説明

パネル部材の取付構造

【課題】製造コストの増大を招くことなく締結部材の過剰な締め付け時に建物下地材の厚さ寸法に拘らずパネル部材及び建物下地材間に止水性を確保することができ且つパネル部材の波打ち及び破損を防止することができるパネル部材の取付構造を提供する。
【解決手段】各リベット23の軸部25の引っ張り時に外壁パネル11が止水部材20を押し潰すことにより間柱12に向けて移動したとき、外壁パネル11が所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段29を間柱12に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外壁パネルのようなパネル部材を間柱のような建物下地材に取り付ける取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば建物の間柱に外壁パネルを取り付ける取付構造として、間柱の長手方向に互いに間隔をおいて設けられた締結部材である複数のリベットにより外壁パネルが間柱に結合された取付構造が知られている(例えば、特許文献1参照。)。間柱及び外壁パネル間には、それらの間を止水するための弾性変形可能なシート状の止水部材が設けられている。
【0003】
外壁パネルを間柱に取り付ける際、各リベットをそれぞれ間柱にその屋内側から貫通させ、各リベットの一端部に形成されたフランジ部を間柱にその屋内側から係止する。続いて、間柱から突出した各リベットの他端部を止水部材に貫通させ、各リベットの先端に形成された係止部を外壁パネルに係止する。更に、各リベットの締付け作用により、外壁パネルを止水部材に押し付ける。これにより、外壁パネル及び間柱間に止水性が確保された状態で外壁パネルを間柱に取り付けることができる。
【0004】
この取付構造では、各リベットが過剰に締め付けられたとき、止水部材が外壁パネルから受ける押圧力により大きく押し潰されるため、外壁パネルには間柱から離反する方向に大きな弾性反力が止水部材から作用する。このとき、外壁パネルの各リベットが係止された部分以外の各中間部分は止水部材に押し付けられていないため、該各中間部分では前記弾性反力が前記押圧力よりも大きくなる。このため、各中間部分が屋外へ向けて膨出してしまい、外壁パネルに波打ちが発生し、外壁パネルの前記部分における前記弾性反力が前記押圧力を大きく超える場合には外壁パネルに破損が生じる。
【0005】
そこで、各リベットの過剰な締め付け時に止水部材から受ける弾性反力による外壁パネルの波打ち及び破損を防止するために、各リベットにスペーサを設けることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。スペーサは、筒状をなしており、各リベットのフランジ部上に各リベットを取り巻くように設けられている。スペーサの軸線方向の長さ寸法は、間柱の厚さ寸法よりも大きくなるように設定されている。これにより、各リベットのフランジ部がそれぞれ間柱に係止された状態ではスペーサが間柱から屋外側に突出する。
【0006】
外壁パネルが止水部材に当接した状態で各リベットが締め付けられたとき、外壁パネルは止水部材を押し潰すことにより間柱に向けて移動し、スペーサに当接する。このとき、各リベットから外壁パネルに作用する締め付け力が各スペーサに該各スペーサをその軸線方向に圧縮する圧縮力として外壁パネルから作用して受け止められる。従って、外壁パネルの各リベットに係止された部分が止水部材を大きく押し潰すことが抑制されるので、各リベットが過剰に締め付けられた場合でも、止水部材から外壁パネルに大きな弾性反力が作用することはなく、止水部材から受ける弾性反力による外壁パネルの波打ち及び破損を抑制することができる。
【特許文献1】特開2001−132196号公報
【特許文献2】特開2003−176573号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スペーサの軸線方向の長さ寸法が固定されている場合、該スペーサが設けられたリベットを厚さ寸法が互いに異なる複数の間柱に用いると、スペーサのフランジ部が間柱に係止された状態で、スペーサが間柱からその屋外側へ止水部材を超えて突出したり、スペーサが間柱からその屋外側に突出することなく間柱内に埋もれたりする虞がある。スペーサが間柱からその屋外側へ止水部材を超えて突出すると、外壁パネルを止水部材に当接させることができないため、外壁パネル及び間柱間に止水性を確保することができず、また、スペーサが間柱内に埋もれると、スペーサが外壁パネルの波打ち及び破損を防止する機能を果たすことができない。
【0008】
そこで、スペーサの長さ寸法を固定することなく、厚さ寸法が互いに異なる複数の間柱毎に、各間柱から適切な突出量で突出する長さ寸法を有するスペーサが設けられた専用のリベットを形成することが考えられる。しかしながら、この場合、部品点数が増大するため、製造コストの増大を招く。
【0009】
