ごとに異なる。これらの層を備えることで、画像形成装置1は、通信ネットワークを介することなくユーザからの指示を直接受け付け、その指示に従った動作を行うことができる。
【0064】
ただし、上記のような画像形成装置1に固有の層のみを有している場合、新たなアプリケーションを用いた処理を伴う制御を行うためには、画像形成装置1の内部に新たなアプリケーション等を組み込む必要があり、手間がかかる。そこで、本実施形態の画像形成装置1は、以下に示されるように、外部の装置が有するアプリケーションと連携し、当該外部の装置からの制御を受付可能とする層を備えている。
【0065】
UIサービス層16は、HTTP(またはHTTPS)を用いて、外部の装置から操作画面データを取得し、取得した操作画面データに基づいた操作画面を表示部上に表示させる処理を行う。なお、UIサービス層16は、汎用されているWebブラウザの機能を有するものでよい。なお、UIサービス層16には、外部の装置から提供されたUI(操作画面)の表示を制御するUIマネージャ16aがある。
【0066】
Webサービス層17は、SOAPを用いて外部の装置から送信される制御指示を受信し、当該制御指示に対応するOSAアプリ層18の適切なモジュールを呼び出す。また、Webサービス層17は、OSAアプリ層18から受けた情報を示すSOAPコマンドを生成し、外部の装置に対して送信する。Webサービス層17は、制御指示と、当該制御指示が示す制御に適切なOSAアプリ層18のモジュールとを対応付けて記憶しており、当該記憶内容に応じて、適切なモジュールを呼び出す。
【0067】
本実施形態のWebサービス層17は、UI制御に関するWebサービスを処理するUIマネージャ部17a、ジョブ制御に関するWebサービスを処理するJobマネージャ部17b、イベント送信要求に関するWebサービスを処理するEventマネージャ部17c、ジョブやデバイスのステータス制御に関するWebサービスを処理するステータスマネージャ部17d、OSAアプリ層18に関する情報を登録するためのWebサービスを処理するサービスマネージャ部17e、ジョブの送受信を行うためのWebサービスを処理するデータ送信マネージャ部17fなどを含む。
【0068】
OSAアプリ層18は、OpenI/F層19で公開されているAPI(制御コマンド)経由で、上記装置機能を制御するためのアプリケーションである。
【0069】
本実施形態のOSAアプリ層18は、複写(コピー)機能の実行/制御を行うコピーアプリ部18a、プリント機能の実行/制御を行うプリントアプリ部18b、スキャンした画像データを外部の装置に送信する機能(イメージ送信機能)の実行/制御を行うイメージ送信アプリ部18c、ドキュメントファイリング機能の実行/制御を行うためのドキュメントファイリングアプリ部18d、PAS3への動作データ・ログの送信、PAS3からの代替サーバ情報の受信、PAS3から受信したユーザ情報に基づいた機能制限等を行う外部アカウンティングアプリ部18e、FAX受信機能の実行/制御を行うためのFAX受信アプリ部18f、TWAIN機能の実行/制御を行うためのTWAINアプリ部18gなどを含む。上記外部アカウンティングアプリ部18eの処理については後段で詳細に説明する。
【0070】
OpenI/F層19は、画像形成装置1のエンジンを制御するためのインターフェイスをOSAアプリ層18に公開する機能を有している。OSAアプリ層18へ公開するAPIを共通化するため、エンジン制御APIの機種依存性を吸収する。
【0071】
(バックアップシステムにおける処理の全体)
図4に本実施形態のバックアップシステム100における処理の流れの一例を示す。本実施形態では、PAS3は、自身の代替サーバとなるLABS4とLABS5とを識別できる代替サーバ情報を予め格納している。そして、PAS3は、画像形成装置1と通信が確立している間に、代替サーバ通知部342から画像形成装置1に代替サーバ情報を送信している。なお、画像形成装置1がPAS3に接続した直後に、PAS3から画像形成装置1に対して代替サーバ情報を送信する方法がもっとも一般的である。また、本実施形態では、画像形成装置1はPAS3の復旧確認を行う構成となっている。
【0072】
図4に示すように、画像形成装置1から動作データ(イベント)をPAS3に送信する(S51)。ここで、PAS3への接続が成功しない、あるいはPASから否定応答が返されると、画像形成装置1は、取得済みの代替サーバ情報に基づき代替候補のLABSを決定し、決定したLABSに動作データを送信する(S52)。決定したLABSが稼働しており、当該LABSが動作データを受信すると、当該LABSは、TIAL(一時的な動作ログ)に、動作データの内容を動作ログとして記録し、動作が行われた回数をカウントする(S53)。なお、カウンタ値をTIALに含めて記録しても構わない。画像形成装置1に肯定応答を返却する(S54)。画像形成装置1は、当該肯定応答を受信すると、CAS(現在のアカウンティングサーバ、つまり、動作データの送信先)を、PAS3から応答のあったLABS(代替LABS)に切り替える(S55)。その後は、画像形成装置1でジョブが実行されると、画像形成装置1は、当該LABSに画像形成装置1の動作データ(イベント)を送信する。代替LABSでは、画像形成装置1から動作データを受信する度に、動作ログとカウンタ値とを更新、つまり、TIALを更新し、肯定応答を画像形成装置1に送信する。
