説明

パネル固定構造、及び電子機器

【課題】筐体の表示部開口の周囲に貼り付ける透明パネルを大型化しても、パネルの浮きやズレの問題を解消する。
【解決手段】筐体2に形成される表示部開口20の周囲に、透明パネル6の周囲を貼り付けにより固定するパネル固定構造であって、透明パネル6の端部に貫通孔61を形成し、その透明パネル6端部の貫通孔61を貫通して筐体2内部に係合可能な係合部74を有する固定部材7を備え、当該固定部材7の係合部74を、透明パネル6端部の貫通孔61を貫通して筐体2内部に係合する。具体的には、係合部74は、筐体2内部に係合する係合爪である。その係合爪74は、固定部材7の両端部において互いに反対向きに形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に形成される表示部開口の周囲に透明パネルの周囲を貼り付けるパネル固定構造と、その固定構造によるパネルを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話において、その筐体には一般に、液晶表示装置の画面前方箇所に形成された開口の周囲に透明パネルの周囲が両面接着テープにより接着されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11−289169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、最近の大画面化に伴い、透明パネルを大型化すると、両面接着テープによる筐体への固定だけでは、パネルの浮きやズレの問題が考えられる。
【0004】
本発明の課題は、筐体の表示部開口の周囲に貼り付ける透明パネルを大型化しても、パネルの浮きやズレの問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、筐体に形成される表示部開口の周囲に、透明パネルの周囲を貼り付けにより固定するパネル固定構造であって、前記透明パネルの端部に貫通孔を形成し、前記透明パネル端部の前記貫通孔を貫通して前記筐体内部に係合可能な係合部を有する固定部材を備え、当該固定部材の前記係合部を、前記透明パネル端部の前記貫通孔を貫通して前記筐体内部に係合したことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のパネル固定構造であって、前記係合部は、前記筐体内部に係合する係合爪であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のパネル固定構造であって、前記係合爪は、前記固定部材の両端部において互いに反対向きに形成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル固定構造であって、前記貫通孔は、前記透明パネルの長手方向一端部で短手方向に沿ってスリット状に形成され、前記固定部材は、前記スリット状貫通孔を塞ぐ板状に形成されていて、当該板状固定部材には、音響部材用の小開口が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のパネル固定構造であって、前記音響部材用の小開口は、受話口とスピーカ放音口であることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のパネル固定構造による透明パネルを備える電子機器を特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、筐体の表示部開口の周囲に貼り付ける透明パネルを大型化しても、パネルの浮きやズレの問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
図1は本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成として携帯電話を示すもので、図1(a)は携帯電話を開いた状態を示し、図1(b)は閉じた状態を示しており、1は第1の筐体、2は第2の筐体、3はヒンジ部、4は操作部、5は表示部、6は透明パネル、7は固定ピースである。
【0013】
図示のように、第1の筐体1と第2の筐体2はヒンジ部3を介して折り畳み可能(開閉可能)に結合されており、第1の筐体1に操作部4が設けられて、第2の筐体2に表示部5が設けられている。表示部5は透明パネル6で覆われており、この透明パネル6のヒンジ部3と反対側の端部側に沿って固定ピース7が組み付けられている。
【0014】
図2は図1の表示部5を有する第2の筐体2とその表示部5側の透明パネル6とその固定ピース7との関係を分解して示すもので、第2の筐体2の一面には、大画面用の表示部開口20が形成されていて、この表示部開口20の周囲には両面接着テープ8が貼り付けられている。
【0015】
透明パネル6は、大画面に対応して第2の筐体2のほぼ全面に設けられる長方形状のもので、この透明パネル6のヒンジ部3と反対側の端部側には、短辺方向に沿って細長いスリット状貫通孔61が形成されている。このスリット状貫通孔61の周囲には、図5に示すように、透明パネル6の上面より僅かに低い段差部62が形成されている。
【0016】
固定ピース7は、図3に拡大して示すように、樹脂製で細長い薄板状のもので、音響部材用の小開口、すなわち、受話口71と2個並んだスピーカ放音口72を有して、両端部には下方への突出片73を一体に備えている。この両端部の突出片73の下端には、互いに反対向きに係合爪74がそれぞれ形成されている。
【0017】
両面接着テープ8は、図4に示すように、第2の筐体2の表示部開口20の周囲において、一端側に並べて配置されるレシーバ21及びスピーカ22と、その外側に形成される係合穴23を除くとともに、他端側のヒンジ部取付部25を除いて貼り付けられている。
