バルーンカテーテルを把持するための輪郭を備えるステントおよびステントを作製するためのモールド
ステントデリバリーシステム上のステントの把持を改良する輪郭を有するステントの実施形態が提供される。さらに、前記ステントを作製するためのモールドの実施形態が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にステントデリバリー装置、およびより詳細には、それに限られないが、バルーンカテーテルを把持するためのステントおよび前記ステントを作製するためのモールドに関する。
【背景技術】
【0002】
血管閉塞は、一般にはステントを使用するなどして、罹患した血管内の血流を機械的に増強することによって治療される。ステントは、罹患した血管の壁を物理的に開いておくために、そして所望であれば、拡張させるために機能する足場として作用する。典型的なステントは圧縮可能であるので、それらはカテーテルを介して小さな内腔に通して挿入し、次にそれらが所望の場所に達すると大きな径に拡張させることができる。ステントを開示している特許文献の例には、Palmazに発行された米国特許第4,733,665号、およびGianturcoに発行された米国特許第4,800,882号、およびWiktorに発行された米国特許第4,886,062号が含まれる。
【0003】
従来法では、ステントは、バルーンカテーテル上でステントをしっかりと所望の場所にクリンプし、クリンプされたステント/バルーンカテーテルの組み合わせを患者の脈管構造に通して所望の場所へ運ぶ工程によってデリバリーされる。クリンピングに代えて、または加えて、バルーンカテーテルはステントの内径に接触するように拡張される。所望の場所で、バルーンカテーテルは拡張させられ、それによって患者の動脈の内径に接触するようにステントを拡張させる。その後、バルーンカテーテルは、収縮させられて脈管構造から抜去される。
【0004】
ステントおよびカテーテルは患者の脈管構造を通って移動するので、ステントは、患者の脈管構造の小さな内腔を通過できるように小さな径を有していなければならない。ステントがカテーテルから時期尚早に取り外されないように、カテーテルへ確実に取り付ることが望ましい。またステントは、患者の脈管構造内の湾曲部を通って移動するのに十分な柔軟性を持つべきである。
【0005】
しかし、従来法のクリンピング技術は不均一となる場合があり、クリンプされたステント上に尖った辺縁を生じさせ、これはデリバリー中に患者の脈管構造を損傷させ、あるいは患者の脈管構造にぶつかることがある。さらに、クリンピングは、ステントの柔軟性を低下させることがあり、患者の脈管構造内の湾曲部を通してステントをデリバリーすることを困難にさせる。
【0006】
バルーンカテーテルがデリバリー前に拡張させられると、バルーンカテーテルはステントの過度の拡張を引き起こすことがあり、それにより患者の脈管構造に通して(例えば、硬い病変部を跨ぐように)ステントを運ぶことを困難にする。さらに、バルーンカテーテルの拡張によって、ステントの遠位端および近位端がステントの他の部分より大きく拡張して、上向きにテーパー状の辺縁を生じ、それらが患者の脈管構造内にぶつかり、結果としてデリバリー能力を減少させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記に言及した欠陥を減少もしくは排除する、バルーンカテーテルへステントを把持するための改良された方法および器具が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の所定の実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントであって、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを含むことができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されて良い。
【0009】
本発明のまた別の実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントであって、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える部分を有するステントを含むことができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性が改善されるように構成されて良い。
【0010】
本発明の他の実施形態では、ステントのためのモールドは、モールド部材のモールド内腔(モールドボア、mold bore)の近位部内への突出部を有するモールド部材を含むことができる。この突出部は、デリバリーシステム上に装着されたステントの近位端でテーパー状の部分を成形するように構成することができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されて良い。
【0011】
本発明の追加の実施形態は、ステントのためのモールドであって、デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するように構成されたモールド内腔を備えるモールド部材を有し、前記モールド内腔は前記モールド内腔の近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記モールド内腔の遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するモールドを含むことができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するための、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを容易にするための、ステントのテーパー状の部分を成形するように構成されて良い。
【0012】
本発明のまた別の実施形態では、ステントのためのモールドは、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える部分を有するモールド内腔を備えるモールド部材を含むことができる。変動する断面は、デリバリーシステム上に装着されたステントが変動する断面を有するように成形するように構成することができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性を改良することができる。
【0013】
本発明の非限定的かつ非包括的実施形態について以下の図面を参照して記載するが、図面における同様の参照数字は他に特別に規定しない限り様々な図面を通して同様の部分を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の説明は、任意の当業者が本発明を作製および使用できるように提供されるものであり、そして特定の用途およびその要件との関連で提供されている。当業者には、実施形態についての様々な修飾は容易に明白である。本明細書に規定した一般的原理は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに他の実施形態および用途に適用できる。そこで、本発明は本明細書に示した実施形態に限定することは意図されておらず、本明細書に開示した原理、特徴および教示と合致する極めて広い範囲が認められるはずである。
【0015】
用語「植込み型医療器具」は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステントグラフト、およびグラフトを含むことが意図されている。本器具の構造パターンは、実質的に任意の設計であってもよい。ステントは、例えば、相互連結している構造素子およびストラットのパターンもしくは網目を含むことができる。図1は、ステント10の三次元画像の例である。ステントは、多数の相互連結している素子もしくはストラット15を含むパターンを有してもよい。本明細書に開示した実施形態は、図1に例示したステントもしくはステントパターンに限定されない。これらの実施形態は、他のパターンおよび他の器具へ容易に適用できる。パターンの構造における変化は、実質的に無制限である。図1に示したように、ステントの幾何学的形状もしくは形態は、その構造の全体にわたって変動する。
【0016】
一部の実施形態では、ステントは、チューブにストラットのパターンをレーザー切断する工程によってチューブから形成できる。ステントは、さらにポリマーもしくは金属シートをレーザー切断し、このパターンを円筒形ステントの形状に圧延加工し、そしてステントを形成するために長手方向溶接を提供する工程によって形成することもできる。ステントを形成する他の方法は周知であり、シートを化学エッチングし、圧延し、次にステントを形成するためにそれを溶接する工程を含む。ポリマーもしくは金属ワイヤーは、さらにステントを形成するためにコイル巻きすることもできる。ステントは、熱可塑性ポリマー材料の射出成形または熱硬化性ポリマー材料のRIM成形(reaction injection molding)によって形成できる。複合ポリマーのフィラメントは、押出成形または融解紡糸加工することができる。次いでこれらのフィラメントは、切断し、リング状素子に形成し、溶接により閉鎖し、波状にしてクラウンを形成することができ、そしてその後にクラウンを熱もしくは溶媒によって一緒に溶接するとステントを形成することができる。最後に、フープもしくはリングをチュービングストックから切断し、チューブ素子を打ち抜き加工してクラウンを形成し、そしてクラウンを溶接もしくはレーザー溶融によって結合してステントを形成することができる。
【0017】
さらに、植込み型医療器具は、器具を部分的もしくは完全のいずれかで生分解性ポリマーから製造することによって、植え込み後に分解するように構成することができる。ポリマーは、生体安定性、生体吸収性、生分解性、または生体侵食性であってもよい。生体安定性は、生分解性ではないポリマーに関する。用語「生分解性」、「生体吸収性」、および「生体侵食性」、ならびに「分解した」、「侵食した」、および「吸収した」は、互換的に使用され、血液などの体液に曝露されると完全に侵食もしくは吸収され得るポリマーを意味しており、身体によって徐々に取り込まれる、吸収される、および/または排出されることができる。
【0018】
さらに、生分解性器具は、例えば血管開存性を維持する、および/または薬物送達の意図された機能が達成されるまでの期間にわたって身体内に残留することを意図することができる。コーティング用途において使用される生分解性ポリマーについては、分解、侵食、吸収、および/または再吸収のプロセスが完了した後には、ポリマーはステント上には残留しない。一部の実施形態では、極めてわずかな痕跡もしくは残留物しか後に残らない。その期間は、典型的には6〜12カ月間の範囲内である。
【0019】
