説明

バルク供給装置

【課題】 バルク貯槽に対するガス供給設備の取付けや交換が容易であり、全体としてコンパクトなバルク供給装置を提供する。
【解決手段】 バルク貯槽に溶接固定した配管支持金具に対して第1の支持金具の一端とガス供給設備のガス配管をUボルトによって一緒に締結固定し、第1の支持金具の他端に対して漏洩検知器の出口配管をUボルトによって締結固定し、漏洩検知器の出口配管に対して第2の支持金具の一端をUボルトによって締結固定し、第2の支持金具の他端に対して漏洩検知器の入口配管をUボルトによって締結固定する。バルク貯槽のガス取出弁に接続するガス供給装置の入口にフレキシブルな銅管継手を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバルク供給装置に関し、詳しくはLPガス等をコンパクトな設備で供給できるバルク供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
工業用や自動車用のLPガス供給では、バルク貯槽と調整器等のガス供給設備からなるバルク供給装置を工場や給油所に設置し、LPガスを消費したらバルクローリー車よりバルク貯槽にLPガスを補充するようにしており、このバルク貯槽は地下に埋設されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
家庭用や業務用のLPガス供給では、LPガスを充填したシリンダ形のガスボンベを家屋敷地内に設置し、LPガスを消費したら新しいガスボンベを配達して交換するようにしている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
従来のバルク供給装置では、バルク貯槽は地下に格納しているが、ガス供給設備は地上設置の架台に取り付けているため、全体の設置スペースが大きいという問題がある。
LPガスボンベ供給方式では、設置スペース上の問題はないが、近時の人手不足により配送コストが高いという問題がある。そのため、家庭用や業務用においてもバルク供給装置が採用される傾向にある。
【0005】
しかしながら、従来のバルク供給装置は工場や給油所仕向け設計されているため、装置は一般に大型であって設置に広いスペースを必要とし、配管やガス供給設備の配置スペースも考慮すると、直ちに一般家庭等に転用することは困難であった。
【0006】
この設置スペース上の問題を解決するため、コンクリート基礎上にバルク貯槽を設置し、バルク貯槽のプロテクタの片側に沿って、あるいはプロテクタを跨いでガス供給設備の架台を設置するようにしたバルク供給装置が提案されている(例えば特許文献3参照)。
【0007】
また、調整器や漏洩検知器等よりなるガス供給設備をバルク貯槽自体に直接取り付けることによって、ガス供給設備の架台を不要とし、より小さい設置スペースで設置できるようにしたバルク供給装置も提案されている。
【0008】
この方式のバルク供給装置では、図9から図11に示したようにバルク貯槽1に配管支持金具2を溶接固定し、バルク貯槽1に固定したプロテクタ12に対して支持金具9をボルト13で締結固定し、ガス供給設備3の調整器14と漏洩検知器6を接続するガス配管4を、配管支持具2に対してUボルト5によって締結固定し、漏洩検知器6の入口配管7と出口配管8を支持金具9に対してUボルト10,11によって締結固定している。
【0009】
このように構成されたバルク供給装置では、ガス供給設備3を定期的に交換する場合、先に支持金具9をプロテクタ12から外し、次にプロテクタ12をバルク貯槽1から外さなければ、ガス供給設備3の交換が行えないので、交換作業に手間取り煩雑である。
【0010】
【特許文献1】特開昭59−74091号公報
【特許文献2】実開平5−27500号公報
【特許文献3】特開平9−14593号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、バルク貯槽に対するガス供給設備の取付けや交換が容易であり、全体としてコンパクトなバルク供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明のバルク装置は、バルク貯槽に溶接固定した配管支持金具に対して第1の支持金具の一端とガス供給設備のガス配管をUボルトによって一緒に締結固定し、第1の支持金具の他端に対して漏洩検知器の出口配管をUボルトによって締結固定し、漏洩検知器の出口配管に対して第2の支持金具の一端をUボルトによって締結固定し、第2の支持金具の他端に対して漏洩検知器の入口配管をUボルトによって締結固定することを特徴とする。
【0013】
