説明

パラメトリック画像の自動スケーリング

データ処理方法は、人体部分の対応する場所を特徴付けるパラメータ値を含むパラメトリックマップを提供するステップと、選択された分析場所に対応する分析パラメータ値の分布の統計的指示子を決定するステップとを含む。各統計的指示子は、分析場所によって定義される人体部分の分析領域の状態を示す。統計的指示子を決定するステップは、分析パラメータ値の各分布について、分析場所を含む選択された処理場所に対応する処理パラメータ値の順序付けられたシーケンスを、自動スケーリング率に従って決定された所定個数の処理パラメータ値を含む第1及び第2の部分集合に分割する飽和値を決定するステップと、各処理場所について、対応する処理パラメータ値又は飽和値に等しい自動スケーリングされた値を含む自動スケーリングされたマップを生成するステップと、分析場所に対応する自動スケーリングされた値から統計的指示子を決定するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態に係るソリューションは医療機器の分野に関する。より具体的には、このソリューションは、パラメトリック画像の分析に関する。
【背景技術】
【0002】
パラメトリック画像は、診断時に適用される定量的分析の結果を図示するために広く用いられている。特に、この技術は、造影超音波イメージングにおける血液灌流の評価に使用可能である。この目的のために、例えばリン脂質安定化ガス充填微小気泡の懸濁液である超音波造影剤(ultrasonic contrast agent:UCA)が患者に投与される。造影剤は、有効な超音波反射物として作用し、また、超音波を送ってそれに応答して戻ってくるエコー信号を測定することにより容易に検出することができる。造影剤は患者の体内の赤血球と同じ速度で流れるので、その検出及び追跡を行うことにより、分析対象の人体部分における血液の灌流についての情報がもたらされる。特に、人体部分の各場所について所定時間にわたって記録されたエコー信号は、所定の数学的モデル関数に関連付けられる。このモデル関数は、上記人体部分の場所を特徴付ける任意の所望の灌流パラメータ(例えば流入レート)を計算するために使用されるものである。その後、人体部分の所定の場所を表す各画素に対して灌流パラメータの対応する値(単に「灌流パラメータ値」という)を割り当てることにより、パラメトリック画像が生成される。このパラメトリック画像は、(例えば、病的状態に起因して)灌流時に異常が生じた人体部分の場所の候補を同定することを支援するように、人体部分にわたる灌流パラメータ値の空間的分布を示す。
【0003】
パラメトリック画像は、また、ヒストグラムに基づいて統計的分析を行うために使用されてもよい。例えば、非特許文献1は、造影磁気共鳴(Magnetic Resonant:MR)イメージングの用途においてこの技術を用いることについて述べている。特に、脳血流量(Cerebral Blood Volume:CBV)マップが作成される(これは適切な色スケールを維持するために必要とされる最小値と最大値との間に制限されている)。次いで、このCBVマップは、影響を受けていない組織(典型的には、正常な対側白質)の値に対して正規化される。ここで、CBVマップの関心対象領域(Region of Interest:ROI)における値のヒストグラムが計算される。このヒストグラムは、例えば、その標準偏差に基づいて、又は、(二値ロジスティック回帰によって特定されている)複数の計量値に基づいて、対応する神経膠腫のグレードを評価するために使用される。
【0004】
同様に、非特許文献2は、正規化されたCBVマップからヒストグラムを計算することについて述べている。結果的に得られる曲線はその後、1に正規化される。ヒストグラム分布のピーク高さを決定することにより、神経膠腫の悪性度を評価することができる(その結果は、ヒストグラムの形状を分析することでさらに改善可能である)。
【0005】
さらに、非特許文献3は、神経膠腫のグレードと低グレードの稀突起神経膠細胞サブタイプとを特定するための、ピーク高さに対するカットオフ値を用いた同じ技術について述べている(ただし、著者ら自身は、カットオフ値を定義することが実際には困難であり、本質的にその転用可能性を低下させる、と認識している)。
【0006】
最後の例として、非特許文献4は、(例えば、透磁率に基づく)造影MRアプリケーションにおけるパラメトリック画像の統計的分析を用いて、治療に対する腫瘍の反応を評価することについて述べている。特に、この文献は、(対応するヒストグラムにより定性的に表されている)メジアン、範囲、又は歪度の値を用いることを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開EP0458745A
【特許文献2】国際出願の国際公開WO91/15b244A
【特許文献3】欧州特許出願公開EP0554213A
【特許文献4】国際出願の国際公開WO94/09829A
【特許文献5】国際出願の国際公開WO95/16467A
【特許文献6】欧州特許出願EP08169794.8
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. Law et al., "Histogram Analysis versus Region of Interest Analysis of Dynamic Susceptibility Contrast Perfusion MR Imaging Data in the Grading of Cerebral Gliomas", AJNR Am J Neuroradiol 28: 761-66, Apr 2007.
【非特許文献2】Kyrre E. Emblem et al., "Glioma Grading by Using Histogram Analysis of Blood Volume Heterogeneity from MR-derived Cerebral Blood Volume Maps", Radiology, pages 808-817, Volume 247, Number 3, June 2008.
【非特許文献3】K.E. Emblem et al., "Histogram Analysis of MR Imaging-Derived Cerebral Blood Volume Maps: Combined Glioma Grading and Identification of Low-Grade Oligodendroglial Subtypes", AJNR Am J Neuroradiol 29: 1664-70, Oct 2008.
【非特許文献4】C.Hayes et al., "Assessing tumour response to treatment: Histogram analysis of parametric maps of tumour vascular function derived from dynamic contrast-enhanced MR images", Proceedings of ISMRM 2000, Denver, Col, USA, April 2000.
【非特許文献5】Rafter et al., "Imaging technologies and techniques", Cardiology Clinics 22, pp.181-197, 2004.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、造影超音波イメージングの場合に適用されるとき、上述した統計的分析は、(パラメトリック画像を生成する元になる)エコー信号を記録するために使用された機器に強く依存した結果をもたらす。さらに、所与の機器を用いた場合であっても、その設定(例えば、利得、対数圧縮、など)を変化させることにより異なる結果が得られる。従って、これらの結果は、絶対的な定量的評価のためには不適である。さらに、これらの結果は、異なる機器又は設定を用いる研究者の間で比較可能ではない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
概して、本発明の実施形態に係るソリューションは、自動スケーリング手順を適用する着想に基づく。
【0011】
特に、本発明の一態様では、人体部分を分析する(例えば、ソフトウェアにより実装された)データ処理方法を提案する。本方法は、パラメトリックマップ(例えば、人体部分のパラメトリック画像)を提供するステップを含む。パラメトリックマップは、人体部分の対応する部分をそれぞれ特徴付ける(例えば、その流入レートを表す)複数のパラメータ値を含む。本方法では次に、選択された分析場所(例えば、人体部分の関心対象領域に係る上記場所に含まれる)に対応する、複数の分析パラメータ値の少なくとも1つの分布の少なくとも1つの統計的指示子(上記パラメータ値に含まれる)を決定する。各統計的指示子は、分析場所によって定義される人体部分の分析領域の状態を示す。本発明の実施形態に係るソリューションでは、少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、分析パラメータ値の各分布について飽和値を決定することを含む。飽和値は、分析場所(例えば、すべての場所からなる)を少なくとも含む選択された処理場所(上記場所に含まれる)に対応する、処理パラメータ値の順序付けられたシーケンス(上記パラメータ値に含まれる)を、第1の部分集合及び第2の部分集合に分割する。これらの部分集合は、(例えば、パラメトリック画像の累積ヒストグラムにおける)予め定義された自動スケーリング率に従って決定される所定個数の処理パラメータ値からなる。その後、(例えば、自動スケーリングされた画像からなる)自動スケーリングされたマップが生成される。自動スケーリングされたマップは、各処理場所に係る自動スケーリングされた値を含む。自動スケーリングされた値は、対応する処理パラメータ値が第2の部分集合に含まれるのであれば当該対応する処理パラメータ値に等しく、あるいは、対応する処理パラメータ値が第1の部分集合に含まれるのであれば飽和値に等しい。その後、分析場所に対応する自動スケーリングされた値から(例えば、それらのヒストグラム、対応する確率関数、及び/又は、この確率関数に係る1つ又は複数の統計的パラメータを計算することにより)少なくとも1つの統計的指示子が決定される。
【0012】
本発明の実施形態では、各パラメータ値は、予め投与された造影剤で灌流されている人体部分の対応する場所の灌流を示す。
【0013】
本発明の実施形態では、第1の部分集合の処理パラメータ値は、飽和値よりも高い(又は等しい)。
【0014】
本発明の実施形態では、飽和値を決定するステップは、処理パラメータ値の累積ヒストグラムを計算することと、飽和値を、累積ヒストグラムにおける自動スケーリング率に関連付けられた処理パラメータ値に設定することとを含む。
【0015】
本発明の実施形態では、自動スケーリング率は80%〜99.99%の範囲にある。
【0016】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、自動スケーリングされた値を予め定義された正規化範囲に正規化することをさらに含む。
【0017】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、分析場所に対応する自動スケーリングされた値のヒストグラムを計算することを含む。
【0018】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、ヒストグラムにパラメトリック関数(例えば、対数正規関数)をあてはめることによりヒストグラムの確率関数を計算することをさらに含む。
【0019】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、分析場所に対応する分析パラメータ値の分布に係る少なくとも1つの統計的パラメータの値を計算することを含む。
【0020】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的パラメータの値を計算するステップは、少なくとも1つの統計的パラメータの値を確率関数から計算することを含む。
【0021】
本発明の実施形態では、処理場所はすべての場所からなり、分析場所はそれらの場所の部分集合からなる。
【0022】
本発明の実施形態では、少なくとも1つの統計的パラメータは、複数の統計的パラメータ(例えば、モード及び標準偏差)である。本発明の実施形態では、本方法は、複数の統計的パラメータの各値の標示物を、各統計的パラメータについて視覚化された次元を有するグラフに表示するステップをさらに含む。
【0023】
