説明

バラン非実装の単純な給電素子を用いた広帯域の長スロットアレイアンテナ

一実施形態において、広バンド幅で薄型の送受信アンテナアレイは、連続的なスロット、送受信機、不平衡給電部、インピーダンス変換部、及び励振器を有する単位セルを含む。この連続的なスロットは、導電性アンテナ面に形成され、送受信機は、電気信号を生成及び/又は受信する。不平衡給電部は、給電線と励振器との間のインピーダンスを整合させるインピーダンス変換部と送受信機との間を電気的に接続する。不平衡給電部は、電磁波の伝播方向に直交する面に配置されており、導電性アンテナ面 とバックプレーンとの間に配置される。励振器は連続的なスロットを跨いでおり、スロットから電磁波を送受信する。このアンテナアレイは、ラドームやバラン無しで動作可能である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願はスロットアレイアンテナに関し、具体的には、広帯域の長スロットアンテナアレイに関する。スロットアレイアンテナは開口を有しており、この開口は、理論上、例えばFmax〜0.01xFmax(すなわち、100対1)のバンド幅以上の広帯域にわたって、377オーム(Ω)の駆動インピーダンスを一定に保つことができる。しかしながら、従来の長スロットアンテナアレイには、バックプレーン及びアンテナ給電部に起因する制約がある。従来のアンテナアレイは、狭い帯域幅しか有しておらず、物理的に厚みが大きすぎるので、広帯域の用途に適していない場合が多い。パッチアンテナは一般に 薄型であるが、多くの用途において必要とされる十分なバンド幅を有していない。
【0002】
対照的に、ホーンアンテナ類似のテーパスロットアンテナアレイは広帯域を有するが、かなりの深さを必要とする。具体的には、テーパスロットアンテナアレイは、波長の長さ又はそれ以上の長さだけ放射素子の背後に伸びるテーパ部を有する。テーパ部がアンテナアレイの送受信電子モジュール及び給電線のインピーダンスを環境のインピーダンスと整合させる遷移部を提供するので、広帯域を実現するためにはテーパ部の長さを長くする必要がある。送受信機と環境との間の遷移部が長いほど、アンテナアレイによって実現できるバンド幅を広くすることができる。このように、従来のテーパ素子は、テーパ長さ並びにアンテナの厚み及び全体寸法を犠牲にすることで広帯域を実現することができる。
【0003】
高性能な監視を行ったりその他の重要作戦を遂行する際には、極超短波(UHF)スペクトル及びそれより短い波長における超広帯域無線(UWB)機能が有用である。この用途に用いるには、アンテナの体積や設置面積が限定される基板上に、高解像度、ダイバーシティ、及び/又はマルチ無線周波数機能(multi-radio-frequency functionality)を実装することが必要とされる。しかしながら、UHF放射の波長は1メートルのオーダーなので、従来の広帯域テーパスロットアンテナでは大きく高価になってしまい、実用的ではない。
【0004】
これら以外の従来のUWB長スロットアンテナアレイは、バックプレーンの背後にある別個の回路にインピーダンス変換部を備える。このようにして、これらのアンテナアレイにおいては厚さが増加し、好ましい厚さよりも厚くなってしまう可能性がある。さらに、従来の開口は、対リード線等の平衡型給電線を必要とする放射素子を用いる。対リード線はリボンケーブルと類似しており、絶縁物質中に形成された2つの平行な導体を有する。ダイポールアンテナ等の平衡アンテナが不平衡型給電線(例えば同軸ケーブル)によって給電される場合には、望ましくないコモンモード電流が内部導体と外部導体との間に生成される。その結果、不平衡線とアンテナの両方から放射が起こり、非効率であるとともにアンテナアレイの放射パターンを歪ませることになり、他の電子部品において干渉を引き起こすことにもなる。
【0005】
不平衡型給電線を平衡型給電線に変換するために、従来のアンテナアレイはバランを備える。しかしながら、従来のバランは高価で非効率であり、バンド幅と電源能力が限られている。また、従来のバラン非実装のUWB長スロットアンテナアレイにおいては、インピーダンス整合のために、厚く重い誘電性のラドームを有するアンテナアレイを用いることが必要となることがある。
【0006】
したがって、平衡型給電線又はラドームを備える必要がある用途に関しては、従来のアンテナアレイは不十分であり望ましくない。また、従来のアンテナアレイは薄型でなく、さもなければ広帯域を実現できず、低周波数帯において動作することができない。したがって、薄型で高性能のアンテナアレイ、特に伝播方向の厚みが少ないアンテナアレイが望まれている。
【発明の概要】
【0007】
本明細書の様々な実施形態や態様においては、厚みと重量が少なく低コストのUWB長スロットアンテナアレイが提供される。一態様において、このアンテナアレイは、概ね10対1又はそれ以上の大きさのバンド幅を有するとともに、最低動作周波数の波長の概ね20分の1かそれ以下の厚みを有する。その結果、このアンテナアレイは、同様の厚みを有するアンテナアレイ(例えば4分の1波長パッチアンテナ)のバンド幅の概ね200倍のバンド幅を有する。また、このアンテナアレイは、同様のバンド幅を有するアンテナ(例えば、フレア励起四重棟円錐ホーン(quad-ridged horn)アンテナ)の概ね20分の1のサイズとなる。さらに、複数層のモノリシックタイル構造内に配置されたシングルエンド型不平衡インピーダンス整合給電プローブを用いて長スロットを駆動することによって、給電線の複雑さが緩和される。
【0008】
