説明

パロノセトロン液状医薬製剤

本発明は、パロノセトロンを用いる化学療法及び放射線療法によって引き起こされる嘔吐を減ずるための保存安定パロノセトロン液剤に関する。本製剤は、静脈及び経口液状医薬の調製に特に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、注射可能で経口医薬の調製に特に有用なパロノセトロンの保管期間安定な溶液に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
嘔吐は、細胞障害性療法、放射線療法及び術後の環境の打撃的結果であり、かかる治療を経験した人の生活の質に劇的に影響を与える。近年、5-HT3(5-ヒドロキシトリプタミン)受容体アンタゴニストに言及している種類の薬物が、5-HT3受容体に関連した脳機能を拮抗することによるかかる嘔吐の治療に開発されてきた。「Drugs Acting on 5-Hydroxytryptamine Receptors: The Lancet Sep. 23,1989」及びそこに引用されている参考文献を参照されたい。当該種類の薬物としては、オンダンセトロン、グラニセトロン、アロセトロン、トロピセトロン及びドラセトロンを含む。これらの5-HT3アンタゴニストは、化学療法又は放射線療法の前に短期で静脈的に投与されることが多く、化学療法又は放射線療法のサイクル中に一回より多く投与され得る。加えて、これらの薬物は、静脈投与を補う、又は患者が化学療法処方を自己-投与する場合には、薬物の家庭内投薬を容易にするために、錠剤又は経口エリキシル剤として頻繁に供給される。
【0003】
いくつかの化学療法剤は、それらが一度のみ投与される場合でさえも、数日間の長期間に渡って嘔吐を誘導するので、嘔吐の危険性が実質的になくなるまで、5-HT3アンタゴニスト等の嘔吐-阻害薬を毎日投与することが望ましい。しかしながら、5-HT3アンタゴニストの現在の種類は、この要求を満たすために特に有用ではないことが明らかとなっている。これは、現在市販されている5-HT3受容体アンタゴニストが、吐き気及び嘔吐の遅延を制御する点では、急性の嘔吐を制御することほど効果的でないことが判明しているからである。Sabra, K, Choice of a 5HT3 Receptor Antagonist for the Hospital Formulary. EHP, Oct. 1996; 2 (suppl 1):S19-24。
【0004】
近年、パロノセトロン、すなわち米国特許第5,202,333号に報告されている新規5-HT3受容体アンタゴニストに関する臨床的研究がなされている。これらの研究により、当該薬物が現存する5-HT3受容体アンタゴニストよりも強いオーダーであり、約40時間の驚くべき半減期を有し、化学療法剤によって引き起こされる遅延型-吐き気の始まり(delayed-onset nausea)を減ずるために効果的である、ことが判っている。しかしながら、液剤中にパロノセトロンを製剤することは、典型的には保存-安定性の問題に起因して、容易な作業でないことが明らかとなっている。米国特許第5,202,333号は、実施例13に、以下の成分を含むパロノセトロン静脈製剤を開示している。
【0005】
【表1】

【0006】
当該製剤はpH 3.7を有し、数カ国の保健機関によって求められる1〜2年の期間よりも低い保存安定性を有する。
【0007】
オンダンセトロン、その用途及びオンダンセトロンで製造される医薬は、米国特許第4,695,578号、同4,753,789号、同4,929,632号、同5,240,954号、同5,344,658号、同5,578,628号、第5,578,632号、同5,922,749号、同5,622,720号、同5,955,48号及び同6,063,802号に開示されている。それは、商業的には、ゾフラン(登録商標)としてGlaxoSmithKlineにより流通され、術後の吐き気及び嘔吐(PONV)、癌化学療法-誘起吐き気及び嘔吐(CINV)及び放射線-誘起吐き気及び嘔吐(RINV)の抑制が指摘され、注射剤、錠剤及び液剤として及びゾフランODT(登録商標)(オンダンセトロン)経口崩壊錠として入手し得る。
【0008】
グラニセトロン、その用途及びグラニセトロンで製造された医薬は、米国特許第4,886,808号、同4,937,247号、同5,034,398号及び同6,294,548号に開示されている。それは、商業的には、キトリル(登録商標)としてRoche Laboratoriesにより流通され、化学療法又は放射線療法と関連する吐き気及び嘔吐の抑制が指摘され、錠剤、経口液剤として及び注射剤として提供される。
【0009】
アロセトロン、その用途及びアロセトロンで製造された医薬は、米国特許第5,360,800号及び同6,284,770号に開示されている。それは、商業的には、ロトロネックス(登録商標)としてGlaxoSmithKlineにより流通されている。
【0010】
トロピセトロンは、商業的にはナヴォバン(登録商標)(Novartis) CAS-89565-68-4(トロピセトロン);CAS-105826-92-4(トロピセトロン塩酸塩)として入手でき、PONV及びCINVの治療が指摘されている。
【0011】
ドラセトロン、その用途及びドラセトロンで製造された医薬は、米国特許第5,011,846号及び同4,906,755号に開示されている。商業的には、PONV及びCINVの双方を指摘して、アンゼメット(登録商標)としてAventis Pharmaceuticals Inc.により流通され、錠剤又は静脈液剤の形態で提供される。
【発明の開示】
【0012】
従って、向上した安定性及びそれによって保存安定性が向上したパロノセトロン製剤が求められている。この向上した安定性を有する製剤の製造を促進する5-HT3受容体アンタゴニスト及びその薬学的に許容される担体の好適な濃度範囲も求められている。
【0013】
本発明の目的は、嘔吐を抑制及び/又は減少させるための、医薬安定性が向上したパロノセトロン塩酸塩製剤を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、パロノセトロン塩酸塩を含む製剤を安定化する許容される濃度範囲を提供することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、長期間の保存を可能にするパロノセトロン製剤を提供することである。
