説明

バルブ開閉装置及びバルブ開閉方法

【課題】既存のハンドルが装着された状態で自動化を実現するバルブ開閉技術を提供する。
【解決手段】バルブ開閉装置30は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ51の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設の各種配管のバルブを自動で開閉するバルブ開閉技術に関する。
【背景技術】
【0002】
バルブ等を開閉する場合、手動操作ハンドルを人間の手で数百回以上回転させる必要があり、時間が掛かる。
従来のバルブ開閉装置として、歯車減速機構を介してハンドルをバルブ軸に連結し、小さな操作トルクでハンドルを操作してバルブ軸を回転させる技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−164115号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、既存のハンドルをバルブ軸から取り外した後に、歯車減速機構付のハンドルをバルブ軸に装着する作業が発生するため、準備に時間を要した。
一方、放射線環境下でバルブ開閉作業を行う場合、被曝量を低減するために、作業員の拘束時間を低減することが求められている。
【0005】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、既存のハンドルが装着された状態で自動化を実現するバルブ開閉技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態によるバルブ開閉装置は、バルブハンドルの回転方向への動きが規制されているベース部と、前記ベース部に支持されるとともにモータの回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部と、前記バルブハンドルに係合し前記トルクによりこのバルブハンドルを前記回転方向に回転させるハンドル係合部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の各実施形態により、既存のハンドルが装着された状態で自動化を実現するバルブ開閉技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(A)第1実施形態に係るバルブ開閉装置が適用されるバルブのハンドルの上面図、(B)同バルブの側面図、(C)同バルブの断面図。
【図2】(A)第1実施形態に係るバルブ開閉装置の側方部分断面図、(B)バルブ本体に固定される固定部材の平面図。
【図3】(A)第1実施形態に係るバルブ開閉装置の上面図、(B)その底面図。
【図4】(A)(B)バルブ本体に固定される固定部材の動作説明図、(C)固定部材の変形例。
【図5】(A)第2実施形態に係るバルブ開閉装置が適用されるバルブの側面図、(B)第2実施形態に係るバルブ開閉装置の側方部分断面図。
【図6】第2実施形態に係るバルブ開閉装置の分解図。
【図7】(A)第2実施形態に係るバルブ開閉装置の変形例を示す側方部分断面図、(B)配管に固定される固定部材の側面図。
【図8】(A)第3実施形態に係るバルブ開閉装置の平面図、(B)その縦断面図。
【図9】第4実施形態に係るバルブ開閉装置の側面図。
【図10】(A)第5実施形態に係るバルブ開閉装置の上面図、(B)その側面図。
【図11】第6実施形態に係るバルブ開閉装置の斜視図。
【図12】(A)第6実施形態に係るバルブ開閉装置の平面図、(B)その側面図。
【図13】第6実施形態における固定部材の正面図。
【図14】(A)〜(D)第6実施形態における固定部材のバルブへの取り付け手順を示す説明図。
【図15】(A)〜(C)第6実施形態に係るバルブ開閉装置の動作説明図。
【図16】(A)第6実施形態に適用されるストッパ(リミッタ)の取付図、(B)第6実施形態に適用される検出センサ(リミッタ)の取付図。
【図17】(A)検出センサ(リミッタ)とモータコントローラとの接続図、(B)その配線図。
【図18】(A)(B)第1実施形態に適用される検出センサ(リミッタ)の取付図。
【図19】第7実施形態に係るバルブ開閉装置の斜視図。
【図20】(A)第8実施形態に係るバルブ開閉装置の側面図、(B)そのハンドル係合部の拡大図。
【図21】(A)〜(D)第8実施形態に係るバルブ開閉装置のバルブへの取り付け手順を示す説明図。
【図22】(A)第1実施形態に係るバルブ開閉装置に適用される固定部材の他の実施例を示す側面図、(B)その平面図。
【図23】(A)他の実施例に係る固定部材のロッドの斜視図、(B)そのロック部材の斜視図。
