説明

バッテリ装置及びバッテリケース

【課題】バッテリの組立作業を容易化すると共に車両衝突時の短絡事故を防ぐバッテリ装置及びバッテリケースの提供。
【解決手段】電極端子を備えたバッテリと、バッテリを収納する樹脂ケースとを備えたバッテリ装置11で、ケース31は、バッテリ71を挿入可能な受入口35と、受入口からケース内に向けバッテリ挿入方向に延びる案内溝41a、41bと、案内溝に沿ってバッテリが挿入されケース内にバッテリが収納された状態において、バッテリの電極端子74に当接して電気的に接続される接続端子とを有する。バッテリは前記案内溝と係合する被案内部を備える。前記案内溝は被案内部と電極端子を収容し、バッテリ収納状態において被案内部が嵌入する嵌合凹部42と、電極端子が嵌入する電極収納穴を有し、接続端子は電極収納穴内に配する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ装置及びバッテリケースに係り、特に電気自動車や内燃機関と電動機とを併用したハイブリッド自動車に搭載される駆動用バッテリのケース構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への負荷軽減と省エネルギ化を図るため、駆動手段に電動機を使用した電気自動車や内燃機関と電動機とを併用したハイブリッド自動車が各種提供されている。
【0003】
これら電気自動車あるいはハイブリッド自動車では、駆動電力を供給するバッテリを搭載する必要がある。このバッテリは、一般に二次電池によって構成された数ボルトから十数ボルト程度の出力電圧を有するバッテリモジュールを複数個直列に接続して200〜300ボルト程度の高電圧を有するバッテリユニットを形成してなり、充放電を制御するコンピュータや温度管理を行うセンサ等とともに専用のケースに収納されてトランクルームや後部座席の下などに搭載される。
【0004】
またこのようなバッテリ装置を開示するものとして下記文献がある。
【特許文献1】特開2002−343324号公報
【特許文献2】特開2003−45392号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バッテリ装置を収納するケースは、従来、金属板により形成されていた。金属板は素材として堅牢であり、比較的軽量でかつ車体への取付強度も高い利点を有するからである。
【0006】
ところが、金属板で形成されたケース体は一方において、加工性が良好でなく組立ての作業性に劣る面がある。例えば、バッテリ装置の組立てにあたっては、走行時の振動や揺れに対してバッテリをケース内で保持する留め金具(上記特許文献1参照)や、電気的な接続を行う配線・接続コネクタ類、さらには上記コンピュータやセンサ等を留める機構を別部品として構成し、これを別途取り付ける必要があり、製造工程が複雑で作業が煩雑となる難がある。
【0007】
さらに、金属板で形成されたケースは、車両への搭載後においても車両事故(衝突・横転等)が発生した場合に変形・破損して電極端子と金属ケースとが接触し、ショートすることにより車両火災を引き起こす原因ともなり得る。特に電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される駆動用のバッテリは、短絡によって旧来の内燃機関自動車に搭載されるバッテリより格段に大きな電流が流れる可能性があるから、その安全性の向上が望まれる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、バッテリ装置の組立作業を容易化するとともに、車両搭載後の安全性を向上させる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し目的を達成するため、本発明に係るバッテリ装置は、電極端子を備えたバッテリと、当該バッテリを収納するバッテリケースとを備えたバッテリ装置であって、前記バッテリケースは、前記バッテリを挿入可能な受入口と、当該受入口から当該バッテリケースの内部に向け前記バッテリの挿入方向に延在する案内部と、この案内部に沿って前記バッテリが挿入され当該バッテリケース内に前記バッテリが収納された収納状態において前記電極端子に当接して当該電極端子と電気的に接続される接続端子とを有する。
【0010】