本発明の実施形態では、複数の統計的パラメータに係る各基準範囲からなる少なくとも1つの集合の標示物を格納する知識ベースが(例えば、それを大容量メモリに予めロードすることにより)提供される。基準範囲からなる各集合は、人体部分の、対応する推定された状態を示す。本方法は、基準範囲からなる少なくとも1つの集合を知識ベースから検索するステップと、基準範囲からなる少なくとも1つの集合の表現をグラフに表示するステップとをさらに含む。
【0024】
本発明の実施形態では、分析場所に対応する分析パラメータ値の少なくとも1つの分布は、選択された合成場所(上記場所に含まれる)にそれぞれ関連付けられた複数の分析場所に対応する分析パラメータ値の複数の分布からなる。各合成場所の分析場所は、分析場所を含む場所の部分集合からなる。本発明の実施形態では、本方法は、合成画像を作成するステップをさらに含む。各合成場所について、合成画像は、対応する少なくとも1つの統計的指示子に基づく合成値を含む。
【0025】
本発明の実施形態では、各合成場所の分析場所は、合成場所を中心として周囲に設けられた、予め定義された共通個数の場所からなる。
【0026】
本発明の実施形態では、各合成場所に係る少なくとも1つの統計的指示子は、分析パラメータ値の対応する分布に係る複数の統計的パラメータの各値(例えば、モードの値及び標準偏差の値)である。複数の統計的パラメータに係る各基準範囲からなる少なくとも1つの集合の標示物を格納する知識ベースが提供される。基準範囲からなる各集合は、人体部分の対応する推定された状態を示す。合成画像を作成するステップは、基準範囲からなる少なくとも1つの集合を知識ベースから検索することと、合成場所の統計的パラメータの値と基準範囲からなる少なくとも1つの集合との間で比較することにより各合成場所の合成値を設定することとを含む。
【0027】
本発明の実施形態では、知識ベースは、基準範囲からなる各集合に係る異なる基準値の標示物を格納するようにさらに適合化される。合成画像を作成するステップは、少なくとも1つの基準値を知識ベースから検索することと、各合成場所の合成値を、合成場所の各統計的パラメータの値を含む基準範囲からなる集合の基準値に設定する、さもなければデフォルト値に設定することとを含む。
【0028】
本発明の実施形態では、合成場所はすべての場所からなる。
【0029】
本発明の異なる態様では、データ処理システム(例えばコンピュータ)上で実行されたときに、上述のデータ処理方法のステップを当該データ処理システムに実行させるコード手段を含むコンピュータプログラムを提案する。
【0030】
本発明の別の態様では、上述のデータ処理方法のステップを実行するように特に構成された手段を含む、(例えば超音波スキャナに基づいた)対応する診断システムを提案する。
【0031】
本発明の実施形態に係るソリューションの他の態様では、この診断システムを構成する構成方法を提案する。本構成方法は、異なるスキャナ及び/又は異なるスキャナ設定を用いて取得された複数のサンプルパラメトリックマップを提供するステップで開始する。各サンプルパラメトリックマップは、サンプル人体部分(上記人体部分に対応する)の対応するサンプル場所をそれぞれ特徴付ける複数のサンプルパラメータ値を含む。本方法では、続いて、サンプルパラメトリックマップに従って自動スケーリング率を決定する。
【0032】
本発明の実施形態では、サンプルパラメトリックマップは、サンプル人体部分に係る異なる推定された状態にそれぞれ関連付けられた、サンプルパラメトリックマップからなる複数の部分集合を含む。本方法は、各サンプルパラメトリックマップに係るサンプル飽和値を決定するステップをさらに含む。サンプル飽和値は、サンプルパラメトリックマップのサンプルパラメータ値の順序付けられたシーケンスを、自動スケーリング率に従って決定される所定個数のサンプルパラメータ値からなる第1のサンプル部分集合及び第2のサンプル部分集合に分割する。その後、複数の自動スケーリングされたサンプルマップが、対応するサンプルパラメトリックマップからそれぞれ生成される。自動スケーリングされたサンプルマップは、サンプル人体部分の各サンプル場所について、自動スケーリングされたサンプル値を含む。自動スケーリングされたサンプル値は、サンプルパラメトリックマップの対応するサンプルパラメータ値が第2のサンプル部分集合に含まれるのであれば当該サンプルパラメータ値に等しく、あるいは、サンプルパラメトリックマップの対応するサンプルパラメータ値が第1のサンプル部分集合に含まれるのであればサンプル飽和値に等しい。本方法では、続いて、各自動スケーリングされたサンプルマップの、自動スケーリングされたサンプル値の分布に係る複数のサンプル統計的パラメータ値を(例えば、上述のように、それらのヒストグラム及び確率関数を計算することにより)計算する。ここで、各推定された状態の基準範囲からなる集合を、サンプルパラメトリックマップの対応する部分集合のサンプル統計的パラメータ値から計算することが可能になる。
【0033】
本発明の実施形態では、本方法は、推定された状態の区別を最適化するように複数のサンプル統計的パラメータ又はそれらの組み合わせから統計的パラメータを選択するステップをさらに含む。
【0034】
本発明の異なる態様では、データ処理システム(例えばコンピュータ)上で実行されたときに、上述の構成方法のステップを当該データ処理システムに実行させるコード手段を含むコンピュータプログラムを提案する。
【0035】
本発明の別の態様では、コンピュータプログラムを具現する非一時的なコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品を提案する。本コンピュータプログラムは、データ処理システムの作業メモリに直接にロード可能なコード手段を含み、これにより上述のデータ処理方法及び/又は構成方法のステップを実行するデータ処理システムを構成する。
【0036】
本発明の異なる態様では、患者の人体部分を分析する診断方法を提案する。本診断方法は、患者に造影剤を投与するステップを含む。次いで、人体部分に呼びかけ信号が向けられる。本方法では、続いて、(人体部分の対応する場所に係る呼びかけ信号に対する応答をそれぞれ示す複数の入力値をそれぞれ含む)複数の入力マップからなるシーケンスを取得することを含む。ここで、各場所の入力値からなるシーケンスにパラメトリック関数が関連付けられる。人体部分の対応する場所をそれぞれ特徴付ける複数のパラメータ値を含むパラメトリックマップが、対応するパラメトリック関数に従って各パラメータ値を設定することにより計算される。パラメトリックマップを上述のデータ処理方法に従って処理することで、少なくとも1つの分析領域の少なくとも1つの統計的指示子を取得する。このとき、少なくとも1つの分析領域の少なくとも1つの統計的指示子に従って人体部分の状態が評価される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態に係るソリューションを適用可能な診断システムを示す図である。
【図2A】本発明の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図2B】本発明の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図2C】本発明の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図2D】本発明の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図2E】本発明の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図3A】本発明の他の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図3B】本発明の他の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図3C】本発明の他の実施形態に係る自動スケーリングの例を示す図である。
【図4A】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4B】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4C】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4D】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4E】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4F】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4G】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図4H】本発明の実施形態に係るソリューションを生体内に適用した例を示す図である。
【図5A】本発明の実施形態に係る統計的分析の例を示す図である。
【図5B】本発明の実施形態に係る統計的分析の例を示す図である。
【図5C】本発明の実施形態に係る統計的分析の例を示す図である。
【図5D】本発明の実施形態に係る統計的分析の例を示す図である。
【図5E】本発明の実施形態に係る統計的分析の例を示す図である。
【図6A】本発明の実施形態に係る統計的分析の適用例を示す図である。
【図6B】本発明の実施形態に係る統計的分析の適用例を示す図である。
【図7A】本発明の実施形態に係るソリューションを実装するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
【図7B】本発明の他の実施形態に係るソリューションを実装するために使用可能な主要構成要素の役割を表す図である。
【図8】本発明の実施形態に係るシステムを構成するために使用可能な処理に関連する動作フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
添付の図面と関連して以下の詳細な説明を非限定的な例示としてのみ参照することにより、本発明の実施形態に係るソリューションが他の特徴及びその利点とともに理解されるであろう(ここで、対応する構成要素を同一又は同様の符号で示し、説明の簡単化のために、繰り返しての説明は行わない)。
【0039】
特に図1を参照すると、超音波スキャナ100を備えた診断システム(すなわち、医療用イメージングシステム)が図示されている。スキャナ100は、本発明の実施形態に係るソリューションで患者103の人体部分102を分析するために使用されてもよい。超音波スキャナ100は、中央装置105と、ハンドヘルド型の(例えばアレー型の)送受信イメージングプローブ110とを含む。イメージングプローブ110は、(例えば、1〜50MHzの間の中心周波数を有する)複数のパルスからなるシーケンスを含む超音波を送信し、人体部分102による超音波パルスの反射から得られる無線周波(RF)エコー信号を受信する。この目的のために、イメージングプローブ110には送受信マルチプレクサが設けられ、これにより、イメージングプローブ110を上述のパルス−エコーのモードで使用できるようになる。
【0040】
中央装置105はマザーボード115を収容し、マザーボード115上に、超音波スキャナ100の動作を制御する電子回路(例えば、マイクロプロセッサ、作業メモリ、及びハードディスクドライブ)が設けられる。さらに、マザーボード115には、1つ以上のドーターボード(その全体を120で示す)が接続される。ドーターボード120は、イメージングプローブ110を駆動するための、また、受信されたエコー信号を処理するための電子回路を提供する。超音波スキャナ100には、リムーバブルディスク130(CD又はDVDなど)にアクセスするためのドライブ125を設けることもできる。モニタ135は、進行中の分析処理に関連する画像を表示する。超音波スキャナ100の動作はキーボード140によって制御され、キーボード140は従来の方法で中央装置105に接続される。好ましくは、キーボード140には、モニタ135の画面上のポインタ(図示せず)の位置を操作するために使用されるトラックボール145が設けられる。
【0041】
