説明

パウチ容器

【課題】サイドシール部を折り返したパウチ容器において、内容物の注出時にそのサイドシール部の折り返し部を容易に折り畳んだり、巻き上げたりすることができるパウチ容器を提供すること。
【解決手段】可撓性フィルム材からなるパウチ素材2、3の辺縁部のシール部5、6においてシールしてパウチ素材の間に内容物を充填するための空室を形成し、シール部5、6の少なくとも一部分を折り目線でパウチの中央寄りに折り返した折り返し部26を形成し、折り返し部26にシール部の他の部分よりもシール部の剛性を弱めた弱化部27を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパウチ容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パウチ容器は変形可能な袋状の軟質容器であって、液体内容物を収容する容器として、ボトルなどの硬質容器とともに多く、生産され、使用されている。
パウチ容器は可撓性のフィルム状材料からなる正面片と背面片を辺縁部でサイドシールして内容物充填用の空室を持つ胴部を構成し、さらにパウチ容器の他の種類においては、底部も底面片を二つ折にして、正面片と背面片の間に挟み込んで辺縁部でヒートシールして展開可能な底部を構成した自立性のあるスタンディングパウチを構成する。
こうして構成されるパウチ容器は一般には液体などの内容物、例えば洗剤、漂白剤、柔軟剤、洗濯糊、シャンプー、リンス、あるいは食用油、醤油、ソース、ドレッシング、飲料水など、を収納する。
【0003】
このパウチ容器には次のような問題点が指摘されている。
まずパウチ容器をスタンディングパウチとして構成した場合、スタンディングパウチは、液体などの内容物などを充填した状態で、底部を下にした起立状態で店頭等に展示されるのであるが、構成する正面片や背面片がフィルム状の可撓性の高い素材で構成されているので、パウチ容器自体の剛性が低く、起立した状態で姿勢が保ちにくく、展示状態において立ち姿がゆがんだり、頭部が垂れ下がったりすることがある。
【0004】
次にパウチ容器周縁部のサイドシール部はシールの際に加熱されているので、冷却固化した状態では硬度がきわめて高く、またこのサイドシール部は製造工程においてカットされるので、鋭いエッジをなし、パウチを手で持った際の感触が鋭くて、不快である場合もあり、また掌を傷つける恐れもある。
そこでこの特許出願の出願人はこれらの問題点を解決した新たなパウチ容器を提案した。
【0005】
【特許文献1】PCT/JP2007−062957
【特許文献2】特開2001−055246
【特許文献3】特開2001−002089
【0006】
すなわち特許文献1にはサイドシール部分よりも中央寄りの容器胴部分に折り返しを設けたパウチ容器が示されている。
このパウチ容器では図14、図15に示すように可撓性フィルム材からなるパウチ素材2、3の辺縁部のシール部5、6においてシールして前記パウチ素材の間に内容物を充填するための空室10を形成するパウチ容器100において、前記シール部の少なくとも一部分に沿って前記シール部の直近の前記空室のパウチ素材を折れ目線23で折り返した折り返し部を形成してなるものであって、サイドシール部が折り返されてパウチ容器胴部に重ねられる状態となり、パウチ容器胴部とサイドシール部が三次元的な立体的な配置関係になるので、パウチ容器胴部とサイドシール部との総体の曲げ剛性が大きくなり座屈に対する剛性が大きくなる。また折り返しの半円形断面をもつ折れ目線23が、パウチ容器の最外縁となるので、このパウチ容器を握る操作者の掌をエッジが傷つける恐れもなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかるにこれらのパウチ容器の内容物が半固形のゲル状の内容物である場合には、内容物の注出にともなってパウチ容器の胴部を注出口まで折り畳んだり巻き上げながら、内容物を押し出す操作が行われる場合がある。
【0008】
しかるにサイドシール部を折り返したパウチは前述の利点を有する一方で、折り返したサイドシール部が折り曲げに対する剛性を発揮するので、胴部の折り畳みや巻き上げがしづらくなり、このことは内容物を注出する操作がやりづらくなり、また、内容物を注出した後に空のパウチ容器を廃棄する場合にもパウチ容器を広い表面積をもつ原形状のまま取り扱かわなければならないので、廃棄が煩わしくなる。
