説明

パーツフィーダ

【課題】頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部を有する部品において、正常な頭部高さの部品だけを送出し異常な部品を除去することのできるパーツフィーダを提供する。
【解決手段】部品搬送路15および/または送出管16の一部に、頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段17が設けられ、通過規制手段17に制止されている部品を除去する制止部品除去手段60が設けられている。通過規制手段17に制止されている異常な部品が制止部品除去手段60によって除去され、部品の送出停止時間を最小化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部を有する部品を供給する分野のものであり、異常状態の部品は送出が禁止されるとともに、その異常な部品は、強制的に除去されるパーツフィーダに関している。
【背景技術】
【0002】
部品を収容し送出振動が付与されるパーツフィーダのボウルは、通常、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続されている。
【0003】
そして、上記のような形式のパーツフィーダでは、例えば、プロジェクションナットの溶着用突起が上向きか下向きかを設定し、いずれかの向きに統一して送出するために、所定の向き以外のプロジェクションナットの通過を禁止する通過規制手段が設けられている。
【特許文献1】特許第3416770号公報
【特許文献2】実開昭53−126272号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような通過規制手段においては、異常部品が通過規制手段で制止されると、後続の部品が部品搬送路上に連なった状態で渋滞する。そして、この渋滞を発見した作業者が、その都度、渋滞している部品を手作業で除去している。したがって、渋滞の発見が遅れると後工程への部品供給が遅延して、円滑な部品供給に支障をきたすことになり、生産性が低下するという問題がある。
【0005】
また、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部を有する部品、例えば、頭部付きのボルトにおいては、ボルト軸部にワッシャを組み付けた状態でパーツフィーダから送出することが行われている。この場合、頭部を下側にしてボルト軸を起立させた部品姿勢にして送出することが行われる。このような部品姿勢にする理由としては種々なことが挙げられ、例えば、パーツフィーダの後流側に配置されている部品供給制御装置の構造がある。この部品供給制御装置は、連続的に連なっているボルトを一つずつ区切って送り出すのであるが、同装置の構造がボルトを起立した状態で受け入れる方式である場合には、上記のような起立姿勢でパーツフィーダから送出することが必要になる。
【0006】
しかし、ワッシャが頭部から離れた状態であると、ワッシャが近在の部材にわずかに接触するだけで直ぐに転倒する。また、起立しているボルトの重心点が高い位置になるので、わずかな外力が何等かの原因でボルトに作用しただけで直ぐに転倒してしまう。
【0007】
したがって、ワッシャが頭部に密着したボルトだけをパーツフィーダから送出することにより、上記のような転倒の問題が解消できる。
【0008】
上記の点について、図9にしたがって説明する。
【0009】
符号1はボルト全体を示すもので、それは鉄製であり、六角形の頭部2にボルト軸3が一体的に設けられ、このボルト軸3にワッシャ4が組み付けられている。このようにワッシャ4が頭部2に密着していると、上記のような転倒の問題が発生しない。
【0010】
一方、同図(B)に示すように、ワッシャ4が頭部2から離れていると、上記のように、ワッシャ4が近在の部材に接触しやすく、また起立状態のボルト1の重心点が高くなるので、転倒しやすくなる。
【0011】
したがって、同図(A)のようなボルト1はパーツフィーダから送出するが、(B)のようなボルト1は送出を阻止する必要性がでてくる。
【0012】
また、図9(C)に示す部品5は、平面的に見ると円形である頭部2に円柱状の軸部3が一体的に設けられたものである。そして、同図(D)に示す部品5は頭部2の高さが(C)のものよりも大幅に高くなっている。このような部品の場合に、(C)の頭部高さのものを正常な部品として送出する場合がある。
【0013】
本発明は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部を有する部品において、正常な頭部高さの部品だけを送出し異常な部品を除去することのできるパーツフィーダを提供することを目的とする。
【0014】
前記の正常な頭部高さの部品を選別するにあたっては、頭部の実質的な高さを選別の基準としている。
【0015】
この点を図9について説明すると、同図(A)に示す場合は、ワッシャ4が頭部2に密着しているので、頭部の実質的な高さは頭部2の高さとワッシャ4の厚さを合計したH1である。また、(B)に示す場合は、ワッシャ4が頭部2から離れているので、離れている空間を含めて頭部2の実質的な高さはH2である。
【0016】
一方、同図(C)と(D)の各頭部2の実質的な高さは、それぞれH3とH4である。
【0017】
上記のように「実質的な高さ」という表現をしたのは、(A)や(B)のようにワッシャ4と頭部2によって占められる高さ空間、すなわちH1,H2の大小によって正常部品と異常部品との区分を行うので、そのような表現をしている。また、(C)や(D)の例では頭部2そのものの高さH3,H4を「実質的な高さ」として表現している。
【問題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上述の要請に応えるために提供されたもので、請求項1記載の発明は、送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、前記部品搬送路および/または送出管の一部に、前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダである。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、前記部品搬送路と送出管の境界部に、前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダである。
