説明

パウチの検査片切り取り装置

【課題】基台に立設した2本のリニアシャフトに摺動自在にスライド台を設け、ネジ棒の上端のハンドルを回転することにより、スライド台が降下し、スライド台の下端に固定した刃部取付部から突出させた鋭利な刃部を有するスペーサーを介装した一対の切断刃で切断するもので、平行な2面を有し且つスペーサーの厚みの検査片を容易に誰でもが切り取ることができる。
【解決手段】基台1に固定されたパウチ載置台2と、基台1に立設したリニアシャフト3と、リニアシャフト3を貫通させたリニアシャフト用孔4aとネジ孔4bとを形成したスライド台4と、リニアシャフト3を固定した上方枠体5と、上方枠体5に貫設した貫通孔5aと、貫通孔5aに貫通させハンドル6を固定すると共にネジ孔4bに螺合させたネジ棒7と、スライド台4に固定した刃部取付部8とを備え、刃部取付部8から突出させた一対の切断刃9を取着し間には板状のスペーサー10を介装させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチの不良箇所の不良の要因を検査するための検査片の切り取り装置に関するものであり、更に詳細には、調味料や食品、化粧品、洗剤等の液体又は粉体をシート状のフィルムの間に収納したパウチ商品は各産業で多用されており、万全を期して製造しているが不良品は必ず発生するもので、その発生に伴って不良の原因の究明をするための検査片の切り取り装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のパウチの不良は有っては成らないことであり、単に、充填物の漏出だけでなく、エンドユーザーにわたった商品でも微細な不良箇所から細菌が侵入して変質したり、湿気が侵入して粉体が固まったりして、社会問題にも成りかねない重要な問題を含んでいるため、パウチの不良が発生した場合、徹底的にその発生原因を追求把握して要因を無くすることが必要であり、その為には、パウチの不良箇所を切り取って検査片を作り、その検査片の切断面を顕微鏡で拡大して観察して、フィルム材料に原因があるのか、熱溶着の温度に原因があるのか、熱溶着する装置に原因があるのか等を突き止めていた。
【0003】
然し乍ら、顕微鏡で拡大して観察できる検査片は極薄で且つ正確に平行な2面を有するようにフィルム面に対して直角に切り取るもので、その作業は熟練と細心の注意を要しており、特に、検査のためのパウチが数ある場合は問題がないものの、単数の場合失敗が許されず苦慮している実情であり、2枚の鋭利な剃刀のような刃物を用いて切り取るものであるが、少しでも押して切ったり引いて切ったりすると、切断面にダメージを与え不良原因の検査結果が正確に診断できず、また、検査片が厚く成ると顕微鏡での観察が困難なものと成っていた。
【0004】
その為に、先に開示されているものは、検査対象となるレトルトパウチ2の2値化画像の抽出処理を行い(S1)、輪郭で囲む部分を不良領域と特定し(S2)、不良画像を面積を測定し、合計面積Sを決定し(S3)、合計面積Sが基準面積S0を超えるか否かを判定し(S4)、S4で肯定判定なら対応する不良排出指令信号を生成し、排出装置10に出力し(S5)、不良品を排出する。密着検査装置14は、搬送通過中の被検体であるレトルトパウチ2の表面を第1電極11で連続的に接触しながら、被検体に電圧を印加し、その印加電圧を受ける第2電極12と、これらを構成する回路中の電気的変化を捉えてピンホール他のシール不良を検出検査するもの(特許文献1参照)や、検出ローラ50a,50bによってパウチ3を挟み込み、パウチ3の表面に電極を接触させながら検出を行うため、ピンホール又はシール不良箇所から漏洩する内容物が、通常は絶縁されている電極間に付着して電極を備えた回路を短絡させ、これによって生じる電気的変化により内容物の漏洩を検出するもの(特許文献2参照)や、所定の電気回路定数を持ったアンテナコイル10とコンデンサ11(導電板部8、絶縁性チップ9、アンテナコイル10)とからなり所定の共振周波数が得られる共振回路が形成された無線タグを、重ね合わせたシートの間(各側壁部2,3の間、および、側壁部2と底壁部4の間)のシール部に設けると共に、該無線タグに所定の共振周波数の電磁波を送信し、該送信電磁波に応じて無線タグから返信される所定の共振周波数の返信電磁波を検出することで、該返信電磁波を検出できない場合にはシール部が不良であると判定するもの(特許文献3参照)等が開示されている。
【特許文献1】特開2005−241302号公報
【特許文献2】特開2008−128828号公報
