説明

パンチ位置変更保持体工作体の可逆的浮動パンチ保持体

【構成】浮動パンチ(74)を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体(8)である。この位置変更保持体は、位置変更保持体本体(10)および位置変更保持体本体の底面から上向きに貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口(20)を有する。位置変更保持体本体のノーズ部分(12)から遠い位置にある後退位置とこのノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間においてアクチュエータ(14)によって位置変更保持体本体に設けた当てへし部材(50)を作動する。パンチ保持体を受け取る開口に受け取ることができる浮動パンチ保持体(64)は、その上端で当てへし部材に係合する。浮動パンチ保持体内にパンチを受け取る孔(72)を形成し、パンチ保持体を受け取る開口内で浮動パンチ保持体の長手方向中心線(68)を中心にして回転できるようにパンチを受け取る孔を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体としてはパンチ/ダイ工作装置に使用するパンチ位置変更保持体に関し、具体的には浮動パンチ保持体の長手方向中心線を中心にして異なるパンチ保持位置を可逆的に設定する浮動パンチ保持体を有するパンチ位置変更保持体に関する。
【背景技術】
【0002】
薄板金などの工作製品を製作するさい、製品となる工作物に一つかそれ以上の孔を形成する必要があることが多い。例えば、このような用途の場合、特に大量に工作製品を製造する場合、パンチとダイを組み合わせた工作装置を利用して、孔を形成している。パンチとダイを組み合わせた工作装置(以下、パンチ/ダイ工作装置と呼ぶ)では、下部のダイシューに向かって移動できるように上部ダイシューを支持する。代表例で説明すると、パンチ保持体を上部ダイシューに取り付け、パンチをダイシューに固定する。ダイブッシュ保持体によって対向するダイに固定したダイブッシュに向けてパンチを移動する。また、例えばキャップねじによってこれら保持体を着脱自在にそれぞれのダイシューに固定し、そしてパンチプッシュおよびダイブッシュについてもそれぞれの保持体内に着脱自在に固定する。それぞれのダイシューに上に保持体を位置決めし、工作物の所定の正確な位置に孔が形成するようにパンチおよび対応するダイブッシュを設定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パンチ/ダイ工作装置の使用効率を最大化するためには、パンチ/ダイ工作装置を再構成し、異なる工作に対処できるようにすればよい。このような再構成に関しては、工作すべき製品に対応する特定の位置でダイシューにパンチ/ダイブッシュ保持体を取り付ければ実現できる。あるいは、ある形式のパンチ/ダイ工作装置では、移動パンチ保持体がパンチを支持し、かつこの移動パンチ保持体をパンチ位置変更保持体ハウジングに装着するパンチ位置変更保持体を利用している。このパンチ位置変更保持体ハウジングは、例えば、移動パンチ保持体をこのハウジングのノーズ端部に設け、アクチュエータをこのハウジングの他端に向けて設けた細長い部材によって構成する。アクチュエータにより当てへし部材を作動し、パンチを繰り出して工作物をパンチする作動位置と、パンチがダイシューの移動時に工作物に係合しない位置までダイシューに向けてパンチを移動する後退位置との間において移動パンチ保持体を移動する。ダイシューに複数のパンチ位置変更保持体を設定し、工作装置に装着された工作物に所定の孔形成パターンでパンチを作動させるように対応するアクチュエータをプログラミングすることによって、選択されたパンチの作動および非作動に応じて異なる孔形成パターンを与えるようにパンチ/ダイ工作装置を簡単に再構成することができる。このようなパンチ位置変更保持体を使用すると、ある特定の工作に必要のないパンチを取り外す必要がなく、またパンチを手動設定せずにパンチを係合位置まで繰り出すことができるため、孔形成工作の工作装置を効率よく組み立てることができる。
【0004】
ボールロック式パンチ保持体を利用するパンチ位置変更保持体の工作に関する規格化を確実に行うために、一般には、北アメリカ自動車メートル規格(NAAMS)に従ってパンチ位置変更保持体構造を構成する。即ち、ダイシューの表面に係合するパンチ位置変更保持体本体の表面に設けた基準合わせピンから所定の距離にパンチ装置の中心を設定する。NAAMS規格による寸法は、パンチ位置変更保持体を利用したパンチ/ダイ工作装置を対象として設計基準点を定めている。
【0005】
パンチ位置変更保持体を利用する場合、複数のパンチ位置変更保持体を相互にノーズ対ノーズ関係で設け、隣接保持体のパンチによって形成される孔を狭い間隔で形成する。一般的に、隣接パンチ位置変更保持体のパンチ間隔は、保持体のノーズ部分に必要な材料の厚さだけでなく、NAAMSによる寸法拘束条件によって調節されるものである。さらに、パンチ位置変更保持体のコストは、通常の固定パンチ保持体よりも比較的高く、パンチ位置変更保持体の規格化寸法基準からの設計変更は一般的には経済的ではない。
【0006】