【0020】
さらに、請求項6記載の発明は、送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、前記部品搬送路に、部品を前記正常姿勢に起立させる起立手段と、この起立手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記軸部が所定長さよりも長い起立状態の部品を除去する第1除去手段と、この第1除去手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記軸部が所定長さよりも長い転倒状態の部品を除去する第2除去手段と、この第2除去手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段とが設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダである。
【0021】
そして、請求項7記載の発明は、部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続されている形式のものにおいて、前記部品搬送路および/または送出管の一部に、形状,大きさおよび部品姿勢等が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダである。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明においては、部品搬送路および/または送出管の一部に、前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられているものであるから、通過規制手段に制止されている異常な部品が制止部品除去手段によって除去される。
【0023】
通過規制手段に制止されたままであると、後続の部品がパーツフィーダから送出されない状態となり、制止されている部品が除去されない限り目的箇所への部品供給が停止して、生産性を低下させてしまうのである。しかし、本発明によれば、通過規制手段に制止されている部品が制止部品除去手段によって除去されるので、部品供給の再開が確実に果たされて、生産性の低下を最小化することができる。
【0024】
例えば、ワッシャが組み付けられたボルトをボルトの頭部を下側にして起立させて送出するような場合、ワッシャがボルトの頭部から離れていると、ワッシャが近在の部材にわずかに接触するだけで直ぐに転倒したり、起立しているボルトの重心点が高い位置になるので、わずかな外力が何等かの原因でボルトに作用しただけで直ぐに転倒したりする。したがって、このようなワッシャの位置が異常であるボルトの送出が阻止されることにより、パーツフィーダから送出された起立状態のボルトが転倒することなく目的箇所へ正確に供給することが可能となる。
【0025】
上記のようなワッシャがボルト頭部から離れている場合には、ボルト頭部の実質的な高さを、ボルト頭部の端部からワッシャまでの寸法とし、このような実質的な高さが過大なものを通過規制手段で制止するので、ワッシャ位置が異常な部品を確実に排除することができる。
【0026】
また、頭部が下側になって起立しているべき部品が何等かの原因で転倒したまま通過規制手段にさしかかると、そのような部品は通過規制手段で制止され、制止部品除去手段によって除去される。この種のパーツフィーダは、ボウルに送出振動が付与されているので、部品搬送路を移動している部品が部品搬送路上の異物にわずかにひっかかるだけで転倒することがある。このように転倒した部品は制止部品除去手段によって確実に除去されるので、後続部品の送出遅延が最小化されて生産性の低下を小さくすることができる。
【0027】
請求項2記載の発明は、前記制止部品除去手段は、この制止部品除去手段の部品搬送方向の後流側に配置された部品通過検知センサーが、所定の時間にわたって部品通過を検知しなかったときに、前記通過規制手段に制止されている部品の除去動作を行うように構成されている請求項1記載のパーツフィーダである。
【0028】
通過規制手段に異常な部品が制止されないで間断なく部品通過検知センサーから通過信号が発せられているときには、制止部品除去手段は除去動作をすることはない。しかし、異常な部品が通過規制手段に制止されると、部品通過検知センサーから発せられる通過信号が途絶えるので、この信号が途絶えている時間が所定の時間に達したら、制止部品除去手段を動作させる信号が発せられて、制止されている異常部品を強制的に排除して、正常な部品送出が再開される。
【0029】
したがって、前記所定時間に達したら制止部品除去手段によって異常部品の排除が確実になされ、作業者は煩わしい排除作業を行わなくてよいこととなる。さらに、前記所定時間をできるだけ短く設定することにより、部品送出の停止時間を短縮することができて、生産性の低下が最小化される。
【0030】
さらに、上述のように所定時間に達したら制止部品除去手段を動作させる制御手段は、上記の部品通過検知センサーと、このセンサーからの信号を受け入れて計時動作をし制止部品除去手段に動作信号を供給する制御装置とによって形成することができるので、制御システムの形成を簡単なものにして原価的にも有利なものとすることができる。
【0031】
請求項3記載の発明は、前記制止部品除去手段は、通過規制手段に制止されている部品を押し出す進退式の部材で構成されている請求項1または請求項2記載のパーツフィーダである。
【0032】
通過規制手段によって制止されている異常部品は進退式の部材で押し出されるので、部品は強制的に排除される。したがって、制止されている部品は確実にしかもきわめて短時間で除去されるので、生産性の低下を最小化するのに有効である。また、進退式の部材で部品を押し出すものであるから、制止されている部品に後続の部品が絡むようになっていても、進退式の部材を2度,3度とストロークさせることにより絡みついている部品を分散させて排除することができる。
【0033】
請求項4記載の発明は、前記通過規制手段は、正常な姿勢状態でしかも頭部の実質的な高さが所定高さである部品の頭部が通過する主通過空間と、起立状態の軸部が通過する副通過空間とを備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパーツフィーダである。
【0034】
