説明

バックライトシステムおよび粘着剤付光学シート

【課題】光学部材との界面の光の全反射が少なく、接着性や凝集力に優れるとともに、長期の耐久性にも優れる光学用粘着剤層を設けた粘着剤付き光学シートを、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるバックライトシステムならびに該バックライトシステムおよび照明装置に使用される粘着剤付光学シートを提供する。
【解決手段】光が出射される被着体30と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルム10とを、ゲル分率が35〜85%である粘着剤ポリマーを含む粘着剤層20を介して接合していることを特徴とするバックライトシステム6。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を効率よく出射させる光源(バックライトシステム)の構成ならびに該バックライトシステムに使用される粘着剤付光学シートに関するものである。本発明のバックライトシステムおよび粘着剤付光学シートを用いることにより、光学部材との界面の光の全反射が少なく、接着性や凝集力に優れるとともに、長期の耐久性にも優れる光学用粘着剤層を設けた粘着剤付き光学シートを、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるものである。
【背景技術】
【0002】
TVやモニター、ゲーム機、携帯電話などの光学機器において、表面から出射される光は画面の明るさに直接影響し、その輝度を向上させることは明るさやコントラストなどの見栄えに大きく影響するものである。また、出射される光を照明用として用いる場合には、当然、その輝度は明るさに直接影響し、輝度が高いものは電流値を下げられるなどの省エネ的な利点もある。
【0003】
これまで、このような光源の光を均一に出射させるために導光板の設計や、冷極管やLEDなどの発光体自体の形状や配置など設計などの工夫がなされており、できるだけ低電力にて発光させる工夫がされている(たとえば、特許文献1〜2参照)。さらには、導光板の上に、光を拡散する拡散板、再帰反射板などの光学フィルムなどで均一にかつ輝度が向上するような工夫がされている。
【0004】
しかしながら、市販のモニターなどにおいても、光源と一体になっている導光板からでる光を均一にする拡散板は、導光板の上に単においてある(載せてある)だけであり(たとえば、特許文献1〜2参照)、当然、導光板と拡散板の間には薄い空気層があることから、光のロスが生じることが確認できた。このロスをなくすために、導光板自体に表面処理をして拡散機能を持たせる工夫や、導光板と拡散板の間にマッチングオイルなどを用いて空気層をなくす工夫なども検討したが、前者では工程の大幅増加や大きさなどの製品の変化に対応しづらく、後者では光源の熱にて液漏れなどの問題も生じることが判明した。
【0005】
また、導光板とプリズムシートを、粘着剤を介して固定することは知られている(たとえば、特許文献3〜8参照)が、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂からなる被着体(たとえば導光板)にアクリル系粘着剤を貼着すると、被着体と粘着剤との界面に気泡が発生するという問題があった。これは導光板に使用されるポリメタクリル酸メチル樹脂やポリカーボネート樹脂などの樹脂中の水分等がバックライトの点灯による熱の影響で揮発するために、粘着剤層と導光板との界面で発泡すると考えられる。
【0006】
これまでこの問題を解決する粘着剤は知られておらず、たとえば、特許文献3〜6には、導光板とプリズムシートやレンズシートとを透明な粘着剤(両面テープも可)にて接着されると記述されているが、粘着剤に関する詳細な記載はなく、どのような粘着剤が使用できるか不明である。
【0007】
また、特許文献7〜8には、指向性光拡散フィルムが光拡散粘着剤を介して導光板またはプリズムシートに貼り合せてなる面光源装置が記述されており、その光拡散粘着剤の一般的な製造方法も記述されている。しかし、界面で気泡が発生するとの課題についての記載はない。これまで上記問題があったために、各種液晶モニターや液晶TV等を分解しても、粘着剤を用いて導光板に光学フィルムを貼り合わせていた例はなく、導光板の上においてあるのが現状である。これらの特許文献では、この対策などの記述は全くなく、どのような粘着剤が使用できるか不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−179494号公報
【特許文献2】特開平11−288614号公報
【特許文献3】特開平10−301109号公報
【特許文献4】特開平11−109344号公報
【特許文献5】特開平11−110131号公報
【特許文献6】特開平11−133419号公報
【特許文献7】特開2005−044744号公報
【特許文献8】特開2005−050654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、上述の問題に対処すべく、光学部材との界面の光の全反射が少なく、接着性や凝集力に優れるとともに、長期の耐久性にも優れる光学用粘着剤層を設けた粘着剤付き光学シートを、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるバックライトシステムならびに該バックライトシステムに使用される粘着剤付光学シートを提供することを目的とする。さらには、本発明は前記バックライトシステムを用いた画像表示装置および照明装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリカーボネート樹脂などの通常の導光板として使用される樹脂に用いても、界面での発泡現象が見られない粘着剤層を設けた粘着剤付き光学シートを、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるバックライトシステムならびに該バックライトシステムに使用される粘着剤付光学シートを提供することを目的とする。さらには、本発明は前記バックライトシステムを用いた画像表示装置および照明装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、光学部材との界面の光の全反射が少なく、接着性や凝集力に優れるとともに、長期の耐久性にも優れる光学用粘着剤層を設けた粘着剤付き光学シートを、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるバックライトシステムの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
さらに、本発明は、光を出射する被着体に貼り付けて光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となる、上記バックライトシステムを用いた出射光の輝度向上方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、下記のバックライトシステムならびに該バックライトシステムに使用される粘着剤付光学シートを用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明のバックライトシステムは、光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、ゲル分率が35〜85%である粘着剤ポリマーを含む粘着剤層を介して接合しており、前記光学フィルムが、複数層の光学フィルムが積層されたものであり、前記被着体の屈折率が前記粘着剤層の屈折率より小さく、かつ、前記粘着剤層の屈折率が前記複数層の光学フィルムの少なくとも1層の屈折率より小さく、前記凹凸加工処理を施した光学フィルムの反対面に粘着剤層が貼り付けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明は、マイクロレンズおよび/または光拡散板などの凹凸加工処理を施した光学フィルム(たとえば、10や12)と光が出射される被着体(たとえば、30)とを粘着剤層20を介して接合していることにより、上述のような非常に優れた輝度向上効果を発現するものを見出したものである。
【0016】
なお、本発明における光学フィルムとは、光学テープや光学シートなどのフィルム状の他の形態を含むものである。
【0017】
また、前記被着体が光源、導光体、または光源ユニットであることが好ましい。
【0018】
また、前記光学フィルムがマイクロレンズおよび/または光拡散板であることが好ましい。
【0019】
さらに、前記光学フィルムが、複数層の光学フィルムが積層されたものとすることができる。
【0020】
また、前記粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率が10,000〜1,000,000Paであることが好ましい。
【0021】
さらには、前記粘着剤層の屈折率が1.50以上であることが好ましい。
【0022】
また、本発明の画像表示装置および照明装置は上述のバックライトシステムを含むことを特徴とする。
【0023】
一方、本発明の粘着剤付光学シートは、上述のバックライトシステムに用いられる、前記光学フィルムの最外層に上記粘着剤層を積層してなることを特徴とする。
【0024】
また、前記粘着剤層が、水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、芳香族環を有するタッキファイヤー10〜150重量部、および架橋剤0.03〜2重量部を配合した粘着剤組成物からなる粘着剤層であることが好ましい。
【0025】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーにさらに高屈折率単量体を共重合した変性(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0026】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、窒素含有モノマーを0.1〜20重量%、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜5重量%、および水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーにさらに高屈折率単量体を共重合した変性(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0027】
さらには、前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、さらにシランカップリング剤0.01〜2重量部配合したものとすることができる。
【0028】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、n−アクリル酸ブチルを50〜99重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましい。
【0029】
さらには、前記粘着剤層が光透過性の無着色粒子を分散含有して光拡散性を示す粘着剤層であることが好ましい。
【0030】
また、前記粘着剤層の厚さが2〜100μmであることが好ましい。
【0031】
他方、本発明のバックライトシステムの製造方法は、上述の光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、粘着剤層を介して接合する工程を含むことを特徴とする。
【0032】
また、本発明の出射光の輝度向上方法は、上述のバックライトシステムを用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明のバックライトシステムおよびそれに用いられる粘着剤付光学シートは、上述のように、発光体からの光が出射される導光板や封止材や光源ユニットの上に、粘着剤を介して、マイクロレンズや拡散板などの表面積が増加する凹凸の加工処理を施してなる光学フィルムの反対面(凹凸処理がなされていない面)を貼り付けることで、大幅に輝度が向上することを見出したものである。さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となるものである。
