説明

パレット棚設備

【課題】荷積載パレットを補給する実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台が複数並設されたパレット棚設備において、空パレット搬出専用の逆勾配のパレット滑動支持台を備えた空パレット搬出専用のパレット収納区画を設けないで、ピッキング作業の後の空パレットの搬出作業を容易にする。
【解決手段】少なくとも1つのパレット滑動支持台10は、シーソー運動自在に軸支して、実パレット補給端部4aが傾斜上端に位置する正傾斜姿勢と、ピッキング作業端部4bが傾斜上端に位置する逆傾斜姿勢とに切り換え可能に構成され、このシーソー運動自在な可動パレット滑動支持台10を少なくとも前記正傾斜姿勢で係止する係止解除自在な係止手段12が併設された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚の一方からフォークリフトで補給されたパレット上の荷に対し棚の他方からピッキング作業が行えるように構成されたパレット棚設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のように使用できるパレット棚設備は、特許文献1にも記載されるように、棚の一方の搬入口側から棚の他方の搬出口に向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台が複数並設される。特許文献1に示される棚設備では、パレット滑動支持台上を滑動して搬出口側から順番に並ぶ状態に保管されたパレットは、その搬出口側から順番にフォークリフトで搬出されるものであるが、この搬出口側の端部に位置する実パレットから作業者が直接荷を取り出すピッキング作業を行うように使用することも可能である。この場合、搬出口側の端部に位置する空パレットを搬出する必要があるが、特許文献1に示される棚設備のように(用途は異なるが)、棚の一部に逆勾配の空パレット搬出専用のパレット滑動支持台を配設しておき、この空パレット搬出専用のパレット滑動支持台上に移載した空パレットを棚の搬入口側の端部に滑動させ、これをフォークリフトで搬出できるように構成することが考えられる。
【特許文献1】特開平5−105209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、棚の一部に逆勾配の空パレット搬出専用のパレット滑動支持台を配設する構成では、棚全体としての実パレット収納効率が低下するだけでなく、パレットとして、嵩高いボックスパレットではなく、複数枚を積み重ねて1つの荷積載実パレットと同じ程度の嵩にしてフォークリフトで搬送できる平パレットを使用している場合、空パレット搬出専用のパレット滑動支持台の搬入口側端部、即ち、パレット滑動支持台の傾斜上端部の上で空の平パレットを段積みすることが困難であり、空の平パレットをパレット滑動支持台の傾斜上端部で停止させておくための解除自在なストッパーを設けなければならないなど、実用化の面で問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記のような従来の問題点を解消し得るパレット棚設備を提供することを目的とするものであって、請求項1に記載のパレット棚設備は、後述する実施形態の参照符号を付して示すと、荷積載パレットを補給する実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台5が複数並設されたパレット棚設備において、少なくとも1つの前記パレット滑動支持台5は、シーソー運動自在に軸支して、実パレット補給端部4aが傾斜上端に位置する正傾斜姿勢と、ピッキング作業端部4bが傾斜上端に位置する逆傾斜姿勢とに切り換え可能に構成され、このシーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)を少なくとも前記正傾斜姿勢で係止する係止解除自在な係止手段12が併設された構成となっている。
【0005】
上記構成の本発明を実施するについて、請求項2に記載のように、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)は、正傾斜姿勢においてのみ前記係止手段12で係止可能に構成すると共に、空の状態では逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰するように一方向に付勢することができる。具体的には、請求項3に記載のように、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)は、実パレット補給端部側に作用する重力よりピッキング作業端部側に作用する重力が大きくなるように構成し、その重力差で空のシーソー運動自在なパレット滑動支持台が逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰するように構成することができるし、請求項4に記載のように、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)を逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰する方向に付勢するスプリング利用の付勢手段30を併設することができる。