前記のような主通過空間と副通過空間を設置することにより、頭部が下側になった起立状態の部品が正常な頭部高さであるときには、頭部は主通過空間を軸部は副通過空間を通過する。そして、頭部の実質的な高さが過大である場合には、主通過空間の通過が不可能となるので、確実な通過阻止がえられる。
【0035】
請求項5記載の発明においては、上記通過規制手段は部品搬送路と送出管の境界部に配置されているので、パーツフィーダの送出箇所の近傍で最終的な異常部品の通過規制を行うこととなり、それによって異常部品の送出防止が確実に達成される。さらに、通過規制手段は部品搬送路の後流側端部付近に配置されるので、その上流側の部品搬送路に異常部品を排除する各種の除去手段を配置することができ、パーツフィーダにおける異常部品の除去手段が、2重あるいは3重のシステム構成によって実現し、異常部品の送出が確実に防止できる。
【0036】
上記以外の作用効果は、請求項1記載のものと同様である。
【0037】
請求項6記載の発明においては、部品搬送路を移動してきた部品を頭部が下側になった起立した正常姿勢とするために、起立手段が機能し所定の起立姿勢で送出するようにしている。とくに、部品搬送路に移載された部品はその部品のうち95%程度のものが転倒した状態になっている。そのような部品の残り5%程度が起立しており、この5%のものを送出するとすれば、部品搬送路上の5%程度のものだけが送出されることとなり、いわゆる送出効率が著しく低くなる。
【0038】
このような送出効率を改善するために、前記起立手段によって多くの部品を起立姿勢にし、パーツフィーダとしての送出効率を向上することができる。通常、ボウルには送出振動が付与されているので、転倒姿勢の部品が起立姿勢に変換された後に再び転倒することが発生して、起立部品の比率を向上することが困難であるが、最終的には50%程度の部品が起立姿勢になることが望ましい。
【0039】
パーツフィーダのボウルの中に軸部だけが異常に長い部品が混入していることがあるので、このような異常長さの部品を排除する必要がある。このような排除機能を果たすためには、部品の通過空間の高さを所定値に設定する除去手段を準備する。起立状態の異常長さの部品は第1除去手段を通過することができず、ここで除去される。また、転倒状態の異常長さの部品は第1除去手段を通過し搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0040】
一方、正常長さの起立した部品は第1除去手段を通過して起立したまま搬送方向の後流側へ移送されてゆく。そして、何等かの原因で転倒した正常長さの部品は、第1除去手段を通過して搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0041】
転倒している異常長さおよび正常長さの部品は、第2除去手段を通過して部品搬送路から排除される。そして、起立している正常長さの部品だけが第2除去手段を通過しないで、部品搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0042】
このようにして部品搬送路上に残った正常長さの起立姿勢の部品が通過規制手段に到達する。通過規制手段に到達した部品の挙動は請求項1記載の作用効果と同じである。
【0043】
請求項7記載の発明においては、形状,大きさおよび部品姿勢等が異常である部品が、通過規制手段によって通過が制止され、制止部品除去手段によって除去される。
【0044】
通過規制手段に制止されたままであると、後続の部品がパーツフィーダから送出されない状態となり、制止されている部品が除去されない限り目的箇所への部品供給が停止して、生産性を低下させてしまうのである。しかし、本発明によれば、通過規制手段に制止されている部品が制止部品除去手段によって除去されるので、部品供給の再開が確実に果たされて、生産性の低下を最小化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
つぎに、本発明のパーツフィーダを実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0046】
まず、送出の対象となる部品について説明する。
【0047】
送出の対象となる部品は、頭部と頭部と一体的に形成されている軸部を有するものである。この実施例では前述の図9に示した部品が送出の対象となっている。すなわち、同図(A)に示したボルト1であり、ワッシャ4が頭部2に密着しているものが正常な状態のボルト1で、頭部2の実質的な高さはワッシャ4の厚さを加算したH1である。同図(B)に示したものは、ワッシャ4が頭部2から離れている異常なボルト1であり、頭部2の実質的な高さは、頭部2の端部からワッシャ4の上面までの距離H2である。
【0048】
また、上述のボルト1と同様な頭部と軸部から構成されている部品5として、図9(C)や(D)に示すものがある。同図(C)に示したものは、頭部2の実質的な高さはH3であり、同図(D)に示したものは、頭部2の実質的な高さはH4である。
【0049】
図9の(A)〜(D)に示した部品のうち、(A)と(C)が正常な頭部高さのものであり、(B)と(D)が異常な頭部高さである。本実施例は、(A)と(C)の部品がその頭部を下側にして軸部が起立した正常な姿勢で送出するものである。そして、実施例において具体的には、ボルト1を送出の対象にしている。
【0050】
つぎに、パーツフィーダの全体的構成を説明する。
【0051】
図1は、本発明のパーツフィーダの平面図と側面図である。
【0052】
パーツフィーダ全体は符号11で示されている。そして、パーツフィーダ11の各部の構成部品は鉄製とされている。パーツフィーダ11のボウル12は、円形の底板13の外周部分に起立した状態で外壁板14が溶接されたもので、外壁板14の内壁に沿って段状の部品搬送路15が螺旋状に形成されている。この部品搬送路15は、搬送方向に向かって次第に高さが高くなっている。図1に示すように、部品搬送路15上を移動するボルト1は反時計方向に旋回しながら搬送され、部品搬送路15の端部に接続されている送出管16から送出されるようになっている。そして、送出管16に、ナット搬送用の圧縮空気を噴射する空気管21が接合されている。
【0053】
前記部品搬送路15と送出管16との境界部に、ワッシャ4が頭部2から離れているボルト1や転倒したボルト1等(以下、これらを異常なボルト1または異常ボルト1と表現する)の通過を禁止する通過規制手段17が配置されている。この通過規制手段17の詳細構造は後述する。
【0054】
