パターン形成用の長尺フィルムおよびパターン付き長尺フィルム
【課題】含水率のバラツキが小さく、高精度のパターン形成が可能なパターン形成用の長尺フィルムと、パターン形成後の含水率のバラツキが小さく、高い精度での後加工が可能なパターン付き長尺フィルムとを提供する。
【解決手段】一方の面2aに長さ方向に沿って凸形状体5が配列された長尺フィルム2を巻き回して巻取り状態とし、凸形状体5の配列を、長尺フィルム2のパターン形成予定領域4外に相当する領域に位置させ、凸形状体5の長尺フィルムの長さ方向の寸法を、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔よりも大きくなるように設定して、パターン形成用の長尺フィルム1とする。
【解決手段】一方の面2aに長さ方向に沿って凸形状体5が配列された長尺フィルム2を巻き回して巻取り状態とし、凸形状体5の配列を、長尺フィルム2のパターン形成予定領域4外に相当する領域に位置させ、凸形状体5の長尺フィルムの長さ方向の寸法を、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔よりも大きくなるように設定して、パターン形成用の長尺フィルム1とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺フィルムに係り、特に寸法安定性に優れたパターン形成用の長尺フィルムと、これを用いたパターン付き長尺フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長尺フィルムを巻取り状態から繰り出し、印刷等により所望の線、模様等のパターンを形成してパターン付き長尺フィルムとした後、巻き回して巻取り状態とし、後工程においてパターン付き長尺フィルムを繰り出して更に加工を施したり、他の長尺フィルムや部材との貼り合わせ、係合、丁合等の加工により、所望の製品を製造することが行われている。
また、近年、省電力、薄型の表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置等が携帯電話、携帯用ノートパソコン、ゲーム機、電子リーダー等の種々の情報機器等に広く用いられている。しかし、薄型軽量化の要請に応えて、表示装置を構成するガラス基材の厚みを薄くすると、落下や外押圧ストレスにより破損し易いという問題があり、薄型軽量化には限界があった。
一方、ガラス基材の代わりにフィルム基材を使用することにより、上記の薄型軽量化による割れの問題は解消される。しかし、フィルム基材自体は、ガラス基材とは異なり、温度や水分吸着により寸法変化を生じ易く、例えば、カラーフィルタやTFT(薄膜トランジスタ)アレイ等の所望のパターンを高い精度で形成することが難しいという問題、パターンを形成したフィルム基材の寸法が変化し、後工程に支障が生じて、高精度の表示装置の製造が困難であるという問題があった。このような問題を解消するために、フィルム基材シートに対して、含水率が0.2重量%以下となるように乾燥を行い、その後、高温高湿環境下に保管して、所定の温湿環境における含水率の±10%以内の含水率となるように吸湿処理を行って、フィルム基材シートの寸法を制御する方法が提案されている(特許文献1)。また、フィルム基材シートの加熱脱水処理から露光開始までの時間を管理し、かつ、温度、湿度を調整して、フィルム基材シートの寸法を制御する方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66423号公報
【特許文献2】特開2003−177551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カラーフィルタやTFTアレイ等のパターンを形成するフィルム基材として長尺フィルムを使用する場合、巻取り状態にある長尺フィルムに対して、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されているような寸法制御の方法を適用しても、巻芯側と巻外側とで含水率が均一にならず、また、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで含水率が均一にならず、上述のような従来からの問題が依然として存在するものであった。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、含水率のバラツキが小さく、高精度のパターン形成が可能なパターン形成用の長尺フィルムと、パターン形成後の含水率のバラツキが小さく、高い精度での後加工が可能なパターン付き長尺フィルムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明のパターン形成用の長尺フィルムは、長尺フィルムを巻き回してなり、該長尺フィルムの一方の面であって長尺フィルムのパターン形成予定領域外に相当する領域に、長尺フィルムの長さ方向に沿って配列している複数の凸形状体を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいような構成とした。
【0006】
本発明の他の態様として、前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、長尺フィルムの前記パターン形成予定領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数画定されており、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成予定領域の間にも位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体の高さは、長尺フィルムのパターン形成予定領域に形成予定のパターンの厚みよりも大きいような構成とした。
本発明の他の態様として、パターン形成に使用する装置と長尺フィルムの幅方向の表面とが対向する領域に前記凸形状体が存在するときに、前記凸形状体の高さは形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性粒子を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えるような構成とした。
【0007】
本発明のパターン付き長尺フィルムは、一方の面にパターンを有する長尺フィルムを巻き回してなり、該パターンを有する面のパターン形成領域外の部位に、長尺フィルムの長さ方向に沿った凸形状体の配列を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいような構成とした。
【0008】
本発明の他の態様として、前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記パターン形成領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数存在し、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成領域の間にも位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性粒子を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えるような構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパターン形成用の長尺フィルムでは、長さ、間隔が所定の関係となるように配列されている凸形状体が、巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となり、これにより、パターン形成前の長尺フィルムの含水率の制御を均一に行うことができ、長尺フィルムの寸法変化を抑制して高精度のパターン形成が可能となる。
【0010】
また、本発明のパターン付き長尺フィルムでは、長さ、間隔が所定の関係となるように配列されている凸形状体が、巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、パターン付き長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となり、これにより、パターン付き長尺フィルムの含水率が均一なものとなり、寸法変化による加工精度の低下が防止され、パターンを用いた加工、あるいは、パターンに対する加工を高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す巻取り状態の部分側面図である。
【図2】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。
【図3】図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのI−I線における部分拡大縦断面図である。
【図4】図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのII−II線における部分拡大縦断面図である。
【図5】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。
【図6】本発明のパターン付き長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図7】図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIII−III線における部分拡大縦断面図である。
【図8】図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIV−IV線における部分拡大縦断面図である。
【図9】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図10】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図11】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図12】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図13】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[パターン形成用の長尺フィルム]
図1は本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す巻取り状態の部分側面図である。また、図2は本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図であり、図3は図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのI−I線における部分拡大縦断面図、図4は図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのII−II線における部分拡大縦断面図である。図1〜図4において、本発明のパターン形成用の長尺フィルム1は、長さ方向(図1、図2および図4に矢印aで示される方向)に沿った凸形状体5の配列を一方の面2aに有する長尺フィルム2を、巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。尚、図1では、凸形状体5に斜線を付して示している。
