説明

バルブ本体、当該本体を有するバルブ、組成物の原料成分の攪拌装置、当該組成物の原料成分の攪拌装置の使用

本発明のバルブ本体は、シャッター(20)により閉じられるように設計された弁座(18)と、第一の軸(X−X’)に沿って伸び、上記弁座(18)を通る、メインダクト(24)と、ジャンクション(28)にて、上記メインダクト(24)中に開口しており、上記第一の軸(X−X’)とは平行でない第二の軸(Y−Y’)に沿って伸びている、第二のダクト(26)と、を備え、上記第二のダクト(26)が、上記第二のダクト(26)と上記メインダクト(24)との間の上記ジャンクション(28)に、絞り(31)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッターによって閉じられるように設計された弁座と、第一の軸に沿って伸び、上記弁座を通っているメインダクトと、ジャンクションにて上記メインダクト中に開口しており、第一の軸とは平行でない第二の軸に沿って伸びている第二のダクトを備えるバルブ本体に関する。
【0002】
本発明は、また、当該バルブ本体を有するバルブ、当該バルブを備える組成物の原料成分の攪拌装置、そのような攪拌装置の、化粧品、医薬品又は農業食品材料製品を生産するための使用に関する。
【背景技術】
【0003】
従来知られているように、化粧品、医薬品、農業食品材料、化学薬品等の製品のような組成物を製造する際、或る段階において成分原料を攪拌する必要があり、通常、液体及び/又は固体の流体を、攪拌容器中の他の液体及び/又は固体の攪拌相に導入する。
【0004】
固体物質を液体に導入するときに、これらの物質を顆粒又は粒体の形状で真空ポンプを用いて導入することが頻繁にある。このため、後に顆粒(又は粉体)を含む容器が接続された攪拌容器の開閉を制御するためのバルブが用いられ得る。
【0005】
通常、顆粒(又は粉体)が容器内でそれらから染み出た液体である流体が無い状態でバルブを通過するように、容器内は真空の状態に保たれて、固体物質は容器に導入される。固体物質を導入できるようにする容器の開閉は、バルブを用いて行なわれる。このバルブはシャッターによって開閉のいずれかをできるように設計された弁座を有するバルブ本体を有しており、一般に、空気圧の手段を用いて作動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のバルブでは、バルブを多数開閉することでバルブ本体中に顆粒又は粉体が積層してしまい、この積層したものがバルブを故障させる傾向にある。そして、バルブ本体が完全に閉じることを妨げ、及び/又は、正しく密封することを妨げる。それゆえ、バルブ本体の弁座は完全に閉じず、及び/又は密閉せず、攪拌容器中に含まれる液体がバルブ本体に流れ込み(容器中の真空による吸引効果によって)、最終製品中に、望まない塊が形成されることとなる。このことは、製造した組成物のロスにつながり、工業生産に悲惨な結果を招き、同時に、多大なプラントのメンテナンスが必要となる。
【0007】
具体的には、バルブ本体中、特に、シャッター上のシール上への物質の積層を防ぐために、シールの交換を行なうことが知られており、これを一日に2回又は3回行ない、バルブ本体をクリーンにすることが従来行なわれている。このシールの交換のため、製造をシステム的に中断することが必要になり、しかも、機械的なリスク及び製造している物の品質が低下するリスクを招く。
【0008】
このような問題は、特に容器の下での真空環境下で流体を導入するこの原理を用いている全ての化粧品、医薬品、農業食品材料製品等に共通している。
【0009】
本発明の目的は、特に容器の下での真空環境下で流体を導入する原理を採用するにあたって、吸引の効率を向上させ、シャッターによって閉じられるバルブ本体の密封の信頼性を向上させるという、あらゆる利点を有するバルブを提供することにある。ひいては、生産が閉塞するリスクを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この本発明の目的は、バルブ本体の第二のダクトが、第二のダクト及びメインダクトの間のジャンクションに絞りを有するということによって達成され得る。
【0011】
本発明に係るバルブ本体の様々な実施形態において、以下の事項が実施され得る。
・上記絞りは第二のダクトを部分的に閉じるそらせ板によって、絞りの境界が定められる。
・第二のダクトが、上記そらせ板の上流に穴部を有しており、上記そらせ板が上記穴部の20%から40%を閉じるものである。
・上記シャッターが、自バルブ本体中で、上記弁座が開く位置である静止位置、及び、上記弁座が閉じる閉じ位置間を動くようになっており、上記そらせ板は、上記シャッターが上記静止位置にあるときに、上記第二のダクト中の上記シャッターの近くに、配置されている。
・上記メインダクトが、内面を有するパイプにより区切られており、上記そらせ板が、上記内面の連続する部分中に位置する。