送出管16の断面形状は、ワッシャ4が頭部2に密着していて、頭部2が下側になって軸部3が起立している姿勢(以下、正常な姿勢または正常姿勢と表現する)のボルト1を通過させるようになっている。すなわち、頭部1の実質的な高さH1よりもわずかに高い寸法の頭部通路18と、軸部3が起立した状態で通過できる細長い空間で構成された軸部通路19によって構成されている。
【0055】
そして、送出管16に接合されている部品供給管20はナット1の供給箇所、例えば、連続しているボルト1を一つずつ区切って送り出す部品供給制御装置まで伸びている。前記部品供給管20の断面形状は送出管16のそれと同様である。
【0056】
図1(B)に示すように、ボウル12の下側に起振部22が配置され、起振部22から送出振動がボウル12に伝達されるようになっている。
【0057】
部品搬送路15に移載されたボルト1は、上述のように約95%のものが転倒している。したがって、最初に転倒しているボルト1を正常な姿勢に起立させる起立手段25が設けられている。図1(A)においては、起立手段25の配置位置が図示してあり、その詳細な構造は図2および図3に示されている。
【0058】
ここで前記起立手段25の詳細について説明する。
【0059】
図2は、ボウル12の一部を示す平面図、図3は、図2の各部の断面図であり(A)図は図2のA−A断面を示し、(B)図は図2のB−B断面を示すようにアルファベットが対応している。
【0060】
起立手段25は、部品搬送路15の途中に配置され、搬送されてきたボルト1が最初に通過するようになっており、部品搬送路15に後述の変形や他の部材の付加がなされている。部品搬送路15は、図3(A)に示すように、通常はボウル12の中央側すなわち内側が高くなるように傾斜している。この傾斜角θ1が図3(A)に示されている。なお、符号26は、搬送路形成板であり、外壁板14の内側に形成されている。
【0061】
部品搬送路15上に移載されたボルト1の95%程度が転倒した状態であり、図3(B)に2点鎖線で示すように、ボルト1は転倒した状態で搬送されてゆく。
【0062】
図3(E)に示すように、部品搬送路15の途中に落差h1とされた段差部27が設けられ、外壁板14に沿って搬送されてきたボルト1は前記段差部27から転落して(E)図に示すように、正常な姿勢となる。このように転落する過渡期に正常な姿勢に転換させるために、落差h1は頭部2の実質的な高さH1よりも若干大きく設定してある。なお、段差部27を転落するときに、頭部2の方から転落したボルト1は正常な姿勢になるが、軸部3の方から転落したボルト1は起立することなく転倒したままである。また、段差部27に近づくにしたがって外壁板14がボウル12の外周側に傾斜させてあり、こうすることによって部品搬送路15の幅空間が大きくなってボルト1の移動が円滑化されている。
【0063】
段差部27を転落したボルト1が跳ね上がって部品搬送路15から転落するおそれがあるので、それを防止するために、この転落する箇所には庇状の規制板30が設けられている。
【0064】
転落したボルト1を搬送する部品搬送路15の傾斜方向は逆転し、(C)図に示すように、ボウル12の外周側すなわち外側が高くなるように傾斜している。この傾斜角θ2が(C)図に示されている。
【0065】
(C)図および(D)図に示すように、部品搬送路15の内側すなわちボウル12の中央側に細長い円弧状のガイド部材28が溶接等で固定されている。前記段差部27で正常な姿勢に変換されたボルト1は、ガイド部材28のガイド面29に沿って搬送方向の後流側へ搬送されてゆくのであるが、この搬送中に送出振動を受け連続するボルト1同士が干渉して一部のものが転倒することがある。このような転倒を見込んで正常な姿勢のものの比率を50%程度に設定している。したがって、パーツフィーダ11送出能力(効率)は、50%程度となる。
【0066】
この実施例において、正常な姿勢のボルト1の比率を測定した結果、50%〜55%のものが正常であることが確認された。なお、ボルト1の長さは10mm,ボルト軸3の直径は4.5mmである。
【0067】
前記ガイド部材28のガイド面29にはその上部がボウル12の中央側に傾斜する傾斜姿勢が付与してあり、この傾斜角度はガイド部材28の後流側に向かって次第に大きくなっている。そして、ガイド部材28の後流側端部付近の部品搬送路15は、その傾斜方向が外側が低くなるように次第に逆転し、それによってボルト1は外周側へ変位してゆき、第1除去手段31で選別される。
【0068】
つぎに、前記第1除去手段31について説明する。
【0069】
第1除去手段31は、前記起立手段25の部品搬送方向の後流側に配置され、何等かの原因で正常な長さのボルト1の中に異常に長いボルト32が混入している場合に対処するもので、ここでは起立状態のボルト32を除去し、正常な姿勢のボルト1はそのまま通過させるようになっている。このために、第1除去手段31には、図3(F)に示すように、通過高さを規制するゲージ33が設けられている。通過開口34を有する支持板35が溶接等で部品搬送路15に起立させた状態で固定してあり、前記通過開口34の上部に前記ゲージ33が固定されている。
【0070】
ゲージ33によって設定される通過高さh2は、異常長さのボルト32の高さよりも低く、正常な姿勢のボルト1の高さよりも高く設定してある。また、転倒しているボルト1や32は通過できる高さである。図示していないが、ゲージ33は高さh2が微調整できるように、例えば、高さ方向の長孔に調整ボルトを貫通した構造が採用される。
【0071】
図3(F)に示すように、起立したボルト32がゲージ33に接触して搬送方向の下流側に移送されると、収容箱36内に落ち込んで他へ移動できないように封じ込められる。この収容箱36は、部品搬送路15を窪ませて周囲に包囲壁37を設けたものであり、第1除去手段31の近傍に配置されている。
【0072】
第1除去手段31を通過した正常な姿勢のボルト1と、転倒したボルト1および転倒したボルト32とは、第2除去手段39へ搬送される。
【0073】
ここで、前記第2除去手段39について説明する。
【0074】
第2除去手段39は、前記第1除去手段31の部品搬送方向の後流側に配置され、その構造は図3(G)に示すように、第1除去手段31と同様であり、第1除去手段31を通過した正常な姿勢のボルト1と、転倒したボルト1および転倒したボルト32のうち、正常な姿勢のボルト1だけを部品搬送路15の搬送方向後流側へ移送し、それ以外のものは部品搬送路15から除去する機能を果たす。したがって、第2除去手段39のゲージ40の通過高さh3は、正常な姿勢のボルト1は通過させずに転倒したボルト1および32は通過させるように設定してある。なお、符号41は外壁板14に設けた通過開口である。
