説明

パケット群送信装置、可用帯域推定装置、可用帯域推定方法およびプログラム

【課題】リンク毎の全可用帯域を精度よく推定する。
【解決手段】パケット群送信装置10は、ネットワークを構成する個々のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成部100と、パケット群生成部100によって生成されたパケット群を前記ネットワークに送信する送受信部110とを備える。パケット群生成部100は、パケット群を構成するパケットとして、可用帯域の推定対象である対象リンクを形成する2つのルータのうちの上流側に位置するルータにおいて破棄されるサイズの大きい負荷パケットと、可用帯域を推定する可用帯域推定装置20に到達する計測用パケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、送受信部110は、パケット群として、負荷パケットに続けて複数の計測用パケットを送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パケット群送信装置、可用帯域推定装置、可用帯域推定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、エンドエンドの可用帯域を推定する手法が数多く提案されている。エンドエンドの可用帯域とは、エンドエンドパス上の各リンクにおける可用帯域の最も小さい値を推定するものである。エンドエンドの可用帯域を把握することは、アドミッション制御やアプリケーションのレート制御に有益である。しかし、ネットワーク運用を想定する場合、全リンクの最小値のみが分かるだけでは不十分であり、リンク毎の全可用帯域を推定できることが望ましい。例えば、ユーザから通信速度に関する苦情が寄せられたとき、どのリンクの可用帯域が高く(空いている)どのリンクが低いか(混雑している)を把握することにより、問題の切り分けが容易となるからである。問題の切り分けは、網内ルータの機器情報を参照することによっても可能だが、大規模なキャリア網に対しては現実的ではない。リンク毎の可用帯域を推定する従来手法として、以下のものが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。特許文献1および非特許文献1は、送信側及び受信側が操作可能である場合を想定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−270953号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】S.-R.Kang,X.Liu,A.Bhati,and D.Loguinov,“On Estimating Tight-Link Bandwidth Characteristics over Multi-Hop Paths,”IEEE ICDCS,July 2006.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された手法は、1つのサイズの大きなパケットに続いてサイズの小さなパケットを送信し、エンドエンドパスにおいて可用帯域が最も小さいリンクであるタイトリンクまでの各リンクの物理帯域に基づいて計算された間隔の後、再度小さなパケットを送信する手法である。サイズの大きなパケットは、推定対象のリンクを通過した後破棄される。これにより2つ目の小さなパケットが推定対象のリンクに入力される間隔を調整するが、タイトリンクに至るまでに、サイズの大きなパケットまたは2つ目のサイズの小さなパケットがキュー遅延を被る場合、推定精度が著しく劣化するという問題がある。
非特許文献1に記載された手法は、複数のパケットを連続で送信し、対象のリンクを通過した後、両側以外のパケットが破棄され、受信側において両側のパケットの間隔を観測することにより推定する手法である。推定対象のリンクが、送信側と推定対象リンク間の最小のリンクの可用帯域でない場合、推定対象のリンクを計測可能な負荷が不足するため、すなわち、推定対象リンク以外で広げられた計測パケットの間隔を縮めることが不可能なため、推定対象リンクの可用帯域を推定できないという問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、リンク毎の全可用帯域を精度よく推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の一態様であるパケット群送信装置は、ネットワークを構成する個々のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成部と、前記パケット群生成部によって生成された前記パケット群を前記ネットワークに送信する送信部とを備え、前記パケット群生成部は、前記パケット群を構成するパケットとして、可用帯域の推定対象である対象リンクを形成する2つの中継装置のうちの上流側に位置する中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、可用帯域を推定する可用帯域推定装置に到達するパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、前記送信部は、前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信することを特徴とする。
【0008】
具体的には、上記パケット群送信装置は、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成部と、前記パケット群生成部によって生成された前記パケット群を前記ネットワーク系路上に送信する送信部とを備え、前記パケット群生成部は、前記パケット群を構成するパケットとして、前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、前記ネットワーク経路の最下流に位置する可用帯域推定装置において受信間隔を計測されるパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、前記送信部は、前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信することを特徴とする。
