説明

バブル含有液生成装置、バブル含有液生成方法及び該バブル含有液生成装置を用いた処理装置

【課題】より微細なバブルを含むバブル含有液をより効率的に生成することのできるバブル含有液生成装置及びバブル含有液生成方法を提供することである。
【解決手段】液体を貯留する貯液槽11と、貯液槽11からの液体に気体を供給して気体含有液を生成する気体含有液生成機構13、12と、気体含有液生成機構にて生成される気体含有液を加圧して気体溶存液を生成する加圧槽15と、加圧槽15からの気体溶存液中にバブルを発生させて得られる第1バブル含有液を貯液槽11に供する第1バブル含有液生成機構18aと、加圧槽15からの気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて第2バブル含有液を生成する第2バブル含有液生成機構18bとを有する構成となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノバブル等の微細なバブルを含有する液体を生成するバブル含有液生成装置及びバブル含有液生成方法、更に、そのバブル含有液生成装置を用いた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細バブルを含む液体を物体表面の洗浄等の処理に利用することが考えられている。微細バブルと液との界面の電位が洗浄効果や酸化作用を促し、また、物体表面に付着した微細バブルが破裂するときのエネルギーが物体表面から汚れの剥離に寄与するとされている。なお、この微細バブルは、そのサイズが小さくなるに従ってマイクロバブル、マイクロナノバブル、ナノバブルと呼ばれる。
【0003】
従来、このような微細バブルを含有するバブル含有液を生成し、その生成されたバブル含有液を各種製造過程での洗浄に利用することが提案されている(特許文献1参照)。このバブル含有液を生成する方法では、円筒状の装置内の中心部に液体及び気体の2相旋回流を形成させて、その旋回によって液中の気体を切断、粉砕して微細気泡(微細バブル)を発生させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−143885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、微細バブルを含有するバブル含有液を生成する際には、より細かいバブルを効率的に生成することが望まれる。しかし、前述した従来の方法では、液体に気体が混ざった気体含有液を旋回させることで液中の気体を機械的に切断、粉砕しているので、マイクロバブル等の微細なバブル生成することが難しく、また、必ずしも効率的にバブル含有液を生成することができるものでもない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、より微細なバブルを含むバブル含有液をより効率的に生成することのできるバブル含有液生成装置及びバブル含有液生成方法を提供するものである。
【0007】
また、本発明は、そのようなバブル含有液生成装置を用いた処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るバブル含有液生成装置は、液体を貯留する貯液槽と、該貯液槽からの液体に気体を供給して気体含有液を生成する気体含有液生成機構と、該気体含有液生成機構にて生成される気体含有液を加圧して気体溶存液を生成する加圧槽と、該加圧槽からの気体溶存液中にバブルを発生させて得られる第1バブル含有液を前記貯液槽に供する第1バブル含有液生成機構と、前記加圧槽からの気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて第2バブル含有液を生成する第2バブル含有液生成機構とを有する構成となる。
【0009】
このような構成により、貯液槽からの液体に気体が供給されて気体含有液が生成され、該気体含有液が加圧槽にて加圧されて気体溶存液が生成され、その気体溶存液中にバブルが発生されて得られる第1バブル含有液が前記貯液槽に供されるので、バブルを含有する第1バブル含有液に更に気体が供給されて得られる気体含有液が加圧されて気体溶存液が生成されるようになる。そして、そのような気体溶存液の圧力開放によって微細バブルを発生させて第2バブル含有液が生成される。
【0010】
本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記貯液槽内の前記第1バブル含有液中に溶解する気体濃度を検出する溶存気体濃度検出手段と、該溶存気体濃度検出手段にて検出される気体濃度に基づいて前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構への前記気体溶存液の供給を制御する制御手段とを有する構成とすることができる。
【0011】
このような構成により、貯液槽内の第1バブル含有液に溶解する気体濃度が比較的高くなった状態で、その第1バブル含有液に更に気体が供給されて生成される気体含有液が加圧槽にて加圧されて気体溶存液が生成され、その気体溶存液が第2バブル含有液生成機構に供給されるようにすることができる。その結果、気体濃度の比較的高い気体溶存液をより効率的に第2バブル含有液生成機構に供給することができるようになる。
【0012】