【0075】
図3(G)に示すように、ゲージ40を通過した異常なボルト1および32は部品搬送路15から転落し、受け箱42内に収容され内壁板43にあけた通過口44を経てボウル12内に戻される。図1および図2に示すように、前記受け箱42は、ボウル12の外周側に取り付けられている。
【0076】
第2除去手段39の部品搬送方向の後流側においては、正常な長さのボルト1が起立した状態になっているのであるが、ワッシャ4が頭部2から離れたボルト1が混入していたり、部品搬送路15を搬送される途中で他のボルト1と干渉して転倒したりするものがあるので、これらを予備選別手段52で排除した後に前述の通過規制手段17へ搬送するようになっている。
【0077】
つぎに、前記予備選別手段52について説明する。
【0078】
図4(A)は、予備選別手段52と通過規制手段17が配置されている箇所の平面図であり、I矢視,J−J断面,K−K断面およびL−L断面等は、それぞれ(I)図,(J)図,(K)図および(L)図に示されている。
【0079】
前記第2除去手段39において転落しなかった正常な姿勢のボルト1は、図4(J)に示すように、部品搬送路15がボウル12の中央側が低くなっている(傾斜角θ2)ので、内壁板43に沿って移送され予備選別手段52に到達する。
【0080】
前記予備選別手段52は、ワッシャ4が頭部2から離れているボルト1を排除するために設置されている。部品搬送路15の幅が狭くなった狭幅部53に沿ってゲージ部材54が配置されている。図4(K)に示すように、このゲージ部材54は、L字型の部材を逆にして狭幅部53に溶接等で固定したもので、狭幅部53と平行に配置されている受け面55と、片側に開放している通過空間56が設けられている。
【0081】
通過空間56の高さ寸法h4は、正常な姿勢のボルト1の実質的な高さH1よりもわずかに大きく設定されている。また、受け面55と狭幅部53の端縁との間の平面的に見た寸法Wは、図4(K)に示すように、正常な姿勢のボルト1が通過するときには、頭部2がワッシャ4とともに通過空間56内に入り込み、狭幅部53が頭部2を転落しない範囲で支持するように設定されており、他方、図9(B)に示すように、ワッシャ4が頭部2から離れている場合には、ワッシャ4が受け面55に接触するので部2を支持する狭幅部53の支持幅が過小になって、狭幅部53からボルト1が転落するように設定されている。
【0082】
図4(A)に示すように、前記のようなゲージ部材54と狭幅部53は同様なものが2つ並べて配置され、異常位置ワッシャのボルト1が何等かの原因により万一最初のゲージ部材54で落下しなかったときに、つぎのゲージ部材54と狭幅部53で落下させるようになっている。
【0083】
もし、異常に長いボルト32が何等かの原因で予備選別手段52の箇所に到達した場合に備えて、排除部材57が設けられている。この排除部材57は、図4(A)に2点鎖線で示され、また、同図(I)に示すように、細長い棒状の部材を内壁板43に溶接してあり、異常に長いボルト32が搬送されてくると、排除部材57に接触して転落するようになっている。
【0084】
なお、このように異常に長いボルト32の混入は、作業者が床面等に転がっているボルトを拾ってボウル12にもどすときに、それが第2除去手段39の後流側の部品搬送路15に投入された場合などに発生する。また、正常な姿勢のボルト1に似ているが、形状の異なったボルトの場合にも予備選別手段52において排除され、万一、通過規制手段17に到達しても、後述の制止機能により排除される。
【0085】
上述のように予備選別手段52の後流側に異常なボルト1が搬送された場合に備えて、前記通過規制手段17が配備されている。このような通過規制手段17は、パーツフィーダ11から異常な状態でボルト1が送出されないようにするための、いわゆる最後の砦ともいうべき機能を果たすもので、パーツフィーダ11の送出信頼性を完璧なものとしている。
【0086】
つぎに、前記通過規制手段17について説明する。
【0087】
図4(A)は、通過規制手段17および予備選別手段52が配置されている箇所の平面図であり、I矢視,J−J断面,K−K断面およびL−L断面等は、それぞれ(I)図,(J)図,(K)図および(L)図に示されている。
【0088】
通過規制手段17は、それを構成する通過空間形成部材45が、図1(A)に示すように、部品搬送路15と送出管16との境界部に配置されているが、この実施例では通過規制手段17(通過空間形成部材45)の上流側に前述の予備選別手段52が配置されている。
【0089】
通過規制手段17は、正常な姿勢のボルト1の通過を許容し、ワッシャ4が頭部2から離れているボルト1や転倒したボルト1等の異常なボルト1の通過を禁止する機能を果たす。そのための通過規制手段17の通過空間形成部材45は、ボルト1の頭部の実質的な高さが所定高さである頭部を通過させる主通過空間47と、起立状態の軸部3が通過する副通過空間48を有している。
【0090】
図4(L)に示すように、ワッシャ4が頭部2に密着していて、頭部2が下側になって軸部3が起立している姿勢である、いわゆる正常な姿勢のボルト1は実質的な高さがH1である。このような頭部2が主通過空間47を通過するようになっており、起立している軸部3が副通過空間48を通過するようになっている。そして、主通過空間47の高さは、実質的な高さH1よりもわずかに高く設定してあるので、ワッシャ4が頭部2から少しでも離れていると、通過できないようになっている。また、主通過空間47の高さは、ボルト1の頭部2の直径よりも小さな寸法とされている。したがって、通過規制手段17の直前で転倒したボルト1も通過できないようになっている。
【0091】
通過空間形成部材45の上流側端部には、図1(A)および図4(A)に示すように、受け箱42の側を斜めに成形した排除ガイド面49が設けられ、その上流側に受け板50が設けられている。
【0092】
通過空間形成部材45は上述のような構造であるから、ワッシャ4が頭部2から離れた実質的な高さ(図9(B)のH2)が過大なボルト1は、図4(A)に2点鎖線で示すように、通過空間形成部材45の入口側端部でワッシャ4がひっかかって、通過が制止される。このように制止されているボルト1に後続のボルト1が押し付けられると、後続のものは制止されているボルト1に接触して受け箱42内に転落する。したがって、後述の制止部品除去手段60で除去するべき制止ボルト1は1個または2個程度の少数になるので、除去が簡単で確実におこなえる。