【0009】
上記パケット群送信装置において、前記パケット群生成部は、更に、前記パケット群を構成するパケットとして、前記計測用パケットの受信間隔を確保するためのパケットであって前記j番目の中継装置において破棄される受信間隔確保用パケットを生成し、前記送信部は、前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて前記計測用パケットを送信し、更に続けて前記受信間隔確保用パケットを送信し、更に続けて前記計測用パケットを送信するようにしてもよい。
【0010】
上記パケット群送信装置において、前記パケット群生成部は、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記ネットワーク経路のj番目のリンクのキャパシティをCとするとき、(Σ(i=2〜T))/Cj−1<(Σ(i=1〜T−1))/Cを満たすパケット群を生成するようにしてもよい。
【0011】
上記パケット群送信装置において、前記パケット群生成部は、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記ネットワーク経路のj番目のリンクのキャパシティをCとし、前記可用帯域推定装置から受信した(j−1)番目のリンクまでの可用帯域の推定値をAj−1とするとき、(Σ(i=2〜T))/Aj−1<(Σ(i=1〜T−1))/Cを満たすパケット群を生成するようにしてもよい。
【0012】
上記パケット群送信装置において、前記パケット群生成部は、前記(j−1)番目の中継装置において破棄される前記負荷パケットである第1の負荷パケットを含んで構成される前記パケット群である第1のパケット群と異なるパケット群である第2のパケット群を構成するパケットとして、前記j番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい第2の負荷パケットと、前記計測用パケットを生成し、前記送信部は、前記第1のパケット群を送信する前に、前記第2のパケット群として、前記第2の負荷パケットに続けて前記計測用パケットを送信し、更に続けて前記第2の負荷パケットを送信し、更に続けて前記計測用パケットを送信するとともに、前記第2のパケット群の送信後において、前記第2のパケット群を構成する前記計測用パケットを受信した前記可用帯域推定装置から、前記j番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知を受信した場合に、前記第1のパケット群を送信するようにしてもよい。
【0013】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である可用帯域推定装置は、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定装置であって、前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測部と、前記受信間隔計測部によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定部とを備え、前記可用帯域推定部は、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、B=Σ(i=2〜T)/Δに従って算出することを特徴とする。
【0014】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である可用帯域推定装置は、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定装置であって、前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測部と、前記受信間隔計測部によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定部と、前記可用帯域測定部によって推定された推定値の信頼性を判定する信頼性判定部とを備え、 前記可用帯域推定部は、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、LT−1>L,L>L、L>L、…、LT−1>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクまでの可用帯域の推定値をAとするとき、推定値Aj−1および推定値Aを、A=Σ(i=1〜T)/Δに従って算出し、前記信頼性判定部は、Aj−1=Aであるとき、推定値Aの信頼性が低いと判定することを特徴とする。
【0015】
上記可用帯域推定装置において、前記可用帯域推定部は、前記前記信頼性判定部によって前記推定値Aの信頼性が低いと判定された後に前記パケット群送信装置から再度送信されたパケット群を構成していた計測用パケットに基づいて、前記推定値Aと異なる推定値Bを、前記再度送信されたパケット群を構成するi番目のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とするとき、B=Σ(i=2〜T)/Δに従って算出するようにしてもよい。
【0016】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様である可用帯域推定方法は、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定方法であって、前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、受信間隔を計測するためのパケットであってサイズの小さい計測用パケットとをパケット群を構成するパケットとして生成するパケット群生成手段と、前記パケット群生成手段によって生成された前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信する送信手段と、前記計測用パケットを受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測手段と、前記受信間隔計測手段によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定手段とを備え、前記可用帯域推定手段は、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、B=Σ(i=2〜T)/Δに従って算出することを特徴とする。