・上記そらせ板が、上記第一の軸に対応した放射状の面の端に沿った終端を有している。
・上記そらせ板が、上記第一の軸に対して傾いている。
・上記そらせ板が、上記第一の軸に対して、20度未満の傾斜角を形成している。
・上記そらせ板が、上記メインダクト及び上記第二のダクトのうち少なくとも一つを区切る主本体に取り付けられている部材である。
・上記そらせ板が上記主本体に溶接によって固定されている。
・上記第一の軸及び上記第二の軸の角度が20度〜70度である。
【0012】
本発明は、また、以上に述べたバルブ本体と、上記バルブ本体の弁座を選択的に、閉じる、又は開けるように設けられた、可動式のシャッターと、シャッターを動かすように設けられた作動機構と、を備えるバルブにも関する。
【0013】
本発明は、また、上記のバルブと、混合容器と、真空ポンプと、を備え、上記混合容器は、上記真空ポンプ及び上記バルブと接続されている、組成物の原料成分の攪拌装置にも関する。本発明に係る組成物の原料成分の攪拌装置では、上記バルブが、上記バルブの上に位置している上記混合容器と接続されており、上記メインダクトと上記第二のダクトとの間の上記ジャンクションは上記バルブ本体の上記弁座の下に位置し、上記第二のダクトは上記ジャンクションから下方に伸びていることがより好ましい。
【0014】
本発明は、また、上記の攪拌装置の、化粧品、医薬品又は農業食品材料の製品を生産するための使用にも関する。上記製品は、ゲル、クリーム、発泡体、ペースト又はローションの形状の商品であってもよい。
【0015】
本発明は、下記の、限定されない例により表されるいくつかの実施形態についての詳細な説明を読むことにより、明りょうに理解され、その利点がより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の攪拌装置の部分断面図である。
【図2】本発明のバルブ本体の縦断面図である。
【図3】本発明のバルブ本体の側面図である。
【図4】本発明のバルブ本体の部分断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は攪拌装置10を示している。攪拌装置10は、攪拌容器14に接続されたバルブ12を備えている。攪拌容器14は図中に模式的に示した真空ポンプPに接続されている。本実施形態では、バルブ12は攪拌容器14の下に位置している。逆も可能である。バルブ12はバルブ本体16及び作動機構22を備えている。バルブ本体16は、攪拌容器14とは逆側であるバルブ本体16の下に位置する作動機構22によって作動可能なシャッター20によって閉じることができる弁座18を備えている。
【0018】
バルブ本体16は、第一の軸X−X’に沿って伸び、弁座18を通るメインダクト24と、ジャンクション28においてメインダクト24中に開口している第二のダクト26とを備えている。これについては後で詳しく述べる。第二のダクト26は、第一の軸X−X’とは平行でなく、好ましくは作動機構22の方向(混合容器14とは逆の方向)の第二の軸Y−Y’に沿って伸びている。この実施形態では、混合容器14はバルブの上に位置しており、第二のダクト26は図1のジャンクション28から下方向に伸びている。
【0019】
第二のダクト26の第二の軸Y−Y’は、メインダクト24の第一の軸X−X’と角度αを形成している。角度αは好ましくは20度〜90度であり、より好ましくは20度〜70度であり、本実施形態では、有利な角度である約55度である。
【0020】
シャッター20は、公知の、半球型で、バルブを閉じる部材である。シャッター20は、メインダクト24の中をメインの軸X−X’に沿ってスライドするように、バルブ本体16の中に配置されており、バルブ本体16の弁座18を選択的に開閉する。弁座18は本実施形態では垂直に連続した弁座である。シャッター20を作動させるように設けられている作動機構22は、公知の空気圧又は電気式のタイプのものである。
【0021】
図1では、バルブ本体16の弁座18を閉じる位置にある、バルブのシャッター20を実線で示し、この位置にあるとき、バルブ12と混合容器14との間に流体の流れはない。これに対して、図1の点線は、バルブ本体16の弁座18を開いている位置に対応する静止位置にあるシャッター20を示しており、この位置にあるとき、バルブ本体16から、真空状態となった混合容器14に流体が流れ込むことができる。閉じる位置(又はシャッター20の上がった位置)は混合容器14に近く、静止位置(又はシャッター20が下側にあるときの位置)は混合容器14から遠い。
【0022】
シール手段(本実施形態のシール19)は、シャッター20上に配置されており、シャッター20がバルブ12を閉じたときにおけるバルブ本体16の弁座18の密封を保つ。
【0023】
