説明

バルクガス残量管理装置

【課題】液化ガスのバルク容器類における充填効率を高めることが可能なバルクガス残量管理装置を提供する。
【解決手段】バルク容器類内部の液化ガスの残量を監視し、残量が少なくなったことを警報するバルクガス残量管理装置10において、バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出する残量検出手段11と、所定時間前の残量と現在の残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段12と、そのガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力する警報手段14と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルク容器類(バルク容器およびバルク貯槽)内部の液化ガスの残量管理を行なうためのバルクガス残量管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LPGなどの液化ガスを貯蔵するためにバルク容器やバルク貯槽(以下これらを包含する概念としてバルク容器類、もしくはバルク容器、あるいは単にバルクと称する)が用いられ、各家庭や事業所等に固定設置されて、ガス器具等にガスを供給するように配管されている。例えば、ガス販売業者は、タンクローリをバルク容器類の設置場所まで運行し、設置場所においてタンクローリからバルク容器類に液化ガスを充填することによりガスの供給が途絶えないようにしている。
【0003】
一般的に、バルク容器類には液面を検出するための検知手段が設けられている。この検知手段としては、例えば、超音波センサを使用した液面計(超音波式液面計)が実用化されている。
【0004】
この超音波式液面計は、例えばバルク容器類の底面にその超音波素子を設置して、超音波パルスをバルク容器類内部に送波し、容器内部の液面で反射して戻ってきた超音波を受波するまでの時間情報に基づいて、バルク容器類内部の液化ガスの残量検出を行う。
【0005】
液面計で得た残量情報は、NCU(網制御装置)を介して公衆回線網によって例えばガス販売会社の管理センタに送信され、管理センタにてこの液面検出情報を監視して、充填が必要となった時点で液化ガスの搬送・充填の手配を行っている。
【0006】
充填が必要となったことを知る手段として、超音波液面計の残量警告機能がある。残量警告機能とは、予め設定された管理残量レベルを下回ったことを液面計が検出して管理センタへ残量警告を通報する機能である。
【0007】
ガス販売業者は、管理センタで受信したその残量警告通報に従って順次配送の手配を行っている。充填を行うきっかけとなる充填管理残量レベルは、バルク容器類の収容容積を100%として、例えば30%という具合に予め超音波液面計に設定する。設定手段には、液面計の入力ボタン操作による方法と、管理センタからの設定電文の送信による方法がある。そして、設定値は、ガスの使用量と、残量警告通報から充填されるまでの遅れ時間とを考慮して決める。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ガス販売会社等のサービス提供者は、液化ガスの配送・充填作業を効率良く実行し、業務の合理化を図りたいという要求を基本的に有している。この要求を満たすには、バルク容器類の残量が出来るだけ少ない状態で充填し、充填効率を高めるようにすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、ガスの使用量は、バルク毎に異なり、また変動もある。ゆえに充填効率を高める観点からオペレータが個々のバルク毎に随時適切な充填管理残量レベルを設定する運用方法が取れるように管理センタからの設定手段が用意されていた。しかし、オペレータが、日々、個々のバルクのガス使用量をチェックして、その都度、充填管理残量レベルを修正することは、大変な負担であり、また設定ミスによるガス切れの危険も伴う為、事実上困難であった。したがって、従来は、個々のバルク毎に異なった充填管理残量を設定するのではなく、どのバルクも一律に例えば充填管理残量40%という具合に同じ設定をしていた。つまり、使用量の多いバルクでも充填が確実に行えるように大量消費する需要家に設置されたバルクを基準に、どのバルクも同じ充填管理残量を設定していた。
【0010】
その為、あまり使用量が多くないバルクにおいても充填管理残量レベルは高めの設定となり、その結果、必要以上に頻繁に充填していたり、残量警告通報があがってもオペレータの経験的な判断にたよって充填作業の手配を遅らせたりするなど、結局、人手のかかる非効率的な作業となっていた。
【0011】
更に、複数のバルク容器を配管で連結して使用している場合には、そのバルク容器間での外気温度差によって連結管を介して液移動が起こることがあり、その一部の容器のみの残量しか監視していなかったためガス使用量が把握できず、充填を効率的に行なうことは難しかった。
【0012】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたもので、液化ガスのバルク容器類における充填効率を高めることが可能なバルクガス残量管理装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述のごとき課題を解決するために、以下の各技術手段でそれぞれ構成される。
第1の技術手段は、バルク容器類内部の液化ガスの残量を監視し、残量が少なくなったことを警報するバルクガス残量管理装置において、バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出する残量検出手段と、所定時間前の残量と現在の残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段と、該ガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力する警報手段と、を有することを特徴としたものである。
【0014】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記警報手段は、所定時間当たりのガス最大使用量と予め設定された外気温設定値とに基づいて求めた産気可能な最低残量を下限残量とし、該下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力することを特徴としたものである。
【0015】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、バルク容器類の外周囲に設置された温度センサと、該温度センサからバルク容器類周囲温度情報を収集する温度情報収集手段と、該バルク容器類周囲温度情報と所定時間当たりのガス最大使用量とに基づいて求めた産気可能な下限残量を算出する下限残量算出手段と、を有し、前記警報手段は、該下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力することを特徴としたものである。
【0016】
第4の技術手段は、バルクガス残量管理装置において、複数のバルク容器類を配管で接続してガスを共通に取り出すように構成したバルク容器群の各バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出する残量検出手段と、各バルク容器類のガス残量を集計し前記バルク容器群の全ガス残量を算出する群残量集計手段と、所定時間前の全ガス残量と現在の全ガス残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段と、該ガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段と、を有することを特徴としたものである。
【0017】
第5の技術手段は、第4の技術手段において、管理する個々のバルク容器類がバルク容器群を構成しているかどうかを示す群属性情報を予め設定する群属性設定手段を有し、前記群残量集計手段は、該群属性情報が設定された各バルク容器類のガス残量を集計して全ガス残量を算出することを特徴としたものである。
【0018】
第6の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における所定時間は、オペレータからの操作により設定された時間であることを特徴としたものである。
【0019】
第7の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における下限残量は、オペレータからの操作により設定された残量であることを特徴としたものである。
【0020】
第8の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、前記ガス予測使用量は、過去数日間の基準時間当たり残量変化分の最大値とすることを特徴としたものである。
【0021】
第9の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、前記ガス予測使用量は、過去1週間以上の期間についての曜日別の基準時間当たり統計使用量であり、下限残量を下回る前記予測時期は、現在の曜日を基点に前記曜日別の基準時間当たり統計使用量で使用した場合の予測時期としたことを特徴としたものである。
【0022】
第10の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、前記ガス予測使用量は、過去数日間についての1日を区分した時間帯別の統計使用量であり、下限残量を下回る前記予測時期は、現在の時刻を基点に前記時間帯別の統計使用量で使用した場合の予測時期としたことを特徴としたものである。
【0023】
第11の技術手段は、第1又は第4の技術手段において、オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における指定時間をオペレータからの操作により複数設定しておき、前記警報手段は、下限残量を下回る予測時期のそれぞれの指定時間前になるとそれぞれ警報出力することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るバルクガス残量管理装置によれば、液化ガスのバルク容器類における充填効率を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
