説明

バーチャルキーボード及びオンスクリーンキーボード

【解決手段】ディスプレイ及びディスプレイコントローラを備えた装置に関する。ディスプレイコントローラは、装置のユーザーと装置との間の生体力学的関係が変更されるように、表示されたキーボードの配置を変更すべく構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバーチャルまたはオンスクリーンキーボードに関し、特に周期的または連続的に形状を変えるバーチャルまたはオンスクリーンキーボードに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの装置はキーボードを備えている。例えば、多くの携帯電話及び携帯端末(PDA)は一般的なクワーティ配列のキーボードを備える。これらの装置は、小さなフィジカルキーで構成されているフィジカルキーボードか、装置のディスプレイ画面に表示されたバーチャルキーボードのどちらかを有している。表示されたキーボードは、通常はタッチスクリーンキーボードとして具体化されている。
【0003】
既知のオンスクリーンキーボードは操作状況に合わせて変化する。換言すると、表示されるキーはアプリケーションに応じて変化する。既知のオンスクリーンキーボードは予測テキストに加えてホットゾーンを有していない。予測テキストエンジンは、どの語がタイプされるかを判定し、それから次に最も操作されやすいキー周りのホットゾーンを誇張する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今のオンスクリーンまたはバーチャルキーボードの制約のうちの1つは、その使用中、ユーザー自身と装置との生体力学的関係を変更することがキーボードに必要とされていないことである。
本発明の目的は、その形状を変えるバーチャルまたはオンスクリーンキーボードを提供することにある。開示されたキーボードは、装置とユーザーとの間の生体力学的関係を変更すべく、プログラムによってキーボードを再配置するように構成されている。
本発明の更なる特徴及び利点は、以下、添付図面を参照する例示的な実施形態の説明にて明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】バーチャルなオンスクリーンキーボードを有する装置を示した図である。
【図2】形状変更後の図1の装置を示した図である。
【図3】図1の装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ここでの開示はオンスクリーンまたはバーチャルキーボードに関する。オンスクリーンキーボードは、一般に携帯電話、PDA、タブレット型コンピュータなどに用いるタッチセンサキーボードであり、バーチャルキーボードは、一般に情報投影装置等の投影型データ入力キーボードであり、その入力は位置センサに頼っている。
このようなキーボードは、それらの形状を変更するように構成され、キーボードとユーザーとの間の生体力学的関係を変更させる。
【0007】
好ましくは、キーボードは、バーチャルであるかオンスクリーンであるかに拘わらず、図1に示すようなほぼ一直線に配列されたキー構成から、例えば、図2に示すようなV字形状や、逆V字形状、凹形状、またはこれらを組み合わせた代替のキー構成に、その形状を変更する。キーボードは潜在的に、無数の角度及び/又は半径で変化するように構成されている。オンスクリーンキーボードが二次元でのみ動くことが可能であるのに対し、バーチャルキーボードは三次元でも動くように構成されていることに留意すべきである。
【0008】
本発明は、クワーティ配列、ドボラック配列、数字キーパッドなどのあらゆるキーボードで作動するように構成されている。好ましい実施形態では、キーボードは複数の領域に分割されている。各領域は他の領域から独立して動くか、または別の領域の動きと連動して動くように構成されている。ユーザーの親指で使用するのに適した小型キーボードの場合には、上述した動きに加え、更にキーボードの一部が横方向に離間する。
【0009】
キーボードの領域は、使用時間、キーストロークのパターン、作業負荷、温度によって変化するか、または、ランダムな動きを示す。全体のキー配置及びキー間の位置関係は例えばクワーティキーボードを維持するようにして変わらないことに留意すべきである。好ましくは、キーボードの配置は人間工学的に快適な位置間にて変化する。キーボードの各キーの間隔及び位置の少なくとも一方のそれぞれの変化は微小であるのが好ましく、これにより、ユーザーに自身の手の再位置付けをもたらす変更をさせる。このようなユーザーの手の再位置付けは、例えば手根管症候群などの反復運動過多損傷(RSI)を回避できて好適である。
【0010】
図1はオンスクリーンキーボードを組み込んだ代表的な装置である。図示するように、装置10はディスプレイ11を有する。図示するように、ディスプレイには、横長の姿勢で標準的なクワーティ配列となるキーボードが設けられる。本発明の本質は縦長のディスプレイにも同様に適用される。キーボードは未調整状態で示されている。