そこで、本発明の目的は、製造コストの増大を招くことなく締結部材の過剰な締め付け時に建物下地材の厚さ寸法に拘らずパネル部材及び建物下地材間に止水性を確保することができ且つパネル部材の波打ち及び破損を防止することができるパネル部材の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、パネル部材を建物下地材に取り付けるパネル部材の取付構造であって、前記パネル部材と前記建物下地材との間に配置され、それらの間を止水する止水部材と、前記パネル部材を前記建物下地材に結合する締結部材とを備え、前記建物下地材には、前記締結部材の締め付け時に前記パネル部材が前記止水部材を押し潰すことにより前記建物下地材に向けて移動したとき、前記パネル部材が所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記建物下地材及び前記止水部材にはそれぞれ互いに対応する位置に前記締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、前記締結部材はその前記止水部材から突出した端部で前記パネル部材に係止されており、前記規制手段は、前記建物下地材に前記挿通孔の近傍で形成され前記パネル部材に向けて突出する凸部であり、該凸部の突出量は前記止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記凸部は前記挿通孔の前記建物下地材の長手方向の両側にそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記建物下地材は長尺状をなしており、前記凸部は前記建物下地材の長手方向に伸びることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記建物下地材及び前記止水部材にはそれぞれ互いに対応する位置に前記締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、前記締結部材はその前記止水部材から突出した端部で前記パネル部材に係止されており、前記規制部材は前記挿通孔の縁部から前記パネル部材に向けて立ち上がる立上り部であり、該立上り部の突出量は前記止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、建物下地材に、締結部材の締め付け時にパネル部材が止水部材を押し潰すことにより建物下地材に向けて移動したとき、パネル部材が所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段が設けられていることから、締結部材を過剰に締め付けた場合でも、パネル部材の締結部材から建物下地材に向けての締め付け力を受けた部分が止水部材を大きく押し潰すことを確実に抑制することができる。これにより、締結部材が過剰に締め付けられた場合でも、止水部材からパネル部材の前記部分以外の部分に大きな弾性反力が作用することはないので、止水部材から受ける弾性反力による従来のようなパネル部材の波打ち及び破損を確実に抑制することができる。
【0016】
また、規制手段が建物下地材に設けられていることから、規制手段によるパネル部材への規制位置が建物下地材の厚さ寸法に応じて変化することはないので、厚さ寸法が互いに異なる複数の建物下地材にパネル部材を取り付ける場合でも、建物下地材の厚さ寸法に拘らずパネル部材及び建物下地材間に止水性が確保される適正な位置でパネル部材の移動を規制することができる。
【0017】
従って、厚さ寸法が互いに異なる複数の建物下地材毎に専用のリベットを形成する従来の場合のような部品点数の増大を確実に防止することができるので、部品点数の増大による製造コストの増大を確実に防止することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、建物下地材及び止水部材にそれぞれ互いに対応する位置に締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、規制手段は、建物下地材に挿通孔の近傍で形成されパネル部材に向けて突出する凸部で構成されていることから、締結部材の締め付け時にパネル部材が止水部材を押し潰すことにより凸部に当接したとき、締結部材からパネル部材に作用する締め付け力の大部分が凸部に該凸部を圧縮する圧縮力としてパネル部材から作用して受け止められる。これにより、締結部材が過剰に締め付けられた場合でも、建物下地材へ向けてのパネル部材の移動を凸部により規制することができるので、パネル部材の挿通孔の縁部により止水部材が大きく押し潰されることが抑制される。
【0019】
