説明

バッテリ搭載構造

【課題】バッテリがリアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置された場合でも、車体のバッテリに対する支持剛性を確保する。
【解決手段】本発明のバッテリ搭載構造10は、リアサイドメンバ24よりも車両幅方向外側に配置されたバッテリ44と、車両幅方向に延在されてバッテリ44が載置されると共に、車両幅方向内側の端部がリアサイドメンバ24の上部に対して固定されたバッテリキャリア部36Aと、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成され、リアサイドメンバ24の下部とバッテリキャリア部36Aとの間を連結するバッテリサポート部62Aとを備えている。この構成によれば、バッテリサポート部62Aがリアサイドメンバ24の下部に対してバッテリキャリア部36Aを支持する支えの役割を果たすので、車体のバッテリ44に対する支持剛性を確保することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ搭載構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ラゲージルームの周壁を形成するトリム部材の車両幅方向外側にバッテリを収納することで、ラゲージルームにおける車両幅方向のスペースを確保した車両のバッテリ支持構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平2−124746号公報
【特許文献2】実開平3−5659号公報
【特許文献3】特開2007−83963号公報
【特許文献4】特開2003−276530号公報
【特許文献5】特開2005−186761号公報
【非特許文献1】発明協会公開技報、公技番号2007−500349
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の例のような車体後部構造において、車体後部における車両幅方向外側部に設けられたリアサイドメンバから重量物であるバッテリが車両幅方向外側に離れた位置に配置されると、車体のバッテリに対する支持剛性が不足する虞がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、バッテリがリアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置された場合でも、車体のバッテリに対する支持剛性を確保することができるバッテリ搭載構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載のバッテリ搭載構造は、車体後部における車両幅方向外側部に設けられたリアサイドメンバと、車体後部に形成されたラゲージルーム内に設けられると共に、前記リアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置されたバッテリと、車両幅方向に延在されて前記バッテリが載置されると共に、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に対して固定されたバッテリキャリア部と、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成され、前記リアサイドメンバの下部と前記バッテリキャリア部との間を連結するバッテリサポート部と、を備えている。
【0007】
このバッテリ搭載構造によれば、バッテリが載置されたバッテリキャリア部は、車両幅方向に延在されており、車両幅方向内側の端部は、リアサイドメンバの上部に対して固定されている。また、このリアサイドメンバの下部とバッテリキャリア部との間は、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成されたバッテリサポート部によって連結されている。従って、このバッテリサポート部がリアサイドメンバの下部に対してバッテリキャリア部を支持する支えの役割を果たす。これにより、バッテリがリアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置された場合でも、車体のバッテリに対する支持剛性を確保することができる。
【0008】
請求項2に記載のバッテリ搭載構造は、請求項1に記載のバッテリ搭載構造において、前記バッテリキャリア部における車両幅方向内側の端部と前記バッテリサポート部における車両幅方向内側の端部との間を連結し、前記バッテリキャリア部及び前記バッテリサポート部と共に閉断面を形成する連結部材をさらに備えている。
【0009】
このバッテリ搭載構造によれば、バッテリキャリア部、バッテリサポート部、及び、連結部材は、閉断面を形成しているので、車体のバッテリに対する支持剛性を向上させることができる。
【0010】
