説明

パワーコンディショナ

【課題】DCリンク電圧の電圧検出回路において素子の一部が短絡故障しても、当該異常を報知しながら動作を安全に継続できるパワーコンディショナを提供する。
【解決手段】電圧検出回路8においてDCリンク部4の電圧を降圧する抵抗R1〜RNの短絡故障の判定にあたり、制御部6は、制御デューティー比を固定した状態でコンバータ部2の出力が一定になるように制御し、その状態で、制御部6に入力される電圧に基づいてDCリンク部4の電圧を演算する。そしてこの電圧値と、抵抗R1〜RNのいずれかに短絡故障があるとの想定の下で制御部6が入力電圧に基づいて演算するであろうDCリンク部の電圧予測値に基づいて異常判定閾値を設定し、この閾値と実際に制御部6が演算したDCリンク部4の電圧とを比較して、演算したDCリンク部の電圧≧異常判定閾値の関係が成立する場合に、抵抗R1〜RNのいずれかに短絡故障があると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパワーコンディショナに関し、より詳細には、コンバータとインバータとがDCリンクコンデンサで接続されたパワーコンディショナにおけるDCリンク部の電圧検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池や燃料電池などで発電された直流電力を商用電源(系統)に連系させるための装置としてパワーコンディショナが提案されている。この種のパワーコンディショナは、太陽電池などの発電設備で発電された直流電力を所定の電圧に昇圧するコンバータと、コンバータで昇圧された直流電力を系統に連系可能な周波数の交流電力に変換するインバータとを備えており、これらがDCリンクコンデンサ(DCリンク部)を介して接続されている。
【0003】
そして、コンバータの制御部は、DCリンク部の電圧(DCリンク電圧)が目標電圧となるように、DCリンク電圧をフィードバックしながらコンバータ部に対するPWM(Pulse Width Modulation)制御を行っている。
【0004】
ところで、このように構成されたパワーコンディショナにおいては、上記制御部にフィードバックするDCリンク電圧の検出回路は、DCリンク電圧を制御部で検出可能な電圧にするために、複数の抵抗を直列接続した回路を用いてDCリンク電圧を所定の電圧レベルまで下げて制御部に入力するように構成している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−135256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成の電圧検出回路を備えたパワーコンディショナにおいては以下のような問題があり、その改善が望まれていた。
【0007】
すなわち、DCリンク電圧の検出にあたり、複数の抵抗を直列接続した回路で電圧を降下させる構成では、これらの抵抗のうちの一部の抵抗にごみが付着するなどしてショートした場合には制御部に正確な電圧が入力されない。特に、近年ではパワーコンディショナの小型化を図る関係から、基板に実装する抵抗にはチップ部品(面実装の抵抗)を使用することが多いことから、ごみの付着などによるショート故障(短絡故障)が発生するおそれがある。
【0008】
このように複数ある抵抗のうちの一部の抵抗がショートすると、制御部にはショート故障がない場合の電圧よりも高い電圧が入力されることから、制御部でのフィードバック制御によるDCリンク電圧は低く抑えられてしまい、その結果、系統に出力する電圧に異常が生じたり、電圧波形の質が悪くなるなどの問題があった。
【0009】
その一方で、従来のパワーコンディショナにはこのようなDCリンク電圧の電圧検出回路について素子(抵抗)の短絡故障を検出する手段は設けられておらず、素子の短絡故障によって出力電圧等に異常が生じた場合には、出力電圧等の異常として処理しており、異常の態様によってはパワーコンディショナの出力を停止させる処理が行われていた。
【0010】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、DCリンク電圧の電圧検出回路において素子の一部が短絡故障しても、当該異常を報知しながら動作を安全に継続できるパワーコンディショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のパワーコンディショナは、コンバータ部とインバータ部とがDCリンク部を介して接続され、制御部がDCリンク部の電圧に基づいてコンバータ部の出力電圧を目標電圧に向けて制御するパワーコンディショナであって、上記制御部は、DCリンク部の電圧を複数の降圧用の抵抗で降圧して得られる降圧後の電圧からDCリンク部の電圧測定値を取得し、この電圧測定値に基づいてフィードバック制御を行うものにおいて、上記制御部は、上記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行い、この状態で上記DCリンク部の電圧測定値を取得するステップと、上記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると想定したときに上記制御部が取得するDCリンク部の電圧測定値に基づいて異常判定閾値を設定するステップと、上記フィードバック制御を停止した状態で取得したDCリンク部の電圧測定値と上記異常判定閾値とを比較して、上記電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立する場合に、上記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定する制御構成を有することを特徴とする。
