説明

パワーステアリング用逆止弁

【課題】 ワンタッチで装着できるパワーステアリング用逆止弁を提供する。
【解決手段】 油路24に挿入される円筒部25aと、該円筒部25aに一体に形成されていてパワーシリンダ側の大径部から油圧ポンプ側の小径部へ向かって縮径するテーパ部25bと、該小径部に一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部25cと、該フランジ部25cに一体に形成されると共に油路24の内周面の円周溝24cに係止される係止部25dとを有し、プレス材により形成される弁座部材25と、テーパ部25bに大径部側の内側から着座することにより、作動油の逆流を阻止する弁体26とにより逆止弁13を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーステアリング用逆止弁に関し、油路への逆止弁の装着を容易にしたものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、運転者がステアリングホィールを回転させる際に、補助操舵力を付与するためにパワーステアリング装置が設けられている。パワーステアリング装置は、操舵輪に補助操舵力を付与する油圧シリンダと、該油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプと、該油圧ポンプからの作動油をステアリングホィールの回転方向に基づいて油圧シリンダのいずれのポートへ送り込むかを分配制御する油圧制御弁とによって構成されている。そして、路面から操舵輪へ外乱入力されてキックバックが発生しそうになった場合でも、キックバックがステアリングホィールへ伝達されて操舵フィーリングが低下するのを防止するため、油圧ポンプから油圧シリンダへ送り込まれる作動油が逆流するのを防止するパワーステアリング用逆止弁が設けられている。
【0003】
従来のパワーステアリング用逆止弁としては、例えば特許文献1に記載のものが知られている。この逆止弁は、油路の内周面に装着されたケースと、該ケースに収容された弁体と、該弁体を前記ケースに形成された孔へ付勢するスプリングとによって構成されている。
【0004】
前記キックバックが発生したときに、油圧シリンダ内の油圧の上昇により、ケースおよび弁体に大きな圧力が加わるため、ケースを油路の内周面に強固に取り付けることが必要である。そのためには、ケースを圧入している。
【特許文献1】特開平10−236325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、ケースを圧入した場合には、キックバックが発生したとき保持力が十分でないという問題がある。
【0006】
一方、ケースをねじ結合する場合には油路の内周面にめねじを加工する一方、ケースの外周面におねじを加工し、ケースを回しながら取り付けなければならず、ケースの取り付け構造が複雑になり労力とコストがかかる。
【0007】
そこで本発明は、ワンタッチで取り付けることができ、かつ取り付け後の結合強度が大きいパワーステアリング用逆止弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、弁座部材を弾性材料により形成し、前記弁座部材に、油路に挿入される円筒部と、油圧パワーシリンダ側の大径部から油圧源側の小径部へ向かって縮径すると共に前記大径部が前記円筒部と一体に形成されたテーパ部と、前記小径部と一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部と、該フランジ部の外周縁に一体に形成されると共に前記油路の内周面に設けた溝に係止される係止部とを備え、前記係止部を拡縮変形させて前記溝に係止させることにより、前記弁座部材を前記油路に装着したことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、油路に逆止弁を装着するときは、弁座部材のフランジ部を若干縮径させて変形させた状態で、係止部が油路の溝に係上されるまで弁体等と共に押し込むだけでよく、ワンタッチで逆止弁を装着できる。つまり、ねじ込み等の作業が不要である。また、油路のパワーシリンダ側から油圧ポンプ側へ作動油の逆流が生じると、弁体が弁座部材のテーパ部の内面に着座し、テーパ部およびフランジ部を半径方向外側へ広げようとする力が働く。そのため、係止部が油路の溝に強固に係止され、弁座部材の脱落を防止する。これは、弁座部材が弾性材料により形成されていて変形可能なためである。
【0010】
請求項2に係る発明は、弁座部材をプレス材により形成し、前記弁座部材に、油路に挿入される円筒部と、油圧パワーシリンダ側の大径部から油圧源側の小径部へ向かって縮径すると共に前記大径部が前記円筒部と一体に形成されたテーパ部と、前記小径部と一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部と、該フランジ部の外周縁に一体に形成されると共に前記油路の内周面に設けた溝に係止される係止部とを備え、前記係止部を拡縮変形させて前記溝に係止させることにより、前記弁座部材を前記油路に装着したことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【0011】
