説明

パワーステアリング装置

【課題】油圧制御バルブに発生した異常を車両運転中であっても検出することのできるパワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】制御部は、判定部としての機能を有するとともに、スプールを目標回転角度θtまで変位させようとするときの電動モータの駆動電流値Iaに基づいて電動モータに発生しているトルクTaを推定する。そして、この推定されるトルクTaと予め設定されたトルクTtとの差が所定値α以上のときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操舵補助力を発生する油圧シリンダと、該油圧シリンダに対する作動油の給排状態をその位置に応じて調節するスプールを有する油圧制御バルブと、所定の駆動力にてスプールを駆動することでこれを変位させる駆動部とを備えるパワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のパワーステアリング装置では、油圧制御バルブのスプールを電動モータにより中立位置から所定の回転角度だけ回転駆動させ、油圧シリンダに対する作動油の給排状態を変更することにより、同油圧シリンダに発生する操舵補助力を制御するようにしている。ここで、スプールを中立位置から所定の回転角度だけ変位させるために必要な電動モータの駆動電流値は、トルクセンサにより検出されるステアリングシャフトの操舵トルクや車速等の検出値に基づいて算出される。このように電動モータの駆動電流値を制御することにより、油圧シリンダに発生する操舵補助力が車両の運転状態に応じて調整されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、例えば、スプールの回転軸心が傾いたり、同スプールが異物を噛み込んだりしたとき等、油圧制御バルブに異常が発生したときには、これを車両運転中に速やかに検出することがパワーステアリング装置による適切な操舵補助を行ううえでは好ましい。
【0005】
なお、油圧制御バルブとして、そのスプールの回転方向の位置を変位させることで油圧シリンダに対する作動油の給排制御を行うものを例に挙げたが、上述した技術課題は、こうした給排制御をスプールの往復動軸方向の位置を変位させることで行う油圧制御バルブを搭載したパワーステアリング装置においても同様に存在する。
【0006】
この発明は、こうした従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、油圧制御バルブに発生した異常を車両運転中であっても検出することのできるパワーステアリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段及びその効果について記載する。
本発明にかかるパワーステアリング装置では、油圧制御バルブのスプールに対して所定の駆動力を付与することにより、同スプールを変位させる。そして、このスプールの変位量を車両の運転状態等に基づき制御して油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節することにより、同油圧シリンダにおいて所定の操舵補助力を発生させるようにしている。
【0008】
ここで、スプールの回転軸心が傾くなどして、その支持状態が通常とは異なる状態となったり、同スプールに異物が噛み込んだりしたような油圧制御バルブの異常時には、油圧制御バルブのスプールを変位させるときに必要となる駆動力が正常時とは異なるものとなる。
【0009】
この点、本発明にかかるパワーステアリング装置では、スプールを変位させるときの駆動力が予め設定された所定の範囲外となったときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するようにしているため、油圧制御バルブに異常が発生したことを車両運転中であっても速やかに判定することができる。
【0010】
ここで、上述したスプールの回転軸心が傾く等の異常時には、スプールを変位させるときに必要となる駆動力は、正常時と比較して増大する。
その一方、パワーステアリング装置に設けられる各種センサが故障したような異常時には、スプールを変位させるときに必要となる駆動力が正常時と比較して低い値として算出されることがある。このような場合にもスプールの回転軸心が傾く等の異常時と同様に油圧制御バルブに異常が発生した旨判定することが好ましい。
【0011】
すなわち、スプールに付与される駆動力が所定の範囲外となったことは、同駆動力が、上限値及び下限値により定められた範囲を外れたことの他、スプールの回転軸心が傾く等の異常時の場合におこり得るように同駆動力が上限値を上回る領域に移行したことや、各種センサが故障等の異常時の場合におこり得るように同駆動力が下限値を下回る領域に移行したことをもって判定することもできる。
【0012】
ところで、上述したような油圧制御バルブの異常が発生したときには、パワーステアリング装置の操舵部材に対して車両運転に応じた操舵補助力を付与することが困難となるため、適切な操舵補助が行えないこととなる。そのために、こうした異常の発生時には、請求項2に記載される発明によるように、停止部による異常時停止処理の実行を通じて、操舵補助力の発生を停止するようにすることが好ましい。
【0013】
