説明

パネルの連結構造

【課題】三次元方向の相対変位が規制されるように一対のパネルを一動作で連結できるようにする。
【解決手段】第2連結部24が第1連結部22の先端側へずれた位置関係で、本体トリム(第1パネル)14および上部トリム(第2パネル)16が分割線12で接するとともに表面が略面一になるように突き合わせた状態で、本体トリム14が上部トリム16に対して第1連結部22の延び出し方向へ相対移動させられ、第1鉤爪28が第2連結部24を乗り越えてその側面に係止されることにより、三次元方向の相対変位が規制されるように連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパネルの連結構造に係り、特に、三次元方向の相対変位が規制されるように一対のパネルを一動作で連結できる連結構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用のドアトリム等のパネルの一種に、パネルを複数に分割するとともに係止爪等の連結部を介して連結することが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−74271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来のパネルの連結構造は、パネルを二次元的乃至は三次元的に姿勢変化させながら連結する必要があるため、作業が面倒で組付性が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、三次元方向の相対変位が規制されるように一対のパネルを一動作で連結できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、第1発明は、表面が略面一になるように隣接して配設される第1パネルおよび第2パネルを、三次元方向の相対変位が規制されるように一動作で連結できるパネルの連結構造であって、(a) 前記第1パネルの裏面側に、その裏面から所定寸法だけ離間してその裏面と平行で且つ前記第2パネルとの分割線と平行な方向、或いはその分割線と平行な方向から先端側程その分割線に接近するように傾斜した方向へ、延び出すように片持ち状に設けられるとともに、先端にその裏面に接近する側へ突き出す第1鉤爪が設けられた第1連結部と、(b) 前記第2パネルの裏面側に、前記第1パネルの裏面と平行に前記分割線を越えてその第1パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられ、前記第1連結部とその第1パネルの裏面との間を挿通させられるとともに、先端にその第1パネルの裏面から離間する側へ突き出して前記第1連結部に係止される第2鉤爪が設けられた第2連結部と、を有し、(c) 前記第1パネルが前記第2パネルに対して前記第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより、前記第1鉤爪が前記第2連結部を乗り越えるようにその第1連結部が弾性変形させられ、その第1鉤爪がその第2連結部に係止されることにより前記分割線に沿う方向の相対変位が規制される一方、(d) 前記第2鉤爪と前記第1連結部との係止により前記分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、前記第1パネルおよび前記第2パネルがその分割線に沿って接触させられることにより、その分割線を境とする接近方向の相対変位が規制され、(e) 前記第2連結部が前記第1パネルの裏面と前記第1連結部との間で位置決めされることにより、その第1パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制されることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明のパネルの連結構造において、前記第1鉤爪には、前記第1連結部の先端側へ向かうに従って前記第1パネルの裏面から離間する傾斜面が設けられており、その傾斜面が前記第2連結部に係合させられることにより前記第1連結部が弾性変形させられてその第1鉤爪がその第2連結部を乗り越えることを特徴とする。
【0008】
第3発明は、第1発明または第2発明のパネルの連結構造において、前記第1パネルは前記第2パネルの下方位置に配置されるもので、前記第2鉤爪は上向きの係止面を備えており、前記第1連結部がその係止面上に載置されることにより前記第1パネルの荷重がその第2鉤爪によって受け止められることを特徴とする。
【0009】
