説明

パチンコ遊技機用の発射ハンドル

【課題】ハンドルカバーの内側に、多様な発光態様を発生させるためのLEDや光輝部材等を配設することができるスペースを充分に確保し得るパチンコ遊技機用の発射ハンドルを提案する。
【解決手段】検出軸53とボリューム本体52との相対的角度変位に従って出力電圧を生じる電子ボリューム51が、そのボリューム本体52を操作レバー25に同心状に固定し、且つ検出軸53の突出端部53aをハンドルベース22に固定するようにして配設されてなる構成としたものであるから、電子ボリューム51が発射ハンドル9内で奥方に配設され、ハンドルカバー23の内部スペースを広く確保することができる。これにより、ハンドルカバー23内に、多様な発光態様を発生するためのLED基板や光輝部材等を増設することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機に装着されて、遊技球を発射するために遊技者により回動操作されるパチンコ遊技機用の発射ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的なパチンコ遊技機には、その遊技機本体の前面下部に発射ハンドルが配設されている。この発射ハンドルが遊技者により回動操作されることによって、発射装置が遊技球を1球ずつ打圧して遊技盤面の遊技領域へ発射する。この発射装置により遊技球を打圧する強さ(以下、発射強度と言う)は、発射ハンドルの回動操作角度によって決定される。すなわち、発射ハンドルが大きく回動操作された場合には遊技球を強く打圧し、発射ハンドルが小さく回動操作された場合には遊技球を弱く打圧する。このような発射ハンドルとしては、該発射ハンドルの回動操作角度をセンサにより検知して電気的に発射強度の調整を行う構成(例えば、特許文献1)が知られている。
【0003】
ここで、特許文献1にかかる発射ハンドルhの構成としては、図5のように、遊技機本体に取り付けられるハンドルベースmと、該ハンドルベースmの前方に装着されたハンドルカバーkと、ハンドルベースmとハンドルカバーkとの間に回動可能に介装された操作レバーrとを備えている。そして、ハンドルカバーkの内側に、操作レバーrの回動角度を検知するための可変抵抗器tが配設されている。ここで、可変抵抗器tは、可変抵抗を実装した制御回路がケース体に内蔵されてなる構成であり、ハンドルカバーk側に固定されている。さらに、可変抵抗器tに対して回動可能とする回動軸nが設けられており、該回動軸nが、制御回路に設けた可変抵抗を可変するための接触子と連結され、且つ操作レバーrに固定されている。この操作レバーrが回動操作されると、その回動角度に応じて可変抵抗器tの可変抵抗値が変化し、回動角度に応じた出力が可変抵抗器tから発信されるようになっている。この可変抵抗器tから発信した出力により、遊技球を発射する発射装置が駆動し、前記出力に応じた発射強度により遊技球を発射することができる。そのため、操作レバーrの回動操作によって、遊技球の発射強度を調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−345989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パチンコ遊技機用の発射ハンドルとしては、その前面を覆うハンドルカバーが透明性プラスチックなどにより半球状に成形されてなり、その内側にLED等を配設して、遊技状態に応じてLEDを発光させることにより、遊技を盛り上げる作用効果を奏するようにした構成が一般的となっている。ここで、ハンドルカバーは、遊技者の手が接触することから、前記した半球状であると共に、その大きさも実質的に制限される。そのため、ハンドルカバーの内側に、LEDを設けた基板(以下、LED基板という)や該LEDの発光を透過したり反射させるための光輝部材などを配設するためのスペースに制限がある。特に、上記した特許文献1の構成にあっては、可変抵抗器が、ハンドルカバーの内側に配設されていることから、前記したLED基板や光輝部材等の設置スペースが狭くなっていた。これにより、ハンドルカバーに内蔵できる部材が制限されてしまい、これに伴って、LEDの発光による発射ハンドルの発光態様に限界が生じていた。
【0006】