人体部分102の分析を行う間に、(有効な超音波反射物として作用する)造影剤が患者103に投与される。例えば、造影剤は、液体キャリア中のガス気泡の懸濁液を含む。典型的には、ガス気泡は、患者の毛細血管を通過できるようにするために、0.1〜5μmのオーダーの直径を有する。一般的に、ガス気泡は、乳化剤、油、シックナー、砂糖、タンパク質、又はポリマーを含むさまざまな系にガス又はその前駆物質を混入又はカプセル化させることにより安定化される。一般的に、安定化されたガス気泡は、ガス充填微小水泡と呼ばれる。微小水泡は、水媒体中に分散したガス気泡を含み、ガス/液体の界面において、界面活性剤、すなわち両親媒性材料を伴う非常に薄い膜の境界を有する(微小気泡としても知られる)。それに代わって、微小水泡は、脂質によって、又は天然もしくは合成のポリマーによって形成された固体材料の膜によって包囲されたガス気泡を含む(微小バルーン又は微小カプセルとしても知られる)。他の種類の造影剤は、微小粒子の孔内に設けられたガス気泡を有する、ポリマー又は他の固体からなる多孔性微小粒子の懸濁液を含む。微小水泡、特に微小気泡及び微小バルーンの適切な水性懸濁液と、その調整の例が、特許文献1〜5(それらの開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されている。ガス充填微小水泡を含む市販の造影剤の例として、ブラッコ・インターナショナル・BV(Bracco International BV)のSonoVue(登録商標)がある。
【0042】
好ましくは、静脈内ボーラスとして造影剤が患者103に投与される。すなわち、1回の投与が、(2〜20秒のオーダーの)短い時間期間にわたって注射器を用いて手で行われる。造影剤は、人体部分102を灌流するように、患者103の血管系内で循環する。それと同時に、イメージングプローブ110は、人体部分102のエリアにおいて患者103の皮膚と接触するように配置される。造影剤の破壊が無視できる程度(例えば、連続する超音波パルス間におけるその局所的濃度が5%未満、好ましくは1%未満)になるように、小さな音響エネルギー(例えば、メカニカルインデックス(MI)=0.01〜0.1)を有する一連の超音波パルスを人体部分102に適用する。選択された走査平面における人体部分102の各場所について、所定時間期間にわたる複数の捕捉時間における対応する超音波パルス(例えば、毎秒10〜30回の捕捉を行うレート)に応答して記録された複数のエコー信号からなるシーケンスにより、分析処理を行う間に、人体部分の当該場所の表現がそのスライスとしてもたらされる。エコー信号は、造影剤(存在する場合)及び周囲の組織によって生成された異なる寄与の重ね合わせからもたらされる。好ましくは、超音波スキャナ100は、造影剤の(非線形の)寄与に関して、エコー信号における組織の支配的な(線形の)寄与を実質的に除去する、又は少なくとも低下させるように、コントラスト特異のイメージングモードで動作する。コントラスト特異のイメージングモードの例は、例えば非特許文献5(その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されるように、ハーモニックイメージング(harmonic imaging:HI)、パルスインバージョン(pulse inversion:PI)、パワーモジュレーション(power modulation:PM)、及びコントラストパルスシーケンシング(contrast pulse sequencing:CPS)技術を含む。
【0043】
次いで、記録されたエコー信号から、1つ以上のパラメトリック画像が生成される。各パラメトリック画像は、可視化要素、すなわち基本的画像要素(画素)のそれぞれの値(単に「画素値」という)からなる、(例えば、M=512個の行及びN=512個の列を有する)行列によって定義される。各画素は、人体部分102における1つの場所に対応する。各画素は、人体部分の場所についてエコー信号の対応するシーケンスから計算される灌流パラメータの値(単に「灌流パラメータ値」という)を表し、例えば、その流入レートの値(単に「流入レート値」という)を表す。
【0044】
例えば、特許文献6(その開示内容の全体は参照によってここに組み込まれる)で説明されるように、複数のパラメトリック画像からなるシーケンスがリアルタイムで生成されてもよい。簡単にいうと、複数のエコー信号からなる各シーケンスは、最大値投影(Maximum Intensity Projection:MIP)アルゴリズムを適用することによってフィルタリングされ、エコー信号は所定時間にわたるそれらの最大値に保持される。次いで、フィルタリングされた複数のエコー信号からなるシーケンスは、(フィルタリングされたエコー信号が、予め定義された安定性時間ウィンドウにわたって一定になるとすぐに)そのピークを検出するためにモニタリングされる。このとき、人体部分の対応する場所に係る流入レート値は、フィルタリングされたエコー信号のピークの値と、流入の継続時間(ピークの瞬間と造影剤の到着の瞬間との差として決定される)との比として計算することができる。次いで、人体部分のその場所に係る流入レート値を各画素に割り当てることにより、パラメトリック画像が生成される。
【0045】
図2Aを参照すると、一般的なパラメトリック画像(205で示す)が図示されている。ここでは、パラメトリック画像205における空間的座標x,y(それぞれ、行の番号及び列の番号)によって識別される画素の流入レート値WR(x,y)に関して図示し、以下、これを単に「WR」という。このようなパラメトリック画像は、人体部分の選択された関心対象領域210について統計的分析を行うために使用されてもよい。
【0046】
この目的のために、図2Bに示すように、関心対象領域の内側の画素に係る流入レート値WRについてヒストグラムが計算される。詳しくは、複数の流入レート値WRからなる順序付けられたシーケンス(最小値WRmin=0から最大値WRmax=17までの範囲にわたる)は、互いに重なりあわずに隣接した、予め定義された個数のビン(例えば、1〜5の間の幅をそれぞれ有する)に分割される。関心対象領域における各画素は、その流入レート値WRを含むビンに割り当てられる。次いで、各ビンは、関心対象領域210のサイズから独立になるようにビンのカウント値を関心対象領域210全体における合計カウント値で除算することによって定義された、流入レート値WRの相対頻度に関連付けられる。ヒストグラムを概してグラフ215oで表す。これは、ビンを横軸にプロットし、相対頻度を縦軸にプロットしている。各ビンをバーで表し、バーはその相対頻度に比例する高さを有する。すべてのバーの相対頻度の合計は常に1に等しい。そして、ヒストグラム(同じ符号215oで示す)は、関心対象領域における流入レート値WRの分布を表す。
【0047】
好ましくは、次に、流入レート値WRの確率関数F(WR)がヒストグラム215oに関連付けられる。例えば、これは、ヒストグラム215oに対して、対数正規関数logn(WR)(すなわち、独立変数WRの自然対数の正規確率関数)、すなわち次式をあてはめる(フィッティングを行う)ことにより達成される。
【0048】
【数1】

【0049】
ここで、(フィッティング)パラメータm及びsはそれぞれ、変数ln(WR)の分布の平均及び標準偏差であり、WRwidthはビンの幅である。さらに詳しくは、確率関数F(WR)は、そのフィッティングパラメータm及びsの対応する値(単に「フィッティングパラメータ値」m及びsという)によって定義される、対数正規関数logn(WR)の実際のインスタンスからなる。これは、ヒストグラム215oの最良のあてはめをもたらすパラメータ値m及びsを選択する最適化処理によって決定される。確率関数F(WR)は、ヒストグラム215oを近似する曲線220oで表される。次いで、確率関数F(WR)(同じ符号220oで示す)は、分析を容易化するように、関心対象領域における流入レート値WRの分布を平滑化する。さらに、このとき、分析の正確さを向上するように、ヒストグラム215oの任意に多数のビンを維持できるようになる(これに対応して増大するノイズは、上述の平滑化によるフィルタリングで除去される)。
【0050】
ここで図2Cを参照すると、本発明の実施形態に係るソリューションでは、パラメトリック画像は、ヒストグラムの計算前に自動スケーリングされる。この目的のために、パラメトリック画像における全画素の流入レート値WRについて、累積ヒストグラムが計算される。この場合、各ビンは、当該ビン以下のすべてのビンにわたる流入レート値WRの累積相対頻度に関連付けられている。累積ヒストグラムも同様に、ビンを横軸にプロットし、累積相対頻度(%で表す)を縦軸にプロットしたグラフ225で表す(このとき、各バーの高さはその累積相対頻度に比例し、最後のバーで100%に等しい累積相対頻度を有する)。累積ヒストグラム(同じ符号225で示す)は、流入レート値WRに係る飽和値WRsatを決定するために使用される。飽和値WRsatは、累積ヒストグラム225における累積相対頻度の予め定義された自動スケーリング率Psに関連付けられた流入レート値WRに等しい。自動スケーリング率Psは、好ましくは80%〜99.99%の間の値に設定され、さらに好ましくは90%〜99.9%の間の値に(例えば、95%に等しく)設定される。例えば、図面では、飽和値は、(少なくとも自動スケーリング率Psに等しい、すなわちその値の水平線と交差する累積相対頻度を有する最後のビンの中央の流入レート値WRによって決定されて)WRsat=8.5になる。
【0051】
次いで、パラメトリック画像は、飽和値WRsatよりも高いすべての流入レート値WRを飽和値WRsatに等しく設定することによって、自動スケーリングされる。従って、図2Dに示すように、(自動スケーリングされた)パラメトリック画像の同じ関心対象領域に係るヒストグラム215aは、飽和値WRsatにクリッピングされ、飽和値WRsatにおいて(自動スケーリング率Psに対応する)相対頻度のピークを導入する。上述のように、次いで、確率関数220aはヒストグラム215aに関連付けられる。
【0052】
図2Eを参照すると、流入レート値WRは、(必要であれば)正規化範囲に正規化される。特に、(元の)最小値WRminから飽和値WRsatの範囲にわたる各(元の)流入レート値WRは、正規化された最小値WRmin(n)から正規化された最大値WRmax(n)までの範囲(例えば、0から1まで)にわたる次式の正規化された値で置き換えられる。
【0053】
【数2】

【0054】
そして、(WRmin=WRmin(n)=0であるとき)、次式によって与えられる。
【0055】
【数3】

【0056】
こうして、(自動スケーリングされかつ正規化されたパラメトリック画像の同じ関心対象領域について)確率関数220nに関連付けられたヒストグラム215nが得られる。
【0057】
パラメトリック画像の自動スケーリング(及びオプションの正規化)は、その任意の関心対象領域から得られたヒストグラムの等化を、従って対応する確率関数の等化を効果的にもたらす。本願の発明者らは、パラメトリック画像を生成するために使用される超音波スキャナに対する依存性(及び、利得など、その設定に対する依存性)がこの等化を行うことによって大幅に低減されるということは、驚くべきことであると考える。従って、ここで、確率関数を用いて、(絶対的定量的評価をもたらすように)超音波スキャナ及びその設定とは実質的に独立な統計的分析を実行することができる。こうして、異なる超音波スキャナ又はその設定を用いている研究者らの間で、得られた結果を比較することができる。
【0058】
この結果が完全に動的な方法で達成されるということを強調する。実際に、飽和値WRsatは先験的に固定されたものではなく、各パラメトリック画像について、自動スケーリング率Psに従って(その実際の流入レート値WRに依存するように)再計算される。
【0059】
例えば、図3Aは、上述したものと同じ関心対象領域について他のパラメトリック画像(図示せず)から得られたヒストグラム315o及び対応する確率関数320oを示す。この場合、パラメトリック画像は、より低感度の超音波スキャナを用いて、又は、より低い利得に設定された同じ超音波スキャナを用いて生成されている。従って、流入レート値WRは低くなり、このため、ヒストグラム315o及び確率関数320oは上述のもの(図2Bを参照)とはまったく異なったものになる。特に、流入レート値WRのピーク位置は左に(すなわち、より低い流入レート値WRに向かって)シフトし、流入レート値WRはより狭くなっている(すなわち、流入レート値WRの変動が小さくなり、上述の場合と同じ最小値WRmin’=0から、上述の場合の最大値WRmax=17よりずっと小さい最大値WRmax’=9までの範囲を有する)。
【0060】
従って、図3Bに示すように、このとき、同じ自動スケーリング率Ps=95%について、対応する累積ヒストグラム325から決定される飽和値WRsat’は、上述の場合より小さくなる(すなわち、WRsat=8.5ではなくWRsat’=4.3)。
【0061】