【0006】
前記係止手段12は、係止状態と係止解除状態とに人為的操作で切り換えるものであっても良い。この場合は、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)が係止すべき姿勢にある状態で当該係止手段12を人為的操作により係止姿勢に切り換える必要がある。しかしながらこの係止手段12は、請求項5に記載のように、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)に設けられた被係止部20に係止する係止姿勢と当該被係止部から離脱する係止解除姿勢とに切り換え自在な係止片(第一係止片23)と、この係止片(第一係止片23)を係止姿勢に付勢保持するスプリング26とを備えた構成とし、係止姿勢にある前記係止片(第一係止片23)は、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台(可動パレット滑動支持台10)が係止すべき姿勢になったときに前記被係止部20に自動係止する形状に構成することができる。更にこの場合、請求項6に記載のように、前記係止手段12には、前記係止片(第一係止片23)を係止解除姿勢で自動係止する第二係止片24を併設し、この第二係止片24に対する係止解除操作により前記係止片(第一係止片23)が係止姿勢に復帰するように構成することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記請求項1に記載の構成の本発明に係るパレット棚設備によれば、シーソー運動自在なパレット滑動支持台を空パレットの搬出作業に利用するときは、当該シーソー運動自在なパレット滑動支持台上が空になった状態で、傾斜下端のピッキング作業端部上に空パレットを積載する。このとき、当該シーソー運動自在なパレット滑動支持台が、ピッキング作業端部が傾斜下端となる正傾斜姿勢で係止されているので、当該ピッキング作業端部上に積載された空パレットはその位置で安定するので、当該ピッキング作業端部上に空パレットを複数段に段積みすることが容易に行える。そしてピッキング作業端部上に積載された空パレットを実パレット補給端部(傾斜上端部)側へ移動させるときは、係止手段によるシーソー運動自在なパレット滑動支持台の係止を解除した後に空パレットを実パレット補給端部側へ押し出す。而して、この実パレット補給端部側へ押し出される空パレットの重心位置がシーソー運動自在なパレット滑動支持台の支点位置から実パレット補給端部側へ移ったとき、当該シーソー運動自在なパレット滑動支持台が重力で逆傾斜姿勢に自動的に切り換わるので、その後の空パレットの実パレット補給端部への押し出しが楽に又は重力で自動的に行わせることができると共に、実パレット補給端部に達した空パレットを当該実パレット補給端部において重力で安定させることができ、当該空パレットが元のピッキング作業端部側へ滑動復帰する恐れはない。従って、実パレット補給端部に達した空パレットを手作業でその位置に保持しておかなくとも、当該実パレット補給端部で支持される空パレットをフォークリフトなどで搬出することができる。
【0008】
上記のように、シーソー運動自在なパレット滑動支持台を利用して空パレットの搬出作業を、荷積載パレットをフォークリフトなどで補給する作業を行う棚の実パレット補給端部側から、当該棚のピッキング作業端部側でのピッキング作業に影響を与えずにフォークリフトなどで安全に行うことができるのであるが、このシーソー運動自在なパレット滑動支持台が空パレットの搬出に利用されていないときには、当該シーソー運動自在なパレット滑動支持台を係止手段により正傾斜姿勢で係止しておくことにより、他のパレット滑動支持台と同様に、パレット滑動支持台の実パレット補給端部(傾斜上端部)に補給された荷積載パレットをピッキング作業端部(傾斜下端部)側へ滑動させ、このピッキング作業端部において荷積載パレットからのピッキング作業を行うことができる。
【0009】
従って、本発明のパレット棚設備によれば、棚に並設された多数台のパレット滑動支持台に1台又は複数台のシーソー運動自在なパレット滑動支持台を適当位置に混在させておくか、若しくは全てのパレット滑動支持台をシーソー運動自在なパレット滑動支持台としておくことにより、棚全体としての収納効率をあまり低下させることなく、しかも空パレットの搬出を、荷積載パレットをフォークリフトなどで補給する作業を行う棚の実パレット補給端部側から容易に行える棚として活用できる。又、ピッキング作業端部側で複数段積み重ねた空の平パレット群を実パレット補給端部へ送ることも容易に行えるので、空の平パレットの搬出作業も能率良く行える。
