説明

バッチエステル化

触媒を用いるバッチエステル化反応の効率は、反応サイクルにおいて特定の温度及び圧力を用いることにより向上する。触媒を加える前の、反応物質の最初の混合及び反応の際にアルコールの蒸発による損失を防ぐため特に高い圧力が維持され、所望の反応温度に到達すると圧力を急速に低減させるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は主にアルコール及び酸又は無水物、主にカルボン酸又はその無水物からエステルを触媒により生産するバッチプロセスに関する。より具体的には、本発明は安息香酸エステル、フタレート、シクロヘキサン酸塩、ヘキサン酸ジカルボン酸エステル、アジピン酸塩及びトリメリット酸の様な塩化ポリビニル(PVC)のための可塑剤エステルを生成する改良されたプロセスに関するがこれに限定するものではない。好ましい実施の態様においては、エステル化はチタン、ジルコニウム又はスズ ベースの有機金属触媒の様なエステル化触媒の存在下に実施される。本発明はまたポリオール及びカルボン酸のエステルを生成するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
エステルは、最も普通の方法では酸及びアルコールを反応させ水を取除くことにより生成される。エステルはまたアルコールを、無水酸、酸性塩化物、アミド、ニトリル、アルデヒド及びケトンを含む他の種々の反応物質と反応させることで生成しても良い。酸及び/又はアルコールの混合物も開始材料として用いても良い。同じ方法が他の反応物質にも適用される。
【0003】
エステル化が実施される反応条件は非常に大きく異なる。反応は室温で非常にゆっくり進むが高温では非常に速く進む。通常反応物質の一つが、反応を進めるために化学量論的に過度に用いられる。そして他の反応物質は制限試薬と呼ばれる。制限試薬、例えば、酸、無水物、アルコール、又はポリオールの約99%は数時間の間にエステルに変換される。制限試薬は通常化学量論的に過剰には存在しない試薬であり、例えば、可塑剤を生成するために使用される制限試薬は二塩基酸(diacid)及び無水フタル酸を含み、ポリオールエステルを生成するために使用される制限試薬はポリオールである。
【0004】
アルコール及び有機酸又は無水物のエステル化は可逆反応であるためエステル化反応は通常完了しない。しかし、99%を超える変換は少なくとも一つのエステル化の生成物、通常水であるが、を除去することで達成することができる。もし生成物の一つが他の生成物及び試薬よりも低い温度で沸騰する場合は、この除去は通常蒸留により達成される。反応ゾーンから生成された水を除去する種々の蒸留技術が知られている。水を除去する一つの方法は液状媒体中で反応を実施することを含み、その媒体は反応する成分の一つ又は各成分よりも低い沸点を持つ共沸混合物を形成することもある。もし試薬及び生成されたエステルが大気圧で100℃より大きい沸点を持つ場合は、反応温度は水と共に共沸混合物を形成することのできる液状媒体が必要にならないように調整しても良い。更に、反応混合物から水を蒸留することを助けるために添加溶剤を使用しても良い。シクロヘキサン、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、又はキシレンの様な不活性材料がフタル酸エステルの生産において添加溶剤として用いても良い。更に低い沸点を持つ反応物質も添加溶剤として用いても良い。この後者の場合は、添加溶剤として用いられる反応物質は通常反応に必要な化学量論的数量を超えて過剰に反応混合物に投入される。水の除去を行うエステル化プロセスを含むエステル化プロセスは、バッチ又は連続運転モードで実施しても良い。種々のエステル化プロセスが「Kirk-Othmerの化学技術百科事典」(Kirk-Othmer Encyclopaedia of Chemical Technology), 第9巻、第4版 (1994), 762-768ページに開示されており、この文献の記載の全体は参照により本明細書に組み入れられる。
【0005】
従来のバッチエステル化手順は反応サイクルの最初に全ての反応物質を反応器に投入することを含む。触媒を使用するエステル化プロセスでは、触媒はバッチが目標温度に到達した後に通常反応混合物に加えられる。反応混合物はその後更に加熱しても良い。反応混合物の温度は、反応混合物の沸点に到達するまで上昇させ、その時点でもし添加溶剤が用いられる場合には、添加溶剤及び水の副産物が反応混合物から煮沸により除去される。通常頭部の蒸気は濃縮され、水が添加溶剤から分離され、そして添加溶剤は反応容器に再循環される。反応温度、したがって、反応速度は反応混合物の沸点により制限される。低い沸点を持つ反応物質がまた添加溶剤として使用される場合、濃度は反応が進むにつれて次第に低減する。また反応中に反応物質の濃度が低下するが、これは反応速度に否定的な影響を与える。そのため反応温度、したがって、反応速度定数は、特に反応の間において熱投入が続く場合、添加溶剤が使用される、されないにかかわらず反応が進むにつれて増大する。
【0006】
可塑剤エステルを形成するための一つの従来のプロセスが英国特許第1,426,057号 (Imperial Chemical Industries Limited)に開示されており、それによると、可塑剤エステルは無水フタル酸及びC4 からC14のアルカノール又はその様なアルカノールの混合物から生成される。例えば、無水フタル酸及び一以上のこれらのアルカノールの混合物はチタン触媒(例えば、イソプロポキシト゛ チタン)の存在下で徐々に180乃至260℃に加熱しても良い。温度が180 乃至260℃に達すると、残留酸性度は約0.3から0.05 mg KOH/gであるが、エステル化は実質的に終了する。そして水性炭酸ナトリウム溶液がエステル製品にゆっくりと添加され、化学量論的アルカリ量の1から12倍の量とする。温度が150から200℃の間に下ると水又は希釈された水性アルカリ溶液が加えられそして過剰なアルカノールが除去される。この処理によってチタン触媒が酸化チタンに変換され、そして沈殿せられその後、過剰炭酸ナトリウムと共にろ過により除去され、残留酸性度が0.05 mg KOH/g未満に低減される。
【0007】
従来のエステル化プロセスは2つの反応ステップにより実施することができる。第一の反応ステップは通常エステル化触媒を使用しないで行われ、第二の反応ステップはエステル化触媒の使用を含むこともある。米国特許第5,349,075号において、Van den Berg他は2つのステップのエステル化プロセスを提案している。第一の触媒を使用しないエステル化反応ステップは少なくとも200℃の温度で実施され、その場合、より揮発性のある反応物質は気相にあり、揮発性の小さい反応物質は液相にある。その後100℃未満の反応温度の触媒を用いた第二のエステル化反応ステップを提案している。このプロセスでは第二の反応ステップにおいて固体酸性触媒を用いる。
【0008】
可塑剤エステル、例えば、フタル酸、アジピン酸及びトリメリット酸などの商業的生産においては、99%より大きい変換率が望ましい。ポリオールエステル、例えば、脂肪酸及びトリメチロールプロパン(すなわち、制限試薬)から作られるエステルの生産では、商業的に望ましい変換率は98%より大きい。例えば、約35%の変換されていない水酸基の様な、水酸基が部分的変換された製品を応用することも知られているが、典型的なポリオールエステル製品の応用では元のポリアルコール水酸基の数の約98.5%の変換が必要である。