本発明は、バルク容器類(バルク容器およびバルク貯槽)内部の液化ガスの残量管理を行なうためのバルクガス残量管理装置に関するものである。この装置は、例えば液面計及びその集中監視システムとして構成され、LPGなどの液化ガスを収納したバルク容器類における液化ガスの残液量を予測可能とし、この予測データを用いて液化ガス配送充填業務を合理的に運営可能とする。以下、本発明の実施の形態を具体例を用いて説明する。
【0026】
[実施形態1]
図1は、本発明の一実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置10は、バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出するための残量検出手段11と、所定時間前に記憶された残量と現在の残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段12と、今後のガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段14とが主な構成要素となっている。
【0027】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置は、図1のように、通信部16を有しており、管理センタ19と接続されている。通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置として網制御装置(以下、NCUという)17,18が用いられる。
【0028】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置10は、図1のように、設定入力用の操作スイッチ13を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置10に対し様々な設定が行なえる。
【0029】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置10は、図1のように、表示部(例えば液晶表示部)15を有しており、現在残量や、警報出力状態表示や、各種設定内容などを表示可能である。
【0030】
残量検出手段11は、例えば超音波式の液面計測機能であり、超音波センサをバルク容器類の外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量は、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積でありパーセント値で表す。
【0031】
図2は、図1の使用量予測手段における残量データ保存内容の具体例を示す図である。使用量予測手段12は、例えば残量検出手段11によって4時間毎に得た残量を、図2の1日分の残量データ保存内容14aに示すように、一日分(6回分)記憶する。所定時刻のデータ(例えばデータ14b)は、前日の同時刻のデータ(この場合は16時のデータ)に上書きすることで書き換えるとよい。
【0032】
図3は、図1の実施例の動作を示すフローチャートである。以下、動作を図3に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0033】
先ずステップS1で、残量検出手段11によって現在の残量を取得し、使用量予測手段12は、残量データとして記憶する。残量データは、図2のように一日前からの残量が記憶されており、例えば今日16時現在において、残量値38%を取得したとする。すると、前日16時の残量48%を読み出した後、そこに今回の残量38%を上書きする。
【0034】
次にステップS2に進み、一日当たりの使用量を求める。一日当たりの使用量は、残量データから読み出した前日の残量から今回の残量を引いて求める。図2の例では、前日16時の残量48%−今日16時現在の残量38%=10%が、一日当たり使用量の最新値となる。
【0035】
次にステップS3に進み、予め指定されている日数分の使用量を求める。この指定日数分の使用量は、一日当たり使用量に指定日数を乗じた値でよい。例えば、指定日数が3日間ならば、3日間の使用量は、一日当たり使用量10%×3=30%となる。
【0036】
次にステップS4に進み、その指定日数を持たせる為の必要残量を求める。つまり現在から指定日数もたせるために現在必要とされる残量を求める。ここで産気可能限界(液化ガスから気化ガスを生成できる液量限界)となる残量を予め下限残量としておく。必要残量は、この下限残量に指定日数分の使用量を加算して求める。例えば、下限残量が9%で、指定日数分の使用量が30%ならば、必要残量は39%となる。
【0037】
次にステップS5に進み、今回の残量と必要残量とを比較する。もし、今回の残量が必要残量よりも多ければ何もせずこのフローの処理を終了する。もし、今回の残量が必要残量以下だったならば、充填の必要があるのでステップS6に進み、残量警報を出力する。この実施例では、残量警報を電文として通信部16から、NCU17,18を介することで電話回線網を経由して、管理センタ19へ通知する。
【0038】
上記ステップS3において指定日数は、予め指定されている日数として3日間としたが、ローリーの配送計画変更等の事情により、指定日数を例えば4日間に変更したい場合がある。指定日数を変更できるようにする方法として、管理センタ19からNCU18,17を介することで電話回線網を経由して、通信部16から指定日数の設定電文を受信することで指定日数を管理センタ19から指定された日数に書き換える方法がある。また、指定日数を変更できるようにする別の方法として、このバルクガス残量管理装置10の設定を入力用の操作スイッチ13を操作して、指定日数を書き換える方法がある。
【0039】
上記ステップS4において下限残量は、予め設定されている下限残量として9%としたが、夏と冬との産気可能限界の差異等の理由で、下限残量を例えば9%から10%に変更したい場合がある。下限残量を変更できるようにする方法として、管理センタ19からNCU18,17を介することで電話回線網を経由して、通信部16から下限残量の設定電文を受信することで、下限残量を管理センタ19から指定された値に書き換える方法がある。また、下限残量を変更できるようにする別の方法として、このバルクガス残量管理装置10の設定入力用の操作スイッチ13を操作して、下限残量を書き換える方法がある。
【0040】
図2において、4時間毎の一日分の残量データを保存していたが、代わりに4時間毎の使用量データを保存しておいてもよい。この場合、4時間毎の使用量は、4時間前の残量から今回の残量を引いた値とすればよい。
【0041】
本実施形態によるバルクガス残量管理装置は、残量変化をもとに今後のガス使用量を予測し、下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前に警報出力するようにしたので、需要家のガス使用量変化に応じて、残量警報の出力タイミングが柔軟にコントロールされることとなる。つまり、液化ガスの使用量増大を察知して早めに充填を行うよう促す、あるいは使用量の減少を察知して残量が減少するのを十分に待ってから充填を行うように警報することができる。
【0042】
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、液化ガスのバルク容器類における充填効率を上げることができる。更には、ガス供給業者の残量管理業務の負荷も軽減できる。
【0043】
[実施形態2]
図4は、本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置20は、バルク容器類に設置された残量検出装置から定期的にガス残量を獲得する為の通信部21aからなる残量検出手段21と、所定時間前の残量と現在の残量との残量変化をもとに今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段22と、その今後のガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段24とが主な構成要素となっている。
【0044】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置20は、図4のように、キーボード23を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置20に対し様々な設定が行なえる。
【0045】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置20は、図4のように、表示部25を有しており、管理しているバルク容器類からの警報出力がある場合にはその通知表示をしたり、残量推移情報、警報・充填日時などを表示できるように構成されている。
【0046】
この実施例におけるバルクガス残量管理装置20の残量検出手段21としての通信部21aは、例えば、次のようにしてバルク容器類側に設置された残量検出装置29と接続される。図4のように、通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置としてNCU27,28が用いられる。そして、図4のように残量検出装置29はNCU28を介し、またバルクガス残量管理装置20も別のNCU27を介し、公衆電話回線網で接続される。
【0047】
残量検出装置29は、例えば超音波式の液面計であり、超音波センサをバルク容器類の外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量は、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積でありパーセント値で表す。
【0048】
図5は、図4の実施例の動作を示すフローチャートである。以下、動作を図5に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0049】
先ずステップS11で、通信部21aを介して残量検出装置29に計測動作命令を送り、液面計測を実行させ、その結果、現在の残量を取得する。そして、保存されている残量データから先ず前回(4時間前)の残量を読み出した後、取得した現在の残量を記憶する。
