説明

バルク混合機マニホルド

本発明は、バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルド(10)を提供する。その最も単純な形態において、このマニホルドは、複数の入口を備え、各入口は、それぞれの流体経路に対する開口部を規定し、そして各通路が、逆止弁を備える。このマニホルドには、流体通路および出口(310)と同軸の入口ポート(140)と流体連絡する出口(310)が含まれる。同軸入口ポート(140)は、逆止弁(150)を備える。本発明の一部として、本発明のマニホルドとともに使用するために適合されたカニューレ(300)、本発明のマニホルドとともに使用するための管セット、および本発明に従ってマニホルドを使用する、バッグを充填する際に誤りを最小化する方法もまた、含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、バルク栄養物混合機に関し、より詳細には、バルク栄養物混合機において使用するためのマニホルドに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
高栄養療法は、患者への栄養分の静脈内栄養補給である。代表的な溶液(液剤)は、タンパク質−炭水化物混合物を含む。これは、主に、経口栄養補給によって満たされ得ない患者のタンパク質およびカロリーの要件を満たすために使用される。タンパク質は、遊離アミノ酸またはタンパク質加水分解物の形態であり得、そして炭水化物は、一般的に、デキストロースである。タンパク質および炭水化物に加えて、ビタミン(水溶性および脂溶性)および電解質もまた、この治療において供給され得る。
【0003】
これらの非経口性成分のそれぞれおよびこれらの組合せは、特に、有害な生物の増殖に対して感受性であり、これらは、滅菌状態で患者に投与されることが望ましい。さらに、この溶液は、医師の指示のもと、特定の患者の要件に対してあつらえられる。従って、これらのタンパク質および炭水化物の溶液が、それらの使用時間近くで組み合わされなければならないので、これらの混合は、生物増殖を避けるために、滅菌条件で実行されなければならない。
【0004】
この混合の一部として、静脈内投与されるべき溶液は、完全非経口栄養バッグ(通常、TPNバッグと呼ばれる)に移される。このようなバッグは、家庭での使用、あるいは病院または療養所における使用のために設計される。一旦充填されると、これらは、標準的な冷蔵庫において制限された時間の間、保存され得る。このバッグは、重力または高速バルク混合機として公知のデバイスのいずれかによって、製薬者によってこの溶液を充填される。このような混合機は、代表的に、比較的高い流速で、9個までの異なる供給源バッグまたは容器から、受容製品バッグに溶液を供給し得る。
【0005】
供給源容器は、混合機の枠組みから吊り下げられ得、一方、受容バッグは、受容バッグの重量を測定するロードセルから吊り下げられる。多くのポンプレッグ(例えば、9個以上のこのようなレッグ)または流路からなるポンプセットは、この混合機とともに使用するために設計されている。各ポンプレッグは、可撓性配管を備え、ポンプセットのレッグを供給源容器の1つへ接続するために使用される、突き刺し投与スパイクまたは類似のコネクタを有する一端で終わる。それぞれのレッグの他端は、受容TPN製品バッグに接続される充填配管に接続されるように適合された出口ポートを備える共通マニホルドの入口ポートの1つに接続される。
【0006】
高速混合機が使用される例において、ポンプセットの各レッグは、混合機の異なる蠕動ポンプまたはポンプステーションと結合される。混合機のマイクロプロセッサは、蠕動ポンプまたはポンプステーションのそれぞれを制御して、それによって、各供給源容器から特定のポンプレッグおよびマニホルドを通って受容製品バッグへと供給される溶液の量を制御する。各供給源容器から供給される溶液の量は、受容バッグが吊り下げられるロードセルによって選択された時間において測定された重量についての、マイクロプロセッサに供給される情報によって、一部決定される。蠕動ポンプは、マイクロプロセッサの制御下で連続的に、供給源容器のそれぞれから溶液を引き抜き、この溶液は、共通マニホルドおよび充填配管を通って受容製品バッグへと流れる。
【0007】
代表的な混合機は、いくつかの供給源バッグおよび付属の管を有する。代表的に、6個または9個の異なる供給源溶液について、6個または9個のポンピングステーションが存在する。混合機中のマイクロプロセッサは、6個のポンプステーションを個々に連続的に活性化し、その結果、各供給源バッグからの溶液が共通マニホルドおよび充填配管を介して製品バッグへと移されることによって、一度に一個、製品バッグを各成分で連続的に充填するようにプログラムされる。次いで、製品バッグが必要量の流体を供給された後、製品バッグからの充填配管がシールされる。