本発明は、ハンドルカバー内の設置スペースを拡大することができ、多様な発光態様を発生することが可能なLED基板や光輝部材等をハンドルカバーの内部に配設することができ得るパチンコ遊技機用の発射ハンドルを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技機本体の前面に突設されたハンドルベースと、該ハンドルベースの前方に装着されたハンドルカバーと、ハンドルベースとハンドルカバーとの間に回動可能に介装された操作レバーと、該操作レバーに連結されて、その非操作位置からの回動操作角度に応じた出力電圧を発する電子ボリュームとを備えたパチンコ遊技機用の発射ハンドルにおいて、電子ボリュームは、出力電圧を発する制御回路基板が内部に配設されたボリューム本体と、該ボリューム本体に回動可能に軸支されて外方に突出する検出軸とを備え、該検出軸とボリューム本体との相対的角度変位に従って前記制御回路基板により出力電圧を生じるものであって、ボリューム本体が、検出軸をハンドルベース側へ突出するようにして、操作レバーに同心状に固定されると共に、検出軸の突出端部がハンドルベースに固定されてなるものであることを特徴とするパチンコ遊技機用の発射ハンドルである。
【0008】
かかる構成にあっては、電子ボリュームのボリューム本体を操作レバーに固定し且つ検出軸をハンドルベース側へ突出するようにしていることから、電子ボリュームが当該発射ハンドル内で奥方へ配置される。ここで、上述した従来構成(例えば特許文献1の構成)は、可変抵抗器がハンドルカバーの内側に配設された構成であるから、この従来構成に比して、本発明の構成は、ハンドルカバー内側のスペースが拡大する。そのため、ハンドルカバーの内部に、LED基板や光輝部材等の配設スペースを広く確保でき、多様な発光態様を生じ得るために必要な光輝部材を充分に配設することができ得る。また、LED基板にあっても、LEDの配設部位を広く確保できるため、LEDの配設数を増加することが可能であり、さらに様々な発光態様を実施し得る。
【0009】
尚、本構成にあっては、遊技者により回動操作される操作レバーに電子ボリュームのボリューム本体が固定されることから、該操作レバーの回動操作がその回動中心からずれても、相対的角度変位を比較的正確に検知することが可能である。これに対して、上述した従来構成のように回動軸を操作レバーに固定している場合には、該回動軸が細長い杆から構成されているため、操作レバーが回動中心からずれると、該ずれによって回動軸の剛性が影響を受けやすく、本構成に比して、回動操作角度の検知に誤差を生じ易い。
【0010】
上述したパチンコ遊技機用の発射ハンドルにあって、電子ボリュームは、ボリューム本体内に、検出軸に支持固定された磁石と、該磁石に非接触かつ対向するように配設された、磁束密度を検知する磁気センサとを備えてなり、前記磁石と磁気センサとの相対的角度変位に従って変化する磁束密度を磁気センサが検知することにより、該磁束密度に応じた出力電圧を制御回路基板を介して発するようにしているものである構成が提案される。
【0011】
ここで、本発明にかかる電子ボリュームとしては、検出軸とボリューム本体との相対的角度変位に応じた出力電圧を生じる可変電圧器であり、上記した従来の可変抵抗器とは異なるものである。従来の可変抵抗器の場合には、その接触子が繰り返し作動することによって接触不良を生じ易いことから、高精度の検知を長期間維持することが難しく、メンテナンス作業の実施間隔が比較的短くなり、さらには定期的な交換も必要である。これに比して、本構成の電子ボリュームは、磁石と磁気センサとを非接触で配設した構成であることから、高精度の検知を長期間維持することができると共に、交換作業をほとんど必要としないために、長寿命である。さらに、非接触であるため、基準点の調整作業を行い易く且つ該基準点がずれ難いという利点も有することから、可変抵抗器に比して、メンテナンス作業の実施間隔を長期化でき、その作業性にも優れる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパチンコ遊技機用の発射ハンドルにあっては、検出軸とボリューム本体との相対的角度変位に従って出力電圧を生じる電子ボリュームが、そのボリューム本体を操作レバーに同心状に固定し、且つ検出軸の突出端部をハンドルベースに固定するようにして配設されてなるものとしたから、電子ボリュームが発射ハンドル内で奥方に配設されるため、上述した従来構成に比して、ハンドルカバーの内部スペースを拡大することができる。これにより、ハンドルカバー内に、多様な発光態様を発生するためのLED基板や光輝部材等を増設することが可能となる。さらに、前記の光輝部材にあって、該光輝部材が可動するように駆動源等を配設することも可能である。このようになLED基板や光輝部材等を設けることにより、発光態様の多様性が一層向上し、遊技の興趣性を高め得る。