【0017】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路の最上流に位置する装置のコンピュータに、前記ネットワーク経路における上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成ステップと、前記パケット群生成ステップによって生成された前記パケット群を前記ネットワーク系路上に送信する送信ステップとを実行させるプログラムであって、前記パケット群生成ステップは、前記パケット群を構成するパケットとして、前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、前記ネットワーク経路の最下流に位置する可用帯域推定装置において受信間隔を計測されるパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、前記送信ステップは、前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信することを特徴とする。
【0018】
上記問題を解決するために、本発明の他の態様であるプログラムは、N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路の最下流に位置し、前記ネットワーク経路における上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する装置のコンピュータに、前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信ステップと、前記受信ステップによって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測ステップと、前記受信間隔計測ステップによって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定ステップと
を実行させるプログラムであって、前記可用帯域推定ステップは、前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、B=Σ(i=2〜T)/Δに従って算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リンク毎の全可用帯域を精度よく推定することができるようになる。例えば、以下の効果がある。
(1)計測が片方向のパスに閉じているため、反対方向のパスの影響を受けない。
(2)可用帯域が小さなリンク後の、大きなリンクの可用帯域を推定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態によるパケット群送信装置10および可用帯域推定装置20を含む概略構成図である。
【図2】可用帯域の測定対象であるネットワーク経路の概略図、および、パケット群送信装置10によって生成されるパケット群の模式図である。
【図3】パケット群送信装置10および可用帯域推定装置20の動作を示すフローチャートである。
【図4】ネットワーク経路上のパケット群の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態によるパケット群送信装置10および可用帯域推定装置20を含む概略構成図である。図2は、可用帯域の測定対象であるネットワーク経路の概略図、および、パケット群送信装置10において生成されるパケット群の模式図である。
【0022】
(パケット群送信装置)
本発明の実施形態によるパケット群送信装置10は、図2(a)に示すように、ネットワーク経路の最上流に位置し、ネットワークを構成する個々のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成および送信する。具体的には、パケット群送信装置10は、図2(a)に示すような、N個(Nは2以上254以下の整数)のルータ(中継装置)によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つのルータによって形成されたj番目のリンク(対象リンクj)の可用帯域を推定するためのパケット群を生成および送信する。
【0023】
パケット群送信装置10は、図1に示すように、パケット生成部100および送受信部110を備える。
【0024】
パケット生成部100は、図2(a)に示すようなネットワーク経路において、j番目のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成する。具体的には、パケット生成部100は、第1のパケット群と、第1のパケット群とは構成内容が異なる第2のパケット群とを生成する。パケット群送信装置10は、第2のパケット群を送信した後に、第1のパケット群を送信するが、まず、第1のパケット群について説明する。
【0025】
パケット群生成部100は、第1のパケット群を構成するパケットとして、少なくとも、推定対象である対象リンクを形成する2つのルータのうちの上流側に位置するルータにおいて破棄されるサイズの大きい負荷パケット(第1の負荷パケット)と、ネットワーク経路の最下流に位置する可用帯域推定装置20に到達するサイズの小さい計測用パケットを生成する。
【0026】
例えば、パケット群生成部100は、第1のパケット群を構成するパケットとして、図2(b)に示すような、第1の負荷パケットと、計測用パケットと、計測用パケットの受信間隔を確保するためのパケットであって、対象リンクを形成する2つのルータのうちの下流側に位置するルータにおいて破棄される受信間隔確保用パケットとを生成する。
【0027】
図2(b)において、P、P、P、P、・・・、PT−1、Pは、第1のパケット群を構成する各パケットである。即ち、第1のパケット群は、T個のパケットから構成される。