【0034】
本発明に使用される粘着剤組成物(粘着剤層)としては、その透明性や耐候性が良好なことから一般的なアクリル系粘着剤を使用してもよいが、屈折率が高い粘着剤を用いると、より輝度が向上する効果が発現できた。上記作用効果の発現する理由は明らかではないが、光学部材の屈折率は、ガラスで1.50〜1.55、ポリカーボネートで1.54、トリアセチルセルロース1.50であり、アクリル系粘着剤の1.47と大きな差があることから、光学部材と粘着剤の界面に屈折率差が生じ、浅い角度で光が入ると全反射が起るために、光の有効利用が妨げられるという現象を効果的に低減できているからではないかと推測している。なお、前記屈折率の測定波長は589nmである。
【0035】
一方、本発明のバックライトシステムの製造方法は、上述の光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、粘着剤層を介して接合する工程を含むことを特徴とするものであるが、簡便に出射光の輝度を大幅に向上させたバックライトシステムを製造することができる。
【0036】
また、本発明の出射光の輝度向上方法は、上述のバックライトシステムを用いることを特徴とするが、非常に簡便に出射光の輝度を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明のバックライトシステムの一態様を示す断面図である。
【図2】本発明のバックライトシステムの一態様を示す断面図である。
【図3】本発明のバックライトシステムの一態様を示す断面図である。
【図4】本発明のバックライトシステムの一態様を示す断面図である。
【図5】本発明のバックライトシステムの一態様を示す断面図である。
【図6】本発明の照明装置の一態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0039】
本発明のバックライトシステム6は、図1〜5に例として示すように、光が出射される被着体(たとえば、30)と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルム(たとえば、10や12)とを、粘着剤層20を介して接合していることを特徴とする。また、本発明の照明装置は、図6に例として示す構成などにより、このまま照明装置としても利用が可能である。
【0040】
前記被着体としては、たとえば、光源、導光体、光源ユニットなどがあげられるが、なかでも光源32、導光体30、または光源ユニット3であることが好ましい。
【0041】
上記光源として、たとえば、PDP蛍光体、LED蛍光体、有機EL、冷極管、レーザー光源などがあげられ、いずれを使用しても大きな効果が観察される。これらの光源に直接粘着剤層を介して光学シートを貼り付ける方法も可能ではあるが、これら光源を組み込んだ構成のもの、たとえば、表面がガラス板やアクリル板である液晶テレビやモニターのバックライトなどや、LEDを光源とする導光板、有機EL発光体などのガラス基板が使用される。このような光源に直接、本発明の粘着剤層付光学シートを貼り付けることで、光源からの光を内部に閉じ込めることなく、効率よく出射できる効果が発現できる。
【0042】
通常、バックライト上に拡散板などを設ける場合には、バックライトの上部に光学シートを載せるだけであり、バックライトと光学シートの間には、屈折率が1.0の薄い空気層が存在するために光のロスが起こっていたが、粘着剤層を介して光学シートを設けることでこのロスが少なくなり、さらには、特に被着体であるバックライトの表面の屈折率より高い屈折率の粘着剤層を設けることで、光のロスがほとんどなくなり、光を効率よく出射させることができるものと推察される。
【0043】
また、上述の表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとしては、粘着剤層の反対面に表面積が増加する凹凸の加工処理を施している光学フィルムが用いられる。このような表面積が増加するような加工処理を施すことで、最後に空気層へ光を効率的に出射できるようにすることができる。
【0044】
上述の表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとしては、具体的には、マイクロレンズ、光拡散板、プリズムシートなどがあげられるが、なかでもマイクロレンズおよび/または光拡散板であることが好ましい。
【0045】
上記マイクロレンズには、表面に1〜100μmの均一な砲弾状や球状、ピラミッド状の加工処理が施されたものがあげられる。このようなマイクロレンズは均一な構造であることから空気層への均一な光の出射が可能となる。
【0046】
また、本発明において使用されるマイクロレンズアレイとしては、特に限定されないが、例えばfナンバー(レンズ焦点距離/有効口径)が0.5〜4.0のものが好ましく、より好ましくは0.6〜3.0である。上記範囲内にある場合、より効率的にバックライトの光を集光することができる。
【0047】
上記マイクロレンズの製造方法は特に限定されず、均一なシートを金型などでプレスして表面成型加工を行う方法や、液状樹脂を塗布してUVや熱で硬化させることによって成型することも可能である。
【0048】
また、拡散粒子を分散したポリマー溶液を、微粒子の粒径より小さな乾燥厚で塗布することで、表面に凹凸形状を作成した拡散板や、ポリマー溶融物に微粒子を練込み、押し出し成型することで表面に光拡散機能を持たせた拡散板も使用できる。
【0049】
本発明における光学フィルムは、粘着剤層面と、空気層面の凹凸の加工処理面で異なる材質の複数の光学フィルムが積層された光学シートも使用することができる。たとえば、粘着剤層面に強度を保持する機能、空気面に加工処理が容易な機能を持たせるなどの工夫も可能である。
【0050】
具体的な材料としては、透明であれば使用可能であり、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ボリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などがあげられる。
【0051】
特に、光が出射される被着体表面の屈折率<粘着剤層の屈折率<光学フィルムの屈折率の順になるようにすることが、各層間の光のロスを無くなるために好ましい構成である。たとえば、光が出射されるポリメタクリル酸メチルの導光板の表面屈折率が1.49、アクリル系粘着剤の屈折率が1.49以上、光学フィルムの屈折率が1.50以上となる構成などが好ましく使用される。
【0052】
また、前記光学フィルムが、複数層の光学フィルムが積層されたもの(光学フィルム)1とすることができる。ここで、積層された光学フィルム1の積層方法として、単に重ねるだけでもよいが、本発明の粘着剤を用いることで、より液晶モジュールまで光を効率よく導くことも可能となる。
【0053】
光学フィルム(光学部材)としては、液晶表示装置などの画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。たとえば、光学部材としては偏光板などの光学フィルムがあげられる。偏光板には、偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0054】
偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料などの二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物などポリエン系配向フィルムなどがあげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これら偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に、5〜80μm程度である。
【0055】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛などを含んでいてもよいヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行ってもよいし、染色しながら延伸してもよいし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
【0056】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムを形成する材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。たとえば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミドなどのアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、または前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系などの熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
【0057】
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
【0058】
保護フィルムの厚さは、適宜に決定することができるが、一般には強度や取扱性などの作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
【0059】
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0060】
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロースなどのセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料などからなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤などを介して密着している。水系接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステルなどを例示できる。
【0061】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0062】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、たとえばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性などに優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
【0063】
また、アンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止などを目的に施されるものであり、たとえばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、たとえば、平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモンなどからなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋または未架橋のポリマーなどからなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0064】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0065】
また本発明の光学フィルムとしては、たとえば、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置などの形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で本発明の光学部材として用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0066】