この発明によれば、弁座部材がプレス材により形成されていて変形可能なため、請求項1の作用とほぼ同じ作用をする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のパワーステアリング用逆止弁において、前記弁体に、筒状部と、該筒状部と一体に形成され前記テーパ部に係合するように形成されたテーパ部とを設け、前記弁体をプレス材で形成したことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、弁体がプレス材で形成されるため、若干の形状の柔軟性を有する。このため、弁体のテーパ部が弁座部材のテーパ部に着座したとき、両者が密接に当接し、より高いシール性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明によるパワーステアリング用逆止弁の実施の形態を説明する。
(a)実施の形態1
まず、実施の形態1について説明する。
【0015】
逆止弁が用いられるパワーステアリング装置の構成を簡単に説明する。図5に示すように、図示しないステアリングシャフトに、捩り変形が可能なトーションバー1を介してピニオン軸2が連結され、ピニオン軸2は左右に長いラック3と噛み合っている。ラック3は油圧パワーシリンダ4のピストン5に一体に結合されており、ラック3の両端はタイロッド6を介して操舵輪7に連結されている。
【0016】
一方、油圧パワーシリンダ4は油圧制御弁10を介して油圧ポンプ(油圧源)11に接続されている。即ち、以下のように構成されている。図6に示すように、油圧パワーシリンダ4の油室4aは給排ポート21aを介して油圧制御弁10の環状溝12aに接続され、油室4bは給排ポート21bを介して環状溝12bに接続され、油圧ポンプ11は逆止弁13および給油ポート21cを介して環状溝12cに接続されている。このほか、戻し油孔18dが、排油ポート21dを介してリザーバタンク19に接続されている。
【0017】
前記ピニオン軸2の上部にはピン14を介して筒状のバルブスリーブ15の下部が結合され、バルブハウジング16の内部でバルブスリーブ15とピニオン軸2とが一体になって回転する。トーションバー1の上部にはピン17を介してバルブシャフト18の上部が結合され、バルブシャフト18はバルブスリーブ15の内部に相対回転自在に挿入されている。トーションバー1が捩られることにより、トーションバー1の上部に結合されたバルブシャフト18と、トーションバー1の下部に結合されたバルブスリーブ15との間には角度変位が生じる。
【0018】
図7に示すように、バルブスリーブ15の内周面には軸方向に伸びる溝15dが円周方向へ略等間隔に複数形成されている。バルブスリーブ15には、前記環状溝12cからの作動油をバルブスリーブ15の内側へ導くプレッシャ油孔15cが、前記溝15dの存在しない位置に配置されている。また、前記一方の環状溝12bに連通する給排孔15bが図7の下部に設けられ、他方の環状溝12aに連通する給排孔15aが図7の上部に設けられ、給排孔15b,15aはプレッシャ油孔15cを上下から挟む溝15dの位置に配置されている。
【0019】
バルブシャフト18の外周面には軸方向に伸びる溝18aが円周方向に沿って略等間隔に複数設けられ、溝18aと前記溝15dとは円周に沿って交互配置となっている。前記プレッシャ油孔15cと対応するバルブシャフト18の外周面の溝18aを円周方向の両側から挟む溝18aの位置には、連通孔18b,18cが形成されている。バルブシャフト18とトーションバー1との間の作動油は、前記戻し油孔18d(図6参照)を介してリザーバタンク19へ導かれる。
【0020】
ハンドル操作がされないでステアリングシャフトが中立状態にある場合は、トーションバー1に捩れが生じない。このため、図7のように隙間20b,20cの大きさが等しい。このとき、油圧ポンプ11から逆止弁13を介して供給された作動油は、環状溝12cを介してプレッシャ油孔15cに入り、軸心へ向かって溝18aへ移動したのちに、円周方向の相互に反対方向へ分流して隙間20b,20cを介してプレッシャ油孔15cを挟む両側の溝15d,15dに夫々入り、更に隙間20a,20dと半径方向の連通孔18b,18cを通ってバルブシャフト18・トーションバー1間に入り、図6の戻し油孔18dからリザーバタンク19へ戻る。つまり、油圧ポンプ11に作動油は供給されない。
【0021】