【0016】
本発明の目的はまた、最終殺菌を可能にするパロノセトロン製剤を提供することである。
【0017】
発明の要約
発明者は、パロノセトロンを用いる嘔吐の治療及び抑制のための驚くべき効果的かつ多用途の製剤を支持する一連の発見をした。これらの製剤は、室温で24ケ月を越える期間、保存安定的であり、従って冷蔵することなく保存することができ、及び非-無菌な最終殺菌処理を用いて製造され得る。
【0018】
一つの態様では、発明者は、活性成分であるパロノセトロンを含む製剤が場合によっては、嘔吐治療のための他の公知の化合物のたった1/10量を必要とするに過ぎないことを発見した。驚くべきことに、これは、通常予想される濃度をはるかに下回るパロノセトロン濃度を使用できるものである。従って、一つの実施態様では、本発明は、a)約0.01 mg/mL〜約5 mg/mLのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。
【0019】
本発明者は、製剤のpH及び/又は賦形剤濃度を調整することによって、パロノセトロン製剤の安定性を向上させることができる、ことを更に発見した。従って、別の実施態様においては、本発明は、約4.0〜約6.0のpHの、a)パロノセトロン又は薬学的に許容される塩;及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。別の実施態様では、本発明は、約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;約10〜約100ミルモルのクエン酸緩衝液;及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。
【0020】
本発明者は、マンニトール及びキレート剤の添加がパロノセトロン製剤の安定性を向上させることができる、ことを更に発見した。従って、更に別の実施態様では、本発明は、a)パロノセトロン又は薬学的に許容される塩及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。ここで、当該薬学的に許容される担体はキレート剤及びマンニトールを含む。
【0021】
発明の詳細な説明
定義
「バイアル」は、最も好適な栓及びシールで密閉された小さなガラス容器を意味するが、例えば予備-充填シリンジに限定されないその他の好適な主な容器も使用できる。バイアルはまた、一度のみ使用される密閉された医薬品容器を意味し、壊れやすい及び壊れにくいガラスバイアル、壊れやすいプラスチックバイアル、小型の蓋がスクリュー式-瓶、及び一単位用量のパロノセトロン(典型的には約5mlずつ)のみを充填することができる大きさのその他の種類の容器を含む。
【0022】
本明細書において、用語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」もしくは「含むこと」等の変形は、記載要素、完全体(integer)もしくはステップ、又は要素群、完全体(複数)もしくはステップ(複数)の包含を意味し、任意の他の要素、完全体もしくはステップ、又は要素群、完全体(複数)もしくはステップ(複数)を排除するものではない、ことが理解されよう。
【0023】
「パロノセトロン」は、(3aS)-2,3,3a,4,5,6-ヘキサヒドロ-2-[(S)-l-アザビシクロ[2.2.2]オクト-3-イル] 2,3,3a,4,5,6-ヘキサヒドロ-l-オキソ-lHベンズ[de] イソキノリンを意味し、一塩酸塩として存在するものが好ましい。パロノセトロン一塩酸塩は、以下の化学式:
【0024】
【化1】

【0025】
によって表される。
【0026】
濃度--パロノセトロン濃度が本明細書で与えられている場合には、当該濃度は遊離塩基の重量で測定される。全ての他の成分の濃度は、本溶液に添加された成分の重量に基いて与えられる。
【0027】
「薬学的に許容される」とは、一般的に安全で非-毒性であり及び生物学的にもその他の点でも望まし医薬組成物の調製に有用であることを意味し、動物用途及びヒト医薬用途に許容されることを含む。
【0028】
「薬学的に許容される塩」とは、上で定義された、所望の薬理活性を有する薬学的に許容される塩を意味する。かかる塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;又は酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタンジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]オクト-2-エン-1-カルボン酸、gグルコヘプタン酸、4,4'-メチレンビス(3-ヒドロキシ-2-エン-1-カルボン酸)、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等の有機酸で形成される酸付加塩を含む。
【0029】
加えて、存在する酸性プロトンが無機又は有機塩基と反応できる場合には、薬学的に許容される塩が形成される。許容される無機塩基は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムを含む。許容される有機塩基は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N-メチルグルカミン等を含む。
【0030】
考察
パロノセトロンが、場合によっては、嘔吐を治療するための他の公知の化合物の量のわずか約1/10の濃度で製剤化できるという事実は、驚くべきことに、通常予想される濃度をはるかに下回るパロノセトロン濃度の使用を許容するものである。従って、一つの実施態様においては、本発明は、約0.01mg/mL〜約5mg/mLのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。同様に、別の実施態様では、本発明は、約0.01mg/mL〜約5mg/mLのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を、薬学的に許容される担体と混合することを含む薬学的に安定なパロノセトロン溶液の製剤化方法を提供する。代わりの実施態様では、本製剤は、約0.02mg/mL〜約1.0mg/mLの濃度、約0.03mg/mL〜約0.2mg/mLの濃度で、最も好ましくは約0.05mg/mlの濃度でパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0031】
