説明

パターン塗布用基板および有機EL素子

【課題】塗布法によってインキを選択的に供給する際に、供給されたインキが、隔壁が形成される領域外で混ざり合うことを防ぐとともに、隔壁が形成される領域外に供給されたインキが、隔壁の形成された領域に流れ込むことを防ぐことができるパターン塗布用基板を提供することである。
【解決手段】基板本体と、該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対する接触角が30°未満である親液部とを有し、前記親液部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる、パターン塗布用基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン塗布用基板、有機EL素子、表示装置およびカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子という場合がある。)は、陽極および陰極からなる一対の電極と、該電極間に設けられる有機発光層とを含んで構成される。有機EL素子は、電圧が印加されると、陽極から正孔が注入されるとともに、陰極から電子が注入され、注入された正孔と電子とが有機発光層において再結合することによって発光する。
【0003】
有機発光層は、例えば塗布法よって形成することができる。具体的には有機発光層を形成する材料を含むインキを用いる塗布法によって塗布膜を形成し、さらに乾燥することによって有機発光層を形成することができる。塗布法としては、所定の位置にインキを断続的に滴下するインキジェットプリント法や、液柱状のインキをノズルから吐出するとともに、該ノズルを移動させることによってインキを連続的に供給するノズルプリンティング法などがある。
【0004】
以下、ノズルプリンティング法によって有機発光層を形成する方法について説明する。図5は有機EL素子を形成するために用いられている従来のパターン塗布用基板1の平面図である。図6は、図5の切断面線VI−VIから見たパターン塗布用基板1の断面図である。
【0005】
パターン塗布用基板1には、ストライプ状に延伸する複数本の電極2が形成されている。該電極2上には、該電極2を覆う絶縁膜3が形成されており、この絶縁膜3には、電極2の表面を露出させる複数の開口4が穿設されている。開口4は、各電極2に沿って所定の間隔を開けて穿設されている。パターン塗布用基板1には、さらにストライプ状に配置される複数本の隔壁5が形成されている。隔壁5の延伸する方向と電極2の延伸する方向とは略一致する。隔壁5は、隣接する電極2間において、絶縁膜3上に設けられている。
【0006】
有機発光層を形成する材料を含むインキは、隣接する隔壁5間に供給される。具体的には、ノズルプリンティング装置のノズルから液柱状のインキを吐出するとともに、隔壁5間の上方に位置するノズルを、隔壁5の長手方向の一方に移動させることによって、隔壁5間にインキを連続的に供給する。ノズルプリンティング法では、いわゆる一筆書きでインキを塗布していく。すなわち液柱状のインキをノズルから吐出させるとともに、(1)ノズルを前記長手方向の一方から他方(図5では下)に移動させ、(2)次に隔壁5の配列方向の一方(図5では右)に移動させて、(3)次にノズルを前記長手方向の他方から一方(図5では上)に移動させ、(4)次に隔壁5の配列方向の一方(図5では右)に移動させる、以上の(1)〜(4)の工程を繰返すことによって、各隔壁5間にインキを供給している。実際の基板では、隔壁は基板1上に隔壁材料を全面塗布した後にストライプ状の開口を開けることにより形成される場合があり、隔壁5以外に底部にも隔壁材料が存在する構成となる場合がある。図7は、隔壁5と底部とによって形成される複数本の凹部のうちの左側の3列にインキを供給した直後の状態を表す。
【0007】
上述したようにインキを供給することによって塗布膜が形成され、さらに塗布膜を乾燥させることによって有機発光層を形成している(例えば特許文献1参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002−75640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図8は、ノズルプリンティング法によりインキを供給した後の従来のパターン塗布用基板1の平面図である。前述したノズルプリンティング法では、インキの吐出を止めることなく、いわゆる一筆書きでインキを供給するので、インキを供給すべき領域以外にもインキが供給される。具体的には図7、8では、有機EL素子としては不必要なインキがパターン塗布用基板1の長手方向の一端部と他端部とに供給されることになる。隔壁5が形成されている領域では、隔壁によって隣り合う列のインキが仕切られているので、隣り合う列のインキ同士が接触することはないが、隔壁が設けられていない領域では、塗布されたインキが濡れ広がることにより隣り合う列のインキ同士が接触するとともに、このインキが隔壁間の凹部にまで流れ込むおそれがある。隔壁が設けられていない領域に塗布されたインキが隔壁間の凹部に流れ込むと、長手方向の両端部の膜厚が厚くなり、均一な膜厚の有機発光層を形成することができず、また隣り合う列に異なる種類のインキ(例えば発光色の異なるインキ)を塗布する場合、混色の問題が生じる。
【0010】
従って本発明の目的は、塗布法によってインキを選択的に供給する際に、供給されたインキが、隔壁が形成される領域外で混ざり合うことを防ぐとともに、隔壁が形成される領域外に供給されたインキが、隔壁の形成された領域に流れ込むことを防ぐことができるパターン塗布用基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、基板本体と、
該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、
隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対する接触角が30°未満である親液部とを有し、
前記親液部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる、パターン塗布用基板に関する。
【0012】
また本発明は、前記親液部が無機物を含んで構成される、パターン塗布用基板に関する。
【0013】
また本発明は、前記親液部が酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの混合物を含んで構成される、パターン塗布用基板に関する。
【0014】
また本発明は、前記基板本体と親液部との間に介在するマスク用テープをさらに有し、
前記親液部が、マスク用テープに接して設けられている、パターン塗布用基板に関する。
【0015】
また本発明は、基板本体と、
該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、
該隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対して吸収性を示す吸収部とを有し、
前記吸収部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる、パターン塗布用基板に関する。
【0016】
また本発明は、前記吸収部が多孔質状である、パターン塗布用基板に関する。
【0017】
また本発明は、前記吸収部が酸化ケイ素、窒化ケイ素、高分子化合物またはこれらの混合物を含む、パターン塗布用基板に関する。
【0018】