【0012】
すなわち、本発明が適用されるパワーコンディショナでは、DCリンク部の電圧に基づいてコンバータ部の出力電圧をフィードバック制御する制御部に入力されるDCリンク部の電圧は、複数の降圧用の抵抗を用いて制御部で検出可能な電圧まで降圧させた状態で制御部に入力され、制御部は、この降圧された電圧からDCリンク部の電圧を演算によって求め、その値をDCリンク部の電圧測定値として上記フィードバック制御を行うように構成される。
【0013】
そして、本発明ではこの制御部が、上記降圧用の抵抗のうちの一部の抵抗に短絡故障が発生していないかを判定するように構成されており、この判定にあたって、上記制御部は、まず、コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態、つまり、フィードフォワード制御によって、コンバータ部の出力電圧が目標電圧となるようにコンバータ部を制御する。そして、この状態で、制御部は上記降圧用の抵抗による降圧後の電圧からDCリンク部の電圧測定値を演算・取得し、このDCリンク部の電圧測定値と異常判定閾値とを比較して、電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立すれば、降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定する。
【0014】
この判定に用いる異常判定閾値は、異常判定閾値と比較するDCリンク部の電圧測定値と同じ条件、つまり、コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態で、上記降圧用の抵抗のうちのいずれかに短絡故障があるときに制御部が取得することになるDCリンク部の電圧測定値に基づいて設定される。たとえば、降圧用の抵抗のうちの1つの抵抗が短絡故障していると想定した場合に制御部が取得するDCリンク部の電圧測定値を異常判定閾値として設定する。ここで、上記降圧用の抵抗のうちに短絡故障が発生した抵抗が含まれると、短絡故障が発生した抵抗の数に応じて制御部で演算されるDCリンク部の電圧測定値は高くなるので、ここで設定される異常判定閾値は短絡故障がない場合に比べて高い値となる。したがって、この異常判定閾値と比較するDCリンク部の電圧測定値が降圧用の抵抗に短絡故障がない正常な状態で演算・取得された電圧測定値である場合には、電圧測定値≧異常判定閾値の関係は成立せず、降圧用の抵抗に短絡故障はないと判定される。これに対して、降圧用の抵抗のうちの1つの抵抗に短絡故障がある場合には電圧測定値=異常判定閾値となるので、上記電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立し、降圧用の抵抗に短絡故障がある抵抗が含まれていると判定される。
【0015】
このように、本発明では、制御部がコンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧に制御しながら降圧用の抵抗に短絡故障があるか否かを判定するので、従来のパワーコンディショナでは検出されなかった降圧用の抵抗の短絡故障が検出でき、当該短絡故障の早期発見、早期修理ができるようになる。
【0016】
なお、本発明に用いる異常判定閾値は、降圧用の抵抗に短絡故障があると想定して制御部が所定の計算式に基づいて演算・設定することから、たとえば、1個の降圧用の抵抗(1素子)に短絡故障があるかを判定する異常判定閾値を設定する際には、異常判定閾値を設定する計算式で用いる故障素子数KをK−X(但し、Xは0<X<1)とし、計算上の故障素子数Kの設定にマージンX(たとえば、X=0.5)を設定することで、短絡故障のある抵抗の検出精度を高めることができる。
【0017】
そして、本発明はその好適な実施態様として、上記制御部は、上記異常判定閾値として短絡故障があると想定する抵抗の数を変えた複数の異常判定閾値を用い、これら複数の異常判定閾値と上記フィードバック制御を停止した状態で取得したDCリンク部の電圧測定値とを比較して、短絡故障が発生している抵抗の実数を特定する制御構成を備えたことを特徴とする。
【0018】
この実施態様では、故障素子数ごとにそれぞれ異常判定閾値を設定し、上述したDCリンク部の電圧測定値と異常判定閾値とを比較する際に、たとえば、1素子故障の異常判定閾値から順に、2素子故障の異常判定閾値、3素子故障の異常判定閾値といったように比較する異常判定閾値を変えながら電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立するまで電圧測定値と異常判定閾値との比較を繰り返すことで短絡故障が発生している抵抗(素子)の実数を特定する。したがって、この実施態様では、複数ある降圧用の抵抗のうちいくつの抵抗に短絡故障が発生しているかが確認できるので、故障修理にあたっての修理漏れなどを抑制することができる。
【0019】