【0073】
なお、S52の後、決定したLABSへの接続が成功しない、あるいは否定応答が返されると、画像形成装置1は、再び取得済みの代替サーバ情報に基づき別の代替候補のLABSを決定し、決定したLABSに動作データを送信する。画像形成装置1は、代替候補のLABSから肯定応答を受けるまでS52を繰り返し、通信可能なLABS(代替LABS)を探す。以上のS51からS55の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が確立できない場合の故障時切り替えの処理である。
【0074】
次に、画像形成装置1のCASをPAS3から代替LABSに切り替えた後、ジョブ実行回数が一定数に到達すると(S56)、画像形成装置1は復旧確認メッセージをPAS3に対して送信する(S57)。PAS3から肯定応答が送信されたのを画像形成装置1が受信すると(S58)、画像形成装置1は、PAS3が利用可能と判断し、CASとなっている代替LABSにTIALを要求する(S59)。代替LABSは、TIALを画像形成装置1に返信し(S60)、TIALの記録をクリアする(S61)。
【0075】
画像形成装置1はTIALを受信すると、TIALをPAS3に転送し(S62)、PAS3は、これをPIAL(主要アクティビティログ、つまり、PAS3が管理しているログ)にマージする(S63)。具体的なマージ処理は、TIALに含まれる動作ログ情報をPIALに追記し、代替LABSが記録している最新のカウンタ値を、PIALのカウンタ値に上書きすることで実現できる。また、動作ログを再生できればジョブ実行回数が分かるので、この数値をPIALのカウントに加算するようになっていてもよい。PAS3での更新作業が正常終了したら、PAS3は画像形成装置1に肯定応答を返す(S64)。この肯定応答の受信をもって画像形成装置1はCASを、代替LABSからPAS3に切り替える(S65)。
【0076】
そして、画像形成装置1は、CASを代替LABSからPAS3に切り替えた後は、動作データをPAS3に送信する(S66)する。PAS3は、受信した動作データを用いて、PIALを更新し(S67)、肯定応答を画像形成装置1に送信する(S68)。
【0077】
以上のS57からS65の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が再確立できた場合の復旧切り替えの処理である。また、以上のS66からS68の処理は、画像形成装置1がPAS3との通信が確立(または再確立)できている場合の正常時の処理である。
【0078】
なお、復旧通知をPAS3から画像形成装置1に送信する方法も考えられるが、上記したように、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定することで、段階的に画像形成装置1の一部の処理のみをPAS3の利用に戻すといった柔軟な実装も可能になる。また、次のことからも、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定するのが好ましいことがわかる。どのようなことかというと、PAS3からの肯定応答がタイムアウトした場合、画像形成装置1は当該PAS3が故障したとみなし、CASに適切な代替LABSを割り当てる。しかし、PAS3が完全な故障ではなく、高負荷状態であった等の理由によって応答が遅延した場合には、PAS3からの復旧メッセージが送信されない。このため、PAS3が利用可能であることを定期的にネットワーク全体に通知する必要がある。しかしネットワーク全体への通知は、原因が高負荷状態であった場合に、元の高負荷状態を再発させる可能性があるため好ましくない。従って、画像形成装置1がPAS3の状況を調べ、代替LABSの利用を終了するかどうかを判定することがより好ましい。
【0079】
(代替サーバ情報)
次に代替サーバ情報について説明する。代替サーバ情報のもっともシンプルな例は、図5に示すような形式である。図5に示すように代替サーバ情報は、一般的にはIPアドレスとポート番号とから構成される。画像形成装置1が、代替サーバ情報を基に接続したLABSが動作していなかった場合のさらなる代替のLBAS候補を決定するために、代替サーバ情報は、図6のように、LABSの識別情報(LABS_ID)と優先順位とが対応付けられたリスト(順位リスト)となっていてもよい。ここで、順位リストの優先順位フィールドはアカウンティング機能を代行するLABSを選択する際の優先順位を表している。LABS_IDフィールドは代替LABSの識別情報である。なお、図6の例では、IPアドレスおよびポート番号が別のリスト(アドレスリスト)に記載されているものとする。つまり、図5に示す代替サーバ情報にLABS_IDが付与されており、複数の代替サーバ情報がリスト(アドレスリスト)として保持される。そして、図6に示す順位リストのLABS_IDの値を用いて、アドレスリストを参照することで、当該LABSのIPアドレスとポート番号とを取得する。ここでは、代替サーバ情報は、アドレスリストおよび順位リストとからなっている。もちろん、代替サーバ情報は、LABSの識別情報と、優先順位と、IPアドレスと、ポート番号とがまとめて対応づけられて、つまり、一つのリストとなっていてもよい。