【図24】(A)第1実施形態に係るバルブ開閉装置に適用されるハンドル係合部の他の実施例を示す上面図、(B)その側面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1(B)(C)に示すように、第1実施形態に係るバルブ開閉装置に適用されるバルブ10は、配管(図示略)に連通する弁箱15と、弁箱15の上部開口を塞ぐとともにバルブ軸13が貫通する弁蓋14と、バルブ軸13の側面に螺合してこのバルブ軸13を支持するヨーク部12と、バルブ軸13の一端に設けられる弁体16と、バルブ軸13の他端に設けられるハンドル20と、を備える。
【0010】
図1(A)に示すように、ハンドル20は、バルブ軸13に連結するハブ部23と、このハブ部23及び外輪21を連結するスポーク22と、から構成される。
このように構成されるバルブ10は、ハンドル20を回転操作することにより弁体16を上下させ、配管を開閉させる。
【0011】
図2(A)及び図3に示すように、第1実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ51a(51)の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。
【0012】
トルク発生部50は、ベース部40に支持されており、モータ51の回転をウォームギア52で減速させたトルクを出力軸53に発生する。
ウォームギア52は、図3(A)に示すように、ねじ歯車52aとそれに合うはす歯歯車52bを組み合わせた機構となっている。このウォームギア52を減速器として用いることにより、一段で大きな減速比を得ることができる。
【0013】
ハンドル係合部60は、トルク発生部50の出力軸53に連結するターンテーブル61と、ハンドル20のスポーク22に係合する係合ピン62と、ハンドル20の外輪21を保持して軸方向への脱離を防止する保持部材63a(63)と、から構成される。
これにより、ハンドル係合部60は、トルク発生部50で発生したトルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させる。
ここで、保持部材63aは、ヒンジで固く連結される二つの部材から構成され、作業員の手作業で開状態及び閉状態が操作される。
【0014】
延設部材41a(41)は、バルブ10のヨーク部12に固定される固定部材70aと連係して、ベース部40が、ハンドル20の回転方向へ動くことを規制している。換言すると、ベース部40が回転しようとすると、延設部材41aと固定部材70aが干渉するような配置関係とされている。
なお、固定部材70aの固定位置は、特に限定されるものでなく、バルブ本体(弁蓋14、弁箱15等)、配管又は周囲の構造物(例えば手摺)のうちいずれでもよい。
【0015】
図2(B)に示すように固定部材70aは、ベース部40の延設部材41aが係入する切欠部71と、バルブ10の一部(例えばヨーク部12)を拘束する拘束部72とを有している。
【0016】
図4(A)(B)に基づいて、ヨーク部12に固定される固定部材70aの動作を説明する。
プレート73には、一対のレール75(75a,75b)が平行に設けられており、これにより動きが一方向に規制された一対の拘束部72(72a,72b)が設けられている。
【0017】
これら拘束部72(72a,72b)は、対向する部分においてラチェット機構76で連結されており、相互が近接する方向にのみ動きが制限されている。
作業員は、片手でプレート73を持って、固定部材70aを、バルブ10の一部(例えばヨーク部12)に側方から添え当て、反対の手で拘束部72(72a,72b)を互いに近接させる方向に移動する。
これにより、固定部材70aを、簡単にバルブ10の一部に固定することができる。
【0018】
図4(C)は、他の実施形態を示す固定部材70b(70)である。
この固定部材70bにおいて、拘束部72cは、一端が回動軸に固定されたレバー状に構成されている。そして、この拘束部72cが図4(C)の実線で示すように閉じた状態において、その他端が、締結部材(図示略)により他の部分に締結される。これにより、固定部材70bは、バルブ10の一部に安定して固定される。
【0019】
(第2実施形態)
図5(A)に示すように、第2実施形態に係るバルブ開閉装置が適用されるバルブ10は、バルブ軸13が配管17に対して平行に配置されている。
【0020】
図5(B)に示すように、第2実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ51aの回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。
【0021】
トルク発生部50は、ベース部40に支持されており、モータ51の回転を同軸減速器52cで減速させたトルクを出力軸53に発生する。
同軸減速器52cは、図5(B)において遊星歯車機構が例示されているが、これに限定されることなく公知のものを適宜採用することができる。このような同軸減速器52cを用いることにより、軸周り部分の省スペース化が図れる。
【0022】