本発明のバッテリ装置は、バッテリをバッテリケース(以下、単にケースということがある)に収納してなるものである。ケース内への収納にあたってバッテリは、上記受入口から挿入され、上記案内部にガイドされつつケース内に収められる。そして、当該ケース内に収納されると(上記収納状態)、当該バッテリの電極端子がバッテリケース側に設けた接続端子に当接して両端子(電極端子と接続端子)が電気的に接続される。したがって、バッテリの電極端子をケース側の端子に電気的に接続する手間を省くことが出来る。
【0011】
バッテリの挿入時に上記案内部と係合するバッテリ側の案内手段は、電極端子がこれを兼ねていても良いし、下記のように別に案内手段(被案内部)を設けることも可能である。また、上記受入口は、必ずしも穴状の開口(上下左右または開口周囲の総てを取り囲まれた開口)のみを言うものではなく、一部が開放された開口(例えば後述の実施形態のように上部が開放されていたり他の部分が開放された開口)をも含むものである。
【0012】
また、上記バッテリ装置では、前記電極端子と、前記案内部によって案内される被案内部とを前記バッテリがその側面に備え、前記バッテリが載置される底板と、前記バッテリの側面部を覆う側板とを前記ケースが有し、前記バッテリの挿入方向に延在するよう前記側板に備えられ且つ前記被案内部の嵌入および前記バッテリの挿入方向への摺動を許容する案内溝を前記案内部が含み、さらにこの案内溝が、前記収納状態において前記被案内部が落ち込んで嵌入する嵌合凹部を備えるよう構成することが望ましい。
【0013】
ケース内にバッテリを収納するときの作業性を高めるとともに所定の収納位置(収納状態)にバッテリをより確実に係止するためである。上記装置構造では、バッテリの収容にあたってバッテリ側面に設けた被案内部がケース側板の案内溝内に嵌入され、当該案内溝内を摺動することによってバッテリがケースの側板間に案内され、所定の収納位置にバッテリが収められる。この収納位置(収納状態)では上記被案内部が上記嵌合凹部に嵌入し、バッテリが固定される。
【0014】
また、かかるバッテリ装置では、前記電極端子と前記被案内部とが共に前記案内溝に嵌入され、当該案内溝が、前記収納状態において前記電極端子が落ち込んで嵌入する電極収納穴を有し、前記接続端子がこの電極収納穴内に配置されていることが好ましい。上記バッテリの収納状態においてバッテリ側の電極端子とケース側の接続端子とを良好に接触させて電気的接続を行うためである。
【0015】
さらに前記底板はその上面側に、前記収納状態においてバッテリが落ち込んで嵌入するバッテリ保持部を備えることが望ましい。バッテリをケース内でより確実に保持し固定するためである。尚、このバッテリ保持部は、典型的には底板に形成した穴状の凹部(例えば後述の図2のような)であるが、他の構造、例えば底板上面に立設された枠状の部材や部分(例えば後述の図10のような)であっても構わない。
【0016】
上記ケースは、好ましくは略全体を樹脂材料により形成する。バッテリ装置の組立作業労力を軽減するとともに車両搭載後の安全性を向上させるためである。
【0017】
このように樹脂材料によってケースを構成すれば、バッテリを固定する上記バッテリ保持部や後述のように外部との電気的接続を行う端子や配線、コネクタ類等を容易に固定し、あるいはケースと一体成形することができ、バッテリ装置の組立作業を簡易化できるうえ、車両事故時に収納したバッテリの短絡を防いで安全性を向上させることが可能となる。
【0018】
また、前記接続端子は、ケースに埋設固定することが出来る。
【0019】
さらに上記バッテリ装置は、前記バッテリの電極端子のうちの正極電極端子に接続された前記接続端子と接続導体部によって電気的に接続された第一の外部接続端子と、前記バッテリの電極端子のうちの負極電極端子に接続された前記接続端子と接続導体部によって電気的に接続された第二の外部接続端子とを有することがあり、この場合、これら第一の外部接続端子と第二の外部接続端子とを前記ケースに埋設固定することが好ましい。電気的な接続部品の組込み・取付けの作業労力を軽減するためである。
【0020】
尚、上記埋設固定は、上記接続端子および外部接続端子等を樹脂材料によって構成する上記ケースと例えばインサート成形により一体に成形すれば良い。また上記接続導体部についても同様にインサート成形によりケースに埋設固定することが可能である。
