バリア材料を有するサンプル要素
抜き取りサイト(withdrawal site)(LS)で患者の皮膚(PS)から抜き取られる或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素(1000)が開示される。該サンプル要素はその中にサンプル室(1002)を規定するハウジングと、バリア(1004)と、を有する。該バリアは該抜き取りサイトで該患者の皮膚と接触するよう構成された第1の側部と、該サンプル室と流体的に連通する第2の側部と、を有する。該バリアは、該身体流体が該第1の側部から該第2の側部へ通過することを可能にするために、ランス(lance)(1013)により穿孔されるように構成される。又抜き取りサイトで患者の皮膚から身体流体(bodily fluid)を抜き取る方法も開示される。該方法は該抜き取りサイトで該患者の皮膚に対するようバリアの第1の側部を置く過程を具備する。該方法は更に、該抜き取りサイトで、該バリアを通る第1開口部と、該患者の皮膚内の第2開口部と、を形成する過程を具備する。該第1開口部と第2開口部は流体的に連通している。該方法は更に該バリアの第二の側部と流体的連通関係にサンプル室を置く過程を具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に材料サンプル中の被検体濃度(analyte concentrations)の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
数百万の糖尿病患者(diabetics)が彼等の血流(bloodstream)中のブドウ糖(glucose)のレベルをモニターするために日毎ベースで血液(blood)の様な身体流体(bodily fluid)のサンプルを抜き取っている(draw)。適当な被検体検出システム(analyte detection system)による分析(analysis)用に該サンプルを保持するために小さな試験ストリップ(test strip)が使われることが多い。これらの試験ストリップと検出システムは種々の問題を被り、又限定した性能しか有さない。
【特許文献1】米国特許第6,399、188号明細書、SINTERED POROUS PLASTIC MATERIAL、2002年6月4日発行
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1実施例は抜き取りサイト(withdrawal site)で患者の皮膚(skin)から抜き取られた或る容積(volume)の身体流体を保持するためのサンプル要素(sample element)を含む。該サンプル要素は中にサンプル室(sample chamber)を規定するハウジングと、バリア(barrier)と、を含む。該バリアは該抜き取りサイトで該患者の皮膚に接触するよう構成された第1の側部と、該サンプル室と流体的に連通する(in fluid communication)第2の側部と、を有する。該バリアは該身体流体が該第1の側部から該第2の側部へ通過可能であるよう、ランス(lance)により穿孔(pierced)されるよう構成される。
【0004】
もう1つの実施例は抜き取りサイトで患者の皮膚から身体流体を抜き取る方法を含む。該方法は該抜き取りサイトで該患者の皮膚に対するようバリアの第1の側部を置く過程を含む。該方法は更に、該抜き取りサイトで、該バリアを通る第1開口部と、該患者の皮膚内の第2開口部と、を形成する過程を含む。該第1開口部と第2開口部は流体的に連通している。該方法は更に、該バリアの第2の側部に流体的に連通してサンプル室を置く過程を含む。
【0005】
もう1つの実施例は或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素を含む。該サンプル要素は中にサンプル室を有するハウジングと、該サンプル室から延びる流れ通路(flow path)とを備える。該サンプル要素は更に、該流れ通路を横切って配置されるバリアを有する。該バリアはランシングサイト(lancing site)で患者の皮膚と接触するよう構成された第1の側部を有する。該流れ通路は、該バリア内の開口部の形成時に、流体が該第1の側部から、該流れ通路を通りそして該サンプル室内へ、流れるよう、該流れ通路が該サンプル室と合体するところを除いては全ての側で囲まれている。
【0006】
本発明の或る目的と利点がここで説明される。勿論、この様な目的と利点の全てが本発明の何等かの特定の実施例により必ずしも達成されないことは理解されるべきである。かくして、例えば、当業者は、1つの利点又は利点のグループはここで開示されるように達成又は最適化され、他の目的又は利点は必ずしもここで開示又は示唆されるように達成されない仕方で、本発明が具体化される、又は実行されることを、当業者は認識するであろう。
【0007】
上記で概説される全ての実施例はここに開示される本発明の範囲内にあるよう意図されている。しかしながら、或る実施例の前記論議にも拘わらず、付属する請求項(そして本概説ではなく)のみが本発明を規定するよう意図されている。その概説された実施例と、本発明の他の実施例は、付加された図を参照する好ましい実施例の下記詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろうが、本発明は開示される何等かの特定の実施例(複数を含む)には限定されない。
【実施例1】
【0008】
下記で或る好ましい実施例や例が開示されるが、本発明が該特定的に開示された実施例を超えて他の代わりの実施例及び/又は本発明とその明らかな変型の使用法そして等化物へ伸展することは当業者には理解されるであろう。かくしてここに開示される本発明の範囲は下記で説明される特定の開示実施例により限定されるべきでないよう意図されている。ここで開示される何等かの方法と過程では、該方法/過程を構成する作用(acts)又は操作(operations)はどんな適当なシーケンスで行われても良く、何れか特定の開示されたシーケンスに必ずしも限定されない。種々の実施例を従来技術と対照させる目的で、これらの実施例の或る側面と利点はここでは適当なところで説明される。勿論、必ずしも全てのこの様な側面又は利点がどんな特定の実施例に於いても達成されるわけではないことは理解されるべきである。かくして、例えば、種々の実施例は、1つの利点又は利点のグループはここで開示されるように達成又は最適化され、他の側面又は利点は必ずしもここで開示又は示唆されるように達成されない仕方で、実行されることは認識されるべきである。
【0009】
下記でセクションI(section I)は材料サンプル内の1つ以上の被検体の濃度を検出するため使われてもよい被検体検出システムの種々の実施例を開示する。セクションIIはセクションIで論じられた該被検体検出システムの実施例と共に使用するのに好適なクベット(cuvette)又はサンプル要素の種々の実施例を開示する。該サンプル要素の開示された実施例は該被検体検出システムによる分析用に材料サンプルを支持する又は含むよう構成されている。セクションIIIでは、サンプル要素自身の被検体濃度の測定への影響を補償する過程を一般的に具備するサンプル要素基準化(sample−element referencing)用の多数の方法が開示される。セクションIIIで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度の計算をサポートするために、該被検体検出システム内の適当な処理用ハードウエアにより全体として又は部分的に実行されてもよい。又セクションIIIは更に該被検体検出システム及びサンプル要素の変型(variations)を開示しており、該変型はサンプル要素基準化の開示された方法の実施で使用するのに適合されている。
【0010】
下記でセクションIVは多数の計算方法又はアルゴリズムを論じるが、それらはサンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため及び/又は被検体濃度の計算のサポートで使用されてもよい他のメザー(measures)を計算又は見積もるため、使われてもよい。セクションIVで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため該被検体検出システム内の適当な処理用ハードウエアにより実行されてもよい。セクションVはサンプル要素と、サンプル要素と共に使われてもよいバリアと、の更に進んだ実施例を開示する。
I.被検体検出システム(ANALYTE DETECTION SYSTEM)
図1は被検体検出システム10の1実施例の略図である。該検出システム10は、下記で更に詳細に論じられる様に、サンプルを通して透過(transmitted)されるエネルギーを検出することにより、材料サンプル(material sample)S内の1つ以上の被検体の濃度を検出するのに特に好適である。
【0011】
該検出システム10は該システム10の主軸線(major axis)Xに沿って配置されるエネルギーソース(energy source)20を含む。賦活されると、該エネルギーソース20はエネルギービーム(energy beam)Eを発生し、該ビームは該エネルギーソース20から該主軸線Xに沿って進む。1実施例では、該エネルギーソース20は赤外線ソース(infrared source)を有し、該エネルギービームEは赤外線エネルギービーム(infrared enrgy beam)を含む。
【0012】
該エネルギービームEは、材料サンプルSを支持する又は含むサンプル要素又はクベット120に達する前に、これ又該主軸線X上に位置する、フィルター(filter)25を通過する。該サンプル要素120及び該サンプルSを通過した後、該エネルギービームEは検出器(detector)145に達する。
【0013】
更に図1を参照すると、該検出器145は、電気信号を発生し該信号を解析用にプロセサー180に送ることにより、その上に入射した放射(radiation)に応答する。該検出器145によりそれに送られた該信号(複数を含む)に基づき、該プロセサーは該サンプルS内の関心のある該被検体(複数を含む)の濃度及び/又は該サンプルの分析用に使われた1つ以上の波長(wavelengths)又は波長帯域(wavelength bands)での該サンプルの吸光度(absorbance)/透過率(transmittance)特性(characteristics)を計算する。該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在(residing)するデータ処理アルゴリズム(data processing algorithm)又はプログラムインストラクション(program instructions)を実行することにより該濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。
【0014】
図1に示す実施例では、該フィルター25は、該サンプルSの分析で使用するため該フィター25を通るエネルギービームEの波長又は波長帯域を、時間に亘り及び/又は該検出システム10で行う測定中、変えることを容易化するように、可変通過域フィルター(varying−passband filter)を含んでもよい。(種々の他の実施例では、該フィルター25は一緒に省略されてもよい。)該検出システム10で使用可能な可変通過域フィルターの幾つかの例はフィルターホィール(filter wheel)(下記で更に詳細に論じられる)、電子的に同調可能なフィルター(electronically tunable filter)、フアブリーペロー干渉計(fabry−Perot interferometer)又は何等かの他の適当な可変通過域フィルターを含むが、それらに限定されない。
【0015】
該エネルギービームEが可変通過域フィルターでフィルターされると、該サンプルSの吸収率(absorption)/透過率特性は多数の波長又は波長帯域で、別々の、シーケンシャルな仕方で分析され得る。例として、該サンプルSを4つの別々な波長(波長1から波長4の)で分析することが望まれると仮定する。該可変通過域フィルターは、該検出器145が感応する大抵の又は全ての他の波長(波長2−4を含む)のビームEを実質的に阻止しながら、最初にエネルギービームEが波長1で通過することを可能にするよう操作又は同調(tuned)させられる。そこで、該サンプルSを通過し該検出器145に達するビームEに基づき、サンプルSの吸収率/透過率特性が波長1で測定される。次いで、該可変通過域フィルターは、上記で論じた他の波長を実質的に阻止しながら、該エネルギービームEが波長2で通過することを可能にするよう操作又は同調させられ、該サンプルSは波長1で行われた様に波長2で分析される。この過程は、関心のある波長の全てが該サンプルSを分析するため使われるまで、繰り返される。集められた吸収率/透過率データは次いで、該材料サンプルS内の関心のある該被検体(複数を含む)の濃度を決定するため該プロセサー180により分析される。
【0016】
この別々で、シーケンシャルな仕方での各波長又は波長帯域に於ける該サンプルSの分析により、より高い精度が得られるが、何故ならば、さもなくば直接関心のある波長の他の波長の検出により引き起こされるノイズ、干渉(interference)、他が最小化されるからである。しかしながら、該システム10が可変通過域フィルターを有してもしなくても、何等かの他の適当な検出方法論(detection methodology)が該検出システム10と共に使われてもよい。
【0017】
該可変通過域フィルターの使用は上記で論じた、或る利点を提供するが、選択された波長又は波長帯域がその分析用に該サンプルSを通過することを可能にするために代わりのフィルター25として固定通過域フィルター(fixed−passband filter)が使われてもよい。
【0018】
ここで使用される時、用語”材料サンプル(material sample)”{又は、代わりに”サンプル(sample)”}は広い用語であり、その普通の意味で使われ、該被検体検出システム10による分析用に好適な材料のどんな集まりも、制限無しに、含んでいる。例えば、材料サンプルSは全血(whole blood)、血液成分(blood components){例えば、血漿(plasma)又は血清(serum)}、間質性流体(interstitial fluid)、細胞間流体(intercelluular fluid)、唾液(saliva)、尿(urine)、汗及び/又は他の有機又は無機材料、又はこれらの材料の何れかの誘導体(derivatives)、を含んでもよい。1実施例では、全血又は血液成分は患者の毛細管(capillaries)から抜き取られてもよい。ここで使用される時、用語”被検体(analyte)”は広い用語であり、その普通の意味で使われ、その存在又は濃度が、該被検体検出システム10により材料サンプルS内で探索されるどんな化学的種(chemical species)も、制限無しに、含む。例えば、該被検体検出システム10により検出されてもよい該被検体(複数を含む)は、ブドウ糖、エタノール(ethanol)、インシュリン(insulin)、水、二酸化炭素、血液酸素(blood oxygen)、コレステロール(cholesterol)、ビリルビン(bilirubin)、ケトン、脂肪酸、リポタンパク質、アルブミン(albumin)、尿素(urea)、クレアチニン(creatinine)、白血球、赤血球、ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン(carboxyhemoglobin)、有機分子、無機分子、調合薬(pharmaceuticals)、チトクローム(cytochrome)、種々のタンパク質及び発色団(chromophores)、微小灰化物(microcalcifications)、電解質、ナトリウム、カリウム、塩素、重炭酸塩(bicarbonate)、そしてホルモンを含むが、それらに限定されない。
【0019】
図2は該被検体検出システム10のもう1つの実施例を描くがそれは下記で更に詳述されることを除けば、図1で図解された実施例と概ね同様である。可能な場合には、図1と2の実施例の描写で同様な要素は同一参照数字で識別される。
【0020】
図2に示す該検出システム10はコリメーター(collimeter)30を有し、該コリメーターを、エネルギービームEは、該コリメーター30の広い端部36の下流に配置された第1フィルター40に達する前に、通過する。該第1フィルター40は該主軸線X上で該ソース20及びコリメーター30と整合され、そして好ましくは、下記で論じる様に、該ソース20により放射される波長の、例えば約2.5μmと約12.5μmの間の、選択された帯域のみを通過可能にする、広帯域フィルターとして動作するよう構成されるのがよい。1実施例では、該エネルギーソース20は赤外線ソースを有し、該エネルギービームEは赤外線エネルギービームを有する。1つの好適なエネルギーソース20はコネチカット州、ミルフオードのホークアイテクノロジー(HawkEye Technologies of Milford, Connecticut)から入手可能なトーマテックテーエムアイアール−50(TOMA TECHTM IR−50)である。
【0021】
更に図2を参照すると、該第1フィルター40はマスク(mask)44内に設置されるので、該エネルギービームEの該第1フィルター40に入射する部分のみが該マスク−第1フィルター組立体(mask−primary filter assembly)の面を通過することが出来る。該第1フィルター40は該主軸線Xの概ね中央に置かれ、該主軸線に直交するよう配向され、約8mmの直径を有して円形(該主軸線Xに直交する平面内で)であるのが好ましい。勿論、どんな他の適当な寸法又は形状が使われてもよい。上記で論じた様に、該第1フィルター40は好ましくは広帯域フィルター(broadband filter)として動作するのがよい。該図解された実施例では、該第1フィルター40は約4μmと11μmの間のエネルギー波長のみが通過することを可能にするのが好ましい。しかしながら、他の波長範囲が選択されることも可能である。該第1フィルター40は該第1フィルター40の下流に配置された第2フィルター(複数を含む)60のフィルタリング負担(filtering burden)を有利に減じ、望ましい波長帯域の外の波長を有する電磁放射の棄却を改善する。加えて、該第1フィルター40は通過するエネルギービームEにより第2フィルター(複数を含む)60の加熱を最小化するのを助け得る。これらの利点にも拘わらず、該第1フィルター40及び/又はマスク44は図2で示す該システム10の代わりの実施例では省略されてもよい。
【0022】
該第1フィルター40は好ましくはその動作特性{中央波長(center wavelength)、通過域幅(passband width)}を実質的に保持するよう構成されるのがよく、そこでは該エネルギービームEの幾らか又は全ては主軸線Xに対して約12度までの円錐角(cone angle)だけ正規入射(normal incidence)からそれる(deviate)。更に進んだ実施例では、この円錐角は約15度又は20度までであってもよい。該第1フィルター40は、その中のどんな変化も、該システム10が使われる背景で該システムのユーザー(複数を含む)のために重要な心配を高める仕方で該検出システム10の性能又は動作に影響するのに充分でない場合に、その動作特性を”実質的に保持する”と言われる。
【0023】
図2で図解される実施例では、該第2フィルター(複数を含む)60を該主軸線X上で及び/又は該エネルギービームE内で選択的に位置付けるために、フィルターホィール(filter wheel)50が可変通過域フィルターとして使われる。該フィルターホィール50は従って該ホィール50の下流の該エネルギービームEの波長(複数を含む)を選択的に同調させ得る。これらの波長(複数を含む)は該フィルターホィール50内に設置された第2フィルター(複数を含む)60の特性により変化する。該フィルターホィール50は、該材料サンプルSを分析するために使われる波長又は波長帯域を、上記で論じた様に、シーケンシャルに変えるために、該第2フィルター(複数を含む)60を該エネルギービームE内で”1度に1つ(one−at−a−time)”の仕方で位置付ける。
【0024】
代わりの配置では、図2で描かれた1つの第1フィルター40は第2フィルター60の各々の上流のフィルターホィール50上に設置された追加の第1フィルターと置き換えられるか又はそれにより補足されてもよい。なおもう1つの代替えでは、該第1フィルター40は、該検出システム10の運転中の種々の時に該主軸線X上に種々の第1フィルターを位置付けるための第1フィルターホィール(primary filter wheel)(示されてない)として、又は同調可能なフィルターとして実施されることも出来る。
【0025】
該フィルターホィール50は、図3に描かれる実施例では、ホィールボデイ52と、該ボデイ52上に配置される複数の第2フィルター60と、を含むことが出来て、各フィルターの中心は該ホィールボデイの回転中心(rotational center)RCから等距離にある。該フィルターホィール50は、該主軸線Xに(i)平行であり、(ii)該回転中心RCと該第2フィルター(複数を含む)の中心(複数を含む)の何れかと、の間の距離に概略等しい直交距離だけ該主軸線Xから隔てられている、軸線の周りで回転するよう構成される。この配置下で、該ホィールボデイ52の回転は、該エネルギービームE上に作用するために、該主軸線Xを通るようシーケンシャルに該フィルターの各々を進める。{しかしながら、関心のある被検体(複数を含む)又は望ましい測定速度に依り、該ホィール50上のフィルターのサブセット(subset)が与えられた測定のラン(run)で使われてもよい。}図3で描く実施例では、該ホィールボデイ52は円形であるが、しかしながら、オーバル(oval)、正方形、長方形、3角形、他の様などんな適当な形状が使われてもよい。センサー80を位置付けるために該ホィール50のホームポジション(home position)を示すようホームポジションノッチ(home position notch)54が提供されてもよい。
【0026】
1実施例では、該ホィールボデイ52はモールドされたプラスチックで形成され得て、該第2フィルター60の各々は5mm×5mmの正方形の形状と1mmの厚さを有する。該フィルター60の各々は、このホィールボデイの実施例では、直径4mmの円形アパーチャー(circular aperture)と軸方向に整合されており、該アパーチャー中心は、その円が該ホィールボデイ52と同心である約43.18mm(約1.7インチ)の直径の円を規定する。該ボデイ52自身は円形で約50.8mm(2.00インチ)の外径を有する。
【0027】
第2フィルター(複数を含む)60の各々は好ましくは狭帯域フィルター(narrow band filter)として動作するよう構成されるのがよく、選択されたエネルギー波長又は波長帯域{すなわち、フィルターされたエネルギービーム(Ef)}のみが通過出来るようにしている。該フィルターホィール50がその回転中心RCの周りに回転すると、該第2フィルター(複数を含む)60の各々は、今度は、該第2フィルター(複数を含む)60の各々に対応する選択されたドウエル時間(selected dwell time)の間該主軸線Xに沿うよう配置される。
【0028】
与えられた第2フィルター60用の該”ドウエル時間”は、その間下記条件、すなわち(i)該フィルターが該主軸線X上に配置され、そして(ii)該ソースがエネルギーを与えられている、と言う条件、の両者が真である、該システム10の個別測定ラン(individual measurement run)での時間間隔(time interval)である。与えられたフィルター用のドウエル時間は、個別測定ラン中該フィルターが該主軸線X上に配置される時間より長いか又は等しくてもよい。該被検体検出システム10の1実施例では、該第2フィルター(複数を含む)60の各々に対応するドウエル時間は約1秒より短い。しかしながら、該第2フィルター(複数を含む)60は他のドウエル時間も有し得て、該フィルター(複数を含む)60の各々は与えられた測定ラン中異なるドゥエル時間を持ってもよい。
【0029】
再び図2を参照すると、ステッパーモーター(stepper motor)70が該フィルターホィール50に連結されており、該フィルターホィール50を回転する力を発生するよう構成されている。加えて、位置センサー80が該フィルターホィール50の円周の1部上に配置され、該フィルターホィール50の角位置(angular position)を検出し、対応するフィルターホィール位置信号を発生するよう構成されており、それによりどのフィルターが該主軸線X上の位置にあるかを示す。代わりに、該ステッパーモーター70がそれ自身の回転(複数を含む)を追跡又はカウントするよう構成され、それにより該フィルターホィールの角位置を追跡し、対応する位置信号を該プロセサー180に送ってもよい。2つの適当な位置センサーは日本の京都のオムロン社(Omron Corporation of Kyoto, Japan)から入手可能なモデルイーイー−エスピーエックス302−ダブリュー2エイとイーイー−エスピーエックス402−ダブリュー2エイ(model EE−SPX302−W2A and EE−SOX402−W2A)である。
【0030】
該第2フィルター60からの、該フィルターされたエネルギービーム(Ff)は、該主軸線Xに沿って配置され、該主軸線Xに対し含まれた角θで配置された面100aを有するビームスプリッター(beam splitter)100を通過する。該スプリッター100は好ましくは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)をサンプルビーム(sample beam)(Es)と基準ビーム(reference beam)(Er)に分けるのがよい。
【0031】
更に図2を参照すると、該サンプルビーム(Es)は次に該主軸線Xに沿い該スプリッター100と整合された第1レンズ(first lens)110を通過する。該第1レンズ110は該サンプルビーム(Es)を概ね該軸線Xに沿い該材料サンプルS上に焦点合わせするよう構成される。該サンプルSは好ましくは該サンプル要素120の第1窓(first window)122と第2窓(second window)124の間のサンプル要素120内に配置されるのがよい。該サンプル要素120は更に好ましくはホルダー130内に除去可能に配置されるのがよく、そして該ホルダー130はそれぞれ該第1窓及び第2窓との整合用に構成された第1開口部(first opening)132と第2開口部(second opening)134を有する。代わりに、該サンプル要素120とサンプルSは該ホルダー130を使用せず該主軸線X上に配置されてもよい。
【0032】
該サンプルビーム(Es)の少なくとも1部(fraction)は該サンプルSを透過させられ、該主軸線Xに沿って配置された第2レンズ140上へ続く。該第2レンズ140は該サンプルビーム(Es)をサンプル検出器150上に焦点合わせするよう構成されており、かくして該サンプル検出器150上に入射するサンプルビーム(Es)の光束(flux)密度を増加させる。該サンプル検出器150は該検出されたサンプルビーム(Es)に対応する信号を発生し、下記でより詳細に論じる様に、該信号をプロセサー180へ渡すよう構成されている。
【0033】
該基準ビーム(Er)は該ビームスプリッター100から該主軸線Xと概ね直交する従軸線(minor axis)Yに沿って配置された第3レンズ(third lens)160へ導かれる。該第3レンズ160は該基準ビーム(Er)を基準検出器(reference detector)170上へ焦点合わせするよう構成され、かくして該基準検出器170上へ入射する該基準ビーム(Er)の光束密度を増加させる。1実施例では、該レンズ110,140,160は赤外線放射に高度に透過性の材料、例えば、ゲルマニウム又はシリコンで形成されてもよい。加えて、該レンズ110,140,160のどれも、望まれる光学的性能により、レンズのシステム(system of lens)として実施されてもよい。又基準検出器170は検出された基準ビーム(Er)に対応する信号を発生し、下記でより詳細に論じられる様に、該信号を該プロセサー180へ渡すよう構成される。下記で注意することを除けば、該サンプル及び基準検出器150,170は図1で図解される検出器145と概ね同様である。該サンプル及び基準検出器150,170から受信された信号に基づき、該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。
【0034】
図2に描かれる該検出システム10の更に進んだ変型では、該ソース20の出力強度(output intensity)が該検出システム10の動作で該ソース強度(source intensity)を参照する何のニーヅも解消するに充分な程安定な場合は特に、ビームスプリッター100,基準検出器170そして該従軸線Y上の他の構造体は省略されてもよい。更にここに開示された被検体検出システム10の実施例の何れに於いても、該プロセサー180及び/又はメモリー185は該検出システム10に接続された標準的パーソナルコンピュータ{”ピーシー(PC)”}内に部分的又は全部が定在してもよい。
【0035】
図4は被検体検出システム10のもう1つの実施例の部分断面図を描き、それは下記で更に詳述することを除けば、図1−3で図解される実施例の何れとも概ね同様であってもよい。可能な場合は、図1−4の実施例の描写で同様な要素は同一参照数字で識別される。
【0036】
図4の実施例のエネルギーソース20は好ましくは該主軸線X上に実質的に中心があるエミッター範囲(emitter area)22を含むのがよい。1実施例では、該エミッター範囲22は形状が正方形であってもよい。しかしながら、該エミッター範囲22は長方形、円形、楕円形、他の様な他の適当な形状を有することが出来る。1つの好適なエミッター範囲22は1辺が約1.5mmの正方形であるが、勿論何等かの他の適当な形状又は寸法が使われてもよい。
【0037】
該エネルギーソース20は好ましくは約1Hzと30Hzの間の変調周波数(modulation frequency)で選択的に動作し、約1070度ケルビン(about 1070 degrees Kelvin)と1170度ケルビンの間のピーク動作温度(peak operating temperature)を有するよう構成されるのがよい。加えて、該ソース20は全ての変調周波数で約80%より大きい変調深さ(modulation depth)で動作するのが好ましい。該エネルギーソース20は好ましくは、多数のスペクトル範囲の何れかの、例えば、赤外線波長内の、中間赤外線(mid−infrared)波長内の、約0.8μmより上の、約5.0μmと約20.0μmの間の、そして/又は約5.25μmと約12.0μmの間の、電磁放射を放射するのがよい。しかしながら、他の実施例では、該検出システム10は、変調されない及び/又は可視スペクトル(visible spectrum)からマイクロ波スペクトル(microwave spectrum)までのどこか、例えば、約0.4μmから約100μmより大きいところまでのどこかで、見出される波長で放射するエネルギーソース20を使ってもよい。なお他の実施例では、該エネルギーソース20は約3.5μmと約14μmの間、又は約0.8μmと約2.5μmの間、又は約2.5μmと20μmの間、又は約20μmと約100μmの間又は約6.85μmと約10.10μmの間の波長で電磁放射を放射出来る。なお他の実施例では、該エネルギーソース20は無線周波数(radio frequency){アールエフ(RF)}範囲又はテラヘルツ(terahertz)範囲内の電磁放射を放射出来る。上記で詳述した動作特性の全ては単に例示用であり、該ソース20は該被検体検出システム10で使用するのに好適などんな動作特性を有してもよい。
【0038】
該エネルギーソース20用電源(power supply)(示されてない)は好ましくは約30%と約70%の間のデュティサイクル(duty cycle)で選択的に動作するよう構成されるのがよい。加えて、該電源は約10Hz、又は約1Hzと約30Hzの間、の変調周波数で選択的に動作するよう構成されるのが好ましい。該電源の動作は方形波(square wave)、正弦波(sine wave)、又はユーザーにより規定される何等かの他の波形の形式であり得る。
【0039】
図4を更に参照すると、該コリメーター30は1つ以上の高反射性内面(highly−reflective inner surfaces)32を有するチューブ30aを備えるが、該内面はそれらが該エネルギーソース20から離れて、下流へ延びる時、比較的狭い上流端部34から比較的広い下流端部36へ発散している。該狭い端部34は上流アパーチャー(upstream aperture)34aを規定するが、該アパーチャーはエミッター範囲22に隣接して位置し、そして該エミッター範囲により発生される放射が該コリメーター内へと下流へ拡がることを可能にする。該広い端部36は下流アパーチャー(downstream apeture)36aを規定する。該エミッター範囲22の様に、該内面(複数を含む)32の各々、上流アパーチャー34aそして下流アパーチャー36aは好ましくは主軸線X上で実質的に中央にあるのがよい。
【0040】
図4で図解される様に、該コリメーターの該内面(複数を含む)32は放物線、双曲線、楕円又は球形の形状の様な、一般的な曲線形状を有してもよい。1つの好適なコリメーター30はコンパウンド放物線集中器(compound parabolic concentrator){シーピーシー(CPC)}である。1実施例では、該コリメーター30は長さで約20mmまでとすることが出来る。もう1つの実施例では、該コリメーター30は長さで約30mmまでとすることが出来る。しかしながら、該コリメーター30はどんな長さを有することも出来て、該内面(複数を含む)32は該被検体検出システム10と共に使用するために好適などんな形状を有することも出来る。
【0041】
該コリメーター30の該内面32は該エネルギービームEを構成する光線(rays)を、該ビームEが下流へ進む時、真っ直ぐにさせる{すなわち、主軸線Xにますます平行な角度(at angles increasingly parallel)で伝播する}ので、該エネルギービームEはますます又は実質的に円柱形になり、そして該主軸線Xに実質的に平行に配向される。従って、該内面32は、赤外線波長の様な、関心のある波長で高度に反射的で、最小の吸収性である。
【0042】
チューブ30a自身は、該内面32が関心のある波長で高度に反射性であるようコートされるか又は他の仕方で処理される限り、アルミニウム、鋼、又は何等かの他の適当な材料の様な堅い材料で作られてもよい。例えば、ポリッシ(polished)された金のコーテイングが使われてもよい。好ましくは、該コリメーター30の該内面32(複数を含む)は該主軸線Xに直交するように見た時円形の断面を規定するのがよいが、しかしながら、正方形又は他の多角形の形状、放物線又は楕円の形状の様な、他の断面形状が代わりの実施例で使われてもよい。
【0043】
上記で注意した様に、図4で示すフィルターホィール50は、好ましくは、各フィルターが或る波長又は波長帯域のエネルギーだけそれを通過可能にする様な、狭帯域フィルターとして動作するのがよい複数の第2フィルター60を有する。サンプルS内のブドウ糖の検出に好適な1構成では、該フィルターホィール50は20又は22の第2フィルター60を有し、該第2フィルターの各々は、下記、すなわち、3μm,4.06μm,4.6μm,4.9μm,5.25μm,6.12μm,6.47μm,7.98μm,8.35μm、9.65μm,そして12.2μm、の1つに概略等しい公称波長(nominal wavelength)を有する、フィルターされたエネルギービーム(Ef)がそれを通過出来るようにするよう構成される。(更に、この波長のセットはここで開示される該被検体検出システム10の実施例の何れかと共に、又何れかの中で使われてもよい。)各第2フィルター60の中心波長(center wavelength)は好ましくは該望ましい公称波長の±約2%に等しいのがよい。加えて、該第2フィルター60は好ましくは約0.2μmのバンド幅を有するか又は代わりに該公称波長±約2%−10%に等しくなるよう構成されるのがよい。
【0044】
もう1つの実施例では、該フィルターホィール50は20の第2フィルターを有し、該フィルターの各々は、4.275μm,4.5μm,4.7μm,5.0μm,5.3μm,6.056μm,7.15μm,7.3μm,7.55μm,7.67μm,8.06μm,8.4μm,8.56μm,8.87μm,9.15μm,9.27μm,9.48μm,9.68μm,9.82μm,そして10.6μmの公称中心波長を有するフィルターされたエネルギービーム(Ef)がそれを通過することを可能にするよう構成される。(この波長のセットはここで開示される該被検体検出システム10の実施例の何れかと共に、又何れかの中で使われてもよい。)なおもう1つの実施例では、該第2フィルター60は下記仕様、すなわち、±0.01μmの中心波長許容差(center wavelength tolerance)、±0.01μmの電力半値バンド幅許容差(half−power bandwidth tolerance)、75%以上のピーク透過(peak transmission)、2%より小さいカットオン/カットオフ傾斜(cut−on/cut−off slope)、℃当たり0.01%より小さい中心波長温度係数(center−wavelength temperature coefficient)、3μmから12μmのオーデー5より大きい帯域外減衰(out of band attenuation greater than OD5 from 2μm to 12μm)、0.6328μmで1.0波より少ない平坦度(flatness less than 1.0 wave at 0.6328μm)、Mil−F−48616によるE−Eの表面品質(surface quality of E−E per MIL−F−48616)、そして約1mmの全体厚さ、のどれか1つ又は組み合わせに適合する。
【0045】
なおもう1つの実施例では、上記の該第2フィルターは下記電力半値バンド幅(half−power bandwidth){”エイチピービーダブリュー(HPBW)”}仕様の何れか1つ又はその組み合わせに適合してもよい。
【0046】
【表1】
【0047】
なお更に進んだ実施例では、該第2フィルターは±0.5%の中心波長許容度と±0.02μmの電力半値バンド幅許容度を有してもよい。
【0048】
勿論、使われる第2フィルターの数、そして該中心波長及びそれの他の特性は、この様な更に進んだ実施例がブドウ糖、又はブドウ糖に代わって、又はブドウ糖に加えて、他の被検体を検出するため使われようと、該システム10の更に進んだ実施例で変わってもよい。例えば、もう1つの実施例では、該フィルター50は50より少ない第2フィルター60を有することが出来る。なおもう1つの実施例では、該フィルターホィール50は20より少ない第2フィルター60を有することが出来る。なおもう1つの実施例では、該フィルターホィール50は10より少ない第2フィルター60を有することが出来る。
【0049】
1実施例では、該第2フィルター60は各々が主軸線Xに直交する平面内で約10mmの長さと10mmの幅であり、約1mmの厚さを有する。しかしながら、該第2フィルター60は該被検体検出システム10の動作用に好適などんな他の寸法(例えば、より小さい)も有することが出来る。加えて、該第2フィルター60は好ましくは約5℃と約35℃の間の温度で動作し、該フィルターが通すよう構成された波長の該エネルギービームEの約75%より多くの、それを通る透過を許すよう構成されるのがよい。
【0050】
図4に図解された実施例に依れば、該第1フィルター40は広帯域フィルターとして動作し、該フィルターホィール50上に配置された第2フィルター60は狭帯域フィルターとして動作する。しかしながら、当業者はここで説明された実施例により他の構造体がエネルギー波長をフィルターするため使われ得ることを悟るであろう。例えば、該第1フィルター40が省略されてもよくそして/又は電子的に同調可能なフィルター又はフアブリー−ペロー干渉計(示されてない)が該フィルターホィール50及び第2フィルター60の代わりに使われ得る。この様な同調可能なフィルター又は干渉計は、シーケンシャルな、1度に1つの仕方で、1セットの波長の、又は波長帯域の、電磁放射が、該材料サンプルSの分析での使用のために、それを通過することを可能にするよう構成され得る。
【0051】
反射器チューブ(reflector tube)98は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)を、それが該第2フィルター(複数を含む)60から進む時、受けるよう位置付けられるのが好ましい。該反射器チューブ98は、漂遊光(stray light)の様な漂遊電磁放射(stray electromagnetic radiation)の該検出システム10の外部からの該反射器チューブ内への導入を実質的に防止するために該第2フィルター(複数を含む)60に対し固着されるのが好ましい。該反射器チューブ98の内面は関連波長で高度に反射性で、好ましくは主及び/又は従軸線X、Yに直交する概ね円形の断面を有する円柱形の形状を有するのがよい。しかしながら、該チューブ98の該内面はオーバル、正方形、長方形、他の様な何等かの適当な形状の断面を有し得る。該コリメーター30の様に、該反射器チューブ98は、該内面が関心のある波長で高度に反射性であるようコートされるか、又は他の仕方で処理される限り、アルミニウム、鋼、他の様な堅い材料から形成されてよい。例えば、ポリッシされた金のコーテイングが使われてもよい。
【0052】
図4で図解された実施例に依れば、該反射器チューブ98は好ましくは主断面(major section)98aと従断面(minor section)98bを含むのがよい。描かれている様に、該反射器チューブ98はT形であり、従断面98bより大きい長さを有する主断面98aを備える。もう1つの実施例では、該主断面98aと該従断面98bは同じ長さを有することが出来る。該主断面98aは該主軸線Xに沿って第1端部98cと第2端部98dの間を延びている。該従断面98bは該従軸線Yに沿って該主断面98aと第3端部98eの間に延びる。
【0053】
主断面98aは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)を該第1端部98cから、該主及び従軸線X、Yの交点で該主断面98a内に収容されたビームスプリッター100へ導く。該主断面98aは又該サンプルビーム(Es)を該ビームスプリッター100から該第1レンズ110を通りそして第2端部98dまで導く。該第2端部98dから、該サンプルビーム(Es)は該サンプル要素120,ホルダー130,そして第2レンズ140を通りそして該サンプル検出器150へ進む。同様に、該縦断面98bは該基準ビーム(Er)を該ビームスプリッター100から、第3レンズ160を通りそして第3端部98eまで導く。該第3端部98eから、該基準ビーム(Er)は基準検出器170へ進む。
【0054】
該サンプルビーム(Es)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約75%から約85%を含むのが好ましい。より好ましくは、該サンプルビーム(Es)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)の約80%を含むのがよい。該基準ビーム(Er)は好ましくは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約15%から約25%を含むのがよい。より好ましくは、該基準ビーム(Er)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約20%を含むのがよい。勿論、該サンプル及び基準ビームは該エネルギービームEのどんな適当な比率を取り込んで(take on)もよい。
【0055】
該反射器チューブ98は又第1レンズ110と第3レンズ160を収容する。図4で図解される様に、該反射器チューブ98は該ビームスプリッター100と第2端部98dの間に第1レンズ110を収容する。該第1レンズ110は、レンズ110の面112が主軸線Xに概ね直交するように、配置されるのが好ましい。同様に、該チューブ98は該ビームスプリッター100と第3端部98eの間に第3レンズ160を収容する。該第3レンズ160は、該第3レンズ160の面162が従軸線Yに概ね直交するように、配置されるのが好ましい。該第1レンズ110と該第3レンズ160の各々は、該ビーム(Es、Er)が該レンズ110,160を通過する時、それぞれサンプルビーム(Es)と基準ビーム(Er)に実質的に焦点合わせするよう構成された焦点長さを有する。特に第1レンズ110は、実質的に全サンプルビーム(Es)が、該サンプル要素120内に定在する、材料サンプルSを通過するように、該サンプルビーム(Es)を焦点合わせするよう構成され、該ホルダー130に対して配置される。同様に、第3レンズ160は、実質的に全基準ビーム(Er)が該基準検出器170上に衝突(impinges)するように該基準ビーム(Er)を焦点合わせするよう構成される。
【0056】
該サンプル要素120は該ホルダー130内に保持され、該ホルダーは主軸線Xに概ね直交する平面に沿うよう配向されるのが好ましい。該ホルダー130は該被検体検出システム10の積み込み位置(loading position)と測定位置(measurement position)間を摺動式に変位させられるよう構成される。該測定位置では、該ホルダー130は、該サンプル要素120とその中に含まれるサンプルSとを該主軸線X上で配向(orient)するよう配置された停止エッジ(stop edge)136と接触する。
【0057】
図4に描かれる該ホルダー130の構造の詳細は、該ホルダーが、該エネルギービームEが該サンプル要素とサンプルを通過することを可能にしながら、該サンプル要素120とサンプルSとを、該主軸線X上に、それと実質的に直交して位置付ける限り、重要でない。図2に描かれた実施例に於ける様に、該ホルダー130が省略され、該サンプル要素120だけが該主軸線X上の描かれた位置に位置付けられてもよい。しかしながら、該ホルダー130は、該サンプル要素120が(下記で更に詳細に論じられる)、フッ化バリウム(barium fluoride)の様な非常に脆く又は壊れやすい材料から作られるか又は極端に薄くなるよう製造される場合、有用である。
【0058】
図2描かれる実施例に於ける様に、図4に示す該サンプル及び基準検出器150,170は信号を発生し、それらを該プロセサー180へ送ることにより、その上に入射する放射に応答する。該サンプル及び基準検出器150,170から受信したこれらの信号に基づき、該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより、該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。図4に描く該検出システム10の更に進んだ変型では、該ビームスプリッター100,基準検出器170そして該従軸線Y上の他の構造体は、該ソース20の出力強度が該検出システム10の動作で該ソース強度を参照する何等のニーヅも解消する程充分に安定な場合は特に、省略されてもよい。
【0059】
図5は1実施例に依るサンプル検出器50の断面図を描いている。該サンプル検出器150は受け入れ部分(receiving portion)152aとカバー152bとを有する検出器ハウジング152内に設置される。しかしながら、該サンプル検出器150とハウジング152としてどんな適当な構造体が使われてもよい。該受け入れ部分152aは、該ハウジング152が該被検体検出システム10内に設置される時、該主軸線Xと概ね整合される、アパーチャー152cとレンズ室152dを規定するのが好ましい。該アパーチャー152cは該サンプルS及び該サンプル要素120を通過する該サンプルビーム(Es)の少なくとも1部分(a fraction)が、該アパーチャー152cを通りそして該レンズ室152d内へ進むことを可能にするよう構成される。
【0060】
該受け入れ部分152aは該アパーチャー152cの近くのレンズ室152d内に第2レンズ140を収容する。サンプル検出器150は又、該検出器150の検出面(detection plane)154が主軸線Xに実質的に直交するよう第2レンズ140の下流のレンズ室152d内に配置される。該第2レンズ140は、該レンズ140の平面142が該主軸線Xに実質的に直交するよう位置付けられる。該第2レンズ140は、サンプルビーム(Es)の実質的に全てを該検出面154上に焦点合わせし、それにより該検出面154上に入射するサンプルビーム(Es)の光束密度(flux density)を増加するよう構成され、該ホルダー130と該サンプル検出器150に対し配置されるのが好ましい。
【0061】
更に図5を参照すると、支持部材(supporting member)156は好ましくは該サンプル検出器150を受け入れ部分152a内の位置に保持するのがよい。図解された実施例では、該支持部材156は該サンプル検出器150と該カバー152bの間に配置されたばね156である。該ばね156は該サンプル検出器150の検出面154を主軸線Xに実質的に直交するように保持するよう構成される。ガスケット(gasket)157が好ましくは該カバー152bと該受け入れ部分152aの間に配置され、支持部材156を囲むのがよい。
【0062】
該受け入れ部分152aは又好ましくは該ガスケット157と該サンプル検出器150の間に配置されたプリント回路基板158を収容するのがよい。該基板158は少なくとも1つの接続部材150aを通して該サンプル検出器150に接続している。該サンプル検出器150は該検出面154上に入射するサンプルビーム(Es)に対応する検出信号を発生するよう構成される。該サンプル検出器150は該検出信号を該接続部材150aを通して該回路基板158へ通信し、該基板158は該検出信号をプロセサー180へ伝送する。
【0063】
1実施例では、該サンプル検出器150は概ね円柱形のハウジング150a、例えば、テーオー−39型”金属缶”パッケージ(type TO−39 ”metal can” package)を有し、該ハウジングはその”上流の(upstream)”端部に概ね円形のハウジングアパーチャー(housing aperture)150bを規定する。1実施例では、該ハウジング150aは約8.20mm(0.323インチ)の直径と約6.29mm(0.248インチ)の深さを有し、該アパーチャー150bは約5.00mm(0.197インチ)の直径を有してもよい。
【0064】
検出器窓150cは該アパーチャー150bに隣接して配置され、その上流側表面を検出面154から好ましくは約1.98mm(約0.078インチ){±0.10mm(0.004インチ)}に有しているのがよい。[該検出面154は、該ハウジングが約0.25mm(約0.010インチ)の厚さを有する場合、該ハウジング150aの上流エッジから約2.24mm(約0.088インチ){±0.10mm(0.004インチ)}に配置される。]検出器窓150cは好ましくは少なくとも3−12μmの通過帯域(passband)で赤外線エネルギーの透過性であるのがよく、従って、該窓154c用に1つの好適な材料はゲルマニウムである。該通過帯域の端点(endpoint)は、関心のある波長内の不必要な吸光度(absorbance)を避けるために、2.5μmより少ない方へ及び/又は12.5μmより大きい方へ更に”拡げられ(spread)”てもよい。好ましくは、該検出器窓150cの透過率はその通過帯域間で2%より多くだけは変化しないのがよい。該窓150cは厚さ約0.51mm(約0.020インチ)であるのが好ましい。該サンプル検出器150は好ましくは−20℃から+60℃の温度範囲に亘りその動作特性を実質的に保持するのがよい。
【0065】
図6は1実施例の該基準検出器170の断面図を描いている。該基準検出器170は受け入れ部分172aとカバー172bを有する検出器ハウジング172内に設置されている。しかしながら、どんな適当な構造体がサンプル検出器150とハウジング152として使われてもよい。受け入れ部分172aは、該ハウジング172が該被検体検出システム10内に設置される時、従軸線Yと概ね整合されたアパ−チャー172cと室172dを規定するのが好ましい。該アパーチャー172cは基準ビーム(Er)が該アパーチャー172cを通り、該室172d内へ進むことが出来るよう構成される。
【0066】
該受け入れ部分172aは基準検出器170を該アパーチャー172cに近い室172d内に収容する。該基準検出器170は、該基準検出器170の検出面174が該従軸線Yに実施的に直交するよう該室172d内に配置される。第3レンズ160は、実質的に全基準ビーム(Er)が該検出面174上に衝突するよう該基準ビーム(Er)を実質的に焦点合わせするよう構成され、かくして該検出面174上に入射する基準ビーム(Er)の光束密度を増加させる。
【0067】
更に図6を参照すると、支持部材176は好ましくは該受け入れ部分172a内の位置に該基準検出器170を保持するのがよい。図解された実施例では、該支持部材176は該基準検出器170と該カバー172bの間に配置されたばね176である。該ばね176は該基準検出器170の検出面174を該従軸線Yに実質的に直交して保持するよう構成される。ガスケット177は該カバー172bと該受け入れ部分172aの間に配置され、該支持部材176を囲むのが好ましい。
【0068】
又該受け入れ部分172aは好ましくは該ガスケット177と該基準検出器170の間に配置されたプリント回路基板178を収容するのがよい。該基板178は少なくとも1つの接続部材170aを通して該基準検出器170に接続する。該基準検出器170は検出面174上に入射する該基準ビーム(Er)に対応する検出信号を発生するよう構成される。該基準検出器170は該接続部材170aを通して該回路基板178に検出信号を通信し、該基板178は該検出信号を該プロセサー180に伝送する。
【0069】
1実施例では、該基準検出器170の構造はサンプル検出器150に関して上記で説明されたそれと概ね同様である。