第4発明は、表面が略面一になるように隣接して配設される第1パネルおよび第2パネルを、三次元方向の相対変位が規制されるように一動作で連結できるパネルの連結構造であって、(a) 前記第1パネルの裏面側に、前記第2パネルの裏面から所定寸法だけ離間してその第2パネルの裏面と平行にその第2パネルとの分割線を越えてその第2パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられるとともに、先端にその第2パネルの裏面に接近する側へ突き出す鉤爪が設けられた第1連結部と、(b) その第1連結部が前記第1パネルの裏面から立ち上がる中間位置にその第1連結部と平行に前記分割線を越えて前記第2パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられた中間突出部と、(c) 前記第2パネルの裏面側に、その裏面と平行で且つ前記第1連結部と交差する方向に設けられ、その第1連結部と前記中間突出部との間を挿通させられるとともに、その第1連結部と交差する挿通方向の両端部がそれぞれその第1連結部および中間突出部の少なくとも一方の側面と係合させられる第2連結部と、を有し、(d) 前記第1パネルが前記第2パネルに対して前記第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより、前記鉤爪が前記第2連結部を乗り越えるようにその第1連結部が弾性変形させられ、その鉤爪がその第2連結部に係止されることにより前記分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、前記第1パネルおよび前記第2パネルがその分割線に沿って接触させられることにより、その分割線を境とする接近方向の相対変位が規制される一方、(e) 前記第2連結部の前記挿通方向における両端部がそれぞれ前記第1連結部または前記中間突出部の側面と係合させられることにより、前記分割線に沿う方向の相対変位が規制され、(f) 前記第2連結部が前記第1連結部と前記中間突出部との間で位置決めされ、或いはその中間突出部がその第2連結部と前記第2パネルの裏面との間で位置決めされることにより、その第2パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制されることを特徴とする。
【0010】
第5発明は、第4発明のパネルの連結構造において、前記第2連結部は、前記挿通方向の両端部がそれぞれ前記第2パネルの裏面に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
第1発明のパネルの連結構造においては、第1パネルの裏面側に、第2パネルとの分割線と平行な方向或いはその分割線と平行な方向から先端側程その分割線に接近するように傾斜した方向へ延び出すように片持ち状に第1連結部が設けられる一方、第2パネルの裏面側には、分割線を越えて第1パネル側へ延び出して上記第1連結部と第1パネルの裏面との間を挿通させられる第2連結部が片持ち状に設けられ、且つ、それ等の第1連結部および第2連結部の先端にはそれぞれ第1鉤爪および第2鉤爪が設けられている。そして、第1パネルが第2パネルに対して第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられ、第1鉤爪が第2連結部を乗り越えてその第2連結部に係止されることにより、分割線に沿う方向の相対変位が規制される。また、第2鉤爪と第1連結部との係止により分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、第1パネルおよび第2パネルがその分割線に沿って接触させられることにより、その分割線を境とする接近方向の相対変位が規制され、更に、第2連結部が第1パネルの裏面と第1連結部との間で位置決めされることにより、その第1パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される。すなわち、第1パネルを第2パネルに対して第1連結部の延び出し方向へ相対移動させる一動作だけで、それ等の第1パネルおよび第2パネルを三次元方向の相対変位が規制されるように連結できるのであり、組付作業性が向上するとともに組付作業の自動化が容易になる。
【0012】
第2発明では、第1鉤爪に設けられた傾斜面が第2連結部に係合させられることにより、第1連結部を弾性変形させつつ第1鉤爪が第2連結部を乗り越えるようになっているため、第1パネルを第2パネルに対して第1連結部の延び出し方向へ相対移動させる際に第1鉤爪が確実に第2連結部を乗り越えることができるようになり、組付作業性が一層向上する。
【0013】
第3発明は、第1パネルが第2パネルの下方位置に配置されるもので、第2鉤爪が上向きの係止面を備えていて第1連結部がその係止面上に載置されることにより、第1パネルの荷重がその第2鉤爪によって受け止められるため、第1パネルの支持構造を別に設ける場合に比較して構造が簡単になる。
【0014】