ハンドル係合部60は、トルク発生部50の出力軸53に連結するターンテーブル61と、ハンドル20のスポーク22に係合する係合ピン62と、ハンドル20の外輪21を保持して軸方向への脱離を防止する保持部材63b(63)と、から構成される。
これにより、ハンドル係合部60は、トルク発生部50で発生したトルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させる。
【0023】
ここで、保持部材63bは、図6に示すように、ハンドル20の外輪21に架かるフック部64と、保持部材63bの長さを調整する調整部65と、この調整部65を軸支し出力軸53の長手方向に遊動する軸支部66と、カム形状を有し軸支部66との当接状態を切り替えることにより外輪21及びフック部64の保持状態を緊張させたり緩和させたりするロック部材67と、を有している。
【0024】
図6に示すように第2実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ハンドル係合部60に挿入部68が設けられ、トルク発生部50と相互に着脱自在に構成されている。
また、トルク発生部50において、同軸減速器52cの入力軸54を設け、モータ51b(51)をこの同軸減速器52cに対して着脱自在に接続することができる。
このようなモータ51bとして、例えば電動ドリルドライバやエアドリルドライバ等の工具を採用することができる。
【0025】
このように、各要素部品を着脱自在に構成したバルブ開閉装置30は、次のようにして組み立てられる。
まず、ハンドル係合部60の係合ピン62を、ハンドル20のスポーク22の隙間に挿入する。保持部材63bのフック部64をハンドル20の外輪21に架けて、調整部65において長さ調整をする。そして、ロック部材67を切り替えて保持部材63bを緊張状態にして、ハンドル係合部60が動かないようハンドル20に固定する。
【0026】
次に、トルク発生部50の出力軸53を、ハンドル係合部60の挿入部68に挿入し、ベース部40と配管17を延設部材41bで連結する。なお、この延設部材41bは、配管17までの任意の距離に対応するために、伸縮可能に構成されている。また、固定部材70c(70)は、配管17に巻回して固定される、例えばゼンマイ状のバネで構成することができる。
【0027】
そして、作業員の手動操作によりモータ51bを、トルク発生部50の入力軸54に接続し動作させると、延設部材41bは、配管17に固定される固定部材70cと連係して、ベース部40が、つれまわりすることを防止する。
そして、トルク発生部50の出力軸53からトルクがハンドル係合部60に伝達され、ハンドル20を回転させバルブの開閉が実行される。
【0028】
なお、図7(A)に示すように、モータ51bは、フレキシブルシャフト55を介して減速器52に接続することができる。
これにより、バルブ10(図5(A))の周囲にスペースが無い場合でもバルブ開閉装置30の設置が容易となる。またバルブ10が高所で足場が悪かったり、環境が悪く接近が困難であったりする場合でも、作業性が改善される。また、モータ51bの設置場所の任意性が向上し、適当な構造物に固定させておくことができる。このために、作業員がモータ51bを、常時保持する必要がなくなり、バルブの開閉動作中に作業員は現場から退避することができる。また、充電式のモータ51bのバッテリ交換も容易となる。
【0029】
図7(B)に固定部材70の他の実施例を示す。
配管17に固定される固定部材70d(70)は、台座42に軸支される一対のロッド43と、この一対のロッド43が配管17を狭持する方向に弾性力を付与するバネ材45と、配管17を狭持するロッド43が開かないようにロックするロック部材44と、から構成されている。
このように、固定部材70dが構成されることにより、配管17への取り付けが容易で、さらにベース部40のつれまわりが確実に防止される。
【0030】
(第3実施形態)
図8に示すように第3実施形態に係るバルブ開閉装置は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ51の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。
【0031】
トルク発生部50は、ベース部40に支持されており、モータ51の回転を、ラックアンドピニオン機構による減速器52で減速させたトルクを、ハンドル係合部60に付与する。また、ラックアンドピニオン機構による減速器52は、モータ51に直結するピニオン52eと、ターンテーブル61cの外周に設けられているラック52dとから構成される。
そして、ベース部40に設けられる係止片46が、ターンテーブル61cの外周に添って設けられる環状造形部56に係合している。このため、モータ51が駆動すると、ベース部40は、ターンテーブル61cの外周を支持しつつ、相対的に周回することとなる。
【0032】