【0070】
1実施例では、該サンプル及び基準検出器150,170はどちらも約0.8μmと25μmの間のスペクトル波長範囲の電磁放射を検出するよう構成される。しかしながら、前記セットの波長の何等かの適当なサブセット(subset)が選択されることが可能である。もう1つの実施例では、該検出器150,170は約4μmと約12μmの間の波長範囲の電磁放射を検出するよう構成される。該検出器150,170の検出面154,174は各々が約2mm×2mmの活動範囲(active area)又は約1mm×1mmから約5mm×5mmまでの活動範囲を規定してもよく、勿論、どんな他の適当な寸法と比率が使われてもよい。加えて、該検出器150,170は該主軸線Xから約45度の円錐角度内でそれに向けられた電磁放射を検出するよう構成されてもよい。
【0071】
1実施例では、該サンプル及び基準検出器サブシステム150,170は更に該検出器の温度を調整(regulating)するためのシステム(示されてない)を具備してもよい。この様な温度調整システム(temperature−regulation system)は適当な電気的ヒートソース(electrical heat source)、サーミスター(thermister)、そして比例プラス積分プラス微分(proportional−plus−integral−plus−derivative){ピーアイデー(PID)}制御部(control)を具備してもよい。これらの部品は該検出器150,170の温度を約35℃に調整するよう使われてもよい。該検出器150,170は又オプションとして他の望ましい温度で運転され得る。加えて、該ピーアイデー制御部は好ましくは約60Hzの制御速度(control rate)を有してもよく、そして該ヒートソース及びサーミスターと一緒に、該検出器150,170の温度を望まれる温度の約0.1℃内に保持する。
【0072】
該検出器150,170は電圧モード(voltage mode)か電流モード(current mode)か何れかで運転出来て、そこでは何れの運転モードも好ましくは前置増幅器モジュール(pre−amp module)の使用を含むのがよい。ここで開示された該被検体検出システムと共に使用するための好適な電圧モード検出器(voltage mode detectors)は、ドイツ、ドレスデンのインフラテック(InfraTec of Dresden, Germany)によるモデルエルアイイー302と312(models LIE 302 and 312)、メリーランド州、ロックビルのビーエイイーシステム(BAE Systens of Rockville, Maryland)によるモデルエル2002(model L2002)、そしてドイツ、ドレスデンのデイアス(Dias of Dresden, Germany)によるモデルエルテーエス−1(model LTS−1)、を含む。適当な電流モード検出器(current mode detector)は、インフラテックモデルエルアイイー301,315,345そして355(InfraTec models 301, 315, 345 and 355)、そしてデイアスから入手可能な2×2電流モード検出器(2×2 current mode detector)を含む。
【0073】
1実施例では、該検出器150,170の1つ又は両者は下記仕様、すなわち10Hz変調で約15度の円錐角度内へのcm2当たり約9.26×10−4W{実効値(rms)}の入射放射強度(incident radiation intensity)を仮定した時に、0.040cm2(2mm×2mmの正方形)の検出器範囲、10Hzでの3.70×10−5W(実効値)の検出器入力、10Hzでのワット当たり360Vの検出器感度(detector sensitivity)、10Hzでの1.333×10−2V(実効値)の検出器出力、10Hzでの8.00×10−8ボルト/エスキューアールテーエイチゼット(volt/sqrtHz)のノイズ、そして1.67×105アールエムエス/エスキューアールテーエイチゼット(rms/sqrtHz)及び104.4デシベル/エスキューアールテーエイチゼット(dB/sqrtHz)のS/N比、そして1.00×109cmエスキューアールテーエイチゼット/ワット(sqrtHz/watt)の検出度(detectivity)、を充たしてもよい。
【0074】
代わりの実施例では、該検出器150,170は光音モード(photoacoustic mode)での該検出システム10の動作用に好適なマイクロフオン及び/又は他のセンサーを含んでもよい。
【0075】
該被検体検出システム10の開示された実施例の何れも患者近接型試験システム(near−patient testing system)を具備してもよい。ここで使われる時、”患者近接型試験システム(near−patient testing system)”はその普通の意味で使われ、限定無しに、患者が実験室内で独占的とは異なる所で使われるよう構成された試験システム、例えば、患者の家庭で、クリニック(clinic)で、病院(hospital)で、或いは移動可能な環境でも使われ得るシステムを含む。患者近接型試験システムのユーザーは患者、患者の家族メンバー、臨床家(clinicean)、看護士、又はドクターを含むことが出来る。”患者近接型試験システム”又”ポイントオブケア(point−of−care)”システムを含むことが出来る。
【0076】
被検体検出システム10の実施例の何れかの部品は漂遊光(stray light)の様な漂遊する電磁放射が該エネルギービームEを劣化(contaminating)ことから防止する囲い(enclosure)又はケーシング(示されてない)内に部分的に又は完全に囲まれ(contained)てもよい。どんな適当なケーシングが使われてもよい。同様に、該検出システム10の部品は図1−2及び4に描かれる様にそれらの動作的整合性を保持するために何等か適当なフレーム又はシャシー(chassis)(示されてない)上に設置されてもよい。該フレームと該ケーシングは1つのユニット、部材又は部材の集まりとして一緒に形成されてもよい。
【0077】
該被検体検出システム10の開示された実施例の何れも、1実施例では患者又はユーザーにより容易に操作されるよう構成されてもよい。この様であるから、該システム10は携帯用デバイスを含んでもよい。ここで使われる時、”携帯用(portable)”はその普通の意味で使われ、限定無しに、該システム10が患者により容易に輸送され、便利な所で使われることを意味する。例えば、該システム10は有利に小型である。1つの好ましい実施例では、該システム10はパース(purse)又はバックパック(backpack)内に納まる(fit)のに充分な程小型である。もう1つの実施例では、該システム10はズボンのポケット内に納まる程充分小型である。なおもう1つの実施例では、該システム10はユーザーの手の掌内に保持される程充分小さい。
【0078】
外側ケーシング(示されてない)内に囲まれた時、該被検体検出システム10は長さ約137.16mm(5.4インチ)で、幅約88.9mm(3.5インチ)で、深さ約38.1mm(1.5インチ)より大きくなく、有利である。更に進んだ実施例では、該囲まれたシステム10はこの寸法の約80%又は90%より大きくないのがよい。なお更に進んだ実施例では、該囲まれた被検体検出システム10は典型的には約609.6mm(約2フイート)の幅、約304.8mm(1フット)の高さ、約304.8mm(1フット)の深さ、がある実験室級フーリエ変換赤外線分光計(laboratory−grade Fourier Transform Infrared Spectrometer){エフテーアイアール(FTIR)}の容積の約半分より少ししか、又は約10分の1より少ししか占めない。従って、これらの実施例では、該囲まれた被検体検出システム10は約28、677cm3(1750立方インチ)より少ない、又は5、735cm3(350立方インチ)より少ない容積しか有しない。なおもう1つの実施例では、該被検体検出システム10は約88.9mm(約3.5インチ)×約63.5mm(2.5インチ)×約50.8mm(2.0インチ)の大きさがあり、そして/又は約163.87cm3(約10立方インチ)の容積を有する。上記で開示される様に、その比較的小さい寸法にも拘わらず、該被検体検出システム10は種々の測定に於いて非常に良い性能を達成する。しかしながら、該被検体検出システム10はこれらの寸法に限定されず、特定の応用に必要とされる時他の適当な寸法に製造され得る。
【0079】
1つの操作方法では、図2又は4に示す該被検体検出システム10は、部分的には、該サンプル及び基準検出器150,170により検出される電磁放射を比較することにより、材料サンプルS内の1つ以上の被検体の濃度を測定する。該検出システム10の動作中、第2フィルター(複数を含む)60の各々は、該第2フィルター60に対応するドウエル時間の間該主軸線Xにシーケンシャルに整合される。(勿論、電子的に同調可能なフィルター又はフエブリーペロー干渉計が該フィルターホィール50の代わりに使われる場合、該電子的に同調可能なフィルター又は干渉計は、該第2フィルターの各々の該主軸線Xとのシーケンシャルな整合の代わりに、望まれる波長又は波長帯域のセットの各々にシーケンシャルに同調させられる。)該エネルギーソース20は次いで該ドウエル時間中、上記で論じた様に、(何等かの)変調周波数で運転される。該ドウエル時間は各第2フィルター60(又は該同調可能なフィルター又は干渉計が同調させられる各波長又は帯域)用に異なってもよい。該検出システム10の1実施例では、各第2フィルター60用のドウエル時間は約1秒より短い。各第2フィルター60に特定的ドウエル時間の使用は、誤差が材料サンプルS内の被検体濃度の計算により大きい影響を有し得る場合、該検出システム10が或る波長でより長時間(longer period of time)動作することを可能にして有利である。対応して、該検出システム10は、誤差が計算される被検体濃度により少ししか影響しない場合は、或る波長でのより短い時間動作することが出来る。該ドウエル時間が、他の仕方で、該検出システムで使われるフィルター/波長/帯域の間で不均一であってもよい。
【0080】
該主軸線Xと選択的に整合された各第2フィルター60について、該サンプル検出器150は、該第2フィルター60に対応する波長又は波長帯域で、該材料サンプルSを通して透過されるサンプルビーム(Es)の部分を検出する。該サンプル検出器10は該検出された電磁放射に対応する検出信号を発生し、該信号を該プロセサー180に送る。同時に、該基準検出器170は該第2フィルター60に対応する波長又は波長帯域で透過される基準ビーム(Er)を検出する。該基準検出器170は該検出された電磁放射に対応する検出信号を発生し、該信号を該プロセサー180に送る。検出器150,170によりそれに送られた該信号に基づき、該プロセサー180は、該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度、及び/又は該サンプルを分析するため使われた1つ以上の波長又は波長の帯域での該サンプルSの吸光度/透過率特性を計算する。該プロセサー180は該プロセサー180によりアクセス可能な該メモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより、該濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)を計算する。
【0081】
該基準検出器により発生される信号はソース20により放射されるエネルギービームの強度の揺らぎ(fluctuations)をモニターするため使われてもよく、該揺らぎはドリフト効果(drift effects)、老朽化(aging)、摩耗又は該ソース自身内の他の不完全性(imperfections)により起こることが多い。これは該プロセサー180に、該ソース20の放射強度での変化に帰せられ、該サンプルSの組成(composition)に帰せられない該サンプルビーム(Es)の強度の変化を識別させる。その様に行うことにより、濃度、吸光度、他の計算での誤差の起こり得るソースが最小化又は除去される。
【0082】
1実施例では、該検出システム10は、第1に、該主軸線X上にあるサンプル要素120無しで、各中心の波長又は波長帯域で該検出器150,170により検出される電磁放射を測定することにより被検体濃度読み値(analyte concentration reading)を計算する{これは”エア(air)”読み値(reading)として知られる}。第2に、該システム10は、該主軸線X上にあるサンプル要素120を有するが該材料サンプルSを有せずに、各中心の波長又は波長帯域について検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ドライ(dry)”読み値)。第3に、該システム10は、該ソース20と該ビームスプリッター100との間の該主軸線X上に配置された不透明要素(opaque element)又はマスク{関心のある波長(複数を含む)で実質的に不透明な第2フィルター60の様な}、及び/又は、スイッチオフされた該ソース20と、を用いて該検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ダーク(dark)”読み値)。第4に、該システム10は、該サンプル要素120内にある該材料サンプルSを有して、そして該主軸線X上の該サンプル要素120とサンプルSとを有して、各中心波長、又は波長帯域について、該検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ウェット(wet)”読み値)。最後に、該プロセサー180はこれらのコンパイルされた読み値に基づき該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)及び/又は透過率(複数を含む)を計算する。
【0083】
図7は図2又は図4に描かれた該被検体検出システム10(又は、代わりに、何等かの適当な検出システム)の何れかを操作する方法190の更に進んだ実施例を描いている。下記説明では、該方法は透過率領域(transmittance domain)行われるが、しかしながら、それは代わりに、透過率測定値より吸光度測定値を用いた作業用に調整された関連測定値を用いて吸光度領域(abosrbance domain)で行われてもよい。
【0084】
動作ブロック190aで、上記で論じた様に”ダーク”読み値が取られ、そこでは該プロセサー180はメモリー内に記憶されたダーク透過率読み値TDを計算する。次に、動作ブロック190bで、上記で論じた様に、”エア”読み値が取られる。この動作は、該エア読み時の基準検出器170の出力に基づき、エア透過率読み値TA、そして100%/Taと等しい利得係数(gain factor)GF(動作ブロック190c参照)のみならず同時のエア基準強度(air reference intensity)RIA(動作ブロック190d)も計算し、記憶する過程を含む。1実施例では、該エア透過率読み値TA、利得係数GFそしてエア基準強度RIAの何れか又は全部が関心のある波長又は波長帯域の各々で計算され、例えば、TAλ1、TAλ2、...TAλn;GFλ1,GFλ2、...GFλn、他を生ずる。
【0085】
動作ブロック190eで、該主軸線X上に位置付けられたサンプル要素とその中のサンプルSを用いて”ウェット”読み値が上記説明の様に取られる。該ウェット読み値は関心のある波長又は帯域の各々で1連の波長特定的透過率値(wavelength−specific transmittance values)Tλ1,Tλ2,...Tλnを生ずるが、該値は、該ウェット読み値が取られる間、関心のある各波長/帯域で該基準検出器170の出力から生ずる、同時に記録された対応するウェット基準強度RIWλ1、RIWλ2、...RIWλnと一緒に、メモリー内に記憶される。該ウェット読み値は次いで、該波長特定的透過率値Tλ1,Tλ2,...Tλnの各々から該ダーク透過率読み値(複数を含む)を引き算することによりシフト(shifted)され(ブロック190f参照)、シフト透過率値(shifted transmittance values)TSλ1、TSλ2、...TSλnを生ずる。ブロック190gで、該シフト透過率値は該値TSλ1、TSλ2、...TSλnの各々に前に計算された利得係数(複数を含む)GFを掛け算することによりスケール合わせ(scaled)される。波長特定的利得係数GFλ1,GFλ2,...GFλnが計算された場合、各シフト透過率値TSλiはその対応する利得係数GFλiを掛け算される。何れのオプションもシフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnを生ずる。
【0086】
動作ブロック190hで、該シフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnはソース基準化(source−referenced)される。最初に、基準係数RFλ1,RFλ2,...RFλnのシリーズが該エア基準強度RIAをウェット基準強度RIWλ1,RIWλ2、...RIWλnの各々で割り算することにより計算される。エア基準強度RIAλ1、RIAλ2、...RIAλnのシリーズがコンパイルされた場合、各エア基準強度RIAλiは、その基準係数RFλ1、RFλ2,...RFλnを発生するよう、その対応するウェット基準強度RIWλiにより割り算される。該シフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnの各々は、シフトされ、スケール合わせされ、ソース基準化された透過率値TSSRλ1、TSSRλ2,...TSSRλnを発生するよう、それを対応する基準係数RFλ1、RFλ2、...RFλnにより掛け算することによりソース基準化される。
【0087】
該シフトされ、スケール合わせされ、ソース基準化された透過率値TSSRλ1、TSSRλ2,...TSSRλnの各々は最終透過率値TFλ1,TFλ2、...TFλnを生ずるために動作ブロック190iでサンプル要素基準化(sample−element referenced)される。ここで開示された該サンプル要素基準化の方法のどれが使われてもよい。サンプル要素基準化動作190iは図解された方法190の終わりに描かれているが、この基準化190iは実際には、種々のサンプル要素基準化方法のここの論議から明らかになる様に、該方法190の他の動作と相互混合される多数の副動作(sub−operations)を含んでいる。該サンプル要素基準化動作の性質に関係無く、該最終透過率値TFλ1,TFλ2、...TFλnは次いで該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。
【0088】
更に進んだ実施例では、該方法190のどんな適当な変型も使われてよい。測定精度の望まれるレベルにより、該動作190a−190iの何れかの1つ又は組み合わせが省略されてもよい。例えば、ダーク読み値190aと続くシフト190fが省略されてもよい。これらの動作190a、190fの省略、の代わりに、又はそれに加えて、エアの読み値(air reading)190bが、全体で又は部分的に省略されてもよい。該エア透過率読み値TAと利得係数GF(ブロック190c)の測定/計算が省略された場合、スケール合わせ動作190gも又省略されてよく、同様に、エア基準強度RIAの測定/計算(ブロック190d)が省略された場合、ソース基準化動作190hも又省略されてよい。最後に前記省略の代わりに、又はそれに加えて、サンプル要素基準化動作190iが省略されてもよい。
【0089】
方法190の何れの変型に於いても、その動作はどんな適当なシーケンスで行われてもよく、該方法190は図7で描かれ、上記で説明されたシーケンスに決して限定されない。方法190の前記論議では、多数の測定と計算が透過率領域で行われるが、更に進んだ実施例では、これらの測定と計算の何れか又は全部は吸光度又は不透明度(optical density)領域で行われてもよい。前記論議では、該方法190は、該検出システム10の測定ラン中での、ダーク透過率の読み値TD、エア透過率の読み値TA、利得係数GAそしてエア基準強度RIA、の”ライブ(live)の”計算/測定を含んでいる。該方法190の更に進んだ実施例では、これらの値の何れか又は全部は、前の測定で予め決定されるか又は計算され、次いで多数の続く測定ランで使用するためメモリー内に記憶されてもよく、該ラン中に当該の該値は、再び(anew)測定/計算されるよりも、上記説明の様な使用のためメモリーから呼び戻される。
【0090】
なお更に進んだ実施例では、下記で論ずる計算アルゴリズム又は方法の何れかは、ここで論じられた方法190の実施例の何れかにより(何れかの)最終透過率値TFλ1,TFλ2,...TFλn出力からサンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。該方法190の開示された実施例の何れかは、該被検体検出システム10のプロセサー180による実行用にアクセス可能となるように、該メモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。
【0091】
1実施例では、該プロセサー180は該被検体濃度結果及び/又は他の情報をデイスプレー制御器(示されてない)へ通信するよう構成されるが、該制御器は該情報をユーザーに提示するためLCDデイスプレーの様なデイスプレー(示されてない)を操作する。1実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ材料サンプルS内のブドウ糖の濃度のみを通信出来る。もう1つの実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ該材料サンプルS内のブドウ糖の濃度に加えてケトンの濃度を通信出来る。なおもう1つの実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ該材料サンプルS内の多数の被検体の濃度を通信出来る。なおもう1つの実施例では、該デイスプレーは1mg/dlの分解能でブドウ糖濃度を出力する。
II.サンプル要素(SAMPLE ELEMENT)
被検体検出システム10の或る実施例の前記開示を考慮しながら、下記セクションは被検体検出システム10での使用のためのクベット(cuvette)又はサンプル要素の種々の実施例を論じる。ここで使用される時、”サンプル要素(sample element)”は広い用語であり、その普通の意味で使用され、制限無しに、サンプル室と少なくとも1つのサンプル室壁とを有する構造体を備えるが、もっと一般的に、材料サンプルを保持(hold)、支持(support)又は含む(contain)ことが出来て、電磁放射がそれにより保持、支持されるか又は含まれるサンプルを通過出来るようにする多数の構造体の何れか、例えば、クベット、試験ストリップ(test strip)、他を含む。
【0092】
図8と9は、ここで開示される被検体検出システム10の種々の実施例の何れかで使うためのクベット又はサンプル要素120を描いている。代わりに、該サンプル要素120はどんな適当な被検体検出システムで使われてもよい。該サンプル要素120はサンプル室壁(sample chamber walls)202により規定されるサンプル室(sample chamber)200を有する。該サンプル室200は、該サンプル要素120が使われる検出システムによる分析用に、患者から抜き取られる材料サンプルを保持するよう構成される。代わりに、該サンプル室200はこの様な分析用に他の有機又は無機材料(organic or inorganic material)を保持するため使われてもよい。
【0093】
図8−9で図解される実施例では、該サンプル室200は第1及び第2横室壁202a、202bと、上及び下室壁202c、202dにより規定されるが、しかしながら室壁のどんな適当な数及び形状が使われてもよい。該上及び下室壁202c、202dの少なくとも1つは、該被検体検出システム10(又は該サンプル要素が一緒に使われるべき何等かの他のシステム)により使われる電磁放射の波長(複数を含む)に充分透過性である材料で形成される。その様に透過性である室壁はかくして1実施例では”窓(window)”と呼ばれ、該上及び下室壁202c、202dは、電磁放射の関連波長(複数を含む)が該サンプル室200を通過出来るようにするよう第1及び第2窓を有する。もう1つの実施例では、これらの第1及び第2窓は上記で論じた第1及び第2窓122,124と同様である。なおもう1つの実施例では、該上及び下室壁202c、202dの1つのみが窓を有し、この様な実施例では、該上及び下室壁のもう1つは、該サンプル要素120が使われる該被検体検出システムにより該サンプル室200内へ放射される何等かの電磁エネルギーを後方反射(back−reflect)するよう構成された反射面(reflective surface)を有してもよい。従って、この実施例は、電磁エネルギーのソースと検出器とが該サンプル要素と同じ側に配置される被検体検出システムで使用するのに良く適合している。
【0094】
種々の実施例では、該サンプル要素120の該窓(複数を含む)を構成する材料は完全に透過性(transmissive)であり、すなわち、それは、それに入射する該ソース20と第1及び第2フィルター40,60からの電磁放射の何れをも吸収しない。もう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の材料は関心のある電磁的範囲で幾らかの吸収を有するが、その吸収は無視出来る。なおもう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の材料の吸収は無視出来ないが、それは比較的長い時間の間安定である。もう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の吸収は比較的短い時間の間のみしか安定でないが、該被検体検出システム10は、該材料特性が測定可能に変化し得る前に、該材料の吸収を観察し、それを該被検体測定から除去する。サンプル要素120の該窓(複数を含む)の形成用に好適な材料はフッ化バリウム(barium fluoride)、シリコン、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は関連波長(複数を含む)で安定な透過率(transmissivity){すなわち、単位厚さ当たり透過性(transmittance per unit thickness)}を有する何等かのポリマーを含む。該窓(複数を含む)がポリマーで形成される場合、選択されるポリマーは、該窓(複数を含む)間のサンプルの流れを高めるために、構造でアイソタクチック(isotactic)、アタクチック(atactic)又はシンデイオタクチック(syndiotactic)にすることが出来る。該サンプル要素120を作るのに好適な1つの種類のポリエチレンは、スイス、ステイフアのクベ社(KUBE Ltd. of Staefa, Switzerland)から入手可能な、押し出し加工された(as extruded)、タイプ220(type 220)である。
【0095】
1実施例では、該サンプル要素120はその窓(複数を含む)を通して、約4μmと10.5μmの間の波長を有する電磁エネルギーの充分な透過を可能にするよう構成される。しかしながら、該サンプル要素120は、該エネルギーソース20により放射されるどんなスペクトル範囲の波長の透過も可能にするよう構成されることが出来る。もう1つの実施例では、該サンプル要素120は該第2フィルター(複数を含む)60を通して透過される何等かの電磁放射波長についてその上に入射するサンプルビーム(Es)から約1.0MW/cm2より多くの光学的パワー(optical power)を受けるよう構成される。なおもう1つの実施例では、該サンプル要素120は該サンプル室上に入射する電磁エネルギーの約75%がそれを通して透過することを許容するよう構成される。好ましくは、該サンプル要素120のサンプル室200は、主軸線Xから45度の円錐角内(図1,2参照)で該材料サンプルSの方へ進むサンプルビーム(Es)が通過することを可能にするよう構成される。
【0096】
図8−9で図解される実施例では、該サンプル要素は更に、該サンプル室200から供給開口部(supply opening)206へ延びる供給通路(supply passage)204と、該サンプル室200からベント開口部210(vent opening)へ延びるベント通路(vent passage)208と、を有する。該ベント開口部210は該サンプル要素120の1端に示されているが、他の実施例では該ベント開口部210は、それが該ベント通路208と流体的に連通している限り、該サンプル要素120のどちらの側に位置付けられてもよい。
【0097】
動作中は、該サンプル要素120の該供給開口部206は、患者の傷から流れる流体の様な、材料サンプルSと接触して置かれる。該流体は次いで該サンプル供給通路204を通り、そして毛細管作用を介して該サンプル室200内へ輸送される。該ベント通路208とベント開口部210は、該サンプル要素内の空気圧力の形成を防止すること、そしてサンプルがサンプル室200へ流れる時該サンプルが該空気を変位させるのを可能にすること、によりサンプル輸送を改善する。
【0098】
該上及び下室壁202c、202dが窓を含む場合、それら間の距離T{該サンプル室200及び/又は窓202a、202bに実質的に直交する軸線に沿って測定された、又は、代わりに、該サンプル室200を通過するエネルギービーム(上記で論じたエネルギービームEの様な、しかしそれに限定されない)の軸線に沿って測定された}は光路長(optical pathlength)を含む(図9参照)。種々の実施例では、該路長(pathlength)は約1μmと約300μmの間、約1μmと約100μmの間、約25μmと約40μmの間、約10μmと約40μmの間、約25μmと約60μmの間、又は約30μmと約50μmの間にある。なおもう1つの実施例では、該光路長は約25μmである。幾つかの場合、該路長Tを、該サンプル要素120が使われるべき被検体検出システムにより指定された何等かの路長から約±1μm内に保持することが望ましい。同様に、該サンプル要素120が使われるべき該被検体検出システムに依り、該壁202c、202dを相互に対し平行度(of parallel)で±1μm内に配向し、そして/又は該壁202c、202dの各々を平面度(of planar)で{平坦さ(flat)で}±1μm内に保持することが望ましい。
【0099】
1実施例では、該サンプル要素200の横断寸法{すなわち、該横室壁(lateral chamber wall)202a、202bで規定される寸法}はサンプル検出器150の活性面(active surface)の寸法に概略等しい。従って、更に進んだ実施例では、該サンプル室200は約4mmの直径を有して丸い。
【0100】
図8−9に示すサンプル要素120は、1実施例では、下記で指定する寸法(sizes)とディメンジョン(dimensions)を有する。該供給通路204は好ましくは約17.7mmの長さ、約0.7mmの幅、そして該路長Tに等しい高さを有するのがよい。加えて、該供給開口部206は好ましくは幅が約3mmで該サンプル供給通路204の幅へスムーズに移行するのがよい。該サンプル要素120は幅が約9.53mm(約0.375インチ)で長さが約25.4mm(約1インチ)であり、約1.025mmと約1.140mmの間の全体厚さを有する。該ベント通路208は好ましくは約1.8mmから2mmの長さと約3.8mmから4mmの幅を有し、壁202c、202dの間の路長と実質的に等しい厚さを有する。該ベントアパーチャー210は該ベント通路208と実質的に同じ高さと幅である。勿論、該サンプル要素120の利点を達成しながら、他の寸法が他の実施例で使われてもよい。
【0101】
該サンプル要素120は好ましくは約3μl以下の(又は約2μl以下の、又は約1μl以下の)容積を有する材料サンプルSを、より好ましくは、約0.85μl以下の容積を有する材料サンプルSを、受け入れる寸法を有するのがよい。勿論、サンプル要素120の容積、サンプル室200の容積、他は、検出システム150の寸法と感度(sensitivity)、エネルギーソース20により放射される放射の強度、サンプルの期待される流れ特性(flow properties)、そして流れエンハーンサー(flow enhancers)が該サンプル要素120内に組み込まれるかどうか、の様な多くの変数に依り、変わり得る。流体の該サンプル室200への輸送は好ましくは毛細管作用(capillary action)により達成されるのがよいが、ウイック作用(wicking)又は真空作用(vacuum action)、又はウイック作用、毛細管作用、及び/又は真空作用の組み合わせを通して達成されてもよい。
【0102】
図10は該サンプル要素120の製作への1つのアプローチを描く。このアプローチでは、該サンプル要素120は第1層220,第2層230,そして第3層240を有する。第2層230は好ましくは第1層と第3層の間に位置付けられるのがよい。第1層220は上室壁202cを形成し、第3層240は下室壁202dを形成する。該室壁202c、202dの何れかが窓を有する場合、当該の窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c/202dは、該壁(複数を含む)が配置される層(複数を含む)220/240の残りを形成するために使われるとは異なる材料で形成されてもよい。代わりに、該層(複数を含む)220/240の全体が該窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c/202dを形成するため選択された材料で形成されてもよい。この場合、該窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c、202dは該層(複数を含む)220,240を用いて一体型に形成され、該サンプル室200上に乗るそれぞれの層(複数を含む)220/240の領域を単に含んでいる。
【0103】
図10を更に参照すると、第2層230は、第1及び第3層220,240を接合する接着剤で全部が形成されてもよい。他の実施例では、第2層230は第1及び第3層と同様な材料又は何等かの他の適当な材料で形成されてもよい。第2層230はその両側に堆積した接着剤を有するキャリア(carrier)として形成されてもよい。該第2層230は、サンプル室200,サンプル供給通路204,供給開口部206,ベント通路208,そしてベント開口部210を少なくとも部分的に形成するボイド(void)を含む。該第2層230の厚さは該サンプル要素120用に好適として上記で開示した路長(pathlengths)の何れかと同じであり得る。第1及び第3層は該サンプル要素120の窓(複数を含む)を形成するのに好適な上記開示の材料の何れかで形成されることが可能である。
【0104】
該サンプル室200は好ましくは反応物が無い室(reagentless chamber)を有するのがよい。換言すれば、該サンプル室200の内部容積及び/又は該室200を規定する壁(複数を含む)202は好ましくは分析用に該室内へ抜き取られるべきサンプルに対し不活性(inert)であるのがよい。ここで使用される時、”不活性(inert)”は広い用語であり、その普通の意味で使用され、制限無しに、該室200内へのサンプルの取り入れに続く、この様な被検体(複数を含む)の濃度の測定を可能にする充分な時間(例えば、約1−30分)の間、該被検体検出システム10又は何等かの他の適当なシステムで、該サンプル内の被検体(複数を含む)の濃度について行われる何等かの測定に重要に影響する仕方では、該サンプルと反応しない物質を含んでいる。代わりに、該サンプル室200は、該サンプルの試薬との反応を含むサンプル分析技術(sample assay techniques)で該サンプル要素の使用を容易化する1つ以上の試薬(reagent)を含んでもよい。
【0105】
1実施例では、該サンプル要素は、該サンプル要素内への該サンプルの入り口点、と該サンプル室(複数を含む)内の間の、適当なフィルター又は膜の使用を介して、全血、又は他の同様なサンプルから血漿(plasma)を分離するよう構成されてもよい。その様に構成されたサンプル要素では、該血漿は該フィルター/膜から下流へ、該サンプル室(複数を含む)へと流れる。該サンプルの残り(例えば、血球)は該フィルター/膜に留まる。種々の実施例では、該フィルター/膜は微小孔性(microporous)ポリエチレン又は微小孔性ポリテトラフルオロエチレンで作られてもよい。もう1つの実施例では、該フィルター/膜はニューヨーク州、イーストヒルのポール社(Pall Corporation of East hills, NY)から入手可能なビーテーエス−エスピー媒体(BTS−SP media)で作られてもよい。
III.サンプル要素基準化動作(SAMPLE ELEMENT REFERENCING)
このセクションでは、多数のサンプル要素基準化方法(methods for sample−element referencing) が開示され、該方法は一般的に被検体濃度の測定へのサンプル要素の影響の補償を含んでいる。このセクションで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは、該被検体検出システム10のプロセサー180による実行用にアクセス可能なようにメモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。加えて、このセクションで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは図7で描かれ、上記で論じられた方法190の種々の実施例のサンプル要素基準化動作190iとして使われてもよい。
【0106】
該方法190のサンプル要素基準化動作190iとして使われる場合(又は他の仕方で使われる場合)、このセクションで開示された方法の何れかは、波長特定的な流儀で、すなわち、当該の被検体検出システムにより分析される各波長/帯域で、サンプル要素基準化された透過率、吸光度又は不透明度を計算することにより、行われてもよい。
【0107】
上記で論じた様に、該被検体検出システム10により使われるスペクトル範囲内で或る電磁放射吸収を有する材料は、該サンプル要素120の幾つか又は全部を作るため使われ得る。ここで開示される該システム10の様な被検体検出システムの精度は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算する時、該サンプル要素に帰せられ得る何等かの散乱(scattering)又は吸収の現象を明らかにする(accounting for)ことにより改善される。該サンプル要素の材料の不完全な透過特性によるこの様な散乱又は吸収は、該サンプル要素の吸収の少なくとも1つの基準レベルを決定し、次いで該サンプル要素を用いて行われる次の測定から該基準レベルを除去することにより克服される。該サンプル要素に使われた材料の不完全な透過特性を克服する(overcome)デバイスと方法が図11−21を参照してここで論じられる。
【0108】
1実施例では、サンプル要素120の様な、空の、未使用サンプル要素は、該サンプル要素120の透光度/透過率{及び散乱(scattering)}の基準レベルを決めることにより参照される。或る実施例では、該方法はウインドウ202c、202dを通過するサンプルビームEs内に該サンプル要素120のサンプル室200を位置付ける過程を有する。該被検体検出システム10は次いで該窓202c、202dにより吸光度又は透過率の基準レベルを決める。材料サンプルが次いで該サンプル室200内へ抜き取られる。次いでサンプルビームEsが該サンプル室200の窓202c、202dのみならずサンプル自身をも通過する。該被検体検出システム10は該サンプルと該窓202c、202dとの組み合わせにより吸光度又は透過率の分析レベルを決める。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを決めると、該被検体検出システム10は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決める時、該窓202c、202dを含む材料の吸収/透過の影響を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルの解析(換言すれば、窓202c、202dを含む材料の該吸光度/透過率を明らかにする)はその2つ間の不透明度の差を計算する過程を含むことが出来る。代わりに、該レベルを解析することは透過の基準レベルに対する透過の分析レベルの比を計算する過程を含み得る。
【0109】
差計算代替え(difference−calculation alternative)は、サンプル要素基準化方法が吸光度又は不透明度領域で行われる場合に、使われ、比率計算代替え(ratio−calculation alternative)は該方法が透過率領域で行われる場合に使われる。最終データセット(典型的には、該検出システム10により分析された各波長/帯域で取られたサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析され得る。この濃度分析は、下記セクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それらに限定されない、何等か適当な方法を使って行われてもよい。例えば、サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)決定用に下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0110】
図11は、下記で詳細に説明される方法に依り、上記で開示された被検体検出システム10の様な、しかしそれに限定されない、被検体検出システムにより基準化されるよう構成されたサンプル要素302の略図解である。ここで更に説明されることを除けば、該サンプル要素302は1実施例では上記で論じられたサンプル要素120の実施例の何れかと同様であってもよい。図11で描かれている様に、該サンプル要素302は第1及び第2基準窓(first and second referencing windows)304a、304bの間に位置する基準化室(referencing chamber)304と、第1及び第2サンプル窓306a、306bの間に位置するサンプル室306と、を有する。1実施例では、該基準化窓304a、304bの内面間の隙間(separation)(すなわち、路長)は該サンプル窓306a、306bの内面間の隙間(すなわち、路長)と異なる。或る実施例では、該基準化室304の路長は該サンプル室306のそれより小さく、一方他の実施例では、該サンプル室306の該路長は該基準化室304のそれより小さい。なお他の実施例では、該基準化室304の路長は実質的にゼロである。1実施例では、該室304,306の1つは約10μmの路長を有し、該室のもう1つは約30μmの路長を有する。
【0111】
図11に図解される様に、第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aは好ましくは実質的に同様な厚さであるのがよく、第2基準化窓304bと第2サンプル窓306bも又好ましくは実質的に同様な厚さであるのがよい。1実施例では、該窓304a、304b、306a、306bの全てが実質的に同様な厚さである。しかしながら、他の実施例では、これらの厚さは窓間で異なってもよい。
【0112】
1実施例では、該窓304a、304b,306a、306bの1つ以上の外面の1つ以上は折り目付け(textured)されている。これは、例えば、当該面(複数を含む)をサンド掛けする(sanding)、及び/又はモールドするか又は比較的スムーズでない表面仕上げを有するようそれらを他の仕方で作る、ことにより行われてもよい。該サンプル要素を作るため使われる材料により、折り目付けはフリンジング(fringing)を減らすことにより該サンプル要素の光学品質を改善する。この折り目付けは、例えば、該サンプル要素120の窓202c、202dの外面の1つ又は両方を折り目付けすることによりここに開示されるサンプル要素の実施例の何れで使われてもよい。
【0113】
操作の1方法では、該サンプル要素302は、該サンプル要素302を基準化し、サンプル内の被検体の濃度を測定するために、電磁放射の1つのビームを利用する被検体検出システム10と結合される。サンプルは、該基準化室304(該基準化室が充分な路長又は容積がある実施例で)内へ、そしてサンプル室306内へ抜き取られる。サンプル要素302は被検体検出システム10内の基準位置に置かれるが、そこでは該基準化室304と基準化窓304a、304bは電磁放射の基準ビーム308の光路内に定在する。次いで該基準ビーム308は該基準化室304(そして、適用可能な場合、その中に含まれるサンプルの部分)と、基準化窓304a、304bを通過する。該被検体検出システム10は、該基準化室304と該基準化窓304a、304b内の{何れであろうと(any)}サンプルの組み合わせによる吸光度又は透過率によって該基準ビーム308の吸光度又は透過率の基準レベルを決める。該サンプル要素302は分析位置に置かれるが、そこでは該サンプル室306とサンプル窓306a、306bは該分析ビーム310の光路内に定在する。次いで該分析ビーム310が該サンプルに充たされたサンプル室306とサンプル窓306a、306bを通過する。該被検体検出システム10は該サンプル室306と該サンプル窓306a、306b内のサンプルの組み合わせによる吸光度又は透過率によって該分析ビーム310の吸光度又は透過率の分析レベルを決める。1実施例では、吸光度又は透過率の基準及び分析レベルは該被検体検出システム10により分析される各波長/帯域で測定される。
【0114】
該吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが決定すると、該被検体検出システム10は、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決める時、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを解析する過程(換言すれば、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにする過程)は該2つ間の差を計算する過程を含み得る。代わりに、該レベルを解析する過程は該基準レベルに対する該分析レベルの比を計算する過程を含み得る。
【0115】
該差計算代替えは、該サンプル要素基準化方法が該吸光度又は不透明度領域で行われる場合に使われ、該比率計算代替えは該方法が透過率領域で行われる場合に使われる。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが波長/帯域のシリースの各々で測定された場合、該差計算又は比率計算は、該シリースの各波長/帯域で測定された該(基準レベル、分析レベル)対に関し行われる。
【0116】
最終データセット(例えば、該検出システム10により分析される各波長/帯域で取られるサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析される。この濃度解析は下記セクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)を決定するため下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0117】
該第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で、又は第1基準窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で重要な差が生じた場合、該比率計算/差計算手順による該吸光度/透過率データ出力は該窓材料の吸光度/透過率側面の幾つかを”含んで(include)”もよい。従って、望ましい場合、被検体濃度を決定するために該吸光度/透過率データを解析する時、吸収データから非被検体の寄与を除去するため下記のセクションIVで開示された方法の種々の実施例が使われてもよい。
【0118】
図12で描かれた操作のもう1つの方法では、該サンプル要素302は、該サンプル要素302を基準化するためそして該サンプル内の被検体の濃度を測定するため、電磁放射の別々のビームを利用する被検体検出システム10と結合される。1つのサンプルが、該基準化室304(該基準化室が充分容積がある場合の実施例で)内へ、そして該サンプル要素302の該サンプル室306内へ抜き取られる。図12に描かれる様に、該サンプル要素302は、該基準化室304と基準化窓304a、304bが該基準化ビーム308の光路内に定在し、該サンプル室306とサンプル窓306a、306bが分析ビーム312の光路内に定在するよう、該被検体検出システム10内に置かれる。該基準ビーム308は該基準化室304(及び、適用される場合は、中に含まれた何等かのサンプル部分)と基準化窓304a、304bを通過し、該分析ビーム312は該サンプル室306,該サンプルのその中に含まれる部分、そして該サンプル窓306a、306bを通過する。該被検体検出システム10は、該基準化室304内の(何等かの)サンプルと該基準窓304a、304bを含む材料との組み合わせに依る吸光度又は透過率によって該基準ビーム308の吸光度又は透過率の基準レベルを決定し、そして該サンプルと、該サンプル窓306a、306bを含む材料と、の組み合わせによる吸光度又は透過率によって該分析ビーム312の吸光度又は透過率の分析レベルを決定する。
【0119】
吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを決定すると、該被検体検出システム10は、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決定する時、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを解析する過程(換言すれば、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにする過程)は該2つの間の差を計算する過程を含む。代わりに、該レベルを解析する過程は該基準レベルに対する該分析レベルの比率を計算する過程を含む。
【0120】
差計算代替えは、該サンプル要素基準化方法が吸光度又は不透明度領域で行われる場合に使われ、該比率計算代替えは、該方法が透過率領域で行われた場合に使われる。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが波長/帯域のシリースの各々で測定された場合、該差計算又は比率計算は該シリース内の各波長/帯域で測定された該(基準レベル、分析レベル)対について行われる。
【0121】
最終データセット(例えば、該被検体検出システム10により分析される各波長/帯域で取られたサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析され得る。この濃度分析は、下記でセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を用いることにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)を決定するため下記で開示した方法の何れかが使われてもよい。
【0122】
該第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で、又は第1基準窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で重要な差が生じた場合、該比率計算/差計算手順による該吸光度/透過率データ出力は該窓材料の吸光度/透過率側面の幾らかを”含んで(include)”もよい。従って、望ましい場合、被検体濃度を決定するために該吸光度/透過率データを解析する時、吸収データから非被検体の寄与を除去するため下記のセクションIVで開示された方法の種々の実施例が使われてもよい。
【0123】
或る実施例では、サンプルを該サンプル要素内へ抜き取り、次いで該サンプル要素のサンプル室を圧縮し、それにより該サンプル室の内面間の隙間(separation)(すなわち、路長)を予め決められた量だけ変えることにより、該サンプル要素を含む材料の透過特性を抑える(overcome)よう、サンプル要素が基準化される。この様な実施例は変形可能なサンプル要素を用い、該サンプル要素の材料、及び/又は、該サンプル要素の中のサンプル、を通過する電磁放射のビームの路長を制御可能に変える。路長の該変化は、上記開示の解析方法(すなわち、差計算、比率計算)の何れかを使うことにより、該サンプル室内のサンプルによる吸光度又は透過率から該サンプル要素の材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。
【0124】
図13は、吸光度又は透過率測定値間でサンプル要素402を変形するために圧縮器(compressors)408,409を有する被検体検出システム406の1実施例の断面図である。或る実施例では、該被検体検出システム406は上記開示の該システム10と概ね同様であり、該サンプル要素402は下記で更に説明することを除けば、上記開示のサンプル要素120と概ね同様である。他の実施例では、該被検体検出システム406はどんな適当な被検体検出システムを備えてもよいが、更に下記で説明する追加構造体を有している。
【0125】
示される様に、該サンプル要素402は、該サンプル要素402のサンプル室404が圧縮器408,409の間に位置付けられるよう該被検体検出システム406内に位置付け可能である。各圧縮器408,409は、該圧縮器408,409を通り、該サンプル室404を通る電磁放射のビームの実質的に妨げられない通過を可能にするよう、該圧縮器の主軸線と整合された中空部分(hollow portion)412を有する。1実施例では、該圧縮器408,409は円形の断面を有してもよい(すなわち、該圧縮器408,409は円柱として形成される)。他の実施例では、該圧縮器408,409は他の断面形状を有し得る。好ましくは、該サンプル要素402は該圧縮器408,409による圧縮を可能にするよう充分に柔軟な材料製である。