上述したものを含め、本発明概念の目的、特徴、及び効果は本明細書によって明らかになる。発明の概要、発明を実施するための形態、図面の記載事項は、本明細書において説明される本発明概念の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】長スロットアンテナアレイの単位セル及びそのアレイから放射される放射ビームの形状の側面図である。
【0010】
【図1B】バックプレーンの位置の関数としてインピーダンスの実部及び虚部を示す。
【0011】
【図2】電磁波を放射し受信する素子のアレイの4つの単位セルの分解図を示す。
【0012】
【図3】一実施形態におけるインピーダンス整合回路を含む単位セルを示す。
【0013】
【図4A】単位セルの平面図を示し、図4B、4Cに示される断面図の基準位置を示す。
【0014】
【図4B】インピーダンス整合回路のダイレクトコンタクトを通過する断面図を示す。
【0015】
【図4C】インピーダンス整合回路の垂直ライザーを通過する断面図を示す。
【0016】
【図5A】金属製のバックプレーンについて入力反射を示す。
【0017】
【図5B】フェライトバックプレーンについて入力反射を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1Aは、一実施形態における長スロットアンテナアレイの単位セル放射素子100及び放射ビーム150の形状を示す。具体的には、導体101及び102がアンテナ面に設けられる。導体101及び102は、例えば、互いに離間して配置されてスロット110を形成する導電性ストリップである。一実施形態において、この導電性ストリップは銅等の金属ストリップであってもよい。給電線120は(例えば、アクティブモードにおいて放射され、パッシブモードにおいて受信される)放射ビーム150と関連する電気信号を、送受信機(不図示)とインピーダンス変換部126との間で伝達する。インピーダンス変換部126は、給電線120のインピーダンスを環境のインピーダンスと整合させ、(アクティブモードにおいて)上述の電気信号を放射ビーム150に効率良く結合し、(パッシブモードにおいて)ビーム150を電気信号に効率良く結合する。インピーダンス変換部126は励起プローブ128に電気的に接続されている。励起プローブ128はスロット110を跨いでおり、導体102と電気的に接続されている。励起プローブ128は、シングルエンド型不平衡励起プローブとして構成されてもよい。例えば、給電線120が同軸ケーブルの場合には、その内部導体によって電源が導体102に電気的に接続され、その外部導体によって導体101が接地122に電気的に接続される。アクティブモードにおいては、励起プローブを用いてスロット110に電気信号を提供することによって電流が発生し、その電流によって放射ビーム150及び後方伝播放射ビーム152がスロット110から放射される。バックプレーンを適切に配置することにより、後方伝播放射ビーム152はバックプレーン140に反射され、前方利得を最大化するように放射ビーム150と重なり合うことができる。
【0019】
図1Bは、導体101及び102(すなわちアンテナ面)の背後におけるバックプレーン140の深さの関数として、バックプレーン140のインピーダンスを示す。具体的には、インピーダンスの虚部は、電力の流れのうち蓄積エネルギーに起因し正味の電力伝送を生じさせない部分を表す。このインピーダンスの虚部は、アンテナ面の背後の0、0.25及び0.5波長(λ)の距離において0Ωとなる。対照的に、インピーダンスの実部は、電力の流れのうち正味の電力伝送を生じさせる部分を表す。このインピーダンスの実部はアンテナ面の背後の0.25λの位置で最大となる。0.25λの位置においてインピーダンスの虚部が最小となる一方実部が最大となるので、前方伝播方向における利得はバックプレーン140をアンテナ面の背後0.25λの位置に配置した場合に最大となる。
【0020】
図1A及び1Bに示された実装において、バックプレーン140は、接地された導電性の金属製バックプレーンとして構成されてもよい。また、金属製バックプレーン140は、導体101及び102の背後の距離S1(中心周波数の概ね0.25λ)の位置に配置することによって、4分の1波長短絡として構成することができる。この実装方法においては、TEM伝送線路を使用することによって、反射損失が少なく4対1のバンド幅を実現することができる。また、バックプレーン140をフェライト等の吸収体として構成することにより、少なくとも10対1のバンド幅で2〜3dBの損失を実現することができる。
【0021】
図2は、放射ビーム204を放射及び/又は受信するアンテナアレイ200を示す。放射ビーム204の方向は、例えば隣接するアンテナ給電部間の相対位相を調整することにより制御可能である。また、メインビームを構成しない遠方場放射パターンにおけるグレーティングローブの形状を最小化することにより、放射パターンの精度を向上させるとともにノイズに対する脆弱性を減少させることができる。さらに、ビーム又はパターン204の方向を変更することができ、これにより、放射ビーム204を誘導し電子的に走査することができる。例えば、放射ビーム204は、XY平面に対して実質的に±60度の角度(すなわち、120度円錐の放射)にわたって誘導され走査されるように構成することができる。
【0022】