第4発明のパネルの連結構造においては、第1パネルの裏面側に、第2パネルとの分割線を越えてその第2パネル側へ延び出す第1連結部が片持ち状に設けられるとともに、その第1連結部が第1パネルの裏面から立ち上がる中間位置には第1連結部と平行に中間突出部が設けられている一方、第2パネルの裏面側には、上記第1連結部と中間突出部との間を挿通させられるとともに、その挿通方向の両端部がそれぞれその第1連結部および中間突出部の少なくとも一方の側面と係合させられる第2連結部が設けられており、且つ、第1連結部の先端には鉤爪が設けられている。そして、第1パネルが第2パネルに対して第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられ、鉤爪が第2連結部を乗り越えてその第2連結部に係止されることにより、分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、第1パネルおよび第2パネルがその分割線に沿って接触させられることにより、その分割線を境とする接近方向の相対変位が規制される。また、第2連結部の挿通方向における両端部がそれぞれ第1連結部または中間突出部の側面と係合させられることにより、分割線に沿う方向の相対変位が規制され、第2連結部が第1連結部と中間突出部との間で位置決めされ、或いはその中間突出部が第2連結部と第2パネルの裏面との間で位置決めされることにより、その第2パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される。すなわち、第1パネルを第2パネルに対して第1連結部の延び出し方向へ相対移動させる一動作だけで、それ等の第1パネルおよび第2パネルを三次元方向の相対変位が規制されるように連結できるのであり、組付作業性が向上するとともに組付作業の自動化が容易になる。
【0015】
第5発明では、第1パネルから延び出す第1連結部および中間突出部と係合させられる第2連結部が、挿通方向の両端部において第2パネルの裏面に接続されているため、その第2連結部の強度が高くなり、第1連結部および中間突出部との係合による連結強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のパネルの連結構造が適用された車両用ドアトリムの一例を示す図で、(a) は上部トリムが本体トリムに連結された状態の概略斜視図、(b) は上部トリムを本体トリムに組み付ける前の状態の概略斜視図である。
【図2】図1の本体トリムと上部トリムとの連結構造を具体的に説明する図で、(a) は図1の(a) におけるA部の拡大図、(b) は(a) における IIB−IIB 矢視部分の拡大断面図、(c) は(b) における IIC矢視方向から見た斜視図、(d) は(b) および(c) における IID−IID 矢視部分の断面図である。
【図3】図1の本体トリムと上部トリムとを連結する際の初期状態を示す図で、図2(c) に対応する斜視図である。
【図4】本発明の他の実施例を示す図で、(a) は図1の(a) におけるA部の拡大図、(b) は(a) における IVB−IVB 矢視部分の拡大断面図、(c) は(b) における IVC矢視方向から見た斜視図、(d) は(b) および(c) における IVD−IVD 矢視部分の断面図である。
【図5】図4の本体トリムと上部トリムとを連結する際の初期状態を示す図で、図4(c) に対応する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、車両用のドアトリムやインストルメントパネル等の内装パネルに好適に適用されるが、車両用以外のパネルにも適用され得る。パネルは、少なくとも第1パネルと第2パネルとに分割して構成されるが、3分割以上に分割されても良い。このパネルは、少なくとも第1連結部が所定の弾性変形可能なように合成樹脂材料にて構成することが望ましく、例えば第1連結部や中間突出部は第1パネルの裏面に一体に設けられ、第2連結部は第2パネルの裏面に一体に設けられる。金属等の他の材料製のパネルに適用することもできるし、第1連結部や第2連結部、中間突出部を第1パネルや第2パネルと別体に構成して接着剤や溶接等の固設手段により一体的に固設しても良い。
【0018】
第1発明の第1連結部は、第2パネルとの分割線と平行な方向或いはその分割線と平行な方向から先端側程その分割線に接近するように傾斜した方向へ延び出すように設けられ、その第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより連結されるため、分割線が略直線或いは滑らかな曲線の場合に好適に適用される。第4発明の第1連結部は、第2パネルとの分割線を越えて第2パネル側へ突き出すように設けられ、その第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより連結されるため、分割線の自由度は大きく、必ずしも直線や滑らかな曲線である必要はない。この第4発明の第1連結部は、分割線が略直線或いは滑らかな曲線の場合、その分割線に対して略直角に交差する方向へ延び出すように設けることが望ましいが、分割線の形状によっては直角方向から傾斜していても差し支えない。