【0010】
尚、請求項2に記載の構成によれば、係止手段として、シーソー運動自在なパレット滑動支持台を正傾斜姿勢で係止する1つの係止手段を設けるだけで良いので、正傾斜姿勢と逆傾斜姿勢の何れにおいてもシーソー運動自在なパレット滑動支持台を係止できる係止手段を必要とする場合と比較して、構造が簡単になるだけでなく、シーソー運動自在なパレット滑動支持台が空の状態では自動的に正傾斜姿勢に復帰するのであるから、このシーソー運動自在なパレット滑動支持台が空パレットの搬出に利用されたとき、実パレット補給端部から空パレットが搬出された後に当該シーソー運動自在なパレット滑動支持台を元の正傾斜姿勢に復帰させる操作が不要であり、操作性も向上する。勿論、この場合に請求項5に記載の構成を組み合わせれば、シーソー運動自在なパレット滑動支持台が元の正傾斜姿勢に復帰した状態で自動係止されるので、一層操作性が向上する。
【0011】
上記請求項2に記載の構成を採用する場合、請求項3に記載の構成によれば、シーソー運動の支点となる支軸の位置を変えるか又は重錘を取り付けるだけの非常に簡単な構成により、安価に実施することができるし、請求項4に記載の構成によれば、重力でピッキング作業端部側へ滑動する荷積載パレットや、重力で実パレット補給端部側へ滑動する空パレットが、当該パレット滑動支持台の傾斜下端部に達したときに受けるショックを小さくするために、シーソー運動自在なパレット滑動支持台の傾斜姿勢での傾斜角度を小さくしても、空のシーソー運動自在なパレット滑動支持台を確実に正傾斜姿勢に復帰させることができる。
【0012】
又、請求項5に記載の構成によれば、シーソー運動自在なパレット滑動支持台が係止すべき姿勢になったときに、係止手段に対して人為的操作を加えなくとも、当該パレット滑動支持台を自動係止することができるので、操作性が向上する。この場合、請求項6に記載の構成によれば、シーソー運動自在なパレット滑動支持台を逆傾斜姿勢への傾動が可能な状態に切り換えるために係止手段の係止を解除したとき、当該係止手段の係止片を係止解除姿勢に人為的に保持しておく必要がなく、係止手段の係止を解除しさえすればシーソー運動自在なパレット滑動支持台はいつでも逆傾斜姿勢へ傾動できる状態になるので、操作性が一層向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の具体的実施例を添付図に基づいて説明すると、図1〜図3において、1はパレット棚であり、水平方向と垂直方向とに碁盤目状に区画されたパレット収納区画2A,2Bを備えている。3は荷搬出用コンベヤであって、パレット棚1の正面側の床面上に当該パレット棚1に沿って配設されている。図示のパレット棚1では、最下段のパレット収納区画2Aはピッキング作業用に構成され、中段及び最上段のパレット収納区画2Bは、実パレット一時保管用に構成され、各パレット収納区画2A,2Bは、奥行き方向に2つのパレットを直列状に収納できる奥行きを有する。
【0014】
最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aは、パレット棚1の正面側(荷搬出用コンベヤ3のある側)と背面側の両方が開放され、内部には、パレット棚1の背面側開放端に隣接する実パレット補給端部4aからパレット棚1の正面側開放端に隣接するピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜し且つ2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台5が敷設されている。中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bは、少なくともパレット棚1の背面側が開放され、内部には、パレット棚1の正面側開放端に隣接する奥端部6aからパレット棚1の背面側開放端に隣接するパレット入出庫端部6bに向かって下り勾配に傾斜し且つ2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台7が敷設されている。
【0015】
上記構成のパレット棚1においては、中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、パレット棚1の背面側において、フォークリフトFを利用して、荷wを積載した実パレットPaをパレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に移載入庫することができる。このときパレット滑動支持台7は、パレット入出庫端部6b側が低くなるように傾斜しているので、このパレット入出庫端部6b上に移載された実パレットPaは、当該パレット入出庫端部6b上で安定している。このようにパレット入出庫端部6b上に1つの実パレットPaが入庫されている実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、2つ目の実パレットPaを入庫することができる。即ち、フォークリフトFで支持した実パレットPaによって、パレット入出庫端部6b上で安定している実パレットPaをパレット滑動支持台7の奥端部6a側へ押し込み、フォークリフトFで支持した実パレットPaがパレット入出庫端部6b上に達したとき、当該実パレットPaをパレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に降ろす。このようにして、中段及び最上段の実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに対しては、それぞれ2つの実パレットPaを直列状に移載入庫することができる。