【0008】
このような構成の全ての管が共通マニホルド内に流れるものの、一度に1つのみの流体が共通マニホルドを通してポンプ送りされるので、特定の供給源バッグからの流体が、異なる流体を含む別の供給源バッグから、共通マニホルドを通って栄養補給管内に戻るように流れる可能性がある。異なる栄養補給管内に戻るように流れる流体は、製品バッグの一部として秤量されず、混合機マイクロプロセッサは、製品バッグの構成全体の一部としてその流体を認識しない。これに関する問題は、一旦、製品バッグがある重量の特定成分を受容すると、マイクロプロセッサは、それぞれのポンプを止め、次の供給源バッグに向けることである。マイクロプロセッサは、その第2の供給源バッグから製品バッグ内へと流体をポンプ送りし始めるが、そのようにすると、第1の製品バッグからその供給管内に戻って保存された流体が、ここでマニホルドに流れ、最終的に、製品バッグ内に流れる。しかし、この点において、製品バッグ中の重量増加は、混合機マイクロプロセッサによって、第2の流体に起因するとして認識される。この誤りは、過剰な第1流体が製品バッグ中に存在し、第2の流体がバック中に十分に存在しないという状況を導く。
【0009】
製品バッグ中に導入される流体の1つが脂質溶液である場合、関連する問題が生じる。脂質溶液は、基本的に、脂肪エマルジョンであり、代表的に、溶液が患者に投与される直前(またはすぐ前)まで、残りの混合物から分離される、製品バッグ内の別々の区画内に配置される。脂質溶液が、規定の時間より前に他の成分と混合されると、溶液混合物全体を曇らせ、使用不可能にするので、この分離は、必要である。この現象は、「曇り(hazing)」として当該分野で公知である。投与の時間より前での脂質と他の溶液との混合が望ましくないので、残留量の脂質溶液が、脂質溶液がポンプ送りされた後であって次の非脂質溶液がポンプ送りされる前にマニホルドの共通容積内に残り得る、先行技術において問題が存在している。引き続く溶液がポンプ送りされる場合、残留脂質溶液は、製品バッグ内に運ばれ、曇りを生じる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明は、バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドを提供する。この最も単純な形態において、マニホルドは、複数の入口を備え、各入口は、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、そして各経路は、逆止弁を備える。このマニホルドには、流体通路と流体連絡する出口、および出口と同軸の入口ポートが備えられる。同軸入口ポートは、好ましくは、逆止弁を備える。
【0011】
本発明の一部として、バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドセットがまた含まれる。マニホルドセットは、マニホルドおよびカニューレを備える。マニホルドは、複数の入口、出口および入口ポートを備え、各入口は、それぞれの流体経路に対して開口部を規定し、各通路は、逆止弁を備え、この出口は、流体経路と流体連絡し、この入口ポートは、出口と同軸であり、この同軸の入口ポートもまた逆止弁を備える。カニューレは、自己シーリング部材内への挿入のために少なくとも1つの雄型の鈍い先端を有し、好ましくは、この雄型の鈍い先端内に配置された雌型ポートを備える。
【0012】
本発明の好ましい実施形態において、バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドは、複数の入口を有するように提供され、各入口が、それぞれの流体経路に対する開口部を規定し、各経路が逆止弁を備える。複数の入口は、中心入口の周りに放射状(radially)に配置され、出口は、流体経路および中心入口の全てと流体連絡するように提供される。出口および中心入口は、同じ中心軸を有する。
【0013】
本発明の一部として、バルク混合において使用するための管セットがまた含まれる。管セットは、複数のポンプセクションを備え、各々のポンプセクションが遠位端を有する。複数の管がまた含まれ、複数の管の各々が、遠位端および近位端を有し、複数の管の各管の各近位端が、それぞれのポンプセクションの遠位端に接続されている。さらに、複数の管の各管の各遠位端が、マニホルドに接続され、このマニホルドは、複数の入口を備え、各入口は、各流体経路に対する開口部を規定し、各通路は、逆止弁を備える。マニホルドは、流体経路と流体連絡する出口を備える。
【0014】