また本発明は、前記基板本体と吸収部との間に介在するマスク用テープをさらに有し、
前記吸収部が、マスク用テープに接して設けられる、パターン塗布用基板に関する。
【0019】
また本発明は、前記パターン塗布用基板を用いて作製された有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【0020】
また本発明は、前記有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置に関する。
【0021】
また本発明は、前記パターン塗布用基板を用いて作製されたカラーフィルタに関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、塗布法によってインキを選択的に供給する場合、供給されたインキが、隔壁が形成される領域外で混ざり合うことを防ぐとともに、隔壁が形成される領域外に供給されたインキが、隔壁の形成された領域に流れ込むことを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の一形態のパターン塗布用基板11である。本実施の形態では、有機EL素子を形成する際に用いられる基板について、パターン塗布用基板11を例にして説明する。
【0024】
本実施の形態のパターン塗布用基板11は、基板本体と、該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対する接触角が30°未満である親液部とを有し、前記親液部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる。
【0025】
図1の切断面線VI−VIから見た断面図は、参照符号を除いて前述した図6と同様であるので、図面を省略する。図2は、図1の切断面線II−IIから見たパターン塗布用基板11の断面図である。
【0026】
本実施の形態のパターン塗布用基板11は、基板本体12と、複数本の電極13と、絶縁膜14と、隔壁15と、親液部16とを含んで構成される。
【0027】
基板本体12の表面上には、複数本の電極13がストライプ状に配置されている。すなわち複数本の電極13は、互いに相対して略平行に配置されている。なお各電極13は、直線状である必要はなく、波線状でも、幅が広い部分と細い部分とが設けられていてもよい。この電極13は、後述する有機EL素子の一対の電極の一方の電極として機能し、例えば有機EL素子の陽極として機能する。
【0028】
電極13が形成された基板本体12上には電気絶縁性を有する絶縁膜14が形成されている。この絶縁膜14には、各電極13上において、各電極13の長手方向Yに沿って所定の間隔を開けて開口18が穿設されている。該開口18は、絶縁膜14を貫通して穿設されており、この開口18から電極13の表面が露出している。各開口18は、基板本体12の厚み方向Zの一方から見てマトリクス状に配置されている。換言すると、絶縁膜14は格子状に設けられている。各開口18が形成されている領域に、いわゆる画素として互いに独立して発光する有機EL素子がそれぞれ形成される。この絶縁膜14は必要に応じて設けられ、絶縁膜を有しないパターン塗布用基板を構成してもよい。
【0029】
絶縁膜14上には、それぞれストライプ状に配置される隔壁15が設けられる。具体的には隔壁15の長手方向と電極13の長手方向とが略一致するように、隔壁15は互いに相対して略平行に設けられる。以下、隔壁15の長手方向を長手方向Yといい、隔壁15の配列される方向を配列方向Xという場合がある。さらに本実施の形態では、基板本体12上には枠状の絶縁壁17が設けられる。この枠状の絶縁壁17の枠内に隔壁15が形成されている。隔壁15の長手方向Yの一端と他端とは絶縁壁17に接続されており、隔壁15と絶縁壁17とは一体に形成されている。絶縁壁17は、配列方向Xに延伸する2本の直線部と、長手方向Yに延伸する2本の直線部とによって枠状に構成されるが、長手方向Yに延伸する2本の直線部において、枠内に臨む表面部は、複数の絶縁壁17のうちの最も外側に設けられる隔壁15として機能する。なお絶縁壁17は必要に応じて設けられ、絶縁壁を有しないパターン塗布用基板を構成してもよい。
【0030】
隔壁15が設けられるパターニング領域に対して、該パターニング領域を除く領域を非パターニング領域という。親液部16は、非パターニング領域に設けられ、具体的にはパターニング領域に対して長手方向Yの一方および他方に設けられる。なお隔壁15が設けられるパターニング領域とは、隔壁15自体が設けられる領域を含む領域であって、後述するインキが供給される領域であり、具体的には、ストライプ状に配置される隔壁15のうちで、最も外側に配置される隔壁15によって囲まれる領域である。本実施の形態では枠状の絶縁壁17に囲まれる領域がパターニング領域に相当する。
【0031】
親液部16は、非パターニング領域の全領域に設けられてもよく、またパターニング領域に対して隔壁の長手方向の一方および他方の全領域に設けられてもよく、本実施の形態では、パターニング領域に対して隔壁の長手方向の一方および他方の全領域の一部に設けられる。なお図1において親液部16にはハッチングを施している。具体的には、親液部16は、パターニング領域の長手方向Yの一端と、基板の長手方向Yの一端との間、およびパターニング領域の長手方向Yの他端と、基板の長手方向Yの他端との間において、少なくとも後述するノズルプリンティング法によってインキが塗布される領域に設けられる。本実施の形態において親液部16は、パターニング領域に対して隔壁の長手方向Yの一方および他方の領域において、パターニング領域に沿って配列方向Xに延伸して配置され、少なくともパターニング領域よりも配列方向Xに幅広に配置されている。この親液部16は前述した枠状の絶縁壁17のうちの配列方向Xに延伸する2本の直線部の表面上に設けられる。親液部16の表面は、アニソールに対する接触角が30°未満であり、少なくともアニソールに対する接触角が、絶縁壁17のアニソールに対する接触角よりも小さい。なお所定の有機層を形成する材料を溶解する溶媒はアニソールに限られないが、このアニソールに対する接触角が30°未満であれば通常用いられるインキに対しても親液性を示すので、親液部16は、絶縁壁17に比べて親液性を示す。さらに親液部16の表面は、少なくともアニソールに対する接触角が、隔壁15と基板本体12とによって規定される複数本の凹部の表面のアニソールに対する接触角よりも小さい。凹部の表面とは、隔壁15、絶縁膜14、および電極13の表面である。また隔壁15間に所定の有機層が形成されている場合には、凹部の表面とは、隔壁15、絶縁膜14、および有機層の表面である。すなわち親液部16は、凹部の表面に比べて親液性を示す。なお凹部の表面の親液性とは凹部の表面を構成する各部材の親液性を平均化したものである。
【0032】
次にパターン塗布用基板11の製造方法について説明する。
【0033】
まず基板本体12を用意する。次に、後述する電極の材料を用いて、例えばスパッタリング法により基板全面に導電膜を形成し、さらにフォトリソグラフィーによってストライプ状に導電膜をパターニングし、ストライプ状の電極13を形成する。
【0034】
次に絶縁膜14を形成する。絶縁膜14は、無機物または有機物から成る。
【0035】
絶縁膜14を構成する無機物としては、例えばSiO2およびSiNなどが挙げられる。絶縁膜14は、プラズマCVD法やスパッタ法等の公知の方法により無機絶縁物を基板の全面に堆積させ、さらに堆積した無機物から成る薄膜をフォトリソグラフィー法によって所定の形状にパターニングすることによって形成される。パターニングする際に、前述した開口18が穿設される。開口18の配列方向Xの幅、および長手方向Yの幅は、それぞれ解像度によって設定され、配列方向Xの幅は、通常30μm〜200μmであり、長手方向Yの幅は、通常100μm〜500μmであり、作製するディスプレイの精細度によって適宜設定される。