【0028】
図2(b)において、L、L、L、L、・・・、LT−1、Lは、各パケットのパケットサイズである。各パケットのパケットサイズは、L>L、L>L、…、L>LT−1、>Lであればよく、例えば、図2(b)に示すように、L>L=L=L=、・・・、LT−1=Lとしてもよい。
【0029】
図2(b)において、矩形内の記号は、TTL(Time to live)を示している。TTL=Cは、最大値(255)を示し、当該パケット(計測用パケット)を可用帯域推定装置20に受信させる設定である。TTL=j−1は、当該パケット(第1の負荷パケット)を、対象リンクjを形成する2つのルータのうちの上流側に位置するルータ(j−1)にて破棄させる設定である。TTL=jは、当該パケット(受信間隔確保用パケット)を、対象リンクjを形成する2つのルータのうちの下流側に位置するルータ(j)にて破棄させる設定である。
【0030】
つまり、パケット群生成部100は、第1のパケット群を構成するパケットとして、(j−1)番目のルータにおいて破棄される第1の負荷パケット(図2(b)のP)と、計測用パケット(図2(b)のPおよびP)と、j番目のルータにおいて破棄される受信間隔確保用パケット(図2(b)のP、P、・・・、PT−1)とを生成する。
【0031】
パケット群生成部100は、第1のパケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをLとし、ネットワーク経路のj番目のリンクのキャパシティをCとするとき、下記式(1)を満たす第1のパケット群を生成する。なお、Tは許容される計測負荷を勘案し決定する。
【0032】
(Σ(i=2〜T))/Cj−1<(Σ(i=1〜T−1))/C…(1)
【0033】
また、パケット群生成部100は、可用帯域推定装置20から受信した(j−1)番目のリンク(対象リンクjの1つ上流側のリンク)までの可用帯域の推定値をAj−1とするとき、上記式(1)に代えて、下記式(2)を満たす第1のパケット群を生成してもよい。
【0034】
(Σ(i=2〜T))/Aj−1<(Σ(i=1〜T−1))/C…(2)
【0035】
なお、Aj−1を使用する場合は、Cj−1を使用する場合よりも、Tの値が小さくなる。Tの値が小さくなると計測負荷が小さくなり、受信側で得られる間隔Δの精度が劣化することが想定される。そこで、最小限の精度を保証するTの値を設定しておくとよい。
【0036】
次に、第2のパケット群について説明する。パケット群生成部100は、第2のパケット群を構成するパケットとして、図2(c)に示すような、j番目のルータにおいて破棄されるサイズの大きい負荷パケット(第2の負荷パケット)と、計測用パケットを生成する。
【0037】
図2(c)において、P、P、P、P、・・・、PT−1、Pは、第2のパケット群を構成する各パケットである。即ち、第2のパケット群は、T個のパケットから構成される。
【0038】
図2(c)において、L、L、L、L、・・・、LT−1、Lは、各パケットのパケットサイズである。各パケットのパケットサイズは、L>L、L>L、…、LT−1>L,L>L、L>L、…、LT−1>Lであればよく、例えば、図2(c)に示すように、L=L=L=、・・・、LT−1>L=Lとしてもよい。
【0039】
図2(c)において、矩形内の記号は、TTLを示している。TTL=Cは、最大値(255)を示し、当該パケット(計測用パケット)を可用帯域推定装置20に受信させる設定である。TTL=jは、当該パケット(第2の負荷パケット)を、対象リンクjを形成する2つのルータのうちの下流側に位置するルータ(j)にて破棄させる設定である。
【0040】
つまり、パケット群生成部100は、第2のパケット群を構成するパケットとして、j番目のルータにおいて破棄される第2の負荷パケット(図2(c)のP、P、P、・・・、PT−1)と、計測用パケット(図2(c)のPおよびP)とを生成する。
【0041】
送受信部110は、パケット群生成部100によって生成されたパケット群をネットワーク系路上に送信する。具体的には、送受信部110は、上述の如く、第2のパケット群を送信した後に、第1のパケット群を送信する。より詳細には、送受信部110は、第2のパケット群の送信後に、第2のパケット群を構成する計測用パケットを受信した可用帯域推定装置20から、j番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知を受信した場合に、第1のパケット群を送信する。
【0042】
送受信部110は、第2のパケット群として、第2の負荷パケットに続けて計測用パケットを送信し、更に続けて第2の負荷パケットを送信し、更に続けて計測用パケットを送信する。
【0043】
また、送受信部110は、第1のパケット群として、少なくとも第1の負荷パケットに続けて複数の計測用パケットを送信する。例えば、パケット群生成部100が第1の負荷パケットおよび計測用パケットに加えて受信間隔確保用パケットを生成する場合、送受信部110は、第1のパケット群として、第1の負荷パケットに続けて計測用パケットを送信し、更に続けて受信間隔確保用パケットを送信し、更に続けて前記計測用パケットを送信する。
【0044】
(可用帯域推定装置)
本発明の実施形態による可用帯域推定装置20は、図2(a)に示すように、ネットワーク経路の最下流に位置し、対象リンクjの可用帯域を推定する。可用帯域推定装置20は、図1に示すように、送受信部200、受信間隔計測部210、可用帯域推定部220および信頼性判定部230を備える。
【0045】
送受信部200は、パケット群送信装置10から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する。なお、パケット群送信装置10から送信されたパケット群を構成していたパケットのうち、計測用パケット以外のパケットは、TTLによって設定したルータにおいて破棄されるため、可用帯域推定装置20には到達しない。
【0046】