【0126】
図13で図解される様に、該被検体検出システム406は近接スイッチ(proximity switch)445を有し、該スイッチは、或る実施例では、該サンプル要素402の該被検体検出システム406内への挿入を検出する。該近接スイッチ445に応答して、該被検体検出システム406は該圧縮器408,409により該サンプル要素402上に印加される力を有利に制御することが出来る。1実施例では、該挿入されたサンプル要素402による該近接スイッチ445の賦活時、該圧縮器408,409は該サンプル要素402に接触し、該サンプル要素402上に、それぞれ、反対方向に向けられた力410,411を印加する。或る実施例では、該力410,411は該サンプル要素402を実質的に圧縮することを避けるよう充分に小さい。1つのこの様な実施例では、該サンプル要素402は該被検体検出システム406のビーム443の光路内に最適に位置付けられ、図13に示す様に、該圧縮器408,409により、この最適位置に穏やかに保持される。
【0127】
電磁放射のビーム443は、一旦サンプルがサンプル室404内に抜き取られると、該サンプル及び該サンプル要素402の組み合わせによる吸光度又は透過率の第1測定をもたらすために該サンプル室404を通過させられる。或る実施例では、該サンプルは、被検体検出システム406内への該サンプル要素402の挿入の前に、該サンプル要素402のサンプル室404内へ抜き取られる。他の実施例では、該サンプルは、該サンプル要素が該被検体検出システム406内に位置付けられた後に、該サンプル室404内へ抜き取られる。
【0128】
吸光度又は透過率の第1測定が行われた後、該被検体検出システム406は該圧縮器408,409により印加される力410,411を増加させることにより該サンプル要素402を圧縮する。これらの増加した力410,411はより強く該サンプル要素402を圧縮する。このより強い圧縮に応答して、該サンプル要素402を通る光路長は修正される。好ましくは該サンプル要素402は該圧縮力410,411による塑性変形(plastic deformation)を受けるのがよい、一方、他の実施例では該変形は弾性的である。
【0129】
一旦該サンプル要素402を通る該光路長が修正されると、該サンプル及び該サンプル要素402の組み合わせによる吸光度又は透過率の第2測定が行われる。次いで該被検体検出システム406は、上記で開示した解析方法の何れか(すなわち差−計算、比率−計算)を用いて、該第1路長での吸光度又は透過率の第1測定値と該第2路長での吸光度又は透過率の第2測定値とに基づいて該サンプルのサンプル要素基準化された吸光度又は透過率を計算する。該光路長の変更は、サンプル室404内のサンプルによる吸光度又は透過率から、サンプル要素402を含む材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。かくして、該被検体検出システム406は該サンプル要素402を含む材料の吸光度又は透過率からの寄与から実質的に解放された該サンプルによる吸光度又は透過率の測定を提供する。この様な測定値は該サンプル要素基準化された吸光度又は透過率測定値に基づく該システム10により行われる被検体濃度測定の精度を向上出来る。これらの被検体濃度測定は、下記のセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等かの適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立して被検体濃度(複数を含む)を決めるために下記で論じられた方法の何れが使われてもよい。
【0130】
図13で図解された実施例では、該圧縮器108,109は該サンプル室404を圧縮することにより該サンプル室404の光路長を減じる。図14は該サンプル要素402の光路長を変えるよう構成された被検体検出システム506のもう1つの実施例の断面図である。該被検体検出システム506の構造と動作は、該圧縮器に関してを除けば、図13で図解された該被検体検出システム406と実質的に同じである。図14で示される様に、該圧縮器508は第1圧縮器窓(first compressor window)512を有し、該圧縮器509は第2圧縮器窓(second compressor window)513を有する。該圧縮器窓512,513は、該圧縮器508,509が該サンプル要素402を把持した時サンプル室404と接触する。該圧縮器窓512,513は、それぞれ反対方向の力410,411を該サンプル室404の範囲に亘りより均一に配分するのに役立つ。
【0131】
該圧縮器窓512,513は好ましくは該ビーム443を含む電磁放射の範囲で少なくとも部分的に光学的に透過性であるのがよい。1実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者は該ビーム443を含む電磁放射に対し実質的に完全に透過性である材料を有する。なおもう1つの実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者の材料の吸光度は無視可能(negligible)ではないが、それは既知で、比較的長い時間安定しており、そして該被検体検出システム506のメモリー内に記憶されているので、該システム506は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度の測定値から該材料の吸光度又は透過率による寄与を除去出来る。もう1つの実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者の吸光度は比較的短い時間の間しか安定でないが、該被検体検出システム506は該材料の吸光度を観察するよう構成されており、それを該材料特性が可成り変化する前に該被検体測定から実質的に取り除く。
【0132】
種々の実施例では、該圧縮器窓512,513はシリコン、ゲルマニウム、ポリエチレン、又はポリプロピレン、そして/又は何等かの他の適当な赤外線透過性材料で形成されてもよい。
【0133】
或る実施例では、サンプル要素は、全血の様なサンプルを該サンプル要素内に抜き取り、次いで該サンプル要素のサンプル室を制御された仕方で膨張させ、それにより該サンプル室の該内面間の隙間を制御可能に増加させることにより、該サンプル要素を含む材料の透過特性を打ち消す(overcome)ように、基準化される。この方法で、該サンプル要素の圧縮は該サンプル室を通る光路長を増加させる。該光路長の変化は、該サンプル室内のサンプルにより吸光度又は透過率から、該サンプル要素を含む材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。
【0134】
図15−16はサンプル要素602のサンプル室604を膨張させるよう構成された被検体検出システム606の実施例を描いている。該被検体検出システム606は、該サンプル室604の第1室窓612に隣接する第1プロフアイル608と、該サンプル室604の第2室窓613に隣接する第2プロフアイル609と、を有する。該プロフアイル608,609は、該サンプル要素602が該被検体検出システム606により強制的に圧縮された時、該室窓612,613が中へ膨張出来る開いた空間(open spaces)である。好ましくは、該サンプル要素606は、該サンプル室604の該プロフアイル608,609内への膨張を許容するよう充分柔軟(sufficiently pliable)である材料で作られるのがよい。好ましくは、該サンプル要素602は塑性変形を受けるのがよいが、一方、他の実施例では該変形は弾性的である。
【0135】
図16で図解される様に、該被検体検出システム606がサンプル要素602を圧縮する時、該被検体検出システム606は該サンプル要素602に反対向きの力610,611を印加する。これは該室窓612,613をそれぞれ該プロフアイル608,609内へ膨張させ、それにより該サンプル室604の内面間の隙間を増大させ、該サンプル室604を通る該ビーム443の光路長を増加させる。光路長の該変化は該被検体検出システム606に、上記で開示された解析方法の何れかを使って、該サンプルの吸光度又は透過率のサンプル要素基準化された測定値を計算させる。かくして、該被検体検出システム606は、該サンプル要素基準化された吸光度又は透過率測定値に基づき該システム10により行われる被検体濃度測定の精度を高めるよう、該サンプル要素602を含む材料の吸光度又は透過率の寄与を実質的に取り除く。これらの被検体濃度測定は、下記のセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立して被検体濃度(複数を含む)を決定するために下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0136】
図17−18は図12−13に関連して上記で論じたサンプル要素302のもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図17−18で描かれたサンプル要素302の実施例は、上記で開示されたサンプル要素120、及び/又は図11−12のサンプル要素302、と概ね同様であってもよい。加えて、図17−18で描かれた該サンプル要素302は、図11−12で描かれた該サンプル要素302と関連して論じられた方法を、制限なしに、含めて、ここで開示されるサンプル要素基準化された方法の何れかの実施で使われてもよい。
【0137】
該サンプル要素302は更に、該基準化室304内に配置され、第1基準化窓304aから第2基準化窓304bへ延びる第1支柱(first strut)320を有する。加えて、第2支柱322が、該サンプル室306内に配置され、第1サンプル窓306aから第2サンプル窓306bへ延びている。該支柱320、322は、該サンプル要素302が被検体濃度測定で使われる時、該室304,306の何れかを通過するエネルギーのビームの光軸線に概ね平行に該支柱が延びるよう、該室303,306内に配向されるのが好ましい。例えば、該サンプル要素302が被検体検出システム10内に置かれた時、該支柱(複数を含む)320、322は主軸線X及び/又はエネルギービームEと概ね平行に延びる。
【0138】
図17−18に描かれた支柱320、322は、それぞれ基準化窓304a、304b及びサンプル窓306a、306bの内方へと外方への逸り(deflection)を最小化するか又は防止するために充分な柱強度及び引っ張り強度(sufficient column and tensile strength)を有する部材を備える。該支柱320,322は該窓304a,304b,306a、306bの平面度(planarity)を保存するのに有利に役立ち、それにより、該サンプル要素302で行われる幾つかの被検体濃度測定の精度を高める。種々の計算アルゴリズムが、サンプル要素の形状{例えば、路長、窓平面度(window planarity)、窓平行度(window parallelism)}の不完全さにも拘わらず測定精度を保存するため下記で開示されるが、該支柱320,322は、被検体濃度を測定する時、この様なアルゴリズムの種々の組み合わせの代わりに又は、それに加えて、使われてもよい。
【0139】
図解された実施例では、該支柱320,322は円柱形部材(すなわち、円形断面を有する)を有するが、しかしながら、どんな他の適当な断面形状(限定せずに、オーバル、正方形、長方形、3角形、他を含む)が使われてもよい。図解された実施例では、該支柱320、322は、それらが該第1窓304a/306aから第2窓304b/306bまで延びる時、実質的に一定の断面を保持するが、しかしながら、変化する断面が使われてもよい。
【0140】
図17−18で示される実施例では、該支柱320,322は実質的に同じ断面積であり、1つの支柱(a single strutt)が室304,306の各々で使われる。しかしながら、2,3、4本又はそれより多くが各室で使われてもよい様に、各室で使われる支柱の数は変化してもよく、基準化室支柱の全断面積はサンプル室のそれと等しい(1つの実施例で)か、又はそれと異なる(もう1つの実施例で)か何れでもよい。同様に、支柱(複数を含む)は該基準化室及びサンプル室304,306の1つのみ又は両者に使われてもよい。
【0141】
1実施例では、該支柱320,322の各々は、該サンプル要素302が使われる被検体検出システム(システム10の様な)により使われるエネルギーの波長(複数を含む)に対し実質的に不透明である。例えば、該支柱320、322は、該検出システムにより使われるソース(source)強度範囲内で、そして該支柱320,322のより短いもの以下の路長で形成される時、関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明な材料で形成されてもよい。もう1つの実施例で、該支柱は上記基準(criteria)を充足しない材料で形成され、マスク層(示されてない)が、各支柱と軸方向に整合されて、各支柱内か、又は該窓304a/306aの1つ及び該窓306a/306bの1つの、中又は上、に位置付けられてもよい。該マスク層は、該支柱320,322を通る該エネルギービームEの通過を実質的に防止するよう、関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明で、対応する支柱の(最大の)断面に適合するよう形付けられ、寸法付けられる。なお更に進んだ実施例では、何等かの適当な構造体が該支柱320,322を通るエネルギービームEの通過を実質的に防止するために使われてもよい。
【0142】
該支柱320,322を関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明にするか、又は該支柱320,322を通るエネルギービームEの通過を他の仕方で防止することにより、各室304,306で測定された吸光度/透過率の差又は比が計算される時、該支柱の吸光度/透過率は該吸光度/透過率データから除外される(drops out)。換言すれば、該支柱320,322の吸光度/透過率を該支柱の長さから独立にすることにより、これらの吸光度/透過率は、それらの長さの差にも拘わらず、被検体濃度計算の中で説明され得る(can be accounted for)。もう1つの実施例では、該支柱320,322を実質的に等しい吸光度又は透過率を有するよう他の仕方で作るが、該支柱320,322を不透明にすることなく、同じ結果が得られ得る。
【0143】
なおもう1つの実施例では、該支柱(複数を含む)320,322は関心のある波長(複数を含む)で高度に透過性である材料で形成されてもよい。例えば、被検体濃度測定に赤外線波長が使われる場合、該支柱(複数を含む)はシリコン、ゲルマニウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組み合わせで形成されてもよい。
【0144】
図17は又、サンプル要素302の上部平面図として、それぞれ基準化室及びサンプル室304,306と流体的に連通するベント通路324及び供給通路326を描いている。該ベント及び供給通路324,326は、サンプル要素120と関連して上記で開示されたそれらの相手部分(counterparts)と概ね同様である。加えて、該ベント通路324及び供給通路326はここで論じられるサンプル要素302の実施例の何れで使われてもよい。
【0145】
更に、ここに開示される種類の1つ以上の支柱が、該上部窓202cから下部窓202dまで延びるよう、該サンプル要素120のサンプル室200内で使われてもよいことが考慮されている。
【0146】
図19及び20は、図11−12及び図17−18に関連して上記で論じられた該サンプル要素302のなおもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図19−20で描かれたサンプル要素302の実施例は、上記で開示されたサンプル要素120、及び/又は図11−12及び図17−18のサンプル要素302と、概ね同様であってもよい。加えて、図19−20で描かれたサンプル要素302は、図11−12及び図17−18で描かれたサンプル要素302に関連して論じられた方法を、それに限定しないが、含み、ここで開示されたサンプル要素基準化方法の何れかの実施で使われてもよい。
【0147】
図19−20で描かれた該サンプル要素302は、接着剤、ヒートボンデイング(heat bonding)、超音波ボンデイング(ultrasonic bonding)、一体形成、他の様な何等かの適当な手段により、好ましくはその下側で、該サンプル要素302に固着される硬化層(stiffening layer)340を有する。該硬化層340は、該サンプル要素302に追加のリジディティ(rigidity)とスチフネス(stiffness)を与えるよう、寸法付けられ、形付けられ、そしてその材料が選ばれる。該硬化層304は、該サンプル要素302の残りを形成するため使われる材料、又は望まれる他の適当な材料で形成されてもよい。該硬化層340は、電磁エネルギーのビーム(該サンプル要素302が該システム10と共に使われる時該ビームEの様な)が該窓304b、306bへ進むことを可能にするよう、該基準化室304及び該サンプル室306と整合される開口部342を有する。該開口部342の他に、該硬化層340は好ましくは該サンプル要素302の下側と同一広がりを持つ(coextensive)のがよい。
【0148】
他の実施例では、図19−20で描かれた硬化層340の代わり、又はそれに加えて、同様な硬化層が該サンプル要素302の上側に固着されてもよい。この様な上側硬化層(upper−side stiffening layer)は、該サンプル要素302の上側上の基準及びサンプル室304,306間の厚さの差に適合するために食い違い部分(staggered portion)を有してもよい。
【0149】
該層340と同様な1つ以上の硬化層が、上記で開示されたサンプル要素120と共に使われ、該第1及び第3層220,240の1つ又は両者に固着されてもよいことが更に考慮されている。
【0150】
図21は図11−12及び図17−20に関連して上記で論じたサンプル要素302のもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図21で描かれるサンプル要素302の実施例は上記開示のサンプル要素120、及び/又は図11−12及び図17−20のサンプル要素302、と概ね同様である。加えて、図21で描かれるサンプル要素302は、図11−12及び図17−20で描かれたサンプル要素302に関連して論じられた方法を、それに限定しないが、含めて、ここに開示されるサンプル要素基準化方法の何れかを実施するのに使われてもよい。
【0151】
図21に描く該サンプル要素302は更に硬化リブ(stiffening ribs)350を有するが、該硬化リブは第1及び第2基準化窓304a、304bの1つ又は両者と共に一体的に(integrally)形成される。該硬化リブ350は好ましくは該窓304a、304bの全長を跨いで延びるのがよく、そして該サンプル要素302の残り内に続いてもよい。図21に描かれた該硬化リブは該窓304a、304bを長手方向に跨いで延びるよう配置されるので、それらは、該サンプル要素302が被検体濃度の測定で使われる時、該室304を通過させられたエネルギーのビームの光軸線の概ね直交して延びる。例えば、該サンプル要素302が被検体検出システム10内に置かれた時、該リブ350は主軸線X、及び/又はエネルギービームEに概ね直交して延びる。他の実施例では、該リブ350は、それがこの様な光軸線に概ね直交して延びる限り、どんな方向にも延びてよい。更に、該リブ350は窓304a、304b、306a、306b又はサンプル要素120の窓202c、202dのどんな組み合わせで使われてもよい。
【0152】
これらの実施例の何れでも、図21に描かれたそれらより他の、どんな適当な寸法、形状そして数のリブが使われてもよい。しかしながら、1実施例では、該窓304a上で使われるリブの形状は該窓306aのそれと実質的にマッチしており、該窓304b上で使われるリブの形状は該窓306bのそれと実質的にマッチしている。この様な配置は該サンプル要素302と共に使われるサンプル要素基準化された方法の精度を改善する。
【0153】
該リブ350は該窓304a,304b,306a、306bの平面度を保存するのに有利に役立ち、それにより該サンプル要素302を用いて行われる被検体濃度測定の精度を高める。サンプル要素形状(例えば、路長、窓平面度、窓平行度)の不完全さにも拘わらず、測定精度を保存するために種々のアルゴリズムが下記で開示されるが、該リブ350は、被検体濃度を測定する時、この様なアルゴリズムの種々の組み合わせ、の代わり、又はそれに加えて、使われてもよい。
IV.アルゴリズム(ALGORITHMS)
このセクションは、サンプルS中の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため、及び/又は被検体濃度の計算のサポートで使用されてもよい他のメザー(measures)を計算するため、使われてもよい多数の計算方法又はアルゴリズムを論ずる。このセクションで開示されるアルゴリズムの何れかの1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度、又は他の関連メザーを計算するために、該被検体検出システム10のプロセサー180による実効用にアクセス可能なように、メモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。代わりに、このセクションで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、被検体濃度又は他のメザーの決定用に、マサチューセッツ州、ウエルズレイのパーキンエルマー社(Perkin−Elmer Inc., of Wellesley, MA)から入手可能なスペクトラムワンモデル(SPECTRUM ONE model)の様なフーリエ変換赤外線スペクトロメーター(Fourier Transform Infrared Spectrometer){エフテーアイアール(FTIR)}により、又はそれと関連して、実行されてもよい。加えて、このセクションで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、図7で描かれそして上記で論じられた方法190の実施例の何れかと関連して使われてもよい。例えば、該開示されたアルゴリズムは、該方法190により出力された(何等かの)最終透過率値TFλ1,TFλ2,...TFλnから該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。
A.血液被検体濃度を決定するための方法(Methods for Determining Blood Analyte Concentrations)
多くの測定で、測定された吸収率スペクトラム(absorption spectrum)への関心のある被検体(例えば、ブドウ糖)からの寄与は該サンプル内で他の物質からの寄与の小さなパーセンテージに過ぎないことが多い。例えば、血液は容積では約70%の水、約30%の固体、大抵はタンパク質、そしてほんの約0.1%のブドウ糖から成るのが典型的である。又血液は、尿素、アラニン(alanine)、そして或る場合には、アルコール又は菓糖(fructose)の様な他の糖(sugars)、の様な他の種(species)を含む。従って、血液ブドウ糖測定は高度に鋭敏で、不精確になりやすい(vulnerable to inaccuracies)。
【0154】
もし精密なブドウ糖測定が望まれるなら、種々の血液構成分の各々の特性が考えられるべきである。何れかの与えられた波長でのサンプル吸収はその波長での該サンプルの各成分の吸収の和であるから、アイアール(IR)吸収測定はこれらの他の成分の存在により複雑化される。結果として、他の血液成分の存在のために測定されたアイアール吸収への有効な補償と調整を可能にするために、どの構成分がそのサンプル内にあるかを理解すること、それらの、測定されつつる被検体(ブドウ糖の様な)への影響を理解すること、そして本質的で測定デバイスに関連のある変数が引き起こす何等かの差を修正すること、が有用である。
【0155】
有利なことに、中間赤外線スペクトル領域(mid−IR spectral region)(例えば、約4μmから約11μm)での吸収データが使われる。水はこのスペクトル領域に亘り全吸収への主な寄与者(contributor)であるが、約6.8μmから10.5μmの血液スペクトラム内に存在するピーク及び他の構造物(peaks and other structures)は他の血液成分の吸収スペクトルに依る。ブドウ糖は約8.5から10マイクロメーターに強い吸収ピーク構造物を有するので該4から11μm領域は有利と分かったが、大抵の他の血液構成分は該8.5から10μmの範囲内で低くフラットな吸収スペクトルを有する。主な例外は水とヘモグロビン(hemoglobin)であり、それらの両者はこの領域内で可成り強く吸収し、かつ、それらは濃度の意味では2つの最も意味のある血液成分である。ここで説明される技術の或る実施例はかくして、サンプル内ブドウ糖の寄与、そしてかくして濃度を解明するために、このスペクトル領域から水とヘモグロビンの寄与を除去することに向けられる。
B.血液被検体濃度の路長に鈍感な決定法(Pathlength−Insensitive Determinations of Blood Analyte Concentrations)
或る実施例では、1つの方法が被検体の濃度を、該被検体と物質とを含むサンプル内で決定する。該方法は該サンプルの吸収率スペクトラムを提供する過程を具備し、該吸収率スペクトラムは吸収率ベースライン(absorption baseline)を有する。該方法は更に、該吸収率ベースラインが選択された吸収波長範囲内の選択された吸収値に概略等しくなるように該吸収スペクトラムをシフトする過程を具備する。該方法は更に該吸収スペクトラムから物質寄与(substance contribution)を引き算する過程を具備する。かくして、該方法は該物質からの寄与の実質的にない修正された吸収率スペクトラム(corrected absorption spectrum)を提供する。
【0156】
或る実施例では、該吸収率スペクトラムを提供する過程は、該サンプルの透過率スペクトラムを提供する過程を備え、該透過率スペクトラムは透過率ベースライン(transmittance baseline)を有する。或る実施例では、該サンプルの該透過率スペクトラムは、該サンプルを通して赤外線信号(infrared signal)の少なくとも1部分を透過させることにより提供される。該赤外線信号は複数の波長を含む。該サンプルを通して透過される該赤外線信号の部分は波長の関数として測定される。ここで説明される実施例に依れば該透過率スペクトラムを提供するために種々の構成とデバイスが使用される。
【0157】
或る実施例では、該透過率ベースラインは、透過率が最小である波長での透過率スペクトラムの値であるよう規定される。血液用では、この値は水とヘモグロビンの両者が強い吸収体である約6.1−6.2μmにあるのが典型的である。これらの波長での該サンプルからの透過率スペクトラムが殆どゼロであると期待されるが、機器誤差(instrumental error)及び熱的ドリフト(thermal drift)の様な種々の影響が該透過率ベースラインへのゼロにさせない寄与が生じ得る。加えて、機器誤差及び熱的ドリフトの様な影響は、透過率スペクトラムでの既知の特徴が、期待されるこれらの特徴の波長から、波長シフトすることに帰着する。
【0158】
或るこの様な実施例では、該吸収率スペクトラムを提供する過程は、該透過率ベースラインが選択された透過率波長範囲で概略ゼロに等しくなるよう該透過率スペクトラムをシフトする過程を具備する。サンプルが血液を含む或る実施例では、該選択された透過率波長範囲は該透過率が最小となる波長を含む。或るこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は約6μmと約6.15μmの間の波長を含む。他のこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は約12μmと約13μmの間の波長を含む。これらの波長での透過率スペクトラムは、低い濃度レベルで存在する種々の血液成分からの寄与により部分的に影響される。なお他のこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は3μmに概略等しい波長を含む。これらの波長の各々は強い水の吸収ピークに対応する。
【0159】
該透過率ベースラインへのゼロにさせない寄与がある実施例では、該透過率スペクトラムはシフトされてもよい。或る実施例では、該透過率スペクトラムは、6から6.2μmの波長範囲内の透過率スペクトラムがゼロに概略等しくなるようにシフトされる。既知の特徴がそれらの期待される波長から波長でシフトされている様な実施例では、該透過率スペクトラムは波長でシフトされ得る。加えて、該透過率スペクトラムの該シフト過程は非線形的に行われることが可能である(例えば、透過率スペクトラム間で種々の波長を種々の量だけシフトする)。
【0160】
吸収率スペクトラムを提供する過程は更に、該透過率スペクトラムから吸収率スペクトラムを決定する過程を具備する。或る実施例では、透過率スペクトラムと吸収率スペクトラムの間の関係は下記の様に表され、
A(λ)=ln{1/T(λ)}
ここでλは波長、A(λ)は波長の関数としての吸収率、そしてT(λ)波長の関数としての透過率である。
【0161】
或る実施例では、該方法は該その吸収率ベースラインが選択された吸収率波長範囲内の選択された吸収率値(0,0.5、1,他の様な)に概略等しいように該吸収率スペクトラムをシフトする過程を具備する。或る実施例では、該吸収率ベースラインは、低吸収率を有する吸収率スペクトラムの部分により規定されるよう選択される。該サンプルが血液を含む或る実施例では、該選択された吸収率波長範囲は約3.8μmと約4.4μmの間の波長を含む。或る他の実施例では、該選択された吸収率波長範囲は約9μmと約10μmの間の波長を含む。
【0162】
サンプルが血液を含む或る他の実施例では、該吸収率ベースラインは、水と全血タンパク質が概略等しい吸収率を有する等吸収の波長(isosbestic wavelength)での該吸収率スペクトラムの大きさであるよう規定される。この様な実施例では、該吸収率スペクトラムは、該全体の波長スペクトルデータセットに亘り一定オフセット値を加算又は引き算することにより、該等吸収波長に於ける選択された値へシフトされる。加えて、該吸収率スペクトラムの該シフト過程は非線形的に行われ得る(例えば、種々の波長範囲内の吸収率スペクトラムの部分を種々の量だけシフトする)。該吸収率がタンパク質−水の等吸収点で或る値(例えば、0)にセットされるよう該吸収率スペクトラムをシフトすることは、ゼロに対する全体的スペクトラム位置がヘモクリットレベル(hemocrit level)へ依存するのを除くのに役立って好ましい。
【0163】
有効な等吸収点は種々の溶液内の種々のタンパク質について種々あると期待され得る。例示的全血タンパク質は、ヘモグロビン、アルブミン、グロブリン、そしてフエリチン(ferritin)を含むが、それらに限定されない。これらの等吸収波長は、他の波長範囲での測定の前か又は途中の何れかで、充填済みクベット内の有効光路長の現在のメザーを得るため利用され得る。
【0164】
この様な情報は機器関連の路長の非線形性の補償用の次の計算で非常に有用である。等吸収波長ではタンパク質と水の測定された吸収率は同一なので、該等吸収波長での該測定された吸収率はタンパク質濃度と水濃度の比(ヘモクリットレベル)から独立している。等吸収波長では、与えられたサンプル容積について、該サンプルが全体が水であろうと、全体がタンパク質であろうと、又は該2つの或る組み合わせであろうと、同じ量の吸収率が観察されるであろう。該等吸収の波長での吸収率はその時、水及びタンパク質の相対濃度から独立して、合計サンプル容積の指示である。従って、等吸収波長で観察された吸収率は唯の該サンプル路長のメザー(measure)である。或る実施例では、等吸収波長での該観察された吸収率はサンプル用の有効光路長(effective optical pathlength)の測定用に有用であり得る。結果として、上記説明された方法の種々の実施例は、光路長から独立して、すなわち、路長の前以ての知識の必要無しに、そして/又は、該サンプル要素のサンプル室が指定された又は期待された路長に近く適合することを要せずに、サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を精密に決定するため使われ得る。加えて、この様な情報は、機器に関連した路長の非線形性の補償用に次の計算で使われ得る。或る実施例では、これらの測定は他の波長範囲での吸収率測定の前又は同時に行われ得る。
C.非被検体寄与の吸収率データからの引き算(Subtraction of Non−Analyte Contributions From Absorption Data)
分光学的分析の1つの目標は合計血液容積に対する被検体容積(例えば、ブドウ糖容積)の比率の導出である。ブドウ糖濃度を測定する過程は、該ブドウ糖の検出を妨害する血液内他物質からの吸収率スペクトラムへの1つ以上の寄与を引き算する過程を含む。或る実施例では、基準物質吸収率スペクトラムが提供され、スケール合わせ係数をそれに掛け算することによりスケール合わせされる。該スケール合わせされた基準物質吸収率スペクトラムが測定された吸収率スペクトラムから引き算される。この手順はかくして、該物質からの寄与が実質的にない修正吸収率スペクトラム(corrected absorption spectrum)を提供する。この様な手順は、水及び/又はヘモグロビンのみならず血液の他の構成分の吸収率寄与も引き算するため使われ得る。加えて、該スケール合わせ係数は該基準物質吸収率スペクトラムの該物質による吸収率のメザーを提供する。下記でより充分説明される様に、多数の物質用に多数のスケール合わせ係数が決定される実施例では、該スケール合わせ係数の比率は当該物質の濃度比に関する情報を提供する。濃度比のこれらの決定は該サンプルを通る光路長から実質的に独立である。この様な濃度比は該サンプルを通る光路長に無関係に該サンプル内の選択された物質の濃度を決定する。
【0165】
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムは更に、関心のある被検体に依らない他の寄与について修正されることが可能である。例えば、アルコールは、アルコールの吸収率が関心のある波長範囲内でブドウ糖のそれと似ているので、ブドウ糖測定と干渉する可能性のある物質である。純ブドウ糖の約9.2μmでの吸収率ピークに対する約9.6μmでの吸収率ピークのピーク高さ比は約1.1−1.2であり、純アルコールの該比は約3.0−3.2であることが観察されている。ブドウ糖とアルコールの混合物の吸収率スペクトラムについては、このピーク高さ比はこれら2つの値間を変化する。かくして、該ピーク高さ比はアルコールとブドウ糖の相対濃度を決定するために使われ得る。アルコールの寄与は次いで該測定された吸収率スペクトラムから引き算され得る。
【0166】
或る実施例では、該測定された吸収率スペクトラムは、7.1μm付近に中心がある吸収率ピークを有する遊離タンパク質の寄与について修正され得る。或る他の実施例では、測定された吸収率スペクトラムは更に、水と全血タンパク質の間の境界層の寄与を修正され得る。該境界層の成分による測定吸収率スペクトラムの特徴は、水と全血タンパク質の間の相互作用で生じる。これらのスペクトル的特徴は”バウンド(bound)”成分(components)又はタンパク質水和物(hydrated protein)に帰せられる。測定吸収率スペクトラムに亘る対応する寄与は、修正された吸収率スペクトラムが選択された波長範囲について概略ゼロであるように、適当なスケール合わせされた基準吸収率(appropriate scaled reference absorption)を引き算することにより修正され得る。或る実施例では、該波長範囲は約7.0と7.2μmの間にあるか、又は代わりに、7.9と8.1μmの間に、又は代わりに組み合わされた波長範囲に、ある。
【0167】
又温度は、水の吸収率スペクトラムが温度変化と共に変わるので、全スペクトラムへの水の寄与の修正引き算(correct subtraction)に影響する。従って該システムが、各1つが選択された温度範囲に適用可能な、幾つかの異なる水基準スペクトラムを記憶することが有利である。その適当な基準はサンプルの温度に基づくスケール合わせと引き算用に選択される。或る実施例では、熱電対、ヒーター,等の様なハードウエアが、サンプルの温度を直接測定又は制御するために提供されてもよい。このアプローチは時に適切であるが、サンプルが非常に小さい時血液温度を精密に測定し、制御することは難しく、そして現実の血液温度はクベット温度又はクベットを囲む周囲温度で変化する。
【0168】
吸収率スペクトラムへの温度の寄与は、水吸収率スペクトラムの種々の部分が種々の量だけ温度により影響されるので、代わりにサンプルスペクトラム自身を解析することにより取り組まれ(addressed)得る。例えば、約4.9μmと5.15μmの間の水吸収スペクトラムの吸光度差(absorbance difference)は温度に非常には左右されないが、4.65μmと4.9μmの間の吸光度差は非常に温度に左右される。一定水濃度を有する与えられたサンプルについて温度が変化すると、4.65と4.9μmの間の吸光度差は大きく変化し、4.9と5.15μmの間の吸光度差は全くのところ大きくは変化しない。かくして、高い温度依存性を有する2点(例えば、4.65と4.9μm)間の吸光度差の、低い温度依存性を有する2点(例えば、4.9と5.1μm)間の吸光度差に対する比率は温度のメザーとして使われ得る。一旦この測定が行われると、幾つかの異なる記憶された水基準カーブからの適当な選択が行われ得る。
【0169】
或る実施例では、記憶されたスペクトラムを波長非線形性(wavelength nonlinearities)について修正することにより基準物質吸収スペクトラム(reference substance absorption spectrum)が提供される。例えば、該物質が水を含む場合、光路長の知識(1つ以上の等吸収波長での全サンプル吸収に基づいての)のみならず水吸収が優位な1つ以上の波長での測定された吸収(例えば、約4.5と5μmの間で)が、記憶された基準水吸収スペクトラムを、該スペクトラム間の波長非線形性について修正するため使われ得る。記憶された基準スペクトラムのこの様な修正は最終結果の歪みを減じるために有利である。同様に、等吸収波長(isosbestic wavelength)に於ける全サンプル吸収のみならず、選択された波長範囲(例えば、7.0−7.2μm又は7.9−8.1μm)での全タンパク質吸収にも基づく、光路長の前以ての知識は、非線形性を補償した基準タンパク質吸収率スペクトラムの修正を可能にする。
【0170】
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムを、1つ以上の物質の寄与について修正した後、該修正された吸収率スペクトラムは被検体濃度の測定を提供するため、基準被検体スペクトラムデータに適合される。該基準被検体スペクトラムデータは被検体吸収率最大値に近い波長のデータを含む。例えば、ブドウ糖の吸収率スペクトラムは種々のピークを備え、その2つの極大ピークはそれぞれ約9.25と9.65μmの波長にある。約8.5μmの波長と約9.65μmの波長の間の修正された吸収率スペクトラムの吸収率差は血液サンプル中のブドウ糖濃度のメザーを提供する。血液内のブドウ糖の規定(すなわち、サンプル容積当たりブドウ糖のメザー)に従うと、ブドウ糖濃度用の有用なメザーは好ましくは、最終ブドウ糖量(final glucose quantity)を、全部の水、全部のタンパク質、又は代わりに両者の組み合わせで割り算することによりアルゴリズム的に得られた赤外線量(infrared quantities)から得られるのがよい。
【0171】
上記議論はアイアール波長(IR wavelengths)の全体範囲上での測定値を含むデータのセットに焦点を合わせているが、該全体のスペクトラムに必ずしも亘らず、解析で使う個別波長だけで、データを得ることが評価される。ブドウ糖濃度を見出すために全血スペクトラムから水とヘモグロビンの寄与を引き算する或る実施例では、10回以下程の全体測定しか要しない。引き算されるべき追加成分は各々に更に1つ又は2つの測定を要する。
【0172】
例えば、水の寄与を特性付けるために、約4.7μmと5.3μmでの測定値が得られてもよい。ヘモグロビンを特性付けるためには、約8.0と8.4μmでの測定値が得られてもよい。該ブドウ糖特性付けは約8.5μmと9.6μmの間の差の測定を含む。これは6つの値、すなわち各成分用に2つ、である。透過率曲線をゼロにさせ、吸光度値をシフトすることが望まれる実施例では、6.1μm水吸光度ピークと4.1μm水/タンパク質等吸収点付近での透過率測定を更に行うことが望ましい。上記説明の様に、約4.9μmのもう1つのデータ点の追加は温度の決定を可能にする。約9.25μmのより低いアルコールピークでのもう1つの測定は、上記でも説明されたのみならず、ブドウ糖測定でアルコール含有量を補償するためにも使われ得る。或る実施例では、これら6つの波長での不透明度の値は6つの線形方程式で表され得るが、該式はブドウ糖濃度路長と、合計血液容積に対するブドウ糖容積の比と、を生ずるために解くことが出来る。
【0173】
或る実施例では、該方法は不透明度{オーデー(OD)}を使い、それは下記の様に表され得るが、
ODi=(cwαwi+chαhi+cgαgi)・d
ここで d=クベット路長
cw=水容積濃度
ch=ヘモクリット容積濃度
cg=ブドウ糖容積濃度
αwi=波長’i’での水吸収率
αhi=波長’i’でのヘモクリット吸収率
αgi=波長’i’でのブドウ糖吸収率、である。
種々の波長での種々の成分(例えば、αwi、αhi、αgi)の吸収率は該成分自身の特性であり、既知であるか又は被検体濃度の計算で使うためにそのシステムに提供され得る。下記で説明される種々の実施例では、血液サンプルは、水、ヘモクリット、そしてブドウ糖の3成分混合物(three−component mixture)としてモデル化される(すなわち、cw+ch+cg=1)。
【0174】
或る実施例では、その方法は3つの2波長セット(two−wavelength sets)を使う。第1セットは水吸収が優位な波長領域内にある。第2のセットは水とヘモクリットの吸収が優位な領域にあり、第3セットは全3成分からの吸収が優位な領域にある。或る実施例では、その計算は、オフセットとベースラインドリフト誤差(offsets and baseline drift errors)を減らす、又は最小化するために、各波長の対のオーデー差(OD differences)に基づいている。該6波長の各々での該3成分についての吸収率値が表1で示される。
【0175】
【表2】
【0176】
これらの値を表1からオーデー用の該方程式内に置換すると下記関係を生ずる。
【0177】
OD1=cwαw1d
OD2=cwαw2d
OD3=(cwαw3+chαh3)・d
OD4=(cwαw4+chαh4)・d
OD5=(cwαw5+chαh5+cgαg5)・d
OD6=(cwαw6+chαh6+cgαg6)・d
該方法の或る実施例は水濃度と通路長さの積に等しい量Aを計算する過程を有する。該量Aは”水スケール合わせ係数(water scaling factor)”と称され得て、次の関係で表され得る。
【0178】
A=(OD2−OD1)/(αw2−αw1)=cwd 該2つの波長での水吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於いて2つの測定された吸収値の差の2つの基準吸収値の差とのこの比は、該サンプルでの水の量を示す水スケール合わせ係数Aを生ずる。
【0179】
Aと、各波長での水吸収率と、を用いて、次いで”水のない(water free)”ODが計算され得て、下記関係で表される。
【0180】
ODi’=ODi−Aαwi
この方法では、該”水のない”OD値は測定されたODから水用のスケール合わせされた基準吸収率値を引いたものである。上記式の組み合わせは下記関係を生ずる。
【0181】
OD3’=chαh3・d
OD4’=chαh4・d
OD5’=(chαh5+cgαg5)・d
OD6’=(chαh6+cgαg6)・d
或る実施例では、波長3と4での該”水のない”吸収率は、ヘモクリット濃度と路長との積に比例する量Bを計算するため使われる。該量Bは”ヘモクリットスケール合わせ係数(hemocrit scaling factor)”と称され得て、下記関係で表され得る。
【0182】
B=(OD4’−OD3’)/(αh4−αh3)=chd
該2つの波長でのヘモクリット吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於ける、2つの”水のない”OD値の差のヘモクリット用の2つの基準吸収率値の差とのこの比は、該サンプル内のヘモクリットの量を示すヘモクリットスケール合わせ係数Bを生ずる。
【0183】
Bと、各波長でのヘモクリット吸収率と、を使うことにより、下記関係により表されるべき或る実施例で”ブドウ糖のみの(glucose only)”ODが計算される。
【0184】
ODi”=ODi’−Bαhi
この方法では、”ブドウ糖のみの”OD値は測定されたOD値から、水及びヘモクリット用のスケール合わせされた基準吸収率値を引いたものに等しい。
【0185】
上記式から、下記関係が計算され得る。
【0186】
OD5”=cgαg5d
OD6”=cgαg6d
ブドウ糖濃度と路長の積は、”ブドウ糖スケール合わせ係数(glucose scaling factor)”と称される量Cで与えられ、それは下記関係で表され得る。
【0187】
C=(OD6”−OD5”)/(αg6−αg5)=cgd
該2つの波長でのブドウ糖吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於ける、2つの”ブドウ糖のみの”OD値の差のブドウ糖用の2つの基準吸収率値の差とのこの比は、該サンプル内のブドウ糖の量を示すブドウ糖スケール合わせ係数(glucose scaling factor)Cを生ずる。
【0188】
ブドウ糖容積の総血液容積に対する望まれる比は、次いで(関係cw+ch+cg=1を使って)下記関係で表され得る。
【0189】
cg=cg/(cw+ch+cg)=C/(A+B+C)
水スケール合わせ係数、ヘモクリットスケール合わせ係数、そしてブドウ糖スケール合わせ係数の和に対する、ブドウ糖スケール合わせ係数の比を取ることにより、最終の濃度比cgはサンプルの路長から実質的に独立している。かくして、ここで説明された或る実施例は血液サンプルの路長から独立して血液サンプルのブドウ糖含有量(glucose content)を決定する方法を提供する。
D.吸収率へのシステム及び温度の影響(System and Temperature Effects on Absorption)
或る実施例では、最終吸収率スペクトラム(例えば、機器ドリフト、光路長、歪み、そして主要部品からの寄与、について修正された後)は、ブドウ糖寄与を除くために基準ブドウ糖吸収率スペクトラム(reference glucose absorption spectrum)に適合され得る。この吸収率スペクトラムは更に残留成分の個別決定用に使われ得る。或る実施例では、該残留成分は、他のタンパク質、アルブミン、ヘモグロビン、フイブリノゲン(fibrinogen)、リポタンパク質、そしてトランスフエリン(transferrin)を含むが、それに限定されない、高分子量物質を含む。或る実施例では、該残留成分は、尿素、乳酸塩、そしてビタミンCを含むが、それに限定されない、低分子量物質を含む。最終のブドウ糖メザー(glucose measure)は、該残留データから、尿素の様な、特定物質の基準スペクトルを引き算することにより、この様なより低いレベルの可能性的に干渉性のある物質の存在について修正される。
1.項目の和としての一体の不透明度の表現(Expression of integral optical density as sum of terms)
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムへの種々の非被検体の寄与が決定される。フィルター”n”を通して透過された光により照射される水を充たしたクベットについて、その不透明度は、該フィルターを通る平均水吸収率に路長を掛け算したものに、有限なフィルター幅と形状による修正項、該クベット形状による修正項、及び下記関係による有限なフィルター幅とクベット形状で生ずるクロス項(cross−term)、をプラスしたものと等しいと表される。
【0190】
【数1】
【0191】
2.不透明度への温度の影響(Temperature effects on optical density)
加えて、該不透明度ODnは、該測定された吸収スペクトラムへの、水温の変化、フィルター温度の変化、そして水及びフィルター温度変化で生ずるクロス項、の寄与を含むよう下記の関係により表され得る。
【0192】
【数2】
【0193】
E.吸収率データからのシステム及び温度影響の引き算(Subtraction of System and Temperature Effects From Absorption Data)
吸収率データの解析は好ましくは路長、水温、フィルター温度及びクベット形状を決めるために有限数の吸収率測定を使うのがよい。或る実施例では、該解析は4つのOD測定値を利用するが、該OD測定値は、Tn=0と〈αn〉=〈α0n〉と仮定して、下記関係で表される、解かれるべき1セットの線形方程式として表される。
【0194】
【数3】
【0195】
線形方程式のこのセットの解は、非線形項(T1....T4)を評価するため使われるパラメーター(davg、ΔTw、ΔTf、A)の初期の見積を提供出来る。(davg、ΔTw、ΔTf、A)の次の見積は下記関係を解くことにより見出し得る。
【0196】
【数4】
【0197】
この過程は、路長、水温、フィルター温度及びクベット非平行度(non−parallelism)(すなわち、該サンプル室の相対する壁/窓が平行から外れる程度)の見積が収斂するまで繰り返される。
【0198】
このアプローチを用いる測定は温度及びクベット/サンプル室形状の全範囲に亘っては望まれる精度を供給しないかも知れない。他のアプローチがもっと安定な結果を生ずるため使われてもよい。1つのこの様な代わりのアプローチ上記方程式を下記の様に書き直すことに基づく。
【0199】
ODn=〈α0n〉davg+〈βn〉ΔTwdavg+〈γn〉ΔTfdavg+〈αn〉2A−(1/2)d2avgJ3n+Sn
Sn=〈ξn〉ΔTwΔTfdavg−AJ3n{1−2〈αn〉davg+(1/2)〈αn〉2d2avg}
これらの関係の項を配置し直すと下記関係を生ずる。
【0200】
ODn−davg〈α0n〉+(1/2)d2avgJ3n−Sn=davg〈βn〉ΔTw+davg〈γn〉ΔTf+〈αn〉2A
この関係が吸収データを解析するため使われる実施例は下記で説明される。
1.水温、フィルター温度、クベット形状解析(Water temperature, filter temperature, cuvette shape analysis)
或る実施例で、水温、フィルター温度、そしてクベット形状が解析される。この様な実施例では、該解析は、透過率測定値、フィルターパラメーター及び水スペクトラム特性が入力される”ステップ1”を有する。
【0201】
透過率測定値(τ1,τ2,τ3,τ4)
フィルター曲線[f1(λ)、f2(λ)、f3(λ)、f4(λ)]
フィルター温度感度[{(dλ1)/(δTf)}、{(dλ2)/(δTf)}{(dλ3)/(δTf)}{(dλ4)/(δTf)}]
水スペクトラム特性[α0(λ)、β(λ)、{δα0(λ)}/(δλ)、{δβ(λ)}/(δλ)]
該解析の或る実施例は更に不透明度及びフィルター定数が計算される”ステップ2”を有する。
【0202】
【数5】
【0203】
或る実施例では、該解析は更に、該非線形フィルター項とクベット歪みマトリックス要素が下記関係を用いて見積もられる”ステップ3”を有する。
【0204】
【数6】
【0205】
或る実施例では、該解析は、(OD1、OD2、OD3)と(OD2、OD3、OD4)とを使って路長dの関数として(ΔTw、ΔTf,A)について解く”ステップ4”を有する。(davg、ΔTw、ΔTf,A)の値は両セットの透過率測定値用に(ΔTw、ΔTf、A)の解が同じになるdの値を見出すことにより見積もられる。
【0206】
【数7】
【0207】
或る実施例では、該解析は更に、吸収率及び非線形項の新しい見積が計算される”ステップ5”を有する。
【0208】
【数8】
【0209】
或る実施例では、該解析は更に、”ステップ4”と”ステップ5”が、その解が望まれる精度に収斂するまで繰り返される”ステップ6”を有する。
2.水温、フィルター温度、平行クベット解析(Water temperature, filter temperature, parallel cuvette analysis)
或る他の実施例では、該水温及びフィルター温度が平行クベット(すなわち、該サンプル室の相対する壁が実質的に平行なもの)用に解析される。この様な実施例では、該解析は透過率測定値、フィルターパラメーター及び水スペクトル特性が入力される”ステップ1”を有する。
【0210】
透過率測定値(τ1,τ2,τ3)
フィルター曲線[f1(λ)、f2(λ)、f3(λ)]
フィルター温度感度[(dλ1)/(δTf)、(dλ2)/(δTf)、(dλ3)/(δTf)]そして
水スペクトル特性[α0(λ)、β(λ)、{δα0(λ)}/(δλ)、{δβ(λ)}/(δλ)]
該解析の或る実施例は更に不透明度及びフィルター定数が計算される”ステップ2”を含む。
【0211】
【数9】
【0212】
或る実施例では、該解析は更に、該非線形フィルター項及びクベット歪みマトリックス要素(cuvette distortion matrix element)が下記関係を使って見積もられる”ステップ3”を有する。