【0036】
またアクリル樹脂系、ノボラック樹脂系、ポリイミド樹脂系のポジ型またはネガ型の感光性材料(フォトレジスト)を用いて有機物から成る絶縁膜14を形成してもよい。具体的にはフォトレジストを基板上に塗布し、所定のマスクを介して所定の領域に光を照射し、現像することによって、所定の形状にパターニングされた絶縁膜14を得ることができる。パターニングする際に、前述した開口18が穿設される。フォトレジストを塗布する方法としては、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スリットコーターなどを用いた方法を挙げることができる。
【0037】
このようにパターニングすることによって、基板本体12の厚み方向の一方から見て、格子状の絶縁膜14が形成される。絶縁膜14は、長手方向Yに配置される画素間の絶縁を図るために設けられる。絶縁膜14の膜厚は、長手方向Yに配置される画素間の絶縁を確保可能な厚さに設定され、通常0.1μm〜1μmであり、好ましくは0.2μm〜0.4μmである。また後述する有機材料の電気抵抗の大きさによっては絶縁膜14を設けなくてもよい。
【0038】
次に隔壁15および絶縁壁17を形成する。具体的には、例えば前述したフォトレジストを全面に塗布し、所定のマスクを介して所定の領域に光を照射し、さらに現像することによって形成される。本実施の形態では、現像において、フォトレジストから成る層に、長手方向Yに延伸する複数本の開口が穿設されることにより隔壁15および絶縁壁17が形成される。フォトレジストの塗布は、スピンコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、グラビアコーター、スリットコーター等を用いた方法により行うことができる。なお他の実施の形態としてはフォトレジストから成る層に開口を穿設する際に、絶縁壁17に相当する部分を除去してもよい。隔壁15は、隔壁15で区切られた配列方向Xに隣接する画素間での絶縁を図るとともに、配列方向Xに隣接する画素間の混色を防止するために設けられる。具体的には、凹部にインキが供給された際に、該インキが隔壁15を超えて配列方向Xに隣接する凹部に溢れ出ることを防ぐために隔壁15は設けられている。隔壁15の高さはこのような観点から設定され、通常0.5μm〜1.5μmであり、好ましくは0.5μm〜1.0μmである。また隔壁15の配列方向Xの幅は、解像度によって設定され、通常5μm〜50μmであり、好ましくは5μm〜20μmである。また隣り合う隔壁15間の間隔は、解像度によって設定され、通常40μm〜220μmであり、作製するディスプレイの解像度によって適宜設定される。
【0039】
隔壁15間に供給されたインキを隔壁間に収容するために、隔壁15は、通常、疎水性を示すことが好ましい。有機物は、フッ素を含有する雰囲気においてプラズマ処理を行うことによって表面がフッ素化し、疎水化するので、有機物から成る隔壁15に疎水性を付与する方法としては、隔壁15形成後にフッ素を含有する雰囲気においてプラズマ処理する方法が挙げられる。具体的にはCF4プラズマ処理を行うことによって隔壁15の表面を疎水化することができる。なお前述した方法とは異なる方法によって隔壁15に疎水性を付与してもよく、また無機物から成る隔壁15を形成して、さらに表面に疎水性を示す物質を被覆させてもよい。なお、絶縁膜14を有機物によって形成した場合には、フッ素含有雰囲気においてプラズマ処理を行うことによって、該絶縁膜14も同時に疎水化される。
【0040】
親液部16は、無機物を含んで構成されることが好ましく、親液部16を構成する無機物としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素またはこれらの混合物を含んで構成されることが好ましい。
【0041】
前述したように有機物はCF4プラズマ処理によって疎水化するが、無機物はCF4プラズマ処理を施したとしても親液性を維持する。したがって親液部16が無機物を含んで構成される場合、基板本体12に親液部16を形成した後に、例えば隔壁15をCF4プラズマ処理によって親液化したとしても、親液部16は親液性を保つことになるので、親液部16を形成する工程の順序を考慮する必要がなくなり、工程の自由度が高くなる。例えば有機発光層を形成する直前にCF4プラズマ処理を施すこともあり得るが、親液部16が無機物を含んで構成されていると、CF4プラズマ処理によっても親液部16が親液性を保つので、予め親液部16を形成しておくことができる。
【0042】
親液部16は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法により絶縁壁17上に直接設けることができる。また、基板12上に親液部をあらかじめ設けておき、その上に絶縁壁17を形成し、さらに絶縁壁17に開口を形成することにより、基板12上の親液部を露出させることにより、非パターニング領域に親液部を設けてもよい。
【0043】
また、親液部16はマスク用テープに形成されることが好ましい。具体的には、パターン塗布用基板11は、基板本体12と親液部16との間に介在するマスク用テープをさらに有する。親液部16は、このマスク用テープに接して設けられている。マスク用テープは、貼り合わせ剤が一方の表面に設けられており、貼り合わせ剤により絶縁壁17に貼付け可能であるとともに、貼付けた後、絶縁壁17から剥離可能である。本実施の形態では、親液部16が表面に形成されたマスク用テープが非パターニング領域に貼り付けられている。
【0044】
親液部16は、例えばCVD法、スパッタリング法などによってマスク用テープの表面上に形成することができる。このようにマスク用テープに親液部16が形成されていれば、マスク用テープを介して親液部16を容易に貼り付けることができるとともに、容易に剥離することができ、作業性が向上する。
【0045】
以上説明したパターン塗布用基板11を用いて有機EL素子を製造する方法について説明する。
【0046】
有機EL素子は、後述するように一対の電極間に少なくとも有機発光層を備える。以下では、電極上に有機発光層が直接接して設けられる構成の有機EL素子について説明する。
【0047】
本実施の形態では、ノズルプリンティング装置を用いて有機発光層を塗布法によって形成する方法について説明する。ノズルプリンティング装置としては市販のものを用いることができ、例えば大日本スクリーン製造社製のNP-300Gなどを用いることができる。
【0048】
ノズルプリンティング装置は、有機発光層を形成する材料を含むインキを隣接する隔壁15間に供給する。インキは、後述する発光材料と溶媒とを含む。
【0049】
ノズルプリンティング装置は、ノズルから液柱状のインキを吐出するとともに、隔壁15間の上方に位置するノズルを長手方向の一方に移動させることによって、隔壁15間にインキを供給する。ノズルプリンティング法では、いわゆる一筆書きでインキを塗布していく。すなわち液柱状のインキをノズルから吐出させるとともに、(1)ノズルを長手方向Yの一方から他方(図1では下)に移動させ、(2)次に隔壁15の配列方向Xの一方(図1では右)に移動させて、(3)次にノズルを長手方向の他方から一方(図1では上)に移動させ、(4)次に隔壁15の配列方向Xの一方(図1では右)に移動させる、以上の(1)〜(4)の工程を繰返すことによって、各隔壁15間にインキを供給する。