こうした停止部は、以下の構成によってこれを具体化することができる。すなわち、請求項3に記載される発明によるように、転舵用のピストンによって区画形成される油圧シリンダの一対の油圧室を連通可能とするバイパスバルブを備えることとし、油圧制御バルブの異常時には、このバイパスバルブを開弁駆動することにより一対の油圧室を連通状態とする処理を異常時停止処理として実行する。これにより、両油圧室間の油圧差をなくすことができるため、油圧シリンダにおける操舵補助力の発生を停止することができる。
【0014】
その他、こうした異常時停止処理としては、油圧シリンダに作動油を供給する油圧ポンプの運転を停止させることにより、作動油の圧送自体を停止する処理を挙げることができる。なおこのように、異常時停止処理として油圧ポンプを停止させる場合、同油圧ポンプが電動ポンプであればこれに対する電力供給を停止すればよいし、機関駆動式のポンプであれば、機関出力軸とポンプの駆動軸との間に電磁クラッチを介在させるようにし、異常時にはこれが開放されるように同電磁クラッチを制御すればよい。
【0015】
なお、こうしたパワーステアリング装置は、例えば請求項4に記載される構成によってこれをさらに具体化することができる。すなわち、スプールが回転可能に支持されて同スプールの回転角度を変更することにより油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節する油圧制御バルブを用いるとともに、駆動部としての電動モータによりこのスプールを回転駆動するようにする。そして、このスプールの実回転角度を検出部を通じて検出するとともに、車両の運転状態に応じてスプールの目標回転角度を算出し、この目標回転角度と実回転角度とが一致するように制御部を通じて電動モータの駆動電流値をフィードバック制御するようにする。
【0016】
さらには、請求項5に記載される構成によっても同様に具体化することができる。すなわち、スプールがその軸方向に沿って往復動可能に支持されて同スプールの軸方向の位置を変更することにより油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節する油圧制御バルブを用いるとともに、駆動部としての電磁ソレノイドによりこのスプールを軸方向に駆動するようにする。そして、このスプールの軸方向における実位置を検出部を通じて検出するとともに、車両の運転状態に応じてスプールの目標位置を算出し、この目標位置と検出される実位置とが一致するように制御部を通じて電磁ソレノイドの駆動電流値をフィードバック制御するようにする。
【0017】
またこのようなパワーステアリング装置にあっては、請求項6に記載される発明によるように、判定部は、スプールを変位させるときの駆動力又はその相関値が予め設定された基準値よりも大きいときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するようにすれば、スプールの支持状態が通常とは異なる状態である等の異常を車両運転中にあっても速やかに検出することができる。例えば、スプールを電動モータにより回転駆動して作動油の給排状態を制御する油圧制御バルブにおいては、その電動モータのトルク、電流値、電圧値がそれらに対応して各別に設定された基準値よりも大きいときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するようにすればよい。一方、スプールを電磁ソレノイドにより往復駆動して作動油の給排状態を制御する油圧制御バルブにおいては、その電磁ソレノイドからスプールに付与される推力、電流値、電圧値がそれらに対応して各別に設定された基準値よりも大きいときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するようにすればよい。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、油圧制御バルブに発生した異常を車両運転中にあっても速やかに検出することのできるパワーステアリング装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態のパワーステアリング装置について、その全体構成を模式的に示す構成図。
【図2】操舵補助力PAが発生している状態の油圧シリンダを模式的に示す模式図。
【図3】操舵補助力PBが発生している状態の油圧シリンダを模式的に示す模式図。
【図4】スプールの実回転角度と発生する操舵補助力との関係を示すグラフ。
【図5】操舵補助力変更処理の処理手順を示すフローチャート。
【図6】操舵トルクと車速とスプールの目標回転角度との関係を示すグラフ。
【図7】異常時停止処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】電動モータの駆動電流値とトルクとの関係を示すグラフ。
【図9】本発明のその他の実施形態にかかるパワーステアリング装置について、スプールの目標回転角度とトルクとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照して、本発明にかかるパワーステアリング装置の全体構成について説明する。
パワーステアリング装置は、ステアリングホイール1の操作を転舵輪2に伝達する操舵装置10と、ステアリングホイール1の操作に必要な力を補助する操舵補助力を発生するアシスト装置20と、このアシスト装置20を制御する制御部30とを備えている。この制御部30は、各種の演算処理を実行する演算装置や演算プログラム及び演算用マップ等が記憶されるメモリを有する。
