説明

バッテリーモジュールの製造方法およびバッテリーモジュール

【課題】均一な単位セルによりバッテリーモジュールを組み立てることにより、バッテリーモジュールの性能、信頼性を高める。
【解決手段】
ステップS505で電圧測定された単位セルを、所定温度(例えば25℃)で所定時間b(例えば30日)エージングし、エージング前後の電圧V1、V2の差分D、すなわち電圧低下量の時間差分を算出する。時間差分Dは式(1)で表現される。
電圧低下量D[mV]=(V1−V2) 式(1)
なお、2回目のエージング(ステップS506)の温度を室温としたことにより、そのエージングの前後で測定するV1、V2の差分値より算出される電圧低下量が安定化し、良好な測定精度が得られる。式(1)の時間差分Dを、所定のルールに基づいて評価し、単位セル11をグループ分けする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の単位セルを複数個接続して構成したバッテリーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)や駆動の一部を電気モータで補助するハイブリッド電気自動車(HEV)に使用される二次電池には、高容量で高出力の性能が要求される。このような二次電池は、複数の単位セルを直列に接続したバッテリーモジュールとして構成される。1個のバッテリーモジュールに含まれる複数の各単位セルのそれぞれは、製造時の部品(正極、負極、セパレータ、電解液など)のばらつきなどに起因して、自己放電による電圧低下量が不均一となることがある。
【0003】
単位セルの電圧低下量が不均一な場合、初期充電電圧を揃えたとしても、各単位セルの電圧は経時的にばらつく。その結果、電圧が低いセルは放電時に過放電となり易く、電圧が高いセルは充電の際に過充電になり易い。過放電および過充電は、長期使用時における二次電池の劣化の大きな要因となり、長期信頼性を損なう。
【0004】
特許文献1には、単位セルを満充電まで充電して放置した後に、電圧を検出して自己放電量を測定することによって、単位セルを分類する方法が開示されている。この分類方法を使用して、特許文献1には、自己放電量が均一化された単位セル同士を用いたバッテリーモジュールを構成することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-328902公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すセル分類方法では、電圧低下が大きい最初の数時間の特性でセルが分類される。しかし、この期間の電圧低下特性は、充電速度や温度などの影響で大きく変化し、測定値が不安定である。
【0007】
HEVやEVに使用されるバッテリーモジュールは、一般には、満充電の50%付近の電圧で使用される。そのため、満充電状態におけるセルの自己放電量が実使用環境下におけるセルの自己放電量と必ずしも一致しない。そのため、特許文献1のセル分類方法では、バッテリーモジュールの性能、信頼性を充分に高めることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)請求項1による発明は、二次電池の単位セルを複数個組合せて構成されるバッテリーモジュールの製造方法であって、複数の単位セルをそれぞれ充電する充電工程と、前記充電工程で充電された単位セルに対して1回目のエージングを実行する第1エージング工程と、前記第1回目のエージングの後に、1回目の電圧測定を行う第1測定工程と、前記1回目の電圧測定の後に、前記単位セルに対して2回目のエージングを実行する第2エージング工程と、前記2回目のエージングの後に2回目の電圧測定を行う第2測定工程と、前記1回目と2回目の電圧測定の測定値の差分値である第1電圧低下量を算出する第1算出工程と、前記第1電圧低下量に基づいて、前記単位セルを複数のグループに分類する第1分類工程と、前記分類によって同一グループとされた複数個の単位セルを使用して1個のバッテリーモジュールを製造する製造工程とを有することを特徴とする。
(2)請求項15によるバッテリーモジュールは、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のバッテリーモジュール製造方法で製造したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、バッテリーモジュールを構成する単位セルの電圧低下量が均一化されるので、バッテリーモジュールの性能、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明によるバッテリーモジュールの第1実施形態を示すブロック図。
【図2】本発明によるバッテリーモジュールの第1実施形態に適用される単位セルの例を示す分解斜視図。
【図3】図2の単位セルの断面図。
【図4】図2の単位セルの放置時間と電圧の関係を示すグラフ。
【図5】単位セルのグループ分けルールを説明する図。
【図6】実施形態によるバッテリーモジュール製造装置を示す図。
【図7】図3のバッテリーモジュールの製造方法を示すフローチャート。
【図8】本発明によるバッテリーモジュールの第2実施形態の製造方法を示すフローチャート。
【図9】本発明によるバッテリーモジュールの第3実施形態の製造方法を示すフローチャート。
【図10】本発明によるバッテリーモジュールの第4実施形態の製造方法を示すフローチャート。
【図11】本発明によるバッテリーモジュールの第5実施形態の製造方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によるバッテリーモジュールおよびその製造方法の実施形態を図面を参照して説明する。実施形態のバッテリーモジュールはHEVやEVに搭載されるものとして説明する。
【0012】
[第1実施形態]
―バッテリーモジュール