次に、ハンドル操作が行われ、ステアリングシャフトが例えば図7中の時計方向へ回転すると、トーションバー1が捩れるため、トーションバー1の下部に結合されたバルブスリーブ15に対し、トーションバー1の上部に結合されたバルブシャフト18が相対的に時計方向へ回転する。すると、隙間20a,20cが狭くなって隙間20b,20dが広くなる。このため、油圧ポンプ11から環状溝12cを介してプレッシャ油孔15cまで至っている高圧の作動油は、隙間20bから上隣の溝15dへ至り、給排孔15aから外側へ向かって流れて環状溝12aへ移動し、環状溝12aから油圧ポンプ11の左側の油室4aへ至る。このため、図5においてピストン5が右方へ移動して操舵輪7を右に操舵するための操舵補助力が付与される。このとき、油圧パワーシリンダ4の右側の油室4bの作動油は環状溝12bへ移動し、給排孔15bから隙間20d,溝18a,連通孔18cを介してバルブシャフト18・トーションバー1間に入り、図6の戻し油孔18dからリザーバタンク19へ排出される。
【0022】
逆に、ステアリングシャフトが図7中の反時計方向へ回転する場合は、隙間20b,20dが狭くなって隙間20a,20cが広くなるため、油圧ポンプ11からの高圧の作動油は、環状溝12c→プレッシャ油孔15c→給排孔15b→環状溝12bを介して油圧パワーシリンダ4の右側の油室4bへ至り、操舵輪7を左に操舵するための操舵補助力が付与される。このとき、油圧パワーシリンダ4の左側の油室4aの作動油は、環状溝12a→給排孔15a→連通孔18b→バルブシャフト18・トーションバー1間→戻し油孔18d→リザーバタンク19の順に流れて排出される。
【0023】
図4は、図5の外観を示すものである。前記のように、油圧制御弁10に形成された給排ポート21aには、接続管23aを介して油圧パワーシリンダ4の左側の油室4aの給排ポート22aが接続され、給排ポート21bには、接続管23bを介して油圧パワーシリンダ4の右側の油室4bの給排ポート22bが接続されている。油圧制御弁10の給油ポート21cには前記のように逆止弁13を介して油圧ポンプ11が接続されているが、図4のA−A矢視図を図1に示すように、逆止弁13はバルブハウジング16における給油ポート21cの内部に装着されている。図1は上方から見た断面図であり、給油ポート21cとほぼ直角にバルブハウジング16に形成されている孔16aは、前記バルブスリーブ15が挿入される部分である。給油ポート21cの内部には油路24が形成されている。
【0024】
以下に、逆止弁13の構成を説明する。図2に示すように、前記油路24には大径油路24aと小径油路24bとが形成されており、この部分に逆止弁13が装着されている。逆止弁13は、弁座部材25とポペット弁タイプの弁体26とにより構成されている。
【0025】
弁座部材25はプレス材により形成され、大径油路24aに収容されている。弁座部材25は、図3(a)に示すように、大径油路24aに挿入される円筒部25aと、該円筒部25aと一体に形成されていて低圧側のパワーシリンダ側である上部の大径部から高圧側である下部の小径部へ向かって縮径するテーパ部25bと、該小径部と一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部25cと、該フランジ部25cの外周縁に一体に形成されると共に大径油路24aの内周面に形成された円周溝24cに係止される係止部25dとによって構成されている。そして、弁座部材25のフランジ部25cには、半径方向に沿うスリット25eが円周方向に、本実施の形態では4つ設けられている。
【0026】
一方、弁体26は、図3(b)に示すように、前記テーパ部25bに、前記テーパ部25bの大径部側の内面から着座することにより、油路の油圧パワーシリンダ4側の上部から油圧ポンプ11側の下部へ向かう作動油の逆流を阻止するようになっている。弁体26もプレス材によって構成されており、筒状部26aと、この筒状部26aと一体に形成されていて、前記テーパ部25bに係合するように形成されたテーパ部26bと、弁体26を弁座部材25のテーパ部25bへ向かって付勢するばね(付勢手段)27を受けるばね受部26cと、筒状部26aよりも外径寸法が大きくてばね27をガイドする筒状のガイド部26dとにより構成されている。逆止弁13は、高圧側である油圧ポンプ11から低圧側である油圧パワーシリンダ4側への作動油の流れのみを許容するが、作動油の若干の逆流を許容するものも含むものであり、弁体26のテーパ部26bの径方向内側の軸心位置には、作動油の若干の逆流を可能にする貫通孔26eが形成されている。また、弁体26はプレス材によって構成されるため、ガイド部26dには、軸方向に沿うスリット26fが円周方向にほぼ等間隔に4つ形成されている。そして、弁体26の内部と外部とを連通させる開口部26gが、筒状部26aからばね受部26cに亘って形成されている。この開口部26gは、前記スリット26fと対応しており、円周方向に4つ形成されている。
【0027】
小径油路24bの端部には、リング状のばね受け座28が配置され、ばね受け座28とばね受部26cとの間にはばね27が設けられている。
【0028】