【0021】
操舵装置10は、ステアリングホイール1とともに回転するステアリングシャフト11と、ステアリングシャフト11の回転運動を直線運動に変換するラックアンドピニオン機構12と、ラックアンドピニオン機構12と転舵輪2とを接続するタイロッド3とを有する。ステアリングシャフト11には、同シャフト11に作用する操舵トルクτを検出するトルクセンサ13と、同シャフト11の操舵角度θs及び回転方向RXを検出する操舵角センサ14とが設けられている。また、車両には、車速Vを転舵輪2の回転速度に基づいて検出する車速センサ4が設けられている。
【0022】
トルクセンサ13は、ステアリングシャフト11に作用する操舵トルクτに応じた信号を制御部30に出力する。操舵角センサ14は、ステアリングシャフト11のその操舵角度θs並びに回転方向RXに応じた信号を制御部30に出力する。また、車速センサ4は、転舵輪2の車速Vに応じた信号を制御部30に出力する。
【0023】
アシスト装置20は、操舵補助力を発生する油圧シリンダ21と、貯留タンク26から吸入した作動油を油圧シリンダ21に供給するための電動式の油圧ポンプ25と、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を制御する油圧制御バルブ40とを有している。
【0024】
油圧シリンダ21は、ラックアンドピニオン機構12の作動にともないその軸方向に変位する転舵シャフト22と、これを往復動可能に支持するハウジング23とを有する。ハウジング23の内部の空間は、転舵シャフト22に設けられたピストン24により一対の油圧室、すなわち第1油圧室21Aと第2油圧室21Bとに区画されている。
【0025】
油圧制御バルブ40は、これを駆動するための駆動部として機能する電動モータ50と、この電動モータ50の回転軸であるシャフト41と、同シャフト41の回転角度を検出する回転角センサ60と、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態をその回転角度に応じて調節するスプール71を有する油圧制御部70とを有する。このスプール71はシャフト41の一部に形成されている。また、このシャフト41は油圧制御バルブ40に設けられた軸受(図示略)に回転可能に支持されている。そのため、回転角センサ60は、シャフト41の回転角度を検出することを通じてスプール71の実回転角度θaを検出することができる。なお、スプール71の周囲には油圧ポンプ25及び貯留タンク26と油圧シリンダ21との連通状態を切り換えるための複数のポート(図示略)が形成されている。
【0026】
油圧制御バルブ40は、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を、第1油圧室21Aに作動油を供給する一方、第2油圧室21Bからは作動油を排出する第1の状態と、第2油圧室21Bに作動油を供給する一方、第1油圧室21Aからは作動油を排出する第2の状態と、第1油圧室21A及び第2油圧室21Bのいずれにも作動油を供給しない中立状態に切り替える。さらに、油圧制御バルブ40は、作動油の給排状態を第1の状態とするときには第1油圧室21Aに供給される作動油の量を、また作動油の給排状態を第2の状態とするときには第2油圧室21Bに供給される作動油の量をそれぞれ調節することにより、油圧シリンダ21が発生する操舵補助力を制御する。なお、油圧制御バルブ40は、作動油の給排状態を中立状態とするときには、第1油圧室21A及び第2油圧室21Bから作動油を排出する。
【0027】
また、上述した油圧制御バルブ40、油圧シリンダ21、貯留タンク26、油圧ポンプ25は複数の油路によって接続されている。すなわち、貯留タンク26と油圧ポンプ25とは吸入路91により接続される一方、油圧ポンプ25と油圧制御バルブ40とは吐出路92により接続されている。さらに、油圧制御バルブ40は、油圧シリンダ21の第1油圧室21Aとは第1供給路93により接続される一方、同油圧シリンダ21の第2油圧室21Bとは第2供給路94により接続されている。さらに、油圧制御バルブ40と貯留タンク26とは排出路95により接続されている。
【0028】
ここで、第1供給路93と第2供給路94とは連通路96により連通されている。この連通路96にはバイパスバルブ80が設けられており、このバイパスバルブ80が開弁することにより、第1供給路93及び第2供給路94と連通路96とを通じて油圧シリンダ21の両油圧室21A,21Bが連通されることとなる。
【0029】
油圧制御バルブ40は、そのスプール71の回転角度に応じて、これら吐出路92、第1供給路93、第2供給路94、排出路95といった各油路の連通態様とそれら油路を流れる作動油の量を制御する。すなわち、油圧制御バルブ40は、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を上述した第1の状態とするときには、第1供給路93を吐出路92に接続するとともに、第2供給路94を排出路95に接続する。そして、第1供給路93と吐出路92との連通面積を調節して同第1供給路93から油圧シリンダ21の第1油圧室21Aに供給される作動油の量を制御する。
【0030】
