説明

パチンコ遊技機

【課題】特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行していない大入賞口を不正開放する不正行為を防止し得るパチンコ遊技機を提案する。
【解決手段】特別遊技条件の成立により、複数設けられた大入賞口のうちいずれかを選択して開閉ラウンドを繰返す特別遊技作動を実行し、該特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドを実行していない大入賞口に流入した遊技球の検知を無効とするようにしたパチンコ遊技機である。かかる構成によれば、特別遊技作動の実行中に大入賞口を不正開放するという不正行為が行われた場合にあっても、該不正開放された大入賞口に流入した遊技球に基づく賞球が発生しない。そのため、特別遊技作動の実行中に大入賞口を不正開放する不正行為を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大当りの発生に伴い、大入賞口を開閉する特別遊技作動を実行するパチンコ遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機にあっては、予め定められた特別遊技条件が成立することにより、大当りが確定すると、大入賞口を開閉する所謂開閉ラウンドを所定回数繰返す特別遊技作動を行うようにしている構成が、一般的に良く知られている。ここで、特別遊技作動の実行中は、大入賞口への遊技球入賞によって多くの賞球が発生し易いことから、遊技者にとって大きな利益を得ることができる機会である。尚、前記の特別遊技条件として、遊技盤面に配設された特別図柄表示装置で変動表示した特別図柄が所定の当り図柄態様で停止することとなる条件が、一般的に知られている。
【0003】
ところで、上述したパチンコ遊技機にあって、大入賞口を二個備えた構成も提案されている(例えば、特許文献1)。かかる構成では、二つの大入賞口を開放するタイミングが異なるように制御することにより、開放する大入賞口へ向けて遊技球を発射するように遊技者に発射ハンドルの操作を求め、該操作による遊技を楽しめるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−360822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した複数の大入賞口を備えた従来構成のパチンコ遊技機にあっては、特別遊技作動の実行中にいずれかの大入賞口を開閉制御し、開放している大入賞口に遊技球が流入することにより賞球が発生する。ここで、特別遊技作動としては、複数の大入賞口を所定順序で順次開閉するように制御した構成が知られている。このような複数の大入賞口を備えた構成では、特別遊技作動の実行中に開放している大入賞口にのみ遊技球が流入可能であり、閉鎖している大入賞口には遊技球が流入不能である。これにより、特別遊技作動の実行中に大入賞口へ流入する遊技球の個数を制限し、大入賞口へ流入した全ての遊技球に従って賞球の払い出しが行われる。
【0006】
ところが、上記した従来構成に対して、閉鎖している大入賞口を不正開放することにより、大入賞口へ流入する遊技球を増やして、不正に多くの賞球を獲得しようとする不正行為が発生している。この不正行為としては、特別遊技作動の実行中に、閉鎖している大入賞口を、機台の隙間から挿入した薄板等により不正に開放し、本来遊技球が流入しない大入賞口に遊技球を流入可能とすることによって多くの賞球を獲得しようとするものである。
【0007】
一方、このような不正行為を防止するため、該不正行為の発生を検知するセンサ等が配設され、該センサによる不正行為の検知により、警告音や警告灯を作動するようにした構成が知られている。ところが、不正行為を検知するセンサが誤作動することもあり得ることから、該センサが不正行為を検知して警告音等を発生しても、遊技の進行を継続することが一般的である。特に、特別遊技作動の実行中では、仮に前記センサの不正行為検知により遊技進行を中断すれば、該検知が誤作動であった場合に遊技者が多大な不利益を被ってしまう虞がある。そのため、例え不正行為を検知しても遊技は継続して進行するようにしている。したがって、特別遊技作動の実行中に不正行為が行われた場合には、遊技が継続して進行することによって不正な賞球(利益)が発生してしまう。
【0008】
尚、大入賞口を不正開放する不正行為に対しては、一般的に、大入賞口の開放を検知するセンサが配設される。しかし、このセンサは、特別遊技作動を実行していない状態で大入賞口の不正開放を検知するためのものであり、上述した特別遊技作動の実行中における大入賞口の不正開放に対応できない。これは、特別遊技作動では、大入賞口を開閉する開閉ラウンドを所定回数繰返し実行することから、前記センサの制御が繁雑化して、誤作動が起こり易くなるため、前記センサによる検知を無効としている。特に、複数の大入賞口を選定して開閉ラウンドを実行する構成の場合には、前記センサの制御が一層繁雑化するため、前記センサによる検知を無効とすることが一般的となっている。以上のことから、特別遊技作動の実行中では、大入賞口を不正開放する不正行為に、実質的に対応できていなかった。
【0009】