図1は、本発明によるバッテリーモジュールの第1実施形態を示す。図1において、バッテリーモジュール100は、複数の組電池20a,20bを含むセルコントローラ30と、セルコントローラ30の制御および情報管理のためのバッテリーコントローラ40とを備える。セルコントローラ30は、各組電池20a,20bを制御するセルコンIC21と、各セルコンIC21を通じて各組電池20a,20bを制御するマイコン22とを備える。
【0013】
各組電池20a,20bは、直列接続された複数の単位セル(二次電池)11を含み、単位セル11はそのプラス、マイナス両端子がセルコンIC21に電気的に接続されている。各セルコンIC21は、マイコン22と通信線で接続され、マイコン22は各組電池20a,20bの充放電情報など種々の情報を管理する。
【0014】
上述したように、バッテリーモジュール100は、1個ないし複数個のセルコントローラ30を含み、各セルコントローラ30はバッテリーコントローラ40に電気的に接続されている。バッテリーコントローラ40は、各セルコントローラ30の制御と情報の管理に使用されると共に、バッテリーモジュール100を電源とする車両の上位システムと通信を行う。
【0015】
単位セル(二次電池)11は、インバータ41を介して車両駆動用モータ42に電気的に接続されている。インバータ41は、直流電力を3相交流電力に変換し、駆動モータ42は3相交流電力で駆動される。
【0016】
―単位セル―
図2、図3は、バッテリーモジュール100に含まれる単位セル11の一例である円筒型リチウムイオン二次電池を示す。なお、図1および図2に示す円筒型リチウムイオン二次電池の構造は、円筒型リチウムイオン二次電池に必須の要素を主に示している。
【0017】
単位セル11は、正極電極14および負極電極15をセパレータ18を介して、樹脂製の軸心7の周囲に捲回した電極群8を有する。正極電極14はアルミニウム等の金属薄膜であり、両面に正極合剤16が塗布されている。図2において、正極電極14には、上方(正極側)の長辺部に、正極タブ12が複数設けられている。負極電極15は銅等の金属薄膜であり、両面に負極合剤17が塗布されている。図2において、下方(負極側)の長辺部に、負極タブ13が複数設けられている。セパレータ18は、絶縁性を有する多孔質であり、電極群の最外周を被覆するように捲回される。最外周のセパレータ捲回端部は粘着テープ19で固定されている。
【0018】
軸芯7は管状であり、その両端には正極集電板(正極集電部品)5と負極集電板(負極集電部品)6が嵌入、固定されている。正極集電板5には、正極タブ12が、例えば、超音波溶接法により溶接されている。同様に、負極集電部品6には、負極タブ13が、例えば、超音波溶接法により溶接されている。
【0019】
電極群8は、底面54が負極端子とされる円筒状の電池容器1に収納されている。負極集電部品6は、負極リード10を介して電池容器1の底面54に電気的に接続されている。負極リード10の底面54への接続は、電極群8および正極および負極集電板5,6を電池容器1内へ収納した後に実施される。すなわち、軸芯7の中央に溶接冶具を挿通して、溶接治具と底面54との間に負極リード10を挟持しつつ押圧して溶接する。
【0020】
電池容器1の開口部52は、上蓋3および上蓋ケース4を備えた上蓋部50によって封口され、上蓋部50は、正極集電板5と電気的に接続されている。正極集電板5の上面には、導電性の可撓性リボンよりなる正極リード9の一端が溶接されている。正極リード9の他端は、上蓋ケース4の底面に溶接され、正極集電板5は、上蓋3に電気的に接続される。これによって上蓋部50は、電極群8の正極が電気的に接続され、上蓋3が正極端子として機能する。
【0021】
電極群8を電池容器1へ収納した後、上蓋部50で電池容器1を閉鎖する前に、非水電解液が電池容器1内に注入される。また、電池容器1と上蓋ケース4との間にはガスケット2が設けられ、このガスケット2により電池容器1の開口部52が密閉される。ガスケット2は、正電位を有する上蓋部50と負電位を有する電池容器1とを電気的に絶縁する。
【0022】
正極合剤16は、正極活物質と、正極導電材と、正極バインダを有する。正極活物質は、リチウム酸化物が好ましい。例として、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リチウム複合酸化物(コバルト、ニッケル、マンガンから選ばれる2種類以上を含むリチウム酸化物)、などが挙げられる。正極導電材は、正極合剤中におけるリチウムイオンの吸蔵放出反応で生じた電子の正極電極への伝達を補助できる物質であれば制限はない。正極導電材の例として、黒鉛やアセチレンブラックなどが挙げられる。正極バインダは、正極活物質と正極導電材、および正極合剤と正極集電体、を結着させることが可能であり、非水電解液との接触により、大幅に劣化しなければ特に制限はない。正極バインダの例としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)やフッ素ゴムなどが挙げられる。
【0023】
正極合剤の形成方法は、正極電極上に正極合剤が形成される方法であれば制限はない。正極合剤の形成方法の例として、正極合剤の構成物質の分散溶液を正極電極上に塗布する方法が挙げられる。
【0024】
塗布方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法、などが挙げられる。分散溶液の溶媒例として、N−メチルピロリドン(NMP)や水が挙げられる。正極合剤16の塗布厚さの1例としては片側約40μmである。
【0025】
負極合剤17は、負極活物質と、負極バインダと、増粘剤とを有する。なお、負極合剤17は、アセチレンブラックなどの負極導電材を有しても良い。本発明では、負極活物質として、黒鉛炭素を用いることが好ましい。黒鉛炭素を用いることにより、大容量が要求されるプラグインハイブリッド自動車や電気自動車向けのリチウムイオン二次電池が作製できる。
【0026】