請求項2の発明のバルク供給装置は、請求項1の発明の前記構成に加えて、バルク貯槽のガス取出弁に接続するガス供給装置の入口にフレキシブルな銅管継手を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明のバルク供給装置は、請求項2の発明の前記構成に加えて、前記銅管継手を、上流側継手と下流側継手及び両者にロウ付けされる銅管とで構成し、該銅管が下流側継手を貫通する構造としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明のバルク供給装置では、バルク貯槽に溶接された配管支持金具に対して第1の支持金具の一端をガス供給設備のガス配管と一緒にUボルトで締結固定し、第1の支持金具の他端に漏洩検知器の出口配管をUボルトで締結固定し、第2の支持金具の各端に対して漏洩検知器の入口配管と出口配管をUボルトで締結固定したので、ガス供給設備を定期的に交換する場合等においては、プロテクタをバルク貯槽から外すだけでガス供給設備の交換が迅速かつ容易に行える。
また、プロテクタが取付く前の広い開放スペースの状態でガス供給設備の取付けが行えるので作業性に優れている。
【0016】
請求項2の発明のバルク供給装置では、請求項1の発明の前記効果に加えて、バルク貯槽のガス取出弁に接続するガス供給装置の入口にフレキシブルな銅管継手を設けたので、バルク貯槽におけるフランジや配管支持金具の取付の位置や角度の製作誤差に拘わりなく、ガス供給設備を確実にバルク貯槽のガス取出弁と配管支持金具に取付けることが可能であり、バルク供給装置の歩留まりが向上する。
【0017】
請求項3の発明のバルク供給装置では、請求項2の発明の前記効果に加えて、上流側継手と下流側継手及び両者にロウ付けされる銅管とで銅管継手を構成し、銅管が下流側継手を貫通する構造としたので、上流側継手および下流側継手と銅管とのロウ付けを同一方向から一度に行なうことが可能であり、銅管の露出部が短い銅管継手が提供可能であるとともに、ガス供給設備の全長を長くすることなく、取付けや交換作業を容易にできる。従ってガス供給設備の取付けや交換が容易でコンパクトなバルク供給装置を提供できる。
【実施例】
【0018】
図1から図8に示した本発明の実施例では、バルク供給装置は、横向きの略円筒形状のバルク貯槽1と、バルク貯槽1の上部に取り付けられたガス供給設備3と、ガス供給設備3の主要構成部分を覆うプロテクタ12とからなる。バルク貯槽1の下部に溶接固定した脚部(図示していない)は、地中または地上のコンクリート基礎(図示していない)に固定されている。
【0019】
プロテクタ12は、図1に示すように長方形のものであり、バルク貯槽1の上面部に溶接されたブラケット14にボルト15を介して締結固定されている。プロテクタ12の側面開口部にはヒンジ16によって扉17が取り付けられている。プロテクタ12内には、ガス取出弁18、ガス充填口19、液取出弁20、液面計21等がバルク貯槽1に直接取り付けられ、ガス取出弁18にはガス配管4が銅管継手22、一次調整器23、二次調整器24を介して接続されている。
【0020】
図8に示したように銅管継手22は、ガス取出弁18の出口部に接続される上流側継手22aと、ガス配管4の末端が接続される下流側継手22bと、上流側継手22aと下流側継手22b間に介在する可撓性のある銅管22cとで構成されており、銅管22cは下流側方向から両者に下向きの姿勢で銀ロウ付けされる。このロウ付け部は参照符号22d,22eで示してある。
【0021】
前記ガス配管4には一次調整器23と二次調整器24が挿入されており、一次調整器23の二次側の分岐管には子調整器25が接続され、子調整器25の二次側にはフレキシブル配管26を介して漏洩検知器6の入口配管7が接続されている。子調整器25の出口管部は、プロテクタ12の側面切欠部27内に位置している。ガス配管4はプロテクタ12の端面切欠部28からプロテクタ12の外部に突き出ており、漏洩検知器6の出口配管8が二次調整器24の出口側においてガス配管4に接続されている。
【0022】
前記の側面切欠部27と端面切欠部28は、プロテクタ12の下面縁に開口しており、前記ボルト15を緩めた後、上方に引き上げることによってプロテクタ12は、ガス供給設備3やガス配管4に干渉することなく、直ちにバルク貯槽1から外される。このとき、ガス供給設備3には一切手を触れる必要がない。
【0023】
図3に示したように配管支持金具2は、U字状に屈曲加工された金属板で構成され、垂直な脚板部2a,2bをバルク貯槽1の上面部に直接溶接されている。該金属板の中央水平板部2cには、Uボルト5が挿通される一対の貫通孔を設けてある。