【0213】
【数10】
【0214】
或る実施例では、該解析は更に、該解析が(OD1、OD2)及び(OD2、OD3)を使って路長dの関数として(ΔTw、ΔTf)について解く”ステップ4”を含む。(davg、ΔTw、ΔTf)の値は、(ΔTw、ΔTf)用の解が透過率測定値の両セット用に同じであるdの値を見出すことにより見積もられる。
【0215】
【数11】
【0216】
或る実施例では、該解析は更に、吸収率及び非線形項の新しい見積が計算される”ステップ5”を有する。
【0217】
【数12】
【0218】
或る実施例では、該解析は更に、該解が望まれる精度に収斂するまで”ステップ4”及び”ステップ5”が繰り返される”ステップ6”を有する。
F.機器要因による被検体濃度への寄与(Contribution to Analyte Concentration Errors by Instrument Factors)
或る装置により各波長で測定された透過率データは機器要因と血液特性の組み合わせにより影響されるのが典型的である。該機器要因は、フィルター温度、クベット形状及びフィルター特性(例えば、中心波長、温度感度、帯域幅、形状)を含むが、それに限定されない。血液特性は血液温度、血液成分の相対濃度及び散乱(scattering)を含むがそれに限定されない。該透過率データが被検体濃度(例えば、ブドウ糖)を計算するため使われる前に、該機器要因は決定されるのが好ましく、対応する修正が各透過率値用に行われるのが好ましい。透過率測定値に関連して上記で説明された様に、機器要因の各々は水を充たされたクベットの透過率に影響し得る。或る実施例では、該解析は該装置用の期待される変動範囲上で該機器要因により導入される被検体濃度誤差を予言し得る。
【0219】
上記で説明した様に、波長の”水領域(water region)”での透過率測定値は他の血液構成分(blood constituents)を考慮せず血液中の水含有量を決定するため使われ得る。一旦水含有量が分かると、或る実施例では、該水領域の外側の波長の各々での水の寄与が計算され、除去され得る。上記で説明した様に、水基準スペクトラムは約4.7μmから約5.3μmの波長範囲内の血液スペクトラムに近似するよう適合される。該適合された水スペクトラムは次いで有効に水の無いスペクトラム(an effectively water−free spectrum)を作るために該血液スペクトラムから引き算される。
【0220】
或る透過率測定システムでは、フィルターは有限の幅と形状を有し、クベットは平行であるか又は平行でなくてもよく、そして血液及びフィルターの温度は制御されなくてもよい。これらの要因は血液成分変化又は路長変化に依らない透過率変化を引き起こすであろう。もしそれらが修正されないならば、その解析は計算された被検体濃度内に対応する誤差を有し得る(例えば、ブドウ糖誤差)。分離されたこれらの機器要因の各々は対応するブドウ糖誤差を生じ得るが、現実システム内では、該ブドウ糖誤差は全ての機器要因の組み合わせに依るであろう。
【0221】
或る実施例では、上記説明の解析は各機器要因についてのブドウ糖誤差の大きさを見積もるため使われ得る。該解析はその不透明度を水で充たされたクベットについてのクベット形状と、フィルター形状と、水温とそしてフィルター温度と、の関数として予測する。該ブドウ糖誤差は、4つの波長、該水領域内の2つと、ブドウ糖基準波長の1つ(例えば、8.45μm)と、そしてブドウ糖吸収率のピークの1つ(例えば、9.65μm)と、を使って評価され得る。各機器要因の各々は別に検討される。
【0222】
或る実施例では、該ブドウ糖誤差を評価する方法は検討中の機器要因を有する水で充たされたクベットについて各波長での透過率及び不透明度(od1,od2,od3,od4)を計算する過程を具備する。該方法は更に、ブドウ糖基準と測定波長(λ3,λ4)での水含有量を決めるために該2つの水測定値の不透明度(od1,od2)を使う過程を具備する。該方法は更に、該ブドウ糖基準及び測定波長での期待される不透明度(OD3c、OD4c)を計算する過程を具備する。該方法は更に、該ブドウ糖基準及び測定波長での精確な及び計算された不透明度間の差である残留値(ΔOD3、ΔOD4)を計算する過程を具備する。該方法は更に、残留差(ΔOD4−ΔOD3)と調和するブドウ糖濃度を計算することによりブドウ糖誤差を決定する過程を具備する。
【0223】
平行照明(例えば、実質的に円柱状のエネルギービーム)を用いて水で充たされた非平行クベットについてのフィルターを通る透過率に対応する不透明度は下記関係で表される。
【0224】
【数13】
【0225】
ここで使われる時、上記関係は”精確な不透明度(exact optical density)”と称されるが、何故ならばそれがここで説明される種々の近似を含まないからである。
【0226】
水及びフィルター温度について調節された水吸収率は下記関係で表され得る。
【0227】
αn(λ)=α0(λ)+β(λ)ΔTw+γn(λ)ΔTf+ξn(λ)ΔTwΔTf
該不透明度用の近似解は下記関係で表され得る。
【0228】
ODn=〈α0n〉davg+ΔODn
ΔODn=−(1/2)d2avgJ3n+〈βn〉ΔTwdavg+〈γn〉ΔTfdavg+〈αn〉2A+Sn
ここでdavg=平均クベット長さであり、d(x)=davg⇒A=0である。これらの方程式で、該不透明度に寄与する4つの機器要因が下記パラメーターにより指定される。
【0229】
fn(λ)=フィルター関数
ΔTw=水温の公称値からの変化
ΔTf=フイルター温度の公称値からの変化
d(x)=クベット形状
加えて、該フィルターを通しての平均吸収率は〈α0n〉で表され、ΔODnは水温、フィルター温度、フィルター形状そしてクベット形状による影響を表す。
1.被検体濃度誤差の計算(Calculation of the analyte contribution errors)
各機器要因を別々に考えると、ΔODnはその要因だけの関数となる。これは、各要因についてのブドウ糖感度の計算と、精確な不透明度と比較されたその不透明度用近似解の精度の評価と、を可能にする。表2は種々のシミュレーションについての該4つの機器要因の各々の値を示す。各行は特定のシミュレーションについての機器要因の値とΔODnの対応値とを示す。フィルター形状δ(λn)はλnで有限の狭さのフィルターを表すデル
タ関数である。
【0230】
【表3】
【0231】
各シミュレーションは精確な不透明度と表2からの機器要因とについての関係を使って精確な不透明度のセット[od1、od2,od3,od4]を計算する過程でスタートする。全てのシミュレーションについて、校正定数はセットの[〈α01〉、〈α02〉、〈α03〉、〈α04〉]であり、近似不透明度ODn=〈α0n〉davg+ΔODnである。
【0232】
修正されない場合については、計算される路長(dc)は、水領域から精確な不透明度と該校正定数とを使って下記関係で表され得る。
【0233】
dc=(od2−od1)/{〈α02〉−〈α01〉}
該第2の2つの校正定数が、次の様に、(λ3,λ4)での不透明度を予測するために使われ得る。
【0234】
OD3c=〈α03〉・dc
OD4c=〈α04〉・dc
残留するものは下記関係により表される。
【0235】
ΔOD3=OD3c−od3
ΔOD4=OD4c−od4
ブドウ糖誤差は下記関係により表される。
【0236】
Δcg={(ΔOD4−ΔOD3)/(Δg4−Δg3)}・(1/dc)
ここで(Δg3,Δg4)は(λ3,λ4)に於けるブドウ糖吸収率を表す。
【0237】
修正された場合のブドウ糖誤差は下記変換を行い
odn→odn−ΔODn
上記で概説されたステップを繰り返すことにより決定され得る。該修正されたブドウ糖誤差は、該近似不透明度(approximate optical densities)が如何に精密に該精確な不透明度(exact optical densities)に等しくなるかのメザーである。それは、機器パラメーター(この場合、フィルター幅)が変わりそしてなお近似方程式により予測される様な範囲の指示である。
【0238】
或る実施例では、クベット/サンプル室形状は、曲率(curvature)(Δc)及びウエッジ(wedge)(Δp)を路長(d0)を有する平行クベット/サンプル室へ導入することにより、モデル化され得る。該曲率は該クベットの1つの側にあるとしてモデル化され得るが、感度は、恰も同じ曲率が頂部面と底部面の間に配布されたかの様なものと同じである。該クベット幅は2wである。他のクベット形状もモデル化されてもよい。
【0239】
クベット形状パラメーター、路長、公称値からの水温変動、そして公称値からのフィルター温度、の関数としての未修正及び修正ブドウ糖誤差のグラフが上記説明の方法を使って発生され得る。種々のクベット形状パラメーターの相対的寄与が、どのパラメーターが最終ブドウ糖誤差により大きい影響を有するかを決めるために比較される。この解析は、もし修正されなければ余りに大きいブドウ糖誤差をどの感度が提供するかを表明する。この解析は修正済み誤差を過小見積もりするがそれは2つ以上の要因がある時クロス項(cross terms)を含まないからである。又この解析は該近似不透明度広がり(approximate optical density expansion)が精確な一体解と合うかどうか、すなわちより高次の項(higher order term)が必要かどうかを示す。
V.バリア材料を有するサンプル要素(SAMPLE ELEMENT WITH BARRIER MATERIAL)
A.サンプル要素(Sample Element)
図22はサンプル要素1000の1実施例の略図であり、該サンプル要素は上記で開示された被検体検出システム10で使われてもよい。代わりに、該サンプル要素1000は何等かの適当な被検体検出システムで使われてもよい。該サンプル要素1000は一般的にサンプル室1002とバリア(barrier)1004を有する。該バリア1004はランシングサイト(lancing site)LSで患者の皮膚(skin)PSと接触するよう構成された第1側部(first side)1006と、サンプル室1002と流体的に連通する第2側部(second side)1008と、を有する。種々の実施例で、流体的連通は、仲介室(複数を含む){intervening chamber(s)}を通る、1つ以上の網細管チャンネル、ウイック用材料(wicking material)の様な、1つ以上の通路{又はこの様な通路(複数を含む)/チャンネル(複数を含む)とウイック用材料の組み合わせ}、又は該第2側部1008と該サンプル室1002の間の単なる隣接関係、を介して、第2側部1008と該サンプル室1002の間に確立されてもよい。
【0240】
該サンプル室は該サンプル要素1000内の部分的に又は完全に閉じられた容積を有し、該ランシングサイトLSで患者の皮膚PSから抜き取られた、全血、血漿、間質性流体(interstitial fluid)及び/又は細胞間流体(intecellular fluid)の様な血液成分、の様な、しかしそれに限定されない、身体流体(bodily fluid)のサンプルを保持するよう構成される。1実施例では、該サンプル室1002は少なくとも部分的にハウジング1020により規定される。該バリア1004が該ランシングサイトLSと接触して置かれ、該バリア1004及びサイトがランス(lanced)された時(下記参照)、該バリア1004は該サンプルが該第1側部1006から第2側部1008へ進むことを可能にする一方、該サンプルの僅かなものしか、又は実質的に何も反対方向に、該第2側部1008から該第1側部1006へ進ませない。従って、一旦該サンプルが該第2側部1008に達すると、それは該室1002が該サンプルで実質的に充たされるまで該サンプル室1002の方へ流れる傾向がある。又該バリア1004のこれらの特性は該サンプル要素1000のそこからの除去後、ランシングサイトLSに留まるサンプルの量を最小化する傾向がある。同様な理由で、該バリアは又該抜き取られたサンプルの大きな部分、又は実質的に全部でさえ、該サンプル要素1000内へ、取られるか、又は、取られるよう、利用可能になる、ことを保証する。
【0241】
該サンプル室1002は好ましくは、反応物が無い室(reagentless chamber)を含むのがよい。換言すれば、該サンプル室1002の内部容積及び/又は該室1002を規定する壁(複数を含む)は分析用に該室内へ抜かれるサンプルに対して不活性(inert)であるのが好ましい。代わりに、該サンプル室1002は、試薬との該サンプルの反応を含むサンプル分析技術(sample assay techniques)での該サンプル要素の使用を容易化する1つ以上の試薬を含んでもよい。
【0242】
図23−24はサンプル要素1000のもう1つの実施例を描いているが、そこでは該バリア1004と開口部1010が該サンプル要素1000の1つの側に位置付けられる。この配置は、該バリアが該ランシングサイトLSで患者の皮膚PSに対し位置付けられた後、ランス1013が該サンプル要素1000及びバリア1004を通るよう駆動されることを可能にする。一旦該ランス1013が該バリア1004と皮膚PSを穿孔すると、該サンプルは上記で詳述する様に、該バリア1004を通り、次いで該サンプル要素1000内へ進む。図23−24に示すサンプル要素1000は更に、該バリアの反対で、ランス1013の通路内に、該サンプル要素のその側部上に穿孔可能で、自己再シール性(self−resealing)の部分1012を含んでもよい(しかしそれは必要なことではない)。該部分1012は、それが該ランスがそれを通るよう駆動され、引き抜かれた後、再シールする傾向があるよう、比較的柔らかいポリマーで形成され、それにより該バリアの第2側部1008から該サンプル要素1000内へ流れる該サンプルの傾向を保存する。該穿孔可能で自己再シール性の部分1012か又はバリア1004の何れか又は両者は、該サンプル要素1000の周りの部分と同一平面に(部分1012として図24に描かれている)、又はその上に乗る仕方で(バリア1004として図24に描かれている)、設置されてもよい。
【0243】
図23−24に示す該サンプル要素1000は更に該サンプル室1002と該第2側部1008の間の流体的連通を確立するために供給通路1022を有する。該供給通路1022の側壁1022a、1022bは該サンプル要素1000の上に乗る部分のそばで該通路の両側に(either side)形成される。同様に、窓1002a、1002bは該サンプル要素1000の上に乗る部分のそばで該室1002の両側に形成される。1つ上のベント通路1024は該サンプル要素の1つの又は両方の端部に配置された{又はそれらの側部(複数を含む)内に形成された}ベント開口部(複数を含む)1026との流体的連通を経由して該サンプル室1002及び/又は開口部1010をベントするため使われてもよい。
【0244】
該サンプル室1002と、バリア1004の第2側部1008との間に配置された供給通路1022,開口部1010及び/又は何等かの他の構造体は該サンプル室から延びる流れ通路と考えられてもよい。部分1012から導く該ベント通路1024が省略された場合、該流れ通路は、該バリア1004及び/又は部分1012内に開口部が形成されるまで、全ての側で閉じられる(該流れ通路が該サンプル室1002と合体するところを除いて)。
【0245】
描かれた構成では、該サンプル室1002は、電磁放射のビームが該バリア及び該部分1012を形成する材料からの干渉無しに該室1002及び窓1002a、1002bを通過するように、該バリア1004及び部分1012から長手方向にオフセットされている。該サンプル要素1000のこの実施例は、ここに開示された被検体検出システムの種々の実施例、又は該サンプル室1002を電磁放射のビームが通過することによりサンプルを分析する何等かの他のシステム、と共に使用するのに好適である。従って、該サンプル要素120を作るのに好適な上記開示の材料と方法は該サンプル要素1000を作るのに同様に使われてもよい。
【0246】
該バリア1004用に好適な材料は下記で更に詳細に論ずる。一般に、該バリア1004及び/又は部分1012は、ハウジング1020、又は該バリア1004又は部分1012に隣接する該ハウジングの部分、又は該ハウジング1020を作るため使われる材料の層の何れか{種々の実施例で行われるように、図7に示すそれと同様な成層化製作技術(layered construction technique)が該サンプル要素1000の製作に使われる場合}、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。特に、該バリア1004及び/又は部分1012が、窓1002a、1002bの何れか、又は供給通路1022の側壁1022a、1022bの何れか、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。
【0247】
該サンプル要素1000のもう1つの実施例では、該サンプル室1002は該バリア1004及び/又は部分1012に、部分的にか、又は完全にか、何れかで、重なってもよい。この実施例は、例えば、該バリア1004又は部分1012からの何等かの干渉が、無視出来る、又は該サンプル要素1000と共に使われる被検体検出システムにより行われる計算及び/又は測定で、補償される場合、有用である。該供給通路1022は、該室1002が該バリア1004及び/又は部分1012とその様に重なる時、短縮されるか又は一緒に取り除かれてもよい。この様な”重なり合う(overlapping)”室1002は、該サンプル要素1000が、電磁エネルギーのビームに該サンプル室を通過させることを必ずしも含まない分析技術(例えば、電気化学的技術)での使用のため作られる場合に使われてもよい。
【0248】
種々の実施例では、図23−24に示す該サンプル要素1000は上記で開示された該サンプル要素120、及び/又はここで開示されるが、更に図23−24で示されるよう構成された、何等か他のサンプル要素又はクベット、と概ね同様である。図23−24の該サンプル要素1000は試薬を含むか、又は反応物の無い、サンプル室を有する。図23−24で描かれた該サンプル要素1000とサンプル収集方法は、彼又は彼女の皮膚上で、該患者に見える血液を最小化又は除去し、それによりランシングにより該患者が知覚する苦痛レベルを最小化又は除去するので有利である。種々の実施例では、該ランス1013は従来の鋭利なランス、レーザーランス(laser lance)、イオントフオレチックデバイス(iontophoretic device)、又は何等かの適当なサンプル抽出器(sample extractor)を含んでもよい。
【0249】
なお更に進んだ実施例では、該サンプル要素1000はここで開示されたが、更に図23−24で示すよう構成された、サンプル要素又はクベットの何れとも概ね同様であってもよい。
【0250】
図24A−24Bはサンプル要素1200のもう1つの実施例を描くが、該サンプル要素はここで開示された(例えば、サンプル要素1000の種々の開示された実施例)が、更に図24A−24Bで示すよう構成された、サンプル要素又はクベットの何れかと概ね同様であってもよい。該サンプル要素1200は一般的にサンプル室1202とバリア1204を有する。該バリア1204は、ランシングサイトLSで患者の皮膚PSと接触するよう構成された第1側部1206と、該サンプル室1202と流体的に連通する第2側部1208と、を有する。種々の実施例で、流体的連通は、仲介室(複数を含む)を通る、示されたサンプル通路1222、1つ以上の毛細管チャンネル、ウイック用材料{又はこの様な通路(複数を含む)/チャンネル(複数を含む)とウイック用材料の組み合わせ}の様な1つ以上の通路、又は該第2側部1208と該サンプル室1202の間の単なる隣接関係、を介して第2側部1208と該サンプル室1202の間に確立されてもよい。
【0251】
該サンプル要素1200は更に、該バリア1204の反対の、該サンプル要素の側の穿孔可能な部分1212を含む。該部分1212は該部分1212に自己シールする性質を与えるよう柔らかいポリマーで形成されてもよく、代わりに該部分1212は該バリア1204で使われると同様な材料で形成されてもよい。図24A−24Bで描かれる実施例では、該バリア1204と該部分1212は、同じ寸法を有し、同じバリア材料で形成された、実質的に同一部品を含んでいる。該バリア1204と該部分1212の両者は該サンプル要素1200の側部と同一平面上にあるよう描かれるが、しかしながら、何れか又は両者は該バリア1004が図24で示される様に重なった仕方で位置してもよい。他の実施例では、該バリア1204と該部分1212の何れか又は両者は、該ハウジング1220の残りで使われると同じ材料で作られる該サンプル要素ハウジング1220の薄い部分を含んでもよい。
【0252】
該バリア1204と部分1212は、該サンプル要素1200の隣接部分と一緒に、流体が該バリア1204を過ぎる時最初に流入する入り口室(entry chamber)1230を規定してもよい。図24A−24Bで示す様に、該入り口室1230は、該入り口室1230を充たすに必要な血液又は他の流体の容積を最小化するよう、該バリア1204及び/又は部分1212のそれより小さい周辺を有してもよい。代わりに、該入り口室1230の周辺は、該バリア1204及び/又は部分1212のそれと同一広がりを持つか、又はそれより大きくてもよく、或いは該入り口室1230は該バリア1204と部分1212の間の範囲内への供給通路1222の長手方向延長を単に含んでもよい。
【0253】
描かれた実施例では、ベント通路1224はサンプル室1202から、該サンプル要素1200の側部内に形成されたベント開口部1226へ延びる。加えて、何等かの適当な膜、フィルター、他を含んでもよいセパレーター(separator)1240が供給通路1222内に(又は他の仕方で、該サンプル室1202の上流に)配置され、全血サンプルから血漿を、他の不均一なサンプルから液体又はより精細な固体を、分離するため使われてもよい。その様に構成されたサンプル要素1200では、全血又は他の不均一なサンプル(heterogeneous samples)は、それが該セパレーター1240に達するまで該供給通路1222内を下流へ流れる。該セパレーター1240は、実質的に全血サンプルの血漿のみ、又は他の不均一なサンプルの実質的に液体及びより精細な固体成分のみ、が該セパレータを過ぎて、該サンプル室1202の方へ、下流に流れることを可能にする。該サンプルの残り(例えば、血球及び/又は粗い固体)は該セパレーターのところに留まる。或る実施例では、該セパレーターは微孔性ポリエチレン(microporus polyethylene)又は微孔性ポリテトラフルオロエチレン(microporus polytetrafluoroethylene)で作られてもよい。もう1つの実施例では、該セパレーターはニューヨーク州、イーストヒルのポール社(Pall Corporation of East Hills, NY.)から入手可能な、ビーテーエス−エスピー(BTS−SP)で作られてもよい。
【0254】
図23−24の実施例に於ける様に、該サンプル要素1200は、該バリア1204がランシングサイトLSで皮膚PSに接触するよう患者の皮膚PSに対して置かれる。その様に位置付けられた該サンプル要素1200を伴って、ランス1213は該バリア1204及び部分1212を通して患者の皮膚PS内へ駆動される。該ランス1213が引き抜かれた後、血液及び/又は他の流体は、該ランシングサイトLSに形成された傷から、該ランスにより該バリア1204内に形成された開口部を通して、該サンプル要素内へ流れる。該ランシングサイトLSに対する該サンプル要素1200/バリア1204上の適度な圧力を保持する(そして/又は該バリア1204を該患者の皮膚PSに臨時に固定するため接着剤を使う)ことにより、該皮膚PS内の傷から流れる実質的に全ての血液/流体は該バリア1204を通り、該サンプル要素1200内へ流れる。かくして、血液/流体のより少しを該ランシングサイトに残し、ウエイスト(waste)と知覚される痛みを減ずる。
【0255】
該サンプル室1202と該バリア1204の第2側部1208との間に配置された供給通路1222、入り口室1230,及び/又は何等かの他の構造体は該サンプル室から延びる流れ通路と考えられてもよい。描かれた実施例では、該流れ通路は、開口部が該バリア1204及び/又は部分1212内に形成されるまで、全ての側(該流れ通路が該サンプル室1202と合体するところを除いて)で閉じられている。
【0256】
該サンプル要素1000と該バリア1004に関して上記で論じられた様に、該バリア1204及び/又は部分1212は、該ハウジング1220、又は該バリア1204又は部分1212に隣接する該ハウジングの部分、又は該ハウジング1220を作るため使われる材料の層の何れか{種々の実施例で行われるように、図7に示すそれと同様な成層化製作技術(layered construction technique)が該サンプル要素1200の製作に使われる場合}、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。特に、該バリア1204及び/又は部分1212が、窓1202a、1202bの何れか、又は供給通路1222の側壁1222a、1222bの何れかよりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。
【0257】
図25は、図23−24又は24A−24Bで示されるそれらの様なサンプル要素と共に使われてもよいサンプル抽出器を描いている。該サンプル抽出器は、サンプル要素1000/1200を保持するよう構成されたサンプル要素ホルダー(sample element holder)1102と、略図式に描かれ、ばね負荷されたランスドライブ(spring−loaded lance drive)、レーザー、又は該サンプル抽出器1100で使われるランシング技術用に好適な他の部品を有する抽出器ドライブ(extractor drive)1104と、を備える。該サンプル要素ホルダー1102内に装填されると、該サンプル要素1000/1200は、駆動された時該サンプル抽出器1100が該バリア1004/1204を穿孔するように、該抽出器ドライブ1104と整合される。
【0258】
従って、ユーザーは、ランスを駆動する前にロードされたサンプル要素(loaded sample element)1000/1200のバリア1004/1204を指F(又は何等かの適当なランシングサイト)に対し加圧し、それによりここで論じられる該バリア1004/1204の利点を利用しながら、該サンプル要素1000/1200内にサンプルを抜き取ることにより、容易で、片手式の仕方(in an easy, one−handed manner)でサンプルを抜き取ることが出来る。描かれた実施例では、サンプル要素ホルダー1102は、該バリア1004/1204と指F(又は他のランシングサイト)の間の接触のみならず、該サンプル要素1000/1200内のサンプルの存在の黙視確認も可能にするよう、それら間のスロット1110を有するクリップ1106,1108を備える。しかしながら、何等かの適当な構造体が該サンプル要素ホルダー1102として使われてもよい。更に進んだ実施例では、該サンプル抽出器1100は上記説明の被検体検出システム10の様な被検体検出システムの一体化された(すなわち、組み込まれた)部分を形成してもよい。
【0259】
或る実施例では、該抽出器ドライブ(extractor drive)1104はユ−ザーがランス駆動力(lance driving force)を選択することを可能にするため調節可能である。その多くが現在公知である何等かの適当な機構がこの調節可能性を達成するため使われてもよい。調節可能な抽出器ドライブは、ユーザーが、該サンプル要素(又は他の仕方)で使われるバリア1004/1204の厚さと材料に適合するような適当な駆動力と、該ランスの望まれる貫入深さと、そしてランシング時求められる(sought)身体流体の種類及び/又は量を選択することを可能にする。
【0260】
図26はサンプル抽出器1300のもう1つの実施例を描くが、該抽出器は図23−24又は24A−24Bで示すそれらの様なサンプル要素又は何等かの他の適当なサンプル要素と共に使われる。該サンプル抽出器1300は下記で更に詳述されることを除けばサンプル抽出器1100と概ね同様である。該サンプル抽出器1300は一般的に再利用可能な抽出器ドライブ1304と、該抽出器ドライブ1304への取り外し可能な取り付けように構成された使い捨て可能なランスカートリッジ(disposable lance cartridge)1340と、を有する。
【0261】
該ランスカートリッジ1350は、該バリア1004/1204の部分が、指F又は患者の他の適当なランシングサイトとの接触用に、スロット1310又は他の適当な開口部を介して、露出されるように、該サンプル要素1000/1200を取り外し可能に保持するよう構成されたサンプル要素ホルダー1302を有する。該描かれた実施例では、該サンプル要素ホルダー1302はクリップ1306,1308を有するが、しかしながら、何等かの適当な構造体が必要な様に該サンプル要素を保持するため使われてもよい。
【0262】
該ランスカートリッジ1340は更にランスガイド1320を有し、その内部にはランス組立体1322が摺動可能に配置される。該ランス組立体1322はランス1324,ハンドル部分1326,そしてガイドフランジ(guide flanges)1328を有する。該ランスカートリッジ1350が該抽出器ドライブ1304へ組み立てられると(これらの品物は図26内で近く近接して示されるが、組み立てられた状態にはない)、該ドライブ1304のランスアクチュエーター(lance actuator)1330が該ハンドル部分1326を把持する。かくして、ドライブ機構1332の駆動(urging)下で、該ランスアクチュエーターの下向きの動きは該ランス組立体1324を同じく下向きに移動させ、該ランス1324を該サンプル要素1000/1200とバリア1004/1204を通して、指F内へ駆動する。一旦該ランス1324がその下方への動きの終点(endpoint)へ達すると、該ドライブ機構1332は作用線A−Aに沿って上方へ、図26に示すホーム位置(home position)の方へ該アクチュエーター1330とランス組立体1322を引く。該ランス1324を引き込めると、血液及び/又は他の流体は該指Fに形成された傷から、該バリア1004/1204を通ってそして該サンプル要素1000/1200内へ、上記で論じた仕方で流れる。
【0263】
一旦血液/流体のサンプルが該サンプル室1002/1202内へ流れると、ユーザーは該カートリッジ1350の該ホルダー1302から該サンプル要素1000/1200を引き抜き、それを従来の仕方での該サンプルの分析用に該被検体検出システム内へ装填する。該ランス組立体1322(今や汚れている)を含めた該カートリッジ1350の残りは該抽出器ドライブ1304から除去され、捨てられる。
【0264】
図26で示す実施例では、該ドライブ機構1332はばねシステムとして略図式に描かれている。ランス1324の様な、従来の鋭利なランスと共に使うのに好適などんなドライブ機構が該抽出器ドライブ1304で使われてもよい。
【0265】
ランスカートリッジの描かれた実施例はインターロック可能なリップ又は峰部(interlockable lips or ridges)1360、1362を介して該抽出器ドライブ1304への取り外し可能な取り付け用に構成されている。しかしながら、何等かの適当な取り付け装置、例えば、ねじ、他、が使われてもよい。
【0266】
更に、該抽出器ドライブ1304が、その一体の部分を形成するよう、被検体検出システム(例えば、ここで開示された被検体検出システム10の実施例のどれか、又は何等かの他の適当な被検体検出システム)内へ組み込まれてもよい。この様な被検体検出システムは更に、例えば、該サンプル要素1000/1200を、図26に示すランシング位置から、該サンプル要素のサンプル室(複数を含む)が該被検体検出システムのソース及び検出器により規定された光路内に位置する測定位置へ、進めることにより該サンプル要素1000/1200内へ抜き取られたサンプル内の被検体濃度(複数を含む)を測定するよう構成されてもよい(例えば、図1−2、4参照)。これは該サンプル要素1000/1200を、該サンプル室が該光路を横切って、又はその中に配置されるまで、長手方向に、図26で使われた断面に概ね直交して進めることにより行われてもよい。該サンプル要素1000/1200は、動力を与えられたローラー、手動圧力(例えば、該サンプル要素の露出された端部上の)、又は該2つの組み合わせによりその様に進められてもよい。
【0267】
この様な”集積化された”被検体検出システムを用いて、測定は、該抽出器ドライブ1304へ該ランスカートリッジ1350を簡単に取り付け、該バリア1004/1204をランシングサイトに対するよう置き、該ランス1324を駆動し、充分なサンプルが該サンプル要素内へ流れるまで該バリアを該ランシングサイトに対して保持し、そして該サンプル要素1000/1200を該測定位置へ進めさせる、ことにより行われてもよい。従って、該サンプル要素1000/1200の取り扱いは最小化され、別々のランス、抽出器ドライブ、サンプル要素、そして検出システム、を担い、取り扱いそして操作する何等の必要も除かれる。
B.バリア(Barrier)
ここで使われる時、”バリア(barrier)”は広い用語であり、その普通の意味で使われ、その第1の側部が、患者の皮膚上のランシングサイトに対するよう置かれ、該ランシングサイトから現れる身体流体サンプルの少なくとも1部分が該第1の側部から該第1の側部の反対の第2の側部へ進むことを可能にし、一方該サンプルの実質的な何等かも、反対方向に、該第2の側部から第1の側部へ、進むことを許さない様な、膜(membrane)、シート(sheet)、層(layer)、他を、制限無しに、称する。これらの特性はバリア自身の構成、該ランシングサイトに対している該バリア上への圧力の印加、又は該2つの組み合わせから生じてもよい。
【0268】
1実施例では、該バリア1004/1204(図22−24B参照)は、小孔の無いポリマー膜(nonporus polymer membrane)であって、該膜と患者の皮膚と、がランスされた時該膜に形成された孔(hole)を通してサンプル流体が該サンプル要素1000/1200内へ流れることを可能にする様な、該膜を含んでもよい。代わりに、該バリアは、多数のポーア(pore)又は毛細管(capillaries)が、サンプル流体がそれを通って流れることを可能にするが、該ポーア/毛細管は又該ランシングサイトから何等かの残留血液を集めるのに役立つ、よう形成される、ポリマー膜の様な膜を含んでもよい。これらの実施例のバリアを形成するためにポリウレタン(polyurethane)、ポリエチレン等の様な医学用プラスチックが使われてもよい。なお更に進んだ実施例では、該バリアはメッシュ(mesh)(繊細に織られたナイロンメッシュ)、又は繊維材料(fibrous material){吸収性繊維状フリース(absorbent fibrous fleece)の様な}又は半浸透性膜(semi−permeable membrane)で形成されてもよい。該バリアは、パーフオレートされた、又はパーフオレートされないプラスチックフイルムドレッシング(perforated or non−perforated plastic film dressing)、疎水性繊維(hydrophobic fibers)で作られた不織性フアブリック(non−woven fabric)、シリコーンコートされニットされたフアブリック(silicone−coated knitted fabric)又はスウエーデン、ゲーテボルクのモルンリックヘルスケアエイビー(Molnlycke Health Care AB of Goteborg, Sweden)から入手可能なメピテル(テーエム){MEPITEL(TM)}の様な、シリコーンでコートされた多孔性ポリアミドのネット(porous polyamide net coated with silicone)であってもよい。
【0269】
1実施例では、該バリア1004/1204はシンターされた、多孔性ピーテーエフイー(sintered, porus PTFE){ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)}又はピーイー(PE){ポリエチレン(polyethylene)}で形成された膜、シート、層、他を含み、第1の側部1006/1206及び/又は第2の側部1008/1208は又親水性(hydrophilic)となるよう処理されていてもよい。種々の実施例では、該バリアは約30−100μmの厚さを有してもよいが、しかしながらどんな適当な厚さが使われてもよい。なおもう1つの実施例では、該バリア1004/1204はジョージア州、フエアバーンのポレックス社(Porex Corporation of Fairburn, Georgia)から入手可能なラテラルフロ(テーエム){LATERAL FLO(TM)}で形成された膜、シート、層他を含んでもよく、その第1の側部1006及び/又は第2の側部1008は又親水性(hydrophilic)となるよう処理されてもよい。適当なバリア材料に関する更に進んだ情報は特許文献1で見出される。
【0270】
代わりに、該バリア1004/1204は、その膜、シート、層、他が、この様なランシング/サンプル抽出機器が普通の仕方で使われる時、普通のランシング機器又はサンプル抽出機器により穿孔可能である様な、膜、シート、層、他、又はサンプル要素の他の部分を含んでもよい。
【0271】
使われる特定の材料に関係無く、該バリア1004/1204は一般的に疎水性材料(hydrophobic material)の層、シート、膜、他を含んでもよい。ここで論じられる種々のバリアの何れもその第2の側部上に凝固用薬品(clotting agent)を含んでもよい。ここで論じられる種々のバリアの何れも又そのどちらの側部上にも抗菌性(antibacterial or antimicrobial)コーテイングを有してもよく、そして/又は、抗菌性(antibacterial or antimicrobial)材料で形成されてもよい。
【0272】
他の実施例では、該バリア1004/1204は、該バリアをランシングサイトLSに固定(affixing)するために接着剤層を伴って、又は伴うことなく、使われる外科用滅菌布(surgical drape)、特に切開用滅菌布(incise drape)、又は外科用滅菌布又は切開用滅菌布材料の部分、を含んでもよい。この様な滅菌布は、例えば、ポリウレタンフイルムを含んでもよい。1実施例では、該バリア1004/1204は消毒(sterile)した外科用滅菌布を含む。
【0273】
図27−28は該バリア1004/1204の機能をより詳細に描いている。バリア自身のみが描かれているが、図27−28は、サンプル要素の部分として(例えば、図22−24、24A−24Bに於ける様に)、又はランシングの前に、ランシングサイト及び/又はサンプル要素に付けられる(applied)又は固定される(affixed)”スタンドアロン(stand−alone)”の材料として、ここで考慮される種々の使用法の該バリアの機能を図解している。図27−28で該バリア1004/1204は接着剤1400で患者の皮膚PSへ固定されるが、しかしながら、該接着剤1400は該バリア1004/1204の種々の他の実施例では省略されてもよい。
【0274】
バリア1004/1204(及び何等かの接着剤)を通して、患者の皮膚PS内へランスされると、開口部1410が該バリア1004/1204内に形成され、そして傷Wが該皮膚PS内に形成される。全血、間質性流体、細胞間流体又はそれらの混合物の様な身体流体Fが、該傷Wから、該バリア1004/1204内の開口部1410を通して、流れ、該バリアの第2の側部1008/1208に集まる。該バリア1004/1204がサンプル要素の部分である場合、該集まった流体Fは該サンプル室(複数を含む)の方へ流れるだろう。該バリア1004/1204がランシング前に皮膚に付けられた”スタンドアロン”の材料を含む場合、サンプル要素は該流体Fを通常の仕方で該サンプル要素内へ流れさせるために該集まった流体Fと接触して置かれる。
【0275】
該バリア1004/1204と傷Wの周りの皮膚PSとの間で漏れのないシール(tight seal)又は確実で、密接した接触(firm, intimate contact)を創るために種々の対策が考えられる。この様な漏れのないシール又は確実な接触は、該流体Fが該傷Wから、該皮膚PSと該バリア1004/1204の第1の側部1006/1206との間で横方向よりも寧ろ、該開口部1410を通って流れるよう促す(encourages)。種々の実施例では、下記対策、すなわち、(1)該バリアの第1の側部上の接着剤(図27−28で示す様な)、(2)該ランシングサイトに対して該バリアを、そして/又は該バリアに対して該ランシングサイトを、適度の圧力で、駆動すること(urging)、そして(3)使用中該バリアに横方向引っ張り(すなわち、該バリアの面に沿って)を印加するか、又は他の仕方で該バリアを張って保持すること、の何れか1つ又は組み合わせを使ってもよい。
【0276】
接着剤が使われる場合(例えば、図27−28参照)適当な接着剤の層が、該バリア1004/1204の第1の面1006/1206全体の、又はランスが通ると期待される第1の面の部分のみの、上に乗ってもよい。該バリアがサンプル要素の1部を形成しようと、或いはランシングの前に該ランシングサイトに付けられるスタンドアロンの材料として使われようと、接着剤がここに開示された該バリアの何れかと共に使われてもよい。該バリア又はサンプル要素が使われるまで除去可能な、”ピールオフ(peel−off)”の裏打ち(backing)が該接着剤をカバーするため使われてもよい。
【0277】
該バリア1004/1204が、ランシングの前に該ランシングサイトに付けられるスタンドアロン材料を有する場合、該バリア1004/1204は、そのエッジで該バリア材料の部分を保持し、それを該ランシングサイトに対して、該バリア材料が該ランシングサイトの近くの皮膚に密接に適合するように、加圧することにより、該ランシングサイトLSに対して駆動される。この様な密接な適合は比較的平坦なランシングサイト(図27)及びカーブしたランシングサイト(図28)での使用で図解されている。該バリア1004/1204がサンプル要素の部分を形成する場合、該サンプル要素自身は、該バリアが該ランシングサイトに対して、該2つの間の密接した接触を保証するよう加圧されることを可能にする仕方で把持される。適度の圧力で、該バリアは該サンプル要素ハウジング内へ、僅かに内方へそり、該ランシングサイトの何等かの曲率に近づくよう適合する(図28参照)。
【0278】
ランシングサイト又はサンプル要素に対してそれを付ける前、又はその間、該バリアを手動で伸ばすことによりスタンドアロンのバリアに引っ張りが印加されてもよい。代わりに、スタンドアロンのバリアは僅かに引き延ばされ、そしてそれが皮膚に対するよう置かれた後での該バリアを通してのランシングのために、その中に開口部を有する概ね堅いフープ(hoop)又は周囲フレーム(perimeter frame)上に設置されてもよい。サンプル要素の部分を形成するバリアは又、それを該サンプル要素に設置する前にそれを僅かに引き延ばし、そして引っ張り状態でそれを設置することにより、引っ張り力下(under tension)に置かれてもよい。
【0279】
図27−28で示される様に実施された時、該バリア1004は傷Wと流体Fを該ランシングサイトLSの周りの患者の皮膚PSの表面上にある汚染物(contaminants)から有利に遮蔽(shields)する。ここに開示したバリアの種々の実施例はこの機能的利点を達成するが、しかしながら、外科用滅菌布の実施例はこの利点を達成するために特に適合している。
【0280】
種々の実施例で、該バリア1004/1204は該ランシングサイトでのアフターブリード(after−bleed)を最小化するためにその第1の側部1006/1206上に止血コーテイング(hemostatic coating)を有してもよい。サンプルが抜き取られつつある間該バリアを該ランシングサイトに接着するためにコンフォーマルアドヒーシブ(conformal adhesive)が代わりに該第1の側部1006/1206上に使われてもよく、該サンプル要素1000/1200が使用するため用意出来るまで該接着剤上に除去可能なシール又はカバーが使われてもよい。或る実施例では、該バリア1004/1204は該サンプル要素1000/1200に接着式に取り付けられるか又は他の仕方で接合(bonded)される。代わりに、該バリア1004/1204は、ユーザーにより該サンプル要素1000/1200に取り付けられるか、又は該サンプル要素1000/1200への取り付け無しに該ランシングサイトに置かれる、別要素(separate element)であってもよい。
【0281】
該バリア1004/1204が、ランシングの前に該ランシングサイトに付けられるか又は固定される”スタンドアロン”の材料として実施される場合、ランシングの後該バリアの第2の側部に集まる身体流体は、該サンプル要素を該集められた流体と流体的に連通状態に置くことにより、サンプル要素内へ取り入れられてもよい。これは、例えば、該サンプル要素の適当な部分を該集められた流体に接触して置くことにより行われる。該流体は次いで、該サンプル室が充満するまで該サンプル要素内へ流れる。種々の実施例では、該集められた流体の全部か、又は1部分のみか何れかがサンプル要素内へ取り込まれる。1部分だけが取り込まれる場合、残りの集められた流体(該バリアの第2の側部上になお存在する)は、該バリア自身を除去することにより該ランシングサイトから容易に除去される。
【0282】
本発明が或る好ましい実施例及び例を背景にして開示されたが、本発明が特定の開示された実施例を超えて、他の代わりの実施例、及び/又は、本発明の使用法と明らかな変型そしてその等化物へ伸展することは当業者には理解されるであろう。かくして、ここに開示された本発明の範囲は、ここに開示された特定の実施例により限定されるべきでなく、付随する請求項を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】被検体検出システムの1実施例の略図解である。
【図2】該被検体検出システムのもう1つの実施例の略図解である。
【図3】図2で描かれた被検体検出システムで使用するのに好適なフィルターホィールの1実施例の平面図である。
【図4】被検体検出システムのもう1つの実施例の部分断面図である。
【図5】図4で図解された該被検体検出システムのサンプル検出器の詳細断面図である。
【図6】図4で図解される該被検体検出システムの基準検出器の詳細断面図である。
【図7】該被検体検出システムの種々の実施例の操作の方法の1実施例のフローチャートである。
【図8】該被検体検出システムの種々の実施例と組み合わして使用するのに好適なサンプル要素の1実施例の平面図である。
【図9】図8で図解されたサンプル要素の側面図である。
【図10】図8で図解された該サンプル要素の組立分解図である。
【図11】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素の1実施例の断面図である。
【図12】代わりの分析方法で使われる図11のサンプル要素の断面図である。
【図13】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムの1実施例の断面図である。
【図14】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムのもう1つの実施例の断面図である。
【図15】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムのもう1つの実施例の断面図である。
【図16】図15の被検体検出システムの断面図であり、それと共に使われるサンプル要素の圧縮と膨張を図解している。
【図17】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図18】図17のサンプル要素の断面図である。
【図19】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素のもう1つの実施例の底面図である。
【図20】図19の該サンプル要素の断面図である。
【図21】サンプル要素のもう1つの実施例の端面断面図である。
【図22】バリア材料を使うサンプル要素の1実施例の略図である。
【図23】バリア材料を使うサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図24】図23のサンプル要素の断面図である。
【図24A】バリア材料を使うサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図24B】図24Aの該サンプル要素の断面図である。
【図25】図22−24Bのサンプル要素と共に使うためのサンプル抽出器の立面図である。
【図26】図22−24Bのサンプル要素と共に使うためのサンプル抽出器のもう1つの実施例の断面図である。
【図27】該バリアの機能用断面図である。
【図28】該バリアの機能用のもう1つの断面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に材料サンプル中の被検体濃度(analyte concentrations)の決定に関する。
【背景技術】
【0002】
数百万の糖尿病患者(diabetics)が彼等の血流(bloodstream)中のブドウ糖(glucose)のレベルをモニターするために日毎ベースで血液(blood)の様な身体流体(bodily fluid)のサンプルを抜き取っている(draw)。適当な被検体検出システム(analyte detection system)による分析(analysis)用に該サンプルを保持するために小さな試験ストリップ(test strip)が使われることが多い。これらの試験ストリップと検出システムは種々の問題を被り、又限定した性能しか有さない。
【特許文献1】米国特許第6,399、188号明細書、SINTERED POROUS PLASTIC MATERIAL、2002年6月4日発行
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1実施例は抜き取りサイト(withdrawal site)で患者の皮膚(skin)から抜き取られた或る容積(volume)の身体流体を保持するためのサンプル要素(sample element)を含む。該サンプル要素は中にサンプル室(sample chamber)を規定するハウジングと、バリア(barrier)と、を含む。該バリアは該抜き取りサイトで該患者の皮膚に接触するよう構成された第1の側部と、該サンプル室と流体的に連通する(in fluid communication)第2の側部と、を有する。該バリアは該身体流体が該第1の側部から該第2の側部へ通過可能であるよう、ランス(lance)により穿孔(pierced)されるよう構成される。
【0004】
もう1つの実施例は抜き取りサイトで患者の皮膚から身体流体を抜き取る方法を含む。該方法は該抜き取りサイトで該患者の皮膚に対するようバリアの第1の側部を置く過程を含む。該方法は更に、該抜き取りサイトで、該バリアを通る第1開口部と、該患者の皮膚内の第2開口部と、を形成する過程を含む。該第1開口部と第2開口部は流体的に連通している。該方法は更に、該バリアの第2の側部に流体的に連通してサンプル室を置く過程を含む。
【0005】
もう1つの実施例は或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素を含む。該サンプル要素は中にサンプル室を有するハウジングと、該サンプル室から延びる流れ通路(flow path)とを備える。該サンプル要素は更に、該流れ通路を横切って配置されるバリアを有する。該バリアはランシングサイト(lancing site)で患者の皮膚と接触するよう構成された第1の側部を有する。該流れ通路は、該バリア内の開口部の形成時に、流体が該第1の側部から、該流れ通路を通りそして該サンプル室内へ、流れるよう、該流れ通路が該サンプル室と合体するところを除いては全ての側で囲まれている。
【0006】
本発明の或る目的と利点がここで説明される。勿論、この様な目的と利点の全てが本発明の何等かの特定の実施例により必ずしも達成されないことは理解されるべきである。かくして、例えば、当業者は、1つの利点又は利点のグループはここで開示されるように達成又は最適化され、他の目的又は利点は必ずしもここで開示又は示唆されるように達成されない仕方で、本発明が具体化される、又は実行されることを、当業者は認識するであろう。
【0007】
上記で概説される全ての実施例はここに開示される本発明の範囲内にあるよう意図されている。しかしながら、或る実施例の前記論議にも拘わらず、付属する請求項(そして本概説ではなく)のみが本発明を規定するよう意図されている。その概説された実施例と、本発明の他の実施例は、付加された図を参照する好ましい実施例の下記詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろうが、本発明は開示される何等かの特定の実施例(複数を含む)には限定されない。
【実施例1】
【0008】
下記で或る好ましい実施例や例が開示されるが、本発明が該特定的に開示された実施例を超えて他の代わりの実施例及び/又は本発明とその明らかな変型の使用法そして等化物へ伸展することは当業者には理解されるであろう。かくしてここに開示される本発明の範囲は下記で説明される特定の開示実施例により限定されるべきでないよう意図されている。ここで開示される何等かの方法と過程では、該方法/過程を構成する作用(acts)又は操作(operations)はどんな適当なシーケンスで行われても良く、何れか特定の開示されたシーケンスに必ずしも限定されない。種々の実施例を従来技術と対照させる目的で、これらの実施例の或る側面と利点はここでは適当なところで説明される。勿論、必ずしも全てのこの様な側面又は利点がどんな特定の実施例に於いても達成されるわけではないことは理解されるべきである。かくして、例えば、種々の実施例は、1つの利点又は利点のグループはここで開示されるように達成又は最適化され、他の側面又は利点は必ずしもここで開示又は示唆されるように達成されない仕方で、実行されることは認識されるべきである。