本明細書に開示した植込み型医療器具の実施形態を作製するために使用できるポリマーの代表的な例には、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、co−ポリ(エーテル−エステル)(例、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲンおよびヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー、ポリアクリレート以外のアクリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(例えば、ナイロン66およびポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、およびカルボキシメチルセルロースが含まれるが、それらに限定されない。本明細書に開示した植込み型医療器具の実施形態を作製する際に使用するために特に明確に適合する可能性があるポリマーの追加の代表的な例には、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般には一般名EVOHもしくは商標名EVALによって知られる)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)(例、Solvay Solexis PVDF社(ニュージャージー州ソロフェア)から入手できるSOLEF 21508)、ポリフッ化ビニリデン(さもなければ、ATOFINA Chemicals社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手できるKYNARとして知られる)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0020】
さらに、器具は、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素含有ステンレススチール、例えば、BIODUR 108、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、「ELASTINITE(ニチノール)」、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、またはそれらの組み合わせなどであるがそれらに限定されない金属材料もしくは合金から製造することができる。「MP35N」および「MP20N」は、Standard Press Steel社(ペンシルベニア州ジェンキンタウン)から入手できるコバルト、ニッケル、クロムおよびモリブデンの合金に対する商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム、および10%のモリブデンからなる。「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、および10%のモリブデンからなる。
【0021】
上記で考察したように、ステントのデリバリーは、デリバリーシステムへのステントの確実な取り付けおよびステントの柔軟性によって促進される。小さなステント径を備える(しっかりとクリンプされた)小さな輪郭のステントは、確実な取り付けを可能にし、狭い内腔通路を通る移動を容易にする。しかし、ステントの輪郭を減少させると、ステントの柔軟性も減少する。反対に、大きなステント径を備える大きな輪郭のステント(拡張したステント)はより大きな柔軟性を可能にする。しかし、大きな輪郭は、狭い内腔通路を通る移動をより困難にさせる。
【0022】
小さな、および大きな輪郭のデリバリーに及ぼすマイナスの作用は、両方の大きな、および小さな輪郭区間を有するステントを使用することによって調整することができる。小さな輪郭の区間は確実な取り付けを促進し、大きな輪郭の区間は柔軟性を促進する。さらに、デリバリー中の先端もしくは前縁であるステント端部の場所もしくは近位の小さな輪郭の区間は、デリバリーを促進する際に特に役立つ可能性がある。少なくともこれらの特徴を有するステントなどの植込み型医療器具の様々な実施形態は、本明細書に開示されている。
【0023】
デリバリーシステム上に装着された、放射方向に拡張可能なステントなどの植込み型医療器具の所定の実施形態は、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを含むことができる。テーパー状の区間は、ステントのデリバリーシステムへの取り付けを改良するように適合させられてもよい。さらに、テーパー状の区間は、装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進できる。
【0024】
デリバリーを促進する工程には、内腔内の湾曲部周囲で器具が屈曲する能力を実質的に限定せずに内腔を通る器具の平滑な連絡を促進する工程を含むことができる。デリバリーを促進する工程は、デリバリーシステム上の器具の把持および取り付けを改良する工程をさらに含むことができる。器具のテーパー状部分は、デリバリーシステム上の器具の把持を強化する傾向を示すことがある。したがって、テーパー状区間は、デリバリーシステムからの器具の離脱を阻止もしくは防止することができる。
【0025】
1つの実施形態では、ステントの少なくとも一部分は、円形もしくは実質的に円形である横断面を有してもよい。デリバリーシステムは、例えば、ステントをデリバリーするためのバルーンカテーテルであってもよい。
【0026】
図示したように、図2は、遠位端および近位端各々でテーパー状区間230および240を有するステント220の軸方向断面を示している。ステント220は、図7におけるモールド600を用いてバルーンカテーテル210上に据え付けることができる。据え付けられたステント220は、ステント220の近位部230および遠位部240が、従来型ステントにおける直線状もしくは外向きテーパー方向ではなく内向きテーパー方向を示す輪郭を有する。
【0027】
したがって、ステント220は、デリバリー中に患者の脈管構造を通ってより容易に移動することができ、脈管構造に巻き込まれる、または脈管構造を損傷させる可能性が低くなる。さらに、ステント220の大多数は拡張した輪郭を有するので、ステント220はそれでもまた脈管構造内で湾曲部を追跡することができる。
【0028】
さらに、この輪郭は、ステント220がバルーンカテーテルを「ハグする」もしくは把持することもまた引き起こし、それによってステント220がデリバリー中に(バルーン210が収縮させられるまで)バルーンカテーテルに装着されたままとなる能力を増加させる。
【0029】
一部の実施形態では、デリバリーシステム上に装着された、ステントなどの植込み型医療器具は、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを有することができる。テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するために適合させられてもよい。
【0030】
1つの実施形態では、器具は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパーしている輪郭を有してもよい。したがって、装着されたステントは、「矢状」形を有してもよい。図示したように、図3は、近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部310を有するステント300を示している。ステント300は、矢状形を採用するために近位部から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしている区間320もまた有する。ステント300は、図9におけるモールド800を用いてバルーンカテーテル210上に据え付けることができる。
【0031】
上記に記載したように、ステントの先端もしくは前縁での小さな輪郭が特に有益である。デリバリーを促進するために、遠位端はデリバリー中の前縁であってもよい。「前縁」は、ステントの植込み中の移動方向に向かうステントの縁である。
【0032】
また別の実施形態では、近位部は、近位端と遠位端との間の中間点から近位端まで比較的均一に内向きにテーパーしてもよい。遠位部は、中間点から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしてもよい。
【0033】
説明図として、図4は、中間点440から比較的均一に内向きにテーパーしている近位部420および遠位部430を有するステント410を描出している。ステント410は、近位端および遠位端での最小値から中間点440での最高値へ徐々に増加する径を有する。中間点440は、例えば、ステントの近位端および遠位端との間のほぼ中ほどにあってもよい。ステント410は、図10におけるモールド1000を用いてバルーンカテーテル上に据え付けることができる。
【0034】
1つの実施形態では、その中間点で長さ約6mmおよび径約0.041インチであるステントの径は、遠位端および近位端では約0.037インチ〜約0.038インチの間の径を有してもよい。
【0035】
ステント220、300、および410の輪郭は、柔軟性を維持しながら、バルーンカテーテルへのステントのしっかりとした取り付けを促進する。さらに、ステントは、従来型ステントに比較して、両端での小さな径に起因して窮屈な内腔をより容易に移動することができる。さらに、本ステントは患者の脈管構造に巻き込まれたり患者の脈管構造を損傷させたりする可能性が低いが、これは本ステントには、バルーンカテーテル拡張後に従来型ステントが有していた上向きにテーパー状の端部がないためである。
【0036】
さらに別の実施形態では、デリバリーシステム上に装着されたステントなどの植込み型医療器具は、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える区間を有することができる。変動する断面は、装着されたステントのデリバリー中の柔軟性を改良するために適合させられてもよい。そのようなステントは、ピークおよび谷を備える「波状」輪郭を有してもよい。
【0037】
波状輪郭を有するステントの区間は、少なくとも1つの幅の広い領域と交互の少なくとも1つの幅の狭い領域を有してもよい。少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は、デリバリーシステムの表面と接触している。さらに、少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は、デリバリーシステムの表面と接触していなくてもよい。したがって、幅の狭い領域はステントがバルーンカテーテルを把持するのを可能にする。さらに、幅の広い領域は、装着されたステントが湾曲した、および/または幅の狭い脈管構造内を通過するにつれてステントが屈伸および屈曲することを可能にする。
【0038】
図5は、図11におけるモールド1100を用いて形成された変動する断面を備えるステント520を描出している。ステント520は、上述した長所を提供する波状の形状もしくは輪郭を有する。当業者には、ステント520が他の波状輪郭をとれることは理解される。例えば、この輪郭は追加の頂点および谷を含むことができる、および/または対称性であっても非対称性であってもよい。
【0039】
本明細書に記載した植込み型医療器具のためのモールドの様々な実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するために構成されているモールド内腔を有するモールド部材を含むことができる。モールド部材は、デリバリーシステムがモールド内腔を画定する内面の少なくとも一部分にステントの外面を拡張させた後にステントを成形することができる。
【0040】
モールド部材は、2つ以上のピースから構成されてもよい。一部の実施形態では、モールド部材は2つの半割型から構成されてもよい。各半割型は、器具保持溝を有してもよい。これらの溝は、2つの半割型が結合されるとモールド内腔を形成するように構成することができる。1つの実施形態では、モールドは、器具の成形中にモールドの開口を阻止もしくは防止するために採用されたロックを含むことができる。
【0041】