【0050】
次にステップS12に進み、先ず、今回の使用量(4時間前から現在までの使用量)を求める。今回の使用量は、残量データとして保存されていた前回の残量から今回の残量を引いた値である。次に時刻0時からの使用量を求める。時刻0時からの使用量は、時刻0時を起点に、4時間毎の使用量を、4時間毎に加算していけばよい。ステップS12の後半では、時刻0時からの使用量として前回まで求められている値に、今回得た4時間毎の使用量、つまり今回の使用量を足して、時刻0時からの使用量の値を更新する。
【0051】
次にステップS13では、現在が時刻0時の基点(区切り)に当たるかどうかを判断し、もし、時刻0時でなければ、このフロー全体を終了する。もし、時刻0時であれば、ステップS14に進み、先ず、一日当たり使用量として、時刻0時からの使用量、つまり前日の時刻0時から24時間後(現在)までの使用量をそのまま代入する。そして、新たに現在を起点とするべく、時刻0時からの使用量を0に初期化する。
【0052】
次にステップS15に進み、使用可能日数を計算する。使用可能日数とは、現在の残量であと何日持つかを意味する。ここで産気可能限界(液化ガスから気化ガスを生成できる液量限界)となる残量を予め下限残量として設定しておく。使用可能日数は、今回の残量から下限残量を引き、その結果が正味の使用可能残量を意味するから、その結果を一日当たりの使用量で除してやれば求まる。但し、一日当たり使用量が0、つまり一日、全くガスを使用しない場合には、0で割ることになってしまうので、この場合には、例えば使用可能日数を、所定の最大日数(例えば30日)と置けばよい。
【0053】
次にステップS16に進み、予め指定されている日数(指定日数)分の残量があるかどうかを判断する。使用可能日数が指定日数より大きければ、このフロー全体を終了する。もし、使用可能日数が指定日数以下だった場合には、充填が必要な時期になったので、ステップS17に進み、残量警報出力する。具体的には、表示部25に、バルク容器類の識別番号と、残量警報の発生時刻と、現在の残量と、一日当たり使用量と、「残量警報」という文字を表示する。
【0054】
上記ステップS15において下限残量は、例えば、夏と冬との産気可能限界の差異等の理由で、その値を変更したい場合がある。下限残量を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置20のキーボード23を操作して、下限残量を書き換える方法がある。
【0055】
上記ステップS16における指定日数は、ローリーの配送計画変更等の事情により、その値を変更したい場合がある。指定日数を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置20のキーボード23を操作して、指定日数を書き換える方法がある。
【0056】
以上、本実施形態は、ガス予測使用量の演算が実施形態1と異なるだけであり、実施形態1と同様の効果を奏す。
【0057】
[実施形態1,2の共通説明]
図6は、本発明に係るバルクガス残量管理装置の実施形態1および実施形態2の動作を詳しく説明する為の残量推移図である。縦軸が残量、横軸が時間であり、実線のグラフは、計測された残量の推移を示すものである。実線のグラフ上の点Aは、残量変化が急激に大きくなった点である。点Bは、今回の残量を意味する点で、現在の残量が25%であることを意味する。一点鎖線は、下限残量を示すもので、この図では、5%を仮定している。
【0058】
さて、点Aまでは比較的緩やかに減少していた残量が、点Aを過ぎてから急激にガスの消費が激しくなり、数日後、点Bに達した。点Bの直前の急激な使用量を維持して使用されたならば、点Bから右下へ描いた点線のように残量が推移する。そして、点Cで下限残量に到達する。点Cから指定日数N日間をさかのぼった点Kの残量が必要残量を示す。
【0059】
点Bは点Kよりも下にあるから、実施形態1の例では、ステップS5にて今回の残量25%は、必要残量27%を下回る為、ステップS6に進み、残量警報出力することとなる。点Bと点Cとの間の日数が、使用可能日数である。点Bは点Kよりも右にあるから、実施形態2の例では、ステップS16にて使用可能日数は、指定日数N日間を下回る為、ステップS17に進み、残量警報出力することとなる。
【0060】
もし、点Aで使用量が変化しなかった場合を想定してみる。点Aまでの推移をそのまま延長していくと、点Aから右下に延びる点線のように残量が推移し、点C′で下限残量に到達する。実施形態1,2いずれも、点C′から指定日数N日間をさかのぼった点K′の右下近傍の時点B′で残量警報を出力することとなる。
【0061】
点Aで使用量が急増した場合と急増しない場合とを比較してみる。すると使用量が急増した場合には、警報出力される時の残量は約25%なのに対し、使用量が急増しない場合には、警報出力される残量は、約15%となる。つまり、使用量が多ければ早めに残量警報が出力されるし、使用量が少なくなれば下限残量近いぎりぎりの残量まで遅らせて残量警報が出力されることになる。たとえ残量警報出力が遅くなったとしても使用量が少ない場合であれば余裕を持って充填出来るので問題はない。
【0062】
従来であれば、常に最大の使用量を想定して、例えば充填管理残量レベル30%としていた。この場合には、点Aで使用量が急増してもしなくても常に、残量が30%を下回った時点で残量警報が出力されることとなる。
【0063】
一方、本発明によるバルクガス残量管理装置は、上述のように使用量に応じて残量警報の出力タイミングがコントロールされることとなり充填効果を上げることができる。
【0064】
実施形態1,2いずれも、ガスの予測使用量は、直前の過去一日間を基準時間とした残量変化によって決定していた。しかし、使用量を考える上で何時間を基準とするかは、一日間に限定されるものではなく、例えば、充填サイクルが3〜4日の場合には、12時間当りの使用量を用いることで、使用量の変化に追随するようにした方がよい。逆に、充填サイクルが30〜60日の場合には、例えば3日間当たり使用量を用いることで、使用量の緩やかな変化にのみ追随するようにした方がよい。
【0065】
日々、使用量の増減が不規則な場合には、過去数日分の残量変化から、その過去数日間の基準時間当たり(例えば一日当たり)使用量のうちの最大値を予測使用量とすることにより、ガス切れのリスクを回避し易くできる。
【0066】
通常のガス消費は、一日周期の増減周期を持っており、一日のうちの時間帯によって使用量がほぼ一定していることが多い。そこで、過去数日間について、一日の時間帯別に使用量を統計し、時間帯別に予測使用量を求めるようにして、予測精度を高めることができる。
【0067】
また、ガス消費は、1週間単位の増減周期も持っていることが多い。そこで過去1週間以上の期間について、曜日別に使用量を統計し、曜日別に予測使用量を求めるようにして、予測精度を高めることができる。このように、曜日別もしくは時間帯別の統計使用量を用いて今後の使用量を予測することにより、周期性のあるガス使用量変化パターンに応じて、残量警報タイミングがコントロールされることになるから、例えば、夜間や土日にガス使用がほとんどない需要家のバルクであっても使用量予測精度が向上する。
【0068】
なお、以上の説明においては、実施形態1のフロー図は図3とし、実施形態2のフロー図は図5として説明した。しかし、これらのフロー図は、ブロック構成の図1と図4との差異に影響しないから、図1で構成される実施形態1のフロー図として図5を当てはめ、図4で構成される実施形態2のフロー図として図3を当てはめることも可能である。
【0069】
図7は、実施形態1の表示部および実施形態2の表示部における表示例を示す図である。図7は、残量推移を示すグラフの表示例であり、縦軸が残量、横軸が時間である。横軸の目盛は、一日単位となっており、日付が目盛として記録されている。太い実線のグラフは、計測された残量データを示している。残量約5%の高さに水平に引かれた一点鎖線は、下限残量を示している。点Qは、現在の残量を示している。
【0070】
点線rは、過去1ヶ月間における一日当りの最大使用量で今後使用されたことを想定した場合の残量推移を示したものである。点Rは、点線rと一点鎖線との交点、すなわち過去1ヶ月間における一日当りの最大使用量で使用時に下限残量を下回る予測時期を示す点である。点線rに接する三角形(斜線部)は、点Rから指定時間さかのぼった時点以降の残量予測推移を明示する目的で斜線表示したものである。つまり、この三角形の斜辺に現在の残量が到達した場合には、過去1ヶ月間における一日当りの最大使用量で使用時の残量警報状態となることを意味している。
【0071】
点線sは、過去1ヶ月間における一日当りの曜日別平均使用量で今後使用されたことを想定した場合の残量推移を示したものである。点Sは、点線sと一点鎖線との交点、すなわち過去1ヶ月間における一日当りの曜日別平均使用量で使用時に下限残量を下回る予測時期を示す点である。点線sに接する三角形(斜線部)は、点Sから指定時間さかのぼった時点以降の残量予想推移を明示する目的で斜線表示したものである。つまり、この三角形の斜辺に現在の残量が到達した場合には、過去1ヶ月間における一日当りの曜日別平均使用量で使用時の残量警報状態となることを意味している。
【0072】
もし、点Rから指定日数さかのぼった時点よりも点Qが右にきた場合には、警報出力される。表示部における警報出力とは、例えば、点Qあるいは点線rに接する三角形を点滅表示したり、通常とは異なる色で表示することである。また、点Sから指定日数さかのぼった時点よりも点Qが右にきた場合にも、警報出力される。この場合の警報出力とは、例えば、点線sに接する三角形を点滅表示したり、通常とは異なる色で表示することである。このように両者の警報出力機能を併用してもよい。
【0073】
また、警報出力方法は、このようにグラフィカルな表示に限定されない。警報出力は、表示部に文字を表示することによって行なってもよい。例えば、警報出力が発生した時点で、表示部にバルク容器類の識別番号と、警報発生時刻と、下限残量到達予測時刻と、下限残量到達予測時刻までの残り時間と、現在の残量と、予測した使用量等を付随させて「残量警報」という文字列を表示してもよい。
【0074】