本発明は、複数の大入賞口を備えた構成にあって、特別遊技作動の実行中に閉鎖状態の大入賞口を不正開放する不正行為を防止し得るパチンコ遊技機を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、遊技盤に開閉可能に配設された大入賞口と、該大入賞口に流入した遊技球を検知する球検知手段と、予め定められた特別遊技条件が成立することにより、前記大入賞口を開閉する開閉ラウンドを所定回数繰返す特別遊技作動を実行する特別遊技制御手段と、大入賞口の球検知手段が遊技球を検知することにより、賞球を払い出す賞球払出手段とを備えたパチンコ遊技機において、前記大入賞口が遊技盤に複数配設され、且つ前記球検知手段が各大入賞口毎に夫々配設されてなり、前記特別遊技制御手段が、特別遊技条件の成立により、いずれかの大入賞口を選択して開閉ラウンドを繰返す特別遊技作動を実行し、前記賞球払出手段が、前記特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドを実行していない大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を無効とするようにしていることを特徴とするパチンコ遊技機である。
【0011】
ここで、特別遊技制御手段としては、一の大入賞口を選択して開閉ラウンドを行うようにしても良いし、複数(全てを含む)の大入賞口を選択して開閉ラウンドを行うようにしても良い。後者の場合には、選択した複数の大入賞口で同時に開閉ラウンドを実行しても良いし、順次開閉ラウンドを実行しても良い。そして、特別遊技制御手段が、このように開閉ラウンドを実行する一または複数の大入賞口を選択する処理を行う。また、賞球払出手段が遊技球検知を無効とする大入賞口としては、特別遊技作動の実行中に、一回も開閉ラウンドを実行しない大入賞口だけでなく、開閉ラウンドを実行した後および実行する前の大入賞口をも含む。
【0012】
かかる構成にあっては、各大入賞口毎に夫々流入した遊技球を検知できるようにし、開閉ラウンドを実行していない大入賞口に流入した遊技球の検知を無効とするようにしていることから、特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行していない大入賞口が不正開放された場合であっても、当該大入賞口に流入した遊技球による賞球が発生しない。すなわち、大入賞口を不正開放するという不正行為が行われても、該不正開放された大入賞口に流入した遊技球に基づく賞球が発生しない。そのため、前記不正行為が行われた後に遊技が継続して進行しても、該不正行為による利益が供与されることが無い。したがって、本発明の構成によれば、特別遊技作動の実行中に大入賞口を不正開放して多くの賞球を得ようとする不正行為を、実質的に防止することができる。
【0013】
さらに、上述したように大入賞口の開放検知センサを備えた構成にあっても、本発明の構成を適用することができることから、特別遊技作動の実行中に前記開放検知センサによる検知を無効としても、不正行為によって賞球が発生しないという本発明の作用効果は発揮される。
【0014】
上述したパチンコ遊技機にあって、賞球払出手段が、特別遊技制御手段による特別遊技作動の実行中にのみ、開閉ラウンドを実行している大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を有効とするようにした構成が提案される。
【0015】
かかる構成にあっては、特別遊技作動を実行していない場合に大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を無効とすることから、当該場合に、上記した不正行為による利益の発生を防止できる。そして、特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行している大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を有効とすることから、大入賞口への遊技球の流入により賞球を払い出すという遊技が健全かつ適正に保たれ得る。
【0016】
上述したパチンコ遊技機にあって、賞球払出手段が、特別遊技制御手段による特別遊技作動の実行中に、大入賞口の球検知手段から球検知信号を入力することにより、該球検知信号に従って賞球を払い出す処理を実行するものであって、各大入賞口の球検知手段毎に、その球検知信号を入力可能とする信号入力状態と、入力不能とする信号非入力状態とに変換される信号入力変換手段を備え、前記賞球払出手段が、信号入力変換手段を、特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドの実行していない大入賞口の球検知手段からの球検知信号を入力不能とする信号非入力状態に変換制御するようにしている構成が提案される。
【0017】
かかる構成にあっては、開閉ラウンドを実行していない大入賞口の球検知手段から球検知信号を入力しないことから、当該大入賞口に流入した遊技球を認識しない。そのため、大入賞口を不正に開放する不正行為によって当該大入賞口へ遊技球が流入しても、これに伴う賞球の発生を確実に防止できる。したがって、上述した本発明の作用効果が一層安定かつ確実に発揮され得る。
【0018】
ここで、本構成では、球検知手段からの球検知信号を入力不能とする信号非入力状態が、上述した球検知手段による遊技球の検知を無効とすることである。また、信号入力状態が、球検知手段による遊技球の検知を有効とすることである。さらに、本構成にあって、賞球払出手段は、開閉ラウンドを実行している大入賞口の球検知手段からの球検知信号を入力可能とする信号入力状態に変換制御する。すなわち、信号入力変換手段を、開閉ラウンドの実行と非実行とに従って信号入力状態と信号非入力状態とに変換制御する。
【0019】
