説明

パルス検出しきい値の調整及びパルス検出のための方法及び装置、並びに対応する受信機

本発明は、パルス検出しきい値を調整するための方法に関する。上記方法は、パルスエンベロープのエッジがしきい値を越えたときに上記パルスを検出する段階と、しきい値に初期値THを割り当てる段階Aと、少なくとも1つの監視枠OWで検出されたパルスの数が決められた時間内で所定の基準を満たすように、しきい値THを調整する段階Bとからなる。上記調整は、少なくとも1つの監視枠OW中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、しきい値THを変化させることによって行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルス検出しきい値を調整するための方法及び装置に関する。さらに、本発明は、上記で調整されたしきい値を用いてパルスを検出するための方法及び装置、特に、パルス無線超広帯域受信機及び類似の受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
パルス転送、特に無線の新技術は、パルスを用いて転送されるべき情報の送信を行うとともに、特に、Ultra Wide Bandの頭文字からUWB受信機と呼ばれる超広帯域受信機を実現する。
【0003】
故に、パルス信号は、連続的な信号ではなく、デューティ比の小さい短いパルス列となる。
【0004】
この信号の変調に関して、最も一般的なのは、符号の値に従ってパルスが時間シフトされるパルス位置変調(Pulse Position Modulation,PPM)、符号の値に従ってパルスが送信される離散振幅変調(又は、On-Off Keying,OOK)、及び符号の値に従ってパルス極性が反転する2進位相シフト変調(又は、Binary Phase Shift Keying,BPSK)である。
【0005】
同期獲得フェーズの間に、シーケンスの優先情報を活用することによって、受信機は、このシーケンスを識別し、その開始時間を決定し、かつそこから需要の多い時間基準を抽出する。
【0006】
UWB受信技術は、つい最近の技術である。現在のUWB受信機は、同期相関によるパルス検出の原理に依存している。
【0007】
上記受信機において、それは、判定を行うためにしきい値と比較されて取得した相関比である。この場合、この値が信頼性又は尤度比を表し、かつパルスの到達の瞬間ではないので、このしきい値の適切な調整は、あまり重要ではない。
【0008】
しかしながら、ノイズの多い信号中のパルス検出の原理は非常に古く、RADARまでさかのぼる。
【0009】
この原理を研究すると同時に、数多くの理論展開が提案されてきた。
【0010】
例として、定誤り検出率(Constant False Alarm Rate,CFAR)を用いた検出原理が挙げられる。上記原理は、期待された性能を満たすと同時に、システムが許容可能なノイズの山(誤り検出)によってトリガされる最大数を決定することからなる。ノイズのみ存在する中で、上記システムは、2分法によって誤り検出のこの最大数に対応するしきい値をトリガする間に、校正フェーズを実行する。このようにして取得されたしきい値は、固定エラー率に対する実現可能な最大感度に相当する。
【0011】
ただし、CFAR検出部の過程は注目に値するが、その原理に直接関連して、ある欠点を示す。
CFAR検出部は、下限検査率を設定する。受信機は、どんな転送条件でも、誤り検出、すなわちエラーの数を取得するために、そのしきい値を設定する。従って、受信機は、たとえ、より良い性能が約束されるような性質であることが後から分かっても、良好な条件を利用することができない。
誤り検出は、大多数のエラーを表す。この不均衡が符号化システムによって補償されなければならない。
受信機が検出部に向けた信号の送信を制御しないので、RADARに比べて、しきい値の校正に手間がかかる。従って、その校正の間、いかなる信号の入力もないことを確実とするために、受信機のアンテナとの接続を断つ必要がある。従って、校正過程は、極めてまれに、かつすべての動的通信フェーズ以外でしか実行できない。動作中の適応性のある校正はあり得ず、故に、受信機は、チャネルの変動性に応じて発展できない。
【0012】