【0021】
前記バッテリケースは、当該ケースの内部に連通して当該ケース内に外気を導入可能な通気ダクトを備えることが望ましい。外気を導入する通気ダクトを設けることで、ケース全体を樹脂により構成した場合にも、内部を良好に冷却して収納したバッテリの充放電効率の低下を防ぐことが出来る。
【0022】
本発明では、バッテリケース単体(前記バッテリを有しない)を構成することも可能であり、これも本発明の範囲内である。
【0023】
すなわち、本発明に係るバッテリケースは、電極端子を備えたバッテリを収納するバッテリケースであって、前記バッテリを挿入可能な受入口と、当該受入口から当該バッテリケースの内部に向け前記バッテリの挿入方向に延在する案内部と、この案内部に沿って前記バッテリが挿入され当該バッテリケース内に前記バッテリが収納された収納状態において、前記電極端子に当接して当該電極端子と電気的に接続される接続端子とを備える。
【0024】
また、上記バッテリケースは、前記バッテリを載置することが可能な底板と、当該底板の端部から起立する側板とを有し、前記案内部は、前記バッテリの挿入方向に延在するよう前記側板に備えられ、且つ側面に電極端子と被案内部とを備えた前記バッテリの当該被案内部の嵌入および前記バッテリの挿入方向への摺動を許容する案内溝を含み、この案内溝は、前記収納状態において前記被案内部が落ち込んで嵌入する嵌合凹部を備えることがある。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、バッテリ装置の組立作業を容易化するとともに、車両搭載後の安全性を向上させることが出来る。
【0026】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面に基づいて述べる以下の本発明の実施の形態の説明により明らかにする。尚、各図中、同一の符号は、同一又は相当部分を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第一の実施の形態に係るバッテリ装置を搭載したハイブリッド自動車の駆動システムを示すブロック図である。同図に示すようにこのハイブリッド自動車は、車両駆動用のモータ12と、ジェネレータ13と、交直電流間の変換を行うインバータ14と、車両の走行状態によってモータとエンジンとの間で駆動の振分け制御を行うハイブリッド制御部(車両コンピュータ)15と、本実施形態に係るバッテリ装置11と、バッテリ装置11内に外気を送り込みこれを冷却するバッテリ冷却ファン17とを有する。
【0028】
バッテリ装置11は、二次電池からなるバッテリモジュールを複数個含むバッテリユニット(集合バッテリ)71と、バッテリユニット71の充放電を制御するバッテリ制御部(バッテリコンピュータ)22と、バッテリ装置内の雰囲気温度並びにバッテリユニット71の温度をそれぞれ検出する各温度センサ23a,23bとを備えている。
【0029】
バッテリ71に蓄えられた電力は、モータ12の駆動に使用される。一方、ジェネレータ13で発電された電力はモータ12の駆動に直接利用されるほか、インバータ14で直流に変換された後、バッテリ71に供給され充電電力として使用される。バッテリ71への充放電状態は、バッテリ71とインバータ14とを接続するケーブルの途中に設けられた電流センサ16によって検出され、この検出結果に基づいてバッテリ制御部22は、バッテリ71への充電およびバッテリ71からモータ12への放電を制御する。
【0030】
尚、本実施形態ではハイブリッド自動車に搭載するバッテリ装置を想定しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、電気自動車に搭載するバッテリを構成することも可能である。また、上記ハイブリッドシステムは、例えばシリーズハイブリッド方式(ジェネレータを駆動するためにのみエンジンを使用し車両の駆動力を総てモータから得る)や、パラレルハイブリッド方式(エンジンとモータの両駆動力を走行状況に応じて使い分ける)、シリーズ・パラレル両者を組み合わせたシリーズ・パラレル方式その他様々な方式であって良い。
【0031】