本発明に従う好ましい管セットは、複数のポンプセクション、第1の複数の管、および第2の複数の管を備え、各ポンプセクションは、遠位端および近位端を有し、第1の複数の管の各々の管が、それぞれのポンプセクションの近位端に接続され、第2の複数の管の各管が、遠位端および近位端を有し、第2の複数の管の各管の各近位端が、それぞれのポンプセクションの遠位端に接続されている。第2の複数の管の各管の遠位端が、マニホルドに接続される。マニホルドは、複数の入口および出口を備え、各入口は、それぞれの流体経路に対する開口部を規定し、各通路は、逆止弁を備え、この出口は、流体経路と流体連絡している。
【0015】
バルク混合システムにおける製品バッグの充填における誤りを最小する方法もまた、本発明に含まれる。この方法は、任意の1つの成分溶液の残留保持を最小にするために、最小共通容積を有するマニホルドを提供する工程、および製品バッグを充填するために、このマニホルドを通して個々の成分溶液を通過させる工程を包含する。誤りは、マニホルド共通容積の最小化工程により、減少する。
【0016】
本発明の一部として、2つの流体チャネルを接続するためのカニューレがまた含まれる。カニューレは、第1の流体源内への挿入のための少なくとも1つの雄型の鈍い先端、および雄型の鈍い先端内に形成され、異なる流体源へのカニューレの接続を可能にする雌型ポートを備え、この異なる流体源は、雄型端部を有する。
【0017】
本発明は、添付の図面とともに読んだ場合に、以下の詳細な説明から最も良く理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、マニホルドの各入口の内部に配置された一方向弁(すなわち、逆止弁)を有するマニホルドを提供する。さらに、このマニホルドは、複数の入口を有し、少なくとも1つの入口は、出口の近くに、そしてこの出口と同軸に、配置される。この同軸に配置された入口/出口の目的は、溶液が同軸の入口に入るために移動しなければならない容積を最小にし、これによって、その特定の溶液によって後に残され得る潜在的な残留物の量を低下させることである。好ましい実施形態において、このラインは、脂質溶液を輸送するために使用される。本発明による、以下でより詳細に記載されるマニホルドの他の局面はまた、共通容積の減少に寄与し、これによって、このマニホルド内での残留物の蓄積に起因する、最終製品のバッグ組成における誤差を低下させる。
【0019】
図1は、本発明の1つの実施形態に従うマニホルド10の部分断面図を示す。この実施形態において、マニホルド10は、本体部分100、複数の弁ハウジング200、および出口管コネクタ300を有する。具体的には、複数の入口220の各々は、それぞれの流体通路221に通じ、この通路内に、逆止弁ディスク210が配置される。本明細書中において使用される場合、用語「逆止弁」および「一方向弁」は、同義語であることが意図される。各逆止弁ディスク210を横切る流体は、本体部分100内のフローチャネル222を通り、そして共通の中心チャンバ215に入る、それぞれの流路に沿って流れる。この共通の中心チャンバ215は、各それぞれのフローチャネル222と流体連絡し、引き続いて、各流体通路221と流体連絡する。共通の中心チャンバ215は、フローチャネル222と中心ポート140(以下でより詳細に議論される)との全てを、マニホルドの出口ポート310、および最終的に、マニホルドの出口管コネクタ300に流体接続する。
【0020】
好ましい実施形態の場合、3つの主要構成要素(本体部分100、複数の弁ハウジング200、および出口管コネクタ300)の各々は、独立して作製され得、そして一緒に統合されて、その個々の構成要素から構成される、単一のデバイスを形成し得る。好ましくは、これらの3つの主要構成要素の各々は、そのそれぞれの嵌合部に、超音波溶接される。これらの構成要素を統合する手段は、以下でより詳細に議論される。このような構築の主要な利点は、製造が容易であることである。
【0021】
このマニホルドは、このマニホルドを通過する薬学的調製物および食用調製物を取り扱うために適切な、多数の適切な材料(ポリカーボネートのようなプラスチックが挙げられる)のいずれかから作製され得る。適切な材料はまた、好ましくは、このデバイスの部品またはこのデバイス全体を形成するために、射出成型され得るような材料であるべきであり、そしてこのような材料は、当業者に公知である。
【0022】
より具体的には、図1は、マニホルドの本体部分のそれぞれの開口部110に接続された、弁ハウジング200を示す。好ましい実施形態において、弁ハウジング200は、マニホルドの本体部分のそれぞれの開口部110に、超音波溶接によって接続される。超音波溶接は、プラスチックをプラスチックに固定するための、当業者に公知の技術である。しかし、さらなる接続手段が使用され得、これらの手段としては、溶媒溶接、接着剤、スナップ取付具、フランジ、または当業者に公知である他の適切な任意の接続が挙げられる。
【0023】