特に、偏光板にさらに反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板にさらに視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板にさらに輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0067】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライトなどの光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層などを介して偏光板の片面に金属などからなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0068】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウムなどの反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制することができる利点などを有する。また微粒子含有の透明保護フィルムは、入射光およびその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制することができる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、たとえば、真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式などの蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0069】
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板などで被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0070】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラーなどの半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライトなどの内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライトなどの光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0071】
偏光板にさらに位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0072】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青または黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。さらに、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、たとえば、画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0073】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0074】
高分子素材としては、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース系重合体、ノルボルネン系樹脂、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これら高分子素材は延伸などにより配向物(延伸フィルム)となる。
【0075】
液晶性ポリマーとしては、たとえば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどがあげられる。主鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサ部でメソゲン基を結合した構造の、たとえば、ネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶性ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサ部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これら液晶性ポリマーは、たとえば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコールなどの薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化珪素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0076】
位相差板は、たとえば、各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差などの光学特性を制御したものなどであってもよい。
【0077】
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板または反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板などは、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成することができるが、前記のように予め楕円偏光板などの光学部材としたものは、品質の安定性や積層作業性などに優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させることができる利点がある。
【0078】
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、たとえば、位相差板、液晶ポリマーなどの配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマーなどの配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、たとえば、ポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理または/および収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いることができる。
【0079】
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いることができる。
【0080】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光をさらにその後ろ側に設けられた反射層などを介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部または全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示などに利用することができる光量の増大を図ることにより輝度を向上させることができるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示などに利用することができる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、さらにその後ろ側に設けられた反射層などを介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0081】
輝度向上フィルムと上記反射層などの間に拡散板(光拡散シート)を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層などに向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層などに向かい、反射層などを介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層などの間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0082】
前記の輝度向上フィルムとしては、たとえば、誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回りまたは右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いることができる。
【0083】
したがって、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層のように円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0084】
可視光域などの広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、たとえば、波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、たとえば、1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。したがって、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0085】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層または3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域などの広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0086】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板のように、偏光板と2層または3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。したがって、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
【0087】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置などの製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学部材としたものは、品質の安定性や組立作業などに優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させることができる利点がある。積層には粘着剤層などの適宜な接着手段を用いることができる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0088】
なお、本発明の粘着剤付光学フィルムの光学フィルムや粘着剤層などの各層には、たとえば、サリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などの紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
【0089】
本発明の光学フィルム(粘着剤付光学フィルム)は、液晶表示装置などの各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行うことができる。すなわち、液晶表示装置は一般に、液晶セルなどの液晶モジュール50と粘着剤付光学部材、および必要に応じての照明システムなどの構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じることができる。液晶セルについても、たとえば、TN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いることができる。
【0090】