1つの実施形態では、モールド部材は、モールド部材のモールド内腔の近位部内への突出部を有してもよい。この突出部は、デリバリーシステム上に装着されたステントなどの植込み型医療器具の近位端でテーパー状の区間を成形するように構成することができる。上述したように、テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するために適合させられてもよい。
【0042】
また別の実施形態では、モールド部材は、ステントの遠位端内へテーパー状の区間を成形するためにモールド部材のモールド内腔の遠位部内への第2突出部を有してもよい。一部の実施形態では、突出部は、モールド内に配置された環を有する円筒形部材を含んでいてもよい。
【0043】
説明図として、図6は、例えば、図2においてステント220を成形できる本発明の実施形態によるモールド部材もしくはモールド600を示している図である。モールド600は分割モールドの形をなし、各々が半割型610aおよび610bの長手軸を各々走り下りる溝620aおよび620bを各々有する2つの半割型:610aおよび610bを有する。半割型610aおよび610bは、モールド600が1つの半割型の他の半割型に対する回転によって開閉するのを可能にするヒンジによって一緒に結合されている。ヒンジ615は、モールド600が閉鎖されたときの半割型610aおよび610bの適正なアラインメントを保証する。溝620aおよび620bは、バルーンカテーテル210(図2)およびステント220(図2)を適所に受け入れて保持するように構成されている。
【0044】
溝620aおよび620bは、ステント220の径より大きな径(例えば、径がおよそ0.045インチであるステントについて約0.003インチ超〜約0.048インチ超)を有するモールド600が閉鎖されるとモールド600を通るモールド内腔625(図7)を形成する。溝620aおよび620bは各々、ステント220の長さにほぼ適応するように間隔を空けている2つの半割ワッシャ650を含む。半割ワッシャ650は、溝620aおよび620b内に突出もしくは伸長する。
【0045】
バルーンカテーテル210が(内部空気圧によって)拡張させられると、バルーンカテーテル210はステント220の内面を押し、ステント220が溝620aおよび620bによって形成されたボア625の径に適合するように拡張することを引き起こす。しかし、半割ワッシャ650は溝620aおよび620b内へ伸長するので、ステント220の近位端および遠位端は、ステント220の残りと同一径(例えば、ボア625の径)へは拡張できない。
【0046】
したがって、ステント220は、成形後に、その近位端および遠位端の少なくとも一部分が内向きにテーパー状である輪郭を有する。テーパー状の内向き縁は、ステント220が脈管構造内の湾曲部の周囲で屈曲する能力を実質的に制限せずに患者の脈管構造を通してのステント220の平滑な連絡を促進する。さらに、テーパー状の末端はテーパー状ではない端部より良好にバルーンカテーテル210を把持する傾向を示し、バルーンカテーテル210が収縮する前にそれから離れることを阻止もしくは防止する。
【0047】
半割型610aは、バレルロッキング機構の第1部材630を含む。半割型610bは、バレルロッキング機構640aおよび640bの第2および第3部材を含む。部材630は、バルーンカテーテル210およびステント220が溝610aもしくは610b内に配置されてモールド600を閉鎖した後に、モールド600をロックするために部材640aおよび640bと共同して作動する。バレルロッキング機構は、バルーンカテーテル210が伸長しているときにモールド600が開口するのを阻止もしくは防止する。
【0048】
本発明のまた別の実施形態では、相違するロッキング機構を使用できる。さらに、半割型610aおよび610bは、ヒンジ615によって一緒に結合される必要がない。
【0049】
図7は、モールド600の断面を示している図である。モールド600を閉鎖すると、装着されたステント220が配置されるボア625を形成する。装着された220は、ステント220の遠位端が半割ワッシャ650の第1対とアラインメントしており、近位端が半割ワッシャ650の第2対とアラインメントしているように、半割ワッシャ650とアラインメントされる。同一モールドの半割型上の半割ワッシャ650は、装着されたステント220の長さにほぼ等しい長さの間隔をあけて離れている。半割ワッシャは、モールド600のボア内に数千分の1インチ伸長できる(例、約0.002〜約0.005インチ、より厳密には約0.003〜約0.004)。半割ワッシャは、約0.5mm〜約4mmの、またはステントの長さの半分よりわずかに短い幅を有してもよい。
【0050】
本発明の実施形態では、モールド600はステント220の一方の端部、好ましくはステント220の前縁(すなわち、ステント220の据え付け中に移動の方向に向かうステント220の縁部)に配置される一対の半割ワッシャ650しか含んでいない。したがって、ステント220は、ステント220のデリバリー性を促進する単一のテーパー状の端部を有する。
【0051】
ステント220が閉鎖されたモールド600のボア625内に配置されると、バルーンカテーテル210は加熱かつ拡張される。詳細には、バルーンカテーテル210は、バルーンカテーテル210を柔らかくし、それによって拡張を引き起こすために華氏約190°へ加熱される(サーモグリッピングと呼ばれる)。さらに拡張を引き起こすために、バルーンカテーテル210へ内圧が供給される。詳細には、カテーテル210の拡張を引き起こすために、約120PSI〜約330PSI、もしくはより厳密には約150PSI〜約290PSIを適用できる。
【0052】
バルーンカテーテル210の拡張は、バルーンカテーテル210がステント220の内径を押すことを引き起こす。バルーンカテーテル210の拡張は、ステント220の大部分がモールド600のボア625の径まで拡張することを引き起こす。半割ワッシャ650は、半割ワッシャ650とアラインメントしているステント220の端部がモールド600のボア625の径まで拡張することを防止する。ステント220の端部が半割ワッシャ650を押すにつれて、ステント220の端部は拡張するのを防止し、それにより内向きにテーパー状の端部を備えるステント輪郭を生じさせる。
【0053】
1つの実施形態では、モールド内腔は、モールド内腔の近位端に向けて内向きにテーパーしている近位部およびモールド内腔の遠位端へ内向きにテーパーしている遠位部を有してもよい。テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するステントのテーパー状の区間を成形するために適合させられてもよい。1つの実施形態では、モールド内腔は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。
【0054】
図8は、本発明のまた別の実施形態によるモールド800を示している図である。モールド800は、モールド800がワッシャ650ではなくむしろモールドブロック850を含むこと以外は、モールド600と実質的に類似である。詳細には、モールド800は、ヒンジ815によって一緒に結合された2つの半割型810aおよび810bを含む。半割型810aはモールドブロック850を有する溝820aを含んでおり、半割型810bはモールドブロック850を有する溝820bを含む。バレルロッキング機構830は、半割型810aに結合されている。機構830は、その中にステント520を配置した後にモールド800を閉じてロッキングするために、半割型810bに結合されているバレルロッキング機構840aおよび840bと共同して作用する。
【0055】
図9は、図3に描出したステント300を成形できるモールド800の軸方向断面を示している図である。モールドブロック850(およびバルーンカテーテル220が拡張した後に、結果として生じる図3に示したステント300)は、その中でモールドブロック850のモールド内腔855がボア855の近位端から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしている状形を有する。モールドブロック850のモールド内腔855の径は、遠位端から近位端へ徐々に増加する。
【0056】
ステントのデリバリーは、デリバリーの方向に向かうステントの端部としての遠位端を有することによって促進することができる。1つの実施形態では、遠位端もしくは先端は、約0.038インチの径を有してもよい。径は、近位端に近い点に向かって(例えば、6mmステントにおいて先端から約5.5mmで)約0.41インチの径へ増加してもよい。近位端では、径は(6mmステントにおいては近位端から約0.5mmから)約0.041インチから約0.038インチへ先細になってもよい。
【0057】
他の実施形態では、モールド内腔は、近位端と遠位端との間の中間点から近位端まで比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。モールド内腔もまた、中間点から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。
【0058】
図10は、図4におけるステント410を成形するための本発明のまた別の実施形態によるモールド1000の断面を示している図である。モールド1000は、モールドブロック650がモールドブロック1050と置換されている以外はモールド600と実質的に類似する。モールドブロック1050のボア1055は、ボア1055の遠位端および近位端両方に向かってボア1055に沿ってほぼ中間点から内向きにテーパーしている。テーパーの傾斜は、モールド1000内でのステント420の拡張は、ステント420の中央部で最高径へ径を徐々に増加させながら近位端および遠位端でより小さな径を有するステント420を生じさせる。
【0059】
また別の実施形態では、モールド部材のモールド内腔は、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える区間を有してもよい。変動する断面は、変動する断面を有するようにデリバリーシステム上に装着されたステントを成形するように構成することができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性を改良することができる。
【0060】
図11は、図5におけるステント520を成形するための本発明のまた別の実施形態によるモールド1100の断面を示している図である。モールド1100は、モールドブロック1150がモールドブロック650と置換されている以外はモールド600と実質的に類似する。モールドブロック1150は、ほぼステント520の長さである。モールドブロック1150のボア1155は、その全長に沿って変動する径を有し、小さな径の区間と交互に大きな径の区間を備える。図11に示したように、モールドブロック1150の内面は波状輪郭を有する。例えば、輪郭では、モールドブロック1150は正弦波の形状をとることができる。本発明の1つの実施形態では、モールドブロック1150のボア1155は3つの頂点および4つの谷を有することができ、谷は近位端および遠位端で発生する。
【0061】
図11では、モールドブロック1150はステントの全長(例えば、約6mm)に適合し、3つの頂点および4つの谷を特徴とするが、このとき2つの谷はステント520の近位端および遠位端とアラインメントしている。バルーンカテーテル210の拡張は、ステント520がモールドブロック1150のボア1155の形状をとることを引き起こす。例えば、ステント520は、柔軟性を維持してデリバリー能力を促進しながらバルーンカテーテル210へステント520を固定する波状輪郭を発生する。頂点と谷との間の高さの変動は、例えば、約0.001〜約0.005インチ、より厳密には約0.003〜約0.004のような数千分の1インチである。