アンテナアレイ200は、複数の単位セル放射素子201(例えば、201’、201’’、201’’’、及び201’’’’)を含む。各単位セル201はアンテナアレイ200の一部であり、アンテナアレイ200全体の配置及び構成を代表して表す一群の素子を含む。単位セル201は、アンテナアレイ200に含まれる素子の繰り返しパターンの基本ユニットである。各単位セル201は類似の機能を有しているので、アンテナアレイ200全体の構成及び動作を、1つの単位セル201について説明する。したがって、プライム記号(すなわち、’、’’、’’’、及び’’’’)は一群の等価な素子のうち特定の素子を指し示すために用いられ、プライム記号無しで用いられる素子の参照記号は、一群の等価な素子の全てを表すために用いられる。例えば、201’、201’’、201’’’及び201’’’’は、4つの異なる単位セルをそれぞれ示し、201は全ての単位セルをまとめて示す。
【0023】
各単位セル201は特性インピーダンスを有している。インピーダンスの不整合により起こる電気信号の反射を最小化し、放射ビーム204に結合する電力を最大化するために、各単位セル201の特性インピーダンスは環境のインピーダンス(自由空間については377Ω)と整合していなければならない。この環境のインピーダンス(Z)は単位セルの長さUL及び幅UWの関数である(すなわち、Z=377xUW/UL)。図2のように単位セル201が正方形に形成されている一実施形態においては、単位セル201に対する環境のインピーダンスは377Ωである。
【0024】
さらに、各単位セル201は複数のレイヤーを含む。アンテナ面は導体208Aによって形成される。導体208Aは単位セル201にわたって(例えば、201’及び201’’’’にわたって)連続するよう構成されている。一実施形態において、導体208Aは例えば導電性の金属ストリップである。
【0025】
導体208Aは、誘電体フィルム等の誘電体層214に設けられてもよい。様々な実施形態において、導電性物質を誘電体層214に直接蒸着させたり、銅被覆発泡体等の導電性表面の一部をエッチングすることにより導体を形成することができる。同様に、導体208Bは、導体208Aと整列するように、また、導体208Aから離間して設けられる。導体208Aと208Bとは互いに電気的に接続されるが、この点は以下で説明する。
【0026】
スロット212Aは導体208A間に形成され、単位セル201の全体にわたって(例えば図2に示されるように201’及び201’’’’の全体にわたって)連続する。スロット212Aは単位セル201の開口であり、この開口を通じて電磁波を環境に放射し、環境から電磁波を受信する。スロット212Aの幅SWは、概ね最短動作波長よりも短くすることができる。また、スロット212Aは、隣接するスロット(例えば図2に示される201’及び201’’’’)によって形成される連続するスロットの長さが、最長動作波長の概ねλ/2よりも長くなるように構成されてもよい。
【0027】
バックプレーン254は、スロット212A及び導体208Aの背後に設けられる。バックプレーン254は、誘電体222の背後の距離(dg)の位置に配置される。バックプレーン254の具体的な位置は、放射ビーム204へ伝達される電力又は放射ビーム204から伝達される電力を最大にするように選択される。一実施形態において、バックプレーン254は、誘電体222の背後の概ね0.25λの位置に配置される。バックプレーン254は、アンテナアレイ200内の電子機器を外部の電気信号や電磁放射から遮蔽する役割も果たす。また、バックプレーン254は、バックローブを最小化し放射ビーム204のメインローブを最大化することで、アンテナアレイ200の前方利得を改善することができる。バックプレーン254は、様々な構成をとることができ、様々な物質を含むことができる。例えば、バックプレーン254は、金属製導体、吸収体、フェライト装荷反射体、又はメタマテリアル(すなわち、構造及び組成に起因する有利な特徴を持つ物質)として構成されてもよい。
【0028】
アンテナアレイ200は電磁波の放射も受信もできるように構成されるが、以下では、主にアンテナアレイ200から放射ビーム204を放射する観点から説明を行う。放射ビーム204を受信する工程は放射ビーム204を放射する工程と実質的に逆向きなので、アンテナアレイ200は、放射ビーム204を受信する際には放射ビーム204を放射する場合と実質的に逆に動作する。
【0029】
図2の一実施形態においては、アンテナアレイ200は、放射ビーム204に関連する電気信号を送信及び/又は受信する送受信電子モジュール258を含む。送受信電子モジュール258は、例えば、単数又は複数の電源、発振器、変調器、増幅器、送受信スイッチ、サーキュレータ、及び移相器を含む。このように、送受信機258は、所望の放射ビーム204及び/又は放射ビームパターンを形成するために必要な電気信号を生成することができる。また、アンテナアレイ200の受信動作時には、送受信機258は、放射ビーム204に関連する電気信号を、後段の処理のために受信することができる。
【0030】
一実施形態において、送受信機258は、インピーダンス変換部234及び264に電気的に接続される。インピーダンス変換部234及び264を(例えば同位相で)共に駆動することにより、空間的な精度を悪化させたり放射ビーム204にグレーティングローブを生じさせることなく、送受信機258の数を減少させることができる。様々な実施形態において、送受信機258とインピーダンス変換部234、264との割合は1対2でなくともよい。
【0031】
送受信機258は電気信号の位相を調整するための移相器を含んでいてもよい。単位セル201の位相を他セルとの関係で相対的に変化させることにより、単位セル201間での強めあう干渉及び弱めあう干渉のパターンを変更することができる。その結果、連続的に調整される位相差によって、放射ビーム204を所望の方向に誘導し走査することができる。一実施形態において、放射ビーム204は例えば概ね120度の円錐内で方向付けられる。