請求項3に記載のバッテリ搭載構造は、請求項2に記載のバッテリ搭載構造において、前記リアサイドメンバが、車両上側に開口する断面ハット状に形成され、前記連結部材が、前記リアサイドメンバの内部に設けられた構成とされている。
【0011】
このバッテリ搭載構造によれば、連結部材は、断面ハット状に形成されたリアサイドメンバの内部に設けられている。従って、例えば、連結部材がリアサイドメンバの外部に設けられた場合に比して、リアサイドメンバの周辺部が大型化することを抑制することができる。
【0012】
請求項4に記載のバッテリ搭載構造は、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバッテリ搭載構造において、車両幅方向に延在されると共に、車両上下方向における前記バッテリキャリア部と前記バッテリサポート部との間に配置され、且つ、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に結合されたリアフロアサイドパネルと、前記バッテリキャリア部における車両前後方向両側に形成された一対の結合部と、前記バッテリサポート部に形成され、それぞれ前記リアフロアサイドパネル及び前記結合部と結合された一対の被結合部と、をさらに備えている。
【0013】
このバッテリ搭載構造によれば、バッテリキャリア部における車両前後方向両側において、一対の結合部と、リアフロアサイドパネルと、一対の被結合部とが結合されている。これにより、車体のバッテリに対する支持剛性をより一層向上させることができる。
【0014】
請求項5に記載のバッテリ搭載構造は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のバッテリ搭載構造において、車両幅方向に延在されると共に、車両上下方向における前記バッテリキャリア部と前記バッテリサポート部との間に配置され、且つ、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に結合されたリアフロアサイドパネルと、前記リアフロアサイドパネルの車両幅方向外側に設けられ、車両幅方向内側の端部が前記リアフロアサイドパネルに結合されたサイドアウタパネルと、を備え、前記バッテリが、前記リアサイドメンバよりも車両上側に配置された構成とされている。
【0015】
仮に、バッテリがリアサイドメンバよりも車両下側に配置されていた場合、バッテリが低い位置に配置されることに伴って、リアフロアサイドパネルにおける車両幅方向外側部と、サイドアウタパネルにおける車両幅方向内側部とを車両下側に延長する必要がある。
【0016】
しかしながら、このバッテリ搭載構造によれば、バッテリは、リアサイドメンバよりも車両上側に配置されている。従って、リアフロアサイドパネルにおける車両幅方向外側部と、サイドアウタパネルにおける車両幅方向内側部とを車両下側に延長する必要が無い。これにより、例えば、車体を軽量化することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上詳述したように、本発明によれば、バッテリがリアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置された場合でも、車体のバッテリに対する支持剛性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るバッテリ搭載構造が適用された車体後部を車両上方から見た斜視図である。
【図2】図1に示される車体後部を車両下方から見た斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図3に示される連結部材の斜視図である。
【図5】図3に示されるバッテリキャリア部、バッテリサポート部、及び、連結部材が形成する閉断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
【0020】
なお、各図において示される矢印UP、矢印FR、矢印OUTは、車両上下方向上側、車両前後方向前側、車両幅方向外側(右側)をそれぞれ示している。また、図1では、理解の容易のために、リアフロアパネル14(図2,図3参照)が省かれた状態で示されている。また、図3において、結合部36B及び被結合部62Bは、図2の3−3線での切断位置から車両前後方向にずれて配置されているため、想像線(二点鎖線)で示されている。
【0021】
図1〜図3に示される車体後部12には、本発明の一実施形態に係るバッテリ搭載構造10が適用されている。すなわち、この車体後部12における車両幅方向中央部には、図3に示されるように、リアフロアパネル14が設けられており、リアフロアパネル14の車両幅方向外側には、リアフロアサイドパネル16が設けられている。このリアフロアパネル14及びリアフロアサイドパネル16は、車体後部12に形成されたラゲージルーム18の底部を形成している。また、リアフロアサイドパネル16の車両幅方向外側には、ラゲージルーム18の側壁部を形成するサイドアウタパネル20が設けられている。