図2により詳しく、ジャンクション28にてメインダクト24中に開口している第二のダクト26が、バルブ本体16の弁座18の下に位置していることが示されている。この第二のダクト26は、好ましくはジャンクション28から作動機構22の方向に、或る角度で伸びており、図示しない貯蔵器に接続されている。この貯蔵器には、真空ポンプPによって生み出される真空の効果によって、混合容器14中に吸い込まれることとなる、特に顆粒又は粉体の形状の物質が入っている。ジャンクション28は、第二のダクト26とメインダクト24との間の交差する部分に対応しており、第二のダクト26はメインダクト24中に開口している。本実施形態では、バルブ12の上に混合容器14が位置しており、第二のダクト26は図1の下方に伸びている。ジャンクション28では、第二のダクト26は、そらせ板30により境界が定められる絞り31を有しており、第二のダクト26を部分的に閉じている。このそらせ板30は第二のダクト26の低い位置にある。つまり、バルブ12と混合容器14との間の接続位置とは反対側にある。そして、そらせ板30は、吸引によって流体が混合容器14へ向かう途中であって、第二のダクト26からメインダクト24に流れ込むときに第二のダクト26を閉じ、乱気流を生じさせる。
【0024】
そらせ板30の上流、つまり、貯蔵器に近い側では、第二のダクト26は穴部Sを有している。穴部Sは、ジャンクション28の近くでそらせ板30によって部分的に閉じられる。本実施形態では、そらせ板30は穴部Sを20%〜40%閉じ、より具体的には30%閉じている。
【0025】
そらせ板30の大きさについては、シャッター20がバルブを開ける位置にあるときに、そのシャッター20を隠すような大きさを適宜選択することができる。この場合、そらせ板30によって、第二のダクト26内に乱気流を生じさせる他に、シャッター20の上流で流体が積層するのを防ぐことができる。それ故、シール手段(本実施形態のシール19)は、はるかに長持ちし、この装置を用いて連続生産される製品の再現性を顕著に向上することができる。特に、流体がバルブ本体内に不適切に残らないので、シール19はバルブ19を長期間密閉に保つことが理解できるであろう。
【0026】
メインダクト24は、内面S32を有し、実質的に軸としてX−X’を有する円筒型のパイプ32によって境界が定められている。見方によれば、シャッター20はパイプ32の中をスライドするようになっている。シャッター20の寸法は、その半球型の外装の表面がパイプ32より少し小さくなるように選択することができる。
【0027】
しかしながら、バルブ本体の清潔性を向上するために、シャッター20の半球型の外装の断面(軸X−X’に垂直の断面)は、パイプ32の断面に対して、より小さくなるように選択してもよい。例えば、シャッター20の外装の表面及びパイプ32の隙間(軸X−X’に垂直方向の隙間)は、数ミリメートルオーダーとしてもよく、例えば、4mm〜15mmのオーダーであり、10mmのオーダーであることが好ましい。
【0028】
さらに、そのようなシャッター20とパイプ32との隙間があれば、それでもやはりバルブ本体の上流に積層する顆粒又は粉体の粒を、混合容器14の終端の方に向けて吸引させることができる。
【0029】
図3に示すように、そらせ板30は、ジャンクション28の内側に向けて伸び、内面S32の連続する部分中に位置する。図1に戻るが、そらせ板30は、第二のダクト26中において、シャッター20が静止位置(点線の位置)にあるときのシャッター20の近くに配置されている。実際、そらせ板30は、第二のダクト26中の、混合容器14とは反対の側であり、作動機構22と同じ側に位置している。
【0030】
図3及び図4に示すように、そらせ板30は自由端30’を有している。自由端30’は、第一の軸X−X’に対して放射状の面Rに沿っている。上述した配置の通り、自由端30’は混合容器10の方向であって、作動機構22からは離れる方向に向いている。
【0031】
そらせ板30は好ましくは半円筒型であり、第一の軸X−X’とは平行に又は第一の軸X−X’に対して第二のダクト26の内側の方向への角度をもっている。傾いている場合、そらせ板30は第一の軸X−X’と傾き角度βを形成しており、角度βは好ましくは20度未満である。
【0032】
図2において、そらせ板30は第一の軸X−X’と平行方向に伸びており、傾き角度βは0度である。図4において、そらせ板30は、第一の軸X−X’に対して傾いており、傾き角度βは、好ましくは15度のオーダーである。
【0033】
そらせ板30はメインダクト24及び第二のダクト26のうち少なくとも一方の境界を定める主本体に取り付けられ、固定された部材であってもよい。好ましくは、上記主本体に溶接によって取り付けられていることが好ましい。本発明の一実施形態であるバルブ本体16は上記主本体とそらせ板30を備えている。
【0034】
本発明の一実施形態であるバルブ12は、液体物質と攪拌された固体物質から生産される組成物の、材料原料を攪拌するための装置に良く適している。例えば、バルブ12を介して混合容器14に吸引される粉末は、ゲル試薬、有効成分、保存剤及びこれらの混合物であってもよく、混合容器に含まれる液体は、水相、油相、ゲルを作るための物、クリーム、発泡体、ペースト又はローションであってもよい。