図2及び図3は、上記バッテリ装置11を分解して示すものである。これらの図に示すように本実施形態のバッテリ装置11は、上面および一端面が開放された箱状のケース本体31と、これら開放されたケース本体31の上面および一端面を閉塞する蓋体61と、ケース本体31内に収納されるバッテリ71と、同じくケース本体31内に収納されるバッテリコンピュータ(バッテリ制御部)22と、バッテリ71およびケース内の雰囲気の各温度を検出する温度センサ23a,23b(図2,図3では図示せず)とを備える。
【0032】
ケース本体31は、バッテリ71を載置可能な底板32と、この底板32の両側縁部から起立する一対の側板33a,33bと、底板32の他端部から起立して上記ケース本体一端面の反対側の端面(他端面)を塞ぐ端板34とを有し、ケース本体31の上記一端面は、本装置の組立作業時にバッテリ71をケース内に挿入する受入口35となっている。
【0033】
底板32の上面には、バッテリ71を落とし込んで嵌入させることが可能なバッテリ保持穴36と、バッテリコンピュータ22を差し込むことが可能なコンピュータ保持穴37とを設けてある。尚、バッテリ保持穴36(コンピュータ保持穴37も同様)は、この例のように底板32を掘り下げた凹部とせず、例えば図10に示すようにバッテリ71を嵌め込むよう底板32の上面に立設した枠状部32a等であっても構わない。
【0034】
各側板33a,33bの内面には、互いに対向する一対のガイド溝41a,41bを形成する。これらのガイド溝41a,41bは、上記受入口35が形成された側の側板33a,33bの一端部から側板33a,33bの他端部に向け水平に延びており、後述するバッテリ71の両側面に設けたガイド突起73(被案内部/図2では一側面側に設けたもののみしか見えていないが、図5に示すように他側面にも同様に設けてある。電極端子74も同様)と電極端子74とを収容する。さらにこれらガイド溝41a,41bの底面には、一定の間隔を隔てて配列させた電極収納穴43を設け、受入口35側から見てガイド溝41a,41bの最奥部には、バッテリ71に設けた上記ガイド突起73が嵌入される嵌合凹部42を設けてある。
【0035】
電極収納穴43はバッテリ71の電極端子74を収容するもので、図4A,4Bに拡大して示すように各穴43の内面には、導電体箔からなる接続端子44を設けてあり、バッテリ71の電極端子74が当該電極収納穴43内に収まると、電極端子74と接続端子44とが接触して両者が導通される。各接続端子44は隣り合う接続端子44と導体線路45により電気的に接続してあり、これにより図5に示すようにバッテリ71を構成する総てのバッテリモジュール72が直列に接続されることとなる。
【0036】
この導体線路45による接続構造は、バッテリモジュール72の電極74の配列が上記の例(図5)のように正極と負極とが交互に配列されず、例えば図6に示すように一方の側に正極端子が、他方の側に負極端子が配列される構造となっている場合には、図6に模式的に示すように隣接するバッテリモジュール72の正極端子と負極端子とを導体線路48によって接続するようにすれば良い。これらの導体線路48の引き回しは、具体的には例えば図7に示すように側板33a,33bおよび底板32を通って反対側に導体線路48を引き回すことにより行うことが出来る。
【0037】
また、側板33aおよび端板34にはそれぞれ、バッテリ71に対する電力の取出し並びに充電電力の供給を行う電力ケーブルのプラグを差込むことが可能なコネクタ端子51,52を設けてある。正極・負極の配置はいずれでも良いが、図示の例では側板33aに設けたコネクタ端子51と、ガイド溝41aの最基端側(バッテリ受入口35に最も近い側)の電極収納穴43に配した接続端子44とを導体線路47(図5参照)によって電気的に接続して当該コネクタ端子51を正極外部接続端子とする。一方、端板34に設けたコネクタ端子52と、ガイド溝最先端(バッテリ受入口35から見て最も奥側)の電極収納穴43に配した接続端子44とを導体線路46によって電気的に接続して当該コネクタ端子52を負極外部接続端子とした。尚、上記各コネクタ端子51,52を設ける位置は、例えば車体の構造等に応じて適宜変更することができ、図示した以外の位置であっても良い。
【0038】
各側板33a,33bの下端部には外方に張り出すフランジ部38を設け、このフランジ部38に補強用のリブ39ととともにボルト孔40を穿設してある。これらボルト孔40にボルトを通してバッテリケース(バッテリ装置11)を車両に固定することが出来る。