【0019】
第1発明および第4発明の第2連結部は、第1パネルや第2パネルの裏面に対して垂直方向から見た場合に、第1連結部に対して略直角に交差するように設けることが望ましいが、少なくとも第1連結部と交差するように設けられれば良い。第1発明の第2連結部は、第1パネルの裏面と第1連結部との間で位置決めされるが、必要に応じて第1パネルの裏面に補強リブを設け、その補強リブと第1連結部との間で第2連結部を位置決めすることにより、連結強度を向上させることができる。第4発明においても、例えば第2パネルの裏面に補強リブを設け、その補強リブと第2連結部との間で中間突出部を位置決めするようにしても良い。
【0020】
第2発明では、第1鉤爪に傾斜面が設けられて第2連結部を容易に乗り越えることができるようになっているが、その第1鉤爪と係合させられる第2連結部に傾斜面を設けるようにしても良い。第4発明の関しても、鉤爪が第2連結部を容易に乗り越えることができるように、その鉤爪や第2連結部に傾斜面を設けることが望ましい。
【0021】
第5発明では、第2連結部の両端部が第2パネルの裏面に接続されているが、第2連結部の一端部だけを第2パネルに接続して片持ち状に設けるとともに、先端に第2パネルの裏面に接近する側或いは裏面から離間する側へ突き出す鉤爪を設けて中間突出部や第1連結部の側面に係止されるようにしても良い。第5発明のように両端部が第2パネルの裏面に接続されている場合でも、更に、その両端部に第2パネルの裏面から離間する側へ突き出す鉤爪を設けて第1連結部の側面に係止されるようにすることもできるなど、種々の態様が可能である。
【0022】
第1パネルおよび第2パネルは、1箇所だけで連結されるものでも良いが、分割線に沿って定められた複数箇所で連結されるようになっていても良い。その場合に、複数箇所の連結部の全部に本発明の連結構造を適用することもできるが、複数箇所の連結部の一部に本発明を適用するだけでも良い。
【実施例1】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された車両用ドアトリム10を説明する図で、この車両用ドアトリム10は、車両の前後方向に設定された滑らかに湾曲した分割線12によって上下に2分割された本体トリム14および上部トリム16の2部材で構成されており、(a) は上部トリム16が本体トリム14に連結された状態の概略斜視図、(b) は上部トリム16が本体トリム14に組み付けられる前の状態の概略斜視図である。図2は、本体トリム14と上部トリム16との連結構造を具体的に説明する図で、(a) は図1の(a) におけるA部の拡大図、(b) は(a) における IIB−IIB 矢視部分の拡大断面図、(c) は(b) における IIC矢視方向から見た斜視図、(d) は(b) および(c) における IID−IID 矢視部分の断面図である。本実施例では、車両用ドアトリム10がパネルで、本体トリム14および上部トリム16は、表面が略面一になるように隣接して配設される第1パネルおよび第2パネルに相当する。なお、図1は車両用ドアトリム10の表面側すなわち意匠面側から見た図である。
【0024】
本体トリム14および上部トリム16は、何れも合成樹脂材料にて構成されているとともに、上部トリム16は、基材18の表面に表皮材20が一体的に固着されたものである。そして、これ等の本体トリム14および上部トリム16は、分割線12に沿って定められた複数箇所の連結部で連結されるが、分割線12の一端部である図1の(a) のA部では本発明の連結構造に従って連結されるようになっている。すなわち、図2に示すように、本体トリム14の裏面側に一体に設けられた第1連結部22、および上部トリム16の裏面側に一体に設けられた第2連結部24によって本実施例の連結構造26が構成されている。
【0025】
上記第1連結部22は、本体トリム14の裏面から所定寸法だけ離間してその裏面と平行で且つ分割線12と略平行な水平方向へ延び出すように片持ち状に設けられており、先端には本体トリム14の裏面側(裏面に接近する側)へ突き出して第2連結部24の側面に係止される第1鉤爪28が設けられている。第1鉤爪28には、第1連結部22の先端側へ向かうに従って本体トリム14の裏面から離間する傾斜面28sが設けられている。第2連結部24は、本体トリム14の裏面と平行に分割線12を越えてその本体トリム14側へ延び出すように片持ち状に設けられており、上記第1連結部22と本体トリム14の裏面との間を挿通させられるとともに、先端には本体トリム14の裏面と反対側(裏面から離間する側)へ突き出して第1連結部22の側面に係止される第2鉤爪30が設けられている。この第2連結部24は、本実施例では鉛直方向の略真下に向かって延び出しており、本体トリム14の裏面に対して垂直方向から見た場合に、第1連結部22に対して略直角に交差させられているとともに、第2鉤爪30は略水平な上向きの係止面30fを備えており、その係止面30f上に第1連結部22が載置されることにより本体トリム14の荷重が第2鉤爪30によって受け止められるようになっている。本体トリム14の裏面には、第1連結部22が設けられた部分に第1連結部22と平行に台形断面の補強リブ32が設けられており、第2連結部24は補強リブ32と第1連結部22との間で挟まれて位置決めされるようになっている。
