説明

パネル型カーテン

【課題】本発明は、簡単な構造で1本のカーテンレールに複数枚のパネル状カーテン材を重なり合うように吊り下げてスムーズに開閉することができるパネル型カーテンを提供することを目的とするものである。
【解決手段】パネル状カーテン材を吊り下げるための吊下げ具1は、基体部11の上端に係止用フック10を突設し、基体部11の一方の側面側には、カーテン材を支持する支持体14並びに隣接する吊下げ具と連結するための係合部材16及び連結バー17を備えている。基体部11の他方の側面側には、隣接する吊下げ具の係合部材が遊嵌した状態で嵌合する溝部が形成されている。係合部材16が隣接する吊下げ具と連結した状態では、吊下げ具の間が所定間隔を空けて保持されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の大きさのパネル状カーテン材をカーテンレール等に複数枚吊り下げて構成されるパネル型カーテンに関する。
【背景技術】
【0002】
家屋の窓等に取り付けられるカーテンとしては、カーテンレール等に沿って移動可能に装着されたランナー等の支持部材に布状のカーテンを吊り下げてカーテンを引くことで開閉操作が行われるものが一般的である。こうしたカーテンでは、カーテンに襞付けがなされてカーテンの開閉をスムーズに行うことができるようになっているが、カーテンを引いて開いた状態にするとカーテンが折り重なった状態となる。そのため、折り重なったカーテンを収容するスペースが必要となり、室内の居住空間がその分制約を受けることになる。
【0003】
従来のカーテンのこうした課題に対応するために、パネル状カーテン材をカーテンレール等に複数枚吊り下げて構成されたパネル型カーテンが提案されている。パネル型カーテンは、従来のカーテンレールに吊り下げるように構成することができ、2本のガイドレールに吊り下げる例としては、例えば、特許文献1では、スクリーン本体の上端の左右両端にそれぞれランナーを設け、互いに密接して並列配置された2本のガイドレールに、左右のランナーをそれぞれのガイドレールに走行自在に取り付けたパネルスクリーンが記載されている。また、特許文献2では、カーテン材の上端部に装着したスラットの両端にローラ又はスライダを固定し、2本のカーテンレールそれぞれローラ又はスライダを移動自在に取り付けたカーテン装置が記載されている。
【0004】
1本のガイドレールに吊り下げる例としては、例えば、特許文献3では、1本のカーテンレールのランナーに交互に複数枚のカーテン布帛を吊り下げるように構成したパネル型カーテンが記載されている。また、特許文献4では、1本のカーテンレールに移動自在に設けられたスライド部に位置をずらして重なるようにカーテン支持シートを取り付け、カーテン支持シートに固定された複数枚の立て式のリーフが重なるように移動する立て式カーテンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平1−7830号公報
【特許文献2】特表2006−507064号公報
【特許文献3】特開2003−116710号公報
【特許文献4】特開2006−280851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び2に記載されたように2本のカーテンレールにパネルカーテンを吊り下げる場合には、パネル状カーテン材が重なり合うように移動するため、窓に設置した場合にも開閉操作をすることができる。しかしながら、カーテンレールを2本とも使用するため、パネル型カーテン以外のカーテン(例えば、レースカーテン)を吊り下げることができず、従来のカーテンのように複数種類のカーテンを組み合せることが難しい。
【0007】
1本のカーテンレールを用いる場合には、複数種類のカーテンの組み合せが可能となるが、特許文献3では、3枚以上になると1枚置きに吊り下げたパネル状カーテン材のランナーが当接して重なり合うように移動することが難しくなり、十分に開くことができない構造となっている。また、特許文献4では、パネル状カーテン材を重なり合うように移動させるために特殊なスライド部を用いており、従来のカーテン構造に比べて複雑な機構となっている。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構造で1本のカーテンレールに複数枚のパネル状カーテン材を重なり合うように吊り下げてスムーズに開閉することができるパネル型カーテンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るパネル型カーテンは、上端部に吊下げ具を取り付けた複数枚のパネル状カーテン材を備えるとともにカーテンレールに吊下げ具を吊り下げてカーテン材を移動させることで開閉するパネル型カーテンにおいて、前記吊下げ具は、吊下げ用係止部材を上部に突設した基体部と、前記基体部の一方の側面において前記カーテン材の上端部を支持する支持部と、前記基体部の長手方向の一方の端部において一方の側面に設けられるとともに一方の側面側に隣接する吊下げ具と所定間隔を保持した状態で連結する連結部と、前記基体部の他方の側面に設けられるとともに他方の側面側に隣接する吊下げ具の前記連結部を遊嵌した状態で前記カーテン材の移動方向に沿って摺動可能に保持する嵌合部とを備えていることを特徴とする。