【0039】
蓋体61は、ケース本体31の上面を覆う天板62と、ケース本体31の一端面(バッテリ受入口35)を覆う端板63とを備え、天板62および端板63の周縁部に設けたボルト孔68にボルトを挿通させることによりケース本体31に固定することが可能である。尚、ケース本体31側にも当該ボルト孔68に対応したボルト孔68aを設けてある。ケース本体31への蓋体61の固定構造は特に問わず、この例のほかにも様々な方法を採って構わない。
【0040】
また、天板62の下面にはバッテリ71の上面に当接してバッテリ71を底板32に押し付ける突条部65を設けてある。ケース本体31のバッテリ保持穴36にバッテリ71を収納し蓋体61を閉めるとこれら突条部65がバッテリ71の上面に当接してバッテリ71をバッテリ保持穴36に押さえ込み、車両走行時の振動等によってバッテリ保持穴36からバッテリ71が飛び出すことを防止する。また天板62の下面には、バッテリコンピュータ用の保持穴64も設けてあり、バッテリコンピュータ22は、下端部を前記底板32に設けた保持穴37に差し込まれ、蓋体61を閉めたときに上端部が天板62の保持穴64に差し込まれてケース内に固定されることとなる。
【0041】
蓋体61にはさらに、外気を導入するための吸気ダクト66を端板63に設けるとともに、ケース内の空気を排出する排気ダクト67を天板62に設けてある。吸気ダクト66には前記冷却ファン17を接続し、これによりケース内に外気を導入してバッテリ71を冷却し、バッテリ71の充放電効率の低下を防ぐ。またケース内の冷却効率を高めるため、図8及び図9に示すように蓋体61の天板62に放熱板69を設けても良い。この放熱板69は、熱伝導率の高い材料(例えば金属板)により形成してあり、上面に放熱用のフィン69aを備えている。
【0042】
バッテリ71は、正極および負極の各電極端子74を左右両側面に備えたバッテリモジュール(二次電池)72を複数個配列させて一体化してなるもので、ケースへ収納するときの先端部の左右両側面に当該両側面から左右に水平に突出する一対のガイド突起(被案内部)73を設けてある。これら一対のガイド突起73は、前記ケース本体側板33a,33bに設けた一対のガイド溝41a,41bにそれぞれ嵌入してバッテリ71をケース内にスライドさせて収めるときに各ガイド溝41a,41b内を摺動してガイド溝41a,41b先端の嵌合凹部42に落とし込まれて嵌合するものである。尚、これらのガイド突起73は、ガイド溝41a,41b内を摺動するときに電極収納穴43に落下してバッテリ71の収納作業を妨げることが無いように電極収納穴43より幅(バッテリ71の挿入方向の長さ)を大きく設定してある。
【0043】
バッテリ71の構造(例えばバッテリモジュール72の接続個数・形状・電極端子の配置位置等)は図示の例ほか様々なものであって良く、これらに応じてケース側の構造を、特許請求の範囲に記載した範囲内で様々に変更することがある。
【0044】
バッテリ71をケースに収納するには、左右両側面のガイド突起73および電極端子74をケース本体両側板33a,33bのガイド溝41a,41bに挿入しながらバッテリ71を受入口35からスライドさせてケース本体31に挿入する。ガイド突起73がガイド溝41a,41bの先端まで来ると、図4A〜図4Bに示すようにバッテリ71の自重でガイド突起73がガイド溝先端の嵌合凹部42に落ち込み、嵌合凹部42内に収容される。これと同時にバッテリ71全体が下方へ落下してバッテリ71全体がケース本体底板32のバッテリ保持穴36に嵌まり込み、かつ各電極端子74がガイド溝41a,41b底面の電極収納穴43に入り込んで接続端子44に接触して各バッテリモジュール72が直列に電気的に接続される。
【0045】
ケース本体31と蓋体61とは、共に樹脂材料により形成する。非導電材料によりケースを形成して車両衝突時にケースの変形等によって短絡事故が生じることを防ぐためである。また樹脂により形成することで、バッテリ71やバッテリコンピュータ22を保持する保持穴36,37,64等を別途固定部材を取り付ける必要なく容易に形成できるうえ、接続端子44や導体線路45,46,47、コネクタ端子51,52等の電気的な配線・接続手段をインサート成形によって一体に形成することで、バッテリ製造時の電気配線・接続の作業労力を大幅に軽減することが可能となる。