【0009】
下記でセクションI(section I)は材料サンプル内の1つ以上の被検体の濃度を検出するため使われてもよい被検体検出システムの種々の実施例を開示する。セクションIIはセクションIで論じられた該被検体検出システムの実施例と共に使用するのに好適なクベット(cuvette)又はサンプル要素の種々の実施例を開示する。該サンプル要素の開示された実施例は該被検体検出システムによる分析用に材料サンプルを支持する又は含むよう構成されている。セクションIIIでは、サンプル要素自身の被検体濃度の測定への影響を補償する過程を一般的に具備するサンプル要素基準化(sample−element referencing)用の多数の方法が開示される。セクションIIIで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度の計算をサポートするために、該被検体検出システム内の適当な処理用ハードウエアにより全体として又は部分的に実行されてもよい。又セクションIIIは更に該被検体検出システム及びサンプル要素の変型(variations)を開示しており、該変型はサンプル要素基準化の開示された方法の実施で使用するのに適合されている。
【0010】
下記でセクションIVは多数の計算方法又はアルゴリズムを論じるが、それらはサンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため及び/又は被検体濃度の計算のサポートで使用されてもよい他のメザー(measures)を計算又は見積もるため、使われてもよい。セクションIVで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため該被検体検出システム内の適当な処理用ハードウエアにより実行されてもよい。セクションVはサンプル要素と、サンプル要素と共に使われてもよいバリアと、の更に進んだ実施例を開示する。
I.被検体検出システム(ANALYTE DETECTION SYSTEM)
図1は被検体検出システム10の1実施例の略図である。該検出システム10は、下記で更に詳細に論じられる様に、サンプルを通して透過(transmitted)されるエネルギーを検出することにより、材料サンプル(material sample)S内の1つ以上の被検体の濃度を検出するのに特に好適である。
【0011】
該検出システム10は該システム10の主軸線(major axis)Xに沿って配置されるエネルギーソース(energy source)20を含む。賦活されると、該エネルギーソース20はエネルギービーム(energy beam)Eを発生し、該ビームは該エネルギーソース20から該主軸線Xに沿って進む。1実施例では、該エネルギーソース20は赤外線ソース(infrared source)を有し、該エネルギービームEは赤外線エネルギービーム(infrared enrgy beam)を含む。
【0012】
該エネルギービームEは、材料サンプルSを支持する又は含むサンプル要素又はクベット120に達する前に、これ又該主軸線X上に位置する、フィルター(filter)25を通過する。該サンプル要素120及び該サンプルSを通過した後、該エネルギービームEは検出器(detector)145に達する。
【0013】
更に図1を参照すると、該検出器145は、電気信号を発生し該信号を解析用にプロセサー180に送ることにより、その上に入射した放射(radiation)に応答する。該検出器145によりそれに送られた該信号(複数を含む)に基づき、該プロセサーは該サンプルS内の関心のある該被検体(複数を含む)の濃度及び/又は該サンプルの分析用に使われた1つ以上の波長(wavelengths)又は波長帯域(wavelength bands)での該サンプルの吸光度(absorbance)/透過率(transmittance)特性(characteristics)を計算する。該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在(residing)するデータ処理アルゴリズム(data processing algorithm)又はプログラムインストラクション(program instructions)を実行することにより該濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。
【0014】
図1に示す実施例では、該フィルター25は、該サンプルSの分析で使用するため該フィター25を通るエネルギービームEの波長又は波長帯域を、時間に亘り及び/又は該検出システム10で行う測定中、変えることを容易化するように、可変通過域フィルター(varying−passband filter)を含んでもよい。(種々の他の実施例では、該フィルター25は一緒に省略されてもよい。)該検出システム10で使用可能な可変通過域フィルターの幾つかの例はフィルターホィール(filter wheel)(下記で更に詳細に論じられる)、電子的に同調可能なフィルター(electronically tunable filter)、フアブリーペロー干渉計(fabry−Perot interferometer)又は何等かの他の適当な可変通過域フィルターを含むが、それらに限定されない。
【0015】
該エネルギービームEが可変通過域フィルターでフィルターされると、該サンプルSの吸収率(absorption)/透過率特性は多数の波長又は波長帯域で、別々の、シーケンシャルな仕方で分析され得る。例として、該サンプルSを4つの別々な波長(波長1から波長4の)で分析することが望まれると仮定する。該可変通過域フィルターは、該検出器145が感応する大抵の又は全ての他の波長(波長2−4を含む)のビームEを実質的に阻止しながら、最初にエネルギービームEが波長1で通過することを可能にするよう操作又は同調(tuned)させられる。そこで、該サンプルSを通過し該検出器145に達するビームEに基づき、サンプルSの吸収率/透過率特性が波長1で測定される。次いで、該可変通過域フィルターは、上記で論じた他の波長を実質的に阻止しながら、該エネルギービームEが波長2で通過することを可能にするよう操作又は同調させられ、該サンプルSは波長1で行われた様に波長2で分析される。この過程は、関心のある波長の全てが該サンプルSを分析するため使われるまで、繰り返される。集められた吸収率/透過率データは次いで、該材料サンプルS内の関心のある該被検体(複数を含む)の濃度を決定するため該プロセサー180により分析される。
【0016】
この別々で、シーケンシャルな仕方での各波長又は波長帯域に於ける該サンプルSの分析により、より高い精度が得られるが、何故ならば、さもなくば直接関心のある波長の他の波長の検出により引き起こされるノイズ、干渉(interference)、他が最小化されるからである。しかしながら、該システム10が可変通過域フィルターを有してもしなくても、何等かの他の適当な検出方法論(detection methodology)が該検出システム10と共に使われてもよい。
【0017】
該可変通過域フィルターの使用は上記で論じた、或る利点を提供するが、選択された波長又は波長帯域がその分析用に該サンプルSを通過することを可能にするために代わりのフィルター25として固定通過域フィルター(fixed−passband filter)が使われてもよい。
【0018】
ここで使用される時、用語”材料サンプル(material sample)”{又は、代わりに”サンプル(sample)”}は広い用語であり、その普通の意味で使われ、該被検体検出システム10による分析用に好適な材料のどんな集まりも、制限無しに、含んでいる。例えば、材料サンプルSは全血(whole blood)、血液成分(blood components){例えば、血漿(plasma)又は血清(serum)}、間質性流体(interstitial fluid)、細胞間流体(intercelluular fluid)、唾液(saliva)、尿(urine)、汗及び/又は他の有機又は無機材料、又はこれらの材料の何れかの誘導体(derivatives)、を含んでもよい。1実施例では、全血又は血液成分は患者の毛細管(capillaries)から抜き取られてもよい。ここで使用される時、用語”被検体(analyte)”は広い用語であり、その普通の意味で使われ、その存在又は濃度が、該被検体検出システム10により材料サンプルS内で探索されるどんな化学的種(chemical species)も、制限無しに、含む。例えば、該被検体検出システム10により検出されてもよい該被検体(複数を含む)は、ブドウ糖、エタノール(ethanol)、インシュリン(insulin)、水、二酸化炭素、血液酸素(blood oxygen)、コレステロール(cholesterol)、ビリルビン(bilirubin)、ケトン、脂肪酸、リポタンパク質、アルブミン(albumin)、尿素(urea)、クレアチニン(creatinine)、白血球、赤血球、ヘモグロビン、酸化ヘモグロビン、一酸化炭素ヘモグロビン(carboxyhemoglobin)、有機分子、無機分子、調合薬(pharmaceuticals)、チトクローム(cytochrome)、種々のタンパク質及び発色団(chromophores)、微小灰化物(microcalcifications)、電解質、ナトリウム、カリウム、塩素、重炭酸塩(bicarbonate)、そしてホルモンを含むが、それらに限定されない。
【0019】
図2は該被検体検出システム10のもう1つの実施例を描くがそれは下記で更に詳述されることを除けば、図1で図解された実施例と概ね同様である。可能な場合には、図1と2の実施例の描写で同様な要素は同一参照数字で識別される。
【0020】
図2に示す該検出システム10はコリメーター(collimeter)30を有し、該コリメーターを、エネルギービームEは、該コリメーター30の広い端部36の下流に配置された第1フィルター40に達する前に、通過する。該第1フィルター40は該主軸線X上で該ソース20及びコリメーター30と整合され、そして好ましくは、下記で論じる様に、該ソース20により放射される波長の、例えば約2.5μmと約12.5μmの間の、選択された帯域のみを通過可能にする、広帯域フィルターとして動作するよう構成されるのがよい。1実施例では、該エネルギーソース20は赤外線ソースを有し、該エネルギービームEは赤外線エネルギービームを有する。1つの好適なエネルギーソース20はコネチカット州、ミルフオードのホークアイテクノロジー(HawkEye Technologies of Milford, Connecticut)から入手可能なトーマテックテーエムアイアール−50(TOMA TECHTM IR−50)である。
【0021】
更に図2を参照すると、該第1フィルター40はマスク(mask)44内に設置されるので、該エネルギービームEの該第1フィルター40に入射する部分のみが該マスク−第1フィルター組立体(mask−primary filter assembly)の面を通過することが出来る。該第1フィルター40は該主軸線Xの概ね中央に置かれ、該主軸線に直交するよう配向され、約8mmの直径を有して円形(該主軸線Xに直交する平面内で)であるのが好ましい。勿論、どんな他の適当な寸法又は形状が使われてもよい。上記で論じた様に、該第1フィルター40は好ましくは広帯域フィルター(broadband filter)として動作するのがよい。該図解された実施例では、該第1フィルター40は約4μmと11μmの間のエネルギー波長のみが通過することを可能にするのが好ましい。しかしながら、他の波長範囲が選択されることも可能である。該第1フィルター40は該第1フィルター40の下流に配置された第2フィルター(複数を含む)60のフィルタリング負担(filtering burden)を有利に減じ、望ましい波長帯域の外の波長を有する電磁放射の棄却を改善する。加えて、該第1フィルター40は通過するエネルギービームEにより第2フィルター(複数を含む)60の加熱を最小化するのを助け得る。これらの利点にも拘わらず、該第1フィルター40及び/又はマスク44は図2で示す該システム10の代わりの実施例では省略されてもよい。
【0022】
該第1フィルター40は好ましくはその動作特性{中央波長(center wavelength)、通過域幅(passband width)}を実質的に保持するよう構成されるのがよく、そこでは該エネルギービームEの幾らか又は全ては主軸線Xに対して約12度までの円錐角(cone angle)だけ正規入射(normal incidence)からそれる(deviate)。更に進んだ実施例では、この円錐角は約15度又は20度までであってもよい。該第1フィルター40は、その中のどんな変化も、該システム10が使われる背景で該システムのユーザー(複数を含む)のために重要な心配を高める仕方で該検出システム10の性能又は動作に影響するのに充分でない場合に、その動作特性を”実質的に保持する”と言われる。
【0023】
図2で図解される実施例では、該第2フィルター(複数を含む)60を該主軸線X上で及び/又は該エネルギービームE内で選択的に位置付けるために、フィルターホィール(filter wheel)50が可変通過域フィルターとして使われる。該フィルターホィール50は従って該ホィール50の下流の該エネルギービームEの波長(複数を含む)を選択的に同調させ得る。これらの波長(複数を含む)は該フィルターホィール50内に設置された第2フィルター(複数を含む)60の特性により変化する。該フィルターホィール50は、該材料サンプルSを分析するために使われる波長又は波長帯域を、上記で論じた様に、シーケンシャルに変えるために、該第2フィルター(複数を含む)60を該エネルギービームE内で”1度に1つ(one−at−a−time)”の仕方で位置付ける。
【0024】
代わりの配置では、図2で描かれた1つの第1フィルター40は第2フィルター60の各々の上流のフィルターホィール50上に設置された追加の第1フィルターと置き換えられるか又はそれにより補足されてもよい。なおもう1つの代替えでは、該第1フィルター40は、該検出システム10の運転中の種々の時に該主軸線X上に種々の第1フィルターを位置付けるための第1フィルターホィール(primary filter wheel)(示されてない)として、又は同調可能なフィルターとして実施されることも出来る。
【0025】
該フィルターホィール50は、図3に描かれる実施例では、ホィールボデイ52と、該ボデイ52上に配置される複数の第2フィルター60と、を含むことが出来て、各フィルターの中心は該ホィールボデイの回転中心(rotational center)RCから等距離にある。該フィルターホィール50は、該主軸線Xに(i)平行であり、(ii)該回転中心RCと該第2フィルター(複数を含む)の中心(複数を含む)の何れかと、の間の距離に概略等しい直交距離だけ該主軸線Xから隔てられている、軸線の周りで回転するよう構成される。この配置下で、該ホィールボデイ52の回転は、該エネルギービームE上に作用するために、該主軸線Xを通るようシーケンシャルに該フィルターの各々を進める。{しかしながら、関心のある被検体(複数を含む)又は望ましい測定速度に依り、該ホィール50上のフィルターのサブセット(subset)が与えられた測定のラン(run)で使われてもよい。}図3で描く実施例では、該ホィールボデイ52は円形であるが、しかしながら、オーバル(oval)、正方形、長方形、3角形、他の様などんな適当な形状が使われてもよい。センサー80を位置付けるために該ホィール50のホームポジション(home position)を示すようホームポジションノッチ(home position notch)54が提供されてもよい。
【0026】
1実施例では、該ホィールボデイ52はモールドされたプラスチックで形成され得て、該第2フィルター60の各々は5mm×5mmの正方形の形状と1mmの厚さを有する。該フィルター60の各々は、このホィールボデイの実施例では、直径4mmの円形アパーチャー(circular aperture)と軸方向に整合されており、該アパーチャー中心は、その円が該ホィールボデイ52と同心である約43.18mm(約1.7インチ)の直径の円を規定する。該ボデイ52自身は円形で約50.8mm(2.00インチ)の外径を有する。
【0027】
第2フィルター(複数を含む)60の各々は好ましくは狭帯域フィルター(narrow band filter)として動作するよう構成されるのがよく、選択されたエネルギー波長又は波長帯域{すなわち、フィルターされたエネルギービーム(Ef)}のみが通過出来るようにしている。該フィルターホィール50がその回転中心RCの周りに回転すると、該第2フィルター(複数を含む)60の各々は、今度は、該第2フィルター(複数を含む)60の各々に対応する選択されたドウエル時間(selected dwell time)の間該主軸線Xに沿うよう配置される。
【0028】
与えられた第2フィルター60用の該”ドウエル時間”は、その間下記条件、すなわち(i)該フィルターが該主軸線X上に配置され、そして(ii)該ソースがエネルギーを与えられている、と言う条件、の両者が真である、該システム10の個別測定ラン(individual measurement run)での時間間隔(time interval)である。与えられたフィルター用のドウエル時間は、個別測定ラン中該フィルターが該主軸線X上に配置される時間より長いか又は等しくてもよい。該被検体検出システム10の1実施例では、該第2フィルター(複数を含む)60の各々に対応するドウエル時間は約1秒より短い。しかしながら、該第2フィルター(複数を含む)60は他のドウエル時間も有し得て、該フィルター(複数を含む)60の各々は与えられた測定ラン中異なるドゥエル時間を持ってもよい。
【0029】
再び図2を参照すると、ステッパーモーター(stepper motor)70が該フィルターホィール50に連結されており、該フィルターホィール50を回転する力を発生するよう構成されている。加えて、位置センサー80が該フィルターホィール50の円周の1部上に配置され、該フィルターホィール50の角位置(angular position)を検出し、対応するフィルターホィール位置信号を発生するよう構成されており、それによりどのフィルターが該主軸線X上の位置にあるかを示す。代わりに、該ステッパーモーター70がそれ自身の回転(複数を含む)を追跡又はカウントするよう構成され、それにより該フィルターホィールの角位置を追跡し、対応する位置信号を該プロセサー180に送ってもよい。2つの適当な位置センサーは日本の京都のオムロン社(Omron Corporation of Kyoto, Japan)から入手可能なモデルイーイー−エスピーエックス302−ダブリュー2エイとイーイー−エスピーエックス402−ダブリュー2エイ(model EE−SPX302−W2A and EE−SOX402−W2A)である。
【0030】
該第2フィルター60からの、該フィルターされたエネルギービーム(Ff)は、該主軸線Xに沿って配置され、該主軸線Xに対し含まれた角θで配置された面100aを有するビームスプリッター(beam splitter)100を通過する。該スプリッター100は好ましくは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)をサンプルビーム(sample beam)(Es)と基準ビーム(reference beam)(Er)に分けるのがよい。
【0031】
更に図2を参照すると、該サンプルビーム(Es)は次に該主軸線Xに沿い該スプリッター100と整合された第1レンズ(first lens)110を通過する。該第1レンズ110は該サンプルビーム(Es)を概ね該軸線Xに沿い該材料サンプルS上に焦点合わせするよう構成される。該サンプルSは好ましくは該サンプル要素120の第1窓(first window)122と第2窓(second window)124の間のサンプル要素120内に配置されるのがよい。該サンプル要素120は更に好ましくはホルダー130内に除去可能に配置されるのがよく、そして該ホルダー130はそれぞれ該第1窓及び第2窓との整合用に構成された第1開口部(first opening)132と第2開口部(second opening)134を有する。代わりに、該サンプル要素120とサンプルSは該ホルダー130を使用せず該主軸線X上に配置されてもよい。
【0032】
該サンプルビーム(Es)の少なくとも1部(fraction)は該サンプルSを透過させられ、該主軸線Xに沿って配置された第2レンズ140上へ続く。該第2レンズ140は該サンプルビーム(Es)をサンプル検出器150上に焦点合わせするよう構成されており、かくして該サンプル検出器150上に入射するサンプルビーム(Es)の光束(flux)密度を増加させる。該サンプル検出器150は該検出されたサンプルビーム(Es)に対応する信号を発生し、下記でより詳細に論じる様に、該信号をプロセサー180へ渡すよう構成されている。
【0033】
該基準ビーム(Er)は該ビームスプリッター100から該主軸線Xと概ね直交する従軸線(minor axis)Yに沿って配置された第3レンズ(third lens)160へ導かれる。該第3レンズ160は該基準ビーム(Er)を基準検出器(reference detector)170上へ焦点合わせするよう構成され、かくして該基準検出器170上へ入射する該基準ビーム(Er)の光束密度を増加させる。1実施例では、該レンズ110,140,160は赤外線放射に高度に透過性の材料、例えば、ゲルマニウム又はシリコンで形成されてもよい。加えて、該レンズ110,140,160のどれも、望まれる光学的性能により、レンズのシステム(system of lens)として実施されてもよい。又基準検出器170は検出された基準ビーム(Er)に対応する信号を発生し、下記でより詳細に論じられる様に、該信号を該プロセサー180へ渡すよう構成される。下記で注意することを除けば、該サンプル及び基準検出器150,170は図1で図解される検出器145と概ね同様である。該サンプル及び基準検出器150,170から受信された信号に基づき、該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。
【0034】
図2に描かれる該検出システム10の更に進んだ変型では、該ソース20の出力強度(output intensity)が該検出システム10の動作で該ソース強度(source intensity)を参照する何のニーヅも解消するに充分な程安定な場合は特に、ビームスプリッター100,基準検出器170そして該従軸線Y上の他の構造体は省略されてもよい。更にここに開示された被検体検出システム10の実施例の何れに於いても、該プロセサー180及び/又はメモリー185は該検出システム10に接続された標準的パーソナルコンピュータ{”ピーシー(PC)”}内に部分的又は全部が定在してもよい。
【0035】
図4は被検体検出システム10のもう1つの実施例の部分断面図を描き、それは下記で更に詳述することを除けば、図1−3で図解される実施例の何れとも概ね同様であってもよい。可能な場合は、図1−4の実施例の描写で同様な要素は同一参照数字で識別される。
【0036】
図4の実施例のエネルギーソース20は好ましくは該主軸線X上に実質的に中心があるエミッター範囲(emitter area)22を含むのがよい。1実施例では、該エミッター範囲22は形状が正方形であってもよい。しかしながら、該エミッター範囲22は長方形、円形、楕円形、他の様な他の適当な形状を有することが出来る。1つの好適なエミッター範囲22は1辺が約1.5mmの正方形であるが、勿論何等かの他の適当な形状又は寸法が使われてもよい。
【0037】
該エネルギーソース20は好ましくは約1Hzと30Hzの間の変調周波数(modulation frequency)で選択的に動作し、約1070度ケルビン(about 1070 degrees Kelvin)と1170度ケルビンの間のピーク動作温度(peak operating temperature)を有するよう構成されるのがよい。加えて、該ソース20は全ての変調周波数で約80%より大きい変調深さ(modulation depth)で動作するのが好ましい。該エネルギーソース20は好ましくは、多数のスペクトル範囲の何れかの、例えば、赤外線波長内の、中間赤外線(mid−infrared)波長内の、約0.8μmより上の、約5.0μmと約20.0μmの間の、そして/又は約5.25μmと約12.0μmの間の、電磁放射を放射するのがよい。しかしながら、他の実施例では、該検出システム10は、変調されない及び/又は可視スペクトル(visible spectrum)からマイクロ波スペクトル(microwave spectrum)までのどこか、例えば、約0.4μmから約100μmより大きいところまでのどこかで、見出される波長で放射するエネルギーソース20を使ってもよい。なお他の実施例では、該エネルギーソース20は約3.5μmと約14μmの間、又は約0.8μmと約2.5μmの間、又は約2.5μmと20μmの間、又は約20μmと約100μmの間又は約6.85μmと約10.10μmの間の波長で電磁放射を放射出来る。なお他の実施例では、該エネルギーソース20は無線周波数(radio frequency){アールエフ(RF)}範囲又はテラヘルツ(terahertz)範囲内の電磁放射を放射出来る。上記で詳述した動作特性の全ては単に例示用であり、該ソース20は該被検体検出システム10で使用するのに好適などんな動作特性を有してもよい。
【0038】
該エネルギーソース20用電源(power supply)(示されてない)は好ましくは約30%と約70%の間のデュティサイクル(duty cycle)で選択的に動作するよう構成されるのがよい。加えて、該電源は約10Hz、又は約1Hzと約30Hzの間、の変調周波数で選択的に動作するよう構成されるのが好ましい。該電源の動作は方形波(square wave)、正弦波(sine wave)、又はユーザーにより規定される何等かの他の波形の形式であり得る。
【0039】
図4を更に参照すると、該コリメーター30は1つ以上の高反射性内面(highly−reflective inner surfaces)32を有するチューブ30aを備えるが、該内面はそれらが該エネルギーソース20から離れて、下流へ延びる時、比較的狭い上流端部34から比較的広い下流端部36へ発散している。該狭い端部34は上流アパーチャー(upstream aperture)34aを規定するが、該アパーチャーはエミッター範囲22に隣接して位置し、そして該エミッター範囲により発生される放射が該コリメーター内へと下流へ拡がることを可能にする。該広い端部36は下流アパーチャー(downstream apeture)36aを規定する。該エミッター範囲22の様に、該内面(複数を含む)32の各々、上流アパーチャー34aそして下流アパーチャー36aは好ましくは主軸線X上で実質的に中央にあるのがよい。
【0040】
図4で図解される様に、該コリメーターの該内面(複数を含む)32は放物線、双曲線、楕円又は球形の形状の様な、一般的な曲線形状を有してもよい。1つの好適なコリメーター30はコンパウンド放物線集中器(compound parabolic concentrator){シーピーシー(CPC)}である。1実施例では、該コリメーター30は長さで約20mmまでとすることが出来る。もう1つの実施例では、該コリメーター30は長さで約30mmまでとすることが出来る。しかしながら、該コリメーター30はどんな長さを有することも出来て、該内面(複数を含む)32は該被検体検出システム10と共に使用するために好適などんな形状を有することも出来る。
【0041】
該コリメーター30の該内面32は該エネルギービームEを構成する光線(rays)を、該ビームEが下流へ進む時、真っ直ぐにさせる{すなわち、主軸線Xにますます平行な角度(at angles increasingly parallel)で伝播する}ので、該エネルギービームEはますます又は実質的に円柱形になり、そして該主軸線Xに実質的に平行に配向される。従って、該内面32は、赤外線波長の様な、関心のある波長で高度に反射的で、最小の吸収性である。
【0042】
チューブ30a自身は、該内面32が関心のある波長で高度に反射性であるようコートされるか又は他の仕方で処理される限り、アルミニウム、鋼、又は何等かの他の適当な材料の様な堅い材料で作られてもよい。例えば、ポリッシ(polished)された金のコーテイングが使われてもよい。好ましくは、該コリメーター30の該内面32(複数を含む)は該主軸線Xに直交するように見た時円形の断面を規定するのがよいが、しかしながら、正方形又は他の多角形の形状、放物線又は楕円の形状の様な、他の断面形状が代わりの実施例で使われてもよい。
【0043】
上記で注意した様に、図4で示すフィルターホィール50は、好ましくは、各フィルターが或る波長又は波長帯域のエネルギーだけそれを通過可能にする様な、狭帯域フィルターとして動作するのがよい複数の第2フィルター60を有する。サンプルS内のブドウ糖の検出に好適な1構成では、該フィルターホィール50は20又は22の第2フィルター60を有し、該第2フィルターの各々は、下記、すなわち、3μm,4.06μm,4.6μm,4.9μm,5.25μm,6.12μm,6.47μm,7.98μm,8.35μm、9.65μm,そして12.2μm、の1つに概略等しい公称波長(nominal wavelength)を有する、フィルターされたエネルギービーム(Ef)がそれを通過出来るようにするよう構成される。(更に、この波長のセットはここで開示される該被検体検出システム10の実施例の何れかと共に、又何れかの中で使われてもよい。)各第2フィルター60の中心波長(center wavelength)は好ましくは該望ましい公称波長の±約2%に等しいのがよい。加えて、該第2フィルター60は好ましくは約0.2μmのバンド幅を有するか又は代わりに該公称波長±約2%−10%に等しくなるよう構成されるのがよい。
【0044】
もう1つの実施例では、該フィルターホィール50は20の第2フィルターを有し、該フィルターの各々は、4.275μm,4.5μm,4.7μm,5.0μm,5.3μm,6.056μm,7.15μm,7.3μm,7.55μm,7.67μm,8.06μm,8.4μm,8.56μm,8.87μm,9.15μm,9.27μm,9.48μm,9.68μm,9.82μm,そして10.6μmの公称中心波長を有するフィルターされたエネルギービーム(Ef)がそれを通過することを可能にするよう構成される。(この波長のセットはここで開示される該被検体検出システム10の実施例の何れかと共に、又何れかの中で使われてもよい。)なおもう1つの実施例では、該第2フィルター60は下記仕様、すなわち、±0.01μmの中心波長許容差(center wavelength tolerance)、±0.01μmの電力半値バンド幅許容差(half−power bandwidth tolerance)、75%以上のピーク透過(peak transmission)、2%より小さいカットオン/カットオフ傾斜(cut−on/cut−off slope)、℃当たり0.01%より小さい中心波長温度係数(center−wavelength temperature coefficient)、3μmから12μmのオーデー5より大きい帯域外減衰(out of band attenuation greater than OD5 from 2μm to 12μm)、0.6328μmで1.0波より少ない平坦度(flatness less than 1.0 wave at 0.6328μm)、Mil−F−48616によるE−Eの表面品質(surface quality of E−E per MIL−F−48616)、そして約1mmの全体厚さ、のどれか1つ又は組み合わせに適合する。
【0045】
なおもう1つの実施例では、上記の該第2フィルターは下記電力半値バンド幅(half−power bandwidth){”エイチピービーダブリュー(HPBW)”}仕様の何れか1つ又はその組み合わせに適合してもよい。
【0046】
【表1】
【0047】
なお更に進んだ実施例では、該第2フィルターは±0.5%の中心波長許容度と±0.02μmの電力半値バンド幅許容度を有してもよい。
【0048】
勿論、使われる第2フィルターの数、そして該中心波長及びそれの他の特性は、この様な更に進んだ実施例がブドウ糖、又はブドウ糖に代わって、又はブドウ糖に加えて、他の被検体を検出するため使われようと、該システム10の更に進んだ実施例で変わってもよい。例えば、もう1つの実施例では、該フィルター50は50より少ない第2フィルター60を有することが出来る。なおもう1つの実施例では、該フィルターホィール50は20より少ない第2フィルター60を有することが出来る。なおもう1つの実施例では、該フィルターホィール50は10より少ない第2フィルター60を有することが出来る。
【0049】
1実施例では、該第2フィルター60は各々が主軸線Xに直交する平面内で約10mmの長さと10mmの幅であり、約1mmの厚さを有する。しかしながら、該第2フィルター60は該被検体検出システム10の動作用に好適などんな他の寸法(例えば、より小さい)も有することが出来る。加えて、該第2フィルター60は好ましくは約5℃と約35℃の間の温度で動作し、該フィルターが通すよう構成された波長の該エネルギービームEの約75%より多くの、それを通る透過を許すよう構成されるのがよい。
【0050】
図4に図解された実施例に依れば、該第1フィルター40は広帯域フィルターとして動作し、該フィルターホィール50上に配置された第2フィルター60は狭帯域フィルターとして動作する。しかしながら、当業者はここで説明された実施例により他の構造体がエネルギー波長をフィルターするため使われ得ることを悟るであろう。例えば、該第1フィルター40が省略されてもよくそして/又は電子的に同調可能なフィルター又はフアブリー−ペロー干渉計(示されてない)が該フィルターホィール50及び第2フィルター60の代わりに使われ得る。この様な同調可能なフィルター又は干渉計は、シーケンシャルな、1度に1つの仕方で、1セットの波長の、又は波長帯域の、電磁放射が、該材料サンプルSの分析での使用のために、それを通過することを可能にするよう構成され得る。
【0051】
反射器チューブ(reflector tube)98は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)を、それが該第2フィルター(複数を含む)60から進む時、受けるよう位置付けられるのが好ましい。該反射器チューブ98は、漂遊光(stray light)の様な漂遊電磁放射(stray electromagnetic radiation)の該検出システム10の外部からの該反射器チューブ内への導入を実質的に防止するために該第2フィルター(複数を含む)60に対し固着されるのが好ましい。該反射器チューブ98の内面は関連波長で高度に反射性で、好ましくは主及び/又は従軸線X、Yに直交する概ね円形の断面を有する円柱形の形状を有するのがよい。しかしながら、該チューブ98の該内面はオーバル、正方形、長方形、他の様な何等かの適当な形状の断面を有し得る。該コリメーター30の様に、該反射器チューブ98は、該内面が関心のある波長で高度に反射性であるようコートされるか、又は他の仕方で処理される限り、アルミニウム、鋼、他の様な堅い材料から形成されてよい。例えば、ポリッシされた金のコーテイングが使われてもよい。
【0052】
図4で図解された実施例に依れば、該反射器チューブ98は好ましくは主断面(major section)98aと従断面(minor section)98bを含むのがよい。描かれている様に、該反射器チューブ98はT形であり、従断面98bより大きい長さを有する主断面98aを備える。もう1つの実施例では、該主断面98aと該従断面98bは同じ長さを有することが出来る。該主断面98aは該主軸線Xに沿って第1端部98cと第2端部98dの間を延びている。該従断面98bは該従軸線Yに沿って該主断面98aと第3端部98eの間に延びる。
【0053】
主断面98aは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)を該第1端部98cから、該主及び従軸線X、Yの交点で該主断面98a内に収容されたビームスプリッター100へ導く。該主断面98aは又該サンプルビーム(Es)を該ビームスプリッター100から該第1レンズ110を通りそして第2端部98dまで導く。該第2端部98dから、該サンプルビーム(Es)は該サンプル要素120,ホルダー130,そして第2レンズ140を通りそして該サンプル検出器150へ進む。同様に、該縦断面98bは該基準ビーム(Er)を該ビームスプリッター100から、第3レンズ160を通りそして第3端部98eまで導く。該第3端部98eから、該基準ビーム(Er)は基準検出器170へ進む。
【0054】
該サンプルビーム(Es)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約75%から約85%を含むのが好ましい。より好ましくは、該サンプルビーム(Es)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)の約80%を含むのがよい。該基準ビーム(Er)は好ましくは該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約15%から約25%を含むのがよい。より好ましくは、該基準ビーム(Er)は該フィルターされたエネルギービーム(Ef)のエネルギーの約20%を含むのがよい。勿論、該サンプル及び基準ビームは該エネルギービームEのどんな適当な比率を取り込んで(take on)もよい。
【0055】
該反射器チューブ98は又第1レンズ110と第3レンズ160を収容する。図4で図解される様に、該反射器チューブ98は該ビームスプリッター100と第2端部98dの間に第1レンズ110を収容する。該第1レンズ110は、レンズ110の面112が主軸線Xに概ね直交するように、配置されるのが好ましい。同様に、該チューブ98は該ビームスプリッター100と第3端部98eの間に第3レンズ160を収容する。該第3レンズ160は、該第3レンズ160の面162が従軸線Yに概ね直交するように、配置されるのが好ましい。該第1レンズ110と該第3レンズ160の各々は、該ビーム(Es、Er)が該レンズ110,160を通過する時、それぞれサンプルビーム(Es)と基準ビーム(Er)に実質的に焦点合わせするよう構成された焦点長さを有する。特に第1レンズ110は、実質的に全サンプルビーム(Es)が、該サンプル要素120内に定在する、材料サンプルSを通過するように、該サンプルビーム(Es)を焦点合わせするよう構成され、該ホルダー130に対して配置される。同様に、第3レンズ160は、実質的に全基準ビーム(Er)が該基準検出器170上に衝突(impinges)するように該基準ビーム(Er)を焦点合わせするよう構成される。
【0056】
該サンプル要素120は該ホルダー130内に保持され、該ホルダーは主軸線Xに概ね直交する平面に沿うよう配向されるのが好ましい。該ホルダー130は該被検体検出システム10の積み込み位置(loading position)と測定位置(measurement position)間を摺動式に変位させられるよう構成される。該測定位置では、該ホルダー130は、該サンプル要素120とその中に含まれるサンプルSとを該主軸線X上で配向(orient)するよう配置された停止エッジ(stop edge)136と接触する。
【0057】
図4に描かれる該ホルダー130の構造の詳細は、該ホルダーが、該エネルギービームEが該サンプル要素とサンプルを通過することを可能にしながら、該サンプル要素120とサンプルSとを、該主軸線X上に、それと実質的に直交して位置付ける限り、重要でない。図2に描かれた実施例に於ける様に、該ホルダー130が省略され、該サンプル要素120だけが該主軸線X上の描かれた位置に位置付けられてもよい。しかしながら、該ホルダー130は、該サンプル要素120が(下記で更に詳細に論じられる)、フッ化バリウム(barium fluoride)の様な非常に脆く又は壊れやすい材料から作られるか又は極端に薄くなるよう製造される場合、有用である。
【0058】
図2描かれる実施例に於ける様に、図4に示す該サンプル及び基準検出器150,170は信号を発生し、それらを該プロセサー180へ送ることにより、その上に入射する放射に応答する。該サンプル及び基準検出器150,170から受信したこれらの信号に基づき、該プロセサー180は、該プロセサー180によりアクセス可能なメモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより、該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)、他を計算する。図4に描く該検出システム10の更に進んだ変型では、該ビームスプリッター100,基準検出器170そして該従軸線Y上の他の構造体は、該ソース20の出力強度が該検出システム10の動作で該ソース強度を参照する何等のニーヅも解消する程充分に安定な場合は特に、省略されてもよい。
【0059】
図5は1実施例に依るサンプル検出器50の断面図を描いている。該サンプル検出器150は受け入れ部分(receiving portion)152aとカバー152bとを有する検出器ハウジング152内に設置される。しかしながら、該サンプル検出器150とハウジング152としてどんな適当な構造体が使われてもよい。該受け入れ部分152aは、該ハウジング152が該被検体検出システム10内に設置される時、該主軸線Xと概ね整合される、アパーチャー152cとレンズ室152dを規定するのが好ましい。該アパーチャー152cは該サンプルS及び該サンプル要素120を通過する該サンプルビーム(Es)の少なくとも1部分(a fraction)が、該アパーチャー152cを通りそして該レンズ室152d内へ進むことを可能にするよう構成される。
【0060】
該受け入れ部分152aは該アパーチャー152cの近くのレンズ室152d内に第2レンズ140を収容する。サンプル検出器150は又、該検出器150の検出面(detection plane)154が主軸線Xに実質的に直交するよう第2レンズ140の下流のレンズ室152d内に配置される。該第2レンズ140は、該レンズ140の平面142が該主軸線Xに実質的に直交するよう位置付けられる。該第2レンズ140は、サンプルビーム(Es)の実質的に全てを該検出面154上に焦点合わせし、それにより該検出面154上に入射するサンプルビーム(Es)の光束密度(flux density)を増加するよう構成され、該ホルダー130と該サンプル検出器150に対し配置されるのが好ましい。
【0061】
更に図5を参照すると、支持部材(supporting member)156は好ましくは該サンプル検出器150を受け入れ部分152a内の位置に保持するのがよい。図解された実施例では、該支持部材156は該サンプル検出器150と該カバー152bの間に配置されたばね156である。該ばね156は該サンプル検出器150の検出面154を主軸線Xに実質的に直交するように保持するよう構成される。ガスケット(gasket)157が好ましくは該カバー152bと該受け入れ部分152aの間に配置され、支持部材156を囲むのがよい。
【0062】
該受け入れ部分152aは又好ましくは該ガスケット157と該サンプル検出器150の間に配置されたプリント回路基板158を収容するのがよい。該基板158は少なくとも1つの接続部材150aを通して該サンプル検出器150に接続している。該サンプル検出器150は該検出面154上に入射するサンプルビーム(Es)に対応する検出信号を発生するよう構成される。該サンプル検出器150は該検出信号を該接続部材150aを通して該回路基板158へ通信し、該基板158は該検出信号をプロセサー180へ伝送する。
【0063】
1実施例では、該サンプル検出器150は概ね円柱形のハウジング150a、例えば、テーオー−39型”金属缶”パッケージ(type TO−39 ”metal can” package)を有し、該ハウジングはその”上流の(upstream)”端部に概ね円形のハウジングアパーチャー(housing aperture)150bを規定する。1実施例では、該ハウジング150aは約8.20mm(0.323インチ)の直径と約6.29mm(0.248インチ)の深さを有し、該アパーチャー150bは約5.00mm(0.197インチ)の直径を有してもよい。
【0064】
検出器窓150cは該アパーチャー150bに隣接して配置され、その上流側表面を検出面154から好ましくは約1.98mm(約0.078インチ){±0.10mm(0.004インチ)}に有しているのがよい。[該検出面154は、該ハウジングが約0.25mm(約0.010インチ)の厚さを有する場合、該ハウジング150aの上流エッジから約2.24mm(約0.088インチ){±0.10mm(0.004インチ)}に配置される。]検出器窓150cは好ましくは少なくとも3−12μmの通過帯域(passband)で赤外線エネルギーの透過性であるのがよく、従って、該窓154c用に1つの好適な材料はゲルマニウムである。該通過帯域の端点(endpoint)は、関心のある波長内の不必要な吸光度(absorbance)を避けるために、2.5μmより少ない方へ及び/又は12.5μmより大きい方へ更に”拡げられ(spread)”てもよい。好ましくは、該検出器窓150cの透過率はその通過帯域間で2%より多くだけは変化しないのがよい。該窓150cは厚さ約0.51mm(約0.020インチ)であるのが好ましい。該サンプル検出器150は好ましくは−20℃から+60℃の温度範囲に亘りその動作特性を実質的に保持するのがよい。
【0065】
図6は1実施例の該基準検出器170の断面図を描いている。該基準検出器170は受け入れ部分172aとカバー172bを有する検出器ハウジング172内に設置されている。しかしながら、どんな適当な構造体がサンプル検出器150とハウジング152として使われてもよい。受け入れ部分172aは、該ハウジング172が該被検体検出システム10内に設置される時、従軸線Yと概ね整合されたアパ−チャー172cと室172dを規定するのが好ましい。該アパーチャー172cは基準ビーム(Er)が該アパーチャー172cを通り、該室172d内へ進むことが出来るよう構成される。
【0066】
該受け入れ部分172aは基準検出器170を該アパーチャー172cに近い室172d内に収容する。該基準検出器170は、該基準検出器170の検出面174が該従軸線Yに実施的に直交するよう該室172d内に配置される。第3レンズ160は、実質的に全基準ビーム(Er)が該検出面174上に衝突するよう該基準ビーム(Er)を実質的に焦点合わせするよう構成され、かくして該検出面174上に入射する基準ビーム(Er)の光束密度を増加させる。
【0067】
更に図6を参照すると、支持部材176は好ましくは該受け入れ部分172a内の位置に該基準検出器170を保持するのがよい。図解された実施例では、該支持部材176は該基準検出器170と該カバー172bの間に配置されたばね176である。該ばね176は該基準検出器170の検出面174を該従軸線Yに実質的に直交して保持するよう構成される。ガスケット177は該カバー172bと該受け入れ部分172aの間に配置され、該支持部材176を囲むのが好ましい。
【0068】
又該受け入れ部分172aは好ましくは該ガスケット177と該基準検出器170の間に配置されたプリント回路基板178を収容するのがよい。該基板178は少なくとも1つの接続部材170aを通して該基準検出器170に接続する。該基準検出器170は検出面174上に入射する該基準ビーム(Er)に対応する検出信号を発生するよう構成される。該基準検出器170は該接続部材170aを通して該回路基板178に検出信号を通信し、該基板178は該検出信号を該プロセサー180に伝送する。
【0069】
1実施例では、該基準検出器170の構造はサンプル検出器150に関して上記で説明されたそれと概ね同様である。
【0070】
1実施例では、該サンプル及び基準検出器150,170はどちらも約0.8μmと25μmの間のスペクトル波長範囲の電磁放射を検出するよう構成される。しかしながら、前記セットの波長の何等かの適当なサブセット(subset)が選択されることが可能である。もう1つの実施例では、該検出器150,170は約4μmと約12μmの間の波長範囲の電磁放射を検出するよう構成される。該検出器150,170の検出面154,174は各々が約2mm×2mmの活動範囲(active area)又は約1mm×1mmから約5mm×5mmまでの活動範囲を規定してもよく、勿論、どんな他の適当な寸法と比率が使われてもよい。加えて、該検出器150,170は該主軸線Xから約45度の円錐角度内でそれに向けられた電磁放射を検出するよう構成されてもよい。
【0071】
1実施例では、該サンプル及び基準検出器サブシステム150,170は更に該検出器の温度を調整(regulating)するためのシステム(示されてない)を具備してもよい。この様な温度調整システム(temperature−regulation system)は適当な電気的ヒートソース(electrical heat source)、サーミスター(thermister)、そして比例プラス積分プラス微分(proportional−plus−integral−plus−derivative){ピーアイデー(PID)}制御部(control)を具備してもよい。これらの部品は該検出器150,170の温度を約35℃に調整するよう使われてもよい。該検出器150,170は又オプションとして他の望ましい温度で運転され得る。加えて、該ピーアイデー制御部は好ましくは約60Hzの制御速度(control rate)を有してもよく、そして該ヒートソース及びサーミスターと一緒に、該検出器150,170の温度を望まれる温度の約0.1℃内に保持する。
【0072】
該検出器150,170は電圧モード(voltage mode)か電流モード(current mode)か何れかで運転出来て、そこでは何れの運転モードも好ましくは前置増幅器モジュール(pre−amp module)の使用を含むのがよい。ここで開示された該被検体検出システムと共に使用するための好適な電圧モード検出器(voltage mode detectors)は、ドイツ、ドレスデンのインフラテック(InfraTec of Dresden, Germany)によるモデルエルアイイー302と312(models LIE 302 and 312)、メリーランド州、ロックビルのビーエイイーシステム(BAE Systens of Rockville, Maryland)によるモデルエル2002(model L2002)、そしてドイツ、ドレスデンのデイアス(Dias of Dresden, Germany)によるモデルエルテーエス−1(model LTS−1)、を含む。適当な電流モード検出器(current mode detector)は、インフラテックモデルエルアイイー301,315,345そして355(InfraTec models 301, 315, 345 and 355)、そしてデイアスから入手可能な2×2電流モード検出器(2×2 current mode detector)を含む。
【0073】
1実施例では、該検出器150,170の1つ又は両者は下記仕様、すなわち10Hz変調で約15度の円錐角度内へのcm2当たり約9.26×10−4W{実効値(rms)}の入射放射強度(incident radiation intensity)を仮定した時に、0.040cm2(2mm×2mmの正方形)の検出器範囲、10Hzでの3.70×10−5W(実効値)の検出器入力、10Hzでのワット当たり360Vの検出器感度(detector sensitivity)、10Hzでの1.333×10−2V(実効値)の検出器出力、10Hzでの8.00×10−8ボルト/エスキューアールテーエイチゼット(volt/sqrtHz)のノイズ、そして1.67×105アールエムエス/エスキューアールテーエイチゼット(rms/sqrtHz)及び104.4デシベル/エスキューアールテーエイチゼット(dB/sqrtHz)のS/N比、そして1.00×109cmエスキューアールテーエイチゼット/ワット(sqrtHz/watt)の検出度(detectivity)、を充たしてもよい。
【0074】
代わりの実施例では、該検出器150,170は光音モード(photoacoustic mode)での該検出システム10の動作用に好適なマイクロフオン及び/又は他のセンサーを含んでもよい。
【0075】
該被検体検出システム10の開示された実施例の何れも患者近接型試験システム(near−patient testing system)を具備してもよい。ここで使われる時、”患者近接型試験システム(near−patient testing system)”はその普通の意味で使われ、限定無しに、患者が実験室内で独占的とは異なる所で使われるよう構成された試験システム、例えば、患者の家庭で、クリニック(clinic)で、病院(hospital)で、或いは移動可能な環境でも使われ得るシステムを含む。患者近接型試験システムのユーザーは患者、患者の家族メンバー、臨床家(clinicean)、看護士、又はドクターを含むことが出来る。”患者近接型試験システム”又”ポイントオブケア(point−of−care)”システムを含むことが出来る。
【0076】
被検体検出システム10の実施例の何れかの部品は漂遊光(stray light)の様な漂遊する電磁放射が該エネルギービームEを劣化(contaminating)ことから防止する囲い(enclosure)又はケーシング(示されてない)内に部分的に又は完全に囲まれ(contained)てもよい。どんな適当なケーシングが使われてもよい。同様に、該検出システム10の部品は図1−2及び4に描かれる様にそれらの動作的整合性を保持するために何等か適当なフレーム又はシャシー(chassis)(示されてない)上に設置されてもよい。該フレームと該ケーシングは1つのユニット、部材又は部材の集まりとして一緒に形成されてもよい。
【0077】