【0018】
以上において、先ず、図2に示すように、第2の筐体2の表示部開口20の周囲に両面接着テープ8で透明パネル6の周囲を接着する。これにより、図5に示すように、透明パネル6のスリット状貫通孔61内にレシーバ21、スピーカ22、及びその外側の係合穴23が位置する。
【0019】
次に、図5に示すように、透明パネル6のスリット状貫通孔61に固定ピース7を組み付ける。すなわち、スリット状貫通孔61内の両端に位置する係合穴23に、固定ピース7端部の突出片73及び係合爪74をそれぞれ挿入する。これにより、図7に示すように、係合穴23内の係合片24の下に係合爪74が係合する。この係合爪74と係合片24の係合は、固定ピース7の両端部において互いに反対向きとなっていることから、安定した係合状態が得られる。
【0020】
以上による組み付け状態において、スリット状貫通孔61の周囲の段差部62に薄板状の固定ピース7が載って透明パネル6の上面とほぼ面一となり、図8に示すように、レシーバ21の上に受話口71が位置して、スピーカ22の上に2個並んだスピーカ放音口72が位置している。
【0021】
以上、実施形態の携帯電話によれば、第2の筐体2の表示部開口20の周囲に両面接着テープ8で貼り付けて固定する透明パネル6の端部に形成したスリット状貫通孔61に、細長い薄板状の固定ピース7の突出片73及び係合爪74を貫通して第2の筐体2の係合穴23内の係合片24に係合したので、大型化した透明パネル6であっても、そのパネル端部の浮きやズレの問題を固定ピース7の係合による固定によって解消することができる。
【0022】
しかも、音響部材用の小開口、すなわち、受話口71とスピーカ放音口72を有する固定ピース7により透明パネル6端部を係合固定するので、他の固定部材を必要とせず、部品の有効利用が図れる。
【0023】
(変形例)
なお、以上の実施形態においては、携帯電話としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、デジタルカメラ、ビデオカメラ、PDA、ノートパソコン、ウェアラブルパソコン、電卓、電子辞書などの電子機器すべてに用いることができる。
また、各部の材質や形状等も任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
また、透明パネルの周囲を貼り付けるために両面接着テープを用いるもの以外に、接着剤、溶着などを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を適用した電子機器の一実施形態の構成を示すもので、携帯電話を開いた状態を示した正面図(a)と閉じた状態を示した正面図(b)である。
【図2】図1の表示部筐体とその表示部側の透明パネルとその固定部材の分解斜視図である。
【図3】図2の固定部材の拡大図である。
【図4】図2の表示部筐体側への両面接着テープの範囲を示した正面図である。
【図5】図2の表示部筐体に透明パネルを接着した状態での固定部材の組み付け方を示す分解斜視図である。
【図6】図5の固定部材の組み付け状態を示した斜視図である。
【図7】図6の矢印A−A線に沿った断面図(a)と同じく矢印B−B線に沿った断面図(b)である。
【図8】図6の矢印C−C線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0025】
2 筐体
20 表示部開口
21 レシーバ
22 スピーカ
23 係合穴
24 係合片
5 表示部
6 透明パネル
61 貫通孔
62 段差部
7 固定部材
71 受話口(小開口)
72 スピーカ放音口(小開口)
73 突出片
74 係合部(係合爪)
8 両面接着テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に形成される表示部開口の周囲に、透明パネルの周囲を貼り付けにより固定するパネル固定構造であって、
前記透明パネルの端部に貫通孔を形成し、
前記透明パネル端部の前記貫通孔を貫通して前記筐体内部に係合可能な係合部を有する固定部材を備え、
当該固定部材の前記係合部を、前記透明パネル端部の前記貫通孔を貫通して前記筐体内部に係合したことを特徴とするパネル固定構造。
【請求項2】
前記係合部は、前記筐体内部に係合する係合爪であることを特徴とする請求項1に記載のパネル固定構造。
【請求項3】
前記係合爪は、前記固定部材の両端部において互いに反対向きに形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル固定構造。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記透明パネルの長手方向一端部で短手方向に沿ってスリット状に形成され、
前記固定部材は、前記スリット状貫通孔を塞ぐ板状に形成されていて、
当該板状固定部材には、音響部材用の小開口が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のパネル固定構造。
【請求項5】
前記音響部材用の小開口は、受話口とスピーカ放音口であることを特徴とする請求項4に記載のパネル固定構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のパネル固定構造による透明パネルを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−85885(P2010−85885A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257136(P2008−257136)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】