【0022】
リアフロアパネル14における車両幅方向中央部には、図示しないスペアタイヤを収容する収容部14Aが形成されている。また、このリアフロアパネル14における収容部14Aよりも車両幅方向外側には、車両幅方向に延在する車両幅方向外側部14Bが形成されている。この車両幅方向外側部14Bの車両幅方向外側の端部14Cは、リアフロアサイドパネル16における車両幅方向内側の端部16Aの車両上側に重ねられている。
【0023】
リアフロアサイドパネル16における端部16Aの車両幅方向外側には、車両幅方向外側に向かうに従って車両下側に向かう傾斜部16Bが形成されており、この傾斜部16Bの車両幅方向外側には、車両幅方向に延びる水平部16Cが形成されている。また、リアフロアサイドパネル16における車両幅方向外側の端部16Dと、サイドアウタパネル20における車両幅方向内側の端部20Aとは、車両下側へ延びており、車両幅方向に重ねられている。そして、この端部16Dと端部20Aとは、溶接部22により結合されている。
【0024】
また、車両幅方向外側部14Bの車両下側には、車両前後方向に延在するリアサイドメンバ24が設けられている。このリアサイドメンバ24は、車両上側に開口すると共に、車両幅方向に沿う断面がハット状に形成されている。つまり、このリアサイドメンバ24は、車両幅方向に対向する一対の側壁部24Aと、この一対の側壁部24Aの下端部を連結する下壁部24Bと、一対の側壁部24Aの上端部から車両幅方向両側に延びる一対のフランジ24Cとを有している。
【0025】
車両幅方向内側のフランジ24Cは、車両幅方向外側部14Bの車両下側に重ね合わされた状態で、この車両幅方向外側部14Bと溶接部26により結合されている。一方、車両幅方向外側のフランジ24Cは、上述のリアフロアサイドパネル16の端部16Aの車両下側に重ね合わされた状態で、端部16A及び端部14Cと溶接部28により結合されている。そして、このリアサイドメンバ24は、上述のリアフロアパネル14の車両幅方向外側部14Bとで閉断面30を形成している。また、端部14Cと端部16Aとの間は、シール材32によってシールされており、車両幅方向外側のフランジ24Cと端部16Aとの間は、シール材34によってシールされている。
【0026】
また、リアフロアサイドパネル16の車両上側には、バッテリキャリア36が設けられている。このバッテリキャリア36は、図1に示されるように、車両前後方向且つ車両幅方向に延在するバッテリキャリア部36Aと、このバッテリキャリア部36Aの車両前後方向両側且つ車両下側に形成された一対の結合部36Bとを有している。このバッテリキャリア36は、バッテリキャリア部36Aの車両前後方向中央部を中心とした面対称状に形成されている。
【0027】
バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向内側の端部は、図3に示されるように、車両幅方向に延在するフランジ36Cとして形成されており、このフランジ36Cは、車両幅方向外側部14Bの車両上側に重ねられている。また、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部には、車両下側に延びる縦壁部36Dと、この縦壁部36Dの下端部から車両幅方向外側に延びる延出部36Eとが形成されている。
【0028】
結合部36Bには、傾斜部16Bと同様に傾斜する傾斜部36Fが形成されている。この傾斜部36Fは、リアフロアパネル14やリアサイドメンバ24よりも車両幅方向外側に設けられており、傾斜部16Bの車両上側に重ねられている。また、この傾斜部36Fの上面には、ウェルドナット38が固定されている。
【0029】
この傾斜部36Fの車両幅方向外側には、車両幅方向に延びる水平部36Gが形成されており、この水平部36Gは、車両上下方向に延びる連結部36Hを介して延出部36Eと連結されている。また、水平部36Gは、水平部16Cの車両上側に重ねられており、この水平部36Gには、ウェルドボルト40が固定されている。このウェルドボルト40のネジ部は、水平部16C,36G及び後述するフランジ62Dに形成された穴部42に挿通されて車両下側に突出されている。
【0030】
また、バッテリキャリア部36Aには、バッテリ44が載置されている。なお、このバッテリ搭載構造10が適用された車両は、例えば、内燃機関とモータとを動力源として走行するハイブリッドカーとされている。そして、この車両には、上述の走行用のモータに電力を供給するメインバッテリが搭載されており、バッテリ44は、上述の走行用モータ以外の機器等に電力を供給するサブバッテリとされている。
【0031】