該被検体検出システム10の開示された実施例の何れも、1実施例では患者又はユーザーにより容易に操作されるよう構成されてもよい。この様であるから、該システム10は携帯用デバイスを含んでもよい。ここで使われる時、”携帯用(portable)”はその普通の意味で使われ、限定無しに、該システム10が患者により容易に輸送され、便利な所で使われることを意味する。例えば、該システム10は有利に小型である。1つの好ましい実施例では、該システム10はパース(purse)又はバックパック(backpack)内に納まる(fit)のに充分な程小型である。もう1つの実施例では、該システム10はズボンのポケット内に納まる程充分小型である。なおもう1つの実施例では、該システム10はユーザーの手の掌内に保持される程充分小さい。
【0078】
外側ケーシング(示されてない)内に囲まれた時、該被検体検出システム10は長さ約137.16mm(5.4インチ)で、幅約88.9mm(3.5インチ)で、深さ約38.1mm(1.5インチ)より大きくなく、有利である。更に進んだ実施例では、該囲まれたシステム10はこの寸法の約80%又は90%より大きくないのがよい。なお更に進んだ実施例では、該囲まれた被検体検出システム10は典型的には約609.6mm(約2フイート)の幅、約304.8mm(1フット)の高さ、約304.8mm(1フット)の深さ、がある実験室級フーリエ変換赤外線分光計(laboratory−grade Fourier Transform Infrared Spectrometer){エフテーアイアール(FTIR)}の容積の約半分より少ししか、又は約10分の1より少ししか占めない。従って、これらの実施例では、該囲まれた被検体検出システム10は約28、677cm3(1750立方インチ)より少ない、又は5、735cm3(350立方インチ)より少ない容積しか有しない。なおもう1つの実施例では、該被検体検出システム10は約88.9mm(約3.5インチ)×約63.5mm(2.5インチ)×約50.8mm(2.0インチ)の大きさがあり、そして/又は約163.87cm3(約10立方インチ)の容積を有する。上記で開示される様に、その比較的小さい寸法にも拘わらず、該被検体検出システム10は種々の測定に於いて非常に良い性能を達成する。しかしながら、該被検体検出システム10はこれらの寸法に限定されず、特定の応用に必要とされる時他の適当な寸法に製造され得る。
【0079】
1つの操作方法では、図2又は4に示す該被検体検出システム10は、部分的には、該サンプル及び基準検出器150,170により検出される電磁放射を比較することにより、材料サンプルS内の1つ以上の被検体の濃度を測定する。該検出システム10の動作中、第2フィルター(複数を含む)60の各々は、該第2フィルター60に対応するドウエル時間の間該主軸線Xにシーケンシャルに整合される。(勿論、電子的に同調可能なフィルター又はフエブリーペロー干渉計が該フィルターホィール50の代わりに使われる場合、該電子的に同調可能なフィルター又は干渉計は、該第2フィルターの各々の該主軸線Xとのシーケンシャルな整合の代わりに、望まれる波長又は波長帯域のセットの各々にシーケンシャルに同調させられる。)該エネルギーソース20は次いで該ドウエル時間中、上記で論じた様に、(何等かの)変調周波数で運転される。該ドウエル時間は各第2フィルター60(又は該同調可能なフィルター又は干渉計が同調させられる各波長又は帯域)用に異なってもよい。該検出システム10の1実施例では、各第2フィルター60用のドウエル時間は約1秒より短い。各第2フィルター60に特定的ドウエル時間の使用は、誤差が材料サンプルS内の被検体濃度の計算により大きい影響を有し得る場合、該検出システム10が或る波長でより長時間(longer period of time)動作することを可能にして有利である。対応して、該検出システム10は、誤差が計算される被検体濃度により少ししか影響しない場合は、或る波長でのより短い時間動作することが出来る。該ドウエル時間が、他の仕方で、該検出システムで使われるフィルター/波長/帯域の間で不均一であってもよい。
【0080】
該主軸線Xと選択的に整合された各第2フィルター60について、該サンプル検出器150は、該第2フィルター60に対応する波長又は波長帯域で、該材料サンプルSを通して透過されるサンプルビーム(Es)の部分を検出する。該サンプル検出器10は該検出された電磁放射に対応する検出信号を発生し、該信号を該プロセサー180に送る。同時に、該基準検出器170は該第2フィルター60に対応する波長又は波長帯域で透過される基準ビーム(Er)を検出する。該基準検出器170は該検出された電磁放射に対応する検出信号を発生し、該信号を該プロセサー180に送る。検出器150,170によりそれに送られた該信号に基づき、該プロセサー180は、該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度、及び/又は該サンプルを分析するため使われた1つ以上の波長又は波長の帯域での該サンプルSの吸光度/透過率特性を計算する。該プロセサー180は該プロセサー180によりアクセス可能な該メモリー185内に定在するデータ処理アルゴリズム又はプログラムインストラクションを実行することにより、該濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)、透過率(複数を含む)を計算する。
【0081】
該基準検出器により発生される信号はソース20により放射されるエネルギービームの強度の揺らぎ(fluctuations)をモニターするため使われてもよく、該揺らぎはドリフト効果(drift effects)、老朽化(aging)、摩耗又は該ソース自身内の他の不完全性(imperfections)により起こることが多い。これは該プロセサー180に、該ソース20の放射強度での変化に帰せられ、該サンプルSの組成(composition)に帰せられない該サンプルビーム(Es)の強度の変化を識別させる。その様に行うことにより、濃度、吸光度、他の計算での誤差の起こり得るソースが最小化又は除去される。
【0082】
1実施例では、該検出システム10は、第1に、該主軸線X上にあるサンプル要素120無しで、各中心の波長又は波長帯域で該検出器150,170により検出される電磁放射を測定することにより被検体濃度読み値(analyte concentration reading)を計算する{これは”エア(air)”読み値(reading)として知られる}。第2に、該システム10は、該主軸線X上にあるサンプル要素120を有するが該材料サンプルSを有せずに、各中心の波長又は波長帯域について検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ドライ(dry)”読み値)。第3に、該システム10は、該ソース20と該ビームスプリッター100との間の該主軸線X上に配置された不透明要素(opaque element)又はマスク{関心のある波長(複数を含む)で実質的に不透明な第2フィルター60の様な}、及び/又は、スイッチオフされた該ソース20と、を用いて該検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ダーク(dark)”読み値)。第4に、該システム10は、該サンプル要素120内にある該材料サンプルSを有して、そして該主軸線X上の該サンプル要素120とサンプルSとを有して、各中心波長、又は波長帯域について、該検出器150,170により検出される電磁放射を測定する(すなわち、”ウェット(wet)”読み値)。最後に、該プロセサー180はこれらのコンパイルされた読み値に基づき該サンプルSに関する濃度(複数を含む)、吸光度(複数を含む)及び/又は透過率(複数を含む)を計算する。
【0083】
図7は図2又は図4に描かれた該被検体検出システム10(又は、代わりに、何等かの適当な検出システム)の何れかを操作する方法190の更に進んだ実施例を描いている。下記説明では、該方法は透過率領域(transmittance domain)行われるが、しかしながら、それは代わりに、透過率測定値より吸光度測定値を用いた作業用に調整された関連測定値を用いて吸光度領域(abosrbance domain)で行われてもよい。
【0084】
動作ブロック190aで、上記で論じた様に”ダーク”読み値が取られ、そこでは該プロセサー180はメモリー内に記憶されたダーク透過率読み値TDを計算する。次に、動作ブロック190bで、上記で論じた様に、”エア”読み値が取られる。この動作は、該エア読み時の基準検出器170の出力に基づき、エア透過率読み値TA、そして100%/Taと等しい利得係数(gain factor)GF(動作ブロック190c参照)のみならず同時のエア基準強度(air reference intensity)RIA(動作ブロック190d)も計算し、記憶する過程を含む。1実施例では、該エア透過率読み値TA、利得係数GFそしてエア基準強度RIAの何れか又は全部が関心のある波長又は波長帯域の各々で計算され、例えば、TAλ1、TAλ2、...TAλn;GFλ1,GFλ2、...GFλn、他を生ずる。
【0085】
動作ブロック190eで、該主軸線X上に位置付けられたサンプル要素とその中のサンプルSを用いて”ウェット”読み値が上記説明の様に取られる。該ウェット読み値は関心のある波長又は帯域の各々で1連の波長特定的透過率値(wavelength−specific transmittance values)Tλ1,Tλ2,...Tλnを生ずるが、該値は、該ウェット読み値が取られる間、関心のある各波長/帯域で該基準検出器170の出力から生ずる、同時に記録された対応するウェット基準強度RIWλ1、RIWλ2、...RIWλnと一緒に、メモリー内に記憶される。該ウェット読み値は次いで、該波長特定的透過率値Tλ1,Tλ2,...Tλnの各々から該ダーク透過率読み値(複数を含む)を引き算することによりシフト(shifted)され(ブロック190f参照)、シフト透過率値(shifted transmittance values)TSλ1、TSλ2、...TSλnを生ずる。ブロック190gで、該シフト透過率値は該値TSλ1、TSλ2、...TSλnの各々に前に計算された利得係数(複数を含む)GFを掛け算することによりスケール合わせ(scaled)される。波長特定的利得係数GFλ1,GFλ2,...GFλnが計算された場合、各シフト透過率値TSλiはその対応する利得係数GFλiを掛け算される。何れのオプションもシフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnを生ずる。
【0086】
動作ブロック190hで、該シフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnはソース基準化(source−referenced)される。最初に、基準係数RFλ1,RFλ2,...RFλnのシリーズが該エア基準強度RIAをウェット基準強度RIWλ1,RIWλ2、...RIWλnの各々で割り算することにより計算される。エア基準強度RIAλ1、RIAλ2、...RIAλnのシリーズがコンパイルされた場合、各エア基準強度RIAλiは、その基準係数RFλ1、RFλ2,...RFλnを発生するよう、その対応するウェット基準強度RIWλiにより割り算される。該シフトされ、スケール合わせされた透過率値TSSλ1、TSSλ2,...TSSλnの各々は、シフトされ、スケール合わせされ、ソース基準化された透過率値TSSRλ1、TSSRλ2,...TSSRλnを発生するよう、それを対応する基準係数RFλ1、RFλ2、...RFλnにより掛け算することによりソース基準化される。
【0087】
該シフトされ、スケール合わせされ、ソース基準化された透過率値TSSRλ1、TSSRλ2,...TSSRλnの各々は最終透過率値TFλ1,TFλ2、...TFλnを生ずるために動作ブロック190iでサンプル要素基準化(sample−element referenced)される。ここで開示された該サンプル要素基準化の方法のどれが使われてもよい。サンプル要素基準化動作190iは図解された方法190の終わりに描かれているが、この基準化190iは実際には、種々のサンプル要素基準化方法のここの論議から明らかになる様に、該方法190の他の動作と相互混合される多数の副動作(sub−operations)を含んでいる。該サンプル要素基準化動作の性質に関係無く、該最終透過率値TFλ1,TFλ2、...TFλnは次いで該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。
【0088】
更に進んだ実施例では、該方法190のどんな適当な変型も使われてよい。測定精度の望まれるレベルにより、該動作190a−190iの何れかの1つ又は組み合わせが省略されてもよい。例えば、ダーク読み値190aと続くシフト190fが省略されてもよい。これらの動作190a、190fの省略、の代わりに、又はそれに加えて、エアの読み値(air reading)190bが、全体で又は部分的に省略されてもよい。該エア透過率読み値TAと利得係数GF(ブロック190c)の測定/計算が省略された場合、スケール合わせ動作190gも又省略されてよく、同様に、エア基準強度RIAの測定/計算(ブロック190d)が省略された場合、ソース基準化動作190hも又省略されてよい。最後に前記省略の代わりに、又はそれに加えて、サンプル要素基準化動作190iが省略されてもよい。
【0089】
方法190の何れの変型に於いても、その動作はどんな適当なシーケンスで行われてもよく、該方法190は図7で描かれ、上記で説明されたシーケンスに決して限定されない。方法190の前記論議では、多数の測定と計算が透過率領域で行われるが、更に進んだ実施例では、これらの測定と計算の何れか又は全部は吸光度又は不透明度(optical density)領域で行われてもよい。前記論議では、該方法190は、該検出システム10の測定ラン中での、ダーク透過率の読み値TD、エア透過率の読み値TA、利得係数GAそしてエア基準強度RIA、の”ライブ(live)の”計算/測定を含んでいる。該方法190の更に進んだ実施例では、これらの値の何れか又は全部は、前の測定で予め決定されるか又は計算され、次いで多数の続く測定ランで使用するためメモリー内に記憶されてもよく、該ラン中に当該の該値は、再び(anew)測定/計算されるよりも、上記説明の様な使用のためメモリーから呼び戻される。
【0090】
なお更に進んだ実施例では、下記で論ずる計算アルゴリズム又は方法の何れかは、ここで論じられた方法190の実施例の何れかにより(何れかの)最終透過率値TFλ1,TFλ2,...TFλn出力からサンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。該方法190の開示された実施例の何れかは、該被検体検出システム10のプロセサー180による実行用にアクセス可能となるように、該メモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。
【0091】
1実施例では、該プロセサー180は該被検体濃度結果及び/又は他の情報をデイスプレー制御器(示されてない)へ通信するよう構成されるが、該制御器は該情報をユーザーに提示するためLCDデイスプレーの様なデイスプレー(示されてない)を操作する。1実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ材料サンプルS内のブドウ糖の濃度のみを通信出来る。もう1つの実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ該材料サンプルS内のブドウ糖の濃度に加えてケトンの濃度を通信出来る。なおもう1つの実施例では、該プロセサー180は該デイスプレー制御器へ該材料サンプルS内の多数の被検体の濃度を通信出来る。なおもう1つの実施例では、該デイスプレーは1mg/dlの分解能でブドウ糖濃度を出力する。
II.サンプル要素(SAMPLE ELEMENT)
被検体検出システム10の或る実施例の前記開示を考慮しながら、下記セクションは被検体検出システム10での使用のためのクベット(cuvette)又はサンプル要素の種々の実施例を論じる。ここで使用される時、”サンプル要素(sample element)”は広い用語であり、その普通の意味で使用され、制限無しに、サンプル室と少なくとも1つのサンプル室壁とを有する構造体を備えるが、もっと一般的に、材料サンプルを保持(hold)、支持(support)又は含む(contain)ことが出来て、電磁放射がそれにより保持、支持されるか又は含まれるサンプルを通過出来るようにする多数の構造体の何れか、例えば、クベット、試験ストリップ(test strip)、他を含む。
【0092】
図8と9は、ここで開示される被検体検出システム10の種々の実施例の何れかで使うためのクベット又はサンプル要素120を描いている。代わりに、該サンプル要素120はどんな適当な被検体検出システムで使われてもよい。該サンプル要素120はサンプル室壁(sample chamber walls)202により規定されるサンプル室(sample chamber)200を有する。該サンプル室200は、該サンプル要素120が使われる検出システムによる分析用に、患者から抜き取られる材料サンプルを保持するよう構成される。代わりに、該サンプル室200はこの様な分析用に他の有機又は無機材料(organic or inorganic material)を保持するため使われてもよい。
【0093】
図8−9で図解される実施例では、該サンプル室200は第1及び第2横室壁202a、202bと、上及び下室壁202c、202dにより規定されるが、しかしながら室壁のどんな適当な数及び形状が使われてもよい。該上及び下室壁202c、202dの少なくとも1つは、該被検体検出システム10(又は該サンプル要素が一緒に使われるべき何等かの他のシステム)により使われる電磁放射の波長(複数を含む)に充分透過性である材料で形成される。その様に透過性である室壁はかくして1実施例では”窓(window)”と呼ばれ、該上及び下室壁202c、202dは、電磁放射の関連波長(複数を含む)が該サンプル室200を通過出来るようにするよう第1及び第2窓を有する。もう1つの実施例では、これらの第1及び第2窓は上記で論じた第1及び第2窓122,124と同様である。なおもう1つの実施例では、該上及び下室壁202c、202dの1つのみが窓を有し、この様な実施例では、該上及び下室壁のもう1つは、該サンプル要素120が使われる該被検体検出システムにより該サンプル室200内へ放射される何等かの電磁エネルギーを後方反射(back−reflect)するよう構成された反射面(reflective surface)を有してもよい。従って、この実施例は、電磁エネルギーのソースと検出器とが該サンプル要素と同じ側に配置される被検体検出システムで使用するのに良く適合している。
【0094】
種々の実施例では、該サンプル要素120の該窓(複数を含む)を構成する材料は完全に透過性(transmissive)であり、すなわち、それは、それに入射する該ソース20と第1及び第2フィルター40,60からの電磁放射の何れをも吸収しない。もう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の材料は関心のある電磁的範囲で幾らかの吸収を有するが、その吸収は無視出来る。なおもう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の材料の吸収は無視出来ないが、それは比較的長い時間の間安定である。もう1つの実施例では、該窓(複数を含む)の吸収は比較的短い時間の間のみしか安定でないが、該被検体検出システム10は、該材料特性が測定可能に変化し得る前に、該材料の吸収を観察し、それを該被検体測定から除去する。サンプル要素120の該窓(複数を含む)の形成用に好適な材料はフッ化バリウム(barium fluoride)、シリコン、ポリプロピレン、ポリエチレン、又は関連波長(複数を含む)で安定な透過率(transmissivity){すなわち、単位厚さ当たり透過性(transmittance per unit thickness)}を有する何等かのポリマーを含む。該窓(複数を含む)がポリマーで形成される場合、選択されるポリマーは、該窓(複数を含む)間のサンプルの流れを高めるために、構造でアイソタクチック(isotactic)、アタクチック(atactic)又はシンデイオタクチック(syndiotactic)にすることが出来る。該サンプル要素120を作るのに好適な1つの種類のポリエチレンは、スイス、ステイフアのクベ社(KUBE Ltd. of Staefa, Switzerland)から入手可能な、押し出し加工された(as extruded)、タイプ220(type 220)である。
【0095】
1実施例では、該サンプル要素120はその窓(複数を含む)を通して、約4μmと10.5μmの間の波長を有する電磁エネルギーの充分な透過を可能にするよう構成される。しかしながら、該サンプル要素120は、該エネルギーソース20により放射されるどんなスペクトル範囲の波長の透過も可能にするよう構成されることが出来る。もう1つの実施例では、該サンプル要素120は該第2フィルター(複数を含む)60を通して透過される何等かの電磁放射波長についてその上に入射するサンプルビーム(Es)から約1.0MW/cm2より多くの光学的パワー(optical power)を受けるよう構成される。なおもう1つの実施例では、該サンプル要素120は該サンプル室上に入射する電磁エネルギーの約75%がそれを通して透過することを許容するよう構成される。好ましくは、該サンプル要素120のサンプル室200は、主軸線Xから45度の円錐角内(図1,2参照)で該材料サンプルSの方へ進むサンプルビーム(Es)が通過することを可能にするよう構成される。
【0096】
図8−9で図解される実施例では、該サンプル要素は更に、該サンプル室200から供給開口部(supply opening)206へ延びる供給通路(supply passage)204と、該サンプル室200からベント開口部210(vent opening)へ延びるベント通路(vent passage)208と、を有する。該ベント開口部210は該サンプル要素120の1端に示されているが、他の実施例では該ベント開口部210は、それが該ベント通路208と流体的に連通している限り、該サンプル要素120のどちらの側に位置付けられてもよい。
【0097】
動作中は、該サンプル要素120の該供給開口部206は、患者の傷から流れる流体の様な、材料サンプルSと接触して置かれる。該流体は次いで該サンプル供給通路204を通り、そして毛細管作用を介して該サンプル室200内へ輸送される。該ベント通路208とベント開口部210は、該サンプル要素内の空気圧力の形成を防止すること、そしてサンプルがサンプル室200へ流れる時該サンプルが該空気を変位させるのを可能にすること、によりサンプル輸送を改善する。
【0098】
該上及び下室壁202c、202dが窓を含む場合、それら間の距離T{該サンプル室200及び/又は窓202a、202bに実質的に直交する軸線に沿って測定された、又は、代わりに、該サンプル室200を通過するエネルギービーム(上記で論じたエネルギービームEの様な、しかしそれに限定されない)の軸線に沿って測定された}は光路長(optical pathlength)を含む(図9参照)。種々の実施例では、該路長(pathlength)は約1μmと約300μmの間、約1μmと約100μmの間、約25μmと約40μmの間、約10μmと約40μmの間、約25μmと約60μmの間、又は約30μmと約50μmの間にある。なおもう1つの実施例では、該光路長は約25μmである。幾つかの場合、該路長Tを、該サンプル要素120が使われるべき被検体検出システムにより指定された何等かの路長から約±1μm内に保持することが望ましい。同様に、該サンプル要素120が使われるべき該被検体検出システムに依り、該壁202c、202dを相互に対し平行度(of parallel)で±1μm内に配向し、そして/又は該壁202c、202dの各々を平面度(of planar)で{平坦さ(flat)で}±1μm内に保持することが望ましい。
【0099】
1実施例では、該サンプル要素200の横断寸法{すなわち、該横室壁(lateral chamber wall)202a、202bで規定される寸法}はサンプル検出器150の活性面(active surface)の寸法に概略等しい。従って、更に進んだ実施例では、該サンプル室200は約4mmの直径を有して丸い。
【0100】
図8−9に示すサンプル要素120は、1実施例では、下記で指定する寸法(sizes)とディメンジョン(dimensions)を有する。該供給通路204は好ましくは約17.7mmの長さ、約0.7mmの幅、そして該路長Tに等しい高さを有するのがよい。加えて、該供給開口部206は好ましくは幅が約3mmで該サンプル供給通路204の幅へスムーズに移行するのがよい。該サンプル要素120は幅が約9.53mm(約0.375インチ)で長さが約25.4mm(約1インチ)であり、約1.025mmと約1.140mmの間の全体厚さを有する。該ベント通路208は好ましくは約1.8mmから2mmの長さと約3.8mmから4mmの幅を有し、壁202c、202dの間の路長と実質的に等しい厚さを有する。該ベントアパーチャー210は該ベント通路208と実質的に同じ高さと幅である。勿論、該サンプル要素120の利点を達成しながら、他の寸法が他の実施例で使われてもよい。
【0101】
該サンプル要素120は好ましくは約3μl以下の(又は約2μl以下の、又は約1μl以下の)容積を有する材料サンプルSを、より好ましくは、約0.85μl以下の容積を有する材料サンプルSを、受け入れる寸法を有するのがよい。勿論、サンプル要素120の容積、サンプル室200の容積、他は、検出システム150の寸法と感度(sensitivity)、エネルギーソース20により放射される放射の強度、サンプルの期待される流れ特性(flow properties)、そして流れエンハーンサー(flow enhancers)が該サンプル要素120内に組み込まれるかどうか、の様な多くの変数に依り、変わり得る。流体の該サンプル室200への輸送は好ましくは毛細管作用(capillary action)により達成されるのがよいが、ウイック作用(wicking)又は真空作用(vacuum action)、又はウイック作用、毛細管作用、及び/又は真空作用の組み合わせを通して達成されてもよい。
【0102】
図10は該サンプル要素120の製作への1つのアプローチを描く。このアプローチでは、該サンプル要素120は第1層220,第2層230,そして第3層240を有する。第2層230は好ましくは第1層と第3層の間に位置付けられるのがよい。第1層220は上室壁202cを形成し、第3層240は下室壁202dを形成する。該室壁202c、202dの何れかが窓を有する場合、当該の窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c/202dは、該壁(複数を含む)が配置される層(複数を含む)220/240の残りを形成するために使われるとは異なる材料で形成されてもよい。代わりに、該層(複数を含む)220/240の全体が該窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c/202dを形成するため選択された材料で形成されてもよい。この場合、該窓(複数を含む)/壁(複数を含む)202c、202dは該層(複数を含む)220,240を用いて一体型に形成され、該サンプル室200上に乗るそれぞれの層(複数を含む)220/240の領域を単に含んでいる。
【0103】
図10を更に参照すると、第2層230は、第1及び第3層220,240を接合する接着剤で全部が形成されてもよい。他の実施例では、第2層230は第1及び第3層と同様な材料又は何等かの他の適当な材料で形成されてもよい。第2層230はその両側に堆積した接着剤を有するキャリア(carrier)として形成されてもよい。該第2層230は、サンプル室200,サンプル供給通路204,供給開口部206,ベント通路208,そしてベント開口部210を少なくとも部分的に形成するボイド(void)を含む。該第2層230の厚さは該サンプル要素120用に好適として上記で開示した路長(pathlengths)の何れかと同じであり得る。第1及び第3層は該サンプル要素120の窓(複数を含む)を形成するのに好適な上記開示の材料の何れかで形成されることが可能である。
【0104】
該サンプル室200は好ましくは反応物が無い室(reagentless chamber)を有するのがよい。換言すれば、該サンプル室200の内部容積及び/又は該室200を規定する壁(複数を含む)202は好ましくは分析用に該室内へ抜き取られるべきサンプルに対し不活性(inert)であるのがよい。ここで使用される時、”不活性(inert)”は広い用語であり、その普通の意味で使用され、制限無しに、該室200内へのサンプルの取り入れに続く、この様な被検体(複数を含む)の濃度の測定を可能にする充分な時間(例えば、約1−30分)の間、該被検体検出システム10又は何等かの他の適当なシステムで、該サンプル内の被検体(複数を含む)の濃度について行われる何等かの測定に重要に影響する仕方では、該サンプルと反応しない物質を含んでいる。代わりに、該サンプル室200は、該サンプルの試薬との反応を含むサンプル分析技術(sample assay techniques)で該サンプル要素の使用を容易化する1つ以上の試薬(reagent)を含んでもよい。
【0105】
1実施例では、該サンプル要素は、該サンプル要素内への該サンプルの入り口点、と該サンプル室(複数を含む)内の間の、適当なフィルター又は膜の使用を介して、全血、又は他の同様なサンプルから血漿(plasma)を分離するよう構成されてもよい。その様に構成されたサンプル要素では、該血漿は該フィルター/膜から下流へ、該サンプル室(複数を含む)へと流れる。該サンプルの残り(例えば、血球)は該フィルター/膜に留まる。種々の実施例では、該フィルター/膜は微小孔性(microporous)ポリエチレン又は微小孔性ポリテトラフルオロエチレンで作られてもよい。もう1つの実施例では、該フィルター/膜はニューヨーク州、イーストヒルのポール社(Pall Corporation of East hills, NY)から入手可能なビーテーエス−エスピー媒体(BTS−SP media)で作られてもよい。
III.サンプル要素基準化動作(SAMPLE ELEMENT REFERENCING)
このセクションでは、多数のサンプル要素基準化方法(methods for sample−element referencing) が開示され、該方法は一般的に被検体濃度の測定へのサンプル要素の影響の補償を含んでいる。このセクションで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは、該被検体検出システム10のプロセサー180による実行用にアクセス可能なようにメモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。加えて、このセクションで開示される方法のどれか1つ又は組み合わせは図7で描かれ、上記で論じられた方法190の種々の実施例のサンプル要素基準化動作190iとして使われてもよい。
【0106】
該方法190のサンプル要素基準化動作190iとして使われる場合(又は他の仕方で使われる場合)、このセクションで開示された方法の何れかは、波長特定的な流儀で、すなわち、当該の被検体検出システムにより分析される各波長/帯域で、サンプル要素基準化された透過率、吸光度又は不透明度を計算することにより、行われてもよい。
【0107】
上記で論じた様に、該被検体検出システム10により使われるスペクトル範囲内で或る電磁放射吸収を有する材料は、該サンプル要素120の幾つか又は全部を作るため使われ得る。ここで開示される該システム10の様な被検体検出システムの精度は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算する時、該サンプル要素に帰せられ得る何等かの散乱(scattering)又は吸収の現象を明らかにする(accounting for)ことにより改善される。該サンプル要素の材料の不完全な透過特性によるこの様な散乱又は吸収は、該サンプル要素の吸収の少なくとも1つの基準レベルを決定し、次いで該サンプル要素を用いて行われる次の測定から該基準レベルを除去することにより克服される。該サンプル要素に使われた材料の不完全な透過特性を克服する(overcome)デバイスと方法が図11−21を参照してここで論じられる。
【0108】
1実施例では、サンプル要素120の様な、空の、未使用サンプル要素は、該サンプル要素120の透光度/透過率{及び散乱(scattering)}の基準レベルを決めることにより参照される。或る実施例では、該方法はウインドウ202c、202dを通過するサンプルビームEs内に該サンプル要素120のサンプル室200を位置付ける過程を有する。該被検体検出システム10は次いで該窓202c、202dにより吸光度又は透過率の基準レベルを決める。材料サンプルが次いで該サンプル室200内へ抜き取られる。次いでサンプルビームEsが該サンプル室200の窓202c、202dのみならずサンプル自身をも通過する。該被検体検出システム10は該サンプルと該窓202c、202dとの組み合わせにより吸光度又は透過率の分析レベルを決める。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを決めると、該被検体検出システム10は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決める時、該窓202c、202dを含む材料の吸収/透過の影響を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルの解析(換言すれば、窓202c、202dを含む材料の該吸光度/透過率を明らかにする)はその2つ間の不透明度の差を計算する過程を含むことが出来る。代わりに、該レベルを解析することは透過の基準レベルに対する透過の分析レベルの比を計算する過程を含み得る。
【0109】
差計算代替え(difference−calculation alternative)は、サンプル要素基準化方法が吸光度又は不透明度領域で行われる場合に、使われ、比率計算代替え(ratio−calculation alternative)は該方法が透過率領域で行われる場合に使われる。最終データセット(典型的には、該検出システム10により分析された各波長/帯域で取られたサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析され得る。この濃度分析は、下記セクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それらに限定されない、何等か適当な方法を使って行われてもよい。例えば、サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)決定用に下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0110】
図11は、下記で詳細に説明される方法に依り、上記で開示された被検体検出システム10の様な、しかしそれに限定されない、被検体検出システムにより基準化されるよう構成されたサンプル要素302の略図解である。ここで更に説明されることを除けば、該サンプル要素302は1実施例では上記で論じられたサンプル要素120の実施例の何れかと同様であってもよい。図11で描かれている様に、該サンプル要素302は第1及び第2基準窓(first and second referencing windows)304a、304bの間に位置する基準化室(referencing chamber)304と、第1及び第2サンプル窓306a、306bの間に位置するサンプル室306と、を有する。1実施例では、該基準化窓304a、304bの内面間の隙間(separation)(すなわち、路長)は該サンプル窓306a、306bの内面間の隙間(すなわち、路長)と異なる。或る実施例では、該基準化室304の路長は該サンプル室306のそれより小さく、一方他の実施例では、該サンプル室306の該路長は該基準化室304のそれより小さい。なお他の実施例では、該基準化室304の路長は実質的にゼロである。1実施例では、該室304,306の1つは約10μmの路長を有し、該室のもう1つは約30μmの路長を有する。
【0111】
図11に図解される様に、第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aは好ましくは実質的に同様な厚さであるのがよく、第2基準化窓304bと第2サンプル窓306bも又好ましくは実質的に同様な厚さであるのがよい。1実施例では、該窓304a、304b、306a、306bの全てが実質的に同様な厚さである。しかしながら、他の実施例では、これらの厚さは窓間で異なってもよい。
【0112】
1実施例では、該窓304a、304b,306a、306bの1つ以上の外面の1つ以上は折り目付け(textured)されている。これは、例えば、当該面(複数を含む)をサンド掛けする(sanding)、及び/又はモールドするか又は比較的スムーズでない表面仕上げを有するようそれらを他の仕方で作る、ことにより行われてもよい。該サンプル要素を作るため使われる材料により、折り目付けはフリンジング(fringing)を減らすことにより該サンプル要素の光学品質を改善する。この折り目付けは、例えば、該サンプル要素120の窓202c、202dの外面の1つ又は両方を折り目付けすることによりここに開示されるサンプル要素の実施例の何れで使われてもよい。
【0113】
操作の1方法では、該サンプル要素302は、該サンプル要素302を基準化し、サンプル内の被検体の濃度を測定するために、電磁放射の1つのビームを利用する被検体検出システム10と結合される。サンプルは、該基準化室304(該基準化室が充分な路長又は容積がある実施例で)内へ、そしてサンプル室306内へ抜き取られる。サンプル要素302は被検体検出システム10内の基準位置に置かれるが、そこでは該基準化室304と基準化窓304a、304bは電磁放射の基準ビーム308の光路内に定在する。次いで該基準ビーム308は該基準化室304(そして、適用可能な場合、その中に含まれるサンプルの部分)と、基準化窓304a、304bを通過する。該被検体検出システム10は、該基準化室304と該基準化窓304a、304b内の{何れであろうと(any)}サンプルの組み合わせによる吸光度又は透過率によって該基準ビーム308の吸光度又は透過率の基準レベルを決める。該サンプル要素302は分析位置に置かれるが、そこでは該サンプル室306とサンプル窓306a、306bは該分析ビーム310の光路内に定在する。次いで該分析ビーム310が該サンプルに充たされたサンプル室306とサンプル窓306a、306bを通過する。該被検体検出システム10は該サンプル室306と該サンプル窓306a、306b内のサンプルの組み合わせによる吸光度又は透過率によって該分析ビーム310の吸光度又は透過率の分析レベルを決める。1実施例では、吸光度又は透過率の基準及び分析レベルは該被検体検出システム10により分析される各波長/帯域で測定される。
【0114】
該吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが決定すると、該被検体検出システム10は、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決める時、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを解析する過程(換言すれば、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにする過程)は該2つ間の差を計算する過程を含み得る。代わりに、該レベルを解析する過程は該基準レベルに対する該分析レベルの比を計算する過程を含み得る。
【0115】
該差計算代替えは、該サンプル要素基準化方法が該吸光度又は不透明度領域で行われる場合に使われ、該比率計算代替えは該方法が透過率領域で行われる場合に使われる。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが波長/帯域のシリースの各々で測定された場合、該差計算又は比率計算は、該シリースの各波長/帯域で測定された該(基準レベル、分析レベル)対に関し行われる。
【0116】
最終データセット(例えば、該検出システム10により分析される各波長/帯域で取られるサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析される。この濃度解析は下記セクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)を決定するため下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0117】
該第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で、又は第1基準窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で重要な差が生じた場合、該比率計算/差計算手順による該吸光度/透過率データ出力は該窓材料の吸光度/透過率側面の幾つかを”含んで(include)”もよい。従って、望ましい場合、被検体濃度を決定するために該吸光度/透過率データを解析する時、吸収データから非被検体の寄与を除去するため下記のセクションIVで開示された方法の種々の実施例が使われてもよい。
【0118】
図12で描かれた操作のもう1つの方法では、該サンプル要素302は、該サンプル要素302を基準化するためそして該サンプル内の被検体の濃度を測定するため、電磁放射の別々のビームを利用する被検体検出システム10と結合される。1つのサンプルが、該基準化室304(該基準化室が充分容積がある場合の実施例で)内へ、そして該サンプル要素302の該サンプル室306内へ抜き取られる。図12に描かれる様に、該サンプル要素302は、該基準化室304と基準化窓304a、304bが該基準化ビーム308の光路内に定在し、該サンプル室306とサンプル窓306a、306bが分析ビーム312の光路内に定在するよう、該被検体検出システム10内に置かれる。該基準ビーム308は該基準化室304(及び、適用される場合は、中に含まれた何等かのサンプル部分)と基準化窓304a、304bを通過し、該分析ビーム312は該サンプル室306,該サンプルのその中に含まれる部分、そして該サンプル窓306a、306bを通過する。該被検体検出システム10は、該基準化室304内の(何等かの)サンプルと該基準窓304a、304bを含む材料との組み合わせに依る吸光度又は透過率によって該基準ビーム308の吸光度又は透過率の基準レベルを決定し、そして該サンプルと、該サンプル窓306a、306bを含む材料と、の組み合わせによる吸光度又は透過率によって該分析ビーム312の吸光度又は透過率の分析レベルを決定する。
【0119】
吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを決定すると、該被検体検出システム10は、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を決定する時、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにすることが出来る。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルを解析する過程(換言すれば、該サンプル要素302を含む材料の吸光度又は透過率効果を明らかにする過程)は該2つの間の差を計算する過程を含む。代わりに、該レベルを解析する過程は該基準レベルに対する該分析レベルの比率を計算する過程を含む。
【0120】
差計算代替えは、該サンプル要素基準化方法が吸光度又は不透明度領域で行われる場合に使われ、該比率計算代替えは、該方法が透過率領域で行われた場合に使われる。吸光度又は透過率の基準及び分析レベルが波長/帯域のシリースの各々で測定された場合、該差計算又は比率計算は該シリース内の各波長/帯域で測定された該(基準レベル、分析レベル)対について行われる。
【0121】
最終データセット(例えば、該被検体検出システム10により分析される各波長/帯域で取られたサンプル要素基準化された吸光度/透過率測定値から組み立てられた吸光度又は透過率スペクトラム)は次いで該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため解析され得る。この濃度分析は、下記でセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を用いることにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立した被検体濃度(複数を含む)を決定するため下記で開示した方法の何れかが使われてもよい。
【0122】
該第1基準化窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で、又は第1基準窓304aと第1サンプル窓306aの厚さ間で重要な差が生じた場合、該比率計算/差計算手順による該吸光度/透過率データ出力は該窓材料の吸光度/透過率側面の幾らかを”含んで(include)”もよい。従って、望ましい場合、被検体濃度を決定するために該吸光度/透過率データを解析する時、吸収データから非被検体の寄与を除去するため下記のセクションIVで開示された方法の種々の実施例が使われてもよい。
【0123】
或る実施例では、サンプルを該サンプル要素内へ抜き取り、次いで該サンプル要素のサンプル室を圧縮し、それにより該サンプル室の内面間の隙間(separation)(すなわち、路長)を予め決められた量だけ変えることにより、該サンプル要素を含む材料の透過特性を抑える(overcome)よう、サンプル要素が基準化される。この様な実施例は変形可能なサンプル要素を用い、該サンプル要素の材料、及び/又は、該サンプル要素の中のサンプル、を通過する電磁放射のビームの路長を制御可能に変える。路長の該変化は、上記開示の解析方法(すなわち、差計算、比率計算)の何れかを使うことにより、該サンプル室内のサンプルによる吸光度又は透過率から該サンプル要素の材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。
【0124】
図13は、吸光度又は透過率測定値間でサンプル要素402を変形するために圧縮器(compressors)408,409を有する被検体検出システム406の1実施例の断面図である。或る実施例では、該被検体検出システム406は上記開示の該システム10と概ね同様であり、該サンプル要素402は下記で更に説明することを除けば、上記開示のサンプル要素120と概ね同様である。他の実施例では、該被検体検出システム406はどんな適当な被検体検出システムを備えてもよいが、更に下記で説明する追加構造体を有している。
【0125】
示される様に、該サンプル要素402は、該サンプル要素402のサンプル室404が圧縮器408,409の間に位置付けられるよう該被検体検出システム406内に位置付け可能である。各圧縮器408,409は、該圧縮器408,409を通り、該サンプル室404を通る電磁放射のビームの実質的に妨げられない通過を可能にするよう、該圧縮器の主軸線と整合された中空部分(hollow portion)412を有する。1実施例では、該圧縮器408,409は円形の断面を有してもよい(すなわち、該圧縮器408,409は円柱として形成される)。他の実施例では、該圧縮器408,409は他の断面形状を有し得る。好ましくは、該サンプル要素402は該圧縮器408,409による圧縮を可能にするよう充分に柔軟な材料製である。
【0126】
図13で図解される様に、該被検体検出システム406は近接スイッチ(proximity switch)445を有し、該スイッチは、或る実施例では、該サンプル要素402の該被検体検出システム406内への挿入を検出する。該近接スイッチ445に応答して、該被検体検出システム406は該圧縮器408,409により該サンプル要素402上に印加される力を有利に制御することが出来る。1実施例では、該挿入されたサンプル要素402による該近接スイッチ445の賦活時、該圧縮器408,409は該サンプル要素402に接触し、該サンプル要素402上に、それぞれ、反対方向に向けられた力410,411を印加する。或る実施例では、該力410,411は該サンプル要素402を実質的に圧縮することを避けるよう充分に小さい。1つのこの様な実施例では、該サンプル要素402は該被検体検出システム406のビーム443の光路内に最適に位置付けられ、図13に示す様に、該圧縮器408,409により、この最適位置に穏やかに保持される。
【0127】
電磁放射のビーム443は、一旦サンプルがサンプル室404内に抜き取られると、該サンプル及び該サンプル要素402の組み合わせによる吸光度又は透過率の第1測定をもたらすために該サンプル室404を通過させられる。或る実施例では、該サンプルは、被検体検出システム406内への該サンプル要素402の挿入の前に、該サンプル要素402のサンプル室404内へ抜き取られる。他の実施例では、該サンプルは、該サンプル要素が該被検体検出システム406内に位置付けられた後に、該サンプル室404内へ抜き取られる。
【0128】
吸光度又は透過率の第1測定が行われた後、該被検体検出システム406は該圧縮器408,409により印加される力410,411を増加させることにより該サンプル要素402を圧縮する。これらの増加した力410,411はより強く該サンプル要素402を圧縮する。このより強い圧縮に応答して、該サンプル要素402を通る光路長は修正される。好ましくは該サンプル要素402は該圧縮力410,411による塑性変形(plastic deformation)を受けるのがよい、一方、他の実施例では該変形は弾性的である。
【0129】
一旦該サンプル要素402を通る該光路長が修正されると、該サンプル及び該サンプル要素402の組み合わせによる吸光度又は透過率の第2測定が行われる。次いで該被検体検出システム406は、上記で開示した解析方法の何れか(すなわち差−計算、比率−計算)を用いて、該第1路長での吸光度又は透過率の第1測定値と該第2路長での吸光度又は透過率の第2測定値とに基づいて該サンプルのサンプル要素基準化された吸光度又は透過率を計算する。該光路長の変更は、サンプル室404内のサンプルによる吸光度又は透過率から、サンプル要素402を含む材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。かくして、該被検体検出システム406は該サンプル要素402を含む材料の吸光度又は透過率からの寄与から実質的に解放された該サンプルによる吸光度又は透過率の測定を提供する。この様な測定値は該サンプル要素基準化された吸光度又は透過率測定値に基づく該システム10により行われる被検体濃度測定の精度を向上出来る。これらの被検体濃度測定は、下記のセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等かの適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立して被検体濃度(複数を含む)を決めるために下記で論じられた方法の何れが使われてもよい。
【0130】
図13で図解された実施例では、該圧縮器108,109は該サンプル室404を圧縮することにより該サンプル室404の光路長を減じる。図14は該サンプル要素402の光路長を変えるよう構成された被検体検出システム506のもう1つの実施例の断面図である。該被検体検出システム506の構造と動作は、該圧縮器に関してを除けば、図13で図解された該被検体検出システム406と実質的に同じである。図14で示される様に、該圧縮器508は第1圧縮器窓(first compressor window)512を有し、該圧縮器509は第2圧縮器窓(second compressor window)513を有する。該圧縮器窓512,513は、該圧縮器508,509が該サンプル要素402を把持した時サンプル室404と接触する。該圧縮器窓512,513は、それぞれ反対方向の力410,411を該サンプル室404の範囲に亘りより均一に配分するのに役立つ。
【0131】
該圧縮器窓512,513は好ましくは該ビーム443を含む電磁放射の範囲で少なくとも部分的に光学的に透過性であるのがよい。1実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者は該ビーム443を含む電磁放射に対し実質的に完全に透過性である材料を有する。なおもう1つの実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者の材料の吸光度は無視可能(negligible)ではないが、それは既知で、比較的長い時間安定しており、そして該被検体検出システム506のメモリー内に記憶されているので、該システム506は、関心のある被検体(複数を含む)の濃度の測定値から該材料の吸光度又は透過率による寄与を除去出来る。もう1つの実施例では、該圧縮器窓512,513の1つ又は両者の吸光度は比較的短い時間の間しか安定でないが、該被検体検出システム506は該材料の吸光度を観察するよう構成されており、それを該材料特性が可成り変化する前に該被検体測定から実質的に取り除く。
【0132】
種々の実施例では、該圧縮器窓512,513はシリコン、ゲルマニウム、ポリエチレン、又はポリプロピレン、そして/又は何等かの他の適当な赤外線透過性材料で形成されてもよい。
【0133】
或る実施例では、サンプル要素は、全血の様なサンプルを該サンプル要素内に抜き取り、次いで該サンプル要素のサンプル室を制御された仕方で膨張させ、それにより該サンプル室の該内面間の隙間を制御可能に増加させることにより、該サンプル要素を含む材料の透過特性を打ち消す(overcome)ように、基準化される。この方法で、該サンプル要素の圧縮は該サンプル室を通る光路長を増加させる。該光路長の変化は、該サンプル室内のサンプルにより吸光度又は透過率から、該サンプル要素を含む材料による吸光度又は透過率を区別することを容易にする。
【0134】