ハンドル係合部60は、ターンテーブル61cと、ハンドル20のスポーク22に係合する係合部材62cと、ハンドル20の外輪21を保持して軸方向への脱離を防止する保持部材63c(63)と、から構成される。
これにより、ハンドル係合部60は、トルク発生部50で発生したトルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させる。
【0033】
ここで、保持部材63cは、係合部材62cのU字形状の内側対向側面に設けられ、ハンドル20への着脱時に、外輪21に弾性的に接触する。
延設部材41c(41)は、周辺の構造物(図示略)に固定される固定部材(図示略)と連係して、ベース部40が、ハンドル20の回転方向へ動くことを規制している。
【0034】
(第4実施形態)
図9に示すように第4実施形態に係るバルブ開閉装置は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ(図示略)の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。
【0035】
トルク発生部50は、ベース部40に支持されており、モータ(図示略)の回転を、タイミングベルト機構による減速器52で減速させたトルクを、ハンドル係合部60に付与する。なおハンドル係合部60の構成は、図8に記載されているものと共通点が多いので重複説明を省略する。
【0036】
ベース部40は、モータ(図示略)の回転力によりタイミングベルト48を走行させる回転プーリ52fと、走行するタイミングベルト48のベルト面をハンドル係合部60の外周面に添接させる従動プーリ47と、から構成されている。
これにより、ハンドル係合部60は、トルク発生部50で発生したトルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させる。
本実施形態の構成によれば、ベース部40の設置位置がハンドル20に対して偏心してしまい、回転時にベース部40の位置が変位してしまう場合でも、タイミングベルト48の柔軟性によって変位を吸収してトルクを伝達することができる。
【0037】
(第5実施形態)
図10に示すように第5実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ(図示略)の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。なお、以下において、すでに説明した構成要素は、図面上共通の符号を付して重複説明を省略する。
【0038】
延設部材41dは、ベース部40の両側端から、配管17に略直交する方向にU字状に延びている。そして、延設部材41eは、同様のU字形状を有し、図10(A)に示すように、延設部材41dに対し回動自在に軸支されている。
ハンドル係合部60をハンドル20に係合させた状態で、この延設部材41d及び延設部材41eを回動させる。すると、それぞれの延設部材41の先端部分において、バルブ10の前後の配管17の部分を狭持する。この状態でロック部材49により、延設部材41d及び延設部材41eの回動を固定することにより、ベース部40が安定的に固定されることになる。
【0039】
以上説明した実施形態において、モータ51の制御回路(図示略)に、その回転数やトルクを検知するセンサを設け、バルブの開閉状態を検出して、このモータを自動停止させることができる。さらに、この制御回路を有線ないし無線で遠隔操作可能な構成とすれば、バルブ開閉装置設置後は作業員が近接することなく開閉が可能となる。
【0040】
(第6実施形態)
図11及び図12(A)(B)に示すように第6実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ハンドル20回転方向へのハンドル20との相対的な動きが規制されているベース部40と、このベース部40に支持されるとともにモータ51の回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部50と、ハンドル20に係合し前記トルクによりこのハンドル20を回転方向に回転させるハンドル係合部60と、を備える。
【0041】
第6実施形態に係るバルブ開閉装置30に適用されるバルブ10は、ハンドル20(バルブ軸13)を90度回転することにより、配管17の開閉を行なうものである。例えば、ボールバルブや、バタフライバルブといったものが挙げられる。
【0042】
トルク発生部50に設けられる減速器は、ベース部40に回転自在に支持されるとともにハンドル係合部60が設けられる第1回転体57と、モータ51のトルクを第1回転体57に伝達する第2回転体58と、から構成される。
【0043】
図13に示すように、固定部材70は、バルブ10(又は配管17)に固定され、ベース部40を着脱自在に支持するものである。