ここで図3Cを参照すると、このときパラメトリック画像からその自動スケーリング(この飽和値WRsat’に従って行われる)及び正規化の後で取得されるヒストグラム315n及び対応する確率関数320n(同じ正規化された最小値WRmin(n)から同じ正規化された最大値WRmax(n)までの範囲を有する)は、右に(すなわち、より高い流入レート値WRに向かって)シフトしたピークを有し、より広くなっている(すなわち、その流入レート値WRの変動が大きくなっている)。結果として、ヒストグラム315n及び確率関数320nは、上述のもの(図2Eを参照)と実質的に同じになる。
【0062】
図4A〜図4Hにおいて、上述の技術を生体内に適用した場合の異なる例を示す。特に図4Aを考慮すると、(正常な組織を有する)健康な前立腺のパラメトリック画像405が示されている。パラメトリック画像405において、4つの関心対象領域が選択される。特に、関心対象領域410pl及び関心対象領域410prはそれぞれ、前立腺の左右の辺縁領域(Peripheral Zone:PZ)について選択され、関心対象領域410tl及び関心対象領域410trはそれぞれ、前立腺の左右の移行領域(Transitional Zone:TZ)について選択される。パラメトリック画像405は自動スケーリングされかつ正規化され、関心対象領域410pl、410pr、410tl、及び410trについて4つのヒストグラム(図示せず)が計算される。
【0063】
図4Bを参照すると、次いで、これらのヒストグラムから曲線をあてはめることにより、左PZについて確率関数420plを取得し、右PZについて確率関数420prを取得し、左TZについて確率関数420tlを取得し、右TZについて確率関数420trを取得するように、4つの確率関数が決定される。図面からみてとれるように、前立腺の両側におけるPZについての2つの確率関数420pl及び420prは、非常に類似したものであり、ほとんど重なりあい、前立腺の両側におけるTZについての2つの確率関数420tl及び420trもまた、非常に類似したものであり、ほとんど重なりあっている。逆に、(それぞれPZ及びTZに係る)確率関数420pl、420pr及び確率関数420tl、420trは、大幅に異なっている。
【0064】
ここで図4Cを参照すると、病的状態にある前立腺のパラメトリック画像405'が示されている。パラメトリック画像405'において3つの関心対象領域が選択される。特に、関心対象領域410pr’は、前立腺癌(Prostate Cancer:PCa)を含む悪性の病変を含む右PZにおいて選択され、関心対象領域410pl’及び関心対象領域410tr’はそれぞれ、正常な組織を含む左PZ及び右TZにおいて選択される。パラメトリック画像405'は自動スケーリングされかつ正規化され、関心対象領域410pr’、410pl’、及び410tr’について3つのヒストグラム(図示せず)が計算される。
【0065】
図4Dを参照すると、次いで、これらのヒストグラムから曲線をあてはめることにより、右PZについて確率関数420pr’を取得し、左PZについて確率関数420pl’を取得し、右TZについて確率関数420tr’を取得するように、3つの確率関数が決定される。図面からみてとれるように、(それぞれPZ及びTZにおける正常な組織に係る)確率関数420pl’及び420tr’は、健康な前立腺における同じゾーンから得られる対応する確率関数(図4Bに示した確率関数であり、また、右上のコーナーに挿入して再掲する)に非常に類似している。逆に、PCaについての確率関数420pr’は、図4Bにおいて健康な前立腺における同じゾーンから得られたもの(正常な組織を表す)と比較して非常に異なった形状を有する。特に、確率関数420pr’のピークはより小さい値を有し、ピーク位置は右にシフトし、確率関数420pr’はより広くなっている。従って、確率関数420pr’の分析に基づいて、PZにおける対応する悪性の病変は、PZにおける正常な組織から容易に区別することができる。
【0066】
図4Eを考慮すると、他の病的状態にある前立腺のパラメトリック画像405’’が示されている。パラメトリック画像405’’において、3つの関心対象領域が選択される。特に、関心対象領域410tl’’は、腺腫(前立腺肥大症、Benign Prostate Hyperplasia:BPH)を含む良性の病変を含む左TZにおいて選択される。関心対象領域410pl’’及び関心対象領域410tr’’はそれぞれ、正常な組織を含む左PZ及び右TZにおいて選択される。パラメトリック画像405’’は自動スケーリング関心対象領域410tl’’、410pl’’、及び410tr’’されかつ正規化され、について3つのヒストグラム(図示せず)が選択される。
【0067】
図4Fを参照すると、次いで、これらのヒストグラムから曲線をあてはめることにより、左TZについて確率関数420tl’’を取得し、左PZについて確率関数420pl’’を取得し、右TZについて確率関数420tr’’を取得するように、3つの確率関数が決定される。図面からみてとれるように、(正常な組織についての)確率関数420pl’’及び420tr’’もまた、健康な前立腺における同じゾーンから得られる対応する確率関数(図4Bに示した確率関数であり、また、右上のコーナーに挿入して再掲する)に非常に類似している。逆に、BPHについての確率関数420tl’’は、図4Bにおいて健康な前立腺における同じゾーンから得られたもの(正常な組織を表す)と比較して非常に異なった形状を有する。特に、確率関数420tl’’のピーク位置は左にシフトし、確率関数420tl’’はより広くなっている。従って、確率関数420tl’’の分析に基づいて、TZにおける対応する良性の病変は、TZにおける正常な組織から容易に区別することができる。それと同時に、BPHについての確率関数420tl’’は、図4DのPCaについての確率関数からも異なっている(なぜならば、後者はより右方に曲がっている)。このような相違を、TZにおける病変の特徴付け、すなわち、悪性の病変から良性の病変を区別することに使用可能である。
【0068】
最後に、図4Gを考慮すると、異なる病的状態における前立腺のパラメトリック画像405’’’が示されている。パラメトリック画像405’’’において3つの関心対象領域が選択される。特に、関心対象領域410pl’’’及び関心対象領域410pr’’’はそれぞれ、前立腺炎を含む良性の病変を含む左PZ及び右PZにおいて選択される。代わりに、関心対象領域410pc’’’は、正常な組織を含む中央のPZにおいて選択される。パラメトリック画像405’’’は自動スケーリングされかつ正規化され、関心対象領域410pl’’’、410pr’’’、及び410pc’’’について3つのヒストグラム(図示せず)が計算される。
【0069】
図4Hを参照すると、次いで、これらのヒストグラムから曲線をあてはめることにより、左PZについて確率関数420pl’’’を取得し、右PZについて確率関数420pr’’’を取得し、中央のPZについて確率関数420pc’’’を取得するように、3つの確率関数が決定される。図面からみてとれるように、(正常な組織についての)確率関数420pc’’’もまた、健康な前立腺から得られる対応する確率関数(図4Bに示した確率関数であり、また、右上のコーナーに挿入して再掲する)に非常に類似している。逆に、前立腺炎についての確率関数420pl’’’及び420pr’’’は、確率関数420pc’’’と比較して非常に異なった形状を有する。従って、確率関数420pl’’’及び420pr’’’’の分析に基づいて、PZにおける対応する良性の病変は、PZにおける正常な組織から容易に区別することができる。それと同時に、前立腺炎についての確率関数420pl’’’及び420pr’’’’は、図4DのPCaについての確率関数からも異なっている。この場合もまた、このような相違を、PZにおける病変の特徴付け(悪性の病変から良性の病変を区別すること)に使用可能である。
【0070】
ここに提案する(パラメトリック画像を生成するために使用される超音波スキャナ、又はその設定に無関係に、確率関数に係る上述の定性的比較を可能にする)ソリューションは、医師の仕事を大幅に容易化する。
【0071】
各確率関数は、対応する関心対象領域における流入レート値WRの分布の(定量的な)統計的分析を行うことにも使用可能である。この目的のために、確率関数F(WR)の異なる複数の統計的パラメータの各値(単に「統計的パラメータ値」という)を計算することができる。このような統計的パラメータの例は、平均mean(WR)(流入レート値WRの分布の重心を表す)、モードmod(WR)(確率関数F(WR)のピークにおける流入レート値WR、すなわち、最も発生頻度が高い流入レート値WRを表す)、メジアンmed(WR)(流入レートWRの中央値、すなわち、当該流入レート値WRより大きな流入レート値WRの個数と小さな流入レート値WRの個数とが等しくなるような流入レート値WRを表す)、標準偏差σ(WR)(流入レート値WRの平均の周りにおける流入レート値WRの変わりやすさ又はばらつきを表す)、及び、歪みγ(WR)(流入レート値WRの分布の非対称性を表す)である。これらの統計的パラメータ値は、確率関数F(WR)のフィッティングパラメータ値m及びsから次式により計算することができる。
【0072】
【数4】

【数5】

【数6】

【数7】

【数8】

【0073】
これらの統計的パラメータ値は、分析対象の人体部分の関心対象領域における病的状態を同定するために有用である。特に、それらによって、病変から正常な組織を区別し、良性の病変から悪性の病変を区別できるようになる。さらに、人体部分の同じ関心対象領域における同じ統計的パラメータを所定期間にわたって連続的に測定することによって、病的状態の進展又は治療に対する反応をモニタリングできるようにもなる。このことは、医師の仕事をさらに容易化する。
【0074】
本発明の実施形態では、2つ以上の統計的パラメータの組み合わせ(モードmod(WR)及び標準偏差σ(WR)など)が使用される。例えば、23人の患者が、異なる複数の超音波スキャナで分析された。より具体的には、18人の患者がPhilips iU22で分析され、4人の患者がSiemens Sequoiaで分析され、1人の患者がToshiba Aplioで分析された。各患者について、当該患者の前立腺のパラメトリック画像が生成された(さらに、自動スケーリングされかつ正規化された)。これらのパラメトリック画像における83個の関心対象領域について、対応するヒストグラム及び確率関数F(WR)が決定された。これらの関心対象領域は、異なる複数のカテゴリーの人体部分、又はそれらの(位置及び/又は状態によって定義された)ゾーンに属する。特に、確率関数は、PZにおいて、正常な組織を含む26個の関心対象領域について決定され、前立腺炎を含む2つの関心対象領域について決定され、PCaを含む31個の関心対象領域について決定され、さらに、確率関数は、TZにおいて、正常な組織を含む21個の関心対象領域について決定され。BPHを含む2つの関心対象領域について決定された。各確率関数F(WR)について、モードmod(WR)及び標準偏差σ(WR)の対応する値(単に「モード値」mod(WR)及び「標準偏差値」σ(WR)という)が計算された。
【0075】
PZについて図5Aに示し、TZについて図5Bに示すように、統計的パラメータ値mod(WR)及びσ(WR)をそれぞれ、2Dのグラフ500p及び500tで表し、ここで、モードmod(WR)を横軸にプロットし、標準偏差σ(WR)を縦軸にプロットしている。この目的のために、各確率関数F(WR)に対して、モード値mod(WR)を横軸の座標に有しかつ標準偏差値σ(WR)を縦軸の座標に有する、結合された点CP(mod(WR),σ(WR))が関連付けられる。
【0076】
図面からみてとれるように、各カテゴリーの人体部分に係る結合された点CPは、グラフ500p及び500tの別個の領域に属する。特に、図5Aにおいて、PZに係る結合された点CPは、正常な組織について符号CP(PZ−Nor)で示し(黒)、PCaについて符号CP(PZ−PCa)で示し(濃いグレー)、前立腺炎について符号CP(PZ−Pro)で示す(淡いグレー)。同様に、図5Bにおいて、TZに係る結合された点CPは、正常な組織について符号CP(TZ−Nor)で示し(非常に淡いグレー)、BPHについて符号CP(TZ−PBH)で示す(白)。
【0077】
より形式的には、各カテゴリーの人体部分について、モード値mod(WR)及び標準偏差値σ(WR)の分布の重心をそれぞれ表す2つの平均値mean(mod)及びmean(σ)を計算し、平均値の周りにおけるモード値mod(WR)及び標準偏差値σ(WR)のばらつきをそれぞれ表す2つの標準偏差値σ(mod)及びσ(σ)を計算することができる。異なる複数のカテゴリーの人体部分に係る(そして特に同じ人体部分における異なる複数の状態に係る)これらの値は、大幅に異なっている。例えば、正常な組織を含むPZ及びPCaを含むPZの間と、正常な組織を含むPZ及びTZの間との両方で、平均値mean(mod)及びmean(σ)について統計的に有意な差があり(p<0.01)、PCaを含むPZ及び正常な組織を含むTZの間において、平均値mean(σ)について統計的に有意な差があった(p<0.05)(一方向のANOVA分析及びポストホックのt検定を用いた)。
