説明

パック電池

【課題】電池をケースの定位置に簡単に挿入する。ケースに入れた電池に簡単かつ容易に、しかも正確な位置にリード板を接続する。
【解決手段】パック電池は、複数の電池1を、端面を同一の面に位置させる平行な姿勢でケース2に並べて収納し、凸部電極1aと平面電極1bにリード板3を接続している。ケース2は、複数の保持筒6を互いに隣接して設けており、保持筒6の両端に、凸部電極1aと平面電極1bを外部に表出させる開口部8を設けている。さらにケース2は、保持筒6の開口部8の周縁に沿って、電池1の平面電極1bの突出位置を特定すると共に、リード板3を定位置に配置するストッパリブ9を設けている。パック電池は、ストッパリブ9で電池1の電極の突出位置を特定して、凸部電極1aと平面電極1bを同一面に配置し、リード板3をストッパリブ9の内側に位置させてケース2の定位置に配置して、電池1に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池を直列や並列に接続しているパック電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具や自転車の電源に使用されるパック電池は、多数の電池を並列と直列に接続して、充電容量と出力電圧を大きくしている。この種の電池は、電池の電極にリード板をスポット溶接してケースに収納している。電池はケース内の定位置に配置する必要がある。とくに、振動の激しい電動工具や自転車に使用されるパック電池は、電池を定位置にしっかりと内蔵させる必要がある。このことを実現するために、ケースに電池の一部を挿入する保持筒を一体的に成形して設けたパック電池が開発されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−151027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の公報に記載されるパック電池は、図1に示すように、ケース32の内面に電池31の一部を挿入する保持筒36を一体的に成形して設けている。このパック電池は、電極にリード板33を溶接して連結している電池31を保持筒36挿入して定位置に配置する。この構造のパック電池は、電池31をケース32内に収納するのに便利ではあるが、電池31にリード板33を溶接して連結するのに手間がかかる。とくに、リード板を電池の電極の決められた位置に正確に連結するためには、専用のジグを使用して電池とリード板を定位置に配置する必要がある。このため、電池とリード板を特定の位置に位置がずれないようにセットして溶接する必要があり、リード板の正確な位置への連結にも手間がかかる。さらにまた、リード板で連結した複数の電池を一緒にしてケースに収納するので、電池をケースに入れるのにも手間がかかる欠点があった。
【0004】
本発明は、このような欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電池をケースの定位置に簡単に挿入でき、さらに、ケースに入れた電池には簡単かつ容易に、しかも位置ずれしないように正確な位置にリード板を接続して、能率よく安価に組み立てできるパック電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のパック電池は、一方の端部を凸部電極1aとして他の端部を平面電極1bとする複数の電池1を、端面を同一の面に位置させる平行な姿勢でケース2に並べて収納しており、ケース2に収納している電池1の凸部電極1aと平面電極1bにはリード板3を接続して、リード板3で複数の電池1を連結している。ケース2は、プラスチックを成形して製作されたもので、内部に収納している電池1を挿入して定位置に配置する複数の保持筒6を互いに隣接して設けている。さらに、ケース2は、保持筒6の両端に、凸部電極1aと平面電極1bを外部に表出させる開口部8を設けている。さらにまた、ケース2は、保持筒6の開口部8の周縁に沿って、電池1の平面電極1bの突出位置を特定すると共に、リード板3を定位置に配置するストッパリブ9を一体的に成形して設けている。ケース2は、このストッパリブ9に平面電極1bを当接させて、電池1の平面電極1b側の突出位置を特定し、保持筒6の開口部8の周縁又はストッパリブ9で電池1の凸部電極1a側の突出位置を特定して、電池1の凸部電極1aと平面電極1bを同一面に配置している。リード板3は、ストッパリブ9の内側に配置される外形である。パック電池は、リード板3をストッパリブ9の内側に位置させてケース2の定位置に配置しており、このリード板3を電池1の凸部電極1aと平面電極1bに接続している。