この固定部材70は、ベース部40の延設部材41f(41)が係入する係入穴77dを有するとともにバルブ10(又は配管17)に外接する枠体77aと、この枠体77aの部分に基端が軸支されるとともに先端がこの枠体77aの他の部分に係止されることで前記バルブ10(又は配管17)に枠体77aを結合させる留め具77bと、この留め具77bの先端に形成されるネジ部77cと、から構成される。
【0044】
図14に基づいて第6実施形態における固定部材70のバルブ10への取り付け手順を説明する。
図14(A)(B)に示すように、枠体77aは、L字形状のものとI字形状のものとがネジで締結されてU字形状を成している。なお、図14(B)(C)に示すように、このL字形状のものとI字形状のものとの間隔を調整することにより、様々な外径のバルブ10に対応することができる。そして、図14(D)に示すように、留め具77bの先端を枠体77a係合させてネジ部77cを締め付けることにより、固定部材70はバルブ10にしっかりと固定されることになる。
【0045】
図15に基づいて第6実施形態に係るバルブ開閉装置の動作を説明する。
図15(A)に示すように、配管17の長手方向に沿うようにハンドル20が設定され、バルブ10が開放状態になっているとする。
【0046】
図15(B)に示すように、このバルブ10を開放状態から閉止状態に切り替える場合は、第2回転体58を回転させて外接する第1回転体57を減速回転させる。これにより、ハンドル係合部60は、ハンドル20に当接し、モータ51の小さなトルクでバルブ軸13を回転させることができる。
【0047】
そして、図15(C)に示すように、ハンドル20が配管17に対して90度回転したところで第2回転体58の回転を停止して、バルブ10の開放状態から閉止状態への切り替えが終了する。
【0048】
図16に示すように、ハンドル20の可動範囲を制限するリミッタ81,82をベース部40に設けることにより、開放/閉止の切り替え時にハンドル20及びバルブ軸13に過負荷がかかることを防止する。
【0049】
図16(A)に示されるリミッタ81は、ハンドル係合部60に当接するストッパ部材で構成されている。
図16(B)に示されるリミッタ82は、ハンドル20の可動範囲の可動限界位置にあるハンドル係合部60を検出し、モータ51の回転を停止させる検出センサ82(82a,82b)である。
【0050】
図17(A)は、検出センサ82(リミッタ)とモータ51のコントローラ83との接続図を示し、図17(B)はその配線図を示している。
図17(B)に示すようにコントローラ83は、モータ51を駆動させるモータ電源84と、このモータ51の回転方向の切り替えや検出センサ82(82a,82b)の状態に応じてモータ51の駆動/停止を設定する設定回路85と、から構成されている。
さらに、モータ51の動きに応じて、ハンドル20が開放位置にあるか、閉止位置にあるか可動中であるかをランプ87で表示するインジケータ86が設けられている。
【0051】
また、図13や図15で示すように、第1回転体57と第2回転体58が係合する歯を、第1回転体の外周のうちハンドル20の可動限界と対応する範囲に限定して設けられている。このような構成とすると、もしリミッタ81,82による制限を越えるように第2回転体58が回っても、第1回転体57と第2回転体58の係合が外れて空転するため、ハンドル20及びバルブ軸13に過負荷がかかることを防止できる。なお、第1回転体57の歯が設けられる範囲が限定されていればよく、第2回転体58の歯を設けられる範囲は特に限定されない。
【0052】
(リミッタの他の適用例)
図18に基づいて、回転式ハンドルのバルブ10に適用されるバルブ開閉装置30に設置される検出センサ82a,82b(リミッタ)について説明する。
図18(A)は弁体16が閉止状態を示し、図18(B)は弁体16が開放状態を示している。なお回転式ハンドルのバルブ10の詳細については、図1及びその関連説明に記載されているので重複説明を省略する。
【0053】
このように、回転式ハンドルのバルブ10では、ハンドル20の回転に伴い、ベース部40及びその延設部材41が昇降するように構成されている。検出センサ82a,82b(リミッタ)は、固定部材70を検出するように、可動範囲の可動限界位置に設置されている。
【0054】
(第7実施形態)
図19に示すように第7実施形態に係るバルブ開閉装置30は、ベース部40に回転自在に支持されるとともにハンドル係合部60が設けられる第1回転体91と、モータ51のトルクを第1回転体91に伝達する第2回転体92とを備えている。
そして、第1回転体91のスロット94に第2回転体92の案内ピン93が案内されるジェネバ機構によりハンドル係合部60の可動範囲が規定される。
なお図19において、図11と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図19に示されるバルブ10の開放状態から第2回転体92が矢印方向に回転すると、案内ピン93がスロット94をスライドし、第1回転体91を矢印方向に回転させる。これにより、ハンドル係合部60は、ハンドル20を矢印方向に90度変位させバルブ10を閉止状態にする。