【0050】
図3は、インキを塗布した状態のパターン塗布用基板11の平面図である。ノズルプリンティング法では、インキの吐出を止めることなく連続的にインキを塗布し、いわゆる一筆書きでインキの塗布を行うので、親液部16上にもインキが塗布される。親液部16は、インキに対する接触角が小さく、親液性を示すので、親液部16に塗布されたインキは、親液部16上で濡れ広がり、親液部16上に保持される。したがって、パターニング領域を除く非パターニング領域に塗布されたインキが、パターンニング領域である隔壁15間に流れ込むことを防ぐことができ、ひいては隣接する列に塗られたインキと混ざることを防ぐことができる。これによって、供給されたインキを乾燥させたときに、パターニング領域の長手方向の両端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて厚くなることを防ぐことができ、パターニング領域において均一な膜厚の有機発光層を形成することができる。
【0051】
なお、親液部16に保持されるインキがパターニング領域に戻る(流れ込む)ことを防ぐという観点からは、親液部16とパターニング領域とに間隔を設けることが好ましく、該間隔としては500μm〜5000μmが好ましい。
【0052】
モノクロ表示装置用の表示パネルであれば、混色の問題は生じないが、例えばカラー表示装置用の表示パネルであれば、混色が重要な問題となる。例えばカラー表示装置用の表示パネルであれば、赤色で発光するR発光材料と、緑色で発光するG発光材料と、青色で発光するB発光材料とを塗り分ける必要がある。具体的には、各発光材料を含む3種類のインキを、列毎に塗り分ける必要があり、例えばR発光材料を含むインキ、G発光材料を含むインキ、B発光材料を含むインキをそれぞれ2列の間隔を開けて凹部に塗布することによって3種類のインキを塗り分けることができる。ノズルプリンティング法では、各種類のインキはそれぞれ前述したように一筆書きで2列の間隔を開けて凹部に塗布する。親液部16を設けていない従来の基板を用いた場合、3種類のインキが非パターニング領域で混ざり合うとともに、混ざった状態でパターニング領域に拡散するまたは流れ込むことがあり、混色の問題が生じるが、本実施の形態では親液部16を備えることによって、パターニング領域外に塗られたインキは親液部16で濡れ広がることにより、親液部16上で混色が生じたとしても、パターニング領域にインキが流れ込むことを防ぐことができるので、パターニング領域での混色を防ぐことができる。
【0053】
インキを塗布後、大気雰囲気、不活性ガス雰囲気および真空雰囲気などの雰囲気において、所定の温度および時間条件で乾燥することによって、有機発光層を形成することができる。
【0054】
有機発光層を形成した後、例えば他方の電極を形成する。本実施の形態ではパッシブマトリクス型の有機EL素子について説明する。本実施の形態では、配列方向Xに延伸する複数本の他方の電極が、長手方向Yに所定の間隔を開けて配置される。具体的には基板本体12の厚み方向の一方から見て、開口18が形成されている位置において、一方の電極13と他方の電極とが重なるように他方の電極が配置される。
【0055】
一対の電極の一方は陽極であり、他方は陰極であり、このような配置で一対の電極を設けることによって、所定の画素に設けられた有機EL素子を選択的に発光させることができる。
【0056】
以上の説明では一対の電極間に有機発光層のみがもうけられる形態について説明したが、一対の電極間には、有機発光層とは異なる層を設けることができる。
【0057】
陰極と発光層との間に設けられる層としては、電子注入層、電子輸送層、正孔ブロック層などを挙げることができる。陰極と発光層との間に電子注入層と電子輸送層との両方の層が設けられる場合、陰極に接する層を電子注入層といい、この電子注入層を除く層を電子輸送層という。
【0058】
電子注入層は、陰極からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子輸送層は、陰極、電子注入層または陰極により近い電子輸送層からの電子注入を改善する機能を有する層である。正孔ブロック層は、正孔の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお電子注入層、及び/又は電子輸送層が正孔の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が正孔ブロック層を兼ねることがある。
【0059】
正孔ブロック層が正孔の輸送を堰き止める機能を有することは、例えばホール電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
【0060】
陽極と発光層との間に設けられる層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層などを挙げることができる。陽極と発光層との間に、一層のみが設けられる場合には、該層を正孔注入層という。陽極と発光層との間に、正孔注入層と正孔輸送層との両方の層が設けられる場合、陽極に接する層を正孔注入層といい、この正孔注入層を除く層を正孔輸送層という。
【0061】
正孔注入層は、陽極からの正孔注入効率を改善する機能を有する層である。正孔輸送層は、陽極、正孔注入層または陽極により近い正孔輸送層からの正孔注入を改善する機能を有する層である。電子ブロック層は、電子の輸送を堰き止める機能を有する層である。なお正孔注入層、及び/又は正孔輸送層が電子の輸送を堰き止める機能を有する場合には、これらの層が電子ブロック層を兼ねることがある。
【0062】
電子ブロック層が電子の輸送を堰き止める機能を有することは、例えば、電子電流のみを流す素子を作製し、その電流値の減少で堰き止める効果を確認することが可能である。
【0063】
なお、電子注入層および正孔注入層を総称して電荷注入層と言う場合があり、電子輸送層および正孔輸送層を総称して電荷輸送層と言う場合がある。
【0064】
有機EL素子のとりうる層構成の一例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
f)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
e)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
f)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
l)陽極/発光層/電子注入層/陰極
m)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
n)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。以下同じ。)
本実施の形態の有機EL素子は、2層以上の発光層を有していてもよく、2層の発光層を有する有機EL素子としては、上記a)〜n)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極と陰極とに挟持された積層体を「繰り返し単位A」とすると、以下のo)に示す層構成を挙げることができる。
o)陽極/(繰り返し単位A)/電荷注入層/(繰り返し単位A)/陰極
また、3層以上の発光層を有する有機EL素子としては、「(繰り返し単位A)/電荷注入層」を「繰り返し単位B」とすると、以下のp)に示す層構成を挙げることができる。
p)陽極/(繰り返し単位B)x/(繰り返し単位A)/陰極