【特許文献3】特開2008−165418号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然し乍ら、前述の開示されている特許文献1−3は夫々パウチのシール部分の不良を検出するための大がかりな装置であり、不良箇所の位置は検出できるものの、その原因を突き止めることはできないもので、課題は解決しないものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記課題に鑑み、鋭意研鑽の結果、これらの課題を解決するもので、パウチの不良箇所の検査片の切り取り装置であって、基台と、基台に固定されたパウチ載置台と、基台の両側辺に立設した2本のリニアシャフトと、リニアシャフトを摺動自在に貫通させたリニアシャフト用孔と中央にネジ孔とを形成したスライド台と、リニアシャフトの上方を固定した上方枠体と、上方枠体の中央に貫設した貫通孔と、貫通孔に貫通させハンドルを固定すると共にスライド台のネジ孔に下方を螺合させたネジ棒と、スライド台に固定した刃部取付部と、を備え、刃部取付部から下方に且つ平行に突出させて鋭利な刃部を有する一対の切断刃を着脱可能に取着し、一対の切断刃の間には板状のスペーサーを介装させたものであり、更に、一対の切断刃の鋭利な刃部は片刃とすると共に、片刃の刃先を近接させた背中合わせとしたものである。
【発明の効果】
【0007】
前述の如く構成した本発明のパウチの検査片切り取り装置は、基台に立設した2本のリニアシャフトに摺動自在にスライド台を設け、ネジ棒の上端のハンドルを回転することにより、スライド台が降下し、スライド台の下端に固定した刃部取付部から突出させた鋭利な刃部を有するスペーサーを介装した一対の切断刃で切断するもので、平行な2面を有し且つスペーサーの厚みの検査片を容易に誰でもが切り取ることが可能としたもので、画期的で実用性の高い有効な発明である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のパウチの検査片切り取り装置の実施の形態を図面によって具体的に説明すると、図1は本発明のパウチの検査片切り取り装置の実施例の概要正面図であり、図2は本発明のパウチの検査片切り取り装置の実施例の要部拡大説明図である。
【0009】
本発明は、パウチAの不良箇所Aaの不良の要因を検査するための検査片の切り取り装置に関するものであり、更に詳細には、調味料や食品、化粧品、洗剤等の液体又は粉体をシート状のフィルムの間に収納したパウチ商品は各産業で多用されており、万全を期して製造しているが不良品は必ず発生するもので、その発生に伴って不良の原因の究明をするための検査片の切り取り装置に関するものであり、請求項1に記載のパウチの検査片切り取り装置は、液体や粉体を充填しシート状のフィルムを熱溶着したパウチAの不良箇所Aaの検査片の切り取り装置であって、基台1と、該基台1の上面に固定されたパウチ載置台2と、前記基台1の両側辺に立設した2本のリニアシャフト3と、該夫々のリニアシャフト3を摺動自在に貫通させた夫々のリニアシャフト用孔4aと中央にネジ孔4bとを形成したスライド台4と、前記夫々のリニアシャフト3の夫々の上方を固定した上方枠体5と、該上方枠体5の中央に貫設した貫通孔5aと、該貫通孔5aに貫通させ上端にハンドル6を固定すると共に前記スライド台4の前記ネジ孔4bに下方を螺合させたネジ棒7と、前記スライド台4の下面に固定した刃部取付部8と、を備え、前記刃部取付部8から下方に且つ平行に突出させて鋭利な刃部を有する一対の切断刃9を着脱可能に取着し、前記一対の切断刃9の間には板状のスペーサー10を介装させたことを特徴とするものである。
【0010】
更に、請求項2に記載のパウチの検査片切り取り装置は、請求項1に記載のパウチの検査片切り取り装置において、前記一対の切断刃9の鋭利な刃部は片刃とすると共に、該片刃の刃先9aを近接させた背中合わせとしたことを特徴とするものである。
【実施例】
【0011】
即ち、本発明のパウチの検査片切り取り装置を用いるパウチAは、表側と裏側とのポリエチレン等のシート状のフィルムから成る袋状もので、内部には液体や粉体が充填されているもので、解放辺は表側と裏側とのフィルムを熱溶着しているものである。
【0012】
そして、図1に図示するように、パウチの検査片切り取り装置の基台1は、テーブル等の上面に安定して乗載できる下面が平坦面の台であり、中央辺には後述するパウチ載置台2を固定し、両端辺には夫々後述するリニアシャフト3を立設させるものである。
【0013】
次に、パウチ載置台2は、基台1の上面に固定され不良箇所Aaを含むパウチAを安定して載置でき、上面が平坦なもので、後述する切断刃9の刃受台と成るもので、若干の弾性を有する材料で形成されることが好適なものである。
【0014】
次いで、リニアシャフト3は、基台1の両側辺に夫々立設するもので、後述するスライド台4のリニアシャフト用孔4aに貫通されるもので、スライド台4を正確に加工させるように表面精度を高くしており、上方は後述する上方枠体5で固定しているものである。
【0015】
更に、スライド台4は、夫々のリニアシャフト3を摺動自在に貫通させるための夫々のリニアシャフト用孔4aを両端辺に穿設すると共に、中央辺には後述するネジ棒7が螺合するネジ孔4bを螺設しているものである。
【0016】
更には、上方枠体5は、両端を夫々のリニアシャフト3の夫々の上方と固定しており、基台1と両側のリニアシャフト3と上方枠体5とで枠体を構成しているものである。