【0080】
また、すべての代替となるLABSが動作できない場合は、画像形成装置1の動作を中止させるなどの措置がとられるようになっていてもよい。
【0081】
図6の例では、PAS3への初回接続時、図7に示すストリーム情報がPAS3から画像形成装置1に対して送信される。図7のストリーム情報には、次の情報が記述されている。
【0082】
L01:送信元PASの情報
L02:送信元PASのIPアドレス
L03:送信元PASのポート番号
L04:送信元PASのスキーム名
L05:送信元PASのアプリケーションパス
L07:LABSのリストを表す(ここでは、優先度が高いLABS順にサーバの設定を記述する)
L08:最初に参照されるLABSの設定記述(LABSの名称をname属性で設定可能)
L09:最初に参照されるLABSのIPアドレス
L10:最初に参照されるLABSのポート番号
L12:最初のLABSが利用できないとき、2番目に参照されるLABSの設定記述
L13:2番目に参照されるLABSのIPアドレス
L14:2番目に参照されるLABSのポート番号
PAS3を識別する情報には、Webアプリケーションとの接続方法を識別するスキーム名L04とアプリケーションパスL05が付加されている。図7に示す例では、LABSはPASと同一スキームかつ同一パスで動作すると仮定しており、各LABSに対する指定を省略している。
【0083】
さらに、代替サーバ情報の拡張として、振り分け条件を含めることもできる。例えば、画像形成装置1での動作を実行するユーザまたはグループの種別、これに対応する識別値(ID)、これに対応するLABSを識別できる情報(単一のLABSを示すLABS識別情報であってもよいし、優先順位つきの複数のLABSを示すLABSリストの情報であってもよい)からなる。図8に示す例は、ユーザ単位およびグループ単位でLABSを使い分けている。ここでは、ユーザIDが「100」のユーザの利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID1であるLABSに送信される。同様に、グループIDが「11000」に属するユーザの利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID2であるLABSに送信される。このように、上位のレコードから順に評価し、マッチする条件が見つかると、対応するLABSを代替サーバ候補として、画像形成装置1から動作データを送信する。LABS識別情報の代わりにLABSリストを割り当て、複数の代替サーバ候補であるLABSに優先順位の順に、動作データを送信することもできる。
【0084】
他の振り分け条件として、ジョブタイプまたはジョブモードとその識別地(ID値)、およびLABSを識別できる情報(単一のLABSを示すLABS識別情報であってもよいし、優先順位つきの複数のLABSを示すLABSリストの情報であってもよいし、上記ユーザによって振り分けたLABS群の情報であってもよい)、が対応づけられている例が挙げられる。図9に示す例は、ジョブタイプ単位およびジョブモード単位でLABS振り分けるものである。ジョブタイプIDが「SCAN」である場合の利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID1であるLABSに送信される。同様に、ジョブモードIDが「JOB_REPRINT」である場合の利用に関する動作データは、LABS識別情報がLABS_ID2であるLABSに送信される。このように、上位のレコードから順に評価し、マッチする条件が見つかると、対応するLABSを代替サーバ候補として、画像形成装置1から動作データを送信する。LABS識別情報の代わりにLABSリストを割り当て、複数の代替サーバ候補に優先順位の順に、動作データを送信することもできる。また、LABSを識別できる情報として、上記ユーザによって振り分けたLABS群の情報を用いた場合には、ユーザ別でのLABSの振り分けとの共用も可能である。
【0085】
(各装置での処理の流れ)
次に、本バックアップシステム100の処理に関する、それぞれの装置の処理の流れについて説明する。以下では、例として、代替PAS3の代替処理に用いられる代替サーバ情報として、LABS4及びLABS5が記載されており、代替処理の優先順位は、LABS4、LABS5の順に高くなっているとして説明する。
【0086】
(PASでの処理)
初めに、PAS3での処理の流れを、図10,11のフローチャートを参照に説明する。本実施形態では、PAS3にて、画像形成装置1の制御のために必須のステータス情報が更新されると、PAS3は、代替先のLABS4・5に当該情報を転送し、同期させる動作が行われる。
【0087】
図10に示すように、初めに、PAS3が起動すると、代替サーバ情報を画像形成装置1に送信する。さらに、代替サーバ情報を参照し、自身の代替処理を行う全てのLABS4・5に対してACL・リミット情報を転送する(S70)。ただし、これらの値はユーザの権限を変更しない限り不変であることが条件であり、ユーザ権限を更新した際には、以後の実行中においても転送が必要である。