【0013】
上述したパチンコ遊技機用の発射ハンドルにあって、電子ボリュームが、磁石と磁気センサとの相対的角度変位に従って変化する磁束密度を磁気センサが検知することにより、該磁束密度に応じた出力電圧を生じるようにしたものであるとした構成では、従来の可変抵抗器を備えた構成に比して、高精度の検知を長期間維持することができ、且つ長寿命化することができる。したがって、交換作業やメンテナンス作業に要する費用を低減でき、総じてランニングコストを削減できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パチンコ遊技機1の正面図である。
【図2】発射ハンドル9の縦断面図である。
【図3】発射ハンドル9の主要部の構造を示す概念図である。
【図4】電子ボリューム51の、(A)縦断面図と、(B)横断面図である。
【図5】従来構成の発射ハンドルhの主要部の構造を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施例を、添付図面を用いて詳述する。
パチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島設備(図示省略)に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4,4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。
【0016】
遊技機本体3の内部の、発射ハンドル9の背面側には、発射装置12が配設されている。この発射装置12は、上受皿7から供給された遊技球を打圧する発射槌13、該発射鎚13を駆動するロータリーソレノイド14、発射レール15等を備えてなる。ここで、ロータリーソレノイド14は、図示しない発射制御基板に接続されており、発射ハンドル9の回動操作に従って前記発射制御基板から入力した信号(電圧)に従って駆動する。そして、発射制御基板からの信号に応じてロータリーソレノイド14の駆動量が変わり、発射ハンドル9の回動操作角度に応じて発射強度を調整し得るようになっている。
【0017】
発射ハンドル9は、図2,3のように、略円筒状のハンドルベース22と、略円盤状の操作レバー25と、略円盤状のタッチセンサホルダ24と、略半球状のハンドルカバー23とを備えている。ここで、ハンドルベース22は、遊技機本体3の前面に突出した状態で取り付けられるものであり、ハンドルカバー23は、ハンドルベース22の前方で該ハンドルベース22に支持固定される。そして、ハンドルベース22とハンドルカバー23との間に、タッチセンサホルダ24と操作レバー25とが介装されており、タッチセンサホルダ24が操作レバー25の前側に配設される。タッチセンサホルダ24は、ハンドルカバー23と同様に、ハンドルベース22に支持固定されており、また、操作レバー25は、回動可能とするようにハンドルベース22に支持されている。
【0018】
上記のハンドルカバー23は、リング形状の支持固定リング31と、所定色に着色された透明性材料により形成されたクリア曲面部材32とを備え、その内部に、光を通過させるために透明性材料により形成された円環状の通光部材33と、前方へ略円錐状に突出する反射円盤部材34とを備えている。そして、通光部材33には、反射円盤部材34を表裏に貫通する採光凸部33aが複数設けられている。この各採光凸部33aは、タッチセンサホルダ24に配設されたLED基板36の複数の発光器37と夫々に対向するように位置決めされて、発光器37の発光を採光する。これにより、ハンドルカバー23は、通光部材33を介して点灯するようになっている。さらに、前記の反射円盤部材34は、その前面に光反射面(図示せず)を形成しており、通光部材33での発光を拡散するようにしている。
【0019】
また、タッチセンサホルダ24には、上記したLED基板36が基板台38を介して配設されており、該LED基板36に、複数のLEDを有する発光器37を、周方向に所定間隔をおいて複数個配設している。このLED基板36には、各発光器37の各LEDを夫々に発光するための回路が形成されており、該回路と、当該パチンコ遊技機1に配設された図示しない光源制御基板とを接続コード(図示せず)により接続している。そして、この光源制御基板から入力する信号(電圧)により、各発光器37のLEDを所定の発光態様により発光する。さらに、このタッチセンサホルダ24には、その内部にタッチセンサ39が支持固定されており、該タッチセンサ39が、上記した発射制御基板(図示せず)に、接続コード(図示せず)により接続されている。このタッチセンサスイッチ39は、タッチセンサホルダ24に人体が接触すると、これを検知し、発射制御基板に検知信号を出力する。尚、このタッチセンサ39は、従来と同じ構成のものを適用することができるため、その詳細については省略する。