また、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構への前記気体溶存液の供給及び遮断を切換える切換え機構を備え、前記制御手段は、前記溶存気体濃度検出手段にて検出される気体濃度が所定濃度値以上のときに前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構に前記気体溶存液が供給されるように前記切換え機構を制御する構成とすることができる。
【0013】
このような構成により、貯液槽内の第1バブル含有液に溶解する気体濃度が所定濃度値以上の状態で、その第1バブル含有液に更に気体が供給されて生成される気体含有液が加圧槽にて加圧されて気体溶存液が生成され、その気体溶存液が第2バブル含有液生成機構に供給されるようになるので、気体濃度の比較的高い気体溶存液をより効率的に第2バブル含有液生成機構に供給することができるようになる。
【0014】
更に、本発明に係るバブル含有液生成装置において、前記第2バブル含有液生成機構は複数のバブル含有液生成ユニットを有し、前記加圧槽から前記複数のバブル含有液生成ユニットに前記加圧槽からの気体溶存液が並列的に供給され、前記複数のバブル含有液生成ユニットのそれぞれが供給される前記気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて前記第2バブル含有液を生成する構成とすることができる。
【0015】
このような構成により、第2バブル含有液生成機構を構成する複数のバブル含有液生成ユニットにて生成される微細バブルを含むバブル含有液を同時に複数の箇所で利用できるようになる。
【0016】
本発明係るバブル含有液生成方法は、供給される液体に気体を混合させて気体含有液を生成する第1ステップと、該気体含有液を加圧して液中に気体の溶解した気体溶存液を生成する第2ステップと、該気体溶存液中にバブルを発生させて得られる第1バブル含有液を前記第1ステップに前記気体を混合させるべき液体として供する第3ステップと、前記第2ステップにて生成された前記気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて第2バブル含有液を生成する第4ステップとを有する構成となる。
【0017】
このような構成により、液体に気体が混合されて気体含有液が生成され、該気体含有液が加圧されて気体溶存液が生成され、その気体溶存液中にバブルが発生されて得られる第1バブル含有液が前記気体を混合させるべき液体とされるので、バブルを含有する第1バブル含有液に更に気体が混合されて得られる気体含有液が加圧されて気体溶存液が生成されるようになる。そして、そのような気体溶存液の圧力開放によって微細バブルを発生させて第2バブル含有液が生成される。
【0018】
また、本発明に係る処理装置は、前述したいずれかのバブル含有液生成装置と、該バブル含有液生成装置の前記第2バブル含有液生成機構にて生成される第2バブル含有液を処理液として被処理物に吹き付ける機構とを有する構成となる。
【0019】
このような構成により、バブル含有液生成装置の第2バブル含有液生成機構によって生成される微細バブルを含有する第2バブル含有液が貯められることなくそのまま被処理物に吹き付けられるようになるので、微細バブルの効果を有効に利用した前記第2バブル含有液による前記被処理物の処理が可能になる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るバブル含有液生成装置及びバブル含有液生成方法によれば、バブルを含有する第1バブル含有液に更に気体が供給されて得られる気体含有液が加圧されて気体溶存液が生成されるようになるので、気体がより高濃度に溶解した気体溶存液、例えば、過飽和状態の気体溶存液をより効率的に生成することができる。その結果、その気体溶存液の圧力開放によってより微細なバブルを含むバブル含有液(第2バブル含有液)をより効率的に生成することができるようになる。
【0021】
また、本発明に係る処理装置によれば、バブル含有液生成装置にてより効率的に生成された微細なバブルを含むバブル含有液(第2バブル含有液)が貯められることなくそのまま被処理物に吹き付けられるようになるので、微細バブルの効果を有効に利用したバブル含有液による被処理物の処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液生成装置を含む処理装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示すバブル含有液生成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るバブル含有液生成装置を含む処理装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0024】
本発明の第1の実施の形態に係るバブル含有液生成装置を含む処理装置は、図1に示すように構成される。この処理装置は、半導体ウェーハの表面の洗浄処理を行う基板洗浄装置として構成されている。
【0025】