【0046】
尚、この場合、ケース本体または蓋体を構成する総ての部分(例えば底板32、側板33a,33b、端板34,63、天板62)を一括して成形する必要は必ずしもなく、いくつかの構成部分に分けて成形してこれらを接合・連結するようにしても良い。さらに上記樹脂材料には、例えば耐衝撃強度を増すため、ガラス繊維や他の樹脂以外の材料を混合させた複合材料とすることも可能である。
【0047】
〔第2実施形態〕
図11は、本発明の第二の実施形態に係るバッテリ装置を示すものである(前記第一実施形態と同様の構成には同一の符号を付している)。このバッテリ装置は、前記バッテリ装置と同様にいずれも樹脂材料からなる底板32、左右両側板33a,33b、ケース奥側の端板34、バッテリ受入口を閉じる端板63、および上面開口を覆う天板62を有するが、箱状のバッテリケースを展開した状態で一体に成形したものである。ケースを構成する上記各板32,33a,33b,34,62,63は、可撓性を有する肉薄部Sにより接続されて一体化されている。
【0048】
組立てにあたっては、展開された箱を組み立てるように両側板33a,33bおよび奥側(バッテリ受入口と反対側)の端板34を引き起こした後、前記第一実施形態と同様に両側板33a,33bに形成したガイド溝両側板41a,41bにガイド突起73と電極端子74とを嵌挿させつつバッテリ71をケース内に挿入すれば良い。そして、バッテリコンピュータ22をコンピュータ保持穴37に差し込んだ後、バッテリ受入口側の端板63を立て、天板62を被せればバッテリ71を収納することが出来る。
【0049】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更を行うことができることは当業者に明らかである。例えば、案内部(ガイド溝、ガイド突起)の形状や配置数、配置位置、ケース本体および蓋体の形状・両者の固定構造等については図示の例のほか、様々な構成を採ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るバッテリ装置を搭載したハイブリッド自動車の駆動システムを示すブロック図である。
【図2】前記第一実施形態に係るバッテリ装置を示す分解斜視図である。
【図3】前記第一実施形態のバッテリ装置を分解した状態を示す側面断面図である。
【図4A】前記第一実施形態のバッテリ装置のガイド溝部(電極端子未接続状態)を拡大して示す図である。
【図4B】前記第一実施形態のバッテリ装置のガイド溝部(電極端子接続状態)を拡大して示す図である。
【図5】前記第一実施形態のバッテリ装置における電極端子の接続状態を示す平面図である。
【図6】前記第一実施形態のバッテリ装置における電極端子の接続構造の別の例を示す平面図である。
【図7】前記別の例に係る電極端子接続構造を示す断面図である。
【図8】前記第一実施形態のバッテリ装置における蓋体の変形例を示す斜視図である。
【図9】前記図8の変形例に係る蓋体の要部を示す断面図である。
【図10】バッテリ保持部の別の構成例を示す断面図である。
【図11】本発明の第二の実施形態に係るバッテリ装置を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
11 バッテリ装置
12 車両駆動用モータ
13 ジェネレータ
14 インバータ
15 ハイブリッド制御部(車両コンピュータ)
16 電流センサ
17 バッテリ冷却ファン
22 バッテリ制御部(バッテリコンピュータ)
23a,23b 温度センサ
31 ケース本体
32 底板
33a,33b 側板
34 端板
35 バッテリ受入口
36 バッテリ保持穴
37,64 コンピュータ保持穴
38 フランジ部
39 リブ
40,68 ボルト孔
41a,41b ガイド溝
42 嵌合凹部
43 電極収納穴
44 接続端子
45,46,47,48 導体線路
51,52 コネクタ端子(外部接続用端子)
61 蓋体
62 天板
63 端板
65 突条部
66 吸気ダクト
67 排気ダクト
69 放熱板
71 バッテリ
73 ガイド突起
74 電極端子
S 肉薄部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極端子を備えたバッテリと、