負極合剤17の形成方法は、負極電極15上に負極合剤17が形成される方法であれば制限はない。負極合剤17の形成方法の例として、負極合剤17の構成物質の分散溶液を負極電極15上に塗工する方法が挙げられる。塗工方法の例として、ロール塗工法、スリットダイ塗工法、などが挙げられる。負極合剤17の塗布厚さの1例としては片側約40μmである。
【0027】
非水電解液は、リチウム塩がカーボネート系溶媒に溶解した溶液を用いることが好ましい。リチウム塩の例として、フッ化リン酸リチウム(LiPF)、フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、などが挙げられる。また、カーボネート系溶媒の例として、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート(PC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、或いは上記溶媒の1種類以上から選ばれる溶媒を混合したもの、が挙げられる。
【0028】
[自己放電特性]
このように構成されている単位セル11は、充電後に放置すると、自己放電により電圧が低下する。この自己放電量は製造段階での部材のばらつきに応じて変化する。例えば、正極合剤16や負極合剤17の厚み、非水電解液の組成および不純物などのばらつきに応じて変化する。
また、製造段階で管理できない導電性の異物が単位セル11の内部に混入すると、正極14と負極15が異物を介して微小短絡し、単位セル11の電圧は更に低下する。
【0029】
バッテリーモジュール内の複数個の単位セル11の自己放電による電圧低下量がばらつくと、最初は全ての単位セル11の電圧を同等に充電としても、時間の経過と共に各単位セル11の電圧がばらつくことになる。換言すると、自己放電に伴う電圧低下量にばらつきがある複数の単位セルにより構成されたバッテリーモジュールは、充放電により、電圧が低いセルは放電の際に過放電になり易く、電圧が高いセルは充電の際に過充電になり易い。
【0030】
そこで、本発明によるバッテリーモジュール製造方法では、作製した複数の単位セル11に対して少なくとも2回のエージングを実行し、各エージング後の電圧の差を電圧低下量として測定し、電圧低下量が予め定めた基準値毎に複数の単位セル11をグループ分けする。その上で、同一グループに分類された複数個の単位セル11を使用してバッテリーモジュールを構成する。
【0031】
図4に、充電後に放置した単位セル11の放電時間に対する電圧変化の一例を示す。図4では、正常な単位セルの電圧変化を実線で示し、異常な単位セルの電圧変化を破線で示している。図4から分かるように、充電後に放置した単位セルは、放電時間0から数時間が経過するまでに、急激に電圧が低下し、その後の電圧低下は緩やかである。正常な単位セルにおいても、自己放電量のばらつきに起因して電圧低下量は異なり、放置期間が長くなるほど電圧値の差異が大きくなる。一方、微小短絡が発生した異常な単位セルでは、正常な単位セルに比較して電圧低下が著しい。
【0032】
そこで、本実施形態では、電圧低下量が予め設定した閾値を超えた場合には異常品(不良品)として選別(グループ分け)する。このグループ分けを第1分類と呼ぶ。
【0033】
さらに加えて、本実施形態では、正常な単位セルグループに選別された複数の単位セルについて、その自己放電による電圧低下量の大きさに基づいて小グループ化する。この小グループ化を第2分類と呼ぶ。
【0034】
図5は。第1および第2分類のルールの一例を示す。不良品と正常品とをグループ分けするための電圧低下量の閾値は、図5では0.025Vとした。すなわち、満充電した単位セルを所定時間、例えば12時間放置した後の電圧値と、その後、さらに所定時間、例えば3日放置した後の電圧値との差分を電圧低下量Dと定義し、この電圧低下量Dが閾値である0.025Vを越えている単位セルを不良品として分類する。
【0035】
一方、電圧低下量が0.025V以下のときに、電圧低下量が0.005V以下のAグループ、0.005Vより大きく0.010V以下のBグループ、0.010Vより大きく0.015V以下のCグループ、0.015Vより大きく0.020V以下のDグループ、0.020Vより大きく0.025V以下のEグループにグループ分けした。
【0036】
図6は、単位セル11を分類し、同一グループの複数の単位セルによりバッテリーモジュールを製造するための分類装置を示す。
【0037】
図6の分類装置は、エージングエリア110、放電エリア112、電圧測定装置116、グループ分け装置118、および制御装置120、および保管棚130を備える。制御装置120は、電圧測定装置116およびグループ分け装置118を制御する。エージングエリア110は、単位セル11を所定温度で、所定時間エージングする領域である。
【0038】
放電エリア112には放電器114が設置され、単位セル11を強制放電する。電圧測定装置116は、単位セル11の開回路電圧(以下、電圧)を測定する装置であり、測定結果V1、V2は、制御装置120において、メモリ124に記録される。グループ分け装置118は、制御装置120によって制御されて、例えば、プッシャー(図示省略)によって、A〜Eグループへのグループ分けのためのコンベア(図示省略)に単位セル11を移載する。コンベアに移載された単位セル11はグループA〜Dの保管場所である棚130まで搬送されて集積される。
【0039】
制御装置120には、制御装置120全体を制御するCPU122と、プログラムやデータを格納するメモリ124と、電圧測定装置116およびグループ分け装置118との接続のための1/F(インターフェース)126とを備え、CPU122はシステムバス128を介してメモリ124およびI/F126に接続されている。
【0040】
搬送装置は、図6の各装置間で単位セル11を次のように搬送する。
(1)エージングした単位セルをエージングエリア110から放電エリア112に搬送する。
(2)放電した単位セル11を放電エリア112から電圧測定装置116に搬送する。
(3)電圧測定が終了した単位セル11を電圧測定装置116からエージングエリア110に搬送する。