【0009】
サイドシール部を折り返さない従来のパウチ容器では内容物の注出時に容器胴部を折り畳んだり、巻き上げたりすることを可能にしたものがある。(特許文献2、特許文献3参照)。
【0010】
これは容器胴部に巻き上げ方向に垂直な横方向に、一本または複数本のスコアー等の弱め線や折り曲げ案内線を設けたものである。
しかしパウチ容器のサイドシール部が折り返された部分の曲げに対する剛性はパウチ容器胴部の曲げに対する剛性よりも格段に大きいので、上記の特許文献1や特許文献2に示された弱め線や折り曲げ案内線はパウチ容器の折り畳みや巻き上げには必ずしも充分ではない。
【0011】
この発明は上記の如き事情に鑑みてなされたものであって、サイドシール部を折り返したパウチ容器において、内容物の注出時にそのサイドシール部の折り返し部を容易に折り畳んだり、巻き上げたりすることができるパウチ容器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的に対応してこの発明のパウチ容器は、可撓性フィルム材からなるパウチ素材の辺縁部のシール部においてシールして前記パウチ素材の間に内容物を充填するための空室を形成し、前記シール部の少なくとも一部分を折り目線で前記パウチの中央寄りに折り返した折り返し部を形成し、前記折り返し部に前記シール部の他の部分よりも剛性を弱めた弱化部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載した発明では、シール部が折れ目線で折り返した折り返し部にシール部の剛性を弱めた弱化部が形成されているので、シール部が折れ曲り易くなり、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げが容易になり、内容物の注出が容易になる。
しかもパウチ胴部を折り畳み或いは巻き上げることによって使用済のパウチ容器の体積を小さくして、ゴミの減容化に寄与できる。
【0014】
請求項2に記載した発明では、シール部の折り返しがシール部内縁よりはずれたパウチ胴部で行なわれるパウチ容器の場合や、シール部の折り返しがシール部自体の上で行なわれるパウチ容器の場合でもシール部に弱化部を設けて、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げが容易になるからパウチ容器の形式について、デザイン上の自由度を与えることができる。
【0015】
請求項3に記載した発明では、シール部に形成する弱化部の形状を三角形、四角形、多角形の切り欠き、直線上の切り込み、またはシール部のパウチ素材に形成した貫通孔、シール部に形成されたミシン目若しくは直線状の切り込み、のいずれかまたはそれらの組合せであるので、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げの特性を各種のパウチ容器の形式について選択することができる。
【0016】
請求項4に記載した発明によれば、弱化部はシール部でシールされた2枚のパウチ部材のすべてまたはそのうちの1枚でもよいので、弱化部の特性を選択することができ、また、折り返しの内側になる1枚のパウチ素材だけに弱化部を設けてもよく、この場合には弱化部がパウチ容器の表面にあらわれないので、弱化部が他のパウチ容器と引掛る原因となることがなく、また、パウチ容器の外観を制約する原因となることもない。
【0017】
請求項5に記載した発明によれば、弱化部がノズル部の中心線に直交する直線上に設けられるので、折畳み、または巻き上げが、正しくノズルに向って行なわれることになり、内容物の押し出し、注出を良好に行なうことができる。
【0018】
請求項6に記載した発明によれば、折り畳みまたは巻き上げたパウチ容器の空部分をフックに係止させて保持するので、その空部分が遊動して邪魔になることがなく、コンパクトに折り畳んだ状態で廃棄することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の詳細を最良の実施態様について図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1及び図2において、1はパウチ容器である。パウチ容器1は、正面片2、背面片3及び底面片4の3片からなる。それぞれの面片は可撓性のフィルム材からなり、正面片2と背面片3とは対向して位置し、左右の両辺縁でヒートシールしてサイドシール部5、6を構成して、パウチの胴部7を形成し、また胴部7の下端のパウチ容器の底部に相当する部分では正面片2と背面片3の間に2つ折りにした底面片4が挟み込まれ、底面片4の周縁部が正面片2、背面片3とヒートシールしてボトムシール8を構成してパウチ容器の底部11を構成する。胴部7は正・背両面片2、3と底面片4で囲まれた空室10を構成し、この空室10には後に内容物を充填する。