【0006】
本発明のパック電池は、ストッパリブ9を電位差のある電池1間に配設することができる。
【0007】
本発明のパック電池は、ケース2が、電池1の片方を挿入する第1のケース2Aと、電池1の他方を挿入する第2のケース2Bを備えることができる。このパック電池は、第1のケース2Aと第2のケース2Bをプラスチック製として、電池1の一部を挿入して定位置に配置する保持筒6の一部を一体的に成形して設けて、第1のケース2Aと第2のケース2Bを連結して、保持筒6の内部に電池1を収納することができる。
【0008】
本発明のパック電池は、第1のケース2Aと第2のケース2Bの連結部であって、電位差のある電池1を収納する保持筒6の境界に沿って、一方のケース2の保持筒連結縁13に連結溝14を、他方のケース2の保持筒連結縁13には連結溝14に案内される連結凸条15を設けることができる。このパック電池は、連結溝14に連結凸条15を入れて、第1のケース2Aと第2のケース2Bを連結することができる。
【0009】
本発明のパック電池は、複数の電池1を2段に積層して配置すると共に、上段に積層する電池1を下段の電池1の谷間に配設することができる。
【0010】
本発明のパック電池は、多段に積層して配置している電池1の上面に回路基板4を配設して、この回路基板4にリード板3を接続することができる。
【0011】
本発明のパック電池は、ケース2が保持筒6に貫通孔16を設けると共に、この貫通孔16に位置するように保持筒6の表面に粘着テープを接着して、粘着テープを保持筒6の表面と電池1の表面に接着することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明のパック電池は、電池をケースの定位置に簡単に挿入でき、さらに、ケースに入れた電池に簡単かつ容易に、しかも位置ずれしないように正確な位置にリード板を接続できる特長がある。それは、本発明のパック電池が、複数の保持筒を互いに隣接して設けて電池を収納するケースとすると共に、ケースの保持筒の開口部の周縁に沿ってストッパリブを一体的に成形して設けており、このストッパリブに電池の電極を当接させて電池電極の突出位置を特定すると共に、リード板をストッパリブの内側に位置させてケースの定位置に配置しているからである。この構造のパック電池は、ケースの保持筒に挿入する電池の電極を開口部周縁のストッパリブに当接させて位置決めするので、電池電極を開口部から表出させる状態としながら、極めて簡単に電池をケースの定位置に配置できる。さらに、パック電池は、リード板をストッパリブの内側に配置できる外形として、リード板をストッパリブの内側に位置決めしながらケースの定位置に配置するので、ケースの定位置に配置された電池に、簡単かつ容易に、しかも正確な位置にリード板を接続できる。
【0013】
また、本発明のパック電池は、従来のように、別工程で電池の正確な位置にリード板を接続した後、リード板を接続した電池をケースの定位置に収納するのではなく、電池とリード板とをケースの定位置に配置した状態でリード板を電池に接続できるので、能率よく安価に組み立てできる特長がある。
【0014】
さらに、本発明の請求項2のパック電池は、ストッパリブを電位差のある電池間に配設するので、このストッパリブを電位差のあるリード板間の絶縁材に併用して、電位差のあるリード板同士が互いに接触してショートするのを有効に防止できる特長がある。
【0015】