図示例では、所定幅のパターン形成予定領域4(図2では、二点鎖線で囲み示している)が、長尺フィルム2の一方の面2aに長さ方向に沿って一定のピッチで画定されている。そして、パターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5は、パターン形成予定領域4外に相当する領域に、長尺フィルム2の長さ方向に沿って配列している。図示例では、パターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5の配列は、長尺フィルム2の幅方向(図2、図3に矢印bで示される方向)の各側端2c,2cと長尺フィルム2のパターン形成予定領域4との間に位置する部位2′a,2′aに位置している。そして、凸形状体5の長さLは、長尺フィルム2の長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSよりも大きいものであり、また、凸形状体5の高さHは、例えば、1μm以上である。
本発明では、このような凸形状体5の配列を有することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を確実に生じさせることができる。
【0013】
尚、巻き回し時のテンションは、例えば、10〜200N/mm2の範囲で適宜設定することができる。この場合のテンションは、長尺フィルム2に加えられる張力を長尺フィルム2の横方向に沿った断面の面積で除すことにより求められる。
上記のように、長尺フィルム2の長さ方向における凸形状体5の長さLは、長尺フィルム2の長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSよりも大きいものである。このような凸形状体5の長さLと間隔6の長さSの関係が成立しない場合、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う外周側の長尺フィルム2が、内周側の長尺フィルム2の凸形状体5の間隔6に、巻き締め応力によって入り込み、外周側の長尺フィルム2の裏面2bが内周側の長尺フィルム2の表面2aに接触して、上記の微小な間隙が消滅するおそれがあり好ましくない。
【0014】
凸形状体5の長さLは、例えば、0.5〜500mm、好ましくは1〜100mmの範囲で設定することができ、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSは、例えば、0.05〜400mm、好ましくは0.1〜80mmの範囲で設定することができる。特に、凸形状体5の長さLは、巻き回されて巻取り状態にある最内周の長尺フィルム2と、その外周側に重なる長尺フィルム2の裏面2bとの間に、凸形状体5の間隔6が少なくとも1箇所存在するように設定する必要がある。これにより、巻取り状態で重なり合う面の間に形成された微小な間隙と外部とを通じたものとすることができる。また、凸形状体5同士の間隔6の長さSが400mmを超えると、凸形状体5の長さLと間隔6の長さSの間に上記の関係が成立しても、長尺フィルム2の厚み、材質によっては、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う外周側の長尺フィルム2が、内周側の長尺フィルム2の凸形状体5の間隔6に、巻き締め応力によって入り込み、外周側の長尺フィルム2の裏面2bが内周側の長尺フィルム2の表面2aに接触して、上記の微小な間隙が消滅する現象が生じるおそれがあり好ましくない。通常、部位2′a,2′aに位置している凸形状体5の各配列は同じ、すなわち、両配列における凸形状体5の長さLが同じであり、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSも同じであるが、配列毎に凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSを異なるように設定してもよい。
尚、凸形状体5の長さLが高さ方向で一定ではなく、例えば、長さ方向の両端面が傾斜しているような場合には、凸形状体5の長さLは最表面における長さとする。また、このような場合の凸形状体5同士の間隔6の長さSは、隣接する凸形状体5の最表面間の長さとする。
【0015】
上記のように、凸形状体5の高さHは、例えば、1μm以上の範囲で設定することができ、好ましくは10〜300μm、より好ましくは10〜100μmの範囲で設定することができる。凸形状体5の高さHが1μm未満であると、パターン形成用の長尺フィルム1の含水率を均一に制御することが難しくなる。また、凸形状体5の高さHは、長尺フィルム2のパターン形成予定領域4に形成予定のパターンの厚みよりも大きくなるように適宜設定することができる。
一方、図3に鎖線で示すように、パターン形成に使用する装置100の幅が、2列に配列されている凸形状体5の距離よりも広い場合、すなわち、装置100と長尺フィルム2の幅方向の表面とが対向する領域に凸形状体5が存在するときは、凸形状体5の高さと形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるように凸形状体5の高さHを設定することができる。凸形状体5の高さと形成予定のパターンの厚みとの差(凸形状体5の突出高さ)が1μm未満であると、パターンを形成した長尺フィルムの含水率を均一に制御することが難しくなる。また、凸形状体5の突出高さが100μmを超えると、装置100と長尺フィルム2の表面2aとの距離が拡大せざるを得ず、例えば、装置100が露光装置である場合に、解像度の低下が生じることがあり好ましくない。
また、凸形状体5の幅は、上記の部位2′a,2′aの幅、凸形状体5の高さ、材質を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜20000μm、好ましくは100〜10000μmの範囲で設定することができる。凸形状体5の幅が高さ方向で一定ではなく、例えば、断面が台形のような場合には、凸形状体5の幅は高さの半分の位置における幅とする。
【0016】
図5は、本発明のパターン形成用の長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。図5に示されるパターン形成用の長尺フィルム1′では、長尺フィルム2の幅方向で間隔を設けて2個のパターン形成予定領域4A,4Bが画定されており、さらに、各パターン形成予定領域4A,4Bが、長尺フィルム2の一方の面2aに長さ方向に沿って一定のピッチで画定されている。そして、凸形状体5は、長尺フィルム2の幅方向の側端2c,2cと長尺フィルム2のパターン形成予定領域4A,4Bとの間に位置する部位2′a,2′a、および、パターン形成予定領域4Aとパターン形成予定領域4Bとの間に位置する部位2″aに配列されている。このように、部位2′a,2′aに加えて、部位2″aにも凸形状体5を配設することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙をより確実に生じさせることができる。尚、図5に示されるパターン形成用の長尺フィルム1′において、上述のパターン形成用の長尺フィルム1と共通の部材については、同じ部材番号を付し説明を省略する。
上記のパターン形成用の長尺フィルム1′において、部位2′a,2′aに配列している凸形状体5の凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSは、部位2″aに配列している凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSと同じであってよく、また、異なるものであってもよい。
【0017】
本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′を構成する長尺フィルム2は、例えば、可撓性を有する樹脂基材であれば特に制限はなく、パターン形成用の長尺フィルムの用途に応じて適宜選定することができる。例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、セルローストリアセテート、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリアミドイミド、ノルボルネン系樹脂、アリルエステル樹脂等の樹脂基材を挙げることができる。また、これらの樹脂基材の2種以上からなる積層構造の樹脂基材であってもよい。
長尺フィルム2としては、湿度膨張係数が2×10-5/%RH以下、好ましくは5×10-6/%RH以下である樹脂基材が、湿度変化による寸法変化量が少なく好適であり、また、線膨張係数が2×10-5/℃以下、好ましくは5×10-6/℃以下である樹脂基材が、温度変化による寸法変化量が少なく好適である。このような樹脂基材としては、上記の樹脂基材の中では、例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、パターン形成用の長尺フィルムの用途から、長尺フィルム2に透明性が要求される場合には、要求される透明性に応じて樹脂基材を適宜選定することができる。
【0018】
長尺フィルム2の厚みは、パターン形成用の長尺フィルムの用途に応じて適宜設定することができ、例えば、1μm〜1mm、好ましくは10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。長尺フィルム2の厚みが1mmを超えると、可撓性が低下して折れを生じ易くなり、また、1μm未満であると、こしが無くなり、パターン形成用の長尺フィルムの製造工程、および、パターン形成用の長尺フィルムを用いたパターン形成工程において作業性が低下して好ましくない。
また、長尺フィルム2の幅は特に制限はなく、画定するパターン形成予定領域4あるいはパターン形成予定領域4A,4Bに応じて適宜設定することができ、例えば、100〜1000mm、好ましくは150〜600mmの範囲内で設定することができる。
本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′を構成する凸形状体5は、巻取り状態にある長尺フィルム2の巻き締め応力により破壊、潰れ等が生じないような強度を有する材質であればよく、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、ノボラック樹脂等の1種または2種以上の組み合わせで形成することができる。また、凸形状体5の形成は、例えば、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、ディスペンサー法等により行うことができる。
【0019】
このような本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′では、凸形状体5の長さLと間隔6の長さSが所定の関係となるように配列されている凸形状体5が、巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は凸形状体5同士の間隔6を介して外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となる。これにより、パターン形成前の長尺フィルムの含水率の制御を均一に行うことができ、長尺フィルムの寸法変化を抑制して高精度のパターン形成が可能となる。
【0020】