また、利用可能な信号上でシンボル時間毎の固定トリガ数を探索できる。トリガ数は、パルスのエンベロープの立ち上がりエッジがしきい値を越えるパルスの数に相当する。この原理はもっとも単純だが、時間間隔毎に転送されるパルスの数の情報に依存する。そして、しきい値は、期待されたパルスの数の検出を可能にするまで、各繰り返しでの値Δによって引き下げられる。故に、同期ヘッダがシンボル時間毎に8つのパルスを含む場合、システムの目的は、シンボル時間毎に8つのトリガを取得することである。
【0013】
シンボル時間毎のトリガ数に応じてしきい値を設定するこの技術は、以下の問題を引き起こす。
CFAR技術と同様に、受信機はチャネルの変動性に応じて発展できない。
さらに、しきい値の不十分な設定は、同期ヘッダがノイズに埋もれている場合、パルスより振幅の大きい一部のノイズの山が検出されたパルスと見なされるので、非検出によってエラー率の上昇が起こる。
【0014】
結局のところ、従来技術は、相関による検出の場合の非検出率か、又はCFARの場合の誤り検出率かのどちらか一方の的確なタイプのエラー率を最小化するために探索を行うとともに、それぞれ誤り検出率か又は非検出率かのどちらか一方の別のタイプのエラーを損なうまで、同期ヘッダ上で繰り返し位置決めを行う。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、2つのタイプのエラー間でバランスの取れた探索を行う技術を提供することにある。それは、同一の時間で、非検出によるエラー率と、誤り検出によるエラー率とを最小化する。
【0016】
この目的に対して、本発明は、シンボル時間中ではなく、シンボル時間中の少なくとも1つの所定の監視枠中で、トリガの数に応じたパルス検出しきい値の位置調整を提供する。
【0017】
別の形態に従って、監視枠は、少なくとも1つのパルスを監視するために設定される。故に、監視枠の機能により、ノイズ中のパルスを分離することによって、しきい値は、パルスに関係して、かつノイズの山に関係なく、より頻繁に調整される。
【0018】
これによって、パルスがノイズ中に埋もれている場合に、同一の時間において、パルス検出の代わりにノイズの山を検出することに関連した誤り検出エラー率と、高く設定し過ぎたしきい値に関連した非検出率とを減らすことができるようになる。
【課題を解決するための手段】
【0019】
パルス検出しきい値を調整するための方法が、本発明の対象となる。パルスは、このパルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つがこのしきい値を越えるときに検出される。上記方法は、このしきい値に初期値を割り当てることと、決められた時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、このしきい値を調整することとから少なくともなることを特徴とする。
【0020】
特徴に従って、調整は、決められた時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、しきい値の変化によって実行される。この調整は、このしきい値が第1境界に達するまでの第1方向への調整と、このしきい値がこの第1境界に達した場合の第2方向への調整との繰り返しによって実行される。
【0021】
双方向又は2方向展開によって、パルスの非検出を減らすことができるようになる。
【0022】
他の特徴に従って、調整は、第1及び第2境界に関して第1方向及び第2方向でそれぞれ実行され、第1及び第2境界のうちの1つに達したしきい値が、変化の異なるモードで反対方向へ変化することによって調整される。
【0023】
これらの境界により課せられた制限によって、無限ループに陥ることを防止できるようになる。
【0024】
上記の特徴の実行によって、当然ながら、しきい値の動的適応又は調整は、フィードバックループがそれぞれ実質的に独立した増加及び減少ループからなる場合、2つのフィードバックループを介して行われる。しきい値は、監視枠又は連続した監視枠中で検出されたパルスの数が期待されたトリガ数に適合しない場合に修正される。関数及びフィードバックループの変更によって、しきい値が既に検査された値を再び取ることを防止できる。
【0025】
他の特徴に従って、繰り返しの回数は、所定の数に等しい。これによって、無限ループが回避できるようになる。
【0026】
他の特徴に従って、基準を満たすまでの調整は、以後に続く少なくとも1つの決められた時間の間、継続される。
【0027】