さらに、本発明の請求項3のパック電池は、ケースを、電池の片方を挿入する第1のケースと、電池の他方を挿入する第2のケースで構成し、第1のケースと第2のケースを連結して保持筒の内部に電池を収納するので、電池の両端の電極を開口部周縁のストッパリブで位置決めしながらケースの定位置に配置できる特長がある。さらに、このパック電池は、第1のケースと第2のケースを連結する状態で、収納される電池の両端にストッパリブを当接できるので、電池がケースの開口部から抜け出るのを防止しながら定位置に収納できる。
【0016】
さらに、本発明の請求項4のパック電池は、第1のケースと第2のケースの連結部であって、電位差のある電池を収納する保持筒の境界に沿って、一方のケースの保持筒連結縁に連結溝を、他方のケースの保持筒連結縁に連結凸条を設けているので、ケース内に水が浸入したり電池から電解液が漏れたりしても、連結溝と連結凸条とで電位差のある電池間を隔離して、マイグレーションの発生を効果的に極減できる特長がある。また、連結溝と連結凸条を介して第1のケースと第2のケースを連結するので、第1のケースと第2のケースとを正確に位置決めしながら連結できる特長もある。
【0017】
本発明の請求項5のパック電池は、複数の電池を2段に積層すると共に、上段に積層する電池を下段の電池の谷間に配設するので、多数の電池を省スペースに効率よく配置できる特長がある。
【0018】
本発明の請求項7のパック電池は、ケースの保持筒に貫通孔を設けると共に、この貫通孔に位置して保持筒の表面に粘着テープを接着して、粘着テープを保持筒の表面と電池の表面とに接着するので、保持筒に収納された電池が動くのを有効に防止できる特長がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのパック電池を例示するものであって、本発明はパック電池を以下のものに特定しない。
【0020】
さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
図2ないし図10に示すパック電池は、充電できる複数の電池1と、この電池1を収納しているプラスチック製のケース2と、ケース2に収納している電池1を並列と直列に接続しているリード板3と、リード板3を接続して各々の電池電圧を検出しながら電池1の充放電をコントロールする回路を実装する回路基板4と、この回路基板4を入れている基板ホルダ5とを備える。パック電池は、図1に示す電池組立10をさらに外ケース(図示せず)に入れて完成される。
【0022】
電池1は、一方の端部を凸部電極1aとして他の端部を平面電極1bとする円筒型電池である。図のパック電池は、複数の電池1を円筒型のリチウムイオン二次電池とする。ただし本発明のパック電池は、電池を充電できる全ての二次電池、たとえばニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池とすることもできる。また、電池は、円筒型電池に代わって角型電池も使用できる。
【0023】
図のパック電池は、上下に配置される電池1の向きを等しくして、上下に隣接する電池端部の極性を同じ極性とし、左右に配置される電池1の向きを逆向きとして、左右に隣接する電池端部の極性を異なる極性としている。すなわち、パック電池は、上下に隣接する電池端部では、凸部電極1a同士、あるいは平面電極1b同士が位置すると共に、左右に隣接する電池端部には、凸部電極1aと平面電極1bとが交互に位置するように配列している。
【0024】
図のパック電池は、10個の電池1をリード板3で直列に接続して、直列に接続している10個の電池1を上下2段に配置して、上下の電池1を互いに並列に接続している。上下に各々10個の電池1を平面状に並べて、全体で20個の電池1を、10個直列、2個並列に接続している。ただ、本発明のパック電池は電池の個数を20個に特定しない。電池は、20個以下とすることも、また20個以上とすることもできる。また、電池を1段に配置し、あるいは3段以上に配置することもできる。さらにまた、1段に配置する電池の個数を10以下または10以上とすることもできる。
【0025】