このように、隣接パンチ工作間隔を相互に異ならせた位置などの異なる位置でパンチ工作を容易に設定でき、従ってパンチ/ダイ工作装置で広範な各種工作を実施でき、しかもパンチ工作を設定する産業上の規格に一致するパンチ位置変更保持体が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、構成部品を実質的に交換せずにパンチ工作位置を変更できる装置を提供するものである。一つの具体的な態様では、パンチ位置変更保持体によって保持されるパンチ工作装置の位置を装置の往復移動方向に対して直角方向に設定し、複数のパンチ装置の位置を相互に変更する。
【0008】
本発明の一つの態様によるパンチ位置変更保持体の場合、浮動パンチを後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に設定する。即ち、位置変更保持体本体の前端のノーズ部分および位置変更保持体本体の後端のアクチュエータを有する位置変更保持体本体、上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口、上記位置変更保持体本体のノーズ部分から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材、上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして前後方向に設定される長手方向中心線を設定する浮動パンチ保持体、および上記浮動パンチ保持体に形成したパンチを受け取る孔からなり、上記のパンチ保持体を受け取る開口内において上記長手方向中心線を中心にして回転できるように上記浮動パンチ保持体を構成したパンチ位置変更保持体である。
【0009】
本発明の別な態様は、浮動パンチ保持体を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体に関する。即ち、位置変更保持体本体の前端のノーズ部分および位置変更保持体本体の後端のアクチュエータを有する位置変更保持体本体、上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口、上記位置変更保持体本体のノーズ部分から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材、上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして長手方向中心線を設定する浮動パンチ保持体、および上記浮動パンチ保持体に形成したパンチを受け取る孔であって、上記長手方向中心線からずれた位置にあり、かつこの長手方向中心線と上記位置変更保持体本体のノーズ部分との間に設けられるパンチを受け取る孔からなり、当てへし部材が、上記浮動パンチ保持体の上面に係合する下面を有し、この当てへし部材の下面を上記のパンチを受け取る孔に実質的に重なる位置まで繰り出し可能にしたパンチ位置変更保持体である。
【0010】
本発明のさらに別な態様は、浮動パンチ保持体を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体に関する。即ち、位置変更保持体本体の前端のノーズ部分および位置変更保持体本体の後端のアクチュエータを有する位置変更保持体本体、上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口、上記位置変更保持体本体のノーズ部分から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材、上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして前後方向に設定される長手方向中心線を設定する浮動パンチ保持体、および上記浮動パンチ保持体内に設定され、かつ上記長手方向中心線からずれた位置にあるパンチを受け取る孔からなり、上記長手方向中心線を中心にして上記のパンチ保持体を受け取る開口内で上記のパンチを受け取る孔を反転可能にして、上記のパンチを受け取る孔を上記位置変更保持体本体内の2つの所定位置に位置決めするパンチ位置変更保持体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
まず、図1について説明する。本発明の位置変更保持体は保持体本体10からなり、この本体はノーズ部分12と、位置変更保持体本体10の後端部16のアクチュエータ14とを有する。位置変更保持体本体10の当てへし部材スロット18をアクチュエータ14に隣接して設けるとともに、位置変更保持体本体10のノーズ部分12に隣接して、パンチ保持体を受け取る開口20を設ける。さらに、位置変更保持体本体10は、パンチプレスのダイシュー24の下面に位置変更保持体本体10を取り付ける締め付け具を受け取る取り付け開口22を有する(図8)。さらに、ダイシュー24の対応する孔に嵌合してダイシュー24に位置変更保持体本体を正確に位置決めする合わせピンなどの位置決め部材を受け取る位置決め孔26を設ける。
【0012】
パンチを受け取る開口20の横方向の両側部に、対向する押縁領域28、30を設ける。これら押縁領域28、30はそれぞればね座32、34および位置決め爪付き開口36、38を有する。横方向即部40、42を相互に平行に形成し、かつ前後の側部44、46を相互に平行に形成する好適な実施態様では、開口20は対称形として構成する。これらの側部40、42および44、46が、パンチ保持体64の上下往復移動時に、浮動パンチ保持体64を案内する作用を行う(図2)。