図4から図6に示したように第1の支持金具29は、断面アングル形状に屈曲加工した金属板で構成されており、水平板部29aの一端部側にUボルト5が挿通される一対のスロット30を左右横方向に設けてある。
【0024】
前記水平板部29aの他端部側に立ち上げられた垂直板部29bには、Uボルト31が挿通される一対のスロット32を左右横方向に設けてある。ガス供給設備3の一部をなすガス配管4と、第1の支持金具29の水平板部29aは、配管支持金具2の中央水平板部2cを上下から挟む状態で、前記Uボルト5及びナットによって一緒に配管支持金具2に締結固定される。
【0025】
漏洩検知器6の出口配管8は、第1の支持金具29の垂直板部29bに下側部分を添接した状態で前記Uボルト31及びナットによって第1の支持金具29に締結固定される。
図7に示したように第2の支持金具9は、横長配置の金属板で構成されており、一端部(図面では左端部)にはUボルト11が挿通される一対の貫通孔33が設けられ、他端部(図面では右端部)にはUボルト10が挿通される一対の貫通孔34が設けられている。
【0026】
漏洩検知器6の出口配管8は、第2の支持金具9の左端部に上側部分を添接した状態で前記Uボルト11及びナットによって第2の支持金具9に締結固定される。
漏洩検知器6の入口配管7は、第2の支持金具9の右端部に上側部分を添接した状態で前記Uボルト10及びナットによって第2の支持金具9に締結固定される。
以上のように構成された第1の支持金具29と第2の支持金具9を介して、ガス供給設備3はバルク貯槽1に堅固に安定性良く取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施例に係るバルク供給装置の設置状態を示す平面図である。
【図2】図1のバルク供給装置の部分背面図である。
【図3】図1のバルク供給装置の部分左側面図である。
【図4】図1のバルク供給装置に使用した第1の支持金具の平面図である。
【図5】図4の第1の支持金具の正面図である。
【図6】図4の第1の支持金具の左側面図である。
【図7】図1のバルク供給装置に使用した第2の支持金具の正面図である。
【図8】図1のバルク供給装置に使用した銅管継手の一部縦断正面図である。
【図9】従来のバルク供給装置の設置状態を示す部分平面図である。
【図10】図9のバルク供給装置の部分背面図である。
【図11】図1のバルク供給装置の部分左側面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 バルク貯槽
2 配管支持金具
3 ガス供給設備
4 ガス配管
5 Uボルト
6 漏洩検知器
7 漏洩検知器の入口配管
8 漏洩検知器の出口配管
9 支持金具
10 Uボルト
11 Uボルト
12 プロテクタ
13 ボルト
14 ブラケット
15 ボルト
16 ヒンジ
17 扉
18 ガス取出弁
19 ガス充填口
20 液取出弁
21 液面計
22 銅管継手
23 一次調整器
24 二次調整器
25 子調整器
26 フレキシブル配管
27 側面切欠部
28 端面切欠部
29 第1の支持金具
30 スロット
31 Uボルト
32 スロット
33 貫通孔
34 貫通孔
35 フランジ
36 第2の支持金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク貯槽に溶接固定した配管支持金具に対して第1の支持金具の一端とガス供給設備のガス配管をUボルトによって一緒に締結固定し、第1の支持金具の他端に対して漏洩検知器の出口配管をUボルトによって締結固定し、漏洩検知器の出口配管に対して第2の支持金具の一端をUボルトによって締結固定し、第2の支持金具の他端に対して漏洩検知器の入口配管をUボルトによって締結固定することを特徴とするバルク供給装置。
【請求項2】
バルク貯槽のガス取出弁に接続するガス供給装置の入口にフレキシブルな銅管継手を設けたことを特徴とする請求項1に記載のバルク供給装置。
【請求項3】
前記銅管継手を、上流側継手と下流側継手及び両者にロウ付けされる銅管とで構成し、該銅管が下流側継手を貫通する構造としたことを特徴とする請求項2に記載のバルク供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−22878(P2006−22878A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200919(P2004−200919)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000142698)株式会社桂精機製作所 (14)
【Fターム(参考)】