一方、油圧制御バルブ40は、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を上述した第2の状態とするときには、第1供給路93を排出路95に接続するとともに、第2供給路94を吐出路92に接続する。そして、第2供給路94と吐出路92との連通面積を調節して同第2供給路94から油圧シリンダ21の第2油圧室21Bに供給される作動油の量を制御する。
【0031】
制御部30は、油圧制御バルブ40を車両の運転状態に応じて制御する機能の他、油圧制御バルブ40に異常が発生しているか否かを判定する判定部としての機能と、この判定部が油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定したときに操舵補助力が発生することを停止する停止部としての機能を有する。
【0032】
連通路96に設けられたバイパスバルブ80は、通常時は閉弁状態に維持されているが、油圧制御バルブ40に異常が発生したときには開弁状態とされる。これにより、油圧シリンダ21の両油圧室21A,21Bが第1供給路93及び第2供給路94並びに連通路96を通じて連通されるようになる。その結果、第1油圧室21Aの油圧と第2油圧室21Bの油圧とを一致させ操舵補助力の発生を停止することができる。このように、連通路96及びバイパスバルブ80は、油圧制御バルブ40に異常が発生したときに油圧シリンダ21における操舵補助力の発生を停止させるための停止部の一部として機能する。
【0033】
次に、図2〜図4を併せ参照して、スプール71の実回転角度と油圧シリンダ21が発生する操舵補助力との関係について説明する。
図2に示されるように、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を第1の状態として、第1油圧室21Aから第2油圧室21Bに向かう方向の力をピストン24に付与して、転舵シャフト22からタイロッド3に操舵補助力PAを付与する必要があるとき、スプール71は第1の方向に向けて回転する。ここで、このスプール71の第1の方向への実回転角度θAが大きくなるに連れて第1油圧室21Aへの作動油の供給量が多くなる。その結果、図4に示されるように、油圧シリンダ21が発生する操舵補助力PAが大きくなる。また、転舵シャフト22からタイロッド3にこの操舵補助力PAが付与されることにより転舵輪2が車両走行方向において相対的に右方向に転舵されることとなる。
【0034】
図3に示されるように、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を第2の状態として、第2油圧室21Bから第1油圧室21Aに向かう方向の力をピストン24に付与して、転舵シャフト22からタイロッド3に操舵補助力PBを付与する必要があるとき、スプール71は第1の方向とは反対の第2の方向に向けて回転する。ここで、このスプール71の第2の方向への実回転角度θBが大きくなるに連れて第2油圧室21Bへの作動油の供給量が多くなる。その結果、図4に示されるように油圧シリンダ21が発生する操舵補助力PBが大きくなる。また、転舵シャフト22からタイロッド3にこの操舵補助力PBが付与されることにより転舵輪2が車両走行方向において相対的に左方向に転舵されることとなる。
【0035】
以上説明したパワーステアリング装置は次のように動作する。
運転者によりステアリングホイール1にトルクが入力されたとき、ステアリングホイール1とともにステアリングシャフト11が回転する。ステアリングシャフト11の回転運動は、ラックアンドピニオン機構12により転舵シャフト22の軸方向の直線運動に変換される。すなわち、転舵シャフト22は、ラックアンドピニオン機構12から伝達される力により軸方向に移動する。そして、転舵シャフト22の軸方向への移動にともないタイロッド3を介して転舵輪2の舵角が変更されることとなる。
【0036】
また、ステアリングホイール1が操作されるとき、上述したアシスト装置20の油圧制御を通じて、転舵シャフト22に軸方向の力、すなわち操舵補助力PA又は操舵補助力PBが付与される。これにより、転舵シャフト22を軸方向に移動させるためにステアリングホイール1の操作に要求される力が小さくなる。換言すれば、アシスト装置20の油圧制御を通じて、ステアリングホイール1の操作に必要となる力がアシストされることとなる。
【0037】
次に、図5及び図6を併せ参照して、車両の運転状態に応じて操舵補助力を変更するための操舵補助力変更処理の詳細について説明する。
まず、ステップS110において、制御部30は、操舵トルクτ並びに回転方向RXと車速Vとに基づいて、スプール71の目標回転角度θtを算出する。ここで、図6に示されるように、目標回転角度θtは、操舵トルクτの値が大きいほど、また車速Vの値が低いほど、大きな値となるように算出される。制御部30のメモリには、図6に示すような目標回転角度θtと操舵トルクτと車速Vとの相関関係を示す演算用マップが記憶されており、制御部30は、同マップに基づいて目標回転角度θtを算出する。
【0038】
次に、ステップS120において、回転角センサ60によって検出されたスプール71の実回転角度θaが制御部30に入力される。
そして、ステップS130において、制御部30は、下記の(1)式を用いて、スプール71を目標回転角度θtまで変位させるために必要な電動モータ50の駆動電流値Iaを算出する。
【0039】

Ia←Iff(θt)+K(θt−θa)…(1)