次に、パワーステアリング用逆止弁の作用を説明する。
【0029】
油路24に逆止弁を装着して弁座部材25を固定するときは、ばね受け座28と弁体26との間にばね27を挟んだ状態で、これらを小径油路24bに挿入し、その後にフランジ部25cを圧縮して若干縮径させ変形させた状態で、弁座部材25を大径油路24aに挿入し、係止部25dが円周溝24cに係止されるまで押し込む。すると、弁座部材25がプレス材により形成されていて変形可能なため係止部25dが弾性力により開いて円周溝24cに入り込み、軸方向へ移動できなくなる。つまり、弁座部材25の装着に、ねじ込み等の作業が不要であり、ワンタッチで逆止弁を装着することができる。フランジ部25cに半径方向に沿うスリット25eを円周方向に複数形成したので、フランジ部を縮径させるのが容易であり、弁座部材25を油路24に容易に取り付けることができる。
【0030】
作動油が油路24の油圧ポンプ11側である下部から油圧パワーシリンダ4側である上部へ流れる場合は、図1のように弁座部材25から弁体26が少し離れ、作動油は弁座部材25を通過した後に開口部26gを通って弁体26を通過する。
【0031】
逆に、油路24の油圧パワーシリンダ4側である上部から油圧ポンプ11側である下部へ作動油が逆流しようとする場合に、その一部が貫通孔26eを通過できるため、本来は加わることのない過大な油圧が逆止弁13に加わろうとした場合に、貫通孔26eを介して逃がすことができる。このため、操舵輪が路面から衝撃(キックバック)を受けても、貫通孔26eのダンピング効果により、この衝撃がハンドル側へ伝わることはない。
【0032】
また、図2のように弁体26が弁座部材25のテーパ部25bへ着座し、テーパ部25bおよびフランジ部25cを半径方向外側へ広げようとする力が働くので、係止部25dが円周溝24cに強固に係止され、弁座部材25の脱落を防止する。これは、弁座部材25がプレス材により形成されていて変形可能なためである。そして、弁体26にもテーパ部26bが形成されているので、低圧側である油圧パワーシリンダ4側から油圧が逆流しようとしたときは、弁座部材25のテーパ部25bと弁体26のテーパ部26bとの作用によりフランジ部25cを拡径する力が働き、油路24への弁座部材25の結合がより強固になる。そして、弁体26もプレス材で形成されるため、弁体26は若干の形状の柔軟性を有し、弁体26のテーパ部25bが弁座部材25のテーパ部25bに着座したとき、両者が密接に当接し、より高いシール性を得ることができる。
【0033】
ばね27が無い場合は、油路の低圧側である油圧パワーシリンダ4側の油圧が大きくなった場合に、弁体26が弁座部材25へ着座するまでに若干の時間を要することから、路面から操舵輪に過大な衝撃が加わった際に、衝撃がハンドルへ伝達される虞がある。そこで、ばねを設けて弁体26を弁座部材25に常時当接させておくことにより、低圧側であるパワーシリンダ側からの作動油の流れを効果的に阻止することができる。
(b)実施の形態2
次に、実施の形態2を図8に基づいて説明する。実施の形態1は弁体26がポペット弁タイプのものであったのに対し、実施の形態2はボールタイプの弁体29を用いた場合を示すものである。
【0034】
この場合は、弁体29が球形状なのでテーパ部26bに相当する部分は存在するが、貫通孔26eに相当する部分がないので、キックバックが生じて油路24のパワーシリンダ側から油圧ポンプ側へ作動油が逆流しようとする場合に、油圧を逃がすことができないことになる。
【0035】
なお、実施の形態では弁座部部材としてプレス材で形成したものを示したが、プレス材に限らず樹脂等の他の弾性部材を用いてもよい。また、弁体としては、テーパ部を有しない円筒形状のものを用いた場合でも、作動油が逆流したときに、フランジ部を半径方向外側へ広げようとする力が働いて係止部が油路の溝に強固に係止され、弁座部材の脱落を防止する。
【0036】
前記実施の形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について、以下に説明する。
(1) 請求項3に記載のパワーステアリング用逆止弁において、前記弁体の前記テーパ部の径方向内側に、貫通孔を設けたことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【0037】
この発明によれば、油路のパワーシリンダ側から油圧ポンプ側へ作動油が逆流しようとする場合に、その一部が貫通孔を通過できるため、本来は加わることのない過大な油圧が逆止弁に加わろうとした場合に、貫通孔を介して逃がすことができる。このため、この逆止弁を設けることにより、操舵輪が路面から衝撃(キックバック)を受けても、貫通孔のダンピング効果により、この衝撃がハンドル側へ伝わることはない。
(2) 請求項1〜3,(1)のいずれかに記載のパワーステアリング用逆止弁において、前記弁座部材の前記フランジ部に、半径方向に沿うスリットを円周方向に複数設けたことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【0038】