【0032】
給電線230は、送受信機258をインピーダンス変換部234及び264に電気的に接続する。一実施形態においては、例えば、給電線230は導体208Bから絶縁され、導体208Bを通過してインピーダンス変換部234及び264に(例えばGPO同軸ケーブルを用いて)接続される。電力伝達を最大化し反射損失を最小化するために、給電線230のインピーダンスは、送受信機258のインピーダンス及びインピーダンス変換部234及び264のインピーダンスと整合している必要がある。
【0033】
一実施形態においては、給電線230は50Ωのインピーダンスを有する同軸ケーブルである。同軸ケーブルは、その内部導体が外部導体から実質的に遮蔽されているため相対的に干渉の影響を受けにくく、給電線230として用いるのに適している。さらに、同軸ケーブルは様々な形状で用いることができ、相対的に使い勝手がよい。
【0034】
同軸ケーブルは、しかしながら、不平衡型給電線である。具体的には、外部導体(すなわちシールド)が接地されている一方で内部導体が接地されていないため、その導体同士は対称性を持たない。また、内部導体及び外部導体における電流密度は互いに異なる。その結果、従来のアンテナアレイは、不平衡型給電線を用いるときには限定されたバンド幅とならざるを得ない。対照的に、アンテナアレイ200の性能は、インピーダンスが整合しているという特徴のために、同軸ケーブル等の不平衡型給電線を使用する場合にも犠牲にならない。
【0035】
インピーダンス変換部234及び264は、給電線230によって、送受信機258に電気的に接続されている。アンテナアレイ200の動作は、インピーダンス変換部234を含む回路分岐に関して説明される。このインピーダンス変換部234を含む回路分岐は、単位セル201’の一部分であり、図2において濃線で描かれている。インピーダンス変換部264を含む回路分岐は、インピーダンス変換部234を含む回路分岐と同じように動作するため、インピーダンス変換部264を含む回路分岐の動作はインピーダンス変換部234を含む回路分岐ほどに詳しくは説明されない。
【0036】
インピーダンス変換部234は、送受信機258、励起プローブ246及び248、及び環境の間に遷移部を提供し、これらのインピーダンスを整合させる。一実施形態においては、単位セル201の配置によって、インピーダンス変換部234によって実現されるべきインピーダンスの変化量を減少させることができる。例えば、正方形の単位セル201のインピーダンス(Z)は377Ω(Z=377xUW/UL)である。しかしながら、一実施形態においては、インピーダンス変換部234、264側から見た単位セル201の実効インピーダンスを188Ωに減少させることができる。このインピーダンスの減少は、単位セル201当たりのスロット212A及び212Bの数を倍にすることにより(すなわち、E面における素子間隔を半分にすることにより)実現される。例えば、電磁波を送受信する2組の回路(すなわち、インピーダンス変換部234、264をそれぞれ含む回路分岐)を単位セルにおいてY軸方向に設けることができる。その結果、単位セル201の幅UWは、インピーダンス変換部234、264によって提供されることが必要な実効インピーダンスの変化を決定する目的ではUW/2になる。
【0037】
一実施形態においては、送受信機258及び給電線230はそれぞれ50Ωのインピーダンスを有し、励起プローブ246及び248の総インピーダンス並びに環境のインピーダンスは188Ωとなる。したがって、インピーダンスを50Ωから188Ωに増加させるために、4対1のインピーダンス変換部が必要とされる。対照的に、インピーダンス変換部234及び264が377Ωのインピーダンスを整合させる必要があるとすると、8対1のインピーダンス変換部が必要とされる。したがって、インピーダンス変換部234及び264によって提供されるべきインピーダンスの変化量に応じて、インピーダンス変換部234及び264を小型に形成することができる。
【0038】
インピーダンス変換部234及び264のインピーダンスは、インピーダンスの必要な変化量を提供するために変更可能である。例えば、インピーダンス変換部の長さ、幅、及び/又は単数又は複数の導線のテーパ幅、全体配置、及び/又はインピーダンス変換部が設けられ誘電体222の誘電率を変更することによりインピーダンスを変更することができる。様々な実施形態において、インピーダンス変換部234は、例えば、集中素子、ストリップライン、遮蔽マイクロストリップ、又はクロッペンシュタインテーパ型変換器として構成される。例えば、一実施形態において、クロッペンシュタインテーパ型変換器における導体の幅を、概ね0.050インチから概ね0.004インチまで狭くなるように構成することができる。一実施形態においては、インピーダンス変換部234を低誘電性の基板に設けることで、インピーダンスの相対的に大きな変化を低製造コストで提供することができる。インピーダンス変換部234及び264のその他の構成も可能である。そのような他の構成は、当業者であれば本明細書を参照することによって理解することができる。
【0039】
また、インピーダンス変換部234の配置によって、アンテナアレイ200の厚さを最小にすることができる。一実施形態においては、インピーダンス変換部234は導体208A(すなわちXY平面)と実質的に平行な面に配置される。対照的に、従来のアンテナアレイは、アンテナ面と直交する方向(すなわちZ軸方向)においてインピーダンス整合を提供する。したがって、このような従来のアンテナアレイは、本明細書の実施形態よりもZ軸方向の厚みを必要とする。
【0040】