また、凸部の突出量が止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることから、凸部が止水部材から屋外側に突出することにより止水部材へのパネル部材の当接が妨げられることを、確実に防止することができる。これにより、パネル部材及び建物下地材間の止水性を損なうことなくパネル部材の移動を規制することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、凸部が挿通孔の両側にそれぞれ形成されていることから、締結部材の締め付け時にパネル部材が止水部材を押し潰すことにより各凸部に当接したとき、締結部材からパネル部材に作用する締め付け力を両凸部に該各凸部を圧縮する圧縮力として各凸部に分散して作用させることができるので、建物下地材に単一の凸部が形成された場合に比べて締め付け力をより確実に受け止めることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、建物下地材が長尺状をなしており、凸部が建物下地材の長手方向に伸びることから、締結部材の締め付け時にパネル部材が止水部材を押し潰すことにより凸部に当接したとき、パネル部材を凸部により線で支持することができる。これにより、凸部が単に突起状である場合のようにパネル部材が凸部により点で支持される場合に比べてパネル部材を受ける領域が大きくなるので、締結部材の締め付け時に締結部材からパネル部材に作用する締め付け力をより確実に受け止めることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、建物下地材及び止水部材にはそれぞれ互いに対応する位置に締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、規制部材は挿通孔の縁部からパネル部材に向けて立ち上がる立上り部で構成されていることから、締結部材の締め付け時にパネル部材が止水部材を押し潰すことにより立上り部に当接したとき、締結部材からパネル部材に作用する締め付け力の大部分が立上り部に該立上り部を圧縮する圧縮力としてパネル部材から作用して受け止められる。これにより、締結部材が過剰に締め付けられた場合でも、建物下地材へ向けてのパネル部材の移動を立上り部により規制することができるので、パネル部材の挿通孔の縁部により止水部材が大きく押し潰されることが抑制される。
【0023】
また、立上り部の突出量が止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることから、立上り部が止水部材から屋外側に突出することにより止水部材へのパネル部材の当接が妨げられることを、確実に防止することができる。これにより、パネル部材及び建物下地材間の止水性を損なうことなくパネル部材の移動を規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を図示の実施例に沿って説明する。
【実施例】
【0025】
図1は、パネル部材である外壁パネル11を建物下地材である間柱12に取り付ける取付構造10に本発明を適用した例を示す。
【0026】
間柱12は、従来よく知られているように、外壁パネル11を支持するために図示しない柱間に配置される小柱である。間柱12は、図示の例では、外壁パネル11が取り付けられる長尺状の底板13と、該底板の幅方向の両縁部から屋内側(図1で見て下側である。)に向けて立ち上がる一対の側板14(図1には、一方の側板14が示されている。)とを備え、コ字状の横断面を有する鋼製の部材からなる。間柱12の底板13には、図1及び図2に示すように、後述するリベットの挿通を許す複数の挿通孔15が底板13の幅方向及び長手方向に互いに間隔をおいて形成されている。
【0027】
外壁パネル11は、例えば硬質木片セメント板及びALC板等のように無機質パネルからなる。外壁パネル11の間柱12側に位置する裏面11aには、図1に示すように、前記リベットを受け入れるための複数の凹部16(図1には、一つの凹部16が示されている。)が形成されている。各凹部16は、それぞれ間柱12の各挿通孔15に対応する位置に配置されている。
【0028】
また、外壁パネル11の裏面11aには、間柱12への外壁パネル11の取付けのための複数の取付板17がそれぞれ各凹部16を塞ぐように設けられている。各取付板17は、図示の例では、金属製の板部材からなり、複数の針状部材18により外壁パネル11の裏面11aに固定されている。各取付板17には、それぞれ前記リベットの挿通を許す挿通孔19が形成されている。これにより、各凹部16はそれぞれ各取付板17の挿通孔19で間柱12の底板13に向けて開放する。
【0029】
外壁パネル11と間柱12との間には、それらの間を止水するための止水部材20が設けられている。止水部材20は、図示の例では、弾性変形可能な合成ゴムシートからなり、間柱12の底板13を覆う大きさを有する。止水部材20は、例えば図示しない接着剤により間柱12の底板13に接着されている。止水部材20には、間柱12の底板13の各挿通孔15に整合する複数の挿通孔21が形成されている。
【0030】
外壁パネル11は、締結部材22によりを間柱12に結合されている。
【0031】
締結部材22は、図示の例では、前記したリベット23で構成されている。リベット23は、図3に示すように、筒状部24と、該筒状部内に挿通された軸部25とを備える従来よく知られたデイジーリベットで構成されている。
【0032】