ケース2は、各々の電池1を独立して収納する複数の保持筒6をプラスチックで一体的に成形して設けている。保持筒6は、内部に電池1を挿入して定位置に配置する。複数の保持筒6は互いに隣接して平行に設けられて、ここに収納する全ての電池1を、端面が同一の面に位置するように、互いに平行な姿勢として収納する。保持筒6は、内形を電池1の外形にほぼ等しく、正確には外形よりもわずかに大きくしている。この保持筒6は、内部に電池1を挿通して定位置に配置する。図のパック電池は、円筒型電池を保持筒6に収納するので、保持筒6を円筒状としている。
【0026】
図のケース2の保持筒6は、隣接する電池1の境界に、電池間を区画して絶縁する境界壁7を設けている。この形状のケース2は、隣の電池1を境界壁7で絶縁するので、金属板からなる外装缶の表面をプラスチックフィルム等の絶縁材で被覆しない電池を保持筒6に入れて、外装缶を保持筒6で絶縁してケース2に収納できる。保持筒は、必ずしも電池の間を区画して絶縁する境界壁を設ける必要はない。境界壁のないケースは、外装缶の表面を絶縁材で被覆した電池を保持筒に収納する。
【0027】
ケース2は、保持筒6の両端に、凸部電極1aと平面電極1bを外部に表出させる開口部8を設けている。電池1を保持筒6に収納して、凸部電極1aと平面電極1bを外部に表出させてリード板3を連結するためである。図のケース2は、保持筒6の開口部8の周縁に沿ってストッパリブ9を一体的に成形して設けている。ストッパリブ9は、電池1の凸部電極1aと平面電極1bを開口部8の定位置に配置する。ストッパリブ9は、保持筒6の厚さよりも幅広に成形されて、開口部8の内側に突出している。ストッパリブ9の内側に突出する部分は、電池1の端部に当たって、凸部電極1aや平面電極1bの位置を特定する。電池1の平面電極1b側は、平面電極1bをストッパリブ9の突出部に当接して、保持筒6の定位置に配置される。凸部電極1a側は、電池端部の外周をストッパリブ9の突出部に当接させて、凸部電極1aを保持筒6の定位置に配置する。このストッパリブ9は、平面電極1bと凸部電極1aの両方をケース2の定位置に配置する。ただし、本発明のパック電池は、電池1の凸部電極1a側の突出位置を必ずしもストッパリブ9で特定する必要はない。たとえば、保持筒の開口部周縁に、凸部電極を貫通させる貫通孔を設けた蓋部(図示せず)を一体的に成形して設け、この蓋部を電池の端面であって、凸部電極の外側面を当接させて、電池の凸部電極の位置を特定することができるからである。また、電池の凸部電極側は、保持筒の内面に突出部(図示せず)を設け、この突出部で凸部電極側の外周縁を係止して、凸部電極をケースの定位置に配置することもできる。
【0028】
凸部電極1aと平面電極1b、正確には凸部電極1aの頂上面と平面電極1bは、同一面に配置されて、平面状のリード板3に接続される。パック電池は、ストッパリブ9に平面電極1bを当接させて、電池1の平面電極1b側の突出位置を特定し、電池1の凸部電極1a側の突出位置は、ストッパリブ9や保持筒の開口部に設けた蓋部や突出部で特定して、凸部電極1aと平面電極1bを同一面に配置する。同一面に位置する凸部電極1aと平面電極1bは、リード板3をスポット溶接やレーザー溶接等の方法で、溶接して接続する。
【0029】
ストッパリブ9は、電池1の突出位置を特定すると共に、リード板3を定位置に配置する。このため、ストッパリブ9は、隣接して配置されるリード板3の境界に位置し、かつ、リード板3の外周に沿う形状としている。いいかえると、リード板3はストッパリブ9の内側に沿う形状としている。ストッパリブ9は、電位差のある電池1の境界に沿って設けられる。図のケース2は、上段の電池1の境界から下段の電池1の境界まで伸び、さらに下段の電池1の境界からは両側の電池1の下縁に分岐して伸びる形状のストッパリブ9を設けている。
【0030】
図7と図8に示すケース2は、中央でふたつに分割されて、電池1の片方の挿入する第1のケース2Aと、電池1の他方を挿入する第2のケース2Bを備える。第1のケース2Aと第2のケース2Bはプラスチック製で、電池1の一部を挿入して定位置に配置する保持筒6の一部を一体的に成形して設けている。第1のケース2Aと第2のケース2Bが連結されて、保持筒6の内部に電池1が収納される。第1のケース2Aと第2のケース2Bは、開口部8にストッパリブ9を設けて、電池1が開口部8から出ないように保持筒6の内部に収納している。
【0031】