さらに、本発明は他の好適な実施態様として、上記制御部は、上記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行い、この状態で、上記降圧用の抵抗に短絡故障がないときに上記制御部に入力される電圧を求める第1の計算式と、上記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があるときに上記制御部に入力される電圧を求める第2の計算式とを用いて、上記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があるときに上記制御部に入力される電圧を補正する補正係数を算出し、上記制御部に入力される電圧にこの補正係数を乗じて制御部への入力電圧値を補正する制御構成を備えたことを特徴とする。
【0020】
この実施態様では、降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があるときには、制御部が当該制御部に入力される電圧に補正係数を乗じて補正するように構成される。具体的には、このパワーコンディショナでは、降圧用の抵抗に短絡故障がないときに上記制御部に入力される電圧と、上記降圧用の抵抗に短絡故障があるときに上記制御部に入力される電圧とを、それぞれ第1の計算式、第2の計算式を用いて算出する。これらの計算式は、たとえば図2の回路を参照して説明すると(図2では降圧用の複数の抵抗がRA(ただし、RAを構成する個々の降圧用の抵抗の抵抗値は全て同じ値R1とする)、制御部での電圧検出用の分圧抵抗がR0)、第1の計算式は[R0/(R1×N+R0)]×DCリンク部の電圧とされ(Nは降圧用の抵抗の素子数)、また、第2の計算式は[R0/(R1×(N−K)+R0]×DCリンク部の電圧(Kは故障素子数)とされる。そして、これらの計算式を用いると、短絡故障がないときの制御部の入力電圧は、短絡故障があるときの制御部の入力電圧に[(R1×(N−K)+R0)/(R1×N+R0)]を乗じることによって表わされるので、上記補正係数は[(R1×(N−K)+R0)/(R1×N+R0)]となる。ここで、この数式におけるR0,R1,Nは本発明が適用される回路の定数として定まっているので、故障素子数Kを特定すれば補正係数が決定され得る。
【0021】
したがって、この実施態様では、降圧用の抵抗に短絡故障がある場合であっても、制御部は、補正後の入力電圧値を用いてDCリンク部の電圧測定値を演算できるので、DCリンク部の電圧測定値として実際のDCリンク部の電圧に近い値を使用でき、コンバータ部を適正に制御することができる。そのため、この実施態様によれば、降圧用の抵抗の一部に短絡故障があってもパワーコンディショナを正常に動作せることができ、出力電圧異常や電圧波形異常の少ないパワーコンディショナを提供できる。
【0022】
また、本発明はその好適な実施態様として、上記制御部は、上記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定した場合には、当該故障の発生を報知手段で報知するが、パワーコンディショナは停止させずに動作を継続させる制御構成を備えていることを特徴とする。
【0023】
この実施態様では、制御部が降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定した場合であっても、当該故障の発生は報知手段で報知するだけで、パワーコンディショナはその動作を停止させることなく動作を継続する。特にこの実施態様は、上述したように降圧用の抵抗に短絡故障がある場合には制御部への入力電圧を補正するように構成されたパワーコンディショナに適用されるのが有効であり、その場合、制御部は入力電圧を補正しながら運転を継続することになるので、パワーコンディショナの動作を正常に安定して継続させることができる一方、短絡故障が発生していることは報知されるので、修理などの対応を促すことになり、パワーコンディショナを常に良好な状態に維持することができるようになる。
【0024】
また、本発明は他の好適な実施態様として、上記DCリンク部の電圧が所定電圧以上であるか否かを検出する高電圧検出回路を備えてなり、上記制御部は、この高電圧検出回路でDCリンク部の電圧が上記所定電圧以上であることが検出されると、パワーコンディショナを停止させることを特徴とする。
【0025】
この実施態様では、DCリンク部の電圧が所定電圧以上になると高電圧検出回路がそれを検出し、上記制御部はパワーコンディショナを停止させるように構成される。本発明では、降圧用の抵抗の短絡故障によって制御部に入力される電圧が上昇した場合でも制御部はパワーコンディショナの動作を継続させるように構成されるが、制御部に入力される電圧の上昇がDCリンク部の電圧の上昇による場合にはパワーコンディショナを停止するようにしている。
【0026】
また、本発明は他の好適な実施態様として、上記制御部は、上記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行う際に、その前後に制御部で取得されるDCリンク部の電圧測定値に基づいて上記短絡故障以外の回路故障の有無を判定するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