なお記号「x」は、2以上の整数を表し、(繰り返し単位B)xは、繰り返し単位Bがx段積層された積層体を表す。
【0065】
ここで、電荷注入層とは電界を印加することにより、正孔と電子を発生する層である。電荷注入層としては、例えば酸化バナジウム、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、酸化モリブデンなどから成る薄膜を挙げることができる。
【0066】
有機EL素子は、通常基板側に陽極が配置されるが、基板側に陰極を配置するようにしてもよい。
【0067】
本実施の形態の有機EL素子は、発光層からの光を外に取出すために、通常、発光層を基準にして光が取出される側に配置される全ての層を透明なものとしている。
【0068】
積層する層の順序、層数、および各層の厚さについては、発光効率や素子寿命を勘案して適宜設定することができる。
【0069】
次に、有機EL素子を構成する各層の材料および形成方法について、より具体的に説明する。
【0070】
<基板>
基板は、有機EL素子を製造する工程において変化しないものが好適に用いられ、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、およびシリコン基板、並びにこれらを積層したものなどが用いられる。前記基板としては、市販のものが使用可能であり、また公知の方法により製造することができる。
【0071】
<陽極>
陽極は、陽極を通して発光層からの光を取出す構成の有機EL素子の場合、光透過性を示す電極が用いられる。このような電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物および金属などの薄膜を用いることができ、光透過率の高いものが好適に用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、および銅などから成る薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、または酸化スズから成る薄膜が好適に用いられる。陽極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法などを挙げることができる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0072】
陽極には、光を反射する材料を用いてもよく、該材料としては、仕事関数3.0eV以上の金属、金属酸化物、金属硫化物が好ましい。
【0073】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができ、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0074】
<正孔注入層>
正孔注入層を構成する正孔注入材料としては、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、および酸化アルミニウムなどの酸化物や、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、アモルファスカーボン、ポリアニリン、およびポリチオフェン誘導体などを挙げることができる。
【0075】
正孔注入層の成膜方法としては、例えば正孔注入材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔注入材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒、および水を挙げることができる。
【0076】
溶液からの成膜方法としては、ノズルプリンティング法、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インキジェットプリント法などの塗布法を挙げることができ、本実施の形態では、前述したノズルプリンティング法が好適に用いられる。
【0077】
正孔注入層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなるので好ましくない。従って正孔注入層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0078】
<正孔輸送層>
正孔輸送層を構成する正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0079】
これらの中で正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体などの高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0080】
正孔輸送層の成膜方法としては、特に制限はないが、低分子の正孔輸送材料では、高分子バインダーと正孔輸送材料とを含む混合液からの成膜を挙げることができ、高分子の正孔輸送材料では、正孔輸送材料を含む溶液からの成膜を挙げることができる。
【0081】
溶液からの成膜に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はなく、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタンなどの塩素系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテートなどのエステル系溶媒などを挙げることができる。
【0082】
溶液からの成膜方法としては、前述した正孔中注入層の成膜法と同様の塗布法を挙げることができ、本実施の形態では、前述したノズルプリンティング法が好適に用いられる。
【0083】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収の弱いものが好適に用いられ、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどを挙げることができる。
【0084】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚は、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0085】
<発光層>
発光層は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、または該有機物とこれを補助するドーパントとから形成される。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよく、発光層は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、103〜108である高分子化合物を含むことが好ましい。発光層を構成する発光材料としては、例えば以下の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料、ドーパント材料を挙げることができる。
(色素系材料)
色素系材料としては、例えば、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体化合物、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ピロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体などを挙げることができる。
(金属錯体系材料)