ここで、右辺の第1項「Iff(θt)」はフィードフォワード項であり、第2項「K(θt−θa)」はフィードバック項(比例項)である。また、定数Kは比例ゲインである。
【0040】
そして、ステップS140において、制御部30は、上記(1)式で算出された駆動電流値Iaにて電動モータ50を駆動する。すなわち、制御部30は、スプール71の目標回転角度θtと実回転角度θaとが一致するように、電動モータ50の駆動電流値Iaをフィードバック制御する。
【0041】
次に、図7及び図8を併せ参照して、油圧制御バルブ40の異常時に操舵補助力の発生を停止するための処理、すなわち異常時停止処理の詳細について説明する。なお、この異常時停止処理は操舵補助力変更処理と並行して行われる。
【0042】
まず、ステップS210において、制御部30は、スプール71を目標回転角度θtまで変位させようとするときの電動モータ50の駆動電流値Iaを検出する。
次に、S220において、制御部30は、検出した電動モータ50の駆動電流値Iaに基づいてそのときの電動モータ50のトルクTaを推定する。ここで、駆動電流値IaとトルクTaとは図8に示される相関関係を有する。すなわち、駆動電流値Iaが大きくなるにつれてトルクTaも大きくなる。制御部30のメモリには、図8に示すような駆動電流値IaとトルクTaとの相関関係を示す演算用マップが記憶されており、制御部30は、同マップに基づいてトルクTaを推定する。
【0043】
ステップS230において、制御部30は、トルクTaとトルクTtとの差が予め設定された所定値αより大きいか否かについて判定する。なお、トルクTtとは、正常時において、スプール71を回転させるために必要なトルクであり、その値は一定である。
【0044】
ここで、油圧制御バルブ40に異常が発生していない場合、トルクTaとトルクTtの値は一致するか、それらの偏差がごく小さく無視できる程度のものとなる。
しかし、フィードバック制御を実行するようにしたパワーステアリング装置にあって、スプール71の回転軸心が傾く等、その支持状態が通常とは異なる状態となったり、スプール71に異物が噛み込んだりしたような油圧制御バルブ40の異常時には、目標回転角度θtと実回転角度θaとに偏差が生じるため、その駆動電流値Iaは正常時よりも増大する。すなわち、トルクTaも正常時よりも増大することとなる。そのため、トルクTaとトルクTtとの差が予め設定された所定値αより大きいときには、油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定することができる。なお、所定値αは、明らかにスプール71に異常が発生していると判定することができる両トルクの差であって、目標回転角度θtと実回転角度θaとの偏差が最大となってもこれをこえることのない両トルクの差としてとして予め設定されている。
【0045】
ステップS230において、制御部30がトルクTaとトルクTtとの差が所定値αより大きい旨判定したときには、ステップS240において、制御部30は、油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定する。
【0046】
そして、ステップS250において、制御部30は、バイパスバルブ80を開弁駆動する。すなわち、第1油圧室21Aと第2油圧室21Bとを連通状態とすることにより操舵補助力が発生することを停止する。
【0047】
一方、ステップS230において、制御部30がトルクTaとトルクTtとの差が所定値αより小さい旨判定したときには、異常時停止処理を終了する。
以上説明した本実施形態のパワーステアリング装置によれば、以下の効果を得ることができる。
【0048】
(1)制御部30は、判定部としての機能を有するとともに、スプール71が目標回転角度θtまで変位しようとするときの電動モータ50の駆動電流値Iaに基づいて電動モータ50に発生しているトルクTaを推定する。そして、この推定されるトルクTaと予め設定されたトルクTtとの差が所定値α以上のときに油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定する。
【0049】
そのため、油圧制御バルブ40に異常が発生したことを車両運転中であってもこれを速やかに検出することができる。
(2)制御部30は、停止部としての機能を有するとともに、油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定したときに操舵補助力が発生することを停止する異常時停止処理を行う。制御部30は、転舵用のピストン24によって区画形成される油圧シリンダ21の一対の油圧室21A,21Bを連通可能とするバイパスバルブ80を備え、一対の油圧室21A,21Bを連通状態とすべくバイパスバルブ80を開弁駆動する処理を異常時停止処理として実行する。
【0050】
これにより、両油圧室21A,21B間の油圧差をなくすことができるため、油圧シリンダ21における操舵補助力の発生を停止することができる。
なお、この発明の実施態様は上記実施形態にて例示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記実施形態についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
【0051】