【0011】
図2はキーボードが調整された後の装置10を示す。図示するように、キーボードは移動し、V字形状をなしている。しかしながら、如何なるの代替のキー配列が可能であることに留意すべきである。各キーは対称線20の周りを動く。線20は横向き向ディスプレイを2等分して示されているが、線20は現在の向きに対して垂直にすることもできる。更に、ここに示した状態からキー領域が変化するようにしても良い。或いは、キーボードを図示しない複数の小部分に分割し、これら小部分は適宜変化する。
【0012】
好ましい実施形態では、既存の装置がソフトウェアのアップデートを介し最新の状態に更新され、既存のキーボードはここで開示された位置可変のキーボードに置き換えられる。ソフトウェアは、装置のマイクロプロセッサで実行されように構成され、装置のディスプレイを制御する。更に、ソフトウェアはタッチスクリーンを介して入力されたデータを入力として受信する。このデータは、選択されたキーを判定するために既知のキー位置と関連付けられる。ソフトウェアはサーバを経てダウンロードされるか、または、記録媒体を介してインストールされる。
【0013】
図3は装置のブロック図である。図示するように、マイクロプロセッサ40はバス60に接続されている。また、バス60にはディスプレイ30及び入力装置50が接続されている。入力装置50は無線入力、スマートカード、メモリカードなどである。好ましい実施形態では、ディスプレイ30はタッチスクリーン機能を備えている。一実施形態では、装置は感熱性のディスプレイを備え、当該実施形態では、キー位置は、使用によって生じるタッチスクリーン上の温度差に基づき変化される。
【0014】
ユーザーが携帯通信装置で交信するとき、複数の機能のうちの1つが起動し、この機能はオンスクリーンまたはバーチャルのキーボードを用いて、ユーザーの交信を監視する。時間、圧力、キーストローク、温度などの1つに関し、その少なくとも一部に基づいてキーボードの表示が変化し、これにより、ユーザーと装置との生体力学的関係の変化をもたらす。キーボード表示は所定またはランダムなパターンで変化する。このパターンが全体としての各キーの位置関係を変えるものではないことに留意すべきである。換言すると、隣接するキーの位置は変化することがなく、これにより、ユーザーが一度、生体力学的関係を調整すれば、タッチタイピングに影響が及ぶことはない。
【0015】
ここで、本発明は、機能ブロックの構成要素、コードリスト、任意の選択及び様々な処理工程に関して説明されるべきかもしれないが、このような機能ブロックは、特定の機能を実行するように構成された様々なハードウェア及び/又はソフトウェア構成によって実現可能であることを認識すべきである。例えば、本発明は、様々な集積回路部品、例えば、記憶素子、処理素子、論理素子、参照テーブルなどを使用でき、これらの素子は1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御装置の制御下で様々な機能を実行する。
【0016】
同様にして、本発明のソフトウェア要素は、例えば、C、C++、C#、ジャバ、コボル、アセンブラ、パールなどでの如何なるプログラミングまたはスクリプト言語によって実現でき、ここでは、種々のアルゴリズムがデータ構造、オブジェクト、プロセス、ルーチン、または他のプログラミング要素の如何なる組み合わせでもって実現されている。
【0017】
更に、本発明は、データ伝送、信号伝達、データ処理、ネットワーク制御などのための様々な従来技術を使用できることに留意すべきである。ここに示され且つ説明されている特定の実施形態が本発明、つまり、その最良の形態の一例に過ぎず、本発明の範囲を何ら制限するものでないことを認識すべきである。実際上、説明の簡略化を図るため、ここでは、通常のデータネットワーク、アプリケーション開発及びシステムの他の機能面(そして、システムにおける個々の作動構成要素)について詳しく説明していない。
【0018】
更に、本発明の図に示された接続線は、様々な要素における代表的な機能関係及び/又は、物理的またはバーチャル的な結合を表すことを意図している。多くの代替的または付加的な機能関係、または、物理的またはバーチャル的な接続は、実際上の電子データ通信システムに存在することに留意すべきである。
【0019】
当業者に認識されているように、本発明は、方法、データ処理システム、データ処理装置及び/又はコンピュータプログラム製品によって具体化できる。従って、本発明は、その全体がソフトウェア又はハードウェアで具体化された形態、又は、ソフトウェア及びハードウェアの両方を組み合わせて具体化された形態をなすこともできる。更にまた、本発明は、コンピュータ可読の記憶媒体に格納されたコンピュータプログラム製品という形態であっても良く、記憶媒体は記憶媒体内にて具体化されたコンピュータ可読のプログラムコード手段を有する。ハードディスク、CD−ROM、光学式記憶装置、磁気記憶装置などを含んだあらゆるコンピュータ可読の適切な記憶媒体を利用できる。
【0020】