図2は、管セット500の端部に配置された、本発明に従うマニホルド10を示す。この特定の実施形態において、マニホルド10は、9つの入口(各供給管201〜209に対して1つずつ)を有する。この構成において、それぞれの流体を、例えば、マニホルド10とそれぞれの流体源バッグ(図示せず)との間に配置されたポンプから運ぶ供給管201〜209は、弁ハウジング200の頂部開口部220に接続される。好ましくは、供給管201〜209は、それぞれの遠位端を、各それぞれの弁ハウジング200のそのそれぞれの頂部開口部220の上に配置することによって、マニホルド10に接続される。これらの管は、摩擦ばめ、または当業者に公知である他の手段(接着剤の使用が挙げられる)を介して、取り付けられる。図2はまた、上部管211〜219を示し、これらの上部管の各々は、上記のように、それぞれの供給源バッグ(図示せず)から延びる。供給管201〜209の近位端を、上部管211〜219の遠位端に接続する、ポンプセクション231〜239が示される。これらのポンプセクションは、ポンプ(図示せず)がこの管セットに対して作動する位置である。
【0024】
図2はまた、マクロ混合機輸送セットに取り付けられた、配管オーガナイザ291を示す。配管オーガナイザ291は、好ましくは、半可撓性のプラスチック部材であり、この部財は、混合機への容易な挿入のために、配管ポンプセグメント(例えば、6または9)を整列させる。このオーガナイザは、オフセットレールを備え、このレールは、これらのポンプセグメントが左から右へと適切な順序で装填されることを保証するための、キーとして働く。このオーガナイザはまた、完成したパッケージの内部でこのセットが絡まることを防止するための、パッケージ補助具として働く。
【0025】
図1はまた、出口管コネクタ300と同軸の、中心ポート140を示す。好ましくは、図1に示されるように、逆止弁ディスク150(一方向弁)は、中心ポート140の内部に配置される。適切な逆止弁の詳細は、以下でより詳細に議論されるが、一般に、当業者に公知である。中心ポート140が、マニホルドの出口ポート310、および最終的に、マニホルドの出口管コネクタ300の近くにあり、そしてそれと同軸であるという事実は、中心ポート140が、製品バッグに脂質溶液を送達するための手段として使用されることが意図される場合に、重要である。上で議論されたように、このマニホルド内の脂質残留物の存在は、有害である。従って、あらゆるこのような脂質溶液が蓄積し得る、このマニホルド内の共通容積、および脂質流体自体のためのマニホルドの内部の流れ容積の、いずれかまたは両方を最小にすることによって、後に製品バッグの誤った部分に流れ得るあらゆる脂質残留物の量の、付随する減少が達成される。このことは、本発明の脂質ポート、または開口部を、出口ポートとインラインで配置することによって実現される、1つの利点である。このような構成は、脂質溶液がこのマニホルド内で通過する必要がある、可能な最小の容積を達成し、これによって、あらゆる脂質残留物を最小にする。
【0026】
図3aは、弁ハウジング200も出口管コネクタ300もない、マニホルド本体部分100の図を示す。この特定の実施形態において、マニホルドの本体部分100は、上で議論されたように、中心ポート140を有し、この中心ポートは、マニホルドの出口ポート310と同軸であり、そして内部に、逆止弁ディスク150を有する。これらの図に示されるように、マニホルドの本体部分100は、マニホルド頂部240、マニホルド底部250、およびこれらの間に配置されたマニホルドガスケット260からなる。このガスケットを構築するための好ましい材料は、シリコーンである。図3aに示される実施形態において、中心ポート140は、マニホルド頂部240の一部として形成され、そしてマニホルドの出口ポート310は、マニホルド底部250の一部として形成される。
【0027】
上記のように、図3aは、以下でさらに詳細に議論されるように、頂部240から底部250を流体シールし、そして頂部240に形成されたフローチャネル222と一緒に、それぞれの流体経路を形成する、ガスケット260を示す。頂部240および底部250は、当業者に公知である多数の様式(超音波溶接が挙げられる)で取り付けられ得る。超音波溶接を補助する目的で、頂部240から、底部250に形成された雌型部280内に延びる、雄型突出部270が、それぞれの半体に成型され得る。
【0028】
図3bは、図3aに関して上で議論された構成要素の分解図を示す。具体的には、頂部240が、9つの入口ポートを有するように示され、放射状に配置された8つの入口110および中心ポート140を備える。また、8つのフローチャネル222が、頂部240に形成されて示される。逆止弁ディスク150は、底部250に形成された設置点251の頂部に配置される、シリコーンディスクである。上記のように、超音波溶接を補助するために、突出部が、任意の適切な部分に形成され得る。図3bには、底部250に形成された突出部252が示される。図3cは、図3bに示される図と類似であるが、合計で6つのみのポートを有する実施形態を図示する図を示す。