【0056】
次に、バルブ10の閉止状態から第2回転体92が矢印とは反対方向に回転すると、案内ピン93がスロット94に係入した後にスライドし、第1回転体91を矢印とは反対方向に回転させる。これにより、ハンドル係合部60は、ハンドル20を矢印とは反対方向に90度変位させバルブ10を開放状態にする。
【0057】
(第8実施形態)
図20(A)に示すように第8実施形態に係るバルブ開閉装置30において、バルブハンドル20は、その回転をロック又はリリースするレバー24を有している。
図20(B)に示すようにハンドル係合部60は、第1回転体91に一端が固定される支軸部69aと、この支軸部69aの他端に固定されるハンドル保持部20と、レバー24の操作部69cとから構成されている。
【0058】
図21に基づいて、第8実施形態に係るバルブ開閉装置のバルブへの取り付け手順を説明する。
図21(A)は、レバー24の操作により回転のロック/リリースが可能なラチェット式ハンドル20を有するバルブ10が設置された配管17の側面図である。図21(B)に示すように、このバルブ10に固定部材70を装着してからバルブ開閉装置30をセットする。
【0059】
図21(C)(D)に示すように、ハンドル係合部60の操作部69cを動作させてレバー24を引き上げると、ロックされていたハンドル20の回転がリリースされる。この回転のリリース状態を維持しつつモータ51を駆動させると、ハンドル20は回転してバルブ10は図示される開放状態から閉止状態に変化する。
【0060】
(固定部材の他の適用例)
図22(A)(B)は、回転式ハンドルのバルブ開閉装置10に適用される固定部材70の他の実施例を示している。この固定部材70は、バルブ開閉装置10の胴体を挟むように外接する一対のロッド43と、この一対のロッド43の末端を弾性的に連結する連結部43bと、このロッド43の孔部43a(図23(A))を貫通して対向するロッド43が開かないように固定するロック部材44と、から構成されている。さらに、この連結部43bの弾性力をアシストするためのバネ材45も必要に応じて設けられる。
【0061】
図23(B)に示すように、そのロック部材44は、孔部43aを貫通する軸部44aと、この軸部44aの両端に形成され孔部43aに係止する係止片44b、44cとから構成される。
【0062】
(ハンドル係合部の他の適用例)
図24(A)(B)は、回転式ハンドルのバルブ開閉装置10に適用されるハンドル係合部の他の実施例を示している。なお、なお図24において、図1と共通する構成については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
この実施形態においてハンドル係合部60は、回転させているハンドル20から係合ピン62が外れないように、その先端に係止部材62dが設けられている。
【0063】
以上述べた少なくともひとつの実施形態のバルブ開閉装置によれば、既設のハンドルを取り外す必要がないために短時間で装着してバルブの自動開閉が実施できる。このために、作業現場における作業員の拘束時間が短縮され、放射能環境における被曝時間を短縮することができる。
【0064】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0065】
10…バルブ、12…ヨーク部、13…バルブ軸、14…弁蓋、15…弁箱、16…弁体、17…配管、20…ハンドル、21…外輪、22…スポーク、23…ハブ部、24…レバー、30…バルブ開閉装置、40…ベース部、41(41a,41b,41c,41d,41e,41f)…延設部材、42…台座、43…ロッド、43a…孔部、43b…連結部、44…ロック部材、44a…軸部、44b…係止片、44c…係止片、45…バネ材、46…係止片、47…従動プーリ、48…タイミングベルト、49…ロック部材、50…トルク発生部、51(51a,51b)…モータ、52…減速器(ウォームギア)、52a…ねじ歯車、52b…はす歯歯車、52c…同軸減速器、52d…ラック、52e…ピニオン、52f…回転プーリ、53…出力軸、54…入力軸、55…フレキシブルシャフト、56…環状造形部、57…第1回転体、58…第2回転体、60…ハンドル係合部、61(61c)…ターンテーブル、62…係合ピン、62c…係合部材、62d…係止部材、63(63a,63b,63c)…保持部材、64…フック部、65…調整部、66…軸支部、67…ロック部材、68…挿入部、69a…支軸部、69b…保持部、69c…操作部、70(70a,70b,70c,70d)…固定部材、71…切欠部、72…拘束部、73…プレート、75…レール、76…ラチェット機構、77a…枠体、77b…留め具、77c…ネジ部、77d…係入穴、81…ストッパ(リミッタ)、82(82a,82b)…検出センサ(リミッタ)、83…コントローラ、84…モータ電源、85…設定回路、86…インジケータ、87…ランプ、91…第1回転体、92…第2回転体、93…案内ピン、94…スロット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブハンドルの回転方向への動きが規制されているベース部と、