【0026】
そして、このような車両用ドアトリム10の連結構造26においては、図3に示すように第2連結部24が第1連結部22の先端側へずれた位置関係で、本体トリム14および上部トリム16が分割線12で接するとともに表面が略面一になるように突き合わせた状態で、白抜き矢印で示すように本体トリム14が上部トリム16に対して第1連結部22の延び出し方向へ相対移動させられることにより、三次元方向の相対変位が規制されるように連結される。すなわち、本体トリム14が上部トリム16に対して第1連結部22の延び出し方向へ相対移動させられると、第1鉤爪28の傾斜面28fが第2連結部24に係合させられ、その傾斜面28fの作用で第1鉤爪28が第2連結部24に乗り上げるように第1連結部22が弾性変形させられ、第1鉤爪28が第2連結部24を乗り越えることにより、図2の(c) 、(d) に示すように第1連結部22が第2連結部24を跨いで第1鉤爪28が第2連結部24の側面に係止される。これにより、第2連結部24は第1連結部22の基端側の立上り部22t(図2(d) 参照)と第1鉤爪28との間で位置決めされ、本体トリム14および上部トリム16の分割線12に沿う方向すなわち第1連結部24の延び出し方向の相対変位が規制される。
【0027】
また、第2連結部24の第2鉤爪30と第1連結部22との係止により分割線12を境とする離間方向の相対変位が規制され、本体トリム14および上部トリム16が分割線12に沿って接触させられることにより、分割線12を境とする接近方向の相対変位が規制される。更に、第2連結部24が本体トリム14の裏面に設けられた補強リブ32と第1連結部22との間で位置決めされることにより、その本体トリム14の裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される。
【0028】
このように本実施例の車両用ドアトリム10の連結構造26によれば、本体トリム14を上部トリム16に対して第1連結部22の延び出し方向へ相対移動させる一動作だけで、それ等の本体トリム14および上部トリム16を三次元方向の相対変位が規制されるように連結できるため、組付作業性が向上するとともに組付作業の自動化が容易になる。
【0029】
また、本実施例では、第1鉤爪28に設けられた傾斜面28sが第2連結部24に係合させられることにより、第1連結部22を弾性変形させつつ第1鉤爪28が第2連結部24を乗り越えるようになっているため、本体トリム14を上部トリム16に対して第1連結部22の延び出し方向へ相対移動させる際に第1鉤爪28が確実に第2連結部24を乗り越えることができるようになり、組付作業性が一層向上する。
【0030】
また、本実施例では、本体トリム14が上部トリム16の下方位置に配置されるが、第2鉤爪30が上向きの係止面30fを備えていて第1連結部22がその係止面30f上に載置されることにより、本体トリム14の荷重がその第2鉤爪30によって受け止められるようになっているため、本体トリム14の支持構造を別に設ける場合に比較して構造が簡単になる。
【実施例2】
【0031】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において前記実施例と実質的に共通する部分には同一の符号を付して詳しい説明を省略する。
【0032】
図4および図5は、それぞれ前記図2および図3に対応する図で、前記車両用ドアトリム10の本体トリム14と上部トリム16とを連結する連結構造の別の例を説明する図である。図4は、本実施例の連結構造40を具体的に説明する図で、(a) は図1の(a) におけるA部の拡大図、(b) は(a) における IVB−IVB 矢視部分の拡大断面図、(c) は(b) における IVC矢視方向から見た斜視図、(d) は(b) および(c) における IVD−IVD 矢視部分の断面図である。また、図5は、本体トリム14と上部トリム16とを連結する際の初期状態を示す図で、図4(c) に対応する斜視図である。
【0033】