第1のケース2Aと第2のケース2Bは、互いに連結する保持筒6の開口端縁を同じ形状としている。図7と図8に示すケース2は、第1のケース2Aと第2のケース2Bを連結するために、第1のケース2Aに連結フック11を一体的に成形して設けており、第2のケース2Bには、連結フック11を連結する連結部12を設けている。連結フック11は、保持筒6の開口端縁から第2のケース2Bの表面に突出している。連結部12は、連結フック11を抜けないように連結する連結穴である。図に示す第2のケース2Bは、保持筒6の谷間にロッドを連結して、連結穴の連結部12を設けている。このケース2は、第1のケース2Aの連結フック11を第2のケース2Bの連結部12である穴に入れて、互いに連結される。連結フック11と連結穴は、第1のケース2Aと第2のケース2Bを複数のカ所で連結するために、複数設けている。図のケース2は、両端の2カ所と、上面と下面の各々2カ所ずつに連結フック11と連結部12を設けている。このケース2は、連結フック11を連結部12に入れて簡単に連結できる。
【0032】
図のパック電池は、図において上下に配置している電池1を並列に接続して、横に配置する電池1を直列に接続している。したがって、上下に配置される電池1は同じ電位となるが、左右に配置される電池1は電位差がある。電位差のある電池1を有効に絶縁するために、電位差のある電池1を収納する保持筒6の境界に沿って、一方のケース2には、図11に示すように保持筒連結縁13に連結溝14を、他方のケース2には、図12に示すように、保持筒連結縁13に連結溝14に案内される連結凸条15を設けている。このケース2は、連結溝14に連結凸条15を入れて、第1のケース2Aと第2のケース2Bを連結する。この構造のケース2は、連結溝14に連結凸条15を入れる構造で、電位差のある電池1をより効果的に絶縁して隣の保持筒6に収納できる。
【0033】
さらに、図に示すケース2は、保持筒6に貫通孔16を設けている。図のケース2は、第1のケース2Aの各々の保持筒6に貫通孔16を開口している。貫通孔16に位置するように保持筒6の表面には粘着テープ(図示せず)を接着している。粘着テープは、保持筒6の表面に接着され、さらに貫通孔16から保持筒6に収納している電池1の表面に接着されて、保持筒6の内部で電池1が回転するのを阻止できる。このパック電池は、電池1を保持筒6の内部に回転しないように収納するので、振動等の衝撃を受けるときに、電池1が回転してリード板3が破損し、あいるは外れることがない。このため、耐衝撃強度を向上できる。図のケース2は、第1のケース2Aにのみ貫通孔16を設けているが、第2のケースにも貫通孔を設けることができる。すなわち、ふたつのケース2を連結する構造にあっては、いずれか一方のケース2に貫通孔16を設け、あるいは両方のケースに貫通孔を設けることができる。
【0034】
リード板3は、ニッケル板、あるいは鉄の表面をニッケル等のメッキをした金属板である。リード板3は、ストッパリブ9でケース2の定位置に配置される。図のパック電池は、出力端子となるリード板3’以外は、4本の電池1に接続される。ひとつのリード板3には、ふたつの凸部電極1aとふたつの平面電極1bが接続されて、2本の電池1を並列に接続し、並列に接続している2本の電池1を直列に接続する。リード板3は、ケース2に一体的に成形して設けているストッパリブ9の間に配置される外形としている。図のリード板3は、接続する電池1を収納している保持筒6の開口縁に沿う形状としている。図のパック電池は、1枚のリード板3で4本の電池1を接続するので、リード板3は、上下左右に位置する4つの保持筒6の開口部8に沿う形状としている。4本の保持筒6の境界にストッパリブ9を設けている。リード板3は、ストッパリブ9の内側に沿う形状であり、かつストッパリブ9のない部分は保持筒6の開口縁に沿う形状としている。
【0035】
リード板3は、凸部電極1aと平面電極1bに溶接して接続する部分にU字スリット17を設けている。さらに、U字スリット17の内側に直線スリット18を設けている。このリード板3は、直線スリット18の両側を電池1の電極に確実にスポット溶接できる。直線スリット18とU字スリット17が、スポット溶接の無効電流を少なくするからである。