金属錯体系材料としては、例えば中心金属に、Al、Zn、Beなど、またはTb、Eu、Dyなどの希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造などを有する金属錯体を挙げることができ、例えばイリジウム錯体、白金錯体などの三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体などを挙げることができる。
(高分子系材料)
高分子系材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素系材料や金属錯体系発光材料を高分子化したものなどを挙げることができる。
【0086】
上記発光性材料のうち、青色に発光する材料としては、ジスチリルアリーレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、およびそれらの重合体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリビニルカルバゾール誘導体、ポリパラフェニレン誘導体やポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0087】
また、緑色に発光する材料としては、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
【0088】
また、赤色に発光する材料としては、クマリン誘導体、チオフェン環化合物、およびそれらの重合体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などを挙げることができる。なかでも高分子材料のポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリフルオレン誘導体などが好ましい。
(ドーパント材料)
ドーパント材料としては、例えばペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾロン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾンなどを挙げることができる。なお、このような発光層の厚さは、通常約2nm〜200nmである。
【0089】
<発光層の成膜方法>
発光層の成膜方法としては、発光材料を含む溶液を塗布する方法、真空蒸着法、転写法などを用いることができる。溶液からの成膜に用いる溶媒としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する際に用いられる溶媒と同様の溶媒を挙げることができる。
【0090】
発光材料を含む溶液を塗布する方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法およびノズルプリンティング法などのコート法、並びにグラビア印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、反転印刷法、インキジェットプリント法などの塗布法を挙げることができ、本実施の形態では、前述したノズルプリンティング法が好適に用いられる。
【0091】
<電子輸送層>
電子輸送層を構成する電子輸送材料としては、公知のものを使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などを挙げることができる。
【0092】
これらのうち、電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、又は8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0093】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子の電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液若しくは溶融状態からの成膜を挙げることができ、高分子の電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜を挙げることができる。なお溶液または溶融状態からの成膜する場合には、高分子バインダーを併用してもよい。溶液から電子輸送層を成膜する方法としては、前述の溶液から正孔輸送層を成膜する方法と同様の成膜法を挙げることができ、本実施の形態では、前述したノズルプリンティング法が好適に用いられる。
【0094】
電子輸送層の膜厚は、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定され、少なくともピンホールが発しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0095】
<電子注入層>
電子注入層を構成する材料としては、発光層の種類に応じて最適な材料が適宜選択され、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のうちの1種類以上含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物、またはこれらの物質の混合物などを挙げることができる。アルカリ金属、アルカリ金属の酸化物、ハロゲン化物、および炭酸化物の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、酸化リチウム、フッ化リチウム、酸化ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化カリウム、フッ化カリウム、酸化ルビジウム、フッ化ルビジウム、酸化セシウム、フッ化セシウム、炭酸リチウムなどを挙げることができる。また、アルカリ土類金属、アルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸化物の例としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酸化カルシウム、フッ化カルシウム、酸化バリウム、フッ化バリウム、酸化ストロンチウム、フッ化ストロンチウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。電子注入層は、2層以上を積層した積層体で構成されてもよく、例えばLiF/Caなどを挙げることができる。電子注入層は、蒸着法、スパッタリング法、印刷法などにより形成される。電子注入層の膜厚としては、1nm〜1μm程度が好ましい。
【0096】
<陰極>
陰極の材料としては、仕事関数の小さく、発光層への電子注入が容易で、電気伝導度の高い材料が好ましい。また陽極側から光を取出す有機EL素子では、発光層からの光を陰極で陽極側に反射するために、陰極の材料としては可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極には、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属およびIII−B族金属などを用いることができる。陰極の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、またはグラファイト若しくはグラファイト層間化合物などが用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金などを挙げることができる。また、陰極としては導電性金属酸化物および導電性有機物などから成る透明導電性電極を用いることができる。具体的には、導電性金属酸化物として酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、およびIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などを挙げることができる。なお、陰極は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極として用いられる場合もある。