この実施態様では、フィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御の際にその前後におけるDCリンク部の電圧測定値を用いて降圧用の抵抗の短絡故障以外の回路故障の有無も判定されるので、制御部が上述した降圧用の抵抗に短絡故障があるか否かの判定を行う際や制御部の入力電圧の補正係数を設定する際にこれらと併せて他の故障の有無の判定ができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、パワーコンディショナにおいてDCリンク部の電圧を検出するために設けられている降圧用の複数の抵抗の一部に短絡故障があるか否か、短絡故障が発生している素子の数などが検出できるとともに、短絡故障がある場合には、降圧用の抵抗で降圧され制御部に入力される電圧を適正な電圧値に補正するので、DCリンク部の電圧を降圧させるために用いている抵抗の一部に短絡故障が発生してもパワーコンディショナの動作を停止させることなく、しかも系統への出力を正常な状態に保ちながら、その動作を継続させることができる。また、その際に短絡故障があることを報知することで故障の早期発見、早期修理を行うことができる。
【0029】
さらに、本発明は、DCリンク部の電圧が所定電圧以上になるとそれを検出する高電圧検出回路を備えさせることで、制御部に入力される電圧の上昇がDCリンク部の電圧の上昇による場合にはパワーコンディショナを停止させることができるので、降圧用の抵抗の短絡故障に伴う制御部への入力電圧が上昇した時にパワーコンディショナの動作を継続させる構成を安全を確保しつつ採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るパワーコンディショナの概略構成を示す説明図であって、図1(a)は同パワーコンディショナの全体構成を、また、図1(b)は同パワーコンディショナにおけるDCリンク電圧の検出回路の構成をそれぞれ示している。
【図2】同パワーコンディショナにおけるDCリンク電圧の検出回路において直列接続された複数の抵抗を1つにまとめて図示した回路説明図である。
【図3】同パワーコンディショナの他の実施態様を示す説明図であって、DCリンク電圧の検出回路に高電圧検出回路を付加した回路構成を示している。
【図4】同パワーコンディショナの他の実施態様を示す説明図であって、DCリンク部とDCリンク電圧の検出回路を接続するコネクタと、同電圧検出回路とマイコンとの間に介装されるアイソレーションアンプを図示した回路構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
実施形態1
【0032】
本発明に係るパワーコンディショナは、太陽電池や燃料電池などの発電設備で発電された直流電力を系統(商用電源:たとえば、単相3線式100/200V)に接続するための装置であって、図1(a)に示すように、このパワーコンディショナは、発電設備(直流電源)1から供給される直流電力を所定の電圧に昇圧するDC/DCコンバータを有するコンバータ部2と、コンバータ部2で昇圧された直流電力を系統5に連系可能な周波数に変換するDC/ACインバータを有するインバータ部3と、上記コンバータ部2とインバータ部3とを接続するDCリンクコンデンサを有するDCリンク部4とを主要部として構成されている。
【0033】
上記コンバータ部2はマイコン7を有する制御部6を備えており、この制御部6によってコンバータ部2の出力電圧を制御している。具体的には、上記マイコン7は、DCリンク部4の電圧(DCリンク電圧)をフィードバックしながらDCリンク電圧が目標電圧Voになるように、コンバータ部2に対してPWM(Pulse Width Modulation)制御を行うように構成されている。つまり、このコンバータ部2は、その入力電圧をVin、出力電圧をVout、コンバータ部2のトランス(図示せず)の巻き数比をT、PWM制御のデューティー比をDとすると、その出力電圧は、Vout=Vin×T×Dとして表わされる。
【0034】
図1(b)は、上記制御部6にフィードバックされるDCリンク電圧の検出回路(電圧検出回路)8を示している。図1(b)に示すように、この電圧検出回路8は、DCリンク電圧を抵抗値が同一の複数(N個)の降圧用の抵抗R1〜RNで降圧して検出するように構成されており、具体的には、これら降圧用の抵抗R1〜RNと分圧用の抵抗R0とを主要部として構成され、降圧用の抵抗R1〜RNと分圧用の抵抗R0とで分圧した電圧をマイコン7のA/D入力ポートに入力するようにしている。つまり、この電圧検出回路8においては、マイコン7のA/D入力ポートには、DCリンク電圧×R0/(R1×N+R0)の電圧が入力されるように構成されており、マイコン7は、この入力された電圧(降圧後の電圧)に基づいてDCリンク部4の電圧測定値を演算によって取得する(以下、このマイコン7によって演算されたDCリンク部4の電圧を「DCリンク電圧測定値」と称する)ように構成されている。
【0035】
次に、このように構成されたDCリンク電圧の検出回路8において、直列に接続された降圧用の抵抗(素子)R1〜RNの一部に短絡故障が発生した場合における当該短絡故障の検出処理とDCリンク測定値の補正処理について以下に説明する。
【0036】
まず、はじめに短絡故障の検出処理について説明する。
短絡故障の検出処理では、上記制御部6は、まず、コンバータ部2の出力電圧が一定となるように制御(コンバータ出力電圧一定制御)を行う。このコンバータ出力電圧一定制御は、制御部6でのフィードバック制御は行わずに(フィードバック制御を停止した状態で)、PWM制御デューティー比Dを固定しながらコンバータ部2の出力電圧があらかじめ設定された所定の目標電圧(素子故障検出目標電圧)となるように制御するもので、この制御において制御部6は、Vin×T×D(但し、Dは固定)=素子故障検出目標電圧となるように制御を行う。つまり、制御部6は、コンバータ部2の入力電圧Vinと、トランスの巻き数比Tと、素子故障検出目標電圧とに基づいてPWM制御デューティー比Dを決定してコンバータ部2の出力を制御する。