【0013】
図2および図3について説明する。図示した組み立て状態の位置変更保持体8は、アクチュエータ14の往復作動ロッド52に接合する当てへし部材50を有する。この当てへし部材50の前部延長部分54が、位置変更保持体本体10の押縁部分56に重なり、押縁部分56と位置変更保持体本体10の支持プレート58との間を走る。この延長部分54は、その前端に傾斜部分60を有する。傾斜部分60は、傾斜部分60が開口20の後側部46に隣接位置する後退位置(図2)と位置変更保持体本体10のノーズ部分12において開口20の前側部44に隣接する繰り出し位置(図3)との間で移動可能である。開口20の前側部44については、当てへし部材の延長部分54の長い前進ストロークを受け取るクリアランス開口またはスロット62を形成しておくのが好ましい。当てへし部材50を移動させるアクチュエータ14としては、空気圧シリンダが好ましい。なお、本発明の範囲で、他のアクチュエータ、例えば油圧式、電気式その他の形式のアクチュエータも使用可能である。
【0014】
浮動パンチ保持体64は上下に移動可能で、上部の後退位置である脱離位置(図2)と下部の繰り出し位置である係合位置(図3)との間で往復運動する。この浮動パンチ保持体64は、パンチ保持体本体66およびパンチ保持体64の上端でパンチ保持体本体66に取り付けられる支持プレート70を有する。このパンチ保持体64が横方向側部40、42と前後の側部44、46との間で開口20のほぼ中心に長手方向中心線68を設定する。パンチ保持体64は長手方向中心線68に関して全体として対称である。パンチを受け取る孔72は、パンチ保持体本体66を上下に貫通する孔であり、パンチ74を受け取るために長手方向中心線68からずれた位置にある。図2に示した構成では、パンチを受け取る孔72の中心75から位置決め孔26の位置まで位置変更保持体8の長手方向中心線にそって取った距離dは、NAAMS寸法に対応するように設定する(この点に関しては図8も参照)。傾斜設定した孔78内に設けられ、かつコイル式圧縮ばね82によってパンチ74の胴部分内の凹部80に締り係合するようにバイアスを作用させた球要素76によって、パンチを受け取る孔72内の所定位置にパンチ74を保持する。なお、本発明は、パンチ74を保持する図示の具体的な構造には制限されず、ヘッドを形成したパンチ構造など他のパンチ構造も可能である。さらに、本発明の位置変更保持体8はNAAMS寸法に対応する寸法を与えるように設計されているが、本発明の範囲はこの具体的な寸法に制限されるものではない。
【0015】
支持プレート70に形成する第1傾斜部分84および第2傾斜部分86は、それぞれ支持プレート70の後側部および前側部に設ける。図2および図3から理解できるように、当てへし部材50がその遠い位置から前方に位置変更保持体本体10のノーズ部分12に向かって進むと、第1傾斜部分84が当てへし部材50の傾斜部分60に係合し、浮動パンチ保持体64が繰り出し位置まで移動し、ダイシュー24の往復動作時に、パンチ74の下に来ている工作物にパンチ74の端部が係合する。浮動パンチ保持体64は、当てへし部材の延長部分52の厚さに等しい距離下向きに移動することになる。この位置で、当てへし部材の延長部分52の下面53が、支持プレート70の上面71に係合し、支持プレート70の上面71に対して支持要素を支持する。当てへし部材50が後退すると、浮動パンチ保持体64が非作動後退位置に戻り、ダイシュー24の往復動作時に、工作物から脱離する。
【0016】
図4および図5について説明する。支持プレート70に形成した横方向延長部分88、90は、パンチ保持体本体66のそれぞれの側部92、94を超えて、外向き横方向に繰り出し、押縁28、30に面して設定される。バネ座32、34に着座し、パンチ保持体64を後退位置にバイアスするバイアス作用力を与えるばね93(ひとつのみを図示)を各横方向延長部分88、90の下面に係合する。さらに、横方向延長部分88には、爪付き開口36内に設けた爪要素98に作用する通路96を形成する。爪要素98としては、支持プレート70内の通路96内に係合する止めねじ、合わせピンやその他類似の延長部材で構成すればよい。爪要素98が通路96に作用するため、浮動パンチ保持体64を特定の向きで位置変更保持体本体10として確実に組み立てることができる。パンチ保持体64を特定の向きから回転すると、爪要素98が支持プレート70に係合し、当てへし部材50の作動時に、パンチ保持体64が作動することを防止できる。従って、浮動パンチ保持体64を位置変更保持体本体10から外したときに、位置変更保持体を正しく確実に組み立てることができ、また再組み立てできる。位置変更保持体本体10においてパンチ保持体64を正しく組み立てると、爪要素98が通路96に上下に滑り係合した状態で、横方向延長部分88、90の下面がそれぞれの押縁28、30に向かって進むように、パンチ保持体64を作動し、これを下向きに移動させることができる。なお、通路96は図示のように開口としているが、横方向延長部分88側部の切欠きとしてもよく、同様に爪要素98に対してクリアランスを与えることができる。
【0017】