尚、信号入力変換手段としては、例えば、信号非入力状態を、球検知手段が球検知信号を発信しないようにする構成、又は、球検知手段から発信した球検知信号が賞球払出手段に到達しないようにする構成等が好適に用い得る。前者の場合には、球検知信号の発信(信号入力状態)と非発信(信号非入力状態)とに切り換え制御処理できる機能を備える構成、又は、球検知手段へ供給する電力を供給状態(信号入力状態)と非供給状態(信号非入力状態)とに変更可能とする機能を備える構成が適用可能である。一方、後者の場合には、球検知手段から賞球払出手段へ球検知信号が進行する信号伝達線を、進行可能な開通状態(信号入力状態)と進行不能な遮断状態(信号非入力状態)とに変更可能とする機能を備える構成が適用可能である。尚、このような信号入力変換手段には、球検知信号の入力(信号入力状態)と非入力(信号非入力状態)とに変換作動する装置が好適に用いられ、機械的に変換作動するものが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のパチンコ遊技機は、上述したように、特別遊技条件の成立により、複数設けられた大入賞口のうちいずれかを選択して開閉ラウンドを繰返す特別遊技作動を実行し、該特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドを実行していない大入賞口に流入した遊技球の検知を無効とするようにしたものであるから、特別遊技作動の実行中に大入賞口を不正開放するという不正行為が行われた場合にあっても、該不正開放された大入賞口に流入した遊技球に基づく賞球が発生しない。したがって、特別遊技作動の実行中に大入賞口を不正開放する不正行為を、実質的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】パチンコ遊技機1の斜視図である。
【図2】遊技盤10の正面図である。
【図3】遊技を制御する制御回路を示すブロック図である。
【図4】特別図柄処理を示すフロー図である。
【図5】大入賞口処理を示すフロー図である。
【図6】実施例1の賞球払出処理を示すフロー図である。
【図7】実施例2の賞球払出処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明にかかる実施例のパチンコ遊技機1を添付図面に従って説明する。
本実施例のパチンコ遊技機1は、図1に示すように、遊技島に固定される外枠2と、この外枠2の前面開口部を覆う遊技機本体3とからなる。遊技機本体3は、中央上部の略円形の開口部に遊技盤10が取り付けられた前枠5を備え、この前枠5の一側縁がヒンジ部材4を介して外枠2に開閉可能に枢着されている。さらに前枠5には、遊技盤10を覆うガラス板6が設けられている。また、前枠5の下部には、上受皿7と下受皿8とが上下に列設されており、下受皿8の右側方に発射ハンドル9が突設される。尚、遊技機本体3が、パチンコ遊技機1の機台である。
【0023】
図2のように、遊技盤10の前面には、遊技球を転動流下させる略円形の遊技領域12が区画形成されている。この遊技領域12の中央には、各種の遊技部材が組み付けられたセンターケース13が配設されている。このセンターケース13には、液晶表示器からなる図柄表示装置14が組み付けられており、該図柄表示装置14の表示画面15では、三つの特別図柄A,B,Cと二つの普通図柄(図示せず)とが変動表示されると共に、様々な演出画像が表示される。
【0024】
ここで、特別図柄A,B,Cは、後述する普通電動役物20の始動口21に遊技球が流入することにより変動開始し、その後停止した各特別図柄の組合せからなる停止図柄態様により当り又はハズレを確定する。また、普通図柄(図示せず)は、後述する普通図柄始動ゲート19を遊技球が通過することにより変動開始し、その後停止した普通図柄の組合せにより当り又はハズレを確定する。そして、普通図柄が当りの場合には、後述する普通電動役物20の開閉翼片(図示せず)を開閉駆動する。
【0025】
センターケース13の下部には、4個の発光ダイオードからなる特別図柄始動記憶数表示装置16が配設されている。この特別図柄始動記憶数表示装置16は、上記した普通電動役物20の始動口21に遊技球が連続して流入した場合に、特別図柄A,B,Cの変動を保留している特別図柄始動記憶数を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。また、センターケース13の左下部には、4個の発光ダイオードからなる普通図柄始動記憶数表示装置17が配設されており、同様に、普通図柄(図示せず)の変動を保留している普通図柄始動記憶数を、発光ダイオードの点灯数によって表示する。
【0026】
上記センターケース13の左右側方には、普通図柄始動ゲート19が配設されており、遊技球の通過により、各普通図柄始動ゲート19に設けられた普通図柄始動スイッチS2 (図3参照)から遊技球検出信号が発生すると、前記図柄表示装置14の表示画面15で普通図柄(図示せず)が変動し、所定時間経過後に停止して種々の組み合わせの図柄態様が表示される。
【0027】
また、センターケース13の下方には、遊技球を流入可能とする始動口21と、左右一対の開閉翼片(図示省略)とを備えた普通電動役物20が配設されている。この始動口21の内部には、当該始動口21に流入した遊技球が流下する流路(図示せず)が設けられており、この内部の流路に遊技球を検知する特別図柄始動スイッチS1(図3参照)が配設されている。そして、特別図柄始動スイッチS1による遊技球検知に従って、上述したように、図柄表示装置14の画面で特別図柄A,B,Cを変動開始する。左右一対の開閉翼片は、上下方向に起立して一個の遊技球が上方から入賞可能な間隔となる起立位置と、該起立位置から左右両側に逆ハ字形に拡開して遊技球の入賞を容易とする傾動位置とに変換駆動されるようになっている。そして、前記普通図柄(図示せず)が所定の当り図柄態様で確定した場合に、普通電動役物ソレノイド(図示せず)を駆動源として開閉翼片が所定時間(約 0.2秒間)傾動位置に拡開されて、始動口21に遊技球が入り易い状態となる。