【0035】
本発明の攪拌装置10の使用によれば、具体的には、固体製品の混合物から得られ、特に、例えば、液体中の顆粒又は粉体の形状である化粧品製品を特に生産することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャッター(20)により閉じられるように設計された弁座(18)と、
第一の軸(X−X’)に沿って伸び、上記弁座(18)を通る、メインダクト(24)と、
ジャンクション(28)にて、上記メインダクト(24)中に開口しており、上記第一の軸(X−X’)とは平行でない第二の軸(Y−Y’)に沿って伸びている、第二のダクト(26)と、を備え、
上記第二のダクト(26)が、上記第二のダクト(26)と上記メインダクト(24)との間の上記ジャンクション(28)に、絞り(31)を備えており、上記絞り(31)は上記第二のダクト(26)を部分的に閉じる、そらせ板(30)により絞る境界が定められており、
上記シャッター(20)が、自バルブ本体中で、上記弁座(18)が開く位置である静止位置、及び、上記弁座(18)が閉じる閉じ位置の間を動くようになっており、上記そらせ板(30)は、上記シャッター(20)が上記静止位置にあるときに上記シャッター(20)を隠すように、上記第二のダクト(26)中の上記シャッター(20)の近くに、配置されていることを特徴とするバルブ本体。
【請求項2】
上記第二のダクト(26)が、上記そらせ板(30)の上流に穴部(S)を有しており、上記そらせ板(30)が上記穴部(S)の20%から40%を閉じるものである、請求項1に記載のバルブ本体。
【請求項3】
上記メインダクト(24)が、内面(S32)を有するパイプ(32)により境界が定められており、上記そらせ板(30)が、上記内面(S32)の連続する部分中に位置する、請求項1又は2に記載のバルブ本体。
【請求項4】
上記そらせ板(30)が、上記メインダクト(24)及び上記第二のダクト(26)のうち少なくとも一つの境界を定める主本体に取り付けられている部材である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバルブ本体。
【請求項5】
上記そらせ板(30)が上記主本体に溶接によって固定されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバルブ本体。
【請求項6】
上記第一の軸(X−X’)及び上記第二の軸(Y−Y’)の角度(α)が20度〜70度である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバルブ本体。
【請求項7】
上記シャッター(20)及び上記パイプ32の間の隙間が4mm〜15mmである請求項1〜6のいずれか1項に記載のバルブ本体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のバルブ本体(16)と、
上記バルブ本体(16)の弁座(18)を選択的に、閉じる、又は開けるように設けられた、可動式のシャッター(20)と、
シャッター(20)を動かすように設けられた作動機構(22)と、を備えるバルブ。
【請求項9】
請求項8に記載のバルブ(12)と、
混合容器(14)と、
真空ポンプ(P)と、を備え、
上記混合容器(14)は、上記真空ポンプ(P)及び上記バルブ(12)と接続されている、組成物の原料成分の攪拌装置。
【請求項10】
上記バルブ(12)が、上記バルブ(12)の上に位置している上記混合容器(14)と接続されており、
上記メインダクト(24)と上記第二のダクト(26)との間の上記ジャンクション(28)は上記バルブ本体の上記弁座(18)の下に位置し、
上記第二のダクト(26)は上記ジャンクション(28)から下方に伸びている、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の攪拌装置の、化粧品、医薬品又は農業食品材料の製品を生産するための使用。
【請求項12】
請求項9又は10に記載の攪拌装置の、ゲル、クリーム、発泡体、ペースト又はローションの形状の商品を生産するための使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−518292(P2011−518292A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504513(P2011−504513)
【出願日】平成21年4月15日(2009.4.15)
【国際出願番号】PCT/FR2009/050697
【国際公開番号】WO2009/138622
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(591242324)
【氏名又は名称原語表記】PARFUMS CHRISTIAN DIOR
【Fターム(参考)】