他の特徴に従って、所定の基準は、決められた時間毎に検出可能なパルスの数に等しい値に対して、又は、決められた時間毎に検出可能なパルスの数に等しい値に関する間隔に対して、検出されたパルスの数の検査からなる。
【0028】
他の特徴に従い、監視枠によって、監視枠が配置されたパルスに対して、パルスの少なくとも一部分を抽出できるようになる。上記部分は、パルスを検出するために十分である。枠のこの縮小によって、ノイズをさらに減らすことができるようになる。
【0029】
また、本発明は、複数のパルスを検出するための方法を対象とする。パルスは、このパルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つがこのしきい値を越えるときに検出される。複数のパルスを検出するためのこの方法は、本発明の対象となる上記方法に従って、しきい値を調整することからなることを特徴とする。
【0030】
また、本発明は、パルス検出しきい値を調整するための装置を対象とする。パルスは、このパルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つがしきい値を越えるときに検出される。この装置は、しきい値に初期値を割り当てる手段と、決められた時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、しきい値を調整する手段とを少なくとも具備することを特徴とする。
【0031】
さらに、本発明は、複数のパルスを検出するための装置を対象とする。上記装置は、パルス検出しきい値を調整するための上記装置を具備することを特徴とする。
【0032】
パルス無線信号の超広帯域受信機が本発明の対象となる。この信号は、連続する各シンボル時間中の複数のパルスを含む。上記超広帯域受信機は、これらのパルスのエンベロープを抽出するためのユニットと、エンベロープ信号を調整可能なしきい値と比較するとともに、検出された複数のパルスを出力する検出モジュールと、少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数に応じてしきい値を算出及び調整するためのモジュールとのうちの少なくとも1つを具備し、この抽出ユニットは、複数のエンベロープ信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明の対象となるパルス検出のための方法及び装置、並びに受信機は、超広帯域無線通信、特に、ローカル又は家庭内受信機の実現に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
明細書の記載を読み、かつ添付の図面を参照することによって、本発明の理解がより深まる。
【0035】
図1Aは、本発明の対象となる一般的な方法のフローチャートを示す。
【0036】
実施例は、シンボル時間TsでのOOK変調による8つのパルスIjkの送信に対応する。ノイズの影響をできる限り抑えるために、監視枠OW、図1Aにおいては、OW乃至OWは、各パルスに対して配置されている。また、監視枠毎にいくつかのパルスを含むことも考えられるが、ノイズはそれほど減少しない。
【0037】
複数のパルスに対して監視枠の配置が可能となるように、あらかじめ同期化が実行される。パルスの検出が可能となる十分な幅を保持するように注意しながら、エラー率におけるノイズの影響をさらに小さくするように監視枠の幅が縮められる。しきい値TH(一点鎖線で図示)は、パルスに対して監視枠を配置するための有効な同期化の間に取得されたTHであってよい。この初期値THが、しきい値THに割り当てられる。
【0038】
実施例において、検出されたパルスの数Nが満たすべき基準は、3から5の間である。この基準は、使用された送信変調タイプと、決められた時間毎に送信されるパルスの数とによって決まる。決められた時間とは、シンボル時間である。この基準が満たされない間は、しきい値が、関数f()を用いて調整される。関数f()は、変化刻み幅δTHによってしきい値THを減少又は増加させるための単純な関数か、又は、図1Bに示されるような、しきい値を同時に2つの変化方向へ調整することが可能な2つの関数であってよい。この基準を満たすことができるようになるしきい値THが、パルス検出部によって使用される。
【0039】
図示されていないが、本発明の第1変形例によるしきい値の調整は、第1方向fd1()での調整である。各繰り返しにおいて、すなわち、しきい値の調整毎に、しきい値THは、制限値B1について検査される。しきい値THがこの制限値B1を越えるとすぐに、第2方向fd2()での調整が実行される。