【0028】
さらに、普通電動役物20の下方には、大入賞口26aを有する大入賞口装置25aと大入賞口26bを有する大入賞口装置25bとが左右に並設されている。各大入賞口装置25a,25bは、従来からよく知られている扉式の構成であり、大入賞口ソレノイド(図示せず)により前後方向に傾動する開閉扉27a,27bをそれぞれ備えている。そして、各開閉扉27a,27bが開閉作動制御されることによって、各大入賞口25a,25bが開放状態又は閉鎖状態のいずれかに変換される。各大入賞口装置25a,25bは、上記した特別図柄A,B,Cが所定の当り停止図柄態様で確定表示された場合(大当りの場合)に、大入賞口26a,26bを開閉する特別遊技作動を実行するものである。特別遊技作動では、開閉扉27a,27bが前方に傾倒して開き、その開放状態で開閉扉27a,27bの上面の案内作用を介して、大入賞口26a,26b内へ遊技球を案内する。そして、所定開放制限時間(例えば30秒)の満了、またはその所定開放制限時間中における所定個数(例えば9個)の遊技球の入賞により開閉扉27a,27bが起立して、大入賞口26a,26bが閉鎖される。このような開閉ラウンドを、所定制限回数(本実施例にあっては15回)行う。大入賞口26a,26bの内部にはそれぞれ、流入した遊技球が流下する球流路(図示せず)を備え、各球流路に、遊技球を検知するカウントスイッチS3,S4(図3参照)が夫々設けられている。尚、本実施例にあっては、特別図柄A,B,Cの当り停止図柄態様に基づいて、大入賞口26a,26bのいずれかを開閉するように作動制御しており、これは本発明の要部にかかるため詳細は後述する。
【0029】
その他、遊技領域12には、複数の一般入賞口28が配設されており、その内部に設けられた一般入賞スイッチS5(図3参照)による遊技球の入賞検知に伴って所定数の賞球が払い出される。さらに、遊技領域12の下端部には、アウト口29が配設されている。遊技領域12を転動流下する遊技球が、上記した始動口21、一般入賞口28、大入賞口26a,26bへ流入できない場合に、アウト口29へ流入する。尚、上記した普通図柄始動ゲート19は、遊技球が通過するため、該通過した後に、始動口21、一般入賞口28、大入賞口26a,26b、アウト口29のいずれかへ流入する。
【0030】
次に、上述のパチンコ遊技機1の制御回路について、図3に示すブロック図に従って説明する。
制御回路には、主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、電源基板83、発射制御基板84が配設されている。主制御基板80は、マイクロコンピュータにより構成されており、パチンコ遊技機1の遊技を統括的に制御するものである。そして、この主制御基板80には、上述した遊技盤10に配設された始動口21、普通図柄始動ゲート19、大入賞口26a,26b、一般入賞口28へ流入した遊技球を検知するための各スイッチやセンサ(図示省略)等が盤面中継端子板90を介して接続されている。
【0031】
主制御基板80には、各種スイッチやセンサなどからの入力信号に従って演算処理を実行して所定の制御指令信号を出力する中央制御装置CPU、演算処理に用いる制御プログラムを格納する記憶装置ROM、必要なデータを随時読み書き可能な記憶装置RAMが、データを読み書きするアドレスを指定する情報を一方的に伝えるアドレスバス(図示省略)と、データのやり取りを行うデータバス(図示省略)とを介して接続され、主制御基板80の基板回路を構成している。前記記憶装置ROMには、制御プログラム、大当り特別乱数テーブルや大当り図柄乱数テーブル等の各種乱数テーブルが格納されている。そして、後述するように始動口21に流入した遊技球を特別図柄始動スイッチS1が検知すると、中央制御装置CPUによって各乱数テーブルの乱数値の抽選が行われ、大当り特別乱数値、大当り図柄乱数値等の各種乱数値等が選出される(図4参照)。また、記憶装置RAMには、特別図柄始動スイッチS1 ,普通図柄始動スイッチS2 による球検知数等が一時的に記憶される記憶エリア、ソフトタイマを構成するレジスタ領域及びワークエリア等が設けられている。
【0032】
さらに、主制御基板80の基板回路には、所定のクロックパルスを出力するクロック装置(図示省略)が設けられ、中央制御装置CPUに接続されている。そして中央制御装置CPUは一定間隔のクロックパルスによって、時系列的に演算処理を行い、一連の処理作動を順次実行する。また、このクロック装置により出力されたクロックパルスをカウントして、時間を計測するタイマーTMも接続されている。
【0033】
また、上記主制御基板80の基板回路には、中央制御装置CPUが周辺機器とデータ通信を行う入力ポート(図示省略)及び出力ポート(図示省略)が設けられており、該出力ポートを介して主制御基板80からの制御指令信号が、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84の各入力ポートに向けて発信されるようになっている。また、主制御基板80の入力ポートには、盤面中継端子板90を介して、特別図柄始動スイッチS1、普通図柄始動スイッチS2、カウントスイッチS3,S4、一般入賞スイッチS5 が接続されている。そして、主制御基板80は、所定時間毎(例えば2ms毎)に各スイッチS1 〜S5の遊技球検出状態を調べ、該信号入力があるとその信号が波形整形回路により波形整形されて中央制御装置CPUに入力され、その情報を記憶装置RAMに記憶する。また、主制御基板80の出力ポートには、盤面中継端子板90を介して大入賞口装置25a,25bの各大入賞口ソレノイド,普通電動役物ソレノイドが接続されており、中央制御装置CPUが所定の条件を選出した場合に作動される。