低用量の静脈注射パロノセトロンに関連する具体的な利点は、短い別個の時間に単回静脈ボーラスで薬物を投与できる能力である。この時間は一般的に約10〜約60秒、又は約10〜約40秒であり、最も好ましくは約10〜約30秒である。一つの具体的実施態様では、パロノセトロンは5ml溶液を含むバイアル中に供給され、これは、約0.05mg/mlの濃度で約0.25 mgのパロノセトロンを同一視できる。
【0032】
本発明者は、製剤のpH及び/又は賦形剤濃度を調整することによって、パロノセトロン製剤の安定性を向上させることができる、ことを更に発見した。従って、別の実施態様では、本発明は、約4.0〜約6.0のpHの、a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減じるための薬学的に安定な溶液を提供する。同様に、別の実施態様では、本発明は、約4.0〜約6.0のpHの、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体を混合することを含むパロノセトロンの薬学的に安定な溶液の製剤化方法を提供する。代わりの実施態様では、pHは約4.5〜約5.5であり、最も好ましくは約5.0である。当業者には、製剤のpHを調整するための好適な溶液としては多くの例がある。2つの具体的溶液は水酸化ナトリウム溶液及び塩酸溶液であり、そのいずれかが本製剤のpHの調整に使用できる。
【0033】
別の実施態様では、本発明は、約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、及び(i)約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び/又は(ii)約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含む嘔吐を抑制又は減じるための薬学的に安定な溶液を提供する。同様に、別の実施態様では、本発明は、約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、及び(i)約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び/又は(ii)約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを混合することを含む薬学的に安定なパロノセトロン溶液の製剤化方法を提供する。クエン酸緩衝液は、クエン酸及び/又はクエン酸三ナトリウム等のクエン酸塩の形態でもよい。様々な実施態様では、1又はそれ以上の先述の成分の範囲を以下のように変更することができる:
・本製剤は、約0.02mg/mL〜約1.0mg/mL、約0.03mg/mL〜約0.2mg/mLのパロノセトロン塩酸塩、及び最も好ましくは約0.05mg/mlの濃度で、パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩を含んでもよい;
・本製剤は、約10〜約40ミリモル又は15〜30ミリモルの濃度でクエン酸緩衝液を含んでもよい;
・本製剤は、約0.005mg/ml〜約1.0mg/ml、又は約0.3〜約0.7mg/ml、最も好ましくは約0.5mg/mlの濃度でEDTAを含んでもよい。
【0034】
本発明者は、マンニトール及びキレート剤の添加がパロノセトロン製剤の安定性を向上させることができる、ことを更に発見した。従って、更に別の実施態様においては、本発明は、a)パロノセトロン又は薬学的に許容される塩及びb)薬学的に許容される担体を含む嘔吐を抑制又は減ずるための薬学的に安定な溶液を提供する。ここで、当該薬学的に許容される担体はキレート剤及びマンニトールを含む。同様に、別の実施態様では、本発明は、a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩及びb)薬学的に許容される担体を混合することを含む薬学的に安定なパロノセトロン溶液の製剤化方法を提供する。ここで、当該薬学的に許容される担体はキレート剤及びマンニトールを含む。キレート剤は好ましくはEDTAであり、様々な実施態様においてキレート剤は、約0.005〜約1.0mg/mL又は約0.05mg/mL〜約1.0mg/mL又は約0.3〜約0.7mg/ml、最も好ましくは約0.5mg/mlの濃度で存在する。様々な実施態様では、マンニトールは約10.0mg/ml〜約80.0mg/ml、約20.0mg/mL〜約60.0mg/ml、又は約40.0〜約45.0mg/mlの濃度で存在する。
【0035】
注射可能製剤は、その中の水が主な賦形剤である水溶液として典型的には製剤化される。経口製剤は、香料、着色剤又は粘性剤の添加により、一般的には注射可能製剤とは異なる。天然又は合成甘味剤は、特にマンニトール、ソルビトール、ショ糖、サッカリン、アスパルテーム、アセルサルファーメ(acelsulphame)K又はシクラメートを含む。これらの薬剤は一般的に、マンニトールが単に等張剤として働く発明の実施態様のいくつかに記載されたマンニトールの41.5mg/ml濃度に比較して、甘味剤として使用される場合には100mg/ml又は250mg/mlの過剰濃度で存在する。
【0036】
本発明の製剤は、注射可能でかつ経口液状製剤での使用に特に適しているが、本溶液が代わりの用途を有していてもよいことは理解されるだろう。例えば、それらは、他の医薬剤形の調製における中間体として使用することができる。同様に、鼻腔内又は吸入を含む他の投与経路を有していてもよい。注射可能製剤は筋肉内、静脈又は皮下を含む任意の経路をとってもよい。
【0037】
更に実施態様は、パロノセトロン製剤が簡便に保存又は製造される改良法に関する。特に、本発明者らは、本発明の製剤が室温で長期間製品を保存できる、ことを発見した。従って、更に別の実施態様では、本発明は、以下を含むパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液をその中に含む1個又はそれ以上の容器を保存する方法を提供する:a)当該1個又はそれ以上の容器を含む部屋を提供すること;b)約10、15又は20℃より高い部屋の温度を維持すること;及びc)当該部屋で1ケ月、3ケ月、6ケ月、1年、18ケ月、24ケ月又はそれ以上(しかし、好ましくは36ケ月を越えない)、当該容器を保存すること、ここで、(i)パロノセトロン又はその薬学的塩は約0.01mg/mL〜約5.0mg/mLの濃度で存在する、(ii)本溶液のpHは約4.0〜約6.0であり、(iii)本溶液は約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)本溶液はキレート剤を含み、又は(v)本溶液は約10〜約100 ミリモルのクエン酸緩衝液を含む。