【0078】
図5C及び図5Dを参照すると、PZについて他のグラフ500pcにおいて、また、TZについて他のグラフ500tcにおいて、異なる複数のカテゴリーの人体部分に注目する(ここでも、モードmod(WR)を横軸にプロットし、標準偏差σ(WR)を縦軸にプロットしている)。この目的のために、各カテゴリーの人体部分は、横軸の平均値mean(mod)及び縦軸の平均値mean(σ)を座標として有する基準点に関連付けられ、さらに、基準点の周りにおいて横軸に沿ってその標準偏差値σ(mod)に等しく広がり、縦軸に沿ってその標準偏差値σ(σ)に等しく広がるように、基準のばらつきに関連付けられる。特に、PZに係る図5Cにおいて、正常な組織について基準点RP(PZ−Nor)及び基準のばらつきRR(PZ−Nor)が取得され、PCについて基準点RP(PZ−PCa)及び基準のばらつきRR(PZ−PCa)が取得され、前立腺炎について基準点RP(PZ−Pro)が取得される(この場合は、2つの観測量のみが利用可能であるので基準のばらつきは決定されない)。同様に、TZに係る図5Dにおいて、正常な組織について基準点RP(TZ−Nor)及び基準のばらつきRR(TZ−Nor)が取得され、BPHについて基準点RP(TZ−BPH)が取得される(この場合も、2つの観測量のみが利用可能であるので基準のばらつきは決定されない)。
【0079】
従って、各カテゴリーの人体部分について基準エリアを定義することができる。基準エリアは、対応する基準点の周りにおいて対応する基準のばらつきに等しいサイズを有して広がる矩形からなる。特にPZ(これは、癌の80%がその中に存在するので、前立腺の分析を行う間に通常考慮されるゾーンである)のみを考慮すると、図5Eにおいて、その基準エリアのグラフ500paが示される。図面からみてとれるように、基準エリアRA(PZ−Nor)は正常な組織について定義され、基準エリアRA(PZ−PCa)はPCaについて定義される。これにより、PZの異なる状態がグラフ500paにおける別個の領域を定義するということが確実になる。
【0080】
図6Aに、本発明の実施形態に係る上述の統計的分析の適用例を示す。特に、一般的な患者の前立腺を分析しなければならないときはいつでも、対応するパラメトリック画像が生成される。次いで、パラメトリック画像は自動スケーリングされかつ正規化される。このパラメトリック画像のPZにおける関心対象領域から得られるヒストグラムが計算され、対応する確率関数615が決定される。このとき、確率関数615のモード値mod(WR)及び標準偏差値σ(WR)を計算することができる。
【0081】
図6Bを参照すると、ここで、この確率関数を表し、モード値mod(WR)及び標準偏差値σ(WR)によって定義される座標を有する結合された点CPが、先に定義されたグラフ500pa(分析対象の前立腺のゾーンに対応する)上にプロットされる。(予め定義された)基準エリアRA(PZ−Nor)及びRA(PZ−PCa)に関する結合された点CPの位置は、分析対象の前立腺の状態の評価を大幅に容易化する。特に、検討している例では、結合された点CPは基準エリアRA(PZ−PCa)内に位置し、このことは、前立腺が癌におかされている可能性があることを意味する(当然ながら、最終的な診断は、常に医師によって行われなければならない)。
【0082】
図7Aに、本発明の実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要なソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素をともに表す図を示す。これらの構成要素を全体として符号700aで示す。特に、情報(プログラム及びデータ)は典型的にはハードディスクに格納され、プログラムが実行されるとき、データ処理システム(例えば、超音波スキャナ又は別個のパーソナルコンピュータ)の作業メモリに(少なくとも部分的に)ロードされる。オペレーティングシステム及び他のアプリケーションプログラム(図示せず)も同様である。プログラムは最初に例えばDVD-ROMからハードディスクにインストールされる。より具体的には、図面は、システムの静的構造を(対応する構成要素によって)示し、さらに、その動的ふるまいを(交換される一連のメッセージであって、対応する動作をそれぞれ表し、シンボル「A」を先頭に有するシーケンス番号で示すメッセージによって)示す。
【0083】
特に、入力モジュール703は、イメージングプローブを制御するドライバを含む。例えば、このイメージングプローブのドライバは、送信ビーム形成器と、分析対象の人体部分に適用される複数の超音波パルスを発生する複数のパルス発生器とを備える。次いで、イメージングプローブは、選択された走査平面における人体部分の各場所によって反射されたエコー波形を受信する。結果として得られるアナログRFエコー信号は受信プロセッサに供給され、受信プロセッサは、アナログRFエコー信号の前置増幅を行い、予備的な時間利得補償(time-gain compensation:TGC)を適用する。次いで、アナログRFエコー信号は、アナログ/ディジタル変換器(ADC)によってディジタル値に変換され、受信ビーム形成器によって、合焦されたビーム信号に合成される。このように取得されたディジタル信号は、好ましくは、別のディジタルアルゴリズム及び他の線形又は非線形信号コンディショナ(例えばビーム形成後TGC)を用いて処理される。特に、受信プロセッサは、組織の寄与を抑圧するために、(例えば、上述のHI、PI、PM、又はCPS技術に基づく)コントラスト特異のアルゴリズムを適用する。次いで、ディジタル信号は復調され、(良好なバランスのコントラストを有する画像を得るために)対数圧縮され、ビデオフォーマットに走査変換される。この処理により、(コントラスト特異の)複数のビデオ画像からなるシーケンスが生成され、画像は対応するリポジトリ706に記憶される。以下、簡単化のために、複数の異なるメモリ構造及びそれらの内容を、同じ参照番号で示す。各ビデオ画像706は、人体部分の場所にそれぞれ対応する各画素の値からなる行列によって定義される。各画素値は、画素の輝度を定義する信号レベル(例えば8ビットで符号化されている)からなる。例えば、グレースケールのビデオ画像では、画素値は、(人体部分の対応する場所における音響応答を表す)対応するエコー信号の強度の関数として、0(黒)から255(白)まで増大する。
【0084】
分析処理の開始時において、スキャナのオペレータは、イメージングプローブを起動し、(いかなる造影剤も投与する前に)それを分析対象の人体部分の周囲に移動させる。対応する複数のビデオ画像706は、取得されるとすぐに、そのリアルタイム表示を行うようにディスプレイモジュール709に連続的に送られる(動作「A1.初期化」)。オペレータは、(好ましくは、疑わしい領域を含む)分析対象の人体部分のゾーンを表す走査平面を選択し、イメージングプローブを固定位置に維持する。
【0085】
次いで、造影剤が患者に投与され、超音波スキャナは、人体部分の選択された走査平面における灌流処理を表すさらなる一連のビデオ画像706を取得する(動作「A2.取得」)。プロセッサ712がビデオ画像706のリポジトリにアクセスする。プロセッサ712は、複数のパラメトリック画像からなる対応するシーケンスを生成し、画像はリポジトリ715に格納される(動作「A3.生成」)。各パラメトリック画像715は、人体部分の対応する場所について計算されている灌流パラメータの値をそれぞれ表す複数の画素値からなる行列によって定義される。パラメトリック画像715は、ビデオ画像706と同じサイズを有していてもよく(灌流パラメータ値が画素レベルで計算されるとき)、又は、より小さなサイズを有していてもよい(空間的なサブサンプリングを行って隣接画素のグループについて灌流パラメータ値を計算するとき)。例えば、各パラメトリック画像715は、上述の特許文献6で説明しているようにリアルタイムで取得される。この場合、各画素について、パラメトリック画像715は、人体部分の対応する場所の流入レート値WRを含む。この値は、その時点までに利用可能なビデオ画像706における対応する画素値について(安定性時間ウィンドウにわたって一定値を維持した後で)ピークが検出されるとすぐに計算される。さもなければ、対応する画素値は値0に維持される。好ましくは、パラメトリック画像715さらに、(例えば、運動のアーティファクトに起因する)有意でない流入レート値WRを無視するように、予め定義されたしきい値(例えば、パラメトリック画像715における許容される最大画素値の0から5%までの範囲)未満である各画素値を(値0に)リセットすることによってフィルタリングされる。
【0086】
選択器718は、選択されたパラメトリック画像をリポジトリ715から抽出するためにオペレータによって使用される(動作「A4.選択」)。例えば、この選択された画像715は、分析処理の最後において取得されるものである(人体部分について所定時間にわたって計算されたすべての流入レート値WRの概要をもたらす)。飽和器721は、選択された画像715及び(予め定義された)知識ベース724にアクセスする。知識ベース724は、(分析対象である対応するカテゴリーの人体部分、又はそのゾーンにそれぞれ特有の)複数の自動スケーリング率Psを集めたものを格納する。飽和器721は、このカテゴリーの分析対象の人体部分に係る自動スケーリング率Psを知識ベース724から抽出する。飽和器721は、選択された画像715の(すべての)流入レート値の累積ヒストグラムを計算し、(累積ヒストグラムにおける自動スケーリング率Psに関連付けられた流入レート値WRに対応する)飽和値WRsatを決定する。この飽和値WRsatは、対応するレジスタ727に格納される(動作「A5.飽和」)。自動スケーリング器730は、レジスタ727から飽和値WRsatを抽出する。次いで、自動スケーリング器730は、選択された画像715から自動スケーリングされた画像を生成し、この自動スケーリングされた画像は、対応するファイル739に格納される(動作「A6.自動スケーリング」)。自動スケーリングされた画像739は、飽和値WRsatより高いすべての流入レート値WRを飽和値WRsatに等しく設定することによって、選択された画像715から取得される。
【0087】
正規化器742は、自動スケーリングされた画像739にアクセスする。正規化器742は、自動スケーリングされた画像739の画素値を、予め定義された正規化範囲(例えば、0から1まで)に正規化する。これにより正規化された画像745がもたらされ、これは対応するファイルに格納される(動作「A7.正規化」)。
【0088】
境界設定器747は、選択された画像715を検索し、これをディスプレイモジュール709に表示する。オペレータは、選択された画像715において関心対象領域を(例えば、トラックボールを用いて、その周りに線を描画することにより)選択する。次いで、境界設定器747は、正規化された画像745における対応する関心対象領域(例えば、同じ座標を有する)を決定する。これにより、境界設定器747は、境界設定された画像を生成し、これは対応するファイル749に格納される(動作「A8a.境界設定」)。境界設定された画像749は、関心対象領域の外側におけるすべての画素を値0にリセットすることによって、正規化された画像745から取得される。
【0089】
計算器751が、境界設定された画像749にアクセスする。計算器751は、境界設定された画像749の関心対象領域における(すなわち、非0である画素値のみについての)流入レート値WRのヒストグラムを計算する。このヒストグラムの表現(例えば、対応するビン及びその相対頻度の広がりをそれsぞれ示す複数のセルからなるアレーを含む)がファイル754に格納される(動作「A9a.計算」)。
【0090】
あてはめ器757は、ファイル754からヒストグラムを抽出する。あてはめ器757は、ヒストグラム754に対数正規関数をあてはめることにより、対応する確率関数F(WR)を決定する。この確率関数F(WR)の表現(そのフィッティングパラメータ値m及びsによって定義される)がテーブル760に格納される(動作「A10a.あてはめ」)。
【0091】
次いで、分析器763は、テーブル760からフィッティングパラメータ値m及びsを抽出する。分析器763は、フィッティングパラメータから、対応する確率関数F(WR)の2つ以上の統計的パラメータの値を計算する。計算すべき統計的パラメータのタイプ(例えば、モードmod(WR)及び標準偏差σ(WR))は、分析器763によって知識ベース724から抽出される。このように取得された統計的パラメータ値(対応する結合された点を定義する)は、テーブル766に格納される(動作「A11a.分析」)。