【0020】
そして、このタッチセンサホルダ24とハンドルカバー23とは、図示しないネジにより固定されて一体され、これにより、ハンドルカバー23の支持固定リング31とクリア曲面部材32と通光部材33と反射円盤部材34とが組み付けられて固定される。
【0021】
このようなタッチセンサホルダ24およびハンドルカバー23は、該タッチセンサホルダ24と上記したハンドルベース22に突成された固定支持杆部71とが図示しないネジにより固定されることにより、ハンドルベース22と固定されている。そして、タッチセンサホルダ24とハンドルベース22との間に、上記した操作レバー25が回動可能に介装されている。ここで、タッチセンサホルダ24およびハンドルカバー23とを固定する固定支持杆部71は、後述する操作レバー25の挿通口47を挿通してタッチセンサホルダ24と接続されており、操作レバー25の回動操作に伴って挿通口47内を円弧方向へ相対移動する。これにより、タッチセンサホルダ24およびハンドルカバー23は回動不能となっている。
【0022】
次に、本発明の要部について説明する。
発射ハンドル9の操作レバー25は、図1〜3のように、略断面コ字状に形成された略円盤状の回動基体部41と、該回動基体部41の外周縁から突成された複数の指掛け突部42とを備え、回動基体部41と各指掛け突部42とが一体的に形成されている。この回動基体部41は、その中央に円板状の取付部45を備え、該取付部45の中央に表裏に貫通する貫通孔(図示せず)が形成されている。そして、この取付部45と当該回動基体部41の環状外周部44との間に、当該操作レバー25の周方向に沿って円弧状に貫通する挿通口47,47が開口しており、上記したタッチセンサ39およびLED基板36の各接続コード(図示せず)を挿通口47を介してハンドルベース22内へ通じさせている。尚、上述したハンドルベース22の固定支持杆部71も一方の挿通口47に挿通しており、該固定支持杆部71により操作レバー25の回動(後述する電子ボリューム51の検出軸53の回動範囲)が妨げられないようになっている。
【0023】
上記した操作レバー25の取付部45には、電子ボリューム51が締付ナット62により支持固定されている。電子ボリューム51は、略円筒状のボリューム本体52と、該ボリューム本体52に回動可能に支持されて突出する検出軸53とを備え(図5参照)、該検出軸53がハンドルベース22側へ突出するように、前記取付部45にハンドルカバー23側から固定される。この電子ボリューム51は、操作レバー25に装着された状態で、ボリューム本体52の大部分が操作レバー25の環状外周部44の内側に配置される。これにより、電子ボリューム51は、ハンドルカバー23側へ突出する部分が少なく、ハンドルカバー23内のスペースが広く確保されている。そのため、上記したように、ハンドルカバー23内には、LED基板36や光輝部材(通光部材33、反射円盤部材34など)を比較的余裕を持って配設することができる。尚ここで、LED基板36には、複数の発光器37を配設しており、かつ各光輝部材としては、発光器37の発光により多様な発光態様を表出できる形態のものを配設している。このように、ハンドルカバー23内のスペースが広く確保できることによって、多様な発光態様を発生可能となるLED基板36や光輝部材を配設することが可能となっている。
【0024】
ここで、電子ボリューム51について詳述する。そのボリューム本体52は、図4のように、円柱状のケース体54の内部空域に、磁束密度を検知するための磁気センサ56が実装された制御回路基板55が配設されている。さらに、ケース体54は、その上部中央に円筒状の軸受け部60が形成されており、該軸受け部60により上記した検出軸53が回動可能に軸支されている。この軸受け部60には、ケース体54から突出した部位に雄ネジが形成されており、後述するように、所定の締付ナット62と螺合することによりボリューム本体52を操作レバー25の取付部45に固定する。また、検出軸53は、ボリューム本体52から突出した突出端部53aが、その長手方向(軸方向)に沿って円弧状に切り欠けられた形状となっている。さらに、この検出軸53の、ケース体54内に位置する末端部53bには、磁石58が支持固定されており、ケース体54内で、磁石58と検出軸53とが、ボリューム本体52(ケース体54)に対して一体的に回転する。そして、この磁石58の外方に、前記した磁気センサ56が非接触かつ対向するように配設されている。