実施形態2で複数のバルク容器類を集中監視している場合には、警報発生時刻順にならべたリストとして表示してもよい。さらには、警報出力前の状態であっても、警報発生予測時刻を下限残量到達予測時刻の指定時間前として、警報発生予測時刻順に並べたリストを表示することで、次に残量警報が上がると予想されるものを優先して表示するようにしてもよい。
【0075】
なお、以上の説明においては、オペレータがひとつの指定時間を予め設定しておき、警報手段は、下限残量を下回る予測時期のその指定時間前になるとひとつの警報出力するものであった。しかし、更に次のようにして警報発生を複数の時期にできるようにしてもよい。まず、オペレータからの操作により指定時間を複数設定しておく。そして警報手段は、下限残量を下回る予測時期のそれぞれの指定時間前になるとそれぞれ警報出力させる。例えば、二つの指定時間、指定時間1と指定時間2を設定し、それぞれに対応する警報出力を警報1と警報2と呼ぶこととする。先ずオペレータは、例えば指定時間1を5日間、指定時間2を3日間と入力しておく。警報手段は、下限残量を下回る予測時期の5日前になると指定時間1に対応した警報1を出力する。また、更に残量が減って、下限残量を下回る予測時期の3日前になると指定時間2に対応した警報2を出力する。警報1の場合には、例えば、表示部に「警報1」と文字表示し、警報2の場合には、表示部に「警報2」と文字表示し、どちらの警報が発生したのか区別できるようにする。
【0076】
以上のように、警報発生を複数の時期にできるようにすることによって、バルク配送計画をよりきめ細かく組めるようになる。例えば、警報1が発生したので配送待ち状態にあるバルクが複数ある中で警報2も発生したバルクは、優先して充填を実施するように計画するなどである。
【0077】
[実施形態3]
図8は、本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置30は、バルク容器類の液化ガス残量レベルを検出するための残量検出手段31と、その残量検出手段31によって定期的に計測して得た残量を随時記憶しておく為の残量記憶部と、所定時間前に記憶された残量と現在の残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段32と、所定時間当たりのガス最大使用量と予め設定された外気温設定値とに基づいて求めた産気可能な最低残量を下限残量とし、今後のガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段34とが主な構成要素となっている。
【0078】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置30は、図8のように、通信部36を有しており、管理センタ39と接続されている。通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置としてNCU37,38が用いられる。
【0079】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置30は、図8のように、設定入力用の操作スイッチ33を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置30に対し様々な設定が行なえる。
【0080】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置は、図8のように、表示部(例えば液晶表示部)35を有しており、現在残量や、警報出力状態表示や、各種設定内容などを表示可能である。
【0081】
残量検出手段31は、例えば超音波方式の液面計測機能であり、超音波センサをバルク容器類の外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量は、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積でありパーセント値で表す。
【0082】
以下、実施形態3について、実施形態1および2と異なる部分を中心に説明する。
図9は、液化ガスの温度とその飽和蒸気圧との関係を示すグラフの一例を示す図である。図9が示すように液化ガスの温度が低温になる程、飽和蒸気圧が低下する。よってバルク容器類内の必要なガス圧を確保するためには、必要なガス圧に相当する飽和蒸気圧の温度以上に液温を維持しなければならない。
【0083】
ガス使用量が増えると、気圧熱が奪われて液化ガスの液温が低下する。奪われた熱は、バルク容器類周囲の外気の熱から補われる。外気から補給される熱流量は、バルク容器類内の液化ガスの液温と外気温との温度差、およびバルク容器類内の液残量、この2つの要素が主に関与する。外気からバルク容器類の鋼板を通じて液化ガスの液体に伝熱される際、その熱流量は、液化ガスの液温と外気温との温度差にほぼ比例する。一方、液化ガスの残量が減ると、バルク容器類の鋼板と液体との接触面積が少なくなり熱伝達し難くなる。つまり、外気からバルク容器類の鋼板を通じて液化ガスの液体に伝熱される際、その熱流量は、液化ガスの残量が少なくなると減少する。
【0084】
バルク容器類内の液化ガスを連続的に使用できるためには、ガスの使用量相当の気化熱の熱流量を外気から連続して得る必要がある。したがって、ガス使用量や外気温度によって産気可能な最低残量は変化する。
【0085】
実施形態1および2では、下限残量を予め設定された固定値、もしくはオペレータによって設定変更可能な半固定値としていた。ガス使用量や外気温度によって産気可能な最低残量は変化するから、実施形態3では、より実情に即した警報動作をさせるために下限残量をガス使用量や外気温度により自動的に変化させる。
【0086】
図10は、図8の実施例の下限残量の自動設定動作を示すフローチャートである。以下、動作を図10に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0087】
先ずステップS31で、残量検出手段31によって現在の残量を取得する。使用量予測手段32は、4時間前の残量と現在の残量を読み出し、その残量変化を現在の4時間当たり使用量として記憶する。更に使用量予測手段32は、現在の4時間当たりの使用量を含む過去1ヶ月の4時間当たり使用量を検索し、その最大値をガス最大使用量として記憶する。更に使用量予測手段32は、過去1日間の使用量を算出し、ガス予測使用量として記憶する。
【0088】
次にステップS32に進み、ガス最大使用時に必要な熱流量を計算する。例えばステップS31で得られたガス最大使用量が4時間当たり8kgであったとすると、次の計算式により、必要な熱流量が例えば233[W]と求められる。
【0089】
必要な熱流量=液化ガスの気化熱×最大使用量 ・・・式(30)
=4.186×10[J/Kg]×8/(4×3600)[Kg/Sec]
≒233[W]
【0090】
次にステップS33に進み、下限ガス圧を維持するために必要な最低液温を読み出す。この最低液温は予め次のような考え方に基づいて設定しておく。前述の図9において、例えばバルク容器類内の下限ガス圧を0.2[MPa]とすると、その飽和蒸気圧の時の温度は約−25[℃]だから、最低液温は−25[℃]として予め設定し、記憶しておく。ステップS33では、この最低液温の値−25[℃]を読み出す。
【0091】
次にステップS34に進み、予め設定しておいた最低外気温度を読み出す。この最低外気温度は、操作スイッチからのオペレータの操作によって予め設定し記憶したものである。ステップS34では、こうして予め設定された最低外気温度として、例えば最低外気温度−5[℃]を読み出す。次にステップS35に進み、下限ガス圧における温度差を例えば下式のように算出する。この場合、液温が下がり下限ガス圧に達したときに外気温との温度差が最小20[℃]であることを意味する。
【0092】
温度差=最低外気温度−最低液温=−5−(−25)=20[℃]・・・式(31)
【0093】
次にステップS36に進み、必要とする熱コンダクタ値を、例えば下式のように算出する。必要とする熱コンダクタ値とは、ステップS32で求めた必要熱流量を外気から取り込むためには、ステップS35で求めた液温と外気温との温度差条件のもとで必要となる熱伝達特性を意味する。
【0094】
必要なコンダクタ値=必要な熱流量/温度差 ・・・式(32)
=233[W]/20[℃]
≒12[W/℃]
【0095】
次にステップS37に進み、必要なコンダクタ値から最低液面高さを算出する。図11は、バルク容器類内の液化ガスの液面高さと熱コンダクタとの関係の一例を示すグラフ図である。例えば、必要な熱コンダクタ値が12[W/℃]とすると、図11より必要な最低液面高さは290[mm]と求まる。次にステップS38に進み、最低液面高さからその液面高さに相当する下限残量を算出する。
【0096】
以上のようにして求めた下限残量値を記憶し、図10の処理を終了する。
そして、前述したガス予測使用量、例えば1日当たりのガス予測使用量で使った場合にこの下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力動作をする。
【0097】
この実施例では、ガス最大使用量の結果と、予め設定された外気温度を考慮して下限残量を自動更新している。そのため寒冷地では、予め外気温の設定値を低い温度にすることによって、実際のガス使用量の最大となる条件下であってもガス圧を維持できる下限残量を用いて警報動作するし、寒冷地であっても最大ガス使用量が多くない現場に対しては、低めの下限残量を用いて警報動作することとなる。また、温暖な地域では、予め外気温の設定を高い温度にすることによって、常に低めの下限残量を用いて警報動作することになる。つまり、本実施形態によれば、各現場の外気温条件、ガスの最大使用量の条件に適した下限残量を用いて、実施形態1,2より実情に即した残量警報動作をすることが可能となる。
【0098】
以上の説明では、外気温の設定は、オペレータによりひとつの温度を決定するものであったが、例えば、夏用最低外気温設定と冬用最低外気温設定とをおのおのオペレータにより設定しておき、バルクガス残量管理装置が、内蔵するカレンダ機能を参照して夏場であれば夏用最低外気温を設定し、冬場であれば冬用最低外気温度を設定するという具合に、予め設定された複数の最低外気温設定値を季節に応じて自動的に切換えるようにしてもよい。
【0099】
また、以上の説明では、最低外気温を設定するとしたが、オペレータによって入力する外気温を平均外気温としておき、式(31)での温度差を計算する代わりに、例えば、最高最低気温差(固定値)を見込んで、次式を用いてもよい。