【0062】
図12は、本発明の1つの実施形態による、カテーテル上にステントを把持する方法1200を示しているフローチャートである。第一に、ステントは、当業者には既知のように、カテーテル上に装着される(1210)。次に装着されたステントは、モールド(例、モールド600、800、1000もしくは1100)の溝内に配置され(1220)、ワッシャもしくはブロックとアラインメントされる。モールドは、次に閉鎖され(1230)、ロックされる。バルーンカテーテル210が柔らかくなり、このためにより容易に拡張するのを引き起こすために、バルーンカテーテル210に熱が加えられる(1240)。本発明の1つの実施形態では、熱は華氏約190°へ達してもよい。次に、バルーンカテーテル210は、例えば約120PSI〜約330PSI、またはより厳密には約150PSI〜約290PSIの内部空気圧を適用することによって拡張させられる(1250)。拡張中に、バルーンカテーテル210は拡張してステントを押し、ステントがモールドのボアの径に適合するまでステントの拡張を誘発する。次に、ステントはモールドの形状をとる。次に、装着されたステントは、モールドがアンロックされた後にモールドから抜去される(1260)。
【0063】
一部の実施形態では、熱がステントの拡張を促進できる。熱は、器具を拡張する前、および/または拡張中に器具および/またはデリバリーシステムに加えることができる。熱は、バルーンカテーテルなどのデリバリーシステム内へ加熱した流体をポンピングすることによって加えることができる。または、熱は、器具および/またはデリバリーシステムへ加熱した不活性気体(例、空気、窒素、酸素、アルゴンなど)を送風することによって加えることができる。
【0064】
本発明の特定の実施形態を示して説明してきたが、当業者には、その広範囲の態様において本発明から逸脱せずに変更および修飾を加えられることは明白である。このために、添付の特許請求項は、本発明の真の精神および範囲内に含まれるようにそのようなすべての変化および修飾をその範囲内に含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ステントの図である。
【図2】図7のモールドを使用してバルーンカテーテル上に据え付けられたステントを示している図である。
【図3】図9のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図4】図10のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図5】図11のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図6】本発明の1つの実施形態によるモールドを示している図である。
【図7】図6のモールドの断面を示している図である。
【図8】本発明のまた別の実施形態によるモールドを示している図である。
【図9】図8のモールドの断面を示している図である。
【図10】本発明のまた別の実施形態によるモールドの断面を示している図である。
【図11】本発明のまた別の実施形態によるモールドの断面を示している図である。
【図12】本発明の1つの実施形態による、カテーテル上にステントを把持する方法を示しているフローチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にステントデリバリー装置、およびより詳細には、それに限られないが、バルーンカテーテルを把持するためのステントおよび前記ステントを作製するためのモールドに関する。
【背景技術】
【0002】
血管閉塞は、一般にはステントを使用するなどして、罹患した血管内の血流を機械的に増強することによって治療される。ステントは、罹患した血管の壁を物理的に開いておくために、そして所望であれば、拡張させるために機能する足場として作用する。典型的なステントは圧縮可能であるので、それらはカテーテルを介して小さな内腔に通して挿入し、次にそれらが所望の場所に達すると大きな径に拡張させることができる。ステントを開示している特許文献の例には、Palmazに発行された米国特許第4,733,665号、およびGianturcoに発行された米国特許第4,800,882号、およびWiktorに発行された米国特許第4,886,062号が含まれる。
【0003】
従来法では、ステントは、バルーンカテーテル上でステントをしっかりと所望の場所にクリンプし、クリンプされたステント/バルーンカテーテルの組み合わせを患者の脈管構造に通して所望の場所へ運ぶ工程によってデリバリーされる。クリンピングに代えて、または加えて、バルーンカテーテルはステントの内径に接触するように拡張される。所望の場所で、バルーンカテーテルは拡張させられ、それによって患者の動脈の内径に接触するようにステントを拡張させる。その後、バルーンカテーテルは、収縮させられて脈管構造から抜去される。
【0004】
ステントおよびカテーテルは患者の脈管構造を通って移動するので、ステントは、患者の脈管構造の小さな内腔を通過できるように小さな径を有していなければならない。ステントがカテーテルから時期尚早に取り外されないように、カテーテルへ確実に取り付ることが望ましい。またステントは、患者の脈管構造内の湾曲部を通って移動するのに十分な柔軟性を持つべきである。
【0005】
しかし、従来法のクリンピング技術は不均一となる場合があり、クリンプされたステント上に尖った辺縁を生じさせ、これはデリバリー中に患者の脈管構造を損傷させ、あるいは患者の脈管構造にぶつかることがある。さらに、クリンピングは、ステントの柔軟性を低下させることがあり、患者の脈管構造内の湾曲部を通してステントをデリバリーすることを困難にさせる。
【0006】
バルーンカテーテルがデリバリー前に拡張させられると、バルーンカテーテルはステントの過度の拡張を引き起こすことがあり、それにより患者の脈管構造に通して(例えば、硬い病変部を跨ぐように)ステントを運ぶことを困難にする。さらに、バルーンカテーテルの拡張によって、ステントの遠位端および近位端がステントの他の部分より大きく拡張して、上向きにテーパー状の辺縁を生じ、それらが患者の脈管構造内にぶつかり、結果としてデリバリー能力を減少させる可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上記に言及した欠陥を減少もしくは排除する、バルーンカテーテルへステントを把持するための改良された方法および器具が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の所定の実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントであって、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを含むことができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されて良い。
【0009】
本発明のまた別の実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントであって、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える部分を有するステントを含むことができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性が改善されるように構成されて良い。
【0010】
本発明の他の実施形態では、ステントのためのモールドは、モールド部材のモールド内腔(モールドボア、mold bore)の近位部内への突出部を有するモールド部材を含むことができる。この突出部は、デリバリーシステム上に装着されたステントの近位端でテーパー状の部分を成形するように構成することができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されて良い。
【0011】
本発明の追加の実施形態は、ステントのためのモールドであって、デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するように構成されたモールド内腔を備えるモールド部材を有し、前記モールド内腔は前記モールド内腔の近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記モールド内腔の遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するモールドを含むことができる。テーパー状の部分は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するための、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを容易にするための、ステントのテーパー状の部分を成形するように構成されて良い。
【0012】
本発明のまた別の実施形態では、ステントのためのモールドは、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える部分を有するモールド内腔を備えるモールド部材を含むことができる。変動する断面は、デリバリーシステム上に装着されたステントが変動する断面を有するように成形するように構成することができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性を改良することができる。
【0013】
本発明の非限定的かつ非包括的実施形態について以下の図面を参照して記載するが、図面における同様の参照数字は他に特別に規定しない限り様々な図面を通して同様の部分を表す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下の説明は、任意の当業者が本発明を作製および使用できるように提供されるものであり、そして特定の用途およびその要件との関連で提供されている。当業者には、実施形態についての様々な修飾は容易に明白である。本明細書に規定した一般的原理は、本発明の精神および範囲から逸脱せずに他の実施形態および用途に適用できる。そこで、本発明は本明細書に示した実施形態に限定することは意図されておらず、本明細書に開示した原理、特徴および教示と合致する極めて広い範囲が認められるはずである。
【0015】
用語「植込み型医療器具」は、自己拡張型ステント、バルーン拡張型ステント、ステントグラフト、およびグラフトを含むことが意図されている。本器具の構造パターンは、実質的に任意の設計であってもよい。ステントは、例えば、相互連結している構造素子およびストラットのパターンもしくは網目を含むことができる。図1は、ステント10の三次元画像の例である。ステントは、多数の相互連結している素子もしくはストラット15を含むパターンを有してもよい。本明細書に開示した実施形態は、図1に例示したステントもしくはステントパターンに限定されない。これらの実施形態は、他のパターンおよび他の器具へ容易に適用できる。パターンの構造における変化は、実質的に無制限である。図1に示したように、ステントの幾何学的形状もしくは形態は、その構造の全体にわたって変動する。
【0016】