【0093】
つぎに、前記制止部品除去手段60について説明する。
【0094】
制止部品除去手段60の役割は、通過規制手段17で制止されている異常なボルト1を除去するものであり、したがって、何等かの部材でボルト1を押し出したり、圧縮空気をボルト1に吹き付けたりする等、種々な方法が採用できる。
【0095】
図7に示したものは、圧縮空気を吹き付ける形式であるが、それ以外は進退式の部材でボルト1を押し出すものである。
【0096】
進退式の部材を用いる場合を説明する。図1に示すように、エアシリンダ61がブラケット62を介して固定板63に取り付けられている。この固定板63はボウル12の外周部に溶接等で結合された板材である。前記エアシリンダ61のピストンロッドがプッシュロッド64とされ、その先端部で制止されているボルト1を押し出すようになっている。
【0097】
前記プッシュロッド64は、図5に示すように、通過空間形成部材45に対して幅方向と上下方向に傾斜した状態で配置され、プッシュロッド64の進出方向は押し出されたボルト1が受け箱42内に向かって排除されるようになっている。すなわち、図4(A)および図5(B)に示すように、後続のボルト1の搬送方向に対向しない方向へ排除される。
【0098】
このような排除方向を選定することにより、排除されるボルト1が後続のボルト1の進入移動に対して干渉しないので、異常な姿勢のボルト1が除去された直後には正常な姿勢のボルト1が円滑に移行してくるという効果がある。さらに、プッシュロッド64を2度、3度と複数回にわたってストロークさせることにより、制止されているボルト1が後続のボルト1と絡み合っているときに確実に分散させて排除することが可能となる。
【0099】
前記プッシュロッド64が上記のような傾斜をしているので、プッシュロッド64が他の部材に干渉するのをさけるために、通過溝65が通過空間形成部材45の上面部分に形成してある。
【0100】
また、前記排除ガイド面49は、異常なボルト1が制止されているところへ正常な姿勢のボルト1が移動してきて、異常なボルト1を押し出す現象があるので、そのような現象を促進するために傾斜面とされた排除ガイド面49によって排除しやすくしている。このような排除がなされるときに受け板50上を後続の正常な姿勢のボルト1が移行し、排除が促進される。
【0101】
図6に示した例は、通過空間形成部材45の端部に前記のような排除ガイド面49を設けない場合である。この場合、副通過空間48の入口側端部に拡幅部66が設けられている。それ以外は、先に説明した例と同じ構成と作用である。
【0102】
図7に示した例は、圧縮空気を制止されているボルト1に噴射して除去する制止部品除去手段60である。通過空間形成部材45の横側から伸びているノズル孔67に空気ホース68を接続したものである。それ以外の構成は先に説明した各例と同じである。
【0103】
ノズル孔67から噴射された圧縮空気は制止状態のボルト1に吹き付けられて、ボルト1が前記プッシュロッド64の場合と同様に排出される。
【0104】
つぎに、制止部品除去手段60の動作システムについて説明する。
【0105】
前記動作システムは、図1に示されている。ずなわち、部品通過検知センサー(以下、単にセンサーと略称する)70が部品供給管20に取り付けられている。前記センサー70は、種々な形式のものが採用できるが、本実施例では、磁性体であるボルト1が磁界内を通過すると検知する一般的な近接スイッチを採用している。
【0106】
前記センサー70からの検知信号は制御装置71に入力され、制御装置71からの出力信号により空気切替弁72が動作するようになっている。空気切替弁72からの空気がエアシリンダ61に供給されたり排出されたりして、プッシュロッド64が進退ストロークをするようになっている。また、制御装置71からの出力信号は、前記起振部22に供給されるようになっている。
【0107】
前記制御装置71内には、計時装置(タイマー)が内蔵されている。
【0108】
異常なボルト1が通過規制手段17に制止されることなく正常な姿勢のボルト1が通過しているときには、一定間隔でセンサー70から検知信号が制御装置71に入力され、それによって制御装置71からは起振部22へ振動継続の信号が供給される。同時に、空気切替弁72に対してもプッシュロッド64が後退した位置を維持するための信号が入力される。
【0109】
異常なボルト1が通過規制手段17に制止されると、上述のようなセンサー70からの一定間隔の検知信号が途絶えるので、この途絶えたときから前記計時装置が計時を開始し、所定時間が計時されると制御装置71からの出力信号が空気切替弁72に入力されて、エアシリンダ61への動作空気の供給・排出がなされる。このような空気制御によってプッシュロッド64が進退を繰り返して、制止されているボルト1を受け箱42内へ押し出すのである。
【0110】
本発明においては、図9に示したような部品とは異なった形状の部品を通過規制手段17において制止し、制止部品除去手段60によって除去することも可能である。
【実施例2】
【0111】
上述の実施例においては、通過規制手段17が部品搬送路15と送出管16との境界部に配置されているのであるが、図8に示した第2の実施例では、通過規制手段17が部品搬送路15の途中に配置されており、その通過空間形成部材45に制止部品除去手段60が組み付けられている。それ以外は、先の各例と同じ構成である。また、通過規制手段17や制止部品除去手段60の動作も先の各例と同じである。
【0112】
したがって、通過規制手段17の配置箇所については、「部品搬送路および/または送出管の一部」という表現を行っている。
【0113】
以上に説明した実施例の作用効果を列記すると、つぎのとおりである。
【0114】
通過規制手段17に制止されている異常な部品が制止部品除去手段60によって除去される。
【0115】
通過規制手段17に制止されたままであると、後続のボルト1がパーツフィーダ11から送出されない状態となり、制止されているボルト1が除去されない限り目的箇所へのボルト供給が停止して、生産性を低下させてしまうのである。しかし、本発明によれば、通過規制手段17(通過空間形成部材45)に制止されているボルト1が制止部品除去手段60によって除去されるので、ボルト供給の再開が確実に果たされて、生産性の低下を最小化することができる。