(4)エージングした単位セル11をエージングエリア110から電圧測定装置116に搬送する。
(5)電圧測定した単位セル11を電圧測定装置116からグループ分け装置118に搬送する。
(6)グループ分け装置118で分類された単位セル11を該当するグループ毎の保管棚130に搬送する。
【0041】
制御装置120は上述した電圧低下量Dを演算する。制御装置120は、単位セル11のIDと電圧低下量Dに基づいてグループ分け装置118を制御する。
【0042】
メモリ124には、単位セル11の識別子(以下、ID)を記録する領域、電圧V1、V2を記録する領域、電圧低下量D(差分V1−V2)を記録する領域、グループ番号を記録する領域がそれぞれ設けられている。電圧低下量Dは、制御装置120のCPU122において、メモリ124に記憶された電圧V1、V2に基づいて算出され、算出結果がメモリ124に記録される。
なお、メモリ124には、後述する電圧低下量の温度変化率Yと、時間により規格化した電圧低下率Tを記録する領域も備えられる。
【0043】
単位セル11のIDは、単位セル製造時に電池外周面に印字または刻印されている。エージングエリア110、放電エリア112、電圧測定装置116、グループ分け装置118の各場所、各装置においては、搬送されてきた単位セル11のIDをID読取装置で読取り、処理対象となる単位セル11を認識している。
【0044】
−分類から製造までの手順−
図5のグループ分けを含むバッテリーモジュール100の製造方法について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0045】
ステップS501:バッテリーモジュール100を構成するための単位セル11を製作する。単位セル11の外周面にはセルIDが印字または刻印されている。製作した単位セル11は図6に示すエージングエリア110に搬送される。
ステップS502:エージングエリア110において、図示しない充電器により、複数の単位セル11を満充電まで充電する。このとき、単位セルを満充電の100%から0%の範囲内で充電と放電を少なくとも1回以上繰り返した後に、満充電まで充電しても良い。
【0046】
ステップS503:ステップS502で充電された満充電の単位セル11を、エージングエリア110において、所定温度(例えば25℃)で所定時間a(例えば0.5日=12時間)エージングする。エージングとは、単位セルを放置して自己放電させる処理である。満充電でエージングを行うことで単位セルの電圧は短時間で大きく低下した後、安定化する。
【0047】
ステップS504:ステップS503でエージングされた単位セル11を、図6に示す放電エリアに搬送し、放電器114を用いて強制放電する。強制放電では、初期電圧の30%以上95%以下の範囲内の所定電圧まで放電させる。
【0048】
ステップS505:ステップS504で強制放電された単位セル11を電圧測定装置116まで搬送して電圧V1を測定する。測定値V1はメモリ124に記録される。
ステップS506:ステップS505で電圧測定された単位セル11をエージングエリア110に搬送し、所定温度(例えば25℃)で所定時間b(例えば3日)エージングする。
なお、エージング中の温度を一般的に管理が容易な室温(25℃付近)とすることで、測定値を安定化させるとともに、製品が使用される環境下での測定を行うことができる。
【0049】
ステップS506でエージングを開始する際の単位セル11の充電状態をステップS504の強制放電で30%以上95%以下に調整したのは次の理由(1)、(2)による。
(1)満充電から電圧が低下する際、少なくとも満充電の95%以上で電圧低下量が安定する。
(2)満充電の30%以下の単位セル11をエージング(ステップS506)する際の電圧低下量は安定しない。
そこで、ステップS506でエージングを開始する際、単位セル11の電圧が満充電の30%以上95%以下の範囲になるようにステップS504で強制放電することとした。
【0050】
なお、満充電の30%以上95%以下の電圧範囲は、バッテリーモジュール100が製品として使用される頻度の高い電圧範囲でもある。
【0051】
ステップS507:ステップS506でエージングされた単位セル11を電圧測定装置116まで搬送して電圧V2を測定する。測定値V2はメモリ124に記録される。電圧測定後、グループ分け装置118まで単位セル11を搬送する。
【0052】
ステップS508:制御装置120は、ステップS505、S507で測定された電圧V1、V2の差分D、すなわち電圧低下量Dを算出する。電圧降下量Dはメモリ124に記録される。
差分Dは式(1)で表される。
電圧低下量D[mV]=(V1−V2) 式(1)
【0053】
なお、2回目のエージング(ステップS506)の温度を室温としたことにより、そのエージングの前後で測定するV1、V2の差分値より算出される電圧低下量Dが安定化し、良好な測定精度が得られる。
【0054】
ステップS509:制御装置120は、メモリ124に記録された電圧低下量Dに基づいて、単位セル11を図5のルールに基づいて評価し、メモリ124に各単位セルIDに対応付けてグループ番号を記録する。制御装置120は、グループ分け装置118にグループ分け指令信号を送出する。たとえば、グループ分け指令信号には、同一グループに分類されている単位セル11の全てのIDが含まれる。グループ分けされた単位セル11に対しては、バーコード貼付や印字、刻印などによりグループIDが付される。
【0055】
グループ分け装置118は、グループ分け指令信号に基づいて単位セル11をグループ分けして、不良品グループ、正常グループA〜正常グループEごとに設けたセル棚まで搬送して保管する。たとえば、各グループのセル棚に接続された複数本のベルトコンベアを設け、グループAに分類された単位セルはグループAのベルトコンベアに移載されてグループAの保管棚に集積される。これは以下のステップS510〜S515の処理である。
【0056】