【0097】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して適宜設定され、例えば10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0098】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法などを挙げることができる。
【0099】
本発明の他の実施の形態のパターン塗布用基板は、隔壁が設けられるパターニング領域に対して隔壁の長手方向の一方および他方の非パターニング領域に、前記アニソールに対して吸収性を示す吸収部を有する。なお所定の有機層を形成する材料を溶解する溶媒はアニソールに限らないが、このアニソールに対して吸収性を示すものであれば通常用いられるインキに対しても吸収性を示す。
【0100】
本実施の形態のパターン塗布用基板は、前述の実施の形態の親液部を吸収部に替えたものであり、吸収部以外の構成要素は前述の実施の形態と同様であるので説明を省略する。また吸収部の設けられる位置は、親液部の設けられる位置と同様なので、吸収部の構成部材についてのみ説明する。
【0101】
吸収部は、アニソールに対する吸収性を示す部材によって構成され、吸収性が高い部材によって構成されることが好ましい。
【0102】
吸収部は、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、高分子化合物またはこれらの混合物を含んで構成されることが好ましい。特に吸収部は多孔質状であることが好ましい。
【0103】
高分子化合物としては、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリアクリル酸塩系、ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテル系材料、ポリビニルアルコール系材料、酢酸ビニル-アクリル酸塩系材料およびポリNビニルアセトアミド系材料などを挙げることができる。
【0104】
また酸化ケイ素としては、SiO、Si23およびSiO2などを挙げることができ、窒化ケイ素としては、SiN、Si34などを挙げることができる。
【0105】
多孔質状の酸化ケイ素から成る吸収部は、界面活性剤とテトラエトキシシランなどをゾルゲル反応させ、焼成により界面活性剤を除去することによって形成することができる。また、多孔質状の高分子化合物からなる吸収部には、多孔質状の高分子化合物からなる市販のシートを用いることができる。
【0106】
また、吸収部は、マスク用テープに形成されることが好ましい。すなわち、パターン塗布用基板11は、基板本体12と吸収部との間に介在するマスク用テープをさらに有する。吸収部は、このマスク用テープに接して設けられている。マスク用テープは、貼り合わせ剤が一方の表面に設けられており、貼り合わせ剤により絶縁壁17に貼付け可能であるとともに、貼付け後、絶縁壁17から剥離可能である。
【0107】
吸収部は、例えば前述した方法によってマスク用テープの表面上に形成することができる。このように吸収部がマスク用テープに形成されていれば、マスク用テープを介して吸収部を容易に貼り付けることができるとともに、容易に剥離することができ、作業性が向上する。
【0108】
例えばノズルプリンティング装置を用いて有機発光層を塗布法によって形成する際には、前述したようにいわゆる一筆書きでインキの塗布を行うので、吸収部上にもインキが塗布される。吸収部に塗布されたインキは、吸収部に吸収され、吸収部上に保持される。したがって、パターニング領域を除く領域に塗布されたインキが、パターンニング領域である隔壁15間に流れ込むことを防ぐことができ、ひいては隣接する列に塗られたインキと混ざることを防ぐことができる。これによって、供給されたインキを乾燥させたときに、パターニング領域の長手方向の両端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて厚くなることを防ぐことができ、パターニング領域において均一な膜厚の有機発光層を形成することができるとともに、前述した混色の問題も防ぐことができる。
【0109】
さらに他の実施の形態では、吸収部が、アニソールに対する接触角が30°未満であることが好ましい。このように吸収性を示すとともに、親液性を示す吸収部を設けることによって、例えばノズルプリンティング装置を用いて有機発光層を塗布法によって形成する際に、吸収部に塗布されたインキが、吸収部に吸収されるとともに、吸収部上において濡れ広がるので、インキがより吸収部に保持される。したがって、パターニング領域を除く領域に塗布されたインキが、パターンニング領域である隔壁15間に流れ込むことを防ぐことができ、ひいては隣接する列に塗られたインキと混ざることを防ぐことができる。これによって、供給されたインキを乾燥させたときに、パターニング領域の長手方向の両端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて厚くなることを防ぐことができ、パターニング領域において均一な膜厚の有機発光層を形成することができるとともに、混色の問題も防ぐことができる。
【0110】
以上の各実施の形態の説明ではパッシブマトリクス型の基板としてパターン塗布用基板を説明したが、パターン塗布用基板はパッシブマトリクス型に限らずに、基板本体にトランジスタなどの所定の電子部品を備えることにより、アクティブマトリクス型の基板にも適用することができる。
【0111】
以上説明した有機EL素子は、曲面状や平面状の照明装置、例えばスキャナの光源として用いられる面状光源、および表示装置に好適に用いることができる。
【0112】
有機EL素子を備える表示装置としては、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置などを挙げることができる。ドットマトリックス表示装置には、アクティブマトリックス表示装置およびパッシブマトリックス表示装置などがある。有機EL素子は、アクティブマトリックス表示装置、パッシブマトリックス表示装置において、各画素を構成する発光素子として用いられる。また有機EL素子は、セグメント表示装置において、各セグメントを構成する発光素子として用いられ、液晶表示装置において、バックライトとして用いられる。
【0113】
また以上の各実施の形態の説明では有機EL素子を形成するための基板としてパターン塗布用基板を説明したが、パターン塗布用基板は有機EL素子に限らずに、カラーフィルタ用の基板にも適用可能である。
【0114】
以下、カラーフィルタ用のパターン塗布用基板およびこれを用いて作製されたカラーフィルタについて説明する。
【0115】
カラーフィルタ用のパターン塗布用基板21は、図1に示す前述の実施の形態のパターン塗布用基板から、電極13を除くとともに、絶縁膜14の替わりに遮光膜24を設けた構成であり、対応する部分については同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
【0116】