図6および図7について説明する。位置変更保持体本体10内の別な位置にパンチを受け取る孔72を設定した場合を示す。この場合、パンチを受け取る孔72は、図2および図3の場合よりもさらに位置変更保持体本体10のノーズ部分12に近づけて設定する。本発明のこの実施態様によれば、パンチ保持体64は長手方向中心線68を中心として回転でき、支持プレート70の第2傾斜部分86を当てへし部材50の傾斜部分60に隣接配置できる。パンチ64を回転された向きに作動させるためには、押縁28上の爪付き開口36から反対側の押縁30上の爪付き開口38に爪部材98を移動する必要がある。このように、回転された向きでは、横方向延長部分88内の通路96は、押縁30上の爪要素98に重なるため、位置変更保持体本体10内でパンチ保持体64を確実に正しく組み立てることができる。
【0018】
図6に、当てへし部材の傾斜部分60の隣接位置に支持プレートの傾斜部分86が設定されている後退位置にあるパンチ保持体64を示す。また、図7に、パンチ74の下にある工作物にパンチ加工する繰り出し位置にあるパンチ保持体64を示す。なお、延長部分52の下面53がパンチを受け取る孔72の円周範囲に実質的に重なり、パンチ74の後側に全支持面が来るように構成して、パンチ工作時に発生する実質的な力を相殺するように、当てへし部材50のストロークを長く設定する。位置変更保持体本体10のノーズ部分12に隣接して形成したスロット62が当てへし部材の延長部分54の傾斜端部を受け取り、延長部分54の下面53が支持プレート70の上面71に係合した場合に発生するような、パンチを受け取る孔72の後側でパンチ保持体64を完全に支持するために必要な別なストロークを吸収するように構成する。
【0019】
図8に、本発明の位置変更保持体8のうち2つを相互にノーズ対ノーズ関係でダイシュー24に取り付けた本発明の適用例を示す。実線で示すパンチを受け取る孔72によって図示するように、パンチ保持体64の一つの構成の場合、パンチ間隔については、パンチによって形成すべき孔に対して広い、即ち従来と同様な間隔xを与えるように選択することができる。点線で示すパンチを受け取る孔72´によって図示するように、パンチ保持体の別な構成の場合、パンチ間隔については、位置変更保持体8によって作動するパンチによって形成すべき孔間により小さな間隔yを与えるように選択することができる。図示から理解できるように、パンチ間の間隔を変更し、別な構成に対して同じ位置変更保持体構造を利用することによって、パンチ/ダイ工作装置における再構成パンチ工作に通常伴うコストを削減した状態で、別な工作オプションが得られる。なお、隣接位置変更保持体8間の間隔を変更、即ち大きくとることによって、間隔を変更することができる。この場合、パンチ保持体64をそれぞれの位置変更保持体8内に配設すると、位置変更保持体8の任意の所定間隔で複数の構成を得ることができる。
【0020】
また、爪付き開口および爪を受け取る通路の位置を反転すると、爪要素を浮動パンチ保持体に取り付けることができ、また作用通路を位置変更保持体本体に形成することができる。あるいは、別な作用要素を設けると、パンチ保持体を所望の回転向きに位置決めすることが簡単になる。例えば、パンチを受け取る孔を位置変更保持体本体に対して異なる位置に位置決めすることが簡単になる。なお、具体的な方向の向きに関して上、下、前、後、上部、底部などの用語を使用してきたが、いずれも本発明実施例を説明するための相対的な用語であり、本発明実施態様の装置の具体的な取り付けや向きを制限するものではない。
【0021】
以上、本発明を好適な実施態様に関して詳細に説明してきたが、特許請求の範囲に記載された発明の範囲から逸脱しなくても、変更などが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】パンチ位置変更保持体本体の支持プレートを外した状態にある、本発明のパンチ位置変更保持体本体を示す上面図である。
【図2】浮動パンチ保持体本体が第1の向きにあり、かつ後退位置にある、本発明のパンチ位置変更保持体の一部断面側面図である。
【図3】浮動パンチ保持体が図2の向きにあり、かつ繰り出し位置にある状態を示す一部断面側面図である。
【図4】組み立て状態にあるパンチ位置変更保持体を示す図1の4−4線に沿って取った一部断面端面図である。なお、実線は、パンチ保持体本体を示す。
【図5】浮動パンチ保持体の上面図である。
【図6】浮動パンチ保持体が第2の向きにあり、かつ後退位置にある状態を示す一部断面側面図である。
【図7】浮動パンチ保持体本体が図6の向きにあり、かつ繰り出し位置にある、本発明のパンチ位置変更保持体の一部断面側面図である。
【図8】ノーズ対ノーズ関係で配置された本発明の2つのパンチ位置変更保持体を示す底面図で、浮動パンチ保持体によって相互に接近して保持されたパンチの位置を示す図である。
【符号の説明】
【0023】
8:パンチ位置変更保持体、
10:パンチ位置変更保持体本体、
12:ノーズ部分、
14:アクチュエータ、
16:後端、
20:パンチ保持体を受け取る孔、
28、30:押縁、
50:当てへし部材、
64:浮動パンチ保持体、
66:パンチ保持体本体、
68:長手方向中心線、
70:支持プレート、
71:上端、
72:パンチを受け取る孔、
84、86:傾斜部分、
88、90:横方向延長部、