【0100】
温度差=平均外気温−最低液温−最高最低気温差/2
【0101】
[実施形態4]
図12は、本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置40は、バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出するための残量検出手段41と、所定時間前の残量と現在の残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段42と、バルク容器類の外周囲に設置された温度センサ50と、温度センサ50からバルク容器類周囲温度情報を収集する温度情報収集手段51と、そのバルク容器類の周囲温度情報と所定時間当たりのガス最大使用量とに基づいて求めた産気可能な下限残量を算出する下限残量算出手段52と、今後のガス予測使用量をもとにその下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段44とが主な構成要素となっている。
【0102】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置40は、図12のように、通信部46を有しており、管理センタ49と接続されている。通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置としてNCU47,48が用いられる。
【0103】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置40は、図12のように、設定入力用の操作スイッチ43を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置40に対し様々な設定が行なえる。
【0104】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置40は、図12のように、表示部(例えば液晶表示部)45を有しており、現在残量や、警報出力状態表示や、各種設定内容などを表示可能である。
【0105】
残量検出手段41は、例えば超音波式の液面計測機能であり、超音波センサをバルク容器類の外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量は、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積でありパーセント値で表す。
【0106】
以下、実施形態1〜3と異なる部分を中心に説明する。
図13は、外気からバルク容器類の鋼板を介して液体ガスの液体へ熱伝播する様子を模式的に示した図である。図13において、中央の矩形領域がバルク容器類の鋼板であり、その右側の領域が液化ガスの液体部分であり、一番左側の領域がバルク容器類の周囲の外気である。図13において、左右に長く伸びた曲線は、各領域における温度分布を意味しており、縦方向を温度スケールとし、上方を高温、下方を低温として示している。この曲線の左端において、外気温度がTであるとする。また、この曲線の右端において、液化ガスの液体温度がT(T>T)であるとする。温度センサ50は、バルク容器類の鋼板外壁付近に取り付けられ、温度センサ50による測定温度がTであるとする。また、このバルク容器類中の液化ガスの液体全体のもつ熱量をQとする。なお、厳密には液相と接する鋼板の熱量をも加味してQとする。図13には、外気から鋼板を通して液化ガスの液体に伝わる熱流量をqとして矢印で図示してある。また、液化ガスの気化熱による熱流量をqとして上方へ向く矢印で図示してある。
【0107】
図14は、外気からバルク容器類の鋼板を通して液化ガスの液体に熱伝導する現象をモデル化した熱等価回路図である。モデル化する上で、図13の外気の領域を温度センサ50の位置を境界に鋼板に接する外気層と鋼板から離れた外気層に分割して考えることとする。
【0108】
以下、再び図14において説明する。鋼板から離れた外気層の熱コンダクタンスをYとする。また、鋼板に接する外気層の熱コンダクタンスをYとする。バルク容器類中の液化ガスの液体全体のもつ熱容量をCとする。なお、厳密には液相と接する鋼板の熱容量をも加味してCとする。液化ガスの単位重量当たりの気化熱量をrとし、ガスの瞬間使用量をUとすると、液化ガスの気化熱による熱流量qは、次式で表される。
【0109】
[W]=r[J/Kg]×U[Kg/Sec] ・・・式(33)
【0110】
図15は、図12の実施例の最低外気温予測処理のフローチャートである。以下、動作を図15に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0111】
先ず外気温予測処理が開始されると、図15には図示していないバックグラウンドの処理として、残量検出手段41によって現在の残量を取得し記憶する。使用量予測手段42は、残量情報をもとにガス最大使用量と、ガス予測使用量とを求め、記憶する。
【0112】
次にステップS41において、最低外気温予測手段は、4時間前の残量と現在の残量を読み出し、その残量変化を現在のガス使用量U(n)として記憶する。ここでnとは、4時間毎にカウントアップする値であり、表記U(n)は、n回目に算出した変数の値(この場合はガス使用量という変数値)を意味する。最初に実行する場合、前回(4時間前)の残量値は存在しないので、その場合には、現在のガス使用量U(1)=0とする。次にステップS42に進み、今回までのガス使用量U(n)の積分値ΣU(n)を次式により更新する。ここで、表記ΣUは、ひとつの変数名を意味する。最初に実行される場合、積分値ΣU(n)の値は、今回のU(n)の値とする。
【0113】
ΣU(n)=ΣU(n−1)+U(n) ・・・式(34)
【0114】
次にステップS43に進み、現在の残量Z(n)をもとに、バルク容器類全体の熱容量C(n)を求める。例えば、液残量Z[Kg]、液化ガスの液相の比熱=C[J/Kg℃]、バルク容器類の鋼板の熱容量をC[J/℃]とすると、次式で表される。
【0115】
熱容量C(n)[J/℃]=液化ガスの液相の比熱×液残量+鋼板の熱容量
=C[J/Kg℃]×Z(n)[Kg]+C[J/℃]・・・式(35)
【0116】
次にステップS44に進み、現在の残量Z(n)をもとに、熱コンダクタンスY(n)とY(n)を算出する。次にステップS45に進み、バルク容器類周囲温度情報収集手段は、温度センサにより現在のバルク容器類周囲温度T(n)を獲得する。次にステップS46に進み、現在の液温予測値T(n)を次式により求める。なお、最初に実行する場合、前回までの熱流入量予測値の積分値Σq(n−1)は未定であるのでΣq(n−1)=0とする。
【0117】
(n)={Y(n)×T(n)+Σq(n−1)−r×ΣU(n)}
/(C(n)+Y(n))・・・式(36)
【0118】
次にステップS47に進み、現在の外気からの熱流入量予測値q(n)を次式により求める。
【0119】
(n)=Y(n)×(T(n)−T(n)) ・・・式(37)
【0120】
次にステップS48に進み、今回までの熱流入量予測値q(n)の積分値Σq(n)を次式により更新する。
【0121】
Σq(n)=Σq(n−1)+q(n) ・・・式(38)
【0122】
次にステップS49に進み、現在の外気温予測値T(n)を次式により求める。
【0123】
(n)=T(n)+q(n)/Y(n) ・・・式(39)
【0124】
次にステップS50に進み、過去1ヶ月の外気温予測値T(k)(k=0,1,…,n)の中から最低温度を求め最低外気温予測値とし、保存する。
【0125】
各積分値ΣU(n),Σq(n)は、所定の期間、例えば1週間毎に初期化する。つまり、1週間毎に一度の頻度で、図15の処理内で各積分ΣU(n),Σq(n)を計算する際に最初の処理として扱う。kの初期化処理の目的は、各積分値のオーバーフローと計算精度落ちを防ぐことである。この初期化処理は、充填時点で行なうようにしてもよい。
【0126】
この実施例では、以上のように算出した最低外気温予測値とガス最大使用量とに基づいて求めた産気可能な下限残量を図10のフローチャートに従って算出する。なお、図10の詳細説明は、実施形態3にて説明済みにつき省略する。そして、警報手段44は、今後のガス予測使用量をもとにその下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する。
【0127】
温度センサ50は、バルク容器類周囲温度を測定するためのセンサであり、図13に示したように温度センサ50での測定温度Tは、外気温Tとバルク容器類内の液温Tとの中間の温度として計測される。もちろん、温度センサ50をバルク容器類から比較的離れた位置に設置して温度センサ50で直接外気温を測定するようにしてもよい。この場合には、鋼板と温度センサ50との距離があるため、鋼板に接する外気層の熱コンダクタンスYがきわめて小さな値になると考えられ、結局、式(37)においてY=0とおくことにより、式(39)からT=Tとなり、当然の結果が導かれる。
【0128】
残量検出手段41としてバルク容器類の外壁面底部に超音波センサを取り付けて超音波による液残量検出する場合には、液温による液体中の音速変化補正のためにサーミスタが用いられ、液温を検出している。超音波センサとサーミスタとをひとつのケースに収め、そのケースをバルク容器類の外壁面底部に取り付ける。このように実装されたサーミスタをバルク容器類周囲温度測定用の温度センサとして兼用して、安価に実現する方法も考えられる。この場合には、液温検出することを第1目的としているため、鋼板に接する外気層の熱コンダクタンスYに対し鋼板から離れた外気層の熱コンダクタンスYが小さくなる。その結果、外気温の予測精度は低下するが、特別に温度センサを追加する必要が無く、コストを抑えられる利点がある。
【0129】
以上、本実施形態によれば、実施形態3において周囲温度測定に基づいて最低外気温を求め、それに基づいてより実情に即した残量警報を出力することが可能となる。また、以上の説明では、最低外気温を予測するとしたが、最低外気温を予測する代わりに、平均外気温を予測してもよい。
【0130】
[実施形態5]