【0088】
その後、画像形成装置1からの接続を待機し(S71)、接続された内容が復旧確認のメッセージかを判定する(S72)。復旧確認で無い場合(S72においてNO)動作データの通知であるので、動作データを受信し(S73)、自身が有するPIALにその内容をロギングする(S74)。動作データに応じてカウンタ値の更新が必要であれば更新し(S75)、代替先のLABS4に転送する(S76)。その後、動作データの内容とACL・リミット情報とを照合して、画像形成装置1に認可情報などを返信する(S77)。S72で復旧確認メッセージであった場合は、図11に示す動作を行う。
【0089】
本実施形態では、図11に示すように、PAS3は復旧通知を自ら送信せず、画像形成装置1またはLABS4からの問い合わせに応答することで復旧を通知する。本実施形態では、PAS3は画像形成装置1からの動作データの処理中にも復旧確認を受信する可能性がある。
【0090】
PAS3が復旧確認メッセージを受信すると(S41)、これに対する肯定応答を画像形成装置1に返信し(S42)、続いてTIALおよびカウンタ値を代替として処理を行ったLABS4から受信を行う。受信した内容でカウンタ値を更新し(S44)、またPIALへ、LABS4のTIALのログ内容を追記する(S45)。カウンタ値は動作ログであるTIALの内容を再生することで更新してもよい。PASの情報に、LABS4の情報を完全にマージできたら、TIAL送信元に肯定応答を返信する(S46)。
【0091】
(LABSでの処理)
次に、代替処理に使用されるLABS4の処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。
【0092】
初めに、画像形成装置1からの接続を待機し(S81)、接続された内容がTIALの要求かを判定する(S82)。TIALの要求で無く(S82においてNO)、動作データの通知であると動作データを受信し(S83)、自身が持つTIALにその内容をロギングする(S84)。動作データに応じてカウンタ値の更新が必要であれば更新し(S85)、その後動作データの内容と、PAS3から受信しているACL・リミット情報とを照合して、画像形成装置1に認可情報などを返信する(S86)。ここで、S82での判定により、接続がTIAL要求であった場合は、TIALおよびカウンタ値を画像形成装置1に返信し(S88)、自身のTIALおよびカウンタ値をクリアし(S89)、その後、接続の待機状態に戻る。なお、S85のカウンタの更新の後に、自身より優先順位の低い全てのLABS(ここではLABS5)にカウンタ値等の動的に変化する情報を転送する(S86)。このように自身より優先順位の低い全てのLABSにカウンタ値等の動的に変化する情報を転送することで、自身が不稼動になった場合に、次の優先順位のLABSが、代替処理を行うことができる。
【0093】
さらに、LABS4にて、PAS3と同様に、S81での接続の内容が復旧確認メッセージの受信であった場合には、画像形成装置1は、図11に示した処理と同等の処理を行うことで、LABS4の動作ログをマージするように構成されている。
【0094】
次に、画像形成装置1の、動作データの送信およびPAS3の異常時にアカウンティング処理を行うサーバを切り替える処理について、図13のフローチャートを参照に説明する。図13に示される処理は、画像形成装置1のOSAアプリ層18の外部アカウンティングアプリ部18eにて行われる。
【0095】
初めに、画像形成装置1は、CAS(初期値はPAS3)に対して、動作データを送信する(S21)。この動作はジョブの開始前や終了後など、複数回実行されることが一般的である。ジョブの開始前にCASに対して送信する情報には、特定機能へのユーザのアクセスの可否を要求する内容を含み、CASからの応答に認可情報が含まれる。そして、動作データの送信が成功したかを確認する(S22)。動作データの送信に成功すれば(S22においてYES)、正常に終了する。失敗した場合は(S22においてNO)、代替サーバ情報に基づいてLABSを決定し(S23)、決定したLABSに対して動作データを送信する(S24)。S24の動作データの送信が成功したかを確認する(S25)。成功すれば(S25においてYES)、次回以降の動作データ送信先CASとして、通信に成功したLABSを割り当て、さらにPAS3が復旧したことを監視するスレッドを起動する(S26)。
【0096】
S24の送信に失敗した場合は(S25においてNO)、次候補のLABSがあるかを確認する(S27)。次候補があれば(S27においてYES)、S23から繰り返す。次候補のLABSがなければ(S27においてNO)、動作データ送信先が使用できないことを示すNULL値をCASに設定し、適切な機能制限を開始し、さらに、PAS3の復旧関し動作を開始する(S28)。なお、各ジョブの実行時に動作データ送信先がNULL値となっている場合は、アカウンティング機能が利用できないため、画像形成装置1はそれぞれの運用ポリシー(ログの取得ができない場合は動作を許可するか否かといった内容)に基づいた機能制限を行うのがよい。