【0016】
実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに収納保管されている実パレットPaは、フォークリフトFにより出庫して最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aに移し入れることができる。即ち、パレット滑動支持台7のパレット入出庫端部6b上に位置する実パレットPaをフォークリフトFにより掬い上げてパレット棚1の背面側へ出庫し、引き続き当該フォークリフトFにより、この実パレットPaを最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aのパレット滑動支持台5における実パレット補給端部4a上に移載入庫することができる。実パレット一時保管用パレット収納区画2Bに2つの実パレットPaが収納保管されているときは、パレット入出庫端部6b上の実パレットPaが出庫されたことにより、その傾斜上方の奥端部6a上の実パレットPaが重力でパレット滑動支持台7上を傾斜下方に滑動し、パレット入出庫端部6b上において安定することになる。
【0017】
上記のようにしてピッキング作業用パレット収納区画2Aのパレット滑動支持台5における実パレット補給端部4a上に移載された実パレットPaは、当該パレット滑動支持台5が実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4bに向かって下り勾配に傾斜しているので、パレット滑動支持台5上を重力で傾斜下方に滑動し、パレット棚1の正面側開放端に隣接するピッキング作業端部4bにおいて安定する。従って、空いた実パレット補給端部4a上に2つ目の実パレットPaを移載入庫することができるので、各ピッキング作業用パレット収納区画2Aに対しては、それぞれ2つの実パレットPaを直列状に収納保管することができる。
【0018】
ピッキング作業者は、パレット棚1の正面側で当該パレット棚1と荷搬出用コンベヤ3との間の通路上において、ピッキング作業用パレット収納区画2A内でパレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上に支持されている実パレットPa上から必要な荷wを必要個数ピッキングし、これを荷搬出用コンベヤ3上のパレットP上に移載することができる。荷搬出用コンベヤ3としては、支持するパレットPをピッキング作業者が手押し移動させることができるフリーローラーコンベヤや、定速でパレットPを搬送する各種コンベヤが利用できる。ピッキング作業の結果、パレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上に支持されている実パレットPaが空になると、当該空パレットをパレット滑動支持台5のピッキング作業端部4b上から取り上げるので、このとき当該パレット滑動支持台5の実パレット補給端部4a上に支持されている実パレットPaが存在するときは、当該実パレット補給端部4a上の実パレットPaが重力で傾斜下方に滑動してピッキング作業端部4b上に達するので、以降は、このピッキング作業端部4b上に送り込まれた後続の実パレットPaに対して引き続きピッキング作業を行うことができる。
【0019】
パレット棚1は上記のように利用できるものであるが、本発明によれば、最下段のピッキング作業用パレット収納区画2Aの全て、又は特定の1つ若しくは複数のピッキング作業用パレット収納区画2Aを、図1及び図3に示すように、空パレットPbの搬出用区画として兼用できるように構成される。この空パレットPbの搬出用とピッキング作業用に兼用される兼用パレット収納区画2Cには、図4に示すシーソー運動自在なパレット滑動支持台(以下、可動パレット滑動支持台という)10が組み込まれる。
【0020】
図4に示すように、可動パレット滑動支持台10は、長さ方向の中央付近で水平支軸11によりシーソー運動自在に軸支されて、実パレット補給端部4aからピッキング作業端部4b側へ下り勾配に傾斜する正傾斜姿勢(図4A参照)と、ピッキング作業端部4bから実パレット補給端部4a側へ下り勾配に傾斜する逆傾斜姿勢(図4B参照)とに切り換えることができるように構成され、図4Aに示す正傾斜姿勢で可動パレット滑動支持台10を係止する係止手段12が併設されている。