液晶セルの片側または両側に粘着剤付光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学部材は液晶セルの片側に設置することができる。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、たとえば、拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層または2層以上配置することができる。
【0091】
このような光学フィルムは、粘着剤層と貼り合せた場合の投錨力を向上させるため、光学フィルムの表面をコロナ処理、プラズマ処理などの易着処理や下塗り処理を行ってもよい。
【0092】
また、本発明の画像表示装置および照明装置は、上記バックライトシステムを用いた液晶表示装置などであり、光を効率よく出射させることが可能となり、さらには省エネ、長寿命にも貢献する技術となる。
【0093】
一方、本発明のバックライトシステム6は、たとえば図1〜5に示すように粘着剤層20を介して、光が出射される被着体(たとえば、30)と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルム(たとえば、10や12)とを接合することを特徴とするものである。上記粘着剤層20は単独層であってもよく、また2層以上を積層して使用してもよい。
【0094】
粘着剤層20を形成する粘着剤としては、特に限定されないが、アクリル系粘着剤やゴム系粘着剤を特に制限なく使用できる。
【0095】
ゴム系粘着剤としては、たとえば、天然ゴム、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物、スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、ならびに、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、などがあげられる。なかでも、天然ゴムとメチルメタクリレートなどのアクリル成分との共重合物が好ましい。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0096】
アクリル系粘着剤としては、たとえば、水酸基含有モノマー0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーが特に好ましい。
【0097】
水酸基含有モノマーとして、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。なかでも特に、側鎖の炭素数が4以上の水酸基含有モノマーが用いられる(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いた粘着剤組成物(および粘着剤層)が、耐熱性の面からも好ましく用いられる。
【0098】
上記水酸基含有モノマーを使用する際は、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜7重量%共重合される。上記水酸基含有モノマーの含有量が少なすぎると長期の耐久性が低下する場合があり、多すぎると硬くなり耐久性に不具合が生じる場合がある。
【0099】
また、アクリル系粘着剤としては、共重合されるアルキル基を有するアクリル系モノマーが使用され、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。なかでも特に、ベースポリマーに添加されるタッキファイヤーとの相溶性を考慮すると、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく用いられ、その際にはアクリル共重合体中に50〜99重量%使用されることが好ましく、より好ましくは65〜99重量%である。
【0100】
さらに、上記(メタ)アクリル系ポリマーには、共重合可能な他の単量体(モノマー成分)を適宜共重合してもよい。共重合可能な単量体としては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリルアミド、ジメチルアミノメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、グリシジルアクリレート、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエンやα−ビニルトルエンなどの誘導体などの高屈折率単量体、べンジル(メタ)アクリレートやナフチル(メク)アクリレート、フエノキシエチル(メタ)アクリレート、フエノキシブチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。
【0101】
特に、接着性を向上させたり、凝集力を上げたり、効率的に架橋して耐熱性を上げるために、カルボキシル基を有するモノマー成分(カルボキシル基含有モノマー)も用いられる。
【0102】
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などがあげられ、特にアクリル酸とメタクリル酸が好ましく用いられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0103】
上記カルボキシル基含有モノマーを使用する際は、0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%共重合される。上記カルボキシル基含有モノマーが少なすぎると接着性に劣り、多すぎるとタッキファイヤーとの相溶性が大きく低下して粘着剤が白濁するために好ましくない。
【0104】
また、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、窒素含有モノマーを0.1〜20重量%、
カルボキシル基含有モノマーを0.1〜5重量%、および水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーであることが好ましく、さらに前記(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が好ましくは30〜85重量%に調整されたものがより好ましく用いられる。このように粘着剤ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)中に窒素原子を含む官能基とカルボキシル基が共存すると、その相互作用により内部凝集力がさらに向上して、ポリメタクリル酸メチル樹脂やポリカーボネート樹脂などの通常の導光板として使用される樹脂に提供しても、界面での発泡現象が見られなくなる効果がより顕著になる。
【0105】
上記窒素含有モノマーとしてはアミノ基またはイミド基もしくはアミド基を有するモノマーをあげることができ、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N、N−ジエチルアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロへキシルマレイミド、N−フエニルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−へキシルマレイミドなどがあげられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0106】
上記窒素含有モノマーを使用する際は、0.1〜20重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10重量%共重合される。上記窒素含有モノマーが少なすぎると内部凝集力を充分向上させることができず、多すぎると接着性が低下する場合があり、好ましくない。
【0107】
上記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は通常60万以上、好ましくは70万〜300万である。上記重量平均分子量が小さすぎると、耐久性に乏しくなり、多すぎると、作業性が悪くなるために好ましくない。
【0108】
上記(メタ)アクリル系ポリマーの製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合などの公知の任意の製法を採用することができる。
【0109】
たとえば、溶液重合では、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などの重合開始剤を、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜0.2重量部使用することが好ましく、より好ましくは0.05〜0.15重量部使用する。酢酸エチルなどの重合溶媒を使用して、窒素気流下で50〜70℃で8〜30時間反応させることにより得られる。
【0110】
このようにして得られたアクリル系共重合体の屈折率を調節したり、内部凝集力を上げたり、耐熱性を上げる目的で、変性処理をすることもできる。
【0111】
たとえば、上記変性処理として、得られた(メタ)アクリル系ポリマー100重量部の存在下に、上記(メタ)アクリル系ポリマーと異なる組成の単量体(モノマー成分)を10〜200重量部、好ましくは10〜100重量部加えて、必要に応じて媒体も調整して、過酸化物0.02〜5重量部、好ましくは0.04〜2重量部を使用して、グラフト重合反応を行う。
【0112】
ここで組成の異なる単量体というのは、特に限定されず、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、イソボルミル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマーや、スチレンやα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエンやα−ビニルトルエンなどの誘導体などの高屈折率単量体があげられる。前記高屈折率単量体を使用することにより、アクリル系粘着剤の屈折率を高めることができる。
【0113】
重合方法としては、溶液重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマーの溶液に、必要な単量体と粘度調整される溶媒を加えて、窒素置換した後、過酸化物0.02〜5重量部、好ましくは0.04〜2重量部を加えて、50〜80℃で、4〜15時間加熱して、グラフト重合反応を行う。
【0114】
乳化重合であれば、(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液に、固形分量を調整する水を加えて、さらに必要な単量体を加えて、撹拌しながら窒素置換して(メタ)アクリル系ポリマー体粒子に単量体を吸収させた後に、水溶性の過酸化物水溶液を加えて、50〜80℃で、4〜15時間加熱して反応を終了させる。
【0115】
このように、(メタ)アクリル系ポリマーの存在下に単量体を重合することで、この単量体のホモポリマーも生成するが、(メタ)アクリル系ポリマーへのグラフト重合も起こることで、他のホモポリマーからなる重合体がアクリル系共重合体中に均一に存在する状態になる。この際の開始剤として使用される過酸化物が少ないとグラフト重合反応の時間がかかりすぎ、多すぎると単量体のホモポリマーが多く生成するために好ましくない。
【0116】
上記粘着剤組成物(粘着剤層)においてはタッキファイヤーなどの粘着付与剤を適宜用いることができる。
【0117】
上記タッキファイヤーとしては、特に限定されないが、無着色で透明のものが好ましい。上記タッキファイヤーとして、たとえば、芳香族環を有するタッキファイヤーで、屈折率が1.51〜1.75の範囲のものが好ましく使用される。また、タッキファイヤーの重量平均分子量は、1000〜3000であることが好ましく、軟化点は90℃以下であることが好ましい。重量平均分子量が3000を超えるたり、軟化点が90℃を超えると、アクリル系ポリマーとの相溶性が低下する場合があり、重量平均分子量が1000未満であると、粘着剤の凝集力が低下する場合がある。
【0118】
その透明の目安としては、50重量%トルエン溶液でのガードナー色相1以下が使用される。具体的には、スチレンオリゴマー、フエノキシエチルアクリレートオリゴマー、スチレンとα−メチルスチレンの共重合体、ビニルトルエンとα−メチルスチレンの共重合体、C9系石油樹脂の水添物、テルペンフエノールの水添物、ロジンおよぶその誘導体の水添物などがあげられる。この際、軟化点が40℃以下のタッキファイヤーはその使用量を30重量部未満とし、軟化点が50℃以上のタッキファイヤーと併用して20重量部(合計50重量部)以上で使用されるのが、耐熱性の面で好ましい。