【0038】
先述の製剤の安定性はまた、製造工程における最終殺菌処理にそれ自体、良好な結果をもたらす。従って、更に別の実施態様では、本発明は、以下を含むパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液をその中に含む容器を充填する方法を提供する:a)1個又はそれ以上の殺菌蓋なし容器を提供すること(好ましくは5 mlのバイアル); b)非-無菌環境においてパロノセトロン溶液で当該容器を充填すること;c)当該充填容器をシールすること;及びd)当該シールされた、充填容器を殺菌すること、ここで(i)パロノセトロン又はその薬学的塩は約0.01mg/mL〜約5mg/mLの濃度で存在し、(ii)本溶液のpHは約4.0〜約6.0であり、(iii)本溶液は約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)本溶液はキレート剤を含み、又は(v)本溶液は約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む。
【実施例】
【0039】
実施例1: pHの安定
パロノセトロン塩酸塩を含む製剤に与えるpHの効果を決定する、すなわち80℃、pH 2.0、5.0、7.4及び10.0での安定性を測定するために試験を行った。結果は、パロノセトロン塩酸塩がpH 5.0で最も安定であることを示した。
【0040】
実施例2: 濃度範囲の安定
実験的設計ソフトウェアを用いて製剤最適化研究を行った。パロノセトロン塩酸塩(0.05 mg/mL〜5.0mg/mL)、クエン酸緩衝液(0〜80mM)及びEDTA(0〜0.10%)の好適な濃度範囲を調査するために24ロットの医薬品を分析した。EDTA及びクエン酸緩衝液のレベルは、最適製剤に基いて選択し、EDTA 0.05%及びpH 5.0の20 mM クエン酸緩衝液で製剤化されることが判った。この研究の結果は、パロノセトロン濃度が化学的安定性及び最も低いパロノセトロン濃度で見られる最大の安定性における重要な要素でもあることを示した。
【0041】
実施例3: 等張剤
クエン酸緩衝液中のパロノセトロン塩酸塩製剤は、a)塩化ナトリウム又はb)マンニトールを含めて調製した。マンニトールを含むパロノセトロン塩酸塩製剤は、より優れた安定性を示した。等張溶液に求められるマンニトールの最適レベルは4.15%であることが判った。
【0042】
実施例4: 製剤 I
以下は、薬物の静脈製剤又はその他の液剤に有用なパロノセトロンを含む代表的な医薬製剤である。
【0043】
【表2】

【0044】
実施例5: 製剤 II
以下は、薬物の静脈製剤又はその他の液剤に有用なパロノセトロンを含む代表的な医薬製剤である。
【0045】
【表3】

【0046】
実施例6: デキサメタソン非存在下でのパロノセトロンの安定性
パロノセトロン塩酸塩の物理的及び化学的安定性を、5μg/mL及び30μg/mL濃度の5%デキストロース注射剤、0.9%塩化ナトリウム注射剤、5%デキストロースの0.45%塩化ナトリウム注射剤、及び5%デキストロースの乳化リンガー注射剤で試験した。混合物を暗闇で4℃で14日間及び蛍光灯下で23℃で48時間評価した。
【0047】
パロノセトロン塩酸塩の試験試料を5及び30μg/mLの濃度で塩化ポリビニル(PVC)製輸液バッグ中で調製した。物理的及び化学的安定性の評価は、最初、及び4℃で1、3、5、7及び14日間保存後、及び23℃で1、4、24及び48時間後に採取した試料で行った。標準的な室内照明での視覚観察により及び高-強度単方向光ビームを用いて、物理的安定性を評価した。更に、濁度及び粒子含量は電子的に測定した。薬物の化学的安定性を高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析技術が示す安定性を用いて評価した。
【0048】
全ての試料は試験中物理的に安定であった。本溶液は透明性を維持し、粒子負荷及びヘイズレベルにほとんど又は全く変化が認められなかった。更に、パロノセトロン塩酸塩は、全試験期間中、いずれかの温度で任意の試料においてほとんど又は全く損失しなかった。
【0049】
実施例 7 デキサメタソン存在下でのパロノセトロンの安定性
塩化ポリビニル(PVC)製ミニバッグ中でデキサメタソン(リン酸ナトリウムとして) 10 mgもしくは20 mgの5%デキストロース注射剤又は0.9%塩化ナトリウム注射剤と混合したパロノセトロン塩酸塩0.25 mgの物理的及び化学的安定性、並びに塩化ポリビニル(PVC)製シリンジ中でデキサメタソン(リン酸ナトリウムとして)3.3 mgの5%デキストロース注射剤又は0.9%塩化ナトリウム注射剤と、4℃で暗闇にて14日間及び23℃で標準的な研究室の蛍光灯に48時間暴露して混合したパロノセトロン塩酸塩0.25 mgの物理的及び化学的安定性を試験した。
【0050】
パロノセトロン塩酸塩 5μg/mLとデキサメタソン(リン酸ナトリウムとして)0.2mg/mL及び0.4mg/mLとの混合試験試料は、各輸液の塩化ポリビニル(PVC)製ミニバッグ中で調製した。更に、パロノセトロン塩酸塩 25μg/mLとデキサメタソン(リン酸ナトリウムとして)0.33mg/mLとを含む各輸液は、20mLのポリプロピレン製シリンジ中で10mLの試験溶液として調製した。物理的及び化学的安定性の評価は、最初、及び4℃で1、3、7及び14日間保存後、及び23℃で1、4、24及び48時間後に採取した試料で行った。標準的な室内照明での視覚観察により及び高-強度単方向光ビームを用いて、物理的安定性を評価した。更に、濁度及び粒子含量は電子的に測定した。薬物の化学的安定性を高速液体クロマトグラフ(HPLC)分析技術が示す安定性を用いて評価した。
【0051】
全ての試料は試験中物理的に適合した。本溶液は、透明性を維持し、粒子負荷及びヘイズレベルにほとんど又は全く変化が認められなかった。更に、パロノセトロン塩酸塩は、全試験期間中、いずれかの温度で任意の試料においてほとんど又は全く損失しなかった。
【0052】