【0037】
この制御におけるDCリンク電圧測定値は、理想的にはコンバータ部2の出力電圧Vout=DCリンク電圧測定値となることから、故障素子数をKとすると、以下の数式(1)が導かれる。
DCリンク電圧測定値=Vout×(R1×N+R0)/[R1×(N−K)+R0]・・・(1)
【0038】
ここで、素子に故障がなければ(K=0であれば)、Vout=DCリンク電圧測定値となる。これに対して、故障素子数Kが1以上の場合には電圧検出回路8に異常があるので、以下の数式(2)によって得られる異常判定閾値を用いて素子に短絡故障があるか否かの判定を行う。
異常判定閾値=Vout×(R1×N+R0)/[R1×(N−(K−0.5))+R0]・・・(2)
ただし、(2)式において故障素子数KはK≧1とする。
【0039】
この異常判定閾値は、異常判定閾値と比較するDCリンク部の電圧測定値と同じ条件、つまり、コンバータ部2に対するフィードバック制御を停止した状態で、降圧用の抵抗R1〜RNのうちのいずれかに短絡故障があると想定したときに制御部が取得することになるDCリンク部の電圧測定値に基づいて設定される。すなわち、降圧用の抵抗R1〜RNのいずれかに短絡故障が発生していると、短絡故障が発生した抵抗の数に応じて制御部6で演算されるDCリンク電圧測定値は高くなるので、ここで設定される異常判定閾値は短絡故障がない場合の電圧測定値に比べて高い値となる。
【0040】
したがって、この異常判定閾値と比較するDCリンク部4の電圧測定値が降圧用の抵抗R1〜RNに短絡故障がない正常な状態で演算・取得された電圧測定値である場合には、この電圧測定値は異常判定閾値よりも小さくなる。これに対して、いずれかの抵抗に短絡故障がある場合には、電圧測定値は異常判定閾値と同じか、あるいは異常判定閾値よりも大きくなるので、その場合は降圧用の抵抗R1〜RNのいずれかに短絡故障があると判定できる。
【0041】
本実施形態では、このような関係を利用して、制御部6が、上記コンバータ出力電圧一定制御を行いながらマイコン7で演算されたDCリンク電圧測定値と、この数式(2)で得られる異常判定閾値とを比較して、DCリンク電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立する場合には、制御部6は抵抗R1〜RNに短絡故障があると判定する。
【0042】
ここで、上記数式(2)において、故障素子数Kから「0.5」を減算しているのは短絡故障の検出精度を高めるためである。たとえば、1個の降圧用の抵抗に短絡故障があるかを判定(1素子故障判定)するための異常判定閾値を設定する際に、故障素子数1から0.5(この値Xは、0<X<1の範囲で設定される)を減算することで、故障素子数を1として設定するときよりも故障判定閾値をわずかに小さく設定し、これによって上記DCリンク電圧測定値がわずかに変動した場合でも、上記判定条件(DCリンク電圧測定値≧異常判定閾値)が成立するようにしている。なお、この数式(2)におけるマージンXは、設けなくても本発明はもちろん実施可能である。
【0043】
そして、故障素子数の特定は、数式(2)における故障素子数Kの値を変えながら(たとえば、Kの値を1から順次「+1」しながら)、DCリンク電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立しなくなるまで判定を行い、短絡故障が発生している故障素子の実数を特定する。つまり、制御部6は、上記異常判定閾値として短絡故障があると想定する抵抗の数を変えた複数の異常判定閾値を用いて、これら複数の異常判定閾値と上記DCリンク部4の電圧測定値とを比較して、短絡故障が発生している抵抗の実数を特定するようにしている。
【0044】
次に、DCリンク電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立した場合におけるDCリンク電圧測定値の補正処理について図2を参照しながら説明する。
【0045】
図2は、図1(b)における抵抗R1〜RNからなる降圧用の抵抗を1つにまとめて図示した回路説明図である。この図2に従えば、抵抗R1〜RNはRAとして表示されているので、この表示に従うとDCリンク電圧測定値は、DCリンク電圧測定値=R0/(RA+R0)として表わされる。
【0046】
この処理にあたり、制御部6は、上記短絡故障の検出処理と同じ条件の下で(つまり、上記コンバータ出力電圧一定制御を行いながら)素子に故障がない状態(K=0のとき)のマイコン7の入力電圧を取得し、そのときのデータを記憶手段に記憶させておく。つまり、故障素子数K=0の状態でのマイコン7の入力電圧(故障前)として、以下の数式(3)(第1の計算式)を記憶しておく。
マイコン入力電圧(故障前)=[R0/(R1×N+R0)]×DCリンク電圧・・・(3)
【0047】
これに対して、素子に短絡故障がある場合には、次の数式(4)(第2の計算式)が成立する。
マイコン入力電圧(故障後)=[R0/(R1×(N−K)+R0]×DCリンク電圧・・・(4)
【0048】
これら(3)(4)式を基にして数式(3)に数式(4)を代入すると、