【0029】
図4は、図3bに示されるようなマニホルドの図であるが、マニホルドの開口部110が中心ポート140から半径方向外側に配置された、マニホルドの上側(すなわち、近位側)からの図を示す。上で議論されたように、流体フローチャネル222は、マニホルド頂部240に形成され、これらのフローチャネルは、ガスケット260と一緒になって、各入口流体通路221を共通の中心チャンバ215に接続する、個々のフローチャネルを形成する。このマニホルドは、60秒間で約1リットルの速度で、流体を送達し得るべきである。このマニホルドの内側の残留物または共通の容積は、2ミリリットル未満であることがまた好ましく、この共通の容積が小さいほど、より良好である。
【0030】
図3b、図3cおよび図4に見られ得るように、各流体通路(中心ポート140を除く)は、その独自の半径方向流路およびフローチャネル222(これらの各々は、共通の中心チャンバ215に通じる)を有する、放射状のパターンで構成される。このような構成は、ガスケット260の存在と一緒になって、上で議論された、本発明の重要な部分(すなわち、このマニホルド内のあらゆる共通の容積を最少にすること)をさらに補助する。各マニホルドの開口部110から共通の中心チャンバ215への全ての経路において、これらの個々の流路を提供することによって、(ガスケット260がない場合のように)マニホルド頂部240とマニホルド底部250との間の空間全体ではなく、このマニホルドの共通の中心チャンバ215のみが、全ての供給源バッグからの流体に遭遇する。この最小の容積は、好ましくは、高い流量を生じる、半円の断面を有する流体通路によって、さらに補助される。
【0031】
図5aは、1つの弁ハウジング200の断面図を示す。図1に関して上で議論されたように、弁ハウジング200は、一片(図示せず)として構築され得るか、または複数の片として構成され、次いでモジュールデバイスを形成するように組み立てられ得る。図に示されるように、好ましい弁ハウジング200は、モジュールであり、そして弁の上側半体230および弁の下側半体290からなる。この好ましい実施形態において、弁の上側半体230は、弁の下側半体290に溶媒溶接され、そして逆止弁ディスク210が、これらの半体の間に弁座の頂部(すなわち、設置点501)に配置される。溶媒溶接は、当業者に公知である。好ましい溶媒は、塩化メチレン、または塩化メチレンとテトラヒドロフランとの混合物である。しかし、これらの弁半体を接続する他の手段が、当業者に公知であり、そして接着剤または超音波溶接が挙げられる。さらに、本明細書中に開示されるような一方向弁は、当業者に公知である多数の形態のうちのいずれかを採り得る。好ましくは、これらの弁は、逆止弁ディスクを備え、このディスクは、好ましくは、シリコーンエラストマーから作製され、ポリカーボネートの弁座上に配置される。図5bは、弁ハウジング200の分解図を示す。図5bには、弁の上側半体230、逆止弁ディスク210、および設置点501を備える弁の下側半体290が示される。
【0032】
図6は、例示的な出口管コネクタ300の断面図を単独で示す。図1に関して上に記載されたように、出口管コネクタ300は、好ましくは、マニホルドの出口ポート310に超音波溶接されるが、他の接続手段が、当業者に公知である。図6は、コネクタキャップ400を備える出口管コネクタを示し、このコネクタキャップは、出口管コネクタ300の遠位端410に取り付けられる(この遠位端は、マニホルドの本体部分100から最も遠い端部として定義される)。コネクタキャップ400は、ヒンジ415を介して取り付けられ、このヒンジは、この実施形態において、コネクタキャップ400およびコネクタ保持リング420と一体的に形成され、このコネクタ保持リングは、出口管コネクタ300の遠位端410の周りに延びる。
【0033】
出口管コネクタ300の保持リング420と遠位端410との間には、コネクタセプタム440が配置される。このセプタムは、一般に、自己シーリング膜であり、出口ラインが出口管コネクタ300に接続されない場合、この開口部を閉じるように設計される。製品バッグが充填される準備ができると、この製品バッグへの充填ライン(代表的に、スパイク付きのカニューレ(コネクタ)または鈍いカニューレを有する)が、セプタム440内に突き刺されるかまたは押し込まれて、この充填ラインとマニホルドの出口管コネクタ300との間に、流体連絡を作製する。この型の自己シーリング膜は、当業者に公知である。
【0034】
製品バッグの充填ラインと出口管コネクタ300との間の好ましい接続は、鈍いカニューレのコネクタである。本発明によれば、例示的な鈍いカニューレが、図7に示される。図7は、少なくとも一端に雌型ポート710を有する、鈍い雄型カニューレ700を示す。図7は、製品バッグの充填ライン720の端部に配置された、鈍い雄型カニューレ700を示す。雌型ポート710を有する端部は、上記のような流体の流れを確立するためにセプタムに差し込まれる端部である。雌型ポートを雄型カニューレの内部に配置させることの利点は、これらのTPNバッグが代表的にどのように使用されるかを理解する場合にわかる。