本発明をその好ましい実施態様に関して記載してきた。本発明の変形及び変更は、先述の本発明の詳細な説明から当業者にとって明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)約0.01mg/mL〜約5mg/mLのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項2】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.02mg/mL〜約1.0mg/mLの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.03mg/mL〜約0.2mg/mLの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.05mg/mLの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
pHが約4.0〜約6.0である、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
pHが約4.5〜約5.5である、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
前記薬学的に許容される担体が約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールである、請求項1記載の溶液。
【請求項11】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミルモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項12】
静脈投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項13】
経口投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項14】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、pHが約4.0〜約6.0の嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項15】
前記pHが約4.5〜約5.5である、請求項14記載の溶液。
【請求項16】
前記pHが約5.0である、請求項14記載の溶液。
【請求項17】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.01mg/mL〜約5.0mg/mLの濃度である、請求項14記載の溶液。
【請求項18】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.05mg/mLの濃度である、請求項14記載の溶液。
【請求項19】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項14記載の溶液。
【請求項20】
前記薬学的に許容される担体が約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項14記載の溶液。
【請求項21】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールである、請求項14記載の溶液。
【請求項22】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミルモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項14記載の溶液。
【請求項23】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項14記載の溶液。
【請求項24】
水酸化ナトリウム又は塩酸を更に含む、請求項14記載の溶液。
【請求項25】
静脈投与のために使用される、請求項14記載の溶液。
【請求項26】
経口投与のために使用される、請求項14記載の溶液。
【請求項27】
a)約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;
b)約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液;及び
c)約0.005〜約1.0mg/mlのEDTA
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項28】
約0.05mg/mlのパロノセトロン塩酸塩を含む、請求項27記載の溶液。
【請求項29】
約10〜約40ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項27記載の溶液。
【請求項30】
約0.3〜約0.7mg/mlのEDTAを含む、請求項27記載の溶液。
【請求項31】
静脈投与のために使用される、請求項27記載の溶液。
【請求項32】
経口投与のために使用される、請求項27記載の溶液。
【請求項33】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体、
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液であって、当該薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、前記溶液。
【請求項34】
前記キレート剤がEDTAである、請求項33記載の溶液。
【請求項35】
前記キレート剤が、約0.005mg/ml〜約1.0g/mlの量で存在する、請求項33記載の溶液。
【請求項36】
前記キレート剤が、約0.3mg/ml〜約0.7mg/mlの量で存在する、請求項33記載の溶液。
【請求項37】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項33記載の溶液。
【請求項38】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.05mg/mlの濃度である、請求項33記載の溶液。
【請求項39】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールを含む、請求項33記載の溶液。