連結構造40は、本体トリム14の裏面側に一体に設けられた第1連結部42、および上部トリム16の裏面側に一体に設けられた第2連結部44を備えて構成されている。第1連結部42は、上部トリム16の裏面から所定寸法だけ離間してその上部トリム16の裏面と平行に分割線12を越えて上部トリム16側へ延び出すように片持ち状に設けられており、先端には上部トリム16の裏面に接近する側へ突き出す鉤爪46が設けられている。本実施例では、略水平な分割線12から略垂直に上方へ延び出すように第1連結部42が設けられている。鉤爪46には、第1連結部42の先端側へ向かうに従って上部トリム16の裏面から離間する傾斜面46sが設けられている。また、上記第1連結部42が本体トリム14の裏面から立ち上がる立上り部42tの中間位置には、第1連結部42と平行に分割線12を越えて上部トリム16側へ延び出す中間突出部48が片持ち状に設けられている。この中間突出部48の先端の外周縁には面取が施されている。
【0034】
第2連結部44は、上部トリム16の裏面と平行で且つ第1連結部42と直角に交差する方向すなわち略水平方向に設けられ、第1連結部42と中間突出部48との間を挿通させられている。この第2連結部44は、中間突出部48を跨ぐように両端部がそれぞれ上部トリム16の裏面に接近する側へ曲げられてその裏面に接続されており、中間突出部48は、その両側の側面がそれぞれ第2連結部44と係合させられて位置決めされる。
【0035】
そして、このような連結構造40においては、図5に示すように第2連結部44が第1連結部42の先端側すなわち上方へずれた位置関係で、本体トリム14および上部トリム16の表面が略面一になるようにそれ等を配置した状態で、白抜き矢印で示すように本体トリム14が上部トリム16に対して第1連結部42の延び出し方向、すなわち分割線12を挟んで互いに接近する方向へ相対移動させられることにより、三次元方向の相対変位が規制されるように連結される。すなわち、本体トリム14が上部トリム16に対して第1連結部42の延び出し方向へ相対移動させられると、鉤爪46の傾斜面46sが第2連結部44に係合させられ、その傾斜面46sの作用で鉤爪46が第2連結部44に乗り上げるように第1連結部42が弾性変形させられ、鉤爪46が第2連結部44を乗り越えることにより、図4の(b) 、(c) に示すように第1連結部42が第2連結部44を跨いで鉤爪46が第2連結部44の側面に係止される。これにより、本体トリム14および上部トリム16の分割線12を境とする離間方向の相対変位が規制される。分割線12を境とする接近方向の相対変位は、本体トリム14および上部トリム16が分割線12を挟んで当接させられることによって規制されるが、同時に第1連結部42の立上り部42tと第2連結部44とが係合させられるようにしても良い。
【0036】
また、中間突出部48の両側の側面がそれぞれ第2連結部44と係合させられて位置決めされることにより、分割線12に沿う方向の相対変位が規制され、第2連結部44が第1連結部42と中間突出部48との間で挟まれて位置決めされるとともに、中間突出部48が第2連結部44と上部トリム16の裏面との間で挟まれて位置決めされることにより、上部トリム16の裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される。
【0037】
このように本実施例の連結構造40によれば、本体トリム14を上部トリム16に対して第1連結部42の延び出し方向へ相対移動させる一動作だけで、それ等の本体トリム14および上部トリム16を三次元方向の相対変位が規制されるように連結できるため、組付作業性が向上するとともに組付作業の自動化が容易になる。
【0038】
また、本実施例では、鉤爪46に設けられた傾斜面46sが第2連結部44に係合させられることにより、第1連結部42を弾性変形させつつ鉤爪46が第2連結部44を乗り越えるようになっているため、本体トリム14を上部トリム16に対して第1連結部42の延び出し方向へ相対移動させる際に鉤爪46が確実に第2連結部44を乗り越えることができるようになり、組付作業性が一層向上する。
【0039】
また、本実施例では、本体トリム14から延び出す第1連結部42および中間突出部48の双方と係合させられる第2連結部44が、両端部において上部トリム16の裏面に接続されているため、その第2連結部44の強度が高くなり、第1連結部42および中間突出部48との係合による連結強度が向上する。
【0040】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これ等はあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0041】
10:車両用ドアトリム(パネル) 12:分割線 14:本体トリム(第1パネル) 16:上部トリム(第2パネル) 22、42:第1連結部 24、44:第2連結部 26、40:連結構造 28:第1鉤爪 28s:傾斜面 30:第2鉤爪 30f:係止面 46:鉤爪 48:中間突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が略面一になるように隣接して配設される第1パネルおよび第2パネルを、三次元方向の相対変位が規制されるように一動作で連結できるパネルの連結構造であって、