【0009】
殆んどのエステル化プロセスは酸、無水物又はポリオールの様な制限試薬の約99%を数時間の反応時間内にエステルに変換することが可能である。しかし、制限試薬の約90%を変換した後に反応速度は非常に大きく低下する傾向がある。残りの4−5%の制限試薬を変換するためにその最初の95%を変換する時間の更に半分の時間を要することもある。
【0010】
化学工業界では生成されるエステルの品質のみならず反応時間又はエステル化のためのバッチサイクル時間の短縮に務めている。したがって、全体の反応速度、特に反応又はバッチサイクルの最初の部分での全体の反応速度を増すプロセスを開発することが望ましい。
【0011】
二塩基酸又は無水酸のエステル化は、まず一酸性基のエステル化又は無水物の部分的エステル化がなされ、その何れの場合もモノエステルを形成する。この最初の反応では、触媒は必要とされないこともある。続いてエステル化が終わり、通常触媒の存在する中でジエステルが形成される。触媒を用いるエステル化は通常二塩基酸又は無水物及びアルコールを混合し、そして温度を触媒が添加されるレベルまで上げることで実施される。少なくともモノエステルの形成は、無水物が関与する場合は実質的に瞬時の反応で行われ、そうでなくとも第二のステップよりは反応が速いため、非常に多量のエステル化が触媒の添加前にすでに起きることもある。しかし、触媒の存在は商業的に受容可能な時間で反応を完成させるために望ましく又は必要でさえある。
【0012】
エステル化反応では水を生成し、通常使用されるチタン又はスズエステル化触媒は水に反応するため、反応で生成される水と触媒の接触を最小にすることが必要である。したがって、触媒を加える前に反応の初期段階で反応による水を可能な限り蒸留により除去することが行われている。米国特許第6,355,817 Bl号に記載の様な典型的な反応では、ジアルキルフタル酸が、反応混合物を常時沸騰状態に維持するために無水フタル酸及びアルコールを減圧して反応させることにより生産された。しかし、このプロセスは比較的長いサイクル時間を必要としまた反応物質の蒸発損、特にアルコールの蒸発損を起し、そして再循環が必要である。通常アルコールは還流により再循環され、再循環物は通常過冷却されそして反応混合物の温度を下げることがあり、更にサイクル時間、特に、工業生産設備では通常起こることであるが、特に熱注入のための容量が限定される場合のサイクル時間を長引かせる。
【0013】
したがって、その様な反応での生産を改良しバッチサイクル時間を減少させ、触媒の使用方法を改良し及び反応に供給される熱の使用の最適化を含む全体の反応効率を全体的に改良する要請がある。発明者は反応の効率化は、反応中、特に反応の初期の段階において、特定の温度及び圧力を適用することにより大幅に向上することを見出した。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、酸、無水物及びアルコールを含む反応物質の触媒を用いたエステル化のプロセスを提供するものであり、前記プロセスは以下を含むバッチ反応手順を含む:
(i) 反応容器中で初期温度で、酸又は無水酸の混合物にアルコールを供給し、
(ii) 混合物の温度をエステル化を実行するための望ましいエステル化反応温度に上昇させ、及び
(iii) エステル化反応で生成された副産物の水を沸騰により除去し、その場合、混合物の温度を上昇させる少なくとも初期段階において混合物の温度を上昇させるにつれて、反応容器中の圧力を上昇させ、それによって反応物質の蒸発を減少させ、そしてエステル化触媒が、所望のエステル化反応温度未満であり、かつ混合物の初期温度より高い温度である事前に決定された混合物の温度で混合物に導入される。
【0015】
本発明のプロセスは、C4からC15の一価アルコールから可塑剤エステル又はポリオール及び脂肪酸からポリオールエステルを生産するのに特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を説明するために更に図面が含まれる。
【図1】図1は本発明のプロセスに適した好ましいエステル化反応容器の設定のフローシートを示す。
【図2】図2は本発明の、時間に対する2つの代替的エステル化反応の圧力特性を示す。
【図3】図3は本発明の、時間に対する2つの代替的エステル化反応の圧力特性を示す。
【発明の詳細な説明】
【0017】
触媒が導入されるときの混合物の温度(「混合物温度」)は、使用されるシステムに適するようにオペレータにより決定される。便宜上、この温度は「事前決定された混合物温度」と呼ぶ。本明細書の「事前決定された混合物温度」、「所望のエステル化反応温度」及び「混合物の初期温度」の用語は、ある特定の触媒を用いた場合のエステル化反応に適していると知られている温度範囲内の温度を指すものとして用いられる。例えば、所望のエステル化反応温度及び事前決定された混合物温度は反応物質の性質及び触媒の性質により異なり、本発明はこれらの特定の条件に関係しないが、しかし、用いられる反応物質及び触媒に対応するものとして良く知られているこれらの特定の温度条件に基づき用いられるべき条件には関係する。
【0018】
発明者は、この様な方法により圧力を増大させることによって、反応混合物に供給される熱は、確実に反応物質の蒸発よりもむしろ反応物質を加熱することに用いられることになることを見出した。熱投入が限定された機器では、これはエステル化反応の最小の所望の温度に達する時間を最短にし、それにより達成可能な反応速度を確実に最大にする。これは、取りも直さず、反応サイクル時間を短縮することを可能にする。更に圧力を増大させそして蒸発速度を減少させることによりその温度で触媒の導入がなされる、事前に決定された混合物温度により早く到達し、それにより更に反応時間を短縮することが可能となる。更に、反応の初期の段階において、反応物質の蒸発、特にアルコールの蒸発が極めて大きく低下するため、還流させる必要がなく、そのため還流される材料による余分な冷却効果を受けることがない。このことは、また、供給された熱をより効果的に使用することができ、そしてまた事前決定された混合物温度により早く到達することを可能とし、それによって反応器のサイクル時間を更に短縮することができる。蒸気相中及び頭部還流システム中のアルコールが少ないことは、反応器物質の液体混合物中により多くのアルコールがあることを意味し、それはアルコール濃度がより高いことであり、そのためより確実に反応速度を大きくする。
【0019】
触媒は、酸又は無水物及びアルコール又はポリオールを混合した後に、混合物の初期温度より高い、事前に決められた混合物の温度で添加されるべきである。好ましくは高い圧力は少なくとも触媒が添加されるまでは維持されるのが良い。好ましい実施の態様においては、触媒は、混合物が175℃から220℃の範囲の温度にある時に添加されるのが良い。
【0020】