【0034】
また、上記した払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84にあっても、主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えた基板回路が設けられている。
【0035】
上記した主制御基板80の中央制御装置CPU及び上記した各制御基板81〜84に設置されている各中央制御装置CPUは、所定のデータの処理を行う演算ユニット(ALU)を連成した演算装置と、この演算装置に入出力するデータや読み込んだ命令を保管しておくレジスタと、命令を解読するデコーダ等によって構成されている。尚、前記演算ユニットの連成数によって、各中央制御装置CPUの演算処理能力が決まる。そして、主制御基板80の中央制御装置CPUは、所定の形式で生成した制御指令信号を各制御基板81〜84に夫々送信し、各制御基板81〜84の中央制御装置CPUがこの制御指令信号に従って所定の制御を処理実行することとなる。
【0036】
一方、上記した演出制御基板82は、上述した図柄表示装置14で演出する図柄制御や、各種スピーカから音響を発する制御や、各種ランプおよびLEDを発光する制御などを行うものである。そして、この演出制御基板82には、図柄表示装置14を構成する液晶表示器(図示省略)と、各種LEDをLED中継端子板を介して発光制御するランプ制御基板(図示省略)と、スピーカが接続された演出中継端子板(図示省略)とが夫々に接続されている。また、演出制御基板82にも、上述した主制御基板80と同様に、中央制御装置CPU、記憶装置ROM、記憶装置RAMを備えている。このような演出制御基板82は、主制御基板80から受信した演出制御指令信号に従って、図柄表示装置14による演出画像の表示、各LEDの発光、スピーカの発音を制御実行する。
【0037】
また、払出制御基板81は、賞球や貸球を払い出す払出装置73(図3参照)を駆動制御するものである。この払出制御基板81は、主制御基板80から受信した払出制御指令信号に従って上記した払出装置73を駆動して、所定の賞球を払い出す制御を実行する。
【0038】
また、発射制御基板84は、上記した発射ハンドル9(図1参照)の操作に従って、図示しない発射装置を駆動制御することにより、遊技球を発射制御するものである。尚、発射制御基板84も、上記した主制御基板80と接続されており、主制御基板80から所定の制御指令信号を入力すると、それに従って駆動制御するようにもなっている。
【0039】
また、上述した電源基板83は、外部電源から供給された電力を、所定の電圧に変換して、上述した主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84に送電するものである。電源基板83には、外部電源からAC24Vの電流が送電される。そして、このAC24Vを、DC32V、DC12V、DC5Vに変換する回路が夫々配設されている。さらに、過剰の電流が流れないようする過負荷保護回路、リセット回路、バックアップ用コンデンサ(バックアップ電源)などが配設されている。
【0040】
この電源基板83からDC32V、DC12V、DC6Vの各電力を夫々供給された主制御基板80、払出制御基板81、演出制御基板82、発射制御基板84は、夫々が駆動制御するモータ、ソレノイド、スイッチ、センサ、LED、スピーカ、表示装置などに所定の電力を分配する。
【0041】
次に、図3に示した制御回路による制御態様をパチンコ遊技機の作動に従って説明する。
遊技領域12を転動流下する遊技球が普通図柄始動ゲート19を通過し、普通図柄始動スイッチS2 が該遊技球を検知すると、主制御基板80は普通図柄の変動処理を行う。さらに、遊技球が普通図柄始動ゲート19を連続して通過した場合には、普通図柄の始動記憶を発生し、その記憶数(普通図柄始動記憶数)に従って普通図柄始動記憶数表示装置17の発光ダイオードを点灯する。尚、普通図柄の変動処理、始動記憶を発生して記憶する処理については、従来と同様の処理方法を適用できるため、その詳細については省略する。
【0042】
一方、遊技球が普通電動役物20の始動口21に流入すると、特別図柄始動スイッチS1が該遊技球を検知し、該球検知信号を入力した主制御基板80は、演出制御基板82を介して特別図柄始動記憶数表示装置16の発光ダイオードを一つ点灯する(始動記憶数表示処理)と共に、特別図柄に関する各乱数テーブルから夫々に乱数値を抽出して特別図柄始動記憶を発生して記憶する入賞検知処理を行う。尚、前記の始動記憶数表示処理および入賞検知処理については、従来と同様の処理方法を適用できるため、その詳細については省略する。
【0043】
消化保留している特別図柄始動記憶がある場合には、特別図柄処理(図4参照)を行う。すなわち、最先に記憶した特別図柄始動記憶を読み込むと共に、特別図柄始動記憶数表示装置16の発光ダイオードを1個消灯し、特別図柄A,B,Cの図柄変動を開始する。ここで、特別図柄始動記憶は、特別図柄始動スイッチS1の遊技球検知により所定の乱数テーブルから夫々抽出した大当り乱数値、大当り図柄乱数値、ハズレ図柄乱数値等の各乱数値から構成されている。前記のように特別図柄始動記憶を読み込むことにより、その大当り乱数値を当落判定し、当りと判定した場合には、特別図柄変動停止態様選択処理により、その他の乱数値に従って図柄表示装置14で表示される特別図柄A,B,Cの当り図柄変動パターンと当り停止図柄態様とを選定する。さらに、特別図柄A,B,Cの変動中に表示する演出図柄パターンも選定する。そして、変動時間を計測するためのタイマをセットし、選定した当り図柄変動パターンおよび演出図柄パターンをセットする。これにより、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cを当り停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。一方、大当り乱数値をハズレ判定した場合には、ハズレ図柄変動パターン、演出図柄パターン、ハズレ停止図柄態様を選定し、図柄表示装置14で、特別図柄A,B,Cをハズレ停止図柄態様で確定停止するまでの一連の図柄生成行程が表示される。