【0040】
図1Bは、同一の実施例、すなわち、各パルスに対して配置された監視枠を備えた、シンボル時間でのOOK変調毎の8つのパルスにおいて、破線で示されたいくつかの追加的な段階を用いた方法の他の変形例を示す。
【0041】
次に、第2変形例において、しきい値THは、2つのフィードバックループに入る。第1分岐において、しきい値TH、ここではTHは、関数fd1()を用いて第1方向へ調整される。関数fd1()は、図1Bに示されたように、単純な減少関数TH−δTHであってよい。先の実施例にあるような同一の基準が取得された2つのしきい値TH又はTHのうちの1つによって満たされない間は、これらの2つのループのそれぞれが繰り返され、2つのしきい値TH,THが調整される。
【0042】
図に示されていない変形例の場合の連続か、又は図1Bに示された変形例の場合の同時か、いずれか一方の双方向発展は、パルスの非検出を減少させる。特に、一方向へのしきい値の調整は、この方向が信号の発展する方向に対応する場合に限り、非検出を減少させる。ここで、例えば、しきい値の調整が減少によって実行されるのに、しきい値THの初期値が信号の最小振幅より小さい場合、調整されたしきい値が基準を満たすことはない。
【0043】
図1Bに破線で示した本発明の方法の第3変形例において、2つの制限値B,Bが、第1及び第2方向にそれぞれ与えられる。これらの制限値によって、無限ループに陥ることを防止できるようになる。
【0044】
故に、図1Bに示された実施例において、減少に相当する第1方向では、しきい値THが制限値Bを越えると、実施例ではTH<Bとなるとすぐに、しきい値THの調整はもはや第1方向へは行われず、別の関数fd2’()に従う第2方向となる。図示された実施例において、関数fd2’()は、刻み幅δTH/2に従う増加である。同様に、第2方向は増加に相当するので、しきい値THが制限値Bを越えると、実施例ではTH<Bとなるとすぐに、しきい値THの調整は、もはや第2方向へは行われず、別の関数fd1’()に従う第1方向となる。図示された実施例において、関数fd1’()は、刻み幅δTH/2に従う減少である。関数の変更によって、しきい値TH,THが既に検査された値を再び取ることを防止できる。
【0045】
基準は、検出されたパルスの数が、用いられた変調でのシンボル時間毎に検出可能なパルスの正確な数に等しいか、又は、検出されたパルスの数が、所与の間隔において検出可能なパルスのこの数に関するものであるかのいずれか一方でよい。実施例では、前者はOOK変調の場合に4であり、かつ後者はOOK変調の場合に具体的には3から5の間である。この許容範囲によって、無限ループのリスクを減少させることができるようになる。
【0046】
さらに、無限ループを回避する同様の目的で、しきい値調整繰り返しの回数が固定されてもよい。監視枠が配置されたパルスに対して、監視枠によって抽出された部分は、パルスを検出するために十分である。例えば、OOK変調の場合の監視枠は、パルスの2分の1、特に、ちょうどパルスの立ち上がりエッジに対応する。枠の縮小によってノイズをさらに減少できるようになる。
【0047】
第5変形例において、基準を満たすまでの調整は、以後に続く少なくとも1つのシンボル時間の間、継続される。これは、適応過程を繰り返すとともに、チャネルの変化に追従可能とする。チャネルの変化の速度に従う調整のやり直しは、すべてのシンボル時間Nと、高速変化チャネルに対するN=1と、チャンネルの変化の速度が遅いほど1からかけ離れたあらゆるNとを想定できる。
【0048】
本発明の第6変形例では、監視枠によって、パルスを部分的に監視できるようになる。
【0049】
用いられる変調のタイプに従って、特に、OOK又はPPM変調タイプの場合、本発明の対象となる検出方法の変形例は、パルスを含まなければならない受信枠の数と、パルスを含んではならない枠の数との情報に基づく。その結果、本発明は、これらの2つの基準、パルスの存在する数及び存在しない数を満たすしきい値の検索に依存する。
【0050】
故に、本発明の対象となる方法によって、パルス検出装置又はパルス無線UWB受信機のための検出しきい値THを設定するための新しい手順と、対応するパルス検出方法とを定義できるようになる。
【0051】