前記ベース部に支持されるとともにモータの回転を減速させたトルクを発生するトルク発生部と、
前記バルブハンドルに係合し前記トルクによりこのバルブハンドルを前記回転方向に回転させるハンドル係合部と、を備えることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバルブ開閉装置において、
前記トルク発生部に設けられる減速器は、ウォームギア、ラックアンドピニオン、タイミングベルト及び同軸減速器のうちいずれかであることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のバルブ開閉装置において、
前記ハンドル係合部は、前記バルブハンドルを保持して軸方向への脱離を防止する保持部材を有することを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記ベース部は、バルブ本体又は配管に固定される固定部材と連係して回転方向への動きが規制されることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記モータは、減速器に対して着脱自在に接続されることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記モータは、減速器に対してフレキシブルシャフトを介して接続されることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項7】
請求項1に記載のバルブ開閉装置において、
バルブ本体又は配管に固定される固定部材に前記ベース部が着脱自在に支持され、
前記トルク発生部に設けられる減速器は、
前記ベース部に回転自在に支持されるとともに前記ハンドル係合部が設けられる第1回転体と、
前記モータのトルクを前記第1回転体に伝達する第2回転体と、を有することを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項8】
請求項7に記載のバルブ開閉装置において、前記固定部材は、
前記ベース部の延設部材が係入する係入穴を有するとともにバルブ本体又は配管に外接する枠体と、
前記枠体の部分に基端が軸支されるとともに先端がこの枠体の他の部分に係止されることで前記バルブ本体又は配管に前記枠体を結合させる留め具と、を有することを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記ハンドルの可動範囲を制限するリミッタを備えることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項10】
請求項9に記載のバルブ開閉装置において、
前記リミッタは、前記可動範囲の可動限界位置を検出し前記モータの回転を停止させる検出センサであることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項11】
請求項7から請求項10のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記第1回転体のスロットに第2回転体の案内ピンが案内される機構により前記ハンドル係合部の可動範囲が規定されることを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項12】
請求項7から請求項11のいずれか1項に記載のバルブ開閉装置において、
前記バルブハンドルは、その回転をロック又はリリースするレバーを有し、
ハンドル係合部は、前記レバーの操作部を有することを特徴とするバルブ開閉装置。
【請求項13】
バルブハンドルの回転方向への動きが規制されるようにベース部を設置する工程と、
前記ベース部に支持されるトルク発生部からモータの回転を減速させたトルクを発生する工程と、
前記トルクにより前記バルブハンドルに係合するハンドル係合部を前記回転方向に回転させる工程と、を含むことを特徴とするバルブ開閉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−100894(P2013−100894A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282447(P2011−282447)
【出願日】平成23年12月23日(2011.12.23)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(390014568)東芝プラントシステム株式会社 (273)
【Fターム(参考)】