マイコン入力電圧(故障前)=[R0/(R1×N+R0)]×[(R1×(N−K)+R0)/R0]×マイコン入力電圧(故障後)となり、この式をさらに展開すると、以下の数式(5)が得られる。
マイコン入力電圧(故障前)=[(R1×(N−K)+R0)/(R1×N+R0)]×マイコン入力電圧(故障後)・・・(5)
【0049】
つまり、この数式(5)によれば、素子の短絡故障が検出された後は、マイコン入力電圧(故障後)に[(R1×(N−K)+R0)/(R1×N+R0)]を乗じれば、理論的に故障前のマイコン入力電圧を得ることができることになる。したがって、この数式(5)における[(R1×(N−K)+R0)/(R1×N+R0)]をマイコン入力電圧の補正係数として用いることができる。
【0050】
ここで、抵抗値R1,R0、素子数Nは電圧検出回路8の定数として特定されており、また、故障素子数Kは上述した故障素子数の検出処理によって特定されるので、これら特定される数値と上記数式(5)とによって、素子の故障後においても素子故障前と同等の精度のマイコン入力電圧を演算することができる。したがって、制御部6は、コンバータ部2のフィードバック制御を行う際に、この演算によって得られるマイコン入力電圧に基づいてDCリンク電圧測定値を演算することにより、一部の素子に短絡故障があっても正確なDCリンク電圧を測定することができ、素子故障検出前と同等の動作をパワーコンディショナに行わせることができる。
【0051】
したがって、この発明を適用したパワーコンディショナによれば、DCリンク電圧を検出する電圧検出回路8においてDCリンク部4の電圧からの降圧に用いられている抵抗(R1〜RN)の一部が短絡故障しても、それによってパワーコンディショナの出力電圧に異常が発生することが防止され、パワーコンディショナの運転を継続することができる。
【0052】
なお、制御部6は、抵抗R1〜RNのいずれかの素子に短絡故障があることを検出した場合には、パワーコンディショナの動作を継続させつつ、素子に短絡故障があることを所定の報知手段(図示せず)を通じて報知するように構成される。この報知手段としては、たとえば、パワーコンディショナ本体やパワーコンディショナのリモコン(図示せず)などに設けられる表示装置に「素子に短絡故障がある旨」や「故障素子数」を表示するなどの方法で報知するように構成される。
【0053】
実施形態2
次に、本発明に係るパワーコンディショナの第2の実施形態について図3を参照しながら説明する。
【0054】
この第2の実施形態に示すパワーコンディショナは、上述した実施形態1に示すパワーコンディショナの改変例であって、具体的には、上記実施形態1に示すパワーコンディショナの電圧検出回路8に、DCリンク電圧の異常な上昇(所定の電圧以上となる上昇)があった場合に当該電圧異常を検出する回路(高電圧検出回路)9を付加したものである。
【0055】
すなわち、上述した実施形態1のパワーコンディショナでは、DCリンク電圧の検出回路8の一部の抵抗に短絡故障が生じ、これによってマイコン入力電圧が上昇した場合であってもマイコン7側でマイコン入力電圧の値を補正して適正なDCリンク電圧測定値を得るように構成しているが、マイコン入力電圧が上昇する要因には、抵抗の短絡故障のほかに、DCリンク電圧の異常上昇も考えられる。そのため、本実施形態ではこのようなDCリンク電圧の異常上昇があった場合には当該異常を検出できるように、電圧検出回路8に高電圧検出回路9を付加している。
【0056】
図3は、DCリンク電圧の検出回路8に高電圧検出回路9を付加した回路構成を示す説明図である。この図3に示すように、高電圧検出回路9は、ツェナーダイオード10とフォトカプラ11とを主要部として構成されており、ツェナーダイオード10のカソード端子が電圧検出回路8の抵抗RA(具体的には、図1(b)の抵抗R1)のDCリンク側に接続されるとともに、アノード端子が絶縁用のフォトカプラを介してマイコン7のHi/Low入力ポート(H/L入力ポート)に接続されている。
【0057】
すなわち、この高電圧検出回路9は、DCリンク電圧がツェナーダイオード10の降伏電圧を超えるとフォトカプラ11がONとなってマイコン7のH/L入力ポートにHiの信号が入力されるように構成されている。
【0058】
ここで、このツェナーダイオード10には、DCリンク電圧が高すぎる(異常である)と判定できる電圧(高電圧異常判定閾値)以下の降伏電圧のダイオード、好ましくは、当該高電圧異常判定閾値に可及的に近い値の降伏電圧のダイオードが使用される。つまり、DCリンク電圧が高電圧異常判定閾値に近づいて(または高電圧異常判定閾値に達して)ツェナーダイオード10に印加される電圧が降伏電圧になったときにDCリンク電圧の異常を示す信号(Hiの信号)がマイコン7のH/L入力ポートに入力されるようにされる。
【0059】
そして、制御部6は、マイコン7のH/L入力ポートにHiの信号が入力されると、DCリンク電圧が異常であると判定して、コンバータ部2の動作を停止するように構成される。つまり、コンバータ部2の動作停止に伴ってパワーコンディショナの動作を停止するように構成される。
【0060】