【0044】
本実施例にあって、上記の特別図柄A,B,Cとしては、それぞれ「0」〜「9」の各数字からなり、A=B=Cで確定停止した場合に当りとし、これ以外をハズレとする。すなわち、特別図柄A=B=Cがいわゆる当り停止図柄態様であり、これ以外がハズレ停止図柄態様である。
【0045】
上述した図柄生成行程により特別図柄A,B,Cが当り停止図柄態様で確定停止すると、特別遊技フラグ=1として、大入賞口26a,26bを開閉作動制御する大入賞口処理(図5参照)を実行する。この大入賞口処理により、大入賞口26a,26bを開閉する開閉ラウンドを所定回数繰返す特別遊技作動を実行する。尚、この大入賞口処理は、本発明の要部にかかり詳細は後述する。
【0046】
尚、上述した以外の制御処理(例えば、メイン処理など)については、従来の構成と同様に実行できるため、その詳細を適宜省略している。
【0047】
次に本発明の要部について説明する。
上述したパチンコ遊技機1は、二つの大入賞口26a,26bを備えた構成であり、大当り乱数値を当り判定して特別図柄A,B,Cが当り停止図柄態様を確定停止した場合に、いずれかの大入賞口26a,26bを選択的に開閉する特別遊技作動を実行する。以下、実施例1,2について順次説明する。
【実施例1】
【0048】
実施例1の構成にあっては、特別図柄A,B,Cの当り停止図柄態様に従って、いずれか一方の大入賞口26a,26bを選択して開閉ラウンドを繰り返す特別遊技作動を実行するように制御している(図5参照)。具体的には、上記した大当り乱数値を当り判定することにより大当り図柄乱数値を有効とし、該大当り図柄乱数値が奇数図柄(1,3,5,7,9)の当り停止図柄態様で停止することを判定した場合に、左側の大入賞口装置25aを有効として大入賞口26aを開閉する開閉ラウンドを実行する。一方、大当り図柄乱数値が偶数図柄(0,2,4,6,8)の当り停止図柄態様で停止することを判定した場合に、右側の大入賞口装置25bを有効として大入賞口26bを開閉する開閉ラウンドを実行する。尚、大当り図柄乱数値が奇数図柄を判定した場合には、右側の大入賞口26bで開閉ラウンドを実行せずに閉鎖状態を維持する。大当り図柄乱数値が偶数図柄を判定した場合には、左側の大入賞口26aで開閉ラウンドを実行せずに閉鎖状態を維持する。
【0049】
上記した特別図柄処理では、図4のように、大当り乱数値を当り判定すると、大当り図柄乱数値を有効とし、該大当り図柄乱数値が奇数図柄であった場合に奇数遊技フラグ=1とする。一方、大当り図柄乱数値が偶数図柄であった場合に偶数遊技フラグ=1とする。そして、特別図柄A,B,Cが当り停止図柄態様で確定停止すると、特別遊技フラグ=1とする。特別遊技フラグ=1となると、図5の大入賞口処理により、奇数遊技フラグ=1の場合には左側の大入賞口装置25aを有効としてその大入賞口ソレノイドを駆動制御して、大入賞口26aを開閉する開閉ラウンドを実行する。一方、偶数遊技フラグ=1の場合には右側の大入賞口装置25bを有効としてその大入賞口ソレノイドを駆動制御して、大入賞口26bを開閉する開閉ラウンドを実行する。このように、本実施例1では、二つの大入賞口26a,26bのうち、いずれか一方のみで開閉ラウンドを所定回数繰返す特別遊技作動を実行する。この特別遊技作動は、いずれの大入賞口26a,26bの場合であっても同様に実行する。
【0050】
特別遊技作動の実行中(特別遊技フラグ=1の場合)には、開閉ラウンドを実行している一方の大入賞口26a,26bに遊技球が流入し、この遊技球を大入賞口26a,26bの内部に配設したカウントスイッチS3,S4により検知する。この遊技球の検知に基づいて、賞球の払い出しを実行する。
【0051】
すなわち、図6の賞球払出処理では、カウントスイッチS3,S4が遊技球を検知することにより球検知信号を発生すると、その信号入力に応じて払出装置73を駆動制御する払出装置処理を実行して、所定個数の賞球を払い出す。ここで、この賞球払出処理では、特別遊技フラグ=1かつ奇数遊技フラグ=1の場合に、大入賞口26aのカウントスイッチS3から入力する球検知信号を有効とし、当該球検知信号の入力に従って払出装置73を駆動制御する払出装置処理を実行する。当該場合には、偶数遊技フラグ=0であることから、大入賞口26bのカウントスイッチS4から球検知信号を入力しても無効とする。そのため、カウントスイッチS4の球検知信号によって賞球を発生しない。一方、偶数遊技フラグ=1であると、大入賞口26bのカウントスイッチS4による球検知信号を有効として、当該球検知信号に従って払出装置73を駆動制御する払出装置処理を実行する。当該場合には、奇数遊技フラグ=0であることから、大入賞口26aのカウントスイッチS3から球検知信号を入力しても無効として、これに伴う賞球を発生しない。
【0052】
尚、賞球払出処理では、特別遊技フラグ=1の場合にのみ、球検知信号の入力に応じて払出装置処理を実行する。これにより、特別遊技作動を実行していない状態(特別遊技フラグ=0)では、球検知信号の入力があっても払出装置73を駆動しない。
【0053】