その目的は、ある種のエラー、すなわち、誤り検出を表すしきい値のような、しきい値に関する検出に損失を与える検出の欠損を最小化するしきい値を探索することではない。そうではなく、本発明の対象となる方法によって、図1Aに記載された動作モードを介して、例えば、誤り検出率を表す最大値と、検出の欠損を最小化する最小値との間の中間値でしきい値THを維持できるようになる。
【0052】
強度検出受信機及び符号がOOKモードで変調されたN個のチップからなる無線信号のより具体的な例において、各チップは、チップの値に従って送信されるパルスである。
【0053】
符号毎に、値1のチップの数が値0のチップの数に等しい。
【0054】
しきい値THに対する検出の段階については、後でエンベロープを取得するために、対応する処理が、無線周波数信号RFの修正及びフィルタリングから始まることを示している。
【0055】
無線周波数信号のエンベロープを取得できるようになる過程は既知である。従って、詳細は記載しない。
【0056】
その結果、取得されたエンベロープ信号は、しきい値THに関してしきい値検出を受ける。
【0057】
上記しきい値に関するこの検出の目的は、そのエンベロープ、すなわち、最終的にはその振幅が決められた検出しきい値を越える、パルス毎の立ち上がりエッジを返すことである。
【0058】
本発明の第5変形例の対象となる方法は適応手順からなる。適応手順は、通信の継続期間中に亘って行うことができ、故に、予め決められたしきい値THが最適値を取ることを可能にする。
【0059】
製造中、すなわち、本発明の対象となる受信機の製造時に予め決められたしきい値は、後で、より詳細な方法で明細書中に記載される。上記の値TH、又は、適切な場合に、定誤り検出率CFARの原理に従って確立されたしきい値によって、例えば、フレーム開始位置の検出及び同期達成のジョブを実行できるようになる。
【0060】
このことは、検出が同時であった場合に、直接及び第2パルスによって生成されるパターンが、ホップシーケンスの各継続期間中の繰り返しであることを想起させる。
【0061】
従って、本発明の対象となる方法は、監視枠OWがホップコード及び同期化に応じて受信状態に置くことができる場合において、特に有益である。
【0062】
本発明の対象となる受信機は、上記監視枠だけでエンベロープ信号を聴取するように、有利に構成できる。
【0063】
監視枠OWに関しては、各枠が、シンボル時間Tsより短い継続期間の時間枠、又は、好適には、シンボル時間の一部分であってよいことを示している。
【0064】
さらに、実際の通信フェーズの間、2分の1チップが状態1となり、かつ他が0状態となって、どのような2進符号でも転送される。
【0065】
従って、同一の符号に対して監視枠の50%だけにパルスを検出する基準に基づいたフィードバック過程を想定可能である。
【0066】
ここで、本発明の変形例の対象となるパルス無線信号の超広帯域非干渉性適応検出の方法、及び対応する受信機は、監視枠に何が起こったかだけを考慮する。
【0067】
さらに、しきい値の設定は、もはや監視枠OWの外側の何かによって影響されることはない。
【0068】
本発明の対象による検出過程及び対応する受信機は、上記監視枠で統計学的にまれにしか現れないような、ノイズの山、及び他の使用者からの干渉に対して、より鈍い感度となる。
【0069】
シンボル時間毎に、例えば、しきい値は、聴取時間の2分の1でトリガされるように、動的に調整できる。
【0070】
選択的な非制限実行モードにおいて、トリガの数Nは、図1Bに示すように、3から5の間の値に等しくなるように選択できる。
【0071】
最後に、また、本発明の対象となる方法は、無限ループの発生を回避するように、実行される繰り返し回数に制限値を附加することからなる。無限ループは、ある特定の場合に起こり得る。
【0072】
故に、本発明の対象となる方法によって、1つの条件及び入力時間のみを考慮する従来の方法と比較して、基準として2つの条件の検出のバランスを保ちながら、重要である正確な瞬間のみを考慮することによって、2ループ繰り返し過程を用いてパルスを検出するための検出しきい値を設定できるようになる。
【0073】
故に、本発明の対象となる方法は、総じて、過程の適応的な性質のために、柔軟性に優れた使用を可能とする。
【0074】
本発明の対象によるパルス無線信号の超広帯域受信機のより詳細な記載が、図2Aとともに、ここに提供される。
【0075】
本発明の対象となる受信機は、連続する各シンボル時間中のパルスを含む超広帯域無線信号を受信する。
【0076】