送受信部200は、第2のパケット群を構成していた計測用パケットを受信し、その後、第1のパケット群を構成していた計測用パケットを受信する。送受信部200は、第2のパケット群を構成していた計測用パケットを受信した場合、当該計測用パケットを受信間隔計測部210に供給する。同様に、送受信部200は、第1のパケット群を構成していた計測用パケットを受信した場合、当該計測用パケットを受信間隔計測部210に供給する。
【0047】
また、送受信部200は、可用帯域測定部220から推定値Aまたは推定値Bを取得する。送受信部200は、推定値Aを取得した場合、対象リンク(J)毎に、一時記憶し、推定値Bを取得した場合、一時記憶している推定値Aを推定値Bによって上書きする。また、送受信部200は、一時記憶している推定値A(または推定値B)をパケット群送信装置10に送信する。
【0048】
また、送受信部200は、信頼性判定部230からリンクjの可用帯域の再推定を要する旨の通知を取得する。送受信部200は、リンクjの可用帯域の再推定を要する旨の通知を取得した場合、当該通知をパケット群送信装置10に送信する。
【0049】
受信間隔計測部210は、送受信部200から第2のパケット群を構成していた計測用パケットを取得する。受信間隔計測部210は、第2のパケット群を構成していた計測用パケットを取得した場合、当該計測用パケットの受信間隔を計測する。受信間隔計測部210は、当該計測結果(受信間隔)を可用帯域測定部220に供給する。同様に、受信間隔計測部210は、第1のパケット群を構成していた計測用パケットを取得した場合、当該計測用パケットの受信間隔を計測する。受信間隔計測部210は、当該計測結果(受信間隔)を可用帯域測定部220に供給する。
【0050】
また、受信間隔計測部210は、計測用パケットが、第1のパケット群を構成していた計測用パケットであるか、第2のパケット群を構成していた計測用パケットであるかを識別し、可用帯域測定部220に供給する計測結果が、第1のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果であるか、第2のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果であるかを示す識別情報を可用帯域測定部220に計測結果とともに供給する。
【0051】
なお、受信間隔計測部210は、最初に取得した計測用パケットを第2のパケット群を構成していた計測用パケット、次に取得した計測用パケットを第1のパケット群を構成していた計測用パケットというように取得順序によって、計測用パケットが、第1のパケット群を構成していた計測用パケットであるか、第2のパケット群を構成していた計測用パケットであるかを識別するようにしてもよい。また、計測用パケット自体に、第1のパケット群を構成していた計測用パケットであるか、第2のパケット群を構成していた計測用パケットであるかを識別するための識別情報を含め、受信間隔計測部210は、当該識別情報によって、計測用パケットが、第1のパケット群を構成していた計測用パケットであるか、第2のパケット群を構成していた計測用パケットであるかを識別するようにしてもよい。
【0052】
可用帯域測定部220は、受信間隔計測部210から第2のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果を取得した場合、下記式(3)に従って、対象リンクjまでの可用帯域の推定値Aを算出する。
【0053】
=Σ(i=1〜T)/Δ…(3)
【0054】
なお、上記式(3)において、Tは第1のパケット群を構成するパケット数、L(但し、L>L、L>L、…、LT−1>L,L>L、L>L、…、LT−1>L)は、第2のパケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズ、Δは第2のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果である。
【0055】
可用帯域測定部220は、受信間隔計測部210から第1のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果を取得した場合、下記式(4)に従って、対象リンクjの可用帯域の推定値Bを算出する。
【0056】
=Σ(i=2〜T)/Δ…(4)
【0057】
なお、上記式(4)において、Tは第2のパケット群を構成するパケット数、L(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)は、第2のパケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズ、Δは第2のパケット群を構成していた計測用パケットによる計測結果である。
【0058】
可用帯域測定部220は、可用帯域の推定値Aを算出した場合、算出結果である推定値Aを送受信部200および信頼性判定部230に供給する。一方、可用帯域測定部220は、可用帯域の推定値Bを算出した場合、算出結果である推定値Bを送受信部200に供給する。
【0059】
信頼性判定部230は、可用帯域測定部220から取得した推定値Aの信頼性を判定する。具体的には、信頼性判定部230は、推定値Aj−1とAとを比較して、Aj−1>Aであるときは、推定値Aの信頼性が高いと判定し、Aj−1=Aであるときは、推定値Aの信頼性が低いと判定する。
【0060】
つまり、第2のパケット群を用いたときのリンクjまでの可用帯域の推定値Aは、第2のパケット群の特性上、リンク1の可用帯域、リンク2の可用帯域、…、リンクjの可用帯域のうちの最小値として算出される。即ち、Aj−1≧Aとなる。比較の結果、Aj−1>Aであるときは、リンクjの可用帯域がリンク1〜リンクj−1の可用帯域の最小値を更新したことが明らかであるため、Aはリンクjまでの可用帯域であると判断できる。比較の結果、Aj−1=Aであるときは、リンクjの可用帯域がリンク1〜リンクj−1の可用帯域の最小値を更新したか否かが明らかでないため、Aは、リンク1〜リンクjの可用帯域の最小値ではあるが、リンクjの可用帯域であると判断できない。従って、信頼性判定部230は、Aj−1>Aであるときは、推定値Aの信頼性が高いと判定し、Aj−1=Aであるときは、推定値Aの信頼性が低いと判定する。