【0021】
可動パレット滑動支持台10は、図5及び図6に示すように、左右横方向に適当間隔を隔てて並列する2列のフリーローラーレール13a,13bを、連結部材14a〜14dによって連結一体化することにより構成されている。各フリーローラーレール13a,13bは、左右一対の側枠15間に前後方向等間隔おきにローラー16を遊転自在に軸支し、両端にパレット落ち止め用垂直板17a,17bを突設したものである。この可動パレット滑動支持台10の両フリーローラーレール13a,13bが、同心状に位置する左右一対の水平支軸11により、各フリーローラーレール13a,13bを左右両側から挟むように床面18上に固定された軸受け部材19間に軸支され、この水平支軸11の周りで可動パレット滑動支持台10がシーソー運動できるように支持されている。尚、可動パレット滑動支持台10は、ピッキング作業端部4b側のフリーローラーレール13a,13bの端が床面18側に当接したとき、図4Aに示す正傾斜姿勢となり、実パレット補給端部4a側のフリーローラーレール13a,13bの端が床面18側に当接したとき、図4Bに示す逆傾斜姿勢となる。
【0022】
係止手段12は、図5〜図8に示すように、可動パレット滑動支持台10側の被係止部20と床面18側の係止ユニット21とから構成されている。被係止部20は、可動パレット滑動支持台10側の連結部材14a〜14dの内、ピッキング作業端部4b側の端にある連結部材14dの長さ方向中央位置(両フリーローラーレール13a,13b間の中央位置)の外側面に付設された取付け部材20aで構成されている。この取付け部材20aは、断面がほぼ直角三角形で左右水平方向に適当長さを有する棒状部材であって、その斜辺が下側に位置するように連結部材14dの外側面に取り付けられている。
【0023】
係止ユニット21は、図7及び図8に示すように、床面18上に固定された取付け座板22に第一係止片23と第二係止片24を軸支したものである。取付け座板22には左右一対の軸受板部22a,22bが上向きに折曲連設されている。第一係止片23は、踏み板部23aの左右両側辺から下向きに折曲連設されて且つ可動パレット滑動支持台10の端部下側に向かって延出する左右一対の側板部23b,23cを備え、この左右一対の側板部23b,23cの先端部が、取付け座板22の左右一対の軸受板部22a,22bの内側に共通の左右水平支軸25によって上下揺動自在に支承され、当該左右一対の側板部23b,23cの踏み板部23aと支軸25との中間位置上側辺に、被係止部20(取付け部材20a)の左右両端近傍位置の上側面に対し係脱自在な係止爪部23dが形成されている。
【0024】
更にこの第一係止片23は、図7Bに示す係止解除姿勢から上動して図7Aに示す係止姿勢になったとき、取付け座板22に当接する制止部23eが左右一対の側板部23b,23cの先端下側に形成され、図7Aに示す係止姿勢と図7Bに示す係止解除姿勢との間でのみ上下揺動できるように構成されると共に、支軸25に遊嵌されて第一係止片23と取付け座板22との間に介装された捩じりコイルスプリング26により、図7Aに示す係止姿勢側に付勢保持されている。又、左右一対の側板部23b,23c間には、踏み板部23aから支軸25側に少し離れた位置で左右水平向きに被係止軸27が架設されている。
【0025】
第二係止片24は、第一係止片23の被係止軸27と支軸25との中間位置で左右一対の側板部23b,23cの間に上下垂直向きに配置されたもので、上下垂直向きの蹴り板部24aの左右両側辺から後ろ側へ折曲連設されると共に下方に延出する左右一対の側板部24b,24cを備え、この左右一対の側板部24b,24cの下端部が取付け座板22の左右一対の軸受板部22a,22bの内側に共通の左右水平支軸28によって前後揺動自在に支承されている。更にこの第二係止片24は、第一係止片23の被係止軸27に対して係脱自在な係止爪部24dが左右一対の側板部24b,24cに形成されると共に、支軸28に遊嵌されて第二係止片24と取付け座板22との間に介装された捩じりコイルスプリング29により、係止爪部24dが第一係止片23側の被係止軸27に係合する前方向きに付勢されている。而して、この第二係止片24の係止爪部24dは、第一係止片23が図7Aに示す係止姿勢から図7Bに示す係止解除姿勢になったとき、捩じりコイルスプリング29の付勢力で第二係止片24が前方に揺動して、第一係止片23側の被係止軸27に自動的に係合し、当該第一係止片23を係止解除姿勢に保持するように構成されている。
【0026】