【0036】
さらに、図のリード板3は、回路基板4に接続する接続リード19を回路基板4の方向に突出して設けている。この回路構成のパック電池は、リード板3の接続リード19を回路基板4に接続して、回路基板4に実装する電圧検出回路で各々の電池電圧を検出しながら充放電をコントロールできる。電圧検出回路は、いずれかの電池電圧が最低電圧まで低下するとパック電池の放電電流を遮断する。また、いずれかの電池電圧が最高電圧まで上昇するとパック電池の充電電流を遮断する。このパック電池は、全ての電池1の過放電と過充電を防止しながら充放電できる。
【0037】
回路基板4は、リード板3を介して電池1に連結される。電池1はケース2の保持筒6に収納しているので、回路基板4はリード板3を介してケース2に連結される。図2と図3のパック電池は、回路基板4を基板ホルダ5に入れている。リード板3は、接続リード19を基板ホルダ5に貫通させて、回路基板4に接続される。
【0038】
図5と図9において、ケース2の両端部に接続しているリード板3’は、2本の電池1に接続している。このリード板3’は、回路基板4を介して、あるいは回路基板4を介することなく、パック電池の出力端子(図示せず)に接続される。充放電を電圧検出回路でコントロールするパック電池は、出力端子と電池1との間にFETやトランジスター等の半導体スイッチング素子を接続し、このスイッチング素子を電圧検出回路でオンオフに制御して、充放電をコントロールする。
【0039】
以上のパック電池は、以下のようにして組み立てられる。
(1) 第1のケース2Aと第2のケース2Bの保持筒6に電池1を入れて、図6に示すように、第1のケース2Aと第2のケース2Bを連結する。この状態で、電池1は保持筒6から出ないようにケース2に収納される。
(2) 第1のケース2Aの貫通孔16に粘着テープを巻き付けて、電池1をケース2に回転しないように連結する。
(3) ケース2の開口部8にリード板3を配置して、リード板3を保持筒6に入れている電池1の凸部電極1aと平面電極1bに溶接して接続する。ただし、リード板3は、接続リード19を回路基板4に接続する状態で電池1に溶接して接続することもできる。
(4) 電池1の上に基板ホルダ5に入れた回路基板4を配置し、リード板3の接続リード19を回路基板4に接続する。基板ホルダ5の内部に固定している回路基板4は、リード線20を介してリード板3の接続リード19の先端を接続している。図のパック電池は、回路基板4にリード線20を半田付けして連結して、リード線20をリード板3の接続リード19に半田付けして連結する。
この状態で、電池1とケース2と回路基板4と基板ホルダ5が互いに連結されて電池組立10となる。
(5) その後、図示しないが、電池組立10を外ケースに入れてパック電池とする。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】従来のパック電池の分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施例にかかるパック電池の電池組立の斜視図である。
【図3】図2に示す電池組立の分解斜視図である。
【図4】図2に示す電池組立の基板ホルダを取り除いた状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示すケースからリード板を取り外した状態を示す分解斜視図である。
【図6】図5に示すケースの斜視図である。
【図7】図6に示すケースの分解斜視図である。
【図8】図7に示すケースの背面斜視図である。
【図9】図4に示すケースの正面図である。
【図10】図9に示すケースのA−A線断面図である。
【図11】図7に示す第2のケースの要部拡大斜視図である。
【図12】図8に示す第1のケースの要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1…電池 1a…凸部電極 1b…平面電極
2…ケース 2A…第1のケース 2B…第2のケース
3…リード板 3’…リード板
4…回路基板
5…基板ホルダ
6…保持筒
7…境界壁