このバッテリ44は、上述のように、リアフロアサイドパネル16の車両上側に設けられたバッテリキャリア部36Aに載置されることにより、リアサイドメンバ24よりも車両幅方向外側で且つリアサイドメンバ24よりも車両上側に配置されている。そして、このバッテリ44は、クランプ46及び固定バー48によりバッテリキャリア部36Aに固定されている。
【0032】
つまり、クランプ46は、車両幅方向に延びる横棒46Aと車両上下方向に延びる縦棒46Bとを有して構成されている。横棒46Aは、バッテリ44の上面に沿って設けられ、縦棒46Bは、バッテリ44の車両幅方向内側の側面に沿って設けられている。また、縦棒46Bの下端部には、車両幅方向内側に延びるフランジ46Cが設けられており、このフランジ46Cは、バッテリキャリア部36Aの車両上側に重ねられている。そして、ボルト50のネジ部が車両上側からフランジ46C及びバッテリキャリア部36Aに形成された穴部52に挿通されてバッテリキャリア部36Aの下面に固定されたウェルドナット54と螺合されることにより、フランジ46C及びバッテリキャリア部36Aは結合されている。
【0033】
また、固定バー48の下部48Aは、縦壁部36Dの車両幅方向外側に重ねられた状態で、この縦壁部36Dと溶接部56により結合されている。また、この固定バー48の上部には、ネジ部48Bが形成されており、このネジ部48Bは、横棒46Aの車両幅方向外側の端部46Dに形成された穴部58に挿通されている。そして、車両上側からネジ部48Bにナット60が螺合されることにより、固定バー48は、横棒46Aと固定されている。このようにして、バッテリ44は、バッテリキャリア部36Aに対して固定されている。
【0034】
また、上述のリアフロアサイドパネル16の車両下側には、バッテリサポート62が設けられている。このバッテリサポート62は、図2に示されるように、バッテリサポート部62Aと、このバッテリサポート部62Aの車両前後方向両側且つ車両上側に形成された一対の被結合部62Bとを有している。このバッテリサポート62は、バッテリサポート部62Aの車両前後方向中央部を中心とした面対称状に形成されている。
【0035】
バッテリサポート部62Aは、図3に示されるように、上述のバッテリキャリア部36Aと車両上下方向に並んで形成されている(互いの少なくとも一部が車両前後方向にオーバラップして形成されている)また、このバッテリサポート部62Aは、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜する直線状に形成されている。
【0036】
このバッテリサポート部62Aの車両幅方向内側には、車両幅方向に延びるフランジ62Cが形成されており、このフランジ62Cは、下壁部24Bにおける車両幅方向外側部の車両下側に重ねられている。一方、バッテリサポート部62Aの車両幅方向外側には、車両幅方向に延びるフランジ62Dが形成されており、このフランジ62Dは、水平部16Cの車両下側に重ねられている。そして、ナット64が車両下側からウェルドボルト40のネジ部と螺合されることにより、フランジ62D及び水平部16C,36Gは結合されている。
【0037】
また、このようにして、フランジ62Dが水平部16C,36Gに結合されることにより、バッテリサポート部62Aの車両幅方向外側の端部は、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部に対して固定されている。つまり、バッテリサポート部62Aの車両幅方向外側の端部は、フランジ62D、水平部16C,36G、連結部36Hを介してバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部(延出部36E)と固定されている。なお、このバッテリキャリア部36Aには、図2に示されるように、車両前後方向に並ぶと共に、それぞれ車両幅方向に延びる一対のビード62Gが形成されている。
【0038】
被結合部62Bには、図3に示されるように、側壁部24Aよりも車両幅方向外側に側壁部24Aと対向する縦壁部62Eが形成されており、この縦壁部62Eの上端部には、車両幅方向外側に延びると共に傾斜部16Bと同様に傾斜する傾斜部62Fが形成されている。この傾斜部62Fは、傾斜部16Bの車両下側に重ねられている。そして、ボルト66のネジ部が車両下側から傾斜部62F,16B,36Fに形成された穴部68に挿通されてウェルドナット38と螺合されることにより、傾斜部62Fは、傾斜部16B,36Fと結合されている。また、この傾斜部62Fの車両幅方向外側の端部は、フランジ62Dと連結されている。
【0039】
また、図1に示されるように、断面ハット状に形成されたリアサイドメンバ24の内部には、一対の連結部材70が設けられている。この一対の連結部材70は、リアサイドメンバ24の長手方向(車両前後方向)に並んで配置されており、互いに同一の構成とされている。この連結部材70は、図4に示されるように、車両幅方向且つ車両上下方向に延びる本体部70Aを有している。