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、パターン形成用の長尺フィルムの帯電防止を目的として、凸形状体5が導電性粒子を含有してもよく、また、凸形状体5が導電性膜を表面に備えるものであってもよい。凸形状体5が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子としては、カーボンブラック、あるいは、銀微粒子、銅微粒子、ITO(酸化インジウムスズ)微粒子、チタン微粒子等の金属微粒子等を挙げることができ、このような導電性粒子を凸形状体5中に0.1〜10重量%の範囲で含有させることができる。また、凸形状体5が導電性膜を表面に備える場合、例えば、上記の導電性粒子を含有するペーストを使用して、凸形状体5を被覆するように導電性膜を形成することができる。
また、長尺フィルム2は、加工段階での取扱い性、使用目的等に応じて、裏面2bに、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の所望の処理を施したものであってもよい。
また、長尺フィルム2の幅方向で間隔を設けて画定するパターン形成予定領域の数は、3個以上であってもよく、この場合、複数存在するパターン形成予定領域間のうち、任意のパターン形成予定領域間に凸形状体を配列することができる。
【0021】
[パターン付き長尺フィルム]
図6は本発明のパターン付き長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図であり、図7は図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIII−III線における部分拡大縦断面図であり、図8は図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIV−IV線における部分拡大縦断面図である。図6〜図8において、本発明のパターン付き長尺フィルム11は、長さ方向(図6および図8に矢印aで示される方向)に沿った凸形状体15の配列を一方の面12aに有し、この面12aにパターン13を有する長尺フィルム12を巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。図示例では、パターン13が形成された所定幅のパターン形成領域14が、長尺フィルム12の一方の面12aに長さ方向に沿って一定のピッチで配列されている。また、凸形状体15は、長尺フィルム12の幅方向(図6、図7に矢印bで示される方向)の各側端12c,12cと長尺フィルム12のパターン形成領域14との間に位置する部位12′a,12′aに配列されている。そして、凸形状体15の長さLは、長尺フィルム12の長さ方向で隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSよりも大きく、凸形状体15の高さHは、例えば、パターン13の厚みTよりも1μm以上大きいものである。これにより、パターン13を有する長尺フィルム12が巻き回されて巻取り状態にあっても、長尺フィルム12の重なり合う面の間に微小な間隙を確実に生じさせることができる。
【0022】
尚、巻き回し時のテンションは、例えば、10〜200N/mm2の範囲で適宜設定することができる。この場合のテンションは、長尺フィルム12に加えられる張力を長尺フィルム12の横方向に沿った断面の面積で除すことにより求められる。
上記のように、長尺フィルム12に配列されている凸形状体15の長さLは、長尺フィルム12の長さ方向で隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSよりも大きいものである。このような凸形状体15の長さLと間隔16の長さSの関係が成立しない場合、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う外周側の長尺フィルム12が、内周側の長尺フィルム12の凸形状体15の間隔16に、巻き締め応力によって入り込み、パターン13に外周側の長尺フィルム12の裏面12bが接触するおそれがあり好ましくない。
【0023】
凸形状体15の長さLは、例えば、0.5〜500mm、好ましくは1〜100mmの範囲で設定することができ、隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSは、例えば、0.05〜400mm、好ましくは0.1〜80mmの範囲で設定することができる。特に、凸形状体15の長さLは、巻き回されて巻取り状態にある最内周の長尺フィルム12と、その外周側に重なる長尺フィルム12の裏面12bとの間に、凸形状体15の間隔16が少なくとも1箇所存在するように設定する必要がある。これにより、巻取り状態で重なり合う面の間に形成された微小な間隙と外部とを通じたものとすることができる。また、凸形状体15同士の間隔16の長さSが400mmを超えると、凸形状体15の長さLと間隔16の長さSの間に上記の関係が成立しても、長尺フィルム12の厚み、材質によっては、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う外周側の長尺フィルム12が、内周側の長尺フィルム12の凸形状体15の間隔16に、巻き締め応力によって入り込み、パターン13に外周側の長尺フィルム12の裏面12bが接触する現象が生じるおそれがあり好ましくない。
尚、凸形状体15の長さLが高さ方向で一定ではなく、例えば、長さ方向の両端面が傾斜しているような場合には、凸形状体15の長さLは最表面における長さとする。また、このような場合の凸形状体15同士の間隔16の長さSは、隣接する凸形状体15の最表面間の長さとする。
【0024】
上記のように、凸形状体15の高さHは、例えば、パターン13の厚みTよりも1μm以上大きくなるように設定することができ、好ましくは10〜300μmの範囲、より好ましくは10〜100μmの範囲でパターン13の厚みTよりも大きくなるように設定することができる。凸形状体15の高さHとパターン13の厚みTの差が1μm未満であると、パターン付き長尺フィルム11の含水率を均一に制御することが難しくなる。
また、凸形状体15の幅は、上記の部位12′a,12′aの幅、凸形状体15の高さH、凸形状体15の材質を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜20000μm、好ましくは100〜10000μmの範囲で設定することができる。尚、凸形状体15の幅が高さ方向で一定ではなく、例えば、断面が台形のような場合には、凸形状体15の幅は高さの半分の位置における幅とする。
【0025】
図9は、本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す部分平面図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。図9に示されるパターン付き長尺フィルム11′では、長尺フィルム12の幅方向で間隔を設けて2個のパターン形成領域14A,14Bが設定されている。これらのパターン形成領域14A,14Bには、長尺フィルム12の長さ方向に沿って一方の面12aにパターン13,13が一定のピッチで配列されている。そして、凸形状体15は、長尺フィルム12の幅方向の各側端12c,12cと長尺フィルム12のパターン形成領域14A,14Bとの間に位置する部位12′a,12′a、および、パターン形成領域14Aとパターン形成領域14Bとの間に位置する部位12″aに配列されている。このように、部位12′a,12′aに加えて、部位12″aにも凸形状体15の配列を有することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙をより確実に生じさせることができる。尚、図9に示されるパターン付き長尺フィルム11′において、上述のパターン付き長尺フィルム11と共通の部材については、同じ部材番号を付し説明を省略する。
本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′を構成する長尺フィルム12の材質は、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルム1を構成する長尺フィルム2の材質と同様のものを挙げることができ、パターン付き長尺フィルムの用途に応じて適宜選定することができる。また、本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′を構成する凸形状体15の材質は、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5の材質と同様とすることができる。
【0026】
次に、本発明のパターン付き長尺フィルムのパターンについて例を挙げて説明する。
図10〜図13は、本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。図10において、パターン付き長尺フィルム21は、長尺フィルム22の長さ方向に沿って一方の面22aに凸形状体25の配列を有し、この面22aにパターン23を有する長尺フィルム22を巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。このパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bからなっている。
また、図11に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターン間に位置するブラックマトリックス23BMからなっている。
また、図12に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターンを被覆するオーバーコート層23OCからなっている。
さらに、図13に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターン間に位置するブラックマトリックス23BMと、着色パターンおよびブラックマトリックスを被覆するオーバーコート層23OCからなっている。
【0027】
また、本発明のパターン付き長尺フィルムのパターンとしては、種々の機能層パターンであってよく、上記のカラーフィルタを構成する機能層パターンの他に、例えば、電子ペーパー用表示素子、有機EL用表示素子、太陽電池用光電変換素子、配線パターン、ハードコート層、反射防止層、偏光層、TFT用素子等の機能層パターンを挙げることができる。
このような本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′では、凸形状体15の長さLと間隔16の長さSが所定の関係となるように配設されている凸形状体15が、巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は、凸形状体15同士の間隔16を介して外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、パターン付き長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となる。これにより、パターン付き長尺フィルムの含水率が均一なものとなり、寸法変化による加工精度の低下が防止され、パターンを用いた加工、あるいは、パターンに対する加工を高い精度で行うことができる。また、長尺フィルム12に形成されているパターン13への、巻取り状態で外周側に位置する長尺フィルム12の裏面12bによる押圧力が、凸形状体15により抑制されるので、所謂パターンの裏移りが防止され、例えば、従来、裏移りを防止するために、パターン形成後に長尺フィルムに重ね合わせて巻き回していたような離型紙が不要となる。