さらに、前記連結部は、前記基体部から突設するように固定された連結バー及び当該連結バーの先端部に設けられた係合部材を備えており、前記嵌合部は、前記カーテン材の移動方向に沿って形成されるとともに前記係合部材が遊嵌状態で保持される嵌合溝からなることを特徴とする。さらに、前記カーテン材は、前記支持部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るパネル状カーテン材用吊下げ具は、複数枚のパネル状カーテン材をカーテンレールに吊り下げてカーテン材を移動させることで開閉するパネル型カーテンに用いられるパネル状カーテン材用吊下げ具であって、吊下げ用係止部材を上部に突設した基体部と、前記基体部の一方の側面において前記カーテン材の上端部を支持する支持部と、前記基体部の長手方向の一方の端部において一方の側面に設けられるとともに一方の側面側に隣接する吊下げ具と所定間隔を保持した状態で連結する連結部と、前記基体部の他方の側面に設けられるとともに他方の側面側に隣接する吊下げ具の前記連結部を遊嵌した状態で前記カーテン材の移動方向に沿って摺動可能に保持する嵌合部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成を有することで、吊下げ具の基体部の一方の側面に設けられた連結部及び他方の側面に設けられた嵌合部により、隣接する吊下げ具との間で所定間隔を空けた状態で安定して連結されるようになり、基体部の一方の側面にパネル状カーテン材を支持した状態でもスムーズに吊下げ具を重ね合わせるように移動させることができる。
【0012】
また、連結部及び嵌合部が遊嵌した状態で連結されるので、カーテンを開閉する場合に吊下げ具を引き出したり重ね合わせたりする際に、その動作状態に合わせて連結部及び嵌合部の嵌合状態が変化し、連結部が嵌合部をスムーズに摺動して優れた操作性を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係るパネル型カーテンを吊り下げた状態を示す外観斜視図である。
【図2】吊下げ具の一方の側面側からみた外観斜視図である。
【図3】吊下げ具の他方の側面側からみた外観斜視図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】吊下げ具の連結状態を示す一部拡大平面図である。
【図6】図5のB−B断面図である。
【図7】カーテンレールのランナーに吊下げ具が吊り下げられた状態で開閉動作を行う場合の説明図である。
【図8】係止用フックの変形例に関する外観斜視図である。
【図9】係止用フックの別の変形に関する外観斜視図である。
【図10】係止用フックのさらに別の変形に関する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係るパネル型カーテンを吊り下げた状態を示す外観斜視図である。パネル型カーテンは、従来のカーテンレールに吊り下げることができる。この例では、カーテンレールRは、直線状に形成された溝内に複数のランナーR1が摺動可能に取り付けられており、各ランナーR1には係止用リングR2が嵌め込まれている。また、カーテンレールRの端部には固定金具R3が設けられており、固定金具R3にも係止用リングR2が嵌め込まれている。こうしたカーテンレールの構造は公知にものである。
【0016】
吊下げ具1は、側面に矩形状のパネル状カーテン材2を支持しており、上部に設けられた係止用フック10を係止用リングR2に引っ掛けるように係止することで吊り下げられるようになっている。
【0017】
図2は、吊下げ具1の一方の側面側からみた外観斜視図であり、図3は、他方の側面側からみた外観斜視図である。また、図4は、図2のA−A断面図である。吊下げ具1の基体部11は、断面形状がH型に形成されており、両側に突出した各側辺部の先端が内側に折れ曲るように形成されている。そして、一方の側面側に溝部12が他方の側面側に溝部13がそれぞれ基体部11の長手方向に沿って形成されている。
【0018】
係止用フック10は、矩形状の支持片10aが一体形成されており、上方に向かって延設されて逆U字状に湾曲形成されている。支持片10aは、基体部11の溝部12の中央部分において、ビス等の固定部材10bにより密着固定されている。支持片10aの両側には、一対の支持体14が溝部12内に嵌め込まれて基体部11の両端まで延設されている。