【0040】
本体部70Aにおける上端部には、車両前側に延出するフランジ70Bが形成されている。このフランジ70Bの下面には、ウェルドナット72が固定されている。また、本体部70Aにおける下端部には、車両後側に延出するフランジ70Cが形成されている。このフランジ70Cの上面における車両幅方向外側部には、ウェルドナット74が固定されている。さらに、本体部70Aの下部における車両幅方向両端側には、車両前側に延びる一対の腕部70Dが形成されており、この腕部70Dと、フランジ70Bと、本体部70Aとは、折り曲げ部70Eによって連結されている。
【0041】
そして、この連結部材70は、図3に示されるように、リアサイドメンバ24の内部に配置されている。また、フランジ70Bは、車両幅方向外側部14Bの車両下側に重ねられている。そして、ボルト76のネジ部が車両上側からフランジ36C、車両幅方向外側部14B、及び、フランジ70Bに形成された穴部78に挿通されてウェルドナット72と螺合されることにより、フランジ36C、車両幅方向外側部14B、及び、フランジ70Bは結合されている。
【0042】
また、このようにして、フランジ36Cが車両幅方向外側部14Bと結合されることにより、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向内側の端部(フランジ36C)は、リアサイドメンバ24の上部に対して固定されている。つまり、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向内側の端部は、車両幅方向外側部14Bを介してリアサイドメンバ24の上部に形成された一対のフランジ24Cに固定されている。
【0043】
また、フランジ70Cの車両幅方向内側部は、下壁部24Bの車両幅方向内側部に溶接部80により結合されており、一対の腕部70Dは、一対の側壁部24Aとそれぞれ溶接部82により結合されている。また、フランジ70Cは、下壁部24Bの車両上側に重ねられている。そして、ボルト84のネジ部が車両下側からフランジ62C、下壁部24B、及び、フランジ70Cに形成された穴部86に挿通されてウェルドナット74と螺合されることにより、フランジ70Cの車両幅方向外側部、下壁部24Bの車両幅方向外側部、及び、フランジ62Cは結合されている。
【0044】
また、このようにして、フランジ62Cが下壁部24B及びフランジ70Cと結合されることにより、バッテリサポート部62Aにおける車両幅方向内側の端部は、リアサイドメンバ24の下部を構成する下壁部24Bに対して固定されている。また、上述のように、バッテリサポート部62Aの車両幅方向外側の端部は、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部(延出部36E)に対して固定されている。そして、バッテリサポート部62Aは、このようにして、両端部が下壁部24B及びバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部に対して固定されることにより、下壁部24Bとバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部との間を連結している。
【0045】
また、このバッテリ搭載構造10において、バッテリキャリア部36A、連結部材70、バッテリサポート部62Aは、図5に模式的に示されるように、閉断面88を形成している。この閉断面88は、より具体的には、図3に示されるバッテリキャリア部36A、連結部材70、フランジ62C、バッテリサポート部62A、フランジ62D、水平部36G、及び、連結部36Hによって形成されている。
【0046】
本発明の一実施形態に係るバッテリ搭載構造10は、以上の構成とされており、バッテリキャリア36、バッテリ44、及び、バッテリサポート62は、例えば、次の順序で車体に取り付けられる。
【0047】
すなわち、リアサイドメンバ24の内部に連結部材70が取り付けられた状態で、先ず、リアフロアサイドパネル16の車両上側にバッテリキャリア36が取り付けられる。次いで、リアフロアサイドパネル16の車両下側にバッテリサポート62が取り付けられる。また、このときには、ウェルドボルト40のネジ部が穴部42に挿通されることにより、バッテリキャリア36がリアフロアサイドパネル16に対して位置決めされると共に、バッテリサポート62がリアフロアサイドパネル16に対して位置決めされる。そして、その後、バッテリキャリア部36Aにバッテリ44が載置され、このバッテリ44がクランプ46及び固定バー48によってバッテリキャリア36に固定される。
【0048】
次に、本発明の一実施形態の作用及び効果について説明する。
【0049】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るバッテリ搭載構造10によれば、ラゲージルーム18内に設けられたバッテリ44は、リアサイドメンバ24よりも車両幅方向外側に配置されている。従って、ラゲージルーム18における車両幅方向のスペースを確保することができる。