【0092】
一方、抽出器769はさらに知識ベース724にアクセスする。分析対象である各カテゴリーの人体部分、又はそのゾーンについて、知識ベース724はさらに、対応する発生しうる状態にそれぞれ関連する複数の基準エリアを集めたものの定義を格納する。各基準エリアは、一対の基準パラメータ(例えば、統計的パラメータに係る基準点及び基準のばらつき)の対応する値によって定義される。(オペレータによって示された)このカテゴリーの分析対象の人体部分について、抽出器769は、その各発生しうる状態に係る基準エリアの定義を知識ベース724から抽出し、これらの基準エリアの定義を対応するテーブル722に格納する(動作「A12.抽出」)。結合器775は、結合された点の定義766及び基準エリアの定義772にアクセスする。結合器775は、分析対象の人体部分の関心対象領域に係る確率関数F(WR)の結合された点の表現(テーブル766からの統計的パラメータ値によって定義される)と、その異なる複数の発生しうる状態に係る基準エリアの表現(テーブル722からの対応する基準パラメータ値のペアによって定義される)とを含む、2Dグラフを生成する(モードmod(WR)を横軸にプロットし、標準偏差σ(WR)を縦軸にプロットしている)。このように取得されたグラフの表現は、対応するテーブル778(動作「A13.結合」)に格納される。次いで、このグラフ778は、その表示のためにディスプレイモジュール709に供給される(動作「A14a.表示」)。
【0093】
図7Bを参照すると、本発明の他の実施形態に係るソリューションを実施するために使用可能な主要なソフトウェア及び/又はハードウェア構成要素700bをともに表す図を示す。
【0094】
上述のように、正規化された画像745は、選択された画像715に対して自動スケーリング及び正規化を行うことによって生成される。しかしながら、この場合、標本化器783が、正規化された画像745にアクセスする。標本化器783は、(正規化された画像745と同じサイズを有する)標本化マップを生成し、これはファイル786に保存される(動作「A8b.標本化」)。標本化マップ786の各エントリは、正規化された画像745の対応する画素を含むセルの座標を格納する。セルは予め定義されたサイズ(例えば、10〜50画素×10〜50画素)を有し、対応する画素を中心としてその周囲に設けられる。
【0095】
上述したものと同じ計算器751が、正規化された画像745及び標本化マップ786にアクセスする。計算器751は、(標本化マップ786と同じサイズを有する)ヒストグラムマップを生成し、これはファイル789に保存される(動作「A9b.計算」)。ヒストグラムマップ789の各エントリは、標本化マップ786の対応するエントリにおいて定義された、正規化された画像745に係るそのセルについての流入レート値WRのヒストグラムの表現を含む。
【0096】
上述したものと同じあてはめ器757が、ヒストグラムマップ789にアクセスする。あてはめ器757は、(ヒストグラムマップ789と同じサイズを有する)関数マップを生成し、関数マップは、ファイル792に保存される(動作「A10b.あてはめ」)。関数マップ792の各エントリは、ヒストグラムマップ789における対応するヒストグラムにあてはめ可能な確率関数F(WR)の表現を含む。
【0097】
上述したものと同じ分析器763が、関数マップ792(及び知識ベース724)にアクセスする。分析器763は、(関数マップ792と同じサイズを有する)合成マップを生成し、合成マップはファイル795に保存される(動作「A11b.分析」)。合成マップ795の各エントリは、対応する確率関数F(WR)から計算された、知識ベース724において示された統計的パラメータ(例えば、上述したように、モードmod(WR)及び標準偏差σ(WR))の値を含む。
【0098】
上述のように、抽出器769は、このカテゴリーの分析対象の人体部分に係る発生しうる状態についての基準エリアの定義(すなわち、複数組の基準パラメータ値からなるペア)を知識ベース724から抽出し、それらをテーブル722に格納する。この場合、各基準エリアについて、知識ベース724はさらに、異なる色の表現(例えば、色ルックアップテーブルについての対応するインデックスを含む)を格納し、この色表現も同様に知識ベース724から抽出され、テーブル722に格納される(同じ動作「A12.抽出」)。
【0099】
評価器797は、合成マップ795及び基準エリアの定義772(複数組の基準パラメータ値からなるペアとそれらの色表現とを含む)にアクセスする。次いで、評価器797は、(合成マップ795と同じサイズを有する)合成画像を生成し、合成画像はファイル799に保存される(動作「A13b.評価」)。各画素について、合成画像799は、(テーブル722からの対応する基準パラメータ値のペアによって定義された)基準エリアの色表現を含み、ここで、(合成マップ796の対応するエントリからの統計的パラメータ値によって定義された)対応する結合された点が存在し、一方、合成画像799の画素は、結合された点がいかなる基準エリアにも存在しないとき、異なるデフォルト色の表現を含む。例えば、前立腺のPZを分析する場合、正常な組織について緑色を基準エリアに関連付け、PCaについて赤色を基準エリアに関連付けることができる(ここで、デフォルト色は黒に等しい)。さらに、(例えば、選択されたビデオ画像706を、合成画像799の黒に等しい画素値の背景において表示することにより)選択されたビデオ画像706上に合成画像799を重ねて表示することもできる。次いで、合成画像799は、その表示のためにディスプレイモジュール709に供給される(動作「A14b.表示」)。
【0100】
合成画像は、人体部分にわたる統計的パラメータ値の空間的分布を示し、それぞれ、人体部分の対応する場所の近傍における(自動スケーリングされかつ正規化された)パラメータ値の分布の対応する特性を示す。特に、(各結合された点を基準エリアと比較することに基づく)上述の色表現は、人体部分全体の概要を示し、これより、(疑わしい関心対象領域のいかなる先験的な選択を行う必要もなく)発生しうる病変を容易に同定して特徴付けることができる。実際に、上述の例を参照すると、緑(又は黒)のみで着色された合成画像は、前立腺全体の健康な状態を示し、それに対して、赤色で着色された合成画像の有意なエリアは、PCaが疑われる場所を、そのサイズ及び位置とともに示す(当然ながら、最終的な診断は、常に医師によって行われなければならない)。
【0101】
ここで図8を考慮すると、上述の本発明の実施形態に係るシステムを構成するために使用可能な処理に関連する動作フローを、方法800により示す。
【0102】
方法800は、黒丸の開始部803で開始し、次いでブロック806に進み、ここで、あるカテゴリーのサンプル人体部分、又はそのゾーンが選択される。このカテゴリーのサンプル人体部分は、その各位置について、同じ条件で、その位置(例えば、前立腺のPZ及びTZ)に無関係に、上述の統計的分析の首尾一貫した結果をもたらすように選択される。
【0103】
次いで、このカテゴリーのサンプル人体部分の各発生しうるサンプル状態(例えば、正常な組織、PCa、前立腺炎、及びBPHを含む)について、ループが実行される。ループはブロック809で開始し、ここで、サンプル状態のうちの1つが選択される。続いてブロック812に進み、サンプル状態における(このカテゴリーの)特定のサンプル人体部分に係るパラメトリック画像が生成される。この動作は、サンプル設定を有するサンプルスキャナを用いることによって、サンプル患者に対して実行される。次いでブロック815において、サンプル状態におけるサンプル人体部分について十分な個数のパラメトリック画像(例えば、10〜200)が取得されたか否かについて検証するテストが行われる。Noであるときは、方法800はブロック818に進み、ここで、他のサンプルスキャナ及び/又は他のサンプル設定が選択される。次いで、動作フローはブロック812に戻り、このサンプル設定を有するこのサンプルスキャナを用いて、(同じサンプル人体部分上の、又は、異なるサンプル患者のサンプル人体部分上の)同じサンプル状態における同じカテゴリーのサンプル人体部分に係る他のサンプルパラメトリック画像を生成する。ブロック815において上述のループの終了条件が満たされるとすぐに、方法800は下のブロック821に進む。このフェーズにおいて、このカテゴリーのサンプル人体部分のすべての発生しうるサンプル状態が処理されたか否かについて検証する別のテストが行われる。Noのときは、方法800はブロック809に戻り、(異なるサンプル患者上の)同じカテゴリーのサンプル人体部分の次のサンプル状態に対して同じ動作を実行する。
【0104】
そうでないときは、ブロック824において、このカテゴリーのサンプル人体部分に係る自動スケーリング率Psが決定される。自動スケーリング率Psは、(実際に生成可能なすべての発生しうるパラメトリック画像を表す)このカテゴリーのサンプル人体部分のすべてのサンプルパラメトリック画像に係るヒストグラムの(自動スケーリングに起因する)有意な等化を保証するように選択される。この目的のために、自動スケーリング率Psは可能な限り小さくなければならず、少なくとも、各サンプルパラメトリック画像の累積ヒストグラムにおける最大の流入レート値WRの割合未満、例えば、その最後から2番目のビンの割合未満でなければならない(そうでなければ、流入レート値WRの飽和がまったく生じなくなる)。逆に、自動スケーリング率Psは、(流入レート値WRの飽和は、ヒストグラムの対応する最後部のカットオフをもたらすので)自動スケーリングによって引き起こされる情報の損失を最小化するように可能な限り大きく維持されなければならない。このため、自動スケーリング率Psは、これらの対立する要件の間のトレードオフとして選択される。例えば、自動スケーリング率Psは、すべてのサンプルパラメトリック画像の累積ヒストグラムにおける最後から2番目のビンの割合の最大値から、予め定義された値(例えば、0〜5%)を削減した値に設定される。
【0105】
ブロック827に進み、各サンプルパラメトリック画像は、(このように決定された自動スケーリング率Psを用いて)自動スケーリングされている。次いでブロック830において、各(自動スケーリングされた)サンプルパラメトリック画像のヒストグラムが計算される。本方法は続いてブロック833に進み、ここで、各サンプルヒストグラムから曲線をあてはめることにより、サンプル確率関数F(WR)が決定される。ここでブロック836を参照すると、各サンプル確率関数について、複数のサンプル統計的パラメータからなる集合に係る値が計算される(例えば、平均mean(WR)、モードmod(WR)、メジアンmed(WR)、標準偏差σ(WR)、及び歪みγ(WR))。続いてブロック839に進み、複数のサンプル統計的パラメータ又はその任意の組み合わせのうちで、このカテゴリーのサンプル人体部分の統計的分析に使用する2つ又は(それよりも多く)の統計的パラメータが決定される。これらの統計的パラメータは、例えば主成分分析によって、このカテゴリーのサンプル人体部分の異なる複数のサンプル状態を同定する能力を最大化するものが選択される。
【0106】
次いで、このカテゴリーのサンプル人体部分の各サンプル状態について、ループが実行される。ループはブロック842で開始し、ここで、サンプル状態のうちの1つが選択される。続いてブロック845に進み、このサンプル状態についてのサンプル確率関数からこのように決定された各統計的パラメータの値の平均及び標準偏差が計算され、対応する基準エリアが定義される。次いでブロック848において、このカテゴリーのサンプル人体部分すべてのサンプル状態が処理されたか否かについて検証するテストが行われる。Noであるときは、方法800はブロック842に戻り、同じカテゴリーのサンプル人体部分の次のサンプル状態に対して同じ動作を実行する。
【0107】
そうでないときは、動作フローは下のブロック851に進む。このフェーズにおいて、このカテゴリーのサンプル人体部分(すなわち自動スケーリング率Ps)について、かつ、そのサンプル状態(すなわち対応する基準エリアの定義)についてこのように取得された情報が、提案するシステムの知識ベースを配置(populate)するために使用される。次いでブロック854において、他のカテゴリーのサンプル人体部分を処理するか否かについて検証するテストが実行されるYesであるときは、動作フローはブロック806に戻り、次のカテゴリーのサンプル人体部分に対して同じ動作を実行する。そうでないときは、方法800は白黒の同心円の終了部857において終了する。
【0108】
変形例.