【0116】
ワッシャ4が組み付けられたボルト1をボルト1の頭部2を下側にして起立させて送出するような場合、ワッシャ4がボルト1の頭部2から離れていると、ワッシャ4が近在の部材にわずかに接触するだけで直ぐに転倒したり、起立しているボルト1の重心点が高い位置になるので、わずかな外力が何等かの原因でボルト1に作用しただけで直ぐに転倒したりする。したがって、このようなワッシャ4の位置が異常であるボルト1の送出が阻止されることにより、パーツフィーダ11から送出された起立状態のボルト1が転倒することなく目的箇所へ正確に供給することが可能となる。
【0117】
上記のようなワッシャ4がボルト頭部から離れている場合には、ボルト頭部2の実質的な高さを、ボルト頭部2の端部からワッシャ4までの寸法H2とし、このような実質的な高さが過大なもの(H2)を通過規制手段17で制止するので、ワッシャ位置が異常なボルト1を確実に排除することができる。
【0118】
また、頭部2が下側になって起立しているべきボルト1が何等かの原因で転倒したまま通過規制手段17にさしかかると、そのようなボルト1は通過規制手段17で制止され、制止部品除去手段60のプッシュロッド64によって除去される。この種のパーツフィーダ11は、ボウル12に送出振動が付与されているので、部品搬送路15を移動しているボルト1が部品搬送路15上の異物にわずかにひっかかるだけで転倒することがある。このように転倒したボルト1は制止部品除去手段60のプッシュロッド64によって確実に除去されるので、後続ボルトの送出遅延が最小化されて生産性の低下を小さくすることができる。
【0119】
通過規制手段17に異常なボルト1が制止されないで間断なく部品通過検知センサー70から通過信号が発せられているときには、制止部品除去手段60のプッシュロッド64は除去動作をすることはない。しかし、異常なボルト1が通過規制手段17に制止されると、部品通過検知センサー70から発せられる通過信号が途絶えるので、この信号が途絶えている時間が所定の時間に達したら、制止部品除去手段60を動作させる信号が発せられて、制止されている異常ボルト1を強制的に排除して、正常なボルト送出が再開される。
【0120】
したがって、前記所定時間に達したら制止部品除去手段60によって異常ボルト1の排除が確実になされ、作業者は煩わしい排除作業を行わなくてよいこととなる。さらに、前記所定時間をできるだけ短く設定することにより、ボルト送出の停止時間を短縮することができて、生産性の低下が最小化される。
【0121】
さらに、上述のように所定時間に達したら制止部品除去手段60を動作させる制御手段は、上記の部品通過検知センサー70と、このセンサー70からの信号を受け入れて計時動作をし制止部品除去手段60に動作信号を供給する制御装置71とによって形成することができ、制御システムの形成を簡単なものにして原価的にも有利なものとすることができる。
【0122】
通過規制手段17すなわち通過空間形成部材45によって制止されている異常ボルト1は進退式のプッシュロッド64で押し出されるので、異常ボルト1は強制的に排除される。したがって、制止されているボルト1は確実にしかもきわめて短時間で除去されるので、生産性の低下を最小化するのに有効である。また、進退式のプッシュロッド64でボルト1を押し出すものであるから、制止されているボルト1に後続のボルト1が絡むようになっていても、進退式のプッシュロッド64を2度,3度とストロークさせてボルト1に衝撃を与えることにより絡みついているボルト1を分散させて排除することができる。
【0123】
前記のような主通過空間47と副通過空間48を設置することにより、頭部2が下側になった起立状態のボルト1が正常な頭部高さであるときには、頭部2は主通過空間47を軸部3は副通過空間48を通過する。そして、頭部2の実質的な高さが過大である場合には、主通過空間47の通過が不可能となるので、確実な通過阻止がえられる。
【0124】
上記通過規制手段17は部品搬送路15と送出管16の境界部に配置されているので、パーツフィーダ11の送出箇所の近傍で最終的な異常ボルト1の通過規制を行うこととなり、それによって異常ボルト1の送出防止が確実に達成される。さらに、通過規制手段17は部品搬送路15の後流側端部付近に配置されるので、その上流側の部品搬送路15に異常ボルト1を排除する第1除去手段31や第2除去手段39等の各種の除去手段を配置することができ、パーツフィーダ11における異常ボルト1の除去手段が、2重あるいは3重のシステム構成によって実現し、異常ボルト1の送出が確実に防止できる。
【0125】
部品搬送路15を移動してきたボルト1を頭部2が下側になった起立した正常姿勢とするために、起立手段25が機能し所定の起立姿勢で送出するようにしている。とくに、部品搬送路15に移載されたボルト1はそのボルト1のうち95%程度のものが転倒した状態になっている。そのようなボルト1の残り5%程度が起立しており、この5%程度のものを送出するとすれば、部品搬送路15上の5%程度のものが送出されることとなり、いわゆる送出効率が著しく低くなる。
【0126】
このような送出効率を改善するために、前記起立手段25によって多くのボルト1を起立姿勢にし、パーツフィーダ11としての送出効率を向上することができる。通常、ボウル12には送出振動が付与されているので、転倒姿勢のボルト1が起立姿勢に変換された後に再び転倒することが発生して、起立部品の比率を向上することが困難であるが、最終的には50%〜55%程度の部品が起立姿勢になることが達成できた。
【0127】
パーツフィーダ11のボウル12の中に軸部3だけが異常に長いボルト1が混入していることがあるので、このような異常長さのボルト1を排除する必要がある。このような排除機能を果たすためには、ボルト1の通過開口34の高さh2を所定値に設定する第1除去手段31を準備する。起立状態の異常長さのボルト1は第1除去手段31を通過することができず、ここで除去される。また、転倒状態の異常長さのボルト1は第1除去手段31を通過し搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0128】
一方、正常長さの起立したボルト1は第1除去手段31(ゲージ33)を通過して起立したまま搬送方向の後流側へ移送されてゆく。そして、何等かの原因で転倒した正常長さのボルト1は、第1除去手段31を通過して搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0129】