このように賞球払出処理では、特別遊技フラグ、奇数遊技フラグ、偶数遊技フラグに基づいて、カウントスイッチS3,S4による球検知信号を有効または無効処理して賞球を払い出すように制御する。これにより、大入賞口26a,26bを閉鎖状態に維持している場合に、カウントスイッチS3,S4による球検知信号を入力しても、これに伴う賞球を発生しない。そのため、機台の隙間から薄板等を挿入して閉鎖状態の大入賞口26a,26bを不正開放する不正行為が行われた場合に、該不正開放された大入賞口26a,26bに遊技球が流入しても、賞球の払い出しが無い。本実施例1のパチンコ遊技機1によれば、二つの大入賞口26a,26bのいずれかを開閉する開閉ラウンドを繰り返す特別遊技作動の実行中に、該開閉ラウンドを実行していない大入賞口26a又は大入賞口26bが不正開放されたとしても、該不正開放により流入した遊技球の検知を無効と処理していることから、当該不正行為によって生ずる利益(賞球)を発生しない。したがって、特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行していない大入賞口26a又は26bを不正開放して利益を得るという不正行為に対して、不正な利益の発生を確実かつ安定して防止できると共に、該不正行為を確実に防止することができる。
【0054】
このような実施例1にあって、カウントスイッチS3,S4により、本発明にかかる球検知手段が構成されている。また、主制御基板80および演出制御基板82により、本発明にかかる特別遊技制御手段が構成されている。また、主制御基板80および払出制御基板81により、本発明にかかる賞球払出制御手段が構成されている。また、大当り乱数値を当り判定して特別遊技フラグ=1とすることにより、本発明にかかる特別遊技条件が成立するように設定している。
【0055】
尚、実施例1のカウントスイッチS3,S4としては、後述する実施例2と同様に通電状態で、発生する磁界が遊技球の通過によって変化することにより遊技球を検知するものである。そして、実施例1では、カウントスイッチS3,S4を常時通電状態としている。
【実施例2】
【0056】
実施例2の構成にあっては、特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行していない大入賞口26a又は26bのカウントスイッチS3又はS4が遊技球を検知しないようにしたものである。そのため、閉鎖状態の大入賞口26a又は26bのカウントスイッチS3又はS4からは、主制御基板80に球検知信号が入力しないようになっている。
【0057】
ここで、本実施例2のカウントスイッチS3,S4としては、主制御基板80から盤面中継端子板90を介して通電することにより磁界を発生させ、遊技球の通過によって生ずる該磁界の変化により、遊技球を検知するものを適用している。
【0058】
本実施例2にあっては、図7の賞球払出処理により、特別遊技フラグ=1の状態で、奇数遊技フラグ=1の場合にカウントスイッチS3に通電し且つカウントスイッチS4に通電しない。一方、偶数遊技フラグ=1の場合には、カウントスイッチS4に通電し且つカウントスイッチS3に通電しない。ここで、通電しない状態では、遊技球が流入しても検知できず、球検知信号も発生しない。そのため、例え遊技球が流入しても賞球の発生は無い。尚、本実施例2の構成では、特別遊技作動を実行していない状態で、カウントスイッチS3,S4への通電を停止している。
【0059】
このように、本実施例2の構成は、カウントスイッチS3,S4毎に通電状態と非通電状態とに変換作動するスイッチ通電装置(図示せず)を備え、当該スイッチ通電装置を主制御基板80により作動制御(変換制御)するようにしている。すなわち、主制御基板80が、前記スイッチ通電装置を制御することにより、通電状態として遊技球の検知を有効とし、非通電状態として遊技球の検知を無効とするようにしている。尚、このスイッチ通電装置としては、通電状態と非通電状態とに変換する制御装置であり、従来から知られているものを適用できるため、その詳細については省略する。
【0060】
例えば、特別図柄処理(図4参照)および大入賞口処理(図5参照)により大当り図柄乱数値に従って奇数遊技フラグ=1であると、特別遊技フラグ=1により左側の大入賞口26aが開閉ラウンドを繰り返す特別遊技作動を実行する。そして、図7の賞球払出処理により、この大入賞口26aの内部に設けたカウントスイッチS3に通電する通電状態に制御し、該大入賞口26aに流入した遊技球を検知すると、その球検知信号が発生し、これに伴って賞球を払い出す。一方、奇数遊技フラグ=1であることから、右側の大入賞口26bが開閉ラウンドを実行せずに閉鎖状態を維持すると共に、その内部に設けたカウントスイッチS4に通電しない非通電状態を維持する。当該特別遊技作動の実行中に、閉鎖状態の大入賞口26bが不正開放されると、該大入賞口26bへ遊技球が流入する。しかし、カウントスイッチS4が、大入賞口26bに流入した遊技球を検知できず且つ球検知信号も発生しないことから、賞球の払い出しが無い。そのため、閉鎖状態の大入賞口26bを不正開放することによって、不正な利益(賞球)が発生せず、該不正な利益によって遊技場が被る不利益を防止できる。そして、このような不正開放により利益を得るという不正行為を防止することができる。
【0061】
また、奇数遊技フラグ=1の場合について例示したが、偶数遊技フラグ=1の場合には、カウントスイッチS4を非通電状態とすることから、同様の作用効果を発揮する。
【0062】
上述したように、本実施例2の構成によれば、特別遊技作動の実行中に開閉ラウンドを実行していない大入賞口26aのカウントスイッチS3又は大入賞口26bのカウントスイッチS4に通電しないことから、不正開放によって流入した遊技球を検知しないため、当該遊技球による賞球の発生を一層確実かつ安定して防止できる。このように、本実施例2にあっても、上述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