触媒は通常所望のエステル化反応温度未満の温度で添加され、したがって、触媒を添加の後に混合物の温度は更に所望のエステル化反応温度にまで上げられる。触媒活性は温度が上がると共に増大するが、その安定性は温度の上昇と共に低下し、したがって、触媒の性質により最適な反応温度又は可なり狭い最適温度範囲が存在する。この温度又はその範囲に関わらず触媒の添加はより大きい速度でより多くの水を生成し、水に反応する触媒を加水分解する可能性を減少させるために、チタン酸塩触媒の場合、この水は早急に除去されねばならない。したがって、本発明の好ましい実施の態様においては、触媒を添加し所望のエステル化反応温度又は最適範囲の下限に到達した後に、圧力を、好ましくは大気圧まで急速に下げ、より好ましくは大気圧より低くして水を蒸発させると共に、その一方で反応温度を、少なくとも所望のエステル化反応温度又は最適範囲の下限に維持し、好ましくはさらに上昇させ最終的に所望の最大エステル化反応温度に到達させるのが良い。
【0021】
本発明の他の実施の態様では以下のステップを含むエステル化プロセスを提供する:
i) 酸又は無水酸及びアルコール又はポリオール反応物質が反応容器に導入され混合され、そして混合物は前記何れの反応物質の沸騰温度未満の温度に加熱される:
ii) 反応混合物は更に加熱され、一方反応器圧力は、反応による水は蒸発させるが、何れの反応物質も本質的に沸騰することのない様に加圧される:
iii) 触媒が事前に決められた混合物温度で添加される:
iv) 混合物の温度が所望の最小エステル化反応温度に上げられる:
v) 所望の最小エステル化反応温度に到達した後に、反応器圧力が下げられるが、他方少なくとも所望の最小エステル化反応温度が維持される。
【0022】
好ましくは上の(v)の圧力は急速に下げる、例えば、2−20分の間に、通常は8−10分で大気圧まで下げるのが良い。理想的には、圧力は機器の容量、運転及び安全上の考慮からみて許される範囲で可能な限り急速に低下させるのが良い。その理由は圧力を急速に下げるよりも反応混合物の温度を少なくとも所望の最小エステル化反応温度に維持すること、及び好ましくは混合物の温度を所望の最大エステル化反応温度に上げることがより重要であるからである。理想的には圧力は、混合物の温度がこの所望の最大エステル化反応温度に達するときまでに大気圧に達する様にすべきである。大気圧に達した後に、圧力は好ましくは反応器を真空に吸引することにより更に下げるのが良い。圧力の低下が速いほど水の除去速度は大きいため、更に圧力を急速に下げるのが好ましい。しかし、圧力の低下速度は、以下に説明する様に反応混合物の温度を維持するという条件に制約される。
【0023】
酸又は酸無水物及びアルコール又はポリオール及び全ての還流過剰反応物質を含む一以上の開始剤を他の反応物質と混合し又は反応容器に導入する前に、例えば、100℃から160℃の温度に予備加熱しても良い。酸素はそれらの一以上のものから、好ましくは新しい開始剤の少なくとも一つから除去し、エステル製品の色彩を改善させても良い。この酸素の除去は予備加熱の後であって、もし液体の場合は好ましくは窒素ストリッピングにより、又はもし固体の場合は、機器の窒素パージにより行うのが良い。これらの予備処置は好ましくは別の容器で行い、開始剤が反応容器に導入される前に実施するのが良い。予備加熱は反応バッチ時間を短縮し、そして予備加熱及び/又は酸素除去を別の容器で実施することにより更に特定のバッチが反応器を占拠する時間をさらに減少させ、したがって、また全体の反応バッチ時間を減少させる。
【0024】
好ましくは圧力は触媒の添加100分以内に1800 mbara (180 kPa) から300 mbara (30 kPa)に下げるのが良い。しかしこの圧力の低減はアルコールの様なある残留未反応の反応物質の蒸発を引起す。したがって、この段階で少なくともできるだけ早めに還流条件を導入するのが好ましい。還流された材料の水分含有量を最小にするために、還流システムはコンデンサ、還流乾燥カラム(すなわち、還流の水含有量を減少させる塔又はカラム)及び/又は好ましくは加熱されたフラッシングステップを含むのが好ましい。
【0025】
更に好ましい温度及び圧力の特性は反応物質の性質及び相対的な量による。しかし、チタン触媒が使用される場合は、これは反応圧力―温度特性の一部をなすのが良く、その反応温度は所望の最小エステル化反応温度である210℃より高く、好ましくはチタン触媒活性及び安定の上限温度である220℃に可能な限り近い温度であるのが良く、他方蒸気の除去速度は熱投入容量に依存するが、温度を維持しつつ迅速な蒸気の除去を可能にするために、反応器圧力の制御設定点を下げる。もし反応温度が目標値より下る場合は、圧力制御設定点の低減傾きは、温度が前のレベルを回復する様に一時的に無視しても良く、その後に圧力設定を再び下げることができる。制御の無視のきっかけとなる温度の低下は製品のグレードに依存するが、通常2℃を超えず、好ましくは1℃を超えないのが良い。圧力設定点の特性もまた反応器に投入される触媒の量による。
【0026】
熱を投入するためにエステル化反応器において種々の加熱手段を用いることができる。多くのプロセスでは、熱投入容量は反応時間を短縮し、したがって、機器の生産性を向上させる上で本質的な限定要素となる。プロセスの多くでは好ましくは液体のレベルより下に、反応器中に設けた一以上の加熱コイルを通して、及び/又は反応器の壁の周りに加熱マントルを通して熱媒体を循環させることにより熱を投入する。熱移転には、熱油よりも蒸気加熱がより効果的であることが判明した。したがって、投入される熱は蒸気により供給するのが好ましく、その圧力は反応混合物よりも高い温度で凝縮する様に十分高い圧力であるのが好ましい。圧力が少なくとも40 barg (約600 psig)の高圧蒸気を用いるのが好ましい。
【0027】
エステル化反応の初期段階で大気圧より高い圧力を適用し且つ維持することにより、この初期段階で大気圧又は低い圧力で運転される既知のプロセスで起こる本質的なアルコールの蒸発損を起すことなく水を除去することができる。より高圧を用いることでアルコールの再回収及び再利用の必要性を減らし、それにより反応効率が増す。より高圧を用いることはまた反応混合物の加熱のための熱の供給を最大に利用することができ、そしてそのため最適の反応温度により短時間で到達することができる。また、それにより反応混合物中の反応物質の濃度を最も高いレベルに保つ。これらの2つの要素はより大きい反応速度を実現する。
【0028】
また圧力を増大させることによりアルコールレベルを保ち、そして触媒が添加される時の反応混合物中の水のレベルを低減させ、そして水が触媒を損傷するリスクを減少させる。所望のエステル化反応温度に到達した後で、そしてアルコールの大半が酸又は無水物と反応した時に圧力を低下させることにより、まだ残留している又は生成される水を急速に除去することができ、圧力の急激な低下がある場合は水は即座に蒸発する(flash off)。アルコールの大半がこの段階で反応しているという事実は少量のアルコールしか蒸発しないことを意味し、したがって還流はより少なくて済む。
【0029】
エステル化は好ましくは窒素又はメタンのような不活性ガスに覆われている状態でまず開始されるのが良い。したがって何れの蒸気弁も開かれ又は真空システムが稼動する以前は、反応器中の圧力は、反応器内の不活性ガスと蒸気による圧力が組み合わされた圧力に依存し、その圧力は更に反応の程度及び反応物質及び反応製品の蒸発の程度に依存し、反応の程度はさらに反応温度に依存する。温度、したがって圧力はまた材料の還流の程度に依存する。したがって、反応器システムは、通気弁及び反応器内の圧力を増すためにガスを導入するガス供給源を持つのが良い。
【0030】