転倒している異常長さおよび正常長さのボルト32と1は、第2除去手段39を通過して部品搬送路15から排除される。そして、起立している正常長さのボルト1だけが第2除去手段39(ゲージ40)を通過しないで、部品搬送方向の後流側へ移送されてゆく。
【0130】
このようにして部品搬送路15上に残った正常長さの起立姿勢のボルト1が通過規制手段17に到達する。通過規制手段17に到達したボルト1の挙動は前述の実施例の作用効果と同じである。
【0131】
請求項7記載の発明の実施例に関しては、形状,大きさおよび姿勢等が異常であるボルト1が、通過規制手段17によって通過が制止され、制止部品除去手段60によって除去される。
【0132】
通過規制手段17に制止されたままであると、後続のボルト1がパーツフィーダ11から送出されない状態となり、制止されているボルト1が除去されない限り目的箇所へのボルト供給が停止して、生産性を低下させてしまうのである。しかし、本発明によれば、通過規制手段17に制止されているボルト1が制止部品除去手段60のプッシュロッド64によって除去されるので、ボルト供給の再開が確実に果たされて、生産性の低下を最小化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明によれば、通過規制手段に制止されている異常なボルトが制止部品除去手段によって強制的に除去されるものであるから、正常な部品を確実にパーツフィーダから送出するとともに、制止されている異常なボルトは、短時間のうちに除去されて正常なボルトの送出が再開される。したがって、自動車の車体に採用されるボルトや家庭電化製品に採用されるボルト等、広い産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明の実施例を示す平面図と側面図である。
【図2】ボウルの一部を示す平面図である。
【図3】図2の各断面線部分に対応した断面図である。
【図4】通過規制手段と予備選別手段の平面図と各部の断面図である。
【図5】制止部品除去手段の側面図と平面図である。
【図6】通過規制手段の他の例を示す側面図と平面図である。
【図7】制止部品除去手段の他の例を示す平面図である。
【図8】通過規制手段の配置場所を変更した場合の平面図である。
【図9】本発明で送出の対象となる部品の側面図である。
【符号の説明】
【0135】
1 ボルト
2 頭部
3 軸部,ボルト軸
4 ワッシャ
5 部品
11 パーツフィーダ
12 ボウル
13 底板
14 外壁板
15 部品搬送路
16 送出管
17 通過規制手段
25 起立手段
31 第1除去手段
32 異常に長いボルト
33 ゲージ
39 第2除去手段
40 ゲージ
45 通過空間形成部材
47 主通過空間
48 副通過空間
52 予備選別手段
60 制止部品除去手段
64 プッシュロッド
70 部品通過検知センサー
71 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、
前記部品搬送路および/または送出管の一部に、前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項2】
前記制止部品除去手段は、この制止部品除去手段の部品搬送方向の後流側に配置された部品通過検知センサーが、所定の時間にわたって部品通過を検知しなかったときに、前記通過規制手段に制止されている部品の除去動作を行うように構成されている請求項1記載のパーツフィーダ。
【請求項3】
前記制止部品除去手段は、通過規制手段に制止されている部品を押し出す進退式の部材で構成されている請求項1または請求項2記載のパーツフィーダ。
【請求項4】
前記通過規制手段は、正常な姿勢状態でしかも頭部の実質的な高さが所定高さである部品の頭部が通過する主通過空間と、起立状態の軸部が通過する副通過空間とを備えている請求項1〜請求項3のいずれかに記載のパーツフィーダ。
【請求項5】
送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、
前記部品搬送路と送出管の境界部に、前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項6】
送出の対象となる部品は、頭部とこの頭部と一体的に形成されている軸部とを含んで構成され、前記部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続され、前記部品は頭部が下側になって軸部が起立した正常な姿勢状態で前記送出管から送出される形式のものにおいて、
前記部品搬送路に、部品を前記正常姿勢に起立させる起立手段と、この起立手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記軸部が所定長さよりも長い起立状態の部品を除去する第1除去手段と、この第1除去手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記軸部が所定長さよりも長い転倒状態の部品を除去する第2除去手段と、この第2除去手段の部品搬送方向の後流側に配置されているとともに前記頭部の実質的な高さまたは部品姿勢が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段とが設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダ。
【請求項7】
部品を収容するパーツフィーダのボウルが、円形の底板とこの底板の外周部から起立している外壁板によって構成され、前記外壁板の内壁に沿って段状に形成された螺旋状の部品搬送路を有し、この部品搬送路に送出管が接続されている形式のものにおいて、
前記部品搬送路および/または送出管の一部に、形状,大きさおよび部品姿勢等が異常である部品の通過を禁止する通過規制手段が設けられ、前記通過規制手段に制止されている部品を除去する制止部品除去手段が設けられていることを特徴とするパーツフィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−213516(P2006−213516A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61475(P2005−61475)
【出願日】平成17年2月5日(2005.2.5)
【出願人】(000196886)
【Fターム(参考)】