インピーダンス変換部234は、例えば、導体208Bの裏側の面に配置することができる。また、インピーダンス変換部234は、図2に示されるように、導体208Aと208Bとの間の面に配置されてもよい。導体208Aと208Bとの間にインピーダンス変換部234を配置することによって、スペースをより有効に利用することができ、インピーダンス変換部234を外部の電気信号や電磁的な干渉から遮蔽することができる。
【0041】
インピーダンス変換部234は、垂直ライザー238の底部に電気的に接続される。垂直ライザー238は導体であり、誘電体218を通過して上方に延伸する。図2に示されるように、一実施形態において、垂直ライザー238は誘電体218の概ね中ほどを通過して延伸する。垂直ライザー238の頂部は、励起プローブ246及び248と電気的に接続される。垂直ライザー238は、励起プローブ246及び248が別個の回路分岐に分かれる分岐位置を提供する。さらに、垂直ライザー238によって、励起プローブ246及び248をインピーダンス変換部234とは異なる高さに配置することができる。このように、励起プローブ246、248、及びインピーダンス変換部234は、物理的にも電気的にも互いに干渉する可能性が少ない。一実施形態においては、インピーダンス変換部234を励起プローブ246及び248と同じ高さに配置し、インピーダンス変換部234を、垂直ライザー238を介すことなく励起プローブ246及び248に直接接続することができる。これにより、例えばインピーダンス変換部234と励起プローブ246、248とが互いに干渉しないときには、アンテナアレイ200の複雑さを緩和することができる。
【0042】
励起プローブ246及び248は、ダブルサイド平衡型である従来の手法とは対照的に、シングルサイド不平衡型でインピーダンス整合するように構成されるる。励起プローブ246及び248は、スロット212Aを跨いでおり、導体208A及び208Bに沿って一定間隔で配置される。励起プローブ246及び248に印加された電気信号によって電流が発生し、この電流がスロット212Aを励起して電磁波を放射させる。さらに、励起プローブ246及び248は、単位セル201の実効インピーダンスが減少し、インピーダンス変換部234及び環境とインピーダンス整合するように配置される。
【0043】
一実施形態においては、励起プローブ246及び248のインピーダンスは、インピーダンス変換部234及び環境の188Ωのインピーダンスと整合するように構成される。例えば、各励起プローブ246及び248のインピーダンスは、377Ωとなるように構成される。励起プローブ246及び248が図2に示されるように電気的に平行に構成される場合には、両励起プローブ246及び248の総インピーダンスはこの並列接続によって188Ωに減少する。様々な実施形態において、電気的に平行な一群の励起プローブに望ましい総インピーダンスを提供するために、電気的に平行に配置された様々な数の励起プローブを配置することができる。
【0044】
励起プローブ246及び248は、ダイレクトコンタクト250に、例えばダイレクトコンタクト250の中間点付近で電気的に接続されている。ダイレクトコンタクトは、導体208A及び208B間を電気的に接続する導体である。励起プローブ246及び248の端部がダイレクトコンタクト250に接続される。また、ダイレクトコンタクト250によって、励起プローブ246及び248が導体208A及び208Bを介して接地電位に電気的に接続される。
【0045】
これらの結果、アンテナアレイ200は、より少ない部品点数で広帯域を実現することができる。例えば、アンテナアレイ200は「バラン非実装」である。つまり、アンテナアレイ200は、インピーダンスを整合させ不平衡型給電線を平衡型給電線に変換するためにバランを必要としない。アンテナアレイ200は、導体208Aに平行な面に、インピーダンス変換部234及び264を備えることができ、これによりアンテナアレイ200の深さを最小化することができる。さらに、アンテナアレイ200はラドームを必要としない。したがって、アンテナアレイ200は、従来の様々な代替手法と比較して、安価で容易に実装することができる。
【0046】
アンテナアレイ200の寸法及び単位セル201の数は、アンテナアレイ200の動作周波数の範囲によって決定される。具体的には、アンテナアレイ200のバンド幅がより長い動作波長まで段階的に拡張される場合には、アンテナアレイ200の寸法は大きくなる。一実施形態においては、アンテナアレイ200の幅と長さは、最長の動作波長の少なくとも実質的に2分の1である。さらに、アンテナアレイ200のバンド幅が最短波長まで段階的に拡張されるにつれて、単位セル201の数が増やされ、励起プローブ246及び248の間隔が減らされる。
【0047】
単位セル201の必要数は、必要とされる単位セル201の空間間隔に基づいて定められる。具体的には、ナイキスト定理との類似性に基づいて説明する。ナイキスト定理では、空間的に少なくとも半波長ごとにサンプリングすることによって、送信周波数又は受信周波数のバンド幅スペクトルを維持することができる。サンプリング条件が満たされない場合には、同じサンプル値が複数の異なる周波数に対応することになり、原信号を完全に復元することができない。これに加えて、サンプリング条件が満たされない場合には、アンテナアレイ200は、望ましいないグレーティングローブやサイドローブを生成することなく放射ビーム204を放射することはできない。
【0048】