【0097】
(画像形成装置での処理)
次に、画像形成装置1の、PAS3が復旧した際の切り替え処理について、図14のフローチャートを用いて説明する。図14では、画像形成装置1の外部アカウンティングアプリ部18eがPAS3の復旧を検知し、動作データの送信先サーバを元のPAS3に切り替える処理を行う。
【0098】
画像形成装置1は、PAS3の復旧を確認し(S31)、復旧したか否かを判定する(S32)。つまり、画像形成装置1は、PAS3への定期的なステータスチェックを行い、復旧メッセージを受信するまで繰り返す。復旧が確認ができれば(S32においてYES)、PASへの定期的なステータスチェックを終了させる(S33)。ここで、LABSの終了を画像形成装置1が指示する場合のみ、LABSへの終了通知を送信し(S34)、TIALをLABS4から受信し、当該TIALをPAS3に転送する(S35)。この処理が完了すると、画像形成装置1は、CASをPAS3に再設定する(S36)。
【0099】
復旧時の切り替えの処理は、上記したものに限定されず、PAS3がLABS4・5に復旧を通知する形態や、LABS4・5がPAS3の復旧を確認する形態としてもよい。
【0100】
(その他)
次に、本発明の他の実施例を、図15を用いて説明する。図15は、LABS4(あるいはLABS5)による復旧確認を行う例を示している。LABS4は代行運転中、PAS3の復旧確認を行い(S111)、PAS3から肯定応答を受信すると(S112)、TIALとカウンタ値の情報をPASに送信する(S113)。PAS3は、TIALをPIALに追記し、かつカウンタ値を更新し(S114)、LABS4に肯定応答を返信する(S115)。LABS4はこれを受けて、代替処理(アカウンティング処理)に関してsleep状態に遷移する(S116)。その後、画像形成装置1がLABS4に動作データを送信した場合(S117)、LABS4はsleep応答を返信し(S118)、画像形成装置1はこれを受けてCASをPASに変更し、PASに動作データを送信する(S119)。
【0101】
また、LABS4はPAS3の復旧後もPAS3の監視を続け、再びPAS3が動作していない場合は、代替処理についてのsleep状態を解除してPAS3の代行運転に備える。
【0102】
図16は、本発明のさらに他の実施例を示すものである。ここで、代替処理の優先順位が1位のLABSをLABS(1)、2位のLABSをLABS(2)…と記載するものとする。また、LABS(1)のTIALをTIAL(1)、LABS(2)のTIALをTIAL(2)…と記載するものとする。図16に示す例では、LABS4がLABS(1)であり、LABS5がLABS(2)となっている。また、LABS4のTIALがTIAL(1)、LABS5のTIALがTIAL(2)となっている。
【0103】
図16は、通常時には画像形成装置1の動作データの送り先であるPAS3に不具合が発生した場合、代替処理の優先順位が1位のLABS4に、画像形成装置1から動作データが送られる。ここで、LABS4にも不具合が発生した場合、代行処理の優先順位が2位のLABS5に、画像形成装置1から動作データが送られる。〔画像形成装置,PAS,LABS(1),PIAL,TIAL(1)〕の関係は、〔画像形成装置,LABS(1),LABS(2),TIAL(1),TIAL(2)〕の関係と同一である。図16で示したLABS4・5はPAS3の全機能をバックアップする形態となっているが、LABS4とLABS5とでアカウンティングの処理が割り当てられている場合には、LABS4とLABS5とに別々に画像形成装置1から動作データ(イベント)が送信される。ここでは、LABSは2つであるが、3つ以上であってもよい。つまり、LABSで一部の機能のみをバックアップする場合は、割り当てられたアカウンティング機能ごとにLABSが複数存在し、他の機能を担当するLABSとは全く独立に動作データ(イベント)の送受信が行われる。
【0104】
最後に、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3、または軽量バックアップサーバ4・5の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0105】
すなわち、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3または軽量バックアップサーバ4・5に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0106】
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0107】
また、画像形成装置1、主要アカウンティングサーバ3、または軽量バックアップサーバ4・5を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、外部装置にてアカウンティング制御が行われるプリンタ、コピー機、スキャナ、ファックス等を備えたシステムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る一実施形態のバックアップシステムの構成を示す図である。