【0028】
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルムと同様に、パターン付き長尺フィルムの帯電防止を目的として、凸形状体15が導電性粒子を含有してもよく、また、凸形状体15が導電性膜を表面に備えるものであってもよい。
また、長尺フィルム12の裏面12bに、加工段階での取扱い性、使用目的等に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の所望の処理を施したものであってもよい。
また、長尺フィルム12の幅方向で間隔を設けて存在するパターン形成領域の数は、3個以上であってもよく、この場合、複数存在するパターン形成領域間のうち、任意のパターン形成領域間に凸形状体を配列することができる。
【実施例】
【0029】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
(パターン形成用の長尺フィルムの作製)
長尺フィルムとして、長さ200m、幅33cm、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製 コスモシャインA4100)を準備した。
幅15cm、長さ7.5cmのパターン形成予定領域を、上記の長尺フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ20cmで画定した。また、このパターン形成予定領域と長尺フィルムの幅方向の各側端との間の部位を、それぞれ凸形状体の配列部位とした。
【0030】
次に、長尺フィルムを繰り出して、上記の各配列部位に、スクリーン印刷法でフレキシブル用ソルダーペースト(太陽インキ製造(株)製 FC−HARD)を供給し硬化させて、1個の長さLが20mm、幅が8000μmの凸形状体を、長尺フィルムの長さ方向に沿って隣接する間隔の長さSが3mmとなるように一定のピッチで配列し、外径が76.2mm、外周が239.3mmの巻取りコアに、凸形状体の形成面を外側として巻き回して、パターン形成用の長尺フィルムを作製した。作製したパターン形成用の長尺フィルムは、配列されている凸形状体が表1に示される高さを有する9種(試料1−1〜試料1−9)とした。また、上記の各配列部位に配列された2列の凸形状体の列間距離は30cmであり、コアへの巻き回し時のテンションは50N/mm2とした。尚、凸形状体の高さの測定は、ザイゴ社製 レーザー干渉膜厚測定器を用いて行った。
また、凸形状体の1個の長さLを3mm、長尺フィルムの長さ方向に沿って隣接する凸形状体同士の間隔の長さSを20mmとし(L<S)、凸形状体の高さを10μmとして一定のピッチで配列した他は、上記と同様にして、パターン形成用の長尺フィルム(試料1−10)を作製した。
【0031】
(評 価)
これらの10種のパターン形成用の長尺フィルムを巻取り状態で、23℃、45%RHの環境下に7日間保管し、その後、保管時と同じ環境で巻取り状態から長尺フィルムを繰り出した直後の含水率を測定し、含水率のバラツキ(環境湿度と測定湿度の差の絶対値の環境湿度に対する百分率)を算出して、下記の評価基準で評価し結果を表1に示した。尚、この含水率の測定は、透過型の水分計(クラボウ(株)製 RX−100)を使用し、長尺フィルムの幅方向では、両端部から内側へ4cmの位置の2箇所と中央部の計3箇所、長さ方向では、1mピッチで行った。
(評価基準)
◎ : 含水率のバラツキが0.01重量%以下であり、パターン形成用の
長尺フィルムの含水率の均一な制御が容易である。
○ : 含水率のバラツキが0.01重量%を超えるものの、0.03重量%
以下であり、パターン形成用の長尺フィルムの含水率の均一な制御が
可能である。
× : 含水率のバラツキが0.03重量%を超え、パターン形成用の長尺
フィルムの含水率の均一な制御が困難である。
【0032】
【表1】
表1に示される結果から、配列した凸形状体の高さが1μm以上であり、凸形状体の1個の長さLが、隣接する凸形状体同士の間隔の長さSよりも大きいものであるパターン形成用の長尺フィルムでは、均一な含水率の制御が可能なことが確認された。
【0033】
[実施例2]
(パターン形成用の長尺フィルムの作製)
実施例1と同様の長尺フィルムを準備し、実施例1と同様にパターン形成予定領域を画定した。
このパターン形成予定領域に形成するパターン厚みを1μmに設定し、突出高さ(凸形状体の高さとパターンの厚みとの差)が下記の表2に示すものとなるように凸形状体の高さを設定した他は、実施例1と同様にして凸形状体を配列形成して、14種のパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を作製した。
【0034】
(パターン付き長尺フィルムの作製)
上記のように作製した14種のパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を用いて、2列の凸形状体の配列の間に画定したパターン形成予定領域を被覆するようにダイコート法により感光性の樹脂材料((株)DNPファインケミカル製カラーレジスト材料)を塗布した。次いで、ライン/スペースが14μm/14μmのストライプ形状の開口部を有する露光マスクを介して、塗布膜を露光(照射光量150mJ/cm2)し、現像してパターン(厚み1μm)をパターン形成予定領域内に形成し、外径が76.2mm、外周が239.3mmの巻取りコアに、パターン形成面を外側として巻き回して、パターン付き長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を作製した。尚、コアへの巻き回し時のテンションは50N/mm2とした。
使用した露光装置は、露光マスクの幅が50cmであり、2列の凸形状体の配列が共に長尺フィルムと露光マスクとの対向領域に存在するものであった。このため、試料2−1〜試料2−14の凸形状体の高さに応じて、露光マスクが凸形状体の最表面から150μm程度離間するように露光ギャップを設定して露光を行った。
【0035】
(評 価)
作製した14種のパターン付き長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)について、実施例1と同様の条件で保管し、その後、実施例1と同様に含水率のバラツキを算出し、評価して結果を表2に示した。
また、形成したパターンの解像度をソキア社製パターン幅測定装置を用いて測定し、下記の評価基準で評価し結果を表2に示した。
(評価基準)
○ : 解像度がマスク設計値よりも+20μm以内であり、高い精度で
パターン形成が可能である。
× : 解像度がマスク設計値よりも+20μmを超え、高い精度でのパ
ターン形成が困難である。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示されるように、配列された凸形状体の突出高さ(凸形状体の高さとパターンの厚みとの差)が1μm以上であるパターン形成用の長尺フィルム(試料2−3〜試料2−14)では、均一な含水率の制御が可能なことが確認された。
しかし、凸形状体の突出高さが100μmを超えるパターン付き長尺フィルム(試料2−10〜試料2−14)では、露光ギャップが大きくなりすぎ、形成されたパターンの解像度の低下がみられた。
尚、均一な含水率の制御が困難なパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−3)を用いたパターン形成では、作製されたパターン付き長尺フィルムのパターン解像度の評価結果は良好であった。しかし、巻取り状態の巻芯側と巻外側における水分含有率に相違により、パターン形成後の長尺フィルム寸法の変化が大きいものであった。すなわち、巻芯側と巻外側とで、長尺フィルムの幅方向の長さに40μmの差が生じ、この変化量は、パターンの幅方向に換算すると20μmの変化量となり、例えば、パターンがカラーフィルタである場合、1/4画素分のズレを生じることとなり、実用に供し得ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
長尺の基材にパターンを形成し、さらに、このパターンに加工を施したり、パターンを他の長尺フィルムや部材と一体化加工する種々の工程を有する製品の製造に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1,1′…パターン形成用の長尺フィルム
2…長尺フィルム
4,4A,4B…パターン形成予定領域
5…凸形状体
6…凸形状体の間隔
11,11′,21…パターン付き長尺フィルム
12,22…長尺フィルム
13,23…パターン
14,14A,14B…パターン形成領域
15,25…凸形状体
16…凸形状体の間隔
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺フィルムに係り、特に寸法安定性に優れたパターン形成用の長尺フィルムと、これを用いたパターン付き長尺フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長尺フィルムを巻取り状態から繰り出し、印刷等により所望の線、模様等のパターンを形成してパターン付き長尺フィルムとした後、巻き回して巻取り状態とし、後工程においてパターン付き長尺フィルムを繰り出して更に加工を施したり、他の長尺フィルムや部材との貼り合わせ、係合、丁合等の加工により、所望の製品を製造することが行われている。
また、近年、省電力、薄型の表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置等が携帯電話、携帯用ノートパソコン、ゲーム機、電子リーダー等の種々の情報機器等に広く用いられている。しかし、薄型軽量化の要請に応えて、表示装置を構成するガラス基材の厚みを薄くすると、落下や外押圧ストレスにより破損し易いという問題があり、薄型軽量化には限界があった。
一方、ガラス基材の代わりにフィルム基材を使用することにより、上記の薄型軽量化による割れの問題は解消される。しかし、フィルム基材自体は、ガラス基材とは異なり、温度や水分吸着により寸法変化を生じ易く、例えば、カラーフィルタやTFT(薄膜トランジスタ)アレイ等の所望のパターンを高い精度で形成することが難しいという問題、パターンを形成したフィルム基材の寸法が変化し、後工程に支障が生じて、高精度の表示装置の製造が困難であるという問題があった。このような問題を解消するために、フィルム基材シートに対して、含水率が0.2重量%以下となるように乾燥を行い、その後、高温高湿環境下に保管して、所定の温湿環境における含水率の±10%以内の含水率となるように吸湿処理を行って、フィルム基材シートの寸法を制御する方法が提案されている(特許文献1)。また、フィルム基材シートの加熱脱水処理から露光開始までの時間を管理し、かつ、温度、湿度を調整して、フィルム基材シートの寸法を制御する方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−66423号公報