反応器温度及び圧力が増すと、凝縮性蒸気雲、すなわち、主に水分であり、より軽い沸騰反応物質がある程度伴っている水分が反応器液の上に拡がり、初期に反応器を充満していた不活性ガスにとって代わる。不活性ガスは頭部システムに追いやられ、ある時期に凝縮性蒸気雲が反応器の頭部コンデンサに達する。この段階で通常凝縮が開始し、液体が頭部セパレータに集まる。頭部セパレータの初期液体レベルにより、遅かれ早かれ液体が溢れ、より軽い、沸騰する反応物質の反応器への還流が始まることもある。還流システムが活動を開始すると反応混合物の温度が急速に低下する傾向があることが判明した。これは更に反応器内の圧力を低下させる。この段階で凝縮しないガスを反応器に導入することは、圧力を少なくとも所望の条件に再設定するために特に便宜でありうることが判明した。
【0031】
弁及びガス供給源は、通常反応物質供給手段、加熱手段を持つ反応器、コンデンサ、凝縮された材料の分離手段、反応物質の再利用のための手段及び反応製品除去手段を含む反応器システム中の好適な位置に設けることができる。弁及びガス供給源は反応器中又はその他の場所に設けても良く、コンデンサに設け又はその近くに設けるのが良く、その位置は、その時点では、通常はまだ望まれていない凝縮を低減させ又は停止させるのに最も効果的である位置である。
【0032】
反応器システムはまた反応混合物中に触媒を導入する手段を持ち、好ましくは反応混合物の表面より下に触媒を導入する手段を持つのが良い。この手段は、反応器が超大気圧である場合に触媒を反応器に導入することができる様になっていなければならない。したがって、触媒は、反応を覆うものとして用いられる不活性ガスの手段により反応器に投入されるのが好ましい。また、触媒が投入された後に触媒投入システムは少なくとも一つの反応物質によって洗浄するのが好ましい。特にエステル化が酸又は無水物とアルコールとの反応を含む場合は、触媒投入装置はアルコールで洗浄するのが好ましい。触媒、例えば、チタン触媒の様に水に反応する場合は、洗浄するのに用いる反応物質は、例えば、重量で最大500 ppm、好ましくは重量で最大200 ppm、最も好ましくは重量で最大100 ppm程度の水の含有量の低いものであるのが好ましい。
【0033】
反応器は好ましくはミキサーを備え、及び好ましい反応サイクルでは新しいアルコール原料が、ミキサーが運転を開始するための最小のレベルに達するまで反応器に導入される。この段階でミキサーは運転を始め酸又は無水物の導入が開始され、新しいアルコール又は再利用アルコールよりなる追加のアルコールを導入しても良い。反応器の加熱はこの時点、好ましくは反応器中の液体レベルが加熱用機器の表面に達し次第行うのが良い。
【0034】
本発明の技術は、エステル化反応の効率を向上させることが知られている他の技術と組み合わせて用いる場合とくに有用である。特に本発明の技術は水とエステル化触媒の間の接触を最小にすることが知られている他の技術と共に用いることができる。例えば、反応システムは、米国特許第5,324,853号のL. O. Jones他が記述する還流乾燥カラムを含んでも良い。還流カラム又は乾燥機は、反応の再利用のためにアルコールが還流される場合に凝縮されるアルコールを加熱し及び乾燥させるのに役立つ。代替的に、頭部回収装置から冷却され凝縮されたアルコールは、殆んどの水分は蒸気として除去されるため、加熱され及びフラッシュされ、フラッシュされた液体は反応器に還流され、更に水分レベルを低下させるため任意選択的に還流乾燥機カラムを経由させても良い。他の貴重な技術として欧州特許第812818号に記載されたものがあり、それによると、触媒は液状反応混合物の表面より下の反応混合物に導入される。これは、触媒をその開口部が液状反応混合物の表面より下にあるプローブを通して投入することにより実行しても良い。この様に、触媒と液状反応混合物より上の大気中の水分を多く含む蒸気との接触を最小にすることができそして触媒の安定性を維持することができる。
【0035】
還流を乾燥することにより、水の含有量を低下させ及び還流温度を高くすることになるため反応バッチ時間が改善することが判明した。これによって還流中の水分を再蒸発させ、そしてより冷たい還流を反応温度にまで上昇させるために必要な熱量が減少する。またより大きいサイズの還流乾燥カラムは、反応器の頭部システムに流れる蒸気中の圧力の低下が小さいため、より急激な圧力変化を起すことができることが判明した。また、還流乾燥カラム断面が過剰な圧力低下をもたらす場合には、部分的に蒸気を乾燥カラムを迂回させることによりこの問題を軽減することができ、還流を十分乾燥させながら、反応器により高い生産性を達成させるのに役立つことが判明した。
【0036】
本発明のエステル化プロセスは、同時係属する米国特許出願第60/906732 号(出願人参照番号PM2004-064)に記載する方法で実施されるのが好ましく、この場合、エステル化の処方及び原料の予備処理は、反応速度を最適化し及び反応時間を低減させるために最適化される。エステル及び特に可塑剤エステルの生産のための特に好ましい反応サイクルは、この原料処方の調整及び予備処理を含み、さらに本発明の反応プロセスの使用、またWO2006/125670の中和技術及びWO2005/021482の精製技術を含む。
【0037】
本明細書及び特許請求の範囲に記載の「エステル」の用語は、モノエステル、ジーエステル、トリーエステル及びより一般的に、多−エステルを含む有機エステルを指すのに用いられる。「無水物」の用語はモノ無水物、二無水物、及び他の多無水物を含む有機無水物を指すのに用いられる。「カルボン酸」の用語は、モノカルボン酸、ジカルボン酸、及び他の多カルボン酸を指すのに用いられる。「アルコール」の用語は、一価アルコール、二価アルコール、及び一般的に多価アルコール(ポリオール)を含む任意の有機アルコールを指すのに用いられる。
【0038】
本発明の好ましいサイクルは反応物質及び触媒の性質による。本発明の好ましい実施の態様は、カルボン酸のアルコールによるエステル化、特にポリカルボン酸又はその無水物のエステル化、特にフタレートエステル、トリメリット酸エステル及びアジピン酸エステルの生産である。好ましいサイクルでは、アルコールは100℃から160℃の範囲の温度に予備加熱される。この好ましい予備加熱温度は、沸点が変わるためアルコールのグレードに依存する。予備加熱ステップでのアルコール蒸気の損失を受容可能な制限範囲に収めるために過剰の予備加熱は避けるべきである。C7 アルコールでは100-115℃に予備加熱するのが好ましく、C9 及びC10アルコールでは、130-150℃に,そしてイソトリデシルアルコールの様なC11 又はそれより炭素数の多いアルコールは130-155℃又はさらに160℃に予備加熱するのが好ましい。予備加熱されたアルコールは、その後不活性ガス、好ましくは窒素又はメタンの不活性ガスにより覆われた反応容器に添加するのが良く、そして120℃から150℃又は160℃の範囲の温度で加熱するのが良く、圧力は大気圧に保たれる。反応器への最大熱投入は好ましくはできるだけ速やかに行うのが良い。その後、酸又は無水酸が135℃から160℃又は更に180°Cまでの温度範囲で加えられる。反応容器の内容物はその後、触媒を添加する事前に決められた混合物の温度に急速に加熱される。反応器の内容物が増加するにつれ、反応器中の不活性ガスの圧縮によって圧力が上昇する。圧力はまた幾つかの反応物質及び反応製品の蒸発により上昇し、反応器液体の上部に濃縮可能物の蒸気雲を形成する。事前に決定された混合物温度は触媒及び反応物質の性質に依存するが通常は175℃から220℃の範囲である。この温度に到達すると、触媒が導入される。温度は更に所望のエステル化反応温度、通常210℃から230℃の範囲に上昇し、材料の蒸発により圧力が上り続ける。濃縮可能物の蒸気雲がコンデンサに達するとともに濃縮が始まり、その直後に還流システムが稼動を始める。好ましくはこの時点で、圧力を回復しそして濃縮及び反応物質の反応器への還流を最小にするため、反応液状混合物からの蒸発によるもののみならず、もし必要なら不活性ガスを追加しても良い。