【請求項40】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項33記載の溶液。
【請求項41】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項33記載の溶液。
【請求項42】
前記pHが約4.5〜約6.0である、請求項33記載の溶液。
【請求項43】
前記pHが約4.5〜5.5である、請求項33記載の溶液。
【請求項44】
静脈投与のために使用される、請求項33記載の溶液。
【請求項45】
経口投与のために使用される、請求項33記載の溶液。
【請求項46】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体、
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液であって、前記薬学的に許容される担体がマンニトールを含む、前記溶液。
【請求項47】
前記マンニトールが約10.0mg/ml〜約80.0mg/mlの濃度である、請求項46記載の溶液。
【請求項48】
前記マンニトールが約40.0mg/ml〜約45.0mg/mlの濃度である、請求項46記載の溶液。
【請求項49】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項46記載の溶液。
【請求項50】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.05mg/mlの濃度である、請求項46記載の溶液。
【請求項51】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項46記載の溶液。
【請求項52】
前記薬学的に許容される担体が約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項46記載の溶液。
【請求項53】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項46記載の溶液。
【請求項54】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項46記載の溶液。
【請求項55】
前記pHが約4.5〜約6.0である、請求項46記載の溶液。
【請求項56】
前記pHが約4.5〜5.5である、請求項46記載の溶液。
【請求項57】
静脈投与のために使用される、請求項46記載の溶液。
【請求項58】
経口投与のために使用される、請求項46記載の溶液。
【請求項59】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体、
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液であって、前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記溶液。
【請求項60】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約70ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項59記載の溶液。
【請求項61】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約40ミルモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項59記載の溶液。
【請求項62】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項59記載の溶液。
【請求項63】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.05mg/mlの濃度である、請求項59記載の溶液。
【請求項64】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項59記載の溶液。
【請求項65】
前記薬学的に許容される担体が約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項59記載の溶液。
【請求項66】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールを含む、請求項59記載の溶液。
【請求項67】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項59記載の溶液。
【請求項68】
前記pHが約4.5〜約6.0である、請求項59記載の溶液。
【請求項69】
前記pHが約4.5〜5.5である、請求項59記載の溶液。
【請求項70】
静脈投与のために使用される、請求項59記載の溶液。
【請求項71】
経口投与のために使用される、請求項59記載の溶液。
【請求項72】
パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液を含む1以上の容器の保存方法であって、
a)当該1以上の容器を含む部屋を提供すること;
b)当該部屋の温度を約10℃より大きく温度に調整又は維持すること;
c)当該容器を当該部屋で1月以上保存すること
を含み、
ここで、(i)前記パロノセトロン又はその薬学的塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で存在し、(ii)当該溶液のpHが約4.0〜約6.0であり、(iii)当該溶液が約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)当該溶液がマンニトール又はキレート剤を含み、あるいは(v)当該溶液が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記方法。
【請求項73】
パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液をその中に含む容器の充填方法であって、
a)1以上の殺菌蓋なし容器を提供すること;
b)非-無菌環境でパロノセトロンの溶液で当該容器を充填すること;
c)当該充填容器を密閉すること;及び
d)当該密閉された充填容器を殺菌すること
を含み、