【特許文献2】特開2003−177551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、カラーフィルタやTFTアレイ等のパターンを形成するフィルム基材として長尺フィルムを使用する場合、巻取り状態にある長尺フィルムに対して、例えば、特許文献1、特許文献2に記載されているような寸法制御の方法を適用しても、巻芯側と巻外側とで含水率が均一にならず、また、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで含水率が均一にならず、上述のような従来からの問題が依然として存在するものであった。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、含水率のバラツキが小さく、高精度のパターン形成が可能なパターン形成用の長尺フィルムと、パターン形成後の含水率のバラツキが小さく、高い精度での後加工が可能なパターン付き長尺フィルムとを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明のパターン形成用の長尺フィルムは、長尺フィルムを巻き回してなり、該長尺フィルムの一方の面であって長尺フィルムのパターン形成予定領域外に相当する領域に、長尺フィルムの長さ方向に沿って配列している複数の凸形状体を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいような構成とした。
【0006】
本発明の他の態様として、前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、長尺フィルムの前記パターン形成予定領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数画定されており、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成予定領域の間にも位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体の高さは、長尺フィルムのパターン形成予定領域に形成予定のパターンの厚みよりも大きいような構成とした。
本発明の他の態様として、パターン形成に使用する装置と長尺フィルムの幅方向の表面とが対向する領域に前記凸形状体が存在するときに、前記凸形状体の高さは形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性粒子を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えるような構成とした。
【0007】
本発明のパターン付き長尺フィルムは、一方の面にパターンを有する長尺フィルムを巻き回してなり、該パターンを有する面のパターン形成領域外の部位に、長尺フィルムの長さ方向に沿った凸形状体の配列を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいような構成とした。
【0008】
本発明の他の態様として、前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置しているような構成とした。
本発明の他の態様として、前記パターン形成領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数存在し、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成領域の間にも位置するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性粒子を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えるような構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明のパターン形成用の長尺フィルムでは、長さ、間隔が所定の関係となるように配列されている凸形状体が、巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となり、これにより、パターン形成前の長尺フィルムの含水率の制御を均一に行うことができ、長尺フィルムの寸法変化を抑制して高精度のパターン形成が可能となる。
【0010】
また、本発明のパターン付き長尺フィルムでは、長さ、間隔が所定の関係となるように配列されている凸形状体が、巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、パターン付き長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となり、これにより、パターン付き長尺フィルムの含水率が均一なものとなり、寸法変化による加工精度の低下が防止され、パターンを用いた加工、あるいは、パターンに対する加工を高い精度で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す巻取り状態の部分側面図である。
【図2】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。
【図3】図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのI−I線における部分拡大縦断面図である。
【図4】図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのII−II線における部分拡大縦断面図である。
【図5】本発明のパターン形成用の長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。
【図6】本発明のパターン付き長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図7】図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIII−III線における部分拡大縦断面図である。
【図8】図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIV−IV線における部分拡大縦断面図である。
【図9】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。
【図10】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図11】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図12】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【図13】本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[パターン形成用の長尺フィルム]
図1は本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す巻取り状態の部分側面図である。また、図2は本発明のパターン形成用の長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図であり、図3は図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのI−I線における部分拡大縦断面図、図4は図2に示されるパターン形成用の長尺フィルムのII−II線における部分拡大縦断面図である。図1〜図4において、本発明のパターン形成用の長尺フィルム1は、長さ方向(図1、図2および図4に矢印aで示される方向)に沿った凸形状体5の配列を一方の面2aに有する長尺フィルム2を、巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。尚、図1では、凸形状体5に斜線を付して示している。
図示例では、所定幅のパターン形成予定領域4(図2では、二点鎖線で囲み示している)が、長尺フィルム2の一方の面2aに長さ方向に沿って一定のピッチで画定されている。そして、パターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5は、パターン形成予定領域4外に相当する領域に、長尺フィルム2の長さ方向に沿って配列している。図示例では、パターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5の配列は、長尺フィルム2の幅方向(図2、図3に矢印bで示される方向)の各側端2c,2cと長尺フィルム2のパターン形成予定領域4との間に位置する部位2′a,2′aに位置している。そして、凸形状体5の長さLは、長尺フィルム2の長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSよりも大きいものであり、また、凸形状体5の高さHは、例えば、1μm以上である。
本発明では、このような凸形状体5の配列を有することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙を確実に生じさせることができる。
【0013】
尚、巻き回し時のテンションは、例えば、10〜200N/mm2の範囲で適宜設定することができる。この場合のテンションは、長尺フィルム2に加えられる張力を長尺フィルム2の横方向に沿った断面の面積で除すことにより求められる。
上記のように、長尺フィルム2の長さ方向における凸形状体5の長さLは、長尺フィルム2の長さ方向で隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSよりも大きいものである。このような凸形状体5の長さLと間隔6の長さSの関係が成立しない場合、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う外周側の長尺フィルム2が、内周側の長尺フィルム2の凸形状体5の間隔6に、巻き締め応力によって入り込み、外周側の長尺フィルム2の裏面2bが内周側の長尺フィルム2の表面2aに接触して、上記の微小な間隙が消滅するおそれがあり好ましくない。
【0014】
凸形状体5の長さLは、例えば、0.5〜500mm、好ましくは1〜100mmの範囲で設定することができ、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSは、例えば、0.05〜400mm、好ましくは0.1〜80mmの範囲で設定することができる。特に、凸形状体5の長さLは、巻き回されて巻取り状態にある最内周の長尺フィルム2と、その外周側に重なる長尺フィルム2の裏面2bとの間に、凸形状体5の間隔6が少なくとも1箇所存在するように設定する必要がある。これにより、巻取り状態で重なり合う面の間に形成された微小な間隙と外部とを通じたものとすることができる。また、凸形状体5同士の間隔6の長さSが400mmを超えると、凸形状体5の長さLと間隔6の長さSの間に上記の関係が成立しても、長尺フィルム2の厚み、材質によっては、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う外周側の長尺フィルム2が、内周側の長尺フィルム2の凸形状体5の間隔6に、巻き締め応力によって入り込み、外周側の長尺フィルム2の裏面2bが内周側の長尺フィルム2の表面2aに接触して、上記の微小な間隙が消滅する現象が生じるおそれがあり好ましくない。通常、部位2′a,2′aに位置している凸形状体5の各配列は同じ、すなわち、両配列における凸形状体5の長さLが同じであり、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSも同じであるが、配列毎に凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSを異なるように設定してもよい。