【0019】
支持体14は、溝部12とほぼ同じ幅で帯状に形成されており、基体部11の端部から溝部12内に挿入される。そして、基体部11の両端部には、挿入された支持体14の脱落を防止するキャップ部材15が嵌め込まれている。キャップ部材15は、中央部分に突設した取付部15aが溝部12内に挿着されて、基体部11にネジ等の取付部材15bにより固定されている。一方の端部に嵌め込まれたキャップ部材15の取付部15aには、後述する連結バー17が基体部11とともに貫通して固定されている。
【0020】
支持体14は、表面に多数のフック状突起が立設されており、カーテン材2の上端部に設けられた帯状の係止体2aの表面に形成された多数のループ状突起とフック状突起が係合してカーテン材2が支持体14に着脱可能に支持されるようになっている。
【0021】
基体部11の一方の端部には、キャップ部材15に近接して一方の側面側に連結バー17が直立するように設けられており、連結バー17の先端部には円板状の係合部材16が回動自在に取り付けられている。連結バー17は、基体部11及びキャップ部材15の取付部15aを貫通して根元部分が固定されており、キャップ部材15の固定部材を兼ねている。係合部材16の直径は、溝部13内における基体部11の短手方向の幅よりも小さいが、溝部13の開口部の幅よりも大きく形成されている。また、係合部材16の厚さは、溝部13内における基体部11の厚さ方向の深さよりも薄く形成されている。
【0022】
そのため、係合部材16は、溝部13内に嵌合した状態では、基体部11の長手方向を左右方向とした場合に、左右方向に溝部13内を摺動可能であるとともに上下方向及び前後方向にも揺動可能であり、遊嵌した状態となる。
【0023】
図5は、吊下げ具1の連結状態を示す一部拡大平面図であり、図6は、図5のB−B断面図である。吊下げ具1の溝部13には、他方の側面側に隣接する吊下げ具1’の連結バー17’に取り付けられた係合部材16’が遊嵌した状態で連結している。また、吊下げ具1の連結バー17に取り付けられた係合部材16は、一方の側面側に隣接する吊下げ具1”の溝部13”に遊嵌した状態で連結している。
【0024】
各連結バーの長さは、連結した状態において隣接する吊下げ具の間を所定間隔を空けるように設定されており、隣接する吊下げ具が所定間隔を空けて移動して重なり合うようになため、吊下げ具の支持体にカーテン材を支持した状態でもスムーズにカーテンの開閉動作を行うことができる。
【0025】
図7は、カーテンレールのランナーR1に吊下げ具1が吊り下げられた状態で開閉動作を行う場合の説明図である。図7(a)は、カーテン材を引き出してカーテンが閉じた状態を示しており、ランナーR1の走行ラインLに対して吊下げ具1が傾斜した状態で吊り下げられている。吊下げ具1は、上部において2つの係止用フック10がそれぞれランナーR1に係止され、両端部において連結された状態となっているので、揺動することなく安定した状態で吊り下げられるようになる。
【0026】
図7(b)は、カーテン材を重ね合わせてカーテンが開いた状態を示しており、吊下げ具1が重なり合った状態となっている。隣接する吊下げ具の係止用フック10同士が接触するまでカーテン材を重ね合わせることができ、カーテンを開くことによる開放スペースを広くすることが可能となる。
【0027】
また、吊下げ具が重なり合うことで、吊下げ具が両側に拡がるように(走行ラインLと直交する方向に拡がるように)なるが、連結部分の係合部材が遊嵌した状態で連結しているので、吊下げ具を両側に容易に重なり合うようにすることができる。
【0028】
また、上述したように、カーテンの開閉動作に伴い吊下げ具が移動する際に、吊下げ具の傾斜状態が連続的に変化していくようになるが、連結部分の係合部材が遊嵌した状態となっているので、傾斜状態の変化に追随することができ、カーテンのスムーズな開閉動作が可能となる。
【0029】
そして、係止用フック10がリングを介してランナーに吊り下げられているので、リングを長くすれば吊下げ具の数が多くなった場合でも重なり合うように設定することができる。
【0030】
カーテンの開閉動作を行う場合には、最も端に配置されるカーテン材の吊下げ具に操作棒を取り付けておき、操作棒により最も端の吊下げ具を移動させて開閉動作を行うようにしてもよい。
【0031】
図8は、係止用フックの変形例に関する外観斜視図である。この例では、2本の係止用フック10’を互いに反対方向となるように両側に湾曲させており、同じ方向に湾曲させた場合に比べて係止用フック10’がランナーのリングから外れにくくなる。
【0032】