【0025】
磁石58は、図4(B)のように、矩形状の一辺を半円弧形とした板状磁石であり、該半円弧形の両側(図中の上下両側)がそれぞれN極とS極となっている。そして、磁石58は、その半円弧の中心で検出軸53に取り付けられている。検出軸53は、両側へ約90度づつ(合計約180度)回転可能とするようにケース体54に取り付けられており、磁石58のN極とS極との境界が磁気センサ56と対面するように位置決めされている。そして、本実施例にあっては、検出軸53を最も左回りに回転した位置を基準位置として設定しており、該基準位置で磁石58により生じる磁束密度を基準として、磁気センサ56から出力電圧を発しないようにしている。
【0026】
磁気センサ56としては、ホール効果により起電力を発生するホール素子を用いており、該ホール素子を実装した制御回路基板55が設けられている。この制御回路基板55には、ホール素子(磁気センサ)56により発生する起電力に基づいて出力電圧を発するための制御回路(図示せず)が設けられている。この制御回路としては、ホール素子(磁気センサ)56の両端に夫々接続した電流端子間に所定電圧を印加し、当該両端の中央部分に該両端と直交するように電圧電極を夫々接続する。そして、この電圧電極が増幅器に接続されており、また、当該回路内の所定位置に抵抗が配設されている。この制御回路は、磁気センサ56に磁束密度の磁場をかけると、電流端子間と垂直な方向に起電力が発生し、該起電力が電圧電極から増幅器に入力する。そして、増幅器により増幅された出力電圧を出力端子から発信するようになっている。また、この制御回路には、可変抵抗も配設されており、前記増幅器と共に出力電圧の電圧値を適宜調整できるようにしている。尚、本構成にあっては、前記した電流端子間に印加する電圧、増幅器、可変抵抗等を調整することにより、ボリューム本体52の下方(ハンドルカバー23側)からみて、該ボリューム本体52が検出軸53に対して最も左回りに回転した位置を基準位置とし、該基準位置で出力端子から発信する出力電圧を0ボルトとするように制御している。
【0027】
そして、ボリューム本体52が、検出軸53に対して基準位置から右回りに回動すると、磁気センサ56と磁石58のN極およびS極との位置関係が変化するために該磁気センサ(ホール素子)56にかかる磁束密度に変化が生じる。この磁束密度の変化に応じて磁気センサ56から発生した起電力を、当該起電力に応じた出力電圧を上記の制御回路により発信する。ここで、制御回路の出力端子から発信する出力電圧は、磁気センサ56で生じた起電力を増幅したものであるため、前記磁束密度と正比例の関係となっている。すなわち、検出軸53の回動角度と出力電圧とが正比例の関係となるため、回動角度に応じた出力電圧を発信する。
【0028】
この電子ボリューム51は、上述したように、操作レバー25の取付部45に、該取付部45の中央に開口した貫通孔(図示せず)にボリューム本体52の軸受け部60を挿通して、軸受け部60を締付ナット62により螺合することにより緊締する。このようにボリューム本体52を操作レバー25に固定すると、当該電子ボリューム51の検出軸53がハンドルベース22側へ突出する。さらに、電子ボリューム51には、上記した制御回路基板55に形成された制御回路の出力端子に接続された接続コード61が取り付けられている。この接続コード61は、操作レバー25の挿通口47を介してハンドルベース22内へ通じさせている。
【0029】
一方、ハンドルベース22には、その中央に連結部材65が固定されて配設されている。この連結部材65の中央には、電子ボリューム51の検出軸53の突出端部53aを内嵌する嵌合穴66が形成されている。この嵌合穴66は、検出軸53の突出端部53aの断面形状と同じ穴形状に形成されており、該突出端部53aを内嵌した状態で検出軸53と連結部材65とが一体的に回動する。すなわち、連結部材65を介して検出軸53がハンドルベース22に回動不能に固定されている。さらに、この連結部材65は、ハンドルベース22側へ突出する係合突部67が形成されており、この係合突部67を、ハンドルベース22の内部中央に配設した係合孔部70に嵌入して係合することにより、当該連結部材65をハンドルベース22に回動不能に固定して配設する。このように、電子ボリューム51が連結部材65を介してハンドルベース22に位置決めされて支持されることにより、操作レバー25、電子ボリューム51(検出軸53)、連結部材65、ハンドルベース22が中心軸線(図示せず)に沿って同心状に配設される。