当然ながら、局所的及び特定の要件を満たすために、当業者は、多くの論理的及び/又は物理的な修正及び変更を上記のソリューションに適用してもよい。このソリューションは、その好ましい1つ又は複数の実施形態を参照してある程度の特殊な場合について説明してきたものの、より具体的には、それはさまざまな省略、置換、及び形態ならびに詳細における変更が可能であるとともに、他の実施形態も可能であることが理解されるべきである。特に、同じソリューションは、そのより完全な理解を提供するために上述の説明に記載されている特定の詳細事項(例えば数値例)なしで実施することができる。逆に、よく知られている機能は、不必要な事項で説明を不明瞭にしないようにするために省略又は簡略化している場合がある。さらに、開示したソリューションのいずれかの実施形態に関連して説明した特定の構成要素及び/又は方法ステップは、一般的な設計上の選択の問題として、他の任意の実施形態に組み込まれてもよいということが特に意図されている。
【0109】
特に、提案したソリューションは、それ自体、(同様のステップを使用して、非必須であるいくつかのステップを削除して、又は、さらにオプションのステップを追加することで)同等の方法で実施することに適している。さらに、これらのステップは、(少なくとも部分的に)異なる順序で、同時に、又はインターリーブされた方法で、実行されてもよい。
【0110】
提案する方法は、患者(特に、本方法の実施前に患者に予め投与されていてもよい造影剤)とのいかなる相互作用とも独立に実施可能であることに注意すべきである。さらに、また、患者への造影剤の投与は、非侵襲的な方法で行われてもよく、又はいずれにせよ、専門の医療技術を必要としたり又は患者に健康上のリスクをもたらしたりする患者への実質的な物理的介入なしに行われてもよい(例えば、筋内又は経口)。提案する方法は医師の仕事を容易化するが、これは一般的には中間の結果をもたらすだけであり、この中間の結果により、彼/彼女が人体部分の検査を例えば診断の目的で行うことを支援することができる(ただし、厳密な意味で治療目的の診断は、常に医師自身によって行われなければならない)。
【0111】
各パラメトリック画像が他の灌流パラメータ(例えば、血液量、平均速度、最大強度、ピークまでの時間、流入時間、到達時間、ピーク値の平方根を流入継続時間の二乗で割った値、又はそれらの組み合わせ)に基づくものであっても、同様の考察があてはまる。さらに、パラメトリック画像は他の任意の方法で生成されてもよく、例えば、各画素についての灌流処理全体を行う間に記録されたエコー信号に所定の数学的モデル関数をオフラインであてはめることによって生成されてもよい(単一の画素ではなく、複数の画素からなる複数のグループのレベルであってもよい)。さらに、同じソリューションを3Dパラメトリック画像に適用することについて、いかなるさまたげも存在しない。より一般的には、パラメトリック画像及び自動スケーリングされた画像は、人体部分の対応する場所を特徴付けるものである(それぞれ初めから計算されかつ自動スケーリングされた)任意のパラメータ値をそれぞれ含む、同等のマップによって置き換えられてもよい。パラメータ値は、(これらのマップは必ずしも表示されなくてもよいので)ビデオフォーマットを持たなくてもよい。
【0112】
提案するソリューションは、関心対象領域における自動スケーリングされたパラメータ値の分布に係る任意の統計的指示子、又は複数の統計的指示子からなる組み合わせを計算することによって(さらに任意の方法で表示する、例えばモニタ上に又は印刷物として表示することによって)実施することに適している。例えば、それらのヒストグラム、対応する確率関数、及び/又は、他の任意の統計的パラメータ(例えば、その歪み)の値のみを提供することができる。それに加えて、自動スケーリングされたパラメトリック画像を表示することもできる。自動スケーリングされたパラメトリック画像は、背景における選択されたフィルタリング済み画像上に重ね合わされてもよく、関心対象領域の外側の(元の)ビデオ画像上に重ね合わされてもよく、又は、コントラスト非特異の画像(エコー信号から直接に取得される基本Bモード画像など)と組み合わされてもよい。
【0113】
提案するソリューションは、同等の造影剤を用いて実施することに適している。いずれにせよ、例えば、提案するソリューションを、造影剤の投与を行うことなく、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)やX線コンピュータ断層撮影(X-ray Computed Tomography:CT)に基づく他の任意の医療用イメージングシステムへ適用する可能性を除外するものではない。
【0114】
同じ方法を逆の論理で適用することについて、いかなるさまたげも存在しない。この場合、自動スケーリング率Psは値0%を示す(例えば、0.01%から20%までの範囲を有する)。従って、いったん上述のように飽和値WRsatが決定されると、パラメトリック画像は、飽和値WRsat未満であるその流入レート値WRを飽和値WRsatに等しく設定することにより自動スケーリングされている。
【0115】
同様に、飽和値WRsatは、累積ヒストグラムを計算することなしに、他の任意の同等の方法で決定されてもよい。例えば、画素値を降順に配置してそれらを自動スケーリング率の補数(100%−Ps)に達するまでスキャンすることによって同じ結果を達成してもよく、又は、より一般的には、流入レート値WRからなる順序付けられたシーケンスを、その部分集合であって、予め定義された割合の流入レート値WRに対応する(例えば、最も近い)所定の(整数)個数の流入レート値WRをそれぞれ含む2つの部分集合に分割することに適した他の任意のアルゴリズムを用いることで同じ結果を達成してもよい。例えば、自動スケーリング率Psにおいて飽和値WRsatよりも小さい(又は等しい)流入レート値WRを有するように、当該飽和値WRsatを決定することができる。
【0116】
提案する自動スケーリング率Psの値は単なる例示であり、限定するものとして解釈してはならない。例えば、異なる複数の値の自動スケーリング率Psを用いることができ、又は逆に、すべての人体部分について同じ値を用いることもできる。
【0117】
自動スケーリングされたパラメトリック画像は、他の任意の方法で、任意の正規化範囲に正規化されてもよい(この動作が厳密には不要である場合、例えば、統計的分析が対応する確率関数の形状指示子のみに基づく場合)。
【0118】
各ヒストグラムが異なる構造を有する場合(例えば、ビンの個数が異なり、従って幅が異なる場合)にも、同様の考察があてはまる。
【0119】
それに代わって、各確率関数は、(例えば、ニューラルネットワークを用いることにより)その性質についてのいかなる仮定もなしに同等の技術を用いて決定されてもよい。同様に、対応するヒストグラムに他の任意の関数、例えば、ガンマ変量(gamma-variate)関数、局所的密度の乱歩関数、などをあてはめることにより、確率関数を決定することができる。
【0120】
当然ながら、提案する統計的パラメータは単なる例示であり、限定するものとして解釈してはならない。より一般的には、任意個数の統計的パラメータ又はそれらの組み合わせ(最小で1つ)を用いることができる。
【0121】
それに加えて、統計的パラメータ値は、対応するヒストグラム及び/又は確率関数を計算することなく、自動スケーリングされた値から直接に取得されてもよい。
【0122】
複数のパラメータ値からなる異なる複数の集合に対して自動スケーリング及び/又は統計的分析を適用することについて、いかなるさまたげも存在しない。例えば、自動スケーリングを関心対象領域のみに適用することができ、又は逆に、統計的分析を人体部分全体に適用することができる。さらに、関心対象領域は、人体部分の他の任意の画像(例えば、自動スケーリングされた画像自体、元のビデオ画像のうちの1つ、又は、フィルタリングされた画像のうちの1つ)上で選択されてもよい。
【0123】
いずれにせよ、統計的パラメータ値は、他の任意の方法で表示されてもよい(単なるテーブルを用いてもよい)。一方、3つ以上の次元を有するグラフ(例えば、4つの統計的パラメータによって定義される結合された点を表す着色によって定義される3軸及び別の次元を含む)が使用されてもよい。
【0124】
同様の考察が基準エリアにあてはまる。例えば、複数の基準エリアが、異なる複数の基準パラメータ(例えば、平均値mean(mod),mean(σの周囲))によって、及び/又は、異なる形状(例えば、標準偏差値σ(mod),σ(σ)の予め定義された倍数に等しい半径によって定義される中心の周囲にわたる範囲を有する)を有して、定義されてもよい。いずれにせよ、この機能は、提案するソリューションの基本的実装では省略されてもよい。
【0125】
いずれにせよ、複数の統計的パラメータ値を使用する(そしてそれらを対応するグラフに表示する)ことに基づく上述の技術は、提案するパラメトリック画像の自動スケーリングなしに(すなわち、元のパラメトリック画像においてそれらを直接に計算することによって)使用することもに適しているということを強調する。
【0126】
いずれにせよ、合成画像を(例えばモニタ上に又は印刷物として)表示してもよい。さらに、合成画像を選択されたフィルタリング済みの画像又はコントラスト特異の画像上に重ね合わせることができ、又は、合成画像のみを(背景における他のいかなる画像もなしに)表示することもできる。
【0127】
合成画像における各画素の統計的パラメータ値を計算するために使用されるセルは、他の任意のサイズ((正規化された)自動スケーリングされた画像の全体にわたって変化させたときであっても、統計的に有意な結果をもたらすように十分に大きい)及び/又は形状(例えば、円形)を有してもよい。さらに、(市松模様の効果を有する)各セルのすべての画素について同じ統計的パラメータ値を有する合成画像を取得するように、自動スケーリングされたパラメトリック画像を複数の固定セルに単に分割する可能性を除外するものではない。
【0128】
(正規化された)自動スケーリングされた画像のみに係る関心対象領域について合成画像を生成することについて、いかなるさまたげも存在しない。
【0129】
より一般的には、合成画像の各画素は、対応する統計的パラメータ値に基づく任意の値を表してもよい。例えば、本発明の代替の実施形態では、合成画像の各画素を単に対応する統計的パラメータ値に設定することができる。特に、各画素について単一の統計的パラメータの値が計算されるとき(例えば、歪み)、異なる色を用いて、好ましくは統計的パラメータ値の増大に応じて輝度が増大するように表されてもよい。それに代わって、各画素について2つの統計的パラメータの値が計算されるとき(例えば、上述のようにモード及び標準偏差)、これらは、モード値について異なる色を用いて表され、標準偏差値について(対応するモード値を表す色の)異なる輝度によって表されてもよい。
【0130】
さらに、合成画像の各画素を(その結合された点と利用可能な基準エリアとを比較することにより)異なる方法で設定することができる。例えば、画素は、結合された点が異なる基準エリアにわたって移動するときに次第に変化する色に設定されてもよい。
【0131】
いずれにせよ、合成画像を生成する上述の技術は、提案するパラメトリック画像の自動スケーリングなしに(すなわち、元のパラメトリック画像に対して直接に行うことにより)使用することに適しているということを強調する。
【0132】
提案するシステムは、他の任意の方法で構成されてもよい。例えば、各人体部分(又はそのゾーン)の自動スケーリング率Psは、サンプルパラメトリック画像に基づいて異なる複数の値に設定されてもよい。それに代わって、シミュレーション技術を用いて自動スケーリング率Psの最適値を決定することも、又は逆に、すべての人体部分について同じ予め定義された自動スケーリング率Psを使用することもできる。
【0133】
提案するシステムの知識ベースを配置することに適した他の任意の手順がある。例えば、(対応するシステムを使用する医師によって提供される入力に従って)知識ベースがその使用中に連続的に更新される自律システムを実施することができる。
【0134】
それに代わって、確率関数の統計的分析のために使用される統計的パラメータは、他の技術を用いて決定されてもよく、又は予め定義されていてもよい(すべての人体部分について同じタイプであってもよい)。
【0135】
このソリューションは、超音波スキャナの既存の制御プログラムのプラグインとして実装されてもよく、このとき、同じ制御プログラム内に直接実装されてもよく、又はスタンドアロンアプリケーション(別個のコンピュータ上で実行されていてもよく、又はネットワークサービスとして提供されていてもよい)として実装されてもよい。(本発明の各実施形態を実施するために使用される)プログラムが別の方法で構造化されている場合、又は追加のモジュールや機能が用意されている場合にも、同様の考察があてはまる。同様に、メモリ構造は、他のタイプであってもよく、又は同等のエンティティ(必ずしも物理的記憶媒体で構成されていない)で置き換えられてもよい。いずれにせよ、プログラムは、任意のデータ処理システムによって、又はそれに接続して(例えば、仮想マシン内で)使用することに適した任意の形態をとることができる。特に、プログラムは外部又は常駐ソフトウェア、ファームウェア、又はマイクロコードの形態(オブジェクトコードであるか、又は例えばコンパイル又は解釈されるソースコードであるかのいずれかの形態)であってもよい。また、任意のコンピュータ使用可能な媒体であって、プログラムを格納、記憶、通信、伝播、又は転送するのに適した任意の構成要素であってもよい媒体上でプログラムを提供することができる。例えば、媒体は、電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体型のものであってもよい。このような媒体の例は、固定ディスク(プログラムを事前ロードできる場所)、リムーバブルディスク、テープ、カード、有線、ファイバー、無線接続、ネットワーク、電磁波、などである。いずれにせよ、本発明の実施形態に係るソリューションは、ハードウェアの構造(例えば、半導体材料のチップに統合された)を用いた実装にも、又はソフトウェアとハードウェアの組み合わせを用いた実装にも適している。
【0136】
特に、超音波スキャナが異なる構造を持っているか、又は他のユニットを含んでいる場合(例えば、リニア、凸、フェーズド、又はマトリックスアレー型のイメージングプローブを用いる場合)にも、同様の考察が適用される。それに代わって、提案するソリューションは、超音波スキャナと別個のコンピュータ(又は任意の同等のデータ処理システム)で構成される診断システムに適用される。この場合は、記録された情報は、その処理のために超音波スキャナからコンピュータに(例えば、ディジタル、アナログ、又はネットワークの接続を経由して)転送される。
【0137】