・正常時における電動モータ50のトルクTaがとり得る範囲を予め設定しておき、トルクTaが同範囲外となったときに制御部30は油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定することもできる。
【0052】
ここで、上述したようにスプール71の回転軸心が傾く等の異常時には、スプール71を変位させるときに必要となるトルクTaは、正常時と比較して増大する。
その一方、パワーステアリング装置に設けられる各種センサ、例えば回転角センサ60が故障したような異常時には、スプール71を変位させるときに必要となるトルクTaが正常時と比較して低い値として推定されることがある。このような場合にもスプール71の回転軸心が傾く等の異常時と同様に油圧制御バルブ40に異常が発生した旨判定することが好ましい。
【0053】
すなわち、スプール71に付与されるトルクTaが所定の範囲外となったことは、同トルクTaが、上限値及び下限値により定められた範囲を外れたことの他、スプール71の回転軸心が傾く等の異常時の場合におこり得るように、トルクTaが上限値を上回る領域に移行したことや、回転角センサ60の故障等の異常時の場合におこり得るように、トルクTaが下限値を下回る領域に移行したことをもって判定することもできる。
【0054】
また、制御部30は、トルクTaとトルクTtとの差が所定値α以上であるか否かに関わらずスプール71の回転軸心が傾く等の異常時の場合におこり得るように、トルクTaがトルクTtよりも大きいことをもって異常が発生している旨判定してもよいし、回転角センサ60の故障等の異常時の場合におこり得るように、トルクTaがトルクTtよりも小さいことをもって異常が発生している旨判定してもよい。
【0055】
さらに、制御部30は、正常時における電動モータ50の駆動電流値Iaがとり得る範囲を予め設定しておき、駆動電流値Iaが同範囲外となったときに油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定することもできる。
【0056】
また、上述したように、スプール71の回転軸心が傾く等の異常時の場合におこり得るように、駆動電流値Iaが上限値を上回る領域に移行したことや、回転角センサ60の故障等の異常時の場合におこり得るように、駆動電流値Iaが下限値を下回る領域に移行したことをもって異常である旨判定することもできる。
【0057】
さらに、制御部30は、駆動電流値IaとトルクTtに対応する駆動電流値Itとの差が所定値β以上である場合に異常である旨判定することもできる。また、駆動電流値Iaと駆動電流値Itとの差が所定値β以上であるか否かに関わらず、スプール71の回転軸心が傾く等の異常時の場合におこり得るように、駆動電流値Iaが駆動電流値Itよりも大きいことをもって異常が発生している旨判定してもよいし、回転角センサ60の故障等の異常時の場合におこり得るように、駆動電流値Iaが駆動電流値Itよりも小さいことをもって異常が発生している旨判定してもよい。
【0058】
同様に、スプール71を電動モータ50により回転駆動する油圧制御バルブ40においては、その電動モータ50の電圧値が予め設定された基準値よりも大きいときにはスプール71の回転軸心が傾く等の異常が発生している旨判定することができる。さらには、電動モータ50の電圧値が予め設定された基準値よりも小さいときには回転角センサ60の故障等の異常が発生している旨判定することができる。
【0059】
・異常時停止処理としては、油圧シリンダ21に作動油を供給する油圧ポンプ25の運転を停止させることにより、作動油の圧送自体を停止する処理を挙げることができる。なお、このように異常時停止処理として油圧ポンプ25を停止させる場合にはこれに対する電力供給を停止すればよい。また、油圧ポンプ25に代えて機関駆動式のポンプを用いた場合であれば、機関出力軸と同ポンプの駆動軸との間に電磁クラッチを介在させるようにし、異常時にはこれが開放されるように同電磁クラッチを制御すればよい。なお、この作動油の圧送自体を停止する処理は、バイパスバルブ80を開弁駆動する処理と併せて行ってもよい。
【0060】
・異常時停止処理において、油圧制御バルブ40に異常が発生している旨判定するとともにバイパスバルブ80を開弁駆動した際には、油圧ポンプ25による作動油の圧送を停止することが操舵補助力の発生を確実に停止するうえでは望ましい。さらにこの場合には、操舵補助力変更処理を通じて、油圧制御バルブ40は、油圧シリンダ21に対する作動油の給排状態を中立状態に切り替えることが好ましい。
【0061】
・シャフト41にスプール71が一体形成されるものを例示したが、シャフト41とスプール71とが連動して回転するものであれば他の構成を採用してもよい。具体的には、電動モータ50の出力軸であるシャフト41とスプール71とが例えば減速機等の他の動力伝達機構を介して接続される構成を採用することもできる。なお、この場合には、駆動部である電動モータ50が油圧制御バルブ40の外部に設けられる構成となる。
【0062】
・スプール71を電動モータ50により回転駆動する油圧制御バルブ40を例示したが、こうしたスプールがその軸方向に沿って油圧制御バルブのハウジングに往復動可能に支持されて同スプールの軸方向における位置を変更することで油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節する油圧制御バルブを採用することもできる。この場合には、駆動部として電動モータ50に代えて電磁ソレノイドによりこのスプールを軸方向に駆動するようにする。そして、このスプールの軸方向における実位置を検出部を通じて検出するとともに、車両の運転状態に応じてスプールの目標位置を算出し、この目標位置と検出される実位置とが一致するように制御部を通じて電磁ソレノイドの駆動電流値をフィードバック制御するようにする。