ここで、(i)前記パロノセトロン又はその薬学的塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で存在し、(ii)当該溶液のpHが約4.0〜約6.0であり、(iii)当該溶液が約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)当該溶液がマンニトール又はキレート剤を含み、あるいは(v)当該溶液が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液であって、
当該薬学的に許容される担体はマンニトールを含む、前記溶液
【請求項2】
前記マンニトールが、約10.0mg/ml〜約80.0mg/mlの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
前記マンニトールが、約40.0mg/ml〜約45.0mg/mlの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項4】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.01mg/mL〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項1記載の溶液。
【請求項5】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項6】
前記薬学的に許容される担体が約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項1記載の溶液。
【請求項7】
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミルモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項8】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項1記載の溶液。
【請求項9】
前記pHが約4.0〜約6.0である、請求項1記載の溶液。
【請求項10】
前記pHが約4.5〜約5.5である、請求項1記載の溶液。
【請求項11】
静脈投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項12】
経口投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項13】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項記載の溶液。
【請求項14】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩がパロノセトロン塩酸塩であり、前記pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項15】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、前記pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項1記載の溶液。
【請求項16】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩である、請求項2記載の溶液。
【請求項17】
前記薬学的に許容される担体が、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項記載の溶液。
【請求項18】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項記載の溶液。
【請求項19】
前記pHが約4.0〜約6.0である、請求項記載の溶液。
【請求項20】
前記pHが約4.5〜約5.5である、請求項記載の溶液。
【請求項21】
静脈投与のために使用される、請求項記載の溶液。
【請求項22】
経口投与のために使用される、請求項記載の溶液。
【請求項23】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項2記載の溶液。
【請求項24】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩がパロノセトロン塩酸塩であり、当該pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項2記載の溶液。
【請求項25】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、前記pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項2記載の溶液。
【請求項26】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項3記載の溶液。
【請求項27】
前記薬学的に許容される担体が、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項3記載の溶液。
【請求項28】
前記pHが約4.0〜約6.0である、請求項記載の溶液。
【請求項29】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項3記載の溶液。
【請求項30】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩がパロノセトロン塩酸塩であり、当該pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項3記載の溶液。
【請求項31】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度のパロノセトロン塩酸塩であり、前記pHが約4.0〜約5.0であり、かつ静脈投与のために使用される、請求項3記載の溶液。
【請求項32】
a)約0.03〜約0.2mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項33】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.05mg/mlの濃度である、請求項32記載の溶液。
【請求項34】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項32記載の溶液。
【請求項35】