図1において、バブル含有液生成装置100は、貯液槽11、気体供給部13、ポンプ14、加圧槽15、二方向流量調整弁16、第1バブル発生器18a及び第2バブル発生器18bを有している。液体Wを貯留する貯液槽11から延びる送通管12が加圧槽15に接続されている。この送通管12には、貯液槽11の近傍位置に開閉弁20aが設けられるとともに、ポンプ14が設けられており、ポンプ14の動作によって貯液槽11内の液体Wが送通管12を通って加圧槽15に圧送されるようになっている。また、気体供給部13からの気体(窒素ガス、酸素ガス、空気等)が開閉弁20bを介して送通管12のポンプ14の上流側所定位置に供給されるようになっている(気体供給部13からの気体が送通管12内の液体に混ぜられる:気体含有液生成機構)。これにより、気体供給部13からの気体の混在した液体(適宜、気体含有液という)が加圧槽15に供給され、その気体含有液が加圧槽15に一時的に溜められる。加圧槽15では、貯留される気体含有液が加圧されて気体含有液内の気体が液中に溶解し、気体溶存液が生成される。加圧槽15における気体含有液に作用する圧力は圧力調整器26によって調整することができる。なお、前述した貯液槽11には開閉弁20dの設けられた送通管22が接続されており、この送通管22を通して外部から液体(例えば、純水)の供給が可能になっている。
【0026】
加圧槽15と貯液槽11とが送通管19によって結合されている。送通管19には、二方向流量調整弁16及び第1バブル発生器18aが設けられている。二方向流量調整弁16は、加圧槽15からの気体溶存液を所定の流量割合にて第1バブル発生器18a側と第2バブル発生器18b側とに振り分ける。第1バブル発生器18aは、二方向流量調整弁16を介して供給される気体溶存液中に微細バブル(例えば、マイクロバブル)を発生させるもの(第1バブル含有液生成機構)で、その構造は特に限定されず、例えば、気体溶存液を旋回させて機械的にバブルを発生させる構造のもの、あるいは、流路にオリフィスが設けられ、気体溶存液がそのオリフィスを通過する際の圧力開放にてバブルが発生する構造のものであってもよい。第1バブル発生器18aでの微細バブルの発生により生成される微細バブル含有液が送通管19を通して貯液槽11に供給される。これにより、貯液槽11から出た液体Wが、微細バブルを含むバブル含有液となって貯液槽11に戻ることになる。貯液槽11には、貯留される液体W中に溶解する気体の濃度を検出する溶存気体濃度センサ23が設けられている。
【0027】
二方向流量調整弁16から第2バブル発生器18b側に分岐するように送通管21が設けられ、第2バブル発生器18bは二方向流量調整弁16から送通管21を通して供給される気体溶存液の圧力開放を行って微細バブル(例えば、ナノバブル)を発生させる(第2バブル含有液生成機構)。送通管21の二方向流量調整弁16と第2バブル発生器18bとの間に開閉弁20cが設けられており、開閉弁20cの開閉によって気体溶存液の第2バブル発生器18bへの供給、遮断が切換えられる。
【0028】
第2バブル発生器18bからの微細バブル(例えば、ナノバブル)を含むバブル含有液は送通管21を通して洗浄室101に送られる。洗浄室101には、洗浄ノズルユニット60が設けられ、その洗浄ノズルユニット60の下方に被処理物となる半導体ウェーハ50を支持する機構が配置されている。具体的には、駆動ユニット113の回転軸112に固定されたテーブル111上に半導体ウェーハ50が支持され、駆動ユニット113によるテーブル111の回転にともなって半導体ウェーハ50が回転するようになっている。洗浄ノズルユニット60には前述した第2バブル発生器18bからのバブル含有液が供給されており、洗浄ノズルユニット60からバブル含有液が噴出し、そのバブル含有液が回転する半導体ウェーハ50の表面に洗浄液(処理液)として吹き付けられる。そして、半導体ウェーハ50の表面は、その吹き付けられるバブル含有液によって洗浄される。なお、半導体ウェーハ50(被処理物)は、上述のように洗浄ノズルユニット60の下方において回転させる他、搬送機構によって洗浄ノズルユニット60の下方を所定速度で移動させるようにしてもよい。
【0029】
バブル含有液生成装置100の制御系は、例えば、図2に示すように、処理ユニット25に、貯液槽11に設けられた溶存気体濃度センサ23、開閉弁20a、20b、20c、20d及びポンプ14が接続された構成となっている。処理ユニット25(制御手段)は、溶存気体濃度センサ23からの検出信号を入力して貯液槽11に貯留する液体W中に溶解する気体の濃度をモニタしつつ、開閉弁20a、20b、20c、20dの開閉制御及びポンプ14の駆動制御を行う。
【0030】
前述したバブル含有液生成装置100を含む処理装置は、次のように動作する。
【0031】
まず、処理ユニット25は、開閉弁20a、20b、20cの閉鎖状態を維持させつつ、開閉弁20dを開放させる。この状態で、外部からの液体(純水)が送通管22を通って貯液槽11に供給され、貯留される。貯液槽11に貯留される液体の量が所定量に達すると、処理ユニット25は、開閉弁20cの閉鎖状態を維持させつつ、開閉弁20dを閉鎖させて、開閉弁20a、20bを開放させる。この状態で、処理ユニット25は、ポンプ14を駆動させる。
【0032】
すると、貯液槽11から液体Wが送通管12を通って加圧槽15に圧送される。その過程で、気体供給部13からの気体が送通管12内の液体に供給され、加圧槽15では、気体含有液が加圧される。加圧槽15にて気体含有液が加圧されることによりその液中に気体が溶解して比較的高い気体濃度の気体溶存液が生成され、その気体溶存液が二方向流量調整弁16を介して第1バブル発生器18aに供給される。そして、第1バブル発生器18aでの微細バブル発生によって生成されるバブル含有液が貯液槽11に供給される。