【0017】
加えて、貫通孔5aは、上方枠体5の中央に貫設しているもので、貫通孔5aには後述するネジ棒7の上方のネジが形成されていない丸棒部位7aを貫通させて、ネジ棒7の回転を可能としているものである。
【0018】
次に、ネジ棒7は、上方にハンドル6を取着すると共に上方枠体5の貫通孔5aに回転可能に貫通させる丸棒部位7aと、該丸棒部位7aとフランジ状の段部を介して拡径させた下方の胴周にネジを螺設させたネジ部位7bから成り、ネジ部位7bはスライド台4のネジ孔4bに螺設されたネジと螺合させているものである。
【0019】
次いで、刃部取付部8は、スライド台4の下端に固定されているもので、後述する一対の切断刃9を取着するものである。
【0020】
そして、一対の切断刃9は、少なくとも鋭利な刃部を刃部取付部8の下面から下方に突出させているもので、且つ、一対の切断刃9は僅かな隙間を有して平行にして刃部取付部8に取着しているものであり、実施例では、刃部取付部8に下方に開口させた凹溝を形成し、水平方向に切削刃固定用ネジを凹溝に出没させるための切断刃9固定用ネジ孔を設けているもので、つまり、一対の切断刃9の間に後述するスペーサー10を介装させて凹溝に挿通させて切削刃固定用ネジを回動させることで取着できるものである。
【0021】
更に、板状のスペーサー10は、一対の切断刃9の間に刃先9aから一定の距離を置いた上方に介装させて、一対の切断刃9の刃先9aの間隙を維持させているもので、つまり、スペーサー10の厚みはパウチAの不良箇所Aaの検査片の切り取り幅となるものである。
【0022】
更には、切断刃9の鋭利な刃部は図2に図示するように片刃とするもので、片刃は切断刃9の刃部の刃先9aから他面に鋭角的に傾斜させて形成したものであり、一対の切断刃9は夫々の傾斜面が外側を向くように刃先9aを背中合わせとするものである。
【0023】
本発明のパウチの検査片切り取り装置の使用方法は、パウチ載置台2に不良箇所Aaを有するパウチAを載置し、上端に設けたハンドル6を回動させるとネジ棒7が共に回動をし、ネジ棒7が回動することによりネジ棒7と螺合させたネジ孔4bとの作用によりスライド台4が下方にリニアシャフト3に従って正確に且つ下方にスライドするものである。
【0024】
そして、スライド台4のスライドにより下面に固定した刃部取付部8から突出したスペーサー10の幅の間隙を有した一対の切断刃9により垂直に且つ平行に、極薄の検査片を正確に切り取れるものである。
【産業上の利用可能性】
【0025】
前述の如く構成した本発明のパウチの検査片切り取り装置は、基台に立設した2本のリニアシャフトに摺動自在にスライド台を設け、スライド台の下端に固定した刃部取付部から突出させた鋭利な刃部を有する一対の切断刃で、スペーサーを介装して切断するもので、スペーサーの厚みの検査片を容易に誰でもが切り取ることが可能な、パウチの検査片切り取り装置を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は本発明のパウチの検査片切り取り装置の実施例の概要正面図である。
【図2】図2は本発明のパウチの検査片切り取り装置の実施例に要部拡大説明図である。
【符号の説明】
【0027】
A パウチ
Aa 不良箇所
1 基台
2 パウチ載置台
3 リニアシャフト
4 スライド台
4a リニアシャフト用孔
4b ネジ孔
5 上方枠体
5a 貫通孔
6 ハンドル
7 ネジ棒
7a 丸棒部位
7b ネジ部位
8 刃部取付部
9 切断刃
9a 刃先
10 スペーサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体や粉体を充填しシート状のフィルムを熱溶着したパウチの不良箇所の検査片の切り取り装置であって、基台と、該基台の上面に固定されたパウチ載置台と、前記基台の両側辺に立設した2本のリニアシャフトと、該夫々のリニアシャフトを摺動可能に貫通させた夫々のリニアシャフト用孔と中央にネジ孔とを形成したスライド台と、前記夫々のリニアシャフトの夫々の上方を固定した上方枠体と、該上方枠体の中央に貫設した貫通孔と、該貫通孔に貫通させ上端にハンドルを固定すると共に前記スライド台の前記ネジ孔に下方を螺合させたネジ棒と、前記スライド台の下面に固定した刃部取付部と、を備え、前記刃部取付部から下方に且つ平行に突出させて鋭利な刃部を有する一対の切断刃を着脱可能に取着し、前記一対の切断刃の間には板状のスペーサーを介装させたことを特徴とするパウチの検査片切り取り装置。
【請求項2】
前記一対の切断刃の鋭利な刃部は片刃とすると共に、該片刃の刃先を近接させた背中合わせとしたことを特徴とする請求項1に記載のパウチの検査片切り取り装置。

【図1】
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【図2】
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