【0039】
フタル酸エステルの生産では、通常無水フタル酸に対してアルコールを過剰に使用するが、好ましい過剰モル比は生産されるフタル酸ジエステルのグレードによる。ジイソへプチル フタル酸(DIHP)では30%の過剰分を使用し、ジイソノニル フタル酸(DINP)では28%の過剰分を使用し、ジイソデシル フタル酸(DIDP)及びジイソウンデシル フタル酸(DIUP)では、26.5%の過剰分を使用するのが良い。これらの好ましいレベルから0.5%より多く超えることは避けるべきである。そうすることにより、反応温度がその所望の最小レベルの210℃に達すると、圧力―温度特性の最適状態から殆んど振れずまた逸脱も小さいからである。
【0040】
先に述べた様に、これは反応温度を可能な限りチタン触媒の活性及び安定の上限温度である220℃に近づけるべきであるし、またその一方で、その除去の速度は熱投入容量に依存する中で、温度を維持しつつ蒸気を急速に除去するために、反応器圧力の制御設定値を押し下げると言う反応圧力―温度特性の一部をなすものである。もし反応温度がその目標から下る場合は、圧力制御設定点の低減傾きは、温度が元のレベルを回復する様に一時的に無視にしても良く、その後に圧力設定を再び下げても良い。制御を無視とするきっかけとなる温度の低下は製品のグレードに依存するが、通常2℃を超えず、好ましくは1℃を超えないのが良い。
【0041】
所望のエステル化反応温度又は範囲に到達したら、反応容器中の圧力は好ましくは急速に大気圧より低くするのが好ましく、一方温度は少なくとも所望の最小エステル化反応温度に維持される。この急速な圧力の低下は通気弁を開口し及び/又はスチームジェット、空気ジェット又は真空ポンプを用いて反応器を真空に引くことによって実現される。水及び未反応の過剰試薬(好ましい実施の態様においては通常アルコール)は蒸発し、コンデンサに送られそこで濃縮され分離される。未反応試薬はその後反応器に、好ましくは還流カラム及び/又は他の乾燥機及び/又は反応器に再度入る前の加熱ステップを経て反応器へ再利用のため送っても良い。
【0042】
したがって、本発明ではカルボン酸化合物及びアルコールの液相反応によりエステルを形成する。本発明は特に、無水酸を少なくとも一つのアルコールと反応させることにより形成される可塑剤エステルの生成に関する。「ウルマン工業化学百科事典」(Ullman's Encyclopaedia of Industrial Chemistry)第20巻、5版、(1992年)、193-196ページを参照願いたい。反応は好ましくは5から30モル%過剰のアルコールを用いて実施するのが良い。より好ましくは、15から30モル%過剰のアルコールを用いて実施するのが良い。本発明は、触媒を用いたエステルの生産に一般に適用されるが、特にフタル酸、シクロヘキサン酸塩、シクロヘキサン酸ジカルボン酸エステル、アジピン酸塩及びトリメリット酸の生産に適用される。この一般的な構想はまた、好ましくはアルコールに代わって酸が少なくとも化学量論的量及び好ましくは過剰に用いられるポリオールエステルの生産に適用される。
【0043】
本発明のプロセスを用いて生成されたエステル分子は、アルキル安息香酸塩、ジアルキル フタル酸又はトリアルキル トリメリット酸の様な芳香族環を含んでも良い。これらのエステル分子中の芳香族環は、モノアルキル、ジアルキル又はトリアルキル シクロヘキサン酸塩の様な、対応するシクロヘキサン 同等物を生成するために水素化しても良い。特にDINPは更に水素化されジーイソノニル、ジーシクロヘキサン酸塩(DINDCH)を形成させても良い。したがって、本発明のプロセスはフタル酸ジエステル、特にDINPの生成に適しており、更にフタル酸ジエステルを対応するジーシクロヘキサン酸塩、特に、DINDCHへ水素化することを含む。好適な水素化プロセスはEP 1042273, 米国特許出願公報第2004/0260113号又はWO 2004/046078に開示されている。
【0044】
反応容器の圧力は、所望のエステル化反応温度に到達するまで、主要量のアルコールが沸騰することを防ぎ、また反応物質からエステルを形成させつつ、水を蒸発させるに十分なレベルに保たれるべきである。反応容器の圧力は通常水分が確実に連続して蒸発し除去される様に連続して調節される。典型的には、初期の反応圧力は大気圧、例えば、1から2 bara (101.3から202.6 kPa)に近く、そして所望のエステル化反応温度又は最適範囲の下限に到達すると、最大圧力、例えば、1.5から2.5 bara (152.0から253.2 kPa)を経て、そして反応が進むにつれて下がり真空が増す方向に向かう。好ましくは最終反応圧力は2 bara (202.6 kPa) から絶対圧力100 mm Hg (13.3 kPa)となるのが良い。
【0045】
より好ましくは最終反応圧力は1.0 bara (101.3 kPa) から絶対圧力150 mm Hg (20 kPa)となり、最も好ましくは最終反応圧力は絶対圧力190 mm Hg (25 kPa) から絶対圧力350 mm Hg (46.7 kPa), 典型的には30-31 kPaとなるのが良い。
【0046】
本発明のプロセスで使用されるべき触媒の全量は主に4つの要因で決定される。まず、通常全反応速度は、典型的には制限反応物質の、重量当たりの触媒の重量パーセントで表される触媒の量が、ある最適の濃度に上がるにつれて増す。反応速度はまた特定の触媒活性、反応温度及び反応混合物中の水分含有量による。比較的高い濃度の触媒では、有機金属複合体エステル化触媒がそれ自身で反応してしまい、活性のない凝集された触媒を形成する。更に、比較的高い濃度のある種のエステル化触媒は製品の曇り形成を引起すことがある。更にプロセスの経済面の要請から言えば、ある最適点を越えて触媒を追加することは経済的ではない。もし反応混合物があるカチオン種を可なりの量含む場合、所望の反応速度を達成するためには触媒の量を増やす必要がある。したがって、用いられる触媒の量はこれらの全ての要因を考慮した上で選択することになる。
【0047】
しかし還流乾燥機及び/又はフラシュステップが提供されているにもかかわらず、特に還流乾燥が実施できない場合、運転を終える前に反応器への還流を停止することにより反応をより早く終了させることができることが判明した。その理由は水分が反応器に全く戻されず、同時に粗エステル中の過剰な試薬量が、例えば、12-15重量%に低減され、それにより更に処理すべき粗エステルの容量が減少し、下流の仕上げステップで除去すべき過剰な試薬の量を減少させることができるためである。したがって、還流は予想バッチ終了時間の前少なくとも2分、好ましくは少なくとも5分、より好ましくは少なくとも7分、更に好ましくは少なくとも10分、及び更に好ましくは少なくとも15分前に終了させることが好ましい。アルコール還流がバッチの終了時まで還流乾燥機を通して続けられた場合、反応器の運転終了時の粗エステルの水含有量はまだ50 重量ppmの高い数値であることもある。バッチ終了時間約12分前にアルコールの還流を停止した場合、粗エステルの水含有量は20 重量ppm又はさらに10 重量ppm以下になることもある。水が存在すると、この程度の少量でも運転が終了すると反応速度、反応の終了及び全バッチ時間に驚く程の大きな影響を与えることがあることを判明した。