上記構成のパレット棚設備において、兼用パレット収納区画2Cがピッキング作業用パレット収納区画として利用されているときは、可動パレット滑動支持台10が図4A及び図6に示すように正傾斜姿勢に切り換えられているが、このとき、図7Aに示すように、係止ユニット21の第一係止片23が可動パレット滑動支持台10側の被係止部20(取付け部材20a)に係合して、当該可動パレット滑動支持台10を正傾斜姿勢に保持している。即ち、第一係止片23は、その左右一対の係止爪部23dが被係止部20(取付け部材20a)の上側に係合する係止姿勢に捩じりコイルスプリング26の付勢力で保持されており、可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b側が上動するのを阻止している。従って、可動パレット滑動支持台10の傾斜上端側である実パレット補給端部4aに荷積載パレットPaを移載しても、当該可動パレット滑動支持台10が逆傾斜姿勢に傾動することはなく、実パレット補給端部4a上の荷積載パレットPaをピッキング作業端部4b側へ重力により確実に滑動させることができる。尚、このとき、第二係止片24は、捩じりコイルスプリング29の付勢力で第一係止片23側の被係止軸27に蹴り板部24a(又は左右一対の側板部24b,24c)が当接する起立姿勢に保持されている。
【0027】
兼用パレット収納区画2Cを空パレットPbの搬出用区画に使用するときは、上記のように係止手段12で正傾斜姿勢に保持されている可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b上に空パレットPbを積載する。このとき、可動パレット滑動支持台10は、そのピッキング作業端部4b側が傾斜下端になる正傾斜姿勢に保持されているので、空パレットPbはピッキング作業端部4b上で安定しているので、所要段数だけ空パレットPbを容易に段積みすることができる。このピッキング作業端部4b上の段積み空パレットPcを可動パレット滑動支持台10の実パレット補給端部4a側へ手押し作業で移動させるときは、図7Aに示す係止姿勢の第一係止片23を、その踏み板部23aを捩じりコイルスプリング26の付勢力に抗して踏み下げる操作により、図7Bに示す係止解除姿勢に切り換える。この結果、第一係止片23の左右一対の係止爪部23dが可動パレット滑動支持台10側の被係止部20から離脱して、可動パレット滑動支持台10に対する係止作用が解除されるが、ピッキング作業端部4b上の段積み空パレットPcの重量で当該可動パレット滑動支持台10はそのまま正傾斜姿勢を維持する。
【0028】
一方、第一係止片23が係止解除姿勢に切り換わることにより、図7Bに示すように、第二係止片24の左右一対の係止爪部24dが捩じりコイルスプリング29の付勢力で第一係止片23の被係止軸27に自動的に係合し、当該第一係止片23を係止解除姿勢に保持することになるので、踏み板部23a上から足を外しても、第一係止片23が元の係止姿勢に復帰して左右一対の係止爪部23dが可動パレット滑動支持台10側の被係止部20に再度係合することはない。
【0029】
係止手段12の第一係止片23に対する係止解除操作が済めば、可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b上の段積み空パレットPcを手押し作業で傾斜上方の実パレット補給端部4a側へ移動させるが、この移動する段積み空パレットPcの重心位置が可動パレット滑動支持台10のシーソー運動の支点である支軸11の真上位置から傾斜上方の実パレット補給端部4a側へ移ったとき、可動パレット滑動支持台10が段積み空パレットPcの重量で支軸11の周りでシーソー運動し、図4Aに示す正傾斜姿勢から図4Bに示す逆傾斜姿勢に切り換わる。従って、この後は、重力で段積み空パレットPcを傾斜下方の実パレット補給端部4aまで滑動させることができるが、そのまま手押し作業を継続させても良い。
【0030】
可動パレット滑動支持台10の実パレット補給端部4aに段積み空パレットPcが移動し終わると、可動パレット滑動支持台10は、段積み空パレットPcの重量で実パレット補給端部4aが傾斜下端に位置する逆傾斜姿勢で安定しているので、フォークリフトFにより当該実パレット補給端部4a上の段積み空パレットPcを搬出することができる。この逆傾斜姿勢の可動パレット滑動支持台10をそのまま次の空パレット搬出用に利用することができるが、この場合、傾斜上端に位置するピッキング作業端部4b上に空パレットPbを積載して、可動パレット滑動支持台10を元の正傾斜姿勢に切り換えれば良い。このとき、係止手段12の第一係止片23は、第二係止片24により係止解除姿勢に保持されているので、正傾斜姿勢に切り換わった可動パレット滑動支持台10が係止手段12の第一係止片23で係止されることはない。
【0031】