8…開口部
9…ストッパリブ
10…電池組立
11…連結フック
12…連結部
13…保持筒連結縁
14…連結溝
15…連結凸条
16…貫通孔
17…U字スリット
18…直線スリット
19…接続リード
20…リード線
31…電池
32…ケース
33…リード板
36…保持筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の端部を凸部電極(1a)として他の端部を平面電極(1b)とする複数の電池(1)が端面を同一の面に位置させる平行な姿勢でケース(2)に並べて収納され、ケース(2)に収納している電池(1)の凸部電極(1a)と平面電極(1b)には、リード板(3)を接続してリード板(3)で複数の電池(1)を連結しているパック電池であって、
ケース(2)はプラスチックを成形して製作されたもので、内部に収納している電池(1)を挿入して定位置に配置する複数の保持筒(6)を互いに隣接して設けており、
さらに、ケース(2)は、保持筒(6)の両端に、凸部電極(1a)と平面電極(1b)を外部に表出させる開口部(8)を設けており、
さらにまた、ケース(2)は、保持筒(6)の開口部(8)の周縁に沿って、電池(1)の平面電極(1b)の突出位置を特定すると共に、リード板(3)を定位置に配置するストッパリブ(9)を一体的に成形して設けており、
このストッパリブ(9)に平面電極(1b)を当接させて、電池(1)の平面電極(1b)側の突出位置を特定しており、電池(1)の凸部電極(1a)側の突出位置は保持筒(6)の開口部(8)の周縁又はストッパリブ(9)で特定して、電池(1)の凸部電極(1a)と平面電極(1b)を同一面に配置しており、
リード板(3)は、ストッパリブ(9)の内側に配置される外形であって、リード板(3)をストッパリブ(9)の内側に位置させてケース(2)の定位置に配置しており、このリード板(3)を電池(1)の凸部電極(1a)と平面電極(1b)に接続してなるパック電池。
【請求項2】
ストッパリブ(9)を電位差のある電池(1)間に配設している請求項1に記載されるパック電池。
【請求項3】
ケース(2)が、電池(1)の片方を挿入する第1のケース(2A)と、電池(1)の他方を挿入する第2のケース(2B)を備え、第1のケース(2A)と第2のケース(2B)はプラスチック製で、電池(1)の一部を挿入して定位置に配置する保持筒(6)の一部を一体的に成形して設けており、第1のケース(2A)と第2のケース(2B)を連結して、保持筒(6)の内部に電池(1)を収納している請求項1に記載されるパック電池。
【請求項4】
第1のケース(2A)と第2のケース(2B)の連結部であって、電位差のある電池(1)を収納する保持筒(6)の境界に沿って一方のケース(2)の保持筒連結縁(13)に連結溝(14)を、他方のケース(2)の保持筒連結縁(13)には連結溝(14)に案内される連結凸条(15)を設けており、連結溝(14)に連結凸条(15)を入れて、第1のケース(2A)と第2のケース(2B)を連結している請求項3に記載されるパック電池。
【請求項5】
複数の電池(1)を2段に積層して配置すると共に、上段に積層する電池(1)を下段の電池(1)の谷間に配設している請求項1に記載されるパック電池。
【請求項6】
多段に積層して配置している電池(1)の上面に回路基板(4)を配設しており、この回路基板(4)にリード板(3)を接続している請求項1に記載されるパック電池。
【請求項7】
ケース(2)が保持筒(6)に貫通孔(16)を設けて、この貫通孔(16)に位置するように保持筒(6)の表面に粘着テープを接着しており、粘着テープを保持筒(6)の表面と電池(1)の表面に接着している請求項1に記載されるパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−100148(P2006−100148A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−285562(P2004−285562)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】