ステップS510:不良品にグループ分けされた単位セル11を不良品保管場所に集積する。
ステップS511:グループAにグループ分けされた単位セル11をグループAの電池保管場所130に集積する。
ステップS512:グループBにグループ分けされた単位セル11をグループBの電池保管場所130に集積する。
ステップS513:グループCにグループ分けされた単位セル11をグループCの電池保管場所130に集積する。
ステップS514:グループDにグループ分けされた単位セル11をグループDの電池保管場所130に集積する。
ステップS515:グループEにグループ分けされた単位セル11をグループEの電池保管場所130に集積する。
【0057】
ステップS516:グループAにグループ分けされた複数の単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS517:グループBにグループ分けされた複数の単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS518:グループCにグループ分けされた複数の単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS519:グループDにグループ分けされた複数の単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS520:グループEにグループ分けされた複数の単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
【0058】
第1実施形態によれば、2回のエージングを行って得た電圧V1,V2の差分を電圧低下量Dとして算出し、この電圧低下量Dに基づいて単位セル11をグループ化した。したがって、放電初期の不安定な時期による自己放電量に基づく従来例に比べて、精度良くグループ化することができる。その結果、バッテリーモジュールを構成する単位セルの劣化の程度が均一化され、バッテリーモジュールの信頼性、耐久性が向上する。
【0059】
1回目のエージング(ステップS503)で初期の不安定な電圧低下の影響を除去し、さらに強制放電(ステップS504)で、測定電圧V1を安定な電圧範囲とすることによって、時間差分である電圧低下量(V1−V2)の測定値の安定化を図ることができる。その結果、単位セル11のグループ分けの精度を高めるという効果が得られる。
【0060】
なお、ステップS504の強制放電の目標電圧を満充電の30%以上95%以下としたが、これに限定されない。また、第1エージングを25℃、12時間、第2エージングを25℃、3日間としたが、これに限定されない。なお、第1エージングでは少なくとも12時間エージングするのが好ましい。
【0061】
[第2実施形態]
本発明によるバッテリーモジュール100の製造方法の第2実施形態を図面を参照して説明する。第2実施形態は、第1実施形態の満充電までの充電(ステップS502)に代えて、満充電の30%以上95%以下の電圧までの充電を採用し、これによって強制放電(ステップS504)を省略したものである。
【0062】
第2実施形態の製造方法について、図8のフローチャートを参照して説明する。
ステップS701:図7のステップS501と同様に、単位セル11を作製する。
ステップS702:ステップS701で製作された複数の単位セル11を、満充電の30%以上95%以下の電圧まで充電する。このとき、単位セルを満充電の100%から0%の範囲内で充電と放電を少なくとも1回以上繰り返した後に、満充電の30%以上95%以下の電圧まで充電しても良い。これによって、強制放電を行うことなく、単位セル11を安定な電圧範囲とすることができる。
【0063】
ステップS703:ステップS702で充電された単位セル11に対して、図7のステップ503と同様、所定温度(例えば25℃)で所定時間a(例えば0.5日=12時間)のエージングを実施する。
【0064】
ステップS704:ステップS703でエージングされた単位セル11に対して、図7のステップ505と同様、電圧V1を測定する。
ステップS705:ステップS704で電圧測定された単位セル11に対して、図7のステップ506と同様、所定温度(例えば25℃)で所定時間b(例えば3日)エージングする。
ステップS706:ステップS705でエージングされた単位セル11に対して、図7のステップ507と同様、電圧V2を測定する。
【0065】
ステップS706〜S719:図5のステップS507〜S520と同様、差分Dの算出、グループ分け、不良品集積、グループA〜Eの単位セル11の集積、グループA〜Eの単位セル11によるバッテリーモジュール100の作製を実施する。
【0066】
第2実施形態は、第1実施形態の効果に加え、強制放電のステップを省略でき、製造工程の短縮という効果が得られる。
【0067】
なお、ステップS702の充電目標電圧を満充電の30%以上95%以下としたが、これに限定されない。
【0068】
[第3実施形態]
本発明によるバッテリーモジュール100の製造方法の第3実施形態を図面を参照して説明する。第3実施形態は、第2実施形態の処理において、図8の電圧測定(ステップS704)の前に補充電を実行し、電圧V1を略一定に揃えるものである。
【0069】
第3実施形態の製造方法について、図9のフローチャートを参照して説明する。
ステップS801〜S803:図8のステップS701〜S703と同様に、電池作製、満充電の30%以上95%以下の範囲内の所定電圧まで充電し、エージングを実施する。
【0070】
ステップS804:ステップS803でエージングされた単位セル11に対して補充電を行い、満充電の30%以上95%以下の範囲内の所定電圧まで、単位セル11を充電する。補充電の目標電圧は、例えば、ステップS803でエージングを開始した際の電圧、すなわち、エージング前にステップS802で実施した充電が終了した時点の電圧とした。たとえば、満充電の50%まで充電してエージングした単位セルに対する補充電の目標電圧は満充電の50%の電圧である。