【図2】バックアップシステムを構成する主要アカウンティングサーバの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】バックアップシステムを構成する画像形成装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】バックアップシステムでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図6】軽量バックアップサーバと代替処理における優先順位とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図7】主要アカウンティングサーバから画像形成装置に対して送信されるストリーム情報の一例を示す図である。
【図8】軽量バックアップサーバと送信される動作データの属性とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図9】軽量バックアップサーバと送信される動作データの他の属性とを対応付けた代替サーバ情報の一例を示す図である。
【図10】主要アカウンティングサーバでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】主要アカウンティングサーバが復旧確認メッセージを受信した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】軽量バックアップサーバでの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】画像形成装置の外部アカウンティングアプリ部での、主要アカウンティングサーバ不具合発生時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】画像形成装置の外部アカウンティングアプリ部での、主要アカウンティングサーバ復旧時の処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】軽量バックアップサーバによる復旧確認を行う例を示す図である。
【図16】代替処理が複数の軽量バックアップサーバに分散される例を示す図である。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成装置
2 ネットワーク
3 主要アカウンティングサーバ(主要アカウンティングサーバ装置)
4・5 軽量バックアップサーバ(軽量バックアップサーバ装置)
341 代替サーバ情報格納部
342 代替サーバ通知部(代替サーバ通知手段)
343 ステータス転送部(ステータス転送手段)
18e 外部アカウンティングアプリ部(送信先決定手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続しており、
上記主要アカウンティングサーバ装置は、
上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、
上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、
上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段と、を備え、
上記画像形成装置は、
上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、
上記軽量バックアップサーバは、
上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備える、
ことを特徴とするバックアップシステム。
【請求項2】
上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、
上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送し、
上記代替サーバ情報では、各上記軽量バックアップサーバ装置を識別する情報と上記画像形成装置が送信する情報の属性とが対応付けられており
上記送信先決定手段は、軽量バックアップサーバ装置を決定する際に、上記代替サーバ情報を基に、上記画像形成装置が送信する上記動作データの属性で送信先を振り分けて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項3】
上記属性は、上記画像形成装置で実行されたジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類、に基づくことを特徴とする請求項2に記載のバックアップシステム。
【請求項4】
各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、上記代替処理手段は、上記優先度に基づき上記代替処理を行うアカウンティング機能縮退手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項5】