一実施形態においては、単位セル201の長さUL及び幅UWは、空間サンプリング条件を満たすためにナイキスト間隔(Nyquist spatial interval)の実質的に2分の1になっている。さらに、励起プローブ246と248との距離(X軸方向の距離)は、ナイキスト間隔の実質的に2分の1(すなわち、最高動作周波数の波長の4分の1)である。また、隣接する励起プローブ(Y軸方向)の繰り返し部分の間隔も、ナイキスト間隔の実質的に2分の1である。例えば、隣接する励起プローブの端部間(すなわちY軸方向における250と280との間)の距離は、最高動作周波数の波長の実質的に4分の1である。このように、各励起プローブ246及び248は、単位セル201内で及び単位セル201間で、X軸方向及びY軸方向において、最高動作周波数の波長の実質的に4分の1の距離だけ離間して配置される。例えば、図2に示されるように、プローブ246’は、プローブ248’’’’から4分の1波長の距離に配置される。
【0049】
図3は、単位セル301の透視図を示す。具体的には、アンテナアレイ200における様々な電気部品の接続関係をより明瞭に図示するために、図2と比較して、導体208A及び208B及び誘電体レイヤー214、218及び222が取り除かれている。
【0050】
アンテナアレイ200は、単位セル301を繰り返すことによって製造することができる。しかしながら、単位セル301に手直しを加えて、パターンが不連続であることに起因するアンテナアレイ200の外周における単位セルの不完全なインピーダンス整合回路を除去又は終端することが必要な場合がある。単位セル301は、3つの異なるインピーダンス整合回路を部分的に含む。整合回路の3つの異なる部分は、単位セル301ごとに2つの完全なインピーダンス整合回路を生じさせる。具体的には、単位セル301は、インピーダンス変換部234、励起プローブ246、248、及びダイレクトコンタクト250(図2において濃線で描かれた部分に相当する)を含む第1のインピーダンス整合回路を完全に含む。また、単位セル301は、励起プローブ376、378、及びダイレクトコンタクト380(インピーダンス整合回路の第2の部分に相当する)を有する第2のインピーダンス整合回路を含む。さらに、単位セル301は、インピーダンス変換部264、垂直ライザー368、及び励起プローブ382、384(インピーダンス整合回路の第3の部分に相当する)を含む第3のインピーダンス整合回路を含む。
【0051】
送受信機258は、放射ビーム204に関連する電気信号を送受信する。送受信機258は、給電線230に電気的に接続されている。また、導体208Bは、導体208A(図3には示されていない)と整列し、この導体208Aと電気的に接続される。給電線230は導体208Bと絶縁され、導体208Bを垂直に通過してインピーダンス変換部234と接続するように構成されてもよい。インピーダンス変換部234は、送受信機258、励起プローブ246、248、及び環境の間に遷移部を提供し、これらのインピーダンスを整合させる。インピーダンス変換部234は、垂直ライザー238の底部に電気的に接続される。垂直ライザー238は、励起プローブ246及び248が別個の分岐回路に分岐する分岐位置を提供する。また、垂直ライザー238によって、励起プローブ246及び248をインピーダンス変換部234とは異なる高さに配置することができる。一実施形態においては、インピーダンス変換部234を励起プローブ246及び248と同じ高さに配置し、インピーダンス変換部234を垂直ライザー238を介すことなく励起プローブ246及び248に直接接続することができる。
【0052】
励起プローブ246及び248はスロット212A(図3では不図示)を跨いでおり、スロット212Aを励起して電磁波を放射させる。励起プローブ246及び248は、単位セル201の実効インピーダンスが減少し、インピーダンス変換部234及び環境とインピーダンス整合するように配置される。具体的には、一実施形態において、単位セル301ごとに2つの完全なインピーダンス整合回路を設けることにより、インピーダンス変換部から見た環境の実効インピーダンスを2分の1だけ減少させる。さらに、一実施形態においては、励起プローブ246及び248の総インピーダンスが減少するように、2つの励起プローブ246及び248が平行に設けられる。励起プローブ246及び248は、ダイレクトコンタクト250に電気的に接続されている。その結果、励起プローブ246及び248は、導体208A及び208Bに電気的に接続されている。
【0053】
図4Aは単位セル201の平面図を示す。単位セル201は3つの異なる整合回路を部分的に有する。具体的には、第1のインピーダンス整合回路は、インピーダンス変換部234及び励起プローブ246、248を含む。また、単位セル201は、励起プローブ376、378を含む第2のインピーダンス整合回路を含む。さらに、単位セル201は、インピーダンス変換部264及び励起プローブ382、384を含む第3のインピーダンス整合回路を含む。
【0054】
導体208Aは、インピーダンス変換部234及び264の上部に配置され、アンテナ面を形成するように接続されている。インピーダンス変換部234は、送受信機258と励起プローブ246、248のインピーダンスを整合させる遷移部を提供する。
【0055】
図4Bは、単位セル201の正面図を示す。導体208Aは、誘電体214の上面に設けられている。同様に、導体208Bは、誘電体222の底面に設けられている。一実施形態において、誘電体214は、例えば、アンテナアレイ200や導体208Aの製造工程を支援するポリイミドフィルム(例えば、カプトン(登録商標)フィルム)である。一実施形態において、誘電体222は例えばプリント配線基板であってもよい。誘電体214と誘電体222のレイヤー間には誘電体218が配置される。一実施形態において、誘電体218は誘電性発泡体又は空気のレイヤーを含む。図4Bに示されるように、誘電体214は誘電体218に設けられる。一実施形態においては、誘電体214を除去して、導体208Aが誘電体218の上部に直接設けられるようにしてもよい。一実施形態においては、誘電体214、218、222によって、単位セル201に配置される電子部品が支持される。