前記pHが約4.0〜約6.0である、請求項32記載の溶液。
【請求項36】
前記pHが約4.5〜約5.5である、請求項32記載の溶液。
【請求項37】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項32記載の溶液。
【請求項38】
前記薬学的に許容される担体が、約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項32記載の溶液。
【請求項39】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールを含む、請求項32記載の溶液。
【請求項40】
静脈投与のために使用される、請求項32記載の溶液。
【請求項41】
経口投与のために使用される、請求項32記載の溶液。
【請求項42】
a)約0.01〜約5mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項43】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.05mg/mlの濃度である、請求項42記載の溶液。
【請求項44】
パロノセトロン塩酸塩を含む、請求項42記載の溶液。
【請求項45】
前記pHが約4.0〜約6.0である、請求項42記載の溶液。
【請求項46】
前記pHが約4.5〜約5.5である、請求項42記載の溶液。
【請求項47】
前記薬学的に許容される担体がキレート剤を含む、請求項42記載の溶液。
【請求項48】
前記薬学的に許容される担体が、約0.005mg/ml〜約1.0mg/mlのEDTAを含む、請求項42記載の溶液。
【請求項49】
前記薬学的に許容される担体がマンニトールを含む、請求項42記載の溶液。
【請求項50】
静脈投与のために使用される、請求項42記載の溶液。
【請求項51】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体
を含む、pHが約4.0〜約6.0の嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項52】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項51記載の溶液。
【請求項53】
a)パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;及び
b)薬学的に許容される担体、
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液であって、
前記薬学的に許容される担体が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記溶液。
【請求項54】
前記薬学的に許容される担体が、約10〜約40ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、請求項53記載の溶液。
【請求項55】
前記パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩が、約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度である、請求項53記載の溶液。
【請求項56】
a)約0.01〜約5mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩;
b)約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液;及び
c)約0.005〜約1.0mg/mlのEDTA
を含む、嘔吐を抑制又は減少させるための薬学的に安定な溶液。
【請求項57】
パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液を含む1以上の容器の保存方法であって、
a)当該1以上の容器を含む部屋を提供すること;
b)当該部屋の温度を約10℃より高い温度に調整又は維持すること;
c)当該容器を当該部屋で1月以上保存すること
を含み、
ここで、(i)前記パロノセトロン又はその薬学的塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で注射製剤中に存在し、(ii)当該溶液のpHが約4.0〜約6.0であり、(iii)当該溶液が約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)当該溶液がマンニトールを含み、あるいは(v)当該溶液が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記方法。
【請求項58】
パロノセトロン又はその薬学的に許容される塩の溶液をその中に含む容器の充填方法であって、
a)1以上の殺菌蓋なし容器を提供すること;
b)非-無菌環境でパロノセトロンの溶液で当該容器を充填すること;
c)当該充填容器を密閉すること;及び
d)当該密閉された充填容器を殺菌すること
を含み、
ここで、(i)前記パロノセトロン又はその薬学的塩が約0.01mg/ml〜約5.0mg/mlの濃度で注射製剤中に存在し、(ii)当該溶液のpHが約4.0〜約6.0であり、(iii)当該溶液が約0.01〜約5.0mg/mlのパロノセトロン又はその薬学的に許容される塩、約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液及び約0.005〜約1.0mg/mlのEDTAを含み、(iv)当該溶液がマンニトールを含み、あるいは(v)当該溶液が約10〜約100ミリモルのクエン酸緩衝液を含む、前記方法。

【公表番号】特表2006−516583(P2006−516583A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501686(P2006−501686)
【出願日】平成16年1月30日(2004.1.30)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000888
【国際公開番号】WO2004/067005
【国際公開日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(505290597)ヘルシン ヘルスケア ソシエテ アノニム (3)
【Fターム(参考)】