筒状部24は、図1に示すように、間柱12の底板13の各挿通孔15、止水部材20の各挿通孔21及び外壁パネル11の各取付板17の挿通孔19を経て間柱12、止水部材20及び取付板17を貫通するように配置されている。この状態では、筒状部24の上端部24aは、外壁パネル11の各凹部16内に受け入れられている。
【0033】
筒状部24の下部24bには、図3に示すように、該下部からその側方に張り出すフランジ部26が形成されている。フランジ部26の張出量は、間柱12の底板13に形成された各挿通孔15の縁部15a(図1参照。)に係合可能な大きさに設定されている。フランジ部26は、筒状部24が各挿通孔15,19,21内に挿通した状態では、底板13の各挿通孔15の縁部15aに屋内側から係合している。また、筒状部24には、該筒状部の上端24cに開放し、フランジ部26に向けて筒状部24の軸線に沿って伸びる複数の切れ目27が形成されている。
【0034】
軸部25の上端部25aには、球状の頭部28が設けられている。頭部28は、筒状部24の上端24c上に配置されており、その径は筒状部24の口径よりも大きくなるように設定されている。軸部25の下端部25bは、筒状部24の下端24cからその下方へ突出しており、下端部25bには滑り止め加工が施されている。
【0035】
従来よく知られているように、外壁パネル11を間柱12に取り付ける際、筒状部24の上端部24a及び軸部25の頭部28がそれぞれ外壁パネル11の各凹部16内に受け入れられるように、各リベット23をそれぞれ各挿通孔15,19,21に挿入し、軸部25の下端部25bを屋内側に向けて引っ張る。このとき、前記したように、軸部25の下端部25bに滑り止め加工が施されていることから、軸部25を引っ張り易くすることができる。また、前記したように、頭部28の径が筒状部24の口径よりも大きいことから、軸部25の下端部25bを屋内側に向けて引っ張ったとき、頭部28から筒状部24に該筒状部の口径を押し広げる押圧力が作用する。この押圧力によって筒状部24の各切れ目27が開かれることにより、筒状部24の上端部24aが外方へ向けて広がり、図1に示すように、筒状部24の上端部24aが取付板17の挿通孔19の間柱12側と反対側に位置する縁部19aに係合する。その後、軸部25を引っ張ることにより外壁パネル11の裏面11aを止水部材20に当接させ、外壁パネル11を止水部材20に押し付ける。これにより、間柱12の底板13、止水部材20及び外壁パネル11の各取付板17が、底板13の各挿通孔15の縁部15aに屋内側から係合したフランジ部26と筒状部24の上端部24aとの間に挟持される。また、軸部25を引っ張ることにより外壁パネル11を止水部材20に押し付けたとき、各リベット23の筒状部24の上端部24aから外壁パネル11に作用する引っ張り力が外壁パネル11から止水部材20に該止水部材20を押し潰す押圧力として作用する。これにより、外壁パネル11及び間柱12間に止水性が確保される。
【0036】
本発明に係る取付構造10では、各リベット23の締め付け時すなわち各軸部25の引っ張り時に外壁パネル11が止水部材20を押し潰すことにより間柱12に向けて移動したとき、外壁パネル11が所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段29が間柱12に設けられている。
【0037】
規制手段29は、図示の例では、外壁パネル11に向けて突出する複数の凸部30で構成されている。各凸部30は、図1及び図2に示す例では、それぞれ間柱12から外壁パネル11に向けて径が漸減するほぼ円錐状をなしている。また、各凸部30は、それぞれ間柱12の底板13の各挿通孔15の近傍に形成されており、図1及び図2に示す例では、各挿通孔15のそれぞれの底板13の長手方向の一側に形成されている。各凸部30の突出量は、それぞれ止水部材20の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されている。これにより、外壁パネル11が底板13に取り付けられていない状態では、図4に示すように、各凸部30の先端30aが止水部材20を超えて屋外に突出することはない。
【0038】
外壁パネル11が各リベット23により止水部材20に押し付けられた状態で軸部25を更に引っ張ったとき、外壁パネル11は、止水部材20を押し潰しながら間柱12に向けて移動し、図1に示すように、各凸部30の先端30aに当接する。このとき、筒状部24の上端部24aから外壁パネル11に作用する引っ張り力の大部分が各凸部30に該凸部を圧縮する圧縮力として外壁パネル11から作用して受け止められる。これにより、軸部25が過剰に引っ張られたときでも、間柱12へ向けての外壁パネル11の移動が各凸部30により規制される。
【0039】
このように、外壁パネル11が間柱12に向けて所定の位置を越えて移動することを規制するための複数の凸部30が間柱12の底板13に設けられていることから、外壁パネル11が止水部材20に当接した状態で軸部25を過剰に引っ張ったときでも、外壁パネル11の各取付板17の挿通孔19の縁部19aにより止水部材20が大きく押し潰されることを確実に抑制することができる。