図2Aに示されたように、受信機は、複数のパルス
【数1】

の受信アンテナRAに加えて、上記複数のパルスのエンベロープを抽出するためのユニット1を具備する。
【0077】
上記の通り、エンベロープ抽出は既知の任意の整流回路によって実行できる。従って、詳細は記載しない。エンベロープ抽出ユニットは、エンベロープ信号を出力する。
【0078】
本発明の対象となる受信機は、エンベロープ信号を調整可能なしきい値と比較して、パルス検出用モジュール2をさらに具備する。調整可能なしきい値の値THは、明細書中に既に記載されている。検出モジュール2は、エンベロープ信号に基づいて、Plowで表される検出されたパルスを出力する。
【0079】
最後に、本発明の対象となる受信機は、監視枠OW中で検出されたパルスの数に応じて、しきい値THを算出及び調整するためのモジュール3を具備する。算出及び調整モジュール3は、検出された複数のパルスPlowに基づいて動作する。しきい値THが調整された場合、しきい値THを算出及び調整するためのモジュール3は、エンベロープを、スイッチ4を用いて一連の処理の残りによって調整されたこのしきい値THと比較することによって検出されたパルスの使用を許可する。受信された信号のすべての処理を許可するために、エンベロープ抽出モジュール1の出力は、しきい値調整時間のために有利に保留される。
【0080】
ここで留意すべきは、また、本発明が、パルス検出用モジュール2と、しきい値算出及び調整モジュール3とを具備するパルスを検出するための装置に関するということである。
【0081】
本発明の変形例において、しきい値の調整は、受信された信号の処理と並行して行われる。故に、パルス検出用モジュール2は、一連の処理の残りへ検出されたパルスを提供するために、しきい値の調整を待たない。従って、エンベロープ信号を保留する必要がない。
【0082】
より詳細な方法では、算出モジュール3が、第1リソース36を使用する第1調整演算部34を有利に具備することが示される。第1リソース36は、例えば、減少値δTHによって、しきい値THを減少させるためのリソースである。上記減少リソースは、図1Bの左側の分岐の実施形態を実行するための減算モジュールからなってよい。
【0083】
同様に、算出モジュール3は、第2リソース37を使用する第2調整演算部35を具備する。第2リソース37は、例えば、増分値δTHによってしきい値THを増加させるためのリソースである。上記増加リソースは、図1Bの右側の分岐の実施形態の実行のための加算リソースからなってよい。
【0084】
最後に、算出モジュール3は、それぞれ減少または増加の第1及び第2リソース36,37のスイッチ34a,35aをさらに具備してよい。例えば減少リソースである他の第2リソース39は、しきい値が制限値、例えば最大値B2に到達した時、増加リソース37と置き換わることができる。例えば増加リソース38である他の第1リソースは、しきい値THが制限値、例えば最小値B1に到達した時に、減少リソース36と置き換わることができる。図2Bに示されるように、一方では、第1リソース36,38は、それぞれ、第1及び第2方向fd1(),fd2’()における関数の形をとり、第2リソース37,39は、それぞれ、第2及び第1方向fd2()及びfd1’()における関数の形をとる。ブロック31,32は、制限値B1,B2の格納値を表す。
【0085】
スイッチは、参照符号33,33a,34a及び35aで表される。
【0086】
モジュール33は、第1及び第2調整演算部34,35によってそれぞれ提供される現在のしきい値TH,THと、これらそれぞれのしきい値TH,THに対するパルス検出用モジュール2によって検出されたパルスPlow1,Plow2とを受信する。Plow1中又はPlow2中のいずれか一方で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、モジュール33は、しきい値TH,THを再転送し、スイッチ33aは、新しい繰り返しのために、これらのしきい値を第1及び第2調整演算部34,35にそれぞれ提供する。Plow1中又はPlow2中のいずれか一方で検出されたパルスの数が所定の基準を満たすとすぐに、モジュール33は、この基準を満たすことができるようになったしきい値TH,THに等しいしきい値THを出力するとともに、しきい値の調整を停止するように、スイッチ33aに命令する。スイッチ33aは、第1及び第2調整演算部34,35へのしきい値TH,THの転送を停止し、パルス検出用モジュール2へのしきい値THの出力を許可し、かつ一連の処理の残りによって検出されたパルスの使用を許可するようにスイッチ4への命令を出力する。しきい値THのこの現在の値は、当然ながら、図1Bの動作モードに従って、スイッチ33,33a,34a,35aの切り換えによって決まる。