上記のソリューション及びその任意の変形は、有利に、従来の診断方法(上述のステップ、すなわち、造影剤を投与するステップと、分析対象の人体部分から必要なデータを取得するステップと、データを上述のように処理して人体部分の状態を評価できるようにするための情報を取得するステップとを含む)に使用することができる。特に、造影剤の注入は、動脈内、リンパ内、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、間質、髄腔内又は腫瘍内の経路に、持続注入(破壊的フラッシュの適用の有無にかかわらず)として、(例えば胃腸管のイメージングを行うために)経口により、ネブライザーを介して気道に、などで実行可能である。さらに、先の説明では前立腺の分析を参照したが、これは限定を意図したものではなく、同じソリューションが、他の人体部分(例えば肝臓や胸など)に係る任意の種類の分析に、同様に用途を発見する可能性がある。より一般的には、診断方法という用語は、その最も広い意味で解釈されなければならない(例えば、関心対象領域における病的状態を同定及び/又は特徴付けること、病的状態の進展又は治療に対する反応をモニタリングすること、など)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体部分を分析するデータ処理方法(A1−A14a;A1−A14b)において、上記方法は、
人体部分の対応する場所をそれぞれ特徴付ける複数のパラメータ値を含むパラメトリックマップを提供するステップ(A1−A4)と、
選択された分析場所に対応する複数の分析パラメータ値の少なくとも1つの分布に係る少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A5−A11a−A5−A11b)であって、各統計的指示子は、上記分析場所によって定義される上記人体部分の分析領域の状態を示すステップとを含み、
上記方法において、上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップは、上記分析パラメータ値の各分布について、
上記分析場所を少なくとも含む選択された処理場所に対応する処理パラメータ値の順序付けられたシーケンスを、予め定義された自動スケーリング率に従って決定された所定個数の処理パラメータ値を含む第1の部分集合及び第2の部分集合に分割する飽和値を決定するステップ(A5)と、
各処理場所について、
a)上記対応する処理パラメータ値が上記第2の部分集合に含まれる場合には、当該対応する処理パラメータ値に等しく、
b)上記対応する処理パラメータ値が上記第1の部分集合に含まれる場合には、上記飽和値に等しい、
自動スケーリングされた値を含む自動スケーリングされたマップを生成するステップ(A6)と、
上記分析場所に対応する上記自動スケーリングされた値から上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A8a−A11a;A8b−A11b)とを含む方法。
【請求項2】
各パラメータ値は、予め投与された造影剤で灌流されている上記人体部分の対応する場所の灌流を示す請求項1記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項3】
上記第1の部分集合の処理パラメータ値は、上記飽和値以上である請求項1又は2記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項4】
上記飽和値を決定するステップ(A5)は、
上記処理パラメータ値の累積ヒストグラムを計算するステップ(A5)と、
上記飽和値を、上記累積ヒストグラムにおける上記自動スケーリング率に関連付けられた処理パラメータ値に設定するステップ(A5)とを含む請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項5】
上記自動スケーリング率は80%から99.99%の範囲を有する請求項1〜4のいずれか1つに記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項6】
上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A5−A11a−A5−A11b)はさらに、上記自動スケーリングされた値を予め定義された正規化範囲に正規化するステップ(A7)を含む請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項7】
上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A8a−A11a;A8b−A11b)は、上記分析場所に対応する上記自動スケーリングされた値のヒストグラムを計算するステップ(A9a;A9b)を含む請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項8】
上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A8a−A11a;A8b−A11b)はさらに、上記ヒストグラムにパラメトリック関数をあてはめることにより上記ヒストグラムの確率関数を計算するステップ(A10a;A10b)を含む請求項7記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項9】
上記少なくとも1つの統計的指示子を決定するステップ(A8a−A11a;A8b−A11b)は、上記分析場所に対応する上記分析パラメータ値の上記分布に係る少なくとも1つの統計的パラメータの値を計算するステップ(A11a;A11b)を含む請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法(A1−A14a;A8b−A11b)。
【請求項10】
上記少なくとも1つの統計的パラメータの値を計算するステップ(A11a;A11b)は、上記少なくとも1つの統計的パラメータの値を確率関数から計算するステップ(A11a;A11b)を含む請求項9記載の方法(A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項11】
上記処理場所はすべての上記場所を含み、上記分析場所は上記場所の部分集合を含む請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法(A1−A14 A1−A14a;A1−A14b)。
【請求項12】
上記少なくとも1つの統計的パラメータは複数の統計的パラメータであり、
上記方法はさらに、各統計的パラメータについて可視の次元を有するグラフにおいて、上記統計的パラメータの各値を示す情報を表示するステップ(A12−A14a)を含む請求項10又は11記載の方法(A1−A14a)。
【請求項13】
上記統計的パラメータについて複数の基準範囲からなる少なくとも1つの集合を示す情報を格納する知識ベース(724)が設けられ、基準範囲からなる各集合は、上記人体部分の対応する推定された状態を示し、
上記方法はさらに、
上記知識ベースから、上記複数の基準範囲からなる少なくとも1つの集合を検索するステップ(A12)と、
上記複数の基準範囲からなる少なくとも1つの集合の表現を上記グラフに表示するステップ(A13)とを含む請求項12記載の方法(A1−A14a)。
【請求項14】
上記分析場所に対応する上記分析パラメータ値の上記少なくとも1つの分布は、上記分析場所に対応する上記分析パラメータ値の複数の分布であって、選択された合成場所にそれぞれ対応する複数の分布を含み、各合成場所の上記分析場所は、上記分析場所を含む場所のうちの部分集合を含み、
上記方法はさらに、各合成場所について合成画像を生成するステップ(A12,A13b)であって、上記合成画像は、対応する少なくとも1つの統計的指示子に基づく合成値を含むステップを含む請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法(A1−A14b)。
【請求項15】
各合成場所の上記分析場所は、当該合成場所を中心として周囲に位置する、予め定義された共通の個数の場所を含む請求項14記載の方法(A1−A14b)。
【請求項16】
各合成場所の上記少なくとも1つの統計的指示子は、上記分析パラメータ値の対応する分布に係る複数の統計的パラメータの各値であり、
上記統計的パラメータについて複数の基準範囲からなる少なくとも1つの集合を示す情報を格納する知識ベース(724)が設けられ、基準範囲からなる各集合は、上記人体部分の対応する推定された状態を示し、
上記合成画像を生成するステップ(A12,A13b)は、
上記知識ベースから、上記基準範囲からなる少なくとも1つの集合を検索するステップ(A12)と、
上記合成場所の上記統計的パラメータの値と上記基準範囲からなる少なくとも1つの集合との比較に従って、各合成場所の上記合成値を設定するステップ(A13b)とを含む請求項14又は15記載の方法(A1−A14b)。
【請求項17】
上記知識ベース(724)はさらに、基準範囲からなる各集合について異なる基準値を示す情報を格納するように適応化され、
上記合成画像を生成するステップ(A12,A13b)は、
上記知識ベースから、上記少なくとも1つの基準値を検索するステップ(A12)と、
各合成場所の上記合成値を、当該合成場所の上記各統計的パラメータの値を含む複数の基準範囲からなる集合の各値に設定し、そうでなければデフォルト値に設定するステップ(A13b)とを含む請求項16記載の方法(A1−A14b)。
【請求項18】
上記合成場所はすべての上記場所を含む請求項14〜17のいずれか1つに記載の方法(A1−A14b)。
【請求項19】
コンピュータプログラム(700a;700b)がデータ処理システム(100)上で実行されたとき、請求項1〜18のいずれか1つに記載のデータ処理方法(A1−A14a;A1−A14b)のステップを当該データ処理システム(100)に実行させるコード手段を含むコンピュータプログラム(700a;700b)。
【請求項20】
請求項1〜18のいずれか1つに記載のデータ処理方法(A1−A14a;A1−A14b)のステップを実行する手段(700a;700b)を含む診断システム(100)。
【請求項21】
請求項20記載の診断システム(100)を構成する構成方法(800)であって、上記構成方法は、
異なる複数のスキャナ及び/又はその設定を用いて取得された複数のサンプルパラメトリックマップを提供するステップ(806−821)であって、各サンプルパラメトリックマップは、上記人体部分に対応するサンプル人体部分の対応するサンプル場所をそれぞれ特徴付ける複数のサンプルパラメータ値を含むステップと、
上記サンプルパラメトリックマップに従って上記自動スケーリング率を決定するステップ(824)とを含む方法。
【請求項22】
請求項13記載のデータ処理方法のステップを実行する手段を含む診断システム(100)を構成する請求項21記載の構成方法(800)であって、
上記サンプルパラメトリックマップは、上記サンプル人体部分の異なる推定された状態にそれぞれ対応する上記サンプルパラメトリックマップの複数の部分集合を含み、
上記方法はさらに、
各サンプルパラメトリックマップについてのサンプル飽和値であって、上記サンプルパラメトリックマップの上記サンプルパラメータ値からなる順序付けられたシーケンスを、上記自動スケーリング率に従って決定された所定個数のサンプルパラメータ値を含む第1のサンプル部分集合及び第2のサンプル部分集合に分割するサンプル飽和値を決定するステップ(827)と、
いずれかのサンプルパラメトリックマップにそれぞれ対応する複数の自動スケーリングされたサンプルマップを生成するステップ(827)であって、上記自動スケーリングされたサンプルマップは、上記サンプル人体部分の各サンプル場所について、
a)上記サンプルパラメトリックマップの対応するサンプルパラメータ値が上記第2のサンプル部分集合に含まれる場合には、当該サンプルパラメトリックマップの対応するサンプルパラメータ値に等しく、
b)上記サンプルパラメトリックマップの対応するサンプルパラメータ値が上記第1のサンプル部分集合に含まれる場合には、上記サンプル飽和値に等しい、
自動スケーリングされたサンプル値を含むステップと、
各自動スケーリングされたサンプルマップの上記自動スケーリングされたサンプル値の分布に係る複数のサンプル統計的パラメータ値を計算するステップ(830−842)と、
サンプルパラメトリックマップの対応する部分集合のサンプル統計的パラメータ値から、各推定された状態の複数の基準範囲からなる集合を計算するステップ(845)とを含む方法。
【請求項23】
上記推定された状態の区別を最適化するように、上記複数のサンプル統計的パラメータ又はそれらの組み合わせから上記統計的パラメータを選択するステップ(839)をさらに含む請求項22記載の方法(800)。
【請求項24】
コンピュータプログラム(800)がデータ処理システム(100)上で実行されたとき、請求項21〜23のいずれか1つに記載の構成方法(800)のステップを当該データ処理システム(100)に実行させるコード手段を含むコンピュータプログラム(800)。
【請求項25】
データ処理システムの作業メモリに直接にロードされることで請求項1〜18のいずれか1つに記載のデータ処理方法を実行するように当該データ処理システムを構成可能なコード手段を含むコンピュータプログラムを具体化する非揮発性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項26】
データ処理システムの作業メモリに直接にロードされることで請求項21〜23のいずれか1つに記載の構成方法を実行するように当該データ処理システムを構成可能なコード手段を含むコンピュータプログラムを具体化する非揮発性のコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項27】
患者の人体部分を分析する診断方法において、上記診断方法は、
上記患者に造影剤を投与するステップと、
上記人体部分に呼びかけ信号を向けるステップと、
上記人体部分の対応する場所に係る上記呼びかけ信号に対する応答をそれぞれ示す複数の入力値をそれぞれ含む複数の入力マップからなるシーケンスを取得するステップであって、各場所の上記複数の入力値からなるシーケンスにパラメトリック関数が関連付けられ、上記人体部分の対応する場所をそれぞれ特徴付ける複数のパラメータ値を含むパラメトリックマップが、対応する上記パラメトリック関数に従って各パラメータ値を設定することにより計算され、上記パラメトリックマップを請求項1〜18のうちのいずれか1つの記載のデータ処理方法に従って処理することで、少なくとも1つの分析領域の少なくとも1つの統計的指示子が取得されるステップと、
上記少なくとも1つの分析領域の上記少なくとも1つの統計的指示子に従って上記人体部分の状態を評価するステップとを含む診断方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−529320(P2012−529320A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514452(P2012−514452)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058031
【国際公開番号】WO2010/142694
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(510179423)ブラッコ・シュイス・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】Bracco Suisse SA
【Fターム(参考)】