したがって、本実施形態に示すパワーコンディショナにおいては、たとえば、実際のDCリンク電圧が290V、DCリンク電圧の高電圧異常判定閾値が310V、ツェナーダイオード10の降伏電圧が300V、電圧検出回路8の抵抗R1からRNのうち1素子が短絡故障をしてマイコン7で検出されるDCリンク電圧測定値が未補正の状態で331Vとなる場合、上記ツェナーダイオード10には降伏電圧に満たない電圧(290V)が印加されているのでマイコンの7のH/L入力ポートにはLowの信号が入力される。そのため、制御部6はこの信号(Lowの信号)によりDCリンク電圧は異常でない(つまり、コンバータ部2を停止させる必要はなくパワーコンディショナの動作を継続できる)と判断し、上述した短絡故障の検出処理とDCリンク電圧測定値の補正処理を行ってパワーコンディショナの動作を継続させながら、上述した報知手段を通じて素子の短絡故障を報知する。
【0061】
これに対して、実際のDCリンク電圧が330Vになった場合には、ツェナーダイオード10には降伏電圧を超える電圧(330V)が印加されるのでマイコン7のH/L入力ポートにはHiの信号が入力される。そのため、制御部6はこの信号(Hiの信号)によりDCリンク電圧が異常である(つまり、コンバータ部2を停止させる必要がある)と判断し、コンバータ部2を停止させてパワーコンディショナの動作を停止させる。なお、この場合、上記制御部6は、報知手段を通じて「DCリンク電圧が異常(高電圧異常)である旨」を報知する。つまり、この場合は、パワーコンディショナの動作を継続させる場合とは内容の異なる報知を行う。
【0062】
このように、本実施形態に示すパワーコンディショナによれば、制御部6で検出されるDCリンク電圧測定値が異常値を示した場合、それがDCリンク電圧自体の異常であるのか、あるいは、電圧検出回路8の素子短絡故障であるのかを制御部6が判断できるので、異常の態様に応じた適切な処理を制御部6で行うことができ、安全かつ動作の安定したパワーコンディショナを提供することができる。
【0063】
実施形態3
次に、本発明に係るパワーコンディショナの第3の実施形態について図4を参照しながら説明する。
【0064】
この第3の実施形態に示すパワーコンディショナは、上述した実施形態1および実施形態2に示すパワーコンディショナの改変例であって、具体的には、上記実施形態1または実施形態2に示すパワーコンディショナにおいて、たとえば、DCリンク部4と電圧検出回路8とを接続するコネクタの抜けや、マイコン7またはマイコン7と電圧検出回路8との間に介装されるアイソレーションアンプのピン浮きなどがあるか否かを、上述した電圧検出回路8の抵抗の短絡故障の検出処理の際に併せて判定するようにしている。
【0065】
図4は、DCリンク部4と電圧検出回路8を接続するコネクタ12と、電圧検出回路8とマイコン7との間に介装されるアイソレーションアンプなどを図示した回路構成を示している。この図4に示すように、DCリンク部4と電圧検出回路8の間には両者を接続するコネクタ12が配設されるとともに、電圧検出回路8で分圧された電圧をマイコン7に入力するにあたっては、フォトカプラ(アイソレーションアンプ)14、オペアンプ15、抵抗RMなどが配設されている。
【0066】
本実施形態に示すパワーコンディショナは、制御部6が上述した電圧検出回路8の抵抗の短絡故障の検出処理を行う際、すなわち、制御部6がフィードバック制御を停止してPWM制御デューティー比Dを固定しながらコンバータ部2の出力電圧を目標電圧(素子故障検出目標電圧)に制御するコンバータ出力電圧一定制御を行う際に、この制御開始前のDCリンク電圧測定値が0Vを示しているときには、同制御を開始して制御部6がコンバータ部2の動作を開始させる制御を行ったにも関わらず、制御部6で検出されるDCリンク電圧測定値が0Vのままであると、制御部6はコネクタ12が抜けている可能性が高いと判断して、上記報知手段を通じて「コネクタ抜けの確認を要求する旨」を報知するとともに、コンバータ出力電圧一定制御を停止する。
【0067】
すなわち、コネクタ12が抜けていると、コンバータ部2の動作を開始させても電圧検出回路8にはDCリンク電圧が入力されず、制御部6で検出されるDCリンク電圧測定値は0Vのままを維持するので、このような場合には報知手段を通じてコネクタ12の抜けがある可能性を示唆するようにしている。
【0068】
これに対して、上記コンバータ出力電圧一定制御を行う際に、この制御開始前のDCリンク電圧測定値が0Vよりも高い値を示す場合、コネクタ12の抜けはないと判断できるので、この場合には同制御を開始して制御部6がコンバータ部2の動作を開始させる制御を行ったにも関わらず、制御部6で検出されるDCリンク電圧測定値が変化していなければ、制御部6はマイコン7のピン浮きや、フォトカプラ14、オペアンプ15、抵抗RMなどの各部品のピン浮きなどによってマイコン7の入力が不定状態にあると判断する。そして、このような故障はパワーコンディショナの施工現場で故障個所の特定は困難であることから、制御部6は、上記報知手段を通じて「パワーコンディショナの交換を要求する旨」や、あるいは「ピン浮きが疑われる部品が搭載された制御基板の交換を要求する旨」などを報知する。
【0069】
このように、本実施形態のパワーコンディショナによれば、電圧検出回路8の抵抗の短絡故障の検出処理を行う際に、短絡故障の検出と併せて、コネクタ12の抜けの有無や、マイコン7またはアイソレーションアンプ13におけるピン浮きなどの有無を検出するので、パワーコンディショナにこのような異常が発生した場合に当該異常を早期に発見できる。
【0070】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0071】