【0061】
信頼性判定部230は、推定値Aの信頼性が低いと判定した場合、リンクjの可用帯域の再推定を要する旨の通知を送受信部200に供給する。なお、信頼性判定部230は、推定値Aの信頼性が高いと判定した場合には、推定値Aは可用帯域測定部220から送受信部200に既に供給されているため、何もしない。
【0062】
図3は、パケット群送信装置10および可用帯域推定装置20の動作を示すフローチャートである。図3において、左側はパケット群送信装置10の動作、右側は可用帯域推定装置20の動作を示している。図4は、ネットワーク経路上のパケット群の模式図である。
【0063】
パケット群送信装置10は、jを順次代えて(j=2、3、・・・N)、図4(a)に示すように、第2のパケット群を生成し、可用帯域推定装置20に向けて順次送信する(ステップS100)。なお、図4(a)に示すように、第2のパケット群を構成している第2の負荷パケットはルータjにて破棄されるため、計測用パケットのみが可用帯域推定装置20に到達する。計測用パケット同士の間隔は、リンク1〜リンクjにおいては計測用パケット間を第2の負荷パケットが流れるため広がり易く、リンクj+1〜リンクN+1においては計測用パケットしか流れないため広がり難い。
【0064】
可用帯域推定装置20は、パケット群送信装置10から第2のパケット群を構成していた計測用パケットを受信し(ステップS200)、当該計測用パケットの受信間隔Δを計測し(ステップS210)、上記式(3)に従って、j番目のリンクの可用帯域の推定値Aを算出し、推定値AをSとして一時記憶する(ステップS220)。
【0065】
続いて、可用帯域推定装置20は、推定値Aの信頼性は高いか否かを判定する(ステップS230)。例えば、可用帯域推定装置20は、j=5番目である場合、推定値Aと推定値Aとを比較し、A>Aであるときは、推定値Aの信頼性が高いと判定し、A=Aであるときは、推定値Aの信頼性が低いと判定する。
【0066】
可用帯域推定装置20は、推定値Aの信頼性は低いと判定した場合(ステップS230:No)、リンクjの可用帯域の再推定を要する旨をパケット群送信装置10に通知する(ステップS240)。例えば、可用帯域推定装置20は、推定値Aの信頼性が低いと判定した場合、5番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨をパケット群送信装置10に通知する。
【0067】
パケット群送信装置10は、可用帯域推定装置20からリンクjの可用帯域の再推定を要する旨の通知を受信し(ステップS110)、上記式(1)を満たす、図4(b)に示すような、リンクjに係る第1のパケット群を生成し、可用帯域推定装置20に向けて送信する(ステップS120)。例えば、パケット群送信装置10は、5番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知を受信した場合、5番目のリンクを対象リンクとする第1のパケット群を生成し、可用帯域推定装置20に向けて送信する。
【0068】
なお、図4(b)に示すように、第1のパケット群を構成している第1の負荷パケットはルータj−1において破棄され、受信間隔確保用パケットはルータjにおいて破棄されるため、計測用パケットのみが可用帯域推定装置20に到達する。計測用パケット同士の間隔は、リンク1〜リンクj−1においては第1の負荷パケットが第1のパケット群の先頭を流れるため広がり難く、リンクjにおいては第1の負荷パケットが流れないため広がり易く、リンクj+1〜リンクN+1においては計測用パケットしか流れないため広がり難い。
【0069】
可用帯域推定装置20は、パケット群送信装置10から第1のパケット群を構成していた計測用パケットを受信し(ステップS250)、当該計測用パケットの受信間隔Δを計測し(ステップS260)、上記式(4)に従って、j番目のリンクの可用帯域の推定値Bを算出し、推定値AをSに一時記憶(上書き)する(ステップS270)。
【0070】
一方、可用帯域推定装置20は、推定値Aの信頼性は高いと判定した場合(ステップS230:Yes)、ステップS240からステップS270を実行せずに、次のjについて、ステップS230を実行する。
【0071】
続いて、可用帯域推定装置20は、S(j=2、3、・・・N)をパケット群送信装置10に送信し(ステップS280)、パケット群送信装置10は、可用帯域推定装置20からS(j=2、3、・・・N)を受信する(ステップS130)。そして、本フローチャートは終了する。
【0072】
なお、可用帯域推定装置20は、リンクjの可用帯域の再推定を要する旨をパケット群送信装置10に通知する際に(ステップS240)、当該通知とともに、または、当該通知に代えて、推定値Aj−1をパケット群送信装置10に送信してもよい。例えば、パケット群送信装置10は、5番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知する際に、5番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知とともに、Sとして一時記憶している推定値Aをパケット群送信装置10に送信する。
【0073】
なお、パケット群送信装置10は、可用帯域推定装置20から推定値Aj−1を受信した場合、上記式(1)に代えて上記式(2)を満たす、第1のパケット群を生成し、可用帯域推定装置20に向けて送信する(ステップS120)。
【0074】
以上、本発明の実施形態によるパケット群送信装置10、可用帯域推定装置20によれば、リンク毎の全可用帯域を精度よく推定することができるようになる。
【0075】
なお、上記の実施形態において、パケット群送信装置10は、第2のパケット群を送信し、その後、可用帯域推定装置20によって信頼性が低いと判定された推定値Aについて、第1のパケット群を送信するという態様であったが、パケット群送信装置10は、第2のパケット群を送信することなく、所望の対象リンクj、または、全てのリンクjについて、第1のパケット群を送信するようにしてもよい。
【0076】