98:爪要。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浮動パンチ保持体(64)を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体(8)において、
位置変更保持体本体の前端のノーズ部分(12)および位置変更保持体本体の後端(16)のアクチュエータ(14)を有する位置変更保持体本体(10)、
上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口(20)、
上記位置変更保持体本体のノーズ部分から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材(50)、
上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端(71)を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして前後方向に設定される長手方向中心線(68)を設定する浮動パンチ保持体、および
上記浮動パンチ保持体に形成したパンチを受け取る孔(72)からなり、
上記のパンチ保持体を受け取る開口内において上記長手方向中心線を中心にして回転できるように上記浮動パンチ保持体を構成したことを特徴とするパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項2】
浮動パンチ保持体(64)が長手方向中心線(68)に関して全体として対称である請求項1記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項3】
パンチを受け取る孔(72)を長手方向中心(68)からずらして形成し、パンチ保持体を受け取る開口(20)内の浮動パンチ保持体(64)の回転によって、位置変更保持体本体(10)のノーズ部分(12)からのパンチを受け取る孔の距離が変化する請求項1記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項4】
浮動パンチ保持体(64)が、パンチを受け取る孔(72)に対して前後方向に少なくとも2つの異なる位置を設定し、パンチを受け取る孔の異なる各位置において実質的にパンチを受け取る孔に重なる位置まで当てへし部材(50)が延長可能である請求項3記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項5】
浮動パンチ保持体(64)が、上記浮動パンチ保持体の上端において横方向側部(40、42)を超えて延長する横方向延長部分(88、90)を有し、パンチ位置変更保持体本体(10)に設定した押縁(28、30)に対して対向関係でこれら横方向延長部分を設けた請求項1記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項6】
一方の横方向延長部分(88)および押縁(28、30)に爪要素(98)を設け、これを他方の横方向延長部分(90)の通路および上記押縁に作用させる請求項5記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項7】
横方向延長部分(88、90)のいずれか一つの位置および押縁(28、30)まで爪要素(98)を移動できるようにして、パンチ位置変更保持体本体(10)内の異なる位置にパンチを受け取る孔(72)を位置決めできるようにした請求項6記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項8】
横方向延長部分(88、90)と押縁(28、30)との間に係合して、浮動パンチ保持体(64)を上記後退位置までバイアスするばねバイアス手段(93)を有する請求項5記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項9】
浮動パンチ保持体(64)が、この浮動パンチ保持体の上端前後の側部(44、46)に形成された前後の傾斜部分(84、86)を有し、これらを当てへし部材(50)に係合させる請求項1記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項10】
浮動パンチ保持体(64)が、パンチ保持体本体(66)およびパンチ保持体本体に取り付けられた支持プレート(70)からなり、傾斜部分(84、86)をこの支持プレート内に設けた請求項9記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項11】
浮動パンチ保持体(64)を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体(8)において、
位置変更保持体本体の前端のノーズ部分(12)および位置変更保持体本体の後端(16)のアクチュエータ(14)を有する位置変更保持体本体(10)、
上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口(20)、
上記位置変更保持体本体のノーズ部分(12)から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材(50)、
上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして長手方向中心線(68)を設定する浮動パンチ保持体(64)、および