【0033】
このように、液体Wに対して気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)が貯液槽11を中継して繰り返しなされる過程で、気体供給部13から供給される気体とともに、第1バブル発生器18aにて発生した微細バブル(貯液槽11にて拡大するものもある)を含有する気体含有液が加圧槽15において加圧される。その結果、加圧槽15にて生成される気体溶存液は比較的短時間にて過飽和状態に達し得る。そして、第1バブル発生器18aを通過する際に微細バブルの発生により液中の溶存気体濃度は一時的に下がるものの、前記気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)の繰り返しによって貯液槽11内の液体W中の溶存気体濃度が上昇して、溶存気体濃度センサ23にて検出される貯液槽11内の液体W中の溶存気体濃度が所定濃度値以上になると、処理ユニット25は、開閉弁20cを開放させる。
【0034】
すると、加圧槽15にて生成される気体溶存液が二方向流量調整弁16によって第1バブル発生器18a側と第2バブル発生器18b側に所定の割合で振り分けられる。これにより、前述した気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)が繰り返されて加圧槽15にて生成される気体溶存液の過飽和状態が維持されつつ、その気体溶存液が第2バブル発生器18bに供給される。そして、その過飽和状態の気体溶存液が第2バブル発生器18bにて圧力開放され、液中に微細バブル(ナノバブル)が一気に発生する。そして、その微細バブル(ナノバブル)を含むバブル含有液が第2バブル発生器18bから洗浄室101内の洗浄ノズルユニット60に供給される。
【0035】
洗浄室100内では、洗浄ノズルユニット60から噴出する微細バブル(ナノバブル)を含むバブル含有液が処理液として回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられる。それにより、微細バブル(ナノバブル)の種々の効果が利用されつつ半導体ウェーハ50の表面が洗浄(処理)される。
【0036】
上述したようなバブル含有液生成装置100では、液体Wに対して気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)が貯液槽11を中継して繰り返しなされる過程で、気体供給部13から供給される気体とともに、第1バブル発生器18aにて発生した微細バブルを含有する気体含有液が加圧槽15において加圧されるので、加圧槽15にて生成される気体溶存液は比較的短時間にて過飽和状態に達し得る。そして、その過飽和状態に維持された気体溶存液が第2バブル発生器18bにて圧力開放されて一気に微細バブルが発生するので、より効率的に微細バブル(ナノバブル)を含むバブル含有液を生成することができるようになる。
【0037】
そして、このようにして生成されるバブル含有液が、貯められることなく、第2バブル発生器18bから洗浄ノズルユニット60に供給されて被処理物である半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられるようになるので、微細バブル(ナノバブル)の効果を有効に利用したバブル含有液による半導体ウェーハ50の表面の洗浄(処理)が可能になる。
【0038】
なお、貯液槽11内の液体Wの量が低下して所定量を下回ると、開閉弁20dが開放されて液体(純水)が送通管22を通して貯液槽11に投入される。それによって、溶存気体濃度センサ23にて検出される溶存気体濃度が低下して所定濃度値を下回ると、開閉弁20cが閉鎖されて、加圧槽11からの気体溶存液の第2バブル発生器18bへの供給が遮断される。そして、第2バブル発生器18bに気体溶存液が供給されることなく、前述した液体Wに対する気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)が貯液槽11を中継して繰り返しなされる。
【0039】
本発明の第2の実施の形態に係る処理装置は、図3に示すように構成される。この処理装置は、バブル含有液生成装置100と、複数の洗浄室(洗浄工程)101A、101B、101Cとを有している。バブル含有液生成装置100は、前述した単一の第2バブル発生器18bに代えて、複数の洗浄室101A、101B、101Cにバブル含有液を並列的に供給するための複数の第2バブル発生器18b(A)、18b(B)、18b(C)を有している。なお、図3において、図1に示す部分と同じ部分については同じ参照番号が付されている。
【0040】
バブル含有液生成装置100は、前述した本発明の第1の実施の形態(図1参照)の場合と同様に、貯液槽11、気体供給部13、ポンプ14、加圧槽15、二方向流量調整弁16、第1バブル発生器18a及び開閉弁20a、20b、20c、20dを有している。そして、二方向流量調整弁16から第1バブル発生器18aと逆側に延びる送通管21は、開閉弁20cの下流側で3つの分岐送通管21a、21b、21cに分かれている。分岐送通管21a、21b、21cは、洗浄室101A、101B、101Cに設けられた洗浄ノズルユニット60、60、60に接続されており、その途中に第2バブル発生器18b(A)、18b(B)、18b(C)が設けられている。各洗浄室101A、101B、101Cは、それぞれ、本発明の第1の実施の形態(図1参照)の場合と同様の構造となっており、洗浄ノズルユニット60の下方に回転するテーブル111に支持された半導体ウェーハ50(被処理物)が配置されている。