図16は、本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置60は、複数のバルク容器類71a,71b等を配管で接続してガスを共通に取り出すように構成したバルク容器群の各バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出するための残量検出手段61と、その各バルク容器類のガス残量を集計しそのバルク容器群の群残量(全ガス残量)を算出する群残量集計手段61bと、所定時間前の群残量と現在の群残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段62と、そのガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段64とが主な構成要素となっている。
【0131】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置60は、図16のように、キーボード63を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置60に対し様々な設定が行なえる。
【0132】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置60は、図16のように、表示部(例えば液晶表示部)65を有しており、管理しているバルク容器類からの警報出力がある場合にはその通知表示をしたり、残量推移情報、警報・充填日時情報などを表示できるように構成されている。
【0133】
この実施例におけるバルクガス残量管理装置60の残量検出手段61としての通信部は、例えば次のようにしてバルク容器類側に設置された残量検出装置70と接続される。図16のように、通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置としてNCU67,68が用いられる。そして、図16のように各バルク容器類71a,71b等に設置された個別残量検出装置72a,72b等はNCU68を介し、またバルクガス残量管理装置60も別のNCU67を介し、公衆電話回線網で接続される。
【0134】
個別残量検出装置72a,72bは、例えば超音波式の液面計であり、超音波センサをバルク容器類71a,71bの外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量はリットル値で扱ってもよいし、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積であり、パーセント値で表すこととしてもよい。
【0135】
図16において、バルク容器群のガス配管は、次のように接続されている。バルク容器類A(71a)の液取り出しバルブ74aとバルク容器類B(71b)の液取り出しバルブ74bとを液相ラインとして接続し、共通の液相バルブ80を介して強制気化装置79に繋ぐ。強制気化装置79のガス出力側は、圧力調整器78およびバルブ77を介して気相ラインに接続する。気相ラインはバルブ76を介してガス器具に接続される。なお、強制気化装置79が停止状態であっても自然気化によるガス使用が行えるように、気相ラインは、圧力調整器75aを介してバルク容器類A(71a)のガス取り出しバルブ73aと接続し、また圧力調整器75bを介してバルク容器類B(71b)のガス取り出しバルブ73bと接続している。
【0136】
図17は、図16の実施例の動作を示すフローチャートである。以下、動作を図17に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0137】
先ずステップS61に進み、どのバルク容器類がバルク容器群として管理すべきかが予め登録されている群管理バルクの登録データを読み出す。そして対象とするバルク容器群に属するバルク容器類が、例えばバルク容器類A(71a)とバルク容器類B(71b)であることを知る。次にステップS62に進み、個別残量検出装置72aに残量計測コマンドを送りその応答を受信してバルク容器類A(71a)の現在の残量を調べる。次にステップS63に進み、個別残量検出装置72bに残量計測コマンドを送りその応答を受信してバルク容器類B(71b)の現在の残量を調べる。
【0138】
次にステップS64に進み、バルク容器群の全残量(群残量)を計算する。バルク容器群の全残量は、バルク容器類A(71a)の残量とバルク容器類B(71b)の残量との合計とする。例えば、バルク容器類A(71a)の残量が1536リットル、バルク容器類B(71b)の残量が480リットルであれば、このバルク容器群の全残量は1536+480=2016リットルとなる。なお、残量としてパーセントを用いた場合には、その集計方法は、パーセント値の合計をバルク容器類の個数で割った値、つまり各パーセント値の平均を算出することとなる、例えば、バルク容器類A(71a)の残量が64%、バルク容器類B(71b)の残量が20%であれば、このバルク容器群の全残量は、(64+20)/2=84/2=42%となる。
【0139】
次にステップS65に進み、一日当たりの使用量を求める。一日当たりの使用量は、前日の同時刻の群残量から今回の群残量を引いて求める。例えば、前日の同時刻の群残量が52%、今回の群残量が42%ならば、一日当たりの使用量は、52−42=10%となる。次にステップS66に進み、予め指定されている日数分の使用量を求める。この指定日数分の使用量は一日当たり使用量に指定日数を乗じた値でよい。例えば、指定日数が3日間ならば、3日間の使用量は、一日当たり使用量10%×3=30%となる。
【0140】
次にステップS67に進み、その指定日数を持たせる為の必要残量を求める。つまり現在から指定日数もたせるために現在必要とされる残量を求める。ここで産気可能限界(液化ガスから気化ガスを生成できる液量限界)となる残量を予め下限残量として設定しておく。必要残量は、この下限残量に指定日数分の使用量を加算して求める。例えば、下限残量が9%で指定日数分の使用量が30%ならば、必要残量は39%となる。
【0141】
次にステップS68に進み、今回の群残量と必要残量とを比較する。もし、今回の群残量が必要残量よりも多ければ何もせずこのフローの処理を終了する。もし、今回の群残量が必要残量以下であったならば、充填の必要があるのでステップS69に進み、残量警報を出力する。具体的には、表示部65に、バルク容器類の識別番号と、残量警報の発生時刻と、現在の残量と、一日当たり使用量と、「残量警報」という文字を表示する。
【0142】
上記ステップS67において下限残量は、例えば、夏と冬との産気可能限界の差異等の理由で、その値を変更したい場合がある。下限残量を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置60のキーボード63を操作して、下限残量を書き換える方法がある。
【0143】
上記ステップS66における指定日数は、ローリーの配送計画変更等の事情により、その値を変更したい場合がある。指定日数を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置60のキーボード63を操作して、指定日数を書き換える方法がある。
【0144】
図18は、管理しているバルクの登録データと、各バルクの容積データ、残量データを表形式にしたバルク残量リストの例を示す図である。このようなバルク残量リストは、キーボード63からの操作で表示部65に表示できる。
【0145】
図18において、項番欄は、表示上の通し行番号を示す。なお、バルク容器類A(71a),B(71b)などと表記してきたが、これらのバルク容器類は、例えば図18のごときリストに記憶されたいずれかのバルク容器類となる。バルク識別番号欄は、管理する各バルクに付与した識別番号を示す。容積欄は、バルク容器類の容積をリットル単位で記す。残量値[リットル]欄は、各バルクの最新の残量値をリットル単位で記す。残量値[%]欄は、各バルクの最新の残量値を%単位で記す。残量値[リットル]欄と残量値[%]欄は、4時間毎に更新される。
【0146】
また、管理対象のバルクは、単独のバルク容器類と、連結されたバルク容器群との2種類がある。単独のバルク容器類のバルク識別番号は、アルファベットSで始まる文字列としてある。それに対し、連結されたバルク容器群を構成している個々のバルク容器類のバルク識別番号は、アルファベットgで始まる文字列としてある。またバルク識別番号の中で、アルファベットG(大文字)で始まるバルクは、連結されたバルク容器群を総称するバルクを意味する。例えば、図18において、項番04のバルクG1234は、バルク容器群の総称であり、そのバルク容器群の個々のバルクは、項番05記載のバルクg1234−01と項番06記載のバルクg1234−02である。このバルク残量リストでは、バルク容器群を総称するバルクG××××が記載された次の項番から、そのバルク容器群を構成するバルク容器類g××××が続くように配列してある。そのバルク容器群を構成するバルク容器群の記載の終わりは、次の項番のバルク識別番号がアルファベットg以外で始まることを認識することにより可能である。例えば項番07記載のバルク識別番号はアルファベットg以外ではじまっているから項番04記載のバルクG1234を構成するバルクの記載は、項番06が最後の行であると判別できる。
【0147】
図19は、バルク残量警報リストの表示例を示す図である。このリストは、残量警報条件を確認したり、各バルクの残量状態、特に残量警報状態にあるか否か、更にはいつ、どこに充填したらよいか、効率的な充填計画を策定するために参照する。
【0148】
図19において、項番欄は、表示上の通し行番号を示す。バルク識別記号欄は、管理する各バルクに付与した識別記号を示す。下限残量欄は各バルクに設定してある下限残量を%単位で記す。指定時間欄は、各バルクが下限残量に到達する予測日時の何日前に警報を発するかを1日単位で記す。残量値[%]欄は、各バルクの最新の残量値を%単位で記す。下限到達予測日時欄は、下限残量に達するであろう予測日時を示す。残量値[%]欄と下限到達予測日時欄は、4時間毎に更新される。
【0149】