上記浮動パンチ保持体に形成したパンチを受け取る孔であって、上記長手方向中心線からずれた位置にあり、かつこの長手方向中心線と上記位置変更保持体本体のノーズ部分との間に設けられるパンチを受け取る孔(72)からなり、
当てへし部材(50)が、上記浮動パンチ保持体の上面(71)に係合する下面(53)を有し、この当てへし部材の下面を上記のパンチを受け取る孔に実質的に重なる位置まで延長可能にしたことを特徴とするパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項12】
長手方向中心線(68)を中心にしてパンチ保持体を受け取る開口(20)内でパンチを受け取る孔(72)を反転可能にして、上記のパンチを受け取る孔を位置変更保持体本体(10)内の2つの所定位置に位置決めする請求項11記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項13】
浮動パンチ保持体(64)が長手方向中心線(68)に関して全体として対称である請求項12記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項14】
さらに、ノーズ対ノーズ関係で一対の位置変更保持体本体(10)を有し、浮動パンチ保持体(64)が各位置変更保持体本体内に設けられるパンチを受け取る孔(72)を設定し、長手方向中心線(68)を中心にしてパンチ保持体を受け取る開口(20)内でパンチを受け取る孔(72)を反転可能にして、上記の各パンチを受け取る孔を位置変更保持体本体(10)内の2つの所定位置に位置決めする請求項11記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項15】
各浮動パンチ保持体(64)が、この浮動パンチ保持体の上端前後の側部(44、46)に形成された前後の傾斜部分(84、86)を有し、これらを当てへし部材(50)に係合させる請求項14記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項16】
各浮動パンチ保持体(64)および各位置変更保持体本体(10)が、位置変更保持体本体それぞれの各浮動パンチ保持体の向きを設定する作用手段を有する請求項15記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項17】
浮動パンチ保持体(64)を後退位置である脱離位置および繰り出し位置である係合位置に位置決めするパンチ位置変更保持体(8)において、
位置変更保持体本体の前端のノーズ部分(12)および位置変更保持体本体の後端(16)のアクチュエータ(14)を有する位置変更保持体本体(10)、
上記位置変更保持体本体の底面から上向きにこの位置変更保持体本体に貫通形成したパンチ保持体を受け取る開口(20)、
上記位置変更保持体本体のノーズ部分から遠い位置にある後退位置と上記位置変更保持体本体のノーズ部分に隣接する繰り出し位置との間で上記アクチュエータによって作動可能な当てへし部材(50)、
上記のパンチ保持体を受け取る開口内に受け取られることができる浮動パンチ保持体であって、この浮動パンチ保持体の上端(71)を上記当てへし部材に係合する位置に位置決めし、そして前後方向に設定される長手方向中心線(68)を設定する浮動パンチ保持体、および
上記浮動パンチ保持体内に設定され、かつ上記長手方向中心線からずれた位置にあるパンチを受け取る孔(72)からなり、
上記長手方向中心線を中心にして上記のパンチ保持体を受け取る開口内で上記のパンチを受け取る孔を反転可能にして、上記のパンチを受け取る孔を上記位置変更保持体本体内の2つの所定位置に位置決めすることを特徴とするパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項18】
浮動パンチ保持体(64)が長手方向中心線(68)に関して全体として対称である請求項17記載のパンチ位置変更保持体(8)。
【請求項19】
浮動パンチ保持体(64)が、この浮動パンチ保持体の上端前後の側部(44、46)に形成された前後の傾斜部分(84、86)を有し、これらを当てへし部材(50)に係合させる請求項18記載のパンチ位置変更保持体(8)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−504965(P2008−504965A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519396(P2007−519396)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2005/023124
【国際公開番号】WO2006/014296
【国際公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【出願人】(507002387)デイトン プログレス コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】DAYTON PROGRESS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】500 Progress Road,Dayton,OH 45449 USA
【Fターム(参考)】