【0021】
パウチ容器には内容物を注出するための注出ノズル12(ノズル部)が設けられる。注出ノズル12としては注出ノズル用器具としてパウチ容器の素材とは別部材を使用する場合と、図11に示すようなパウチ容器のパウチ素材自体を利用してシールパターンによって形成する場合とがある。
【0022】
この実施態様では注出ノズル用器具として注出スパウト13を使用している。すなわち、パウチ容器1の上端部の中央部に注出スパウト13が取付けられている。
注出スパウト13は中心線方向に液通路を形成した胴部14を有していて基端部でパウチ素材に液密に封止され、液通路が空室10の内外を連通している。胴部14の先端部は着脱可能なキャップ15で閉じられている。胴部14からはフランジ16が張り出している。フランジ16には後述するフック32(拘束部24)が設けられている。
【0023】
折り返しの折れ目線23はサイドシール部5、6上にサイドシール部5、6の長手方向に沿って形成されもしくはサイドシール部5、6の直近にサイドシール部5、6に沿って形成されている。折れ目線23はサイドシール部5、6の全長、またはその一部分若しくは延長部分に沿って位置するが、この実施態様ではサイドシール部5、6上に折れ目線23が形成されている。また図4に示す実施態様のように、空室10とサイドシール部5、6の境目18よりもわずかに空室10側に入ったところに位置する場合は折り返される折り返し部26は折れ目線23より外側のサイドシール部に隣接しているシールされていない空室の部分とサイドシール部とで構成されていることになる。
折り返しの成形方法は、パウチ容器の公知の製袋工程において、サイドシール部の形成の後に、切り離し工程でカッタによりパウチ容器毎に、切り離された後金型を使用して折り曲げる。
【0024】
折り返し部26には弱化部27を形成する。弱化部27は折り返し部26の他の部分よりも左サイドシール部5、右サイドシール部6の剛性を弱めた部分であり、したがって、この部分で胴部7のサイドシール部5、6が曲がり易くなっており、内容物を胴部7から胴部7を折り畳みながらまたは巻き上げながら注出スパウト13を通して外部に押し出すときに、左サイドシール部5、右サイドシール部6が折畳みや巻き上げを行う動作の時に折れ曲がることになる。
【0025】
弱化部27は図1、図2に示すような左サイドシール部5、右サイドシール部6の折れ目線23から開口して折り返し部26が分断される三角形、半円形で構成され、あるいは折り返し部26を一部残して折り返し線23から開口する三角形、半円形(図3)、サイドシール部5、6の外縁31から開口する三角形(図4)、多角形の切り欠き、左サイドシール部5、右サイドシール部6の幅内に形成された三角形、四角形、その他の多角形、円、楕円、長円の孔(図5)または左サイドシール部5、右サイドシール部6を横断する方向のミシン目、スコア、微小傷(図7)で構成される。
【0026】
これらの弱化部27を構成する切り欠き、孔、ミシン目は左サイドシール部5、右サイドシール部6において、図2、図3、図4、図5(b)、図6(c)に示すように左サイドシール部5、右サイドシール部6を構成する正面片2、背面片3、底面片4のすべてのパウチ素材にわたって形成しても良いが、図5(c)、(d)、図6(a)、(b)に示すように、それらの正面片2、背面片3、底面片4のうちの一、例えば折り返して内側になって外側からは隠れた部分に形成してもよい。
【0027】
弱化部27としてミシン目を用いる場合には、それを図7(b)に示すようにサイドシール部5の範囲Xに設けるほか、範囲Yで示す空室10のパウチ素材にも形成してもよい。
弱化部の形成には公知の加工方法を用いることができ、切り欠きや孔で構成する場合はダイスやカッターで、ミシン目で構成する場合はカッターによる他、砥石加工、レーザー加工などで加工することができる。