一部の実施形態では、ステントは、チューブにストラットのパターンをレーザー切断する工程によってチューブから形成できる。ステントは、さらにポリマーもしくは金属シートをレーザー切断し、このパターンを円筒形ステントの形状に圧延加工し、そしてステントを形成するために長手方向溶接を提供する工程によって形成することもできる。ステントを形成する他の方法は周知であり、シートを化学エッチングし、圧延し、次にステントを形成するためにそれを溶接する工程を含む。ポリマーもしくは金属ワイヤーは、さらにステントを形成するためにコイル巻きすることもできる。ステントは、熱可塑性ポリマー材料の射出成形または熱硬化性ポリマー材料のRIM成形(reaction injection molding)によって形成できる。複合ポリマーのフィラメントは、押出成形または融解紡糸加工することができる。次いでこれらのフィラメントは、切断し、リング状素子に形成し、溶接により閉鎖し、波状にしてクラウンを形成することができ、そしてその後にクラウンを熱もしくは溶媒によって一緒に溶接するとステントを形成することができる。最後に、フープもしくはリングをチュービングストックから切断し、チューブ素子を打ち抜き加工してクラウンを形成し、そしてクラウンを溶接もしくはレーザー溶融によって結合してステントを形成することができる。
【0017】
さらに、植込み型医療器具は、器具を部分的もしくは完全のいずれかで生分解性ポリマーから製造することによって、植え込み後に分解するように構成することができる。ポリマーは、生体安定性、生体吸収性、生分解性、または生体侵食性であってもよい。生体安定性は、生分解性ではないポリマーに関する。用語「生分解性」、「生体吸収性」、および「生体侵食性」、ならびに「分解した」、「侵食した」、および「吸収した」は、互換的に使用され、血液などの体液に曝露されると完全に侵食もしくは吸収され得るポリマーを意味しており、身体によって徐々に取り込まれる、吸収される、および/または排出されることができる。
【0018】
さらに、生分解性器具は、例えば血管開存性を維持する、および/または薬物送達の意図された機能が達成されるまでの期間にわたって身体内に残留することを意図することができる。コーティング用途において使用される生分解性ポリマーについては、分解、侵食、吸収、および/または再吸収のプロセスが完了した後には、ポリマーはステント上には残留しない。一部の実施形態では、極めてわずかな痕跡もしくは残留物しか後に残らない。その期間は、典型的には6〜12カ月間の範囲内である。
【0019】
本明細書に開示した植込み型医療器具の実施形態を作製するために使用できるポリマーの代表的な例には、ポリ(N−アセチルグルコサミン)(キチン)、キトサン、ポリ(3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(4−ヒドロキシ酪酸)、ポリ(3−ヒドロキシ酪酸−co−3−ヒドロキシ吉草酸)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(グリコリド)、ポリ(L−乳酸)、ポリ(L−ラクチド)、ポリ(D,L−乳酸)、ポリ(D,L−ラクチド)、ポリ(L−ラクチド−co−D,L−ラクチド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリ(グリコリド−co−カプロラクトン)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリエステルアミド、ポリ(グリコール酸−co−トリメチレンカーボネート)、co−ポリ(エーテル−エステル)(例、PEO/PLA)、ポリホスファゼン、生体分子(例えば、フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲンおよびヒアルロン酸)、ポリウレタン、シリコーン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー、ポリアクリレート以外のアクリルポリマーおよびコポリマー、ハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ポリビニルエーテル(例えば、ポリビニルメチルエーテル)、ポリハロゲン化ビニリデン(例えば、ポリ塩化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン、ポリビニル芳香族化合物(例えば、ポリスチレン)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、アクリロニトリル−スチレンコポリマー、ABS樹脂、ポリアミド(例えば、ナイロン66およびポリカプロラクタム)、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン−トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロファン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、およびカルボキシメチルセルロースが含まれるが、それらに限定されない。本明細書に開示した植込み型医療器具の実施形態を作製する際に使用するために特に明確に適合する可能性があるポリマーの追加の代表的な例には、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般には一般名EVOHもしくは商標名EVALによって知られる)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(フッ化ビニリデン−co−ヘキサフルオロプロペン)(例、Solvay Solexis PVDF社(ニュージャージー州ソロフェア)から入手できるSOLEF 21508)、ポリフッ化ビニリデン(さもなければ、ATOFINA Chemicals社(ペンシルベニア州フィラデルフィア)から入手できるKYNARとして知られる)、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリ(酢酸ビニル)、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロックコポリマー、およびポリエチレングリコールが含まれる。
【0020】
さらに、器具は、コバルトクロム合金(ELGILOY)、ステンレススチール(316L)、高窒素含有ステンレススチール、例えば、BIODUR 108、コバルトクロム合金L−605、「MP35N」、「MP20N」、「ELASTINITE(ニチノール)」、タンタル、ニッケル−チタン合金、白金−イリジウム合金、金、マグネシウム、またはそれらの組み合わせなどであるがそれらに限定されない金属材料もしくは合金から製造することができる。「MP35N」および「MP20N」は、Standard Press Steel社(ペンシルベニア州ジェンキンタウン)から入手できるコバルト、ニッケル、クロムおよびモリブデンの合金に対する商標名である。「MP35N」は、35%のコバルト、35%のニッケル、20%のクロム、および10%のモリブデンからなる。「MP20N」は、50%のコバルト、20%のニッケル、20%のクロム、および10%のモリブデンからなる。
【0021】
上記で考察したように、ステントのデリバリーは、デリバリーシステムへのステントの確実な取り付けおよびステントの柔軟性によって促進される。小さなステント径を備える(しっかりとクリンプされた)小さな輪郭のステントは、確実な取り付けを可能にし、狭い内腔通路を通る移動を容易にする。しかし、ステントの輪郭を減少させると、ステントの柔軟性も減少する。反対に、大きなステント径を備える大きな輪郭のステント(拡張したステント)はより大きな柔軟性を可能にする。しかし、大きな輪郭は、狭い内腔通路を通る移動をより困難にさせる。
【0022】
小さな、および大きな輪郭のデリバリーに及ぼすマイナスの作用は、両方の大きな、および小さな輪郭区間を有するステントを使用することによって調整することができる。小さな輪郭の区間は確実な取り付けを促進し、大きな輪郭の区間は柔軟性を促進する。さらに、デリバリー中の先端もしくは前縁であるステント端部の場所もしくは近位の小さな輪郭の区間は、デリバリーを促進する際に特に役立つ可能性がある。少なくともこれらの特徴を有するステントなどの植込み型医療器具の様々な実施形態は、本明細書に開示されている。
【0023】
デリバリーシステム上に装着された、放射方向に拡張可能なステントなどの植込み型医療器具の所定の実施形態は、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを含むことができる。テーパー状の区間は、ステントのデリバリーシステムへの取り付けを改良するように適合させられてもよい。さらに、テーパー状の区間は、装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進できる。
【0024】
デリバリーを促進する工程には、内腔内の湾曲部周囲で器具が屈曲する能力を実質的に限定せずに内腔を通る器具の平滑な連絡を促進する工程を含むことができる。デリバリーを促進する工程は、デリバリーシステム上の器具の把持および取り付けを改良する工程をさらに含むことができる。器具のテーパー状部分は、デリバリーシステム上の器具の把持を強化する傾向を示すことがある。したがって、テーパー状区間は、デリバリーシステムからの器具の離脱を阻止もしくは防止することができる。
【0025】
1つの実施形態では、ステントの少なくとも一部分は、円形もしくは実質的に円形である横断面を有してもよい。デリバリーシステムは、例えば、ステントをデリバリーするためのバルーンカテーテルであってもよい。
【0026】
図示したように、図2は、遠位端および近位端各々でテーパー状区間230および240を有するステント220の軸方向断面を示している。ステント220は、図7におけるモールド600を用いてバルーンカテーテル210上に据え付けることができる。据え付けられたステント220は、ステント220の近位部230および遠位部240が、従来型ステントにおける直線状もしくは外向きテーパー方向ではなく内向きテーパー方向を示す輪郭を有する。
【0027】
したがって、ステント220は、デリバリー中に患者の脈管構造を通ってより容易に移動することができ、脈管構造に巻き込まれる、または脈管構造を損傷させる可能性が低くなる。さらに、ステント220の大多数は拡張した輪郭を有するので、ステント220はそれでもまた脈管構造内で湾曲部を追跡することができる。
【0028】
さらに、この輪郭は、ステント220がバルーンカテーテルを「ハグする」もしくは把持することもまた引き起こし、それによってステント220がデリバリー中に(バルーン210が収縮させられるまで)バルーンカテーテルに装着されたままとなる能力を増加させる。
【0029】
一部の実施形態では、デリバリーシステム上に装着された、ステントなどの植込み型医療器具は、前記ステントの近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端に向かって内向きにテーパーしている遠位部を有するステントを有することができる。テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するために適合させられてもよい。
【0030】