【0071】
ステップS805〜820:図8のステップS704〜S719と同様に、電圧V1測定、エージング、電圧V2測定、差分(電圧低下量)D算出、グループ分け、グループA〜Eの単位セル11の集積、グループA〜Eの単位セル11によるバッテリーモジュール100の作製を実施する。
【0072】
第3実施形態は、第2実施形態の効果に加え、2回目のエージング(ステップS806)開始前の電圧V1が均一となり、電圧低下量の測定精度が向上するという効果が得られる。
【0073】
なお、ステップS802の充電目標電圧を満充電の30%以上95%以下としたが、これに限定されない。また、ステップS804の補充電目標電圧を充電終了時の電圧としたが、これに限定されない。
【0074】
[第4実施形態]
本発明によるバッテリーモジュール100の製造方法の第4実施形態を図面を参照して説明する。
第4実施形態は、第1実施形態の処理において、図7の1回目のエージング(ステップS503)の実行温度をより高温(40℃以上70℃以下)に設定したものである。
【0075】
第4実施形態の製造方法について、図10のフローチャートを参照して説明する。
ステップS901、S902:図7のステップS501、S502と同様に、電池作製、満充電までの充電を実施する。
ステップS903:ステップS902で満充電まで充電された単位セル11を、高温の所定温度(例えば40℃以上70℃以下)で所定時間a(例えば0.5日=12時間以上)エージングする。
このように、エージングの温度を高温にすることで、Liの拡散が促進され、より短時間で電圧低下量が安定化し、エージング時間を短縮することができる。
【0076】
ステップS904〜S920:図7のステップS504〜S520と同様に、放電、電圧V1測定、エージング、電圧V2測定、差分(電圧低下量)D算出、グループ分け、グループA〜Eの単位セル11の集積、グループA〜Eの単位セル11によるバッテリーモジュール100の作製を実施する。
【0077】
第4実施形態は、第1実施形態の効果に加え、第1実施形態よりも高温でエージングしたので、1回目のエージングの処理時間を短縮でき、製造工程を短縮できる。
【0078】
なお、ステップS903の第1エージングを40℃以上70℃以下、3日間としたが、これに限定されない。なお、第1エージングと第2エージングの温度差を10℃以上相違させるのが好ましい。
【0079】
[第5実施形態]
本発明によるバッテリーモジュール100の製造方法の第5実施形態を図面を参照して説明する。
第5実施形態は、第1実施形態のステップS501〜S508と同様のステップS1001〜S1008の処理の後、すなわち電圧V2を測定した後、2回目の温度条件とは異なる温度条件の3回目のエージングと、3回目の電圧V3の測定を行い、電圧低下量の温度変化率Y=(V1−V2)/(V2−V3)による評価をも実行するものである。
【0080】
第5実施形態の製造方法について、図11のフローチャートを参照して説明する。
ステップS1001〜S1008:図7のステップS501〜S508と同様に、電池作製、充電、エージング、放電、電圧V1測定、エージング、電圧V2測定、差分(電圧低下量)D算出を実施する。
【0081】
ステップS1009:図7のステップS508と同様、ステップS1008で差分Dを算出した単位セル11を、高温の所定温度(例えば40℃〜70℃すなわち40℃以上70℃以下)で所定時間c(例えば0.5日=12時間以上)エージングする。
このように、高温のエージンではLiの拡散が促進されるので、温度感受性の高い単位セル11ほどエージング後の電圧V3が低くなる。
【0082】
ステップS1010:ステップS1009でエージングされた単位セル11の電圧V3を測定する。
ステップS1011:ステップS1008で測定された差分(電圧低下量)Dを差分(V2−V3)で除算し、電圧低下量の温度変化率Yを算出する。温度変化率Yは式(2)により表される。温度変化率Yは、その値が小さいほど温度感受性が高いことを示す。
温度変化率Y=(V1−V2)/(V2−V3) 式(2)
【0083】
ステップS1012:まず、差分Dが所定の閾値より大きい単位セル11を不良品と判定し、良品の単位セル11について、第1〜第4実施形態同様に、差分Dに基いてグループA〜Eにグループ分けする。なお、図11では図示を簡略化してグループA〜Cのみが表記されている。
【0084】
ステップS1013:不良品にグループ分けされた単位セル11を不良品保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1014:グループAにグループ分けされた単位セル11をグループAセル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1015:グループBにグループ分けされた単位セル11をグループBセル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1016:グループCにグループ分けされた単位セル11をグループCセル保管場所130へ搬送して集積する。
【0085】
ステップS1017:グループAにグループ分けされ、集積された単位セル11を、温度変化率Yに基づいて、グループA1、A2、A3に小グループ分けする。
ステップS1018:グループBにグループ分けされ、集積された単位セル11を、温度変化率Yに基づいて、グループB1、B2、B3に小グループ分けする。
ステップS1019:グループCにグループ分けされ、集積された単位セル11を、温度変化率Yに基づいて、グループC1、C2、C3に小グループ分けする。
【0086】
ステップS1020:グループA1にグループ分けされた単位セル11をグループA1セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1021:グループA2にグループ分けされた単位セル11をグループA2セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1022:グループA3にグループ分けされた単位セル11をグループA3セル保管場所130へ搬送して集積する。