【0063】
尚、本実施例2の構成にあって、特別遊技フラグ=0の場合にも、カウントスイッチS3,S4を非通電状態としていることから、特別遊技作動を実行していない状態でも、大入賞口26a,26bの不正開放によって不正な利益が発生することを確実に防止できる。
【0064】
本実施例2の構成は、特別遊技フラグ、奇数遊技フラグ、偶数遊技フラグに応じて、カウントスイッチS3,S4に通電または通電停止する処理を実行するようにしたものであり、これ以外の構成は上述した実施例1と同じであることから、同じ構成要素には同じ符号を記して説明を省略している。
【0065】
尚、本実施例2の構成にあって、カウントスイッチS3,S4を通電状態と非通電状態とに変換する上記したスイッチ通電装置により、本発明にかかる信号入力変換手段が構成されており、通電状態が本発明の信号入力状態であり、非通電状態が本発明の信号非入力状態である。
【0066】
上述した実施例1,2の構成にあっては、特別遊技作動として、二つの大入賞口26a,26bのいずれか一方を選択して開閉ラウンドを実行するようにしたものであるが、その他の構成として、大入賞口26a,26bのいずれか一方または両方を選択して開閉ラウンドを実行するようにしても良い。ここで、両方を選択する場合には、例えば、上記した奇数遊技フラグ=1かつ偶数遊技フラグ=1として、両方同時に開閉ラウンドを実行することができる。また、一回の特別遊技作動として、二つの大入賞口26a,26bを所定回数毎に交互に開閉ラウンドを実行するようにしても良い。さらにまた、大入賞口26aと大入賞口26bとで、一回の開閉ラウンドの満了条件を異なる設定としても良い。例えば、大入賞口26aでは、上述したように、30秒の開放制限時間の経過または9個の遊技球入賞を満了条件とし、大入賞口26bでは、10秒の開放制限時間の経過または2個の遊技球入賞を満了条件とする等のように設定可能である。また、開閉ラウンドの実行回数を両者で異なる回数に設定しても良い。
【0067】
また、上述した実施例1,2の構成では、開閉ラウンドを実行する大入賞口26a,26bの選定を大当り図柄乱数値に従って決定しているが、これに限らず、様々な選定条件を設定可能である。例えば、新たに選定乱数値を抽出するようにしても良い。
【0068】
一方、上述した実施例2の構成にあっては、大入賞口26a,26bの内部に設けたカウントスイッチS3,S4を通電状態または非通電状態に変換するスイッチ通電装置を備え、非通電状態とすることにより該カウントスイッチS3,S4を機能停止するようにした構成であるが、その他の構成として、カウントスイッチS3,S4からの球検知信号の入力を通過又は遮断する変換装置(信号入力変換手段)を備えた構成としても良い。この変換装置を作動制御する構成によっても、球検知信号が入力しないことから、実施例2と同様の作用効果を奏し得る。
【0069】
本発明にあっては、上述した実施例に限定されるものではなく、上述の実施例以外の構成についても本発明の趣旨の範囲内で適宜変更して実施可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 パチンコ遊技機
26a,26b 大入賞口
S3,S4 カウントスイッチ(球検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤に開閉可能に配設された大入賞口と、
該大入賞口に流入した遊技球を検知する球検知手段と、
予め定められた特別遊技条件が成立することにより、前記大入賞口を開閉する開閉ラウンドを所定回数繰返す特別遊技作動を実行する特別遊技制御手段と、
大入賞口の球検知手段が遊技球を検知することにより、賞球を払い出す賞球払出手段と
を備えたパチンコ遊技機において、
前記大入賞口が遊技盤に複数配設され、且つ前記球検知手段が各大入賞口毎に夫々配設されてなり、
前記特別遊技制御手段が、特別遊技条件の成立により、いずれかの大入賞口を選択して開閉ラウンドを繰返す特別遊技作動を実行し、
前記賞球払出手段が、前記特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドを実行していない大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を無効とするようにしていることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
賞球払出手段が、特別遊技制御手段による特別遊技作動の実行中にのみ、開閉ラウンドを実行している大入賞口の球検知手段による遊技球の検知を有効とするようにしていることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
賞球払出手段が、特別遊技制御手段による特別遊技作動の実行中に、大入賞口の球検知手段から球検知信号を入力することにより、該球検知信号に従って賞球を払い出す処理を実行するものであって、
各大入賞口の球検知手段毎に、その球検知信号を入力可能とする信号入力状態と、入力不能とする信号非入力状態とに変換される信号入力変換手段を備え、
前記賞球払出手段が、信号入力変換手段を、特別遊技作動の実行中に、開閉ラウンドの実行していない大入賞口の球検知手段からの球検知信号を入力不能とする信号非入力状態に変換制御するようにしていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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