1つの実施形態では、器具は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパーしている輪郭を有してもよい。したがって、装着されたステントは、「矢状」形を有してもよい。図示したように、図3は、近位端に向かって内向きにテーパーしている近位部310を有するステント300を示している。ステント300は、矢状形を採用するために近位部から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしている区間320もまた有する。ステント300は、図9におけるモールド800を用いてバルーンカテーテル210上に据え付けることができる。
【0031】
上記に記載したように、ステントの先端もしくは前縁での小さな輪郭が特に有益である。デリバリーを促進するために、遠位端はデリバリー中の前縁であってもよい。「前縁」は、ステントの植込み中の移動方向に向かうステントの縁である。
【0032】
また別の実施形態では、近位部は、近位端と遠位端との間の中間点から近位端まで比較的均一に内向きにテーパーしてもよい。遠位部は、中間点から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしてもよい。
【0033】
説明図として、図4は、中間点440から比較的均一に内向きにテーパーしている近位部420および遠位部430を有するステント410を描出している。ステント410は、近位端および遠位端での最小値から中間点440での最高値へ徐々に増加する径を有する。中間点440は、例えば、ステントの近位端および遠位端との間のほぼ中ほどにあってもよい。ステント410は、図10におけるモールド1000を用いてバルーンカテーテル上に据え付けることができる。
【0034】
1つの実施形態では、その中間点で長さ約6mmおよび径約0.041インチであるステントの径は、遠位端および近位端では約0.037インチ〜約0.038インチの間の径を有してもよい。
【0035】
ステント220、300、および410の輪郭は、柔軟性を維持しながら、バルーンカテーテルへのステントのしっかりとした取り付けを促進する。さらに、ステントは、従来型ステントに比較して、両端での小さな径に起因して窮屈な内腔をより容易に移動することができる。さらに、本ステントは患者の脈管構造に巻き込まれたり患者の脈管構造を損傷させたりする可能性が低いが、これは本ステントには、バルーンカテーテル拡張後に従来型ステントが有していた上向きにテーパー状の端部がないためである。
【0036】
さらに別の実施形態では、デリバリーシステム上に装着されたステントなどの植込み型医療器具は、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える区間を有することができる。変動する断面は、装着されたステントのデリバリー中の柔軟性を改良するために適合させられてもよい。そのようなステントは、ピークおよび谷を備える「波状」輪郭を有してもよい。
【0037】
波状輪郭を有するステントの区間は、少なくとも1つの幅の広い領域と交互の少なくとも1つの幅の狭い領域を有してもよい。少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は、デリバリーシステムの表面と接触している。さらに、少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は、デリバリーシステムの表面と接触していなくてもよい。したがって、幅の狭い領域はステントがバルーンカテーテルを把持するのを可能にする。さらに、幅の広い領域は、装着されたステントが湾曲した、および/または幅の狭い脈管構造内を通過するにつれてステントが屈伸および屈曲することを可能にする。
【0038】
図5は、図11におけるモールド1100を用いて形成された変動する断面を備えるステント520を描出している。ステント520は、上述した長所を提供する波状の形状もしくは輪郭を有する。当業者には、ステント520が他の波状輪郭をとれることは理解される。例えば、この輪郭は追加の頂点および谷を含むことができる、および/または対称性であっても非対称性であってもよい。
【0039】
本明細書に記載した植込み型医療器具のためのモールドの様々な実施形態は、デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するために構成されているモールド内腔を有するモールド部材を含むことができる。モールド部材は、デリバリーシステムがモールド内腔を画定する内面の少なくとも一部分にステントの外面を拡張させた後にステントを成形することができる。
【0040】
モールド部材は、2つ以上のピースから構成されてもよい。一部の実施形態では、モールド部材は2つの半割型から構成されてもよい。各半割型は、器具保持溝を有してもよい。これらの溝は、2つの半割型が結合されるとモールド内腔を形成するように構成することができる。1つの実施形態では、モールドは、器具の成形中にモールドの開口を阻止もしくは防止するために採用されたロックを含むことができる。
【0041】
1つの実施形態では、モールド部材は、モールド部材のモールド内腔の近位部内への突出部を有してもよい。この突出部は、デリバリーシステム上に装着されたステントなどの植込み型医療器具の近位端でテーパー状の区間を成形するように構成することができる。上述したように、テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するために適合させられてもよい。
【0042】
また別の実施形態では、モールド部材は、ステントの遠位端内へテーパー状の区間を成形するためにモールド部材のモールド内腔の遠位部内への第2突出部を有してもよい。一部の実施形態では、突出部は、モールド内に配置された環を有する円筒形部材を含んでいてもよい。
【0043】
説明図として、図6は、例えば、図2においてステント220を成形できる本発明の実施形態によるモールド部材もしくはモールド600を示している図である。モールド600は分割モールドの形をなし、各々が半割型610aおよび610bの長手軸を各々走り下りる溝620aおよび620bを各々有する2つの半割型:610aおよび610bを有する。半割型610aおよび610bは、モールド600が1つの半割型の他の半割型に対する回転によって開閉するのを可能にするヒンジによって一緒に結合されている。ヒンジ615は、モールド600が閉鎖されたときの半割型610aおよび610bの適正なアラインメントを保証する。溝620aおよび620bは、バルーンカテーテル210(図2)およびステント220(図2)を適所に受け入れて保持するように構成されている。
【0044】
溝620aおよび620bは、ステント220の径より大きな径(例えば、径がおよそ0.045インチであるステントについて約0.003インチ超〜約0.048インチ超)を有するモールド600が閉鎖されるとモールド600を通るモールド内腔625(図7)を形成する。溝620aおよび620bは各々、ステント220の長さにほぼ適応するように間隔を空けている2つの半割ワッシャ650を含む。半割ワッシャ650は、溝620aおよび620b内に突出もしくは伸長する。
【0045】
バルーンカテーテル210が(内部空気圧によって)拡張させられると、バルーンカテーテル210はステント220の内面を押し、ステント220が溝620aおよび620bによって形成されたボア625の径に適合するように拡張することを引き起こす。しかし、半割ワッシャ650は溝620aおよび620b内へ伸長するので、ステント220の近位端および遠位端は、ステント220の残りと同一径(例えば、ボア625の径)へは拡張できない。
【0046】
したがって、ステント220は、成形後に、その近位端および遠位端の少なくとも一部分が内向きにテーパー状である輪郭を有する。テーパー状の内向き縁は、ステント220が脈管構造内の湾曲部の周囲で屈曲する能力を実質的に制限せずに患者の脈管構造を通してのステント220の平滑な連絡を促進する。さらに、テーパー状の末端はテーパー状ではない端部より良好にバルーンカテーテル210を把持する傾向を示し、バルーンカテーテル210が収縮する前にそれから離れることを阻止もしくは防止する。
【0047】
半割型610aは、バレルロッキング機構の第1部材630を含む。半割型610bは、バレルロッキング機構640aおよび640bの第2および第3部材を含む。部材630は、バルーンカテーテル210およびステント220が溝610aもしくは610b内に配置されてモールド600を閉鎖した後に、モールド600をロックするために部材640aおよび640bと共同して作動する。バレルロッキング機構は、バルーンカテーテル210が伸長しているときにモールド600が開口するのを阻止もしくは防止する。
【0048】
本発明のまた別の実施形態では、相違するロッキング機構を使用できる。さらに、半割型610aおよび610bは、ヒンジ615によって一緒に結合される必要がない。
【0049】
図7は、モールド600の断面を示している図である。モールド600を閉鎖すると、装着されたステント220が配置されるボア625を形成する。装着された220は、ステント220の遠位端が半割ワッシャ650の第1対とアラインメントしており、近位端が半割ワッシャ650の第2対とアラインメントしているように、半割ワッシャ650とアラインメントされる。同一モールドの半割型上の半割ワッシャ650は、装着されたステント220の長さにほぼ等しい長さの間隔をあけて離れている。半割ワッシャは、モールド600のボア内に数千分の1インチ伸長できる(例、約0.002〜約0.005インチ、より厳密には約0.003〜約0.004)。半割ワッシャは、約0.5mm〜約4mmの、またはステントの長さの半分よりわずかに短い幅を有してもよい。
【0050】
本発明の実施形態では、モールド600はステント220の一方の端部、好ましくはステント220の前縁(すなわち、ステント220の据え付け中に移動の方向に向かうステント220の縁部)に配置される一対の半割ワッシャ650しか含んでいない。したがって、ステント220は、ステント220のデリバリー性を促進する単一のテーパー状の端部を有する。
【0051】
ステント220が閉鎖されたモールド600のボア625内に配置されると、バルーンカテーテル210は加熱かつ拡張される。詳細には、バルーンカテーテル210は、バルーンカテーテル210を柔らかくし、それによって拡張を引き起こすために華氏約190°へ加熱される(サーモグリッピングと呼ばれる)。さらに拡張を引き起こすために、バルーンカテーテル210へ内圧が供給される。詳細には、カテーテル210の拡張を引き起こすために、約120PSI〜約330PSI、もしくはより厳密には約150PSI〜約290PSIを適用できる。
【0052】
バルーンカテーテル210の拡張は、バルーンカテーテル210がステント220の内径を押すことを引き起こす。バルーンカテーテル210の拡張は、ステント220の大部分がモールド600のボア625の径まで拡張することを引き起こす。半割ワッシャ650は、半割ワッシャ650とアラインメントしているステント220の端部がモールド600のボア625の径まで拡張することを防止する。ステント220の端部が半割ワッシャ650を押すにつれて、ステント220の端部は拡張するのを防止し、それにより内向きにテーパー状の端部を備えるステント輪郭を生じさせる。
【0053】