上記画像形成装置は、一定時間の経過後あるいは一定回数のジョブの実行後、上記主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認メッセージを送信し、上記主要アカウンティングサーバ装置から肯定応答を受信することで、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止することを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項6】
上記軽量バックアップサーバ装置は、所定の条件を満たすと、上記主要アカウンティングサーバに対して復旧確認メッセージを送信し、当該主要アカウンティングサーバからの肯定応答を受信することで代替処理終了状態となり、上記画像形成装置に当該軽量バックアップサーバ装置の代替終了状態を通知し、
上記画像形成装置は、上記代替終了状態が通知されると、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止することを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項7】
上記所定の条件とは、一定時間の経過、上記軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理の一定回数の終了、上記軽量バックアップサーバ装置の負荷の一定値超え、および軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求の受け付け、の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載のバックアップシステム。
【請求項8】
上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、
上記代替サーバ情報では、複数の上記軽量バックアップサーバ装置の識別情報と代替処理の優先順位情報とが対応付けられており、
上記送信先決定手段は、上記優先順位情報に基づいて、上記動作データを送信可能な軽量バックアップサーバが見つかるまで検索を繰り返して送信先を決定し、
上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送する、ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のバックアップシステムを構成する主要アカウンティングサーバ装置。
【請求項10】
画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続したバックアップシステムでのバックアップ方法であり、
上記主要アカウンティングサーバ装置にて、
上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持し、
上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知し、
上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送し、
上記画像形成装置にて、
上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定し、
上記軽量バックアップサーバにて、
上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う、
ことを特徴とするバックアップ方法。
【請求項1】
画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続しており、
上記主要アカウンティングサーバ装置は、
上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持する代替サーバ情報格納部と、
上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知する代替サーバ通知手段と、
上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送するステータス転送手段と、を備え、
上記画像形成装置は、
上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定する送信先決定手段を備え、
上記軽量バックアップサーバは、
上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う代替処理手段を備える、
ことを特徴とするバックアップシステム。
【請求項2】
上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、
上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送し、
上記代替サーバ情報では、各上記軽量バックアップサーバ装置を識別する情報と上記画像形成装置が送信する情報の属性とが対応付けられており
上記送信先決定手段は、軽量バックアップサーバ装置を決定する際に、上記代替サーバ情報を基に、上記画像形成装置が送信する上記動作データの属性で送信先を振り分けて決定する、ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項3】