尚、凸形状体5の長さLが高さ方向で一定ではなく、例えば、長さ方向の両端面が傾斜しているような場合には、凸形状体5の長さLは最表面における長さとする。また、このような場合の凸形状体5同士の間隔6の長さSは、隣接する凸形状体5の最表面間の長さとする。
【0015】
上記のように、凸形状体5の高さHは、例えば、1μm以上の範囲で設定することができ、好ましくは10〜300μm、より好ましくは10〜100μmの範囲で設定することができる。凸形状体5の高さHが1μm未満であると、パターン形成用の長尺フィルム1の含水率を均一に制御することが難しくなる。また、凸形状体5の高さHは、長尺フィルム2のパターン形成予定領域4に形成予定のパターンの厚みよりも大きくなるように適宜設定することができる。
一方、図3に鎖線で示すように、パターン形成に使用する装置100の幅が、2列に配列されている凸形状体5の距離よりも広い場合、すなわち、装置100と長尺フィルム2の幅方向の表面とが対向する領域に凸形状体5が存在するときは、凸形状体5の高さと形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるように凸形状体5の高さHを設定することができる。凸形状体5の高さと形成予定のパターンの厚みとの差(凸形状体5の突出高さ)が1μm未満であると、パターンを形成した長尺フィルムの含水率を均一に制御することが難しくなる。また、凸形状体5の突出高さが100μmを超えると、装置100と長尺フィルム2の表面2aとの距離が拡大せざるを得ず、例えば、装置100が露光装置である場合に、解像度の低下が生じることがあり好ましくない。
また、凸形状体5の幅は、上記の部位2′a,2′aの幅、凸形状体5の高さ、材質を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜20000μm、好ましくは100〜10000μmの範囲で設定することができる。凸形状体5の幅が高さ方向で一定ではなく、例えば、断面が台形のような場合には、凸形状体5の幅は高さの半分の位置における幅とする。
【0016】
図5は、本発明のパターン形成用の長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態の長尺フィルムの部分平面図である。図5に示されるパターン形成用の長尺フィルム1′では、長尺フィルム2の幅方向で間隔を設けて2個のパターン形成予定領域4A,4Bが画定されており、さらに、各パターン形成予定領域4A,4Bが、長尺フィルム2の一方の面2aに長さ方向に沿って一定のピッチで画定されている。そして、凸形状体5は、長尺フィルム2の幅方向の側端2c,2cと長尺フィルム2のパターン形成予定領域4A,4Bとの間に位置する部位2′a,2′a、および、パターン形成予定領域4Aとパターン形成予定領域4Bとの間に位置する部位2″aに配列されている。このように、部位2′a,2′aに加えて、部位2″aにも凸形状体5を配設することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙をより確実に生じさせることができる。尚、図5に示されるパターン形成用の長尺フィルム1′において、上述のパターン形成用の長尺フィルム1と共通の部材については、同じ部材番号を付し説明を省略する。
上記のパターン形成用の長尺フィルム1′において、部位2′a,2′aに配列している凸形状体5の凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSは、部位2″aに配列している凸形状体5の長さL、隣接する凸形状体5同士の間隔6の長さSと同じであってよく、また、異なるものであってもよい。
【0017】
本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′を構成する長尺フィルム2は、例えば、可撓性を有する樹脂基材であれば特に制限はなく、パターン形成用の長尺フィルムの用途に応じて適宜選定することができる。例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、セルローストリアセテート、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリアミドイミド、ノルボルネン系樹脂、アリルエステル樹脂等の樹脂基材を挙げることができる。また、これらの樹脂基材の2種以上からなる積層構造の樹脂基材であってもよい。
長尺フィルム2としては、湿度膨張係数が2×10-5/%RH以下、好ましくは5×10-6/%RH以下である樹脂基材が、湿度変化による寸法変化量が少なく好適であり、また、線膨張係数が2×10-5/℃以下、好ましくは5×10-6/℃以下である樹脂基材が、温度変化による寸法変化量が少なく好適である。このような樹脂基材としては、上記の樹脂基材の中では、例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、パターン形成用の長尺フィルムの用途から、長尺フィルム2に透明性が要求される場合には、要求される透明性に応じて樹脂基材を適宜選定することができる。
【0018】
長尺フィルム2の厚みは、パターン形成用の長尺フィルムの用途に応じて適宜設定することができ、例えば、1μm〜1mm、好ましくは10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。長尺フィルム2の厚みが1mmを超えると、可撓性が低下して折れを生じ易くなり、また、1μm未満であると、こしが無くなり、パターン形成用の長尺フィルムの製造工程、および、パターン形成用の長尺フィルムを用いたパターン形成工程において作業性が低下して好ましくない。
また、長尺フィルム2の幅は特に制限はなく、画定するパターン形成予定領域4あるいはパターン形成予定領域4A,4Bに応じて適宜設定することができ、例えば、100〜1000mm、好ましくは150〜600mmの範囲内で設定することができる。
本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′を構成する凸形状体5は、巻取り状態にある長尺フィルム2の巻き締め応力により破壊、潰れ等が生じないような強度を有する材質であればよく、例えば、ポリイミド、アクリル樹脂、ノボラック樹脂等の1種または2種以上の組み合わせで形成することができる。また、凸形状体5の形成は、例えば、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、ディスペンサー法等により行うことができる。
【0019】
このような本発明のパターン形成用の長尺フィルム1,1′では、凸形状体5の長さLと間隔6の長さSが所定の関係となるように配列されている凸形状体5が、巻取り状態にある長尺フィルム2の重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は凸形状体5同士の間隔6を介して外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となる。これにより、パターン形成前の長尺フィルムの含水率の制御を均一に行うことができ、長尺フィルムの寸法変化を抑制して高精度のパターン形成が可能となる。
【0020】
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、パターン形成用の長尺フィルムの帯電防止を目的として、凸形状体5が導電性粒子を含有してもよく、また、凸形状体5が導電性膜を表面に備えるものであってもよい。凸形状体5が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子としては、カーボンブラック、あるいは、銀微粒子、銅微粒子、ITO(酸化インジウムスズ)微粒子、チタン微粒子等の金属微粒子等を挙げることができ、このような導電性粒子を凸形状体5中に0.1〜10重量%の範囲で含有させることができる。また、凸形状体5が導電性膜を表面に備える場合、例えば、上記の導電性粒子を含有するペーストを使用して、凸形状体5を被覆するように導電性膜を形成することができる。
また、長尺フィルム2は、加工段階での取扱い性、使用目的等に応じて、裏面2bに、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の所望の処理を施したものであってもよい。
また、長尺フィルム2の幅方向で間隔を設けて画定するパターン形成予定領域の数は、3個以上であってもよく、この場合、複数存在するパターン形成予定領域間のうち、任意のパターン形成予定領域間に凸形状体を配列することができる。
【0021】
[パターン付き長尺フィルム]
図6は本発明のパターン付き長尺フィルムの一実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図であり、図7は図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIII−III線における部分拡大縦断面図であり、図8は図6に示されるパターン付き長尺フィルムのIV−IV線における部分拡大縦断面図である。図6〜図8において、本発明のパターン付き長尺フィルム11は、長さ方向(図6および図8に矢印aで示される方向)に沿った凸形状体15の配列を一方の面12aに有し、この面12aにパターン13を有する長尺フィルム12を巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。図示例では、パターン13が形成された所定幅のパターン形成領域14が、長尺フィルム12の一方の面12aに長さ方向に沿って一定のピッチで配列されている。また、凸形状体15は、長尺フィルム12の幅方向(図6、図7に矢印bで示される方向)の各側端12c,12cと長尺フィルム12のパターン形成領域14との間に位置する部位12′a,12′aに配列されている。そして、凸形状体15の長さLは、長尺フィルム12の長さ方向で隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSよりも大きく、凸形状体15の高さHは、例えば、パターン13の厚みTよりも1μm以上大きいものである。これにより、パターン13を有する長尺フィルム12が巻き回されて巻取り状態にあっても、長尺フィルム12の重なり合う面の間に微小な間隙を確実に生じさせることができる。
【0022】
尚、巻き回し時のテンションは、例えば、10〜200N/mm2の範囲で適宜設定することができる。この場合のテンションは、長尺フィルム12に加えられる張力を長尺フィルム12の横方向に沿った断面の面積で除すことにより求められる。
上記のように、長尺フィルム12に配列されている凸形状体15の長さLは、長尺フィルム12の長さ方向で隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSよりも大きいものである。このような凸形状体15の長さLと間隔16の長さSの関係が成立しない場合、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う外周側の長尺フィルム12が、内周側の長尺フィルム12の凸形状体15の間隔16に、巻き締め応力によって入り込み、パターン13に外周側の長尺フィルム12の裏面12bが接触するおそれがあり好ましくない。
【0023】