【0048】
反応器又は還流乾燥ステップへの還流が停止されると、頭部の回収ドラムのアルコールは再利用アルコールタンクに導かれる。バッチ反応が終了すると、反応器への熱投入は停止されそして真空状態が解かれ、好ましくは窒素が反応器システム、より好ましくは反応器頭部システムに導入されるのが良い。この真空状態の解除はバッチの終了時と考えられる。真空状態が解かれると、反応器含有物は直ちに回収容器に移され、そしてそこで及びそこから更に別の部分に移して処理しても良い。次のバッチ製品が同じ品質である場合は、反応器は新たなバッチの処理を開始することができる状態となる。
【0049】
本発明のプロセスはポリオール及び酸をポリオールエステルに変換するために用いることができる。ポリオールは有機アルコールであり、これは2以上の水酸基を含む。ポリオールエステルプロセスは、通常、開始時のカルボニル類似化合物をポリオール及び触媒によりエステル化するステップを含む。この場合、カルボニル類似化合物、又はカルボニル類似化合物の混合物が段階的に反応混合物に加えられ、そのため、ポリオールと反応するのに必要な全カルボニル類似化合物の化学量論的必要量の少なくとも約5%の量が常に存在する。好ましくはカルボン酸をカルボニル類似の化合物として用いるのが良い。好ましくはカルボン酸はその全量が10-40%超える化学量論的量で添加され、より好ましくはカルボン酸は15-25%超える化学量論的量で添加されるのが良い。
【0050】
本発明のエステル化プロセスはまた以下の一以上のステップを含む:窒素又は蒸気ストリッピングによる過剰試薬の除去;エステル化に続き、そして更に処理をする前にアルミナ、シリカゲル、活性炭、粘土及び/又はろ過助剤の様な吸着剤を反応混合物に加えることである。ある場合には、吸着による処理はストリッピングに続きプロセスの後の段階で行っても良く、更に他の場合には、吸着剤ステップはプロセスから全く除いても良い。残留有機酸を中性化し、同時に触媒(もし存在すれば)を加水分解するために水及び塩基を加えること;エステル化プロセスで用いた大半の過剰な試薬(酸及びアルコール)を含むエステル混合物から固形物をろ過すること;エステル混合物から過剰な試薬を、例えば、真空で蒸気又は窒素ストリッピングにより除去し及び反応容器に過剰な試薬をリサイクルすること;及び、最終ろ過程でストリッピングされたエステルから固形物を除去することも本発明のプロセスに含んでも良い。
【0051】
更に一以上のエステル製品を生産し、常時一つの製品から他の製品に切り替えるエステル化プロセスで生産性を向上させるという利益が達成されることもある。従来の方法では装置を完全に停止し、装置の内容物を取除きそして例えば、水により装置を洗浄している。このために装置を停止する時間が極めて大きくなり、排出処理される排水量が非常に多くなる。代替案として乾燥のための切替により水を使用しない方法もあるが、これは通常各グレードの製品が相互に汚染されるため、ある容量の混合されたグレード製品材が生成され、通常単独製品のグレードが持つ仕様に適合せず、したがって、これらはより反応性の低い最終使用用途に格下げされもしくは再処理する必要があることもある。
【0052】
好ましい方法は、本明細書でフタル酸エステルの場合について代表的に記載されている、素早いグレード切換え手順を適用することである。この素早いグレード切換えの目的は、生産ロス及びグレードの間の相互汚染を最小にしつつ、あるグレードのアルコール原料を他のグレードのものに切換えることである。素早いグレード切換えは仕上げユニットに対する供給速度を最大にしつつ、同時に液体の保持を最小にすることにより実施される。素早いグレード切換えのための準備として、本明細書で代表的に開示するのは連続仕上げユニットと組み合わせたバッチ反応器ユニットにおいて、全てのドラムレベルを、エステル化ユニットポンプ及びミキサーを運転し続けるのに必要な最小レベルに徐々に低下させる。これによりまた固形物追加システムを連続運転することができる。更に、全てのプレコートフィルターを新たなグレードの第一のバッチの運転完了直前に切換えられるのが好ましい。プレコートドラムではフィルタープレコート材料が、フィルターシステムに移される前に液体と混合されるが、プレコートドラムは好ましくはグレード切換えの前にフィルター供給ドラムに中身が移されるのが良い。
【0053】
アルコール供給ライン及びアルコール供給ドラムは好ましくは古いグレードの最後の反応器バッチに中身を移すのが好ましい。タンク容量では、供給アルコール及びリサイクルアルコールタンクはその後新しいグレードのものに切換えられ、そして反応器供給ドラムは新しいグレードのアルコールで満たされる。新しい処方のグレードものが反応器プロセスコントロールシステムに投入される。そして反応器部分は新しいグレードの第一のバッチの生産の準備ができる状態となる。
【0054】
古いグレードの粗エステルの最後のバッチを処分した後、新しいグレードの最初のバッチがドラムに入れられる直前に連続仕上げユニットの供給ドラムが空にされ、ドラムのレベルの約10%に達する。この段階で、通常過剰アルコールストリッパー塔の下流に位置する第二のろ過ユニットの供給ドラムに吸着剤及びろ過助剤固形物の添加が既に停止しているのが好ましく、これはドラムの内容物がまずその最低レベルまで低減しているのが良い。新しいグレードの最初のバッチを仕上げ供給ドラムに投入した後に、加水分解水の比率は通常新しいグレードの求める要件に調整される。
【0055】
連続仕上げ部分から古いグレードものを一掃するために、新しい粗エステルの全容量の45%を供給した後に、第二のろ過ユニット及びその投与システムを流れる液体循環も停止され、一方ストリッパー原料予備加熱温度が新しい条件に調節される。必要なフラッシュ容量の90%に達すると、オペレータは可塑剤を流した製品の密度のチェックを開始する。フラッシュ容量が100%になった時にストリッパからの再利用アルコール流が古いグレードものを入れたタンクから新しいグレードものを入れたタンクに切換えられる。
【0056】
新しいグレードものの目標可塑剤密度を測定した後、ユニットの流送は古いグレードものタンクから新しいグレードものタンクに切換えられる。第二のろ過ユニット及びその投与システムを流れる液体循環の流れが再開される。ろ過ドラムのレベルが確認され続いて混合物及び吸着剤及びフィルター助剤の投与が再開される。他の全てのドラムレベルがその目標値に戻される。
【0057】
使用可能なエステル化触媒は酸触媒及び有機金属触媒を含んでも良い。有機金属エステル化触媒が好ましく、チタン、ジルコニウム及びスズの各アルコキシド、カルボン酸塩及びキレートの様なチタン、ジルコニウム及びスズ触媒を含む。1962年10月2日に特許付与された米国特許第3,056,818号 (Werber)を参照願いたい。本文献は参照により本明細書に組み入れられる。チタン アルコキシドが好ましい。