【0119】
これらのタッキファイヤーの配合量は、(メタ)アクリル系ポリマー固形分100重量部に対して、10〜150重量部、好ましくは20〜100重量部用いられ、所定の屈折率に調整される。少なすぎると屈折率が十分に上がらず、多すぎると硬くなり接着性が低下するため好ましくない。
【0120】
上記粘着剤組成物(粘着剤層)においては架橋剤を適宜用いることができる。特に(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いる際、架橋することにより凝集力や耐久性が向上するため好ましい。
【0121】
上記架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、過酸化物などがあげられる。
【0122】
イソシアネート系架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、へキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類や、各種ポリオールで変性したジイソシアネート付加物、イソシアヌレート環やビューレット体やアロファネート体を形成させたポリイソシアネート化合物などがあげられる。特に、脂肪族や脂環族のイソシアネートが、架橋物が透明になるため好ましく用いられる。
【0123】
上記架橋剤の配合量としては、使用する材料によっても異なるが、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.03〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部の範囲で使用される。上記架橋剤の配合量が少なすぎると凝集力が不足し、多すぎると接着性が低下するために好ましくない。
【0124】
また、乳化重合にて製造した変性(メタ)アクリル系ポリマーの水分散液では、イソシアネート系架橋剤を用いない場合が多いが、使用する場合には、イソシアネート基が水と反応しやすいため、ブロック化されたイソシアネート系架橋剤を用いても良い。
【0125】
過酸化物としては、加熱によりラジカルを発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃、好ましくは90℃〜140℃の過酸化物を使用する。1分間半減期温度が低すぎると、塗布乾燥する前に保存時に反応が起こり粘度が高くなり塗布不能となる場合があり、高すぎると架橋反応時の温度が高くなり副反応が起こり、過酸化物が残存して経時での架橋が進行する場合があり、好ましくない。
【0126】
本発明に用いられる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
【0127】
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
【0128】
前記過酸化物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記ベースポリマー100重量部に対し、前記過酸化物0.03〜2重量部含有することが好ましく、0.04〜1.5重量部含有することがより好ましく、0.05〜1重量部含有することがさらに好ましい。0.03重量部未満では、凝集力が不足する場合があり、一方、2重量部を越えると、架橋形成が過多となり、接着性に劣る場合がある。
【0129】
また、上記過酸化物を使用するために、芳香族系のイソシアネート化合物を使用した場合には、硬化後の粘着剤が着色する場合があることから、透明性が要求される用途では、脂肪族や脂環族系イソシアネートが好ましく用いられる。
【0130】
このような架橋剤の配合量としては、使用する材料によっても異なるが、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常0.03〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部の範囲で使用される。少なすぎると凝集力が不足し、多すぎると接着性が低下するために好ましくない。
【0131】
上記(メタ)アクリル系ポリマーに上記架橋剤を配合してなる粘着剤組成物は、支持体上に塗布乾燥し、架橋後の粘着剤のゲル分率が35〜85重量%、好ましくは40〜80重量%、より好ましくは45〜70重量%になるように架橋処理される。ゲル分率が小さすぎると凝集力に劣り、大きすぎると接着性に劣るため好ましくないが、この範囲にすることで、アクリル板などに貼り合せた際には、アクリル板からの水分や残存モノマーの発生があっても、アクリル板と粘着剤の接着界面での発泡現象を抑制することができる。ここでの粘着剤ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)のゲル分率とは、架橋構造に取り込まれないタッキファイヤーを用いたような場合には、未架橋のポリマーとともにタッキファイヤーも溶媒に溶解するので、そのタッキファイヤーの量を修正した、最初の粘着剤ポリマーに対する架橋したポリマーの量を示すものである。また、加熱保存などでゲル分率が増加する場合もあるが、ゲル分率の増加は10重量%を目安に、最大95重量%になるように設定される。
【0132】
上記ゲル分率にするためには、上記架橋剤の量を調整することも当然であるが、過酸化物を使用する場合には架橋処理温度や時間も重要であり、過酸化物の分解量が50重量%以上、好ましくは70重量%以上になるように架橋処理温度と時間の設定することが目安とすることができる。過酸化物の分解量が小さいと残存する過酸化物が多くなり経時での架橋反応が起こるために好ましくない。
【0133】
具体的には、たとえば、架橋処理温度が1分間半減期温度では、1分で分解量は50重量%、2分で75重量%となり、1分以上の加熱処理することが必要となり、架橋処理温度での過酸化物の半減期時間が30秒であれば、30秒以上の架橋処理が必要となり、架橋処理温度での過酸化物半減期時間が5分であれば、5分以上の架橋処理が必要となる。
【0134】
このように、使用する過酸化物によって架橋処理温度や時間は、過酸化物が一次比例すると仮定して半減期時間から比例計算され調整されるが、副反応の恐れから最高170℃までで加熱処理することが必要である。この温度は乾燥時の温度をそのまま使用してもよいし、乾燥後に処理してもよい。
【0135】
架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定されるが、0.2〜20分、好ましくは0.5〜10分が用いられる。
【0136】
過酸化物を使用する際に、芳香族系のイソシアネート化合物を使用した場合には、硬化後の粘着剤が着色する場合があり、透明性が要求される用途では、脂肪族や脂環族系イソシアネートが好ましく用いられる。
【0137】
また、本発明に用いられる粘着剤層は、23℃での貯蔵弾性率が10,000〜1,000,000Paの範囲であることが好ましく、より好ましくは、30,000〜500,000Pa、更に好ましくは40,000〜400,000Paの粘着剤が用いられる。上記貯蔵弾性率が小さすぎると貼り付けた後でのハガレなどが起きやすく、大きすぎると接着性に劣るために好ましくない。
【0138】
また、上記粘着剤組成物(粘着剤層)として、光透過性の無着色粒子を分散含有して光拡散性を示す光透過性の粘着剤組成物(粘着剤層)を用いることが好ましい。
【0139】
拡散粘着剤組成物(拡散粘着剤層)に分散含有させる光透過性の無着色粒子としては、無色透明性の適宜なものを用いうる。光透過性の無着色粒子として、たとえば、シリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化錫や酸化インジウム、酸化カドミウムや酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系粒子、架橋又は未架橋の各種ポリマー等からなる有機系粒子などがあげられる。
【0140】
前記において、無着色粒子の含有により光拡散率が10%以下の光拡散性を示す拡散粘着層として形成することが好ましい。その光拡散率が10%を超えると光の拡散度が過大となり、反射型液晶表示装置を照明下に視認する場合の正面(垂直)方向の明るさに乏しくなる。光の拡散性による良視認の視野角の拡大と前記正面方向の明るさとのバランスなどの点より好ましい光拡散率は、1〜9%、1.5〜8%、特に2〜7%である。
【0141】
なお前記の光拡散率は、特開2000−347006号公報の図1に例示したように、拡散粘着層1に垂直光Hを入射させた場合に、その垂直入射光Hの垂直透過方向Iに対し10度傾斜した方向における透過光の強度をI10、前記Iに対し30度傾斜した方向における透過光の強度をI30としたとき、100×I30/I10(%)にて定義される。
【0142】
前記した光拡散率の達成性と接着力の制御性などの点より好ましく用いうる無着色粒子は、その平均粒径が1〜10μm、好ましくは9μm以下、特に2〜8μmのものである。また後方散乱を抑制して透過方向に良好な拡散性をもたせる点などよりは無着色粒子の屈折率をn、粘着層の屈折率をnとしたとき、式:0.01<|n−n|<0.1、好ましくは|n−n|<0.09、特に−0.08<n−n<−0.01を満足する組合せとしたものが好ましい。
【0143】
なお、上記拡散粘着層に分散含有させる光透過性の無着色粒子の量は、上記した光拡散率などに基づいて適宜に決定されるが一般には、接着力を確保する点などより粘着剤組成物(固形分)100重量部あたり、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは15〜100重量部の無着色粒子が用いられる。
【0144】
上述のように、粘着剤組成物(粘着剤層)中に微粒子を分散させたり、変性アクリル共重合体の変性時に添加単量体の重合物によるドメイン形成によるヘイズの発現などにより、粘着剤自体にも拡散機能を持たせるような設計も可能であり、より光の分散効果をもたらすことができる。
【0145】
さらに、この(メタ)アクリル系ポリマーからなる粘着剤組成物がガラスなどの親水性被着体に適用される場合には、界面での耐水性を上げるためにシランカップリング剤が0.01〜1重量部配合される。
【0146】
シランカップリング剤としては、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのインシアネート基含有シランカップリング剤などがあげられる。このようなシランカップリング剤を使用することは、耐久性の向上に好ましい。
【0147】
前記シランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.01〜2重量部含有することが好ましく、0.02〜1重量部含有することがより好ましい。0.01重量部未満では、耐久性の向上効果に劣る場合があり、一方、2重量部を越えると、液晶セル等の光学部材への接着力が増大しすぎて再剥離性に劣る場合がある。
【0148】
上記粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、加硫剤、粘着付与剤、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
【0149】
上記粘着剤組成物は、支持体として光学シート(光学フィルム)が用いられて、支持体上に塗布乾燥、架橋処理して粘着剤層付光学シートとされる。剥離処理した支持体上に塗布乾燥して、各種の光学シートに転写することも通常行われる。エンボス加工した剥離処理支持体上に塗布乾燥し光学シートに転写した場合は、粘着剤層表面が凹凸化でき、光が出射される被着体に貼り付ける際に気泡が抜けやすいという利点もある。
【0150】
上述の塗布の方法としては、リバースコーター、コンマコーターやリップコーター、ダイコーターなど任意の塗布方法で、通常乾燥後の粘着剤厚さが2〜500μm、好ましくは5〜100μmとなるように処理される。
【0151】