1つの実施形態では、モールド内腔は、モールド内腔の近位端に向けて内向きにテーパーしている近位部およびモールド内腔の遠位端へ内向きにテーパーしている遠位部を有してもよい。テーパー状の区間は、デリバリーシステムへのステントの取り付けを改良するため、ならびに装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを促進するステントのテーパー状の区間を成形するために適合させられてもよい。1つの実施形態では、モールド内腔は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。
【0054】
図8は、本発明のまた別の実施形態によるモールド800を示している図である。モールド800は、モールド800がワッシャ650ではなくむしろモールドブロック850を含むこと以外は、モールド600と実質的に類似である。詳細には、モールド800は、ヒンジ815によって一緒に結合された2つの半割型810aおよび810bを含む。半割型810aはモールドブロック850を有する溝820aを含んでおり、半割型810bはモールドブロック850を有する溝820bを含む。バレルロッキング機構830は、半割型810aに結合されている。機構830は、その中にステント520を配置した後にモールド800を閉じてロッキングするために、半割型810bに結合されているバレルロッキング機構840aおよび840bと共同して作用する。
【0055】
図9は、図3に描出したステント300を成形できるモールド800の軸方向断面を示している図である。モールドブロック850(およびバルーンカテーテル220が拡張した後に、結果として生じる図3に示したステント300)は、その中でモールドブロック850のモールド内腔855がボア855の近位端から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパーしている状形を有する。モールドブロック850のモールド内腔855の径は、遠位端から近位端へ徐々に増加する。
【0056】
ステントのデリバリーは、デリバリーの方向に向かうステントの端部としての遠位端を有することによって促進することができる。1つの実施形態では、遠位端もしくは先端は、約0.038インチの径を有してもよい。径は、近位端に近い点に向かって(例えば、6mmステントにおいて先端から約5.5mmで)約0.41インチの径へ増加してもよい。近位端では、径は(6mmステントにおいては近位端から約0.5mmから)約0.041インチから約0.038インチへ先細になってもよい。
【0057】
他の実施形態では、モールド内腔は、近位端と遠位端との間の中間点から近位端まで比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。モールド内腔もまた、中間点から遠位端へ比較的均一に内向きにテーパー状であってもよい。
【0058】
図10は、図4におけるステント410を成形するための本発明のまた別の実施形態によるモールド1000の断面を示している図である。モールド1000は、モールドブロック650がモールドブロック1050と置換されている以外はモールド600と実質的に類似する。モールドブロック1050のボア1055は、ボア1055の遠位端および近位端両方に向かってボア1055に沿ってほぼ中間点から内向きにテーパーしている。テーパーの傾斜は、モールド1000内でのステント420の拡張は、ステント420の中央部で最高径へ径を徐々に増加させながら近位端および遠位端でより小さな径を有するステント420を生じさせる。
【0059】
また別の実施形態では、モールド部材のモールド内腔は、近位部と遠位部との間のサイズが変動する断面を備える区間を有してもよい。変動する断面は、変動する断面を有するようにデリバリーシステム上に装着されたステントを成形するように構成することができる。変動する断面は、デリバリー中の装着されたステントの柔軟性を改良することができる。
【0060】
図11は、図5におけるステント520を成形するための本発明のまた別の実施形態によるモールド1100の断面を示している図である。モールド1100は、モールドブロック1150がモールドブロック650と置換されている以外はモールド600と実質的に類似する。モールドブロック1150は、ほぼステント520の長さである。モールドブロック1150のボア1155は、その全長に沿って変動する径を有し、小さな径の区間と交互に大きな径の区間を備える。図11に示したように、モールドブロック1150の内面は波状輪郭を有する。例えば、輪郭では、モールドブロック1150は正弦波の形状をとることができる。本発明の1つの実施形態では、モールドブロック1150のボア1155は3つの頂点および4つの谷を有することができ、谷は近位端および遠位端で発生する。
【0061】
図11では、モールドブロック1150はステントの全長(例えば、約6mm)に適合し、3つの頂点および4つの谷を特徴とするが、このとき2つの谷はステント520の近位端および遠位端とアラインメントしている。バルーンカテーテル210の拡張は、ステント520がモールドブロック1150のボア1155の形状をとることを引き起こす。例えば、ステント520は、柔軟性を維持してデリバリー能力を促進しながらバルーンカテーテル210へステント520を固定する波状輪郭を発生する。頂点と谷との間の高さの変動は、例えば、約0.001〜約0.005インチ、より厳密には約0.003〜約0.004のような数千分の1インチである。
【0062】
図12は、本発明の1つの実施形態による、カテーテル上にステントを把持する方法1200を示しているフローチャートである。第一に、ステントは、当業者には既知のように、カテーテル上に装着される(1210)。次に装着されたステントは、モールド(例、モールド600、800、1000もしくは1100)の溝内に配置され(1220)、ワッシャもしくはブロックとアラインメントされる。モールドは、次に閉鎖され(1230)、ロックされる。バルーンカテーテル210が柔らかくなり、このためにより容易に拡張するのを引き起こすために、バルーンカテーテル210に熱が加えられる(1240)。本発明の1つの実施形態では、熱は華氏約190°へ達してもよい。次に、バルーンカテーテル210は、例えば約120PSI〜約330PSI、またはより厳密には約150PSI〜約290PSIの内部空気圧を適用することによって拡張させられる(1250)。拡張中に、バルーンカテーテル210は拡張してステントを押し、ステントがモールドのボアの径に適合するまでステントの拡張を誘発する。次に、ステントはモールドの形状をとる。次に、装着されたステントは、モールドがアンロックされた後にモールドから抜去される(1260)。
【0063】
一部の実施形態では、熱がステントの拡張を促進できる。熱は、器具を拡張する前、および/または拡張中に器具および/またはデリバリーシステムに加えることができる。熱は、バルーンカテーテルなどのデリバリーシステム内へ加熱した流体をポンピングすることによって加えることができる。または、熱は、器具および/またはデリバリーシステムへ加熱した不活性気体(例、空気、窒素、酸素、アルゴンなど)を送風することによって加えることができる。
【0064】
本発明の特定の実施形態を示して説明してきたが、当業者には、その広範囲の態様において本発明から逸脱せずに変更および修飾を加えられることは明白である。このために、添付の特許請求項は、本発明の真の精神および範囲内に含まれるようにそのようなすべての変化および修飾をその範囲内に含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】ステントの図である。
【図2】図7のモールドを使用してバルーンカテーテル上に据え付けられたステントを示している図である。
【図3】図9のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図4】図10のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図5】図11のモールドを使用して形成されたステントを示している図である。
【図6】本発明の1つの実施形態によるモールドを示している図である。
【図7】図6のモールドの断面を示している図である。
【図8】本発明のまた別の実施形態によるモールドを示している図である。
【図9】図8のモールドの断面を示している図である。
【図10】本発明のまた別の実施形態によるモールドの断面を示している図である。
【図11】本発明のまた別の実施形態によるモールドの断面を示している図である。
【図12】本発明の1つの実施形態による、カテーテル上にステントを把持する方法を示しているフローチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デリバリーシステム上に装着された放射方向に拡張可能なステントであって、前記ステントの近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有し、前記テーパー状の部分は、前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けを改良するため、ならびに前記装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるよう構成されるステント。
【請求項2】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記近位部および前記遠位部の間で比較的均一に内向きにテーパーしている輪郭を有する、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記近位部は前記近位端および前記遠位端の中間点から前記近位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしており、および前記遠位部は前記中間点から前記遠位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
デリバリーシステム上に装着された放射方向に拡張可能なステントであって、近位部と遠位部との間で断面のサイズが変動する部分を含み、前記変動する断面は前記装着されたステントのデリバリー中の柔軟性が改善されるように構成されるステント。
【請求項7】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記部分は少なくとも1つの幅の広い領域と交互の少なくとも1つの幅の狭い領域を含み、前記少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は前記デリバリーシステムの表面と接触しており、および前記少なくとも1つの幅の広い領域の前記少なくとも1つの部分は前記デリバリーシステムの前記表面と接触していない、請求項6に記載のステント。
【請求項9】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項8に記載のステント。
【請求項11】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
モールド部材であって、前記モールド部材のモールド内腔の近位部内への突出部を有し、前記突出部はデリバリーシステム上に装着されたステントの近位端にテーパー状の部分を成形するように構成され、前記テーパー状の部分は前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けを改良するように、ならびに前記装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されるモールド部材を含むモールド。
【請求項12】