この発明によれば、弁座部材のフランジ部に半径方向に沿うスリットを円周方向に複数形成したので、フランジ部を縮径させるのが容易であり、逆止弁を油路に容易に装着することができる。また、パワーシリンダ側から逆流により液圧がかかったときは、弁座部材のテーパ部の作用あるいはこれに加えて弁体のテーパ部との作用により、フランジ部を拡径する力が働き、油路への弁座部材の結合がより強固になる。
(3) 請求項1〜3,(1)〜(2)のいずれかに記載のパワーステアリング用逆止弁において、前記弁体を前記弁座部材へ向かって付勢する付勢手段を設けたことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【0039】
この発明によれば、付勢手段が無い場合は、油路のパワーシリンダ側の油圧が大きくなった場合に、弁体が弁座部材へ着座するまでに若干の時間を要することから、路面から操舵輪に過大な衝撃が加わったときに、衝撃がハンドルへ伝達される虞がある。そこで、付勢手段を設けて弁体を弁座部材に常時着座させておくことにより、低圧側である油圧パワーシリンダ側からの作動油の逆流を効果的に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】逆止弁を示す図4のA−A矢視図(実施の形態1)。
【図2】逆止弁の拡大断面図(実施の形態1)。
【図3】(a)は弁座部材の斜視図、(b)は弁体の斜視図(実施の形態1)。
【図4】逆止弁が用いられているパワーステアリング装置の外観図(実施の形態1)。
【図5】パワーステアリング装置の構成図(実施の形態1)。
【図6】油圧制御弁の構成図(実施の形態1)。
【図7】油圧制御弁の断面図(実施の形態1)。
【図8】逆止弁を示す構成図(実施の形態2)。
【符号の説明】
【0041】
4…油圧パワーシリンダ
11…油圧ポンプ(油圧源)
13…逆止弁
24…油路
24c…円周溝
25a…円筒部
25b,26b…テーパ部
25c…フランジ部
25d…係止部
25e…スリット
26…弁体
26a…筒状部
26e…貫通孔
27…ばね(付勢手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧源と油圧パワーシリンダとを繋ぐ油路に設けられ、前記油圧源から前記油圧パワーシリンダへの作動油の流れを許容し、前記と逆方向の流れは弁体が弁座部材に着座することにより阻止するパワーステアリング用逆止弁において、
前記弁座部材を弾性材料により形成し、
前記弁座部材に、前記油路に挿入される円筒部と、前記油圧パワーシリンダ側の大径部から前記油圧源側の小径部へ向かって縮径すると共に前記大径部が前記円筒部と一体に形成されたテーパ部と、前記小径部と一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部と、該フランジ部の外周縁に一体に形成されると共に前記油路の内周面に設けた溝に係止される係止部とを備え、
前記係止部を拡縮変形させて前記溝に係止させることにより、前記弁座部材を前記油路に装着したことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【請求項2】
油圧源と油圧パワーシリンダとを繋ぐ油路に設けられ、前記油圧源から前記油圧パワーシリンダへの作動油の流れを許容し、前記と逆方向の流れは弁体が弁座部材に着座することにより阻止するパワーステアリング用逆止弁において、
前記弁座部材をプレス材により形成し、
前記弁座部材に、前記油路に挿入される円筒部と、前記油圧パワーシリンダ側の大径部から前記油圧源側の小径部へ向かって縮径すると共に前記大径部が前記円筒部と一体に形成されたテーパ部と、前記小径部と一体に形成されると共に径方向外側へ延設されたフランジ部と、該フランジ部の外周縁に一体に形成されると共に前記油路の内周面に設けた溝に係止される係止部とを備え、
前記係止部を拡縮変形させて前記溝に係止させることにより、前記弁座部材を前記油路に装着したことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパワーステアリング用逆止弁において、前記弁体に、筒状部と、該筒状部と一体に形成され前記テーパ部に係合するように形成されたテーパ部とを設け、前記弁体をプレス材で形成したことを特徴とするパワーステアリング用逆止弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−231937(P2006−231937A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−44965(P2005−44965)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】