【0035】
しばしば、TPN製品バッグが上記に従って充填された後に、さらなる工程をふむことが望ましくあり得る。これらのさらなる工程は、おそらく、非常に少量の何らかのさらなる成分を添加する工程、またはこの製品組成物から少量のサンプルを抜く工程を包含する。しばしば、このような添加またはサンプリングは、少量の流体(例えば、1cc〜5ccの流体)の添加または引き抜きを必要とする。上記のような、雄型の鈍いカニューレ700の雌型ポートは、標準的な注射器の挿入、および引き続く、この注射器を雌型ポートの壁に対して密封して、シールを形成し、少量の流体の引き抜きまたは添加を可能にすることを、可能にする。さらに、この製品バッグが満たされた後に、雄型の鈍いカニューレは、出口管コネクタ300のセプタムから引き抜かれ得る。次いで、雄型の鈍いカニューレ700の雌型ポート710に、注射器が挿入されて固定され、この注射器が、この製品バッグ内の流体に対して作用することを可能にする。
【0036】
この雄型の鈍いカニューレの別の局面は、このカニューレが、セプタム440を通して挿入され得、そして出口管コネクタ300の内壁に沿って、出口管コネクタ300内に固定され得ることである。図8は、雄型の鈍いカニューレ700と、出口管コネクタ300の内壁810との間の、このような摩擦ばめを示す。このようなはめは、出口管コネクタ300の内径を、その遠位端からマニホルドの出口ポート310に向かってわずかに減少させることによって促進される。このようなわずかに円錐形の内部表面は、摩擦ばめを補助する。この構成のさらなる利点は、この構成が、このマニホルドの共通の容積をさらに減少させることである。なぜなら、カニューレの壁の外側であるが出口管コネクタ300の内側の領域(図8において、空間820として示される)が、流れ容積から除かれるからである。
【0037】
また、このカニューレがこのマニホルドの出口管コネクタ300から引き抜かれる場合に、このカニューレが引き出され、そしてこのカニューレがこの出口管コネクタから完全に出、そしてこのシステム内の圧力が安定するまで、セプタムが、空気がこの容積を満たすことを防止するので、減圧が、一時的に、このマニホルドの内部に生じることもまた、価値がある。この減圧は、供給管のいずれか(または全て)に残っているさらなる流体を、このマニホルド内に引き込み得る。このように流体を引くことは、もちろん、上で議論された理由により、脂質ラインの場合には特に、望ましくない。このように流体を引くことを防止する目的で、逆止弁は、カニューレの引き抜きの際に減圧が生じる場合に発生する負の圧力で、これらの弁が破壊されないように、設計されるべきである。このことは、脂質ラインの逆止弁について、特に重要である。この脂質ラインの逆止弁は、上で議論されたように、好ましい実施形態において、出口ポートに最も近いポート内に存在する。従って、これらの逆止弁のクラッキング圧(この逆止弁が開く、すなわち開放する圧力)が、カニューレの引き抜きの際に生じる減圧圧力の絶対値を超えることが、本発明の特徴である。本発明の1つの実施形態において、少なくとも、脂質ラインに配置される逆止弁(例えば、中心ポート140の逆止弁ディスク150)のクラッキング圧は、カニューレの引き抜きの際に生じる減圧圧力の絶対値を超える。
【0038】
円形のマニホルドが、これまで議論され、そして図示されてきたが、他の形状のマニホルドが使用され得ることは、本発明の一部である。図9は、このような代替の形状のマニホルド(すなわち、出口ポート910と同軸の同軸入口ポート920によって規定される、同軸の入口900(脂質ライン用)を有する線形マニホルド90)の図を示す。上記のように、このような構成は、脂質溶液が蓄積し得る容積を最小にする。本質的に全ての他の部品(例えば、弁ハウジング200および逆止弁ディスク210)は、円形のマニホルド構成に関して上で議論されたものと同じである。この実施形態と、円形のマニホルド構成に関して上で開示された実施形態との間の主要な差異は、この実施形態においてはガスケットが使用されないこと、および単一の共通の流れチャネル922が、全ての入口(同軸の入口900を除く)を、共通の中心チャンバ915に接続することである。
【0039】
図10aは、マニホルド90(あらゆる弁ハウジングおよび出口管コネクタ300を除く)の分解図を示し、マニホルド頂部940は、マニホルド底部950の上方に配置されて示され、そして同軸の入口ポート920の逆止弁ディスク925は、これらの上部と底部との間に配置されて示されている。図10bは、組み立てられた、マニホルド90のこれらの構成要素を示す。もちろん、上記のように、任意の数の入口が提供され得る。図10aおよび図10bは、合計9個の入口(同軸の入口ポート920を含む)を有する、好ましい実施形態を図示する。