このバルク残量警報リストは、警報を発する(もしくは発した)順に並び替えてその上位6行を表示している。つまり、項番01に記載されたバルクG1234がもっとも早い時期に下限残量に到達すると予測されていることを意味する。使用量が少ないバルクに対しては、指定時間を長めに設定しておき、他のバルクの充填タイミングに合わせて一緒に充填するチャンスを増やす手法によって充填配送効率を上げる方法が考えられる。指定時間が一定でない場合には、掲載順は、必ずしも下限到達予測日時の順にはならない。例えば、項番05のバルクは下限到達予測日時が4月18日13時であるが、項番06のバルクの下限到達予測日時は4月16日13時であり、項番05のバルクよりも先である。しかし、項番05のバルクは指定時間を7日間に設定してあるため、警報があるであろう時期は、指定時間を4日間に設定してある項番06のバルクよりも先になるからこの順序で表示している。
【0150】
もし、あるバルクが、下限到達予測日時の指定時間前が、現在日時以前であるなら警報を発することとなる。残量警報リスト表示において、警報状態にあるバルクの情報は、表示色を変えたり、点滅させて表示したりすることでオペレータに警報状態であることを知らせる。
【0151】
以上、本実施形態によれば、複数のバルク容器類に対する残量管理が可能となり、したがって、より実情に即した残量の管理及び警報出力が可能となる。
【0152】
[実施形態6]
図20は、本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。本実施形態に係るバルクガス残量管理装置90は、実施形態5の装置と同様に、複数のバルク容器類91a,91b等を配管で接続してガスを共通に取り出すように構成したバルク容器群の各バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出するための残量検出手段101と、その各バルク容器類のガス残量を集計しそのバルク容器群の群残量(全ガス残量)を算出する群残量集計手段100と、所定時間前の群残量と現在の群残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段102と、そのガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段104とが主な構成要素となっている。但し、本実施形態に係るバルクガス残量管理装置90は、実施形態5の装置とは、個別残量及び群残量の検出方法が異なる。
【0153】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置90は、図20のように通信部106を有しており、図示しない管理センタと接続されている。通信路としては、例えば公衆回線網が使用され、その接続装置としてNCUが用いられる。
【0154】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置90は、図20のように、設定入力用の操作スイッチ103を有しており、オペレータが操作することによってこのバルクガス残量管理装置90に対し様々な設定が行なえる。
【0155】
また、この実施例におけるバルクガス残量管理装置90は、図20のように、表示部(例えば液晶表示部)105を有しており、現在残量や、警報出力状態表示や、各種設定内容などを表示可能である。
【0156】
残量検出手段101は、例えば超音波式の液面計測機能であり、超音波センサユニット101a,101bをバルク容器類A(91a),B(91b)の外壁底面に取付け、上方へ向けて発した音波が液面で反射して戻ってくるまでの時間に基づき液面高さを求め、バルク容器形状に応じた換算式によって残量を求めるものである。残量は、例えば、バルク容器類の容積を100%としたときの液化ガスの体積でありパーセント値で表す。
【0157】
図20において、バルク容器群のガス配管は、次のように接続されている。バルク容器類A(91a)の液取り出しバルブ94aとバルク容器類B(91b)の液取り出しバルブ94bとを液相ラインとして接続し、共通の液相バルブ100を介して強制気化装置99に繋ぐ。強制気化装置99のガス出力側は、圧力調整器98およびバルブ97を介して気相ラインに接続する。気相ラインはバルブ96を介してガス器具に接続される。なお、強制気化装置99が停止状態であっても自然気化によるガス使用が行えるように、気相ラインには、圧力調整器95aを介してバルク容器類A(91a)のガス取り出しバルブ93aと接続し、また圧力調整器95bを介してバルク容器類B(91b)のガス取り出しバルブ93bと接続している。
【0158】
図20において、残量検出手段101は、バルク容器類A(91a)に取り付けられた超音波センサユニット101aと、バルク容器類B(91b)に取り付けられた超音波センサユニット101bと、超音波センサユニット101aおよび超音波センサユニット101bの入出力信号を処理し、バルク容器類内の液面からのエコー信号を収集するエコー収集手段101cと、収集したエコー信号をもとに、各バルク容器類毎の残量を検出する、個別残量検出手段101eとにより構成される。
【0159】
図21は、図20の超音波センサユニットとエコー収集手段の構成を詳しく示したブロック図である。図21において、超音波センサユニット101aは、超音波の送受を担う圧電素子111aと、バルク容器類A(91a)内の液温を知るためのサーミスタ112aとによって構成される。同様に、超音波センサユニット101bは、超音波の送受を担う圧電素子111bと、バルク容器類B(91b)内の液温を知るためのサーミスタ112bとによって構成される。エコー収集手段101cは、エコー収集用のCPU117と、CPU117からの選択信号によって超音波センサユニットを選択し、選択した超音波センサユニットの圧電素子の電気信号とサーミスタの電気信号を伝達するセレクト回路113と、CPU117からの駆動パルスによって駆動波をセレクト回路113を介して圧電素子に出力する超音波送波回路114と、圧電素子で受けた超音波エコー信号をセレクト回路113を介して入力し、増幅検波する超音波受波回路115と、サーミスタで検知した検知電圧を温度情報としてディジタル値に変換するA/Dコンバータ116とにより構成される。
【0160】
図22は、図20の実施例における残量検出手段の動作を示すフローチャートである。以下動作を図22に沿って説明する。残量検出処理を開始すると、まずステップS71で、超音波センサユニットA(101a)を選択する。つまり、セレクト回路113に選択信号を送ってセンサユニット101a側を選択する。次にステップS72に進み、超音波送波回路114に駆動パルスを送り、圧電素子111aを駆動波で振動させて超音波を発生させる。発生した超音波は、バルク容器類の鋼板を通過し液体中を伝播して液面で反射し、再び液中を戻って鋼板を介して圧電素子に反射波が到達する。この反射波を超音波受波回路115が増幅、検波し、CPU117に送る。CPU117は、駆動パルス発行時点から反射波受信までの遅れ時間を計測する。次にステップS73に進み、バルクA(91a)の液温を測定する。次にステップS74に進み、その液温における音速をもとに反射波の遅れ時間からバルクA(91a)の液面距離(バルク容器類底部から液面までの距離)を算出する。次にステップS75に進み、液面距離から残量を求める換算式を用いて、バルクA(91a)の残量を算出する。
【0161】
次にステップS76に進み、超音波センサユニット101bを選択する。次にステップS77に進み、超音波送波回路114を動作させて超音波受波回路115から反射波を受信し、その遅れ時間を計測する。次にステップS78に進み、バルクB(91b)の液温を測定する。次にステップS79に進み、その液温における音速をもとに反射波の遅れ時間からバルクB(91b)の液面距離(バルク容器類底部から液面までの距離)を算出する。次にステップS80に進み、液面距離から残量を求める換算式を用いて、バルクB(91b)の残量を算出する。
【0162】
以上、図22のフローチャートに示す残量検出手段101によって、配管で連結されたバルク容器群の各バルク容器類に個別残量を検出する。
【0163】
図20において、操作スイッチ103を操作することによって、このバルクガス残量管理装置90で監視する複数のバルク容器類をひとつのバルク容器群として集計した残量管理をするか、あるいは各バルク容器類毎に別々の残量管理をするか、そのどちらにするかを予め設定しておくことができる。複数のバルク容器類をひとつのバルク容器群として集計した残量管理をする設定状態を、群管理モードと呼ぶこととする。各バルク容器類毎に別々の残量管理する設定状態を、個別管理モードと呼ぶこととする。
【0164】
なお、操作スイッチ103によってこれらのモード設定をするかわりに、通信部106を介して、管理センタからモード設定コマンドを送信して、群管理モードとするか、個別管理モードとするかを設定できるようにしてもよい。
【0165】
図23は、図20の実施例の動作を示すフローチャートである。以下、動作を図23に沿って説明する。この実施例では、4時間毎にこのフローを実行する。つまり、時刻0時に実行した後、次は時刻4時に実行し、次は8時、という具合に、4時間毎にスタート点から実行される。
【0166】
先ずステップS91で、残量検出手段101によって各バルクの個別残量を検出する。例えばバルクA(91a)の残量値Z[%]とバルクB(91b)の残量値Z[%]を得る。次にステップS92に進み、予め設定されている群/個別モードの選択の状態がどちらのモードであるかを確認し、もし個別モードであればステップS99に進む。群モードに設定されていた場合にはステップS93に進み、バルク容器群の群残量Zを集計する。例えば、残量をパーセント単位とした場合には、ZとZを加算して次式により集計する。
【0167】
Z[%]=(Z+Z)/2
【0168】
次にステップS94に進み、一日当たりの使用量を求める。一日当たりの使用量は、前日の同時刻の群残量から今回の群残量を引いて求める。例えば、前日の同時刻の群残量が52%、今回の群残量が42%ならば、一日当たりの使用量は、52−42=10%となる。次にステップS95に進み、予め指定されている日数分の使用量を求める。この指定日数分の使用量は、一日当たり使用量に指定日数を乗じた値でよい。例えば、指定日数が3日間ならば、3日間の使用量は、一日当たり使用量10%×3=30%となる。次にステップS96に進み、その指定日数を持たせるための必要残量を求める。つまり、現在から指定日数をもたせるために現在必要とされる残量を求める。ここで産気可能限界(液化ガスから気化ガスを生成できる液量限界)となる残量を予め下限残量として設定しておく。必要残量は、この下限残量に指定日数分の使用量を加算して求める。例えば、下限残量が9%で、指定日数分の使用量が30%ならば、必要残量は39%となる。