【0058】
触媒として使用可能な典型的なチタン アルコキシドはテトラメチル チタン酸塩、テトラエチル チタン酸塩、テトラプロピル チタン酸塩、テトライソプロピル チタン酸塩、テトラブチル チタン酸塩、テトラペンチル チタン酸塩、テトラヘキシル チタン酸塩、テトラヘプチル チタン酸塩、テトラオクチル チタン酸塩、テトラノニル チタン酸塩、テトラデシル チタン酸塩、を含み、例えば、テトラ−2−プロピルへプチル チタン酸塩、テトラドデシル チタン酸塩、テトラヘキサデシル チタン酸塩、テトラオクタデシル チタン酸塩、テトラフェニル チタン酸塩、及びこれらの混合物を含む。チタン原子上のアルコキシ基は全て同一でも良く又は異なっていても良く、そのアルキル鎖は、ノーマル及び/又は分枝状の又はこれらの混合物であっても良い。上のアルコラートのスズ又はジルコニウムの対応物はその全て又は一部が触媒として置換されても良い。テトラーイソプロピル チタン酸塩(Tetra-isopropyl titanate (TIPT)は非常に好ましい。テトラーイソオクチル チタン酸塩(tetra-isooctyl titanates (TIOT))は更に好ましい。
【0059】
ポリオール(すなわち、ポリヒドロキシ)化合物は一般式R(OH)nにより表され、Rはアルキル、アルケニル、又はアラルキル ヒドロカルビル基であり、nは少なくとも2であり、ポリオールエステルを望む場合は一価アルコールの代わりに用いても良い。ヒドロカルビル基は約2から20 又はそれ以上の炭素原子を含んでも良く、そしてそのヒドロカルビル基はまた、塩素、窒素及び/又は酸素原子の様な置換基を含んでも良い。ポリヒドロキシ化合物は通常約2から10のヒドロキシ基を含み、より好ましくは約2から6のヒドロキシ基を含むのが良い。ポリヒドロキシ化合物は一以上のオキシアルキレン基を含んでも良く、そのためポリヒドロキシ化合物はポリエーテル ポリオールのような化合物を含む。カルボン酸エステルを形成するのに用いられるポリヒドロキシ化合物に含まれる炭素原子の数及びヒドロキシ基の数は広い範囲に亙る。
【0060】
以下のポリオールは特に有用である:ネオペンチルグリコール、2,2-ジメチルロールブタン、トリメチロール エタン、トリメチロール プロパン、トリメチロール ブタン、モノ及び工業銘柄(すなわち、88%モノ、10%ジ及び1−2%トリ)ペンタエリチリトール、ジペンタエリチリトール、エチレン グリコール、プロピレン グリコール、ブタン ジオール及びポリアルキレン グリコール(例えば、テトラエチレン グリコール、ポリエチレン グリコール、ポリプロピレン グリコール、ポリブチレン グリコール等及びエチレン グリコール、プロピレン グリコールの重合された混合物の様なこれらのブレンド)。
【0061】
本発明の方法は、C4からC15アルコール、好ましくはC6からC13のアルコールから、安息香酸塩、シクロヘキサノエート及びシクロヘキサン ジカルボン酸エステル、フタル酸塩、アジピン酸、トリメリット酸塩の様な可塑剤エステルを形成することができる。好ましいアルコールは、2−プロピルーヘプタノール、ノーマル及び/又は分枝ウンデカノール及びトリデカノールを含む、ヘキサノール、ヘプタノール、イソヘプタノール、2エチル ヘキサノール、ノナノール、イソノナノール及び枝分かれ鎖ノナノール、線状及び分枝鎖デカノールの混合物を含む。本発明においては反応速度が増しているため、このプロセスは、チタン、ジルコニウム又はスズ有機金属触媒を用いたエステル化において特に有用である。
【0062】
本発明の方法はまた、ポリオール及び過剰脂肪酸より得るネオポリオール エステルのようなポリオールエステルの形成に有用である。ポリオール又はポリオール混合物は好ましくは工業銘柄ペンタエリチリトール(PE),トリメチロールプロパン(TMP),及びネオペンチルグリコールであるのが良く、これらの各々はモノペンタエリチリトール及び/又はトリメチロールプロパン又は他のネオポリオールと混合しても良い。好ましい酸成分は通常5から10の炭素原子を持つ直鎖状酸の混合物又は5から18の炭素原子、好ましくは5から10の炭素原子を持つ枝分かれ鎖状酸の混合物、すなわち、イソペンタン、2−メチルペンタン、2−メチルヘキサン、2−エチルペンタン、2−エチルヘキサン、3,5,5-トリメチルヘキサン、2,4-ジメチルヘプタン、2-プロピル-ヘプタン酸及びこれらの混合物であるのが良い。またノーマル及び枝分かれ酸の混合物も用いることができる。通常、酸はモノカルボン酸である。好適な直鎖状酸は吉草酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、及びカプリン酸を含むがこれに限定されるものではない。
【0063】
枝分かれ鎖状酸はイソ-C5, イソ-C7, イソ-C8,又はイソ-C9であっても良い。好ましくは枝分かれ鎖状酸はイソ-C7が良い。他の好ましい枝分かれ鎖状酸はジイソブチレンのオキソネート化/酸化から誘導される3,5,5- トリメチルへキサン酸である。更に他の好ましい枝分かれ鎖状酸は混合ヘプテンのオキソネート化/酸化から誘導されるオキソーオクタン酸である。更に他の好ましい酸はイソペンタン酸であり、これは通常ノーマル及び分枝C5酸の混合物である。
【0064】
ポリオールエステルを形成するための反応では、酸混合物は使用されるポリオールの量及びエステル化が望まれるアルコール官能基の量に対して、通常約10 から50モルパーセント又はそれ以上の化学量論的過剰量で存在する。過剰な酸は反応を完了させるのに用いられる。供給される酸の組成は製品エステルの所望の組成を生成するために調整される。反応が完了した後に過剰な酸はストリッピング及びさらなる最終仕上げにより除去される。
【0065】
本発明を、本出願に添付された図面を参照しつつ、フタル酸エステルの生産により説明する。図1はミキサー(2)及び加熱部分(3)を持つ反応器(1)を示す。装置は反応容器(1)の上に設置された充てん塔又はカラム(4)を含むアルコール回収のための手段を備える。充てん塔(4)は好ましくは低圧ドロップステンレス鋼覆い(固定していない又は固定した)を持つ一又は二の段階を持つ。反応容器から出る蒸気は塔(4)を上部に上がり頭部回収ドラム(5)のアルコールと接触する。回収ドラム(5)は3相又は沈下型ドラムであり、アルコール及び水を2の液相に分離させる。ドラム(5)は相のレベルコントロールを行う。すなわち、アルコール相は堰(6)を越えて溢れ反応容器(1)にリサイクルされるか又は導管(7)を経てタンクに貯蔵するため送られる。水相は底から導管(8)を通して引き出され、そして任意選択的に加水分解ステップによりリサイクルしても良い。これらの液体は重力により流れ又はポンプ稼動により流しても良い。蒸気は導管(9)を通して頭部に引かれ、濃縮されそして濃縮物はまたリサイクルしても良い。装置は、好ましくは反応容器(1)の底のスパージャリングを通して窒素を供給する窒素供給源(10)を持つのが良く、この窒素供給は反応圧力をコントロールするのに用いられる。他の窒素供給源はコンデンサ(11)の近くに設けても良く、濃縮及び還流を望まない場合は、濃縮及び還流を弱めるのにより効果的である。
【0066】