【0030】
上記の連結部材65には、その操作レバー25側に、嵌合穴66を囲むように円環状の周壁(図示せず)が設けられており、該周壁の内側にトーションバネ(ねじりコイルバネ)68が配設されている。このトーションバネ68は、そのコイル中心線のまわりに荷重を受けることにより逆方向に付勢力を発揮するものであり、その一端がコイル径方向外方へ突出して連結部材65の周壁に係止されており(図示せず)、他端がコイル径方向外方へ突出してさらに上方へ突出している。この他端を、上記した操作レバー25に設けた係止孔(図示せず)に挿入して係止することにより、操作レバー25が回動操作された場合に、該回動操作される前の非操作位置(基準位置)へ復帰するための付勢力を発揮する。
【0031】
上述した各構成要素(部材)からなる発射ハンドル9は、タッチセンサホルダ24とハンドルカバー23とを図示しないネジにより固定し、さらに、タッチセンサホルダ24とハンドルベース22との間に、電子ボリューム51を固定した操作レバー25を介装するようにして、タッチセンサホルダ24とハンドルベース22とを上記した固定支持杆部71を介して図示しないネジにより固定する。そして、電子ボリューム51の検出軸53の突出端部53aが、ハンドルベース22に固定された連結部材65の嵌合穴66に内嵌し、当該検出軸53は回動不能にハンドルベース22に固定される。さらに、連結部材65と操作レバー25とに両端を固定したトーションバネ68により、操作レバー25の、ハンドルベース22に対する回転方向の基準位置として、回動操作されていない非操作位置を規定する。このようにして、発射ハンドル9が組み立てられる。そして、この発射ハンドル9では、電子ボリューム51が、そのボリューム本体52を操作レバー25に同心状に固定され、且つ検出軸53が連結部材65を介してハンドルベース22に固定されている。そのため、操作レバー25が回動操作されることにより、ボリューム本体52が操作レバー25と一体的に回動し、非操作位置に対する検出軸53との相対的角度変位を生ずる。すなわち、この相対的角度変位と、遊技者により操作される操作レバー25の回動操作角度とは同じ角度となる。そして、操作レバー25の回動操作が解放されると、操作レバー25は、トーションバネ68の付勢力により非操作位置へ自動的に復帰する。尚、この非操作位置では、電子ボリューム51の、磁石58と磁気センサ56との相対的な位置関係が基準位置となるため、制御回路基板55からの出力電圧が0ボルトとなる。
【0032】
また、タッチセンサホルダ24に配設されたタッチセンサ39の接続コード(図示せず)とLED基板36の接続コード(図示せず)とが、操作レバー25の挿通口47を通ってハンドルベース22内を通るように配される。同じく、電子ボリューム51の接続コード61も挿通口47を介してハンドルベース22内を通る。これら各接続コード61は、ハンドルベース22の背方へ延出し、当該発射ハンドル9がパチンコ遊技機1に配設された場合に、発射制御基板や光源制御基板などに接続される(図示せず)。
【0033】
このような発射ハンドル9は、そのハンドルベース22を遊技機本体3に図示しないネジ等により支持固定することによって、当該パチンコ遊技機1に配設される。そして、遊技者が発射ハンドル9を把持してその操作レバー25を右回りに回動操作することにより、電子ボリューム51のボリューム本体52が操作レバー25と一体的に回動し、ハンドルベース22に固定された検出軸53に対して回動する(相対的角度変位を生ずる)。この回動操作によって、電子ボリューム51では、検出軸53の末端部53bに取り付けられた磁石58が回動し、これに伴う磁束密度を磁気センサ56が検知して、この回動操作による非操作位置からの回動操作角度(相対的角度変位)に応じた出力電圧を発する。この出力電圧が発射制御基板に入力すると、これに伴う所定電圧を発射装置12のロータリーソレノイド14へ発信し、該ロータリーソレノイド14が駆動して発射鎚13により遊技球を発射する。ここで、電子ボリューム51から出力する出力電圧は、上述したように回動操作角度(相対的角度変位)に正比例することから、該出力電圧に応じてロータリーソレノイド14へ発信する電圧も正比例するように制御する。これにより、前記回動操作角度に応じた発射強度により遊技球を発射することができ得る。