【0040】
バルク混合システムにおいて、製品バッグの充填における誤りを最小にする方法が、本発明の一部として含まれる。この方法は、マニホルドに最小の共通容積を提供して、いずれか1つの成分溶液の残留物の保持を最小にする工程、および個々の成分溶液をこのマニホルドに通して、製品バッグを充填する工程を包含する。マニホルドの共通容積を最小にする工程によって、誤りが減少される。
【0041】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書中に図示および記載されたが、本発明は、示される細部に限定されることを意図されない。むしろ、種々の改変が、これらの細部において、特許請求の範囲および均等物の範囲内で、本発明から逸脱することなくなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明に従うデバイスの部分断面図であり、マニホルド本体部分、弁ハウジング、および出口管コネクタを備える。
【図2】図2は、図1のマニホルドを使用する、本発明に従う管セットを示す。
【図3a】図3aは、図1に示される弁ハウジングおよび出口管コネクタを除いた、図1のマニホルドの本体部分の断面図を示す。
【図3b】図3bは、図3aに示された本体部分の分解図を示す。
【図3c】図3Cは、合計6個のみの入口ポートを有する、図3bと同様の分解図を示す。
【図4】図4は、図1に示されるマニホルドの上面図を示す。
【図5a】図5aは、本発明に従う弁ハウジングの断面図を示す。
【図5b】図5bは、図5aに示される弁ハウジングの分解図を示す。
【図6】図6は、本発明に従う出口管コネクタの断面図である。
【図7】図7は、本発明に従って使用される雄型の鈍いカニューレの断面図を示す。
【図8】図8は、本発明に従う出口管コネクタ内に挿入された、図7の雄型の鈍いカニューレを示す。
【図9】図9は、本発明に従う線形マニホルドの実施形態の断面図を示す。
【図10a】図10aは、図9に示される線形マニホルドの分解図である。
【図10b】図10bは、図10aの組み立てられたデバイスの図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドであって、該マニホルドが、以下:
複数の入口であって、各入口が、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、各々の該通路が、逆止弁を備える、複数の入口;
該流体通路と流体連絡している、出口;および
該流体出口と同軸である入口ポートであって、該同軸入口ポートが、逆止弁を備える、入口ポート、
を備える、マニホルド。
【請求項2】
請求項1に記載のマニホルドであって、前記流体通路を前記出口に流体的に接続するための、各々の前記流体通路と流体連絡している中心チャンバをさらに備える、マニホルド。
【請求項3】
請求項1に記載のマニホルドであって、前記出口が、カニューレによって貫通されるように構成された自己シーリング膜を有する出口ポートを備える、マニホルド。
【請求項4】
請求項1に記載のマニホルドであって、前記出口が、カニューレによって貫通されるように構成された自己シーリング膜を有する出口ポートを備え、そして
ここで、該カニューレが該自己シーリング膜から引き抜かれる場合に、前記同軸の入口ポートの逆止弁が、該出口ポート内の減圧圧力よりも高いクラッキング圧を有するように構成されている、マニホルド。
【請求項5】
請求項4に記載のマニホルドであって、前記カニューレが前記自己シーリング膜から引き抜かれる場合に、前記逆止弁の全てが、前記出口ポート内の減圧圧力よりも高いクラッキング圧を有するように構成されている、マニホルド。
【請求項6】
請求項1に記載のマニホルドであって、前記複数の入口が、互いに対して線形に配置されている、マニホルド。
【請求項7】
バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドセットであって、以下:
マニホルドであって、該マニホルドが、以下:
複数の入口であって、各入口が、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、各々の該通路が、逆止弁を備える、複数の入口;
該流体通路と流体連絡している、出口;および
該流体出口と同軸である入口ポートであって、該同軸入口ポートが、逆止弁を備える、入口ポート、
を備える、マニホルド;ならびに
カニューレであって、自己シーリング膜内への挿入のために少なくとも1つの雄型の鈍い先端を有する、カニューレ、
を備える、マニホルドセット。
【請求項8】