【0169】
次にステップS97に進み、今回の群残量と必要残量とを比較する。もし、今回の群残量が必要残量よりも多ければ何もせずこのフローの処理を終了する。もし、今回の群残量が必要残量以下だったならば、充填の必要があるのでステップS98に進み、残量警報を出力する。具体的には、通信部106から管理センタへ残量警報電文を発行するとともに、表示部105に、バルク容器類の識別番号と、残量警報の発生時刻と、現在の残量と、一日当たり使用量と、「残量警報」という文字を表示する。
【0170】
一方、ステップS92にて個別モードであればステップS99に進み、バルクA(91a)の残量Zについて上記ステップS94〜S98同様に処理することにより、バルクA(91a)単独の残量警報出力判断をして必要ならば残量警報出力をする。次にステップS100に進み、バルクB(91b)の残量Zについて上記ステップS94〜S98同様に処理することにより、バルクB(91b)単独の残量警報出力判断をして必要ならば残量警報出力をする。このようにして個別モードの場合には、個々のバルク容器類ごとの残量監視をする。
【0171】
上記ステップS96において、下限残量は、例えば、夏と冬との産気可能限界の差異等の理由で、その値を変更したい場合がある。下限残量を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置90のキーボード(図示せず)を操作して下限残量を書き換える方法がある。
【0172】
上記ステップS96における指定日数は、ローリーの配送計画変更等の事情により、その値を変更したい場合がある。指定日数を変更できるようにする方法として、このバルクガス残量管理装置90のキーボード(図示せず)を操作して、指定日数を書き換える方法がある。
【0173】
以上、本実施形態によれば、実施形態5と同様に、複数のバルク容器類に対する残量管理が可能となり、したがって、より実情に即した残量の管理及び警報出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】本発明の一実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1の使用量予測手段における残量データ保存内容の具体例を示す図である。
【図3】図1の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図5】図4の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明に係るバルクガス残量管理装置の実施形態1および実施形態2の動作を詳しく説明する為の残量推移図である。
【図7】実施形態1の表示部および実施形態2の表示部における表示例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図9】液化ガスの温度とその飽和蒸気圧との関係を示すグラフの一例を示す図である。
【図10】図8の実施例の下限残量の自動設定動作を示すフローチャートである。
【図11】バルク容器類内の液化ガスの液面高さと熱コンダクタとの関係の一例を示すグラフ図である。
【図12】本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図13】外気からバルク容器類の鋼板を介して液体ガスの液体へ熱伝播する様子を模式的に示した図である。
【図14】外気からバルク容器類の鋼板を通して液化ガスの液体に熱伝導する現象をモデル化した熱等価回路図である。
【図15】図12の実施例の最低外気温予測処理のフローチャートである。
【図16】本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図17】図16の実施例の動作を示すフローチャートである。
【図18】管理しているバルクの登録データと、各バルクの容積データ、残量データを表形式にしたバルク残量リストの例を示す図である。
【図19】バルク残量警報リストの表示例を示す図である。
【図20】本発明の他の実施形態に係るバルクガス残量管理装置の一実施例を示すブロック図である。
【図21】図20の超音波センサユニットとエコー収集手段の構成を詳しく示したブロック図である。
【図22】図20の実施例における残量検出手段の動作を示すフローチャートである。
【図23】図20の実施例の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0175】
10,20,30,40,60,90…バルクガス残量管理装置、11,21,31,41,61,101…残量検出手段、12,22,32,42,62,102…使用量予測手段、13,33,43,103…操作スイッチ、14,24,34,44,64,104…警報手段、15,25,35,45,65,105…表示部、16,36,46,106…通信部、17,18,27,28,37,38,47,48,67,68…網制御装置(NCU)、19,39,49…管理センタ、23,63…キーボード、29,70…残量検出装置、50…温度センサ、51…バルク容器類周囲温度情報収集手段、52…下限残量算出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク容器類内部の液化ガスの残量を監視し、残量が少なくなったことを警報するバルクガス残量管理装置において、バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出する残量検出手段と、所定時間前の残量と現在の残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段と、該ガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力する警報手段と、を有することを特徴とするバルクガス残量管理装置。
【請求項2】
前記警報手段は、所定時間当たりのガス最大使用量と予め設定された外気温設定値とに基づいて求めた産気可能な最低残量を下限残量とし、該下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力することを特徴とする請求項1記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項3】
バルク容器類の外周囲に設置された温度センサと、該温度センサからバルク容器類周囲温度情報を収集する温度情報収集手段と、該バルク容器類周囲温度情報と所定時間当たりのガス最大使用量とに基づいて求めた産気可能な下限残量を算出する下限残量算出手段と、を有し、前記警報手段は、該下限残量を下回る予測時期よりも所定時間前になると警報出力することを特徴とする請求項1記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項4】
複数のバルク容器類を配管で接続してガスを共通に取り出すように構成したバルク容器群の各バルク容器類の液化ガス残量レベルを定期的に検出する残量検出手段と、各バルク容器類のガス残量を集計し前記バルク容器群の全ガス残量を算出する群残量集計手段と、所定時間前の全ガス残量と現在の全ガス残量との残量変化をもとに、今後のガス予測使用量を算出する使用量予測手段と、該ガス予測使用量をもとに下限残量を下回る予測時期よりも指定時間前になると警報出力する警報手段と、を有することを特徴とするバルクガス残量管理装置。
【請求項5】
管理する個々のバルク容器類がバルク容器群を構成しているかどうかを示す群属性情報を予め設定する群属性設定手段を有し、前記群残量集計手段は、該群属性情報が設定された各バルク容器類のガス残量を集計して全ガス残量を算出することを特徴とする請求項4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項6】
オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における所定時間は、オペレータからの操作により設定された時間であることを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項7】
オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における下限残量は、オペレータからの操作により設定された残量であることを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項8】
前記ガス予測使用量は、過去数日間の基準時間当たり残量変化分の最大値とすることを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項9】
前記ガス予測使用量は、過去1週間以上の期間についての曜日別の基準時間当たり統計使用量であり、下限残量を下回る前記予測時期は、現在の曜日を基点に前記曜日別の基準時間当たり統計使用量で使用した場合の予測時期としたことを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項10】
前記ガス予測使用量は、過去数日間についての1日を区分した時間帯別の統計使用量であり、下限残量を下回る前記予測時期は、現在の時刻を基点に前記時間帯別の統計使用量で使用した場合の予測時期としたことを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。
【請求項11】
オペレータからの入力手段を有し、前記警報手段における指定時間をオペレータからの操作により複数設定しておき、前記警報手段は、下限残量を下回る予測時期のそれぞれの指定時間前になるとそれぞれ警報出力することを特徴とする請求項1又は4記載のバルクガス残量管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−183685(P2006−183685A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374699(P2004−374699)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】