図15−16はサンプル要素602のサンプル室604を膨張させるよう構成された被検体検出システム606の実施例を描いている。該被検体検出システム606は、該サンプル室604の第1室窓612に隣接する第1プロフアイル608と、該サンプル室604の第2室窓613に隣接する第2プロフアイル609と、を有する。該プロフアイル608,609は、該サンプル要素602が該被検体検出システム606により強制的に圧縮された時、該室窓612,613が中へ膨張出来る開いた空間(open spaces)である。好ましくは、該サンプル要素606は、該サンプル室604の該プロフアイル608,609内への膨張を許容するよう充分柔軟(sufficiently pliable)である材料で作られるのがよい。好ましくは、該サンプル要素602は塑性変形を受けるのがよいが、一方、他の実施例では該変形は弾性的である。
【0135】
図16で図解される様に、該被検体検出システム606がサンプル要素602を圧縮する時、該被検体検出システム606は該サンプル要素602に反対向きの力610,611を印加する。これは該室窓612,613をそれぞれ該プロフアイル608,609内へ膨張させ、それにより該サンプル室604の内面間の隙間を増大させ、該サンプル室604を通る該ビーム443の光路長を増加させる。光路長の該変化は該被検体検出システム606に、上記で開示された解析方法の何れかを使って、該サンプルの吸光度又は透過率のサンプル要素基準化された測定値を計算させる。かくして、該被検体検出システム606は、該サンプル要素基準化された吸光度又は透過率測定値に基づき該システム10により行われる被検体濃度測定の精度を高めるよう、該サンプル要素602を含む材料の吸光度又は透過率の寄与を実質的に取り除く。これらの被検体濃度測定は、下記のセクションIVで更に詳細に論じられる種々の計算アルゴリズムの何れかを含むが、それに限定されない、何等か適当な方法を使うことにより行われてもよい。例えば、該サンプルを通る光路長から独立して被検体濃度(複数を含む)を決定するために下記で開示される方法の何れかが使われてもよい。
【0136】
図17−18は図12−13に関連して上記で論じたサンプル要素302のもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図17−18で描かれたサンプル要素302の実施例は、上記で開示されたサンプル要素120、及び/又は図11−12のサンプル要素302、と概ね同様であってもよい。加えて、図17−18で描かれた該サンプル要素302は、図11−12で描かれた該サンプル要素302と関連して論じられた方法を、制限なしに、含めて、ここで開示されるサンプル要素基準化された方法の何れかの実施で使われてもよい。
【0137】
該サンプル要素302は更に、該基準化室304内に配置され、第1基準化窓304aから第2基準化窓304bへ延びる第1支柱(first strut)320を有する。加えて、第2支柱322が、該サンプル室306内に配置され、第1サンプル窓306aから第2サンプル窓306bへ延びている。該支柱320、322は、該サンプル要素302が被検体濃度測定で使われる時、該室304,306の何れかを通過するエネルギーのビームの光軸線に概ね平行に該支柱が延びるよう、該室303,306内に配向されるのが好ましい。例えば、該サンプル要素302が被検体検出システム10内に置かれた時、該支柱(複数を含む)320、322は主軸線X及び/又はエネルギービームEと概ね平行に延びる。
【0138】
図17−18に描かれた支柱320、322は、それぞれ基準化窓304a、304b及びサンプル窓306a、306bの内方へと外方への逸り(deflection)を最小化するか又は防止するために充分な柱強度及び引っ張り強度(sufficient column and tensile strength)を有する部材を備える。該支柱320,322は該窓304a,304b,306a、306bの平面度(planarity)を保存するのに有利に役立ち、それにより、該サンプル要素302で行われる幾つかの被検体濃度測定の精度を高める。種々の計算アルゴリズムが、サンプル要素の形状{例えば、路長、窓平面度(window planarity)、窓平行度(window parallelism)}の不完全さにも拘わらず測定精度を保存するため下記で開示されるが、該支柱320,322は、被検体濃度を測定する時、この様なアルゴリズムの種々の組み合わせの代わりに又は、それに加えて、使われてもよい。
【0139】
図解された実施例では、該支柱320,322は円柱形部材(すなわち、円形断面を有する)を有するが、しかしながら、どんな他の適当な断面形状(限定せずに、オーバル、正方形、長方形、3角形、他を含む)が使われてもよい。図解された実施例では、該支柱320、322は、それらが該第1窓304a/306aから第2窓304b/306bまで延びる時、実質的に一定の断面を保持するが、しかしながら、変化する断面が使われてもよい。
【0140】
図17−18で示される実施例では、該支柱320,322は実質的に同じ断面積であり、1つの支柱(a single strutt)が室304,306の各々で使われる。しかしながら、2,3、4本又はそれより多くが各室で使われてもよい様に、各室で使われる支柱の数は変化してもよく、基準化室支柱の全断面積はサンプル室のそれと等しい(1つの実施例で)か、又はそれと異なる(もう1つの実施例で)か何れでもよい。同様に、支柱(複数を含む)は該基準化室及びサンプル室304,306の1つのみ又は両者に使われてもよい。
【0141】
1実施例では、該支柱320,322の各々は、該サンプル要素302が使われる被検体検出システム(システム10の様な)により使われるエネルギーの波長(複数を含む)に対し実質的に不透明である。例えば、該支柱320、322は、該検出システムにより使われるソース(source)強度範囲内で、そして該支柱320,322のより短いもの以下の路長で形成される時、関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明な材料で形成されてもよい。もう1つの実施例で、該支柱は上記基準(criteria)を充足しない材料で形成され、マスク層(示されてない)が、各支柱と軸方向に整合されて、各支柱内か、又は該窓304a/306aの1つ及び該窓306a/306bの1つの、中又は上、に位置付けられてもよい。該マスク層は、該支柱320,322を通る該エネルギービームEの通過を実質的に防止するよう、関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明で、対応する支柱の(最大の)断面に適合するよう形付けられ、寸法付けられる。なお更に進んだ実施例では、何等かの適当な構造体が該支柱320,322を通るエネルギービームEの通過を実質的に防止するために使われてもよい。
【0142】
該支柱320,322を関心のある波長(複数を含む)に対し実質的に不透明にするか、又は該支柱320,322を通るエネルギービームEの通過を他の仕方で防止することにより、各室304,306で測定された吸光度/透過率の差又は比が計算される時、該支柱の吸光度/透過率は該吸光度/透過率データから除外される(drops out)。換言すれば、該支柱320,322の吸光度/透過率を該支柱の長さから独立にすることにより、これらの吸光度/透過率は、それらの長さの差にも拘わらず、被検体濃度計算の中で説明され得る(can be accounted for)。もう1つの実施例では、該支柱320,322を実質的に等しい吸光度又は透過率を有するよう他の仕方で作るが、該支柱320,322を不透明にすることなく、同じ結果が得られ得る。
【0143】
なおもう1つの実施例では、該支柱(複数を含む)320,322は関心のある波長(複数を含む)で高度に透過性である材料で形成されてもよい。例えば、被検体濃度測定に赤外線波長が使われる場合、該支柱(複数を含む)はシリコン、ゲルマニウム、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらの組み合わせで形成されてもよい。
【0144】
図17は又、サンプル要素302の上部平面図として、それぞれ基準化室及びサンプル室304,306と流体的に連通するベント通路324及び供給通路326を描いている。該ベント及び供給通路324,326は、サンプル要素120と関連して上記で開示されたそれらの相手部分(counterparts)と概ね同様である。加えて、該ベント通路324及び供給通路326はここで論じられるサンプル要素302の実施例の何れで使われてもよい。
【0145】
更に、ここに開示される種類の1つ以上の支柱が、該上部窓202cから下部窓202dまで延びるよう、該サンプル要素120のサンプル室200内で使われてもよいことが考慮されている。
【0146】
図19及び20は、図11−12及び図17−18に関連して上記で論じられた該サンプル要素302のなおもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図19−20で描かれたサンプル要素302の実施例は、上記で開示されたサンプル要素120、及び/又は図11−12及び図17−18のサンプル要素302と、概ね同様であってもよい。加えて、図19−20で描かれたサンプル要素302は、図11−12及び図17−18で描かれたサンプル要素302に関連して論じられた方法を、それに限定しないが、含み、ここで開示されたサンプル要素基準化方法の何れかの実施で使われてもよい。
【0147】
図19−20で描かれた該サンプル要素302は、接着剤、ヒートボンデイング(heat bonding)、超音波ボンデイング(ultrasonic bonding)、一体形成、他の様な何等かの適当な手段により、好ましくはその下側で、該サンプル要素302に固着される硬化層(stiffening layer)340を有する。該硬化層340は、該サンプル要素302に追加のリジディティ(rigidity)とスチフネス(stiffness)を与えるよう、寸法付けられ、形付けられ、そしてその材料が選ばれる。該硬化層304は、該サンプル要素302の残りを形成するため使われる材料、又は望まれる他の適当な材料で形成されてもよい。該硬化層340は、電磁エネルギーのビーム(該サンプル要素302が該システム10と共に使われる時該ビームEの様な)が該窓304b、306bへ進むことを可能にするよう、該基準化室304及び該サンプル室306と整合される開口部342を有する。該開口部342の他に、該硬化層340は好ましくは該サンプル要素302の下側と同一広がりを持つ(coextensive)のがよい。
【0148】
他の実施例では、図19−20で描かれた硬化層340の代わり、又はそれに加えて、同様な硬化層が該サンプル要素302の上側に固着されてもよい。この様な上側硬化層(upper−side stiffening layer)は、該サンプル要素302の上側上の基準及びサンプル室304,306間の厚さの差に適合するために食い違い部分(staggered portion)を有してもよい。
【0149】
該層340と同様な1つ以上の硬化層が、上記で開示されたサンプル要素120と共に使われ、該第1及び第3層220,240の1つ又は両者に固着されてもよいことが更に考慮されている。
【0150】
図21は図11−12及び図17−20に関連して上記で論じたサンプル要素302のもう1つの実施例を描いている。下記で更に詳述されることを除けば、図21で描かれるサンプル要素302の実施例は上記開示のサンプル要素120、及び/又は図11−12及び図17−20のサンプル要素302、と概ね同様である。加えて、図21で描かれるサンプル要素302は、図11−12及び図17−20で描かれたサンプル要素302に関連して論じられた方法を、それに限定しないが、含めて、ここに開示されるサンプル要素基準化方法の何れかを実施するのに使われてもよい。
【0151】
図21に描く該サンプル要素302は更に硬化リブ(stiffening ribs)350を有するが、該硬化リブは第1及び第2基準化窓304a、304bの1つ又は両者と共に一体的に(integrally)形成される。該硬化リブ350は好ましくは該窓304a、304bの全長を跨いで延びるのがよく、そして該サンプル要素302の残り内に続いてもよい。図21に描かれた該硬化リブは該窓304a、304bを長手方向に跨いで延びるよう配置されるので、それらは、該サンプル要素302が被検体濃度の測定で使われる時、該室304を通過させられたエネルギーのビームの光軸線の概ね直交して延びる。例えば、該サンプル要素302が被検体検出システム10内に置かれた時、該リブ350は主軸線X、及び/又はエネルギービームEに概ね直交して延びる。他の実施例では、該リブ350は、それがこの様な光軸線に概ね直交して延びる限り、どんな方向にも延びてよい。更に、該リブ350は窓304a、304b、306a、306b又はサンプル要素120の窓202c、202dのどんな組み合わせで使われてもよい。
【0152】
これらの実施例の何れでも、図21に描かれたそれらより他の、どんな適当な寸法、形状そして数のリブが使われてもよい。しかしながら、1実施例では、該窓304a上で使われるリブの形状は該窓306aのそれと実質的にマッチしており、該窓304b上で使われるリブの形状は該窓306bのそれと実質的にマッチしている。この様な配置は該サンプル要素302と共に使われるサンプル要素基準化された方法の精度を改善する。
【0153】
該リブ350は該窓304a,304b,306a、306bの平面度を保存するのに有利に役立ち、それにより該サンプル要素302を用いて行われる被検体濃度測定の精度を高める。サンプル要素形状(例えば、路長、窓平面度、窓平行度)の不完全さにも拘わらず、測定精度を保存するために種々のアルゴリズムが下記で開示されるが、該リブ350は、被検体濃度を測定する時、この様なアルゴリズムの種々の組み合わせ、の代わり、又はそれに加えて、使われてもよい。
IV.アルゴリズム(ALGORITHMS)
このセクションは、サンプルS中の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため、及び/又は被検体濃度の計算のサポートで使用されてもよい他のメザー(measures)を計算するため、使われてもよい多数の計算方法又はアルゴリズムを論ずる。このセクションで開示されるアルゴリズムの何れかの1つ又は組み合わせは、該サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度、又は他の関連メザーを計算するために、該被検体検出システム10のプロセサー180による実効用にアクセス可能なように、メモリー185内にプログラムインストラクションとして定在してもよい。代わりに、このセクションで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、被検体濃度又は他のメザーの決定用に、マサチューセッツ州、ウエルズレイのパーキンエルマー社(Perkin−Elmer Inc., of Wellesley, MA)から入手可能なスペクトラムワンモデル(SPECTRUM ONE model)の様なフーリエ変換赤外線スペクトロメーター(Fourier Transform Infrared Spectrometer){エフテーアイアール(FTIR)}により、又はそれと関連して、実行されてもよい。加えて、このセクションで開示されるアルゴリズムの何れか1つ又は組み合わせは、図7で描かれそして上記で論じられた方法190の実施例の何れかと関連して使われてもよい。例えば、該開示されたアルゴリズムは、該方法190により出力された(何等かの)最終透過率値TFλ1,TFλ2,...TFλnから該サンプルS内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を計算するため使われてもよい。
A.血液被検体濃度を決定するための方法(Methods for Determining Blood Analyte Concentrations)
多くの測定で、測定された吸収率スペクトラム(absorption spectrum)への関心のある被検体(例えば、ブドウ糖)からの寄与は該サンプル内で他の物質からの寄与の小さなパーセンテージに過ぎないことが多い。例えば、血液は容積では約70%の水、約30%の固体、大抵はタンパク質、そしてほんの約0.1%のブドウ糖から成るのが典型的である。又血液は、尿素、アラニン(alanine)、そして或る場合には、アルコール又は菓糖(fructose)の様な他の糖(sugars)、の様な他の種(species)を含む。従って、血液ブドウ糖測定は高度に鋭敏で、不精確になりやすい(vulnerable to inaccuracies)。
【0154】
もし精密なブドウ糖測定が望まれるなら、種々の血液構成分の各々の特性が考えられるべきである。何れかの与えられた波長でのサンプル吸収はその波長での該サンプルの各成分の吸収の和であるから、アイアール(IR)吸収測定はこれらの他の成分の存在により複雑化される。結果として、他の血液成分の存在のために測定されたアイアール吸収への有効な補償と調整を可能にするために、どの構成分がそのサンプル内にあるかを理解すること、それらの、測定されつつる被検体(ブドウ糖の様な)への影響を理解すること、そして本質的で測定デバイスに関連のある変数が引き起こす何等かの差を修正すること、が有用である。
【0155】
有利なことに、中間赤外線スペクトル領域(mid−IR spectral region)(例えば、約4μmから約11μm)での吸収データが使われる。水はこのスペクトル領域に亘り全吸収への主な寄与者(contributor)であるが、約6.8μmから10.5μmの血液スペクトラム内に存在するピーク及び他の構造物(peaks and other structures)は他の血液成分の吸収スペクトルに依る。ブドウ糖は約8.5から10マイクロメーターに強い吸収ピーク構造物を有するので該4から11μm領域は有利と分かったが、大抵の他の血液構成分は該8.5から10μmの範囲内で低くフラットな吸収スペクトルを有する。主な例外は水とヘモグロビン(hemoglobin)であり、それらの両者はこの領域内で可成り強く吸収し、かつ、それらは濃度の意味では2つの最も意味のある血液成分である。ここで説明される技術の或る実施例はかくして、サンプル内ブドウ糖の寄与、そしてかくして濃度を解明するために、このスペクトル領域から水とヘモグロビンの寄与を除去することに向けられる。
B.血液被検体濃度の路長に鈍感な決定法(Pathlength−Insensitive Determinations of Blood Analyte Concentrations)
或る実施例では、1つの方法が被検体の濃度を、該被検体と物質とを含むサンプル内で決定する。該方法は該サンプルの吸収率スペクトラムを提供する過程を具備し、該吸収率スペクトラムは吸収率ベースライン(absorption baseline)を有する。該方法は更に、該吸収率ベースラインが選択された吸収波長範囲内の選択された吸収値に概略等しくなるように該吸収スペクトラムをシフトする過程を具備する。該方法は更に該吸収スペクトラムから物質寄与(substance contribution)を引き算する過程を具備する。かくして、該方法は該物質からの寄与の実質的にない修正された吸収率スペクトラム(corrected absorption spectrum)を提供する。
【0156】
或る実施例では、該吸収率スペクトラムを提供する過程は、該サンプルの透過率スペクトラムを提供する過程を備え、該透過率スペクトラムは透過率ベースライン(transmittance baseline)を有する。或る実施例では、該サンプルの該透過率スペクトラムは、該サンプルを通して赤外線信号(infrared signal)の少なくとも1部分を透過させることにより提供される。該赤外線信号は複数の波長を含む。該サンプルを通して透過される該赤外線信号の部分は波長の関数として測定される。ここで説明される実施例に依れば該透過率スペクトラムを提供するために種々の構成とデバイスが使用される。
【0157】
或る実施例では、該透過率ベースラインは、透過率が最小である波長での透過率スペクトラムの値であるよう規定される。血液用では、この値は水とヘモグロビンの両者が強い吸収体である約6.1−6.2μmにあるのが典型的である。これらの波長での該サンプルからの透過率スペクトラムが殆どゼロであると期待されるが、機器誤差(instrumental error)及び熱的ドリフト(thermal drift)の様な種々の影響が該透過率ベースラインへのゼロにさせない寄与が生じ得る。加えて、機器誤差及び熱的ドリフトの様な影響は、透過率スペクトラムでの既知の特徴が、期待されるこれらの特徴の波長から、波長シフトすることに帰着する。
【0158】
或るこの様な実施例では、該吸収率スペクトラムを提供する過程は、該透過率ベースラインが選択された透過率波長範囲で概略ゼロに等しくなるよう該透過率スペクトラムをシフトする過程を具備する。サンプルが血液を含む或る実施例では、該選択された透過率波長範囲は該透過率が最小となる波長を含む。或るこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は約6μmと約6.15μmの間の波長を含む。他のこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は約12μmと約13μmの間の波長を含む。これらの波長での透過率スペクトラムは、低い濃度レベルで存在する種々の血液成分からの寄与により部分的に影響される。なお他のこの様な実施例では、該選択された透過率波長範囲は3μmに概略等しい波長を含む。これらの波長の各々は強い水の吸収ピークに対応する。
【0159】
該透過率ベースラインへのゼロにさせない寄与がある実施例では、該透過率スペクトラムはシフトされてもよい。或る実施例では、該透過率スペクトラムは、6から6.2μmの波長範囲内の透過率スペクトラムがゼロに概略等しくなるようにシフトされる。既知の特徴がそれらの期待される波長から波長でシフトされている様な実施例では、該透過率スペクトラムは波長でシフトされ得る。加えて、該透過率スペクトラムの該シフト過程は非線形的に行われることが可能である(例えば、透過率スペクトラム間で種々の波長を種々の量だけシフトする)。
【0160】
吸収率スペクトラムを提供する過程は更に、該透過率スペクトラムから吸収率スペクトラムを決定する過程を具備する。或る実施例では、透過率スペクトラムと吸収率スペクトラムの間の関係は下記の様に表され、
A(λ)=ln{1/T(λ)}
ここでλは波長、A(λ)は波長の関数としての吸収率、そしてT(λ)波長の関数としての透過率である。
【0161】
或る実施例では、該方法は該その吸収率ベースラインが選択された吸収率波長範囲内の選択された吸収率値(0,0.5、1,他の様な)に概略等しいように該吸収率スペクトラムをシフトする過程を具備する。或る実施例では、該吸収率ベースラインは、低吸収率を有する吸収率スペクトラムの部分により規定されるよう選択される。該サンプルが血液を含む或る実施例では、該選択された吸収率波長範囲は約3.8μmと約4.4μmの間の波長を含む。或る他の実施例では、該選択された吸収率波長範囲は約9μmと約10μmの間の波長を含む。
【0162】
サンプルが血液を含む或る他の実施例では、該吸収率ベースラインは、水と全血タンパク質が概略等しい吸収率を有する等吸収の波長(isosbestic wavelength)での該吸収率スペクトラムの大きさであるよう規定される。この様な実施例では、該吸収率スペクトラムは、該全体の波長スペクトルデータセットに亘り一定オフセット値を加算又は引き算することにより、該等吸収波長に於ける選択された値へシフトされる。加えて、該吸収率スペクトラムの該シフト過程は非線形的に行われ得る(例えば、種々の波長範囲内の吸収率スペクトラムの部分を種々の量だけシフトする)。該吸収率がタンパク質−水の等吸収点で或る値(例えば、0)にセットされるよう該吸収率スペクトラムをシフトすることは、ゼロに対する全体的スペクトラム位置がヘモクリットレベル(hemocrit level)へ依存するのを除くのに役立って好ましい。
【0163】
有効な等吸収点は種々の溶液内の種々のタンパク質について種々あると期待され得る。例示的全血タンパク質は、ヘモグロビン、アルブミン、グロブリン、そしてフエリチン(ferritin)を含むが、それらに限定されない。これらの等吸収波長は、他の波長範囲での測定の前か又は途中の何れかで、充填済みクベット内の有効光路長の現在のメザーを得るため利用され得る。
【0164】
この様な情報は機器関連の路長の非線形性の補償用の次の計算で非常に有用である。等吸収波長ではタンパク質と水の測定された吸収率は同一なので、該等吸収波長での該測定された吸収率はタンパク質濃度と水濃度の比(ヘモクリットレベル)から独立している。等吸収波長では、与えられたサンプル容積について、該サンプルが全体が水であろうと、全体がタンパク質であろうと、又は該2つの或る組み合わせであろうと、同じ量の吸収率が観察されるであろう。該等吸収の波長での吸収率はその時、水及びタンパク質の相対濃度から独立して、合計サンプル容積の指示である。従って、等吸収波長で観察された吸収率は唯の該サンプル路長のメザー(measure)である。或る実施例では、等吸収波長での該観察された吸収率はサンプル用の有効光路長(effective optical pathlength)の測定用に有用であり得る。結果として、上記説明された方法の種々の実施例は、光路長から独立して、すなわち、路長の前以ての知識の必要無しに、そして/又は、該サンプル要素のサンプル室が指定された又は期待された路長に近く適合することを要せずに、サンプル内の関心のある被検体(複数を含む)の濃度を精密に決定するため使われ得る。加えて、この様な情報は、機器に関連した路長の非線形性の補償用に次の計算で使われ得る。或る実施例では、これらの測定は他の波長範囲での吸収率測定の前又は同時に行われ得る。
C.非被検体寄与の吸収率データからの引き算(Subtraction of Non−Analyte Contributions From Absorption Data)
分光学的分析の1つの目標は合計血液容積に対する被検体容積(例えば、ブドウ糖容積)の比率の導出である。ブドウ糖濃度を測定する過程は、該ブドウ糖の検出を妨害する血液内他物質からの吸収率スペクトラムへの1つ以上の寄与を引き算する過程を含む。或る実施例では、基準物質吸収率スペクトラムが提供され、スケール合わせ係数をそれに掛け算することによりスケール合わせされる。該スケール合わせされた基準物質吸収率スペクトラムが測定された吸収率スペクトラムから引き算される。この手順はかくして、該物質からの寄与が実質的にない修正吸収率スペクトラム(corrected absorption spectrum)を提供する。この様な手順は、水及び/又はヘモグロビンのみならず血液の他の構成分の吸収率寄与も引き算するため使われ得る。加えて、該スケール合わせ係数は該基準物質吸収率スペクトラムの該物質による吸収率のメザーを提供する。下記でより充分説明される様に、多数の物質用に多数のスケール合わせ係数が決定される実施例では、該スケール合わせ係数の比率は当該物質の濃度比に関する情報を提供する。濃度比のこれらの決定は該サンプルを通る光路長から実質的に独立である。この様な濃度比は該サンプルを通る光路長に無関係に該サンプル内の選択された物質の濃度を決定する。
【0165】
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムは更に、関心のある被検体に依らない他の寄与について修正されることが可能である。例えば、アルコールは、アルコールの吸収率が関心のある波長範囲内でブドウ糖のそれと似ているので、ブドウ糖測定と干渉する可能性のある物質である。純ブドウ糖の約9.2μmでの吸収率ピークに対する約9.6μmでの吸収率ピークのピーク高さ比は約1.1−1.2であり、純アルコールの該比は約3.0−3.2であることが観察されている。ブドウ糖とアルコールの混合物の吸収率スペクトラムについては、このピーク高さ比はこれら2つの値間を変化する。かくして、該ピーク高さ比はアルコールとブドウ糖の相対濃度を決定するために使われ得る。アルコールの寄与は次いで該測定された吸収率スペクトラムから引き算され得る。
【0166】
或る実施例では、該測定された吸収率スペクトラムは、7.1μm付近に中心がある吸収率ピークを有する遊離タンパク質の寄与について修正され得る。或る他の実施例では、測定された吸収率スペクトラムは更に、水と全血タンパク質の間の境界層の寄与を修正され得る。該境界層の成分による測定吸収率スペクトラムの特徴は、水と全血タンパク質の間の相互作用で生じる。これらのスペクトル的特徴は”バウンド(bound)”成分(components)又はタンパク質水和物(hydrated protein)に帰せられる。測定吸収率スペクトラムに亘る対応する寄与は、修正された吸収率スペクトラムが選択された波長範囲について概略ゼロであるように、適当なスケール合わせされた基準吸収率(appropriate scaled reference absorption)を引き算することにより修正され得る。或る実施例では、該波長範囲は約7.0と7.2μmの間にあるか、又は代わりに、7.9と8.1μmの間に、又は代わりに組み合わされた波長範囲に、ある。
【0167】
又温度は、水の吸収率スペクトラムが温度変化と共に変わるので、全スペクトラムへの水の寄与の修正引き算(correct subtraction)に影響する。従って該システムが、各1つが選択された温度範囲に適用可能な、幾つかの異なる水基準スペクトラムを記憶することが有利である。その適当な基準はサンプルの温度に基づくスケール合わせと引き算用に選択される。或る実施例では、熱電対、ヒーター,等の様なハードウエアが、サンプルの温度を直接測定又は制御するために提供されてもよい。このアプローチは時に適切であるが、サンプルが非常に小さい時血液温度を精密に測定し、制御することは難しく、そして現実の血液温度はクベット温度又はクベットを囲む周囲温度で変化する。
【0168】
吸収率スペクトラムへの温度の寄与は、水吸収率スペクトラムの種々の部分が種々の量だけ温度により影響されるので、代わりにサンプルスペクトラム自身を解析することにより取り組まれ(addressed)得る。例えば、約4.9μmと5.15μmの間の水吸収スペクトラムの吸光度差(absorbance difference)は温度に非常には左右されないが、4.65μmと4.9μmの間の吸光度差は非常に温度に左右される。一定水濃度を有する与えられたサンプルについて温度が変化すると、4.65と4.9μmの間の吸光度差は大きく変化し、4.9と5.15μmの間の吸光度差は全くのところ大きくは変化しない。かくして、高い温度依存性を有する2点(例えば、4.65と4.9μm)間の吸光度差の、低い温度依存性を有する2点(例えば、4.9と5.1μm)間の吸光度差に対する比率は温度のメザーとして使われ得る。一旦この測定が行われると、幾つかの異なる記憶された水基準カーブからの適当な選択が行われ得る。
【0169】
或る実施例では、記憶されたスペクトラムを波長非線形性(wavelength nonlinearities)について修正することにより基準物質吸収スペクトラム(reference substance absorption spectrum)が提供される。例えば、該物質が水を含む場合、光路長の知識(1つ以上の等吸収波長での全サンプル吸収に基づいての)のみならず水吸収が優位な1つ以上の波長での測定された吸収(例えば、約4.5と5μmの間で)が、記憶された基準水吸収スペクトラムを、該スペクトラム間の波長非線形性について修正するため使われ得る。記憶された基準スペクトラムのこの様な修正は最終結果の歪みを減じるために有利である。同様に、等吸収波長(isosbestic wavelength)に於ける全サンプル吸収のみならず、選択された波長範囲(例えば、7.0−7.2μm又は7.9−8.1μm)での全タンパク質吸収にも基づく、光路長の前以ての知識は、非線形性を補償した基準タンパク質吸収率スペクトラムの修正を可能にする。
【0170】
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムを、1つ以上の物質の寄与について修正した後、該修正された吸収率スペクトラムは被検体濃度の測定を提供するため、基準被検体スペクトラムデータに適合される。該基準被検体スペクトラムデータは被検体吸収率最大値に近い波長のデータを含む。例えば、ブドウ糖の吸収率スペクトラムは種々のピークを備え、その2つの極大ピークはそれぞれ約9.25と9.65μmの波長にある。約8.5μmの波長と約9.65μmの波長の間の修正された吸収率スペクトラムの吸収率差は血液サンプル中のブドウ糖濃度のメザーを提供する。血液内のブドウ糖の規定(すなわち、サンプル容積当たりブドウ糖のメザー)に従うと、ブドウ糖濃度用の有用なメザーは好ましくは、最終ブドウ糖量(final glucose quantity)を、全部の水、全部のタンパク質、又は代わりに両者の組み合わせで割り算することによりアルゴリズム的に得られた赤外線量(infrared quantities)から得られるのがよい。
【0171】
上記議論はアイアール波長(IR wavelengths)の全体範囲上での測定値を含むデータのセットに焦点を合わせているが、該全体のスペクトラムに必ずしも亘らず、解析で使う個別波長だけで、データを得ることが評価される。ブドウ糖濃度を見出すために全血スペクトラムから水とヘモグロビンの寄与を引き算する或る実施例では、10回以下程の全体測定しか要しない。引き算されるべき追加成分は各々に更に1つ又は2つの測定を要する。
【0172】
例えば、水の寄与を特性付けるために、約4.7μmと5.3μmでの測定値が得られてもよい。ヘモグロビンを特性付けるためには、約8.0と8.4μmでの測定値が得られてもよい。該ブドウ糖特性付けは約8.5μmと9.6μmの間の差の測定を含む。これは6つの値、すなわち各成分用に2つ、である。透過率曲線をゼロにさせ、吸光度値をシフトすることが望まれる実施例では、6.1μm水吸光度ピークと4.1μm水/タンパク質等吸収点付近での透過率測定を更に行うことが望ましい。上記説明の様に、約4.9μmのもう1つのデータ点の追加は温度の決定を可能にする。約9.25μmのより低いアルコールピークでのもう1つの測定は、上記でも説明されたのみならず、ブドウ糖測定でアルコール含有量を補償するためにも使われ得る。或る実施例では、これら6つの波長での不透明度の値は6つの線形方程式で表され得るが、該式はブドウ糖濃度路長と、合計血液容積に対するブドウ糖容積の比と、を生ずるために解くことが出来る。
【0173】
或る実施例では、該方法は不透明度{オーデー(OD)}を使い、それは下記の様に表され得るが、
ODi=(cwαwi+chαhi+cgαgi)・d
ここで d=クベット路長
cw=水容積濃度
ch=ヘモクリット容積濃度
cg=ブドウ糖容積濃度
αwi=波長’i’での水吸収率
αhi=波長’i’でのヘモクリット吸収率
αgi=波長’i’でのブドウ糖吸収率、である。
種々の波長での種々の成分(例えば、αwi、αhi、αgi)の吸収率は該成分自身の特性であり、既知であるか又は被検体濃度の計算で使うためにそのシステムに提供され得る。下記で説明される種々の実施例では、血液サンプルは、水、ヘモクリット、そしてブドウ糖の3成分混合物(three−component mixture)としてモデル化される(すなわち、cw+ch+cg=1)。
【0174】
或る実施例では、その方法は3つの2波長セット(two−wavelength sets)を使う。第1セットは水吸収が優位な波長領域内にある。第2のセットは水とヘモクリットの吸収が優位な領域にあり、第3セットは全3成分からの吸収が優位な領域にある。或る実施例では、その計算は、オフセットとベースラインドリフト誤差(offsets and baseline drift errors)を減らす、又は最小化するために、各波長の対のオーデー差(OD differences)に基づいている。該6波長の各々での該3成分についての吸収率値が表1で示される。
【0175】
【表2】
【0176】
これらの値を表1からオーデー用の該方程式内に置換すると下記関係を生ずる。
【0177】
OD1=cwαw1d
OD2=cwαw2d
OD3=(cwαw3+chαh3)・d
OD4=(cwαw4+chαh4)・d
OD5=(cwαw5+chαh5+cgαg5)・d
OD6=(cwαw6+chαh6+cgαg6)・d
該方法の或る実施例は水濃度と通路長さの積に等しい量Aを計算する過程を有する。該量Aは”水スケール合わせ係数(water scaling factor)”と称され得て、次の関係で表され得る。
【0178】
A=(OD2−OD1)/(αw2−αw1)=cwd 該2つの波長での水吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於いて2つの測定された吸収値の差の2つの基準吸収値の差とのこの比は、該サンプルでの水の量を示す水スケール合わせ係数Aを生ずる。
【0179】
Aと、各波長での水吸収率と、を用いて、次いで”水のない(water free)”ODが計算され得て、下記関係で表される。
【0180】
ODi’=ODi−Aαwi
この方法では、該”水のない”OD値は測定されたODから水用のスケール合わせされた基準吸収率値を引いたものである。上記式の組み合わせは下記関係を生ずる。
【0181】
OD3’=chαh3・d
OD4’=chαh4・d
OD5’=(chαh5+cgαg5)・d
OD6’=(chαh6+cgαg6)・d
或る実施例では、波長3と4での該”水のない”吸収率は、ヘモクリット濃度と路長との積に比例する量Bを計算するため使われる。該量Bは”ヘモクリットスケール合わせ係数(hemocrit scaling factor)”と称され得て、下記関係で表され得る。
【0182】
B=(OD4’−OD3’)/(αh4−αh3)=chd
該2つの波長でのヘモクリット吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於ける、2つの”水のない”OD値の差のヘモクリット用の2つの基準吸収率値の差とのこの比は、該サンプル内のヘモクリットの量を示すヘモクリットスケール合わせ係数Bを生ずる。
【0183】
Bと、各波長でのヘモクリット吸収率と、を使うことにより、下記関係により表されるべき或る実施例で”ブドウ糖のみの(glucose only)”ODが計算される。
【0184】
ODi”=ODi’−Bαhi
この方法では、”ブドウ糖のみの”OD値は測定されたOD値から、水及びヘモクリット用のスケール合わせされた基準吸収率値を引いたものに等しい。
【0185】
上記式から、下記関係が計算され得る。
【0186】
OD5”=cgαg5d
OD6”=cgαg6d
ブドウ糖濃度と路長の積は、”ブドウ糖スケール合わせ係数(glucose scaling factor)”と称される量Cで与えられ、それは下記関係で表され得る。
【0187】
C=(OD6”−OD5”)/(αg6−αg5)=cgd
該2つの波長でのブドウ糖吸収率の値が既知であるか、又は該システムに提供される或る実施例では、同じ波長に於ける、2つの”ブドウ糖のみの”OD値の差のブドウ糖用の2つの基準吸収率値の差とのこの比は、該サンプル内のブドウ糖の量を示すブドウ糖スケール合わせ係数(glucose scaling factor)Cを生ずる。
【0188】
ブドウ糖容積の総血液容積に対する望まれる比は、次いで(関係cw+ch+cg=1を使って)下記関係で表され得る。
【0189】
cg=cg/(cw+ch+cg)=C/(A+B+C)
水スケール合わせ係数、ヘモクリットスケール合わせ係数、そしてブドウ糖スケール合わせ係数の和に対する、ブドウ糖スケール合わせ係数の比を取ることにより、最終の濃度比cgはサンプルの路長から実質的に独立している。かくして、ここで説明された或る実施例は血液サンプルの路長から独立して血液サンプルのブドウ糖含有量(glucose content)を決定する方法を提供する。
D.吸収率へのシステム及び温度の影響(System and Temperature Effects on Absorption)
或る実施例では、最終吸収率スペクトラム(例えば、機器ドリフト、光路長、歪み、そして主要部品からの寄与、について修正された後)は、ブドウ糖寄与を除くために基準ブドウ糖吸収率スペクトラム(reference glucose absorption spectrum)に適合され得る。この吸収率スペクトラムは更に残留成分の個別決定用に使われ得る。或る実施例では、該残留成分は、他のタンパク質、アルブミン、ヘモグロビン、フイブリノゲン(fibrinogen)、リポタンパク質、そしてトランスフエリン(transferrin)を含むが、それに限定されない、高分子量物質を含む。或る実施例では、該残留成分は、尿素、乳酸塩、そしてビタミンCを含むが、それに限定されない、低分子量物質を含む。最終のブドウ糖メザー(glucose measure)は、該残留データから、尿素の様な、特定物質の基準スペクトルを引き算することにより、この様なより低いレベルの可能性的に干渉性のある物質の存在について修正される。
1.項目の和としての一体の不透明度の表現(Expression of integral optical density as sum of terms)
或る実施例では、測定された吸収率スペクトラムへの種々の非被検体の寄与が決定される。フィルター”n”を通して透過された光により照射される水を充たしたクベットについて、その不透明度は、該フィルターを通る平均水吸収率に路長を掛け算したものに、有限なフィルター幅と形状による修正項、該クベット形状による修正項、及び下記関係による有限なフィルター幅とクベット形状で生ずるクロス項(cross−term)、をプラスしたものと等しいと表される。
【0190】
【数1】
【0191】
2.不透明度への温度の影響(Temperature effects on optical density)
加えて、該不透明度ODnは、該測定された吸収スペクトラムへの、水温の変化、フィルター温度の変化、そして水及びフィルター温度変化で生ずるクロス項、の寄与を含むよう下記の関係により表され得る。
【0192】
【数2】
【0193】
E.吸収率データからのシステム及び温度影響の引き算(Subtraction of System and Temperature Effects From Absorption Data)
吸収率データの解析は好ましくは路長、水温、フィルター温度及びクベット形状を決めるために有限数の吸収率測定を使うのがよい。或る実施例では、該解析は4つのOD測定値を利用するが、該OD測定値は、Tn=0と〈αn〉=〈α0n〉と仮定して、下記関係で表される、解かれるべき1セットの線形方程式として表される。
【0194】
【数3】
【0195】
線形方程式のこのセットの解は、非線形項(T1....T4)を評価するため使われるパラメーター(davg、ΔTw、ΔTf、A)の初期の見積を提供出来る。(davg、ΔTw、ΔTf、A)の次の見積は下記関係を解くことにより見出し得る。
【0196】
【数4】
【0197】
この過程は、路長、水温、フィルター温度及びクベット非平行度(non−parallelism)(すなわち、該サンプル室の相対する壁/窓が平行から外れる程度)の見積が収斂するまで繰り返される。
【0198】
このアプローチを用いる測定は温度及びクベット/サンプル室形状の全範囲に亘っては望まれる精度を供給しないかも知れない。他のアプローチがもっと安定な結果を生ずるため使われてもよい。1つのこの様な代わりのアプローチ上記方程式を下記の様に書き直すことに基づく。
【0199】
ODn=〈α0n〉davg+〈βn〉ΔTwdavg+〈γn〉ΔTfdavg+〈αn〉2A−(1/2)d2avgJ3n+Sn
Sn=〈ξn〉ΔTwΔTfdavg−AJ3n{1−2〈αn〉davg+(1/2)〈αn〉2d2avg}
これらの関係の項を配置し直すと下記関係を生ずる。
【0200】
ODn−davg〈α0n〉+(1/2)d2avgJ3n−Sn=davg〈βn〉ΔTw+davg〈γn〉ΔTf+〈αn〉2A
この関係が吸収データを解析するため使われる実施例は下記で説明される。
1.水温、フィルター温度、クベット形状解析(Water temperature, filter temperature, cuvette shape analysis)
或る実施例で、水温、フィルター温度、そしてクベット形状が解析される。この様な実施例では、該解析は、透過率測定値、フィルターパラメーター及び水スペクトラム特性が入力される”ステップ1”を有する。
【0201】
透過率測定値(τ1,τ2,τ3,τ4)
フィルター曲線[f1(λ)、f2(λ)、f3(λ)、f4(λ)]
フィルター温度感度[{(dλ1)/(δTf)}、{(dλ2)/(δTf)}{(dλ3)/(δTf)}{(dλ4)/(δTf)}]
水スペクトラム特性[α0(λ)、β(λ)、{δα0(λ)}/(δλ)、{δβ(λ)}/(δλ)]
該解析の或る実施例は更に不透明度及びフィルター定数が計算される”ステップ2”を有する。
【0202】
【数5】
【0203】
或る実施例では、該解析は更に、該非線形フィルター項とクベット歪みマトリックス要素が下記関係を用いて見積もられる”ステップ3”を有する。
【0204】
【数6】
【0205】
或る実施例では、該解析は、(OD1、OD2、OD3)と(OD2、OD3、OD4)とを使って路長dの関数として(ΔTw、ΔTf,A)について解く”ステップ4”を有する。(davg、ΔTw、ΔTf,A)の値は両セットの透過率測定値用に(ΔTw、ΔTf、A)の解が同じになるdの値を見出すことにより見積もられる。
【0206】
【数7】
【0207】
或る実施例では、該解析は更に、吸収率及び非線形項の新しい見積が計算される”ステップ5”を有する。
【0208】
【数8】
【0209】
或る実施例では、該解析は更に、”ステップ4”と”ステップ5”が、その解が望まれる精度に収斂するまで繰り返される”ステップ6”を有する。
2.水温、フィルター温度、平行クベット解析(Water temperature, filter temperature, parallel cuvette analysis)
或る他の実施例では、該水温及びフィルター温度が平行クベット(すなわち、該サンプル室の相対する壁が実質的に平行なもの)用に解析される。この様な実施例では、該解析は透過率測定値、フィルターパラメーター及び水スペクトル特性が入力される”ステップ1”を有する。
【0210】
透過率測定値(τ1,τ2,τ3)
フィルター曲線[f1(λ)、f2(λ)、f3(λ)]
フィルター温度感度[(dλ1)/(δTf)、(dλ2)/(δTf)、(dλ3)/(δTf)]そして
水スペクトル特性[α0(λ)、β(λ)、{δα0(λ)}/(δλ)、{δβ(λ)}/(δλ)]
該解析の或る実施例は更に不透明度及びフィルター定数が計算される”ステップ2”を含む。
【0211】
【数9】
【0212】
或る実施例では、該解析は更に、該非線形フィルター項及びクベット歪みマトリックス要素(cuvette distortion matrix element)が下記関係を使って見積もられる”ステップ3”を有する。
【0213】
【数10】
【0214】
或る実施例では、該解析は更に、該解析が(OD1、OD2)及び(OD2、OD3)を使って路長dの関数として(ΔTw、ΔTf)について解く”ステップ4”を含む。(davg、ΔTw、ΔTf)の値は、(ΔTw、ΔTf)用の解が透過率測定値の両セット用に同じであるdの値を見出すことにより見積もられる。
【0215】
【数11】
【0216】
或る実施例では、該解析は更に、吸収率及び非線形項の新しい見積が計算される”ステップ5”を有する。
【0217】
【数12】
【0218】
或る実施例では、該解析は更に、該解が望まれる精度に収斂するまで”ステップ4”及び”ステップ5”が繰り返される”ステップ6”を有する。
F.機器要因による被検体濃度への寄与(Contribution to Analyte Concentration Errors by Instrument Factors)
或る装置により各波長で測定された透過率データは機器要因と血液特性の組み合わせにより影響されるのが典型的である。該機器要因は、フィルター温度、クベット形状及びフィルター特性(例えば、中心波長、温度感度、帯域幅、形状)を含むが、それに限定されない。血液特性は血液温度、血液成分の相対濃度及び散乱(scattering)を含むがそれに限定されない。該透過率データが被検体濃度(例えば、ブドウ糖)を計算するため使われる前に、該機器要因は決定されるのが好ましく、対応する修正が各透過率値用に行われるのが好ましい。透過率測定値に関連して上記で説明された様に、機器要因の各々は水を充たされたクベットの透過率に影響し得る。或る実施例では、該解析は該装置用の期待される変動範囲上で該機器要因により導入される被検体濃度誤差を予言し得る。
【0219】
上記で説明した様に、波長の”水領域(water region)”での透過率測定値は他の血液構成分(blood constituents)を考慮せず血液中の水含有量を決定するため使われ得る。一旦水含有量が分かると、或る実施例では、該水領域の外側の波長の各々での水の寄与が計算され、除去され得る。上記で説明した様に、水基準スペクトラムは約4.7μmから約5.3μmの波長範囲内の血液スペクトラムに近似するよう適合される。該適合された水スペクトラムは次いで有効に水の無いスペクトラム(an effectively water−free spectrum)を作るために該血液スペクトラムから引き算される。
【0220】
或る透過率測定システムでは、フィルターは有限の幅と形状を有し、クベットは平行であるか又は平行でなくてもよく、そして血液及びフィルターの温度は制御されなくてもよい。これらの要因は血液成分変化又は路長変化に依らない透過率変化を引き起こすであろう。もしそれらが修正されないならば、その解析は計算された被検体濃度内に対応する誤差を有し得る(例えば、ブドウ糖誤差)。分離されたこれらの機器要因の各々は対応するブドウ糖誤差を生じ得るが、現実システム内では、該ブドウ糖誤差は全ての機器要因の組み合わせに依るであろう。
【0221】
或る実施例では、上記説明の解析は各機器要因についてのブドウ糖誤差の大きさを見積もるため使われ得る。該解析はその不透明度を水で充たされたクベットについてのクベット形状と、フィルター形状と、水温とそしてフィルター温度と、の関数として予測する。該ブドウ糖誤差は、4つの波長、該水領域内の2つと、ブドウ糖基準波長の1つ(例えば、8.45μm)と、そしてブドウ糖吸収率のピークの1つ(例えば、9.65μm)と、を使って評価され得る。各機器要因の各々は別に検討される。
【0222】
或る実施例では、該ブドウ糖誤差を評価する方法は検討中の機器要因を有する水で充たされたクベットについて各波長での透過率及び不透明度(od1,od2,od3,od4)を計算する過程を具備する。該方法は更に、ブドウ糖基準と測定波長(λ3,λ4)での水含有量を決めるために該2つの水測定値の不透明度(od1,od2)を使う過程を具備する。該方法は更に、該ブドウ糖基準及び測定波長での期待される不透明度(OD3c、OD4c)を計算する過程を具備する。該方法は更に、該ブドウ糖基準及び測定波長での精確な及び計算された不透明度間の差である残留値(ΔOD3、ΔOD4)を計算する過程を具備する。該方法は更に、残留差(ΔOD4−ΔOD3)と調和するブドウ糖濃度を計算することによりブドウ糖誤差を決定する過程を具備する。
【0223】
平行照明(例えば、実質的に円柱状のエネルギービーム)を用いて水で充たされた非平行クベットについてのフィルターを通る透過率に対応する不透明度は下記関係で表される。
【0224】
【数13】
【0225】
ここで使われる時、上記関係は”精確な不透明度(exact optical density)”と称されるが、何故ならばそれがここで説明される種々の近似を含まないからである。
【0226】
水及びフィルター温度について調節された水吸収率は下記関係で表され得る。
【0227】
αn(λ)=α0(λ)+β(λ)ΔTw+γn(λ)ΔTf+ξn(λ)ΔTwΔTf
該不透明度用の近似解は下記関係で表され得る。
【0228】
ODn=〈α0n〉davg+ΔODn
ΔODn=−(1/2)d2avgJ3n+〈βn〉ΔTwdavg+〈γn〉ΔTfdavg+〈αn〉2A+Sn
ここでdavg=平均クベット長さであり、d(x)=davg⇒A=0である。これらの方程式で、該不透明度に寄与する4つの機器要因が下記パラメーターにより指定される。
【0229】
fn(λ)=フィルター関数
ΔTw=水温の公称値からの変化
ΔTf=フイルター温度の公称値からの変化
d(x)=クベット形状
加えて、該フィルターを通しての平均吸収率は〈α0n〉で表され、ΔODnは水温、フィルター温度、フィルター形状そしてクベット形状による影響を表す。
1.被検体濃度誤差の計算(Calculation of the analyte contribution errors)
各機器要因を別々に考えると、ΔODnはその要因だけの関数となる。これは、各要因についてのブドウ糖感度の計算と、精確な不透明度と比較されたその不透明度用近似解の精度の評価と、を可能にする。表2は種々のシミュレーションについての該4つの機器要因の各々の値を示す。各行は特定のシミュレーションについての機器要因の値とΔODnの対応値とを示す。フィルター形状δ(λn)はλnで有限の狭さのフィルターを表すデル
タ関数である。
【0230】
【表3】
【0231】
各シミュレーションは精確な不透明度と表2からの機器要因とについての関係を使って精確な不透明度のセット[od1、od2,od3,od4]を計算する過程でスタートする。全てのシミュレーションについて、校正定数はセットの[〈α01〉、〈α02〉、〈α03〉、〈α04〉]であり、近似不透明度ODn=〈α0n〉davg+ΔODnである。
【0232】
修正されない場合については、計算される路長(dc)は、水領域から精確な不透明度と該校正定数とを使って下記関係で表され得る。
【0233】
dc=(od2−od1)/{〈α02〉−〈α01〉}
該第2の2つの校正定数が、次の様に、(λ3,λ4)での不透明度を予測するために使われ得る。
【0234】
OD3c=〈α03〉・dc
OD4c=〈α04〉・dc
残留するものは下記関係により表される。
【0235】