凸形状体15の長さLは、例えば、0.5〜500mm、好ましくは1〜100mmの範囲で設定することができ、隣接する凸形状体15同士の間隔16の長さSは、例えば、0.05〜400mm、好ましくは0.1〜80mmの範囲で設定することができる。特に、凸形状体15の長さLは、巻き回されて巻取り状態にある最内周の長尺フィルム12と、その外周側に重なる長尺フィルム12の裏面12bとの間に、凸形状体15の間隔16が少なくとも1箇所存在するように設定する必要がある。これにより、巻取り状態で重なり合う面の間に形成された微小な間隙と外部とを通じたものとすることができる。また、凸形状体15同士の間隔16の長さSが400mmを超えると、凸形状体15の長さLと間隔16の長さSの間に上記の関係が成立しても、長尺フィルム12の厚み、材質によっては、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う外周側の長尺フィルム12が、内周側の長尺フィルム12の凸形状体15の間隔16に、巻き締め応力によって入り込み、パターン13に外周側の長尺フィルム12の裏面12bが接触する現象が生じるおそれがあり好ましくない。
尚、凸形状体15の長さLが高さ方向で一定ではなく、例えば、長さ方向の両端面が傾斜しているような場合には、凸形状体15の長さLは最表面における長さとする。また、このような場合の凸形状体15同士の間隔16の長さSは、隣接する凸形状体15の最表面間の長さとする。
【0024】
上記のように、凸形状体15の高さHは、例えば、パターン13の厚みTよりも1μm以上大きくなるように設定することができ、好ましくは10〜300μmの範囲、より好ましくは10〜100μmの範囲でパターン13の厚みTよりも大きくなるように設定することができる。凸形状体15の高さHとパターン13の厚みTの差が1μm未満であると、パターン付き長尺フィルム11の含水率を均一に制御することが難しくなる。
また、凸形状体15の幅は、上記の部位12′a,12′aの幅、凸形状体15の高さH、凸形状体15の材質を考慮して適宜設定することができ、例えば、50〜20000μm、好ましくは100〜10000μmの範囲で設定することができる。尚、凸形状体15の幅が高さ方向で一定ではなく、例えば、断面が台形のような場合には、凸形状体15の幅は高さの半分の位置における幅とする。
【0025】
図9は、本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す部分平面図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分平面図である。図9に示されるパターン付き長尺フィルム11′では、長尺フィルム12の幅方向で間隔を設けて2個のパターン形成領域14A,14Bが設定されている。これらのパターン形成領域14A,14Bには、長尺フィルム12の長さ方向に沿って一方の面12aにパターン13,13が一定のピッチで配列されている。そして、凸形状体15は、長尺フィルム12の幅方向の各側端12c,12cと長尺フィルム12のパターン形成領域14A,14Bとの間に位置する部位12′a,12′a、および、パターン形成領域14Aとパターン形成領域14Bとの間に位置する部位12″aに配列されている。このように、部位12′a,12′aに加えて、部位12″aにも凸形状体15の配列を有することにより、巻き回されて巻取り状態にある長尺フィルムの重なり合う面の間に微小な間隙をより確実に生じさせることができる。尚、図9に示されるパターン付き長尺フィルム11′において、上述のパターン付き長尺フィルム11と共通の部材については、同じ部材番号を付し説明を省略する。
本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′を構成する長尺フィルム12の材質は、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルム1を構成する長尺フィルム2の材質と同様のものを挙げることができ、パターン付き長尺フィルムの用途に応じて適宜選定することができる。また、本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′を構成する凸形状体15の材質は、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルム1を構成する凸形状体5の材質と同様とすることができる。
【0026】
次に、本発明のパターン付き長尺フィルムのパターンについて例を挙げて説明する。
図10〜図13は、本発明のパターン付き長尺フィルムの他の実施形態を示す図であり、繰り出した状態のパターン付き長尺フィルムの部分断面図である。図10において、パターン付き長尺フィルム21は、長尺フィルム22の長さ方向に沿って一方の面22aに凸形状体25の配列を有し、この面22aにパターン23を有する長尺フィルム22を巻取りコア(図示せず)に巻き回したものである。このパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bからなっている。
また、図11に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターン間に位置するブラックマトリックス23BMからなっている。
また、図12に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターンを被覆するオーバーコート層23OCからなっている。
さらに、図13に示されるパターン付き長尺フィルム21では、パターン23は、カラーフィルタを構成する赤色パターン23R、緑色パターン23G、青色パターン23Bと、これらの着色パターン間に位置するブラックマトリックス23BMと、着色パターンおよびブラックマトリックスを被覆するオーバーコート層23OCからなっている。
【0027】
また、本発明のパターン付き長尺フィルムのパターンとしては、種々の機能層パターンであってよく、上記のカラーフィルタを構成する機能層パターンの他に、例えば、電子ペーパー用表示素子、有機EL用表示素子、太陽電池用光電変換素子、配線パターン、ハードコート層、反射防止層、偏光層、TFT用素子等の機能層パターンを挙げることができる。
このような本発明のパターン付き長尺フィルム11,11′では、凸形状体15の長さLと間隔16の長さSが所定の関係となるように配設されている凸形状体15が、巻取り状態にある長尺フィルム12の重なり合う面の間に微小な間隙を生じさせ、かつ、この間隙は、凸形状体15同士の間隔16を介して外部と通じているので、巻取り状態の巻芯側と巻外側、および、長尺フィルムの幅方向の両端部と中心部とで、パターン付き長尺フィルムが環境雰囲気に接触する条件が均一となる。これにより、パターン付き長尺フィルムの含水率が均一なものとなり、寸法変化による加工精度の低下が防止され、パターンを用いた加工、あるいは、パターンに対する加工を高い精度で行うことができる。また、長尺フィルム12に形成されているパターン13への、巻取り状態で外周側に位置する長尺フィルム12の裏面12bによる押圧力が、凸形状体15により抑制されるので、所謂パターンの裏移りが防止され、例えば、従来、裏移りを防止するために、パターン形成後に長尺フィルムに重ね合わせて巻き回していたような離型紙が不要となる。
【0028】
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の本発明のパターン形成用の長尺フィルムと同様に、パターン付き長尺フィルムの帯電防止を目的として、凸形状体15が導電性粒子を含有してもよく、また、凸形状体15が導電性膜を表面に備えるものであってもよい。
また、長尺フィルム12の裏面12bに、加工段階での取扱い性、使用目的等に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の所望の処理を施したものであってもよい。
また、長尺フィルム12の幅方向で間隔を設けて存在するパターン形成領域の数は、3個以上であってもよく、この場合、複数存在するパターン形成領域間のうち、任意のパターン形成領域間に凸形状体を配列することができる。
【実施例】
【0029】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
(パターン形成用の長尺フィルムの作製)
長尺フィルムとして、長さ200m、幅33cm、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製 コスモシャインA4100)を準備した。
幅15cm、長さ7.5cmのパターン形成予定領域を、上記の長尺フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ20cmで画定した。また、このパターン形成予定領域と長尺フィルムの幅方向の各側端との間の部位を、それぞれ凸形状体の配列部位とした。
【0030】
次に、長尺フィルムを繰り出して、上記の各配列部位に、スクリーン印刷法でフレキシブル用ソルダーペースト(太陽インキ製造(株)製 FC−HARD)を供給し硬化させて、1個の長さLが20mm、幅が8000μmの凸形状体を、長尺フィルムの長さ方向に沿って隣接する間隔の長さSが3mmとなるように一定のピッチで配列し、外径が76.2mm、外周が239.3mmの巻取りコアに、凸形状体の形成面を外側として巻き回して、パターン形成用の長尺フィルムを作製した。作製したパターン形成用の長尺フィルムは、配列されている凸形状体が表1に示される高さを有する9種(試料1−1〜試料1−9)とした。また、上記の各配列部位に配列された2列の凸形状体の列間距離は30cmであり、コアへの巻き回し時のテンションは50N/mm2とした。尚、凸形状体の高さの測定は、ザイゴ社製 レーザー干渉膜厚測定器を用いて行った。
また、凸形状体の1個の長さLを3mm、長尺フィルムの長さ方向に沿って隣接する凸形状体同士の間隔の長さSを20mmとし(L<S)、凸形状体の高さを10μmとして一定のピッチで配列した他は、上記と同様にして、パターン形成用の長尺フィルム(試料1−10)を作製した。
【0031】
(評 価)
これらの10種のパターン形成用の長尺フィルムを巻取り状態で、23℃、45%RHの環境下に7日間保管し、その後、保管時と同じ環境で巻取り状態から長尺フィルムを繰り出した直後の含水率を測定し、含水率のバラツキ(環境湿度と測定湿度の差の絶対値の環境湿度に対する百分率)を算出して、下記の評価基準で評価し結果を表1に示した。尚、この含水率の測定は、透過型の水分計(クラボウ(株)製 RX−100)を使用し、長尺フィルムの幅方向では、両端部から内側へ4cmの位置の2箇所と中央部の計3箇所、長さ方向では、1mピッチで行った。
(評価基準)
◎ : 含水率のバラツキが0.01重量%以下であり、パターン形成用の
長尺フィルムの含水率の均一な制御が容易である。
○ : 含水率のバラツキが0.01重量%を超えるものの、0.03重量%
以下であり、パターン形成用の長尺フィルムの含水率の均一な制御が
可能である。
× : 含水率のバラツキが0.03重量%を超え、パターン形成用の長尺
フィルムの含水率の均一な制御が困難である。
【0032】
【表1】
表1に示される結果から、配列した凸形状体の高さが1μm以上であり、凸形状体の1個の長さLが、隣接する凸形状体同士の間隔の長さSよりも大きいものであるパターン形成用の長尺フィルムでは、均一な含水率の制御が可能なことが確認された。
【0033】
[実施例2]
(パターン形成用の長尺フィルムの作製)
実施例1と同様の長尺フィルムを準備し、実施例1と同様にパターン形成予定領域を画定した。
このパターン形成予定領域に形成するパターン厚みを1μmに設定し、突出高さ(凸形状体の高さとパターンの厚みとの差)が下記の表2に示すものとなるように凸形状体の高さを設定した他は、実施例1と同様にして凸形状体を配列形成して、14種のパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を作製した。