水の副産物(8)はまた排出させても良い。水は主としてアルコールである分解された有機物を含む。したがって、これは好ましくはその生化学的酸素要求量(BOD)を減少させるために生体酸化(BIOX)ユニットを通して捨てられる。TIPTの様な軽アルコールチタン酸塩が触媒として用いられる場合、この水は、イソプロパノールの様な軽アルコールを非常に多量に含むこともある。TIOTの様な重アルコールチタン酸塩は、この水のBOD負荷が低く、BIOXユニットへの負荷が減少するため触媒として好ましい。
【0067】
図2及び3は本発明の、時間に対する典型的な反応容器圧力特性の2つの代替例を示し、そこでは容器の温度及び圧力及び含有量が事前に決定された混合物の温度180℃に引き上げられ(1)、そこでチタン酸塩触媒が添加され(2)、そして温度を更に所望の最小エステル化反応温度210℃に上昇させ(5)、他方、少なくとも圧力は上げたままに保持するが、しかし好ましくは更に温度を上げる(5)のが良い。この経路に沿い、好ましくは濃縮物が頭部のコンデンサに達し、圧力(3)が急激に低下することがある場合に、圧力(図2に示す様に)を回復させるか又は比較的低速度で還流をコントロールするに十分なレベルにそれを維持し(図3に示す様に)、反応温度は熱投入が許す範囲で出来るだけ速く上昇を続けるように窒素を投入する(4)。所望の最小エステル化反応温度に到達する(5)と、圧力は、大気と通気させて及び/又は真空状態にすることにより(7)緩め、他方、温度は未だ所望の最大エステル化反応温度の220℃に上昇させても良く(6)、そして、所望の変換が達成された場合(8)に最終的に反応が停止するまで、真空システムを稼動させることにより圧力を大気圧より更に低くしても良い。反応の停止は、従来の様に熱投入を停止することにより、典型的には反応器及び/又は頭部システム中の真空を破ることと組み合わせて行うことで達成される。最小反応温度が達成される瞬間(5)まで、目標は反応液を加熱するために投入可能な熱を最大に利用することである。その時点後は、目標は反応温度を少なくとも維持しつつ、還流のために(したがって、反応液から水を除去するために)投入可能な熱を最大に利用することである。
【0068】
本明細書の説明から明らかな様に、当業者であれば本発明は、その発明の思想及び発明の範囲から逸脱することなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で広い範囲のパラメータから外れることなく実施することができることを了解するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C4からC15の一価アルコールから可塑剤エステル又はポリオール及び脂肪酸からポリオールエステルを生産するために、酸又は無水物及びアルコールを含む反応物質の触媒を用いたエステル化のプロセスであり、前記プロセスはバッチ反応手順であって、
(i) 反応容器において初期温度で、酸又は無水酸の混合物にアルコールを供給し、
(ii) 混合物の温度をエステル化を実行するために望ましいエステル化反応温度に上昇させ、及び
(iii) エステル化反応で生成された水の副産物の沸騰により除去し、その場合、
混合物の温度を上昇させる少なくとも初期段階で、混合物の温度を上昇させるにつれて反応容器中の圧力を上げ、それにより反応物質の蒸発を減少させ、そしてエステル化触媒が、所望のエステル化反応温度未満であり、混合物の初期温度より高い温度である所定の混合物温度で混合物に導入される、
バッチ反応手順を含む、前記プロセス。
【請求項2】
少なくとも触媒が添加されるまで反応容器中の圧力が高いレベルに維持される、請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記エステル化触媒がチタン触媒である、請求項1又は2のプロセス。
【請求項4】
前記触媒が添加された後、温度をさらに所望のエステル化反応温度に上昇させ、圧力が少なくとも同じレベルに維持される、請求項1乃至3の何れか1項のプロセス。
【請求項5】
所望のエステル化反応温度に到達した後に、少なくとも反応温度を維持しつつ反応器圧力を下げ、その場合好ましくは反応器圧力は触媒の添加100分以内に180 kPa から30 kPa(1800 mbaraから300 mbara)の範囲に下げられる、請求項1乃至4の何れか1項のプロセス。
【請求項6】
蒸発した反応物質を凝縮しそして反応容器に還流するために頭部システムが反応容器に備えられ、所望のエステル化反応温度に達すると還流条件が満たされ、そして任意選択的に還流はフラッシュされ、そのフラッシュされた液体はエステル化反応への還流として用いられ及び/又は還流は、エステル化反応に戻される前に還流乾燥カラムで乾燥される、請求項1乃至5の何れか1項のプロセス。
【請求項7】
前記還流がエステル化反応の終了少なくとも2分前に停止される、請求項6のプロセス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項のプロセスであって、
(i) 加熱されたアルコールを100℃から160℃の範囲の温度で不活性ガスに覆われた反応容器に加え;
(ii) 容器中の加熱されたアルコールに酸又は無水酸を135℃から180℃の範囲の温度で加え;
(iii) 反応容器中の混合物を180℃から220℃の範囲内の所定の混合物温度に加熱し、それにより容器中の圧力を上昇させ;
(iv) 上昇させた圧力を維持しつつ、エステル化触媒を所定の混合物温度で導入し;
(v) 上昇させた圧力を維持しつつ、温度をさらに所望の最小エステル化反応温度、好ましくは少なくとも210℃に上昇させ;及び
(vi) そして圧力を大気圧以下に減圧させる
ことを含む、前記プロセス。
【請求項9】
エステル化反応が完了するまで前記温度が所望の最小エステル化反応温度より高く維持される、請求項8のプロセス。
【請求項10】
還流システムが反応容器に連結され、前記還流システムは触媒の導入に続いて活動を開始する、請求項8又は9のプロセス。
【請求項11】
前記還流システムの活動による圧力の低下を補うために追加の不活性ガスが導入される、請求項10のプロセス。
【請求項12】
前記追加の不活性ガスは反応容器から導入される、請求項11のプロセス。
【請求項13】
前記還流システムはコンデンサを含み、追加の不活性ガスがコンデンサに導入される、請求項11のプロセス。
【請求項14】
水を、確実に連続して蒸発させ及び除去するためエステル化反応の間前記反応容器の圧力が調整される、請求項1乃至13の何れか1項のプロセス。
【請求項15】
フタル酸ジエステル生産のための請求項1乃至13の何れか1項のプロセスであって、前記プロセスは対応するジアルキル シクロヘキサン酸 ジエステルを生産するためにフタル酸ジエステルを水素化することをさらに含む、前記プロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−520944(P2010−520944A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−553051(P2009−553051)
【出願日】平成20年3月7日(2008.3.7)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001838
【国際公開番号】WO2008/110306
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】