また、上記の実施形態において、第1のパケット群を構成するパケットとして、j番目のルータにおいて破棄される受信間隔確保用パケットに代えて、第1の負荷パケットと同じタイミングである、j−1番目のルータにおいて破棄される受信間隔確保用パケットを生成してもよい。また、パケット群生成部100は、第1のパケット群を構成するパケットとして、受信間隔確保用パケットを生成しなくてもよい。
【0077】
なお、本発明の一実施形態によるパケット群送信装置10、可用帯域推定装置20の各処理を実行するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の一実施形態によるパケット群送信装置10、可用帯域推定装置20に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0078】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0079】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10…パケット群送信装置 20…可用帯域推定装置 100…パケット生成部 110…送受信部 200…送受信部 210…受信間隔計測部 220…可用帯域推定部 230…信頼性判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを構成する個々のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成部と、
前記パケット群生成部によって生成された前記パケット群を前記ネットワークに送信する送信部と
を備え、
前記パケット群生成部は、
前記パケット群を構成するパケットとして、可用帯域の推定対象である対象リンクを形成する2つの中継装置のうちの上流側に位置する中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、可用帯域を推定する可用帯域推定装置に到達するパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、
前記送信部は、
前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信する
ことを特徴とするパケット群送信装置。
【請求項2】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成部と、
前記パケット群生成部によって生成された前記パケット群を前記ネットワーク系路上に送信する送信部と
を備え、
前記パケット群生成部は、
前記パケット群を構成するパケットとして、前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、前記ネットワーク経路の最下流に位置する可用帯域推定装置において受信間隔を計測されるパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、
前記送信部は、
前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信する
ことを特徴とするパケット群送信装置。
【請求項3】
前記パケット群生成部は、更に、
前記パケット群を構成するパケットとして、前記計測用パケットの受信間隔を確保するためのパケットであって前記j番目の中継装置において破棄される受信間隔確保用パケットを生成し、
前記送信部は、
前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて前記計測用パケットを送信し、更に続けて前記受信間隔確保用パケットを送信し、更に続けて前記計測用パケットを送信する
ことを特徴とする請求項2に記載のパケット群送信装置。
【請求項4】
前記パケット群生成部は、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記ネットワーク経路のj番目のリンクのキャパシティをCとするとき、
(Σ(i=2〜T))/Cj−1<(Σ(i=1〜T−1))/C
を満たすパケット群を生成する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のパケット群送信装置。
【請求項5】
前記パケット群生成部は、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記ネットワーク経路のj番目のリンクのキャパシティをCとし、前記可用帯域推定装置から受信した(j−1)番目のリンクまでの可用帯域の推定値をAj−1とするとき、
(Σ(i=2〜T))/Aj−1<(Σ(i=1〜T−1))/C
を満たすパケット群を生成する
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のパケット群送信装置。
【請求項6】
前記パケット群生成部は、
前記(j−1)番目の中継装置において破棄される前記負荷パケットである第1の負荷パケットを含んで構成される前記パケット群である第1のパケット群と異なるパケット群である第2のパケット群を構成するパケットとして、前記j番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい第2の負荷パケットと、前記計測用パケットを生成し、
前記送信部は、
前記第1のパケット群を送信する前に、前記第2のパケット群として、前記第2の負荷パケットに続けて前記計測用パケットを送信し、更に続けて前記第2の負荷パケットを送信し、更に続けて前記計測用パケットを送信するとともに、前記第2のパケット群の送信後において、前記第2のパケット群を構成する前記計測用パケットを受信した前記可用帯域推定装置から、前記j番目のリンクの可用帯域の再推定を要する旨の通知を受信した場合に、前記第1のパケット群を送信する
ことを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載のパケット群送信装置。
【請求項7】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定装置であって、