【0056】
インピーダンス変換部234、264は、誘電体214上に設けられる。これ以外に、誘電体214、218、222の中や下部にインピーダンス変換部234、264を設けるという配置や構成も可能である。さらに、インピーダンス変換部234及び264を囲む物質の誘電率は、インピーダンスの必要な変化を提供することができるように選択される。
【0057】
垂直ライザー238及び368は、インピーダンス変換部234及び264を励起プローブ248、384にそれぞれ電気的に接続する。垂直ライザー238、368によって、励起プローブ248、384をインピーダンス変換部234及び264とは異なる高さに配置することができる。このように、励起プローブ248、384及びインピーダンス変換部234、264はそれぞれ、互いに物理的又は電気的に干渉しにくい。一実施形態においては、例えば、インピーダンス変換部234を励起プローブ246、248と同じ高さに配置し、インピーダンス変換部234が垂直ライザー238を介さずに励起プローブ246、248に直接に電気的に接続されるようにしってもよい。
【0058】
励起プローブ246及び248はスロット212Aを跨いでおり、スロット212Aを励起して電磁波を放射させる。さらに、励起プローブ246及び248は、導体208A及び208Bとダイレクトコンタクト250を介して電気的に接続されている。一実施形態において、励起プローブ246及び248は、導体208A及び208Bを介して接地電位と電気的に接続されている。バックプレーン254は、導体254の下方に設けられる。
【0059】
図4Cは単位セル201の側面図を示す。導体208Aは、誘電体214の上面に設けられる。同様に、導体208Bは、誘電体222の底面に設けられる。誘電体214と誘電体222との間のレイヤーには誘電体218が配置される。給電線230は、導体208Bを垂直に通過してインピーダンス変換部234と連絡するように構成される。一実施形態において、インピーダンス変換部234は誘電体222上に設けられる。インピーダンス変換部234は、垂直ライザー238に電気的に接続される。垂直ライザー238は、励起プローブ246及び248に電気的に接続され、励起プローブ246及び248の分岐位置を提供する。垂直ライザー238によって、インピーダンス変換部234と励起プローブ246、248を異なる高さ、例えば導体208Aと208Bとの間、に配置することができる。励起プローブ246及び248は、ダイレクトコンタクト250に電気的に接続されている。ダイレクトコンタクト250は、導体208A及び208Bに電気的に接続されている。
【0060】
3インチx3インチの単位セル寸法内に、単位セル201の11x11のアレイが、アンテナアレイ200の性能を実証するために作成された。このアンテナアレイを、200〜2000MHz(すなわち、10対1のバンド幅)にわたって、孤立した金属製のバックプレーン及びフェライト装荷バックプレーンを用いて試験した。また、このアンテナアレイは、前記最高動作周波数において、E面及びH面の両方にグレーティングローブを有しない±60度の走査角を持つように決定された。
【0061】
図5Aは、1.875インチの深さの金属製のバックプレーンを用いた場合の0.4〜2.0 GHzにわたる入力反射を示す。図5Bは、フェライトバックプレーンを用いた場合の0〜2.0GHzにわたる損失を示す。
【0062】
本明細書の詳細な実施形態を説明したが、本発明概念の趣旨を逸脱することなく、本発明概念の範囲が本明細書において説明された具体的な実施形態に限定されないように変更を行うことは、当業者にとって容易である。本明細書で説明したもの以外の実施形態、使用方法、及び効果は、本明細書の記載及び請求項に記載された発明の実施を通じ、当業者にとって自明なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本明細書のアンテナアレイを用いて放射ビームを送受信するアンテナ素子及び方法は、様々な種類の通信システムにおいて産業上利用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射ビームを送信及び/又は受信するように構成されたアンテナ素子であって、
単数又は複数の導体を有し、単数又は複数のスロットが形成された第1のパターン導電性レイヤーと、
前記放射ビームに関連する電気信号を伝送するように構成された不平衡型給電線と、
前記給電線に電気的に接続されたインピーダンス変換部と、
前記インピーダンス変換部に電気的に接続され、前記単数又は複数のスロットを励起し又は前記単数又は複数のスロットからの放射によって励起されるように構成された単数又は複数の励振器と、を備え、
前記インピーダンス変換部が、前記給電線と前記単数又は複数の励振器との間のインピーダンスの差を減少させるように構成され、前記給電線の前記インピーダンスを前記単数又は複数の励振器の前記インピーダンスと整合させるアンテナ素子。
【請求項2】
前記インピーダンス変換部が前記第1のパターン導電性レイヤーと実質的に直交する平面に設けられた請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項3】