段積み空パレットPcの搬出が終わって再び可動パレット滑動支持台10をピッキング作業用に利用するとき、即ち、兼用パレット収納区画2Cをピッキング作業用パレット収納区画に戻すときは、図7Bに示すように、第一係止片23を係止解除姿勢に係止している第二係止片24を、その蹴り板部24aを捩じりコイルスプリング29の付勢力に抗して足先で前方にプッシュして前方に揺動させる。この結果、第二係止片24の係止爪部24dが第一係止片23の被係止軸27から離脱すると同時に、図7Cに仮想線で示すように、第一係止片23が捩じりコイルスプリング26の付勢力で上動し、その制止部23eが取付け座板22上に当接する係止姿勢に復帰する。この後、逆傾斜姿勢の可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b側を足で踏み下ろすなど適当な方法で、可動パレット滑動支持台10を元の正傾斜姿勢に復帰させると、ピッキング作業端部4b側の降下過程で、被係止部20(取付け部材20a)が係止姿勢の第一係止片23の係止爪部23dと自動係合し、当該可動パレット滑動支持台10が、ピッキング作業端部4bが傾斜下端に位置する元の正傾斜姿勢に戻った状態で、図7Aに示すように、第一係止片23により係止保持される。
【0032】
尚、可動パレット滑動支持台10は、パレットを積載していない空の状態にあるとき、ピッキング作業端部4bが傾斜下端に位置する正傾斜姿勢に自動的に揺動復帰するように構成するのが好ましい。このように構成すれば、逆傾斜姿勢にある可動パレット滑動支持台10の傾斜下端の実パレット補給端部4a上から段積み空パレットPcを搬出したとき、可動パレット滑動支持台10が自動的に正傾斜姿勢に揺動復帰するので、段積み空パレットPcを実パレット補給端部4a上へ移動させた後に係止手段12の第二係止片24を操作して、第一係止片23を係止姿勢に復帰させておきさえすれば、正傾斜姿勢に揺動復帰した可動パレット滑動支持台10を当該正傾斜姿勢に自動係止することができるので、先に説明したように、逆傾斜姿勢にある可動パレット滑動支持台10を人為的操作で正傾斜姿勢に揺動復帰させる必要がなくなる。
【0033】
具体的な実施方法としては、可動パレット滑動支持台10をシーソー運動自在に軸支する支軸11の位置を、当該可動パレット滑動支持台10の長さ方向(パレット滑動方向)における重心位置、例えば当該可動パレット滑動支持台10の長さ方向(パレット滑動方向)の中央位置とし、可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b側に重錘を付設するか又は、図4及び図6に仮想線で示すように、可動パレット滑動支持台10をシーソー運動自在に軸支する支軸11の位置を、当該可動パレット滑動支持台10の長さ方向(パレット滑動方向)における重心位置、例えば当該可動パレット滑動支持台10の長さ方向(パレット滑動方向)の中央位置より、適当距離だけ実パレット補給端部4a側に偏った位置に配置することにより、実パレット補給端部4a側に作用する重力よりピッキング作業端部4b側に作用する重力が大きくなるようにし、この重力差で常にピッキング作業端部4bが傾斜下端となる正傾斜姿勢をとるように構成することができる。
【0034】
上記の重錘利用の構成や、支軸11の位置を実パレット補給端部4a側に偏らせる構成の他には、可動パレット滑動支持台10に支軸11の周りでピッキング作業端部4bが降下する方向の回転力を与えるスプリング利用の付勢手段を併用する構成も考えられる。具体的には、床面18側と可動パレット滑動支持台10との間で支軸11の周りに捩じりコイルスプリングを介装する付勢手段や、可動パレット滑動支持台10のピッキング作業端部4b側と床面18との間に引っ張りスプリングを介装する付勢手段、或いは、可動パレット滑動支持台10の実パレット補給端部4a側と床面18との間に圧縮スプリングを介装する付勢手段などが採用できる。
【0035】
図5及び図6には、圧縮スプリングを使用する付勢手段30の具体例を示している。即ち、この付勢手段30は、可動パレット滑動支持台10を構成している左右両フリーローラーレール13a,13bの実パレット補給端部4a側の端に近い位置の内側にバネ受け座31a,31bを突設し、これら各バネ受け座31a,31bの真下位置で床面18上に固定したバネ受け座32a,32bと前記バネ受け座31a,31bとの間に圧縮コイルスプリング33a,33bを介装したものである。このようなスプリング利用の付勢手段を採用する場合、そのスプリングによる付勢力は、可動パレット滑動支持台10の実パレット補給端部4a側に何も載置されていないときのみ、ピッキング作業端部4bが降下する方向に可動パレット滑動支持台10を支軸11の周りに回転させることができる程度の強さである。
【0036】
尚、上記の重錘利用の構成、支軸11の位置を実パレット補給端部4a側に偏らせる構成、及びスプリング利用の付勢手段を使用する構成は、これら構成の2つ又は3つを組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】パレット棚と荷搬出用コンベヤとを示す概略平面図である。
【図2】パレット棚に対する実パレットの補給作業とピッキング作業とを説明する概略側面図である。
【図3】パレット棚に対する段積み空パレットの搬出作業を説明する概略側面図である。
【図4】A図は正傾斜姿勢にある可動パレット滑動支持台を示す概略側面図、B図は逆傾斜姿勢にある可動パレット滑動支持台を示す概略側面図である。