前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測部と、
前記受信間隔計測部によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定部と
を備え、
前記可用帯域推定部は、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、
=Σ(i=2〜T)/Δ
に従って算出する
ことを特徴とする可用帯域推定装置。
【請求項8】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定装置であって、
前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測部と、
前記受信間隔計測部によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定部と、
前記可用帯域測定部によって推定された推定値の信頼性を判定する信頼性判定部と
を備え、
前記可用帯域推定部は、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、LT−1>L,L>L、L>L、…、LT−1>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクまでの可用帯域の推定値をAとするとき、推定値Aj−1および推定値Aを、
=Σ(i=1〜T)/Δ
に従って算出し、
前記信頼性判定部は、
j−1=A
であるとき、推定値Aの信頼性が低いと判定する
ことを特徴とする可用帯域推定装置。
【請求項9】
前記可用帯域推定部は、
前記前記信頼性判定部によって前記推定値Aの信頼性が低いと判定された後に前記パケット群送信装置から再度送信されたパケット群を構成していた計測用パケットに基づいて、前記推定値Aと異なる推定値Bを、前記再度送信されたパケット群を構成するi番目のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とするとき、
=Σ(i=2〜T)/Δ
に従って算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の可用帯域推定装置。
【請求項10】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路における、上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域推定方法であって、
前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、受信間隔を計測するためのパケットであってサイズの小さい計測用パケットとをパケット群を構成するパケットとして生成するパケット群生成手段と、
前記パケット群生成手段によって生成された前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信する送信手段と、
前記計測用パケットを受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測手段と、
前記受信間隔計測手段によって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定手段と
を備え、
前記可用帯域推定手段は、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、
=Σ(i=2〜T)/Δ
に従って算出する
ことを特徴とする可用帯域推定方法。
【請求項11】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路の最上流に位置する装置のコンピュータに、
前記ネットワーク経路における上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定するためのパケット群を生成するパケット群生成ステップと、
前記パケット群生成ステップによって生成された前記パケット群を前記ネットワーク系路上に送信する送信ステップと
を実行させるプログラムであって、
前記パケット群生成ステップは、
前記パケット群を構成するパケットとして、前記(j−1)番目の中継装置において破棄されるパケットであってサイズの大きい負荷パケットと、前記ネットワーク経路の最下流に位置する可用帯域推定装置において受信間隔を計測されるパケットであってサイズの小さい計測用パケットを生成し、
前記送信ステップは、
前記パケット群として、前記負荷パケットに続けて複数の前記計測用パケットを送信する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
N個(Nは2以上254以下の整数)の中継装置によって形成された(N+1)個のリンクから構成されるネットワーク経路の最下流に位置し、前記ネットワーク経路における上流側から(j−1)番目(jは2以上N以下の整数)およびj番目の2つの中継装置によって形成されたj番目のリンクの可用帯域を推定する装置のコンピュータに、
前記ネットワーク経路の最上流に位置するパケット群送信装置から送信されたパケット群を構成していた計測用パケットを受信する受信ステップと、
前記受信ステップによって受信された前記計測用パケットの受信間隔を計測する受信間隔計測ステップと、
前記受信間隔計測ステップによって計測された受信間隔に基づいてj番目のリンクの可用帯域を推定する可用帯域測定ステップと
を実行させるプログラムであって、
前記可用帯域推定ステップは、
前記パケット群を構成するパケット数をTとし、前記パケット群を構成するi番目(iは1、2、…、T)のパケットのパケットサイズをL(但し、L>L、L>L、…、L>LT−1、>L)とし、前記受信間隔をΔとし、j番目のリンクの可用帯域の推定値をBとするとき、推定値Bを、
=Σ(i=2〜T)/Δ
に従って算出する
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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