【0063】
また、このように、スプールを電磁ソレノイドにより往復駆動して作動油の給排状態を制御する油圧制御バルブにおいては、電磁ソレノイドからスプールに付与される推力、電流値、電圧値がそれらに対応して各別に設定された基準値よりも大きいときには、スプールに異物が噛み込んだ等の異常が発生している旨判定することができる。なお、電磁ソレノイドからスプールに付与される推力、電流値、電圧値がそれらに対応して各別に設定された基準値よりも小さいときには、検出部の故障等の異常が発生している旨判定することができる。
【0064】
・フィードバック制御としていわゆるP制御を行ったが、PI制御又はPD制御又はPID制御を行うこともできる。また、(1)式において、フィードフォワード項を削除することもできる。
【0065】
・実回転角度θaが目標回転角度θtと一致するように制御する制御手法であればフィードバック制御以外の他の制御を用いてもよい。
・油圧制御バルブ40において、シャフト41の軸方向に沿って、電動モータ50、回転角センサ60、油圧制御部70の順で配置されているが、電動モータ50と回転角センサ60と油圧制御部70の配置順序を変更することもできる。
【0066】
・バイパスバルブ80を開弁駆動せずに、第1油圧室21Aと第2油圧室21Bとを直接連通させてもよい。
・リターンスプリング等を有することにより、スプールに対してトルクが作用していないときにスプールが中立位置となる構成の油圧制御バルブにおいては、スプールは、油圧シリンダに対する作動油の給排状態をその中立位置からの変位量に応じて調節するものであり、電動モータはスプールを所定のトルクにて駆動することで中立位置から変位させるものである。
【0067】
このような構成の油圧制御バルブにおいては、スプールの目標回転角度θtと同目標回転角度に対応するトルクTtとの関係は図9に示されるような関係となる。すなわち、スプールの目標回転角度θtが大きくなるにつれて同目標回転角度θtに対応するトルクTtが大きくなる。そして、同油圧制御バルブにおいて上述したような異常が発生すると、同油圧制御バルブのスプールを中立位置から所定の変位量だけ変位、すなわち回転させる際に必要となるトルクが正常時とは異なるものとなる。
【0068】
このような構成の油圧制御バルブを有するパワーステアリング装置においては、正常時におけるスプールの変位量とその変位量に対応するトルクとの対応関係を正規関係としたとき、制御部は変位量とこれに対応するトルクとの関係が正規関係と異なるときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定することができる。
【0069】
すなわち、スプールの変位量とこれに対応するトルクとの関係を監視し、同関係が正常時における関係(ここではこれを正規関係という)とは異なるものとなったときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するようにすれば、油圧制御バルブに異常が発生したことを車両運転中に検出することができる。
【0070】
また、油圧制御バルブのスプール71の回転軸心が傾く等の異常時には、同スプールを中立位置から変位させるのに要するトルクが増大するため、正常時と同じ大きさのトルクをスプールに付与したとしても、そのときのスプールの変位量は正常時と比較して小さなものとなる。
【0071】
したがって、油圧制御バルブのスプール71の回転軸心が傾く等の異常時には、制御部により、駆動部を通じてスプールを中立位置から所定の変位量だけ変位させるためのトルクを検出し、該検出されるトルクが正規関係においてその所定の変位量に対応するトルクよりも大きいときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するといった構成を通じて、こうした異常を検出することができる。また、制御部により、駆動部を通じてスプールに所定のトルクを付与したときの変位量を検出し、該検出される変位量が正規関係において所定のトルクに対応する変位量よりも小さいときに油圧制御バルブに異常が発生している旨判定するといった構成を通じてもこうした異常を検出することができる。
【0072】
次に、以上の実施形態から把握することのできる技術的思想を記載する。
(イ)請求項1に記載のパワーステアリング装置において、前記スプールは前記油圧シリンダに対する作動油の給排状態をその中立位置からの変位量に応じて調節するものであり、前記駆動部は前記スプールを所定の駆動力にて駆動することで前記中立位置から変位させるものであり、正常時における前記スプールの前記変位量とその変位量に対応する前記駆動力との対応関係を正規関係としたとき、前記判定部は前記変位量とこれに対応する前記駆動力との関係が前記正規関係と異なるときに前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0073】