請求項7に記載のマニホルドセットであって、前記カニューレが、さらなる雄型先端を受容するための、前記雄型の鈍い先端における雌型ポートを有する、マニホルドセット。
【請求項9】
バルク混合機中の流体管を受容するためのマニホルドであって、該マニホルドが、以下:
複数の入口であって、各入口が、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、各々の該通路が、逆止弁を備え、該複数の入口が、中心入口から放射状に配置されている、複数の入口;ならびに
該流体通路および該中心入口の全てと流体連絡している、出口、
を備え、該出口および該中心入口が、同じ中心軸を有する、マニホルド。
【請求項10】
請求項9に記載のマニホルドであって、前記中心入口が、逆止弁を備える中心経路を規定する、マニホルド。
【請求項11】
バルク混合において使用するための管セットであって、該管セットが、以下:
複数のポンプセクションであって、各々の該ポンプセクションが、遠位端を有する、複数のポンプセクション;
複数の管であって、該複数の管の各々の該管が、遠位端および近位端を有し、該複数の管の各々の管の各該近位端が、それぞれのポンプセクションの該遠位端に接続され、そして該複数の管の各々の管の各該遠位端が、マニホルドに接続され、該マニホルドが、以下:
複数の入口であって、各入口が、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、各々の該通路が、逆止弁を備える、複数の入口;
該流体通路と流体連絡している、出口;および
該流体出口と同軸である入口ポートであって、該同軸入口ポートが、逆止弁を備える、入口ポート、
を備える、複数の管、
を備える、管セット。
【請求項12】
請求項11に記載の管セットであって、前記複数の管が、6個である、管セット。
【請求項13】
請求項11に記載の管セットであって、前記複数の管が、9個である、管セット。
【請求項14】
バルク混合において使用するための管セットであって、該管セットが、以下:
複数のポンプセクションであって、各々の該ポンプセクションが、遠位端および近位端を有する、複数のポンプセクション;
第1の複数の管であって、該第1の複数の管の各々の該管が、それぞれのポンプセクションの該近位端に接続されている、第1の複数の管;
第2の複数の管であって、該第2の複数の管の各々の該管が、遠位端および近位端を有し、該第2の複数の管の各管の各該近位端が、それぞれのポンプセクションの該遠位端に接続され、そして該第2の複数の管の各々の管の各該遠位端が、マニホルドに接続され、該マニホルドが、以下:
複数の入口であって、各入口が、それぞれの流体通路に対する開口部を規定し、各々の該通路が、逆止弁を備える、複数の入口;
該流体通路と流体連絡している、出口;および
該出口と同軸である入口ポートであって、該同軸入口ポートが、逆止弁を備える、入口ポート、
を備える、第2の複数の管、
を備える、管セット。
【請求項15】
請求項14に記載の管セットであって、前記第1の複数の管および第2の複数の管が、ともに6個である、管セット。
【請求項16】
請求項14に記載の管セットであって、前記第1の複数の管および第2の複数の管が、ともに9個である、管セット。
【請求項17】
バルク混合システムにおいて製品バッグの充填における誤りを最小する方法であって、該方法が、以下の工程:
任意の1つの成分溶液の残留保持を最小にするための最小共通容積を有するマニホルドを提供する工程;および
製品バッグを充填するために、該マニホルドを通して個々の成分溶液を通す工程、
を包含し、これによって、誤りが、該マニホルド共通容積の最小化工程により、減少する、方法。
【請求項18】
2つの流体チャネルを接続するためのカニューレであって、該カニューレが、以下:
第1の流体源内に挿入するための、少なくとも1つの雄型の鈍い先端;および
該雄型の鈍い先端内に形成される雌型ポートであって、該カニューレの異なる流体源への接続を可能にし、該異なる流体源が、雄型端部を有する、雌型ポート、
を備える、カニューレ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公表番号】特表2007−515207(P2007−515207A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541147(P2006−541147)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/032668
【国際公開番号】WO2005/061328
【国際公開日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(506180992)ビー. ブラウン メディカル インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】