【図5】可動パレット滑動支持台を示す平面図である。
【図6】可動パレット滑動支持台を示す縦断側面図である。
【図7】A図は係止手段が可動パレット滑動支持台を正傾斜姿勢に係止している状態を示す要部の縦断側面図、B図は係止手段を係止解除状態にして可動パレット滑動支持台を逆傾斜姿勢に向けて傾動させるときの状態を示す要部の縦断側面図、C図は可動パレット滑動支持台が正傾斜姿勢に復帰する直前の状態を示す要部の縦断側面図である。
【図8】係止手段を示す要部の平面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 パレット棚
2A ピッキング作業用パレット収納区画
2B 実パレット一時保管用パレット収納区画
2C 兼用パレット収納区画
3 荷搬出用コンベヤ
4a 実パレット補給端部
4b ピッキング作業端部
5,7 パレット滑動支持台
6a 実パレット一時保管用パレット収納区画の奥端部
6b 実パレット一時保管用パレット収納区画のパレット入出庫端部
10 可動パレット滑動支持台(シーソー運動自在なパレット滑動支持台)
11,25,28 水平支軸
12 係止手段
13a,13b フリーローラーレール
14a〜14d 連結部材
18 床面
19 軸受け部材
20 被係止部
20a 取付け部材
21 係止ユニット
22 取付け座板
23 第一係止片
23a 踏み板部
23d,24d 係止爪部
23e 制止部
24 第二係止片
24a 蹴り板部
26,29捩じりコイルスプリング
27 被係止軸
30 スプリング利用の付勢手段
33a,33b 圧縮コイルスプリング
F フォークリフト
Pa 実パレット
Pb 空パレット
Pc 段積み空パレット
PL パレット底面レベル
w 荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷積載パレットを補給する実パレット補給端部からピッキング作業端部に向かって下り勾配に傾斜し且つ少なくとも2つのパレットを直列状に支持できる長さを有するパレット滑動支持台が複数並設されたパレット棚設備において、少なくとも1つの前記パレット滑動支持台は、シーソー運動自在に軸支して、実パレット補給端部が傾斜上端に位置する正傾斜姿勢と、ピッキング作業端部が傾斜上端に位置する逆傾斜姿勢とに切り換え可能に構成され、このシーソー運動自在なパレット滑動支持台を少なくとも前記正傾斜姿勢で係止する係止解除自在な係止手段が併設されている、パレット棚設備。
【請求項2】
前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台は、正傾斜姿勢においてのみ前記係止手段で係止可能に構成されると共に、空の状態では逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰するように一方向に付勢されている、請求項1に記載のパレット棚設備。
【請求項3】
前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台は、実パレット補給端部側に作用する重力よりピッキング作業端部側に作用する重力が大きくなるように構成され、その重力差で空のシーソー運動自在なパレット滑動支持台が逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰するように構成されている、請求項2に記載のパレット棚設備。
【請求項4】
前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台を逆傾斜姿勢から正傾斜姿勢に自動復帰する方向に付勢するスプリング利用の付勢手段が併設されている、請求項2に記載のパレット棚設備。
【請求項5】
前記係止手段は、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台に設けられた被係止部に係止する係止姿勢と当該被係止部から離脱する係止解除姿勢とに切り換え自在な係止片と、この係止片を係止姿勢に付勢保持するスプリングとを備え、係止姿勢にある前記係止片は、前記シーソー運動自在なパレット滑動支持台が係止すべき姿勢になったときに前記被係止部に自動係止する形状に構成されている、請求項1〜4の何れか1項に記載のパレット棚設備。
【請求項6】
前記係止手段には、前記係止片を係止解除姿勢で自動係止する第二係止片が併設され、この第二係止片に対する係止解除操作により前記係止片が係止姿勢に復帰するように構成されている、請求項5に記載のパレット棚設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−149951(P2010−149951A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−327269(P2008−327269)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】