また、本発明の粘着剤付光学シートは、上記バックライトシステムにおける、上記の構成を有する粘着剤層を光学フィルムの片面に形成しているものである。本発明の粘着剤付光学シートは、上記のような作用効果を奏する粘着剤層を備えるため、光源からの光を内部に閉じ込めることなく、効率よく出射できる効果が発現できる。
【0152】
このような本発明の粘着剤層付光学シートは、光が下部から照射される被着体に貼り付けて使用される。光が出てくる被着体の表面の屈折率より、粘着剤層の屈折率が高く、さらに粘着剤層の屈折率より光学シートの屈折率が高いという構成になることで、各層間での反射がなくなるために出射される光のロスがなく、光を効率よく出射させることができる。本発明は、このような効率的な光の出射方法を見出したものでもある。
【0153】
一方、このような光源の表面に微細な凹凸があって、光をロスするような場合にも、本発明の粘着剤層付光学シートを貼り付けることで効率よく光を出射できる。これは、粘着剤の軟らかさという特徴のためにこのような凹凸部分に粘着剤が入り込み、凹凸による空気層の巻き込みをなくし、かつ屈折率が高いための効果と考えられる。
【0154】
さらには、FED方式などで見られる発光輝度のバラツキを抑えるような効果も期待できる。
【0155】
一方、本発明のバックライトシステムの製造方法は、上述の光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、粘着剤層を介して接合する工程を含むことを特徴とするものであるが、簡便に出射光の輝度を大幅に向上させたバックライトシステムを製造することができる。
【0156】
また、本発明の出射光の輝度向上方法は、上述のバックライトシステムを用いることを特徴とするが、非常に簡便に出射光の輝度を大幅に向上させることができる。
【実施例】
【0157】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして行った。
【0158】
〔実施例1〕
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル233重量部を溶剤として、アクリル酸ブチル98重量部、アクリル酸1.0重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.0重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。重量平均分子量97万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。この(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.46であった。
【0159】
この(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、タッキファイヤーとしてスチレンオリゴマー(軟化点:72−77℃、重量平均分子量:1350、屈折率:1.59、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)40重量部を添加し、さらにへキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート三量体(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−170N)0.1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部を添加し、本発明の粘着剤組成物とした。
【0160】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が69重量%、屈折率1.50の粘着剤層を得た。
【0161】
また、トルエン100重量部に、ポリスチレン樹脂(PSジャパン社製、HH105)20重量部を溶解し、ポリスチレン溶液を調製した。
【0162】
ついで、24μmのポリエステル(帝人デュポン社製、PETフィルムG2、屈折率:1.50)表面に、上記ポリスチレン溶液を塗布して、ポリスチレン層(屈折率:1.59、硬化後の厚み:5μm)を形成し、160℃の熱プレスにて半径5μmに加工したマイクロレンズ(fナンバー:0.86)を得た。続いて、上記粘着剤層をポリエステルフィルム側に転写し、実施例1の粘着剤層付き光学シートとした。
【0163】
〔実施例2〕
実施例1において、タッキファイヤーをスチレンオリゴマー(軟化点:82−85、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)80重量部とした以外は、実施例1と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が68重量%、屈折率1.52の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例2の粘着剤層付き光学シートとした。
【0164】
〔実施例3〕
実施例1の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、30重量部のスチレンと、重合開始剤としてのべンゾイルパーオキサイド0.15重量部を加えて、窒素置換しながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.47であった。
【0165】
この変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)80重量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)0.15重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を添加し、本発明の粘着剤組成物とした。
【0166】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が67重量%、屈折率1.53の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例3の粘着剤層付き光学シートとした。
【0167】
〔実施例4〕
実施例3の変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、タッキファイヤーをスチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)40重量部とした以外は、実施例3と同様にして、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が67%、屈折率1.51の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例4の粘着剤層付き光学シートとした。
【0168】
〔実施例5〕
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233重量部を溶剤として、アクリル酸ブチル98.5重量部、アクリル酸0.5重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1.0重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。重量平均分子量112万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
【0169】
この(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、50重量部のスチレンとアクリル酸4−ヒドロキシブチル2.5重量部、重合開始剤としてのべンゾイルパーオキサイド0.25重量部を加えて、窒素置換しながら、60℃で5時開、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.48であった。
【0170】
この変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、タッキファイヤーとしてスチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)80重量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)0.15重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を添加し、本発明の粘着剤組成物とした。
【0171】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が65重量%、屈折率1.53の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例5の粘着剤層付き光学シートとした。
【0172】
〔実施例6〕
実施例5の変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)40重量部、スチレンオリゴマー(軟化点:室温以下、重量平均分子量:430、屈折率:1.60、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA5)10重量部、ベンゾイルパーオキサイド0.3重量部、トリメチロールプロパンのイソホロンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−140N)0.05重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン0.2重量部を添加し、本発明の粘着剤組成物とした。
【0173】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、140℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が60重量%、屈折率1.52の粘着剤層を得た。
【0174】
これを、100μmの厚さの光拡散シートに貼り付けて、実施例6の粘着剤層付き光学シートとした。
【0175】
〔実施例7〕
実施例1の(メタ)アクリル系ポリマーにタッキファイヤー以外の処方を行い、同様の操作を行って、実施例7の粘着剤層付き光学シート(粘着剤の屈折率:1.46、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率:70重量%)とした。
【0176】
〔実施例8〕
実施例5の変性(メタ)アクリル系ポリマーをグラフト重合反応する際に、スチレン40重量部とアクリロイルモルホリン10重量部を用いたこと以外、実施例5と同様の操作を行い、上記(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が68重量%、屈折率1.54の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例8の粘着剤層付き光学シートとした。
【0177】
〔実施例9〕
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に酢酸エチル233重量部を溶剤として、アクリル酸ブチル92重量部、アクリル酸2重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1重量部、アクリロイルモルホリン5重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。重量平均分子量118万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。この(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.47であった。
【0178】