ΔOD3=OD3c−od3
ΔOD4=OD4c−od4
ブドウ糖誤差は下記関係により表される。
【0236】
Δcg={(ΔOD4−ΔOD3)/(Δg4−Δg3)}・(1/dc)
ここで(Δg3,Δg4)は(λ3,λ4)に於けるブドウ糖吸収率を表す。
【0237】
修正された場合のブドウ糖誤差は下記変換を行い
odn→odn−ΔODn
上記で概説されたステップを繰り返すことにより決定され得る。該修正されたブドウ糖誤差は、該近似不透明度(approximate optical densities)が如何に精密に該精確な不透明度(exact optical densities)に等しくなるかのメザーである。それは、機器パラメーター(この場合、フィルター幅)が変わりそしてなお近似方程式により予測される様な範囲の指示である。
【0238】
或る実施例では、クベット/サンプル室形状は、曲率(curvature)(Δc)及びウエッジ(wedge)(Δp)を路長(d0)を有する平行クベット/サンプル室へ導入することにより、モデル化され得る。該曲率は該クベットの1つの側にあるとしてモデル化され得るが、感度は、恰も同じ曲率が頂部面と底部面の間に配布されたかの様なものと同じである。該クベット幅は2wである。他のクベット形状もモデル化されてもよい。
【0239】
クベット形状パラメーター、路長、公称値からの水温変動、そして公称値からのフィルター温度、の関数としての未修正及び修正ブドウ糖誤差のグラフが上記説明の方法を使って発生され得る。種々のクベット形状パラメーターの相対的寄与が、どのパラメーターが最終ブドウ糖誤差により大きい影響を有するかを決めるために比較される。この解析は、もし修正されなければ余りに大きいブドウ糖誤差をどの感度が提供するかを表明する。この解析は修正済み誤差を過小見積もりするがそれは2つ以上の要因がある時クロス項(cross terms)を含まないからである。又この解析は該近似不透明度広がり(approximate optical density expansion)が精確な一体解と合うかどうか、すなわちより高次の項(higher order term)が必要かどうかを示す。
V.バリア材料を有するサンプル要素(SAMPLE ELEMENT WITH BARRIER MATERIAL)
A.サンプル要素(Sample Element)
図22はサンプル要素1000の1実施例の略図であり、該サンプル要素は上記で開示された被検体検出システム10で使われてもよい。代わりに、該サンプル要素1000は何等かの適当な被検体検出システムで使われてもよい。該サンプル要素1000は一般的にサンプル室1002とバリア(barrier)1004を有する。該バリア1004はランシングサイト(lancing site)LSで患者の皮膚(skin)PSと接触するよう構成された第1側部(first side)1006と、サンプル室1002と流体的に連通する第2側部(second side)1008と、を有する。種々の実施例で、流体的連通は、仲介室(複数を含む){intervening chamber(s)}を通る、1つ以上の網細管チャンネル、ウイック用材料(wicking material)の様な、1つ以上の通路{又はこの様な通路(複数を含む)/チャンネル(複数を含む)とウイック用材料の組み合わせ}、又は該第2側部1008と該サンプル室1002の間の単なる隣接関係、を介して、第2側部1008と該サンプル室1002の間に確立されてもよい。
【0240】
該サンプル室は該サンプル要素1000内の部分的に又は完全に閉じられた容積を有し、該ランシングサイトLSで患者の皮膚PSから抜き取られた、全血、血漿、間質性流体(interstitial fluid)及び/又は細胞間流体(intecellular fluid)の様な血液成分、の様な、しかしそれに限定されない、身体流体(bodily fluid)のサンプルを保持するよう構成される。1実施例では、該サンプル室1002は少なくとも部分的にハウジング1020により規定される。該バリア1004が該ランシングサイトLSと接触して置かれ、該バリア1004及びサイトがランス(lanced)された時(下記参照)、該バリア1004は該サンプルが該第1側部1006から第2側部1008へ進むことを可能にする一方、該サンプルの僅かなものしか、又は実質的に何も反対方向に、該第2側部1008から該第1側部1006へ進ませない。従って、一旦該サンプルが該第2側部1008に達すると、それは該室1002が該サンプルで実質的に充たされるまで該サンプル室1002の方へ流れる傾向がある。又該バリア1004のこれらの特性は該サンプル要素1000のそこからの除去後、ランシングサイトLSに留まるサンプルの量を最小化する傾向がある。同様な理由で、該バリアは又該抜き取られたサンプルの大きな部分、又は実質的に全部でさえ、該サンプル要素1000内へ、取られるか、又は、取られるよう、利用可能になる、ことを保証する。
【0241】
該サンプル室1002は好ましくは、反応物が無い室(reagentless chamber)を含むのがよい。換言すれば、該サンプル室1002の内部容積及び/又は該室1002を規定する壁(複数を含む)は分析用に該室内へ抜かれるサンプルに対して不活性(inert)であるのが好ましい。代わりに、該サンプル室1002は、試薬との該サンプルの反応を含むサンプル分析技術(sample assay techniques)での該サンプル要素の使用を容易化する1つ以上の試薬を含んでもよい。
【0242】
図23−24はサンプル要素1000のもう1つの実施例を描いているが、そこでは該バリア1004と開口部1010が該サンプル要素1000の1つの側に位置付けられる。この配置は、該バリアが該ランシングサイトLSで患者の皮膚PSに対し位置付けられた後、ランス1013が該サンプル要素1000及びバリア1004を通るよう駆動されることを可能にする。一旦該ランス1013が該バリア1004と皮膚PSを穿孔すると、該サンプルは上記で詳述する様に、該バリア1004を通り、次いで該サンプル要素1000内へ進む。図23−24に示すサンプル要素1000は更に、該バリアの反対で、ランス1013の通路内に、該サンプル要素のその側部上に穿孔可能で、自己再シール性(self−resealing)の部分1012を含んでもよい(しかしそれは必要なことではない)。該部分1012は、それが該ランスがそれを通るよう駆動され、引き抜かれた後、再シールする傾向があるよう、比較的柔らかいポリマーで形成され、それにより該バリアの第2側部1008から該サンプル要素1000内へ流れる該サンプルの傾向を保存する。該穿孔可能で自己再シール性の部分1012か又はバリア1004の何れか又は両者は、該サンプル要素1000の周りの部分と同一平面に(部分1012として図24に描かれている)、又はその上に乗る仕方で(バリア1004として図24に描かれている)、設置されてもよい。
【0243】
図23−24に示す該サンプル要素1000は更に該サンプル室1002と該第2側部1008の間の流体的連通を確立するために供給通路1022を有する。該供給通路1022の側壁1022a、1022bは該サンプル要素1000の上に乗る部分のそばで該通路の両側に(either side)形成される。同様に、窓1002a、1002bは該サンプル要素1000の上に乗る部分のそばで該室1002の両側に形成される。1つ上のベント通路1024は該サンプル要素の1つの又は両方の端部に配置された{又はそれらの側部(複数を含む)内に形成された}ベント開口部(複数を含む)1026との流体的連通を経由して該サンプル室1002及び/又は開口部1010をベントするため使われてもよい。
【0244】
該サンプル室1002と、バリア1004の第2側部1008との間に配置された供給通路1022,開口部1010及び/又は何等かの他の構造体は該サンプル室から延びる流れ通路と考えられてもよい。部分1012から導く該ベント通路1024が省略された場合、該流れ通路は、該バリア1004及び/又は部分1012内に開口部が形成されるまで、全ての側で閉じられる(該流れ通路が該サンプル室1002と合体するところを除いて)。
【0245】
描かれた構成では、該サンプル室1002は、電磁放射のビームが該バリア及び該部分1012を形成する材料からの干渉無しに該室1002及び窓1002a、1002bを通過するように、該バリア1004及び部分1012から長手方向にオフセットされている。該サンプル要素1000のこの実施例は、ここに開示された被検体検出システムの種々の実施例、又は該サンプル室1002を電磁放射のビームが通過することによりサンプルを分析する何等かの他のシステム、と共に使用するのに好適である。従って、該サンプル要素120を作るのに好適な上記開示の材料と方法は該サンプル要素1000を作るのに同様に使われてもよい。
【0246】
該バリア1004用に好適な材料は下記で更に詳細に論ずる。一般に、該バリア1004及び/又は部分1012は、ハウジング1020、又は該バリア1004又は部分1012に隣接する該ハウジングの部分、又は該ハウジング1020を作るため使われる材料の層の何れか{種々の実施例で行われるように、図7に示すそれと同様な成層化製作技術(layered construction technique)が該サンプル要素1000の製作に使われる場合}、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。特に、該バリア1004及び/又は部分1012が、窓1002a、1002bの何れか、又は供給通路1022の側壁1022a、1022bの何れか、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。
【0247】
該サンプル要素1000のもう1つの実施例では、該サンプル室1002は該バリア1004及び/又は部分1012に、部分的にか、又は完全にか、何れかで、重なってもよい。この実施例は、例えば、該バリア1004又は部分1012からの何等かの干渉が、無視出来る、又は該サンプル要素1000と共に使われる被検体検出システムにより行われる計算及び/又は測定で、補償される場合、有用である。該供給通路1022は、該室1002が該バリア1004及び/又は部分1012とその様に重なる時、短縮されるか又は一緒に取り除かれてもよい。この様な”重なり合う(overlapping)”室1002は、該サンプル要素1000が、電磁エネルギーのビームに該サンプル室を通過させることを必ずしも含まない分析技術(例えば、電気化学的技術)での使用のため作られる場合に使われてもよい。
【0248】
種々の実施例では、図23−24に示す該サンプル要素1000は上記で開示された該サンプル要素120、及び/又はここで開示されるが、更に図23−24で示されるよう構成された、何等か他のサンプル要素又はクベット、と概ね同様である。図23−24の該サンプル要素1000は試薬を含むか、又は反応物の無い、サンプル室を有する。図23−24で描かれた該サンプル要素1000とサンプル収集方法は、彼又は彼女の皮膚上で、該患者に見える血液を最小化又は除去し、それによりランシングにより該患者が知覚する苦痛レベルを最小化又は除去するので有利である。種々の実施例では、該ランス1013は従来の鋭利なランス、レーザーランス(laser lance)、イオントフオレチックデバイス(iontophoretic device)、又は何等かの適当なサンプル抽出器(sample extractor)を含んでもよい。
【0249】
なお更に進んだ実施例では、該サンプル要素1000はここで開示されたが、更に図23−24で示すよう構成された、サンプル要素又はクベットの何れとも概ね同様であってもよい。
【0250】
図24A−24Bはサンプル要素1200のもう1つの実施例を描くが、該サンプル要素はここで開示された(例えば、サンプル要素1000の種々の開示された実施例)が、更に図24A−24Bで示すよう構成された、サンプル要素又はクベットの何れかと概ね同様であってもよい。該サンプル要素1200は一般的にサンプル室1202とバリア1204を有する。該バリア1204は、ランシングサイトLSで患者の皮膚PSと接触するよう構成された第1側部1206と、該サンプル室1202と流体的に連通する第2側部1208と、を有する。種々の実施例で、流体的連通は、仲介室(複数を含む)を通る、示されたサンプル通路1222、1つ以上の毛細管チャンネル、ウイック用材料{又はこの様な通路(複数を含む)/チャンネル(複数を含む)とウイック用材料の組み合わせ}の様な1つ以上の通路、又は該第2側部1208と該サンプル室1202の間の単なる隣接関係、を介して第2側部1208と該サンプル室1202の間に確立されてもよい。
【0251】
該サンプル要素1200は更に、該バリア1204の反対の、該サンプル要素の側の穿孔可能な部分1212を含む。該部分1212は該部分1212に自己シールする性質を与えるよう柔らかいポリマーで形成されてもよく、代わりに該部分1212は該バリア1204で使われると同様な材料で形成されてもよい。図24A−24Bで描かれる実施例では、該バリア1204と該部分1212は、同じ寸法を有し、同じバリア材料で形成された、実質的に同一部品を含んでいる。該バリア1204と該部分1212の両者は該サンプル要素1200の側部と同一平面上にあるよう描かれるが、しかしながら、何れか又は両者は該バリア1004が図24で示される様に重なった仕方で位置してもよい。他の実施例では、該バリア1204と該部分1212の何れか又は両者は、該ハウジング1220の残りで使われると同じ材料で作られる該サンプル要素ハウジング1220の薄い部分を含んでもよい。
【0252】
該バリア1204と部分1212は、該サンプル要素1200の隣接部分と一緒に、流体が該バリア1204を過ぎる時最初に流入する入り口室(entry chamber)1230を規定してもよい。図24A−24Bで示す様に、該入り口室1230は、該入り口室1230を充たすに必要な血液又は他の流体の容積を最小化するよう、該バリア1204及び/又は部分1212のそれより小さい周辺を有してもよい。代わりに、該入り口室1230の周辺は、該バリア1204及び/又は部分1212のそれと同一広がりを持つか、又はそれより大きくてもよく、或いは該入り口室1230は該バリア1204と部分1212の間の範囲内への供給通路1222の長手方向延長を単に含んでもよい。
【0253】
描かれた実施例では、ベント通路1224はサンプル室1202から、該サンプル要素1200の側部内に形成されたベント開口部1226へ延びる。加えて、何等かの適当な膜、フィルター、他を含んでもよいセパレーター(separator)1240が供給通路1222内に(又は他の仕方で、該サンプル室1202の上流に)配置され、全血サンプルから血漿を、他の不均一なサンプルから液体又はより精細な固体を、分離するため使われてもよい。その様に構成されたサンプル要素1200では、全血又は他の不均一なサンプル(heterogeneous samples)は、それが該セパレーター1240に達するまで該供給通路1222内を下流へ流れる。該セパレーター1240は、実質的に全血サンプルの血漿のみ、又は他の不均一なサンプルの実質的に液体及びより精細な固体成分のみ、が該セパレータを過ぎて、該サンプル室1202の方へ、下流に流れることを可能にする。該サンプルの残り(例えば、血球及び/又は粗い固体)は該セパレーターのところに留まる。或る実施例では、該セパレーターは微孔性ポリエチレン(microporus polyethylene)又は微孔性ポリテトラフルオロエチレン(microporus polytetrafluoroethylene)で作られてもよい。もう1つの実施例では、該セパレーターはニューヨーク州、イーストヒルのポール社(Pall Corporation of East Hills, NY.)から入手可能な、ビーテーエス−エスピー(BTS−SP)で作られてもよい。
【0254】
図23−24の実施例に於ける様に、該サンプル要素1200は、該バリア1204がランシングサイトLSで皮膚PSに接触するよう患者の皮膚PSに対して置かれる。その様に位置付けられた該サンプル要素1200を伴って、ランス1213は該バリア1204及び部分1212を通して患者の皮膚PS内へ駆動される。該ランス1213が引き抜かれた後、血液及び/又は他の流体は、該ランシングサイトLSに形成された傷から、該ランスにより該バリア1204内に形成された開口部を通して、該サンプル要素内へ流れる。該ランシングサイトLSに対する該サンプル要素1200/バリア1204上の適度な圧力を保持する(そして/又は該バリア1204を該患者の皮膚PSに臨時に固定するため接着剤を使う)ことにより、該皮膚PS内の傷から流れる実質的に全ての血液/流体は該バリア1204を通り、該サンプル要素1200内へ流れる。かくして、血液/流体のより少しを該ランシングサイトに残し、ウエイスト(waste)と知覚される痛みを減ずる。
【0255】
該サンプル室1202と該バリア1204の第2側部1208との間に配置された供給通路1222、入り口室1230,及び/又は何等かの他の構造体は該サンプル室から延びる流れ通路と考えられてもよい。描かれた実施例では、該流れ通路は、開口部が該バリア1204及び/又は部分1212内に形成されるまで、全ての側(該流れ通路が該サンプル室1202と合体するところを除いて)で閉じられている。
【0256】
該サンプル要素1000と該バリア1004に関して上記で論じられた様に、該バリア1204及び/又は部分1212は、該ハウジング1220、又は該バリア1204又は部分1212に隣接する該ハウジングの部分、又は該ハウジング1220を作るため使われる材料の層の何れか{種々の実施例で行われるように、図7に示すそれと同様な成層化製作技術(layered construction technique)が該サンプル要素1200の製作に使われる場合}、よりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。特に、該バリア1204及び/又は部分1212が、窓1202a、1202bの何れか、又は供給通路1222の側壁1222a、1222bの何れかよりも容易にランスにより穿孔されるよう作られてもよい。
【0257】
図25は、図23−24又は24A−24Bで示されるそれらの様なサンプル要素と共に使われてもよいサンプル抽出器を描いている。該サンプル抽出器は、サンプル要素1000/1200を保持するよう構成されたサンプル要素ホルダー(sample element holder)1102と、略図式に描かれ、ばね負荷されたランスドライブ(spring−loaded lance drive)、レーザー、又は該サンプル抽出器1100で使われるランシング技術用に好適な他の部品を有する抽出器ドライブ(extractor drive)1104と、を備える。該サンプル要素ホルダー1102内に装填されると、該サンプル要素1000/1200は、駆動された時該サンプル抽出器1100が該バリア1004/1204を穿孔するように、該抽出器ドライブ1104と整合される。
【0258】
従って、ユーザーは、ランスを駆動する前にロードされたサンプル要素(loaded sample element)1000/1200のバリア1004/1204を指F(又は何等かの適当なランシングサイト)に対し加圧し、それによりここで論じられる該バリア1004/1204の利点を利用しながら、該サンプル要素1000/1200内にサンプルを抜き取ることにより、容易で、片手式の仕方(in an easy, one−handed manner)でサンプルを抜き取ることが出来る。描かれた実施例では、サンプル要素ホルダー1102は、該バリア1004/1204と指F(又は他のランシングサイト)の間の接触のみならず、該サンプル要素1000/1200内のサンプルの存在の黙視確認も可能にするよう、それら間のスロット1110を有するクリップ1106,1108を備える。しかしながら、何等かの適当な構造体が該サンプル要素ホルダー1102として使われてもよい。更に進んだ実施例では、該サンプル抽出器1100は上記説明の被検体検出システム10の様な被検体検出システムの一体化された(すなわち、組み込まれた)部分を形成してもよい。
【0259】
或る実施例では、該抽出器ドライブ(extractor drive)1104はユ−ザーがランス駆動力(lance driving force)を選択することを可能にするため調節可能である。その多くが現在公知である何等かの適当な機構がこの調節可能性を達成するため使われてもよい。調節可能な抽出器ドライブは、ユーザーが、該サンプル要素(又は他の仕方)で使われるバリア1004/1204の厚さと材料に適合するような適当な駆動力と、該ランスの望まれる貫入深さと、そしてランシング時求められる(sought)身体流体の種類及び/又は量を選択することを可能にする。
【0260】
図26はサンプル抽出器1300のもう1つの実施例を描くが、該抽出器は図23−24又は24A−24Bで示すそれらの様なサンプル要素又は何等かの他の適当なサンプル要素と共に使われる。該サンプル抽出器1300は下記で更に詳述されることを除けばサンプル抽出器1100と概ね同様である。該サンプル抽出器1300は一般的に再利用可能な抽出器ドライブ1304と、該抽出器ドライブ1304への取り外し可能な取り付けように構成された使い捨て可能なランスカートリッジ(disposable lance cartridge)1340と、を有する。
【0261】
該ランスカートリッジ1350は、該バリア1004/1204の部分が、指F又は患者の他の適当なランシングサイトとの接触用に、スロット1310又は他の適当な開口部を介して、露出されるように、該サンプル要素1000/1200を取り外し可能に保持するよう構成されたサンプル要素ホルダー1302を有する。該描かれた実施例では、該サンプル要素ホルダー1302はクリップ1306,1308を有するが、しかしながら、何等かの適当な構造体が必要な様に該サンプル要素を保持するため使われてもよい。
【0262】
該ランスカートリッジ1340は更にランスガイド1320を有し、その内部にはランス組立体1322が摺動可能に配置される。該ランス組立体1322はランス1324,ハンドル部分1326,そしてガイドフランジ(guide flanges)1328を有する。該ランスカートリッジ1350が該抽出器ドライブ1304へ組み立てられると(これらの品物は図26内で近く近接して示されるが、組み立てられた状態にはない)、該ドライブ1304のランスアクチュエーター(lance actuator)1330が該ハンドル部分1326を把持する。かくして、ドライブ機構1332の駆動(urging)下で、該ランスアクチュエーターの下向きの動きは該ランス組立体1324を同じく下向きに移動させ、該ランス1324を該サンプル要素1000/1200とバリア1004/1204を通して、指F内へ駆動する。一旦該ランス1324がその下方への動きの終点(endpoint)へ達すると、該ドライブ機構1332は作用線A−Aに沿って上方へ、図26に示すホーム位置(home position)の方へ該アクチュエーター1330とランス組立体1322を引く。該ランス1324を引き込めると、血液及び/又は他の流体は該指Fに形成された傷から、該バリア1004/1204を通ってそして該サンプル要素1000/1200内へ、上記で論じた仕方で流れる。
【0263】
一旦血液/流体のサンプルが該サンプル室1002/1202内へ流れると、ユーザーは該カートリッジ1350の該ホルダー1302から該サンプル要素1000/1200を引き抜き、それを従来の仕方での該サンプルの分析用に該被検体検出システム内へ装填する。該ランス組立体1322(今や汚れている)を含めた該カートリッジ1350の残りは該抽出器ドライブ1304から除去され、捨てられる。
【0264】
図26で示す実施例では、該ドライブ機構1332はばねシステムとして略図式に描かれている。ランス1324の様な、従来の鋭利なランスと共に使うのに好適などんなドライブ機構が該抽出器ドライブ1304で使われてもよい。
【0265】
ランスカートリッジの描かれた実施例はインターロック可能なリップ又は峰部(interlockable lips or ridges)1360、1362を介して該抽出器ドライブ1304への取り外し可能な取り付け用に構成されている。しかしながら、何等かの適当な取り付け装置、例えば、ねじ、他、が使われてもよい。
【0266】
更に、該抽出器ドライブ1304が、その一体の部分を形成するよう、被検体検出システム(例えば、ここで開示された被検体検出システム10の実施例のどれか、又は何等かの他の適当な被検体検出システム)内へ組み込まれてもよい。この様な被検体検出システムは更に、例えば、該サンプル要素1000/1200を、図26に示すランシング位置から、該サンプル要素のサンプル室(複数を含む)が該被検体検出システムのソース及び検出器により規定された光路内に位置する測定位置へ、進めることにより該サンプル要素1000/1200内へ抜き取られたサンプル内の被検体濃度(複数を含む)を測定するよう構成されてもよい(例えば、図1−2、4参照)。これは該サンプル要素1000/1200を、該サンプル室が該光路を横切って、又はその中に配置されるまで、長手方向に、図26で使われた断面に概ね直交して進めることにより行われてもよい。該サンプル要素1000/1200は、動力を与えられたローラー、手動圧力(例えば、該サンプル要素の露出された端部上の)、又は該2つの組み合わせによりその様に進められてもよい。
【0267】
この様な”集積化された”被検体検出システムを用いて、測定は、該抽出器ドライブ1304へ該ランスカートリッジ1350を簡単に取り付け、該バリア1004/1204をランシングサイトに対するよう置き、該ランス1324を駆動し、充分なサンプルが該サンプル要素内へ流れるまで該バリアを該ランシングサイトに対して保持し、そして該サンプル要素1000/1200を該測定位置へ進めさせる、ことにより行われてもよい。従って、該サンプル要素1000/1200の取り扱いは最小化され、別々のランス、抽出器ドライブ、サンプル要素、そして検出システム、を担い、取り扱いそして操作する何等の必要も除かれる。
B.バリア(Barrier)
ここで使われる時、”バリア(barrier)”は広い用語であり、その普通の意味で使われ、その第1の側部が、患者の皮膚上のランシングサイトに対するよう置かれ、該ランシングサイトから現れる身体流体サンプルの少なくとも1部分が該第1の側部から該第1の側部の反対の第2の側部へ進むことを可能にし、一方該サンプルの実質的な何等かも、反対方向に、該第2の側部から第1の側部へ、進むことを許さない様な、膜(membrane)、シート(sheet)、層(layer)、他を、制限無しに、称する。これらの特性はバリア自身の構成、該ランシングサイトに対している該バリア上への圧力の印加、又は該2つの組み合わせから生じてもよい。
【0268】
1実施例では、該バリア1004/1204(図22−24B参照)は、小孔の無いポリマー膜(nonporus polymer membrane)であって、該膜と患者の皮膚と、がランスされた時該膜に形成された孔(hole)を通してサンプル流体が該サンプル要素1000/1200内へ流れることを可能にする様な、該膜を含んでもよい。代わりに、該バリアは、多数のポーア(pore)又は毛細管(capillaries)が、サンプル流体がそれを通って流れることを可能にするが、該ポーア/毛細管は又該ランシングサイトから何等かの残留血液を集めるのに役立つ、よう形成される、ポリマー膜の様な膜を含んでもよい。これらの実施例のバリアを形成するためにポリウレタン(polyurethane)、ポリエチレン等の様な医学用プラスチックが使われてもよい。なお更に進んだ実施例では、該バリアはメッシュ(mesh)(繊細に織られたナイロンメッシュ)、又は繊維材料(fibrous material){吸収性繊維状フリース(absorbent fibrous fleece)の様な}又は半浸透性膜(semi−permeable membrane)で形成されてもよい。該バリアは、パーフオレートされた、又はパーフオレートされないプラスチックフイルムドレッシング(perforated or non−perforated plastic film dressing)、疎水性繊維(hydrophobic fibers)で作られた不織性フアブリック(non−woven fabric)、シリコーンコートされニットされたフアブリック(silicone−coated knitted fabric)又はスウエーデン、ゲーテボルクのモルンリックヘルスケアエイビー(Molnlycke Health Care AB of Goteborg, Sweden)から入手可能なメピテル(テーエム){MEPITEL(TM)}の様な、シリコーンでコートされた多孔性ポリアミドのネット(porous polyamide net coated with silicone)であってもよい。
【0269】
1実施例では、該バリア1004/1204はシンターされた、多孔性ピーテーエフイー(sintered, porus PTFE){ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene)}又はピーイー(PE){ポリエチレン(polyethylene)}で形成された膜、シート、層、他を含み、第1の側部1006/1206及び/又は第2の側部1008/1208は又親水性(hydrophilic)となるよう処理されていてもよい。種々の実施例では、該バリアは約30−100μmの厚さを有してもよいが、しかしながらどんな適当な厚さが使われてもよい。なおもう1つの実施例では、該バリア1004/1204はジョージア州、フエアバーンのポレックス社(Porex Corporation of Fairburn, Georgia)から入手可能なラテラルフロ(テーエム){LATERAL FLO(TM)}で形成された膜、シート、層他を含んでもよく、その第1の側部1006及び/又は第2の側部1008は又親水性(hydrophilic)となるよう処理されてもよい。適当なバリア材料に関する更に進んだ情報は特許文献1で見出される。
【0270】
代わりに、該バリア1004/1204は、その膜、シート、層、他が、この様なランシング/サンプル抽出機器が普通の仕方で使われる時、普通のランシング機器又はサンプル抽出機器により穿孔可能である様な、膜、シート、層、他、又はサンプル要素の他の部分を含んでもよい。
【0271】
使われる特定の材料に関係無く、該バリア1004/1204は一般的に疎水性材料(hydrophobic material)の層、シート、膜、他を含んでもよい。ここで論じられる種々のバリアの何れもその第2の側部上に凝固用薬品(clotting agent)を含んでもよい。ここで論じられる種々のバリアの何れも又そのどちらの側部上にも抗菌性(antibacterial or antimicrobial)コーテイングを有してもよく、そして/又は、抗菌性(antibacterial or antimicrobial)材料で形成されてもよい。
【0272】
他の実施例では、該バリア1004/1204は、該バリアをランシングサイトLSに固定(affixing)するために接着剤層を伴って、又は伴うことなく、使われる外科用滅菌布(surgical drape)、特に切開用滅菌布(incise drape)、又は外科用滅菌布又は切開用滅菌布材料の部分、を含んでもよい。この様な滅菌布は、例えば、ポリウレタンフイルムを含んでもよい。1実施例では、該バリア1004/1204は消毒(sterile)した外科用滅菌布を含む。
【0273】
図27−28は該バリア1004/1204の機能をより詳細に描いている。バリア自身のみが描かれているが、図27−28は、サンプル要素の部分として(例えば、図22−24、24A−24Bに於ける様に)、又はランシングの前に、ランシングサイト及び/又はサンプル要素に付けられる(applied)又は固定される(affixed)”スタンドアロン(stand−alone)”の材料として、ここで考慮される種々の使用法の該バリアの機能を図解している。図27−28で該バリア1004/1204は接着剤1400で患者の皮膚PSへ固定されるが、しかしながら、該接着剤1400は該バリア1004/1204の種々の他の実施例では省略されてもよい。
【0274】
バリア1004/1204(及び何等かの接着剤)を通して、患者の皮膚PS内へランスされると、開口部1410が該バリア1004/1204内に形成され、そして傷Wが該皮膚PS内に形成される。全血、間質性流体、細胞間流体又はそれらの混合物の様な身体流体Fが、該傷Wから、該バリア1004/1204内の開口部1410を通して、流れ、該バリアの第2の側部1008/1208に集まる。該バリア1004/1204がサンプル要素の部分である場合、該集まった流体Fは該サンプル室(複数を含む)の方へ流れるだろう。該バリア1004/1204がランシング前に皮膚に付けられた”スタンドアロン”の材料を含む場合、サンプル要素は該流体Fを通常の仕方で該サンプル要素内へ流れさせるために該集まった流体Fと接触して置かれる。
【0275】
該バリア1004/1204と傷Wの周りの皮膚PSとの間で漏れのないシール(tight seal)又は確実で、密接した接触(firm, intimate contact)を創るために種々の対策が考えられる。この様な漏れのないシール又は確実な接触は、該流体Fが該傷Wから、該皮膚PSと該バリア1004/1204の第1の側部1006/1206との間で横方向よりも寧ろ、該開口部1410を通って流れるよう促す(encourages)。種々の実施例では、下記対策、すなわち、(1)該バリアの第1の側部上の接着剤(図27−28で示す様な)、(2)該ランシングサイトに対して該バリアを、そして/又は該バリアに対して該ランシングサイトを、適度の圧力で、駆動すること(urging)、そして(3)使用中該バリアに横方向引っ張り(すなわち、該バリアの面に沿って)を印加するか、又は他の仕方で該バリアを張って保持すること、の何れか1つ又は組み合わせを使ってもよい。
【0276】
接着剤が使われる場合(例えば、図27−28参照)適当な接着剤の層が、該バリア1004/1204の第1の面1006/1206全体の、又はランスが通ると期待される第1の面の部分のみの、上に乗ってもよい。該バリアがサンプル要素の1部を形成しようと、或いはランシングの前に該ランシングサイトに付けられるスタンドアロンの材料として使われようと、接着剤がここに開示された該バリアの何れかと共に使われてもよい。該バリア又はサンプル要素が使われるまで除去可能な、”ピールオフ(peel−off)”の裏打ち(backing)が該接着剤をカバーするため使われてもよい。
【0277】
該バリア1004/1204が、ランシングの前に該ランシングサイトに付けられるスタンドアロン材料を有する場合、該バリア1004/1204は、そのエッジで該バリア材料の部分を保持し、それを該ランシングサイトに対して、該バリア材料が該ランシングサイトの近くの皮膚に密接に適合するように、加圧することにより、該ランシングサイトLSに対して駆動される。この様な密接な適合は比較的平坦なランシングサイト(図27)及びカーブしたランシングサイト(図28)での使用で図解されている。該バリア1004/1204がサンプル要素の部分を形成する場合、該サンプル要素自身は、該バリアが該ランシングサイトに対して、該2つの間の密接した接触を保証するよう加圧されることを可能にする仕方で把持される。適度の圧力で、該バリアは該サンプル要素ハウジング内へ、僅かに内方へそり、該ランシングサイトの何等かの曲率に近づくよう適合する(図28参照)。
【0278】
ランシングサイト又はサンプル要素に対してそれを付ける前、又はその間、該バリアを手動で伸ばすことによりスタンドアロンのバリアに引っ張りが印加されてもよい。代わりに、スタンドアロンのバリアは僅かに引き延ばされ、そしてそれが皮膚に対するよう置かれた後での該バリアを通してのランシングのために、その中に開口部を有する概ね堅いフープ(hoop)又は周囲フレーム(perimeter frame)上に設置されてもよい。サンプル要素の部分を形成するバリアは又、それを該サンプル要素に設置する前にそれを僅かに引き延ばし、そして引っ張り状態でそれを設置することにより、引っ張り力下(under tension)に置かれてもよい。
【0279】
図27−28で示される様に実施された時、該バリア1004は傷Wと流体Fを該ランシングサイトLSの周りの患者の皮膚PSの表面上にある汚染物(contaminants)から有利に遮蔽(shields)する。ここに開示したバリアの種々の実施例はこの機能的利点を達成するが、しかしながら、外科用滅菌布の実施例はこの利点を達成するために特に適合している。
【0280】
種々の実施例で、該バリア1004/1204は該ランシングサイトでのアフターブリード(after−bleed)を最小化するためにその第1の側部1006/1206上に止血コーテイング(hemostatic coating)を有してもよい。サンプルが抜き取られつつある間該バリアを該ランシングサイトに接着するためにコンフォーマルアドヒーシブ(conformal adhesive)が代わりに該第1の側部1006/1206上に使われてもよく、該サンプル要素1000/1200が使用するため用意出来るまで該接着剤上に除去可能なシール又はカバーが使われてもよい。或る実施例では、該バリア1004/1204は該サンプル要素1000/1200に接着式に取り付けられるか又は他の仕方で接合(bonded)される。代わりに、該バリア1004/1204は、ユーザーにより該サンプル要素1000/1200に取り付けられるか、又は該サンプル要素1000/1200への取り付け無しに該ランシングサイトに置かれる、別要素(separate element)であってもよい。
【0281】
該バリア1004/1204が、ランシングの前に該ランシングサイトに付けられるか又は固定される”スタンドアロン”の材料として実施される場合、ランシングの後該バリアの第2の側部に集まる身体流体は、該サンプル要素を該集められた流体と流体的に連通状態に置くことにより、サンプル要素内へ取り入れられてもよい。これは、例えば、該サンプル要素の適当な部分を該集められた流体に接触して置くことにより行われる。該流体は次いで、該サンプル室が充満するまで該サンプル要素内へ流れる。種々の実施例では、該集められた流体の全部か、又は1部分のみか何れかがサンプル要素内へ取り込まれる。1部分だけが取り込まれる場合、残りの集められた流体(該バリアの第2の側部上になお存在する)は、該バリア自身を除去することにより該ランシングサイトから容易に除去される。
【0282】
本発明が或る好ましい実施例及び例を背景にして開示されたが、本発明が特定の開示された実施例を超えて、他の代わりの実施例、及び/又は、本発明の使用法と明らかな変型そしてその等化物へ伸展することは当業者には理解されるであろう。かくして、ここに開示された本発明の範囲は、ここに開示された特定の実施例により限定されるべきでなく、付随する請求項を公正に読むことによってのみ決定されるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0283】
【図1】被検体検出システムの1実施例の略図解である。
【図2】該被検体検出システムのもう1つの実施例の略図解である。
【図3】図2で描かれた被検体検出システムで使用するのに好適なフィルターホィールの1実施例の平面図である。
【図4】被検体検出システムのもう1つの実施例の部分断面図である。
【図5】図4で図解された該被検体検出システムのサンプル検出器の詳細断面図である。
【図6】図4で図解される該被検体検出システムの基準検出器の詳細断面図である。
【図7】該被検体検出システムの種々の実施例の操作の方法の1実施例のフローチャートである。
【図8】該被検体検出システムの種々の実施例と組み合わして使用するのに好適なサンプル要素の1実施例の平面図である。
【図9】図8で図解されたサンプル要素の側面図である。
【図10】図8で図解された該サンプル要素の組立分解図である。
【図11】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素の1実施例の断面図である。
【図12】代わりの分析方法で使われる図11のサンプル要素の断面図である。
【図13】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムの1実施例の断面図である。
【図14】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムのもう1つの実施例の断面図である。
【図15】サンプル要素の光路長を変えるよう構成された被検体検出システムのもう1つの実施例の断面図である。
【図16】図15の被検体検出システムの断面図であり、それと共に使われるサンプル要素の圧縮と膨張を図解している。
【図17】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図18】図17のサンプル要素の断面図である。
【図19】2つの別々の路長でのサンプルの分析用に構成されたサンプル要素のもう1つの実施例の底面図である。
【図20】図19の該サンプル要素の断面図である。
【図21】サンプル要素のもう1つの実施例の端面断面図である。
【図22】バリア材料を使うサンプル要素の1実施例の略図である。
【図23】バリア材料を使うサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図24】図23のサンプル要素の断面図である。
【図24A】バリア材料を使うサンプル要素のもう1つの実施例の平面図である。
【図24B】図24Aの該サンプル要素の断面図である。
【図25】図22−24Bのサンプル要素と共に使うためのサンプル抽出器の立面図である。
【図26】図22−24Bのサンプル要素と共に使うためのサンプル抽出器のもう1つの実施例の断面図である。
【図27】該バリアの機能用断面図である。
【図28】該バリアの機能用のもう1つの断面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抜き取りサイトで患者の皮膚から抜き取られる或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素に於いて、前記サンプル要素が
中にサンプル室を規定するハウジング、及び
前記抜き取りサイトで該患者の該皮膚と接触するよう構成された第1の側部と、前記サンプル室と流体的に連通する第2の側部とを有するバリアを具備し、前記バリアは前記身体流体が前記第1の側部から前記第2の側部へ進むことを可能にするために、ランスにより穿孔されるよう構成されていることを特徴とする該サンプル要素。
【請求項2】
前記バリアが実質的に小孔のない材料で形成されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項3】
前記バリアが、中に穿孔された開口部が無いと、該身体流体の実質的に何も前記第1の側部から前記第2の側部へ進むことが出来ないよう構成されることを特徴とする請求項2の該サンプル要素。
【請求項4】
前記バリアは、患者の皮膚に対するよう置かれ、穿孔された時、該身体流体の実質的に何も前記第2の側部から前記第1の側部へ進むことが出来ないよう構成されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項5】
更に、前記バリアの前記第1の側部上に配置された接着剤を具備することを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項6】
前記サンプル室が反応物が無いことを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項7】
前記サンプル室が少なくとも部分的に窓により規定されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項8】
前記窓が赤外線放射に透過性であることを特徴とする請求項7の該サンプル要素。
【請求項9】
前記バリアが前記窓よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項7の該サンプル要素。
【請求項10】
前記バリアが前記ハウジングの隣接部分より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項11】
更に、前記サンプル室から延びる供給通路を具備しており、前記供給通路は前記バリアに隣接する第1側壁を備えており、前記バリアは前記第1側壁より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項12】
更に、前記バリアの第2の側部と前記サンプル室との間に位置するセパレーターを具備することを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項13】
或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素に於いて、前記サンプル要素が
中のサンプル室と、前記サンプル室から延びる流れ通路とを備えるハウジング、及び
前記流れ通路を横切って配置されたバリアを具備しており、前記バリアはランシングサイトで患者の皮膚と接触するよう構成された第1の側部を備えており、
前記流れ通路は、前記バリア内に開口部を形成時、流体が前記第1の側部から、前記流れ通路を通り前記サンプル室内へ流れるよう、前記流れ通路が前記サンプル室と合体するところを除いて全ての側で囲まれていることを特徴とする該サンプル要素。
【請求項14】
前記バリアが前記サンプル室と流体的に連通する第2の側部を備えることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項15】
前記バリアは身体流体が前記バリアを通過することを可能にするため穿孔可能であることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項16】
前記サンプル室は反応物が無いことを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項17】
前記サンプル室は少なくとも部分的には窓により規定されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項18】
前記窓が赤外線放射に透過性であることを特徴とする請求項17の該サンプル要素。
【請求項19】
前記バリアが前記窓よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項17の該サンプル要素。
【請求項20】
前記バリアが前記ハウジングの隣接部分よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項21】
更に、前記サンプル室から延びる供給通路を具備しており、前記供給通路は前記バリアに隣接する第1側壁を備えており、前記バリアは前記第1側壁より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項22】
前記流れ通路が供給通路を有することを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項23】
前記流れ通路は供給通路と、前記供給通路と流体的に連通する入り口室と、を有することを特徴とする請求項22の該サンプル要素。
【請求項24】
更に、前記流れ通路内に位置するセパレーターを具備することを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項1】
抜き取りサイトで患者の皮膚から抜き取られる或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素に於いて、前記サンプル要素が
中にサンプル室を規定するハウジング、及び
前記抜き取りサイトで該患者の該皮膚と接触するよう構成された第1の側部と、前記サンプル室と流体的に連通する第2の側部とを有するバリアを具備し、前記バリアは前記身体流体が前記第1の側部から前記第2の側部へ進むことを可能にするために、ランスにより穿孔されるよう構成されていることを特徴とする該サンプル要素。
【請求項2】
前記バリアが実質的に小孔のない材料で形成されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項3】
前記バリアが、中に穿孔された開口部が無いと、該身体流体の実質的に何も前記第1の側部から前記第2の側部へ進むことが出来ないよう構成されることを特徴とする請求項2の該サンプル要素。
【請求項4】
前記バリアは、患者の皮膚に対するよう置かれ、穿孔された時、該身体流体の実質的に何も前記第2の側部から前記第1の側部へ進むことが出来ないよう構成されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項5】
更に、前記バリアの前記第1の側部上に配置された接着剤を具備することを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項6】
前記サンプル室が反応物が無いことを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項7】
前記サンプル室が少なくとも部分的に窓により規定されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項8】
前記窓が赤外線放射に透過性であることを特徴とする請求項7の該サンプル要素。
【請求項9】
前記バリアが前記窓よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項7の該サンプル要素。
【請求項10】
前記バリアが前記ハウジングの隣接部分より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項11】
更に、前記サンプル室から延びる供給通路を具備しており、前記供給通路は前記バリアに隣接する第1側壁を備えており、前記バリアは前記第1側壁より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項12】
更に、前記バリアの第2の側部と前記サンプル室との間に位置するセパレーターを具備することを特徴とする請求項1の該サンプル要素。
【請求項13】
或る容積の身体流体を保持するためのサンプル要素に於いて、前記サンプル要素が
中のサンプル室と、前記サンプル室から延びる流れ通路とを備えるハウジング、及び
前記流れ通路を横切って配置されたバリアを具備しており、前記バリアはランシングサイトで患者の皮膚と接触するよう構成された第1の側部を備えており、
前記流れ通路は、前記バリア内に開口部を形成時、流体が前記第1の側部から、前記流れ通路を通り前記サンプル室内へ流れるよう、前記流れ通路が前記サンプル室と合体するところを除いて全ての側で囲まれていることを特徴とする該サンプル要素。
【請求項14】
前記バリアが前記サンプル室と流体的に連通する第2の側部を備えることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項15】
前記バリアは身体流体が前記バリアを通過することを可能にするため穿孔可能であることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項16】
前記サンプル室は反応物が無いことを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項17】
前記サンプル室は少なくとも部分的には窓により規定されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項18】
前記窓が赤外線放射に透過性であることを特徴とする請求項17の該サンプル要素。
【請求項19】
前記バリアが前記窓よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項17の該サンプル要素。
【請求項20】
前記バリアが前記ハウジングの隣接部分よりも容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項21】
更に、前記サンプル室から延びる供給通路を具備しており、前記供給通路は前記バリアに隣接する第1側壁を備えており、前記バリアは前記第1側壁より容易にランスにより穿孔されることを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項22】
前記流れ通路が供給通路を有することを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【請求項23】
前記流れ通路は供給通路と、前記供給通路と流体的に連通する入り口室と、を有することを特徴とする請求項22の該サンプル要素。
【請求項24】
更に、前記流れ通路内に位置するセパレーターを具備することを特徴とする請求項13の該サンプル要素。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公表番号】特表2006−523511(P2006−523511A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510005(P2006−510005)
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011430
【国際公開番号】WO2004/091403
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(502062548)オプテイスカン・バイオメデイカル・コーポレーシヨン (16)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月14日(2004.4.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/011430
【国際公開番号】WO2004/091403
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(502062548)オプテイスカン・バイオメデイカル・コーポレーシヨン (16)
【Fターム(参考)】
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