本発明は、様々な状況に従い、方法、装置(例えばシステム)及びコンピュータプログラム製品を表すブロック図及びフローチャートを参照して以下に説明される。ブロック図の各機能ブロックやフローチャート、そして、ブロック図の機能ブロックとフローチャートとの組み合わせがそれぞれ、コンピュータプログラム指令によって実行可能であるということは理解されるものと考える。これらのコンピュータプログラム指令は、機械を製造するための汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置において読み込まれ、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上にて実行される指令は、1つ以上のフローチャートブロックに特定される機能を実行するための手段をなす。
【0021】
また、これらのコンピュータプログラム指令はコンピュータ可読の記憶媒体に記憶でき、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に特有の機能を果たさせるべく命令し、これにより、コンピュータ可読の記憶媒体に記憶された指令は、フローチャートの1つ以上のブロックでの特定の機能を実行する指令方法を含んだ手続を作り出す。
【0022】
また、コンピュータプログラム指令はコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に読み込まれて、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置にて一連の操作手順を実行させ、こうして、コンピュータ実行処理が行われる。ここでのコンピュータ実行処理では、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置において実行される指令がフローチャートの1つ以上のブロックでの特有の機能を実行するための手順を提供する。
【0023】
従って、ブロック図の機能ブロック及びフローチャートは、特有の機能を実行する手段の組み合わせ、特有の機能を実行するための手順の組み合わせ、そして、特有の機能を実行するためのプログラム指令手段の根拠を示す。また、ブロック図の各機能ブロック及びフローチャートや、これら機能ブロック及びフローチャートの組み合わせがそれぞれ、特有の機能または手順を実行する専用のハードウェアベースのコンピュータシステム、または、専用ハードウェアとコンピュータ指令との適切な組み合わせの何れかによって実行可能であることは理解されるものと考える。
【0024】
また、当業者は、安全上の理由から、本発明での如何なるデータベース、システム、または構成要素が1箇所または複数箇所にあるデータベース、または、構成要素の如何なる組み合わせからなることを認識し、ここで、各データベースまたは各システムは例えばファイアーウォール、アクセスコード、暗号化、復号化、データ圧縮、データ解凍のなどの様々且つ適切な安全機能の何れかを含んでいる。
【0025】
上述した装置を実現するためのプログラムを記憶する記録媒体は、コンピュータまたはプロセッサによって読み込み可能なプログラミング言語で上述した装置の機能をプログラムし、そして、このプログラムを例えば上述した媒体に格納することで得られる。
ハードディスクドライブを備えるサーバは記録媒体として用いることができる。また、上述したコンピュータプログラムをサーバのハードディスクに記憶し、そして、ネットワークを介して他のコンピュータにより前記コンピュータプログラムを読み込むことによっても、本発明を実現可能である。
【0026】
コンピュータ処理装置として、コンピュータプログラムに従って演算を実行するのに適切な如何なる装置を使用可能である。このような装置の例としてパーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、マイクロプロセッサ、プログラム可能な論理デバイス、または特定用途向け集積回路が挙げられる。
【0027】
このように、本発明における基本的且つ新規な特徴は好適な実施形態に適用して記述されているが、図示した装置の形態や詳細については、様々な削除、代替及び変更が本発明の要旨を逸脱することなく当業者によって実施可能であることは理解されるものと考える。例えば、同一の結果を得るために実質同一の方法で実質同一の機能を形成する要素及び/又は方法手順の全ての組み合わせが本発明の範囲内に含まれることは明らかである。
【0028】
更に、本発明にて開示された形態、つまり、その実施形態に関連して開示及び/又は記載された構造及び/又は要素及び/又は方法手順が一般的な設計上の選択事項として、他に開示、記載又は提案された如何なる他の形態、つまり、他の実施形態に組み込み可能であることを認識すべきである。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限されるべきものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイを制御するディスプレイコントローラとを備えた装置において、