【0034】
本発明にかかる発射ハンドル9は、上述したように、電子ボリューム51が、そのボリューム本体52を操作レバー25に固定し且つ検出軸53の突出端部53aを連結部材65を介してハンドルベース22に固定するように配設していることから、ハンドルカバー23内に広いスペースを確保することができるため、LED基板36や光輝部材(通光部材33、反射円盤部材34など)を充分に配設することができ得る。これにより、多様な発光態様を発生し得るLED基板36や光輝部材を配設することができ、興趣を向上する発光態様を発射ハンドル9により実行でき得る。また、電子ボリューム51は、磁石58と磁気センサ(ホール素子)56とを非接触で配設して出力電圧を発生するようにしたものであることから、操作レバー25の繰り返し回動操作が行われても、高精度で回動操作角度(相対的角度変位)を長期に亘って検知することができると共に、長寿命化することができる。これにより、メンテナンス等により生ずるランニングコストを抑制することができ得る。
【0035】
一方、上述した実施例にあっては、電子ボリュームのボリューム本体を、操作レバーの取付部のハンドルカバー側に配設するようにした構成であるが、その他の構成として取付部のハンドルベース側に配設するようにしても良い。尚、この場合には、ボリューム本体を固定するための固定手段を必要とする。また、電子ボリュームの検出軸の突出端部を、連結部材を介することなく、直接的にハンドルベースに固定するようにしても良い。
【0036】
さらに、本実施例では、ハンドルカバー内に、LED基板36や通光部材33および反射円盤部材34を配設した構成であるが、該ハンドルカバーの内側空域が広く確保されるため、様々な光輝部材などを配設することができる。例えば、通光部材を周方向へ回転可能に配設し、回転させるための駆動源を配設することもできる。その他、様々な光輝部材などを配設でき、多様な発光態様を発生させることが可能であり、遊技の興趣性を一層向上でき得る。
【0037】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、その他の構成についても、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 パチンコ遊技機
3 遊技機本体
9 発射ハンドル
22 ハンドルベース
23 ハンドルカバー
25 操作レバー
51 電子ボリューム
52 ボリューム本体
53 検出軸
53a 突出端部
55 制御回路基板
56 磁気センサ
58 磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機本体の前面に突設されたハンドルベースと、
該ハンドルベースの前方に装着されたハンドルカバーと、
ハンドルベースとハンドルカバーとの間に回動可能に介装された操作レバーと、
該操作レバーに連結されて、その非操作位置からの回動操作角度に応じた出力電圧を発する電子ボリュームと
を備えたパチンコ遊技機用の発射ハンドルにおいて、
電子ボリュームは、出力電圧を発する制御回路基板が内部に配設されたボリューム本体と、該ボリューム本体に回動可能に軸支されて外方に突出する検出軸とを備え、該検出軸とボリューム本体との相対的角度変位に従って前記制御回路基板により出力電圧を生じるものであって、
ボリューム本体が、検出軸をハンドルベース側へ突出するようにして、操作レバーに同心状に固定されると共に、検出軸の突出端部がハンドルベースに固定されてなるものであることを特徴とするパチンコ遊技機用の発射ハンドル。
【請求項2】
電子ボリュームは、
ボリューム本体内に、検出軸に支持固定された磁石と、該磁石に非接触かつ対向するように配設された、磁束密度を検知する磁気センサとを備えてなり、
前記磁石と磁気センサとの相対的角度変位に従って変化する磁束密度を磁気センサが検知することにより、該磁束密度に応じた出力電圧を制御回路基板を介して発するようにしているものであることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機用の発射ハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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