たとえば、上述した実施形態では、上記DCリンク部4の電圧を降圧する抵抗R1〜RNとして抵抗値が同一のものを用いた場合を示したが、相互に抵抗値が異なるものを用いることも可能である。なお、その場合、上述した短絡故障の検出処理においては、たとえば、それらのうちのいずれかの抵抗(たとえば、抵抗値が最も小さい抵抗)が短絡故障した場合を想定して異常判定閾値を設定しておくことにより、抵抗R1〜RNのいずれかに短絡故障があると当該故障を検出することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 発電設備(直流電源)
2 コンバータ部
3 インバータ部
4 DCリンク部
5 系統(商用電源)
6 制御部
7 マイコン
8 DCリンク電圧の検出回路(電圧検出回路)
9 高電圧検出回路
10 ツェナーダイオード
11 フォトカプラ
12 コネクタ
14 フォトカプラ
15 オペアンプ
R1〜RN 降圧用の抵抗
R0 分圧用の抵抗
RA 降圧用の抵抗R1〜RN

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンバータ部とインバータ部とがDCリンク部を介して接続され、制御部がDCリンク部の電圧に基づいてコンバータ部の出力電圧を目標電圧に向けて制御するパワーコンディショナであって、
前記制御部は、DCリンク部の電圧を複数の降圧用の抵抗で降圧して得られる降圧後の電圧からDCリンク部の電圧測定値を取得し、この電圧測定値に基づいてフィードバック制御を行うものにおいて、
前記制御部は、前記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行い、この状態で前記DCリンク部の電圧測定値を取得するステップと、
前記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると想定したときに前記制御部が取得するDCリンク部の電圧測定値に基づいて異常判定閾値を設定するステップと、
前記フィードバック制御を停止した状態で取得したDCリンク部の電圧測定値と前記異常判定閾値とを比較して、前記電圧測定値≧異常判定閾値の関係が成立する場合に、前記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定する制御構成を有することを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
前記制御部は、前記異常判定閾値として短絡故障があると想定する抵抗の数を変えた複数の異常判定閾値を用い、これら複数の異常判定閾値と前記フィードバック制御を停止した状態で取得したDCリンク部の電圧測定値とを比較して、短絡故障が発生している抵抗の実数を特定する制御構成を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記制御部は、前記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行い、この状態で、前記降圧用の抵抗に短絡故障がないときに前記制御部に入力される電圧を求める第1の計算式と、前記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があるときに前記制御部に入力される電圧を求める第2の計算式とを用いて、前記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があるときに前記制御部に入力される電圧を補正する補正係数を算出し、前記制御部に入力される電圧にこの補正係数を乗じて制御部への入力電圧値を補正する制御構成を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
前記制御部は、前記降圧用の抵抗のいずれかに短絡故障があると判定した場合には、当該故障の発生を報知手段で報知するが、パワーコンディショナは停止させずに動作を継続させる制御構成を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパワーコンディショナ。
【請求項5】
前記DCリンク部の電圧が所定電圧以上であるか否かを検出する高電圧検出回路を備えてなり、
前記制御部は、この高電圧検出回路でDCリンク部の電圧が前記所定電圧以上であることが検出されると、パワーコンディショナを停止させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のパワーコンディショナ。
【請求項6】
前記制御部は、前記コンバータ部に対するフィードバック制御を停止した状態でコンバータ部の出力電圧を所定の目標電圧にする制御を行う際に、その前後に制御部で取得されるDCリンク部の電圧測定値に基づいて前記短絡故障以外の回路故障の有無を判定するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のパワーコンディショナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−95508(P2012−95508A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242979(P2010−242979)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】