【0028】
また成形する時期は、各々の態様に応じてサイドシール部の形成と同時、切り離し工程と同時、前述の折り返し工程と同時、あるいは独立した工程として行うことができる。
これらの弱化部は巻き上げ方向であるパウチ容器1の中心線に垂直な仮想の直線22上で左サイドシール部5、右サイドシール部6の弱化部が対称状になるように形成するのがよいが(図8)、パウチ容器1の中心線と注出スパウト13の中心線とが一致していない形式の場合は、図9に示すように、その弱化部27の左右の対は注出スパウト13の中心線に垂直な仮想の直線22上に設けた方が内容物の押出注出のときにパウチ容器1の胴部7を注出スパウト13に向けて折り畳み、或いは巻き上げて行くのに便利である。
次に、パウチ容器1には折り畳み或いは巻き上げたパウチ容器1の胴部を拘束して保持する拘束部24を設けてある。拘束部24は注出スパウト13の側方から張り出したフランジの端部に注出スパウト13と一体に形成したフック32で構成する。注出スパウト13はもともと剛性をもっており、また注出スパウト13には内容物充填工程や打栓工程でパウチ容器1を装置のチャックに保持させるフランジ16が張り出しているので、図1(c)に示すように、その端部にパウチ容器1の胴部7の下端(図8においては仮想の直線22に沿って折り畳んだ端縁)を係合させることができるフック32を設けておけば、そのフック32で胴部7の下端を係合させて、折り畳みまたは巻き上げた胴部7を保持することができて、胴部7が遊動するのを防ぐことができる。または図10に示すように、フランジ16に切り欠き33を形成して、この切り欠き33内にパウチ容器1の下端部を係止させてもよい。
【0029】
また、図12、13に示すように、別体の拘束部材34を注出スパウト13に組み付けて折り畳みまたは巻き上げた胴部7を束縛することができる。
拘束部材34は全体として矩形の枠状をなすが、2つの枠部材35、36から構成されていて、枠部材35、36が協働して枠状の拘束部材34を構成する。枠部材35、36は互いの係合端部にフック37、38を有していて、注出スパウト13を挟んで弾性変形させて、フック37、38を係合させて、拘束部材34を構成し、その内にパウチ容器1の胴部7の折り畳みまたは巻き上げた部分を拘束して、姿勢を保持させ、またはフック37、38をはずして拘束部材34を分解する。
拘束部34は、巻き上げたパウチ容器胴部を係止、保持する他、枠部材35、36を指で把持できる程度の大きさに形成すれば、グリップとして用いることもできる。
この場合、図13に示すように、柔軟なパウチ容器をしっかり保持することができるようになり、キャップの開閉も容易になる。
【0030】
このように構成されたパウチ容器1では
シール部が折れ目線で折り返した折り返し部にシール部の剛性を弱めた弱化部が形成されているので、シール部が折れ曲がり易くなり、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げが容易になり、内容物の注出が容易になる。
【0031】
しかもパウチ胴部を折り畳み或いは巻き上げることによって使用済みのパウチ容器の体
積を小さくして、ごみの減容化が可能になる。
シール部の折り返しがシール部内縁よりはずれたパウチ胴部で行われるパウチ容器の場合や、シール部の折り返しがシール部自体の上で行なわれるパウチ容器の場合でもシール部に弱化部を設けて、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げが容易になるからパウチ容器の形式について、デザイン上の自由度を与えることができる。
シール部に形成する弱化部の形状を三角形、四角形、多角形、の切り欠き直線上の切り
込み、またはシール部のパウチ素材に形成した貫通孔のいずれかまたはそれらの組合せであるので、パウチ胴部の折り畳み、巻き上げの特性を各種のパウチ容器の形式について選択することができる。
【0032】
弱化部はシール部でシールされた2枚のパウチ部材のすべてまたはそのうちの1枚でもよいので、弱化部の特性を選択することができ、また、折り返しの内側になる1枚のパウチ素材だけに弱化部を設けてもよく、この場合には弱下部がパウチ容器の表面にあらわれないので、弱化部が他のパウチ容器と引掛る原因となることがなく、また、パウチ容器の外観を制約する原因となることもない。