【0087】
上記スイッチの切り替え位置を考慮して、しきい値TH,THの各繰り返しでの現在値は、実施例においては、図1Bに記載されたように、それぞれ減少した値TH−δTH及び増加した値TH+δTHか、それぞれ増加した値TH+δTH/2及び値TH+δTH/2かのいずれか一方に等しい。
【0088】
また、本発明は、記憶媒体に記録されたコンピュータプログラム製品、又はそれによる超広帯域受信機を対象とし、前記コンピュータプログラム製品は、一連の命令を有することを特徴とする。上記命令は、図1A及び図1Bとともに先に記載されたように、それらの実行の間、しきい値調整と、パルス無線信号のパルス検出、特に、超広帯域パルス検出との方法の実行を可能にする。
【0089】
さらに、本発明の対象となるコンピュータプログラム製品は、図2A及び図2Bとともに記載されたように、しきい値調整装置及び/又は超広帯域受信機の計算ユニットにインストールされることを特徴とする。
【0090】
本発明の対象となる方法及び受信機は、以下の長所の実現を可能にする。
異なるリンク条件下、すなわち、信号対雑音比の低いリンク条件下での性能の点から見て、著しいゲインを得る。
誤り検出率でのしきい値検出へのアプローチを特徴とするエラー率下限を消失させる。上記アプローチは、定誤り検出率CFARでのしきい値検出へのアプローチであることを特徴とする。
【0091】
特に、本発明の対象となる受信機は、非常に優れた信号対雑音比の恩恵を受けて、その性能を向上できる。
【0092】
最後に、本発明の対象となる方法、検出装置、及び受信機によって、検出の欠損と、定誤り検出率との2つのタイプのエラー間のバランスを修復できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1A】本発明の対象となる一般的な方法を実現するために必要なステップを図示したフローチャートである。
【図1B】図1Aに示されたような、本発明の対象となる方法の例示的な実施形態を図示したフローチャートである。
【図2A】本発明の対象による、パルス検出のための装置及び超広帯域受信機の機能図である。
【図2B】図2Aに示されたような、受信機へ組み込まれたしきい値算出のためのモジュールを実現するための機能的論理図である。
【符号の説明】
【0094】
1 エンベロープ抽出モジュール
2 パルス検出モジュール
3 しきい値算出及び調整モジュール
31,32 ブロック
33 モジュール
33a,34a,35a スイッチ
34 第1調整演算部
35 第2調整演算部
36,38 第1リソース
37,39 第2リソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス検出しきい値を調整するための方法であって、パルスは、該パルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つが前記しきい値を越えるときに検出され、
上記方法は、
前記しきい値に初期値を割り当てる段階と、
シンボル時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、前記しきい値を調整する段階と
から少なくともなることを特徴とする方法。
【請求項2】
調整は、シンボル時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が前記所定の基準を満たす間、前記しきい値の変化によって実行され、
前記調整は、
前記しきい値が第1境界に達するまでの第1方向への調整と、
前記しきい値が前記第1境界に達した場合の第2方向への調整と
の繰り返しによって実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
調整は、第1及び第2境界に関して第1方向及び第2方向でそれぞれ実行され、
前記第1及び第2境界のうちの1つに達したしきい値が、変化の異なるモードで反対方向に変化することによって調整されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