前記モールド部材のモールド内腔の遠位部内への第2突出部をさらに含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項13】
前記突出部は、前記モールド内に配置された環部を有する円筒形部材を含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項14】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項15】
前記モールド部材は2つの半割型を含み、各半割型はステントを保持する溝を有し、前記溝は前記2つの半割型が結合されると前記モールド内腔を形成するように構成されている、請求項11に記載のモールド。
【請求項16】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するために構成されたモールド内腔を含むモールド部材であって、前記モールド内腔は前記モールド内腔の近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記モールド内腔の遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有し、前記テーパー状の部分は、前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けが改善するための、ならびに前記装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを容易にするための、ステントにおけるテーパー状の部分を成形するように構成されているモールド部材を含むモールド。
【請求項17】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項16に記載のモールド。
【請求項18】
前記モールド部材は、前記デリバリーシステムが前記モールド内腔となる内面の少なくとも一部分へと前記ステントの外面を拡張させた後に前記器具を成形する、請求項16に記載のモールド。
【請求項19】
前記モールド内腔は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項16に記載のモールド。
【請求項20】
前記モールド内腔は前記近位端および前記遠位端の中間点から前記近位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしており、および前記モールド内腔は前記中間点から前記遠位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項16に記載のモールド。
【請求項21】
前記モールド部材は2つの半割型を含み、各半割型はステントを保持する溝を有し、前記溝は2つの半割型が結合されるとモールド内腔を形成するように構成されている、請求項16に記載のモールド。
【請求項22】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
近位部と遠位部との間で断面のサイズが変動する部分を有するモールド内腔を含むモールド部材であって、前記変動する断面は、デリバリーシステム上に装着されたステントが変動する断面を有するように成形するように構成され、前記ステントの変動する断面がデリバリー中の前記装着されたステントの柔軟性を改良するモールド部材を含むモールド。
【請求項23】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項22に記載のモールド。
【請求項24】
前記モールド部材は、前記デリバリーシステムが前記モールド内腔となる内面の少なくとも一部分へと前記ステントの外面を拡張させた後に前記器具を成形する、請求項22に記載のモールド。
【請求項1】
デリバリーシステム上に装着された放射方向に拡張可能なステントであって、前記ステントの近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記ステントの遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有し、前記テーパー状の部分は、前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けを改良するため、ならびに前記装着された器具の体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるよう構成されるステント。
【請求項2】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記近位部および前記遠位部の間で比較的均一に内向きにテーパーしている輪郭を有する、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記近位部は前記近位端および前記遠位端の中間点から前記近位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしており、および前記遠位部は前記中間点から前記遠位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
デリバリーシステム上に装着された放射方向に拡張可能なステントであって、近位部と遠位部との間で断面のサイズが変動する部分を含み、前記変動する断面は前記装着されたステントのデリバリー中の柔軟性が改善されるように構成されるステント。
【請求項7】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項6に記載のステント。
【請求項8】
前記部分は少なくとも1つの幅の広い領域と交互の少なくとも1つの幅の狭い領域を含み、前記少なくとも1つの幅の狭い領域の少なくとも1つの部分は前記デリバリーシステムの表面と接触しており、および前記少なくとも1つの幅の広い領域の前記少なくとも1つの部分は前記デリバリーシステムの前記表面と接触していない、請求項6に記載のステント。
【請求項9】
生体安定性および/または生分解性のポリマーを含む、請求項8に記載のステント。
【請求項10】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項8に記載のステント。
【請求項11】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
モールド部材であって、前記モールド部材のモールド内腔の近位部内への突出部を有し、前記突出部はデリバリーシステム上に装着されたステントの近位端にテーパー状の部分を成形するように構成され、前記テーパー状の部分は前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けを改良するように、ならびに前記装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーが容易となるように構成されるモールド部材を含むモールド。
【請求項12】
前記モールド部材のモールド内腔の遠位部内への第2突出部をさらに含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項13】
前記突出部は、前記モールド内に配置された環部を有する円筒形部材を含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項14】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項11に記載のモールド。
【請求項15】
前記モールド部材は2つの半割型を含み、各半割型はステントを保持する溝を有し、前記溝は前記2つの半割型が結合されると前記モールド内腔を形成するように構成されている、請求項11に記載のモールド。
【請求項16】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
デリバリーシステム上に装着されたステントを成形するために構成されたモールド内腔を含むモールド部材であって、前記モールド内腔は前記モールド内腔の近位端へ向かって内向きにテーパーしている近位部および前記モールド内腔の遠位端へ向かって内向きにテーパーしている遠位部を有し、前記テーパー状の部分は、前記デリバリーシステムへの前記ステントの取り付けが改善するための、ならびに前記装着されたステントの体腔内への、および体腔を通過するデリバリーを容易にするための、ステントにおけるテーパー状の部分を成形するように構成されているモールド部材を含むモールド。
【請求項17】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項16に記載のモールド。
【請求項18】
前記モールド部材は、前記デリバリーシステムが前記モールド内腔となる内面の少なくとも一部分へと前記ステントの外面を拡張させた後に前記器具を成形する、請求項16に記載のモールド。
【請求項19】
前記モールド内腔は、近位部と遠位部との間で比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項16に記載のモールド。
【請求項20】
前記モールド内腔は前記近位端および前記遠位端の中間点から前記近位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしており、および前記モールド内腔は前記中間点から前記遠位端に向かって比較的均一に内向きにテーパーしている、請求項16に記載のモールド。
【請求項21】
前記モールド部材は2つの半割型を含み、各半割型はステントを保持する溝を有し、前記溝は2つの半割型が結合されるとモールド内腔を形成するように構成されている、請求項16に記載のモールド。
【請求項22】
放射方向に拡張可能なステントのためのモールドであって、
近位部と遠位部との間で断面のサイズが変動する部分を有するモールド内腔を含むモールド部材であって、前記変動する断面は、デリバリーシステム上に装着されたステントが変動する断面を有するように成形するように構成され、前記ステントの変動する断面がデリバリー中の前記装着されたステントの柔軟性を改良するモールド部材を含むモールド。
【請求項23】
前記デリバリーシステムはバルーンカテーテルを含む、請求項22に記載のモールド。
【請求項24】
前記モールド部材は、前記デリバリーシステムが前記モールド内腔となる内面の少なくとも一部分へと前記ステントの外面を拡張させた後に前記器具を成形する、請求項22に記載のモールド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2008−535627(P2008−535627A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506524(P2008−506524)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012872
【国際公開番号】WO2006/110474
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/012872
【国際公開番号】WO2006/110474
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507135788)アボット カーディオヴァスキュラー システムズ インコーポレイテッド (92)
【Fターム(参考)】
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