弱化部がノズル部の中心線に直交する直線上に設けられるので、折畳み、または巻き上げが、正しくノズル方向に向って行なわれることになり、内容物の押し出し、注出を良好に行なうことができる
【0033】
折り畳みまたは巻き上げたパウチ容器の空部分をフックに係止させて保持するので、その部分が遊動して邪魔になることがない。
もともと剛性を有するスパウトなどのノズル部の構成部材を利用してフックを構成することができるので、フックを構成するのに特別の部品を使用することがなく、また、フックの剛性を大きくすることができる。
【0034】
パウチ容器の折り畳みまたは巻き上げた空部分の形状保持が一層確実である。
またパウチ容器1に使用する可撓性フィルム材としては特に制限はない。フィルム材を構成するのに適した樹脂材料としては、例えば結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン―エチレン共重合体、結晶性ポリブテン―1、結晶性ポリブテン4―メチルペンテン―1、低密度ポリエチレン、中密度―ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレン、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン―アクリル酸エチル共重合体(EEA)、イオン架橋オレフィン共重合体(アイオノマー)等のポリオレフィン類;ポリスチレン、スチレン―ブタジエン共重合体等の芳香族ビニル共重合体;ポリ塩化ビニル、塩化ビリニデン樹脂等のハロゲン化ビニル重合体;アクリロニトリル―スチレン共重合体、アクリロニトリル―スチレン―ブタジエン共重合体の如きニトリル重合体;ナイロン6、ナイロン66、パラまたはメタキシリレンアジパミドの如きポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル類;各種ポリカーボネート;ポリオキシメチレン等のポリアセタール類等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂の他に、紙を使用しても良い。これらの材料からなるフィルム材は、未延伸、一軸延伸、あるいは二軸延伸して用いられる。
【0035】
さらに、パウチ容器1に使用するフィルム材は、これらのフィルム材を単層で、或いは、二種以上を積層して構成することができ、また、これらのフィルム材の一種、あるいは、二種以上と、アルミニウム等の金属箔、金属又は金属酸化物の蒸着フィルム、紙、セロファン等を貼り合わせて構成することもできる。好ましいフィルム材としては、例えば、延伸ナイロンフィルムを外層とし、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ
ィンフィルムを内層とする二層構成、延伸ポリエステルフィルムを外層とし、ポリオレフィンフィルムを内層とする二層構成、及びこれらの内、外層フィルム間にアルミニウム等の金属箔を積層した三層構成のフィルム等が挙げられ、これらの積層フィルムの製造に際
しては、各層間に必要に応じて接着材、アンカー剤を介在させることもできる。
【0036】
そして上記フィルム材の層構成は、パウチ容器1に充填する内容物の性状に応じて選択され、例えば、詰替洗剤用のパウチ容器のように低コストが要求される場合は、二層構成の積層フィルムを使用し、調味料のパウチ容器のように保存性が要求される場合は、アルミニウム箔を含む三層構成以上の積層フィルムを使用すれば良い。内容物が食品や飲料などのように、レトルト殺菌される用途でも、本発明のパウチは問題なく使用できる。
以上の発明から明らかな通りこの発明によれば、サイドシール部を折り返したパウチ容器において、内容物の注出時にそのサイドシール部の折り返し部を容易に折り畳んだり、巻き上げたりすることができるパウチ容器を得ることを目的とするものである。
【0037】
またこの発明によれば、折り畳んだり巻き上げたりしたパウチ容器の胴部を拘束して保持することができて使用済みパウチ容器の廃棄性を高めることができるパウチ容器拘束具を得ることを目的とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】パウチ容器を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるb−b部断面部分図、(c)は折り曲げた状態の側面説明図。