【0041】
このようなバブル含有液生成装置100では、液体Wに対して気体供給(気体供給部13)、加圧(加圧槽15)及びバブル発生(第1バブル発生器18a)が貯液槽11を中継して繰り返されることにより過飽和状態に維持される気体溶存液が複数の第2バブル発生器18b(A)、18b(B)、18b(C)に並列的に供給され、その気体溶存液がそれら複数の第2バブル発生器18b(A)、18b(B)、18b(C)で圧力開放されて一気に微細バブル(ナノバブル)が発生する。そして、その微細バブルの発生によりできるバブル含有液が複数の第2バブル発生器18b(A)、18b(B)、18b(C)から同時に複数の洗浄室101A、101B、101Cに供給される。各洗浄室101A(101B、101C)では、対応する第1バブル発生器18b(A)(18b(B)、18b(C))から供給される微細バブル(ナノバブル)を含むバブル含有液が処理液として洗浄ノズルユニット60から回転する半導体ウェーハ50の表面に吹き付けられる。それにより、微細バブル(ナノバブル)の種々の効果が利用されつつ半導体ウェーハ50の表面が洗浄(処理)される。
【符号の説明】
【0042】
11 貯液槽
12、19、21、22 送通管
13 気体供給部
14 ポンプ
15 加圧槽
16 二方向流量調整弁
18a 第1バブル発生器(第1バブル含有液生成機構)
18b 第2バブル発生器(第2バブル含有液生成機構)
20a 20b 20c 20d 開閉弁
23 溶存気体濃度センサ
50 半導体ウェーハ
60 洗浄ノズルユニット
100 バブル含有液体生成装置
101 洗浄室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する貯液槽と、
該貯液槽からの液体に気体を供給して気体含有液を生成する気体含有液生成機構と、
該気体含有液生成機構にて生成される気体含有液を加圧して気体溶存液を生成する加圧槽と、
該加圧槽からの気体溶存液中にバブルを発生させて得られる第1バブル含有液を前記貯液槽に供する第1バブル含有液生成機構と、
前記加圧槽からの気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて第2バブル含有液を生成する第2バブル含有液生成機構とを有するバブル含有液生成装置。
【請求項2】
前記貯液槽内の前記第1バブル含有液中に溶解する気体濃度を検出する溶存気体濃度検出手段と、
該溶存気体濃度検出手段にて検出される気体濃度に基づいて前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構への前記気体溶存液の供給を制御する制御手段とを有する請求項1記載のバブル含有液生成装置。
【請求項3】
前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構への前記気体溶存液の供給及び遮断を切換える切換え機構を備え、
前記制御手段は、前記溶存気体濃度検出手段にて検出される気体濃度が所定濃度値以上のときに前記加圧槽から前記第2バブル含有液生成機構に前記気体溶存液が供給されるように前記切換え機構を制御する請求項2記載のバブル含有液生成装置。
【請求項4】
前記第2バブル含有液生成機構は複数のバブル含有液生成ユニットを有し、
前記加圧槽から前記複数のバブル含有液生成ユニットに前記加圧槽からの気体溶存液が並列的に供給され、
前記複数のバブル含有液生成ユニットのそれぞれが供給される前記気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて前記第2バブル含有液を生成する請求項1乃至3のいずれかに記載のバブル含有液生成装置。
【請求項5】
供給される液体に気体を混合させて気体含有液を生成する第1ステップと、
該気体含有液を加圧して液中に気体の溶解した気体溶存液を生成する第2ステップと、
該気体溶存液中にバブルを発生させて得られる第1バブル含有液を前記第1ステップに前記気体を混合させるべき液体として供する第3ステップと、
前記第2ステップにて生成された前記気体溶存液の圧力開放を行って微細バブルを発生させて第2バブル含有液を生成する第4ステップとを有するバブル含有液生成方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のバブル含有液生成装置と、
該バブル含有液生成装置の前記第2バブル含有液生成機構にて生成される第2バブル含有液を処理液として被処理物に吹き付ける機構とを有する処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−66191(P2012−66191A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213067(P2010−213067)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】