当該バッテリを収納するバッテリケースと、
を備えたバッテリ装置であって、
前記バッテリケースは、
前記バッテリを挿入可能な受入口と、
当該受入口から当該バッテリケースの内部に向け前記バッテリの挿入方向に延在する案内部と、
この案内部に沿って前記バッテリが挿入され当該バッテリケース内に前記バッテリが収納された収納状態において、前記電極端子に当接して当該電極端子と電気的に接続される接続端子と、
を有することを特徴とするバッテリ装置。
【請求項2】
前記バッテリは、前記電極端子と、前記案内部によって案内される被案内部とを側面に備え、
前記バッテリケースは、前記バッテリが載置される底板と、前記バッテリの側面部を覆う側板とを有し、
前記案内部は、前記バッテリの挿入方向に延在するよう前記側板に備えられ且つ前記被案内部の嵌入および前記バッテリの挿入方向への摺動を許容する案内溝を含み、
この案内溝は、前記収納状態において前記被案内部が落ち込んで嵌入する嵌合凹部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ装置。
【請求項3】
前記電極端子と前記被案内部とが共に、前記案内溝に嵌入され、
当該案内溝は、前記収納状態において前記電極端子が落ち込んで嵌入する少なくとも1つの電極収納穴を有し、
前記接続端子は、当該電極収納穴内に配置されている
ことを特徴とする請求項2に記載のバッテリ装置。
【請求項4】
前記底板は、その上面側に、前記収納状態において前記バッテリが落ち込んで嵌入するバッテリ保持部をさらに備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリ装置。
【請求項5】
前記バッテリケースの略全体を樹脂材料により形成した
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のバッテリ装置。
【請求項6】
前記接続端子が、前記バッテリケースに埋設固定されている
ことを特徴とする請求項5に記載のバッテリ装置。
【請求項7】
前記バッテリの電極端子のうちの正極電極端子に接続された前記接続端子と接続導体部によって電気的に接続された第一の外部接続端子と、
前記バッテリの電極端子のうちの負極電極端子に接続された前記接続端子と接続導体部によって電気的に接続された第二の外部接続端子と、
を有し、
これら第一の外部接続端子と第二の外部接続端子とが前記バッテリケースに埋設固定されている
ことを特徴とする請求項5または6に記載のバッテリ装置。
【請求項8】
前記バッテリケースは、当該バッテリケースの内部に連通して当該バッテリケース内に外気を導入することが可能な通気ダクトを備える
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のバッテリ装置。
【請求項9】
電極端子を備えたバッテリを収納するバッテリケースであって、
前記バッテリを挿入可能な受入口と、
当該受入口から当該バッテリケースの内部に向け前記バッテリの挿入方向に延在する案内部と、
この案内部に沿って前記バッテリが挿入され当該バッテリケース内に前記バッテリが収納された収納状態において、前記電極端子に当接して当該電極端子と電気的に接続される接続端子と、
を備えたことを特徴とするバッテリケース。
【請求項10】
前記バッテリを載置することが可能な底板と、
当該底板の端部から起立する側板と、を有し、
前記案内部は、前記バッテリの挿入方向に延在するよう前記側板に備えられ、且つ側面に電極端子と被案内部とを備えた前記バッテリの当該被案内部の嵌入および前記バッテリの挿入方向への摺動を許容する案内溝を含み、
この案内溝は、前記収納状態において前記被案内部が落ち込んで嵌入する嵌合凹部を備える
ことを特徴とする請求項9に記載のバッテリケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−286357(P2006−286357A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103672(P2005−103672)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】