【0040】
これにより、軸部25が過剰に引っ張られた場合でも、止水部材20から外壁パネル11の各挿通孔19の縁部19a以外の部分に大きな弾性反力が作用することはないので、止水部材20から受ける弾性反力による従来のような外壁パネル11の波打ち及び破損を確実に抑制することができる。
【0041】
また、規制手段29である各凸部30がそれぞれ間柱12の底板13に設けられていることから、各凸部30の突出量すなわち外壁パネル11の規制位置が間柱12の底板13の厚さ寸法に応じて変化することはない。これにより、底板13の厚さ寸法が互いに異なる複数の間柱12に外壁パネル11を取り付ける場合でも、間柱12の底板13の厚さ寸法に拘らず外壁パネル11及び間柱13に止水性が確保される適正な位置で外壁パネル11の移動を規制することができる。
【0042】
従って、底板13の厚さ寸法が互いに異なる複数の間柱12毎に専用のリベットを形成する従来の場合のような部品点数の増大を確実に防止することができるので、部品点数の増大による製造コストの増大を確実に防止することができる。
【0043】
また、前記したように、各凸部30の突出量は、それぞれ該各凸部の先端30aが間柱12の底板13上に配置された止水部材20から突出しない大きさに設定されていることから、各凸部30が止水部材20から屋外側に突出することにより止水部材20への外壁パネル11の当接が妨げられることを、確実に防止することができる。これにより、外壁パネル11及び間柱12間の止水性を損なうことなく外壁パネル11の移動を規制することができる。
【0044】
本実施例では、各凸部30がそれぞれ各挿通孔15のそれぞれの底板13の長手方向の一側に形成された例を示したが、これに代えて、図5(a)及び図5(b)に示すように、各凸部30をそれぞれ各挿通孔15の底板13の長手方向の両側に形成することができる。
【0045】
この場合、各リベット23の軸部25の引っ張り時に外壁パネル11が止水部材20を押し潰すことにより各凸部30に当接したとき、筒状部24の上端部24aから外壁パネル11に作用する引っ張り力を各凸部30に該各凸部を圧縮する圧縮力として各凸部30に分散して作用させることができる。これにより、各凸部30がそれぞれ各挿通孔15の一側に形成された場合に比べて前記引っ張り力をより確実に受け止めることができる。
【0046】
図5に示す例では、各凸部30がそれぞれ各挿通孔15の底板13の長手方向の両側に形成された例を示したが、これに代えて、図示しないが、各凸部30をそれぞれ各挿通孔15の底板13の幅方向の両側に形成することができる。
【0047】
また、図1乃至図5に示す例に代えて、図6(a)及び図6(b)に示すように、各凸部30を間柱12の底板13の長手方向に伸びるように形成することができる。各凸部30は、図6(a)に示す例では、それぞれ間柱12の底板13の幅方向で対向する一対の縁部13aに該各縁部に沿って伸びるように形成されている。
【0048】
この場合、各リベット23の軸部25の引っ張り時に外壁パネル11が止水部材20を押し潰すことにより各凸部30に当接したとき、外壁パネル11を各凸部により線で支持することができる。これにより、各凸部30が単に突起状である場合のように外壁パネル11が各凸部30により点で支持される場合に比べて外壁パネル11を受ける領域が大きくなる。従って、各リベット23の軸部25の引っ張り時に筒状部24の上端部24aから外壁パネル11に作用する引っ張り力をより確実に受け止めることができる。
【0049】
また、本実施例では、外壁パネル11が間柱12に向けて所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段29が凸部30で構成された例を示したが、これに代えて、図7(a)及び図7(b)に示すように、規制手段29を、間柱12の底板13の各挿通孔15の縁部15aから屋外に向けて立ち上がる立上り部31で構成することができる。
【0050】
各立上り部31は、底板13の各挿通孔15を取り巻いて配置された円筒状をなしており、底板13への各挿通孔15の形成時に例えば従来よく知られたバーリング加工を施すことにより底板13に形成される。各立上り部31の突出量は、それぞれ止水部材20の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されている。これにより、外壁パネル11が底板13に取り付けられていない状態では、各凸部30と同様に、各立上り部31の先端31aが止水部材20を超えて屋外に突出することはない。
【0051】
図7に示す例によれば、各リベット23の軸部25の引っ張り時に外壁パネル11が止水部材20を押し潰すことにより各立上り部31に当接したとき、各リベット23の筒状部24の上端部24aから外壁パネル11に作用する引っ張り力の大部分が各立上り部31に該各立上り部を圧縮する圧縮力として外壁パネル11から作用して受け止められる。
【0052】