前記第1のパターン導電性レイヤーから離間して配置され単数又は複数の導体を有する第2のパターン導電性レイヤーをさらに備える請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項4】
前記インピーダンス変換部が、前記第1のパターン導電性レイヤーと第2のパターン導電性レイヤーとの間に配置された請求項3に記載のアンテナ素子。
【請求項5】
前記インピーダンス変換部を前記単数又は複数の励振器に電気的に接続させる導電性電気コンタクトをさらに備える請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項6】
前記単数又は複数の励振器を前記第1の導電性レイヤー内の導体及び/又は第2の導電性レイヤー内の導体に電気的に接続させるように構成された単数又は複数の電気励振器コンタクトをさらに備える請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項7】
前記単数又は複数の励振器の前記単数又は複数の電気励振器コンタクトが前記アンテナ素子内で中心動作周波数の概ね4分の1波長の距離だけ間隔をおいて配置される請求項6に記載のアンテナ素子。
【請求項8】
単数又は複数の隣接するアンテナ素子励振器の前記単数又は複数の電気励振器コンタクトが、中心動作周波数の2分の1波長よりも短い距離だけ間隔をおいて配置される請求項6に記載のアンテナ素子。
【請求項9】
前記インピーダンス変換部が導体を含み、前記インピーダンス変換部の前記インピーダンスが、前記導体の長さ、幅、配置、及び前記インピーダンス変換部が設けられた誘電体の誘電率のうちの1つ又は複数によって決定される請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項10】
前記インピーダンス変換部が遮蔽マイクロストリップ又はストリップラインクロッペンシュタイン変換器のいずれか1つである請求項9に記載のアンテナ素子。
【請求項11】
前記給電線が第2のパターン導体を通過して前記インピーダンス変換部に直角に接続するように構成された導体を有する請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項12】
前記給電線が前記第2のパターン導電性レイヤーの導体を接地に電気的に接続するように構成された第2の導体を有する請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項13】
単数又は複数のスロットが、最長動作波長の2分の1よりも長い長さと最短動作波長よりも短い幅とを有する連続的なスロットを形成する請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項14】
前記最高動作周波数の前記最低動作周波数に対する比である前記アンテナ素子のバンド幅が少なくとも約10対1である請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項15】
前記最高動作周波数の前記最低動作周波数に対する比である前記アンテナ素子のバンド幅が少なくとも約100対1である請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項16】
前記アンテナ素子の厚さが最低動作周波数の波長の20分の1よりも少ない請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項17】
前記電気信号の相対位相を変化させるように構成され、前記放射ビームを誘導し及び/又は電子的に走査することができる送受信機をさらに含む請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項18】
前記アンテナ素子がアンテナアレイの単位セルを含む請求項1に記載のアンテナ素子。
【請求項19】
アンテナアレイを用いて放射ビームを放射及び/又は受信する方法であって、
単数又は複数の導体を有し、単数又は複数のスロットが形成された第1のパターン導電性レイヤーを提供し、
前記放射ビームに関連する電気信号を伝送する不平衡型給電線を提供し、
前記給電線に電気的に接続された複数のインピーダンス変換部を提供し、
各インピーダンス変換部に電気的に接続され、前記単数又は複数のスロットを励起し又は前記単数又は複数のスロットからの放射によって励起されるように構成された複数の励振器を提供し、
前記複数のインピーダンス変換部が、前記給電線と各励振器との間のインピーダンスの差を減少させるように構成され、前記給電線のインピーダンスを前記各励振器のインピーダンスと整合させる方法。
【請求項20】
前記複数のインピーダンス変換部を提供することが、前記複数のインピーダンス変換部の1つ又は複数を、前記放射ビームのメインローブと実質的に垂直な平面に配置することを含む請求項19に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【公表番号】特表2011−526469(P2011−526469A)
【公表日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516704(P2011−516704)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/048815
【国際公開番号】WO2009/158592
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(503455363)レイセオン カンパニー (244)
【Fターム(参考)】