図4は、カラーフィルタ用のパターン塗布用基板21を示す断面図である。カラーフィルタ用のパターン塗布用基板11は、絶縁膜14の替わりに遮光膜24を有する。この遮光膜24はいわゆるブラックマトリクスとして機能する。なおカラーフィルタ用のパターン塗布用基板21の平面図は図1と同様であり、また図4は、図1の切断面線VI−VIから見た断面図に相当する。
【0117】
遮光膜24は、基板本体12上に格子状に形成される。遮光膜24は光を遮光する性質を示すものであればよく、絶縁性を示す必要はない。
【0118】
遮光膜24は、無機物または有機物によって構成される。遮光膜24を構成する無機物としては、クロム、ニッケル合金などの金属を挙げることができる。例えば遮光膜24は、クロムを基板本体12一面に蒸着し、さらにフォトリソグラフィーによってパターニングすることによって形成される。また遮光膜24を構成する有機物としては、黒色顔料を含有する樹脂を挙げることができる。例えば遮光膜24は、黒色顔料を感光性樹脂に分散させた塗布液を基板本体12に塗布し、所定の部位を露光し、さらに現像することによって形成される。
【0119】
次に隔壁15および絶縁壁17を形成する。この隔壁15および絶縁壁17は前述した方法と同様の方法で形成することができる。なお隔壁15および絶縁壁17は、遮光性を示すことが好ましく、前述した感光性樹脂に黒色顔料を分散させた塗布液を用いて形成することが好ましい。
【0120】
親液部16または吸収部は、前述と同様なので、重複する説明を省略する。
【0121】
次にパターン塗布用基板を用いてカラーフィルタを形成する方法について説明する。カラーフィルタは、パターン塗布用基板21において、隔壁15間にカラーフィルタ膜を形成することによって作製できる。カラーフィルタ膜を形成する場合には、前述した有機発光層を形成する際に用いる塗布液を、カラーフィルタ膜用の塗布液に替えて、前述した有機発光層を形成する方法と同様にして形成することができる。
【0122】
カラーフィルタ膜用の塗布液としては、所定の顔料を分散媒に分散させたインキを挙げることができる。所定の顔料とは、赤色、緑色、青色の3つのカラーフィルタ膜を2列の間隔を開けてそれぞれ形成する場合には、赤色、緑色、青色の各色の顔料である。また分散媒としては、感光性樹脂を挙げることができる。
【0123】
カラーフィルタ膜は、前述したノズルプリンティング装置によってインキを塗布し、さらに光を照射して硬化させることによって形成できる。
【0124】
ノズルプリンティング装置を用いてカラーフィルタ膜を塗布法によって形成する際には、前述したようにいわゆる一筆書きでインキの塗布を行うので、親液部16または吸収部上にもインキが塗布される。親液部16または吸収部に塗布されたインキは、親液部16上に濡れ広がるか吸収部に吸収され、親液部16または吸収部に保持される。したがって、パターニング領域を除く領域に塗布されたインキが、パターンニング領域である隔壁15間に流れ込むことを防ぐことができ、ひいては隣接する列に塗られたインキと混ざることを防ぐことができる。これによって、カラーフィルタ膜を成膜したときに、パターニング領域の長手方向の両端部の膜厚が中央部の膜厚に比べて厚くなることを防ぐことができ、パターニング領域において均一な膜厚のカラーフィルタ膜を形成することができるとともに、混色の問題も防ぐことができる。
【0125】
このようなカラーフィルタは、液晶表示装置のカラーフィルタとして好適に用いることができる。また前述した有機EL素子を備える表示装置であっても、カラーフィルタを設けることによって色純度の高い表示装置を実現することができる。
【0126】
なお本実施の形態では遮光膜24を設けているが、遮光膜24を設けないパターン塗布用基板を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本発明の実施の一形態のパターン塗布用基板11である。
【図2】図1の切断面線II−IIから見たパターン塗布用基板11の断面図である。
【図3】インキを塗布した状態のパターン塗布用基板11の平面図である。
【図4】カラーフィルタ用のパターン塗布用基板21を示す断面図である。
【図5】有機EL素子を形成するために用いられている従来のパターン塗布用基板1の平面図である。
【図6】図5の切断面線VI−VIから見た従来のパターン塗布用基板1の断面図である。
【図7】従来のパターン塗布用基板1に形成される複数本の凹部のうちの左側の3列にインキを供給した直後の状態を表す。
【図8】ノズルプリンティング法によりインキを供給した後の従来のパターン塗布用基板1の平面図である。
【符号の説明】
【0128】
1,11,21 パターン塗布用基板
2,13 電極
3,14 絶縁膜
4 開口
5,15 隔壁
12 基板本体
16 親液部
17 絶縁壁
18 開口
24 遮光膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板本体と、
該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、
該隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対する接触角が30°未満である親液部とを有し、
前記親液部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる、パターン塗布用基板。
【請求項2】
前記親液部が無機物を含んで構成される、請求項1記載のパターン塗布用基板。
【請求項3】
前記親液部が酸化ケイ素、窒化ケイ素、またはこれらの混合物を含んで構成される、請求項1または2記載のパターン塗布用基板。
【請求項4】
前記基板本体と親液部との間に介在するマスク用テープをさらに有し、
前記親液部が、マスク用テープに接して設けられる、請求項1〜3のいずれか1つに記載のパターン塗布用基板。
【請求項5】
基板本体と、
該基板本体にストライプ状に載置される複数本の隔壁と、
隔壁が設けられるパターニング領域を除く非パターニング領域に設けられ、かつアニソールに対して吸収性を示す吸収部とを有し、
前記吸収部が、パターニング領域に対して前記隔壁の長手方向の一方および他方に設けられる、パターン塗布用基板。
【請求項6】
前記吸収部が多孔質状である、請求項5記載のパターン塗布用基板。
【請求項7】
前記吸収部が酸化ケイ素、窒化ケイ素、高分子化合物またはこれらの混合物を含む、請求項6記載のパターン塗布用基板。
【請求項8】
前記基板本体と吸収部との間に介在するマスク用テープをさらに有し、
前記吸収部が、マスク用テープに接して設けられている、請求項5〜7のいずれか1つに記載のパターン塗布用基板。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のパターン塗布用基板を用いて作製された有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項10】
請求項9記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を備える表示装置。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のパターン塗布用基板を用いて作製されたカラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−80086(P2010−80086A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−243847(P2008−243847)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】