これにより、各リベット23の軸部25が過剰に引っ張られた場合でも、間柱12へ向けての外壁パネル11の移動を各立上り部31により規制することができるので、外壁パネル11の各取付板17の各挿通孔19の縁部19aにより止水部材20が大きく押し潰されることが抑制される。
【0053】
また、前記したように、各立上り部31の突出量は、その先端31aが底板13上に配置された止水部材20から突出しない大きさに設定されていることから、各立上り部31が止水部材20から屋外側に突出することにより止水部材20への外壁パネル11の当接が妨げられることを、確実に防止することができる。これにより、外壁パネル11及び間柱12間の止水性を損なうことなく外壁パネル11の移動を規制することができる。
【0054】
更に、本実施例では、外壁パネル11を間柱12に取り付ける取付構造10に本発明を適用した例を示したが、これに代えて、外壁パネル11を壁枠材のように間柱12以外の建物下地材に取り付ける取付構造、床パネルのように外壁パネル11以外のパネル部材を間柱12に取り付ける取付構造及び外壁パネル11以外のパネル部材を間柱12以外の建物下地材に取り付ける取付構造に、本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る間柱に外壁パネルが取り付けられた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る間柱を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明に係るリベットを概略的に示す斜視図である。
【図4】本発明に係る外壁パネルを間柱に取り付ける前の状態を概略的に示す縦断面図である。
【図5】(a)は図1乃至図4に示す例とは別の間柱の実施例を概略的に示す平面図であり、(b)は(a)のI−I線に沿った縦断面図である。
【図6】(a)は図1及び図5に示す例とは別の間柱の実施例を概略的に示す平面図であり、(b)は(a)のII−II線に沿った横断面図である。
【図7】(a)は図1乃至図6に示す例とは別の間柱の実施例を概略的に示す平面図であり、(b)は(a)のIII−III線に沿った縦断面図である。
【符号の説明】
【0056】
10 取付構造
11 パネル部材(外壁パネル)
12 建物下地材(間柱)
15,21 挿通孔(間柱の底板及び止水部材に形成された挿通孔)
20 止水部材
23 締結部材(リベット)
29 規制手段
30 凸部
31 立上り部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル部材を建物下地材に取り付けるパネル部材の取付構造であって、前記パネル部材と前記建物下地材との間に配置され、それらの間を止水する止水部材と、前記パネル部材を前記建物下地材に結合する締結部材とを備え、前記建物下地材には、前記締結部材の締め付け時に前記パネル部材が前記止水部材を押し潰すことにより前記建物下地材に向けて移動したとき、前記パネル部材が所定の位置を越えて移動することを規制するための規制手段が設けられていることを特徴とするパネル部材の取付構造。
【請求項2】
前記建物下地材及び前記止水部材にはそれぞれ互いに対応する位置に前記締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、前記締結部材はその前記止水部材から突出した端部で前記パネル部材に係止されており、前記規制手段は、前記建物下地材に前記挿通孔の近傍で形成され前記パネル部材に向けて突出する凸部であり、該凸部の突出量は前記止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル部材の取付構造。
【請求項3】
前記凸部は前記挿通孔の前記建物下地材の長手方向の両側にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項2に記載のパネル部材の取付構造。
【請求項4】
前記建物下地材は長尺状をなしており、前記凸部は前記建物下地材の長手方向に伸びることを特徴とする請求項2に記載のパネル部材の取付構造。
【請求項5】
前記建物下地材及び前記止水部材にはそれぞれ互いに対応する位置に前記締結部材が挿通される挿通孔が形成されており、前記締結部材はその前記止水部材から突出した端部で前記パネル部材に係止されており、前記規制部材は前記挿通孔の縁部から前記パネル部材に向けて立ち上がる立上り部であり、該立上り部の突出量は前記止水部材の厚さ寸法よりも小さくなるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のパネル部材の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−291614(P2007−291614A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117336(P2006−117336)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】