この(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、タッキファイヤーとしてスチレンオリゴマー(軟化点:72〜77℃、重量平均分子量:1350、屈折率:1.59、イーストマンケミカル社製、ピコラスチックA75)40重量部を添加し、さらにトリメチロールプロパンのへキサメチレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−160N)0.1重量部、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.1重量部を添加し、本発明の粘着剤組成物とした。
【0179】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤層の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が66%、屈折率1.51の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例9の粘着剤層付き光学シートとした。
【0180】
〔実施例10〕
実施例9の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、30重量部のスチレンと、重合開始剤としてのべンゾイルパーオキサイド0.15重量部を加えて、窒素置換しながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.48であった。
【0181】
この変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)80重量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)0.1重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0182】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38pmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が63%、屈折率1.54の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例10の粘着剤層付き光学シートとした。
【0183】
〔実施例11〕
実施例8の変性(メタ)アクリル系ポリマーをグラフト重合反応する際に、アクリロイルモルホリンに代えてN,N−ジメチルアクリルアミドを用いたこと以外、実施例8と同様の操作を行い、上記(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が70重量%、屈折率1.54の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例11の粘着剤層付き光学シートとした。
【0184】
〔実施例12〕
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル233重量部を溶剤として、アクリル酸ブチル99重量部、アクリル酸0.5重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル0.5重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。重量平均分子量103万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
【0185】
この(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレン40重量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル2重量部を添加し、さらに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.20重量部を加え、窒素置換をしながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.47であった。
【0186】
この変性(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)60重量部、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−110N)0.2重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0187】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が74重量%、屈折率1.52の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例12の粘着剤層付き光学シートとした。
【0188】
〔実施例13〕
実施例12の変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に、スチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)80部、トリメチロールプロパンの水添キシリレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−120N)0.15部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0189】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が71重量%、屈折率1.53の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例13の粘着剤層付き光学シートとした。
【0190】
〔実施例14〕
冷却管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル233重量部を溶剤として、アクリル酸ブチル99重量部、アクリル酸4−ヒドロキシブチル1重量部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1重量部を入れ、窒素置換を行った後、55℃に昇温し15時間重合反応を行なった。重量平均分子量93万の(メタ)アクリル系ポリマーの溶液を得た。
【0191】
この(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレン50重量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル2.5重量部を添加し、さらに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.25重量部を加え、窒素置換をしながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.48であった。
【0192】
この変性(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)80重量部、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−110N)1重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0193】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が82重量%、屈折率1.53の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例14の粘着剤層付き光学シートとした。
【0194】
〔実施例15〕
実施例14の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレン40重量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル2重量部を添加し、さらに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.20重量部を加え、窒素置換をしながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.47であった。
【0195】
この変性(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、α−メチルスチレンとスチレンの共重合体(軟化点:82−88℃、重量平均分子量:1200、屈折率:1.61、イーストマンケミカル社製、クリスタレックス3085)60重量部、トリメチロールプロパンの水添キシリレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−120N)0.7重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0196】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が80重量%、屈折率1.52の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例15の粘着剤層付き光学シートとした。
【0197】
〔実施例16〕
実施例5の粘着剤組成物に、光透過性の無着色粒子として、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物粒子(日本触媒社製、エポスターS6)を、変性(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、30重量部加えて均一な状態にし、本発明の粘着剤組成物とした。
【0198】
この粘着剤組成物を、均一な状態にして、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が60重量%、屈折率1.53の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例16の粘着剤層付き光学シートとした。
【0199】
〔実施例17〕
実施例14の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、フェノキシエチルアクリレート30重量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル1.5重量部を添加し、さらに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.15重量部を加え、窒素置換をしながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.48であった。
【0200】
この変性(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)40重量部、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物(三井化学ポリウレタン社製、タケネートD−110N)0.5重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0201】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が75重量%、屈折率1.52の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例17の粘着剤層付き光学シートとした。
【0202】
〔実施例18〕
実施例14の(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、ベンジルアクリレート30重量部とアクリル酸4−ヒドロキシブチル1.5重量部を添加し、さらに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.15重量部を加え、窒素置換をしながら、60℃で5時間、70℃で8時間グラフト重合反応を行い、変性(メタ)アクリル系ポリマーを得た。この変性(メタ)アクリル系ポリマーの屈折率は1.48であった。
【0203】