【0087】
ステップS1023:グループB1にグループ分けされた単位セル11をグループB1セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1024:グループB2にグループ分けされた単位セル11をグループB2セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1025:グループB3にグループ分けされた単位セル11をグループB3セル保管場所130へ搬送して集積する。
【0088】
ステップS1026:グループC1にグループ分けされた単位セル11をグループC1セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1027:グループC2にグループ分けされた単位セル11をグループC2セル保管場所130へ搬送して集積する。
ステップS1028:グループC3にグループ分けされた単位セル11をグループC3セル保管場所130へ搬送して集積する。
【0089】
ステップS1029:グループA1にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1030:グループA2にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1031:グループA3にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
【0090】
ステップS1032:グループB1にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1033:グループB2にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1034:グループB3にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
【0091】
ステップS1035:グループC1にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1036:グループC2にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
ステップS1037:グループC3にグループ分けされた単位セル11を用いてバッテリーモジュール100を作製する。
【0092】
第5実施形態では、電圧低下量を決定するLiの拡散状態は温度によってその振る舞いが大きく異なることに注目し、温度変化に対する電圧低下量の変化率(温度変化率)を評価基準に加えた。したがって、第1実施形態の効果に加え、バッテリーモジュール内の二次電池(単位セル)11のばらつきを、さらに抑制することができるという効果が得られる。
【0093】
[変形例]
以上説明した第1実施形態〜第5実施形態を以下のように変形して実施することができる。
(1)第1実施形態において、所定時間bを比較的長時間とした場合、時間bの設定値にばらつきが生じる可能性がある。そこで、実際の生産でエージングを行う場合、時間bを厳密に測定しておき、時間bで規格化した次式(3)による電圧低下率Tを用いてグループ分けすることも可能である。
電圧低下率T[mV/day]=(V1−V2)/ 所定時間b 式(3)
これによって、より高精度なグループ分けと不良選別が可能となる。
【0094】
(2)第1実施形態に示すグループ分けのルール(図5)は一例であり、グループの数や境界値はセルの特性やエージング条件に応じて任意に設定してもよい。
(3)第5実施形態において、2回目のエージングによる電圧V2の測定を行う前に、予め3回目のエージングを実施することも可能である。
(4)第5実施形態において、3回目のエージングの温度を高温としたが、2回目のエージングよりも低温(10〜-20℃)にすることも可能である。経験的には、2回目と3回目のエージングの温度を10℃以上異なるものとすることにより、良好な温度変化率が得られる。
【0095】
(5)以上の実施形態では、円筒形リチウムイオン電池を単位セルとするバッテリーモジュールについて説明したが、本発明は、角形等の他のタイプのリチウムイオン電池、あるいは、リチウムイオン電池以外の二次電池に適用することができる。
【符号の説明】
【0096】
1 電池容器
2 ガスケット
3 上蓋
4 上蓋ケース
5 正極集電部品
6 負極集電部品
7 軸芯
8 電極群
9 正極リード
10 負極リード
11 二次電池(単位セル)
12 正極タブ
13 負極タブ
14 正極電極
15 負極電極
16 正極合剤
17 負極合剤
18 セパレータ
19 テープ
20a,20b 組電池
21 セルコンIC
22 マイコン
30 セルコントローラ
40 バッテリーコントローラ
41 インバータ
42 モータ
50 上蓋部
52 開口部
54 底面
100 バッテリーモジュール
110 エージングエリア
112 放電エリア
114 放電器
116 電圧測定装置
118 グループ分け装置
120 制御装置
122 CPU
124 メモリ
126 I/F
128 システムバス
130 保管棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の単位セルを複数個組合せて構成されるバッテリーモジュールの製造方法であって、
複数の単位セルをそれぞれ充電する充電工程と、
前記充電工程で充電された単位セルに対して1回目のエージングを実行する第1エージング工程と、
前記第1回目のエージングの後に、1回目の電圧測定を行う第1測定工程と、
前記1回目の電圧測定の後に、前記単位セルに対して2回目のエージングを実行する第2エージング工程と、
前記2回目のエージングの後に2回目の電圧測定を行う第2測定工程と、