【0050】
また、このバッテリ44が載置されたバッテリキャリア部36Aは、図3に示されるように、車両幅方向に延在されており、車両幅方向内側の端部(フランジ36C)は、リアサイドメンバ24の上部に対して固定されている。また、このリアサイドメンバ24の下部とバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部(延出部36E)との間は、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成されたバッテリサポート部62Aによって連結されている。従って、このバッテリサポート部62Aがリアサイドメンバ24の下部に対してバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部を支持する支えの役割を果たす。これにより、バッテリ44がリアサイドメンバ24よりも車両幅方向外側に配置された場合でも、車体のバッテリ44に対する支持剛性を確保することができる。
【0051】
しかも、図5に模式的に示されるように、バッテリキャリア部36A、バッテリサポート部62A、及び、連結部材70は、閉断面88を形成しているので、車体のバッテリ44に対する支持剛性を向上させることができる。つまり、車両の走行に伴いバッテリ44から車両上下方向の荷重F1が入力された場合でも、この入力荷重の伝達経路が閉断面化されているので、剛性を向上させることができる。
【0052】
また、連結部材70は、図3に示されるように、断面ハット状に形成されたリアサイドメンバ24の内部に設けられている。従って、例えば、連結部材70がリアサイドメンバ24の外部に設けられた場合に比して、リアサイドメンバ24の周辺部が大型化することを抑制することができる。
【0053】
また、バッテリキャリア部36Aにおける車両前後方向両側において、一対の結合部36Bと、リアフロアサイドパネル16と、一対の被結合部62Bとが結合されている(図1,図2も参照)。これにより、車体のバッテリ44に対する支持剛性をより一層向上させることができる。
【0054】
また、図3に示されるように、バッテリキャリア部36Aにバッテリ44から車両上下方向に荷重F1が入力された場合には、これに伴い、バッテリサポート部62Aに対してフランジ62C側の端部を支点としたモーメントMが入力される。ところが、フランジ70Cの車両幅方向外側部、下壁部24Bの車両幅方向外側部、及び、フランジ62Cはボルト84及びウェルドナット74によって結合されている。従って、この場合には、フランジ70Cの車両幅方向内側部と下壁部24Bの車両幅方向内側部との間に押圧荷重F2が入力されるので、溶接部80の剥離を抑制することができる。
【0055】
ところで、仮に、バッテリ44がリアサイドメンバ24よりも車両下側に配置されていた場合、バッテリ44が低い位置に配置されることに伴って、リアフロアサイドパネル16の車両幅方向外側部と、サイドアウタパネル20の車両幅方向内側部とを車両下側に延長する必要がある。
【0056】
しかしながら、このバッテリ搭載構造10によれば、バッテリ44は、リアサイドメンバ24よりも車両上側に配置されている。従って、リアフロアサイドパネル16の車両幅方向外側部と、サイドアウタパネル20の車両幅方向内側部とを車両下側に延長する必要が無い。これにより、車体を軽量化することができると共に、例えば、リアフロアサイドパネル16の車両幅方向外側部及びサイドアウタパネル20の車両幅方向内側部がこれらの下方に配置されたマフラ90と干渉することも抑制することができる。
【0057】
次に、本発明の一実施形態の変形例について説明する。
【0058】
上記実施形態において、バッテリ44は、ハイブリッドカーにおけるサブバッテリとされていたが、ハイブリッドカーではなく内燃機関を動力源として走行する通常の車両におけるバッテリとされていても良い。
【0059】
また、バッテリサポート部62Aは、リアサイドメンバ24の下部とバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向外側の端部との間を連結していたが、リアサイドメンバ24の下部とバッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向中間部との間を連結していても良い。
【0060】
また、図3に示される閉断面88は、より具体的には、バッテリキャリア部36A、連結部材70、フランジ62C、バッテリサポート部62A、フランジ62D、水平部36G、及び、連結部36Hによって形成されていた。しかしながら、この閉断面88は、バッテリキャリア部36A、連結部材70、バッテリサポート部62Aのみによって形成されていても良い。換言すれば、バッテリキャリア部36A、連結部材70、バッテリサポート部62Aは、上記実施形態のように互いに間接的ではなく直接的に固定されていても良い。