図9は、1本の係止用フックを用いた場合の変形例に関する外観斜視図である。この例では、吊下げ具1の中央部に1本の係止用フック10”を設けており、カーテン材が軽量で吊下げ具の長さが短い場合には、1本の係止用フックだけでもカーテンを十分安定した状態に保持することができる。
【0033】
図10は、図9に示す1本の係止用フック10”を吊下げ具1の端部に配置した場合の変形例に関する外観斜視図である。この例では、係止用フック10”を吊下げ具1の端部に配置したので、カーテンを開いた際に係止用フック10”が当接するまで吊下げ具1を移動させることができ、吊下げ具1をほぼ重なった状態にすることが可能となる。そのため、カーテンを開いた際の開放スペースを広くすることができる。また、係止用フック10”を端部に配置した場合でも吊下げ具1が互いに連結されているため、吊下げ具1が傾斜することなく安定した状態で吊り下げることが可能となる。
【0034】
以上説明した例では、連結部として連結バー及び係合部材を用い、嵌合部として嵌合溝である溝部13を用いているが、連結部及び嵌合部はこうした構成に限定されない。例えば、嵌合部として嵌合溝の代わりにレール状の突起部を形成し、連結部としてレール状の突起にスライド可能に係合するフックを用いてもよい。この場合、フックは、突起部を両側から把持するような形状に形成して外れにくくするとともにある程度遊びを持たせて遊嵌した状態で嵌合するように設定すればよい。また、突起部の上側に形成された細幅の溝に遊嵌した状態で嵌合するようにフックの形状を形成してもよい。
【0035】
また、支持部についても、金属製の棒状体を用い、カーテン材の上端部に沿って縫製等により形成された細長い筒状部分に棒状体を差し込んで両端部を基体部に取り付けて固定し、カーテン材を支持するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
R カーテンレール
R1 ランナー
R2 リング
1 吊下げ具
2 カーテン材
10 係止用フック
11 基体部
12 溝部
13 溝部
14 支持体
15 キャップ部材
16 係合部材
17 連結バー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端部に吊下げ具を取り付けた複数枚のパネル状カーテン材を備えるとともにカーテンレールに吊下げ具を吊り下げてカーテン材を移動させることで開閉するパネル型カーテンにおいて、前記吊下げ具は、吊下げ用係止部材を上部に突設した基体部と、前記基体部の一方の側面において前記カーテン材の上端部を支持する支持部と、前記基体部の長手方向の一方の端部において一方の側面に設けられるとともに一方の側面側に隣接する吊下げ具と所定間隔を保持した状態で連結する連結部と、前記基体部の他方の側面に設けられるとともに他方の側面側に隣接する吊下げ具の前記連結部を遊嵌した状態で前記カーテン材の移動方向に沿って摺動可能に保持する嵌合部とを備えていることを特徴とするパネル型カーテン。
【請求項2】
前記連結部は、前記基体部から突設するように固定された連結バー及び当該連結バーの先端部に設けられた係合部材を備えており、前記嵌合部は、前記カーテン材の移動方向に沿って形成されるとともに前記係合部材が遊嵌状態で保持される嵌合溝からなることを特徴とする請求項1に記載のパネル型カーテン。
【請求項3】
前記カーテン材は、前記支持部に着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル型カーテン。
【請求項4】
複数枚のパネル状カーテン材をカーテンレールに吊り下げてカーテン材を移動させることで開閉するパネル型カーテンに用いられるパネル状カーテン材用吊下げ具であって、吊下げ用係止部材を上部に突設した基体部と、前記基体部の一方の側面において前記カーテン材の上端部を支持する支持部と、前記基体部の長手方向の一方の端部において一方の側面に設けられるとともに一方の側面側に隣接する吊下げ具と所定間隔を保持した状態で連結する連結部と、前記基体部の他方の側面に設けられるとともに他方の側面側に隣接する吊下げ具の前記連結部を遊嵌した状態で前記カーテン材の移動方向に沿って摺動可能に保持する嵌合部とを備えていることを特徴とするパネル状カーテン材用吊下げ具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−75460(P2012−75460A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220519(P2010−220519)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(395003648)株式会社カズマ (5)
【Fターム(参考)】