【0034】
(パターン付き長尺フィルムの作製)
上記のように作製した14種のパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を用いて、2列の凸形状体の配列の間に画定したパターン形成予定領域を被覆するようにダイコート法により感光性の樹脂材料((株)DNPファインケミカル製カラーレジスト材料)を塗布した。次いで、ライン/スペースが14μm/14μmのストライプ形状の開口部を有する露光マスクを介して、塗布膜を露光(照射光量150mJ/cm2)し、現像してパターン(厚み1μm)をパターン形成予定領域内に形成し、外径が76.2mm、外周が239.3mmの巻取りコアに、パターン形成面を外側として巻き回して、パターン付き長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)を作製した。尚、コアへの巻き回し時のテンションは50N/mm2とした。
使用した露光装置は、露光マスクの幅が50cmであり、2列の凸形状体の配列が共に長尺フィルムと露光マスクとの対向領域に存在するものであった。このため、試料2−1〜試料2−14の凸形状体の高さに応じて、露光マスクが凸形状体の最表面から150μm程度離間するように露光ギャップを設定して露光を行った。
【0035】
(評 価)
作製した14種のパターン付き長尺フィルム(試料2−1〜試料2−14)について、実施例1と同様の条件で保管し、その後、実施例1と同様に含水率のバラツキを算出し、評価して結果を表2に示した。
また、形成したパターンの解像度をソキア社製パターン幅測定装置を用いて測定し、下記の評価基準で評価し結果を表2に示した。
(評価基準)
○ : 解像度がマスク設計値よりも+20μm以内であり、高い精度で
パターン形成が可能である。
× : 解像度がマスク設計値よりも+20μmを超え、高い精度でのパ
ターン形成が困難である。
【0036】
【表2】
【0037】
表2に示されるように、配列された凸形状体の突出高さ(凸形状体の高さとパターンの厚みとの差)が1μm以上であるパターン形成用の長尺フィルム(試料2−3〜試料2−14)では、均一な含水率の制御が可能なことが確認された。
しかし、凸形状体の突出高さが100μmを超えるパターン付き長尺フィルム(試料2−10〜試料2−14)では、露光ギャップが大きくなりすぎ、形成されたパターンの解像度の低下がみられた。
尚、均一な含水率の制御が困難なパターン形成用の長尺フィルム(試料2−1〜試料2−3)を用いたパターン形成では、作製されたパターン付き長尺フィルムのパターン解像度の評価結果は良好であった。しかし、巻取り状態の巻芯側と巻外側における水分含有率に相違により、パターン形成後の長尺フィルム寸法の変化が大きいものであった。すなわち、巻芯側と巻外側とで、長尺フィルムの幅方向の長さに40μmの差が生じ、この変化量は、パターンの幅方向に換算すると20μmの変化量となり、例えば、パターンがカラーフィルタである場合、1/4画素分のズレを生じることとなり、実用に供し得ないものであった。
【産業上の利用可能性】
【0038】
長尺の基材にパターンを形成し、さらに、このパターンに加工を施したり、パターンを他の長尺フィルムや部材と一体化加工する種々の工程を有する製品の製造に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1,1′…パターン形成用の長尺フィルム
2…長尺フィルム
4,4A,4B…パターン形成予定領域
5…凸形状体
6…凸形状体の間隔
11,11′,21…パターン付き長尺フィルム
12,22…長尺フィルム
13,23…パターン
14,14A,14B…パターン形成領域
15,25…凸形状体
16…凸形状体の間隔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺フィルムを巻き回してなり、該長尺フィルムの一方の面であって長尺フィルムのパターン形成予定領域外に相当する領域に、長尺フィルムの長さ方向に沿って配列している複数の凸形状体を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいことを特徴とするパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項2】
前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置していることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項3】
長尺フィルムの前記パターン形成予定領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数画定されており、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成予定領域の間にも位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項4】
前記凸形状体の高さは、長尺フィルムのパターン形成予定領域に形成予定のパターンの厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項5】
パターン形成に使用する装置と長尺フィルムの幅方向の表面とが対向する領域に前記凸形状体が存在するときに、前記凸形状体の高さは形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるものであることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項6】
前記凸形状体は、導電性粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項7】
前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項8】
一方の面にパターンを有する長尺フィルムを巻き回してなり、該パターンを有する面のパターン形成領域外の部位に、長尺フィルムの長さ方向に沿った凸形状体の配列を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいことを特徴とするパターン付き長尺フィルム。
【請求項9】
前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置していることを特徴とする請求項8に記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項10】
前記パターン形成領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数存在し、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成領域の間にも位置することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項11】
前記凸形状体は、導電性粒子を含有することを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項12】
前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項1】
長尺フィルムを巻き回してなり、該長尺フィルムの一方の面であって長尺フィルムのパターン形成予定領域外に相当する領域に、長尺フィルムの長さ方向に沿って配列している複数の凸形状体を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいことを特徴とするパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項2】
前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置していることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項3】
長尺フィルムの前記パターン形成予定領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数画定されており、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成予定領域の間にも位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項4】
前記凸形状体の高さは、長尺フィルムのパターン形成予定領域に形成予定のパターンの厚みよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項5】
パターン形成に使用する装置と長尺フィルムの幅方向の表面とが対向する領域に前記凸形状体が存在するときに、前記凸形状体の高さは形成予定のパターンの厚みとの差が1〜100μmの範囲となるものであることを特徴とする請求項4に記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項6】
前記凸形状体は、導電性粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項7】
前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のパターン形成用の長尺フィルム。
【請求項8】
一方の面にパターンを有する長尺フィルムを巻き回してなり、該パターンを有する面のパターン形成領域外の部位に、長尺フィルムの長さ方向に沿った凸形状体の配列を有し、該凸形状体の長尺フィルムの長さ方向の寸法が、長尺フィルムの長さ方向で隣接する凸形状体同士の間隔よりも大きいことを特徴とするパターン付き長尺フィルム。
【請求項9】
前記凸形状体の配列は、前記長尺フィルムの幅方向の各側端と前記パターン形成領域との間に少なくとも位置していることを特徴とする請求項8に記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項10】
前記パターン形成領域は、長尺フィルムの幅方向で間隔を設けて複数存在し、前記凸形状体の配列は長尺フィルムの幅方向の前記パターン形成領域の間にも位置することを特徴とする請求項8または請求項9に記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項11】
前記凸形状体は、導電性粒子を含有することを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のパターン付き長尺フィルム。
【請求項12】
前記凸形状体は、導電性膜を表面に備えることを特徴とする請求項8乃至請求項10のいずれかに記載のパターン付き長尺フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−220868(P2012−220868A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88979(P2011−88979)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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