【0061】
つまり、本発明において、リアサイドメンバの下部とバッテリキャリア部との間を連結するとは、リアサイドメンバの下部とバッテリキャリア部とに直接的に固定されてこれらを連結する場合と、リアサイドメンバの下部とバッテリキャリア部とに間接的に固定されてこれらを連結する場合の両方を含む趣旨である。
【0062】
同様に、連結部材70は、バッテリキャリア部36Aにおける車両幅方向内側の端部(フランジ36C)とバッテリサポート部62Aにおける車両幅方向内側の端部とに直接的に固定されていても良い。
【0063】
つまり、本発明において、バッテリキャリア部における車両幅方向内側の端部とバッテリサポート部における車両幅方向内側の端部との間を連結するとは、これらに間接的に固定されてこれらを連結する場合と、これらに直接的に固定されてこれらを連結する場合の両方を含む趣旨である。
【0064】
また、バッテリサポート部62Aは、車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成されていれば、直線状でなくても良い。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
10 バッテリ搭載構造
16 リアフロアサイドパネル
20 サイドアウタパネル
24 リアサイドメンバ
36A バッテリキャリア部
36B 結合部
44 バッテリ
62A バッテリサポート部
62B 被結合部
70 連結部材
88 閉断面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体後部における車両幅方向外側部に設けられたリアサイドメンバと、
車体後部に形成されたラゲージルーム内に設けられると共に、前記リアサイドメンバよりも車両幅方向外側に配置されたバッテリと、
車両幅方向に延在されて前記バッテリが載置されると共に、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に対して固定されたバッテリキャリア部と、
車両幅方向外側に向かうに従って車両上側に向かうように車両幅方向に対して傾斜して形成され、前記リアサイドメンバの下部と前記バッテリキャリア部との間を連結するバッテリサポート部と、
を備えたバッテリ搭載構造。
【請求項2】
前記バッテリキャリア部における車両幅方向内側の端部と前記バッテリサポート部における車両幅方向内側の端部との間を連結し、前記バッテリキャリア部及び前記バッテリサポート部と共に閉断面を形成する連結部材を備えた、
請求項1に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項3】
前記リアサイドメンバは、車両上側に開口する断面ハット状に形成され、
前記連結部材は、前記リアサイドメンバの内部に設けられている、
請求項2に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項4】
車両幅方向に延在されると共に、車両上下方向における前記バッテリキャリア部と前記バッテリサポート部との間に配置され、且つ、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に結合されたリアフロアサイドパネルと、
前記バッテリキャリア部における車両前後方向両側に形成された一対の結合部と、
前記バッテリサポート部に形成され、それぞれ前記リアフロアサイドパネル及び前記結合部と結合された一対の被結合部と、
を備えた請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバッテリ搭載構造。
【請求項5】
車両幅方向に延在されると共に、車両上下方向における前記バッテリキャリア部と前記バッテリサポート部との間に配置され、且つ、車両幅方向内側の端部が前記リアサイドメンバの上部に結合されたリアフロアサイドパネルと、
前記リアフロアサイドパネルの車両幅方向外側に設けられ、車両幅方向内側の端部が前記リアフロアサイドパネルに結合されたサイドアウタパネルと、
を備え、
前記バッテリは、前記リアサイドメンバよりも車両上側に配置されている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のバッテリ搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41025(P2012−41025A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186549(P2010−186549)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】