上記属性は、上記画像形成装置で実行されたジョブの実行ユーザまたはグループ、またはジョブの種類、に基づくことを特徴とする請求項2に記載のバックアップシステム。
【請求項4】
各アカウンティング処理のタスクごとに優先度が設定されており、上記代替処理手段は、上記優先度に基づき上記代替処理を行うアカウンティング機能縮退手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項5】
上記画像形成装置は、一定時間の経過後あるいは一定回数のジョブの実行後、上記主要アカウンティングサーバ装置に対して復旧確認メッセージを送信し、上記主要アカウンティングサーバ装置から肯定応答を受信することで、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止することを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項6】
上記軽量バックアップサーバ装置は、所定の条件を満たすと、上記主要アカウンティングサーバに対して復旧確認メッセージを送信し、当該主要アカウンティングサーバからの肯定応答を受信することで代替処理終了状態となり、上記画像形成装置に当該軽量バックアップサーバ装置の代替終了状態を通知し、
上記画像形成装置は、上記代替終了状態が通知されると、上記軽量バックアップサーバ装置の利用を停止することを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項7】
上記所定の条件とは、一定時間の経過、上記軽量バックアップサーバ装置でのアカウンティング処理の一定回数の終了、上記軽量バックアップサーバ装置の負荷の一定値超え、および軽量バックアップサーバ装置に対するユーザからの代替処理終了要求の受け付け、の少なくとも一つであることを特徴とする請求項6に記載のバックアップシステム。
【請求項8】
上記軽量バックアップサーバ装置は複数設けられており、
上記代替サーバ情報では、複数の上記軽量バックアップサーバ装置の識別情報と代替処理の優先順位情報とが対応付けられており、
上記送信先決定手段は、上記優先順位情報に基づいて、上記動作データを送信可能な軽量バックアップサーバが見つかるまで検索を繰り返して送信先を決定し、
上記ステータス転送手段は、上記代替サーバ情報にて識別される軽量バックアップサーバ装置全てに対して、上記ステータス情報を転送する、ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のバックアップシステムを構成する主要アカウンティングサーバ装置。
【請求項10】
画像形成装置と、当該画像形成装置のアカウンティング処理を行う主要アカウンティングサーバ装置と、当該主要アカウンティングサーバ装置の代替処理を行う軽量バックアップサーバ装置とがネットワーク接続したバックアップシステムでのバックアップ方法であり、
上記主要アカウンティングサーバ装置にて、
上記軽量バックアップサーバ装置を識別するための代替サーバ情報を保持し、
上記画像形成装置との接続が確立する際に該代替サーバ情報を上記画像形成装置に通知し、
上記画像形成装置のアカウンティング処理に必要なステータス情報を上記画像形成装置から受信すると、上記軽量バックアップサーバ装置に対して、当該ステータス情報を転送し、
上記画像形成装置にて、
上記主要アカウンティングサーバ装置にアカウンティング処理が必要な動作データが送信できない場合には、上記主要アカウンティングサーバから取得している上記代替サーバ情報を基に、上記軽量バックアップサーバ装置を上記動作データの送信先に決定し、
上記軽量バックアップサーバにて、
上記画像形成装置から取得した動作データと上記バックアップデータから取得したステータス情報とを基に上記画像形成装置に対するアカウンティング処理を行う、
ことを特徴とするバックアップ方法。
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図15】
【図16】
【図3】
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【図5】
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【図8】
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【図11】
【図12】
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【図14】
【図1】
【図15】
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【公開番号】特開2008−152664(P2008−152664A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341743(P2006−341743)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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