【図2】弱化部を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるb−b部断面図。
【図3】他の弱化部を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるb−b部断面図。
【図4】他の弱化部を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)におけるb−b部断面図。
【図5】他の弱化部を示す図で、(a)は正面図、(b)は(a)図におけるb−b部断面図、(c)は(b)とは異なる実施態様を示す断面図、(d)はさらに他の実施態様を示す断面図
【図6】各種の弱化部を示す断面図
【図7】他の弱化部を示す図で、(a)は正面図、(b)は断面図
【図8】弱化部の位置を示す図で、(a)はパウチ容器の正面図、(b)は折り曲げた状態のパウチ容器の側面図
【図9】他の弱化部の位置を示すパウチ容器の正面図
【図10】拘束部を示す図で、(a)はスパウトの側面図、(b)は切り欠きの拡大図
【図11】他のパウチ容器を示す正面図
【図12】拘束部材の拡大平面図
【図13】拘束部材の斜視説明図
【図14】パウチ容器の正面部分図
【図15】図14におけるX−X部断面図
【符号の説明】
【0039】
1 パウチ容器
2 正面片
3 背面片
4 底面片
5 左サイドシール部
6 右サイドシール部
7 胴部
8 ボトムシール
10 空室
11 底部
12 注出ノズル
13 注出スパウト
14 胴部(スパウト)
15 キャップ
16 フランジ
18 境目
22 直線
23 折れ目線
24 拘束部
26 折り返し部
27 弱化部
31 外縁
32 フック
33 切り欠き
34 拘束部材
35 枠部材
36 枠部材
37 フック
38 フック
100 パウチ容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性フィルム材からなるパウチ素材の辺縁部のシール部においてシールして前記パウチ素材の間に内容物を充填するための空室を形成し、前記シール部の少なくとも一部分を折り目線で前記パウチの中央寄りに折り返した折り返し部を形成し、前記折り返し部に前記シール部の他の部分よりも剛性を弱めた弱化部を形成したことを特徴とするパウチ容器
【請求項2】
前記折り目線は前記シール部の直近の前記空室のパウチ素材上に設けられ、または前記シール部上に設けられることを特徴とする請求項1記載のパウチ容器
【請求項3】
前記弱化部の形状は前記シール部の外縁に開口する三角形、四角形、多角形の切り欠きであり、若しくは前記シール部内に形成されて前記シール部を貫通する穴であり、または前記シール部に形成されたミシン目若しくは直線上の切り込みであり、またはそれらの組合せであることを特徴とする請求項1または2記載のパウチ容器
【請求項4】
前記弱化部は前記シール部においてシールされた複数のパウチ素材に共通して形成され、若しくは前記複数のパウチ素材のうちの一部のパウチ素材に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパウチ容器
【請求項5】
前記弱化部は、前記片縁部に設けられ前記空室に連通するノズル部の中心線に直交する1本または複数本の直線上に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のパウチ容器
【請求項6】
前記胴部から外方に突出するノズル部を構成するノズル部材を有し、前記ノズル部材に前記折り曲げた胴部を係止する拘束部を設けたことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のパウチ容器

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−154923(P2009−154923A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−335576(P2007−335576)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】