(ロ)(イ)に記載のパワーステアリング装置において、前記判定部は、前記駆動部を通じて前記スプールを前記中立位置から所定の変位量だけ変位させるための駆動力を検出し、該検出される駆動力が前記正規関係において前記所定の変位量に対応する駆動力よりも大きいときに前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定することを特徴とするパワーステアリング装置。
【0074】
(ハ)(イ)に記載のパワーステアリング装置において、前記判定部は、前記駆動部を通じて前記スプールに所定の駆動力を付与したときの前記変位量を検出し、該検出される変位量が前記正規関係において前記所定の駆動力に対応する変位量よりも小さいときに前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定することを特徴とするパワーステアリング装置。
【符号の説明】
【0075】
1…ステアリングホイール、2…転舵輪、3…タイロッド、4…車速センサ、10…操舵装置、11…ステアリングシャフト、12…ラックアンドピニオン機構、13…トルクセンサ、14…操舵角センサ、20…アシスト装置、21…油圧シリンダ、21A…第1油圧室、21B…第2油圧室、22…転舵シャフト、23…ハウジング、24…ピストン、25…油圧ポンプ、26…貯留タンク、30…制御部、40…油圧制御バルブ、41…シャフト、50…電動モータ、60…回転角センサ、70…油圧制御部、71…スプール、80…バイパスバルブ、91…吸入路、92…吐出路、93…第1供給路、94…第2供給路、95…排出路、96…連通路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵補助力を発生する油圧シリンダと、該油圧シリンダに対する作動油の給排状態をその位置に応じて調節するスプールを有する油圧制御バルブと、所定の駆動力にて前記スプールを駆動することでこれを変位させる駆動部とを備えるパワーステアリング装置において、
前記スプールを変位させるときの前記駆動力が予め設定された所定の範囲外となったときに前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定する判定部を有する
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項2】
請求項1に記載のパワーステアリング装置において、
前記判定部により前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定されるときに前記操舵補助力の発生を停止する異常時停止処理を行う停止部をさらに備える
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項3】
請求項2に記載のパワーステアリング装置において、
前記停止部は、転舵用のピストンによって区画形成される前記油圧シリンダの一対の油圧室を連通可能とするバイパスバルブを備え、前記一対の油圧室を連通状態とすべく前記バイパスバルブを開弁駆動する処理を前記異常時停止処理として実行する
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置において、
前記油圧制御バルブは前記スプールが回転可能に支持されて同スプールの回転角度を変更することにより前記油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節するものであり、
前記駆動部は前記スプールを回転駆動する電動モータを含み、
前記スプールの実回転角度を検出する検出部と、
車両の運転状態に応じて前記スプールの目標回転角度を算出し該目標回転角度と前記検出される実回転角度とが一致するように前記電動モータの駆動電流値をフィードバック制御する制御部とをさらに備える
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置において、
前記油圧制御バルブは前記スプールがその軸方向に沿って往復動可能に支持されて同スプールの軸方向の位置を変更することにより前記油圧シリンダに対する作動油の給排状態を調節するものであり、
前記駆動部は前記スプールを軸方向に駆動する電磁ソレノイドを含み、
前記スプールの軸方向における実位置を検出する検出部と、
車両の運転状態に応じて前記スプールの目標位置を算出し該目標位置と前記検出される実位置とが一致するように前記電磁ソレノイドの駆動電流値をフィードバック制御する制御部とをさらに備える
ことを特徴とするパワーステアリング装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のパワーステアリング装置において、
前記判定部は、前記スプールを変位させるときの前記駆動力又はその相関値が予め設定された基準値よりも大きいときに前記油圧制御バルブに異常が発生している旨判定する
ことを特徴とするパワーステアリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−103616(P2013−103616A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−248995(P2011−248995)
【出願日】平成23年11月14日(2011.11.14)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】