この変性(メタ)アクリル系ポリマーの固形分100重量部に対して、スチレンオリゴマー(軟化点:82−85℃、重量平均分子量:1380、屈折率:1.60、ヤスハラケミカル社製、SX−85)80重量部、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物(日本ポリウレタン社製、コロネートL)1.0重量部、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン0.1重量部を配合し、粘着剤組成物とした。
【0204】
この粘着剤組成物を、シリコーン剥離処理した38μmのPETに、粘着剤の乾燥厚さが15μmになるように塗布し、120℃で3分乾燥・架橋を行い、(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率が81重量%、屈折率1.54の粘着剤層を得た。さらに、この粘着剤層を、実施例1記載のマイクロレンズのポリエステルフィルム側に転写し、実施例18の粘着剤層付き光学シートとした。
【0205】
〔比較例1〕
粘着剤層付き光学シートを光源に貼り付けない、バッククライト上に設置してあった拡散板、BEF、拡散板の3枚をそのままのせて比較例1の光学シートとして評価した。
【0206】
〔比較例2〕
実施例1において、イソシアネート系架橋剤の量を0.5重量部とした以外は、同じ操作を行った。(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率は93重量%であった。
【0207】
〔比較例3〕
実施例1において、イソシアネート系架橋剤の量を0.02重量部とした以外は、同じ操作を行った。(メタ)アクリル系ポリマーのゲル分率は30重量%であった。
【0208】
実施例および比較例で得られた光学シート(粘着剤付光学フィルム)について下記評価を行った。結果を表1に示す。
【0209】
<分子量の測定>
得られた(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL−H+GMHXL
・低分子量物のカラム:東ソー社製、GMHHR−H+GMHHR+G2000MHHR
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm(計90cm)
・カラム温度:40℃
・流量:0.8ml/min
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
なお、分子量はポリスチレン換算により算出した。
【0210】
<ゲル分率の測定>
各実施例・比較例で作製した粘着剤層をWg取り出し、酢酸エチルに室温(約25℃)下で7日間浸漬した。その後、浸漬処理した粘着剤層(不溶分)を酢酸エチル中から取り出し、130℃で2時間乾燥後の重量Wgを測定した。
【0211】
さらに、粘着剤配合時の粘着剤ポリマー((メタ)アクリル系ポリマー)100重量部に対するタッキファイヤー重量部数をAとするとき、
ゲル分率(重量%)=(W/W)×(100+A)
として計算した。なお、この実施例および比較例では、タッキファイヤーはポリマーの架橋構造に取り込まれることなく、酢酸エチルに浸漬した状態で完全に溶解する。
【0212】
<接着力の測定>
実施例、比較例で得られた光学シート(幅25mm)の凹凸の加工処理面にポリエステル粘着テープ(日東電工社製、No.31B)を裏打ちとして貼り付け、それを無アルカリガラスに2kgローラーでロール1往復して貼着した。その後、50℃、0.5MPaのオートクレーブにて30分間処理した後、23℃×50%RH雰囲気下において3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで剥離接着力(N/20mm)を測定した。
【0213】
また、上記オートクレーブ処理の後、60℃で6時間保存し、23℃×50%RH雰囲気下において3時間放置後、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで剥離接着力を測定し、その値を加熱後の接着力(N/20mm)とした。
【0214】
<屈折率の測定>
25℃の雰囲気下で、ナトリウムD線(589nm)を照射し、アッベ屈折率計(ATAGO社製、DR=M4)を用いて屈折率の測定をおこなった。
【0215】
<輝度の測定>
サムソン電子社製17インチカラーディスプレイ(SyncMaster 712N)のバックライトの導光板の上に、上記粘着剤層付き光学シートを貼付け、光が出射される被着体、粘着剤層、反対面に表面積が増加する凹凸の加工処理を施してなる光学フィルムが順次積層されているバックライトシステム(光源)の構成とした。さらにこのディスプレイで用いられていた拡散板、BEF、拡散板の3枚をそのまま重ねて、輝度計としてTOPCON社製Bm−9を用いて、光源と輝度計の距離を350mmとして、20mm角の部分以外を遮光した光源の中心に輝度計を合わせて、暗室内にて輝度を測定(cd/cm)した。
【0216】
<動的粘弾性の測定>
動的粘弾性の測定は以下の条件で行った。
・装置:ティー・エイ・インスツルメント社製 ARES
・変形モード:ねじり
・測定周波数:一定周波数1Hz
・昇温速度:5℃/分
・測定温度:粘着剤のガラス転移温度付近から160℃でまで測定
・形状:パラレルプレート 8.0mmφ
・試料厚さ:0.5〜2mm(取り付け初期)
23℃での貯蔵弾性率(G’)を読み取った。
【0217】
本発明においては、動的粘弾性にて測定される23℃での貯蔵弾性率(G’)が10,000〜1,000,000Paであり、好ましくは30,000〜500,000Pa、より好ましくは40,000〜400,000Paの粘着剤が用いられる。貯蔵弾性率(G’)が小さすぎると、粘着剤がはみ出したりして加工性や作業性が悪くなり、一方、貯蔵弾性率(G’)が大きすぎると接着性が低下するために好ましくない。
【0218】
このような範囲にすることで、本発明の粘着剤層付き光学シートから剥離フィルムを剥がして、室温にて被着体に簡単かつ容易に貼り付けることができ、作業性が大きく向上する。以下、貯蔵弾性率の測定結果を示す。
・(実施例1) 70,000Pa
・(実施例2) 85,000Pa
・(実施例3) 155,000Pa
・(実施例4) 104,000Pa
・(実施例5) 202,000Pa
・(実施例6) 116,000Pa
・(実施例7) 132,000Pa
・(実施例8) 264,000Pa
・(実施例9) 170,000Pa
・(実施例10)272,000Pa
・(実施例11)255,000Pa
・(実施例12)133,000Pa
・(実施例13)146,000Pa
・(実施例14)196,000Pa
・(実施例15)188,000Pa
・(実施例16)292,000Pa
・(実施例17)104,000Pa
・(実施例18) 96,000Pa
【0219】
<アクリル板に貼り付け時の発泡試験>
実施例・比較例で得られた粘着剤層付き光学シートの粘着剤面を、アクリル板(住友化学製、スミペックスE00、厚さ:2mm)に貼り付け、50℃、0.5MPaのオートクレーブで30分処理した後、70℃および80℃の乾燥機に投入して、24時間後の発泡の有無を観察した。
【0220】
実施例1〜18では、70℃、80℃ともに発泡は観察されなかった。一方、比較例2、3では、70℃では発泡が見られないが、80℃では発泡が観察された。
【0221】
上記測定および評価の結果を表1に示す。
【0222】
【表1】

【0223】
表1から、実施例1〜18で作製した粘着剤付光学シートは、いずれも接着性に優れ、輝度が大幅に向上していることがわかった。
【符号の説明】
【0224】
1 :積層した光学フィルム
l0:マイクロレンズシート
l2:拡散シート
14:輝度向上フィルム
20:粘着剤層
3 :光源ユニット
30:導光体
32:発行デバイス(光源)
40:粘着剤層
50:液晶モジュール
6 :バックライトシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、ゲル分率が35〜85%である粘着剤ポリマーを含む粘着剤層を介して接合しており、
前記光学フィルムが、マイクロレンズおよび/または光拡散板であり、
前記被着体の屈折率が前記粘着剤層の屈折率より小さく、かつ、前記粘着剤層の屈折率が前記光学フィルムの屈折率より小さく、
前記凹凸加工処理を施した光学フィルムの反対面に粘着剤層が貼り付けられており、
前記粘着剤層の23℃での貯蔵弾性率が10,000〜1,000,000Paであることを特徴とするバックライトシステム。
【請求項2】
前記被着体が光源、導光体、または光源ユニットである請求項1に記載のバックライトシステム。
【請求項3】
前記粘着剤層の屈折率が1.50以上である請求項1又は2に記載のバックライトシステム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバックライトシステムを含む画像表示装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載のバックライトシステムを含む照明装置。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれかに記載のバックライトシステムに用いられる、前記光学フィルムの最外層に粘着剤層を積層してなる粘着剤付光学シート。
【請求項7】
前記粘着剤層が、水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、芳香族環を有するタッキファイヤー10〜150重量部、および架橋剤0.03〜2重量部を配合した粘着剤組成物からなる請求項6に記載の粘着剤付光学シート。
【請求項8】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーにさらに高屈折率単量体を共重合した変性(メタ)アクリル系ポリマーである請求項7に記載の粘着剤付光学シート。
【請求項9】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、窒素含有モノマーを0.1〜20重量%、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜5重量%、および水酸基含有モノマーを0.1〜10重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーである請求項7または8に記載の粘着剤付光学シート。
【請求項10】
前記粘着剤組成物が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、さらにシランカップリング剤0.01〜2重量部配合したものである請求項7〜9のいずれかに記載の粘着剤付光学シート。
【請求項11】
前記(メタ)アクリル系ポリマーが、n−アクリル酸ブチルを50〜99重量%共重合してなる(メタ)アクリル系ポリマーである請求項7〜10のいずれかに記載の粘着剤付光学シート。
【請求項12】
前記粘着剤層が光透過性の無着色粒子を分散含有して光拡散性を示す粘着剤層である請求項6〜11のいずれかに記載の粘着剤付光学シート。
【請求項13】
前記粘着剤層の厚さが2〜100μmである請求項6〜12のいずれかに記載の粘着剤付光学シート。
【請求項14】
光が出射される被着体と、表面積が増加するように凹凸加工処理を施した光学フィルムとを、粘着剤層を介して接合する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のバックライトシステムの製造方法。
【請求項15】
請求項1〜3のいずれかに記載のバックライトシステムを用いることを特徴とする出射光の輝度向上方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−155010(P2011−155010A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46465(P2011−46465)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【分割の表示】特願2008−269095(P2008−269095)の分割
【原出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】