前記ディスプレイコントローラは、前記ディスプレイの物理的な位置変更や前記装置の物理的な変形によらず、前記装置のユーザーと前記装置との間の生体力学的関係を変更するようにキーボードの配置を変更すべく構成されることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ディスプレイはタッチスクリーンディスプレイであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
表示された前記キーボードの配置は、V字形状パターン、凸形状パターン、凹形状パターンの少なくとも1つに変化することを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記パターンは対称線周りに対称であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記パターンは対称線周りに非対称であることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記パターンは、キーストローク、プログラム使用、温度、時間の少なくとも1つに応じて変化されることを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記キーボードは、前記対称線に沿って互いに分離される部分を有することを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項8】
表示された前記キーボードは複数の部分に分割され、該複数の部分はそれぞれ前記ディスプレイ上にて位置が変更されることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記キーボードの前記複数の表示部分の各々は前記ディスプレイ上にて互いに関連して移動されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記キーボードの前記複数の表示部分の各々は、表示された前記キーボードの他の表示部分の位置を考慮することなく前記ディスプレイ上にて移動されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記ディスプレイはバーチャルディスプレイであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項12】
キーボードを第1表示モードで表示する工程と、
前記キーボードを第2表示モードで表示する工程とを備え、
前記第1表示モードから前記第2表示モードへの変化は、表示されたキーボードを使用するにあたり、ユーザーに生体力学的関係の変化をもたらし、
前記第1表示モードから前記第2表示モードへの変化は、使用時間、キーストロークの累積量、温度の1つに関し、その少なくとも一部に基づくことを特徴とするキーボードの表示方法。
【請求項13】
前記キーボードはタッチスクリーンディスプレイに表示されることを特徴とする請求項12に記載のキーボードの表示方法。
【請求項14】
前記第2表示モードは前記第1表示モードに対してV字形状をなすことを特徴とする請求項13に記載のキーボードの表示方法。
【請求項15】
前記第2表示モードは対称線周りにV字形状をなすことを特徴とする請求項14に記載のキーボードの表示方法。
【請求項16】
前記第2表示モードは前記第1表示モードに対して凹形状及び凸形状の少なくとも1つをなすことを特徴とする請求項13に記載のキーボードの表示方法。
【請求項17】
前記ディスプレイはバーチャルディスプレイであることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第2表示モードは、前記第1表示モードに対し、前記ディスプレイ上にて移動された前記キーボードの部分を表示することを特徴とする請求項13に記載のキーボードの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−509464(P2011−509464A)
【公表日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−541554(P2010−541554)
【出願日】平成21年1月5日(2009.1.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/000023
【国際公開番号】WO2009/088972
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510132462)エルゴワークス インターナショナル, エルエルシー. (5)
【氏名又は名称原語表記】ERGOWERX INTERNATIONAL, LLC.
【住所又は居所原語表記】39 Park Place Suite 201, Englewood, NJ 07631, U.S.A.
【Fターム(参考)】