繰り返しの回数が、所定の数に等しいことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
基準を満たすまでの調整が、以後に続く少なくとも1つのシンボル時間の間、継続されることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記所定の基準は、シンボル時間毎に検出可能なパルスの数に等しい値に対して、又はシンボル時間毎に検出可能なパルスの数に等しい値に関する間隔に対して検出されたパルスの数の検査からなることを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の方法。
【請求項7】
監視枠は、監視枠が配置されたパルスに対して、パルスの少なくとも一部分を抽出可能にし、
前記部分は、パルスを検出するために十分であることを特徴とする請求項1乃至請求項6に記載の方法。
【請求項8】
複数のパルスを検出するための方法であって、パルスは、該パルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つがしきい値を越えるときに検出され、
前記方法は、シンボル時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、前記しきい値を調整することからなることを特徴とする方法。
【請求項9】
パルス検出しきい値を調整するための装置であって、パルスは、該パルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つが前記しきい値を越えるときに検出され、
前記装置は、
前記しきい値に初期値を割り当てる手段と、
シンボル時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、前記しきい値を調整する手段と
を少なくとも具備することを特徴とする装置。
【請求項10】
複数のパルスを検出するための装置であって、
しきい値に初期値を割り当てる手段と、
シンボル時間内の少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数が所定の基準を満たさない間、前記しきい値を調整する手段と、
前記パルスのエンベロープの複数のエッジのうちの1つが調整されたしきい値を越えるときに、検出されたパルス情報を出力する実検出手段と
を具備することを特徴とする装置。
【請求項11】
連続した各シンボル時間中の複数のパルスを含むパルス無線信号の超広帯域受信機であって、
前記複数のパルスのエンベロープを抽出する手段と、
複数のエンベロープ信号を調整可能なしきい値と比較するとともに、検出された複数のパルスを出力する検出手段と、
少なくとも1つの監視枠中で検出されたパルスの数に応じて、前記しきい値を算出及び調整する手段と
を少なくとも具備し、
前記抽出手段は、前記複数のエンベロープ信号を出力することを特徴とする超広帯域受信機。
【請求項12】
コンピュータプログラム製品であって、
一連の命令を有し、
前記一連の命令の実行の間、請求項1乃至請求項7のうちの1つに記載されたしきい値を調整するための方法、及び/又は、請求項8に記載された複数のパルスを検出するための方法を実行可能にすることを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記コンピュータプログラム製品が、請求項9に記載されたしきい値調整装置、又は請求項10に記載された複数のパルスを検出するための装置、又は請求項11に記載された超広帯域受信機のうちのいずれか1つの計算ユニットにインストールされることを特徴とする請求項12に記載のコンピュータプログラム製品。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【公表番号】特表2009−522833(P2009−522833A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548012(P2008−548012)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/FR2006/002866
【国際公開番号】WO2007/074237
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(591034154)フランス テレコム (290)
【Fターム(参考)】