前記1回目と2回目の電圧測定の測定値の差分値である第1電圧低下量を算出する第1算出工程と、
前記第1電圧低下量に基づいて、前記単位セルを複数のグループに分類する第1分類工程と、
前記分類によって同一グループとされた複数個の単位セルを使用して1個のバッテリーモジュールを製造する製造工程とを有することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項2】
請求項1のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記充電工程では、単位セルを満充電まで充電し、
前記製造方法はさらに、前記1回目のエージングの後、前記1回目の電圧測定の前に、前記単位セルを満充電を基準とした所定範囲内の所定電圧に強制放電する強制放電工程を有することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項3】
請求項2のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記強制放電工程では、前記単位セルを満充電の30%以上95%以下の範囲内の所定電圧に強制放電することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記第1エージング工程における1回目のエージングと、前記第2エージング工程における2回目のエージングは、ともに25℃の温度で実行することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記第1分類工程は、前記第1電圧低下量が予め定めた閾値以上である単位セルを不良品として分類することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記第1分類工程は、前記第1電圧低下量が予め定めた閾値未満の単位セルを良品と判定し、これら良品である複数個の単位セルを、前記第1電圧低下量に基づいてさらに複数のグループに分類することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項7】
請求項1記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記充電工程における充電は、前記単位セルの満充電の電圧に対して所定割合の範囲内の電圧まで行うことを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項7記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記充電工程における充電は、前記単位セルの満充電の電圧に対して、30%以上95%以下の範囲内の電圧まで行うことを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項1記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記1回目のエージングの後、前記1回目の電圧測定の前に、前記単位セルの満充電の電圧に対して所定割合内の電圧まで補充電する補充電工程を有することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記補充電工程は、前記単位セルの満充電の電圧に対して30%以上95%以下の範囲内の電圧まで補充電することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれか1項に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記第1エージング工程における1回目のエージングと、前記第2エージング工程における2回目のエージングは、ともに25℃の温度で実行することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記1回目のエージングは前記2回目のエージングよりも高い温度で実行することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記1回目のエージングは40℃以上70℃以下の温度で実行し、前記2回目のエージングは25℃の温度で実行することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項14】
請求項4に記載のバッテリーモジュールの製造方法において、
前記充電工程で充電された単位セルに対して、前記第2エージング工程における温度と10℃以上異なる温度で3回目のエージングを実行する第3エージング工程と、
前記3回目のエージングの後に3回目の電圧測定を行う第3測定工程と、
前記2回目と3回目の電圧測定の測定値の差分値である第2電圧低下量を算出する第2算出工程と、
前記第1算出工程で算出した第1電圧低下量と、前記第2算出工程で算出した第2電圧低下量の比である温度変化率を算出する第3算出工程とを含み、
前記第1分類工程で複数の小グループに分類された複数個の単位セルを、さらに、前記温度変化率に基づいて複数の小グループに分類する第2分類工程とを有し、
前記製造工程では、1個のバッテリーモジュールを、前記第2分類工程で同一の小グループに分類された複数個の単位セルを使用して製造することを特徴とするバッテリーモジュールの製造方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のバッテリーモジュール製造方法で製造したことを特徴とするバッテリーモジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−138192(P2012−138192A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288256(P2010−288256)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】