前記第1パネルの裏面側に、該裏面から所定寸法だけ離間して該裏面と平行で且つ前記第2パネルとの分割線と平行な方向、或いは該分割線と平行な方向から先端側程該分割線に接近するように傾斜した方向へ、延び出すように片持ち状に設けられるとともに、先端に該裏面に接近する側へ突き出す第1鉤爪が設けられた第1連結部と、
前記第2パネルの裏面側に、前記第1パネルの裏面と平行に前記分割線を越えて該第1パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられ、前記第1連結部と該第1パネルの裏面との間を挿通させられるとともに、先端に該第1パネルの裏面から離間する側へ突き出して前記第1連結部に係止される第2鉤爪が設けられた第2連結部と、
を有し、前記第1パネルが前記第2パネルに対して前記第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより、前記第1鉤爪が前記第2連結部を乗り越えるように該第1連結部が弾性変形させられ、該第1鉤爪が該第2連結部に係止されることにより前記分割線に沿う方向の相対変位が規制される一方、
前記第2鉤爪と前記第1連結部との係止により前記分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、前記第1パネルおよび前記第2パネルが該分割線に沿って接触させられることにより、該分割線を境とする接近方向の相対変位が規制され、
前記第2連結部が前記第1パネルの裏面と前記第1連結部との間で位置決めされることにより、該第1パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される
ことを特徴とするパネルの連結構造。
【請求項2】
前記第1鉤爪には、前記第1連結部の先端側へ向かうに従って前記第1パネルの裏面から離間する傾斜面が設けられており、該傾斜面が前記第2連結部に係合させられることにより前記第1連結部が弾性変形させられて該第1鉤爪が該第2連結部を乗り越える
ことを特徴とする請求項1に記載のパネルの連結構造。
【請求項3】
前記第1パネルは前記第2パネルの下方位置に配置されるもので、前記第2鉤爪は上向きの係止面を備えており、前記第1連結部が該係止面上に載置されることにより前記第1パネルの荷重が該第2鉤爪によって受け止められる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパネルの連結構造。
【請求項4】
表面が略面一になるように隣接して配設される第1パネルおよび第2パネルを、三次元方向の相対変位が規制されるように一動作で連結できるパネルの連結構造であって、
前記第1パネルの裏面側に、前記第2パネルの裏面から所定寸法だけ離間して該第2パネルの裏面と平行に該第2パネルとの分割線を越えて該第2パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられるとともに、先端に該第2パネルの裏面に接近する側へ突き出す鉤爪が設けられた第1連結部と、
該第1連結部が前記第1パネルの裏面から立ち上がる中間位置に該第1連結部と平行に前記分割線を越えて前記第2パネル側へ延び出すように片持ち状に設けられた中間突出部と、
前記第2パネルの裏面側に、該裏面と平行で且つ前記第1連結部と交差する方向に設けられ、該第1連結部と前記中間突出部との間を挿通させられるとともに、該第1連結部と交差する挿通方向の両端部がそれぞれ該第1連結部および該中間突出部の少なくとも一方の側面と係合させられる第2連結部と、
を有し、前記第1パネルが前記第2パネルに対して前記第1連結部の延び出し方向へ相対移動させられることにより、前記鉤爪が前記第2連結部を乗り越えるように該第1連結部が弾性変形させられ、該鉤爪が該第2連結部に係止されることにより前記分割線を境とする離間方向の相対変位が規制されるとともに、前記第1パネルおよび前記第2パネルが該分割線に沿って接触させられることにより、該分割線を境とする接近方向の相対変位が規制される一方、
前記第2連結部の前記挿通方向における両端部がそれぞれ前記第1連結部または前記中間突出部の側面と係合させられることにより、前記分割線に沿う方向の相対変位が規制され、
前記第2連結部が前記第1連結部と前記中間突出部との間で位置決めされ、或いは該中間突出部が該第2連結部と前記第2パネルの裏面との間で位置決めされることにより、該第2パネルの裏面に対して垂直方向の相対変位が規制される
ことを特徴とするパネルの連結構造。
【請求項5】
前記第2連結部は、前記挿通方向の両端部がそれぞれ前記第2パネルの裏面に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載のパネルの連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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